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ゆずさちづ
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1 芝浦工業大学でのシステム工学およびプロジェクトマネジメント教育芝浦工業大学学長補佐システム理工学部教授井上雅裕 (1) 教育理念と学修教育目標芝浦工業大学システム理工学部は 1991 年にシステム工学部として開設され科学的知識 (Science) と体系的方法論 (Systems theory) の相乗効果 (Synergy) により, 社会環境生命等の分野や新たな境界領域分野に積極的に進出できるパイオニアを育成する教育研究を実施することを理念としている. 学部は現在電子情報システム学科機械制御システム学科環境システム学科生命科学科数理科学科の 5 学科から構成され各学科がそれぞれ専門教育を実施するだけでなくシステム思考の工学 ( すなわちシステム工学とプロジェクトマネジメント教育 ) を学部全学科の共通教育として実施している教育の理念を達成するための学修教育目標と教育体系を図 1 に示した教育体系は数学自然科学情報技術などの工学基礎教育, 総合科目 ( 人文社会科目 ), 外国語科目, 各学科の専門科目に加え, 共通教育としてのシステム工学教育を据えている. システム工学教育では自分の専門以外の広い分野を俯瞰し分野を横断した課題発見解決の体系的方法論を学ぶと同時に 5 学科横断の (Project Based Learning) により, 学際的チームで活躍できる力 ( チーム活動能力 ), コミュニケーション能力などのジェネリックスキルを育成する工学基礎教育共通工学系基礎科目数学自然科学情報技術の知識応用能力育成各学科の専門科目の教育 ( 講義演習実験総合研究 ) 電子情報システム学科機械制御システム学科環境システム学科生命科学科数理科学科実践教育用専門知識専門科目の理解度向上工学リベラルアーツ教育初年次工学リベラルアーツ教育システム工学教育 (1-2 年 ) 他分野への聞く耳を他学科概論で学ぶ社会的問題の工学的解決を題材にした学科横断型のを通じてシステム思考コミュニケーション能力問題解決力を学ぶ環境問題少子高齢化問題などを題材に社会での問題解決力をつける分野横断の広い知識を得る総合科目人文社会科目 ( システム科学を強化 ) 社会現象を観察認識判断する力をつける 21 世紀の市民が行動できるための素養を育成高学年工学リベラルアーツ教育システム工学教育 (3 年 ) プロジェクトマネジメント専門科目との融合外国語科目理工系学生のための英語を強化専門分野の知識とシステム思考による問題解決能力育成自律的な問題解決遂行に必要な人間力育成学修教育目標地球的視野から多面的に物事を考えるシステム思考学際的チームで活躍できる ( チーム活動能力 ) 職業倫理専門分野の知識とそれを応用した問題解決力数学自然科学情報技術とその応用能力コミュニケーション能力システム思考システム手法システムマネジメント自主的継続的学修能力図 1. 芝浦工業大学システム理工学部の学修教育目標と教育体系 (2) 教育カリキュラム分野を越えた課題の発見, 解決方法の修得, 異なった専門性を持った人たちとのチームワークがイノベーションの創出には必要である. 本プログラムでは, その基礎教育と演習を学部の 1-3 年生の学部共通のシステム工学教育 ( プロジェクトマネジメントが含まれる ) として実 1

