黒毛和種子牛の免疫グロブリンの移行と産生および ホエータンパク質を用いた人工ほ乳技術の開発に 関する研究 2015 安松谷 恵子

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1 黒毛和種子牛の免疫グロブリンの移行と産生およびホエ Titleータンパク質を用いた人工ほ乳技術の開発に関する研究 ( Dissertation_ 全文 ) Author(s) 安松谷, 恵子 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL Right Type Thesis or Dissertation Textversion ETD Kyoto University

2 黒毛和種子牛の免疫グロブリンの移行と産生および ホエータンパク質を用いた人工ほ乳技術の開発に 関する研究 2015 安松谷 恵子

3 目 次 第 1 章緒言 1 第 1 節. 新生子牛の免疫の獲得第 2 節. 黒毛和種子牛のほ乳の現状第 3 節. 代用乳の現状第 4 節. 子牛の免疫とほ乳に関する先行研究の概要第 5 節. 研究目的 第 2 章出生後の黒毛和種新生子牛への免疫グロブリン G と免疫グロブリン A の移行 12 第 1 節. 緒言第 2 節. 材料および方法第 3 節. 結果第 4 節. 考察 第 3 章黒毛和種子牛へのホエータンパク質を主原料とした代用乳の給与における粗タンパク質濃度が発育に及ぼす影響 19 第 1 節. 緒言第 2 節. 材料および方法第 3 節. 結果第 4 節. 考察 第 4 章ホエータンパク質の給与が黒毛和種子牛の発育と腸管免疫グロブリン A 産生に及ぼす影響 35 第 1 節. 緒言第 2 節. 材料および方法第 3 節. 結果

4 第 4 節. 考察 第 5 章人工ほ乳における代用乳の給与量の変更が黒毛和種子牛の発育とスタータ摂取量におよぼす影響 46 第 1 節. 緒言第 2 節. 材料および方法第 3 節. 結果第 4 節. 考察 第 6 章総合討論 59 第 1 節. 黒毛和種経産牛から新生子牛への免疫グロブリン G および免疫グロブリ ン A の移行 第 2 節. 代用乳の原料, 粗タンパク質濃度および給与量が異なることによる黒毛和 種子牛の発育および飼料摂取量への影響 第 3 節. ホエータンパク質による黒毛和種子牛の腸管における免疫グロブリン A 産生効果 謝辞 67 引用文献 68

5 第 1 章緒言 第 1 節. 新生子牛の免疫の獲得畜産業において, 新生個体に免疫を獲得させることは, 感染症を予防する上で最も重要であり, 感染症の罹患率やそれによる致死率を低下させることは, 畜産経営を安定化するために必須の課題である. 免疫の獲得方法は動物種によって異なるが, 子牛は, 胎児期に胎盤経由による母牛抗体の移行が行われないため, 出生後に初乳から抗体を経口摂取し, 受動免疫を獲得する必要がある (Kruse 1983; Lorenz et al. 2011; Pakkanen and Aalto 1997; Vogels et al. 2013; Weaver et al. 2000). 受動免疫とは, 体外からの移行抗体により獲得した免疫のことで, 白血球の貪食作用も抗体産生能も未発達の子牛にとっては外部からの病原体の侵入に対抗するために欠かせないものである. 子牛が獲得する免疫物質は免疫グロブリン ( Ig) と呼ばれ, IgA, IgG, IgM などに分類され, その中で IgG が初乳中に最も多量に含まれている. 受動免疫は生後 4 ~ 6 週齢ほどで消失し ( 久馬ら 1981; 久馬 1982), それに伴って子牛自身の能動免疫が開始され, 病原体等への抵抗性を獲得していく. 子牛の受動免疫は, 摂取した初乳の質や量 (Vogels et al. 2013), 出生から摂取までの経過時間が関係しており, 子牛に十分な受動免疫を獲得させるには, 免疫グロブリンを多量に含む高品質な初乳を生後できるだけ早い時間に給与することが必要である (Neave et al. 2013; Stott et al. 1979a,c). 牛の初乳中に含まれる免疫グロブリンは IgG が大半を占めており,IgA や IgM は少ない (Stelwagen et al. 2009). 初乳中の免疫グロブリンは血中や乳腺の形質細胞で産生されると考えられており, 免疫グロブリンは乳腺上皮細胞から初乳中へ分泌される (Stelwagen et al. 2009). 乳腺上皮細胞には IgG 受容体が存在し,IgG はこの受容体を介して初乳中へ分泌される.IgA は乳腺の形質細胞で産生され, 乳腺上皮細胞の重合体 Ig 受容体と結合し,2 量体として乳腺の腺房管腔に放出され (Stelwagen et al. 2009), 初乳中に分泌される. 初乳への IgG および IgA 輸送に関わる受容体の発現やその調節は, 分娩時を中心とした母牛の内分泌の変化によって制御されていると考えられている (Stelwagen et al. 2009). 1

6 免疫グロブリンは分子量が大きく, 育成牛や成牛の腸管膜は通過できないが, 生後すぐの新生子牛では分子量の大きなタンパク質も取り込むことができるピノサイトーシスの働きにより腸管からの免疫グロブリンの吸収が可能である ( Broughton and Lecce 1970 ). 新生子牛が腸管から免疫グロブリンを体内へ取り込むことができるのは出生後 24 時間程度であるといわれており (Matte et al. 1982; Stott et al. 1979b), 出生後 24 時間から 36 時間の間に吸収能は低下すると報告されている (Kruse 1983). Chigerwe et al.( 2008) は, 初乳の初回給与が生後 14 時間後であった子牛の免疫移行不全の割合は, 初回給与が生後 6 時間後であった子牛と比較して 2 倍であったと報告している. また, 初乳を給与されなかった乳用雌子牛の 21 日齢までの致死率は, 生後 6 時間以内にバケツやボトルで初乳を給与された子牛に比べて 74 倍高かったとの報告もみられる (Wells et al. 1996). 初乳は免疫グロブリンの他にも炭水化物, 脂質, ミネラル, ビタミンの供給源として重要であり, さらにホルモン類, 成長因子, サイトカイン, 酵素などが含まれているため (Blum and Hammon 2000; Blum 2006; Campana and Baumrucker 1995; Koldovsky 1989), 子牛にとって免疫獲得のみならず成長にも欠かせないものである. これらの物質は子牛の栄養吸収の機構にとって重 要な腸管粘膜の成長因子 1, 2 およびインスリンのレセプターの増殖に関わっている ( Hammon and Blum 2002). 牛の初乳は, 肉用種と乳用種では成分含量が異なり, 免疫をつかさどる IgG1 濃度については, 肉用種が乳用種よりも高いといわれている (Lorenz et al. 2011). 小原ら ( 2004) は肉用種である黒毛和種の初乳の IgG 濃度がホルスタイン種よりも有意に高いと報告している. さらに, 高産次の母牛の初乳のほうが IgG1 含量は多い傾向がある ( Conneely et al. 2013; 福島ら 2004). 分娩後の子牛の初乳摂取は, 黒毛和種では母子を同居させたまま自然ほ乳によって摂取させる方法が一般的である. しかしながら,IgG 含量が低い場合, 血液が混入している場合, 乳房炎発症などの理由から初乳が低品質である場合, および難産等の分娩事故により母牛が初乳を給与できる状態でない場合などには, 新生子牛は免疫獲得ができず, 感染症の発生やへい死の危険性が高まることが知られている. さらに, 初乳中にバクテリアが存在することにより, 抗体の血中への取り込みが減少する可能性が指摘されている (James et al ). 2

7 子牛の免疫をつかさどる主な物質は IgG や IgA であるが, IgG は血液中に存在し てウイルス, 細菌などの病原体に抵抗する全身の液性免疫を担い, 一方で IgA は腸管 粘膜に局在して下痢などの感染症を引き起こす病原体や毒素に対して抵抗性を示すと されている ( 安部 2008; 林 2008). IgG と IgA の抗体としての働きは異なり,IgG は病原体などの抗原に直接結合してマクロファージや好中球により貪食され,IgA は病原体のコロニー形成阻害や毒素中和のために凝集する働きを持つ ( Sordillo et al. 1997). 出生時には, 子牛の腸管で免疫を担う主体となるパイエル板には IgG や IgA を産生する抗体産生細胞はすでに存在するが, 生後 20 日齢頃までは IgG mrna や IgA mrna を発現している細胞はほとんど観察されず ( 保田 2013), 抗体の産生は極めてまれである. しかし, 生後 1 ヶ月前後からパイエル板のリンパ濾胞内では,IgG mrna や IgA mrna を発現している細胞が多数観察されるようになり, 抗体産生が開始されていると考えられている ( 保田 2013). 新生子牛の血中の IgG 濃度は, 摂取した初乳の IgG 含量や初乳給与までの時間に左右され (Rajala and Castren 1995), 子牛の血清中の免疫グロブリン濃度が 10 g/l 未満である状態は, 初乳からの免疫グロブリンの吸収が不全であり, 免疫移行不全であると定義され (Vogels et al. 2013), 疾病罹患率や死亡率が高くなるといわれている (Weaver et al. 2000). アメリカの調査では, 乳用牛の子牛のうち 19~ 37 % が免疫移行不全であると報告されており,Waldner and Rosengren ( 2009) は子牛の血清 IgG 濃度が 10 g/l 未満である場合, 死亡率は 1.6 倍高くなると報告している. 近年の研究から, 子牛の生後 1~ 7 日間の血清 IgG 濃度は 10 mg/ml 以上が望ましく, そのためには生後 1~ 2 時間の間に IgG を 50 mg/ml 以上含む初乳を 3~ 4 リットル給与することが推奨されている (Chigerwe et al. 2008; Godden et al. 2009a; Godden et al. 2009b; Weaver et al. 2000). 新生子牛はさまざまな病原体に曝露される可能性が高く, 特に下痢の発生による損耗やへい死が問題となっている. 下痢などの消化器疾病を起こす病原体に抵抗するためには, 腸管の IgA 含量を高める必要がある.IgA が腸管をはじめとする粘膜免疫の中心であることは半世紀以上前から知られているが,IgA の産生機構ならびに病原体や毒素の捕捉と凝集以外の目的で腸管内に分泌される役割については, これまであまり知られていなかった. しかしながら, 近年, マウスを用いた実験で急速にその機構や 3

8 役割の解明が進んでいる.IgA は腸の粘膜固有層のパイエル板やリンパ濾胞において IgA + B 細胞や IgA + 形質細胞から産生される.IgA + B 細胞は IgM + B 細胞のクラススイッチにより誘導され, さらに IgA + B 細胞はサイトカインの働きにより IgA + 形質細胞へと分化する.IgM + B 細胞が IgA + B 細胞へ誘導されるには,T 細胞依存性および樹状細胞の抗原提示による T 細胞非依存性の 2 つの経路がある. どちらの経路においても, IgM + B 細胞は分化に必要な酵素である活性化誘導シチジンデアミナーゼを産生し, 形 質転換成長因子 β の影響を受けて IgA + B 細胞へとクラススイッチする ( Fagarasan and Honjo 2003). 牛のパイエル板は回腸終末部に帯状に発達し, 外来抗原に抵抗するための免疫応答を誘導する主要部位である ( 野地と清野 2008). このパイエル板で産生された IgA + B 細胞は腸間膜リンパ節へ移行し, そこでさらに増殖して,IgA + 形質細胞へと分化する. この IgA + 形質細胞は胸管と血液を経て腸の粘膜固有層へと優先的に戻ってくる. この現象はホーミングと呼ばれ, パイエル板や腸間膜リンパ節の樹状細胞により誘導される ( Fagarasan and Honjo 2003). また, ビタミン A 代謝産物のレチノイン酸は IgM + B 細胞の IgA へのクラススイッチや T 細胞,B 細胞および IgA 抗体産生細胞のホーミングを誘導する役割を持つことが明らかとなってきた ( Mora and von Andrian 2009). さらに, T 細胞依存性の IgA + 形質細胞前駆体の産生機構が働く際に片利共生バクテリアが引き金となることも報告されている ( Suzuki and Nakajima 2014). このように,IgA については産生機序の解明に関する研究報告は見られるが, 子牛の腸管での IgA 産生量や糞への IgA 排出量を調査した先行研究や, 腸管 IgA 含量を向上させる具体的な手法等についての報告は見られない. 第 2 節. 黒毛和種子牛のほ乳の現状 近年, 黒毛和種の繁殖経営では, 繁殖サイクルを早めて効率化することによる経営 改善が図られており, その手法の一つとして, 母子の早期分離が試みられている. 従 来の黒毛和種の繁殖経営では, 新生子牛は母牛と隔離せずに離乳までの 3~ 6 ヶ月間 同居させ, 自然ほ乳によって育てる飼養管理が一般的に行われてきた. しかし, 子牛 を母牛と同居させ, 自然ほ乳によって飼養すると, 子牛が摂取している母乳量が不明 であるため発育不良が起きる可能性が高く, 感染症を引き起こすさまざまな病原体へ 4

