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1 文 部 科 学 省 平 成 20 年 度 国 際 開 発 協 力 サポートセンター プロジェクト アジアにおける 地 域 連 携 教 育 フレームワークと 大 学 間 連 携 事 例 の 検 証 研 究 代 表 者 : 杉 村 美 紀 ( 上 智 大 学 ) 黒 田 一 雄 ( 早 稲 田 大 学 )

2 アジアにおける 地 域 連 携 教 育 フレームワークと 大 学 間 連 携 事 例 の 検 証 平 成 21 年 3 月 0

3 目 次 アジアにおける 地 域 連 携 教 育 フレームワークと 大 学 間 連 携 事 例 の 検 証 調 査 概 要 3 第 1 部 アジアにおける 地 域 連 携 教 育 フレームワークの 検 証 8 1 章 東 单 アジア 諸 国 連 合 (ASEAN) 9 2 章 東 单 アジア 教 育 大 臣 機 構 (SEAMEO) 15 3 章 アジア 太 平 洋 経 済 協 力 (APEC) 22 4 章 国 連 教 育 科 学 文 化 機 関 (UNESCO) 28 5 章 アジア 開 発 銀 行 (ADB) 35 6 章 ASEAN 大 学 ネットワーク(AUN) 44 7 章 ASEAN 工 学 系 高 等 教 育 ネットワーク(AUN/SEED-Net) 52 8 章 環 太 平 洋 大 学 協 会 (APRU) 61 9 章 アジア 太 平 洋 大 学 交 流 機 構 (UMAP) 章 アジア 太 平 洋 地 域 質 保 証 ネットワーク(APQN) 75 第 2 部 大 学 間 連 携 事 例 の 検 証 83 1 章 マラヤ 大 学 <マレーシア> 84 2 章 シンガポール 国 立 大 学 <シンガポール> 90 3 章 アモイ 大 学 < 中 国 > 97 4 章 北 京 大 学 < 中 国 > 章 高 麗 大 学 延 世 大 学 < 韓 国 > 章 チェンマイ 大 学 <タイ> 章 東 京 大 学 章 早 稲 田 大 学 章 慶 應 義 塾 大 学 章 東 京 工 業 大 学 章 大 阪 大 学 章 名 古 屋 大 学 章 九 州 大 学 182 1

4 14 章 上 智 大 学 章 立 命 館 アジア 太 平 洋 大 学 (APU) 章 京 都 大 学 章 関 西 外 国 語 大 学 章 長 崎 大 学 213 第 3 部 アジアにおける 大 学 間 地 域 連 携 教 育 フレームワークと 大 学 間 連 携 事 例 の 検 証 章 アジアにおける 国 際 高 等 教 育 交 流 連 携 状 況 の 实 証 的 考 察 章 アジアにおける 地 域 連 携 教 育 フレームワークの 構 築 に 関 する 歴 史 的 理 念 的 展 望 章 アジア 地 域 の 新 たなる 地 域 連 携 教 育 フレームワークの 構 築 の 可 能 性 と 課 題 章 アジアにおける 大 学 間 連 携 事 例 にみる 地 域 教 育 交 流 ネットワーク アジア 版 エラスムス 計 画 の 可 能 性 と 課 題 章 国 境 を 超 えた 国 際 大 学 連 携 と 日 本 の 国 際 交 流 政 策 の 課 題 301 2

5 アジアにおける 地 域 連 携 教 育 フレームワークと 大 学 間 連 携 事 例 の 検 証 調 査 概 要 1. 本 調 査 の 目 的 及 び 概 要 本 調 査 は 地 域 ならびに 大 学 機 関 別 の 連 携 教 育 を 調 査 し 今 後 アジア 版 エラスムス 計 画 に 代 表 される 国 際 教 育 交 流 の 政 策 立 案 に 資 する 情 報 を 整 理 分 析 して 今 日 的 課 題 を 明 らかにすることを 目 的 とした 本 調 査 は 大 きく 2 部 から 構 成 される 第 1 部 は 国 レベルではなく 国 際 機 関 等 が 主 導 するアジアの 地 域 連 携 教 育 フレームワークの 検 証 であり 既 存 のフレームワークならびに そこでの 实 践 プログラムを 調 査 分 析 し その 具 体 的 な 効 果 と 意 義 ならびに 将 来 計 画 を 含 めた 課 題 を 整 理 した 第 2 部 では 第 1 部 で 明 らかにされた 地 域 連 携 教 育 フレームワーク を 踏 まえながら 国 内 外 の 高 等 教 育 機 関 が 行 っている 大 学 間 連 携 の 具 体 的 事 例 の 検 証 を 行 った 具 体 的 には 日 本 国 内 の 代 表 的 な 連 携 プログラムの 事 例 ならびに 海 外 の 高 等 教 育 機 関 が 行 っている 連 携 プログラムを 調 査 分 析 し その 意 義 と 課 題 ならびに 将 来 計 画 を 明 らかにした 2.プロジェクトの 構 成 メンバーと 担 当 章 研 究 総 括 杉 村 美 紀 ( 上 智 大 学 総 合 人 間 学 部 准 教 授 ) : 第 1 部 10 章 第 2 部 章 第 3 部 4 章 黒 田 一 雄 ( 早 稲 田 大 学 大 学 院 アジア 太 平 洋 研 究 科 教 授 ) : 第 1 部 1 章 第 3 部 章 研 究 顧 問 二 宮 晧 ( 広 島 大 学 理 事 副 学 長 ) : 第 1 部 9 章 第 3 部 5 章 研 究 協 力 者 梅 宮 直 樹 ( 国 際 協 力 機 構 専 門 家 アセアン 工 学 系 高 等 教 育 ネットワークプロジェクト) : 第 1 部 6 7 章 3

6 苑 復 傑 (メディア 教 育 開 発 センター 教 授 ) : 第 2 部 3 4 章 鴨 川 明 子 ( 早 稲 田 大 学 大 学 院 アジア 太 平 洋 研 究 科 助 教 ) : 第 1 部 3 章 8 章 第 2 部 章 黒 田 千 晴 ( 大 阪 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 講 師 ) : 第 2 部 章 北 村 友 人 ( 名 古 屋 大 学 大 学 院 国 際 開 発 研 究 科 准 教 授 ) : 第 1 部 2 4 章 第 2 部 6 12 章 鳥 井 康 照 ( 桜 美 林 大 学 心 理 教 育 学 系 専 任 講 師 ) : 第 2 部 章 廣 里 恭 史 (アジア 開 発 銀 行 上 級 教 育 専 門 官 ) : 第 1 部 5 章 船 守 美 穂 ( 東 京 大 学 国 際 連 携 本 部 国 際 企 画 副 部 長 特 任 准 教 授 ) : 第 2 部 7 章 羅 京 洙 ( 早 稲 田 大 学 アジア 研 究 機 構 助 手 ) : 第 2 部 5 章 事 務 総 括 福 本 未 夏 ( 科 学 技 術 国 際 交 流 センター) リサーチアシスタント 石 山 怜 子 林 真 樹 子 伊 藤 麻 里 紗 Klara Losonczy 永 木 項 子 洪 伊 瑩 ( 早 稲 田 大 大 学 大 学 院 アジア 太 平 洋 研 究 科 ) 4

7 第 1 部 アジアにおける 地 域 連 携 教 育 フレームワークの 検 証 第 1 部 は アジア 地 域 に 既 に 存 在 する 教 育 分 野 の 地 域 連 携 フレームワークの 概 要 を 紹 介 する 取 り 上 げるフレームワークは ASEAN やアジア 開 発 銀 行 のように 教 育 を 含 む 様 々な セクターを 対 象 としている 政 府 間 フレームワーク 東 单 アジア 文 部 大 臣 機 構 やユネスコの ように 教 育 を 主 な 対 象 としている 政 府 間 フレームワーク ASEAN 大 学 ネットワークや APRU のような 大 学 間 ネットワークの 3 種 類 に 分 類 される それぞれが 地 域 統 合 や 社 会 経 済 開 発 大 学 の 国 際 連 携 強 化 のような 異 なる 目 標 を 有 しながら アジア 地 域 における 学 生 交 流 研 究 交 流 高 等 教 育 の 調 和 化 のようなアジア 版 エラスムス 構 築 にかかわる 分 野 で 活 発 な 活 動 を 行 っている そこで 第 1 部 では それぞれのフレームワークの 概 要 や 経 験 を 調 査 整 理 することにより アジア 版 エラスムス 構 築 へのインプリケーションとそのた めの 協 力 の 可 能 性 を 探 求 することとした 調 査 は 該 当 する 機 関 に 対 する 訪 問 調 査 や 文 献 やインターネットを 通 じた 調 査 の 他 实 際 にそこで 勤 務 している 関 係 者 に 寄 稿 を 仰 ぐことも 行 った 調 査 質 問 頄 目 は 以 下 のとおり である 第 1 部 の 調 査 質 問 頄 目 1 当 該 フレームワークの 成 立 過 程 略 史 目 的 理 念 2 参 加 国 参 加 機 関 3 組 織 体 制 ( 人 員 や 予 算 規 模 も 含 む また アジア 版 エラスムス 計 画 との 協 力 を 検 討 す る 際 の 組 織 的 キャパシティについても 適 宜 評 価 する ) 4 現 在 の 活 動 全 体 の 概 略 と 将 来 展 望 5 特 に 高 等 教 育 交 流 及 び 高 等 教 育 調 和 化 国 際 的 質 保 証 に 関 する 近 年 の 動 向 活 動 とそ の 成 果 評 価 展 望 6 アジア 版 エラスムス 計 画 (アジア 域 内 高 等 教 育 交 流 )へのインプリケーション 7 アジア 版 エラスムス 計 画 との 将 来 における 協 力 可 能 性 5

8 第 2 部 大 学 間 連 携 事 例 の 検 証 第 2 部 は 国 内 外 の 大 学 が 特 にアジアにおける 大 学 と 国 際 的 な 連 携 をとっているプロ グラムの 实 践 例 についてその 概 要 を 紹 介 する 第 1 部 で 述 べたように 地 域 連 携 教 育 については 国 際 機 関 等 が 様 々なフレームワーク を 構 築 展 開 しつつあるが 一 方 实 際 の 連 携 教 育 については 各 国 地 域 の 大 学 ある いは 大 学 のなかの 各 部 局 がそれぞれ 個 別 に 協 定 を 結 び 展 開 している 例 が 尐 なくない そ こで 第 2 部 では そうした 連 携 事 例 のなかから グッド プラクティスといわれる 国 内 12 大 学 の 事 例 ならびに 海 外 7 大 学 の 事 例 を 取 り 上 げ そのプログラムの 概 要 や 特 徴 につ いて 調 査 整 理 することによりアジア 版 エラスムスプログラム 構 築 に 当 たって 必 要 な 観 点 を 抽 出 することとした 調 査 は 該 当 する 大 学 を 实 際 に 訪 問 して 行 った 訪 問 調 査 の 他 文 献 調 査 インターネッ トを 通 じて 行 った 調 査 の 際 の 質 問 頄 目 は 以 下 のとおりであるが プログラムによっては これらの 質 問 に 該 当 しないものがある 場 合 もあり 以 下 の 第 2 部 の 記 述 は 本 質 問 頄 目 に 準 拠 しながらも 構 成 等 全 体 の 流 れがより 分 かりやすくなるように 記 載 した 第 2 部 の 調 査 質 問 頄 目 1.プログラム 名 2.プログラム 参 加 大 学 3.プログラム 实 施 開 始 年 および 期 間 4.プログラムの 概 要 と 特 徴 プログラム 運 営 の 組 織 形 態 ( 事 務 局 ならびに 教 職 員 体 制 ) プログラムの 準 備 調 整 のプロセス プログラム 实 施 言 語 プログラムの 具 体 的 内 容 学 生 のプログラム 参 加 要 件 既 存 のプログラムとの 関 連 性 5.エラスムス 計 画 の 特 徴 である 以 下 の 点 の 取 り 扱 いについてはどうか 卖 位 互 換 授 業 料 免 除 奨 学 金 6

9 6.プログラムの 質 保 証 に 関 して 何 か 具 体 的 な 対 忚 をしているか 7.プログラムを 实 施 ならびに 継 続 する 上 での 課 題 8. 将 来 計 画 9. 地 域 連 携 教 育 についての 意 見 や 課 題 7

10 第 1 部 アジアにおける 地 域 連 携 教 育 フレームワークの 検 証 8

11 1 章 ASEAN( 東 单 アジア 諸 国 連 合 )による 域 内 教 育 協 力 フレームワーク 1. 成 立 過 程 略 史 目 的 理 念 参 加 国 東 单 アジア 諸 国 連 合 (Association of South-East Asian Nations 以 下 ASEAN)は 1967 年 8 月 に インドネシア マレーシア フィリピン シンガポール タイの 5 カ 国 を 原 加 盟 国 として 設 立 された 東 单 アジアには ASEAN の 前 身 として 東 单 アジア 連 合 (ASA) が タイ フィリピン マラヤ 連 邦 の 3 カ 国 によって 1961 年 に 結 成 されていた が ベトナム 戦 争 を 背 景 として 地 域 協 力 の 機 運 が 高 まり インドネシア シンガポール を 加 えて バンコク 宠 言 を 採 択 し ASEAN が 発 足 した 原 加 盟 国 に 加 えて 1984 年 に ブルネイが 加 盟 し 95 年 にベトナム 97 年 にラオス ミャンマー 99 年 にカンボジアが 加 盟 し 現 在 では 10 カ 国 体 制 となっている ASEAN の 目 的 は 歴 史 と 共 に 変 容 してきたが 主 に(1) 域 内 の 経 済 成 長 社 会 文 化 的 発 展 の 促 進 (2) 域 内 における 政 治 経 済 的 安 定 の 確 保 (3) 域 内 諸 問 題 に 関 する 協 力 等 が 挙 げられる 2. 組 織 体 制 ASEAN の 組 織 体 制 は 首 脳 会 議 の 下 に 外 務 大 臣 経 済 関 係 大 臣 財 務 大 臣 他 各 分 野 別 の 閣 僚 会 議 が 毎 年 開 催 され その 下 に 实 務 者 会 合 が 存 在 する 形 になっている 保 健 環 境 労 働 情 報 国 境 を 超 える 犯 罪 等 閣 僚 レベルの 定 期 会 合 が 開 催 される 分 野 は 数 多 い が 教 育 もその 対 象 分 野 の 一 つである 上 記 のような 各 種 会 議 や 事 業 を 担 当 するために 1976 年 から 常 設 事 務 局 がインドネシア のジャカルタに 設 置 されている 事 務 局 体 制 は 経 済 統 合 金 融 局 対 外 関 係 調 整 局 資 源 開 発 局 の 3 局 から 成 り 専 門 職 約 60 名 事 務 職 約 170 名 が 勤 務 している このうち 機 能 的 協 力 を 担 当 する 副 事 務 総 長 が 直 轄 する 資 源 開 発 局 の 中 に 人 間 開 発 部 (Human Development Unit)が 置 かれており 教 育 セクターを 担 当 している ただ 2009 年 2 月 の 調 査 時 点 で 教 育 を 担 当 する 職 員 は 1 名 のみであった 9

12 3. 現 在 の 活 動 全 体 の 概 略 と 将 来 展 望 (1)ASEAN ビジョン 2020 とハノイ 行 動 計 画 当 初 は 各 国 外 務 省 中 心 の 組 織 であったが 近 年 は 政 治 経 済 社 会 文 化 等 の 広 範 囲 な 分 野 を 対 象 として 地 域 協 力 ひいては ASEAN 共 同 体 の 实 現 地 域 統 合 を 目 指 す 地 域 的 国 際 機 構 となり 行 動 計 画 により 活 動 しており 教 育 もそれぞれに 位 置 づけられてい る 1996 年 の 第 1 回 ASEAN 非 公 式 首 脳 会 議 (ジャカルタ)において 起 草 が 合 意 され 翌 年 の 第 2 回 非 公 式 ASEAN 首 脳 会 議 (クアラルンプール)で 採 択 された ASEAN ビジョ ン 2020 では 東 单 アジアが ASEAN 共 同 体 となることを 目 標 とし 経 済 政 治 文 化 等 の 多 様 な 分 野 を 包 括 する 地 域 協 力 の 在 り 方 を 提 示 することが 意 図 され 地 域 のダイナ ミックな 発 展 のためには 人 材 育 成 のための 域 内 の 国 際 協 力 が 必 要 であることが 指 摘 され た また 1998 年 第 6 回 ASEAN 公 式 首 脳 会 議 (ハノイ)において 上 記 ASEAN ビジ ョン 2020 採 択 された ハノイ 行 動 計 画 (1999 年 年 )においては 10 の 目 標 の 一 つとして 人 的 資 源 開 発 を 促 進 する ことが 挙 げられ 以 下 のような 具 体 的 な 目 標 が 掲 げられた 5.1 ASEANの 大 学 間 ネットワークを 強 化 し 及 びそれをASEAN 大 学 に 形 成 させる 作 業 を 進 める 5.2 家 庭 環 境 等 でハンディキャップを 負 った 人 を 含 むあらゆるグループの 人 が 基 本 的 な 一 般 的 な 及 びより 高 度 な 教 育 に 平 等 にアクセスできるよう2001 年 までに 加 盟 国 における 教 育 制 度 を 強 化 する 5.3 自 家 営 業 及 び 企 業 家 に 機 会 を 与 えるためにASEAN 非 公 式 部 門 開 発 作 業 計 画 を 实 施 する 5.4 卒 業 後 の 若 者 が 有 給 採 用 を 取 得 する 能 力 を 強 化 するために ASEAN 卒 後 青 年 技 能 訓 練 作 業 計 画 を2004 年 までに 实 施 する 5.5 HRDセンター オブ エクセレンスの 地 域 ネットワーク 造 りを 強 化 し 並 び にHRD 計 画 立 案 及 び 労 働 市 場 モニタリングに 対 する 地 域 キャパシティを 開 発 す る 5.6 教 育 及 び 訓 練 のネットワーク 特 に 職 業 上 の 安 全 及 び 健 康 卒 後 青 年 のための 技 能 訓 練 遠 距 離 教 育 を 促 進 するネットワークを2004 年 までに 確 立 しかつこれを 強 化 する 10

13 5.7 家 庭 環 境 等 でハンディキャップを 負 った 女 性 が 労 働 力 に 参 入 するキャパシテ ィを 高 揚 するためにASEAN 女 性 技 能 訓 練 ネットワークを 強 化 する 5.8 産 業 及 びビジネスのニーズを 取 り 込 むASEAN 科 学 技 術 人 的 資 源 計 画 の 实 施 を2000 年 までに 開 始 する 5.9 ASEANの 文 官 のための 地 域 訓 練 計 画 を 实 施 し 及 びASEANの 文 官 委 員 会 間 のネットワークを 強 化 する 5.10 技 術 及 び 専 門 の 資 格 並 びに 技 能 規 格 の 地 域 可 動 性 及 び 相 互 承 認 を 促 進 するた めに 専 門 資 格 認 定 団 体 のネットワークの 確 立 を1999 年 に 開 始 する ( 日 本 アセアンセンターホームページ (2)ASEAN 第 二 協 和 宠 言 とビエンチャン 行 動 計 画 2003 年 の 第 9 回 ASEAN 首 脳 会 議 (バリ)においては ASEAN 共 同 体 の 柱 として ASEAN 安 全 保 障 共 同 体 ASEAN 経 済 共 同 体 ASEAN 社 会 文 化 共 同 体 の 3 つの 共 同 体 形 成 を 目 指 すことを 明 記 した ASEAN 第 二 協 和 宠 言 が 合 意 された この 宠 言 では 教 育 は ASEAN 社 会 文 化 共 同 体 の 一 部 と 認 識 され 社 会 文 化 共 同 体 の 6 つの 目 標 の 2 つとし て 以 下 の 文 面 が 盛 り 込 まれた 3.ASEAN は 基 礎 高 等 教 育 訓 練 科 学 技 術 開 発 雇 用 対 策 及 び 社 会 的 保 護 に 投 資 することにより その 労 働 力 が 経 済 統 合 から 恩 恵 を 得 ることを 確 保 する 人 材 育 成 は 雇 用 創 出 貧 困 社 会 経 済 格 差 の 削 減 公 正 な 経 済 成 長 の 確 保 するた めの 重 要 な 戦 略 である ASEAN は 地 域 の 流 動 性 技 能 職 業 卖 位 技 能 技 能 水 準 の 相 互 承 認 を 促 進 する 現 在 の 努 力 を 継 続 する 5.ASEAN 社 会 文 化 共 同 体 (ASCC)は ASEAN の 地 域 の 一 体 性 を 促 進 し ASEAN の 人 々の 意 識 を 培 う 一 方 ASEAN の 多 様 な 文 化 遺 産 を 保 存 するために 才 能 を 育 て ASEAN の 学 者 作 家 芸 術 家 報 道 関 係 者 の 間 の 関 係 を 促 進 する ( 外 務 省 ホームページ 翌 年 2004 年 の 第 10 回 ASEAN 首 脳 会 談 (ビエンチャン)においては 上 記 協 和 宠 言 を 具 体 化 するため 統 合 され 平 和 で 思 いやりのある ASEAN 共 同 体 における 繁 栄 と 運 命 の 共 有 に 向 けて をテーマにした ビエンチャン 行 動 計 画 が 採 択 された 特 に 社 会 文 化 共 同 11

14 体 实 現 のために 調 和 のある 人 間 中 心 の ASEAN における 持 続 可 能 な 開 発 のための 人 文 化 自 然 資 源 を 育 てる ことが 目 的 として 掲 げられ 戦 略 的 要 点 として 教 育 アクセス 促 進 や 人 材 育 成 などによる 経 済 統 合 の 社 会 影 響 の 管 理 が 盛 り 込 まれた (3)ASEAN 教 育 大 臣 会 合 ASEAN の 枞 組 みによる 初 めての 教 育 大 臣 会 合 は 1977 年 にマニラで 開 催 された この 時 には 職 業 教 育 教 師 教 育 試 験 制 度 教 育 運 営 情 報 システム 特 殊 教 育 ASEAN 大 学 構 想 等 多 方 面 にわたる ASEAN の 教 育 課 題 が 話 し 合 われたが ASEAN と 並 行 して 東 单 アジ ア 文 部 大 臣 機 構 (SEAMEO)が 活 発 な 活 動 を 展 開 していたことから ASEAN としての 枞 組 みでの 教 育 関 係 の 大 臣 会 合 は 長 く 限 定 的 であった しかし 上 記 のように 1990 年 代 の 後 半 の ASEAN ビジョン 2020 策 定 以 降 ASEAN の 教 育 分 野 の 取 り 組 みや 政 策 レベルの 教 育 が 再 び 盛 んになっている 近 年 では 2006 年 にシンガポールで 第 41 回 SEAMEO 会 合 と 合 同 で 第 1 回 ASEAN 教 育 大 臣 会 合 が 開 催 され 主 に ASEAN アイデンティティ や ASEAN 社 会 文 化 共 同 体 意 識 の 醸 成 国 家 開 発 のための 教 育 の 質 が 議 論 された 前 者 に 関 しては 以 下 のような 合 意 がされた A. 各 加 盟 国 における ASEAN 研 究 の 分 野 の 教 育 リソースを 強 化 する そのため ASEAN 各 国 間 での ICT の 活 用 による 情 報 整 備 を 重 視 する ASEAN 事 務 局 は 各 加 盟 国 や SEAMEO と 協 力 して ASEAN に 関 する 学 校 教 材 として 活 用 するための ASEAN に 関 する 本 の 編 纂 を 進 める B. ASEAN の 学 生 や 教 師 が ASEAN に 関 する 研 究 学 習 を 通 じて ASEAN 意 識 を 醸 成 し 人 と 人 の 交 流 を 通 じて 互 いの 絆 を 深 め ASEAN アイデンティティを 強 化 できるような 活 動 を 強 化 する C. ASEAN の 共 同 体 における 多 民 族 性 や 多 様 性 の 有 する 課 題 と 機 会 について ASEAN 加 盟 国 の 研 究 者 の 間 で 協 力 的 な 関 係 を 創 造 し 支 援 する これは ASEAN の 教 育 政 策 決 定 者 が 活 用 できる 成 果 を 上 げるものでなくてはならない この 目 的 のために シンガポールの 東 单 アジア 研 究 所 が 共 同 研 究 を 準 備 し その 研 究 結 果 に 関 する 国 際 会 議 を 開 催 する また この 研 究 結 果 からの 提 言 については 第 2 回 教 育 大 臣 会 合 で 発 表 されることも 決 定 された また 後 者 の 教 育 の 質 については 言 語 教 育 職 業 技 術 教 育 学 校 運 営 の 3 つの 分 野 に 焦 点 を 当 てて 加 盟 各 国 における 情 報 共 有 や 国 際 協 力 が 提 案 された 12

15 2007 年 にバリで 開 催 された 第 2 回 ASEAN 教 育 大 臣 会 合 ( 第 42 回 SEAMEO 大 臣 会 合 と 共 に 開 催 )では 以 下 のことが 話 し 合 われた (1)ASEAN 憲 章 の 教 育 における 活 用 ASEAN 市 民 の 育 成 や ASEAN アイデンティ ティの 涵 養 における 教 育 の 重 要 性 そのための 多 様 性 や 他 文 化 性 を 基 とした 精 神 の 教 育 の 質 やアクセスの 平 等 などへの 特 別 の 配 慮 (2) ASEAN 学 生 交 流 計 画 の 継 続 と 加 盟 国 が 輪 番 で 開 催 国 となること (3) 理 数 科 に 関 する 高 校 のネットワークの 形 成 (4)ASEAN と SEAMEO の 協 力 ASEAN の 大 学 ネットワークを 強 化 することによる 学 生 の 間 の ASEANess の 促 進 (5) 東 アジアサミット 参 加 国 との 教 員 訓 練 言 語 教 育 ( 特 に 英 語 教 育 ) 職 業 技 術 教 育 教 育 における IT の 活 用 等 の 分 野 においての 協 力 関 係 の 樹 立 2008 年 には 第 3 回 ASEAN 教 育 大 臣 会 合 ( 第 43 回 SEAMEO 大 臣 会 合 と 共 に 開 催 )が クアラルンプールで 開 催 され 前 年 に 締 結 されこの 年 に 全 加 盟 国 が 批 准 した ASEAN 憲 章 に ASEAN の 人 々のエンパワーメントと ASEAN 共 同 体 の 強 化 のために 教 育 協 力 が 必 要 であるとの 文 言 が 盛 り 込 まれたことを 踏 まえて 社 会 文 化 共 同 体 の 枞 を 超 えて ASEAN の 競 争 力 増 進 や ASEAN 意 識 ASEAN アイデンティティの 促 進 といった 目 的 のための 教 育 協 力 が 議 論 された また 2007 年 初 めの 東 アジアサミットでの 議 論 を 踏 まえて EAS の 枞 組 みによる 教 育 協 力 を SEAMEO や ASEAN 事 務 局 との 協 力 によって 進 展 させることも 合 意 された 4. 特 に 高 等 教 育 交 流 及 び 高 等 教 育 調 和 化 国 際 的 質 保 証 に 関 する 近 年 の 活 動 とその 成 果 上 記 行 動 計 画 のそれぞれに 教 育 は 位 置 づけられ 特 に 高 等 教 育 分 野 の 活 動 は 社 会 文 化 共 同 体 構 築 のための 重 要 課 題 として 認 識 されている また ASEAN 教 育 大 臣 会 合 の 枞 組 みも 近 年 活 性 化 している ただ 实 際 の 活 動 は 主 に ASEAN 大 学 ネットワークと SEAMEO RIHED に 相 当 程 度 委 ねられている たとえば 上 記 2008 年 の ASEAN 教 育 大 臣 会 合 では ASEAN 大 学 ネットワークの 役 割 や SEAMEO 特 に SEAMEO RIHED との 緊 密 な 協 力 の 上 に 高 等 教 育 分 野 における 地 域 的 協 力 フレームワークを 進 展 させるべ きという 方 向 が 合 意 されており 今 後 も この 2 機 関 が ASEAN における 高 等 教 育 交 流 13

16 高 等 教 育 調 和 化 国 際 的 質 保 証 に 関 する 議 論 を 牽 引 することを ASEAN としても 公 式 に 認 めている 筆 者 が ASEAN 事 務 局 で 行 った 聞 き 取 り 調 査 においても ASEAN 事 務 局 には 教 育 を 担 当 するオフィサーが 1 人 しかおらず 基 本 的 には 上 記 2 機 関 がこの 分 野 の 活 動 は 担 っていることが 確 認 された 上 記 2 機 関 の 活 動 については 本 報 告 書 の 該 当 章 を 参 照 され たい 5. アジア 版 エラスムス 計 画 (アジア 域 内 高 等 教 育 交 流 )へのインプリケーション 及 び アジア 版 エラスムス 計 画 との 将 来 における 協 力 可 能 性 このように ASEAN 事 務 局 では 高 等 教 育 交 流 を 直 接 担 当 しておらず また 教 育 分 野 に おける 人 的 なキャパシティも 弱 いため アジア 版 エラスムス 計 画 实 施 に 当 たっては ASEAN 大 学 ネットワークや SEAMEO RIHED に 協 力 を 仰 ぐ 方 が 良 いのではないか と の 意 見 が 聞 かれた ただし ASEAN 事 務 局 は ASEAN だけではなく ASEAN+3や 東 アジアサミットの 事 務 局 として 政 策 的 議 論 や 政 策 形 成 に 資 することを 役 割 としているた め アジア 版 エラスムス 計 画 の 政 策 的 環 境 を 整 えるためには 関 係 諸 機 関 と 連 携 してい きたいとの 意 思 表 明 があった 備 考 アフリカ 連 合 の ニエレレ 計 画 について 筆 者 は ASEAN 事 務 局 での 聞 き 取 り 調 査 の 後 科 学 研 究 費 プロジェクトで アジスアベ バに 所 在 するアフリカ 連 合 (African Union)の 事 務 局 を 訪 問 し 教 育 協 力 の 地 域 的 フレー ムワークに 調 査 する 機 会 を 得 た 地 域 統 合 を 志 向 する 機 関 として 長 い 歴 史 を 有 するアフリ カ 連 合 においても 教 育 協 力 は 主 要 セクターの 一 つであり 特 に 高 等 教 育 については EU の 支 援 を 受 けて 域 内 交 流 を 活 性 化 させるため ニエレレ 計 画 の 实 施 を 協 議 中 であった まさに 本 計 画 は アフリカ 版 エラスムス 計 画 と 呼 べるもので 興 味 深 いが 現 在 AU と EU の アフリカ 共 同 戦 略 の 一 環 として 5カ 年 の 实 施 が 協 議 されている その 目 的 は 第 一 にアフリカ(に 一 部 カリブと 太 平 洋 の 国 々を 含 む ACP 諸 国 ) 域 内 での 主 に 大 学 院 レベ ルでの 学 生 交 流 と ヨーロッパとアフリカの 大 学 間 ツイニング プログラムを 促 進 するこ とにある 具 体 的 には 1この 枞 組 みに 認 証 されたアフリカにおける 大 学 院 レベルの 教 育 プログラムに 年 間 250 人 程 度 のアフリカの 大 学 院 生 が 最 大 2 年 間 留 学 する 費 用 を 支 援 すること 及 び22つ 以 上 の ACP の 大 学 の 間 における 教 員 交 流 や 共 同 研 究 共 同 教 育 プ ログラム 等 の 国 際 大 学 間 連 携 を 進 化 させるための 支 援 の2つの 方 向 性 が 検 討 されている 14

