日本内科学会雑誌第104巻第7号

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1 再生不良性貧血と赤芽球癆の病態と治療 要旨 再生不良性貧血および赤芽球癆は, ともに造血幹細胞 前駆細胞の量的減少により発症する骨髄不全症であり, 前者は貧血, 血小板減少, 好中球減少のうち2つ以上の血球減少を, 後者は貧血のみを呈する. その原因は多様であり, 病因を特定できない特発性と, 薬剤投与やウイルス感染症, 自己免疫疾患, 妊娠などに伴う続発性がある. 特発性再生不良性貧血および基礎疾患の治療に反応しない慢性赤芽球癆には免疫抑制療法が行われる. 1) 廣川誠 2) 藤島直仁 日内会誌 104:1405~1413,2015 1) 面川歩 1) 植木重治 Key words aplastic anemia, pure red cell aplasia, pathophysiology, immunosuppressive therapy はじめに骨髄不全 (bone marrow failure) は造血幹細胞の量的 質的減少により血球減少を来たした状態を指し, その原因としては造血幹細胞自身の量的 質的減少によるものと, 非造血細胞の骨髄浸潤によるものとがある. 造血幹細胞の量的 質的減少に基づく骨髄不全を幹細胞不全 (stem cell failure) と呼ぶことがあり, 再生不良性貧血および赤芽球癆, 発作性夜間ヘモグロビン尿症, 骨髄異形成症候群はその代表的な造血器疾患である. 非造血細胞の骨髄浸潤を来たす疾患として, 骨髄線維症, 有毛細胞白血病 (hairy cell leukemia), がんの骨髄転移などがある ( 表 1). 造血系は全ての血球およびリンパ球を産生し得る能力と自己複製能を有する多能性造血幹細胞 (multipotent hematopoietic stem cell) を頂点として, 複数多系列の血球を生み出すことはできるが, 自己複製能を失った多能性前駆細胞 (multipotent progenitor), 複数系列 単系列の血球しか産生し得ない前駆細胞からなるピラミッドを形成している ( 図 1). 再生不良性貧血および赤芽球癆はともに造血幹細胞 前駆細胞の量的減少により発症すると考えられている 1) 秋田大学大学院医学系研究科総合診療 検査診断学講座, 2) 秋田大学附属病院輸血部 Anemia:From Basic Knowledge to Up-to-Date Treatment. Topics:VI. Pathophysiology and management of aplastic anemia and pure red cell aplasia. Makoto Hirokawa 1), Naohito Fujishima 2), Ayumi Omokawa 1) and Shigeharu Ueki 1) : 1) Department of General Internal Medicine and Clinical Laboratory Medicine, Akita University Graduate School of Medicine, Japan and 2) Division of Blood Transfusion, Akita University Hospital, Japan. 1405

2 が, 前者は骨髄系前駆細胞 (common myeloid progenitor), 後者はより分化した赤血球系前駆細胞 (erythroid progenitor) の減少によって発症すると推定されている. また, その病因は再生不良性貧血, 赤芽球癆ともに多様である. 本稿では再生不良性貧血および赤芽球癆の病態と治療について概説する. 表 1 骨髄不全の原因 病因 I. 造血幹細胞の量的 質的減少 疾患 Fanconi 貧血先天性角化不全 1. 先天性 Diamond-Blackfan 貧血 Congenital dyserythropoietic anemia 遺伝性鉄芽球性貧血再生不良性貧血赤芽球癆 2. 