9 の曝露の機会も増えて, 子牛が下痢や呼吸器病等で損耗し発育が遅滞するなど, 改善すべき問題がしばしば生じていた. さらに, 母牛の分娩効率を向上させるために, 卵巣機能の回復を早めて発情の早期回帰を促進するには, 分娩後早期の母子分離がよいと考えられている ( 福島ら 1998). また, 近年は繁殖技術の向上によって, 乳用牛への受精卵移植による黒毛和種子牛の生産も増加し, 酪農家が黒毛和種子牛をほ乳する機会も増えている. このような背景から, 母牛から分離した黒毛和種子牛のほ乳技術と発育に関する知見や情報の必要性が増してきているため, 多くの府県で黒毛和種子牛の早期母子分離や人工ほ乳による飼養管理に関する研究が進められている. 子牛を人工ほ乳で育てると, 発育の斉一性の向上, 感染症罹患リスクの低減, 罹患牛の治療の易化, スタータ摂取による第一胃の発達促進などが可能となるため, 近年, 代用乳の給与による人工ほ乳が多数行われるようになってきたといわれている. しかし, 代用乳を製造する各メーカーのパッケージに記載されている給与方法は, 乳用牛の子牛用のマニュアルをベースとしていると考えられ, その給与方法が黒毛和種子牛へのほ乳パターンとして適切であるかどうか, 不明な点も多い. さらに子牛の人工ほ乳に関する正しい情報が農家に伝わっておらず, 飼養管理の失宜により深刻な問題をもたらすこともある. たとえば, 多量の代用乳を長期間給与して下痢を引き起こすような飼養管理が散見されるほか, ほ乳期間中にスタータ摂取を促していないために離乳時期においても必要量のスタータを食べきることができない子牛がいることは, 代用乳の給与量や離乳のタイミングおよびスタータ給与に関して, 依然として見直しや改善すべき点があることを示している. 黒毛和種子牛の発育遅滞は, 下痢による損耗である場合が多いといわれ ( 小形 2009 ), 海外と同様にほ乳期の子牛の下痢は問題となっている ( Perez et al. 1990; Schumann et al. 1990; Vogels et al. 2013). 子牛の治療内容に占める下痢の割合は, 生後 4 週齢頃までは 50 % 以上であり, 他の疾病と比較して圧倒的に多い ( 福島ら 2009). ほ乳中の子牛は, 病原性微生物による感染性下痢のほか, 消化不良による食餌性下痢を起こすこともあり ( 福島 2014; 小形 2009; 山田 2014), いずれの場合も, 腸管粘膜が損傷し, 栄養吸収が阻害されることで発育に必要な栄養分が不足して, 増体が低下すると考えられている. また, 栄養失調になることは免疫能の低下を招き, 5

10 呼吸器病などの他の感染症を引き起こすことにもつながるため, 下痢の予防は重要である. 下痢を発症した子牛には, 断乳処置や抗生物質投与等の対処がとられているが, これらの対処法は子牛の栄養不足や腸内細菌叢の死滅による腸内環境の悪化をもたらすと考えられる. 抗生物質の投与は, 生菌剤や漢方薬および消化酵素剤の投与に比べ, 治療期間が延長することが報告されている ( 山田 2014). このような薬剤による治療を行う現状に対し, 筆者は, 代用乳の質自体を改善することでほ乳子牛の免疫を高め, 下痢の発症を抑えるような方向性も検討すべきであると考えている. したがって, 子牛のスムーズな発育と下痢防止および第一胃発達のために, 新たな原材料を用いた代用乳を開発し, 最適な粗タンパク質濃度や給与量を検討することは, 畜産業での子牛生産において研究すべき課題であると位置づけられる. 第 3 節. 代用乳の現状子牛の代用乳は, これまで, ホルスタイン種子牛用の商品が主流であったが, 黒毛和種子牛用の代用乳も徐々に商品化が進み, 複数のメーカーが商品を販売しているものの, その成分や給与方法の確立についてはまだ開発段階である. 黒毛和種の子牛の生時体重はホルスタイン種に比べて小さく, 摂取できる代用乳の量も少ないため, ホルスタイン種と同じ代用乳ではエネルギー不足に陥りやすいのではないかといわれている. そのため, 黒毛和種子牛用に TDN 含量を増加させた代用乳の開発が試みられており, 一部のメーカーではタンパク質含量は高いが脂肪含量は過度に高めず, 過肥になりにくい代用乳が提案されている. 一般に代用乳の原材料は脱脂乳が主体で, 粗タンパク質は 24~ 26 %, 希釈倍率は 6~ 7 倍, 給与量は 1 日 2 回, 各 3 リットル程度と設定しているものが多い. 原材料の脱脂乳は, 近年の畜産物価格高騰の影響で高コストとなっており, 新たな原材料を用いた代用乳の開発が模索されている. その中で, 筆者は, 牛乳由来の物質として, チーズの製造副産物であるホエー ( 乳清 ) タンパク質が注目すべき素材であると考えている. ホエータンパク質は牛乳の全タンパク質の約 20 % を占め,β ラクトグロブリン,α ラクトアルブミン, 免疫グロブリン等を有している. ホエーの乾物重量当たりの IgG, 粗タンパク質含量はカゼインよりも有 6

11 意に高く, IgG 含量はホルスタイン種の初乳よりも有意に高いと報告されている ( Neave et al. 2013). ホエータンパク質は必須アミノ酸を豊富に含み, 筋タンパク質合成を促進する分岐鎖アミノ酸の供給源としても優れており, 窒素供給源としての価値を示すタンパク質効率や生物価が高い ( 山口 2005). タンパク質効率は, 摂取したタンパク質量に対する体重の増加量で表され, その値はカゼインが 2.5 であるのに対し, ホエータンパク質は 3.0 と高い. また, 吸収された窒素量に対して体内に保持された窒素量の割合を示す生物価は, カゼイン 71 に対して, ホエータンパク質は 104 と高く, ホエータンパク質の栄養的価値がカゼインよりも高いことが報告されている ( 山口 2005). チーズ製造工程で排出されるホエーは廃棄されることも多く, 現在その利用法が研究されている. 人工ほ乳に用いる代用乳は, 粗タンパク質濃度や粗脂肪濃度の割合を調整して製造されている. 海外では代用乳のタンパク質源についても研究が行われており, 脱脂乳やホエータンパク質, 大豆タンパク質などが主な原料として用いられており, 原料の違いが子牛の発育等に及ぼす影響が調べられている. Terosky et al.( 1997) はホル スタイン種の雄子牛 16 頭を用いて, 原料として脱脂乳とホエータンパク質の比率を 変えた代用乳 4 種のほ乳試験を行っている. 代用乳の原料の構成比は, 脱脂乳 : ホエータンパク質を 100: 0, 67: 33, 33: 67 および 0: 100( 粗タンパク質はそれぞれ 20.6 %, 21.2 %, 21.2 % および 20.7 %) の 4 種に設定し, 4 頭 4 区の配置で 8 週齢までほ乳し, 子牛の発育, 健康 ( 糞便スコア ) および見かけの消化率を調べているが, 代用乳原料構成比の違いによる差は見られず, 糞便スコアにも差はなかったと報告している. この試験ののち,Lammers et al.( 1998) は, 脱脂乳とホエータンパク質の比率が Terosky et al.( 1997) が用いた代用乳と同じである代用乳 4 種 ( いずれも粗タンパク質 22 %, 粗脂肪 18 %) 用いて 64 頭のホルスタイン種子牛をほ乳し, 発育成績, 血液代謝および糞便性状 ( スコア ) を調べている. 結果は, 糞便スコアに差は見られなかっが, ホエータンパク質の比率が大きい代用乳を用いた区で子牛の平均 1 日増体量が大きくなり, また, 同区において血漿グルコース濃度は子牛の体高と関係が見られた. これらのことから, Lammers et al.( 1998) は, Terosky et al.( 1997) の試験では用いた子牛が各区 4 頭であり供試頭数が少ないため, 原料構成比が子牛の 7

12 発育に影響を及ぼさないと結論付けるには困難があると指摘している. 代用乳の粗タンパク質濃度は, 子牛の発育に影響を及ぼすと考えられ,Blome et al. ( 2003) は粗タンパク質濃度を 16.1 %, 18.5 %, 22.9 % および 25.8 % の 4 段階に設定し, ホルスタイン種の雄子牛でほ乳試験を行っている.6 週齢までほ乳した子牛の増体と飼料効率は, 粗タンパク質濃度が大きくなるほど高くなり, 体長, 体高, 心臓周囲長も増加していた. このように, 代用乳の原料や粗タンパク質濃度は子牛の発育に影響を及ぼすことが示されている. 第 4 節. 子牛の免疫とほ乳に関する先行研究 1. 子牛の免疫新生子牛が母牛の初乳を介して抗体を受け取ることは,1892 年に Ehrlich が記している ( Bush and Staley 1980 ). その後,1921 年に How が詳細を解明し,1922 年に Smith と Little が, また 1925 年に Smith と Orcutt が初乳の重要性を指摘している ( Bush and Staley 1980). 免疫の主体となる IgG の含量について,Conneely et al. ( 2013) はホルスタイン種, ジャージー種, ホルスタイン種と他乳用種との交雑種等, 704 頭の乳用牛の初乳の IgG 濃度を調査しており, IgG の平均濃度は 112±51 g/l, 分布域は 13~ 256 g/l であり, サンプルの 96 % が IgG 濃度 50 g/l 以上であったと報告している. 新生子牛への抗体移行について, 海外ではホルスタイン種の子牛を用いた研究が行われている. 新生子牛は初乳を摂取して免疫グロブリンを体内に取り込むが, その取り込み量は, 初乳を摂取する際のさまざまな条件によって変化することが明らかとなっている. Stott et al.( 1979a) は, 新生子牛が初乳から十分な IgG 量を得るための初乳摂取時刻は, 生後 12 時間目が境界であり, 摂取した初乳の IgG が血中へ移行するピークは摂取後 4 時間以内であると述べている. また, 初乳の給与量と血清中の IgG 移行量を比較したところ,1 回あたりの給与量が 0.5, 1, 2 L では,2 L の場合がもっとも移行量が多く, 生後できるだけ早くに十分な量の初乳を給与すべきであると結論付けて 8

13 いる. Morin et al.( 1997) は, 初乳の質と血清 IgG 濃度の関係を調べ,IgG 含量の低い初乳は早期に多量に給与しても血清 IgG 濃度は上がらず,IgG 含量の高い初乳は給与量が増加することで血中への移行量も増加することを報告している. Davenport et al.( 2000) は, 初乳にカゼインまたはホエータンパク質を添加した場合の子牛の血漿 IgG 濃度を調べている. 初乳のみよりもホエータンパク質を添加したほうが血漿 IgG 濃度の上昇は早く, 逆にカゼインを添加した場合は, 初乳のみよりも血漿 IgG 濃度が低下すると報告している. Furman et al. ( 2011) は, 生後 30~ 60 時間の子牛の血清免疫グロブリン濃度を測定し, 濃度別 ( < 5 g/l, 5~ 10 g/l, 10~ 15 g/l, > 15 g/l) にグループ分けを行って, 疾病の発生率との関係を調べている. 免疫グロブリン濃度 10 g/l 以上の区は腸疾病が少なく,15 g/l 以上の区は呼吸器疾病が少ないと報告している. 新生子牛が初乳を摂取した後の血中の免疫グロブリン濃度と総タンパク質濃度には関係があると指摘されている.Quigley et al.( 2002) は, 生後 8 時間までに初乳代用物または初乳サプリメントを給与した子牛の生後 24 時間時点での血漿中の IgG と総タンパク質濃度を測定し, 両者には正の相関があることを示している. Fiems et al.( 1989) の研究では,50 頭のベルジアンブルー種を用いたほ乳試験において, 生後 40 日の間に 6 頭が死亡し, それら 6 頭の 10 日齢での血清 IgG 濃度は 7.06±1.89 mg/ml であり, 生き残った 44 頭の 16.90±1.13 mg/ml と比較して低く, さらに免疫獲得の判断基準とされる 10 mg/ml も下回っており, 初乳摂取による IgG 獲得の重要性を説いている. このように, 海外での乳用種子牛を用いた研究においては, 子牛への免疫グロブリンの移行に関する報告がみられるが, 出生時の体格, 体重や母牛の初乳の成分が異なる黒毛和種については, 免疫グロブリン移行に関する先行研究が少ない. また,IgA については, 腸管などの粘膜免疫を担う主体であることは知られていたが, 新生子牛が初乳から獲得する腸管の IgA 量については報告が少なく, さらに, ほ乳子牛の腸管の IgA 量が飼料原料によって変動するかについては明らかとなっていない. 9

14 2. 子牛のほ乳代用乳を用いた子牛の人工ほ乳に関する研究は, ホルスタイン種では多く行われている. 黒毛和種については, 従来の飼養管理が母子同居の自然ほ乳であり, 人工ほ乳による手法は比較的新しい技術あるため, 先行研究は少ないが, 国内各地の畜産試験場や農業共済家畜診療所等における取り組みが報告されている. 但馬牛の産地である兵庫県では, 自然哺乳において摂取量が少ない子牛へ代用乳を追加給与し, 発育改善を図る研究 ( 野田ら 2006) や,1 日あたりの代用乳の給与量とほ乳回数の違いによる発育への影響を調べた研究 ( 福島 2009), また, 人工ほ乳を行った子牛の増体量や下痢の発生率および出荷成績などを調査した研究 ( 川上ら 2004) が報告されている. 愛知県では, 人工ほ乳における代用乳の給与量の変更が子牛の発育に及ぼす影響を検討しており ( 森下ら 2004), 岡山県では, 代用乳の給与量やスタータの給与方法が子牛の発育に与える影響を調べている ( 笹尾ら 2009). これらの先行研究は, いずれも同一の代用乳における給与量や回数の検討が主であり, 粗タンパク質濃度や原料が異なる代用乳を用いて発育を比較検討した人工ほ乳試験の例は見られない. 子牛の人工ほ乳に用いる器具には, 乳首が付いているほ乳バケツ, ほ乳びん, 普通のバケツなどがあるが,Rajala and Castren( 1995) は, 乳用子牛へのほ乳方法と下痢発生の割合の関係を調査している. これらの子牛は初乳から獲得した免疫グロブリンが同量程度であったにもかかわらず, ほ乳バケツに比べて普通のバケツでほ乳された子牛のほうが下痢の発生が 3 倍多いことを報告している. ほ乳バケツで飲むことは, 自然ほ乳の形態に近く, 一口で摂取する乳量が一定であり, 子牛の唾液の分泌やほ乳期に特有の食道溝の反射を促している可能性が考えられる. 一方, 普通のバケツでは, 一口で大量の代用乳を飲みこんでしまううえ, 摂取した代用乳がスムーズに第四胃まで流れ込まずに, 誤って第一胃に流入することなどが考えられるため, 何らかの不調を起こす可能性があるのではないかと筆者は考えている. Bartlett et al.( 2006) は, ホルスタイン種の雄子牛を供試して, 粗タンパク質濃度が 14 %, 18 %, 22 % および 26 % の代用乳を用い, 給与量を毎週, 子牛の体重の 12.5 % および 17.5 % に調整した 2 つの給与パターンを設定した 2 4 区に 6 頭ずつ配置したほ乳試験を行っている. 給与量の増加にともなって, 平均 1 日増体量や飼料効 10

