表 1 デジタル式紫外線強度計の概要紫外線強度計本体 UVX Radiometer (Digital) Radiometer Sensor センサ UVX nm 紫外線強度測定範囲 0~200mW/cm 2 紫外線測定波長 365nm (UV-A) 表 2 調査地点観測地点位置座標

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えつまたけすえ
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1 屋外空間における地上到達紫外線量の実把握に関する研究 A Study on Ground Arrival Ultra Violet Radiation in Outdoor Space 石内鉄平 * 小柳武和 ** *** 桑原祐史 Teppei ISHIUCHI, Takekazu KOYANAGI and Yuji KUWAHARA : 近年地上に到達する有害な紫外線に対する関心が高まる中気象庁は 20 km メッシュの紫外線分布図を一般公開しているしかし実際に人間が日常生活を営む空間は公園緑地や駅前広場住宅地など多種多様であり人々が浴びている紫外線量も空間によって異なるのではないかと考えられるそこで本研究では市民の生活の場として代表的な屋外空間を調査対象地として選定し空間の構成による紫外線量の違いを把握するため多地点における紫外線量の同時観測を実施したその結果各調査地点における紫外線量の違いが定量的に把握されるとともに紫外線量と天空率との間に強い正の相関関係が確認された : 紫外線,UV-A, 天空率, 土地被覆 Abstract:Recently, the concern with harmful ultraviolet light has become heated and the Meteorological Agency gives out the distribution map about ultraviolet rays by 20km mesh. However, the spaces that we are actually engaged in daily life are wide variety, green space and station square, residential area and so on. And this study takes it as given that amount of ultraviolet light that we are receiving vary according to the spaces. Therefore, this study measured the amount of ultraviolet light at the same time in many places. The result revealed the difference of amount of ultraviolet light per places and a correlation between amount of ultraviolet light and sky view factor. Key Words:ultraviolet rays, UV-A, sky view factor, land cover はじめに近年オゾン層の破壊により地上に到達する有害な紫外線量が増加し皮膚ガンや白内障といった健康被害が懸念されるなど紫外線による環境負荷が大きな問題となっている世界保健機構 (WHO) は紫外線による健康への影響から人々を守るための取り組み INTERSUN プロジェクトを推進するとともに 1) 平成 15 年 4 月環境省 (2008) は紫外線に関する保健指導のあり方を示した紫外線保健指導マニュアルを刊行し日傘や帽子の着用日中の外出の抑制など特に屋外空間における紫外線に対して注意喚起を行っている紫外線予防に対する取り組みや対策が注目される中現在気象庁は札幌つくば那覇の 3 箇所で紫外線観測を実施し計算機によるモデル計算を基にした紫外線情報の予測情報解析情報を発信している 2) データの蓄積が望まれる紫外線量について平成 12 年には国立環境研究所が代表となり日本における多地点での同時観測を可能とする有害紫外線モニタリングネットワークが発足し日本各地の紫外線データの収集を実施している 3) * 明石工業高等専門学校都市システム工学科一方紫外線に関する情報発信に着目すると湘南工科大学による湘南海岸付近の紫外線観測結果が情報発信されており 4) また気象庁は地域の 1 時間毎の UV インデックスを今日の紫外線解析結果と明日の紫外線予測図として一般公開している 2) ( 図 1) しかし図 1のとおり公開されている紫外線情報分布図は 20 km メッシュの広域な情報であるため本研究で調査対象とする兵庫県明石市においても明石市が一メッシュで表現されている一般的に地上に到達する紫外線は天候や季節地域によって異なることは知られているが局所的にみると屋外空間の構成によって実際に人間が浴びている紫外線量は異なるのではないかと考えられるこれまで屋外空間の紫外線については傾斜垂直面における紫外線量の推定 ( 冨板, 2000) や日射量と紫外線量の関係性 ( 垂水ら, 1997) 生体に影響を及ぼす紫外線と天気分類 ( 垂水ら, 2004) に関する研究が報告されているまた幼稚園園庭における紫外線量と園児の行動分析 ( 中村ら, 2007) といった特定の空間に着目した研究は存在するが多種多様な屋外空間に対して紫外線量の違いを相対的に議論した研究事例は少ないのが現状である *** 茨城大学広域水圏環境科学教育研究センター ** 茨城大学工学部都市システム工学科環境情報科学学術研究論文集 26(2012) 225

表 1 デジタル式紫外線強度計の概要紫外線強度計本体 UVX Radiometer (Digital) Radiometer Sensor センサ UVX-36 365nm 紫外線強度測定範囲 0~200mW/cm 2 紫外線測定波長 365nm (UV-A) 表 2 調査地点観測地点位置座標緯度経度大蔵海岸 34 38 34.13 N 134 59 33.