後天性骨髄異形成症候群発作性夜間ヘモグロビン尿症原発性骨髄線維症 II. 非造血細胞の浸潤 増殖骨髄線維症有毛細胞白血病がんの骨髄転移 1. 再生不良性貧血の病態 1) 再生不良性貧血の原因再生不良性貧血は先天性と後天性があり, 前者は先天性骨髄不全症候群 (inherited bone marrow failure syndrome) とも呼ばれる ( 表 1). 先天性骨髄不全症候群にはFanconi 貧血, 先天性角化不全症 (dyskeratosis congenita),diamond- Blackfanan 貧血などが含まれる. 最も頻度が高いのはFanconi 貧血であるが, 本邦において新たに発生する症例は年間 10 例未満と推定されている.Fanconi 貧血はDNA(deoxyribonucleic acid) 修復分子をコードする遺伝子の先天性異常によって発症し, 現在 13の責任遺伝子が同定されている 1). 先天性角化不全症はテロメアの維持機構の障害によって発症し,TERC(telomere RNA component),tert(telomere reverse transcriptase) などの遺伝子変異が報告されている. 後天性再生不良性貧血には原因を特定できない一次性 ( 特発性 ) と, 薬剤や化合物の投与, ウイルス感染症, 自己免疫疾患, 妊娠などに伴う二次性がある ( 表 2). 薬剤に起因する骨髄不全には, 殺細胞性抗がん薬のように血球減少の 自己複製能 Multi-potent stem cell 造血幹細胞 Multi-potent progenitor 多能性造血前駆細胞 Oligo-potent progenitor 前駆細胞 ( 複数系列 ) Uni-potent progenitor 前駆細胞 ( 単系列 ) 赤血球血小板好中球好酸球好塩基球単球樹状細胞リンパ球 図 1 造血系の階層構造 1406

3 表 2 後天性再生不良性貧血の原因 病型病因 Ⅰ. 一次性特発性再生不良性貧血予測可能な薬剤 ( 殺細胞性抗がん薬 ) 予測不可能な薬剤化学物質 Ⅱ. 二次性放射線ウイルス感染自己免疫疾患妊娠肝炎後再生不良性貧血 Ⅲ. 特殊型再生不良性貧血 PNH 症候群平成 25 年度改訂版 特発性造血障害疾患の診療の参照ガイド ( より引用改変 招来を予測できるものと, 抗けいれん薬や抗菌薬, 非ステロイド系抗炎症薬, 抗甲状腺薬などのように予測不能のものがある. 肝炎ウイルス感染に伴う骨髄不全症は肝炎後再生不良性貧血としてよく知られているが,HIV(human immunodeficiency virus) 感染症, ヒトパルボウイルスB19 感染症に伴う再生不良性貧血も報告されている. 妊娠に伴う再生不良性貧血の発症機序は不明である. 特発性再生不良性貧血の中にも,TERCや TERTの遺伝子変異が検出される例が報告されているが, 特発性再生不良性貧血の多くは, 後述するいくつかの臨床的観察および病態研究により, 造血幹細胞に対する自己免疫学的な機序を介して造血不全が発症すると考えられている. 2) 特発性再生不良性貧血の免疫病態 特発性再生不良性貧血が自己免疫疾患であるという推察は, 重症再生不良性貧血に対する一卵性双生児ドナーからの骨髄移植後の生着不全 (engraftment failure) の経験に始まっている. すなわち, 一卵性双生児においては遺伝的背景が同一であるにもかかわらず, ドナーから単に骨髄細胞を輸注しても造血機能は回復せず, 造血の回復にはレシピエントに対する免疫抑制的な前処置が必要であることが明らかにされた. その他, 再生不良性貧血に対する免疫抑制療法 2) の有効性, 同種造血幹細胞移植後の移植片対宿主病に伴う骨髄不全症の存在, 試験管内における自己の造血幹細胞の増殖に対するリンパ球の抑制作用の証明,CD8 陽性 T 細胞のオリゴクローナルな増加, およびkinectin,DRS-1(diaze- pam-binding inhibitor-related protein-1),moesin などに対する自己抗体の存在などの報告は, 再生不良性貧血が自己免疫疾患であることを強く支持するものと考えられる. 