15 率, 血漿中の成長ホルモン ( IGF-Ⅰ ) 濃度は向上し, また, 代用乳の粗タンパク質濃度が増加すると, 平均 1 日増体量や体長, 心臓周囲長が大きくなった. 子牛の糞便は多給区で軟らかいものが増える傾向があったが, 有意差はなく, 病原性の下痢ではないと考えられると報告している. Orihashi et al.( 2012) は, ホルスタイン種の雄子牛に生後 60 日齢まで, 粗タンパク質濃度 24 % および 28 % の代用乳を,1 日あたりそれぞれ 250 g 2 回 ( 対照区 ), および 500 g 2 回 ( 増量区 ) 給与し, 増体や血液成分および血中 IGF-Ⅰ 濃度を調べている. 子牛の増体は, 生後 40 日齢までは増量区で伸び, 血中 IGF-Ⅰ 濃度も増量区で高くなったため, 代用乳の摂取量が増加することで成長ホルモンの分泌増加に伴う成長促進が起こることが示唆されている. 第 5 節. 研究目的本研究では, まず黒毛和種新生子牛が初乳から獲得する免疫グロブリンの濃度や糞便性状との関連について調査し, 新生子牛の免疫獲得状況を把握する. そして, 乳用種子牛用をベースに開発された既存の代用乳に代わる, 新たな黒毛和種子牛用の代用乳を開発するとともに, 早期に母子分離した黒毛和種子牛の腸管の免疫グロブリン量の増加を促し, 人工ほ乳により子牛を損耗なく発育させる手法を提唱することを目的とする. 本研究では, タンパク質源としてホエータンパク質を主体とした新たな代用乳を開発し, それを子牛に給与し発育成績を調べ, 子牛のスムーズな発育に適した粗タンパク質水準や給与量について検討するとともに, ホエータンパク質による子牛の腸管免疫の向上について言及した. 11

16 第 2 章出生後の黒毛和種新生子牛への免疫グロブリン G と免疫グロブリン A の移 行 第 1 節. 緒言新生子牛の健康状態は飼養管理や衛生管理の不備, 病原菌による感染など, さまざまな要因に影響される. 特に, 新生子牛は下痢, 肺炎などによる致死率が高いため, 新生子牛の栄養管理では発育の改善とともに下痢などの疾病予防が欠かせない. 出生直後の新生子牛は初乳から栄養素だけでなく, 免疫グロブリンなどの免疫物質を摂取して, 健康維持に活用している ( Blum 2006). しかし, 初乳成分は母牛の産次などによって大きく変動し, 初産牛の初乳中 IgG1 含量とタンパク質含量は経産牛よりも少ないことが報告されている (Norman et al. 1981; Devery-Pocius and Larson 1983; Kume and Tanae 1993). 母牛の初乳中に含まれている主な免疫物質は IgG1 であるが, IgA は動物の小腸粘膜を保護して病原菌や有害微生物の腸管からの侵入を防ぐため, 新生子牛の下痢予防は初乳中の IgG1 だけでなく,IgA が重要な働きをしている (Fagarasan and Honjo 2003; Mora and von Andrian 2009 ; Stelwagen et al. 2009). 乳中の IgA は乳腺の IgA 産生細胞で生産される (Nishiyama et al. 2011a) が, ケモカインレセプター CCR10 を欠損したマウスでは乳中への IgA の分泌が阻害され, 新生仔マウスの糞中 IgA 含量が減少した (Morteau et al. 2008). 動物の糞中 IgA は腸管免疫の指標として利用され ( 高木ら 2010), 著者らは, 黒毛和種子牛の糞中 IgA 含量を調査したところ, 出生直後の 2 日齢の黒毛和種新生子牛では, 糞中 IgA 含量の変動が非常に大きく, 糞中 IgA 含量が低レベルの子牛は腸管免疫機能の低下していることが危惧された (Nishiyama et al. 2011b; Yasumatsuya et al. 2012). 子牛の糞中水分含量は下痢の指標として利用され, 糞中水分含量 80 % 以下が正常糞, 85 % 以上が下痢症とみなされている (Abe et al. 1999). 黒毛和種新生子牛の下痢予防では, 初乳から IgG と IgA を十分に摂取することが必須であるが, 出生直後の黒毛和種新生子牛には母牛が直接授乳しているため,IgG と IgA の摂取量を正確に把握することは非常に困難な状況にある. 一方, 新生子牛への IgG の移行を評価するために, 12

17 出生後 24~ 48 時間の血清 IgG 濃度がよく利用されている (Quigley and Drewry 1998). そこで, 本研究では 2 日齢の黒毛和種新生子牛 62 頭の血清 IgG 濃度と糞中 IgA 含量に及ぼす母牛の産次の影響と子牛の血清 IgG 濃度, 糞中 IgA 含量と糞中水分含量間の関係について調べ, 出生直後の黒毛和種新生子牛への免疫グロブリンの移行について検討した. 第 2 節. 材料および方法本研究は, 滋賀県畜産技術振興センター ( 日野町, 日本 ), 兵庫県立農林水産技術総合センター北部農業技術センター ( 朝来市, 日本 ), 奈良県畜産技術センター ( 御杖村, 日本 ) および京都府農林水産技術センター畜産センター ( 綾部市, 日本 ) において, 各センターにおける動物実験に関する規程に従って実施した. 試験には各センターで出生した黒毛和種子牛 62 頭を供試した. 子牛は出生日を 0 日齢とし,2 日齢までは母牛の授乳だけで飼養し, 飼料と水は給与しなかった. 分娩前の母牛には日本飼養標準の繁殖牛の TDN 要求量 ( 農林水産技術会議事務局編 2001) を満たすように, 粗飼料と濃厚飼料を各センターの飼養管理法に従って給与した. 子牛の体重は出生時に測定し, 子牛の血液および糞便を 2 日齢の 13 時に採取した. 血液はプレインの真空採血管を用いて頸静脈から採取し, 糞便は直腸から直接採取した. 血液は室温に 1 時間放置後, 遠心分離 ( 3000 g, 15 分 ) し, 得られた血清は - 30 で保存した. 血清 IgG 濃度の測定では, Bovine IgG ELISA Quantitation Kit( Bethyl Laboratries, USA) を用い, 測定手順に従って処理し, マイクロプレートリーダー ( Model 550; BIO RAD,USA) で定量した. 血清中の総タンパク質, 尿素態窒素, グルコース, コレステロール, 遊離脂肪酸およびトリグリセリド濃度は, 血液自動分析装置 ( 7600 型 ; 日立, 東京 ) で測定した. 糞中の水分含量および IgA 含量は既報 (Nishiyama et al. 2011b) の方法で測定し, 糞中の IgA 含量は新鮮物当 たりで示した. 子牛の血清成分および糞中成分に及ぼす母牛の産次の影響を SAS( 1997) の GLM プロシジャーで解析するとともに, 子牛の血清成分と糞中成分間の回帰分析を SAS ( 1997) で行った. 有意差検定は Turkey-Kramer の多重比較法で行い, 有意水準は 13

18 P < 0.05 とし, また P < 0.10 で有意な傾向があるとした. 第 3 節. 結果黒毛和種子牛の生時体重, 糞中水分含量と糞中 IgA 含量には, 母牛の産次による影響は認められなかった ( 表 2-1). 初産牛から生まれた子牛の血清 IgG 濃度は 4 産以上の牛から生まれた子牛より低く (P < 0.10), また初産牛と 2 産牛から生まれた子牛の血清総タンパク質濃度は 4 産以上の牛から生まれた子牛よりも低かった (P < 0.10). また 3 産牛から生まれた子牛の血清グルコース濃度は他の産次の牛から生まれた子牛より高かった ( P < 0.05) が, 子牛の血清尿素態窒素, コレステロール, 遊離脂肪酸およびトリグリセリド濃度には母牛の産次による影響は認められなかった. 2 日齢の黒毛和種子牛の血清 IgG 濃度, 糞中 IgA 含量および糞中水分含量の平均値 ( 範囲 ) はそれぞれ 18.8 mg/ml( 2.2~ 37.8 mg/ml ), 13.8 mg/g( 0.004~ 59.3 mg/g) および 62.5 %( 32.9~ 90.1 %) であった. 黒毛和種子牛の血清 IgG 濃度と血清総タンパク質濃度間および血清 IgG 濃度と糞中水分含量間には正の相関 (P < 0.001) が認められた ( 図 2-1) が, 血清 IgG 濃度と他の血液成分 ( 尿素態窒素, グルコース, コレステロール, 遊離脂肪酸およびトリグリセリド ) 間には有意な相関関係は認められなかった. 子牛の血清 IgG 濃度 (Y IG) に対する血清総タンパク質濃度 (X SP) と糞中水分含量 ( X FW) の回帰式は, 以下の通りである. Y IG=4.03(±0.93) *** X SP- 5.49(±5.65) (R 2 =0.24, *** P < 0.001) Y IG=0.288(±0.082) *** X FW+ 0.75(±5.22) (R 2 =0.17, * * * P < 0.001) 黒毛和種子牛の糞中 IgA 含量と血清 IgG 濃度間および糞中 IgA 含量と糞中水分含量間には有意な相関関係は認められず, また糞中 IgA 含量と血清成分 ( 総タンパク質, 尿素態窒素, グルコース, コレステロール, 遊離脂肪酸およびトリグリセリド ) 間にも有意な相関関係は認められなかった. 14

19 表 2-1. 産次別の子牛の生時体重と 2 日齢の糞および血清成分 ( 最小二乗平均値 ±SE) 母牛の産次 P 頭数 生時体重 (kg) 30.0± ± ± ±1.0 NS 糞水分含量 (%) 58.4± ± ± ±2.4 NS Ig A (mg/g) 14.0± ± ± ±3.1 NS 血清 Ig G (mg /ml) 16.0±1.9 B 17.0±2.0 AB 17.6±2.9 AB 22.3±1.6 A 総タンパク質 (g/dl) 5.78±0.23 B 5.73±0.24 B 5.67±0.35 AB 6.50±0.19 A * 尿素態窒素 (mg /dl) 10.1± ± ± ±0.8 NS グルコース (mg /dl) 102±7 b 101±8 b 137±11 a 103±6 b * コレステロール (mg /dl) 58.4± ± ± ±2.1 NS 遊離脂肪酸 (μeq/l) 350±40 404±43 280±63 335±35 NS トリグリセリド (mg /dl) 30.8± ± ± ±5.1 NS P < 0.10, * P < a, b P < A, B P <

20 血清 IgG (mg/ml) 糞中 IgA (mg/g) 血清 IgG (mg/ml) 糞中 IgA (mg/g) 血清総タンパク質 (g/dl) 血清 IgG (mg/ml) 糞中水分 (%) 糞中水分 (%) 図 2-1. 生後 2 日齢の子牛の血清 IgG と血清総タンパク質および糞中 IgA の 関係と糞中水分と血清 IgG と糞中 IgA の関係 ( 糞中 IgA 含量は新鮮物当 たり.) 16

21 第 4 節. 考察初乳中には子牛の免疫機能の維持に必要な成分が豊富に含まれているが, 初乳中の免疫グロブリン含量と子牛の免疫グロブリンの吸収は出生後 24~ 36 時間で急激に低下するため ( Kruse 1983), 新生子牛の飼養管理では高品質の初乳を分娩後早期に給与することが非常に重要である (Quigley and Drewry 1998; Stelwagen et al. 2009). Nonnecke et al.( 2012) は, 初乳を給与しなかった子牛では出生後 2 日間の血清の IgG1 濃度と IgA 濃度が極度に低かったことを報告している. また出生直後のホルスタイン種子牛 46 頭の糞中平均水分含量は 64.7 % で, 下痢の発生は認められなかったものの,6 日齢になると糞中平均水分含量が 75.9 % まで上昇し, 下痢の発生が認められた (Kume and Toharmat 2001 ). 本研究では 2 日齢の黒毛和種子牛の血清 IgG と糞中 IgA は非常に変動が大きかったものの, 糞中水分含量が 90.1 % の 1 頭を除くと, 61 頭の子牛の糞中水分含量は 80 % までの正常便であり, 下痢の発生は認められなかった. また, 糞中の平均水分含量が 62.5 % と出生直後のホルスタイン種子牛と同様であったことから, 本研究で調べた 2 日齢の糞は胎便と近似していることが推察された. 新生子牛は血清 IgG 濃度が 10 mg/ml 以下になると致死率が上昇したことから, 血清 IgG 濃度が 10 mg/ml 以下の場合には子牛の免疫グロブリンの吸収は不適切であると報告されている (Quigley and Drewry 1998 ; Nonnecke et al. 2012). 本研究では血清 IgG 濃度が 10 mg/ml 以下の子牛が 8 頭いたものの, 下痢の発生は認められなかったため, 血清 IgG 濃度の変動要因を検討した. 久馬ら (1981) は 1 日齢の黒毛和種子牛の血清の免疫グロブリン濃度とタンパク質濃度は初産牛から生まれた子牛で低く, またそれらの低値には初産牛の初乳量と初乳中の免疫グロブリン含量が少ないことが影響していると報告している. 本研究でも,2 日齢の黒毛和種子牛の血清の IgG 濃度と総タンパク質濃度は初産牛から生まれた子牛で低く, また血清の IgG 濃度と総タンパク濃度間に高い正の相関が認められたことから, 初産牛から生まれた黒毛和種新生子牛は経産牛から生まれた子牛よりも IgG の吸収量が少ないと推察された. 一方, 乳牛では初乳中と血清中の IgG1 濃度は初産牛で低いものの, 初乳中と血清中の IgA 濃度は乳牛の産次に影響されなかったとの報告 (Devery-Pocius and Larson 1983) と同様に, 本研究でも黒毛和種新生子牛の糞中 IgA 含量には母牛の産次の影響 17