2 施している教育カリキュラムの構成を図 2に示したまず, 学部 1 年生の前期では, 学部全学科の学生約 500 名が, 創造のワークショップ創るに参加する. 学部 2 年前期は, 総合的な問題解決の流れとその定性的手段を講義システム工学 A( システム計画方法論 ) ( 図 3) で学び, 工学的な問題解決に必要な課題発見, 課題定義, 設計, 評価に至るシステムズエンジニアリングの流れを科目システム工学演習 A で経験する, この段階では, 個々の定量的な手法には立ち入らず, 問題解決全体の流れを修得することに重点を置く次のステップは, 定量的なシステム手法を学ぶ段階である.2 年後期の講義システム工学 B( 数理計画法 ) と科目システム工学演習 B では, 既に学んだシステム思考の各ステップで必要な定量的な手段であるモデル化の手法, 数理的最適化手法, 定量的意思決定手法を学ぶ学生は全体の問題解決の流れを理解できているため, 定量的な手法の位置付けが理解しやすいさらに,3 年前期に講義システム工学 C を配置し, プロジェクトマネジメントの教育を行っているシステム思考 ( システム工学 A 演習 A) 社会的問題分野横断的課題要求の定義問題構造の分析問題のモデル化問題解決のための概念設計数理的最適化代替案の評価選択定量的意思決定システム手法 ( システム工学 B 演習 B) 総合的問題解決案各専門分野での分析モデリング設計能力 ( 専門科目 ) 各専門分野での分析モデリング設計能力 ( 専門科目 ) 分野横断のシステム設計プロセス設計システムプロセスシステム設計能力 ( システム工学演習 C) 注 : システム工学演習 C は分野横断のシステムデザイン演習を主体とするがシステム思考システム手法プロジェクトマネジメントも含めるシステムマネジメント ( システム工学 C プロジェクトマネジメント ) プロジェクト立上げ計画プロジェクト実行 / コントロールスコープコスト納期制約図 2. システム工学とプロジェクトマネジメント教育科目間の関係システム工学 A( システム計画論 ) システム工学システム工学 B( 数理計画法 ) プロジェクト図 3. システム工学とプロジェクトマネジメント教育の体系 2 システム工学 C(PM) プロジェクトマネジメントライフサイクル要求定義ステークホルター分析機能設計統合マネジメントスコーフマネシメントアーキテクチャー設計タイムマネシメント / スケシューリンク人的資源マネジメントインタフェース管理品質マネシメントコストマネシメントプロジェクトマネジメント実装インテクレーション構成管理 / 変更管理リスクマネシメント運用保守廃棄コミュニケーションマネシメント EVM モテリンク & シミュレーション調達マネジメント確率統計モンテカルロ法 BS 待ち行列最適化 AHP PERT/ PMソフトウェアツールグラフ理論線形計画法 NPV CPMKJ 法 QFD 数理計画法 LCA WBS UML/SysML システム計画論 23

3 (3) 学修の方法 : 体系的なアクティブラーニング ( 体験から理論そして実践へ ) システム工学教育では, 分野横断の課題解決能力の育成のために, 課題の発見, 分析, 設計, 評価やチームでの活動能力, コミュニケーション, プロジェクトマネジメント能力を学修教育目標としているチームでの問題解決を行なった経験の乏しい学生に対し, 抽象的な理論や技法を講義しても, 理解することができず, 教育効果はあがらないそこで, システム工学教育カリキュラムでは, まず問題解決のグループ演習を行なって学生に体験させ, 課題発見や課題の分析の難しさ, チームでの活動する際の役割分担などの難しさ, スケジュールどおりに仕事をする難しさを体験させ, ついで, 講義と演習を繰り返す方法を取っている学生は経験と理論の学習をスパイラルに学習することで, 実体験があるため, 理論が理解でき, 理論を知っているから, それを実践することができる学理論技法プロジェクトを通した実践経験哲プロジェクト演習 () と理論技法の講義を繰り返しながらレベルアップする創る 1 学年前期学部講義科目システム工学 A ( システム計画 ) 2 学年前期講義科目システム工学 B ( 数理計画 ) 2 学年後期システム工学演習 A 2 学年前期講義科目 * 協調する ( 総合科目 ) システムとは, * 創造する 1 学年後期 * 思考する講義科目プロジェクトマネジメント 3 学年前期システム工学演習 B 2 学年後期大学院大学院システム工学特論修士前期システム工学演習 C 3 学年前期 * 問題を把握する * 解決策の検討と最適化 * 意志を決定する * プロジェクト計画運営システムマネジメント特論後期システム工学特別演習前期国際年度末 * グローバル人材育成 * イノベーション人材 * リーダシップ演習は学科混成チーム産学地域連携後期 2 図 4. プロジェク演習 () と講義のスパイラルアップによる体系的アクティブラーニング (4) グローバル環境でイノベーションを創出する人材教育 4 年間の学部教育に加え大学院修士課程ではグローバル環境でイノベーションを創出するための人材教育として国際と産学地域連携を設置している国際は大学院理工学研究科の共通科目としてタイの King Mongkut's University of Technology Thonburi(KMUTT) と連携し, バンコクで実施している国際は 2-3 月期間は 10 日間, 実働 8 日間の多分野多文化混成の集中プログラムである参加学生の国籍は日本, タイ, インドネシア, カンボジア, マレーシア, ベトナムラオス等であり, 大学院修士 1 年から学部 3-4 年を中心として約 70 名が参加するのテーマは, グローバルまたは地域の社会的技術的分野横断の問題発見解決策の検討であり, エネルギー, 交通, 環境, 貧困, 自然災害, 教育など広範囲に及んでおり, 理工系を中心としてあらゆる学科の学生が参 3

アイデアを創出すること, 手と体を使ってプロトタイピングを行うことを要求し続けることである (a) 多分野多国籍の学生のディスカション (b) プロトタイプとプレゼンテーション図 5.