造血細胞に対する免疫学的攻撃のメカニズムとして, 細胞傷害性 T 細胞 (cytotoxic T lymphocyte:ctl) の関与が強く想定されているが, 免疫学的機序による造血抑制はCTLによる細胞傷害のみではなく, 可溶性のメディエーターによっても引き起こされると推定されている. インターフェロンγやTNF-α(tumor necrosis factor-α) はin vitroにおいてヒト造血幹細胞のマーカーであるcd34 陽性骨髄細胞のアポトーシスを誘導すること, 再生不良性貧血患者における骨髄細胞がインターフェロンγを産生していることが報告されている. 免疫学的なプレッシャーが造血系にかかっていることを支持する証左として,glycosylphosphatidylinositol(GPI) アンカー膜蛋白が欠損した造血細胞が再生不良性貧血患者において少数ではあるが検出されること,GPIアンカー膜蛋白欠失血球が存在する再生不良性貧血は免疫抑制療法に良好な反応性を示すことを挙げることができる 3,4). また, 中尾らの金沢大研究グループから,HLA(human leukocyte antigen) アリルが片方欠失した造血細胞が13% の再生不良性貧血患者で観察され, それは第 6 番染色体短腕 (6p) の片親性 2 倍体 (uniparental disomy: UPD) によるという興味深い報告がなされている 5). すなわち,CTL からの免疫学的攻撃を免れた造血細胞が, 臨床的に再生不良性貧血と診断される時点では優勢となっていることを示唆している. 欠失しているHLAは特定の4つのアリ 1407

4 ルに限られていることも明らかにされており, 再生不良性貧血の病態を形成しているCTLの標的抗原は, これらの特定のHLA 分子により提示されるアミノ酸モチーフを有した抗原であることを示唆するものと考えられる. 2. 再生不良性貧血の診断貧血, 好中球減少, 血小板減少のうち少なくとも2つ以上の血球減少を認める患者を診た場合, 汎血球減少を来たし得る他の疾患, すなわち, 急性白血病, 骨髄異形成症候群, 骨髄線維症, 有毛細胞白血病, 発作性夜間ヘモグロビン尿症, 巨赤芽球性貧血, がんの骨髄転移, 悪性リンパ腫, 多発性骨髄腫, 脾機能亢進症, 全身性エリテマトーデス, 血球貪食症候群, 感染症などを除外することによって, 再生不良性貧血と診断する. 薬剤や化学物質, 放射線によるものが除外でき, また妊娠が否定されれば, ほぼ特発性再生不良性貧血と診断可能であるが, 特殊型として, 肝炎後再生不良性貧血, 発作性夜間ヘモグロビン尿症 (paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:pnh) に伴う再生不良性貧血 PNH 症候群がある. 特発性再生不良性貧血と時として鑑別が難しいのは, 芽球割合の少ない骨髄異形成症候群と重症の骨髄不全を伴うPNH, 有毛細胞白血病である. 有毛細胞白血病は成熟 B 細胞の腫瘍化によるリンパ系腫瘍で汎血球減少を来たし得るが, その際にみられる骨髄不全は腫瘍細胞の浸潤および二次的な線維化に起因する. 3. 再生不良性貧血の治療再生不良性貧血の治療方針は被疑薬を中止し, 支持療法を行いつつ, 造血回復を目指すことである. 再生不良性貧血の原因となり得る薬剤および化学物質のリストは特発性造血障害調査研究班のホームページ ( com/) を参照されたい. 支持療法には輸血療法, 感染症に対する造血因子製剤および抗菌薬治療, 輸血後鉄過剰症に対する鉄キレート療法がある. 特発性再生不良性貧血の予後および治療方針は血球減少の程度によって決定される重症度による. 軽症および輸血を必要としない中等症 (stage 1および2) の場合には, 経過観察ないし蛋白同化ステロイドが従来用いられてきたが, 本重症度では保険適応外ではあるものの, シクロスポリン内服も選択肢である. 中等症に対して抗胸腺グロブリン (anti-thymocyte globulin: ATG) は保険適応があるものの, 免疫抑制作用が強いため, この中等症に対して使用する場合には治療のリスクについて十分な説明が必要である. 