22 は認められなかった. さらに,2 日齢の黒毛和種子牛の血清 IgG 濃度は糞中水分含量の上昇とともに増加したが, 子牛の糞中水分含量は初乳摂取量, 初乳中の水分含量, 腸管における水の吸収などに影響される. 本研究では初産牛から生まれた子牛の血清 IgG 濃度が低く, また糞中水分含量がやや低かったものの, 糞中水分含量には母牛の産次の影響は認められなかった. また, 乳牛の分娩直後の初乳中のタンパク質含量と免疫グロブリン含量は初産牛で低いものの, 初乳中水分含量にも産次の影響は認められていない ( Kume and Tanabe 1993). このことから, 子牛の血清 IgG 濃度と糞中水分含量の関係には母牛の産次の影響があるものの, 産次以外の要因も関与していることが推察される. 子牛の IgG の吸収では,IgG 含量が高い初乳を出生後 3 時間以内に多量給与すると子牛の出生 24 時間後と 48 時間の血清 IgG 濃度は急激に上昇したが, IgG 含量が低い初乳では多量給与による効果はほとんど認められていない (Morin et al. 1997). 本研究では, 黒毛和種新生子牛の血清 IgG 濃度と糞中水分含量間に高い 相関関係が認められたことから, 子牛の血清 IgG 濃度の変動要因の一つとして子牛の水代謝の関与が示唆された. しかし, 本研究では子牛の初乳摂取量, 初乳中 IgG 含量などを調べていないため, 子牛の水代謝と IgG の吸収の関係についてはさらなる研究が必要である. 初乳中の IgA は 2 量体として分泌されるため, 腸管の消化酵素による分解を受けにくい特徴があり, 腸管内腔の抗原の捕捉や腸管壁からの抗原の侵入防止など, 腸管免疫の主要な機能を担っている (Harris et al. 2006; Stelwagen et al. 2009). しかし, 黒毛和種牛の初乳中の平均 IgG 1 含量 (123 mg/ml ) と比較すると, 平均 IgA 含量は 4.15 mg/ml と非常に低いことが報告されている ( Ishikawa et al. 1992). 本研究では低レベルの糞中 IgA 含量の子牛では初乳からの IgA の移行が不十分であったと推察されるが, 黒毛和種新生子牛の糞中 IgA 含量と血清 IgG 濃度には相関関係がなく, また糞中 IgA 含量と糞中水分含量あるいは血液成分との関係も明確でなかった. 以上の結果から, 2 日齢の黒毛和種新生子牛には低レベルの血清 IgG 濃度だけでなく, 低レベルの糞中 IgA 含量の子牛が見いだされたため, 今後は出生直後の黒毛和種新生子牛への IgG と IgA の移行を高める飼養管理法を開発することが重要といえる. 18

23 第 3 章 黒毛和種子牛へのホエータンパク質を主原料とした代用乳の給与における 粗タンパク質濃度が発育に及ぼす影響 第 1 節. 緒言近年, 黒毛和種繁殖経営において母牛の繁殖サイクルの効率化のため, 分娩後, 早期に子牛を母牛から分離することが行われている. また, 受精卵移植の普及に伴い, 乳用牛を母牛として生産される黒毛和種の子牛も増加している. これらの子牛は母牛からの授乳を受けられないため, 代用乳による人工ほ乳で育成される. 子牛にとって, ほ乳期はその後の発育を決定づける極めて重要な時期である. 特に近年, 市場での子牛の評価が大型志向に傾いていることから, 人工ほ乳期間中にいかに発育を伸ばすかが, 子牛生産現場での重要な課題となっている. 人工ほ乳における子牛の発育に影響する大きな要因として, 代用乳の性能が挙げられる. 現在, 国内で市販されている子牛用代用乳の大半は脱脂乳を主原料とするものであるが, 近年の乳製品等の輸入価格高騰に伴って脱脂乳も高騰し, 代用乳の価格も上昇傾向にある. このような背景から, 筆者は黒毛和種子牛の人工ほ乳に適し, なおかつ経済性の高い新しい代用乳の開発を進めており, そのタンパク質源として, ホエー ( 乳清 ) タンパク質に着目した. ホエータンパク質は牛乳の全タンパク質の約 20 % を占め,β-ラクトグロブリン, α -ラクトアルブミン, 免疫グロブリン等を有している. ホエーは, チーズ製造の副産物として大量に発生するが, 一部が健康食品や飼料に利用されているのみで, その多くは廃棄されている. 本研究では, ホエータンパク質を主原料とした新しい代用乳の実用化を最終目的とし, 代用乳中の適正な粗タンパク質濃度を検討した. すなわち, 粗タンパク質濃度の異なるホエータンパク質主体の代用乳を試作して黒毛和種子牛への給与試験を行い, 子牛の発育に及ぼす影響を調べた. 併せて, 子牛の健康状態, 糞便の性状, 免疫機能等についても検討した. 第 2 節. 材料および方法 1. 代用乳 19

24 実験にはホエータンパク質のみをタンパク質源として試作した 2 種類の代用乳と, 脱脂乳を主たるタンパク質源とする市販の代用乳を用いた. ホエータンパク質主体の代用乳には, 濃縮ホエータンパク質 34( 粗タンパク質 34 %: WPC34), 濃縮ホエータンパク質 80( 粗タンパク質 80 %: WPC80) およびホエーパウダー ( 粗タンパク質 16 %) をタンパク質源として用い, 油脂, ミネラル等とともに調合して, 全体の粗タンパク質 ( CP) が 26 %( CP26 区 ) または 22 %( CP22 区 ) となるように調整した. 一方, 対照区として用いた市販代用乳 ( あいミルク : 粗タンパク質 26 %; 中部飼料 ( 株 )) のタンパク質源 (78.8 %) の内訳は, 脱脂乳 :66.3 %, WPC34: 7.4 %, ホエーパウダー :3.1 %, 濃縮大豆タンパク :2 % であった. また,3 種の代用乳とも, 粗脂肪は 17 % 以上,TDN は 105 % 以上であった. 2. 供試動物本研究は, 滋賀県畜産技術振興センター ( 日野町, 日本 ) および京都府農林水産技術センター畜産センター ( 綾部市, 日本 ) において, 各センターにおける動物実験に関する規程に従って実施した. 代用乳の給与試験には,2007 年 7 月から 12 月にかけて生産された黒毛和種の子牛 39 頭 ( 雄 20 頭, 雌 19 頭 ) を用いた. 供試牛は, 生時体重および性が偏らないよう, 3 区に振り分けた. 3. 飼養 衛生管理すべての子牛に, 出生後 8 時間以内に初乳製剤 ( ヘッドスタート, バイエル製薬 ( 株 )) を 1 袋 (225 g) 給与した. 出生日を 0 日齢として 3 日齢までに母子分離し, 個体別にカーフペンまたはカーフハッチに収容した.3 日齢から 63 日齢まで各区の代用乳を午前 9 時と午後 4 時に給与し, 飲み残した場合は残量を記録した. 代用乳の給与量は, 1 日あたりの粉末量で 3~ 6 日齢 : 500 g,7~ 10 日齢 : 600 g, 11~ 15 日齢 : 800 g, 16~ 49 日齢 : 1000 g,50~ 56 日齢 : 500 g,57~ 63 日齢 : 300 g とし,6 倍量の 40 の温湯に溶解して給与した. スタータ ( マンナメイト : TDN 75 %, CP 20 %; 協同飼 料 ( 株 )) は 7 日齢から給与を開始し, 徐々に増量して, わずかに食べ残す程度の量 に調節した. また, 20 日齢から,5 cm 程度に細断したチモシー乾草を自由摂取させ 20

25 た. 水は出生直後から自由摂取とした. 感染症対策としては,3 日齢に抗菌剤 ( エクテシン液 : スルファモノメトキシン, オルメトプリム ; 明治製菓 ( 株 )) を 10 ml 経口投与し,21 日齢にワクチン ( 京都微研 牛 5 種混合生ワクチン :IBR,BVD,PI3, RS, AD7; ( 株 ) 微生物化学研究所 ) を 2ml 筋肉注射した. 4. サンプルおよびデータの採取と処理代用乳およびスタータの摂取量は毎日記録した. 糞便は性状別に正常糞 = 1, 軟糞 = 2, 水様糞 ( 下痢 ) = 3 とスコア化し, 毎日記録した. 発育の指標として, 子牛の体重を 0,7,14,21,28,42,56,63 日齢, 体高を 7,28,56 日齢に測定した. また, 血液と糞を 2,14,42 日齢の 13 時に採取した. 血液はプレインの真空採血管を用い, 頸静脈から採取した. 血液は室温に 1 時間放置後, 遠心分離 (3000 g, 15 分 ) し, 得られた血清は-30 で保存した. 血清中 IgG 濃度の測定は, BOVINE IgG ELISA QUANTITATION KIT( BETHYL 社 ) を用い, 測定手順に従って処理し, マイクロプレートリーダー (Model 550 ; BIO RAD, USA) で定量した. 血清中のコレステロール, グルコース, 尿素態窒素, トリグリセリド, 遊離脂肪酸, GOT,γ GTP, カルシウム, リンを自動分析装置 ( 日立 7600) により測定した. 糞便については, 水分含量と IgA 含量を既報 (Nishiyama et al. 2011b ) の方法で測定し, 糞中 IgA 含量は新鮮物当たりで示した. 5. 統計処理 子牛のデータは, SAS (1997) の GLM プロシジャーを用い, 最小二乗分散分析法に て分析した. モデルは次の通り設定した. Y i j k = u + T i + S j + E k + C ( i j k ) l + D m + TSij + TDim + e i j k l m 本モデルにおいて u は全平均,T i は処理の効果,S j は性の効果,E k は試験場の効果, C ( i j l k ) l は子牛配置の確率変数,D m はサンプリング日齢の効果,TSij と TDim は相互作用,e i j k l は残差である. 発育, 飼料摂取量, 血液成分および糞中の水分含量および IgA 含量の分析には分散分析を行い, 有意水準は P < 0.05 とした. 結果の数値は最少二乗平均値で示した. 21

26 糞便スコアについては, 区内におけるスコア発生頻度を調べ, 区間の比較には χ 2 検定を用いた. 第 3 節. 結果 1. 発育および飼料摂取量体重の推移は,CP26 区では対照区とほぼ同様であったが, CP22 区では 21 日齢以降, 他の 2 区に対して低く推移した ( P < 0.05). ほ乳期間中の平均 1 日増体量 ( DG) は, 対照区 0.78 kg, CP26 区 0.72 kg, CP22 区 0.71 kg で 3 区間に有意差は認められなかった. しかし, 最終週の 57~ 63 日齢においては,CP22 区が対照区よりも有意に低かった ( 図 3-1). 体高は,3 区間に差はなく, 処理による影響は見られなかった ( 表 3-1). 代用乳の摂取量は, 週ごとの総量で示したが, 全期間を通して 3 区間に有意差はみられなかった ( 図 3-2). 一方, スタータの摂取量は 35 日齢以降,CP22 区が対照区に対して有意に低い結果 (P < 0.05) となり, 56~ 60 日齢では, 対照区が他の 2 区に対し有意に高かった ( 図 3-3). 2. 糞便性状ほ乳期間中の糞便スコア 1~ 3 の発生頻度は, 全区間の平均が 1:0.6788,2:0.2559, 3: であり,3 区間に有意差は認められなかった ( 表 3-2). また, 糞中水分含量については,3 区間に有意差はなかった ( 表 3-3). 3. 血液生化学検査コレステロールは,14 および 42 日齢で対照区が他の 2 区に対して有意に高い結果となった. 一方, トリグリセリドは 14 日齢で対照区 12.6 mg/dl, CP26 区 17.4 mg/dl, CP22 区 19.8 mg/dl となり, 対照区と CP22 区で有意差が認められた. また, 42 日齢においても同じ傾向がみられ,CP22 区が対照区に比べて高くなった. 遊離脂肪酸は,42 日齢で対照区 μ Eq/l,CP22 区 μ Eq/l,CP26 区

27 μ Eq/l となり, 対照区と CP26 区間で有意差が認められた. 尿素態窒素は,14 および 42 日齢で対照区が最も高く, 両測定日とも全区間で有意差がみられた ( 表 3-4). グルコース, GOT,γ GTP, カルシウムおよびリンについては, 全測定日, 全区間で処理による影響は見られなかった. 4. 免疫グロブリン糞中の IgA 含量は 2 日齢においては,CP26 区の値が他の 2 区に対し有意に低いが, 14 日齢にはホエータンパク質を給与した 2 区が, また,42 日齢でも CP26 区が対照区に対して有意に高くなった ( 表 3-5). 血清中の IgG 濃度は,42 日齢で対照区は 7.6 mg/ml と低下したが,CP22 区は 14.1 mg/ml と高い値を維持しており, 対照区と CP22 区に有意差が認められた ( 表 3-6). 23

28 体重 (kg) CP26 区 CP22 区対照区 日齢図 3-1. 子牛の体重 表 3-1. 各処理区における子牛の体高 (cm) 日齢 CP26 区 CP22 区 対照区 S E