2 表 1 デジタル式紫外線強度計の概要紫外線強度計本体 UVX Radiometer (Digital) Radiometer Sensor センサ UVX nm 紫外線強度測定範囲 0~200mW/cm 2 紫外線測定波長 365nm (UV-A) 表 2 調査地点観測地点位置座標緯度経度大蔵海岸 N E 図 1 紫外線予測分布図 (H23,7,21 12:00) そこで本研究では樹木や構造物の配置土地被覆状況等の空間構成の違いに着目して簡易な紫外線計測機器を用いた多地点における同時観測を実施することにより地上に到達する紫外線量の実態把握を目的とする 1. 研究の方法 1. 1 紫外線の概要一般的に紫外線は気象庁による分類では波長により A 領域 (UV-A; 波長 315~400 nm) B 領域 (UV-B; 波長 280~315 nm) C 領域 (UV-C; 波長 100~280 nm) に分けられ紫外線の人体への影響度は波長により異なる UV-C は大気層 ( オゾンなど ) で吸収され地表には到達しない皮膚や眼に有害とされている UV-B の多くは大気層 ( オゾンなど ) で吸収されるが一部は地表へ到達し日焼けや皮膚がんの原因となる UV-A は UV-B ほど有害ではないが長時間浴びた場合の健康影響が懸念されている皮膚ガンや白内障といった健康被害が懸念されるのは主に UV-B であるが既存研究により熊本県宇土市における紫外線の観測結果から UV-A と UV-B の関係について各日積算量の相関係数 (R) が 0.966(R 2 =0.934, n=359) であり極めて密接な関係が認められている ( 上野ら, 2009) そこで本研究では地上に到達する紫外線量と屋外空間の関係性を議論するため紫外線量の値として UV-A に着目して研究を進める 1.2 紫外線量の観測機器の選定紫外線量の多地点同時観測を実施するため本研究では複数台の米国ウルトラバイオレット社製 UVX Radiometer( フナコシ株式会社 ) を用いた観測機器の概要を表 1に示す 1.3 紫外線調査地点の選定兵庫県明石市内の日常生活圏を対象とするため市民の生活の場憩いの場として代表的な屋外空間である砂浜公園緑地駅前広場住宅地を調査対象地として選定する調査地点について SOKKIA 社製 DGPS 機器明石駅前広場 N E 魚住町錦が丘 3 丁目明石公園 ( 遊具エリア ) 明石公園 ( 緑陰エリア ) 調査日時調査地点調査員気象情報観測方法パタン 1 パタン 2 パタン N E N E N E 表 3 多地点同時観測の調査概要平成 23 年 8 月 24 日 ( 水 ) 9:00~16:00 12 月 28 日 ( 水 ) 9:00~16:00 明石市内 5 地点明石工業高等専門学校学生 5 名 8 月 24 日 ( 水 ) 最高気温 31.5 最低気温 26.1 日照時間 6.4h 12 月 28 日 ( 水 ) 最高気温 8.8 最低気温 0.2 日照時間 8.7h センサ位置 : 地上から 150cm の高さセンサ向き : 上 / 観測回数 : 定刻時刻毎に 5 回ずつセンサ位置 : 地上から 30cm の高さセンサ向き : 上下 / 観測回数 : 定刻時刻毎に 5 回ずつセンサ位置 : 地上から 150cm の高さセンサ向き : 東西南北 / 観測回数 : 定刻時刻毎に 5 回ずつ GIR1600 を用いて位置座標を取得した表 2に調査地点の名称および位置座標を示す住宅地である錦が丘 3 丁目以外は約 1 km 四方内に位置する地点である 1.4 紫外線観測調査の概要複数台の紫外線強度計を用いて多地点同時観測を実施するにあたりまず同一地点における同時観測を周囲に遮光する構造物のない明石高専のグラウンドで実施した一般的に使用されている紫外線計測器はセンサの劣化を勘案し精度管理のために測定機器の定期的な校正が行われている本研究では多地点における紫外線量の相対的な比較を行うため購入時期つまり使用回数の異なる機器の個体差の検証を行うことで観測データの補正を試みる多地点における紫外線量同時観測の調査概要を表 3 紫外線の観測パタンを図 2 紫外線計測機器および調査風景を図 3に示す 1.5 その他の調査空間の構成を把握する手法として天空の開放性は有益な視点でありオープンスペースを立体的に捉えるものである天空の広がりを数量的に示す指標として魚眼撮影手法幾何学的算出法魚眼解析法がある ( 中岡ら, 1985) 本研究では魚眼撮影手法を用いるため調査地点における魚眼レンズを用いた天空写真の撮影加えて全 226 環境情報科学学術研究論文集 26(2012)