定期的な輸血を必要とするやや重症 (stage 3) から好中球数 200 未満になるような最重症 (stage 5) の重症再生不良性貧血では,40 歳未満でHLA 一致同胞ドナーのいない患者および 40 歳以上の患者の場合,ATGとシクロスポリンの併用療法が原則である.ATGはヒト胸腺細胞で動物を免疫して得られた製剤であり, 免疫動物はウマとウサギの2つの製剤がかつて市販されたが,2008 年以降米国を除いてウマ由来 ATG を使用することができなくなった. ウマATGとウサギATG 製剤の優劣について解決されるべき課題が残されている. シクロスポリン単剤投与に反応する再生不良性貧血患者も存在するが, ATGとシクロスポリンの併用療法に較べて効果は劣ることが報告されている.40 歳未満でHLA 一致同胞を有する場合には, 骨髄移植が第一選択の治療となる. 4. 赤芽球癆の病態 1) 赤芽球癆の原因赤芽球癆は正球性正色素性貧血と網赤血球の 1408

5 感染症 ヒトパルボウイルス B19 自己傷害性リンパ球 特発性 胸腺腫関連 大顆粒リンパ球性白血病 自己抗体 特発性 薬剤 遺伝子変異 Diamond-Blackfan 貧血 骨髄異形成症候群 赤血球系前駆細胞 同種抗体 ABO major 不適合同種造血幹細胞移植 EPO 機能不全 抗 EPO 抗体 赤芽球低形成 網赤血球減少 貧血 図 2 赤芽球癆の病因 病態 減少および骨髄赤芽球の著減を特徴とする貧血であり, その原因は多様である. 大きく分けて先天性と後天性に分類される. 後天性は急性と慢性に分類され, 急性型の多くは感染症および薬剤による. 後天性赤芽球癆の原因は多様で, 明らかな基礎疾患を有しない特発性と, 胸腺腫, 大顆粒リンパ球性白血病や悪性リンパ腫などのリンパ系腫瘍, 自己免疫疾患, 感染症, 薬剤性などの続発性に分類される. 特発性造血障害に関する調査研究班は2004 年度と2006 年度に全国調査を行い, 明らかなヒトパルボウイルスB19 感染症を除く成人の赤芽球癆 185 例を集積した. その結果, 本邦において最も多い病因は特発性赤芽球癆であり, 次いで胸腺腫関連赤芽球癆, 大顆粒リンパ球性白血病関連赤芽球癆, 悪性リンパ腫関連赤芽球癆が続き, その他自己免疫疾患, 骨髄異形成症候群などが含まれていた. 先天性赤芽球癆としてDiamond-Blackfan 貧血がよく知られており, リボゾーム蛋白をコードする遺伝子変異がその原因の1つと考えられて いる. 後天性赤芽球癆の原因が多様であることを反映して, 赤血球系前駆細胞の障害メカニズムもまた多様である ( 図 2). 後天的な遺伝子変異による骨髄異形成症候群が慢性赤芽球癆の病像を初期症状として発症することがある. 薬剤による赤芽球癆の発症メカニズムはよくわかっていない. ウイルス感染による赤芽球癆として有名なのがヒトパルボウイルスB19 感染症である. ヒトパルボウイルス B19は一本鎖 DNAウイルスで, 赤血球系細胞に発現するP 抗原を介して細胞内に侵入する. ヒトパルボウイルスB19 感染症は通常 self-limited であるため, 同ウイルス感染による赤芽球癆が発症しても重篤な貧血を生ずることは稀であるが, 基礎疾患に溶血性貧血を有する場合には赤血球寿命が短縮しているため, 赤血球系造血の障害が短期間であっても, 重篤な貧血を呈し得る. また,HIV 感染症や化学療法による免疫不全患者ではヒトパルボウイルスB19の持続感染を引き起こし, 慢性の経過を辿ることがある. 特発性赤芽球癆や胸腺腫関連赤芽球癆, 大顆 1409