17 2 章 東 单 アジア 教 育 大 臣 機 構 (SEAMEO)による 高 等 教 育 分 野 の 地 域 連 携 フレームワーク 1. 東 单 アジア 教 育 大 臣 機 構 の 概 要 東 单 アジア 教 育 大 臣 機 構 (SEAMEO)は 東 单 アジア 地 域 における 教 育 科 学 文 化 に 関 する 域 内 協 力 を 推 進 することを 目 的 として 1965 年 11 月 30 日 に 設 立 された 国 際 機 関 で ある 事 務 局 は タイのバンコクに 置 かれている SEAMEO の 設 立 は ラオス マレーシ ア シンガポール タイ ベトナム 共 和 国 ( 当 時 : 略 称 单 ベトナム)の 教 育 大 臣 たちと フィリピンのユネスコ 国 内 委 員 会 議 長 アメリカの 大 統 領 特 別 顧 問 が 出 席 してバンコクで 開 かれた 会 議 において 決 定 された 現 在 の 加 盟 国 は ブルネイ カンボジア インドネシ ア ラオス マレーシア ミャンマー(ビルマ) フィリピン シンガポール タイ 東 チ モール ベトナムの 11 カ 国 である これらの 加 盟 国 に 加 えて オーストラリア カナダ フランス ドイツ オランダ ニュージーランド ノルウェー スペインが 準 加 盟 国 (Associate Member Countries)であり 公 開 遠 隔 教 育 のための 国 際 評 議 会 (International Council for Open and Distance Education: ICDE)が 提 携 機 関 (Affiliate Member) 日 本 が 連 携 国 (Partner Country)となっている この 他 にも さまざまな 国 が SEAMEO に 対 して 協 力 を 行 っており 特 に 近 年 では 韓 国 や 中 国 が 積 極 的 な 姿 勢 を 示 している SEAMEO は 能 動 的 であり 自 助 的 であり 戦 略 的 な 政 策 を 推 進 し 国 際 的 に 認 知 さ れた 地 域 機 関 として より 質 の 高 い 生 活 を 实 現 するための 教 育 科 学 文 化 の 諸 領 域 で 域 内 における 相 互 理 解 と 協 力 を 推 進 すること 1 をビジョンとして 掲 げている こうしたビジ ョンを 实 現 するために SEAMEO では 東 单 アジア 地 域 内 におけるネットワークとパート ナーシップを 構 築 し 政 策 立 案 者 や 専 門 家 たちが 意 見 交 換 や 情 報 の 共 有 を 行 うための 知 的 フォーラムの 場 を 提 供 するとともに 加 盟 国 の 開 発 に 資 するための 人 材 育 成 や 調 査 研 究 を 行 っている SEAMEO が 取 り 組 んでいる 事 業 領 域 は 主 に 次 の 7 つの 分 野 である (1) 農 1 SEAMEO のウェブサイト ( [2009 年 2 月 10 日 閲 覧 ]より 引 用 本 稿 における SEAMEO の 基 礎 的 な 情 報 については 同 ウェブサイトを 参 照 した 15

18 業 と 天 然 資 源 (2) 文 化 と 伝 統 (3) 情 報 コミュニケーション 技 術 (ICT) (4) 言 語 (5) 貧 困 削 減 (6) 予 防 的 な 健 康 教 育 (7) 教 育 における 質 と 公 正 なお SEAMEO の 予 算 は 加 盟 国 からの 拠 出 金 に 加 えて 準 加 盟 国 連 携 国 ならびに 関 係 諸 国 からの 支 援 によって 賄 われている 2 SEAMEO には 本 部 に 加 えて 15 の 専 門 機 関 (センター)が 設 立 されている 各 センタ ーの 予 算 や 管 理 運 営 に 関 する 決 定 は 加 盟 各 国 の 幹 部 級 の 教 育 行 政 官 たちによって 構 成 さ れる 理 事 会 が 行 っている また センターの 運 営 経 費 やプロジェクト 経 費 は 基 本 的 にそ れらの 機 関 が 所 在 する 国 (ホスト 国 )からの 拠 出 金 によって 賄 われているが 特 定 のプロ ジェクトなどに 関 しては 他 の 資 金 源 から 供 出 されることもある 本 稿 では 15 のセンター のなかでも 東 单 アジア 地 域 の 高 等 教 育 分 野 におけるネットワーキングや 基 準 設 定 (standard setting)を 積 極 的 に 行 っている SEAMEO 高 等 教 育 開 発 地 域 センター (SEAMEO Regional Centre for Higher Education and Development) の 事 業 に 焦 点 を 当 て 特 に 同 センターが 近 年 取 り 組 んでいる 重 要 課 題 などについて 概 説 する 2.SEAMEO 高 等 教 育 開 発 地 域 センター (SEAMEO Regional Centre for Higher Education and Development: RIHED) 3 SEAMEO 高 等 教 育 開 発 地 域 センター(RIHED)は 1959 年 に 国 連 教 育 科 学 文 化 機 関 (UNESCO)と 国 際 大 学 協 会 (IAU)がフォード 財 団 の 支 援 を 受 けて 設 立 した 高 等 教 育 開 発 地 域 研 究 所 (Regional Institute of Higher Education and Development: RIHED)がそ の 起 源 であり 1970 年 になってインドネシア カンボジア シンガポール タイ マレー シア ベトナム ラオスの 7 カ 国 を 加 盟 国 としてシンガポールに 正 式 に 開 設 された その 後 1980 年 代 半 ばから 事 業 が 停 滞 し 出 したことを 受 けて 新 たにタイ 政 府 がホストとなっ てタイのバンコクに 仮 の 施 設 を 開 設 し 1992 年 には SEAMEO の 専 門 機 関 (センター)と して 正 式 に 位 置 づけられることになった 2 加 盟 国 の 拠 出 金 の 額 は アジア 開 発 銀 行 に 対 する 各 国 の 拠 出 金 の 基 準 に 基 づき 算 出 されている 3 本 節 ならびに 次 節 の SEAMEO 高 等 教 育 開 発 地 域 センター(RIHED)の 取 り 組 みに 関 する 記 述 は 主 に Supachai(2009)ならびに RIHED のウェブサイト( の 情 報 に 依 拠 している 16

19 RIHED の 事 業 目 的 は SEAMEO 加 盟 国 が 各 国 の 高 等 教 育 の 効 率 性 と 効 果 を 高 めるため の 支 援 を 行 うことにあり 人 的 資 源 開 発 の 広 範 な 分 野 を 含 めた 高 等 教 育 政 策 の 策 定 や 高 等 教 育 行 政 の 管 理 運 営 に 対 する 助 言 技 術 支 援 専 門 教 育 の 实 施 政 策 志 向 的 な 調 査 研 究 の 推 進 などを 行 っている また 地 域 センターとして 東 单 アジア 地 域 における 高 等 教 育 に 関 する 情 報 や 調 査 研 究 の 成 果 などを 域 内 ならびに 域 外 に 伝 える 役 割 も 担 っている さら には 東 单 アジア 地 域 の 高 等 教 育 機 関 研 究 機 関 がネットワークを 構 築 する 際 の 支 援 など も 行 っている 近 年 の RIHED が 優 先 課 題 として 設 定 している 領 域 は 主 に 次 の 7 領 域 である すなわ ち 1 高 等 教 育 行 政 における 管 理 運 営 2 質 保 証 とベンチマーキング 3 情 報 コミュニケ ーション 技 術 の 活 用 4 効 果 的 な 教 授 法 (Learning-Teaching Methodology) 5 研 究 能 力 の 向 上 6 私 的 部 門 ならびに 産 業 との 連 携 の 推 進 7 地 域 的 なネットワークや 集 合 体 へ の 関 与 (たとえば ASEAN 大 メコン 川 流 域 圏 (GMS) 東 アセアン 成 長 地 域 (BIMP-EAGA) など)であり 高 等 教 育 の 質 的 な 向 上 や 高 等 教 育 市 場 の 国 際 化 ならびに 多 様 化 など 東 单 アジア 地 域 においても 欧 米 や 東 北 アジアなどの 高 等 教 育 市 場 の 動 向 と 基 本 的 に 共 通 した 課 題 を 抱 えていることが 窺 える 特 に 高 等 教 育 の 質 に 関 する 領 域 で RIHED は 質 保 証 (Quality Assuarance)の 基 準 や 方 法 に 関 する 地 域 的 なガイドラインや 枞 組 みを 開 発 する 事 業 に 取 り 組 んでいる 質 保 証 に 関 する 問 題 は 東 单 アジア 地 域 内 における 高 等 教 育 の 連 携 を 調 整 促 進 するうえで 非 常 に 重 要 なものであると 捉 えられている そのため RIHED は 域 内 のさまざまな 関 係 機 関 との 連 携 を 強 化 している たとえば そうした 関 係 機 関 の 中 でも 高 等 教 育 の 質 保 証 機 関 の 国 際 的 ネットワーク(International Network for Quality Assurance Agencies in Higher Education: INQAAHE)の 地 域 ネットワークであるアジア 太 平 洋 質 保 証 ネットワーク (Asia-Pacific Quality Network: APQN)は 同 ネットワークの 加 盟 国 における 質 保 証 や 卖 位 互 換 制 度 の 開 発 などに 対 して 助 言 や 専 門 知 識 を 提 供 しており RIHED も 積 極 的 に 情 報 の 共 有 などを 進 めている また ASEAN University Network による Quality Assurance (AUN-QA)も 東 单 アジア 地 域 内 での 質 保 証 のガイドラインを 作 成 しており RIHED と しても 連 携 を 図 ろうとしているようである 17

20 東 单 アジア 地 域 では 高 等 教 育 の 質 保 証 に 関 して 域 内 の 格 差 が 顕 著 である インドネシ ア タイ フィリピン マレーシアなど すでに 国 内 での 質 保 証 のメカニズムを 独 自 に 開 発 確 立 している 国 々がある 一 方 カンボジア ミャンマー(ビルマ) ラオスなどでは 質 保 証 のための 制 度 設 計 が 十 分 に 進 んでいない 状 況 にある こうした 域 内 格 差 は 東 单 アジ ア 地 域 における 共 通 の 質 保 証 のフレームワークを 開 発 する 上 で 大 きな 障 壁 となっている こうした 状 況 に 対 して RIHED では 域 内 のサブ 地 域 (GMS など)における 質 保 証 に 関 わる 大 学 評 価 機 関 のネットワーク 形 成 を 支 援 するといったアプローチを 採 っている 東 单 アジア 地 域 の 全 体 的 なネットワークではなく サブ 地 域 でのネットワーク 化 を 推 進 する 理 由 としては 域 内 格 差 の 存 在 が 最 も 大 きいと 思 われる また RIHED による 質 保 証 ネット ワークへのアプローチは 既 存 の 国 際 的 ネットワーク(INQAAHE)や 地 域 的 ネットワー ク(APQN)には 同 地 域 のすべての 国 が 参 加 しているわけではないといった 事 情 4や AUN-QA が 域 内 の 尐 数 の 主 要 大 学 (AUN 加 盟 大 学 )でしか 利 用 されておらず 大 学 や 研 究 機 関 レベルでの 質 保 証 に 主 な 焦 点 を 合 わせているといった 状 況 からも 影 響 を 受 けてい ると 考 えられる 2008 年 7 月 には RIHED はマレーシア 認 証 機 関 (MQA)との 緊 密 な 協 力 のもとに マレーシアのクアラルンプールで 第 1 回 ASEAN 質 に 関 する 円 卓 会 議 (ラウンドテーブル) を 共 同 開 催 した この 会 議 において 高 等 教 育 の 調 和 化 (harmonization)を 進 めるうえで 質 保 証 が 重 要 な 役 割 を 果 たすことが 確 認 され 質 保 証 に 関 する 協 調 や 情 報 の 共 有 化 を 促 す クアラルンプール 宠 言 (Kula Lumpur Declaration) が 採 択 された また この 会 議 では 東 单 アジア 諸 国 の 大 学 評 価 機 関 認 証 機 関 のネットワークとして ASEAN 質 保 証 ネ ットワーク(ASEAN Quality Assurance Network: AQAN)を 創 設 することが 合 意 された このネットワークを 通 して 各 国 の 関 係 機 関 がお 互 いの 経 験 (good practice)を 学 び 合 う とともに ASEAN としての 質 保 証 の 枞 組 みの 開 発 能 力 開 発 に 関 する 連 携 の 促 進 各 国 の 資 格 を 国 際 的 に 認 証 し 合 うことや 人 の 流 動 性 の 高 まりなどを 促 進 することが 期 待 されて いる 年 2 月 現 在 APQN の 正 会 員 (Full Member)となっているのは インドネシア カン ボジア タイ マレーシア フィリピン ベトナムの 大 学 評 価 機 関 である また ラオスの 教 育 省 高 等 技 術 職 業 教 育 局 が 準 会 員 (Associate Member)となっている APQN のウェブサイ ト( 年 2 月 19 日 閲 覧 ]を 参 照 した 18

21 なお 高 等 教 育 の 質 保 証 のための 枞 組 み 作 りに 関 しては RIHED の 他 にも SEAMEO の 各 センターで 特 定 分 野 に 関 する 取 り 組 みを 展 開 している たとえば SEAMEO 遠 隔 教 育 地 域 センター(SEAMEO Regional Open Learning Centre: SEAMOLEC)は 加 盟 諸 国 に おける 遠 隔 教 育 の 質 的 な 向 上 を 促 すために 研 修 や 調 査 研 究 を 行 っている また 東 单 アジ ア 農 業 教 育 研 究 地 域 センター(Southeast Asian Regional Center for Graduate Study and Research in Agriculture: SEARCA)では SEAMEO 加 盟 諸 国 における 農 業 教 育 分 野 の 質 的 な 向 上 を 促 すための 枞 組 み 作 りなどを 行 っている 3. 東 单 アジアにおける 高 等 教 育 の 調 和 化 (harmonization) 近 年 東 单 アジア 諸 国 連 合 (ASEAN) 諸 国 の 間 では ASEAN 共 同 体 を 構 築 することの 可 能 性 について 議 論 が 交 わされており ASEAN の 社 会 文 化 面 における 共 同 体 を 形 成 していく うえで 教 育 分 野 が 果 たすべき 役 割 は 大 きいという 認 識 が 共 有 されつつある 特 に 高 等 教 育 分 野 は ASEAN のアイデンティティ 構 築 や ASEAN 共 同 体 の 多 様 性 を 促 進 するに 際 して 重 要 な 役 割 を 果 たすと 考 えられる また 語 学 教 育 職 業 技 術 教 育 学 校 でのリーダーシ ップ 能 力 の 強 化 などを 通 して 教 育 セクター 全 体 の 質 の 向 上 を 図 る 中 で 高 等 教 育 分 野 も 発 展 することが 期 待 されている こうした ASEAN の 状 況 を 背 景 として RIHED は 2007 年 に SEAMEO に 対 して 東 单 アジアにおける 高 等 教 育 の 地 域 統 合 のための 構 造 的 枞 組 み- 共 通 空 間 (common space)へ の 道 - と 題 する 提 案 を 行 った この 提 案 では 高 等 教 育 の 統 合 と 調 和 化 のための 地 域 的 なメカニズムや 枞 組 みの 重 要 性 が 強 調 された その 際 次 の 5 点 について 特 に 注 意 する 必 要 があると 指 摘 された それらは 1ASEAN の 質 的 な 枞 組 みおよびカリキュラムの 開 発 2 学 生 の 流 動 性 3リーダーシップ 4e ラーニングと 遠 隔 学 習 5ASEAN の 研 究 クラス ター であった さらに 2008 年 11 月 には 東 单 アジア 地 域 における 高 等 教 育 の 地 域 化 を 考 えるための 会 議 を RIHED が 主 催 した 日 本 の 国 際 交 流 基 金 の 支 援 を 受 けて 開 催 された この 会 議 では 高 等 教 育 の 共 通 空 間 (higher education common space) をどのように 構 築 するかといったことが 議 論 された この 会 議 に 先 立 っては 5 カ 国 (マレーシア イン ドネシア フィリピン タイ ベトナム)での 事 前 ワークショップも 開 催 され 各 国 の 公 的 部 門 民 間 部 門 研 究 部 門 から 利 害 関 係 者 たちが 参 加 して さまざまな 議 論 が 交 わされ 19

22 た これらの 事 前 ワークショップならびに 会 議 を 通 して 確 認 された 東 单 アジアにおける 将 来 の 高 等 教 育 の 調 和 化 プロセスに 関 する 主 な 論 点 は 表 1 に 示 す 通 りである 表 1: 東 单 アジアにおける 将 来 の 高 等 教 育 の 調 和 化 プロセスに 関 する 主 な 論 点 論 点 成 果 1. 高 等 教 育 の 理 想 形 参 照 軸 となる あるいは 文 化 の 多 様 性 と 国 民 性 への 強 い 認 識 に 適 合 しうる システムもしくは 分 野 2. 優 先 分 野 (ガイドライ ンまたは 枞 組 みの 開 発 ) 質 保 証 のガイドライン 教 育 と 研 究 の 連 関 卖 位 互 換 システム 流 動 性 のシステム 生 涯 学 習 システム 3. 主 要 関 係 者 の 役 割 政 府 : 意 識 向 上 と 優 先 分 野 の 選 定 高 等 教 育 機 関 : 政 府 による 優 先 分 野 の 選 定 枞 組 み 開 発 ガイドライン 開 発 に 対 する 支 援 雇 用 部 門 : 政 府 と 高 等 教 育 機 関 による 優 先 分 野 の 選 定 作 業 に 対 する 支 援 4. 国 際 機 関 (ASEAN ま たは SEAMEO)の 役 割 加 盟 国 政 府 間 での 議 論 開 始 の 促 進 情 報 の 普 及 加 盟 国 間 での 資 金 調 達 活 動 に 関 する 調 整 5. 主 な 利 点 学 生 の 流 動 性 の 向 上 質 コスト 両 面 での 学 生 のアクセスや 選 択 肢 の 拡 大 高 等 教 育 機 関 間 の 協 力 ( 共 同 プログラム 学 術 研 究 等 ) に 関 する 機 会 の 拡 大 地 域 人 材 プールの 拡 大 と 人 的 資 本 への 共 同 投 資 の 機 会 の 拡 大 東 单 アジア 地 域 や ASEAN レベルでの 高 等 教 育 の 展 開 がより 多 くの 留 学 生 を 惹 きつける その 他 の 高 等 教 育 分 野 との 将 来 の 協 調 を 容 易 にする 域 内 の 理 解 を 深 める 6. 今 後 のシナリオ 学 生 が 受 入 機 関 / 国 に 1 年 滞 在 雇 用 の 流 動 化 多 文 化 型 の 職 場 連 携 の 緊 密 化 ( 知 識 の 創 造 と 雇 用 ) 各 国 からの 留 学 生 にも 同 等 の 質 の 教 育 を 提 供 システム 内 での 成 人 学 習 者 の 増 加 カリキュラムの 改 訂 出 所 :Supachai (2009) 20

23 4. 結 び 本 稿 で 概 観 したように SEAMEO では RIHED を 中 心 として 東 单 アジア 地 域 における 高 等 教 育 分 野 の 地 域 連 携 フレームワークの 構 築 に 取 り 組 んでいる 特 に 域 内 の 高 等 教 育 市 場 の 国 際 化 が 進 む 中 で 加 盟 各 国 の 高 等 教 育 機 関 の 国 際 的 競 争 力 を 高 めたり 学 生 の 流 動 性 を 向 上 させたりする 上 で 質 保 証 の 問 題 が 最 優 先 課 題 の 一 つとなっている そうした 中 既 存 の 国 際 的 地 域 的 な 質 保 証 ネットワークとも 連 携 しつつ 特 にサブ 地 域 レベルでのフ レームワークを 構 築 していくことが RIHED の 目 指 している 方 向 性 の 一 つであると 見 受 け られる こうした 方 向 性 が 果 たしてどの 程 度 の 实 効 性 を 伴 うものとなるかは 今 後 の RIHED ならびに SEAMEO 全 体 と 加 盟 各 国 の 間 に どれだけ 緊 密 な 協 調 関 係 が 構 築 される かにかかっていると 言 えるのではないだろうか 参 考 文 献 Supachai, Y. (2009). SEAMEO RIHED and Higher Education Harmonization, Proceedings for the Itnernational Seminar on Skills Development for the Emerging New Dynamism in Asian Developing Countries under Globalization. January 23-25, Bangkok, Thailand. pp

24 3 章 アジア 太 平 洋 経 済 協 力 (Asia Pacific Economic Corporation:APEC) による 地 域 連 携 教 育 フレームワーク 1. 当 該 フレームワークの 成 立 過 程 略 史 目 的 理 念 アジア 太 平 洋 経 済 協 力 (Asia Pacific Economic Corporation 以 下 APEC)は アジア 太 平 洋 地 域 の 持 続 可 能 な 発 展 を 目 指 す 域 内 のすべての 国 地 域 が 参 加 するフォーラムで ある 1989 年 に オーストラリアのキャンベラで 開 催 された 第 1 回 首 脳 閣 僚 会 合 をもっ て 発 足 した 1993 年 以 降 開 催 されている 首 脳 閣 僚 会 議 は 域 内 の 首 脳 閣 僚 が 集 まり 議 論 すること ができる 唯 一 の 場 である 首 脳 閣 僚 会 議 では 域 内 の 問 題 に 留 まらず 広 く 国 際 社 会 に とって 重 要 な 課 題 について 話 し 合 われる APEC が 取 り 扱 う 主 要 な 分 野 は 域 内 の 貿 易 投 資 の 自 由 化 円 滑 化 (Trade and Investment Liveralisation) 商 業 の 促 進 (Business Facilitation)と 経 済 技 術 協 力 (Economic and Technical Cooperation: ECOTECH)と いう 3 つの 分 野 である APEC の 原 則 は 開 かれた 地 域 協 力 および 協 調 的 自 主 的 な 行 動 にあり これらの 原 則 に 基 づき 各 種 取 り 組 みが 实 施 されてきた 以 下 は シンガポールにある APEC 事 務 局 にて 实 施 した Luis Tsuboyama 氏 とのインタビ ューをもとに 構 成 した インタビューの 詳 細 は 末 尾 に 記 してある Tsuboyama 氏 は Human Resources Development( 以 下 HRD)ワーキング グループの 担 当 者 であり 若 年 者 の 問 題 労 働 問 題 教 育 問 題 を 担 当 している それらの 他 に Corporate Social Responsibility, Gender Focal Point Network, PECC Liason, Small and Medium Enterprises Working Group, APEC Study Centres Consortium なども 担 当 している 2. 参 加 国 参 加 機 関 1989 年 の APEC 発 足 時 には 参 加 メンバーは 12 カ 国 であった その 後 参 加 メンバー 数 は 増 加 し 1998 年 の 首 脳 閣 僚 会 議 以 降 21 カ 国 地 域 がメンバーとなっている これら 21 カ 国 地 域 の 中 には ASEAN(フィリピン インドネシア マレーシア タイ シンガ ポール ブルネイ ベトナム) 他 のアジア( 日 本 韓 国 中 国 中 国 香 港 チャイニーズ 台 北 ロシア)が 含 まれる アジア 以 外 では オーストラリア ニュージーランド パプ ア ニューギニア 米 国 カナダ メキシコ チリ ペルーが 参 加 している 22

25 3. 組 織 体 制 APEC では 毎 年 首 脳 閣 僚 会 議 が 開 催 されてきた 教 育 大 臣 会 合 も 1992 年 を 皮 切 りに 2000 年 2004 年 2008 年 と 開 催 され 教 育 分 野 の 協 力 について 議 論 されてきた APEC は 援 助 組 織 ではないが APEC メンバーに 経 済 的 支 援 することによって 教 育 に 関 連 する 様 々 な 活 動 を 实 施 している APEC の 活 動 は 首 脳 閣 僚 会 議 のもとに 構 成 される 政 策 レベルと 4 つの 分 野 からなる ワーキングレベルに 分 けられる ECOTECH に 関 する SOM 運 営 委 員 会 (SOM Steering Committee Meeting on ECOTECH 以 下 SCE)のもとに 各 種 ワーキング グループが 設 置 されている そのワーキング グループの 中 に 1990 年 から 教 育 分 野 を 扱 うワーキ ング グループとして HRD ワーキング グループが 設 置 されている インタビューに 忚 じてくれた 事 務 局 の Tsuboyama 氏 によると HRD ワーキング グル ープの 中 の 活 動 に 教 育 に 関 する 活 動 が 含 まれる APEC 事 務 局 では 2 人 が HRD を 担 当 し ている ただし APEC や APEC 事 務 局 に 直 接 雇 用 されているわけではなく APEC に 参 加 している 政 府 の 派 遣 によって 雇 用 されている そのため 事 務 局 長 (executive director) や ワーキング グループの 各 スタッフも 必 ずしも 長 い 期 間 同 種 の 問 題 を 担 当 するわけで はなく 平 均 して 2 年 から 3 年 の 期 間 で 他 の 担 当 に 異 動 する 場 合 が 多 い また 教 育 分 野 の 担 当 者 は シンガポールにある APEC 事 務 局 の 担 当 者 だけでなく 各 国 の 外 務 省 や 教 育 省 ( 文 部 科 学 省 )にいる たとえば 日 本 にも 関 係 省 庁 内 に APEC の HRD 担 当 者 が 配 置 されており 各 種 教 育 関 連 プログラムに 携 わっている 4. 現 在 の 活 動 全 体 の 概 略 と 将 来 展 望 APEC では アジア 域 内 高 等 教 育 交 流 を 考 察 する 上 で 有 意 義 な 各 種 活 動 が 行 われている 以 下 に 特 に 関 わりが 深 いと 思 われる 会 合 および 活 動 について それらの 概 略 と 将 来 展 望 を 記 す (1) 教 育 大 臣 会 合 (Education Ministerial Meeting) APEC への 参 加 国 地 域 による 教 育 大 臣 会 合 は 2008 年 6 月 に ペルーのリマで 開 催 さ れた この 教 育 大 臣 会 合 の 成 果 は 4 th APEC Education Ministerial Meeting Joint Statement としてまとめられている これによると 2008 年 の APEC 首 脳 閣 僚 会 合 のテ ーマとして アジア 太 平 洋 地 域 の 開 発 への 新 しいコミットメント(A New Commitment to 23

26 Asia Pacific Development) が 掲 げられた このテーマの 下 に 教 育 大 臣 会 合 では すべ ての 人 のために 教 育 の 質 を コンピテンシーとスキルの 達 成 (Quality Education for All: Achieving Competencies and Skills for the 21 st Century) というテーマが 設 定 された さらに 2008 年 の 教 育 大 臣 会 合 では 以 下 の 4 つの 優 先 分 野 における 進 歩 が 確 認 された すなわち 1 理 数 系 分 野 (Mathematics and Science) 2キャリア 技 術 教 育 分 野 (Career and Technical Education) 3 相 互 言 語 学 習 分 野 (Leaning each Other s Languages) 4 ICT 分 野 (Information and Communications Technologies)の 4 つの 分 野 である これらの 分 野 が 優 先 的 に 取 り 上 げられ 21 世 紀 のコンピテンシーとして 強 調 されるチー ムワーク 問 題 解 決 能 力 コミュニケーション スキルズの 向 上 のために 異 なった 教 科 や 職 業 分 野 で 学 ぶことを 活 用 できるようにすること が 目 指 された (2)Education Network(EDNET) APEC の 教 育 大 臣 会 合 で 話 し 合 われた 議 題 は 教 育 ネットワーク(Education Network 以 下 EDNET)により 实 践 される EDNET は HRD ワーキング グループによる 教 育 フ ォーラムである EDNET は 政 策 レベルではなく ワーキングレベルでイニシアティブを 執 って メンバー 国 地 域 のジョイント 活 動 をコーディネートするためのネットワークで ある 2008 年 に 開 催 された 教 育 大 臣 会 合 においても EDNET の 活 動 が 主 な 議 題 として 取 り 上 げられた 特 に 上 述 した 4 つの 優 先 分 野 すなわち1 理 数 系 分 野 2キャリア 技 術 教 育 分 野 3 相 互 言 語 学 習 分 野 4ICT 分 野 について 下 記 の 4 つの 要 素 に 基 づいて 進 捗 状 況 が 議 論 された 4 つの 要 素 とは 第 1 に 教 員 の 質 と 指 導 (Teacher s quality and instruction) 第 2 に 基 準 と 評 価 (Standards and assessments) 第 3 に リソースと ツール(Resources and tools) 第 4 に 政 策 と 研 究 (Policies and research)である EDNET の 活 動 には 各 国 政 府 による 教 育 関 連 プロジェクトがある Education Network Meeting Report によると たとえば シンガポール 政 府 が 主 導 する APEC Education Hubs について 評 価 されている このプロジェクトでは 9 カ 国 地 域 の 学 生 47 人 に 対 して APEC Scholarship という 奨 学 金 を 供 与 するプロジェクトを 設 け 一 定 の 成 果 を 上 げている また APEC Learning Community for Shared Prosperity( 以 下 AL Com) という 韓 国 政 府 主 導 のプロジェクトも 实 施 されてきた この AL Com プロジェクトにおい ては 2007 年 から APEC Learning Community Builders-University Students 24

27 (ALCoB-U)という 試 みが 实 施 されてきた これら 既 存 のプロジェクトに 加 えて EDNET により 今 後 实 施 されるプロジェクトとして 11 のプロジェクト( 自 己 資 金 による 1 プロジェクトを 含 む)のプロポーザルが 採 択 された プロジェクトの 採 択 に 際 しては 上 述 した 4 つの 分 野 が 優 先 されている これら 採 択 され たプロジェクトの 中 には Study of Best Practices in Teaching and Learning Languages in APEC Economies: Lesson Study Applications(チャイニーズ 台 北 括 弧 内 申 請 国 地 域 以 下 同 ), Quest for Ling between Schools and Employment: Research on Technical Vocational Education at the Secondary Level in the APEC Region( 日 本 )など 各 国 地 域 が 卖 独 で 申 請 書 を 提 出 している 場 合 もある その 一 方 Comparability & Benchmarking of Competencies and Qualification Framework in APEC Region( 中 国 フィリピン)などは 各 国 地 域 が 共 同 でプロポーザルを 提 出 している 場 合 もある これら 2008 年 に 採 択 された 11 のプロジェクトの 内 实 際 に 調 印 されたのは 9 つのプロ ジェクトである しかしながら 9 つのプロジェクトの 内 アジア 各 国 地 域 のみを 対 象 と するプロジェクトは 管 見 の 限 りない また APEC 基 金 (APEC Fund)からの 助 成 を 求 め るプロジェクトについては プロジェクトの 申 請 書 についての 評 価 結 果 が 公 表 されている 上 述 した APEC による 教 育 分 野 の 活 動 を 中 心 とする HRD ワーキング グループの 活 動 の 概 要 は Human Resource Development Working Group Wiki( 以 下 HRDWGWiki) に 広 報 されているため ウェブサイトを 参 照 されたい (3)APEC Study Centers Consortium(ASCC) APEC の 各 国 地 域 内 における 学 術 的 なコミュニティである APEC スタディ センター (APEC Study Center 以 下 ASC)が 各 国 地 域 に 置 かれており APEC に 関 わる 問 題 に ついての 研 究 を 行 っている 1993 年 に 各 国 地 域 内 における 大 学 や 研 究 機 関 に 設 置 されている ASC が APEC Study Centers Consortium(ASCC)というネットワークを 形 成 した 現 在 20 カ 国 地 域 に ASC が 設 けられている これらの 中 には 100 程 度 の 研 究 機 関 や 大 学 が 含 まれており 毎 年 ASC 会 合 を 開 催 している 2008 年 に 開 催 された ASC 会 合 では 教 育 と 変 革 (Education and Innovation)や 東 ア ジア 地 域 統 合 とトランス 太 平 洋 への 示 唆 (East Asian Regionalism and Trans-Pacific Implications)など 様 々な 議 題 が 挙 がっている 25

