文部科学大臣賞 : 19 名文部科学大臣新人賞 : 11 名平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨受賞者一覧部門賞名受賞者職業授賞対象演劇大臣賞とよたけ豊竹ろ呂せたゆう勢太夫ふじやまなおみ藤山直美文楽太夫俳優ほんちょうにじゅうしこう本朝廿四孝ほかの成果おもろい女

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うまじとこたに
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1 文部科学大臣賞 : 19 名文部科学大臣新人賞 : 11 名平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨受賞者一覧部門賞名受賞者職業授賞対象演劇大臣賞とよたけ豊竹ろ呂せたゆう勢太夫ふじやまなおみ藤山直美文楽太夫俳優ほんちょうにじゅうしこう本朝廿四孝ほかの成果おもろい女の成果新人賞あおい蒼井ゆう優俳優アンチゴーヌほかの成果映画大臣賞くろさわ黒澤つかもと塚本かずこ和子しんや晋也映画衣裳デザイナー映画監督俳優万引き家族の成果斬の成果新人賞やましたのぶひろ山下敦弘映画監督ハードコアの成果音楽大臣賞きねや杵屋たかはし髙橋かつしろう勝四郎すいしゅう翠秋長唄唄方胡弓演奏家第 8 回杵屋勝四郎リサイタルほかの成果こきゅうしおり胡弓の栞ほかの成果新人賞ふじくら藤倉だい大作曲家藤倉大個展ほかの成果舞踊大臣賞おの小野あやこ絢子しのはらせいいち篠原聖一バレエダンサー舞踊家眠れる森の美女ほかの成果宿命ほかの成果新人賞いのうえやすこ井上安寿子日本舞踊家なぎなたやしま長刀八島ほかの成果文学大臣賞やまお山尾よしだ吉田ゆうこ悠子しゅういち修一作家小説家飛ぶ孔雀の成果国宝の成果新人賞たにざきゆい谷崎由依小説家鏡のなかのアジアの成果美術大臣賞おざわ小沢つよし剛ないとうれい内藤礼美術家美術家不完全パラレルな美術史展ほかの成果内藤礼明るい地上にはあなたの姿が見える展の成果新人賞いしがみじゅんや石上純也建築家みずにわボタニカルガーデンビオトープ水庭の成果放送大臣賞新人賞いとう伊藤じゅん純のぎあきこ野木亜紀子プロデューサー脚本家しんにほんふどき新日本風土記の成果アンナチュラルの脚本大衆芸能芸術振興評論等大臣賞新人賞大臣賞新人賞大臣賞新人賞しょうふくていつるべ笑福亭鶴瓶落語家笑福亭鶴瓶落語会ほかの成果たけうち竹内まりやシンガーソングライター souvenir the movie ほかの成果うただ宇多田ヒカルさとう佐藤たく卓すがわらなおき菅原直樹おかざき岡﨑ふるいど古井戸シンガーソングライターグラフィックデザイナー俳優介護福祉士アルバム初恋ほかの成果デザインあ展 in TOKYO ほかの成果よみちにひはくれないほかの成果けんじろう乾二郎造形作家批評家抽象の力近代芸術の解析の成果ひでお秀夫すがわらまゆみ菅原真弓東京大学名誉教授大阪市立大学教授つるやなんぼく評伝鶴屋南北の成果つきおかよしとしでん月岡芳年伝幕末明治のはざまにの成果メディア芸術大臣賞新人賞あらき荒木ひ飛ろひこ呂彦はすぬましゅうた蓮沼執太漫画家音楽家はもん荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋ほかの成果からいんぐ蓮沼執太: ~ ing 展の成果敬称略部門内 50 音順受賞者名の下線は女性

2 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨文部科学大臣賞贈賞理由

3 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨贈賞理由一覧部門受賞者名贈賞理由文部科学大臣賞演劇豊竹呂勢太夫豊竹呂勢太夫氏は, 文楽の中で最も充実している太夫の一人である平成 30 年は本朝廿四孝 ( ほんちょうにじゅうしこう ) 勘助住家 ( かんすけすみか ) の段の後半を語り, その実力を発揮した (4 月国立文楽劇場,5 月国立劇場小劇場 ) 自ら目をえぐり武田家の軍師, 山本勘助となる豪胆な横蔵, 風格ある弟慈悲蔵 ( じひぞう ) 実は直江山城之助, 深謀の母らを時代物のスケールの大きな語りで表現さらに, 傾城恋飛脚 ( けいせいこいびきゃく ) など世話物では, 美声で情を豊かに表現桂川連理柵 ( かつらがわれんりのしがらみ ) で文楽伝統のチャリ場 ( 滑稽な場 ) の面白さを出し, 芸の幅広さも示した演劇藤山直美藤山直美氏が, 名作舞台おもろい女に新たな命を吹き込んだ演じたミスワカナは, 戦前, 戦後に人気だった上方の天才漫才師氏は, 漫才の場面などで笑いを誘う一方で, 芸のためなら妥協も許さない厳しさ, 人気の陰で抱える孤独と悲しみ, 道半ばで命を落とすラストまで, 初演より更に磨きが掛かった凄 ( すご ) みさえ感じさせる演技で, ミスワカナの人物像を鮮明に造形した正に, 氏のおもろい女を作り上げた映画黒澤和子黒澤和子氏は, 衣裳デザイナーとして, 時代劇から現代劇まで様々なジャンルの映画の登場人物にリアリティーを与え, 平成 30 年の大河ドラマ西郷どんでも映画の衣裳デザインの力を大いに発揮した国内外で評価の高かった万引き家族における衣裳は決して豪奢 ( ごうしゃ ) なものではないが, 疑似家族である登場人物各々のキャラクターに命を吹き込み, 彼らを魅力ある人物として見せることに貢献した日本の映画衣裳デザインを今後も牽引 ( けんいん ) する存在であることに疑いはない映画塚本晋也塚本晋也氏は, 一貫して脚本, 美術, 撮影, 編集, 出演を兼ねた映画作りをしているが, 制約の多い時代劇の斬, においてもそのスタイルを貫き, 映画を志す者に刺激を与え続けている一方で, 日本映画史上の時代劇に敬意を払いつつ, 人を斬ることの意味を通じ, 今までの時代劇には見られない生と死を巡る哲学的な考察に踏み込んでいるそれは正に現代社会を撃つことにほかならず, 時代を超えた塚本映画の到達点となった音楽杵屋勝四郎杵屋勝四郎氏は, 長唄唄方のトップランナーとして, 歌舞伎をはじめ, 舞踊, 演奏の各領域で確かな地歩を固めているが, 特に還暦を迎えた平成 30 年は, 突出した活躍が記憶に残る年となったリサイタルでの問答入り勧進帳 ( かんじんちょう ) ほか, 綱館 ( つなやかた ) 百千鳥娘道成寺 ( ももちどりむすめどうじょうじ ) 等では, 曲の位に応じて剛柔のバランスを巧みにコントロールし, 豊潤な世界を描き出した役者や舞踊家の身体表現を最大限に引き出し, 一体化させる演奏もまた, 氏ならではのものである音楽髙橋翠秋髙橋翠秋氏は, 胡弓の伝統の継承とともに, 新たな可能性を開く活動も積み重ねている平成 30 年は, 古典曲と現代曲, 独奏と合奏を含む意欲的なプログラム胡弓の栞 ( しおり ) によって, 胡弓の魅力を余すところなく披露した活動のジャンルは, 地歌箏曲, 歌舞伎, 舞踊などの多岐に及び, 演奏, 創作, 役者を含む後進への指導も行っている繊細で多彩な音色と豊かな表現力を追求する長年の活動は, 胡弓の普及と発展に大きく貢献しており, 評価に値する 1

