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ゆみかひろもり
5 years ago
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1 東北大学大学院微生物学分野博士課程 3 年藤直子

2 大学時代のラボのみんなと自己紹介藤直子仙台出身 RITM でプレゼン研究協力機関 RITM のドミトリー MEASLES BULLETIN Sep 2008 現地スタッフと実験中国際学会で発表

3 ライノウイルス (HRV) (Simmonds et al., 2010) ピコルナウイルス科エンテロウイルス属 : 一本鎖 RNA(+) ウイルス >100 血清型かぜの原因 75% で検出 (Aino R. et al. EID, 2009) Picornaviridae Enterovirus HEV-A HEV-B HEV-C HEV-D HRV-A HRV-B

4 HRV 酸抵抗性なし至適増殖温度 33 Picornaviridae Enterovirus HEV-A HEV-B HEV-C HEV-D HRV-A HRV-B Respiratory tract 33 Other Enteroviruses 酸抵抗性あり至適増殖温度 37 ウイルス血症 Stomach ph 1.0 Intestine 37

ライノウイルス (HRV) 感染前感染後 HRVA16 10 名のボランティア 5000-10000 TCID50 気管支生検 (baseline, 三日後 ) In situ hybridization (Papadopoulos NG. et al.

5 ライノウイルス (HRV) 感染前感染後 HRVA16 10 名のボランティア TCID50 気管支生検 (baseline, 三日後 ) In situ hybridization (Papadopoulos NG. et al. J Infect Dis, 2000) 下気道炎や喘息増悪化に関係入院した 5 歳以下の子供における呼吸器疾患原因ウイルス第一位 (Miller EK. et al. J Infect Dis, 2007) 喘息増悪化における一番の原因因子 (60-70%) (Monto AS., et al. Clin Ther, 2001)

新しいライノウイルスの発見研究期間 1999-2001 2003-2006 2003-2004 2004 2004-2005 年齢群 0-1 歳 5 歳以下 1 日 -80 歳 4 か月 -98 歳 18 歳以下患者群外来患者 ( 前向きコホート ) 入院患者入院患者と外来患者外来患者入院患者症状喘息上下気道炎上下気道炎インフルエンザ様症状上下気道炎研究施行場所

6 新しいライノウイルスの発見研究期間年齢群 0-1 歳 5 歳以下 1 日 -80 歳 4 か月 -98 歳 18 歳以下患者群外来患者 ( 前向きコホート ) 入院患者入院患者と外来患者外来患者入院患者症状喘息上下気道炎上下気道炎インフルエンザ様症状上下気道炎研究施行場所 Wisconsin, USA Germany Australia New York, USA Hong Kong リファレンス Lee et al. Plos One 2007 Renwick et al. J. Infect. Dis 2007 Arden et al. J. Med. Virol 2006 Lamson et al. J. Infect. Dis 2006 Yuen et al. J Clin Microbiol 2007 HRVA HRVC 分離不能 (PCRで検出) 他のライノウイルスと比べて重症化? 喘息増悪化に高い寄与? A C Palmenberg et al. Science 2009;324:55-59

7 ~ ライノウイルスに着目して ~

8 研究対象フィリピンタクロバン Eastern Visayas Regional Medical Center(EVRMC) 重症呼吸器感染症と診断され入院した小児 (7d 14yo) 鼻咽頭拭い液マニラタクロバン

研究背景 : フィリピンにおける小児呼吸器感染症フィリピンの乳幼児死亡の状況 5 歳以下死亡率 : 32 /1000 出産数 (2008)