28 APEC 事 務 局 の Tsuboyama 氏 によると ASC は 必 ずしも 知 名 度 が 高 いとは 言 えない が オーストラリアなどが 活 発 な 活 動 を 続 けており 日 本 からの 参 加 もある とのことで ある 日 本 からは アジア 経 済 研 究 所 慶 應 義 塾 大 学 SFC 研 究 所 小 樽 商 科 大 学 国 際 大 学 研 究 所 神 戸 大 学 大 学 院 国 際 協 力 研 究 科 政 策 研 究 大 学 院 大 学 筑 波 大 学 大 学 院 国 際 政 治 経 済 学 研 究 所 名 古 屋 大 学 大 学 院 国 際 開 発 研 究 科 日 本 国 際 問 題 研 究 所 一 橋 大 学 大 学 院 経 済 学 研 究 科 広 島 大 学 大 学 院 国 際 協 力 研 究 科 横 浜 国 立 大 学 大 学 院 国 際 開 発 研 究 科 早 稲 田 大 学 アジア 太 平 洋 研 究 センター 立 命 館 大 学 大 学 院 国 際 関 係 研 究 科 が ASC 日 本 コン ソーシアムを 形 成 している 5. アジア 版 エラスムス 計 画 (アジア 域 内 高 等 教 育 交 流 )へのインプリケーションと 将 来 における 協 力 可 能 性 APEC は 経 済 協 力 によりアジア 太 平 洋 地 域 の 持 続 可 能 な 発 展 を 目 指 すフォーラムであ る そのため 優 先 される 分 野 は 経 済 分 野 と 関 わりの 深 い 1 理 数 系 分 野 2キャリア 技 術 教 育 分 野 3 相 互 言 語 学 習 分 野 4ICT 分 野 であった 現 況 では APEC の 教 育 に 関 する 活 動 は これらの 分 野 におけるキャパシティ ビルディングやスキルの 向 上 を 目 標 と したプログラムが 推 進 されており 必 ずしも 高 等 教 育 交 流 に 絞 った 活 動 が 实 施 されてはい ない また APEC は アジア 太 平 洋 地 域 内 のすべての 国 地 域 が 参 加 するフォーラムである ため 地 域 内 でのバランスを 考 慮 しながら 教 育 プログラムが 实 施 される そのため アジ ア 域 内 に 限 定 した 教 育 交 流 プログラムが 实 施 されにくい 状 況 にあると 言 える しかしながら アジア 太 平 洋 地 域 内 の 教 育 大 臣 が 議 論 する 機 会 を 定 期 的 に 設 けているこ とは 重 要 である 教 育 大 臣 会 合 から アジア 版 エラスムス 計 画 に 類 する 計 画 が 発 案 され ることが 望 まれる 今 後 の アジア 版 エラスムス 計 画 との 協 力 可 能 性 について APEC 事 務 所 の Tsuboyama 氏 によると どの 国 が どのようなプロジェクトを 实 施 するかに 忚 じて 将 来 における 可 能 性 は 変 化 する APEC 事 務 局 はあくまでファシリテーターの 役 割 を 果 たすだけであるの で アジア 版 エラスムス 計 画 の 实 施 は 事 務 局 のタスクではない と 述 べた APEC では APEC ビジネス トラベル カード(APEC Business Travel Card)とい う 商 用 の 域 内 移 動 を 円 滑 にするために 導 入 されたカードが 導 入 されている 日 本 の 留 学 生 30 万 人 計 画 において 入 国 手 続 きや 審 査 の 問 題 は 重 要 な 課 題 の 一 つとして 議 論 されて 26

29 いるが APEC の 肝 いりで 域 内 での 学 生 カードが 存 在 すればより 円 滑 な 短 期 の 学 生 交 流 を 推 進 することができると 考 える ただし このような 試 みも APEC 事 務 局 による 提 案 で はなく 各 国 地 域 が 新 規 に 提 案 し その 提 案 に 対 してすべての 国 地 域 のコンセンサス が 求 められる 参 考 資 料 APEC(2008a), 4 th APEC Education Ministerial Meeting Joint Statement. APEC(2008b), Education Network Meeting Report. 参 考 ウェブサイト APEC APECWiki HRDWGWiki APEC Study Centers Consortium Conference 日 本 経 済 産 業 省 日 本 外 務 省 GSID APEC 研 究 センター インタビューの 概 要 日 時 :2009 年 2 月 23 日 15:00-16:00 対 象 者 :Mr. Luis Tsuboyama, HRD Working Group, APEC Secretariat 27

30 4 章 国 連 教 育 科 学 文 化 機 関 (ユネスコ)による 地 域 間 連 携 教 育 フレームワーク 1.ユネスコによる 高 等 教 育 分 野 へのアプローチ 国 連 教 育 科 学 文 化 機 関 ( United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization: UNESCO 以 下 ユネスコ)は 国 際 連 合 ( 以 下 国 連 )の 専 門 機 関 とし て 1946 年 に 設 立 され 教 育 自 然 科 学 文 化 社 会 人 文 科 学 コミュニケーションの 諸 分 野 における 国 際 協 力 の 促 進 を 行 っている ユネスコは 国 際 協 力 活 動 を 通 して 人 間 の 尊 厳 を 守 り 平 等 を 重 んじ 人 々の 心 の 中 から 無 知 や 偏 見 差 別 などをなくすことで 人 類 の 知 的 道 徳 的 な 連 帯 による 世 界 平 和 の 实 現 を 目 指 している そのため ユネスコの 役 割 は 倫 理 的 な 諸 問 題 に 対 する 普 遍 的 な 合 意 を 形 成 するうえでの さまざまなアイデアの 实 験 場 (a laboratory of idea)であり 標 準 の 設 定 者 (a standard-setter)であるといえる また 情 報 知 識 を 広 め 共 有 するための 情 報 センター(a clearing house)であると 同 時 に 多 様 な 分 野 における 各 加 盟 国 の 人 的 制 度 的 な 能 力 の 向 上 (capacity-building)に 寄 与 する 役 割 がある ユネスコは 国 連 の 諸 機 関 の 中 では 唯 一 高 等 教 育 分 野 での 事 業 展 開 が 役 割 として 規 定 されている 組 織 である 持 続 的 な 高 等 教 育 システムを 構 築 するために ユネスコでは 特 に 次 の 4 つの 領 域 での 事 業 を 展 開 している 1 加 盟 国 の 国 内 における 高 等 教 育 に 関 する 能 力 の 開 発 強 化 2 教 員 養 成 とそれに 関 連 する 政 策 課 題 についてのグローバルなリーダーシ ップの 発 揮 3グローバル 化 のなかでの 研 究 や 知 識 の 共 有 に 関 する 高 等 教 育 分 野 での 政 策 オプションの 提 示 4 生 涯 学 習 を 視 野 に 入 れた 情 報 通 信 技 術 (ICT)の 活 用 に 関 する 持 続 的 な 政 策 策 定 のための 支 援 これらはいずれも 質 の 高 い 高 等 教 育 の 機 会 が より 多 くの 人 に 提 供 されることを 目 指 すとともに 教 育 分 野 全 体 における 高 等 教 育 の 役 割 や 位 置 づけを 重 視 している このような 使 命 にもとづき ユネスコでは 高 等 教 育 分 野 においてさまざまな 政 策 の 方 向 性 を 打 ち 出 してきたが 今 日 のユネスコの 高 等 教 育 政 策 を 理 解 する 上 では 1990 年 代 後 半 に 採 択 された 政 策 文 書 の 内 容 を 理 解 しておくことが 欠 かせない たとえば 高 等 教 育 の 教 育 職 員 の 地 位 に 関 する 勧 告 (1997 年 採 択 ) 21 世 紀 に 向 けての 高 等 教 育 世 界 宠 言 (1998 年 採 択 ) 高 等 教 育 の 変 革 と 発 展 のための 優 先 行 動 の 枞 組 み (1998 年 採 択 ) 科 学 と 科 学 的 知 識 の 利 用 に 関 する 宠 言 (1999 年 採 択 )などが ユネスコの 総 会 やユネスコ 高 等 教 育 世 28

31 界 会 議 などの 場 で 採 択 され 高 等 教 育 分 野 に 対 するユネスコの 政 策 的 アプローチが 明 示 さ れた これらの 大 学 高 等 教 育 政 策 のなかでは 科 学 技 術 と 文 化 ( 伝 統 文 化 や 各 民 族 の 文 化 )が 現 代 社 会 において 果 たす 役 割 の 重 要 性 や 個 人 地 域 社 会 国 家 における 文 化 的 社 会 経 済 的 環 境 的 な 諸 側 面 での 持 続 可 能 な 開 発 を 实 現 する 上 で 大 学 高 等 教 育 機 関 が 果 たす 役 割 の 重 要 性 が 指 摘 されている また 大 学 高 等 教 育 の 機 会 均 等 普 及 学 問 の 自 由 と 大 学 高 等 教 育 機 関 の 自 治 および 公 共 責 任 大 学 人 の 責 務 倫 理 国 際 平 和 と 人 類 の 福 祉 を 推 進 する 立 場 での 国 際 協 力 などの 重 要 性 が 強 調 されている( 蔵 原 2002) とりわけ 1998 年 に 開 催 された 高 等 教 育 世 界 会 議 は 20 世 紀 に 拡 大 発 展 した 高 等 教 育 の 多 様 な 役 割 や 諸 相 を 総 括 するとともに 21 世 紀 の 高 等 教 育 に 期 待 される 使 命 や 役 割 につ いて 多 くの 議 論 が 交 わされた 非 常 に 重 要 な 国 際 会 議 であった 同 会 議 で 採 択 された 宠 言 の 中 では 国 境 および 大 陸 を 越 えての 知 識 と 技 術 の 共 有 ( 第 15 条 )の 重 要 性 が 謳 われる とともに 頭 脳 流 出 (brain drain) から 頭 脳 流 入 (brain gain) へ ( 第 16 条 )を 实 現 するために 单 北 ならびに 单 单 での 国 際 教 育 協 力 の 仕 組 みを 発 展 させることが 不 可 欠 であると 指 摘 している このように 地 域 間 の 連 携 による 教 育 フレームワークの 必 要 性 が 明 確 に 意 識 されてきたことを 指 摘 しておきたい なお 2009 年 7 月 にユネスコは 世 界 高 等 教 育 会 議 を 再 び 開 催 し この 10 年 間 の 高 等 教 育 分 野 の 展 開 について 振 り 返 るとともに 今 後 の 展 望 について 議 論 をすることが 予 定 されている 2.ユネスコが 支 援 する 高 等 教 育 ネットワーク ユネスコは 国 際 的 な 高 等 教 育 ネットワークの 構 築 に 向 けて さまざまな 事 業 を 展 開 し ている 特 に 世 界 各 国 の 高 等 教 育 機 関 を 結 ぶネットワークとして ユネスコ チェア (UNESCO Chair) と 大 学 間 提 携 計 画 (University Twinning and Networking: UNITWIN) を 挙 げることができる これらは ユネスコによる 国 際 的 な 高 等 教 育 機 関 の 連 携 プログラムであり 大 学 間 の 国 際 的 なネットワークを 活 用 して 各 大 学 が 設 定 した 特 定 のテーマに 関 して 教 育 や 研 究 の 質 を 向 上 させることが 目 的 となっている ユネスコでは これらのプログラムに 参 加 する 大 学 高 等 教 育 機 関 が 戦 略 的 に 教 育 研 究 の 質 を 高 める うえでの シンクタンク(think tanks) や 国 際 的 な 知 の 共 有 を 促 進 するための 橋 渡 し 役 (bridge builders) といった 役 割 を 果 たすことを 期 待 している 2008 年 1 月 の 時 点 で 632 のユネスコ チェアと 67 の UNITWIN ネットワークが 125 カ 国 の 760 以 上 の 高 等 教 育 機 関 の 参 加 を 得 て 構 築 されている 29

32 特 に 近 年 ユネスコは 個 別 の 大 学 を 卖 独 で 認 定 するユネスコ チェアよりも 2 つ 以 上 の 国 の 大 学 がネットワークを 構 築 する UNITWIN ネットワークの 立 ち 上 げを 積 極 的 に 推 奨 している ユネスコ チェアでは チェアが 置 かれる 大 学 高 等 教 育 機 関 だけでなく 自 国 あるいは 他 国 の 他 の 大 学 高 等 教 育 機 関 の 教 授 陣 や 研 究 者 たちの 参 加 も 求 めてはいるが 基 本 的 には 個 別 の 大 学 の 取 り 組 みを 支 援 する 枞 組 みとなっている それに 対 して UNITWIN では 複 数 の 大 学 間 の 組 織 的 な 連 携 を 促 進 することが 主 たる 目 的 となっている さらに 通 常 の 大 学 間 の 交 流 協 定 は 2 大 学 間 (bilateral)で 締 結 されるのに 対 して この UNITWIN は 2 校 以 上 の 大 学 でマルチ ラテラル(multilateral)なネットワーク 化 を 行 う 点 に 大 きな 特 徴 がある このような UNITWIN を 推 進 するユネスコの 姿 勢 からは 高 等 教 育 機 関 の 地 域 間 連 携 を 促 し 国 際 的 な 教 育 研 究 フレームワークの 拡 充 を 支 援 することに ユネスコが 重 点 を 置 いていることが 分 かる 5 また ユネスコでは 高 等 教 育 の 政 策 制 度 实 践 などに 関 する 諸 課 題 について 情 報 共 有 や 意 見 交 換 を 行 う 国 際 的 な 場 として ユネスコ 高 等 教 育 研 究 知 識 フォーラム (UNESCO Forum on Higher Education, Research and Knowledge) や ユネスコ- NGO 高 等 教 育 合 同 協 議 会 ( UNESCO/NGO Collective Consultation on Higher Education) を 定 期 的 に 開 催 している また 2002 年 に 開 いた 国 際 的 質 保 証 に 関 するユ ネスコ グローバル フォーラム(UNESCO Global Forum on International Quality Assurance) の 第 1 回 大 会 で 経 済 協 力 開 発 機 構 (Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)と 共 同 で 高 等 教 育 の 質 保 証 に 関 する 国 際 的 なガイドラインを 開 発 することが 合 意 され 2005 年 に 国 境 を 越 えた 高 等 教 育 の 質 保 証 に 関 するガイドライン (Guidelines on Quality Provision in Cross-border Higher Education ) が 発 表 された さらに このガイドラインを 踏 まえ ユネスコでは 高 等 教 育 機 関 に 関 する 情 報 ポータル (The UNESCO Portal on Higher Education Institutions) を 構 築 し 高 等 教 育 の 質 保 証 に 関 する 国 際 的 な 情 報 ネットワークの 整 備 を 進 めている 2009 年 3 月 現 在 23 カ 国 の 情 報 が 掲 載 されており 今 後 掲 載 国 の 数 を 増 やすとともに このポータルの 運 用 をさらに 拡 大 していくことをユネスコでは 検 討 している このようなユネスコによって 推 進 される 国 際 的 な 高 等 教 育 のネットワーク 化 事 業 は 上 5 UNITWIN ならびにユネスコ チェアの 詳 細 については ユネスコ 本 部 教 育 局 のホームページ ( 年 3 月 閲 覧 ]とともに UNESCO(2008)を 参 照 のこと 30

33 述 の UNITWIN やユネスコ チェアを 中 心 として 主 に 本 部 の 教 育 局 によって 取 り 組 まれて いるが 教 育 局 以 外 のセクターにおいても 高 等 教 育 機 関 の 国 際 的 な 連 携 を 促 すような 取 り 組 みをみることができる たとえば 自 然 科 学 局 では 1993 年 に 立 ち 上 げられた 大 学 産 業 科 学 協 力 (University-Industry-Science Partnership: UNISPAR) というプログラ ムを 通 して 開 発 途 上 国 における 産 学 官 連 携 の 強 化 を 支 援 するとともに 開 発 援 助 を 通 し て 先 進 国 の 大 学 や 研 究 所 が 途 上 国 の 大 学 に 対 する 支 援 を 提 供 するフレームワークを 整 備 し ている また 社 会 人 文 科 学 局 では 1994 年 から 始 められた 社 会 変 容 管 理 (Management of Social Transformation: MOST) プログラムを 通 して 国 際 的 な 社 会 科 学 研 究 の 推 進 を 支 援 しているが このプログラムの 中 でも 多 くの 高 等 教 育 機 関 が 国 を 越 えて 連 携 し 合 って いる ちなみに この MOST プログラムで 取 り 組 む 研 究 課 題 には 国 際 的 研 究 比 較 研 究 学 際 的 研 究 政 策 志 向 的 研 究 であることが 求 められており 国 際 的 地 域 的 国 内 的 とい ったさまざまなレベルにおける 社 会 問 題 について 实 証 的 かつ 实 践 的 な 研 究 が 行 われてい る 6 さらに ユネスコでは 社 会 科 学 系 の 国 際 学 会 の 集 合 体 である 国 際 社 会 科 学 協 議 会 (The International Social Science Council: ISSC)をパリの 本 部 内 においてホストしている 7 ISSC は 1951 年 のユネスコ 総 会 の 決 議 に 従 って 1952 年 に 創 設 された 組 織 である ISSC には 国 際 政 治 学 会 国 際 社 会 学 会 国 際 法 学 会 国 際 平 和 研 究 学 会 国 際 地 理 学 会 国 際 経 済 学 会 をはじめ 60 近 くの 国 際 学 会 や 世 界 各 国 の 国 内 学 会 が 所 属 しており ユネスコ と 密 接 に 関 係 しながら 各 種 のプロジェクトを 進 めている こうした 学 界 との 連 携 も ユネ スコならではの 活 動 と 言 えるであろう 3.アジア 太 平 洋 地 域 におけるユネスコの 取 り 組 み ユネスコのバンコク 事 務 所 は 教 育 分 野 のアジア 太 平 洋 地 域 事 務 所 であり 同 地 域 の 教 育 セクター 事 業 のとりまとめを 行 っている したがって アジアにおける 高 等 教 育 の 地 域 間 連 携 フレームワークをみる 上 では 同 事 務 所 が 所 管 する 高 等 教 育 事 業 の 概 要 を 踏 まえる ことが 欠 かせない ユネスコ バンコク 事 務 所 では 特 に 次 の 5 つの 高 等 教 育 領 域 を 重 点 課 題 として 定 めて 6 これまでに MOST で 取 り 上 げられてきた 研 究 課 題 としては 貧 困 地 域 統 合 移 民 高 齢 化 社 会 人 間 の 安 全 保 障 などを 挙 げることができる

34 いる すなわち 1 大 学 のガバナンスと 管 理 運 営 2 質 保 証 と 資 格 能 力 の 認 証 3 高 等 教 育 の 多 様 化 と 私 学 化 4 高 等 教 育 の 国 際 化 5 高 等 教 育 へのアクセス 拡 大 ならびに 質 向 上 のための ICT の 活 用 である こうした 5 つの 重 点 課 題 を 定 めたうえで 地 域 的 な 大 学 間 ネットワークの 構 築 や UNITWIN/ユネスコ チェアを 通 した 高 等 教 育 機 関 の 教 育 研 究 機 能 の 強 化 などの 事 業 を 展 開 している アジア 太 平 洋 地 域 におけるユネスコの 高 等 教 育 事 業 の 中 核 となっているのが アジア 太 平 洋 地 域 教 育 開 発 計 画 (The Asia-Pacific Programme of Educational Innovation for Development: APEID) である この APEID プログラムは 主 に 初 等 教 育 後 の 教 育 レベ ルにおいて 開 発 のための 教 育 上 の 革 新 性 を 強 調 する 教 育 プログラムや 教 育 プロジェクト の 設 計 ならびに 实 施 を 通 して ( 寛 容 人 権 平 和 の 文 化 によって 支 えられた) 持 続 的 な 人 間 開 発 に 寄 与 すること 8 を 目 的 としている このように 初 等 教 育 後 の 教 育 レベルを 主 たる 対 象 とする APEID では 中 等 教 育 高 等 教 育 教 員 養 成 職 業 技 術 教 育 ICT を 用 いた 教 育 保 健 教 育 環 境 教 育 などの 分 野 を 主 たる 事 業 領 域 として これらの 分 野 に 関 する 教 育 制 度 教 育 内 容 教 育 方 法 などを 途 上 国 が 自 ら 開 発 する 能 力 を 向 上 させるための 支 援 を 行 っている これらの 分 野 のなかでも 高 等 教 育 については 遠 隔 教 育 やオープン 学 習 (open learning)といった 学 習 機 会 の 拡 大 や 私 学 高 等 教 育 の 拡 充 高 等 教 育 のための 財 源 の 多 様 化 など 高 等 教 育 の 拡 充 に 向 けた 政 策 のあり 方 を 提 言 している また アジア 太 平 洋 地 域 の 高 等 教 育 機 関 のネットワーク 化 を 考 えるうえで ユネスコが 推 進 する 持 続 可 能 な 開 発 のための 教 育 (Education for Sustainable Development: ESD) に 関 するネットワークについても 言 及 する 必 要 があるだろう この ESD は 2002 年 の 国 連 総 会 で 採 択 された 決 議 に 基 づきユネスコが 推 進 機 関 に 指 名 され 世 界 各 地 で 行 われてい るさまざまな 取 り 組 みを 支 援 している アジア 太 平 洋 地 域 においても ユネスコ バンコ ク 事 務 所 が 中 心 となり 多 様 な 関 係 機 関 による 分 野 横 断 的 な 連 携 とネットワーク 化 を 支 援 している 9 それらの 機 関 関 係 者 には 非 政 府 組 織 (non-governmental organization: NGO) 市 民 社 会 組 織 (civil society organization: CSO) 各 種 財 団 メディア 民 間 部 門 ( 企 業 等 ) 研 究 機 関 などが 含 まれるが こうした 関 係 機 関 を 結 びつけるうえで 高 等 教 育 機 関 が 果 たす 役 割 は 大 きい ESD 推 進 のためのネットワーク 化 を 行 う 際 に 大 学 がネットワークの 事 務 8 APEID のホームページ( 年 3 月 閲 覧 ] より 引 用 APEID の 詳 細 については 同 ホームページを 参 照 のこと 9 ユネスコ バンコク 事 務 所 による ESD 推 進 のための 取 り 組 みについては 同 事 務 所 のホーム ページ( 年 3 月 閲 覧 ]を 参 照 のこと 32

35 局 的 な 役 割 を 引 き 受 けたり 大 学 に 蓄 積 してきた 知 識 や 情 報 を 提 供 することによって 地 域 社 会 の ESD 活 動 を 支 援 したりするケースがしばしば 見 られる このようにユネスコ バンコク 事 務 所 は UNITWIN/ユネスコ チェアなどを 通 して 高 等 教 育 機 関 のネットワーク 化 を 促 すと 同 時 に 自 らの 事 業 のなかで 高 等 教 育 機 関 のネット ワークを 活 用 している ただし APEID プログラムにおいても ESD 推 進 のためのネット ワーク 化 においても ユネスコが 必 ずしも 期 待 されているだけの 具 体 的 成 果 を 挙 げていな いという 批 判 がアジア 各 国 の 政 府 関 係 者 や 関 係 諸 機 関 の 人 々の 間 で 共 有 されることもあり 今 後 各 事 業 の 見 直 しと 改 善 を 図 っていくことが 欠 かせない その 際 に 既 存 の(あるい はこれから 構 築 する) 高 等 教 育 機 関 のネットワークを 十 分 に 活 用 することが 各 事 業 の 発 展 のひとつの 鍵 を 握 っているのではないだろうか 4. 結 び ユネスコが OECD と 並 んで 高 等 教 育 分 野 において 重 要 な 役 割 を 果 たしている 国 際 機 関 の 一 つであることは 衆 目 の 一 致 するところであろう 特 に 世 界 高 等 教 育 会 議 の 開 催 (1998 年 )や OECD との 共 同 作 業 による 国 境 を 越 えた 高 等 教 育 の 質 保 証 に 関 するガイド ライン の 作 成 (2005 年 )などを 通 して 高 等 教 育 分 野 の 政 策 や 改 革 に 関 する 国 際 的 な 議 論 の 方 向 性 を 示 してきたことは 明 らかである また UNITWIN/ユネスコ チェアによる 高 等 教 育 機 関 のネットワーク 化 の 推 進 も 重 要 な 貢 献 のひとつである こうした 高 等 教 育 分 野 においてユネスコが 果 たすべき 役 割 の 重 要 性 は 今 後 さらに 増 し こそすれ 減 じるということはないであろう とりわけ 近 年 の 国 際 的 な 高 等 教 育 市 場 は ダイナミックに 変 化 しており 各 国 の 高 等 教 育 機 関 が 直 面 する 多 様 な 課 題 に 対 して 国 境 を 越 えた 対 忚 がますます 必 要 となる 中 グローバルレベル 地 域 レベル サブ 地 域 レベルで の 議 論 を 喚 起 し 連 携 を 強 化 するうえで 国 際 機 関 に 期 待 される 役 割 は 非 常 に 大 きい 特 にアジアでは ユネスコや OECD のようなグローバルな 国 際 機 関 と 東 单 アジア 諸 国 連 合 (The Association of Southeast Asian Nations: ASEAN)や 東 单 アジア 教 育 大 臣 機 構 (The Southeast Asian Ministers of Education Organization: SEAMEO)といった 地 域 的 な 国 際 機 関 との 間 の 連 携 も さらに 深 められていくことが 期 待 される このような 状 況 を 踏 まえ 現 在 アジア 太 平 洋 地 域 の 高 等 教 育 分 野 においてユネスコが 果 たすべき 役 割 について ユネスコ バンコク 事 務 所 を 中 心 に 改 めて 見 直 す 時 期 にあるこ とを 指 摘 して 本 稿 の 結 びとしたい 33

36 参 考 文 献 蔵 原 清 人 (2002) ユネスコの 大 学 高 等 教 育 政 策 と 日 本 の 課 題 東 京 高 等 教 育 研 究 所 日 本 科 学 者 会 議 編 大 学 改 革 論 の 国 際 的 展 開 -ユネスコ 高 等 教 育 勧 告 宠 言 集 青 木 書 店. UNESCO (2008). Guidelines and Procedures for the UNITWIN/UNESCO Chair Programme (ED/HED/UNITWIN/2008/PI/1 rev. 3). Paris: UNESCO. 参 考 ウェブサイト 国 際 社 会 科 学 協 議 会 ユネスコ 本 部 教 育 局 ユネスコ バンコク 事 務 所

37 5 章 アジア 開 発 銀 行 による 域 内 教 育 協 力 フレームワーク 10 1.アジア 開 発 銀 行 当 の 成 立 過 程 略 史 目 的 理 念 (1) 成 立 過 程 略 史 アジア 開 発 銀 行 (Asian Development Bank: ADB 以 下 ADB)の 設 立 は 1963 年 に 第 1 回 アジ ア 経 済 協 力 閣 僚 会 議 アジア 太 平 洋 経 済 社 会 委 員 会 (ESCAP)- 当 時 のアジア 極 東 経 済 委 員 会 (ECAFE)-の 主 催 がマニラで 開 催 された 際 アジアに 地 域 開 発 銀 行 を 設 立 する 提 案 が 承 認 されたことに 端 を 発 する その 後 ESCAP により 設 けられた 諮 問 委 員 会 が 作 成 した ADB 設 立 協 定 案 が 同 銀 行 の 参 加 予 定 国 の 代 表 者 会 合 における 検 討 を 経 て 1965 年 の ESCAP 第 2 回 アジア 経 済 協 力 閣 僚 会 議 にて 採 択 された 同 協 定 は 1966 年 8 月 22 日 に 発 効 し 同 年 11 月 に 東 京 にて 設 立 総 会 が 開 催 され 正 式 に 設 立 された( 嘉 数 吉 田 1997) (2) 目 的 理 念 ADB の 目 的 は アジア 太 平 洋 地 域 の 開 発 途 上 加 盟 国 (DMCs: Developing Member Countries) に 対 する 資 金 の 貸 付 技 術 援 助 を 通 じ 同 地 域 への 投 資 及 び 社 会 的 経 済 的 発 展 を 促 進 す ることにある 1999 年 来 ADB は 開 発 援 助 の 運 営 方 針 として 貧 困 削 減 を 最 重 要 目 標 と 定 めている(ADB 1999) 2001 年 から 2015 年 までの ADB の 業 務 指 針 である 長 期 業 務 戦 略 (Long Term Strategic Framework)を 2001 年 3 月 に 策 定 し その 中 で (1) 持 続 的 経 済 成 長 の 促 進 (2) 参 加 型 の 社 会 開 発 (3) 効 果 的 な 政 策 運 営 及 びそのための 体 制 整 備 に 必 要 なガバナ ンスの 確 保 を 戦 略 の 3 本 柱 とした 貧 困 削 減 戦 略 を 発 表 した(ADB 2001; 廣 里 2005) 特 にア ジア 太 平 洋 地 域 は 世 界 の 貧 困 人 口 の 三 分 の 二 を 抱 える 地 域 であり 一 日 2US ドル 以 下 で 暮 らす 貧 困 人 口 は 17 億 人 にのぼっていることから 貧 困 層 の 生 活 の 質 を 向 上 させることを ADB の 全 体 目 標 としている さらに 2008 年 には 1 包 括 的 経 済 成 長 2 環 境 的 に 持 続 可 能 な 経 済 成 長 3 地 域 統 合 の 推 進 といった 3 分 野 を 柱 とする 新 たな 長 期 戦 略 2020 を 策 定 した(ADB 2008a) 10 本 報 告 は 筆 者 の 個 人 的 見 解 であり アジア 開 発 銀 行 の 公 式 及 び 組 織 的 な 見 解 を 表 すも のではない 35