6 粒リンパ球性白血病関連赤芽球癆における造血障害は, 自己傷害性リンパ球あるいは特異的抗体による赤血球系前駆細胞に対する細胞障害, 内因性エリスロポエチンに対する自己抗体産生などによると推定されている. 次項では赤血球系前駆細胞に対する自己免疫現象により発症すると推察されている後天性慢性赤芽球癆の免疫病態について概説する. 2) 後天性慢性赤芽球癆の免疫病態特発性慢性赤芽球癆の患者血清 IgG(immunoglobulin G) 分画中に赤血球系造血に対する抑制因子が存在することが1973 年にKrantzらにより初めて報告された. 自己抗体の性質として, 赤血球系前駆細胞 (colony-forming unit-erythroid:cfu-e) や成熟赤芽球に対する補体依存性細胞溶解を示すもの, 抗エリスロポエチン (erythropoietin:epo) 活性を示すものなどが報告されているが, 自己抗体の抗原特異性はいまだ明らかにされていない. 一方, 特発性赤芽球癆や胸腺腫関連赤芽球癆においてクローナルなT 細胞の増加がみられることや, 後述する大顆粒リンパ球性白血病関連赤芽球癆の存在, そしてシクロスポリンの有効性などから, 自己傷害性リンパ球も赤血球系造血の抑制作用に関与していることが推定されているが, 自己抗体の場合と同様にその抗原特異性は不明である. 大顆粒リンパ球性白血病の発症にSTAT3(sig- nal transducer and activator of transcription 3) の遺伝子変異が関与していることが最近報告された. 大顆粒リンパ球性白血病関連赤芽球癆の症例においてもSTAT3 遺伝子の変異があることが本邦の石田らにより報告されており, さらに, 大顆粒リンパ球性白血病の診断基準を満足しない再生不良性貧血や骨髄異形成症候群の症例においてもSTAT3 遺伝子の変異が検出される場合があることも報告されている. これらの事実は, 自己免疫性骨髄不全症候群の病態における 病的 T 細胞クローンの役割を支持するものと考えられる. 5. 赤芽球癆の診断正球性正色素性貧血と網赤血球数の著減があり, 骨髄検査にて赤芽球の著減が確認できれば, 形態学的に赤芽球癆と診断される. 網赤血球は通常 1% 未満であり,2% を超える場合には他の疾患を考慮すべきである. 通常白血球数および血小板数は正常範囲であるが, 基礎疾患により, 特に大顆粒リンパ球性白血病においては白血球数の異常を呈することがある. 貧血の発症に先行する感染症の有無および薬剤服用歴の確認は極めて重要である. もし, 被疑薬があれば中止ないし他剤に変更して約 1カ月間経過観察し, この経過観察中に病因診断を行う. 赤芽球癆の原因となり得る薬剤のリストは前述の特発性造血障害調査研究班のホームページを参照されたい. 続発性赤芽球癆の診断に必要な具体的なプロセスは, 画像検査による胸腺腫およびリンパ系腫瘍の有無, 末梢血塗抹標本の鏡見による大顆粒リンパ球増加の有無, リンパ球サブセット (CD4/CD8),T 細胞抗原受容体のクロナリティ, ヒトパルボウイルスB19のDNAの有無, 血清エリスロポエチン濃度, 固形腫瘍の有無などに関する検査を行うことである ( 図 3). ヒトパルボウイルスB19の初感染による赤芽球癆は通常急性発症をとるが,HIV 感染症や臓器移植, 化学療法後などにおいて慢性の赤芽球癆を引き起こすことがあるので, 慢性型の赤芽球癆においてもヒトパルボウイルスB19のDNA 検査を行うべきである. 1410

7 赤芽球癆の形態学的診断 正球性正色素性貧血 網赤血球の著減 骨髄赤芽球の著減 赤芽球癆の病因診断 ( 病歴聴取 ) 薬剤服用歴 先行感染症の有無 自然寛解の有無 赤芽球癆の病因診断 ( 検査 ) 末梢血塗抹標本 末梢血リンパ球サブセット骨髄細胞染色体検査画像検査 T 細胞抗原受容体遺伝子再構成 ヒトパルボウイルス B19-DNA 血中エリスロポエチン 自己抗体 平成 25 年度改訂版 特発性造血障害疾患の診療の参照ガイド ( より引用改変 図 3 赤芽球癆の診断手順 6. 赤芽球癆の治療 1) 赤芽球癆の治療方針赤芽球癆の初期治療は被疑薬の中止である. 貧血が高度で日常生活に大きな影響が出ている場合には, 赤血球輸血を考慮する. 薬剤性赤芽球癆の場合, 外因性エリスロポエチンの投与後の抗エリスロポエチン抗体による赤芽球癆を除いて, 原因薬剤の中止後 1カ月以内に改善する. 赤芽球癆の診断後 1カ月を経過しても貧血の自然軽快がみられない場合, そして基礎疾患の治療によって貧血が改善しない場合には, 免疫抑制療法を考慮する. 