4 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨贈賞理由一覧部門受賞者名贈賞理由文部科学大臣賞舞踊小野絢子小野絢子氏は, 新国立劇場バレエ団のプリンシパルであり,10 年近く名実共に同団のトップダンサーであるバレエの美を体現する端正で精確な技量は, 若い頃から高い評価を受けてきた平成 30 年は, 古典バレエを代表する眠れる森の美女白鳥の湖くるみ割り人形の 3 作品に主演して貫禄ある美しい踊りを披露し, 新制作不思議の国のアリスでも演技力を発揮して上演を成功に導いた年間を通じ, 日本バレエの頂点に位置するダンサーとして存在感を発揮し続けたことは賞賛に値する舞踊篠原聖一篠原聖一氏は, 首都圏のみならず各地のバレエ団, スタジオで作品を精力的に発表, 幅広い世代のダンサーたちに上質な作品へ出演する機会を与え, 日本バレエ界に多大な影響を与えてきた平成 30 年の作品宿命では, 時代のうねりの中で生きる人間の姿を緻密な構成でドラマティックに描き出し, ダンス音楽美術からなる総合芸術としてのバレエの本質を捉えたとりわけ時代が大きく転換していくときのエネルギーを描き出した群舞は圧巻であった特定のカンパニーではなく, 本作のために集結したダンサー 40 数名により, スケールの大きな舞台を作り上げたことも賞賛に値する文学山尾悠子いずことも知れぬ土地に起こる, ありえない事柄が, 極当たり前の出来事であるかのように綴 ( つづ ) られていく虚構の時空のただ中に投げ込まれた読者は, しばし方向感覚を失いかねないだが, その驚きはたちまち, 確かな文学的体験に転じていく山尾悠子氏の静謐 ( せいひつ ) にして精緻な文章が, 奔放な想像をしっかりと支え, ことばのみによって全てを生み出そうとする潔い在り方が深い愉悦を生む鏡花以来の日本幻想文学の水脈を受け継ぐ傑作の誕生だ文学吉田修一国宝は, 作家生活 20 周年を迎えた吉田修一氏が歌舞伎の世界に挑んだ大作である任侠 ( にんきょう ) の家に生まれた少年は関西歌舞伎の名門の芸養子となり, 人気の女形として芸道を邁進 ( まいしん ) してゆく高度経済成長期から現在への世相を背景にし, さらに, 菅原伝授手習鑑 ( すがわらでんじゅてならいかがみ ) 隅田川阿古屋 ( あこや ) などの演目を絶妙に反映させながらドラマが展開されるございますおりましたといった柔軟な語り口も豊かな物語性を醸し出している美術小沢剛小沢剛氏は,1980 年代末以降, 参加型アートの先駆的な活動で注目され, 既存の歴史観や制度, とりわけ日本の近代美術史や教育制度に対する批判的な視点をユーモラスに作品化してきた近年では, 広く世界, 中でもアジアにおける日本の歴史的立ち位置を再検証しており, 千葉市美術館の不完全 - パラレルな美術史展や東京藝術大学陳列館で見せたまた帰って来たペインター F はその活動が凝縮され, かつ発展した秀逸な展示であった国際展への参加歴も極めて多く, 今後の成熟した活動が更に期待される美術内藤礼内藤礼氏の水戸芸術館での展覧会明るい地上にはあなたの姿が見えるは, 氏にとって過去最大規模の個展となったギャラリー全体が一つのインスタレーションとなり, 天井から吊 ( つる ) された糸やビーズ, 絵画, ひと形の小さな木彫を繊細に配置し, 自然光のみで見せた優美な光に満たされた静謐 ( せいひつ ) な空間の中で, 自らの存在と向き合う時間を観客は享受したことだろうひそやかではあるが, 強靭 ( きょうじん ) な作品は, 地上に存在することは, それ自体, 祝福であるのかという作家の根源的なテーマを追究するものであり, その高い完成度と相まって, 際立った達成を示した 2

5 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨贈賞理由一覧部門受賞者名贈賞理由文部科学大臣賞放送伊藤純伊藤純氏は, 長年, 歴史, 文化, 自然科学など, 多岐にわたるテーマで数多くの秀作ドキュメンタリーを制作氏のライフワークとも言える新日本風土記は, 平成 30 年で 250 回の放送に及ぶ美しい映像でつづる日本各地の原風景, そこに暮らす人々の姿, 今も伝わる風習は, 改めて日本人としての誇りを実感させられる平成 30 年は, 明治維新から 150 年に当たり, 明治維新への旅や古事記への旅など, 従来の地域ものにとどまらず, 企画の幅も広がった番組の新しい可能性を期待させた大衆芸能笑福亭鶴瓶テレビにおける巧みな話術, 映画ドラマでの個性を全面に出した演技でも異彩を放つ笑福亭鶴瓶氏らしいトーク鶴瓶噺 ( つるべばなし ) で会場との一体感を作り, 創作の山名屋浦里 ( やまなやうらざと ), 人情までも大阪風に描き直した妾馬 ( めかうま ), 講談ネタ徂徠豆腐 ( そらいどうふ ) などに, 笑福亭の家の芸である古典落語を交えるなどした構成で, 全国 9 か所 15 公演を開催したまた, 他の落語会へも積極的に出演し, 笑いだけにとどまらない人情味あふれる落語の世界へ誘った大衆芸能竹内まりや平成 30 年にデビュー 40 周年を迎えた竹内まりや氏は, souvenir the movie ~ MARIYA TAKEUCHI Theater Live~ において自らの足跡を振り返ると同時に, これまで 3 度実施してきた公演記録から代表作を映像化した親しみやすいメロディーと普遍性に富んだ歌詞が物語る作詞, 作曲家としての才能や, その実績, 表現豊かで説得力あふれる歌手として存在感を印象付けるとともに, 今後の活動に対する意欲的な姿勢をうかがわせるものだった芸術振興佐藤卓人間は, 石器時代以降, 多くのモノを人間の行動や感情の欲求に応じて生み出してきたそして, そのモノを使い, 生活に取り込むことにより, 自身の思考や価値観をも変化させてきた現代の私たちの生活の中に大きく入り込んできている情報の道具は, 他者に対する意識, 感情をも急激に変化させてきているそのような激変するこの時代に人間の根本的な想像する力はどこにあるのか, それは一体何なのかを佐藤卓氏は追い求め続けているモノに支配される前にモノを生み出す原理を見失わない自分たちであるための活動は, 未来にとってとても大切な示唆を提示している評論等岡﨑乾二郎 20 世紀前半の抽象芸術を対象に, 既存の美術史的な様式や流派といった後付けの範疇 ( はんちゅう ) によって定義されるのではない, 芸術家の制作現場に働いていた技術と方法の特異性を生み出し, その特異な方法論を発想, 選択し, 統御するときに構成される思想に注目した岡﨑乾二郎氏は, それを設計思想と呼ぶ氏の意欲作抽象の力は, 抽象芸術をこの設計思想から捉え直すことによって, 今まで語られなかった美術史美術批評への接近を試みようとする果敢な挑戦であり, その優れた成果である評論等古井戸秀夫歌舞伎研究を長年重ねてきた古井戸秀夫氏の集大成である狂言作者の活動の復元は, 文学と異なり, 上演ごとに変化する台本を手掛かりとするほかなく, 大きな困難を抱えるまして, 映像記録のない時代の舞台芸術である氏は, 鶴屋南北の台本を徹底的に読み込むことでこの難題に挑み, 歌舞伎を中心に展開する江戸の文芸世界を見事に描き出した加えて, 現代では演じられなくなった歌舞伎や舞踊の復活に精力的に取り組んできたことも評価に価する 3