4 加し, 問題の発見, 課題設定, 解決策の提案, プロトタイピング製作までを実施する分野横断のである. 国際に参加する東南アジアの学生は, 各国のトップ大学の学生である学生は, 分析能力, 情報収集能力に優れた学生が多いが, 新しく価値を創造するトレーニングは経験しておらず, プロジェクトは容易には進まない教員の重要な役割は, 優秀な学生が美しい分析だが, 創造性に欠けた内容でプロジェクトの成果を手際よくまとめようとすることを阻止し, 課題の発見のために現場現実現物を見ること, アイデアを創出すること, 手と体を使ってプロトタイピングを行うことを要求し続けることである (a) 多分野多国籍の学生のディスカション (b) プロトタイプとプレゼンテーション図 5. 国際 ( タイバンコク ) (5) 学修成果のアセスメント実施しているエンジニアリングリベラツアーツ教育は分野文化を横断した問題発見解決能力ジェネリックスキルの育成を体系的なアクティブラーニングで実施しているこれは従来の講義中心の専門教育と大きく異なっており学修成果を測定し教育プログラムの質保証と継続的な改善する仕組みを新たに構築することが必須であった学修成果の測定手段としてのルーブリックの設計電子ポートフォリオジェネリックスキルテスト (Progress Report on Generic Skill: PROG) を導入し学修成果を体系的に測定し教育の質保証の PDCA サイクルを回している参考文献 1) 井上雅裕, 長谷川浩志, 発展型プロジェクト演習と連携したシステム工学教育, 工学教育 (J. of JSEE), Vol.58, No.1, pp.89-94, Jan ) 長谷川浩志, 井上雅裕, 渡部英二, 吉川倫子, システム思考の工学による領域横断型大学院教育プログラムの開発, 工学教育 (J. of JSEE), Vol.61, No.5, pp.59-67, Sep ) 長谷川浩志, 井上雅裕, 渡部英二, 松村直樹, ジェネリックスキルによる領域横断型大学院教育プログラムのアセスメント, 工学教育 (J. of JSEE), Vol.61, No.5, pp.68-75, Sep ) 井上雅裕, 長谷川浩志, 陳新開, 分野横断教育の体系的カリキュラム構築とその学習成果のアセスメント, 工学教育 (J. of JSEE), Vol.61, No.2, pp.55-61, Mar ) 井上雅裕, 陳新開, 長谷川浩志, システム工学 - 問題の発見解決の方法 -, オーム社, ) 井上雅裕, 陳新開, 長谷川浩志, システム工学 - 定量的な意思決定法 -, オーム社, ) Masahiro Inoue, Hiroshi Hasegawa, Kazunori Mano, Yoshimi Furukawa, Atsuko Yamazaki, 4

5 and Anak Khantachawana, Development of an Engineering Education Program for Innovation in Global Environment, The World Engineering Conference and Convention (WECC2015), December 2, ) 古川修, 長谷川浩志, 山崎敦子, 井上雅裕, 間野一則, 産学地域連携による実学教育の試み, 工学教育 (J. of JSEE), Vol.64, No.3, pp.35-40, Sep ) 井上雅裕, 長谷川浩志, 間野一則, 古川修, 山崎敦子, Anak Khantachawana, グローバル環境でイノベーションを創出するための人材育成プログラムの開発, 工学教育 (J. of JSEE), Vol.64, No.5, pp , Sep

資料3　芝浦工業大学発表資料（1）

資料3　芝浦工業大学発表資料（1）資料 3 Go Global SIT SHIBAURA INSTITUTE OF TECHNOLOGY 質保証を伴った工学教育のグローバル化 - PDCAサイクルの体系化とソフトスキルのアセスメント - 芝浦工業大学学長補佐教育イノベーション推進センター IR 部門長電子情報システム学科教授井上雅裕 2 要旨目標 : 統合的問題解決能力を備えた世界に貢献できる技術者を育成する工学教育の質保証の