2) 免疫抑制療法後天性慢性赤芽球癆に対する免疫抑制薬として, 副腎皮質ステロイド, シクロスポリンおよびシクロホスファミドが古くから使用されているが, どれが最も優れているかについて検証したランダム化比較試験は, 現在まで国内外を問わず行われていない. 後天性慢性赤芽球癆に対する免疫抑制療法の主な課題は, 初回寛解導入療法に最適な薬剤は何か, 寛解維持療法はどれくらいの期間必要か, 再発 難治例に対する標準的治療は何かという点である. 後天性慢性赤芽球癆に対する最適な治療を確 立するために, 特発性造血障害に関する調査研究班 ( 小峰班 小澤班 ) は2004 年と2006 年に後ろ向き全国調査を行い, ヒトパルボウイルス B19 感染症によらない成人赤芽球癆 185 例を集積し, 病型 病因別の標準的治療を提案してきた 6~8). 特発性造血障害に関する調査研究班による疫学調査によれば, 特発性赤芽球癆および胸腺腫合併赤芽球癆に対する第一選択薬は禁忌がない限りシクロスポリンであり, 大顆粒リンパ球性白血病関連赤芽球癆に対する寛解導入療法においてはシクロホスファミドにやや優位性があると思われるが, 副腎皮質ステロイドおよびシクロスポリンも選択肢として考慮される 9). また同研究班による長期予後調査により, 特発性慢性赤芽球癆, 胸腺腫関連赤芽球癆および大顆粒リンパ球性白血病関連赤芽球癆において血液学的寛解を得た後の貧血再発は死亡リスクになり得ることが明らかにされた 10). したがって, 貧血を再燃させないための寛解維持療法は重要である. 寛解維持療法に最適な薬剤は効果および長期投薬に伴う有害事象の観点から考慮されなければならない. シクロホスファミドには二次がんリスクの増加と生殖器毒性があり, 副腎皮質ステロイドには糖尿病, 骨粗鬆症と骨折リスクの増加, 感染症の増加などの問題点がある. シク 1411

8 ロスポリンの主な有害事象は腎機能障害であるが, 特発性慢性赤芽球癆に対する寛解維持効果は強力であることから, 現時点において寛解維持療法に推奨される薬剤はシクロスポリンであると思われる. なお, 寛解維持に必要なシクロスポリンの血中濃度は明らかにされていないが,2 年以上寛解を維持している特発性慢性赤芽球癆におけるシクロスポリン維持量は初期投与量の約 40% であったことが報告されている. したがって, 初期投与量の約 50% までシクロスポリンを減量した後は, 慎重に減量を行うことが求められる. 3) 続発性慢性赤芽球癆の治療胸腺腫関連赤芽球癆における胸腺腫摘出術の貧血に対する効果は, 近年否定的な報告がなされている. 悪性リンパ腫に同時発症した赤芽球癆に対しては, 化学療法の効果に伴って貧血の改善が期待できる. 化学療法後に発症した赤芽球癆はヒトパルボウイルスB19 感染症によることがあるので留意が必要である. 免疫不全に伴う持続性ヒトパルボウイルスB19 感染症に対して静注用免疫グロブリン製剤が有効である. 妊娠に伴う赤芽球癆は分娩後 3カ月以内に自然軽快するが, 次回の妊娠時に再発しやすいことが報告されている.ABO major 不適合同種造血幹 細胞移植後赤芽球癆に対する治療介入が赤血球系造血の回復に貢献することを支持するエビデンスは得られていない. おわりに 再生不良性貧血および赤芽球癆はいずれも造血幹細胞 前駆細胞の障害によって発生する造血不全であり, 薬剤, ウイルス, 自己免疫現象, そして妊娠などに伴う続発性の病型があること, さらに特発性では免疫抑制療法が有効であるという多くの共通点がある. 両疾患において自己傷害性リンパ球の関与が重要であることを支持するエビデンスは蓄積されてきているが, 発症の引き金となる抗原, 自己傷害性リンパ球の特徴, そして造血障害のエフェクターはいまだ十分明らかにされていない. 再生不良性貧血および赤芽球癆は希少疾病であり, 病態解析を行うことは必ずしも容易ではないが, これらの疾患における免疫病態を明らかにすることは, 自己免疫疾患の発症メカニズムを解明することに貢献するものと信ずる. 著者の COI(conflicts of interest) 開示 : 本論文発表内容に関連して特に申告なし 1412