6 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨贈賞理由一覧部門受賞者名贈賞理由文部科学大臣賞メディア芸術荒木飛呂彦いつの時代にも, 芸術が社会に伝えてくれるのは異を以って尊しとなすことである私は私であり, 決して何か他の者と同じと見なすことはできない荒木飛呂彦氏が,30 年にわたって描き続けてきたジョジョの奇妙な冒険を通して感じられるのは, そうした個の大切さと, 違いを乗り越えて互いに尊重する姿勢である平成 30 年に東京と大阪で開催された大規模な原画展では, ジャンルやメディアの違いを超えた表現者としての普遍性を, 広く社会に提示, 共有した 4

7 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨文部科学大臣新人賞贈賞理由

8 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨贈賞理由一覧部門受賞者名贈賞理由文部科学大臣新人賞演劇蒼井優蒼井優氏は, 平成 30 年の二つの舞台で女優の幅を一段と広げたアンチゴーヌ ( ジャンアヌイ作 ) の氏は, 孤独な少女から, 狂気を体現する女性へ一足飛びに成長する王クレオンとの苛烈 ( かれつ ) な対決の場の, 一歩も引かぬ彼女の姿には凄 ( すご ) みさえ感じられたまた, 恋愛と階級社会を巧みにリンクさせたスカイライト ( デイヴィッドヘア作 ) では, 自立の誇りと孤立の痛みに揺れる現代女性の心の襞 ( ひだ ) を丁寧に, また鮮やかに浮かび上がらせた映画山下敦弘山下敦弘氏は, どんてん生活ばかのハコ船等, 初期の作品から, 既に社会とも身近な世界ともうまくかみ合わずに生きる人間を主人公に, 新しいリアリズムの地平を開き, 注目されてきた平成 30 年には,1990 年代に連載された漫画を原作とするハードコアで, 初期以来のテーマを痛快な娯楽性とともに打ち出す新境地に進んだ氏のますますの活躍が期待される音楽藤倉大演奏家との密接なコラボレーションを, 対面で, あるいはネットを通じて行い, 一作一作を丹念に練り上げながら, 多彩で多作な創作活動を続けている藤倉大氏は, 日本にとどまらないグローバルな領域で現代音楽の新たな聴衆を獲得している稀有 ( けう ) の存在である日本初演されたオペラソラリスこそ評価が分かれたが, 着想に富み, 斬新な響きを湛 ( たた ) え, 技術的にも高度ながら, 過度に格式高くない芸術音楽の在り方は, 個展での作品群全てで顕著に示された舞踊井上安寿子井上安寿子氏は, 京舞井上流の後継者として, 曽祖母の井上愛子氏 ( 四世井上八千代 ), 母の五世井上八千代氏の薫陶 ( くんとう ) を受け順調に成長清新さと, この世代では卓越したテクニックで早くから頭角を現していた流儀の代表曲長刀八島 ( なぎなたやしま ) では力強さを内に秘め, 迫力と緊張感のある舞台を創造平成 25 年から継続している自主公演葉々 ( ようよう ) の会でも流儀で大切に扱われているもさ順禮 ( じゅんれい ) を丁寧かつダイナミックに, 大らかに勤め, 著しい進境を示した将来の日本舞踊界のリーダーの一人となる大器を感じさせる文学谷崎由依アジアの異境を旅する語り手は, その土地の魅力に感応しながらも, 母国語や自意識の自明性に揺さぶりを掛けられる現実とは交わらないはずの平行世界に迷い込んだ者が味わうであろう浮遊感がリアルに再現されてもいる谷崎由依氏の紀行文であり, ファンタジーでもある独特のスタイルは, 読む麻薬のような効能を読者にもたらすが, それ以上に, 悪夢としての現実とは別の平行世界を出現させる小説家本来の仕事を思い出させてくれる氏の今後の活躍が期待される美術石上純也森の中の一風景に見える水庭は, 極めて人工的な作品であるもともとここは何もない平地だった全てに先立って, 石上純也氏のイメージに立ち現れたもの, それを建築的な手法を駆使して, 誰も見たことのない風景へと導いたこんな風景は自然の中には存在しないだから, 少しでも人が手を緩めると崩壊してしまうフィクションであり, その蜻蛉 ( かげろう ) のような儚 ( はかな ) さが人を引き付ける危うい姿勢でつま先立ちをして語り掛ける静寂自然とは何か人とは何かそれは, 精神の深奥に語り掛ける美しい逆説である 1