方位 (360 ) の写真撮影を紫外線観測と同日に行った図 4 に各観測地点における全方位 (360 ) 画像を示す 2. 結果 2.

センサの劣化等機器の個体差の有無を把握するため同一地点で同時に計測した結果を図 5に示す図 5より測定器 1~5 によって計測された値の近似式をみると全ての測定器が R2=0.

によって観測された値の平均値を基準とする図 5は測定器 3~5 による観測結果の平均値を算出しデータの並列関係を崩さずに平均値のデータを低いものから高いものへと並べ替え平均値を縦軸

各測定器で観測した実測値について平均値の近似式とそれぞれの機器の近似式を用いて測定値毎の補正量を算出し補正を行う 2.

の結果のうち図 8に大蔵海岸図 9に明石駅前広場図 10 に住宅地図 11 に明石公園 ( 遊具エリア ) 図 12 に明石公園 ( 緑陰エリア ) における結果を示す 2.

魚住町錦が丘 3 丁目 ) 明石公園遊具エリア太陽光紫外線センサ 150cm の高さ北明石公園緑陰エリア図 4 各観測地点における全方位 (360 ) 画像 150cm 西 30cm 南パタン 1

3 方位 (360 ) の写真撮影を紫外線観測と同日に行った図 4 に各観測地点における全方位 (360 ) 画像を示す 2. 結果 2.1 データの補正本研究で使用する紫外線観測機器は約半年の購入時期の違いがあり使用回数が異なる測定器 1 および 2 は過去に購入したものであり他は本調査が初めての使用となるセンサの劣化等機器の個体差の有無を把握するため同一地点で同時に計測した結果を図 5に示す図 5より測定器 1~5 によって計測された値の近似式をみると全ての測定器が R2= 以上と説明力があるが測定器 1 および 2 の傾きが他の 3 つと異なるのがわかるこれは購入時期や使用回数によるセンサの劣化が原因として考えられるため本研究では測定器 3~5 によって観測された値の平均値を基準とする図 5は測定器 3~5 による観測結果の平均値を算出しデータの並列関係を崩さずに平均値のデータを低いものから高いものへと並べ替え平均値を縦軸横軸の基準としてグラフ化したものであるそのため平均値を線形近似した線分は y=x となるこの結果を機器の個体差として認識し各測定器で観測した実測値について平均値の近似式とそれぞれの機器の近似式を用いて測定値毎の補正量を算出し補正を行う 2.2 多地点における地上到達紫外線量補正後の観測値を用いて観測パタン 1 による 8 月における多地点での紫外線量の同時観測結果を図 6 12 月の結果を図 7に示すまた 8 月における観測パタン 3 の結果のうち図 8に大蔵海岸図 9に明石駅前広場図 10 に住宅地図 11 に明石公園 ( 遊具エリア ) 図 12 に明石公園 ( 緑陰エリア ) における結果を示す 2.3 地上到達紫外線量と天空率の関係本研究において天空率は等距離射影方式による魚眼レンズを用いて撮影された写真画像に対して全ピクセル数に占める天空のピクセル数を求めて算出した大蔵海岸明石駅前広場住宅地 ( 魚住町錦が丘 3 丁目 ) 明石公園遊具エリア太陽光紫外線センサ 150cm の高さ北明石公園緑陰エリア図 4 各観測地点における全方位 (360 ) 画像 150cm 西 30cm 南パタン 1 パタン 2 パタン 3 図 2 紫外線観測のパタン東 3,500 3,000 2,500 2,000 測定器 1 y=0.8704x R 2 = 測定器 2 y=1.1480x R 2 = 測定器 3 y=0.9924x R 2 = ,500 測定器 4 y=0.9847x R 2 = , 測定器 5 y=1.0018x R 2 = 平均 y=x ,000 1,500 2,000 2,500 3,000 図 3 紫外線計測器および観測風景図 5 観測データの補正環境情報科学学術研究論文集 26(2012) 227