9 文献 1 ) D Andrea AD : Susceptibility pathways in Fanconi s anemia and breast cancer. N Engl J Med 362 : , ) Scheinberg P, Young NS : How I treat acquired aplastic anemia. Blood 120 : , ) Sugimori C, et al : Origin and fate of blood cells deficient in glycosylphosphatidylinositol-anchored protein among patients with bone marrow failure. Br J Haematol 147 : , ) Sugimori C, et al : Minor population of CD55-CD59-blood cells predicts response to immunosuppressive therapy and prognosis in patients with aplastic anemia. Blood 107 : , ) Katagiri T, et al : Frequent loss of HLA alleles associated with copy number-neutral 6pLOH in acquired aplastic anemia. Blood 118 : , ) Sawada K, et al : Long-term outcome of patients with acquired primary idiopathic pure red cell aplasia receiving cyclosporine A. A nationwide cohort study in Japan for the PRCA Collaborative Study Group. Haematologica 92 : , ) Fujishima N, et al : Long-term responses and outcomes following immunosuppressive therapy in large granular lymphocyte leukemia-associated pure red cell aplasia : a nationwide cohort study in Japan for the PRCA Collaborative Study Group. Haematologica 93 : , ) Hirokawa M, et al : Long-term response and outcome following immunosuppressive therapy in thymoma-associated pure red cell aplasia : a nationwide cohort study in Japan by the PRCA Collaborative Study Group. Haematologica 93 : 27 33, ) Sawada K, et al : Acquired pure red cell aplasia : updated review of treatment. Br J Haematol 142 : , )Hirokawa M, et al : Long-term outcome of patients with acquired chronic pure red cell aplasia(prca)following immunosuppressive therapy : a final report of the nationwide cohort study in 2004/2006 by the Japan PRCA Collaborative Study Group. Br J Haematol

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