9 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨贈賞理由一覧部門受賞者名贈賞理由文部科学大臣新人賞放送野木亜紀子野木亜紀子氏は, ドラマアンナチュラルにおいて, 架空の不自然死究明研究所 (UDI) を舞台に, 不条理な死に立ち向かう法医解剖医を主人公としながら, 単なる謎解きのサスペンスドラマとは一線を画し, 遺 ( のこ ) された者たちがいかに生き続けるかを問い掛けた自殺系サイトや長時間労働, いじめ等の今日的な問題を織り交ぜつつ, 解剖医たち自身が生きるとは何かという根源的な問いに向き合うプロセスを, 卓抜な構成力により描き切った氏の手腕が高く評価された大衆芸能宇多田ヒカル宇多田ヒカル氏は, 驚異的なベストセラーを記録したデビュー作の First Love 以来, 作詞, 作曲だけでなく, 編曲, 制作にも意欲的に取り組んできたアルバム初恋では, 音楽面での創作意欲とともに, 前作の Fantôme 以来の日本語による内省表現や現代社会への視線を反映した歌詞世界, 歌唱においても独自の個性を発揮したまた, 制作者としてもアーティストのプロデュースを手掛けて成果を収めており, 氏の今後の活躍を大いに期待させる芸術振興菅原直樹菅原直樹氏は, 老人介護の現場に演劇の知恵を, 演劇の現場に老人介護の深みをという理念の下, 高齢者社会の課題に演劇で取り組む演出家, 俳優, 劇作家, 介護福祉士である演劇と介護という異なる領域での専門的経験を生かした研究と実践から独自の手法を開発し, 両分野で成果を挙げている介護者の負担軽減や高齢者の生きがいに繋がるワークショップや, よみちにひはくれないなどの介護の問題を取り扱った演劇作品の創作は, 創造性により問題を解決する方法として多方面から高い関心を集めており, 新領域の開拓及び今後の高い可能性を期待させる評論等菅原真弓菅原真弓氏の月岡芳年伝幕末明治のはざまには, 血塗られた凄惨 ( せいさん ) な表現ばかりが注目され, 偏ったイメージで語られてきた幕末明治期の浮世絵師, 月岡芳年を, 手堅い実証的な美術史研究の沃野 ( よくや ) に放ち, 変転する時代の諸相をリアルに映した浮世の画家であることを明らかにした労作である本書に凝集する丁寧な考察の加えられた江戸から明治の画像や文献類は, 芳年研究はもちろん, 世相やメディア研究など広い分野においても今後, 大いに参照されていくことだろうメディア芸術蓮沼執太蓮沼執太氏は, 抽象的な電子音楽やポップミュージックで知られ, 音と音楽を介して文学, 舞踏, 映画, ファッションなど多くのジャンルで協働する近年, 氏は, 年に 1,2 回の個展を開いており, 平成 30 年の個展 ~ ing( からいんぐ ) は, ~ は関係性を, ing は現在進行形を意味し, 観客が音を発見する参加型インスタレーションを中心に, フィールドワークを駆使して, 音の繋 ( つな ) がりや差異を都市や個人の現象としてリアルかつ詩的に表現した複雑な現代をポジティブに変革期と捉えて実践する, 期待すべきマルチなクリエーターである 2

10 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨選考経過

11 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨選考経過一覧部門演劇選考経過演劇部門では, 選考審査員及び推薦委員から, 文部科学大臣賞候補者として 12 名, 文部科学大臣新人賞候補者として 16 名の推薦があり, 伝統芸能から現代演劇の劇作家, 演出家, 俳優まで幅広い候補が並んだ第一次選考審査会では活発な議論が交わされ, その結果, 文部科学大臣賞は伝統芸能分野 2 名を含む 5 名に, 文部科学大臣新人賞は伝統芸能分野 2 名を含む 6 名に候補者を絞り込んだ第二次選考審査会では, 候補者の業績について様々な角度から議論が重ねられたまず, 文部科学大臣賞では, 本朝廿四孝 ( ほんちょうにじゅうしこう ) 勘助住家 ( かんすけすみか ) の段でスケールの大きな時代物の世界を存分に語りその力量を示すなど, 充実した活躍を見せた文楽太夫の豊竹呂勢太夫氏を選出現代演劇からは, 病気による療養から復帰した舞台おもろい女で, 以前にも劣らぬ演技の力量, 役者としての存在感を発揮した藤山直美氏を選出した文部科学大臣新人賞は, その実績と将来性をどのように評価するかの討議となり,2 名の候補に絞り込まれ長い白熱の論議が交わされたその結果, アンチゴーヌで凄 ( すご ) みある演技を見せるなど舞台俳優としての著しい成長が評価された蒼井優氏を選定した映画映画部門では, 選考審査員及び推薦委員から, 文部科学大臣賞候補者として 10 名, 文部科学大臣新人賞候補者として 11 名の推薦があった第一次選考審査会では, 各賞に挙げられた全ての候補者について, 選考審査員が自ら推薦する候補者の業績推薦理由を述べ, 推薦委員の挙げる候補者についても, その業績及び推薦理由を確認したそれらに基づいて, 選考審査員の間で活発な議論が繰り広げられた結果, 文部科学大臣賞は 5 名に, 文部科学大臣新人賞は 7 名の候補者に絞り込まれた第二次選考審査会では, 候補者の業績と評価の対象となった各作品について, 更に多様な視点からの議論が行われたその結果, 文部科学大臣賞には, 長年にわたり映画衣裳の分野で優れた実績を上げ, とりわけ万引き家族での成果が秀逸であると認められる衣裳デザイナーの黒澤和子氏と, 常に高度な作家性を保ちながら独自の映画製作を続けて世界にもその名を知られ, 今回は初の時代劇斬, に挑戦した映画監督の塚本晋也氏を選出した文部科学大臣新人賞には, ハードコアで新境地を開いた映画監督の山下敦弘氏を選出した音楽音楽部門では, 選考審査員及び推薦委員から, 文部科学大臣賞候補者として 11 名, 文部科学大臣新人賞候補者として 11 名の推薦があった第一次選考審査会では, それぞれの候補者について, 提出された業績や推薦理由等を踏まえ, 選考審査員の推薦候補については説明を聞き, 推薦委員の候補に関しては推薦書類を精査した上で慎重な議論を行い, 文部科学大臣賞は 6 名に, 文部科学大臣新人賞は 3 名に候補者を絞り込んだ第二次選考審査会では, 文部科学大臣賞候補及び文部科学大臣新人賞候補について, 第一次選考審査会後に, 各選考委員が確認した情報も加えて, 更に検討を重ね, 白熱した議論を経て, それぞれの受賞者を決定したその結果, 文部科学大臣賞に第 8 回杵屋勝四郎リサイタルほかの成果により杵屋勝四郎氏, 及び胡弓の栞ほかの成果により髙橋翠秋氏を選定し, 文部科学大臣新人賞には藤倉大個展ほかの成果により藤倉大氏を選定したいずれも平成 30 年の卓越した成果が高い評価を受けたもので, 最終的に選考委員全員の満場一致による選定である舞踊舞踊部門では, 選考審査員及び推薦委員から, 文部科学大臣賞候補者として 12 名, 文部科学大臣新人賞候補者として 11 名の推薦があった第一次選考審査会の結果, 文部科学大臣賞は 5 名に, 文部科学大臣新人賞は 4 名に候補者を絞り込んだ第二次選考審査会では, 活発な議論が交わされた結果, 文部科学大臣賞は, 洋舞系分野の 3 名に集約されたその中で, 小野絢子氏の眠れる森の美女をはじめとする年間を通じての舞台成果, また, 篠原聖一氏の宿命をはじめとする国内各地における活動が, 選考審査員の多数から高い評価を得て, 平成 30 年は, バレエ界で活躍する 2 氏の受賞となったまた, 文部科学大臣新人賞には, 井上安寿子氏が, 国立文楽劇場主催公演における地歌 ( じうた ) 長刀八島 ( なぎなたやしま ) と自身の会のもさ順禮 ( じゅんれい ) ほかの成果において評価する意見が多く集まり選考され, 今後一層の活躍に期待する声も多く寄せられた 1