肺炎が最も重要な死亡原因 ) 300 250 200 150 100 50 0 小児死亡原因 2002-2006 年 Region Ⅷ

Region VIII, the Philippines 243 81 80 79 78 58 50 45 22 13 患者転帰

9 研究背景 : フィリピンにおける小児呼吸器感染症フィリピンの乳幼児死亡の状況 5 歳以下死亡率 : 32 /1000 出産数 (2008) 乳幼児の最大の死因 : 肺炎レイテ島を含む Region Ⅷ 人口 420 万人 5 歳以下死亡者数 : 1242 人 (2007 年 : 肺炎が最も重要な死亡原因 ) 小児死亡原因年 Region Ⅷ フィリピン Leading causes of infant mortality, 5 year average , Region VIII, the Philippines 患者転帰 (n=819) 4% 2% 9% 18% 67% 軽快退院 HAMA 入院継続拒否 ( 軽快 ) ( 軽快 ) HAMA 入院拒否継続 ( 悪化 ) ( 悪化 ) 死亡その他

10 方法 1. RNA 抽出 cdna 作製 2. スクリーニング PCR: 5 Non-coding region(ncr) 3. シークエンス 5 NCR VP4-VP2 領域 4. 系統樹解析 : a, HRV A-C の決定 (Palmenberg et al., 2009) (Simmonds et al., 2010)

11 ライノウイルス月別検出数サンプル数 May June July Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May Total samples Total HRVs 常に全体の 20% を占める目立ったピークはなし HRVs 316/1104 ( 28.6%) HRVA 164/316 (51.8%) HRVB 29/316 (9.1%) HRVC 123/316 (38.9%)

13 研究期間中に検出された他のエンテロウイルス (EV68) EV68 サンプル数 May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May エンテロウイルス68(EV68) Picornaviridae Enterovirus HEV-A HEV-B HEV-C HEV-D EV 年 5 月までスクリーニング済み EV71, CA16 Poliovirus EV68, EV70, EV94, EV111

14 エンテロウイルス 68 (EV68) 酸抵抗性なし低い増殖至適温度 HRV EV68 Other EV 酸抵抗性 NO NO YES 増殖至適温度呼吸器主に腸管ライノウイルスに近い性質 (HRV87 は EV68 として再分類 ) 1962 年カリフォルニアで小児肺炎患者 4 名から初分離散発的小規模発生 ( アメリカ ) で報告 26 件のみ

2007 2008 2009 EV68 - - - - 2 2 8-4 2010 年に日本アメリカなどからも EV68

15 EV68 の検出レイテ島 ( フィリピン )21 人の小児肺炎患者から EV68 検出 = 過去最大数の集団発生報告フィリピンでの流行 2011 年 5 月までその後検出なし EV 年に日本アメリカなどからも EV68 の報告あり国立感染症研究所感染症情報センター病原体検出情報 IASR (Imamura T., Fuji N., et al.eid, 2011)

HRV A-C に分けた月別検出数 200 150 サンプル数 100 50 0 Total samples Total HRVs これを HRVA-C にわけてみると 2008 2009 2010 25 20 サンプル数 15 10 HRVA HRVB HRVC

16 HRV A-C に分けた月別検出数サンプル数 Total samples Total HRVs これを HRVA-C にわけてみるとサンプル数 HRVA HRVB HRVC それぞれ異なった検出数の推移を呈す 5 0 May June July Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May

17 HRVA と HRVC の検出数推移サンプル数 10 5 HRVA HRVC 0 May June July Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May HRVA と HRVC の検出数は強い負の相関を示した (r>0.8)

18 タクロバンにて検出された多様なライノウイルス HRVB 0.05 HRVC HRVA HRVA HRVB HRVC

19 さらに細分化して解析を行う血清型 HRV-A >>74 以上 VP4-VP2 領域 <10% 変異率 (Simmonds et al.,2010) HRV-B >>25 以上 HRV-C >>HRV-A 以上と推測系統の定義 5 NCR 及び VP4-VP2 領域両方で近接クラスター (n>4 β 値 <0.2) を形成するものを系統 (= 血清型 ) NJ 法 Mega4.0

20 系統分類 C-12 C A-1 A-2 A-3 A-4 A-5 B-1 A-6 C-11 C-10 C-9 C-8 C-7 C-6 C-5 C-4 C-3 C-2 A-13 A-12 A-10 A-11 C-1 A-9 A-7 A-8 HRVA:13 系統 HRVB:1 系統 HRVC:13 系統