29 摂取量 (g/ 期間 ) 摂取量 (L/ 期間 ) CP26 区 CP22 区 対照区 日齢 図 3-2. 子牛の代用乳摂取量 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 CP26 区 CP22 区 対照区 日齢 図 3-3. 子牛のスタータ摂取量 25

30 表 3-2. 各処理区における子牛の糞便スコアの割合 CP26 区 CP22 区 対照区 平均 スコア * 確率 * : 区内の全測定記録に占める各スコアの割合. 確率 : χ 2 検定による. 表 3-3. 各処理区における子牛の糞中の水分含量 (%) 日齢 CP26 区 CP22 区 対照区 S E

31 表 3-4. 子牛の血液生化学検査の結果 日齢 CP26 区 CP22 区 対照区 S E コレステロール ( mg/dl) * * 8.8 トリグリセリド ( mg/dl) ab 19.8 b 12.6 a ab 17.4 b 11.1 a 2.3 遊離脂肪酸 ( μeq/l) b ab a 53.4 尿素態窒素 ( mg/dl) b 5.5 c 11.4 a b 7.3 c 13.1 a 0.7 *P < a, b, cp <

32 表 3-5. 各処理区における子牛の糞中 IgA 含量 (mg/g) 日齢 CP26 区 CP22 区 対照区 SE * * b 1.50 ab 0.77 a 0.34 *, a, b, c P < 表 3-6. 各処理区における子牛の血清中 IgG 濃度 (mg/ml) 日齢 CP26 区 CP22 区対照区 LSMEAN SE LSMEAN SE LSMEAN SE ab b a 1.8 LSMEAN: 最小二乗平均値. a, b P <

33 第 4 節. 考察 1. 発育および飼料摂取量代用乳中の脱脂乳とホエータンパク質の配合比についての検討は, 海外ではホルスタイン種子牛において, いくつかの報告がなされている. Terosky et al.( 1997) は粗タンパク質濃度を統一し, 原料の脱脂乳とホエータンパク質の配合比を 100: 0 または 0: 100 とした代用乳を用いて, 子牛への給与試験を実施し, 両区間の増体や飼料摂取量に差がなく, 同等の発育が得られるという結果を得ている. 本研究の結果は, 発育については, この報告と一致するが, 飼料摂取量については, 代用乳の摂取量に差はないものの, スタータの摂取量に差が認められ, ほ乳期後半においてホエータンパク質を給与した 2 区のスタータ摂取量が対照区のそれよりも低かった. この原因は明確ではないが, 第四胃内でカード形成しないホエータンパク質の特性が影響していることが推察される. 黒毛和種子牛はホルスタイン種に比べ体格が小さく, 飼料摂取量 ( 吸収量 ) が少ないため, 代用乳のタンパク質源の違いがより大きく影響した可能性が考えられる. スタータの摂取は, 離乳に向けて代用乳に替わる栄養摂取のルートであり, 摂取量の差は増体量に影響するとともに, 第一胃内絨毛の発育のためにも極めて重要とされる ( 佐野 2003). 離乳後の発育を良好に保つためにも, この点については今後十分に検討を加える必要がある. 代用乳中のタンパク質濃度について, Blome et al.( 2003) は粗タンパク質 22.9 % および 25.8 % のホエータンパク質主体の代用乳を給与し,8 週齢での体重に差がなかったことを報告している. しかし, 本試験では粗タンパク質濃度の設定がほぼ同等であったにもかかわらず,CP22 区の子牛の発育は, ほ乳期間を通じて CP26 区および対照区よりも低く推移した. 特にスタータの摂取量が大きく増加する 5 週齢以降の差が著しいことから, 発育の差にはスタータの摂取量の差も大きく関与しているものと考えられる. ただし, スタータ摂取量に差が認められない生後 2~ 4 週齢においても, CP22 区の発育は CP26 区のそれを下回っていることから, 代用乳そのものからの栄養摂取量も不足していると見られる. ホエータンパク質はカゼインに比べ生物価およびタンパク質効率が優れているとされる (McDonugh et al. 1976; 山内ら 1993) ことから, ホエータンパク質主体の代用乳においては, 低い粗タンパク質濃度で高い発 29

34 育が得られることを期待し, CP22 区を設定したが, 本実験の結果からは, 既存の粗タンパク質 26 % の脱脂乳主体の代用乳と同等の発育を得るには, ホエータンパク質を主体とした代用乳においても, 粗タンパク質濃度は少なくとも 26 % は必要であると考えられた. 2. 糞便性状ほ乳期の子牛にとって, 下痢の発生は発育を遅らせる大きな要因であり, 下痢発生の防止は極めて重要な課題である. 本試験では, 下痢を示す糞便スコア 3 の発生頻度は,5.8 %~ 7.8 % と全体に低く, 糞便スコアの各値の発生頻度や糞中水分含量 ( 14 お よび 42 日齢 ) に関しても, 試験区間に有意な差は認められなかった. しかし, ホエ ータンパク質を給与した子牛に見られた粘性を帯びた糞便性状は, 対照区には見られない独特のものであった. この糞便は水分含量においては正常範囲内であり, 軟糞とは異なるが, 粘性ゆえに肛門付近に付着しやすく, 視覚的にも正常糞と見なしにくいような違和感がある. また, 敷料の上で伸びて広がり, 通常の正常糞とは異なる様相を呈するため, 観察時に軟糞や下痢を疑いやすい. この特殊な性状の原因は明確ではないが, 代用乳のタンパク質組成の違いによるものと推察される. 本研究はホエータンパク質を主原料とした代用乳の実用化を目指すものであるが, この糞便性状は実用化段階においては, ユーザーに抵抗感を与えやすいため, タンパク質組成の再検討などにより, 改善する必要がある. 3. 血液生化学検査血液生化学検査の結果は, コレステロール, 尿素態窒素, トリグリセリド, 遊離脂肪酸の 4 項目において, 試験区間に有意差が認められた. 血清中のコレステロールは 14 および 42 日齢において, ホエータンパク質を給与した 2 区の値が対照区のそれよりも有意に低かった. ホエータンパク質には血中コレステロールを下げる作用のあることが, マウス, ラットにおいて報告されており ( Nagaoka et al. 1991; Nagaoka et al. 1992; 長岡 1996; 長岡 2002; Sautier et al. 1983), ホエータンパク質に多く含まれる β ラクトグロブリンやそのトリプシン加 30

35 水分解物質は, カゼインやそのトリプシン加水分解物質に比べ, コレステロールを低下させる作用の強いことが知られている ( 長岡 1996; 吉川ら 2006 ). その作用機序としては, コレステロールの吸収抑制による糞のステロイド移行量の増加もしくは肝臓でのコレステロールの合成抑制の二つが考えられている. 本試験のホエータンパク質給与区における血清中のコレステロール低下の機序は明らかではないが, 子牛においても, マウス, ラットと同様の機序が働いていることが推察される. コレステロールは牛の栄養状態を知るための代表的な指標とされ, 低値であるとエネルギー不足と診断される. しかし, 本試験における CP26 区の子牛は, 対照区に比べコレステロールは低かったものの, 発育には遜色がなかったことから, ホエータンパク質給与によるコレステロールの低値は, 低栄養状態を示すものではないと考えられる. 血清中の尿素態窒素は 14 および 42 日齢において対照区で高かった. 血中尿素態窒素は尿中窒素濃度と正の相関関係があるとされ ( Kohn et al. 2005), 血中尿素態窒素が高いと尿中へ排泄される窒素量が多く, 血中尿素態窒素が低いと窒素の利用効率が悪い ( 芝野ら 2009), すなわち, 摂取したタンパク質が体内へ蓄積する割合が低いと推察される. 本研究では, スタータを飽食となるよう与えているため, 代用乳とスタータを併せたタンパク質摂取量を考慮する必要がある. 対照区, CP26 区のほ乳期間中のタンパク質摂取量は,14 日齢では同程度の摂取量であったが,42 日齢においては, 対照区はスタータ摂取量が多かったためタンパク質の摂取量も多かったといえる. 一方, 両測定日とも, CP26 区の血清中尿素態窒素が低かったため, ホエータンパク質を給与した子牛のほうが体内へ蓄積した窒素の割合は高かったと推察される. このことは, スタータ摂取量が少なかった CP26 区が対照区と比して発育に差が見られなかった要因ではないかと考えられる. 血清中のトリグリセリドは,42 日齢においてホエータンパク質を給与した 2 区の値が対照区のそれより高い傾向を示した. 子牛の消化管におけるトリグリセリドの吸収は,β ラクトグロブリンの給与により高められることが報告されており( 櫛引 2002; Kushibiki et al. 2004), 本試験においても, ホエータンパク質を主体とした代用乳中のβ ラクトグロブリンの作用によって脂質の吸収が高まったものと推察される. また, トリグリセリドは加水分解により, 遊離脂肪酸とグリセロールを生成する 31

36 が ( 舟橋ら 1970; 小原 1998; 山本 1982), トリグリセリド中の低級脂肪酸の割合が高いほど分解されやすく, 遊離脂肪酸としてそのまま血中に取り込まれやすい ( 舟橋ら 1970). 牛乳や大豆由来の原料には脂質が含まれているため, 代用乳を製造するにはそれを考慮したうえで粗脂肪濃度を調整するために他の脂肪原料を使用するが, 本試験で用いた代用乳の脂肪原料として, 脱脂乳代用乳ではパーム油 : %, 中鎖脂肪酸 :0.98 %, 大豆レシチン :0.2 % を, また, ホエータンパク質主体の代用乳では CP26 区でパーム油 :23 %, CP22 区でパーム油 :23.5 % を加えている. 本試験において, ホエータンパク質を給与した 2 区の血清中の遊離脂肪酸は,42 日齢において対照区のそれより高かったが, 脂肪の主原料でありホエータンパク質主体の代用乳により高濃度で含まれるパーム油には長鎖脂肪酸が多い ( 舟橋ら 1970 ) ため, 遊離脂肪酸の上昇に関しては脂肪酸の長短以外の要因が考えられる. また, 遊離脂肪酸は, 体内でエネルギーが不足した際に体脂肪を動員することで上昇するが ( 板倉 1999 ), 今回, もっともエネルギーが不足していると考えられた CP22 区が CP26 区に比べて低値であったことから, エネルギーの過不足による可能性も低いと考えられる. したがって, 詳細な機序は不明であるが, 遊離脂肪酸の上昇にはホエータンパク質が何らかの作用を及ぼしている可能性が考えられる. 4. 免疫グロブリンホエータンパク質には免疫グロブリンが多く含まれているため, CP26 区の代用乳中の IgG および IgA の濃度は,7.61 mg/ml および mg/ml と, 対照区の脱脂乳代用乳中の濃度 ( それぞれ 0.58 mg/ml, mg/ml ) よりも高い.IgA は腸管粘膜においてさまざまな微生物や抗原を捕捉する局所免疫の中心であることから, 子牛の下痢予防に関連が深い. また,IgG は量的には免疫グロブリン全体の約 80 % を占め, 細菌 ウイルス感染に対する防御作用の中心であるが, 主に初乳を介して子牛に賦与されることから, ほ乳期間中に代用乳を介して摂取した IgG の吸収についての知見は少ない. そこで, 本研究ではホエータンパク質を給与した子牛の糞中 IgA 含量および血中 IgG 濃度の変化を調べた. 糞中 IgA 含量は,14 および 42 日齢において対照区では 1 mg/ml 以下であるが, ホ 32

37 エー代用乳を給与した区は 1 mg/ml 以上を維持し, 特に CP26 区が高かった.14 日齢でホエータンパク質給与区の糞中 IgA 含量が高かった要因としては, 脱脂乳よりホエータンパク質に含まれる IgA が多かったことに加え,IgA は乳中では 2 量体で存在し, 消化されにくいことから, 代用乳中の IgA が消化されずに腸管まで到達し, それが糞中に含まれていた可能性が考えられる. 一方, ホエータンパク質の主成分は β ラクトグロブリンであるが, カゼインに比べて β ラクトグロブリンがペプシン分解に強い抵抗性を持つこと ( 山本 1982), ならびに未消化の β ラクトグロブリンは抗体産生促進活性を有していること ( 大谷 2006; 山内ら 1993) がこれまでの研究から明らかとなっている. これらのことから,CP26 区では 42 日齢においてβ ラクトグロブリンやその加水分解物が抗体産生に関与する細胞に作用し, IgA 産生を促進して糞中の IgA 含量が増加した可能性も考えられる. ホエータンパク質の給与は, 子牛の腸管の I ga を増加させて免疫能を高め, 下痢を防ぎ, 損耗を減らす可能性が期待される. 血中 IgG 濃度は, 初乳から移行したものが生後 1~ 2 日で最高濃度に達し, それ以降 28~ 56 日齢にかけて減少する ( 久馬ら 1981; 久馬 1982). すなわち,2~ 14 日齢にかけては, 初乳製剤や母乳からの IgG がピークに達し減少していく時期であり,3 区間で差がみられなかったということは, ホエータンパク質由来の IgG は子牛の血清に移行しなかったと推察される. 一方で, 28 日齢頃から能動免疫による免疫グロブリンの産生がみられる ( 久馬ら 1981; 久馬 1982) が, 42 日齢においてホエータンパク質を給与した 2 区が対照区に比べて高値を示したことで, ホエータンパク質が子牛の能動免疫に何らかの影響を及ぼしている可能性が考えられた. 糞中の IgA 含量の上昇についての考察と同様に, ホエータンパク質中のβ ラクトグロブリンやその加水分解物によって子牛の IgG 産生が刺激されたのではないかと推察される. 肉質が重視されてきた黒毛和種の市場においても, 肉量, すなわち増体の良さが求められるようになり, ほ乳期における子牛の発育を高めることが, これまで以上に重要になっている. しかし, 一方では世界的な畜産物の高騰により, 子牛の代用乳にもより安価な新たな原料が求められている. 副産物であるホエータンパク質は, 現在, 国内で市販されている多くの牛用代用乳にさまざまな濃度で配合されているが, 本研究で用いたホエータンパク質主体の代用乳のように, タンパク質源のすべてをホエー 33