4 図 6 多地点における紫外線量の観測結果 (8 月 ) 図 10 住宅地における方位別紫外線量図 7 多地点における紫外線量の観測結果 (12 月 ) 図 11 明石公園遊具エリアにおける方位別紫外線量図 8 大蔵海岸における方位別紫外線量図 12 明石公園緑陰エリアにおける方位別紫外線量各観測地点で撮影した天空写真および天空率の算出結果を図 13 に示す加えて図 13 の結果を用いて紫外線量と天空率について相関分析を行った相関分析の判断の基準 ( 肥田野ら, 1983) を表 4 紫外線量と天空率の散布図を図 14 相関分析の結果を表 5に示す図 9 明石駅前広場における方位別紫外線量 2. 4 土地被覆による反射率本研究における反射率とは地面から 30 cm の高さでセンサの向きを上下に向けて観測した紫外線量においてセンサ下向きの時の紫外線量 / センサ上向きの時の紫外線量を百分率で表示したものである図 15 に土地被覆毎の紫外線反射率を示すまた本研究による調査方 228 環境情報科学学術研究論文集 26(2012)

大蔵海岸明石駅前広場住宅地明石公園 ( 遊具エリア ) 明石公園 ( 緑陰エリア ) 天空写真天空率 (%) 8 月撮影土地被覆 86.

20 図 13 天空率の算出結果および紫外線量砂浜コンクリートアスファルト土芝写真画像反射率 (%) 12.07 7.23 9.02 9.

緑陰が多い明石公園は大 0 相関係数 < 0.2 ほとんど相関無し蔵海岸と比較して約 100 分の 1 以下の紫外線量であるこ 0.

午後は西からの紫外線量が多くなっている 12 時における南からの紫外線量の値が最大となっていないのは観測時の雲の影響が考えられるが 8 月最大

この施設配置が太陽光を遮蔽し 0 0 20 40 60 80 100 天空率 (%) 図 14 紫外線量と天空率の散布図表 5

903 南からの紫外線量の値に影響していると思われる住宅地は東側に樹木が立地し太陽光が遮られているため東や南からの紫外線量は低いが

最小値 0.934 の紫外線量が高い結果を得た明石公園の緑陰エリアは 12 月最大値 0.