21 系統別月別推移 HRVA HRVC HRVA: 同時期に多系統が集積して検出された (p<0.01) HRVC: 散発的に系統が検出された (p<0.01)

22 (HRVA: 集中的 HRVC: 散発的 ) HRVs 熱帯地域 ( フィリピン ) ではライノウイルス検出数に明確な季節性はなかった種に分けてみると? HRV(A,B,C) HRVA, Cは互いに強く相関し流行していた系統 ( 血清型 ) に分けてみると? HRVA,B,C ( 系統間 ) 一系統 ( 血清型 ) が二年間通じて検出されることはなかった時系列による血清型交代が示された HRVAとHRVCで異なる検出数推移がみられた

23 HRVA-C 別に患者情報を見てみると? 者*p<0.05 喘鳴患* * 数 HRVA 1 HRVB 2 HRVC 3 Yes No 他の研究結果と同様に HRVA-C 間で呈する臨床症状に差がある

24 HRVA-C 別に患者情報を見てみると? 者*p<0.05 喘鳴患* * 数 HRVA 1 HRVB 2 HRVC 3 Yes No 他の研究結果と同様に HRVA-C 間で呈する臨床症状に差がある HRVC が HRVA,HRVB に比べて異なる臨床症状を呈するのは何によるものなのか?

25 HRVC は HRVA,B と似ているのか似ていないのか?

26 血漿心嚢滲出液便から HRVC が PCR で検出された HRVC はエンテロに近いのではないか? ウイルス血症を起こす? HRV-A,B HRV-C Other EV 感染様式呼吸器? 全身?

27 研究対象鼻咽頭拭い液より HRV が検出された患者から採取した血清 HRVC は有意に血清からウイルスゲノムが検出 (31.3%) (Fuji et al., data in submission)

28 特異的な HRVC に限ったことではなく多様な HRVC が血清から検出発症から早い時期に検出される傾向 (Fuji et al., data in submission)

29 HRVC とウイルス血症? HRVC がウイルス血症を起こしている可能性が示唆されたウイルス血症 =>> 全身感染 HRVC 感染の重症化に関連? 分離方法の確立が必要早く出せよー ( 投稿中です )

31 HRVC を増やせないか? HRV は (+) 鎖 RNA ウイルス = ゲノム自体が mrna として機能できる ( ウイルスが複製される ) HRVC は HRVA,HRVB とレセプターが異なることが示唆されているバリアートランスフェクション HRVC 細胞 HRVC 細胞 HRVC RNA を細胞内にいれれば ( トランスフェクション ) HRVC 粒子を大量に作製することができるのではないか?

32 分離株 HRVA 12 で検討 1. 分離株 HRVA 12 の RNA を抽出 2. HeLa-Ohio,HEp-2, HEF, A549, 293T にトランスフェクション 3. 0h 72h で細胞上清に分けて回収 4. 上清の一部は HEF に接種 PCR CPE( 細胞変性効果 ) 共にウイルスが増えていることを確認

33 臨床検体 (HRVC) で挑戦臨床検体由来の RNA ではウイルス増えずフルゲノムを載せたプラスミドを構築し RNA を合成し細胞にトランスフェクションする ( リバースジェネティクス系の構築!) 2009 年からプラスミド構築を目指していたが

34 研究期間年齢群 0-1 歳 5 歳以下 1 日 -80 歳 4 か月 -98 歳 18 歳以下患者群外来患者 ( 前向きコホート ) 入院患者入院患者と外来患者外来患者入院患者症状喘息上下気道炎上下気道炎インフルエンザ様症状上下気道炎研究施行場所 Wisconsin, USA Germany Australia New York, USA Hong Kong リファレンス Lee et al. Plos One 2007 Renwick et al. J. Infect. Dis 2007 Arden et al. J. Med. Virol 2006 Lamson et al. J. Infect. Dis 2006 Yuen et al. J Clin Microbiol 2007

35 今後の展望めげずに引き続きリバースジェネティクス系の構築に努める重症化因子やウイルス血症に関わる遺伝子の解明無事に卒業する

36 ご清聴ありがとうございました

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