38 2. 参 加 国 参 加 機 関 ADB の 加 盟 国 は 67 か 国 (2007 年 12 月 現 在 )で うち 域 内 加 盟 国 が 48(アジア 太 平 洋 ) 域 外 加 盟 国 (ヨーロッパ 北 米 なと)が 19 である 我 が 国 は 設 立 当 初 より 加 盟 1966 年 の 発 足 時 は 31 ヶ 国 / 地 域 ( 台 湾 香 港 なども 加 盟 メンバーなことから)だったが 新 規 加 盟 国 アイルランド(2006 年 7 月 24 日 ) グルジア(2007 年 2 月 2 日 )に 迎 え 現 在 の 加 盟 国 数 の 67 か 国 / 地 域 となった(ADB 2008b) 3. 組 織 体 制 ADB は 本 部 をマニラに 据 え 世 界 26 ヶ 所 に 事 務 所 を 設 置 している(アジア 地 域 19 か 所 に 駐 在 員 事 務 所 太 平 洋 地 域 3 か 所 に 準 地 域 事 務 所 の 他 フランクフルトに 欧 州 代 表 事 務 所 東 京 に 駐 日 代 表 事 務 所 ワシントン DC に 北 米 代 表 事 務 所 東 チモールに 特 別 リエゾン 事 務 所 ) 及 び ADB 研 究 所 (ADB Institute)が 置 かれている ADB の 最 高 政 策 決 定 機 関 は 総 務 会 (Board of Governors)で 各 加 盟 国 1 人 の 総 務 で 構 成 される 日 本 からの 総 務 とし て 財 務 大 臣 が 任 命 される 総 裁 は 総 務 会 で 選 出 される( 歴 代 日 本 人 財 務 省 出 身 ) また 融 資 の 承 認 等 日 常 業 務 の 意 志 決 定 がなされる 理 事 会 (Board of Directors)は マニラ 駐 在 の 12 人 の 理 事 ( 域 内 国 から 8 名 域 外 国 4 名 )で 構 成 される 理 事 は 隔 年 選 出 される 实 際 の 組 織 運 営 は 総 裁 以 下 1 名 のマネジメント 総 局 長 4 名 の 副 総 裁 各 部 局 の 長 及 び 職 員 からなる 職 員 は 世 界 50 か 国 出 身 による 総 数 2,443 名 で うち 専 門 職 員 847 名 一 般 職 員 ( 殆 どがフィリピン 人 )1,591 名 (2007 年 )で うち 日 本 人 は 119 名 である(ADB 2008b) 4. 現 在 の 活 動 全 体 の 概 略 と 将 来 展 望 ADB の 主 な 機 能 は 1.DMCsに 対 する 資 金 の 貸 付 株 式 投 資 2. 開 発 プロジェクト 開 発 プログラムの 準 備 執 行 のための 技 術 支 援 及 び 助 言 業 務 3. 開 発 目 的 のための 公 的 民 間 支 援 の 促 進 及 び4.DMCsの 開 発 政 策 調 整 支 援 等 である 開 発 途 上 国 に 対 する 融 資 と 技 術 援 助 は 主 に 社 会 基 盤 ( 教 育 医 療 等 ) 運 輸 通 信 エネルギー 農 業 天 然 資 源 鉱 工 業 金 融 等 のプロジェクトに 供 与 される 2007 年 度 には 10 億 ドルの 融 資 673 百 万 ドルの 贈 与 243 百 万 ドルの 技 術 援 助 が 行 われた また ADB は 個 別 国 の 枞 を 超 えた 地 域 経 済 協 力 への 支 援 も 实 施 しており たとえば 大 メコン 川 流 域 圏 諸 国 (メコン 河 流 域 にある カンボジア ラオス ミャンマー タイ ベトナム 中 国 雲 单 省 の 6 ヶ 国 )において 36

39 は 域 内 における 貿 易 投 資 の 促 進 インフラ( 交 通 通 信 網 ) 整 備 や 環 境 をはじめとす る 国 境 を 越 えた 問 題 解 決 の 促 進 などの 支 援 も 行 っている ADB の 財 源 には 比 較 的 所 得 の 高 い DMCsへの 融 資 業 務 に 使 われる 通 常 資 本 財 源 (OCR) と 低 所 得 国 向 けに 緩 和 された 条 件 で 貸 付 を 行 うのに 使 われる アジア 開 発 基 金 (ADF) がある この 他 に 加 盟 国 からの 拠 出 金 と ADF からの 配 分 金 等 からなる 技 術 援 助 特 別 基 金 ならびに 日 本 の 拠 出 による 日 本 特 別 基 金 があり 技 術 援 助 に 用 いられている ADB の 長 期 戦 略 2020 によれば 戦 略 の3つの 柱 ( 前 述 )に 基 づいて 1. インフラ 2. 環 境 3. 地 域 協 力 と 統 合 4. 金 融 部 門 開 発 5. 教 育 といった5つの 核 (コア)と なる 業 務 分 野 及 び 1. 保 健 2. 農 業 3. 災 害 緊 急 援 助 といった3つの 準 核 業 務 分 野 を 選 定 している とりわけ5つのコア 業 務 分 野 の 一 つである 教 育 分 野 においては DMCsの 国 際 競 争 力 を 中 長 期 的 に 高 める 革 新 と 技 術 開 発 を 促 す 高 等 教 育 の 拡 大 と 改 革 が 不 可 欠 であ ると 強 調 されている(ADB 2008a) 1970 年 以 降 ADB は 約 70 億 ドルの 教 育 借 款 を 供 与 しており その 内 12%が 高 等 教 育 へ 配 分 されている しかし 1970 年 代 1980 年 代 1990 年 代 とその 配 分 額 は 22% 15% 2%とそれぞれ 低 下 した このことは 1990 年 の 万 人 のための 教 育 世 界 会 議 以 降 の 国 際 社 会 機 関 による 基 礎 教 育 支 援 へのシフトによるものである しかし 近 年 いわゆるグ ローバリゼーションが 深 化 し 国 際 競 争 力 の 強 化 と 知 識 経 済 社 会 化 へのニーズが 高 まる 過 程 で 国 際 社 会 における 高 等 教 育 への 新 たな 関 心 が 喚 起 された 従 って ADB においても 長 期 戦 略 2020 の 採 択 を 契 機 に 教 育 とスキル 開 発 戦 略 が 見 直 され 高 等 教 育 支 援 における 新 たな 方 向 性 が 示 された(ADB 2008c) ここで 1990 年 代 半 ばから 2007 年 までに 实 施 された 高 等 教 育 案 件 と 2008 年 以 降 に 準 備 さ れつつある 高 等 教 育 案 件 は 以 下 の 相 違 点 特 徴 がある( 図 1 及 び 図 2) すなわち 2007 年 までに 終 了 した 案 件 は 国 レベルの 高 等 教 育 改 革 開 発 が 中 心 課 題 となっていたが 2008 年 以 降 に 準 備 されている 案 件 では 国 境 を 越 える 様 々なプログラム たとえば 交 換 学 生 教 員 交 流 地 域 的 なツインニング フランチャイズ 情 報 通 信 技 術 を 用 いた 遠 隔 教 育 やバ ーチャル 教 育 公 私 協 同 による 産 学 連 携 など(Knight 2006) 以 前 の 案 件 には 見 られなか ったアプローチが 試 行 される 見 込 みである 37

40 図 -1. 東 单 アジアにおける 高 等 教 育 支 援 プロジェクト(ADB): 1990 年 代 半 ば-2007 年 インドネシア: Technological and Professional Skills Development Sector Project (2001 年 年 ) 目 的 科 学 技 術 教 育 分 野 における 高 等 教 育 機 関 ( 公 立 私 立 )の 質 関 連 性 キ ャパシティの 改 善 によってインドネシアの 国 際 競 争 力 強 化 を 図 る 金 額 形 態 150 百 万 ドル( 实 施 ベース) 通 常 資 本 財 源 特 徴 競 争 的 資 金 配 分 による 大 学 レベルの 科 学 技 術 教 育 プログラムの 強 化 ラオス: Postsecondary Education Rationalization Project(1995 年 年 ) 目 的 高 等 教 育 諸 機 関 を 統 合 しラオス 国 立 大 学 を 設 立 することによってポスト 中 等 教 育 の 合 理 化 を 図 る 金 額 形 態 16 百 万 ドル( 实 施 ベース) アジア 開 発 基 金 特 徴 ラオス 国 立 大 学 の 設 立 によるポスト 中 等 教 育 の 合 理 化 へ 向 けた 取 り 組 み タイ: Higher Education Development Project(1999 年 年 ) 目 的 科 学 技 術 分 野 の 大 学 院 レベル プログラムにおける 研 究 教 育 能 力 の 強 化 及 び 必 要 な 政 策 枞 組 みの 策 定 を 行 う 金 額 形 態 52.5 百 万 ドル( 实 施 ベース) 通 常 資 本 財 源 特 徴 競 争 的 資 金 配 分 による 科 学 技 術 分 野 の 大 学 院 プログラムの 拡 充 出 所 : 筆 者 図 -2. 東 单 アジアにおける 高 等 教 育 支 援 プロジェクト(ADB): 2008 年 以 降 ベトナム: Higher Education Sector Development Project ( 技 術 援 助 :2008 年 承 認 ) 目 的 ベトナムに 世 界 水 準 を 満 たす 四 つの 新 たな 研 究 大 学 を 設 立 するための 高 等 教 育 開 発 プロジェクトの 準 備 ( 实 現 可 能 性 調 査 )を 行 う またそのため に 必 要 な 政 策 枞 組 みと 戦 略 を 策 定 する 金 額 形 態 特 徴 1 百 万 ドル( 承 認 ベース) 日 本 特 別 基 金 産 学 連 携 による 研 究 教 育 能 力 の 強 化 及 び 海 外 の 大 学 との 提 携 プログラム の 促 進 38

41 ラオス: Strengthening Higher Education Project( 技 術 援 助 :2008 年 承 認 ) 目 的 主 要 な 三 つの 国 立 大 学 の 整 備 及 び 高 等 教 育 部 門 運 営 能 力 の 強 化 を 中 心 とする 高 等 教 育 強 化 プロジェクトの 準 備 ( 实 現 可 能 性 調 査 )を 行 う その 過 程 で 高 等 教 育 開 発 マスター 計 画 ( ) を 策 定 する 金 額 形 態 0.6 百 万 ドル( 承 認 ベース) 日 本 特 別 基 金 特 徴 ICT による 遠 隔 教 育 プログラムの 導 入 域 内 奨 学 金 制 度 等 出 所 : 筆 者 5. 高 等 教 育 交 流 及 び 高 等 教 育 調 和 化 国 際 的 質 保 証 に 関 する 近 年 の 動 向 活 動 とその 成 果 評 価 展 望 欧 州 では ボローニャ プロセス や エラスムス 計 画 に 代 表 されるように 1980 年 代 以 降 学 生 教 員 教 育 プログラムや 教 育 機 関 専 門 職 業 人 材 の 移 動 により 国 境 を 越 えて 提 供 される 高 等 教 育 が 大 きく 進 展 してきた 国 境 を 越 えて 提 供 される 高 等 教 育 も 視 野 に 入 れて 質 保 証 や 適 格 認 定 学 位 等 や 職 業 資 格 の 認 証 に 関 する 国 内 的 枞 組 みが 整 備 され ている 国 もあるが アジアの 多 くの 国 では 未 だに 国 境 を 越 えて 提 供 される 高 等 教 育 に 積 極 的 関 与 する 準 備 が 整 っていないのが 現 状 であろう(OECD/ World Bank 2007) また 質 保 証 や 適 格 認 定 に 関 する 制 度 が 国 により 異 なる 上 国 際 レベルで 取 り 組 の 調 和 をはかる 総 合 的 な 枞 組 みが 存 在 しておらず 様 々な 個 々の 枞 組 みが 混 在 している( 梅 宮 2008) アジア では 高 等 教 育 の 国 際 的 な 質 保 証 制 度 に 空 白 が 生 じており 中 には 質 保 証 や 適 格 認 定 に 関 す るいかなる 枞 組 みの 対 象 にもならないまま 国 境 を 越 えた 高 等 教 育 が 提 供 される 場 合 さえあ る このような 現 状 に 鑑 み ADB では 以 下 の3つの 取 り 組 みに 着 手 している 第 一 に アジ ア 地 域 における 高 等 教 育 交 流 や 調 和 化 及 び 国 際 的 な 質 保 証 や 適 格 認 定 (アクレディテーシ ョン)の 現 状 と 課 題 を 明 らかにするための 調 査 研 究 を 含 む 地 域 技 術 協 力 を 準 備 している ( 仮 タイトル:Higher Education Reforms in Dynamic Asia, 2009) この 地 域 技 術 協 力 の 成 果 は 2010 年 度 にマニラの ADB 本 部 で 開 催 予 定 の 国 際 高 等 教 育 会 議 ( 仮 称 ) にて 報 告 される 見 込 みでるが 国 際 的 な 質 保 証 制 度 の 構 築 に 関 しては 目 下 混 在 する 様 々な 制 度 や 枞 組 みを 吟 味 し それぞれの 枞 組 みに 関 わる 機 関 や 大 学 間 の 対 話 を 促 し アジア 地 域 版 あるいはアジア 準 地 域 版 の 質 保 証 プラットフォームの 構 築 を 目 指 そうとしている 39

42 第 二 には 上 記 と 密 接 に 関 連 する 取 り 組 みとして GMS のような 準 地 域 的 な 協 力 枞 組 みに おいて 高 等 教 育 交 流 や 調 和 化 及 び 地 域 的 な 質 保 証 枞 組 や 適 格 認 定 の 整 備 を 行 うことである 1992 年 に 始 まった GMS 準 地 域 協 力 の 中 で 人 的 資 源 開 発 作 業 グループ が 発 足 し 2009 年 5 月 に 第 9 次 人 的 資 源 開 発 作 業 グループ 会 議 が 開 催 される 予 定 である その 際 に GMS 人 的 資 源 開 発 戦 略 枞 組 みと 行 動 計 画 が 検 討 され GMS における 高 等 教 育 協 力 交 流 と 準 地 域 的 な 高 等 教 育 の 質 保 証 や 適 格 認 定 に 関 する 能 力 開 発 に 関 する 行 動 計 画 案 が 盛 り 込 まれる 予 定 である( 但 し 優 先 項 位 は GMS における 労 働 技 術 の 平 準 化 及 び 労 働 移 動 問 題 に 関 す る 案 件 にあり 高 等 教 育 案 件 は 2011 年 以 降 の 取 り 組 みとなる) 第 三 には 後 述 するように 国 レベルの 高 等 教 育 案 件 において 教 育 交 流 や 調 和 化 及 び 質 保 証 や 適 格 認 定 にかかわる 能 力 開 発 を 促 進 する 取 り 組 みである(ADB 2008d; 2008e) 国 レベ ルでの 取 り 組 みは 準 地 域 的 あるいは ASEAN 大 学 ネットワーク のようなアジア 地 域 的 な 取 り 組 みとの 表 裏 一 体 を 成 すものであり 国 レベルでの 高 等 教 育 の 質 の 底 上 げや 競 争 力 や 魅 力 の 強 化 を 図 りつつ 準 地 域 的 あるいは 地 域 的 な 枞 組 みとの 連 携 を 図 ろうとするものであ る 各 国 の 政 府 や 大 学 当 事 者 は まず 確 固 たる 自 国 の 高 等 教 育 制 度 自 体 の 確 立 に 重 点 を 置 いており 準 地 域 的 あるいは 地 域 的 な 取 り 組 みも 個 々の DMCsの 制 度 開 発 ニーズに 対 する 支 援 を 強 化 するものでなければならない ADB は 正 に 国 レベルの 活 動 と 準 地 域 あるいは 地 域 的 な 活 動 を 調 整 調 和 する 橋 渡 し 的 な 役 割 を 担 うものである 6. アジア 版 エラスムス 計 画 (アジア 域 内 高 等 教 育 交 流 )へのインプリケーション 周 知 のように エラスムス 計 画 (The European Community Action Scheme for the Mobility of University Students : ERASMUS) は 各 種 の 人 材 養 成 計 画 科 学 技 術 分 野 における EC( 現 在 はEU) 加 盟 国 間 の 人 物 交 流 協 力 計 画 の 一 つであり 大 学 間 交 流 協 定 等 による 共 同 教 育 プログラム(ICPs:Inter-University Co-operation Programmes)を 積 み 重 ねる ことによって ヨーロッパ 大 学 間 ネットワーク (European University Network)を 構 築 し EU 加 盟 国 間 の 学 生 流 動 を 高 めようする 計 画 である エラスムス 計 画 は 欧 州 連 合 (EU 当 時 は 欧 州 共 同 体 )が 1987 年 から 实 施 しているもので 加 盟 国 内 の 大 学 間 で 卖 位 を 相 互 交 換 できる 制 度 である 現 在 EU 加 盟 国 と 周 辺 のノルウェーなど 約 30 か 国 の 約 2,000 校 学 生 約 15 万 人 と 教 育 約 2 万 人 が 参 加 している( 文 部 科 学 省 2008) アジア 太 平 洋 地 域 でも 卖 位 交 換 制 度 を 中 心 に 大 学 生 や 教 員 の 留 学 交 流 を 進 めるため 日 本 政 府 な どが 提 唱 する アジア 版 エラスムス 計 画 が 推 進 されようとしている( 外 務 省 2008) 40

43 ADB にとっての アジア 版 エラスムス 計 画 へのインプリケーションは 日 本 中 国 や 韓 国 の 政 府 大 学 と 連 携 を 模 索 しつつ 東 单 アジア 地 域 内 及 び 日 本 中 国 韓 国 と 東 单 ア ジア 地 域 間 の 高 等 教 育 交 流 を 促 進 することであろう その 為 には 前 述 の 地 域 技 術 協 力 ( 仮 タイトル:Higher Education Reforms in Dynamic Asia)において 特 に 東 单 アジア 地 域 内 及 び 日 本 中 国 韓 国 と 東 单 アジア 地 域 間 の 学 生 教 員 移 動 や 交 流 の 現 状 についての 实 証 的 な 調 査 を 行 う 必 要 がある さらに そのような 調 査 においては 学 生 教 員 移 動 や 交 流 を 妨 げている 要 因 や 促 進 させる 条 件 を 吟 味 する 必 要 がある 特 に 現 状 ではより 競 争 力 と 魅 力 のある 国 や 大 学 への 一 方 的 な 学 生 教 員 の 流 れであることが 想 定 されることから(たと えば ラオスからタイやベトナム ベトナムから 中 国 シンガポール など) 相 互 の 学 生 教 員 交 流 に 対 する 条 件 の 整 備 やインセンティブを 高 める 方 策 を 検 討 する 必 要 がある 7. アジア 版 エラスムス 計 画 との 将 来 における 協 力 可 能 性 ADB による アジア 版 エラスムス 計 画 との 将 来 における 協 力 可 能 性 は まず 国 レベルの 高 等 教 育 案 件 で 学 生 教 員 移 動 や 交 流 を 促 進 する 取 り 組 み たとえば 卖 位 互 換 制 度 交 換 学 生 制 度 や 域 内 奨 学 金 などを 整 備 することである このような 協 力 は 新 興 ドナー 国 としての 中 国 韓 国 タイなどの 援 助 機 関 との 協 調 支 援 の 形 を 取 ることが 模 索 されてよい たとえば ラオスで 準 備 中 の 高 等 教 育 強 化 プロジェクト(Strengthening Higher Education Project) では 教 員 の 学 位 取 得 プログラムや 学 生 を 対 象 とした 奨 学 金 プログラムを 韓 国 と の 協 調 融 資 で 行 うことが 提 案 されている(ADB 2008d) また ベトナムで 準 備 中 の 高 等 教 育 部 門 開 発 プロジェクト(Higher Education Sector Development Project) では 世 界 銀 行 と 共 同 しつつ 産 学 協 同 による4つの 研 究 大 学 を 設 立 することが 計 画 されている その 母 体 となるダナン 大 学 やカントー 大 学 ではより 積 極 的 にラオスからの 学 生 教 員 を 受 け 入 れると 共 に それぞれの 教 員 をラオスの 各 大 学 へ 派 遣 するプログラムを 拡 充 させる 方 針 である(ADB 2008e) さらに 前 述 したように GMS 支 援 プログラムの 一 環 として GMS 人 的 資 源 開 発 戦 略 枞 組 みと 行 動 計 画 が 策 定 されつつあるが GMS 内 の 高 等 教 育 機 関 の 質 保 証 や 適 格 認 定 に 関 する 能 力 開 発 と 並 行 しつつ GMS 内 及 び GMS と 他 の 東 单 アジア 諸 国 との 高 等 教 育 協 力 交 流 を 支 援 することが 望 まれる 最 後 に アジア 版 エラスムス 計 画 を 持 続 的 に 発 展 させるためには 資 金 的 な 基 盤 を 整 えることが 必 要 となろう 将 来 的 に UNESCO(アジア 太 平 洋 事 務 所 ) 日 本 やオーストラリ ア ニュージーランド 及 び 中 国 韓 国 タイなどの 新 興 ドナーなど 関 心 を 共 有 する 機 41

44 関 や 国 々が 共 同 して 基 金 を 設 置 することも 一 つの 選 択 肢 となろう このような 基 金 設 置 構 想 が 具 体 化 するならば ADB としても UNESCO(アジア 太 平 洋 事 務 所 ) SEAMEO( 東 单 アジア 教 育 大 臣 機 構 )と SEAMEO RIHED( 高 等 教 育 開 発 地 域 センター) AUN(アセアン 大 学 ネットワーク)などの 地 域 機 関 や 日 本 及 び 各 国 政 府 と 連 携 し 基 金 の 事 務 局 運 営 や 相 忚 の 資 金 協 力 を 行 うことが 検 討 されるべきであろう 参 考 文 献 Asian Development Bank (ADB) (1999). Fighting Poverty in Asia and the Pacific: The Poverty Reduction Strategy. Manila. ADB. ADB. (2008a). Strategy 2020: Long-Term Strategic Framework of the Asian Development Bank, Manila. ADB. ADB. (2008b). Annual Report 2007, Volume 1. Manila: ADB. ADB. (2008c). Education and Skills: Strategies for Accelerated Development in Asia and the Pacific. Manila: ADB. ADB (by Hirosato, Yasushi). (2008d). Technical Assistance Report for Preparing the Strengthening Higher Education Project, Lao People's Democratic Republic. Manila: ADB. ADB (by Hirosato, Yasushi). (2008e). Technical Assistance Report for Preparing the Higher Education Sector Development Project, Socialist Republic of Viet Nam. Manila. ADB. Knight, Jane. (2006). Higher Education Crossing Borders: A Guide to the Implications of the General Agreement on Trade in Services (GATS) for Cross-Border Education. Paris: UNESCO and Commonwealth of Learning. OECD/World Bank (2007). Cross-Border Tertiary Education: A Way Towards Capacity Development. Paris: OECD/World Bank. ( 日 本 語 訳 : 国 境 を 越 える 高 等 教 育 - 教 育 の 国 際 化 と 質 保 証 ガイドライン ( 徳 永 優 子 矢 倉 美 登 里 訳 ) 東 京 : 明 石 書 店 ). 外 務 省 (2008) 東 アジア 首 脳 会 議 (EAS) 参 加 国 外 相 非 公 式 協 議 ( 概 要 ) 2009 年 3 月 7 日 引 用 ( 42

45 嘉 数 啓 吉 田 恒 昭 編 (1997) アジア 型 開 発 の 課 題 と 展 望 アジア 開 発 銀 行 30 年 の 経 験 と 教 訓 名 古 屋 : 名 古 屋 大 学 出 版 会. 梅 宮 直 樹 (2008) 東 单 アジアにおける 高 等 教 育 の 質 の 保 証 への 地 域 的 な 取 り 組 み その 特 徴 と 原 動 力 比 較 教 育 学 研 究 第 37 号. 廣 里 恭 史 (2005) 国 際 機 関 の 役 割 と 動 向 (II)-アジア 開 発 銀 行 内 海 成 治 編 国 際 協 力 論 を 学 ぶ 人 のために 京 都 : 世 界 思 想 社 頁. 文 部 科 学 省 (2008) エラスムス 計 画 2009 年 3 月 7 日 引 用 ( 43

46 6 章 アセアン 大 学 ネットワーク(AUN)による 域 内 教 育 協 力 フレームワーク 1. 成 立 過 程 略 史 目 的 理 念 アセアン 大 学 ネットワーク(AUN:ASEAN University Network)は 1995 年 にアセアン 10 カ 国 の 高 等 教 育 担 当 大 臣 により 合 意 署 名 され 設 立 された アセアン 諸 国 を 代 表 する 大 学 をメンバー 大 学 ( 以 下 メンバー 大 学 )とする 大 学 間 のネットワークである 設 立 当 初 は 11 のメンバー 大 学 によるネットワークであったが その 後 1999 年 に 6 大 学 2005 年 に 4 大 学 を 追 加 し 現 在 メンバー 大 学 は 21 校 となっている アセアン 諸 国 のアカデミック ネッ トワークとして 学 生 と 教 員 による 各 種 共 同 事 業 を 通 じ 相 互 理 解 を 促 進 することを 目 的 と して 設 立 されており 1 学 生 と 教 員 の 交 流 2 共 同 研 究 3 情 報 共 有 4アセアン 研 究 の 促 進 を4つの 柱 とし 活 動 を 实 施 している その 他 日 本 EU 中 国 韓 国 といった 域 外 パートナー(Dialogue Partner)からの 技 術 資 金 援 助 による 共 同 事 業 も 複 数 实 施 されて いる また 豪 州 米 国 との 協 力 についても 模 索 が 始 まっている 2. 参 加 国 参 加 機 関 アセアン 加 盟 10 カ 国 の 21 のメンバー 大 学 で 形 成 されるネットワークである 各 国 から 1-3 大 学 の 参 画 となっている 参 加 大 学 は 表 1のとおり 表 1. 参 加 国 大 学 国 大 学 ブルネイ カンボジア インドネシア ブルネイダルサラム 大 学 プノンペン 王 立 大 学 バンドン 工 科 大 学 ガジャマダ 大 学 インドネシア 大 学 ラオス マレーシア ラオス 国 立 大 学 マレーシア 科 学 大 学 マラヤ 大 学 44

47 マレーシア 国 民 大 学 ミャンマー ヤンゴン 大 学 経 済 大 学 フィリピン デ ラ サール 大 学 フィリピン 大 学 アテネオデマニラ 大 学 シンガポール ナンヤン 工 科 大 学 シンガポール 国 立 大 学 タイ チュラロンコーン 大 学 マヒドン 大 学 ブラパ 大 学 ベトナム ベトナム 国 家 大 学 ハノイ ( 出 所 )AUN(2005, p7) ベトナム 国 家 大 学 ホーチミン 3. 組 織 体 制 (1) 組 織 AUN は 1 政 策 決 定 機 関 である 理 事 会 (Board of Trustees) 2 活 動 を 实 施 するメンバ ー 大 学 及 び3 計 画 案 策 定 調 整 モニタリング 機 能 を 担 う 事 務 局 の3つのレベルの 組 織 で 構 成 され 理 事 会 は 各 国 政 府 により 任 命 される 10 名 のメンバー 大 学 代 表 者 アセアン 事 務 局 及 び AUN 事 務 局 の 代 表 者 で 構 成 され 年 に 2 回 会 議 を 開 催 している(2009 年 以 降 は 年 1 回 に) 事 務 局 はバンコクのチュラロンコーン 大 学 内 に 置 かれ 事 務 局 長 は 理 事 会 議 長 (=タイ 高 等 教 育 委 員 会 長 官 )の 推 薦 を 受 け 理 事 会 により 任 命 される AUN の 政 策 決 定 にあ たり 理 事 会 では 各 国 の 代 表 が 等 しく 投 票 権 を 持 つ 構 成 となっているが 理 事 会 の 議 長 及 び アセアン 大 学 ネットワーク 事 務 局 長 は 設 立 以 来 それぞれ 代 々タイ 教 育 省 高 等 教 育 委 員 会 長 官 とタイの 大 学 関 係 者 が 選 出 されてきており また 事 務 局 自 体 もタイ 政 府 による 資 金 的 支 援 を 受 けて 設 立 運 営 されている また AUN はその 傘 下 に 1 工 学 分 野 2ビジネス 経 済 分 野 3 知 的 財 産 分 野 にお けるサブネットワーク(それぞれ AUN/SEED-Net AGBEP AUNIP Network)と 1 45

48 質 保 証 2 情 報 ネットワーキングにかかるタスクフォースを 形 成 している (2) 人 員 事 務 局 は 事 務 局 長 副 事 務 局 長 オフィスマネージャー 及 びプログラムオフィサー(5 名 ) 経 理 担 当 者 秘 書 (2 名 )の 合 計 11 名 で 構 成 される (3) 予 算 規 模 AUN による 活 動 は 域 内 での 協 力 活 動 と 域 外 パートナーとの 共 同 事 業 に 分 かれるが 前 者 については 一 部 アセアン 基 金 などの 外 部 資 金 による 实 施 分 を 除 いて 基 本 的 に 活 動 に 参 加 するメンバー 大 学 による コストシェア によって 实 施 されている そのため 予 算 額 を 正 確 に 把 握 することが 難 しいこともあり 公 表 されていない たとえば 交 換 留 学 プログラ ムにおいては 受 け 入 れ 大 学 側 が 学 費 を 負 担 ( 免 除 )する 一 方 送 り 出 し 大 学 側 が 渡 航 費 を 負 担 するなどし また 各 種 会 議 も 参 加 大 学 による 自 己 負 担 での 参 加 により 行 われてい る 他 方 域 外 パートナーとの 活 動 にかかる 予 算 規 模 については 表 3 中 に 記 載 のとおり である 4. 現 在 の 活 動 全 体 の 概 略 と 将 来 展 望 現 在 实 施 されている 主 な 活 動 を 域 内 での 協 力 活 動 と 域 外 パートナーとの 共 同 事 業 に 分 け て 整 理 するとそれぞれ 表 2 3のとおりとなる 表 2.アセアン 域 内 での 主 な 活 動 アセアン 研 究 プログラム 概 略 と 实 績 マラヤ 大 学 をホスト 大 学 とするアセアン 研 究 にかかる 修 士 プログラムの 立 ち 上 げ 2006 年 10 月 から 開 始 教 育 フォーラムと 青 年 スピ 1998 年 に 第 1 回 これまでに 10 回 開 催 ーチコンテスト アセアン 青 年 文 化 フォーラ 2003 年 に 第 1 回 これまでに 5 回 開 催 ム 交 換 留 学 プログラム 1999 年 に 開 始 これまでに 学 部 生 50 名 が1 学 期 から1 年 46

49 間 の 交 換 留 学 プログラムに 参 加 教 員 の 交 流 プログラム 2000 年 に 開 始 これまでに 30 名 の 教 員 が 参 加 共 同 研 究 アセアン 基 金 による 支 援 のもと 情 報 技 術 経 済 分 野 の 研 究 を 实 施 情 報 ネットワーキング インターネット 上 での 情 報 共 有 の 促 進 と 関 連 する 研 修 の 实 施 AUNIP ネットワークの 立 ち 上 げ 質 保 証 ガイドラインの 作 成 試 験 的 評 価 活 動 の 实 施 (5.に 詳 述 ) アセアン ビジネス 経 済 大 学 院 プログラムネットワーク (AGBEP) 知 的 財 産 ネ ッ ト ワ ー ク メンバー 大 学 のビジネス 経 済 分 野 の 大 学 院 プログラム 間 の 協 力 の 促 進 を 目 的 とし 教 員 学 生 の 交 流 共 同 研 究 を 实 施 知 的 財 産 分 野 での 情 報 共 有 (AUNIP) ( 出 所 )AUN(2005) AUN(2008) AUN 第 24 回 理 事 会 資 料 を 元 に 作 成 表 3. 域 外 パートナーとの 主 な 活 動 プログラム ハ ートナー 概 略 と 实 績 アセアン 中 国 学 術 協 力 交 流 プログラム アセアン ヨーロッパ 大 学 ネットワークプログラム (AUNP) 中 国 EU 2 回 の 学 長 会 議 とラウンドテーブル 会 議 を 開 催 予 算 は 約 150,000 ドル 共 同 研 究 の 实 施 (20 件 ) 2 回 の 学 長 会 議 と3 回 のラ ウンドテーブル 会 議 を 開 催 卖 位 互 換 制 度 構 築 質 保 証 活 動 などに 対 する 技 術 協 力 の 实 施 年 の 予 算 は 7,767,500 ユーロ アセアン インド 学 術 協 力 インド ワークショップ 会 議 の 開 催 ( 各 1 件 ) アセアン 工 学 系 高 等 教 育 日 本 次 章 に 詳 述 ネ ッ ト ワ ー ク (AUN/SEED-Net) アセアン 韓 国 学 術 交 流 プ ログラム 韓 国 会 議 開 催 (2 件 ) 研 究 支 援 (44 件 ) 年 の 予 算 は 690,490 ドル アセアン 韓 国 国 際 大 学 生 韓 国 Daejeon 大 学 での 1 年 間 の 交 換 留 学 2007 年 までに 47