907 り方位に関わらず紫外線量が低い数値となっている法では測定器による影の影響が考えられる特にセンサ下向きの値は実際よりも低く

5 大蔵海岸明石駅前広場住宅地明石公園 ( 遊具エリア ) 明石公園 ( 緑陰エリア ) 天空写真天空率 (%) 8 月撮影土地被覆図 13 天空率の算出結果および紫外線量砂浜コンクリートアスファルト土芝写真画像反射率 (%) 図 15 土地被覆毎の紫外線反射率表 4 相関強さの判定基準相関係数の値判定地といった結果が得られた緑陰が多い明石公園は大 0 相関係数 < 0.2 ほとんど相関無し蔵海岸と比較して約 100 分の 1 以下の紫外線量であるこ 0.2 相関係数 < 0.4 弱い相関あり 0.4 相関係数 < 0.7 中程度の相関ありとがわかったまた各観測地点において方位別紫外線 0.7 相関係数強い相関あり量に着目すると構造物がない大蔵海岸では午前中東からの紫外線量が多く午後は西からの紫外線量が多くなっている 12 時における南からの紫外線量の値が最大となっていないのは観測時の雲の影響が考えられるが 8 月最大月平均 8 月最小この結果は太陽の軌道と一致しているため太陽からの直射の影響が大きいと推察される月最大 12 月平均 12 月最小一方明石駅前広場に着目すると午前中は東午後は西からの紫外線量が多いといった結果は大蔵海岸と同様であるが図 4より明石駅前広場の南側には高い樹木と建築物が立地しているこの施設配置が太陽光を遮蔽し天空率 (%) 図 14 紫外線量と天空率の散布図表 5 紫外線量と天空率の相関関係天空率との相関係数 8 月最大値紫外線量平均値南からの紫外線量の値に影響していると思われる住宅地は東側に樹木が立地し太陽光が遮られているため東や南からの紫外線量は低いが天空が臨める西からの紫外線量が高い結果となっている明石公園の遊具エリアにおいても南に樹木が位置しているため特に北から (μw/cm2) 最小値の紫外線量が高い結果を得た明石公園の緑陰エリアは 12 月最大値周囲が樹木で覆われているため太陽光が遮断されてお紫外線量平均値 (μw/cm2) 最小値り方位に関わらず紫外線量が低い数値となっている法では測定器による影の影響が考えられる特にセンサ下向きの値は実際よりも低くそれに伴い反射率の値は実際よりも小さくなっていると推測される以上の結果により地上に到達する紫外線量は周囲の空間の構成によって値が異なり本研究のように安価な紫外線計測機器を用いた場合であっても空間構成による紫外線量の違いが定量的に把握された 3. 考察 3.2 紫外線量と天空率の関係表 5および図 14 より本研究のように簡易な紫外線計 3.1 多地点における紫外線観測について図 6および 7 14 より 8 月と 12 月における紫外線量は大蔵海岸と明石駅前広場が最も多く続いて住宅測機器を用いた場合であっても紫外線量の一日の最大値平均値最低値と天空率との関係に強い正の相関関係が確認され天空率が増加するほど地上に到達する紫環境情報科学学術研究論文集 26(2012) 229