12 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨選考経過一覧部門文学選考経過文学部門では, 選考審査員及び推薦委員から, 文部科学大臣賞候補者として 15 名, 文部科学大臣新人賞候補者として 14 名の推薦があった第一次選考審査会において慎重審議の結果, 文部科学大臣賞は 5 名 ( 作家小説家 4 名, 歌人 1 名 ), 文部科学大臣新人賞は 7 名 ( 作家小説家 4 名, 歌人俳人詩人各 1 名 ) に候補者を絞り込んだ第二次選考審査会では, まず文部科学大臣賞候補者 5 名の, 今回審査対象となった作品について活発な議論が行われ, 火が燃えにくくなった世界という綺想 ( きそう ) を出発点に据え, 緻密な非現実的イメージを次々に繰り出して読者を幻惑してやまない山尾悠子氏の飛ぶ孔雀, 及び戦後の激動期を背景に, 歌舞伎と任侠 ( にんきょう ) という二つの世界のはざまに立つ美貌の主人公の運命を興趣 ( きょうしゅ ) 豊かに語りきった吉田修一氏の国宝の 2 編の長編小説への贈賞がふさわしいという結論を得た続いて, 文部科学大臣新人賞候補者 7 名についての審議に移り, ここでも白熱した議論が展開されたその結果, アジアの様々な土地をモチーフとした幻想譚 ( たん ) を, 音感豊かな文体で物語った谷崎由依氏の短編小説集鏡のなかのアジアへの贈賞が決まった美術美術部門では, 選考審査員及び推薦委員から, 文部科学大臣賞候補者として 17 名, 文部科学大臣新人賞候補者として 18 名の推薦があった第一次選考審査会では, 全ての候補者について総合的に検討を行い, 文部科学大臣賞は 6 名に, 文部科学大臣賞新人賞は 5 名に候補者が絞り込まれた第二次選考審査会では, 美術部門の多様性や賞の性格にも意を払いながら, 更に議論を重ね, 贈賞を決定した文部科学大臣賞の両氏は, いずれも内外で実績を積み重ねてきた現代美術作家で, それぞれ公立美術館で開催した集大成的な個展を主な対象とした内藤礼氏の過去最大規模の個展は, 地上にあることは祝福であるかというテーマを, 自然光のみによる静謐 ( せいひつ ) な展示が浮かび上がらせていた小沢剛氏の個展は, 近代日本美術史という作家本来の主題に対し, アカデミックな美術教育を素材に, 大胆かつユーモラスに切り込んだものであったまた, 文部科学大臣新人賞の石上純也氏は, アートとの中間領域に建築の極限を追求してきた作家であり, 湿潤な日本の自然を見事に表象しながら, 一方で, 自然には存在しえない景観を現出させる受賞作は, 氏の代表作となるべきものと判断した放送放送部門では, 選考審査員及び推薦委員から, 文部科学大臣賞候補者として 16 名, 文部科学大臣新人賞候補者として 11 名の推薦があった第一次選考審査会では, 双方に推薦された 2 名をどう扱うかも含め, 予定の時間を超過するほどの白熱した論議が繰り広げられたその結果, 文部科学大臣賞は 9 名に, 文部科学大臣新人賞は 5 名に候補者が絞り込まれた第二次選考審査会では, 長時間の議論を経て, テレビプロデューサーの伊藤純氏が文部科学大臣賞に選考された氏は, ディレクター時代に戦争などをテーマにした優れたドキュメンタリーを作り, プロデューサーに転じてからも第一線で番組を作り続けている中でも, 平成 23 年に始まった新日本風土記は全国各地の伝統文化や歴史的風土, 人々の営み, 暮らしを丁寧に記録し, 平成版の新日本紀行と高く評価されたまた, ドラマまで手がける多彩な活躍ぶりも賞にふさわしいと判断した文部科学大臣新人賞は満場一致で, 連続ドラマアンナチュラルの脚本を書いた野木亜紀子氏に決まった社会派エンターテインメント作品の新しい担い手として, 氏の今後の活躍が大いに期待される大衆芸能大衆芸能部門では, 選考審査員及び推薦委員から, 文部科学大臣賞候補者として漫談家, 落語家, 浪曲師, 歌手など 12 名, 文部科学大臣新人賞候補者として歌手, 漫才師, 落語家, 講談師, タレント, 作編曲者など 12 名の推薦があった第一次選考審査会の結果, 文部科学大臣賞は 7 名に, 文部科学大臣新人賞は 3 名に候補者を絞り込んだ第二次選考審査会では, 文部科学大臣賞の選考において, シンガーソングライターの竹内まりや氏の映画 souvenir the movie~mariya TAKEUCHI Theater Live~ への評価が高く, 本審査会をリードしたその中で, 映画で描かれているライブが過去の素材であることが平成 30 年の活躍に合致するかという問題提起がなされたが,CD のリリースや,40 年にわたり第一線で活躍し続ける氏の功績から, 受賞にふさわしいとの意見に集約された演芸関係では, 本業以外にも俳優, タレントとして国民的人気の落語家, 笑福亭鶴瓶氏の落語会が評価され, 大多数の評価を獲得したまた, 文部科学大臣新人賞には, アルバム初恋などの成果で, シンガーソングライターの宇多田ヒカル氏のサウンドメーカーとしての力量が高く評価され選出された 2