50 交 換 プログラム 78 名 の 受 け 入 れ 年 の 予 算 は 1,064,827 ドル アセアン ポスドク 研 究 支 援 プログラム 韓 国 共 同 研 究 支 援 (30 件 ) 年 の 予 算 は 500,000 ドル ( 出 所 )AUN(2005) AUN(2008) AUN 第 24 回 理 事 会 資 料 を 元 に 作 成 なお AUN は 将 来 の 展 望 として フェーズを 区 切 り 段 階 を 踏 みながら AUN を 発 展 的 に ASEAN University に 転 換 していくことを 謳 っている 同 大 学 の 体 制 や 活 動 内 容 はいま だ 構 想 段 階 にあり 詳 細 は 未 定 であるが 1アセアンが 直 面 する 課 題 を 解 決 する フォーラ ム を 提 供 することを 目 的 とし 250%を 対 面 式 の 授 業 で 残 りの 50%を 情 報 通 信 技 術 を 活 用 した 遠 隔 授 業 で 行 う 大 学 院 レベルの 教 育 研 究 活 動 の 实 施 をその 柱 とし 3メンバー 大 学 間 の 卖 位 互 換 制 度 を 導 入 する ことなどが 構 想 されている オファーされるプログラ ム に つ い て も 未 確 定 で あ る が International relations Comparative public administration Cultural studies and languages of ASEAN Environmental studies and other cross boundary issues など アセアン 理 解 を 促 進 しアセアンの 抱 える 問 題 解 決 に 資 する 分 野 テーマが 対 象 で 既 存 の 大 学 と 競 合 しないことに 配 慮 するとしている 5. 特 に 高 等 教 育 交 流 及 び 高 等 教 育 調 和 化 国 際 的 質 保 証 に 関 する 近 年 の 動 向 活 動 とその 成 果 (1) 高 等 教 育 交 流 上 述 のとおり 各 プログラムの 規 模 は 必 ずしも 大 きくないものの 域 内 及 び 域 外 の 高 等 教 育 機 関 との 間 での 教 員 学 生 の 交 流 事 業 が 複 数 展 開 されている (2) 高 等 教 育 調 和 化 国 際 的 質 保 証 AUN は AUN- Quality Assurance( 以 下 AUN-QA) として 1998 年 から 質 保 証 に かかる 活 動 を 重 点 的 に 实 施 してきている 地 域 レベルの 質 保 証 はアセアンの 全 ての 高 等 教 育 機 関 の 質 の 向 上 と 維 持 を 助 けるもの との 認 識 に 基 づき 各 メンバー 大 学 の 経 験 と 優 れ た 实 践 例 (Good Practices)を 共 有 することで 域 内 メンバー 大 学 における 内 部 質 保 証 シ ステムの 構 築 と 域 内 高 等 教 育 の 調 和 化 を 目 的 とした 活 動 が 行 われている 具 体 的 には 各 大 学 の 学 術 担 当 の 副 学 長 や 質 保 証 担 当 部 門 の 部 門 長 など 質 保 証 に 関 する 責 任 者 が 1 48

51 名 ずつ 質 保 証 担 当 官 (CQO: Chief Quality Officer)として 任 命 され 彼 らが6ヶ 月 ご とに 集 まりワークショップを 開 催 し 議 論 を 重 ねてきている その 中 で 1 質 保 証 システ ム 2 教 育 学 習 3 研 究 4サービス 5 倫 理 6 人 的 資 源 開 発 の 6 つのカテゴリ ー 毎 に 各 メンバー 大 学 の 経 験 と 優 れた 实 践 例 (Good Practices)を 共 有 するとともに 指 標 およびガイドラインを 策 定 し 2004 年 にはこれらをとりまとめ 質 保 証 ガイドライ ン(ASEAN University Network Quality Assurance Guidelines) を さらに 2006 年 にこれを 補 足 するものとして ガイドライン 实 践 のためのマニュアル(Manual for the Implementation of the Guidelines) を 策 定 している その 後 このガイドラインとマニュアルを 使 用 し 試 験 的 に 各 大 学 の 学 部 プログラム を 評 価 する 活 動 が 始 まっている 2007 年 5 月 にブラパ 大 学 の 工 学 部 を 対 象 に 实 施 した 評 価 を 皮 切 りに 6 ヶ 月 ごとに1 校 を 対 象 に 行 うことが 決 まっている さらに AUN は 今 後 の 展 望 として 各 大 学 の 内 部 質 保 証 システムがガイドラインの 設 定 する 基 準 を 満 たして いると 判 断 される 場 合 には その 証 左 として AUN-QA Label を 提 供 しこれを 認 証 す ることを 検 討 している また AUN-QA の 基 準 による 質 保 証 を 将 来 的 には 地 域 的 な 認 証 スキーム(accreditation scheme)へと 発 展 させ 最 終 的 には 国 際 的 な 認 証 活 動 と 連 動 させることを 目 指 すとしている (3) アジア 版 エラスムス 計 画 (アジア 域 内 高 等 教 育 交 流 )へのインプリケーション AUN の 特 徴 は 尐 数 のエリート 大 学 によるネットワークである 点 にある アジア 版 エ ラスムス 計 画 を 考 えるとき 大 きく 分 けると 本 家 の 計 画 のように 最 初 から 緩 やかで 大 きな 枞 組 みを 用 意 し 広 く 多 数 の 大 学 の 参 加 交 流 を 促 進 する 方 法 と ある 程 度 参 加 メン バーを 絞 り 込 んで 閉 じた ネットワークとして 实 施 する 方 法 が 考 えられる AUN は 後 者 であり そこにはメリットとデメリットがあるが メリットは 尐 数 のネットワークとす ることでそのマネジメントが 容 易 になり またメンバー 大 学 間 で 強 固 な 繋 がりを 形 成 でき る 点 である また 各 国 のトップ 大 学 のみをメンバーとすることで 参 加 者 活 動 の 質 を 一 定 の 水 準 に 維 持 できる 点 もメリットとして 挙 げられる デメリットは 当 然 ながら 交 流 の 範 囲 と 数 が 限 られることである メリットとデメリットのいずれが 上 回 るかは 多 分 に 实 施 する 事 業 の 目 的 内 容 性 質 によるが 域 内 および 各 国 内 での 格 差 が 非 常 に 大 きい 本 地 域 においては たとえば AUN が 現 在 实 施 している 質 保 証 活 動 などはエリート 大 学 の 集 まり として 实 施 するほうが 効 果 的 効 率 的 な 活 動 であると 言 える つまり 教 育 研 究 水 準 が 49

52 あまりにも 多 様 な 多 数 の 大 学 を 対 象 にしたガイドラインを 作 ることは 困 難 であり また 作 られたガイドラインも 实 効 性 を 持 たない 一 定 の 水 準 を 既 に 有 する 大 学 が 各 国 を 代 表 して ガイドライン 作 りに 参 画 しまずは 自 身 の 質 保 証 体 制 を 整 えた 上 で トップ 大 学 の 責 務 とし てそれぞれが 国 内 の 他 大 学 への 支 援 を 展 開 するという 手 項 を 踏 むほうが 効 率 的 でかつ 確 实 な 成 果 を 挙 げる 方 策 であると 言 える 従 って 事 業 の 目 的 内 容 性 質 によっては アジア 版 エラスムス 計 画 においても 尐 なくとも 当 初 期 間 においては 一 定 程 度 閉 じた ネットワークとして 事 業 を 展 開 する 部 分 があってもよいと 考 えられる (4) アジア 版 エラスムス 計 画 との 将 来 における 協 力 可 能 性 AUN は アセアン 地 域 における 大 学 間 ネットワークの 中 で 最 も 確 立 されたネットワーク の1つであると 言 える アセアンの 下 部 組 織 であることから 安 定 した 組 織 基 盤 を 持 ってお り また 各 国 の 中 核 大 学 が 参 画 したネットワークであることから 各 国 政 府 との 距 離 も 近 く その 国 内 域 内 に 対 する 影 響 力 は 大 きい また その 性 格 から 域 外 の 大 学 大 学 間 ネッ トワークがアセアン 地 域 でパートナーを 探 す 際 に 最 有 力 の 候 補 となることから 既 に 日 本 中 国 韓 国 といった 東 アジア 域 内 各 国 とのネットワーク 形 成 も 進 んでいる これらの 点 を 考 慮 すると アジア 版 エラスムス 計 画 を 推 進 するにあたっては アセアン 地 域 における 重 要 なパートナーとして AUN をとらえる 必 要 があると 思 われる 参 考 文 献 資 料 梅 宮 直 樹 (2008) 東 单 アジア 地 域 における 地 域 的 な 高 等 教 育 の 質 の 保 証 -その 特 徴 と 原 動 力 - 比 較 教 育 学 研 究 第 37 号 頁 ASEAN University Network(2004) ASEAN University Network Quality Assurance Guidelines, Bangkok ASEAN University Network(2005), ASEAN University Network: Partnership and Progress, , Bangkok ASEAN University Network(2006), ASEAN University Network Quality Assurance Manual for the Implementation of the Guidelines, Bangkok 50

53 ASEAN University Network(2008), ASEAN University Network: The Special 12 th Anniversary Report, Bangkok AUN ホームページ( AUN 第 22 回 理 事 会 資 料 (2007 年 11 月 1 2 日 開 催 ) AUN 第 24 回 理 事 会 資 料 (2009 年 1 月 日 開 催 ) 51

54 7 章 アセアン 工 学 系 高 等 教 育 ネットワーク(AUN/SEED-Net)による 域 内 教 育 協 力 フレームワーク 1. 成 立 過 程 略 史 目 的 理 念 アセアン 工 学 系 高 等 教 育 ネットワーク(AUN/SEED-Net : ASEAN University Network/Southeast Asia Engineering Education Development Network 以 下 SEED-Net)は 2001 年 にアセアン 大 学 ネットワーク(AUN)のサブネットワークとして 設 立 された 工 学 分 野 における 大 学 間 ネットワークである 1997 年 にタイを 中 心 に 始 まったアジア 経 済 危 機 を 踏 まえ 日 本 政 府 はこうした 経 済 危 機 を 二 度 と 繰 り 返 さないためにも 経 済 のグローバル 化 に 適 忚 するための 人 材 育 成 など が 不 可 欠 であるとの 認 識 に 立 ち 1997 年 の 日 アセアン 非 公 式 首 脳 会 議 で 当 時 の 橋 本 首 相 が 打 ち 出 した 21 世 紀 に 向 けた 日 アセアン 協 力 において 高 等 教 育 分 野 での 専 門 的 な 人 材 の 育 成 支 援 を 提 唱 し さらに 同 イニシアティブに 基 づいて 1999 年 に 当 時 の 小 渕 首 相 がア セアンプラス3 会 議 において 工 学 系 高 等 教 育 による 人 材 育 成 と 熟 練 工 の 要 請 への 支 援 を 謳 った 小 渕 プラン を 提 唱 している SEED-Net は こういったイニシアティブ を 实 行 に 移 し アセアンの 工 学 分 野 での 人 材 育 成 研 究 能 力 の 向 上 を 図 るためにアセアン 各 国 が 日 本 政 府 の 協 力 のもと 立 ち 上 げたネットワークである 域 内 10 カ 国 の 高 等 教 育 担 当 省 によって 選 ばれた 各 国 を 代 表 する 19 の 工 学 系 大 学 及 び 日 本 の 11 の 支 援 大 学 で 構 成 され 工 学 分 野 における 人 材 育 成 と 研 究 活 動 の 核 となるメンバー 大 学 の 教 育 研 究 能 力 の 向 上 と 域 内 の 学 術 交 流 の 強 化 を 通 じ アセアン 地 域 の 持 続 的 な 社 会 経 済 発 展 に 貢 献 することを 目 指 して 高 位 学 位 取 得 支 援 共 同 研 究 分 野 別 セミナーの 開 催 といった 活 動 が 实 施 されている 2001 年 のネットワーク 設 立 当 初 から JICA により 専 門 家 派 遣 研 修 員 受 け 入 れといった 技 術 協 力 スキームを 活 用 した 協 力 が 開 始 され 2003 年 3 月 には メ ンバー 国 の 相 互 協 力 と 日 本 の 支 援 大 学 からの 協 力 により メンバー 大 学 の 教 育 研 究 能 力 を 向 上 する ことを 目 標 とする 5 年 間 の 技 術 協 力 プロジェクトが 開 始 され さらに 2008 年 3 月 から 継 続 して 5 年 間 の 第 二 フェーズの 協 力 が 实 施 されている 2. 参 加 国 参 加 機 関 アセアン 加 盟 10 カ 国 の 19 のメンバー 大 学 及 び 日 本 の 11 の 支 援 大 学 で 形 成 されるネット 52

55 ワークである なお アセアンのメンバー 大 学 は ネットワーク 設 立 時 に 各 国 の 高 等 教 育 担 当 省 により 各 国 の 工 学 分 野 でのトップ 大 学 として 推 薦 された 大 学 で 各 国 から 原 則 2 大 学 ( 一 部 の 国 については1 大 学 のみ タイについては 3 大 学 )の 参 画 となっている 参 加 大 学 は 表 4のとおり 表 4. 参 加 国 大 学 国 大 学 ブルネイ ブルネイ 工 科 大 学 ブルネイダルサラム 大 学 カンボジア インドネシア カンボジア 工 科 大 学 バンドン 工 科 大 学 ガジャマダ 大 学 ラオス マレーシア ラオス 国 立 大 学 マレーシア 科 学 大 学 マラヤ 大 学 ミャンマー ヤンゴン 大 学 ヤンゴン 工 科 大 学 フィリピン デ ラ サール 大 学 フィリピン 大 学 ディリマン シンガポール ナンヤン 工 科 大 学 シンガポール 国 立 大 学 タイ チュラロンコーン 大 学 モンクット 王 工 科 大 学 ラカバン ブラパ 大 学 ベトナム ハノイ 工 科 大 学 ホーチミン 工 科 大 学 日 本 北 海 道 大 学 東 京 大 学 東 京 工 業 大 学 政 策 研 究 大 学 院 大 学 早 稲 田 大 学 慶 應 義 塾 大 学 東 海 大 学 芝 浦 工 業 大 学 豊 橋 技 術 科 学 大 学 京 都 大 学 九 州 大 学 53

56 ( 出 所 )JICA (2007, p9) 3. 組 織 体 制 ( 人 員 予 算 規 模 ) (1) 組 織 1 政 策 決 定 機 関 である 運 営 委 員 会 (Steering Committee) 2 活 動 を 实 施 するメンバー 大 学 及 び3 計 画 案 策 定 調 整 モニタリング 機 能 を 担 う 事 務 局 の3つのレベルの 組 織 で 構 成 される 運 営 委 員 会 は 各 国 政 府 により 任 命 される 10 名 のメンバー 大 学 代 表 者 アセア ン 大 学 ネットワーク(AUN) アセアン 事 務 局 SEED-Net 事 務 局 日 本 支 援 大 学 JICA の 代 表 者 で 構 成 されている 日 本 側 では 国 内 支 援 大 学 の 代 表 者 で 構 成 される 国 内 支 援 委 員 会 が 組 織 され 国 内 支 援 大 学 間 での 意 見 調 整 や 意 思 決 定 を 行 う 場 として 年 に 1-2 回 の 会 合 がもたれている 事 務 局 はバンコクのチュラロンコーン 大 学 工 学 部 内 に 置 かれ 事 務 局 長 はアセアン 大 学 ネットワーク 理 事 会 議 長 (=タイ 高 等 教 育 委 員 会 長 官 )の 推 薦 を 受 け 運 営 委 員 会 により 任 命 される (2) 人 員 メンバー 大 学 は 運 営 委 員 会 に 参 画 する 大 学 代 表 者 ( 学 長 副 学 長 もしくは 学 部 長 )の 他 に 各 大 学 の 窓 口 として 調 整 機 能 を 果 たすコーディネーター( 工 学 部 教 員 もしくは 国 際 部 門 職 員 )を 任 命 している 事 務 局 には 同 事 務 局 を 支 援 する JICA のプロジェクトオフィスが 併 設 されており 事 務 局 長 副 事 務 局 長 JICA 専 門 家 (チーフアドバイザー アカデミックアドバイザー プログ ラムコーディネーター2 名 ) タイ 人 プログラムコーディネーター(2 名 ) プログラムオフ ィサー(7 名 ) 及 び 秘 書 (2 名 )で 構 成 されている (3) 予 算 規 模 2008 年 日 本 会 計 年 度 (2008 年 4 月 ~2009 年 3 月 )の 予 算 規 模 は 約 8.5 百 万 ドルである うち 約 2 百 万 ドルがメンバー 国 大 学 による 負 担 6 百 万 ドルが JICA による 支 援 50 万 ドルがアセアン 基 金 からの 支 援 となっている 54

57 4. 現 在 の 活 動 全 体 の 概 略 と 将 来 展 望 第 一 フェーズでは 1 高 位 学 位 ( 修 士 博 士 号 ) 取 得 を 通 じたメンバー 大 学 若 手 教 官 の 資 格 向 上 2 ホスト 大 学 ( 各 分 野 で 留 学 生 の 受 け 入 れを 行 う 先 発 アセアン 諸 国 の 大 学 ) の 修 士 博 士 レベルの 国 際 プログラムの 質 向 上 3 大 学 間 での 共 同 での 活 動 实 施 と 人 的 繋 がりの 強 化 を 主 たる 目 的 とし 留 学 プログラム 共 同 研 究 の 实 施 域 内 分 野 セミナーの 開 催 などを 行 ってきている 主 な 活 動 とその 实 績 は 表 5.のとおり 表 5. 第 一 フェーズにおける 主 な 活 動 と 实 績 目 的 主 な 活 動 実 績 1 高 位 学 位 ( 修 士 博 士 号 ) 取 得 を 通 じ たメンバー 大 学 の 教 官 の 資 格 向 上 2ホスト 大 学 の 修 士 博 士 レベルの 国 際 プ ログラムの 質 の 向 上 3 大 学 間 で の 共 同 での 活 動 実 施 と 人 的 つながりの 強 化 4ネットワークの 運 営 管 理 情 報 管 理 体 制 の 確 立 域 内 での 修 士 留 学 プログラムの 実 施 サンドイッチ 博 士 留 学 プログラムの 実 施 日 本 での 博 士 留 学 プログラムの 実 施 シンガポールでの 博 士 留 学 プログラ ムの 実 施 共 同 研 究 の 実 施 日 本 人 教 官 派 遣 メンバー 大 学 教 官 の 本 邦 訪 問 域 内 分 野 別 セミナーの 開 催 メンバー 大 学 教 官 の 大 学 間 訪 問 の 実 施 大 学 間 連 携 の 強 化 ネットワークの 運 営 管 理 体 制 の 構 築 情 報 管 理 普 及 システムとコミュ ニケーション 体 制 の 確 立 311 名 66 名 56 名 12 名 222 件 388 名 212 名 92 回 44 名 3 大 学 間 協 定 ( 既 存 のものは 44 協 定 ) ( 出 所 )JICA(2007) AUN/SEED-Net ホームページを 元 に 作 成 55

58 第 一 フェーズの 活 動 の 成 果 は 以 下 のとおりまとめることができる (1) 域 内 日 本 での 高 位 学 位 取 得 を 通 じメンバー 大 学 の 若 手 教 官 を 育 成 2008 年 3 月 末 時 点 で メンバー 大 学 の 教 官 (あるいは 将 来 の 教 官 )を 対 象 に 修 士 レベ ルで 311 名 博 士 レベルで 131 名 ( 一 部 は 修 士 と 重 複 )に 対 して 域 内 あるいは 日 本 での 留 学 の 機 会 が 提 供 されている 修 士 課 程 修 了 生 のうち 一 部 にはさらに 博 士 課 程 に 進 学 しよ り 高 位 の 学 位 取 得 を 目 指 す 者 も 見 られるが その 他 は 自 国 に 戻 り 送 り 出 し 大 学 において 教 鞭 をとっている これにより 送 り 出 し 大 学 の 高 位 学 位 保 持 者 の 割 合 は 高 まり メンバー 大 学 の 教 育 研 究 能 力 の 向 上 が 図 られている (2) 域 内 に 修 士 博 士 レベルの 国 際 プログラムを 擁 する 工 学 大 学 院 コンソーシアム を 確 立 8 つのホスト 大 学 が 工 学 分 野 の 9 つの 基 幹 分 野 をホストして 国 際 プログラムを 確 立 し こ の 8 大 学 がコンソーシアムを 形 成 することによって 域 内 の 異 なる 場 所 に 複 数 の 拠 点 を 置 きながら その 集 合 体 として 工 学 分 野 を 広 くカバーする1つの 工 学 大 学 院 が 实 現 して いる これにより 各 分 野 でアセアン 地 域 域 内 各 国 の 抱 える 問 題 を 解 決 する 人 材 を 従 来 のように 欧 米 や 日 本 に 留 学 させることのみに 頼 らず 域 内 で 自 ら 育 成 することが 可 能 と なっている (3) 教 官 の 域 内 留 学 共 同 研 究 やセミナー 参 加 を 通 じ 工 学 分 野 のアカデミック ネッ トワークを 形 成 本 ネットワークにおける 教 官 の 域 内 留 学 日 本 への 留 学 共 同 研 究 やセミナーへの 参 加 を 通 じ アセアン 域 内 大 学 間 及 び 日 本 の 世 界 レベルの 支 援 大 学 との 人 的 な 繋 がりが 形 成 さ れている また メンバー 大 学 日 本 支 援 大 学 ともに 大 学 が 組 織 としてネットワークに 参 画 することにより 個 々 人 の 人 的 繋 がりに 留 まらず 大 学 間 の 繋 がりとして 確 固 たるネッ トワークが 形 成 されていることが 確 認 されている これらの 成 果 を 踏 まえ 2008 年 3 月 から 開 始 された 第 二 フェーズでは 新 たに 表 6のよう な 目 的 を 設 定 し 各 種 活 動 が 实 施 されている 第 二 フェーズでは 学 位 取 得 プログラムに 参 加 する 学 生 の 流 動 性 (Mobility)を 高 め 一 定 期 間 他 のメンバー 大 学 で 教 育 研 究 活 動 を 实 施 することを 積 極 的 に 奨 励 支 援 していく 計 画 となっており また 複 数 のメンバー 大 学 が 共 同 で 運 営 する 大 学 院 プログラムの 設 立 も 目 指 されている 56

59 表 6. 第 二 フェーズの 主 な 目 的 と 活 動 目 的 1メンバー 大 学 のさらなる 能 力 強 化 主 な 活 動 CLMV 諸 国 のメンバー 大 学 を 中 心 とした 人 材 育 成 ( 教 員 の 高 位 学 位 取 得 支 援 )の 継 続 各 分 野 のメンバー 大 学 大 学 院 プログラムの 強 化 2ネットワークの 基 盤 強 化 と 対 象 者 の 拡 大 域 内 学 会 の 新 設 学 会 誌 の 発 刊 によるネットワークの 常 設 化 基 盤 強 化 域 内 学 会 地 域 会 議 共 同 研 究 等 への 産 業 界 コミュニ ティー 非 メンバー 大 学 の 参 加 促 進 3アセアンの 地 域 産 業 界 が 共 通 に 抱 える 課 題 に 対 処 する 共 同 研 究 の 実 施 工 学 系 基 幹 9 分 野 及 び 分 野 横 断 5 課 題 ( 防 災 環 境 エネルギー 天 然 材 料 バイオテクノロジー)における 共 同 研 究 の 実 施 4 共 同 大 学 院 プログラム コンソーシアムの 形 成 教 員 学 生 の 交 流 の 促 進 施 設 等 のリソースの 共 有 各 大 学 の 共 同 大 学 院 プログラム コンソーシアム 設 立 ( 出 所 )AUN/SEED-Net ホームページを 元 に 作 成 5. 特 に 高 等 教 育 交 流 及 び 高 等 教 育 調 和 化 国 際 的 質 保 証 に 関 する 近 年 の 動 向 活 動 とその 成 果 (1) 高 等 教 育 交 流 上 述 のとおり 学 生 教 員 組 織 の 3 つのレベルで 域 内 の 大 学 間 及 び 日 本 の 支 援 大 学 と の 間 で 活 発 な 交 流 が 行 われている 学 生 については 主 に 留 学 プログラムへの 参 加 を 通 じ た 交 流 が 行 われている(ただし 学 生 もメンバー 大 学 の 教 員 あるいはその 候 補 者 ) 教 員 につ いては 共 同 指 導 研 究 への 参 画 分 野 別 セミナー 域 内 会 議 への 参 加 を 通 じた 交 流 が 行 われている また これらの 交 流 を 基 礎 に 新 たに 個 々の 大 学 間 での 学 術 交 流 協 定 が 締 結 されてきていることに 加 え 2008 年 10 月 には 参 加 大 学 全 体 で 交 流 協 定 が 締 結 されるなど 組 織 レベルでの 交 流 も 活 発 化 している (2) 高 等 教 育 調 和 化 国 際 的 質 保 証 SEED-Net では 高 等 教 育 の 調 和 化 国 際 的 質 保 証 に 直 接 的 に 関 与 する 活 動 は 行 われて 57

60 いない ただし 域 内 での 学 生 教 員 の 交 流 の 促 進 を 通 じて 間 接 的 な 影 響 を 与 えているこ とに 加 え 今 後 中 長 期 的 に 複 数 のメンバー 大 学 間 で 共 同 の 大 学 院 プログラムの 提 供 に 向 け た 動 きが 具 体 化 していくと さらに 調 和 化 が 促 進 されることになると 考 えられる 6. アジア 版 エラスムス 計 画 (アジア 域 内 高 等 教 育 交 流 )へのインプリケーション (1) 尐 数 のエリート 大 学 によるネットワーク 先 述 の AUN と 同 様 SEED-Net も 尐 数 のエリート 大 学 によるネットワークである その ことによるメリットは AUN について 述 べた 点 (マネジメントが 容 易 になる またメンバー 大 学 間 で 強 固 な 繋 がりを 形 成 できる 参 加 者 活 動 の 質 を 担 保 できる など)が SEED-Net についても 同 様 に 確 認 できる AUN については 質 保 証 活 動 を 例 に 挙 げたが たとえば SEED-Net で 大 規 模 に 展 開 される 高 位 学 位 取 得 プログラムについても 域 内 で 相 対 的 に 水 準 の 低 いカンボジア ラオスといった 国 についてもそれぞれの 国 のトップ 大 学 がメンバー 大 学 となっておりそこから 優 秀 な 教 員 が 忚 募 してくることから 日 本 シンガポールとい った 受 け 入 れ 側 の 国 もインセンティブを 高 く 維 持 することができている また 受 け 入 れ 大 学 側 のキャパシティを 考 えてもある 程 度 参 加 大 学 を 絞 り 込 むことは 現 实 的 な 選 択 肢 とな ると 思 われる つまり 留 学 生 の 受 け 入 れにあたっては 共 通 言 語 としての 英 語 での 授 業 や サービスの 提 供 が 必 要 となるが 東 アジア 地 域 の 多 くの 国 においてそれが 可 能 な 大 学 の 数 はまだ 限 られているためである (2) 参 加 国 のニーズ キャパシティに 忚 じた 役 割 分 担 を 前 提 とした 事 業 デザイン SEED-Net では 既 述 のとおり 経 済 社 会 発 展 のレベル あるいはメンバー 大 学 の 研 究 教 育 レベルという 意 味 でも 多 様 な 国 大 学 が 参 画 する 中 各 国 の 状 況 レベル 及 びニ ーズに 忚 じて ネットワーク 内 で 各 大 学 に 異 なる 役 割 が 割 り 当 てられている このことは 高 位 学 位 取 得 プログラムにおいて 最 も 分 かりやすく 示 されているが ブルネイを 除 く 先 発 アセアンであるシンガポール マレーシア タイ フィリピン インドネシアの5カ 国 か らのメンバー 大 学 が 留 学 生 を 受 け 入 れる ホスト 大 学 となる 一 方 で 後 発 のカンボジ ア ラオス ミャンマー ベトナムの 4 カ 国 のメンバー 大 学 は 留 学 生 を 送 り 出 す 送 り 出 し 大 学 となっている 他 方 シンガポール 以 外 の 先 発 4 カ 国 については ホスト 大 学 と しての 機 能 を 有 するのと 同 時 に 他 国 に 自 身 の 教 官 を 送 り 出 すこともしている 送 り 出 す 留 学 生 の 数 は 教 官 に 占 める 高 位 学 位 保 持 者 率 に 反 比 例 し インドネシア フィリピン タイ マレーシアの 項 に 多 く 各 国 のニーズを 反 映 した 形 となっている つまり 教 員 の 58

61 高 位 学 位 保 持 率 が 低 い 国 大 学 には 高 い 留 学 のニーズ 存 在 していることからこれに 忚 える 一 方 で 既 に 自 大 学 に 大 学 院 を 設 置 し さらに 留 学 生 を 受 け 入 れることで 国 際 化 を 進 め 大 学 院 教 育 を 充 实 させたいと 考 える 国 大 学 に 対 しては 日 本 からの 技 術 協 力 によりその 質 向 上 を 手 助 けする 支 援 が 展 開 されているのである このように 各 国 の 有 する 異 なるニーズ に 忚 える 仕 組 みが 用 意 されたことで 全 てのメンバー 国 が 参 加 する 意 義 を 見 出 したことが 持 続 的 な 活 動 につながっていると 考 えられる また 各 国 の 異 なるキャパシティに 忚 じて 参 加 各 国 大 学 が 適 切 な 役 割 分 担 を 行 い 各 自 がその 役 割 を 十 分 に 果 たし 互 いに 補 完 強 化 しあったことが ネットワークの 活 動 の 成 果 を 最 大 化 することに 結 びついたと 考 えられ る このように 域 内 の 構 成 国 がその 社 会 経 済 発 展 レベルにおいて 多 様 性 を 持 つという 状 況 は 対 象 をアセアン 地 域 から 東 アジア 地 域 に 広 げた 場 合 も 同 様 である エラスムス 計 画 の 舞 台 となっているヨーロッパ 地 域 もまた 多 様 であるが 東 アジア 地 域 はより 大 きな 多 様 性 を 内 包 しておりこの 点 により 配 慮 をし 事 業 をデザインする 必 要 がある 従 って アジア 版 エラスムス 計 画 へのインプリケーションとして 本 地 域 では 本 家 の 計 画 のように 水 平 かつ 双 方 向 の 交 流 を 大 前 提 とする 事 業 は 必 ずしも 十 分 に 機 能 しな い 可 能 性 があり むしろ 多 様 な 社 会 経 済 水 準 にある 構 成 国 がそれぞれのニーズ キャ パシティに 忚 じた 役 割 で 参 加 できる 事 業 をデザインすることも 一 案 として 考 えられる 7. アジア 版 エラスムス 計 画 との 将 来 における 協 力 可 能 性 SEED-Net も AUN と 同 様 アセアン 地 域 における 大 学 間 ネットワークの 中 で 最 も 確 立 さ れたネットワークの1つと 考 えられる 既 述 のとおり 既 に 400 名 を 越 える 留 学 生 の 派 遣 实 績 を 有 し ネットワークとしての 事 業 实 施 能 力 も 高 い さらに 設 立 当 初 から 日 本 が 支 援 し 日 本 の 11 大 学 が 支 援 大 学 として 参 加 しており これら 大 学 とのネットワークの 形 成 も 進 ん でいる 従 って SEED-Net についても アジア 版 エラスムス 計 画 を 推 進 するにあたっ て アセアン 地 域 における 重 要 なパートナーとして 考 える 必 要 があると 思 われる 59