6 外線量は増加することが確認されたこの結果から地上に到達する紫外線の到達経路として太陽からの直射に加え建物などからの反射や大気中での散乱等が想定されるが天空率の概念を用いることでその空間の紫外線量は予測可能であることが示された 3.3 土地被覆毎の紫外線反射率図 15 より地面から 30 cm の高さで観測した場合土地被覆の種類によって紫外線の反射率に違いが見られた調査対象とした砂コンクリートアスファルト土芝のうち砂の反射率が約 12% と最も高く続いて土アスファルトが約 9% コンクリートが約 7% 芝が約 3% となり調査対象とした素材の中では芝が最も紫外線を反射しないことがわかったしかし地表面は完全拡散反射ではないためより正確な反射率算出には各地表面における反射指向性を考慮する必要があるおわりに本研究により空間の構成や時刻土地被覆による地上に到達する紫外線量の違いが定量的に把握された具体的に得られた結果を以下に示す 1) 明石市内の各観測地点において地上に到達する紫外線量の違いが数値として把握された特に紫外線量は太陽の軌道と連動するが太陽光を遮る建物や樹木の配置等の屋外空間の構成の違いによる影響が確認された 2) 地上に到達する紫外線量と天空率の関係に強い正の相関が認められた天空率が高いほど地上に到達する紫外線量は多くまた明石公園の樹木が生い茂る緑陰のエリアは大蔵海岸と比較して約 1/100 以下の紫外線量であることがわかった気象庁の紫外線情報分布図では調査日である 8 月 24 日の明石市全域に対して昼 12 時には UV インデックス指標 10 ( 非常に強い ) を記録していたしかし本研究の結果から明石市における地上に到達する最大紫外線量は空間構成の違いにより局所的に 13~2631μ W/cm 2 の範囲でばらつきがあることが確認された 3) 土地被覆の違いによる紫外線の反射に着目すると砂の反射率が約 12% と最も高く芝が約 3% と最も低い結果が得られた今後の課題は以下の通りである 1) 本研究で実施した紫外線観測は標本数 5 地点かつ 8 12 月の 2 日間によるものである今後分析検証精度の向上には計測地点および計測日数を増やすなど多地点における持続的なモニタリングを実施し観測データの信頼性を高める必要がある 2) 観測結果として把握された紫外線量には上空にある雲量が影響していると思われる太陽からの直射や構造物による反射大気中での散乱を議論するためには全天や曇天など天候状態による観測値の差を検証する必要がある 3) 空間の構成と紫外線量の関係を詳細に分析するには樹木や建物の配置高さなどの正確な測量結果と太陽高度との関係性を見出し地点における紫外線量の時間変化を綿密に把握することが求められる以上の点を本研究の課題として明記し今後さらに分析および検証を進めていきたい謝辞本研究を遂行するにあたって茨城大学における文部科学省平成 23 年度特別経費 ( プロジェクト分 ) 気候変動対応型社会のための適応イノベーション研究 -サステイナビリティ学と地球変動適応科学の展開の援助を頂いたまた豊橋技術科学大学の中川聖也氏 ( 当時明石高専 ) に調査分析協力を得たここに記して謝意を表する補注 1) World Health Organization (WHO): Ultraviolet radiation and the INTERSUN Programme< 参照 2) 気象庁 : 紫外線情報分布図 < 参照 3) 国立環境研究所 : 有害紫外線モニタリングネットワーク < 参照 4) 湘南工科大学情報工学科天野研究室 : 有害紫外線観測サイト < 参照引用文献上野一憲松本依子 (2009) 熊本県宇土市における A 領域及び B 領域紫外線量 ( 平成 21 年度 ) 平成 21 年度熊本県保健環境科学研究所報, No.39. 環境省 (2008) 紫外線環境保健マニュアル pp 垂水弘夫新聖子 (2004) 地上到達紫外線量の DUV 評価と天気分類に基づく解析その 15 DUV 評価と CIE 紫外線日射量との比較. 日本建築学会大会学術講演梗概集 ( 北海道 ). pp 垂水弘夫久保猛志 (1997) 紫外線日射観測その 1 携帯型紫外線計を用いた金沢周辺での観測データ. 日本建築学会大会学術講演梗概集 ( 関東 ). pp 冨板崇 (2000) 傾斜垂直面における紫外線量の推定手法. 日本建築学会構造系論文集. No.535. pp 中岡良司森弘五十嵐日出夫 (1985) 都市の天空開放性の計量技法に関する研究. 土木計画学研究講演集. No.7. pp 中村英輔長澤夏子渡辺仁史川西利昌 (2007) 紫外線曝露を考慮した幼稚園園庭の計画学的評価手法に関する研究. 日本建築学会大会学術講演梗概集 ( 九州 ). pp 肥田野直瀬谷正敏大川信明 (1987) 心理教育統計学. 株式会社培風館. p 環境情報科学学術研究論文集 26(2012)

参考資料

参考資料 1-3. 紫外線量の変動要因紫外線の量は太陽の高度オゾン全量雲の状況エアロゾルの量地表面の反射率などの変化によって変動する天気の変化は雲量の変化というかたちで紫外線量に影響を与える海抜高度の高いところでは大気の層の厚さが薄くなることにより紫外線量が増加する (+10~12%/1,000m) また大気汚染や霞といった現象は地上における大気混濁度を地域的に増加させ紫外線量を減少させる要因となる

表 1 デジタル式紫外線強度計の概要 紫外線強度計本体 UVX Radiometer (Digital) Radiometer Sensor センサ UVX nm 紫外線強度測定範囲 0~200mW/cm 2 紫外線測定波長 365nm (UV-A) 表 2 調査地点 観測地点 位置座標

表 1 デジタル式紫外線強度計の概要紫外線強度計本体 UVX Radiometer (Digital) Radiometer Sensor センサ UVX nm 紫外線強度測定範囲 0~200mW/cm 2 紫外線測定波長 365nm (UV-A) 表 2 調査地点観測地点位置座標