38 タンパク質由来としたものは見当たらない. 粗タンパク質濃度が既存の脱脂乳主体の代用乳と同等のホエータンパク質主体の代用乳を黒毛和種子牛に給与することにより, ほぼ同等のほ乳期発育が得られたことは, 新しい知見である. また, 血中および糞中の免疫グロブリンの増加がみられたことで, ホエータンパク質は子牛の免疫能を強化させる可能性が示唆された. 独特の粘性を帯びた糞便性状は改善すべき課題であるが, 子牛の健康状態に問題はなく, ホエータンパク質は有用な代用乳の原料となりうることが示され, 新たな代用乳の開発につながると考えられる. 34

39 第 4 章ホエータンパク質の給与が黒毛和種子牛の発育と腸管免疫グロブリン A 産 生に及ぼす影響 第 1 節. 緒言濃縮ホエータンパク質は, 脱脂乳やカゼインに比べアミノ酸組成が優れており, 代用乳だけで飼養した場合には濃縮ホエータンパク質の割合が高い代用乳ほど子牛の発育が促進した ( Lammers et al. 1998). ホエータンパク質を用いた粗タンパク質濃度の異なる 4 種類の飼料 ( 16.1 %,18.5 %,22.9 %,25.8 %) を摂取した乳用子牛では, 体内での窒素の吸収量と蓄積量が飼料中の粗タンパク質濃度に比例して高くなった ( Blome et al. 2003). また, 粗タンパク質濃度が適切な飼料を給与すると子牛の正常な発育を維持できるが, 前報では ( Nishiyama et al. 2011b) 粗タンパク質濃度が等しく 26 % のホエータンパク質主体または脱脂乳主体の代用乳を給与した場合には, 子牛の 1 日増体量は同等であった. 一方, 新生子牛の罹患率と致死率は依然として生産現場では深刻な問題となっており, とりわけ下痢の発生は発育を遅滞させ, ときには死に至らせる場合もある. 子牛の健康維持は飼養管理と栄養状態に関わるさまざまな要因に影響されるが, それに加えて下痢を防ぐためには, 子牛の免疫システムの向上が必要である. 濃縮ホエータンパク質には抗ウイルスおよび免疫調節性成分が含まれており, 濃縮ホエータンパク質を摂取することでほ乳マウスではロタウイルス由来の疾病症状が抑えられ (Wolber et al. 2005), ほ乳ラットでは出生後の粘膜の自然免疫が高まることが報告されている ( Perez-Cano et al. 2007). 新生子牛の生存と健康維持のために受動免疫は重要であり, また初乳や乳は新生子牛にとって栄養素や免疫物質の供給源である (Blum 2006). IgA は粘膜分泌液中にもっとも多量に含まれる免疫グロブリンであり, 粘膜表面からの微生物の侵入を防御している ( Fagarasan and Honjo 2003; Mora and von Andrian 2009 ). ほとんどの IgA 産生細胞はケモカインレセプター CCR10 を発現するが,CCR10 欠損マウスでは IgA 産生細胞が効率的に乳腺に集積しないため, 乳中の IgA 含量と新生仔マウスの糞中 IgA 含量は急激に減少した ( Morteau et al. 2008). さらに, 初乳の免疫グロブリン 35

40 から獲得される疾病抵抗性は一時的なため, 新生子牛では粘膜における免疫産生を発達させなければならない (Quigley and Drewry 1998 ). これまでの研究では, 妊娠中および泌乳中のマウスにホエーとβ-カロテンを給与すると, 母乳から新生仔マウスへの IgA の移行が増加したが, 新生仔マウスと新生子牛の粘膜での IgA 産生にはほとんど効果がみられなかった ( Nishiyama et al. 2011a, 2011b ). しかし, ホエータンパク質を給与した子牛では 14 日齢の糞中 IgA 含量が高かったことから, ホエータン パク質は腸管粘膜での IgA 産生を高めることが期待されている (Nishiyama et al. 2011b). 本研究では, 子牛の増体率と腸管粘膜の IgA 産生におけるホエータンパク質の役割を明らかにするために, ホエータンパク質の給与が黒毛和種子牛の 1 日増体量, 糞便性状および糞中 IgA 含量におよぼす影響を調べた. 第 2 節. 材料及び方法 1. 供試動物および供試飼料本研究は, 滋賀県畜産技術振興センター ( 日野町, 日本 ), 兵庫県立農林水産技術総合センター北部農業技術センター ( 朝来市, 日本 ), 奈良県畜産技術センター ( 御杖村, 日本 ) および京都府農林水産技術センター畜産センター ( 綾部市, 日本 ) において, 各センターにおける動物実験に関する規程に従って実施した. 給与試験には, 各センターで生まれた黒毛和種の新生子牛 63 頭 ( 雄 43 頭, 雌 20 頭 ) を用いた. 試験用の代用乳は, 脱脂乳を主体とした粗タンパク質濃度 26 % の対照区 ( 雄 14 頭, 雌 7 頭 ), ホエータンパク質と脱脂乳を混合した粗タンパク質濃度 26 % の混合区 ( 雄 14 頭, 雌 7 頭 ) およびホエータンパク質を主体とした粗タンパク質濃度 26 % のホエー区 ( 雄 15 頭, 雌 6 頭 ) を設定した. 代用乳はすべて中部飼料株式会社 ( 愛知, 日本 ) で製造したものを用いた. タンパク質源の割合と化学組成は表 4-1 に示した. 子牛は出生後に母牛から初乳を摂取させたが, 初乳中の IgA 含量は定量しなかった. 子牛は 3 日齢で母牛から分離し, 単房へ移動させた.3~ 63 日齢までを試験期間とし, 代用乳とスタータは子牛の TDN, タンパク質, ミネラルの要求量 ( 農林水産技術会議 2000) を満たすよう調節しながら給与した. 代用乳は,1 日当たりの粉末量として 3 36

41 ~ 15 日齢の間に 0.5~ 0.9 kg へ増量し,16~ 50 日齢まで 1.0~ 1.3 kg( 平均 ±SD,1.05 ±0.05 kg) を維持し,51~ 63 日齢の間に 0.25 kg へと減量した. 代用乳は 6 倍量の 40 の温湯で希釈し,1 日 2 回に分けて給与した. スタータ ( マンナメイト :TDN 75 %, CP 20 %; 協同飼料 ( 株 )) は 7 日齢から給与開始し,63 日齢まで少し食べ残す程度の量へ増量しながら給与した. 代用乳とスタータの摂取量は毎日記録し, 摂取量の平均値は週ごとに算出した. 乾草は 5 cm 程度に細断したチモシーを用い, 20 日齢から自由摂取とした. 水は出生直後から自由飲水とした. 2. 試料採取と血液分析および糞中 IgA の測定子牛の体重を 0, 7, 14, 21, 28, 42, 56 および 63 日齢で測定した. 糞便は性状別に, 正常糞 = 1, 軟糞 = 2, 水様糞 ( 下痢 )= 3 とスコア化して毎日記録し, スコアの平均値は週ごとに算出した. 血液と糞便を 2, 14, 28, 42 および 56 日齢の 13 時に採取した. 血液はプレインの真空採血管を用いて頸静脈から採取し, 室温で 1 時間放置したのち,3000 g, 15 分で遠心分離し血清を採取した. 血清中のグルコース, 総タンパク質, 遊離脂肪酸, トリグリセリド, 尿素態窒素, およびコレステロールは自動分析装置 ( 日立 7600) で測定した. 糞中の水分および IgA 含量は既報 ( Nishiyama ら 2011b) と同様に測定した. 糞中 IgA 含量は新鮮物当たりで示した. 3. 統計処理子牛の体重,1 日増体量, 飼料摂取量, 糞便スコア, 血清成分および糞中成分は, SAS (1997) の GLM プロシジャーを用い, 最小二乗分散分析法にて分析した. モデルは次の通り設定した. Y i j k = u + D i + E j + C ( i j ) k + T l + DTil + e i j k l 本モデルにおいて u は全平均,D i は処理の効果,Ej は試験場の効果,C ( i j ) k は処理と試験場の子牛配置の確率変数,T l は日齢の効果,DTil は相互作用,e i j k l は残差である. 14, 28, 42 および 56 日齢の血清および糞便のデータはこのモデルに当てはめた. また, 糞中の水分および IgA 含量と日齢 ( 2,14,28,42 および 56) の関係は,SAS (1997) の GLM プロシジャーで分析した. 37

42 分散分析を行い, 有意差検定は Turkey-Kramer の多重比較法を用いて, 有意水準 は P < 0.05 とした. 38

43 表 4-1. 代用乳のタンパク質源の割合と組成対照区 混合区 ホエー区 成分 (%) 脱脂乳 乾燥ホエー 濃縮ホエータンパク質 濃縮大豆タンパク質 組成 ( 原物ベース ) 粗タンパク質 (%) 粗脂肪 (%)

44 第 3 節. 結果子牛の体重と 1 日増体量に処理による影響はなかった. 対照区の子牛の体重は 31.2 kg( 生時 ) から 77.0 kg( 63 日齢 ) まで増加し, 1 日増体量は他の 2 区と比較してやや高い値であった ( 表 4-2). 子牛は, 給与した代用乳をほぼ飲みきっており, スタータの摂取量は 2 週齢で 41 g/ 日,6 週齢で 285 g/ 日,9 週齢では 906 g/ 日まで増加し, 処理の影響は見られなかった. 糞便スコアは全区において同程度であり, 糞中水分含量にも処理の影響は見られなかった ( 表 4-2). 2 日齢と比較して糞中水分含量は 14 日齢で増加したが (P < 0.001), 糞中 IgA 含量は 14 日齢で減少した ( P < 0.001)( 図 4-1). 糞中 IgA 含量は,14 日齢以降, ホエー区が対照区 (P < 0.001) および混合区 (P < 0.05) と比較して有意に高く, 混合区は対照区よりもやや高い値であった. 子牛の血清グルコースおよび総タンパク質濃度は, 処理の影響は見られなかった ( 表 4-3). 血清コレステロール濃度は対照区と比較してホエー区で低い傾向が見られ ( P < 0.10), 血清トリグリセリド濃度はホエー区でやや高い傾向が見られた. 28 日齢の血 清遊離脂肪酸および 14 日齢の血清尿素態窒素濃度は混合区が対照区よりも高かった ( P < 0.05). 40

45 表 4-2. 子牛の増体, スタータ摂取量, 糞便スコア, 糞中水分含量および糞中 IgA 含量 対照区混合区ホエー区 S E 処理日齢処理 日齢 P 1 日増体量 (kg/ 日 ) スタータ摂取量 (g/ 日 ) NS *** NS NS *** NS 糞便スコア NS *** NS 糞中水分含量 1 (%) NS NS NS 糞中 IgA 含量 1 (mg/g) 1.86 B 2.91 b 4.67 A,a 0.45 *** ** NS 1 : 14, 28, 42 および 56 日齢のサンプル. ***P < 0.001, ** P < A, B P < 0.001, a, b P <

46 表 , 28, 42 および 56 日齢における子牛の血液成分 対照区混合区ホエー区 S E 処理日齢処理 日齢 P グルコース (mg/dl) NS NS NS コレステロール (mg/dl) a ab 90.7 b 6.5 ** *** NS 遊離脂肪酸 (μeq/l) トリグリセリド (mg/dl) 総タンパク質 (g/dl) 尿素態窒素 (mg/dl) NS NS * * NS NS NS *** NS NS ** * ***P < 0.001, ** P < 0.01, * P < a, b P <

47 糞中 IgA (mg/g) 糞中水分 (%) 対照区 混合区 ホエー区 日齢 対照区 混合区 ホエー区 日齢 図 4-1. 子牛の糞中水分含量および糞中 IgA 含量 ( 糞中 IgA 含量は新鮮 物当たり. 糞便サンプルは 2, 14, 28, 42 および 56 日齢に採取.) 43

48 第 4 節. 考察 1. ホエータンパク質の給与が子牛の成長に与える影響濃縮ホエータンパク質は子牛の成長に有効であり (Blome et al. 2003; Lammers et al. 1998), 子牛に 1 日あたり体重の 1.75 % の飼料を給与した場合には, 子牛の赤肉 重量は粗タンパク質濃度が 26 % までは粗タンパク質濃度の増加に伴って増加した ( Bartlett et al. 2006). Terosky et al.( 1997) は,8 週齢までのホルスタイン種の子牛に粗タンパク質濃度が 20.6 % から 21.1 % で脱脂乳と濃縮ホエータンパク質の比率を変更した飼料を給与した結果, 子牛の健康状態, 発育, 見かけの消化率, 血中のグルコース, 総タンパク質, 遊離脂肪酸, トリグリセリドおよび尿素態窒素の濃度に差は見られなかったと報告している. これまでの研究 (Nishiyama et al. 2011b) や本研究の結果から, 黒毛和種の子牛にホエータンパク質を給与しても成長率や血清のグルコース, 総タンパク質, 遊離脂肪酸, トリグリセリドおよび尿素態窒素の濃度に差は見られなかった. また, ホエータンパク質を摂取した子牛では血清コレステロール濃度の低下がみられた. Nagaoka et al.( 1992) や Sautier et al.( 1983) の報告によれば, ホエータンパク質を摂取したラットでは血清コレステロール濃度が低下し, ホエータンパク質はカゼインや大豆タンパク質と比較してコレステロールを低下させる効果が大きいことが示されているため, 本研究においても子牛で同じ現象が起きていたと考えられる. 子牛の糞中水分含量は, 重度の下痢では 85 % 以上とされており, 正常な糞では 80 % 未満であると考えられている (Abe et al. 1999). 本研究では, 全区で平均の糞中水分含量は 80 % 以下であり, ホエータンパク質の給与は糞便の性状や水分含量に影響を及ぼさなかった. したがって, 粗タンパク質濃度が 26 % では, ホエータンパク質の給与は子牛の成長率や糞便性状にほとんど影響しないと考えられる. 2. ホエータンパク質の給与が子牛の粘膜での IgA 産生に与える影響 IgA は腸管微生物の抗原に特異的であり, 子牛の腸管上皮細胞からの腸管バクテリアの侵入を防いでいる ( Harris et al. 2006; Roux et al. 1977) ことから, 子牛の健康状態を正常に維持するためには, 母乳から新生子牛への IgA の移行量を高めること 44