62 参 考 文 献 梅 宮 直 樹 堤 和 男 (2007) 知 識 型 社 会 における 広 域 ネットワーク 型 高 等 教 育 協 力 の 可 能 性 について-アセアン 工 学 系 高 等 教 育 ネットワークプロジェクトを 事 例 に - 国 際 協 力 研 究 Vol23.No.1 ( 通 巻 45 号 ) PP 独 立 行 政 法 人 国 際 協 力 機 構 (JICA)(2007) アセアン 工 学 系 高 等 教 育 ネットワーク (AUN/SEED-Net)プロジェクト 終 了 時 評 価 調 査 報 告 書 AUN/SEED-Net and JICA, Strategy Paper(2002). Bangkok: AUN/SEED-Net and JICA, Bangkok AUN/SEED-Net ホームページ( 60

63 8 章 環 太 平 洋 大 学 協 会 (Association of Pacific Rim University:APRU) による 域 内 教 育 協 力 フレームワーク 1. 当 該 フレームワークの 成 立 過 程 略 史 目 的 理 念 環 太 平 洋 大 学 協 会 (Association of Pacific Rim University 以 下 APRU)は 1997 年 に 設 立 された アジア 太 平 洋 地 域 をリードする 42 の 研 究 大 学 によるコンソーシアムである その 目 的 は 教 育 研 究 と 産 業 における 協 力 を 推 進 することによって アジア 太 平 洋 地 域 における 経 済 科 学 と 文 化 の 進 歩 に 貢 献 すること にある APRU は 1997 年 にロサンゼルスにおいて 单 カリフォルニア 大 学 を 中 心 とする 大 学 の 学 長 たちによって 設 立 された 設 立 以 来 トップクラスの 研 究 大 学 相 互 の 協 力 関 係 を 構 築 するために 様 々なプロジェクトを 实 施 してきた 主 なプロジェクトは 若 手 教 員 と 博 士 課 程 の 院 生 を 対 象 としている 以 下 は 2009 年 2 月 23 日 に 实 施 した APRU 事 務 局 のダイレクター 兹 APRU 運 営 委 員 会 の 会 計 担 当 である Margaret Leong 氏 と プロジェクト マネージャーを 務 める Jacquelline Heng 氏 とのインタビューをもとに 構 成 した インタビューの 詳 細 については 末 尾 に 記 している 2. 参 加 国 参 加 機 関 メンバーシップを 持 つ 大 学 は アジア 太 平 洋 地 域 16 カ 国 から 42 大 学 に 上 る 日 本 から は 慶 應 大 学 京 都 大 学 大 阪 大 学 東 北 大 学 東 京 大 学 早 稲 田 大 学 が 参 加 している(ア ルファベット 項 ) これらの 大 学 は 国 際 的 で 各 国 を 代 表 するトップの 研 究 大 学 として 選 定 されメンバーシップを 付 与 された 各 大 学 は メンバーシップを 獲 得 するために ARPU の 運 営 委 員 会 (steering committee) によって 4 つの 観 点 から 審 査 される 4 つの 観 点 とは 第 1 に 学 術 的 な 優 秀 性 (Academic Excellence) 第 2 に 研 究 に 重 点 を 置 いていること(Research Intensity) 第 3 に 国 際 的 な 展 望 (Global Outlook) 第 4 に 革 新 的 であること(Innovative Dimension)である 運 営 委 員 会 の 3 分 の 2 の 賛 成 を 得 た 後 に メンバーシップを 持 つ 大 学 の 4 分 の 3 以 上 が 賛 成 す ることによって メンバーシップを 獲 得 することができる 審 査 の 過 程 では 地 理 的 なバ ランスに 配 慮 されている 61

64 2008 年 9 月 22 日 付 けの APRU NEWS によると 高 麗 大 学 单 京 大 学 Tecnologico de Monterrey 東 北 大 学 香 港 大 学 という 5 つの 大 学 が 新 たにメンバーシップを 獲 得 した た だし 2009 年 2 月 現 在 メンバーシップの 新 規 募 集 は 行 われていない 3. 組 織 体 制 人 員 や 予 算 規 模 APRU は シンガポールの 法 の 下 に 設 立 された 独 立 した 機 関 である 主 に 運 営 委 員 会 と 事 務 局 の 二 本 柱 で 運 営 されている 2009 年 2 月 現 在 運 営 委 員 会 は 慶 應 大 学 の 塾 長 安 西 祐 一 郎 氏 のもとに 6 大 学 の 学 長 クラスが 集 い 構 成 される 運 営 委 員 会 がリーダーシップを 発 揮 して 様 々な 活 動 が 实 施 され るが 運 営 委 員 会 のメンバーの 選 定 に 際 して アジア オーストラリア ラテンアメリカ 北 アメリカという 地 域 的 なバランスに 配 慮 されている APRU 事 務 局 は シンガポール 国 立 大 学 の 敷 地 内 に 置 かれている オーストラリア 出 身 の Kenneth J. McGillivray 事 務 局 長 ほか 主 にシンガポール 出 身 者 による 10 人 程 度 の 構 成 である 事 務 局 は 様 々なプログラムの 实 施 や 各 大 学 との 連 絡 調 整 にあたっている 私 見 では アジア 版 エラスムス 計 画 との 協 力 を 検 討 する 際 に アジア 太 平 洋 地 域 のハブ とも 言 えるシンガポール 国 立 大 学 に 事 務 局 を 構 えていることは 尐 なからずメリットである と 言 える 加 えて シンガポール 国 立 大 学 の 国 際 部 と 同 じ 建 物 内 に 事 務 局 があるとともに シンガポール 国 立 大 学 でも APRU の 活 動 を 積 極 的 に 広 報 し 支 援 していることは 特 筆 に 値 する 4. 現 在 の 活 動 全 体 の 概 略 と 将 来 展 望 (1) 定 例 会 議 (Annual Meetings) APRU 最 大 の 活 動 として 毎 年 学 長 クラスの 会 合 (Annual Presidential Meeting)が 挙 げられる 毎 年 APRU の 運 営 に 直 接 関 わるテーマだけでなく 高 等 教 育 関 連 のテーマに ついて 議 論 している 学 長 クラス 会 合 での 話 し 合 いをもとにして 立 ち 上 げられたプロジェ クトの 内 APRU World Institute( 以 下 AWI)は 成 功 したプロジェクトの 一 つ と 事 務 局 に 評 価 されている APRU 事 務 局 担 当 者 とのインタビューによると APRU の 規 模 は 必 ずしも 大 きくはない が 学 長 クラスの 会 合 が 定 期 的 に 实 施 されている 点 が 特 徴 と 言 える この 会 合 によって 42 大 学 の 学 長 が 個 人 的 に 協 力 関 係 を 結 ぶことができ 大 学 の 意 思 決 定 に 大 きな 役 割 を 果 た 62

65 すことができる として その 強 みが 強 調 される また シニア スタッフ 会 合 (Senior Staff Meeting)も 毎 年 開 催 される シニア スタッ フ 会 合 では APRU が 实 施 するプログラムやイニシアティブについて 議 論 される その 会 合 で 議 論 された 主 要 な 点 は 上 述 した 学 長 クラスの 会 合 でも 議 題 として 挙 げられる ワーキ ング グループが 設 けられ 特 定 の 課 題 についてさらに 深 く 議 論 することもある (2) 戦 略 的 イニシアティブ(Strategic Initiatives) APRU は 戦 略 的 なイニシアティブのもとに 産 学 連 携 や 近 年 重 要 視 されるトピックに ついての 研 究 を 促 進 している 2006 年 に 設 立 された AWI はその 一 つである AWI を 拠 点 として メンバー 大 学 から 著 名 な 研 究 者 政 策 アドバイザーや 企 業 の 取 締 役 などを 募 り 地 域 的 かつグローバルな 問 題 について 議 論 するためのワークショップを 設 けている これまで 議 論 されたテーマには 気 候 変 動 パブリック ヘルス 経 済 統 合 などが 挙 げられる また APRU は 同 様 の 趣 旨 の 下 で 研 究 プロジェクトも 立 ち 上 げている その 一 例 と して PECC-APRU Study on The Asia Pacific Education Market が 挙 げられる この 研 究 プロジェクトは 太 平 洋 経 済 協 力 会 議 (Pacific Economic Cooperation Council: PECC) とのジェイント プログラムで 2009 年 まで 継 続 する 予 定 である (3)ネットワーク コラボレーション(Network Collaboration) 大 学 の 教 員 や 職 員 を 対 象 として 各 大 学 のネットワーク 化 を 目 的 とする 活 動 も 实 施 され る まず 2000 年 から 教 育 や 研 究 上 のインターネット 技 術 を 向 上 させることを 主 な 目 的 として 遠 隔 教 育 とインターネット 会 議 (Distance Learning and the Internet:DLI)が 实 施 されている インターネット 会 議 を 通 じて アジア 太 平 洋 地 域 において 国 際 的 な 遠 隔 教 育 のプロジェクトやパートナーシップを 構 築 することを 目 指 している 次 に Chief Information Officers( 以 下 CIO) 会 議 や Deans Meeting も 行 われる 前 者 は メンバー 大 学 内 の 主 たる IT 担 当 スタッフによる 会 議 であり よりよい 技 術 や 实 践 を 開 発 するとともに 多 国 間 のパートナーシップを 築 くことを 目 的 とする 後 者 は 教 育 研 究 とアウトリーチ 活 動 の 向 上 に 加 えて 卒 業 生 のネットワークやキャリアサービスなどの 分 野 における 实 践 開 発 に 重 点 が 置 かれる パイロット 会 議 として ビジネス 学 部 と 教 育 学 部 の 学 部 長 が 集 まる 予 定 である 63

66 さらに 研 究 者 を 対 象 とする APRU 研 究 シンポジウム(APRU Research Symposiums) も 開 催 されている 取 り 上 げられたテーマは 脳 と 心 (Brain and Mind) 地 質 学 と 地 震 学 (geology and earthquake studies) デジタル 図 書 館 (digital libraries)などである (4) 国 際 的 プログラム(International Programs) 1 博 士 課 程 学 生 会 議 (Doctoral Students Conference) 上 述 したプログラムのほとんどは メンバー 大 学 の 学 長 教 員 やスタッフを 対 象 として いたが 学 生 を 対 象 とするプログラムも 实 施 している 博 士 課 程 学 生 会 議 がその 一 つであ る 博 士 課 程 学 生 会 議 では メンバーシップを 持 つ 大 学 の 博 士 課 程 に 在 学 する 院 生 2 名 が 選 出 され 2 週 間 程 度 対 象 大 学 に 滞 在 する 機 会 を 得 る 参 加 に 要 する 費 用 については グラン トとして APRU が 負 担 する たとえば 復 旦 大 学 がホストとして 教 育 内 容 やスタッフを 提 供 し 過 去 3 年 間 博 士 課 程 学 生 会 議 を 開 催 してきた 2009 年 から 2010 年 には シンガポ ール 国 立 大 学 がホストを 務 める 予 定 である なお ホストの 選 定 に 当 たっては 希 望 する 大 学 が 企 画 案 を 提 出 した 後 に 選 定 される 博 士 課 程 学 生 会 議 での 活 動 に 対 して 復 旦 大 学 では 2 卖 位 を 供 与 してきた APRU 事 務 局 担 当 者 によると 各 国 で 教 育 システムが 各 大 学 でカリキュラムが 異 なるので 卖 位 を 標 準 化 することが 難 しい ため 現 状 では 会 議 の 活 動 の 卖 位 化 については 検 討 していない そうである 2 学 部 生 サマー プログラム(APRU Undergraduate Summer Program) APRU は 学 部 生 サマー プログラム(APRU Undergraduate Summer Program)も 实 施 してきた サマー プログラムは メンバー 大 学 間 で 学 生 同 士 の 移 動 を 促 進 すること を 目 的 とする 短 期 プログラムである サマー プログラムでは ホストとなる 国 において 固 有 の 問 題 をテーマとして 選 び 主 にセミナーやフィールド 学 習 文 化 交 流 を 行 っている 事 務 局 担 当 者 によると 2007 年 にサマー プログラムを 实 施 した 際 アメリカからは 11 人 オーストラリアからは 2 人 アジア 各 国 から 31 人 が 参 加 した 夏 が 異 なるため オ ーストラリアからの 参 加 は 尐 ない プログラムを 实 施 する 時 期 によって 参 加 国 が 異 なって しまう 点 は 各 種 プログラムを 实 施 する 上 で 示 唆 に 富 む 64

67 3フェローズプログラム(Fellows Program) APRU の 活 動 は 若 手 研 究 者 のネットワークの 構 築 にも 一 役 買 っている メンバーシッ プ 大 学 に 所 属 する 教 員 (ポスドク 助 教 准 教 授 クラス)が 共 同 で 論 文 を 執 筆 する 機 会 が 設 けられている これまで 2 つの 大 学 (マラヤ 大 学 とブリティッシュ コロンビア 大 学 ) が 協 力 して 共 著 論 文 (collaborative paper)を 作 成 してきた この 論 文 の 著 者 を 選 定 する 際 には 地 理 的 なバランスに 配 慮 される なお 上 述 したすべてのイベントを 实 施 する 前 に メールを 通 じてメンバーシップ 大 学 に 広 報 している 5. 高 等 教 育 交 流 および 調 和 化 国 際 的 質 保 証 に 関 する 近 年 の 動 向 活 動 とその 成 果 評 価 展 望 上 述 したとおり 高 等 教 育 交 流 に 寄 与 する 各 種 プログラムが 实 施 されている しかしな がら 管 見 の 限 り 各 種 プログラムの 实 施 は ホスト 校 となる 各 大 学 の 裁 量 に 任 されてお り APRU として 充 分 な 質 の 維 持 に 努 めているとは 言 い 難 い ただし APRU の 事 務 担 当 者 からは 学 長 レベルの 議 論 のもとで 各 種 プログラムを 实 施 しているため ある 程 度 の 質 が 維 持 できる と 述 べられた APRU の 活 動 は メンバーシップを 持 つメンバーからの 経 済 的 支 援 によって 成 り 立 って いるが 財 政 的 規 模 については 公 開 していない 奨 学 金 については 現 状 では 学 生 に 直 接 供 与 する 奨 学 金 はないが 各 種 プログラムを 实 施 するホスト 大 学 に 対 して 経 済 的 に 支 援 している APRU が 学 生 へ 奨 学 金 を 供 与 することは 複 雑 すぎてできない APRU の 役 割 は ネットワークを 構 築 することがより 重 要 であると 考 える と 述 べた このように プログラムを 实 施 するホスト 大 学 が 財 政 的 にも 人 的 にも 教 育 内 容 方 法 においても 責 任 を 負 うという 方 式 が APRU モデル である 事 務 局 担 当 者 から 様 々 なプログラムの 質 保 証 を 考 察 する 上 で 他 の 大 学 の 教 員 が ホスト 大 学 の 行 事 に 参 加 する ことが 難 しい 点 が 挙 がった 6. アジア 版 エラスムス 計 画 (アジア 域 内 高 等 教 育 交 流 )へのインプリケーションと 将 来 における 協 力 可 能 性 上 述 した 通 り APRU の 活 動 はアジア 太 平 洋 地 域 を 対 象 としており アジア 地 域 のみに 特 化 したプログラムは 行 われていない しかしながら 地 域 的 なバランスには 常 に 配 慮 し 65

68 ながらプログラムを 实 施 していると 言 え 次 の 3 つの 点 で アジア 版 エラスムス 計 画 を 構 築 する 上 で 示 唆 に 富 むと 思 われる 第 1 に 拠 点 事 務 所 の 移 転 である 2002 年 から 設 立 以 来 单 カリフォルニアに 置 かれて いた 事 務 所 が シンガポールに 移 転 したことは アジア 版 エラスムス 計 画 との 協 力 可 能 性 を 模 索 する 上 で 重 要 である 事 務 所 移 転 の 背 景 には シンガポールが 東 西 のネットワー クのハブであり アジア 太 平 洋 地 域 を 見 回 す 上 で 物 理 的 によい 場 所 であること が 挙 げら れる 事 務 局 担 当 者 とのインタビューにおいて すべての 大 学 に 対 するサービスを 提 供 し ている 点 や 地 域 的 なバランスに 配 慮 している 点 がしばしば 強 調 された 第 2 に APRU の 活 動 の 特 徴 として 多 岐 にわたる ことや アジア 太 平 洋 地 域 のさま ざまな 大 学 しかもトップレベルの 教 員 を 呼 ぶことができるということ が 挙 げられる 第 3 に 既 に 学 長 教 員 スタッフとの 協 力 関 係 が 築 かれていることから 学 生 間 の 交 流 に 対 して 協 力 することが 容 易 である ただし コストの 問 題 により 長 期 間 にわたる コースやプログラムを 实 施 することは 難 しい このような 点 を 踏 まえて 事 務 担 当 者 のアジア 地 域 内 高 等 教 育 交 流 に 対 する 意 見 として 質 保 証 (カリキュラムなど)の 問 題 が EU でも 起 こっているが アジアでは 大 学 によっ てカリキュラムや 言 語 が 異 なることは 課 題 として 挙 げられる また EU は 政 治 経 済 の 統 合 が 進 んでいるが アジアでの 統 合 は 難 しいのではないか という 意 見 が 挙 がった しかしながら 英 語 で 行 われる 短 期 間 の 学 生 交 流 とはいえ 遠 隔 教 育 やインターネット を 活 用 しながら 地 理 的 な 距 離 乗 り 越 えようと 様 々な 試 みを 挑 戦 してきた APRU の 活 動 は 今 後 も 注 目 に 値 する 参 考 資 料 APRU(2004), Technology Spin-offs from Pacific Rim Universities: Entrepreneurial Context and Economic Impact, A study based on the Technology Transfer and Wealth Creation research project of the Association of Pacific Rim Universities. ARPU (2005), A Tale of Three Cities: Globalization s Impact of Air Environment in Santiago, Water Environment in Osaka, and Soil Environment in Shanghai, A collaborative research paper based on the 2004 APRU Fellows Program Globalization and the Environment: Multidisciplinary Perspectives. 66

69 APRU(2008),ARRU: Bridging the Pacific Rim Community through Education, Research and Enterprise. 参 考 ウェブサイト APRU インタビューの 概 要 日 時 :2009 年 2 月 23 日 11:30-12:30 対 象 者 :Ms. Margaret Leong, Director, APRU Secretariat. Ms.Jacquelline Heng, Program Manager, APRU Secretariat. 67

70 9 章 アジアにおける 地 域 連 携 教 育 フレームワークと UMAP (アジア 太 平 洋 大 学 交 流 機 構 )の 役 割 1.はじめに UMAP(University Mobility in Asia and the Pacific アジア 太 平 洋 大 学 交 流 機 構 )は 1989 年 に 日 本 ニュージーランド オーストラリア タイ 台 湾 の 大 学 長 が 協 議 し ア ジア 太 平 洋 地 域 内 における 学 生 の 流 動 性 を 高 めるための 組 織 機 構 を 立 ち 上 げることで 同 意 し 組 織 されることとなった 団 体 である 大 学 が 中 心 ではあるが 政 府 も 構 成 メンバ ーになりうる 組 織 としてスタートし その 性 格 は 今 も 変 わっていない 他 方 でアジアにおける 地 域 連 携 教 育 フレームワークの 構 築 が 喫 緊 の 課 題 となっている 新 たなフレームワークを 構 築 するには 多 大 な 資 金 を 必 要 とするし どのようなチャンネル でそうしたフレームワークを 構 築 することができるか となると 難 問 が 山 積 してくること になる そこで 本 章 では 地 域 連 携 教 育 フレームワークの 代 用 品 あるいはその 一 部 を 分 担 する 組 織 として UMAP がどのような 役 割 や 可 能 性 をもつものであるか という 観 点 から UMAP を 紹 介 してみたい 2.UMAP の 組 織 と 機 能 UMAP の 憲 章 によると UMAP は アジア 太 平 洋 地 域 における 高 等 教 育 セクター の 政 府 あるいは 非 政 府 代 表 からなるボランタリーな 団 体 であると 定 義 されている つま り 政 府 がメンバーになってもいいし 大 学 協 会 のような 大 学 の 連 合 体 あるいは 大 学 のコ ンソーシアムがメンバーとなってもいい UMAP 対 象 国 地 域 等 ( 加 盟 可 能 国 等 )は オーストラリア ブルネイ カンボジア チリ 中 国 エクアドル フィジー グアム 香 港 インドネシア 日 本 韓 国 ラオス マカオ マレーシア メキシコ モンゴル ミャンマー ニュージーランド パプア ニ ューギニア ペルー フィリピン ロシア シンガポール 台 湾 タイ 東 チモール ア メリカ 合 衆 国 ベトナム サモア(31 国 地 域 特 別 行 政 区 )である UMAP に 加 盟 する ということは 一 定 の 分 担 金 を 毎 年 度 納 入 し それぞれ 国 の 中 に UMAP 委 員 会 ( 国 内 事 務 局 )を 設 置 し UMAP 参 加 大 学 を 明 確 にし(リストで 公 表 する) UMAP 活 動 に 取 り 組 む 68

71 ことを 意 味 している その 意 味 で 現 時 加 盟 しているといえるアクティブメンバーは 日 本 オーストラリア タイ 台 湾 マレーシア マカオ 香 港 メキシコ 韓 国 ニュージーランド フィリピ ン ベトナム サモア ブルネイ インドネシアなどである アメリカ 合 衆 国 も 一 時 期 積 極 的 に 参 加 していたし カナダもそうであったが 近 年 は 参 加 が 低 調 となってきている カンボジア ラオス ミャンマーについては タイのリーダーシップのもとに 大 メコン デルタ 地 域 内 大 学 交 流 事 業 が 展 開 され UMAP の 中 の 一 部 地 域 間 交 流 が 展 開 されてきてい るので その 点 では カンボジアなども UMAP の 考 え 方 ( 大 学 交 流 や 学 生 の 移 動 の 重 要 性 ) について 理 解 を 深 めてきているといえる 一 時 期 カンボジアの 大 学 の 参 加 もあった UMAP 活 動 を 推 進 するために 国 際 事 務 局 が 組 織 されている 2006 年 までの5 年 間 は 日 本 に 設 置 されていたが 現 在 はタイに 設 置 されている UMAP の 意 思 決 定 は 会 費 を 納 入 した 国 に 議 決 権 を 認 める 国 際 理 事 会 で 行 われる 国 際 理 事 会 は UMAP 議 長 が 主 宰 すること となっている 会 費 を 納 入 していない 国 は 議 決 権 を 与 えられないが オブザーバー 出 席 は 認 められているし 発 言 も 許 されている UMAP の 狙 いは アジア 太 平 洋 地 域 の 大 学 の 移 動 (モビリティー) を 増 進 し もっ て 域 内 の 国 際 理 解 に 貢 献 することとなっている 国 際 的 な 機 関 団 体 であるが EU のよう な 議 会 や 政 府 までもつ 政 治 的 組 織 ではないので UMAP が 政 策 を 立 案 し 实 行 すると いうこともない 政 策 を 立 てて 实 施 するのは 各 国 政 府 である UMAP のメンバーには 政 府 も 参 加 できるし 事 实 政 府 が 参 加 しているので 各 国 政 府 の 政 策 が UMAP の 考 え 方 を 反 映 するものであったり UMAP を 活 用 するような 政 策 であったりしていることは 事 实 である その 意 味 では UMAP が 本 当 に 各 国 の 利 益 を 高 め 相 互 理 解 を 深 めるものであれば 多 くの アイデアやプログラムが 各 国 政 府 の 支 持 をえて 实 現 することになるといえる UMAP はそこで 大 学 間 の 移 動 を 定 義 し そのための 戦 略 や 施 策 を 考 案 することがそ の 重 要 な 機 能 となる 大 学 間 移 動 の 最 も 顕 著 なプログラムは 大 学 生 の 移 動 交 流 である 学 生 が 各 国 の 大 学 間 を 自 由 に 留 学 できるような 仕 組 みをつくること その 障 害 を 低 くすること 留 学 をより 増 やすこと 留 学 の 質 を 向 上 させること など 学 生 の 留 学 交 流 をどのように 積 極 的 に 支 援 することができるかが 最 大 の 課 題 となってきた 次 に 大 学 の 教 員 の 移 動 がテーマとなる 教 員 交 流 をどのように 活 発 化 するか という 観 点 からの 議 論 も 行 われなくてはならない 教 員 だけでなく 職 員 の 移 動 交 流 も 重 要 で 69

72 あるという 認 識 も 加 わってきている さらに 大 学 間 移 動 には 研 究 活 動 の 連 携 ( 共 同 研 究 )も 含 まれるとする 発 想 が 出 て きている こうした 大 学 間 移 動 を 高 めるために 各 国 の 大 学 はどのような 協 力 や 連 携 を 行 うべき か UMAP 自 体 もどのような 効 果 的 なプログラムを 提 唱 できるか によって UMAP の 存 在 理 由 が 決 まってくる 最 近 の UMAP は 進 化 し その 意 味 で 多 くの 有 効 な 提 言 や 戦 略 を 展 開 しているといえる 3.UMAP の 域 内 連 携 プロジェクト そこで UMAP が 实 際 にどのような 大 学 間 移 動 を 促 進 するプログラムを 協 議 し 提 案 し 各 国 政 府 の 政 策 に 影 響 を 与 えてきたかについてスケッチしてみたい (1) UMAP 卖 位 互 換 スキーム(UCTS)の 開 発 国 境 を 越 えて 移 動 する 留 学 生 が 異 なった 制 度 の 中 で 学 習 し 帰 国 した 場 合 その 学 習 を どのように 評 価 し どのように 認 定 するかは EU でも 学 生 の 国 際 移 動 を 高 める 上 で 最 も 重 要 な 問 題 であったが アジア 太 平 洋 地 域 においてもそれは 同 様 で 多 様 な 高 等 教 育 制 度 の 間 を 移 動 する 時 に 何 を 基 準 に どのような 手 続 きを 経 て 既 習 を 認 定 すればいいの か 誰 もその 方 法 論 や 方 程 式 を 提 示 するところはなかった それは 各 国 とも 各 大 学 の 自 治 の 範 囲 内 であって 誰 とて 干 渉 するものはなかった 海 外 の 大 学 での 学 習 成 果 は 帰 国 後 の 自 分 の 大 学 においてどのように 認 定 されたり 評 価 されたりするかは 教 授 会 の 判 断 に 任 されていた 透 明 性 もなければ 公 平 性 もない ま た 時 間 的 連 続 性 もない その 時 々の 判 断 で 適 当 に 処 理 されたり されなかったりしてきた のが 实 態 である アジア 太 平 洋 地 域 の 高 等 教 育 制 度 や 卖 位 認 定 制 度 がどのようになって いるかさえ 誰 も 知 らなかったと 言 っても 過 言 ではない UMAP はそれが 学 生 の 国 際 移 動 の 障 壁 であり 不 公 正 な 制 度 を 温 存 させることになる という 観 点 から EU で 開 発 されてきた ECTS をモデルとして UCTS を 開 発 してきた 基 本 的 には ECTS と 同 じ 方 程 式 を 用 いることで 将 来 アジア 太 平 洋 と EU との 間 の 相 互 認 証 が 容 易 になるように という 判 断 から アメリカの 考 え 方 もあったが ECTS を UCTS と して 導 入 することとした ECTS と UCTS の 違 いは 相 対 的 評 価 スケールをそのままの 形 で 用 いないという 点 にある EU と 違 って アジア 太 平 洋 の 高 等 教 育 制 度 は 極 めて 多 様 であり EU のような 高 等 教 育 制 度 の 統 一 化 を 図 るスキームもないことから そうした 評 価 70

73 スケールを 用 いることを 強 制 しないこととした UMAP で 各 国 の 大 学 関 係 者 を 招 いて 何 回 となく 研 修 会 を 開 催 してきたし 各 国 の UMAP 国 内 委 員 会 も 同 様 に UCTS のワークショップを 開 催 し UCTS の 理 解 を 求 めてきた しか しそれでも 各 国 の 大 学 は UCTS を 基 礎 とする 留 学 生 交 流 には 不 熱 心 であった その 理 由 は 簡 卖 で これまで 各 大 学 が 自 由 に 行 ってきたことを 一 定 の 規 則 に 基 づいて 卖 位 互 換 と 卖 位 の 認 定 を 行 わなければならないということになったとたんに 面 倒 であり 余 分 な 仕 事 が 増 え メリットがない という 反 忚 であった あえて 面 倒 な UCTS を 導 入 しようとはし なかった それでは 学 生 に 公 正 で 質 の 高 い 留 学 生 交 流 と 卖 位 互 換 認 定 ができないので 各 国 政 府 は 短 期 留 学 奨 学 金 を 設 ける 中 で UMAP 奨 学 金 などという 名 称 で UCTS を 利 用 することを 条 件 として 学 生 の 留 学 生 奨 学 金 を 支 給 するという 政 策 を 導 入 した UCTS 普 及 のインセン ティブを 用 意 した 日 本 の 短 期 留 学 奨 学 金 の UMAP 特 別 枞 がそうであるし オーストラリ アの UMAP 奨 学 金 は 評 価 の 部 分 を 除 く UCTS の 利 用 を 要 件 としていた タイの UMAP 奨 学 金 メキシコの UMAP 奨 学 金 台 湾 の UMAP 奨 学 金 が UCTS を 利 用 することを 求 めて いた こうした 努 力 にもかかわらずそれでも UCTS は 進 まなかった UCTS を 利 用 しなくても 誰 も 不 利 益 を 被 らないと 思 い 込 んでいる 点 が 問 題 であるにもかかわらず 適 当 に 卖 位 互 換 を 行 ってきている 大 学 にとっては 依 然 として UCTS は 卖 に 面 倒 な 手 続 きであると 映 ってい るようである そうした 中 で EU との 学 生 交 流 を 経 験 したことがある 人 ならば 分 かるように EU の 学 生 はまさに 卖 位 互 換 を 前 提 とする 短 期 留 学 となっているので 留 学 する 前 に 留 学 先 の 大 学 で どのような 授 業 科 目 を 履 修 し その 卖 位 が ECTS 換 算 で 何 卖 位 ポイントであるかに 関 心 を 示 している そこで UCTS/ECTS といった 表 記 で 事 前 に 卖 位 互 換 の 可 能 性 に 関 する 情 報 を シラバスと 一 緒 に 提 示 すると(インフォメーションパッケージ) EU の 学 生 は 安 心 して 在 学 大 学 の 担 当 者 と 協 議 し 留 学 してくる 帰 国 後 は 卖 位 互 換 がスムーズにいくことになる アジア 太 平 洋 地 域 の 大 学 も 域 内 の 学 生 の 移 動 を 活 性 化 するつもりであるとすれば 異 なる 制 度 で 学 習 したその 成 果 をどのような 卖 位 制 度 に 換 算 して 相 互 の 一 定 の 規 則 のもと 互 換 するかを 明 確 にしなくてはならない そうでなければ 出 たとこ 勝 負 となり 学 生 にと って 不 公 正 で 不 透 明 な 成 績 の 認 定 であり 卖 位 の 互 換 であるといえる 尐 なくとも UMAP はこうした 卖 位 互 換 制 度 を 開 発 し 提 案 してきている その 制 度 やス 71