13 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨選考経過一覧部門芸術振興選考経過芸術振興部門では, 選考審査員及び推薦委員から, 文部科学大臣賞候補者として 11 名, 文部科学大臣新人賞候補者として 7 名が推薦された審査においては, 表現領域にこだわることなく芸術への認識, 理解, 関心をより社会に広めていくこと, そして振興していく中でも芸術の本来の理念を見失うことなく, かつ経年することにより付きまとってしまう先入観を解体し, 新たな道を切り開いていく活動をしている候補者に注目した第一次選考審査会の結果, 文部科学大臣賞は 4 名に, 文部科学大臣新人賞は 4 名に候補者が絞り込まれた第二次選考審査会では, 個人としての主観的な視点と社会の中での客観的な視点の双方を持ち得るとの観点から, 慎重に検討を重ねた結果, 文部科学大臣賞にはデザインあ展 in TOKYO ほかの成果において, デザインをベースとした幼児教育や音楽映像への広がりのある取組を行っている佐藤卓氏が選出されたまた, 文部科学大臣新人賞には, よみちにひはくれないほかの成果において, 演劇と介護という異なる領域での専門的経験を生かした研究と実践から独自の手法を開発している点で評価を集めた菅原直樹氏が選出された評論等評論等部門では, 選考審査員及び推薦委員から, 文部科学大臣賞候補者として 21 名, 文部科学大臣新人賞候補者として 15 名の推薦があった第一次選考審査会の結果, 領域横断的な著作が幾つかあったが, 文部科学大臣賞は 7 名 ( 文学 1, 演劇 2, 音楽 1, 美術 3) に, 文部科学大臣新人賞は 8 名 ( 美学 1, 映画 1, 音楽 2, 民俗学 1, 文学 1, 美術 2) に候補者が絞り込まれた第二次選考審査会では, 文部科学大臣賞は, まず長年の歌舞伎研究の集大成である評伝鶴屋南北の古井戸秀夫氏が満場一致で決まったあと一人の選考は議論となったが, 抽象の力を書いた岡﨑乾二郎氏の造形作家であり評論家でもあるという独自の立場からの発言により, 既存の美術評論とは異なる地平を開いてきたことが評価された文部科学大臣新人賞は, 将来性を買うのか, それとも一定の研究成果が示された点を評価するのかで意見が分かれ, 議論を交わした最終的には, 幕末から明治の激動期に生きた画家を資料に基づき堅実に見通し, 現代における再評価をも論じた月岡芳年伝の菅原真弓氏が選ばれたメディア芸術メディア芸術部門では, 選考審査員及び推薦委員から, 文部科学大臣賞候補者として 10 名, 文部科学大臣新人賞候補者として 8 名の推薦があったメディア芸術部門は,ICT( 情報通信技術 ) 等に基づいて展開される狭義のメディア芸術のほか, 漫画, アニメーション, ゲームデザイン等, 性格の異なる多領域を含む選考審査員にとって, 各自の専門以外については判断が難しく, 部門の枠組みの在り方にまで論議が及ぶ場面が再三あったその中で, 口頭説明や各種資料の点検を基に, 慎重に質疑, 討論を重ねた第一次選考審査会の結果, 領域間のバランス等も考慮し, 文部科学大臣賞は 5 名に, 文部科学大臣新人賞は 4 名に候補者が絞り込まれた第二次選考審査会では, 第一次選考審査会以降に配布された作品資料等も検討し, 更なる審査選考を進めたその結果, 文部科学大臣賞には, 積年継続中の仕事の集大成というばかりでなく可能性豊かな新たなアートシーンを提示する展覧会を演出してみせた荒木飛呂彦氏を, 文部科学大臣新人賞には, ニューメディアとプリミティブな身体的感覚を結合させる斬新な表現を行い, 高く評価された蓮沼執太氏を, それぞれ選出した 3

14 芸術選奨実施要項昭和 4 5 年 5 月 1 3 日文化庁長官裁定一部改正平成 11 年 5 月 13 日一部改正平成 13 年 1 月 6 日一部改正平成 15 年 4 月 1 日一部改正平成 16 年 4 月 1 日一部改正平成 19 年 12 月 26 日一部改正平成 24 年 4 月 1 日 1 趣旨芸術各分野において, 優れた業績をあげた者またはその業績によってそれぞれの部門に新生面を開いた者を選奨し, これに芸術選奨文部科学大臣賞または芸術選奨文部科学大臣新人賞をおくることによって芸術活動の奨励と振興に資する 2 部門 (1) 演劇 ( 歌舞伎能楽文楽新派新劇ミュージカル等の劇作家, 演出家, 演技者, 舞台美術家等 ) (2) 映画 ( 劇映画記録映画等の演出家, 脚本家, 撮影者, 演技者等 ) (3) 音楽 ( 邦楽洋楽オペラ等の演奏家, 指揮者, 作曲家, 演出家, 舞台美術家等 ) (4) 舞踊 ( 邦舞洋舞等の舞踊家, 演出振付家, 舞台美術家等 ) (5) 文学 ( 小説短歌俳句詩大衆文学児童文学等の作家, 翻訳家等 ) (6) 美術 ( 絵画彫刻工芸書写真デザイン建築等の作家 ) (7) 放送 ( ラジオテレビのドラマドキュメンタリー等の作家, 演出家, 演技者等 ) (8) 大衆芸能 ( 落語講談浪曲漫才大衆演劇ショウポピュラーミュージック等の作家, 作曲家, 演出家, 演技者等 ) (9) 芸術振興 ( 新しい領域や複数の部門にわたり文化芸術活動を行っている者 ) (10) 評論等 ( 芸術評論家, 文化芸術活動に著しい貢献のあった者 ) (11) メディア芸術 ( デジタル作品 ( デジタル技術を用いて作られたアート作品やエンターテインメント作品等 ) アニメーションマンガの作家等 ) 3 賞の対象 (1) 賞は, 文部科学大臣賞状及び賞金とする (2) 芸術選奨文部科学大臣賞は, 特に優れた業績をあげた芸術家 ( 個人 ) を対象とするもので, 各部門 2 名以内 ( ただし, 放送部門, 芸術振興部門, メディア芸術部門は 1 名以内 ) を原則とする (3) 芸術選奨文部科学大臣新人賞は, 新人の芸術家 ( 個人 ) を対象とするもので, 各部門 1 名以内を原則とする (4) 過去に受賞したものは同一部門の同種の賞については, 原則として対象としない 4 選考の時期及び選考の基準 (1) 選考は, 毎年, 原則として 1 月中に行うものとし, 選考の対象となる業績は, 主として前年の 1 月から前年の 12 月までの間にあげられたものとする (2) 選考に際しては, これまでの業績に加え, 将来性, 年齢, 他の受賞歴等も勘案して選出する 5 選考方法 (1) 各部門ごとに芸術に関し識見を有する者の協力を得てその審査を行い, 受賞者を決定する (2) 前項の審査のため, 各部門ごとに選考審査会を設置する (3) 各部門ごとに推薦委員を設け, 選考審査会に候補者を推薦する ( 評論等部門, 芸術振興部門を除く ) (4) 選考審査員及び推薦委員は当該部門の実演家, 専門家及び学識経験者の中から文化庁長官が委嘱する

15 芸術選奨実施細則平成 1 1 年 5 月 1 3 日文化庁次長決裁一部改正平成 13 年 1 月 6 日一部改正平成 15 年 4 月 1 日一部改正平成 16 年 4 月 1 日一部改正平成 19 年 12 月 26 日一部改正平成 24 年 4 月 1 日 1 選考実績実施要項 4(2) の選考にあたっては, 下記のことに留意する (1) 日本芸術院会員, 重要無形文化財 ( 各個認定 ) 保持者, 叙勲, 紫綬褒章受章者, 日本芸術院賞受賞者等すでに国の栄典を受けている者については授賞対象としない (2) 物故者は対象としない (3) 受賞者の年齢は, 授賞時原則として文部科学大臣賞は 70 歳未満, 新人賞は 50 歳未満とする (4) 受賞者は, 芸術活動を通じて社会に貢献し, 国民の模範となり得る者であることとする 2 選考方法 (1) 選考にあたっては, 各部門の選考審査員及び推薦委員が, それぞれの部門にかかる候補者を推薦することができるただし, 評論等部門及び芸術振興部門については, 他部門の選考審査員及び推薦委員からも, それぞれの部門にかかる候補者を推薦することができるものとする (2) 芸術振興部門における新しい領域や複数の部門にわたり文化芸術活動を行っている者とは, 次のような者をいう 1 新たな芸術分野を創造, または普及させるなど著しい貢献のある者 2 複数の部門分野にわたった文化芸術活動を行い, その活動が斯界に大きな影響を与えている者 3 他部門に該当しない文化芸術活動を行っている者で, その活動が国内もしくは国外において広く一般に認知され, 一定の評価を得ている者 3 実施要項 3(3) に定める新人の芸術家は次のものをいう (1) 活動の期間及び実績が比較的少ないこと (2) 今後活躍が大いに期待されること