49 が重要である. 子牛の 2 日齢の糞中 IgA 含量は比較的高いが, 本研究ではその濃度は 0.004~ 59.3 mg/g であり, 個体による差が大きかった. 糞中 IgA 含量が低いことは新生子牛が不適切な状態にあることを示しているが, 一方で糞中水分含量は大半の子牛で 80 % 以下であった. 腸管関連リンパ組織は体内における最大の免疫組織であり, 新生児の腸管粘膜の免疫産生は腸管における IgA 産生細胞数の増加に依存している ( Nishiyama et al. 2011a). 腸管の IgA 産生細胞で産生された IgA は, J 鎖と重合体 Ig 受容体として知られている膜貫通型の上皮糖タンパク質と結合後, 主に 2 量体で分泌される ( Faragasan and Honjo 2003). 本研究では, ホエータンパク質の給与で子牛の 14 日齢以降の糞中 IgA 含量が上昇したが, これは腸管粘膜における IgA 産生量の増加を意味していると考えられる. また, 脱脂乳給与と比較して, ホエータンパク質と脱脂乳の混合給与でも 14 日齢以降の子牛の糞中 IgA 含量はやや高い値であった. 濃縮ホエータンパク質は, ほ乳ラットの自然免疫と粘膜免疫の応答に関連する細胞サブセットの増殖を促進する (Perez-Cano et al. 2007). ホエータンパク質のグロブリン画分には,IgA + リンパ球に走化性をもたらす非透過性因子があることが報告されている (Czinn and Lamm 1986 ). さらに, ホエータンパク質中の β ラクトグロブリンはペプシン分解の抵抗性がカゼインよりも強く, また未消化のβ ラクトグロブリンは IgA 産生を活性化する (Takasugi et al. 2001; Wong et al. 1998). これらの結果から, ホエータンパク質の給与は子牛の腸管粘膜における IgA 産生の促進に効果的であり, その効果には β グロブリンを介した活性化によって腸管で IgA 産生細胞が増加したことが関与していると推察される. しかしながら, 新生子牛の免疫システムに対するホエータンパク質の役割を明らかにするためには, さらなる研究が必要と考えられる. 45

50 第 5 章 人工ほ乳における代用乳の給与量の変更が黒毛和種子牛の発育とスタータ 摂取量に及ぼす影響 第 1 節. 緒言黒毛和種の子牛生産において, 経営の効率化を図るためには早期に母子分離し, 母牛の繁殖機能の回復を早める必要がある. 母牛と分離された子牛は代用乳で人工ほ乳されるが, 下痢の発生が見られるなど, 改善すべき点があり, 現在も研究が進められている. また, これまで商品として流通してきた子牛用の代用乳は, そのタンパク質源が輸入の脱脂乳主体であるため, 近年の畜産物価格の高騰によって代用乳の価格も大きく値上がりし, 子牛生産農家の経営圧迫の一因となっている. そこで, 筆者は脱脂乳に代わる原料として, チーズの製造副産物であり脱脂乳より安価なホエータンパク質を用い, 新たな代用乳の開発を試みた. 子牛への給与試験の結果から, 開発したホエータンパク質主体の代用乳は従来の代用乳と給与量が同じである場合, 同様の発育が得られることが明らかとなっている. 一方, 離乳前後の子牛を扱うスモール市場においては体重に重きがおかれ, 体重の重い子牛がより高値で取引されるため, 出荷する農家は子牛の増体を伸ばすために代用乳の増量を行っている. このように代用乳を偏重し多量に給与しているため, 子牛はスタータを与えられていない, または与えられていてもその摂取量は少ないと考えられる. また, 代用乳の増量と固形飼料摂取量, および増体の関連は明らかとなっていないのが現状である. スタータ等の固形飼料の摂取は子牛の第一胃の発達を促して育成期に飼料を食い込ませるために重要であり, 離乳時には 1 日 1 kg 程度のスタータを摂取すべきである ( 福島 2006; 岡本 2009 ). また, 多量に代用乳を給与することで, 下痢を引き起こしていることも考えられるほか, 子牛の代用乳はスタータに比して単価が高いため, 代用乳の増量は子牛の発育に対する人工ほ乳のコストを引き上げているとも考えられる. そこで, 本研究では, 代用乳の給与量を増量することで黒毛和種子牛の発育やスタータ摂取量, 糞便の様子がどのように変化するかを調べ, 発育と人工ほ乳にかかるコストの関連から, ホエータンパク質主体の代用乳の適した給与量および経済性を検討 46

51 することを目的とした. 第 2 節. 材料および方法 1. 供試牛および配置本研究は, 滋賀県畜産技術振興センター ( 日野町, 日本 ), 奈良県畜産技術センター ( 御杖村, 日本 ) および京都府農林水産技術センター畜産センター ( 綾部市, 日本 ) において, 各センターにおける動物実験に関する規程に従って実施した. 給与試験には 2009 年 6~ 9 月に各センターで出生した黒毛和種子牛, 計 35 頭を供試した. 慣行区に雄 11 頭, 雌 6 頭, 増量区に雄 13 頭, 雌 5 頭を配置し, 異なる代用乳給与量を設定した. 2. 代用乳, スタータおよび乾草の給与われわれが開発した, ホエータンパク質を主なタンパク質源とする代用乳 ( 粗タンパク質 26 %, 粗脂肪 17 %) を 6 倍量の 40 の温湯で希釈し, 毎日午前 9 時および午後 4 時に給与した. 給与期間は, 両区とも 16 日齢で粉末量として 1.10 kg/ 日となるように漸増し,21 日齢からは増量区のみ 1.32 kg/ 日となるように増量した ( 表 5-1). 両区とも離乳に向けて 50 日齢から漸減し, ほ乳期間中の給与粉末総量は慣行区が kg, 増量区が kg であった. スタータペレット ( マンナメイト : TDN 75 %, CP 20 %; 協同飼料 ( 株 )) は 7 日齢から給与した. 給与量は, わずかに食べ残しが出る程度に調節しながら増量した. 乾草はチモシーを 5 cm 程度に細断して 20 日齢から飽食させ, 水は 0 日齢から自由飲水とした. 3. サンプルおよびデータ採取代用乳およびスタータの摂取量は毎日記録した. 糞便は性状別に正常糞 =1, 軟糞 = 2, 水様糞 ( 下痢 ) = 3 とスコア化し, 毎日記録した. 発育の指標として, 子牛の体重を 0,7,14,21,28,42,56,63 日齢, 体高を 7,28,56 日齢に測定した. また, 血液を 2, 14, 28, 42, 56 日齢の 13 時に採取した. 血液はプレインの真空採血管を 47

52 用いて頸静脈から採取し, 血清を 4,3,000 rpm で 15 分遠心分離し, 血中の総タ ンパク質,GOT, γ GTP, コレステロール, トリグリセリド, グルコース, 尿素態 窒素, カルシウム, リンの濃度を自動分析装置 ( 日立 7600) で測定した. 4. 統計処理データの分析には SAS( 1997) の GLM プロシジャーを用い, 結果の数値は最小二乗平均値で示した. ただし, 糞便スコアの発生割合のみ平均値で示し, エクセルのχ 2 検定を用いて分析した. 48

53 表 5-1. 子牛への代用乳粉末の給与量 (kg/ 日 / 頭 ) 日齢 3~6 7~10 11~15 16~20 21~49 50~56 57~63 慣行区 増量区

54 第 3 節. 結果 1. 飼料摂取量代用乳とスタータの摂取量をそれぞれ図 5-1 および図 5-2 に示した. ほ乳期間中の代用乳の摂取量は慣行区, 増量区でそれぞれ L, L であった.21 日齢から離乳までの各期間とも, 増量区の子牛は増量された分もほぼ完全に摂取したため, 代用乳摂取量は慣行区より有意に多くなった ( 図 5-1). スタータの総摂取量は慣行区, 増量区でそれぞれ 18,049 g, 16,235 g であり, 慣行区が多い傾向となった.4 週齢まで両区が同量程度で微増していったが, 5 週齢以降は慣行区の摂取量が大きく伸びる傾向がみられた. 離乳直前の 8 週齢では, 慣行区が 1,476 g/ 日, 増量区が 1,360 g/ 日を摂取していた ( 図 5-2). 2. 発育子牛の体重は 0 日齢が慣行区 31.2 kg, 増量区 33.3 kg であり,28 日齢まで増量区が重かったが ( P < 0.05),42 日齢以降は有意差がなくなった.63 日齢では慣行区 78.0 kg, 増量区 82.8 kg であった ( 図 5-3). 体重から算出した 1 日増体量を図 5-4 に示した. 区間の有意差はなかったが, 両区とも代用乳給与量が増加していくにしたがって大きくなり,6~ 7 週齢で一度低下したが,8 週齢で増加に転じた. 慣行区は 2 週齢で 0.87 kg/ 日, 増量区は 3 週齢で 1.00 kg/ 日まで伸びた.0~ 63 日齢までの 1 日増体量は慣行区 0.73( SE±0.07) kg/ 日, 増量区 0.79( SE±0.06) kg/ 日であった. 体高は 7,28,56 日齢でそれぞれ, 慣行区 73.9,78.2,85.4 cm, 増量区 74.4,78.9, 86.4 cm であり, 有意差はなかった. 3. 血液性状 血液生化学検査の結果を表 5-2 に示した. 全項目とも全採取日齢で両区間に差はな く, 処理の影響は認められなかった. 4. 糞便性状 50

55 糞便スコアは週ごとの平均値を図 5-5 に, また, 各スコアの期間別の発生割合を表 5-3 に示した. 週ごとの平均値は, 区間に有意差はみられなかったが, 両区とも 2 週齢ではスコア値が 1.7 まで上昇し, 慣行区は 3 週齢以降 1.6,6 週齢以降 1.4 と徐々に低下した. 増量区は 5 週齢まで 1.7 程度で横ばいであったが, 6 週齢以降は 1.3 まで大きく低下した ( 図 5-5). 各スコアの発生割合は 0~ 8 週齢までを通して算出した場合, 両区とも正常糞を示すスコア 1 が 0.60( 60 %) 程度ともっとも高く, 軟糞であるスコア 2 はおよそ 0.36( 36 %), 下痢であるスコア 3 は 0.04( 4 %) 前後であり, 区間の有意差は認められなかった. また, 糞便スコアが両区で低下する 6 週齢を境界とした,0~ 5 週齢および 6~ 8 週齢の 2 期間における各スコアの発生割合は, スコア 3 が慣行区では両期間で変わらなかったが, 増量区では 6~ 8 週齢において大幅に減少 した. また, スコア 2 は両区とも 6~ 8 週齢で減少した ( 表 5-3). 51

56 摂取量 (g/ 期間 ) 摂取量 (L/ 期間 ) 60 慣行区 * * * * 50 増量区 * 20 * 期間 ( 週齢 ) 図 5-1. 子牛の代用乳摂取量 * P < ,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 慣行区 増量区 期間 ( 週齢 ) 図 5-2. 子牛のスタータ摂取量 52

57 1 日増体量 (kg/ 日 ) 体重 (kg) * * * * * 慣行区 増量区 日齢 図 5-3. 子牛の体重 * P < 慣行区 増量区 期間 ( 週齢 ) 図 5-4. 子牛の 1 日増体量 53

58 表 5-2. 子牛の血液生化学検査の結果 ( 最小二乗平均値 ±SE) 日齢 総タンパク質慣行区 5.7 ± ± ± ± ± 0.11 ( g / dl) 増量区 5.9 ± ± ± ± ± 0.10 GOT 慣行区 58.1± ± ± ± ±3.8 4 ( I U/l ) 増量区 45.8± ± ± ± ±3.4 6 γ - GT P 慣行区 ± ± ± ± ±2.3 4 ( I U/l ) 増量区 ± ± ± ± ±2.1 1 コレステロール慣行区 75.1± ± ± ± ± 6.30 ( m g/ dl ) 増量区 73.2± ± ± ± ± 5.68 トリグリセリド慣行区 31.0± ± ± ± ±1.6 2 ( m g/ dl ) 増量区 32.0± ± ± ± ±1.4 6 グルコース慣行区 ± ± ± ± ± 3.13 ( m g/ dl ) 増量区 ± ± ± ± ± 2.82 尿素態窒素慣行区 11.2± ± ± ± ±0.5 5 ( m g/ dl ) 増量区 8.9 ± ± ± ± ±0.4 9 カルシウム慣行区 10.3± ± ± ± ± 5.28 ( m g/ dl ) 増量区 17.6± ± ± ± ±4.7 7 リン慣行区 6.6 ± ± ± ± ± 0.17 ( m g/ dl ) 増量区 7.4 ± ± ± ± ±

59 スコア 3 2 慣行区 増量区 期間 ( 週齢 ) 図 5-5. 子牛の糞便スコア 表 5-3. 子牛の糞便スコアの期間別の発生割合 週齢 慣行区 0~ ~ ~ 増量区 0~ ~ ~