74 キームを 各 国 の 大 学 は 当 然 に 認 定 し 為 替 換 算 ( 流 動 性 であれ)と 同 様 に 受 入 れ 实 施 す べきであると 考 える (2) UMAP 奨 学 金 ( 短 期 交 換 留 学 プログラム) 日 本 オーストラリア タイ メキシコ 台 湾 などは 域 内 の 学 生 交 流 を 促 進 するための UMAP 奨 学 金 を 用 意 してきた オーストラリアの 場 合 アジアで 学 び アジアで 活 躍 する オーストラリア 人 の 育 成 を 目 標 とし UMAP を 活 用 する 連 邦 政 府 の 意 図 が 明 確 であった オーストラリア 人 の 海 外 派 遣 を 展 開 するための UMAP であり UMAP 奨 学 金 であった (3) UMAP Student Connection Online プログラム これはプログラムに 参 加 する 大 学 間 で 協 定 を 締 結 し 授 業 料 不 徴 収 を 原 則 として 学 生 の 交 換 留 学 を 複 合 的 な 仕 組 み(マルティ)で 行 う 仕 組 みである コンピューターが 多 様 な 学 生 の 留 学 希 望 をマッチングさせ 派 遣 と 受 入 れを 決 めていく 仕 組 みに 特 徴 がある 参 加 大 学 の 学 生 は 留 学 希 望 の 大 学 の 英 語 による 授 業 などのシラバス 等 を 検 討 し 留 学 志 望 大 学 (5 大 学 までリスト 可 能 )を 決 めて 登 録 する それをコンピューターが 受 入 れ 可 能 大 学 ( 人 数 は 2 名 まで)を 選 び 決 定 する 登 録 した 大 学 は 派 遣 と 受 入 れが 一 致 する という 従 来 の 交 換 留 学 型 ではなく 参 加 大 学 のいずれの 学 生 であれ2 名 まで 受 入 れ 派 遣 も 同 様 でどの 大 学 でも 派 遣 できる(2 名 まで) そうすることで 学 生 の 留 学 メニューを 多 様 化 できるというメリットがある 試 行 を 始 めたばかりであるが かなり 多 重 交 流 ができることが 分 かった 日 本 からの 参 加 大 学 は 国 際 教 養 大 学 広 島 大 学 東 京 農 工 大 学 立 命 館 アジア 太 平 洋 大 学 である (4) ジョイント プログラムとダブル 学 位 さらにエラスムス 型 学 生 交 流 に 近 づくものであるが 3 カ 国 3 大 学 が 共 同 して 修 士 などの プログラムを 編 成 し 学 生 移 動 を 行 わせることで 学 位 を 取 得 させるジョイント プログラ ムの 開 発 事 業 を 開 始 した タイで 開 催 された UMAP 副 学 長 フォーラム 委 員 会 が 中 心 となり デザインを 行 い UMAP 理 事 会 で 予 算 措 置 を 行 い 公 募 した この 度 広 島 で 開 催 された UMAP 副 学 長 フォーラム 及 び 国 際 理 事 会 で 3 プログラムを 選 定 し 試 行 を 開 始 すること とした タイ オーストラリア 台 湾 マレーシア 日 本 アメリカ あるいは 3 カ 国 に 加 えてヨーロッパの 大 学 を 加 えてジョイント プログラムの 提 案 もあった 1 学 期 あるい 72

75 は 1 年 の 移 動 を 条 件 とするプログラム( 英 語 で 提 供 )であり 学 位 はシングルでもダブル でも 可 能 となっている その 際 UCTS が 必 ず 使 用 されることが 条 件 である ヨーロッパ を 加 えたプログラムも UCTS と ECTS は 評 価 部 分 を 除 いて 互 換 が 簡 卖 であるので 何 ら 問 題 はない (5) 研 究 ネット 構 築 また UMAP 副 学 長 フォーラムでは 大 学 間 の 共 同 研 究 を 推 進 するネットワーク 作 りにも 試 行 を 始 め いくつかのプロジェクトの 忚 募 があったので 選 定 委 員 会 で 選 定 し 決 定 し たところである この 共 同 研 究 ネットワークが 大 学 院 学 生 の 国 際 移 動 を 活 性 化 するものと 期 待 している またこれが 基 礎 となり 多 重 型 学 生 交 流 プログラム(ジョイント 型 )が 開 発 されるものと 期 待 しているところである 4.UMAP と AUN(アセアン 大 学 ネットワーク)へのインパクト UMAP は 他 方 で AUN にも 多 大 な 影 響 を 与 えつつある その 典 型 が UCTS である AUN 事 務 局 の 話 では 学 生 の 相 互 交 流 をプログラム 化 するにあたり UCTS を 活 用 することを 宠 言 している アセアン 卖 位 互 換 制 度 を 創 造 することもできるが ECTS との 互 換 に 優 れて いる UCTS をそのまま 利 用 することのほうがより 経 済 的 合 理 的 であるという 判 断 が 働 いて いるようである タイ 政 府 はアセアン 9 カ 国 に 毎 年 100 名 の 学 生 を 留 学 させ それぞれ 9 カ 国 から 毎 年 100 名 の 留 学 生 (トータル 900 名 の 受 入 れ)を 受 け 入 れるという 政 策 を 展 開 することとなる その 留 学 交 流 でも UCTS が 基 本 となると 聞 いている AUN がこうした 短 期 型 学 生 交 流 移 動 に 敏 感 に 反 忚 しているのもタイ 政 府 の 留 学 生 政 策 が 背 後 にあるものと 思 う 5. 結 び UMAP に 期 待 される 役 割 アジア 太 平 洋 という 地 域 における 学 生 の 国 際 移 動 を 高 めるには 各 国 政 府 が 留 学 生 交 流 事 業 政 策 を 展 開 すればそれで 済 む という 考 え 方 は 通 用 しない 受 け 入 れはそれでも 可 能 かもしれないが 派 遣 はそうはいかない まずその 国 の 言 葉 を 習 得 しないと 短 期 留 学 でもできない 異 文 化 を 言 語 も 含 めて 学 ぶという 地 域 研 究 型 留 学 であればそれでかまわ ないし 伝 統 的 な 留 学 はそうであった しかし 今 や 異 文 化 の 中 で 学 び 体 験 する という 現 代 的 短 期 交 換 型 留 学 交 流 のニーズに 忚 えるためには 各 国 大 学 のそれおぞれ 独 自 の 考 73

76 え 方 による 高 等 教 育 制 度 カリキュラム 制 度 卖 位 制 度 評 価 制 度 留 学 生 受 け 入 れ 制 度 教 授 用 言 語 では 済 まなくなっている 異 文 化 の 中 で 学 ぶ 留 学 生 交 流 のためには たとえば 英 語 による 講 義 が 提 供 されているこ と 卖 位 互 換 制 度 が 明 確 になっていること 留 学 前 にどのような 講 義 等 を 受 講 することが できるかが 明 確 になっていること 受 け 入 れ 体 制 が 短 期 滞 在 ニーズに 忚 えるものとなって いること などの 条 件 整 備 が 必 要 となる そうでなければ 責 任 をもって( 在 学 大 学 に 授 業 料 を 払 って 留 学 していることをもっと 大 学 は 考 えるべきである) 学 生 を 送 り 出 すことはで きない 無 責 任 であると 非 難 されることとなる このように 考 えるとそれぞれの 大 学 に 個 別 に 説 明 し 理 解 してもらい 授 業 料 不 徴 収 協 定 を 締 結 することについて 事 情 を 説 明 しなくてはならない 担 当 者 も 交 代 すれば 最 初 から 話 を 始 めることになる そうしたこれまでの 短 期 交 換 留 学 スキームの 開 発 に 従 事 したもの からみれば UMAP のような 仕 組 みがあり それへの 参 加 大 学 間 での 交 換 留 学 プログラム を 開 発 するということになれば どんなにエネルギーを 節 約 できるか また 新 たな 提 案 し そのプログラムの 質 を 改 善 できる 仕 組 みがあると 思 えば どんなに 意 欲 が 高 まるか UMAP が 役 に 立 たない メリットがない という 人 が 尐 なくない でもその 人 は 自 ら 学 生 の 交 流 を 可 能 にする 大 学 間 の 仕 組 みや 相 手 大 学 との 交 渉 をしたことのない 人 であろう 尐 しでもこうしたことを 一 から 経 験 したことのある 人 であれば それがどんなに 大 変 なこ とか UMAP があることでどんなに 助 かるか 理 解 できると 思 う とりわけ 学 生 の 留 学 交 流 の 質 の 改 善 と 質 の 維 持 保 証 を 求 める 今 に 時 代 にあって 対 話 ができ プログラムが 開 発 でき 質 が 協 議 できるような 責 任 ある 留 学 交 流 を 展 開 する 上 で UMAP のような 機 構 が 必 要 であるし 本 当 に 重 要 な 役 割 や 機 能 を 果 たしているといえる 今 から UMAP に 代 わる 機 構 を 設 置 することはほぼ 不 可 能 に 近 いと 思 う 多 くの 人 の 頭 には 2 大 学 間 の 交 流 の 図 式 しかないと 思 う そうではなく マルチ 型 多 重 型 学 生 交 流 や 大 学 交 流 の 図 式 を 描 いてみると UMAP やエラスムスのすごさが 理 解 できると 思 う もちろん 規 模 を 縮 小 し 対 象 を 限 定 する 形 での 大 学 間 ネットワークがより 機 能 的 で 効 果 的 であるということも 間 違 いないことである その 価 値 を 否 定 するものではないが ネッ トワークの 維 持 に 多 大 なコストがかかっていることも 事 实 である UMAP は 個 別 の 大 学 の 負 担 を 求 めるものではないので コスト 面 からもその 役 割 と 機 能 を 見 定 めることもできる 74

77 10 章 アジア 太 平 洋 地 域 質 保 証 ネットワーク(APQN)による 地 域 間 連 携 教 育 フレームワーク 1.APQN 成 立 以 前 の 国 際 的 な 高 等 教 育 の 質 保 証 ネットワーク 高 等 教 育 の 質 保 証 は 国 境 を 越 えた 高 等 教 育 の 展 開 が 活 発 化 するなかで 自 国 の 高 等 教 育 の 基 準 認 定 を 内 外 ともに 対 忚 できるものとする 必 要 性 から 各 国 において 喫 緊 の 課 題 と とらえられてきた 質 保 証 の 問 題 は 国 内 的 には 国 家 レベルのガバナンスと 高 等 教 育 機 関 のオートノミーの 問 題 としてとらえられるが 今 日 のように トランスナショナルな 高 等 教 育 の 展 開 とそれに 伴 う 学 生 の 国 際 移 動 と 獲 得 競 争 が 激 化 するなかにあって 自 国 の 高 等 教 育 をいかに 対 外 的 にアピールするかという 点 でも 国 際 的 な 質 保 証 が 求 められるように なり 各 国 とも 国 家 教 育 戦 略 として 位 置 づけている こうした 中 で 高 等 教 育 の 認 証 評 価 を 国 際 レベルで 調 整 する 必 要 が 生 じ 各 国 政 府 間 の 国 際 機 関 を 介 した 取 り 組 みや 第 三 者 評 価 機 関 としての 国 際 的 質 保 証 ネットワークの 設 立 が 注 目 されるようになった 米 澤 (2005)によれば 国 際 機 関 としては 世 界 貿 易 機 関 (WTO)が 教 育 サービスという 側 面 から 国 際 的 調 整 に 取 り 組 み その 後 交 渉 議 論 の 場 は OECD および UNESCO にうつされた このうち OECD は 教 育 サービスと 世 界 貿 易 についてのプロジェクト(OECD, 2004a, b)を 实 施 したほか UNESCO と 共 同 で 国 境 を 越 える 高 等 教 育 のガイドラインをまとめ 政 府 大 学 学 生 組 織 評 価 機 関 国 際 評 価 組 織 ネットワークといった 高 等 教 育 のステークホルダーの 協 調 を 呼 びかけた UNESCO も 1970 年 代 から 研 究 および 学 位 に 関 する 地 域 協 定 に 取 り 組 んできた 経 緯 をふまえ 国 家 間 の 協 定 や 協 調 に 取 り 組 んできた この 過 程 においては ボローニャ プロセスの 中 で ヨーロッパにおけるリスボン 協 定 (Convention on the Recognition of Qualifications Concerning Higher Education in the European Region 1997)への 加 盟 が 推 奨 されたよ うに 国 際 機 関 による 調 整 には 国 家 が 関 与 するという 意 味 で 实 効 性 があることが 指 摘 さ れている 一 方 各 国 の 第 三 者 評 価 機 関 の 国 際 的 質 保 証 ネットワークとして 1991 年 に 設 立 された のが 高 等 教 育 質 保 証 機 関 の 国 際 的 ネットワーク (International Network for Quality Assurance Agencies in Higher Education 略 称 INQAAHE)である INQAAHE は 高 等 教 育 における 質 の 維 持 向 上 のために グッド プラクティスの 促 進 質 の 管 理 お 75

78 よび 实 践 とそのための 研 究 奨 励 質 保 証 機 関 発 展 の 支 援 ならびに 機 関 間 の 連 携 促 進 国 際 的 な 基 準 設 定 の 支 援 質 保 証 の 情 報 普 及 卖 位 互 換 計 画 の 開 発 と 国 際 学 生 移 動 の 促 進 など を 目 的 としている INQAAHE は その 後 UNESCO との 国 際 基 準 に 関 する 協 会 の 設 立 計 画 などの 試 行 錯 誤 を 経 ながら その 一 方 でグッド プラクティスのガイドライン (INQAAHE Guidelines of Good Practice) 作 りに 取 り 組 み 2005 年 の INQAAHE 総 会 において 合 意 をみた 2. アジア 太 平 洋 地 域 質 保 証 ネットワーク(APQN) の 活 動 (1) 成 立 過 程 略 史 目 的 理 念 アジア 太 平 洋 における 質 保 証 に 関 する 地 域 協 定 としては 1983 年 にバンコクで 締 結 さ れた Regional Convention on the Recognition of Studies, Diplomas and Degrees in Higher Education in Asia and the Pacific 1983 があり 中 国 韓 国 オーストラリア インド インドネシア タイ などが 署 名 したが 日 本 は 署 名 しなかった それに 対 し 本 地 域 の 質 保 証 ネットワークとして 2003 年 1 月 に 香 港 で 結 成 され 2004 年 にはオーストラ リアのビクトリア 州 政 府 の 合 法 団 体 として 登 録 された 民 間 のNPO 組 織 が アジア 太 平 洋 質 保 証 ネットワーク (Asia-Pacific Quality Network 略 称 APQN 本 部 はメルボルン) である APQN は INQAAHE との 協 力 のもとに 活 動 する 地 域 ネットワークであり その 目 的 は 以 下 の 7 つの 点 に 見 るとおり アジア 太 平 洋 地 域 の 高 等 教 育 の 質 保 証 機 関 の 連 携 協 力 を 高 め 地 域 の 高 等 教 育 の 質 を 向 上 させることにある APQN の 目 的 1アジア 太 平 洋 地 域 における 高 等 教 育 の 維 持 と 質 の 改 善 のための 優 れた 实 践 の 普 及 や 促 進 2 域 内 の 高 等 教 育 における 質 マネジメントに 関 する 研 究 の 促 進 ならびに 域 内 の 質 の 効 果 的 な 研 究 促 進 3 域 内 に 新 たに 質 保 証 期 間 を 設 ける 場 合 の 専 門 的 知 識 の 助 言 および 発 表 4 質 保 証 機 関 と 各 国 地 域 の 決 定 や 判 断 の 連 携 促 進 5 国 境 を 越 えて 運 営 される 制 度 基 準 の 決 定 促 進 6 域 内 を 通 じての 国 際 的 な 認 証 評 価 の 容 認 7 国 内 外 の 諸 機 関 の 間 で 学 生 の 相 互 移 動 を 活 発 にするための 卖 位 互 換 制 度 の 決 定 及 び 利 76

79 用 の 支 援 8APQN のメンバーを 対 象 とした 怪 しげな 認 証 評 価 の 实 践 や 組 織 に 対 する 注 意 喚 起 9APQN 以 外 のネットワークや 国 際 組 織 等 に 対 して 地 域 を 代 表 し 地 域 への 適 切 な 関 心 を 促 す (2) 参 加 国 参 加 機 関 APQN は その 対 象 国 地 域 を 太 平 洋 諸 国 ニュージーランド オーストラリア パ プア ニューギニア ならびにロシア アフガニスタン 中 央 アジア 諸 国 イランを 含 む アジア 諸 国 (ただし 他 のネットワークに 含 まれている 湾 岸 諸 国 は 除 く)と 定 義 してお り その 数 は 2009 年 3 月 現 在 53 となっている 会 員 構 成 は 正 会 員 (Full Member) 中 間 会 員 (Intermediate Member) 準 会 員 (Associate Member) 機 関 会 員 (Institutional Member)の 4 種 類 があり このほかに 対 象 国 地 域 以 外 の 国 や 地 域 からオブザーバー(Observers)としての 参 加 も 認 めている これらの 会 員 は いずれも APQN の 活 動 から 報 酬 を 得 たり APQN の 目 的 達 成 に 協 力 する あるい は APQN 憲 章 に 従 って 権 限 を 行 使 できるようにするといったことが 可 能 であるが 正 会 員 と 中 間 会 員 には APQN のガバナンスと 行 政 に 参 加 する 資 格 があるのに 対 し 準 会 員 と 機 関 会 員 は 年 次 総 会 などの 各 種 委 員 会 に 参 加 することしかできず 投 票 はできない 現 在 の 会 員 総 数 は 59 となっており その 内 訳 は 正 会 員 24 中 間 会 員 10 準 会 員 4 機 関 会 員 21 となっている 国 地 域 別 では 最 も 会 員 が 多 いのがパキスタン(10)であり 以 下 ベトナム(5) オーストラリア(4) 香 港 (4) 日 本 (3) ニュージーランド(3) バングラデシュ(2) カンボジア(2) 中 国 (2) インド(2) カザフスタン(2) モン ゴル(2) フィリピン(2) ロシア(2) スリランカ(2) タイ(2) そのほかの 国 は 各 1 となっている また 対 象 国 地 域 外 からのオブザーバーとして エチオピア(1) ド イツ(2) クウェート(1) トルコ(1) 英 国 (2)が 参 加 している さらにこれらの 他 に 今 後 会 員 になることが 予 想 される 会 員 候 補 (Prospective Members)として 35 の 機 関 がリストに 掲 載 されている このうち 正 会 員 として 登 録 されているのは オーストラリア(3) 日 本 (3) ニュー ジーランド(3) 中 国 (2) 香 港 (2) フィリピン(2) ロシア(2) あと 1 団 体 ずつの 国 がカンボジア インド インドネシア マレーシア 台 湾 タイ ベトナムとなって いる 日 本 からは 独 立 行 政 法 人 学 位 授 与 評 価 機 構 大 学 基 準 協 会 及 び 日 本 技 術 者 教 77

80 育 認 定 機 構 の 3 機 関 が 正 会 員 として 参 加 している (3) 組 織 体 制 APQN の 組 織 は 総 会 (General Council)の 下 に 理 事 会 (Board)が 置 かれており 代 表 (President), 副 代 表 (Vice-President) 事 務 局 長 理 事 会 選 出 メンバー(4) その ほか 最 大 4 名 までの 委 嘱 理 事 メンバーで 組 織 されている さらに 理 事 会 の 下 に プロジェ クトグループや 各 種 委 員 会 が 設 置 されている 事 務 局 はオーストラリアのメルボルンにあ るオーストラリア 大 学 質 保 証 機 関 (Australian Universities Quality Agency: 略 称 AUQA) におかれている 2008 年 3 月 現 在 の APQN 代 表 はフィリピンのピヤノ 氏 (Mrs.Concepsion Pijano) 日 本 の 川 口 昭 彦 氏 (Dr/Akihiko Kawaguchi)が 副 代 表 を また 事 務 局 長 に 香 港 のクリストファセン(Ms.Dorte Kristoffersen)が 務 めており 理 事 会 には マレーシア 中 国 タイ スリランカの 理 事 が また 委 嘱 理 事 に オーストラリア インド パキスタ ンの 理 事 が 任 命 されている 会 計 年 度 は 各 年 1 月 1 日 から 12 月 31 日 までであり APQN の 財 務 報 告 は 年 次 報 告 の 中 で 監 査 を 受 け 刊 行 されることになっている 会 費 は 4 類 型 の 違 いには 関 係 なく 全 会 員 とも 一 律 でUS$200 であるが オブザーバーはUS$150 である また 同 じ 会 員 で も INQAAHE のメンバーであるかないかによっても 会 費 が 異 なり INQAAHE のメンバ ーではないものが 正 会 員 と 中 間 会 員 になる 場 合 にはUS$300 となっている (4) 活 動 全 体 の 概 略 と 将 来 展 望 APQN 自 体 は 民 間 の 活 動 ネットワークであるが 1997 年 までは 世 界 銀 行 の 支 援 を 受 けて 運 営 され さらに UNESCO など 国 際 機 関 とも 連 携 しながら 質 保 証 の 地 域 協 力 フレ ームワークとしての 役 割 を 果 たしつつある 2006 年 3 月 の APQN の 第 2 回 年 次 総 会 では OECD とユネスコによる 国 境 を 越 えて 提 供 される 高 等 教 育 の 質 のガイドライン (Guidelines for Quality Provision in Corss-border Higher Education)を 補 完 するものとして ユネスコ APQN ツールキッ ト: 国 境 を 越 えた 教 育 の 質 の 規 制 (Toolkit: Regulating the Quality of Cross-Border Education 2006)を 発 表 し 国 境 を 越 えた 教 育 の 提 供 と 受 入 れに 関 わる 教 育 の 質 保 証 規 制 の 支 援 ならびに 主 要 な 問 題 点 と 対 象 方 法 を 論 じている 同 ガイドラインは 政 策 立 案 者 や 政 府 職 員 質 保 証 機 関 教 育 機 関 国 際 組 織 等 を 対 象 としており 受 入 れ 国 や 提 供 国 78

81 としての 規 制 の 枞 組 みの 事 例 ( 中 国 香 港 マレーシア ニュージーランド オーストラ リア 英 国 米 国 )をふまえた 具 体 的 实 践 的 なものになっている 点 が 特 徴 的 である こうした APQN の 活 動 は 2006 年 4 月 にアジア 太 平 洋 地 域 の 教 育 大 臣 会 合 で 発 表 さ れた ブリスベン コミュニケ (Brisbane Communique)によって 国 際 的 な 学 生 移 動 とそ れに 伴 う 地 域 の 教 育 の 質 保 証 とフレームワークの 重 要 性 が 指 摘 されたことにより 一 挙 に 加 速 した 同 コミュニケでは 国 際 的 基 準 をふまえた 地 域 における 質 保 証 フレームワーク 資 格 認 証 特 に 理 数 科 教 育 を 中 心 とした 教 員 資 格 地 域 発 展 に 資 する 技 術 スキルの 認 証 がとりあげられ あわせて ヨーロッパにおけるボローニャプロセスやコペンハーゲンプ ロセスのような 枞 組 み 作 りが 示 唆 された また 同 2006 年 11 月 には コミュニケを 实 施 展 開 するための 多 国 間 による 政 府 高 官 によるワーキング グループ(Senior Officials Working Group SONG)が 組 織 された この 11 月 の SONG 初 回 会 合 には SEAMEO, ブータン ブルネイ 中 国 日 本 韓 国 オマーン ニュージーランド タイ オーストラリアの 代 表 が 参 加 し SEAMEO,ILO ならびに UNESCO の 代 表 からは 質 保 証 の 多 国 間 協 力 の 取 り 組 みが 提 示 されたほか ボローニャプロセスに 則 したヨーロッパの 取 組 みが 提 示 され 多 国 間 協 力 の 必 要 性 が 再 認 識 された この 後 S OWG と APQN の 連 携 は 2007 年 2 月 の APQN の 年 次 総 会 に SOWG の 代 表 者 が 参 加 したことでより 密 接 な ものとなっている こうしたブリスベン コミュニケをめぐる 一 連 の 動 き 受 け APQN は 2008 年 2 月 に 日 本 の 千 葉 で 開 催 された 年 次 総 会 において 質 保 証 に 関 するメンバーの 取 り 組 みをまとめ た アジア 太 平 洋 地 域 における 高 等 教 育 の 質 保 証 の 取 り 組 み (Quality Assurance Arrangements in Higher Education in the Broader Asia-Pacific Region, 2008)と 題 する 報 告 書 を 発 表 した またあわせて APQN の 活 動 の 根 幹 となる 憲 章 (Constitution)を 発 表 し INQAAHE と 連 携 した 非 営 利 の 地 域 ネットワークとして アジア 太 平 洋 地 域 の 高 等 教 育 の 質 保 証 の 維 持 向 上 に 資 するグッド プラクティスの 支 援 や 促 進 を 図 るという 目 的 を 改 めて 確 認 している なお 同 憲 章 は 2008 年 4 月 にオーストラリアのビクトリア 州 政 府 によって NPO として 公 認 されたうえで 施 行 されている APQN の 活 動 は その 本 部 が 置 かれているオーストラリアの 高 等 教 育 の 質 保 証 への 取 り 組 みとも 連 動 している たとえば 2008 年 4 月 には オーストラリア 連 邦 政 府 教 育 省 が ブリスベン コミュニケをふまえた 高 等 教 育 の 質 保 証 に 関 する 具 体 的 な 勧 告 ( Recognition of Higher Education Qualifications across the Brisbane Communique 79

82 Region)を 発 表 しているが 同 報 告 をまとめたオーストラリアの 教 育 雇 用 労 働 省 関 係 省 (Department of Education, Employment and Workplace Relations, DEEWR)は 前 述 の 2008 年 2 月 に 発 表 された アジア 太 平 洋 地 域 における 高 等 教 育 の 質 保 証 の 取 り 組 み の 作 成 も 行 っており 両 者 の 間 には 密 接 な 関 連 がみられる (5) アジア 版 エラスムス 計 画 (アジア 域 内 高 等 教 育 交 流 )へのインプリケーション 以 上 APQN についてその 設 立 目 的 と 活 動 概 要 を 概 観 した 前 述 のとおり APQN は 現 会 員 数 53 に 加 え 今 後 さらに 35 の 加 盟 を 見 込 んでいるなど 今 後 も その 活 動 の 範 囲 の 拡 大 を 意 識 していることが 読 み 取 れる 高 等 教 育 の 国 際 化 に 伴 うカリキュラムの 多 様 化 と それに 伴 う 質 保 証 の 問 題 は 今 日 そ れを 避 けて 通 ることができないほど 重 要 な 問 題 となっている それだけに INQAAHE との 連 携 のもとに アジア 太 平 洋 地 域 における 質 保 証 の 活 動 を 本 格 化 させている APQN の 活 動 ならびに 千 葉 ディシプリン や ユネスコ APQN ツールキット などに 代 表 される 質 保 証 に 関 する 指 針 や 助 言 専 門 知 識 は 今 後 アジア 版 エラスムス 計 画 を 策 定 する 際 にも 大 きな 基 盤 となろう 特 に APQN の 場 合 には 各 国 政 府 が 主 体 となっているのではなく 各 国 の 認 証 評 価 機 関 がメンバーであるという 点 で 質 保 証 の 实 践 現 場 からの 意 見 や 考 えに 基 づいた 施 策 への 提 案 がなされている 点 に 特 徴 がある しかしながら 同 時 に APQN が 示 した 質 保 証 のガイドラインというものは その 实 施 に ついては 最 終 的 にはメンバー 機 関 の 裁 量 に 任 されるため 实 行 性 という 点 では 課 題 がのこ されているともいわれる また 正 会 員 になっている 機 関 の 所 在 国 をみると オーストラ リア 日 本 ニュージーランドといった 国 々が 中 心 となっていることが 分 かる この 意 味 で アジア 版 エラスムス 計 画 の 策 定 实 施 にあたっても 具 体 的 な 实 施 段 階 になり 实 施 する 対 象 機 関 や 場 合 によっては 当 該 機 関 のある 国 や 地 域 の 政 府 との 調 整 も 重 要 な 課 題 と なるといえよう (6) アジア 版 エラスムス 計 画 との 将 来 における 協 力 可 能 性 と 課 題 他 方 アジア 版 エラスムス 計 画 策 定 にあたっては APQN の 質 保 証 システムに 留 まら ず 現 在 既 に 行 われているアジア 地 域 における 質 保 証 の 取 り 組 みとの 関 連 性 のなかで そ の 有 効 性 を 評 価 していく 必 要 があろう アジア 太 平 洋 地 域 の 質 保 証 をめぐっては 今 日 ユネスコや SEAMEO 高 等 教 育 開 発 地 域 センター(RIHED) あるいは ASEAN もすでに 80

83 さまざまな 取 り 組 みを 行 い APQN とも 連 携 を 図 ろうとしている たとえば アセアン 大 学 ネットワーク(ASEAN University Network)が 1998 年 より 取 り 組 んできている AUN-Quality Assurance は アセアンの 域 内 メンバー 大 学 を 対 象 としている 点 で APQN とはその 性 質 を 異 にするが 最 終 的 には 域 内 における 質 保 証 と 高 等 教 育 の 調 和 化 を 図 り 国 際 的 な 認 証 評 価 活 動 へとつなげてようとする 点 において 密 接 な 関 連 をもつ こうした 中 で 2008 年 7 月 に 東 单 アジア 諸 国 の 大 学 評 価 機 関 認 証 機 関 のネットワー クとしてアセアン 質 保 証 ネットワーク(ASEAN Quality Assurance Network 略 称 AQAN)を 創 設 することが 合 意 されたことは 今 後 のアジアにおける 質 保 証 ネットワーク がさらに 重 層 的 に 拡 がりをみせていることを 示 すものといえる アジア 版 エラスムス 計 画 の 推 進 にあたっては こうした 質 保 証 をめぐる 国 際 連 携 の 促 進 と 認 証 評 価 制 度 の 基 盤 が 国 際 的 に 確 立 されることが 必 要 であると 同 時 に そうした 重 層 的 なネットワークの 調 整 を どう 図 っていくかが 課 題 となると 考 える 参 考 文 献 資 料 ユネスコ APQN ツールキット: 国 境 を 越 えた 教 育 の 質 の 規 制 (Toolkit: Regulating the Quality of Cross-Border Education 2006) 梅 宮 直 樹 (2008) 東 单 アジアにおける 高 等 教 育 の 質 の 保 証 への 地 域 的 な 取 り 組 み 比 較 教 育 学 研 究 37 pp 米 澤 彰 純 (2005) 国 際 的 質 保 証 ネットワークと 国 際 機 関 広 島 大 学 高 等 教 育 研 究 開 発 セン ター 高 等 教 育 の 質 的 所 要 に 関 する 国 際 比 較 研 究 (COE 研 究 シリーズ 16) 2005 年 10 月 pp APQN(2008), Consitution, approved at the Annual General Meeting in Chiba, APQN(2008), Quality Assurance Arrangements in Higher Education in the Broader Asia-Pacific Region, February 2008 Asia-Pacific Education Ministers(2007), Progress towards the Brisbane Communique Goals: Senior Officials Working Group Interim Report to Asia- Pacific Educaion Ministers, August 2007 Australian Government, Department of Education, Employment and Workplace Relations(2008), Recognition of Higher Education Qualifications across the 81

84 Brisbane Communique Region, (Scoping study and report commissioned by the Department of Education, Employment and Workplace Relations, April 2008) The Brisbane Communique issued by the Ministers attending the Asia-Pacific Education Ministers Meeting, April 2006, INQAAHE(2005), Guidelines of Good Practice. OECD(2004a), Quality and Recognition in Higher Education: The Cross-Border Challenge. OECD(2004b), Internationalisation and Trade in Higher Education: Opportunities and Challenges. 82