16 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨委員一覧選考審査員演劇部門いのうえ井上おだ小田こんどう近藤でぐち出口はやし林みやつじ宮辻わたなべ渡辺映画部門あけち明智うだがわ宇田川おかじま岡島こが古賀たねだ種田ねぎし根岸ひらの平野音楽部門おかだ岡田こくど國土さいとう齊藤しらいし白石たにがいと谷垣内ちょうき長木のがわ野川舞踊部門うみの海野おの小野おりた織田かめおか亀岡ほんだ本多まるも丸茂もりやま守山文学部門くりき栗木しまだ島田のざき野崎ひらいで平出まさき正木まつうら松浦みうら三浦美術部門いとう伊東うちだ内田おがわ小川かたおか片岡ないとう内藤なごや名児耶ふくだ福田みなみ南もりやま森山やなぎはら柳原かつら桂さちこ幸子たまお瑞男いつへい逸平なおゆき尚之まさお政夫ひろし弘けいこ惠子こうよう幸洋ひさし尚志しげき重樹ようへい陽平きちたろう吉太郎きょうこ共余子あけお暁生じゅんいち潤一ひろつぐ裕嗣みゆき美雪かずこ和子せいじ誠司みほこ美穂子びん敏水戸芸術館 ACM 劇場芸術監督日本大学芸術学部非常勤講師, 能狂言研究家共立女子大学名誉教授大阪芸術大学教授日刊スポーツ新聞社文化社会部編集委員演劇評論家放送部門うすい碓井おかむろ岡室こうたき上滝すずき鈴木たけやま竹山ふじた藤田やぎ ( 公財 ) 埼玉県芸術文化振興財団業務執行理事兼事業部長八木キネマ旬報編集部エグゼクティブエディター映画評論家国立映画アーカイブ館長日本経済新聞社編集委員美術監督映画監督, 東北芸術工科大学長映画史研究者京都大学教授音楽評論家東京文化財研究所客員研究員武蔵野美術大学教授, 音楽評論家ひろよし広義みなこ美奈子てつや徹也よしかず嘉一よう洋まふみ真文やすお康夫大衆芸能部門おおとも大友おぎた荻田おぐら小倉なかむら中村まえだ前田ゆい油井わたなべ渡邉ひろし浩きよし清上智大学文学部教授早稲田大学坪内博士記念演劇博物館館長, 早稲田大学文学学術院教授評論家, 日本大学名誉教授放送評論家脚本家, 小説家, エッセイスト法政大学社会学部教授テレパック常務取締役, プロデューサー演芸研究家, 文筆家梅花女子大学名誉教授エージ音楽評論家まさき真規けんじ憲司まさかず雅和ねいきゅう寧久芸術振興部門あらい新井えだがわ枝川おおとも大友とみやま富山ひさの ( 公社 ) 日本芸能実演家団体協議会実演芸術振興部企画室長久野東京大学大学院教授東京芸術大学講師東洋大学教授しんじ ( 公財 ) 横浜市芸術文化振興財団チーフプロデューサー, 晋司横浜赤レンガ倉庫 1 号館館長こうじ紘二のりこ典子じつお実男みえこ美惠子みか実花きょうこ京子まさひこ雅彦かん歓たかし隆こゆう子ひさき寿輝まさし雅士まさのぶ正伸とくご篤呉あつお敦生まみ真実み美ひろし廣あきら明らん蘭ゆうすけ雄介あきこ明子まさき正樹日本芸術文化振興会顧問産経新聞大阪本社文化部編集委員舞踊家,( 公社 ) 日本バレエ協会常務理事日本大学教授尚美学園大学非常勤講師歌人作家, 法政大学国際文学部教授東京大学大学院教授多摩美術大学教授俳人作家, 批評家, 東京大学名誉教授文芸評論家国際交流基金ジャポニスム事務局部長, 審議役 ( 美術担当 ) MOA 美術館館長多摩美術大学教授森美術館副館長兼チーフキュレーター建築家東京大学名誉教授 ( 公財 ) 五島美術館副館長画家愛知県美術館館長武蔵野美術大学教授独立行政法人国立美術館理事長, 京都国立近代美術館長ひびの日比野よしもと吉本おーこ鷗子あきとし明敬よしひで良英しょうご省吾あつこ敦子かつひこ克彦みつひろ光宏評論等部門いまふく今福かわい河合かわむら川村きのした木下たまむし玉蟲むらやま村山わたなべ渡辺りゅうた龍太しょういちろう祥一郎みなと湊なおゆき直之さとこ敏子演芸プロデューサー芸能史研究家毎日新聞記者演芸コラムニスト, 演芸評論家東京芸術大学特任教授東京芸術大学教授音楽家日本映画大学理事長, 日本アカデミー賞協会事務局長 ( 公財 ) セゾン文化財団常務理事東京芸術大学美術学部長, 岐阜県美術館長, アーティストニッセイ基礎研究所研究理事東京外国語大学大学院教授東京大学大学院教授法政大学名誉教授東京大学教授武蔵野美術大学造形学部教授きょういちろう匡一郎映画評論家ひろし裕メディア芸術部門いいだ飯田おかべ岡部くぼた久保田こいで小出ささもと笹本じんのうち陣内よしむら吉村かずとし和敏東京大学大学院人文社会系研究科教授立命館大学映像学部教授あおみパリ日本文化会館展示部門アーティスティックディレクター, 美術評論家あきひろ晃弘まさし正志じゅん純としひろ利博かずま和真多摩美術大学教授東京造形大学教授筑波大学名誉教授武蔵野美術大学教授京都精華大学教授部門内五十音順