60 第 4 節. 考察子牛を早期に母牛から分離し, 人工ほ乳で育てるメリットとして, 下痢の減少や第一胃の発達促進 ( 福島 2006 ) のほか, 発育の斉一性が高まることが挙げられる ( 西口と大坂 2009). しかしながら, 現場では代用乳やスタータの過剰給与による食餌性下痢が見られるため, ほ乳量と増体の関係を調べ, 下痢を防止し発育改善をはかることが重要である. 福島 (2006) は,1.5 倍量の代用乳を給与しても 2 ヶ月齢での体重に差は見られないことや, 代用乳の急激な減量 離乳は子牛にストレスを与えうるうえ, スタータの摂取が急増するため下痢になりやすいことを指摘している. 本研究では, 増量区は 1 日最大給与量として 1.2 倍の代用乳を給与したが, 離乳時 (63 日齢 ) の子牛の体重, および 0~ 63 日齢までの 1 日増体量に差はなかった. この要因として は, スタータの摂取量が挙げられる. 増量区は 21 日齢以降, 代用乳の摂取量が増加 した一方で, スタータ摂取量の伸びは慣行区に比べて緩やかであり, 総摂取量も少ない傾向であった. これは, 代用乳摂取量の増加により食欲が抑えられたためと考えられる. 子牛は固形飼料を食い込むことで第一胃の発達が促されるため ( 福島 2006 ), スタータの摂取量は離乳に向けて伸ばすべきである. 今回の結果から, 代用乳の増量はスタータ摂取を鈍らせ, また, 離乳時の体重も慣行区と同程度であったため, 代用乳は慣行法の給与量でも十分であると考えられた. ほ乳期の子牛は, 微生物による感染性下痢のほか, 消化不良などによる非感染性下痢を起こすことがある ( 小形 2009). 下痢による損耗や飼料摂取の休止は発育を遅らせる要因となるため, その予防は重要である. 本試験では, 増量区の子牛の糞便スコアはやや軟糞程度の 1.3~ 1.8 の間で推移したため, 慣行の 1.2 倍の代用乳の給与量は, 下痢を引き起こすような量ではないと考えられる. 糞便スコアを週齢別にみると, 両区ともスタータを摂取しはじめた 1 週齢から高くなり,2 週齢でピークを迎えている. その後,5 週齢までは増量区のスコアが高めであったが, この要因として代用乳の摂取量の増加が消化不良を引き起こし, 糞が軟化したことが考えられる. 逆に,6 週齢からは増量区のスコアが小さくなり, 離乳まで 1.3 程度で推移したが, これは慣行区でスタータの摂取量がより伸びたことによって糞が軟化したことが一因でないかと思われる.6 週齢以降は両区ともスコアが小さくなったが, 代用乳は 6 週齢末まで最大 56

61 量のままであり, スタータ摂取量も順調に伸びていることから,6 週齢の糞便スコアの低値化は飼料に由来する食餌性下痢の改善が要因であるとは考えにくい. 糞便スコアの推移は週の平均として算出したため, 離乳までの期間には下痢の発生も見られており, 下痢や軟糞の発生が減少すれば糞便スコアが小さくなる. 今回,6~ 8 週齢でスコアが低値化し,0~ 5 週齢,6~ 8 週齢の期間別でみた場合, スコア 3( 下痢 ) の発生割合は慣行区では変わらなかったが, 増量区では 6~ 8 週齢において大幅に減少し, また, スコア 2( 軟糞 ) は両区とも 6~ 8 週齢で減少している. 福島ら (2009) は, 成牛に比べて子牛は免疫機能が劣っており,6 週齢頃までは下痢の発生が多いと報告しているが, 本研究でもスコア 2 以上の発生は 5 週齢までで多く見られることから, 6 週齢以降のスコア低値化は, 免疫機能の発達とも関連している可能性が考えられる. しかし, この点については子牛の消化管の発達の程度が不明であり, 下痢や軟糞が感染性下痢であるかを確認していないため, 糞便の固形化に関して, 消化管発達によるものか, または免疫機能の発達によるものかは不明である. また, 下痢の発生は子牛の増体や飼料摂取を鈍らせ, 発育遅滞を招く原因となるが, 本研究では両区とも下痢 ( スコア 3) の発生は 3~ 4 % であり, 供試した子牛には目立った発育不良は見られなかった. 子牛の下痢の発生頻度と発育の関係を示すデータは見受けられないが, ほ乳期間の 4 % とは 63 日間のうち 2~ 3 日間にあたり, その程度の発生日数では発育や飼料摂取量に大きな影響はもたらさないのではないかと考えられ, ほ乳期後半に糞便スコアが高めであった慣行区でも, 代用乳の給与量やスタータ摂取量に問題はなかったと思われる. 黒毛和種の子牛の人工ほ乳は, 今後, 繁殖経営を効率化していくうえで必要な技術であり, いかに下痢等を予防し, 増体や固形飼料の摂取量を伸ばすかが重要である. 本研究において, 増量区では代用乳の 1 日最大給与量を慣行区の 1.2 倍増量したが, ほ乳期後半でのスタータ摂取量の増加は緩やかになったため, 子牛の増体は慣行区と同程度になることが明らかとなった. コスト面では, 代用乳とスタータの摂取総量を人工ほ乳にかかるコストと考え, 慣行区のコストを 1 とした場合, 増量区は 1.12 倍となり, スタータにかかる経費が少なかったことを差し引いても, 単価の高い代用乳を増量することで割高になっているといえる. また, 第一胃の発達に重要なスタータ 57

62 の摂取量も慣行区においてよく伸びていることから, 発育成績, 人工ほ乳にかかるコスト, 固形飼料の摂取量の観点から, 慣行法によるほ乳量でも十分な子牛の発育が得られることが示された. 本研究では生時体重が 30 kg を超える子牛を用いて試験を行ったが, 代用乳の給与量は子牛の血統や生時体重によっても調節すべきであり, 今後, さらなる給与試験を行って, 給与量や離乳時期の確立を図る必要がある. 58

63 第 6 章総合討論 牛は形態学的特徴から, 胎盤を介した子牛への免疫移行が行われず, 子牛は初乳を摂取することで免疫を獲得する. 本研究では, 黒毛和種新生子牛の 2 日齢の血清中 IgG 濃度および糞中 IgA 含量の濃度を測定することで子牛の免疫獲得状況を把握し, それらと母牛の産次, 子牛の血清中総タンパク質濃度および糞中水分含量との関係を調べた. 一方, 黒毛和種子牛を人工ほ乳で飼養するにあたり, 母乳の代わりに用いる代用乳の原料, 粗タンパク質濃度および給与量, さらにスタータの摂取量などが発育に影響を及ぼすと考えられる. これまで, 黒毛和種の子牛については, まとまった頭数で条件を揃えて行われた人工ほ乳に関する調査研究例は少なく, 本研究では, 代用乳の開発から給与量の検討に至るまで, 多数の子牛を用いて給与試験を行い, 子牛の発育や飼料摂取量, 糞便性状について調査し, 代用乳のタンパク質原料や最大給与量を検討し, 人工ほ乳技術の開発を試みた. 第 1 節. 黒毛和種経産牛から新生子牛への免疫グロブリン G および免疫グロブリン A の移行第 2 章の表 2-1 より,2 日齢の子牛の血清 IgG 濃度および血清総タンパク質濃度は, 4 産次以上の母牛から生まれた子牛で高かったが, 新生子牛の糞中 IgA 含量には母牛の産次による影響は見られなかった. さらに, 図 2-1 より子牛の血清 IgG 濃度と糞中 IgA 含量はばらつきが大きかったものの, 血清 IgG 濃度と糞中 IgA 含量間に相関関係は認められなかった. このことは, 血清 IgG 濃度が高い子牛の中にも糞中 IgA 含量が低い個体がいることを示しており, そのような子牛は初乳を十分摂取しても腸管免疫が不十分で, 感染症による損耗や死廃の危険性が高いことが示唆される. さらに, 血清 IgG 濃度が免疫移行不全であるとされる 10 mg/ml 未満の子牛や糞中 IgA 含量が mg/g と極端に低い子牛は感染症防御のための免疫グロブリンが不足しているため, 初乳から新生子牛への IgG および IgA の移行を高める方法を開発する必要がある. 特に, 初産や 2 産など産次の低い母牛は, 初乳の分泌量が少ないだけでなく, 病 59

64 原体に曝露される機会が経産牛よりも少ないため, 初乳中に移行する免疫グロブリン量が少ないと推測されている. したがって, 初産牛や 2 産牛から生まれた新生子牛には初乳由来の免疫成分を十分に移行させ, 下痢や肺炎等の感染症による子牛の損耗を低減させることが重要である. 初乳中の IgG は骨髄で産生され, 血管を経由して乳腺へ運ばれ,IgG 受容体を介して初乳中へ分泌されるが, 初乳中の IgA は腸管で抗原感作された IgA 産生細胞が乳腺にホーミングし, 乳腺の IgA 産生細胞から産生されて初乳中に 2 量体で分泌される. 初乳中の免疫グロブリン含量を高めるためには, 分娩前の母牛に下痢や呼吸器病のワクチンを接種し, 免疫抗体の産生を促進する手法が提唱され, IgG については妊娠中の母牛へのワクチン接種による抗体価上昇が認められている ( 笠井ら 2010). また, 黒毛和種経産牛にβ-カロテン, ビタミン A と α -トコフェロールを豊富に含有している高品質サイレージを給与することで初乳中の IgG 含量が高まる可能性が示唆されている (Wang et al. 2014) が, 黒毛和種経産牛の初乳中 IgA 含量は変動が非常に大きいものの, 初乳中 IgA と IgG 含量間には相関関係が認められなかった. さらに, 黒毛和種雌牛の初乳中 IgA 含量を高める手法は報告例が少ないが, 泌乳マウスに β -カロテンを給与すると回腸と乳腺の IgA 産生細胞が増加し, 乳中への IgA 分泌量が増加したこと (Nishiyama et al. 2011a) や, 植物エストロゲンの一つであるクメステロール給与で乳腺の IgA 産生細胞が急激に増加した (Wang et al ) ことが報告されている. このことから, 初乳中への IgA 分泌量を増加させるためには, 乳腺における IgA 産生細胞の増加が必要と考えられる. 第 2 節. 代用乳の原料, 粗タンパク質濃度および給与量が異なることによる黒毛和種子牛の発育および飼料摂取量への影響第 3 章において, 粗タンパク質濃度が同じで原料が異なる ( 脱脂乳主体またはホエータンパク質主体 ) 代用乳を同じパターンで給与した場合, 図 3-2 のとおり代用乳の摂取量に差は見られなかったが, スタータの摂取量はホエータンパク質主体の代用乳で少なくなった ( 図 3-3). ホルスタイン種子牛を用いた同様の試験ではスタータ摂取量に差は見られなかったことに対して, 本研究で差が見られたことは, 黒毛和種の子 60

65 牛の生時体重や体格がホルスタイン種よりも小さいことに起因していると推察される. 一方, ホエータンパク質を給与した子牛のスタータ摂取量が低い傾向にあっても, 図 3-1 のとおり増体に差はなかったことから, ホエータンパク質主体の代用乳は, 低いスタータ摂取量を補うように, 子牛に有効利用されていると推測され, ホエータンパク質は脱脂乳に比して有用な原料と考えられる. Hill ら (2009) は, 代用乳の粗タンパク質の濃度について, 子牛が生物学的に正常 な発育を得るには 25~ 27 % が望ましいと報告している. 国内で流通している代用乳 の粗タンパク質濃度は 24~ 26 % が多数を占め, まれに 28 % の商品も見られる. われわれは, ホエータンパク質がアミノ酸組成や生物価に優れているため, その有用性に着目して粗タンパク質 22 % の代用乳も試作し, 給与試験を行ったが, 離乳時にはスタータの摂取量が伸び悩み, 増体も低くなった ( 図 3-2 および図 3-3). これは, 原料に窒素源として優れたホエータンパク質を用いた場合でも, 絶対量として代用乳の粗タンパク質は 26 % が望ましいことを示している. また, 生後 21 日齢あたりまでは粗タンパク質 22 % の代用乳でも子牛のタンパク質摂取量として不足はなかったが, それ以 降は子牛のタンパク要求量が増加するために粗タンパク質 22 % ではタンパク質摂取 量が不足することが示唆された. 以上から, 代用乳の粗タンパク質濃度は, ホエータンパク質主体の代用乳においても他の商品と同等レベルが望ましいと考えられる. 代用乳の給与量は, 一般的に日齢とともに増量し, 1 日最大給与量は粉末重量として 1.0~ 1.2 kg 程度と設定している商品が多い. 本研究では第 5 章において, 代用乳の 1 日最大給与量を慣行区 1.10 kg/ 日であるのに対し, 増量区では 1.2 倍の 1.32 kg/ 日と設定して給与試験を行ったが, 図 5-4 のとおり子牛の増体に差はなく, 反対に, ほ乳期後半からスタータ摂取量の伸びが増量区で鈍化する ( 図 5-2) 結果となった. 代用乳の給与量と子牛の発育は, 給与量を増量すれば子牛の増体が伸びるという直線的な関係ではないことが推察される. また, スタータの摂取量を伸ばすことは子牛の第一胃の発達のために重要であることから, 最大給与量は慣行量で十分であると考えられる. 子牛の第一胃は離乳前の 3 週齢頃から揮発性脂肪酸を利用できるようになると考えられ (Martin et al. 1959), 子牛の第一胃の菌叢は 3 週齢頃から整い始めるといわれている (Anderson et al. 1987). 摂取したスタータは第一胃で分解され, そこ 61

<4D F736F F D20837A B82F08EE58CB497BF82C682B582BD91E FB82CC8B8B975E2E646F63>

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