17 平成 30 年度 ( 第 69 回 ) 芸術選奨委員一覧推薦委員演劇部門あみもと網本おおた太田おだしま小田島かわうち河内こじょう古城こだま児玉すけなり祐成はぎお萩尾はまだ濱田やすざわ安澤映画部門いづの伊津野おがた尾形おのでら小野寺かけお掛尾こんどう近藤すぎはら杉原せきぐち関口てるおか暉峻なかやま中山はらだ原田音楽部門おおたに大谷こもだ薦田つかはら塚原つがみ津上にいみ新実のだいら野平ふじた藤田ほりうち堀内やまだ山田よこ横はら原なおこ尚子こうじん耕人こうし恒志あつろう厚郎としのぶ十忍りゅういち竜一ひでき秀樹ひとみ瞳もとこ元子てつお哲男ちた知多としろう敏朗おさむ修よしお良夫たかし孝えいじゅん永純ゆうこ裕子そうぞう創三はるみ治美けんいち健一きみこ紀美子はるこ治子やすこ康子ともみ智実とく徳舞踊部門あべ阿部うえの上野かじや楫屋からつ唐津すずき鈴木すずな菘ただの多々納のざき野嵜ばんどう坂東もちづき望月文学部門あんどう安藤おとかわ乙川おんだ恩田きど城戸こじま小島さとう佐藤たなか田中ふじしま藤島まつなが松永みやうち宮内ひで英いちろう一郎たかのり隆則おさむ修はるお治生せんし千史東京富士大学教授京都教育大学副学長早稲田大学教授阪急文化財団理事, 兵庫県芸術文化センター参与美術部門あおき青木いがらし五十嵐うえき植木かとう加藤からさわ ( 公社 ) 日本劇団協議会常務理事唐澤早稲田大学教授読売新聞文化部次長映画, 演劇評論家毎日新聞論説委員兼学芸部編集委員世田谷パブリックシアター劇場部長日本映画大学准教授映画評論家日本映画テレビ録音協会理事城西国際大学メディア学部招聘教授 ( 学部長 ) 読売新聞東京本社編集局文化部次長山口情報芸術センターキュレーターくろかわ黒川さわらぎ椹木すがわら菅原たてじま立島なかい中井なかの中野なかむら中村はなざと花里ふじさき藤崎ま真もり森すみ住みつだ光田 ( 株 ) アヴァンティプラス代表取締役放送部門映画評論家映画ジャーナリスト新潟大学教授相愛学園学園長武蔵野音楽大学教授東京芸術大学教授神戸女学院大学教授作曲家東京芸術大学教授京都市立芸術大学教授音楽評論家音楽評論家音楽評論家, 兵庫県立大学講師さとみ日本芸術文化振興会舞踊分野プログラムオフィサーふさこ房子かずゆき一之えり絵理えいいち英一ダンス評論家神奈川県国際文化観光局舞台芸術担当部長兼神奈川県立青少年センター参事愛知県芸術劇場シニアプロデューサー早稲田大学演劇博物館招聘研究員あつこ舞踊ジャーナリストこみわ子ますこ益子あやこ亜矢子たつお辰夫れいじ礼二ゆうさぶろう優三郎作家ゆうこ侑布子しゅり朱理舞踊家,( 公社 ) 日本バレエ協会理事いりえ入江おと音さとう佐藤さとみ里見たけだ武田にしむら西村はたもと旗本ひぐち樋口みずた水田みはら三原のえ野枝たろう太郎けいこ啓子やすひろ泰弘まさひろ昌宏こうじ公二のい野衣のりお教夫けい惠やすゆき康之よしゆき嘉之かずみ一美まり麻理けいいちろう圭一郎たかこ貴子つかさ司ゆり由里彫刻家東北大学工学研究科教授大阪市新美術館準備室主任学芸員東京学芸大学教授東京国立近代美術館工芸課長佐倉市立美術館学芸員美術批評家, 多摩美術大学教授読売新聞東京本社編集委員 ( 公財 ) 佐藤国際文化育英財団佐藤美術館学芸部長国立国際美術館副館長日本画家, 多摩美術大学名誉教授多摩美術大学教授茨城県陶芸美術館首席学芸員東京芸術大学教授国立新美術館主任研究員教育普及室長アーツカウンシル東京事業推進室事業調整課長 DIC 川村記念美術館学芸部長たのしメディアプロデューサーよしひろ好宏よ与かずひこ一彦しげる繁かず和し志こうじ浩二なおふみ尚文のぶお伸生おさむ治き木大衆芸能部門いまおか今岡おおた太田さとう佐藤つじ辻ながい長井はぎわら萩原はた畑ふるかわ古川まつお松尾むらい村井いわした ( 株 ) 日本舞踊社代表取締役岩下演劇評論家日本芸術文化振興会舞踊分野プログラムオフィサー多摩美術大学美術学部准教授俳人詩人ゆかり歌人ようじろう洋二郎かずお和生ひでのり秀憲みほ美穂かつすけ勝典小説家作家, 日本大学芸術学部教授文芸評論家, 法政大学教授歌人, エッセイスト早稲田大学教授けんたろう謙太郎み美ひろし博ともみ友美のりひこ則彦よしひろ好弘けんた健太りつえ律江あやこ綾子や矢こうじ康司こ子メディア芸術部門えんどう遠藤かどくら門倉さとう佐藤たさか田坂どい土居はら原ひがしいずみ東泉やまむら山村よねみつ米光ほうせい朋世さとし諭しま紫麻まさひこ雅彦ひろこ博子のぶあき伸彰ひさこ久子いちろう一郎こうじ浩二かずなり一成上智大学教授立教大学教授関西大学教授 ( 公財 ) 川喜多記念映画文化財団代表理事 JCA 西村オフィス代表, フリープロデューサー読売新聞編集局文化部次長映画評論家, 映画監督日本テレビ放送網株式会社執行役員, 制作局専門局長放送作家, 日本大学芸術学部放送学科非常勤講師武蔵野美術大学教授ジャーナリスト東京かわら版編集長フリーライター読売新聞東京本社編集委員音楽評論家毎日新聞社学芸部専門編集委員国際日本文化研究センター助教演芸ライター音楽評論家, 尚美学園大学音楽表現学科講師相模女子大学准教授角川アスキー総合研究所取締役マンガライター東京芸術大学教授東京都写真美術館学芸員 ( 株 ) ニューディアー代表取締役大阪電気通信大学総合情報学部教授クリエイティヴディレクターデザイナーアニメーション作家, 東京芸術大学教授ゲーム作家部門内五十音順

49 中国大学院日本大学大学院商学研究科 50 中国大学院法政大学大学院経営学研究科 51 中国大学院法政大学大学院社会学研究科 52 中国大学院法政大学大学院経済学研究科 53 ドイツ大学院東京工業大学大学院機械コース 54 中国大学院明治大学大学院情報コミュニ

49 中国大学院日本大学大学院商学研究科 50 中国大学院法政大学大学院経営学研究科 51 中国大学院法政大学大学院社会学研究科 52 中国大学院法政大学大学院経済学研究科 53 ドイツ大学院東京工業大学大学院機械コース 54 中国大学院明治大学大学院情報コミュニ国籍区分学校名会社名学部学科コース 1 中国大学院東京大学大学院経済研究科 2 中国大学院一橋大学大学院経済学研究科 3 中国大学院筑波大学大学院スポーツ教育 4 中国大学院筑波大学大学院図書館情報メディア研究科 5 中国大学院東北大学大学院金属材料研究所 6 中国大学院東京芸術大学大学院美術研究科 7 中国大学院横浜国立大学大学院都市科学部 8