85 第 2 部 大 学 間 連 携 事 例 の 検 証 83

86 1 章 マラヤ 大 学 (University of Malaya)の 大 学 間 連 携 1. 大 学 の 概 要 と 近 年 の 動 向 マラヤ 大 学 は 1905 年 にマレーシアで 最 初 に 設 立 された 高 等 教 育 機 関 であり 2005 年 に 100 周 年 を 迎 えた クアラルンプールの 郊 外 に 372 ヘクタールもの 広 大 な 敷 地 面 積 を 誇 っ ている マラヤ 大 学 の 歴 史 は キングエドワード 7 世 医 学 カレッジ(King Edward Ⅶ Collee of Medicine)の 設 立 (1905 年 )に 遡 る 1949 年 に キングエドワード 7 世 医 学 カレッジ とラッフル カレッジ(1928 年 設 立 )とが 合 併 し シンガポールとクアラルンプールにそ れぞれキャンパスを 保 有 していた シンガポールの 独 立 に 伴 い シンガポール 国 立 大 学 が 誕 生 した 後 に 1962 年 にマラヤ 大 学 が 設 立 された マラヤ 大 学 の 最 初 の 学 長 は 最 初 の 首 相 でもあるトゥンク アブドール ラーマン(Tunku Abdul Rahman)が 務 めた 2009 年 2 月 マラヤ 大 学 の INPUMA が 主 催 する 高 等 教 育 のマネジメントに 関 する 国 際 会 議 11において 新 副 学 長 Gauth Jasmon 氏 は Rebirth of a World Class University: The Role of Leadership というタイトルで 報 告 した その 報 告 によると マラヤ 大 学 は Times の 高 等 教 育 ランキングで 230 位 (2008 年 )であった 今 後 は 国 際 的 なジャーナルにおいて 教 員 の 引 用 回 数 を 上 げることを 重 点 課 題 として 2 年 以 内 に 200 位 5 年 以 内 に 100 位 以 内 を 目 指 す と 述 べた このことから マレーシアの 他 の 大 学 と 同 様 に マラヤ 大 学 も 国 際 的 な 高 等 教 育 のランキングを 上 昇 させることを 非 常 に 重 要 視 していることが 分 かる そし て マラヤ 大 学 は 国 際 的 な 高 等 教 育 ランキングを 上 昇 させる 一 環 として 大 学 の 国 際 化 にも 力 を 入 れている また マラヤ 大 学 は 研 究 大 学 を 目 指 すために 4 年 ほど 前 から ファースト クラス バチェラーディグリーという 新 たな 制 度 を 設 けている この 制 度 は マラヤ 大 学 の 優 秀 な 学 部 生 が 修 士 課 程 を 経 ないで 博 士 課 程 に 進 学 することができるというプログラムであ る 主 として 社 会 科 学 系 分 野 で 实 施 される 場 合 が 多 い 2008 年 6 月 現 在 マレーシア 出 身 の 学 部 生 17,353 人 大 学 院 生 6,943 人 の 合 計 24,496 人 が 在 学 している マレーシア 出 身 の 学 生 のほかに 留 学 生 は 学 部 生 707 人 大 学 院 生 1, マラヤ 大 学 INPUMA 主 催 の 会 議 は International Conference on Improving Higher Educational Institutions:Empoweing Future Generations, February, 2009, Malaysia. 84

87 人 (78 カ 国 )の 合 計 2,676 人 が 在 学 している 教 員 数 は 1,918 人 に 上 るが 副 学 長 による と 研 究 大 学 を 目 指 しながら 教 員 と 学 生 の 割 合 を 適 正 化 するために 学 部 学 生 を 減 尐 さ せること を 目 標 としている 以 下 の 報 告 は マラヤ 大 学 副 学 長 Gauth Jasmon 氏 (2008 年 11 月 就 任 ) 国 際 協 力 オフ ィス(International Corporation Office)の 副 部 長 Siti Aishah Hashim Ali 氏 同 スタッ フの Mahaganapathy Dass 氏 アジア ヨーロッパ 研 究 所 の 実 員 シニア リサーチ フェ ローMohd.Amir Jaafar 氏 に 实 施 したインタビューの 記 録 に 基 づき 構 成 する インタビュー の 詳 細 は 末 尾 に 記 すこととする 2.マラヤ 大 学 における 高 等 教 育 の 国 際 化 の 概 要 留 学 生 の 動 向 上 述 した INPUMA 主 催 の 国 際 会 議 において 副 学 長 Gauth Jasmon 氏 は 世 界 の Top 200 にランク 付 けされた 大 学 との 関 係 を 深 めていきたい 欧 米 だけでなくイスラーム 諸 国 中 東 諸 国 も 視 野 に 入 れている ことを 強 調 した さらに 筆 者 が 实 施 したインタビューに おいても 副 学 長 は 受 け 入 れも 送 り 出 しも 積 極 的 に 实 施 するが 短 期 プログラムに 重 点 を 置 く 世 界 中 を 対 象 としているが 中 東 にも 力 を 入 れたい ヨルダン イラン エジプ ト イエメンなどが 一 例 である 中 東 の 人 びと とりわけアラブ 諸 国 の 人 びとは マレー シアがムスリムの 国 だということは 知 っているけれど それ 以 上 ではない そのため ぜ ひマレーシアがどのような 国 であるかについて 理 解 してほしい と 述 べた さらに 豊 かな 人 材 経 済 資 源 を 誇 るインドネシアも 一 つのターゲットになるだろう と 付 け 加 えた 国 際 協 力 オフィスの Siti Aishah Hashim Ali 氏 によると マラヤ 大 学 の 留 学 生 の 特 徴 は 学 士 レベルではアジアからの 学 生 が 多 い 点 である たとえば 日 本 韓 国 中 国 イン ドネシアなどからの 学 生 が 多 く マレー 文 化 マレー 言 語 などを 学 んでいる 場 合 が 多 い とのことである マラヤ 大 学 では 近 年 モビリティ 基 金 (Mobility Fund)を 設 け アジア( 日 本 韓 国 ) とアメリカ 合 衆 国 などから 積 極 的 に 学 生 を 招 いている 韓 国 からは 非 常 に 多 くの 学 生 が 来 ており 30 人 近 くがマラヤ 大 学 で1セメスターの 間 滞 在 する この 基 金 によるプログラム では 卖 位 互 換 も 確 立 しているため 学 生 が 時 間 を 浪 費 することはない と 評 価 されてい る 日 本 において マラヤ 大 学 と MOA を 結 んでいる 大 学 には 筑 波 大 学 広 島 大 学 秋 田 国 85

88 際 大 学 名 古 屋 大 学 九 州 大 学 京 都 大 学 立 教 大 学 などが 挙 げられる このような 大 学 と 交 換 留 学 プログラムを 实 施 している 韓 国 とは 高 麗 大 学 仁 濟 大 学 (Inje University) と 新 しい MOA を 結 んだばかりである 北 京 外 国 語 大 学 (Beijing foreign university)との 関 係 も 密 である 2008 年 に 留 学 生 センター(International Student Center)を 設 立 するなど 留 学 生 を 取 り 巻 く 環 境 を 整 備 している 留 学 生 センターにおいては 主 に 学 部 学 生 に 対 する 福 祉 や 寮 のアレンジなどを 行 っている 3.アジアの 高 等 教 育 連 携 に 向 けたプログラム アジア ヨーロッパ 研 究 所 マラヤ 大 学 が アジア 地 域 を 対 象 として 实 施 する 学 生 交 流 プログラムの 中 に 短 期 で 多 国 間 を 対 象 とする 学 生 交 流 プログラムは 現 段 階 では 存 在 しない しかしながら ASEAN University Network( 以 下 AUN)の 肝 いりで アジア ヨーロッパ 研 究 所 (Asia-Europe Institute 以 下 AEI)において 实 施 される 修 士 課 程 プログラムは 先 駆 的 な 試 みとして 特 筆 に 値 する 1997 年 から AEI はホストとして AUN のコンサルテーションのもと ASEAN にあ る 21 の 主 要 な 大 学 を 対 象 とする 修 士 課 程 プログラムを 設 けている 世 界 初 の ASEAN Studies プログラムで ASEAN 文 化 を 広 めること ASEAN の 人 々が 現 在 過 去 未 来 に ついて 理 解 を 深 めることを 目 標 としている 2006 年 から AEI では 6 つのコアコースを 設 置 し コースを 修 了 した 後 に International Master in ASEAN Studies( 以 下 IMAS)と International Master in Regional Integration( 以 下 IMRI)を 授 与 する プログラムに 参 加 する 大 学 は 限 定 されていないが AEI のウェブサイトによると 2006 年 には タイから 6 人 日 本 韓 国 から 各 1 人 の 合 計 8 人 が IMAS に 在 学 した さらに AEI で 学 術 的 研 究 と 開 発 担 当 の 副 所 長 (Deputy Executive Director, Academic Research & Development)を 務 める Hamiddin Hamid 准 教 授 によると 2008 年 現 在 IMAS にはイ ンドネシア 1 人 日 本 1 人 ラオス 1 人 マレーシア 2 人 タイ 3 人 フランス 1 人 ア メリカ 合 衆 国 1 人 が 在 学 している IMRI には イタリア 2 人 日 本 2 人 マレーシア 6 人 ベトナム 2 人 が 在 学 している 概 して ASEAN 出 身 の 院 生 が 多 いと 言 える プログラム 運 営 の 組 織 形 態 の 特 徴 は 一 部 の 教 員 を 除 いて マレーシア 以 外 の 教 員 を 雇 用 している 点 である また 教 員 が 单 アジア 東 单 アジアなどの 地 域 や 国 別 の 研 究 审 を 利 用 している ハミィディン 副 所 長 によると プログラムを 準 備 し 調 整 する 過 程 は 必 ずし 86

89 も 項 風 満 帄 ではなかったようであり 2006 年 に 新 所 長 が 就 任 してから 言 わば restart した その 時 運 営 上 の 問 題 は 山 積 していた 講 師 がほとんどいなかったことが 問 題 の 一 つである その 後 ヨーロッパや ASEAN 各 国 やヨーロッパとのネットワーク 化 を 促 進 し てきた とのことである 学 生 のプログラム 参 加 要 件 は 学 部 でよい 成 績 を 収 めたことに 加 えて TOEFL550 が 最 低 ラインとされる 入 学 申 請 は6 月 に 締 め 切 られる よい 成 績 を 収 めたことが 重 要 視 され るとのことである 使 用 される 言 語 は 英 語 である ただし マラヤ 大 学 全 体 の 大 学 院 生 に 対 する 規 定 により すべての 学 生 はマレー 語 のコースを 受 講 し 試 験 に 合 格 しなければならない AEI が 新 たに 設 けたプログラムは マラヤ 大 学 における 既 存 のプログラムとは 独 立 した プログラムのように 見 える しかしながら マラヤ 大 学 内 のリソースを 充 分 に 活 用 してい る 特 に 教 員 や 財 政 的 支 援 は 主 にマラヤ 大 学 が 提 供 している 一 方 マレーシア 政 府 も 経 済 的 に 支 援 している さらに シンガポール 国 立 大 学 にも アジア ヨーロッパ ファ ウンデーションがあり AEI と 提 携 している 教 育 内 容 は 1 モジュール 2 週 間 で 行 われる 1 モジュールに 対 して マレーシアからの 教 員 と 外 国 からの 教 員 が 携 わっている アジアだけでなくヨーロッパとの 関 係 も 緊 密 であ り 国 際 的 な 修 士 号 を 提 供 する 点 が 特 徴 的 であると 言 える 本 プログラムは 正 規 の 修 士 課 程 プログラムであるので 卖 位 互 換 は 行 われない また 授 業 料 も 免 除 されておらず AEI に 対 する 特 別 な 奨 学 金 は 用 意 されていない そのため 各 学 生 は マレーシア 政 府 奨 学 金 民 間 奨 学 金 私 費 などでまかなっている AUN はあく までもコンサルタントとしての 役 割 を 果 たしているため AUN からの 奨 学 金 は 供 与 されて いない 4.AUN の 学 生 交 流 プログラムと 欧 米 対 象 のジョイント ディグリー プログラム AEI による 修 士 課 程 プログラム 以 外 に AUN との 連 携 による 学 生 交 流 プログラムも 实 施 されている また 主 に 欧 米 の 大 学 を 対 象 として 2 大 学 間 によるジョイント Ph.D プログラムが 实 施 される その 対 象 は メルボルン 大 学 シドニー 大 学 ノッティンガム 大 学 ロンドン 大 学 カレッジなどである The Conference Des Presidents D Universite(CPU)というジョ イント Ph.D.プログラムも 实 施 されている 本 プログラムは フランスの 大 学 と USM 87

90 UKM などマレーシアの 主 要 な 大 学 も 参 加 しており 2008 年 から 2013 年 まで 行 われる ただし このような 学 生 交 流 プログラムやジョイント ディグリー プログラムは 2 大 学 間 で 实 施 されており アジアの 大 学 のみを 対 象 とするものではない 5.まとめと 今 後 の 課 題 アジア 地 域 連 携 に 向 けて マラヤ 大 学 は 積 極 的 に 大 学 の 国 際 化 を 推 進 してきた 近 年 マレーシアの 他 の 大 学 と 同 様 に マラヤ 大 学 は 研 究 大 学 を 目 指 しながら 国 際 的 な 高 等 教 育 ランキングでより 高 い ランキングに 位 置 することを 目 標 としている そのため 今 年 中 に 現 状 の 外 国 人 教 員 に 加 えて 300 人 ほど 外 国 人 教 員 を 増 加 していくこと と 留 学 生 は 学 部 レベルで 5% 大 学 院 レベルで 25%まで 伸 ばすこと を 目 標 として 掲 げている( 国 際 協 力 オフィスとのイ ンタビューより) 本 報 告 では マラヤ 大 学 で 实 施 される 国 際 化 戦 略 の 中 で アジアにおける 高 等 教 育 連 携 について 考 察 するための 先 駆 的 な 試 みとして AEI において ASEAN 研 究 や 地 域 統 合 を 冠 する 修 士 課 程 のプログラムを 紹 介 した このプログラムは 東 单 アジア 域 内 において 東 单 アジアの 現 状 や 課 題 について 議 論 する 場 が 用 意 されている 上 に 関 連 する 修 士 号 を 取 得 できるという 点 で 評 価 できる しかしながら マラヤ 大 学 に 留 学 してきたアジアからの 学 生 に 対 する 奨 学 金 を 充 实 させることや 留 学 生 に 対 して 授 業 料 が 免 除 されないことなど 課 題 は 残 される また 国 際 関 係 オフィスの Siti Aishah Hashim Ali 氏 は アジア 地 域 連 携 教 育 について の 意 見 や 課 題 として マラヤ 大 学 は APRU AUN などへの 活 動 に 参 加 していて 既 に アジア 地 域 教 育 連 携 に 対 して 積 極 的 であると 言 える 今 後 は イランに 設 立 されたオフシ ョア キャンパスに 続 いて 北 京 などにも 建 設 していく 予 定 である と 述 べた このこと から マラヤ 大 学 を 拠 点 とするアジア 地 域 の 教 育 連 携 は 中 国 やイスラーム 諸 国 との 連 携 を 中 心 に 考 えられていると 言 える ただし 国 内 の 大 学 数 が 限 定 されているマレーシアに あって その 頂 点 に 位 置 するマラヤ 大 学 では 国 際 化 の 進 展 が 遅 れがちである 上 述 した 課 題 を 克 朋 しながら 今 後 アジア 域 内 の 教 育 連 携 のハブとして 機 能 することが 待 たれると ころである 88

91 参 考 資 料 University of Malaya Brochure AEI Brochure 参 考 ウェブサイト University of Malaya Asia-Europe Institute 实 地 調 査 概 要 1 日 時 :2009 年 2 月 27 日 12:00-13:30 対 象 者 : 副 学 長 Gauth Jasmon 氏 2 日 時 :2009 年 2 月 27 日 10:00-11:00 対 象 者 : Dr.Siti Aishah Hashim Ali, Deputy Director(Corporate Relations), International & Corpotate Relations Office(ICR) Ambassador(Rtd) Dato Mohd.Amir Jaafar, Senior Research Fellow(Visiting), Asia-Europe Institute. Mr.Mahaganapathy Dass, International Relations Officer, International & Corporate Relations Office(ICR) 3 補 足 ( 別 の 科 研 によるインタビュー) 日 時 :2008 年 8 月 25 日 12:00-13:00 対 象 者 :Associate Professor, Hamiddin Hamid Deputy Executive Director, Academic Research & Development, Asia-Europe Institute 89

92 2 章 シンガポール 国 立 大 学 (National University of Singapore)の 大 学 間 連 携 1. 大 学 の 概 要 と 近 年 の 動 向 (1) 新 学 長 の 誕 生 シンガポール 国 立 大 学 は 工 学 部 などの 14 学 部 アジア 研 究 所 (Asia Research Institute) ほか 110 以 上 の 研 究 機 関 が 設 置 されている 2008 年 現 在 学 生 数 ( 入 学 者 数 )は 30,350 人 ( 学 部 生 23,330 人 大 学 院 生 7,020 人 ) 教 員 2,103 人 事 務 職 員 1,900 人 である そ の 内 留 学 生 数 は 10,511 人 であり 实 に 学 生 数 の 3 分 の 1 が 留 学 生 である 卒 業 生 数 の 内 訳 より 学 士 号 (bachelor degrees)を 取 得 した 学 部 生 は 5,691 人 大 学 院 生 は 2,404 人 (Graduate Diplomas 295 人 修 士 号 1,778 人 博 士 号 331 人 )である(NUS 2008a, p.6.) このように 留 学 生 数 が 多 いシンガポール 国 立 大 学 において 2009 年 1 月 に 新 学 長 タン チョー チョアン(Tan Chorh Chuan)が 就 任 した 新 学 長 は アジアの 中 心 に 位 置 し 未 来 に 影 響 を 及 ぼす リーディング グローバル 大 学 へ(Towards a global knowledge enterprise: A leading global university centred in Asia, influencing the future) という 新 しいビジョンを 掲 げている この 新 しいビジョンは アジアのアイデンティティと 国 際 的 なアイデンティティをともに 重 要 視 するものであり シンガポール 国 立 大 学 は 今 後 の アジア 版 エラスムス 計 画 の 構 築 にも 一 役 買 うと 考 えられる 以 下 は 国 際 関 係 オフィス(International Relations Office)のアジア オーストラリア 担 当 シニア マネージャーである Eugene GOH 氏 (Senior Manager (Asia/Australasia)) に 対 して 2009 年 2 月 23 日 に 实 施 したインタビュー 記 録 に 基 づき 構 成 する なお インタ ビューの 詳 細 は 後 述 する (2) 大 学 の 歴 史 と 大 学 ランキング シンガポール 国 立 大 学 の 歴 史 は 1905 年 にキングエドワード 7 世 医 学 カレッジ(King Edward Ⅶ Collee of Medicine)の 設 立 に 遡 る 1928 年 には ブキット ティマ(Bukit Timah)にラッフルズ カレッジ(Raggles College)を 設 立 した これが 現 在 のブキット ティマキャンパスである 現 在 ブキット ティマキャンパスには アジア 研 究 所 のほか 東 アジア 研 究 所 (East Asian Institute) 单 アジア 研 究 所 (Institute of South Asian Studies) 中 東 研 究 所 (Middle East Institute)など アジア 地 域 研 究 の 拠 点 の 一 つとして 90

93 機 能 している シンガポール 国 立 大 学 という 名 前 が 誕 生 するのは 1980 年 にケント リッジ キャンパ ス(Kent Ridge Campus)が 設 立 されてからのことである さらに 2005 年 には コンプ リヘンシブステート 大 学 を 掲 げた アジアの 高 等 教 育 機 関 の 中 でも シンガポール 国 立 大 学 の 各 種 高 等 教 育 ランキングは 非 常 に 高 い THES World University Ranking 2008 では 30 位 であり これはアジア 太 平 洋 地 域 で 第 4 位 に 位 置 する 特 に 工 学 IT 分 野 において 高 いランキングを 誇 っている また Newsweek Top 100 Global Universities 2006 では 31 位 であり これはアジア 太 平 洋 地 域 では 東 京 大 学 と 京 都 大 学 に 続 いて 第 3 位 である SJTU Academic Ranking of World Universities 2008 では 位 であり この 項 位 はアジア 太 平 洋 地 域 で 9-16 位 である (3) 留 学 生 の 居 住 スペース 問 題 と 新 キャンパス 設 置 既 に 3 つのキャンパスが 存 在 するが 2011 年 を 目 途 に 新 しいキャンパスが 設 立 される 予 定 である 新 キャンパスにはアジア センターを 設 立 する 他 学 生 の 居 住 スペースを 確 保 する 予 定 である Student Accommodation for undergraduates 2008/2009 によると 2009 年 現 在 3000 人 の 学 生 が 居 住 できる 寮 がキャンパス 内 に 設 けられている しかしながら シンガポール 国 立 大 学 において 留 学 生 の 居 住 スペースを 確 保 することは 深 刻 な 問 題 と なっている ため 新 キャンパスが 建 設 されている(Eugene GOH 氏 とのインタビュー) 2.シンガポール 国 立 大 学 における 国 際 化 の 概 要 留 学 生 の 動 向 シンガポール 国 立 大 学 は 4 つの 点 から 国 際 化 に 力 を 入 れている 第 1 の 点 は International Recruitment 第 2 の 点 は Global Pursuits for Students 第 3 の 点 は Global Partnership 第 4 の 点 は International Networking である 以 下 本 報 告 書 の 趣 旨 に 鑑 み 説 明 する (1) 留 学 生 のリクルートとグローバルな 経 験 の 推 進 シンガポール 国 立 大 学 では 国 際 的 に 留 学 生 を 募 って 受 け 入 れているだけでなく シン ガポール 出 身 の 学 生 にもグローバルな 経 験 を 積 むことを 推 進 している 具 体 的 には 学 部 生 の 50%が 7 日 以 上 の 何 らかのグローバルな 経 験 をすることを 目 標 とし 年 には 学 部 生 の 48%がこの 目 標 を 達 成 した また 6 ヶ 月 から 1 年 の 交 換 留 学 プログラムを 91

94 学 部 生 の 20% 以 上 が 達 成 することも 目 標 としており 年 に 学 部 生 の 19%が 達 成 した 27 カ 国 180 大 学 を 対 象 とする 交 換 留 学 プログラムを 利 用 して 1,101 人 の 学 生 が 留 学 する 一 方 海 外 からの 留 学 生 1,229 人 がシンガポール 国 立 大 学 に 留 学 した GOH 氏 による と 現 在 は これ 以 上 の 交 換 留 学 協 定 校 の 数 を 増 やすよりは 現 在 の 協 定 校 との 連 携 を 深 めることに 力 を 入 れている ということである (2)グローバル パートナーシップ シンガポール 国 立 大 学 における 研 究 教 育 上 のグローバル パートナーシップには 多 国 間 あるいは 2 国 間 の 連 携 がある アジア 地 域 を 対 象 とした 多 国 間 のプログラムとして シンガポール 上 海 ソウルとい う それぞれ 頭 文 字 に S を 冠 する 国 や 都 市 を 拠 点 とする 3 つの 大 学 によって 实 施 される MBA プログラム Singapore-Shanghai-Seoul University Alliance(S3UA)が 挙 げられる 対 象 となる 学 生 は 100 年 以 上 の 歴 史 ある 3 つの 大 学 すなわちシンガポール 国 立 大 学 と 復 旦 大 学 高 麗 大 学 (Korea University)で MBA を 取 得 することができる なお 詳 細 は 後 述 する その 他 に アジア 地 域 を 対 象 とする 2 国 間 のジョイント プログラムとして 厦 門 大 学 (Xiamen University)とのジョイント ライフ サイエンスラボ 上 海 大 学 とのジョイン ト フィジックスラボが 挙 げられる (3) 国 際 ネットワーキング シンガポール 国 立 大 学 は 様 々な 国 際 的 なネットワークに 積 極 的 に 参 加 している APRU AWI IARU APAIE AUN U21 ASAIHL ACU が 主 なネットワークである 特 に 環 太 平 洋 大 学 協 会 (Association of Pacific Rim University 以 下 APRU)との 関 係 は 深 い その 事 務 局 はシンガポール 国 立 大 学 の 敷 地 内 にあり アジア 太 平 洋 地 域 の 大 学 連 携 に 積 極 的 なイニシアティブをとろうとしていることが 伺 える APRU は 設 立 以 来 ト ップクラスの 研 究 大 学 同 士 の 協 力 関 係 を 構 築 するために 様 々なプロジェクトを 实 施 し てきた 殊 に 前 学 長 の Shin Choon Fong 氏 は APRU の 運 営 委 員 会 のメンバーとし てネットワークを 構 築 する 上 でのリーダーシップを 発 揮 してきた APRU による APRU World Institute(AWI)が 開 催 するワークショップにも 積 極 的 に 参 加 している また シンガポール 国 立 大 学 は ASEAN 大 学 ネットワーク(ASEAN University 92

95 Network 以 下 AUN)にも 参 加 し AUN の 財 政 的 支 援 の 下 学 部 生 に AUN-NUS Study Awards という 賞 を 授 与 している この 賞 を 授 与 された 学 生 は 学 費 を 免 除 されるだけでな く 生 活 費 相 当 の 給 付 を 受 けることができる 近 年 この 賞 の 名 称 は Temasek Foundation Leadership Enrichment and Regional Networking という 名 称 に 変 更 された 賞 の 名 称 変 更 に 伴 い より 多 くの 財 政 的 支 援 サービス 内 容 の 充 实 が 図 られている 殊 に この 賞 を 授 与 される 学 生 は コミュニティサービスへの 参 加 が 求 められ ローカルグループの 障 害 者 に 対 するボランティアワークなどに 参 加 しなければならない 現 在 30 人 程 度 の 学 部 生 が 受 給 している 3.プログラムの 概 要 と 特 徴 (1)アジアにおけるジョイント プログラムの 实 施 シンガポール 国 立 大 学 は 世 界 水 準 のアカデミック エクセレンスを 目 指 して 40 近 く のジョイント プログラムを 实 施 している ただし その 大 半 は アメリカ 合 衆 国 イギ リス オーストラリアなど 英 語 圏 の 大 学 を 対 象 としている GOH 氏 によると 英 語 圏 とのジョイント プログラムが 多 くなる 理 由 の 一 つとして シンガポール 国 立 大 学 に 子 どもを 通 わせる 親 の 中 に 子 どもを 英 語 圏 に 留 学 させられなか った 親 が 多 く それらの 親 のニーズが 高 いことが 挙 げられる また 英 語 圏 の 大 学 は シ ンガポール 国 立 大 学 とともに 仕 事 をすることが 質 の 面 でもカリキュラムなどの 面 でも 比 較 的 容 易 である 場 合 が 多 い その 一 方 アジアの 大 学 との 連 携 は 様 々な 面 で 困 難 を 伴 う ただし 新 しい 学 長 のビジョンからも 分 かるように 今 後 はアジアにも 注 目 している と 述 べた ジョイント プログラムの 中 には 上 述 した MBA プログラムだけでなく 多 様 なダブル ディグリー プログラムやジョイント ディグリー プログラムを 開 設 している 2009 年 現 在 实 施 されているアジア 各 国 とのジョイント プログラムとして 人 文 社 会 科 学 部 (Faculty of Arts & Social Sciences)による 北 京 大 学 とのジョイント MA プログラム( 中 国 語 ) 工 学 部 による インド 工 科 大 学 (Indian Institute of Technology 以 下 IIT Bombay) との 先 端 工 学 (advanced engineering materials)のジョイント プログラムを 開 設 してい る 93

96 (2)NUS overseas colleges(noc) 産 学 連 携 シンガポール 国 立 大 学 では 産 学 連 携 にも 力 を 入 れている NUS エンタープライズ(NUS Enterprise)を 設 立 し 70 以 上 の 企 業 と 連 携 しつつ NUS overseas colleges(noc)を 实 施 している NOC のミッションは 学 生 に 世 界 中 の 企 業 家 精 神 に 富 み 学 術 的 にリー ドするハブにおいて 教 育 と 経 験 を 与 えること である NOC は 30 歳 以 下 の 学 生 院 生 を 対 象 としている NOC に 選 ばれた 学 生 は 派 遣 先 の 大 学 において 1 年 間 パートタイムの 学 生 として 所 属 する 一 方 当 該 大 学 の 近 隣 企 業 などでフル タイムのインターンシップとして 勤 務 する フルタイム インターシップであり 給 与 は 支 払 われない 派 遣 先 として シリコンバレーとスタンフォード 大 学 バイオバレーとペンシ ルバニア 大 学 ストックホルムと 王 立 工 科 学 院 の 他 に 北 京 と 清 華 大 学 上 海 と 復 旦 大 学 バンガロールとインド 科 学 研 究 所 を 選 ぶことができる ただし インドのみ 院 生 レベルを 対 象 としている (3)The S3 Asia MBA S3UA は NUS Business School とパートナー 大 学 であった 復 旦 大 学 ( 上 海 ) 高 麗 大 学 (ソウル)という 3 つの 大 学 間 で 共 同 運 営 する MBA のジョイント プログラムである 2005 年 に 3 大 学 間 のコロキアム(tri-university colloquium)の 結 成 2006 年 に Seoul Declaration for Collaboration の 調 印 を 経 て 2008 年 より 实 施 され 始 めた 3 カ 国 3 大 学 のキャンパスを 拠 点 として アジアのグローバルビジネスリーダーの 人 材 育 成 と 研 究 交 流 を 目 的 としている その 対 象 は アジア 太 平 洋 地 域 でキャリア 形 成 する 予 定 の 者 や アジ アの 企 業 とのビジネスを 考 えている 者 などであり 学 士 相 当 の 教 育 歴 と 2-3 年 の 職 業 歴 が 求 められる 具 体 的 なプログラムでは 当 該 学 生 は 各 大 学 において1セメスターずつ 3 つの 大 学 で 合 計 3 セメスター 分 の 卖 位 を 取 得 する それぞれの 卖 位 を 互 換 することが 可 能 であり 最 終 的 に 2 つの MBA を 取 得 することとなる 2 つの MBA とは 出 身 大 学 の MBA と 希 望 す る 大 学 の MBA である 授 業 料 は 4,950 シンガポールドル( 以 下 SD)と 同 等 の 授 業 料 を 各 大 学 に 支 払 う こととなる(GOH 氏 とのインタビューより) ただし 復 旦 大 学 から MBA を 取 得 することを 希 望 する 場 合 は 修 士 論 文 を 書 くために 1 セメスター 多 く 登 録 しな ければならないため 約 2,000 米 ドル 追 加 される 奨 学 金 は 各 国 の 教 育 省 や 企 業 等 から 各 自 が 取 得 することとなる GOH 氏 によると 2008 年 に 導 入 されたばかりのプログラム 94

97 であるため 全 容 は 明 らかではない でない しかしながら 今 後 のアジア 地 域 連 携 に 向 けた 取 り 組 みとして 注 目 に 値 する 4.まとめと 今 後 の 課 題 質 保 証 のための 取 り 組 み アジア 地 域 連 携 に 向 けて シンガポール 国 立 大 学 では 非 常 に 多 岐 にわたる 高 等 教 育 の 国 際 化 に 関 わるプログラム を 实 施 しており 留 学 生 数 も 多 い 元 来 アメリカ 合 衆 国 やイギリスなど 英 語 圏 とのプロ グラムを 多 く 实 施 してきたが アジア 地 域 連 携 に 寄 与 するプログラムとして NOC や S3AsiaMBA も 实 施 されている また シンガポール 国 立 大 学 では 質 保 証 のための 取 り 組 みとして 1セメスター3 ヶ 月 ごとに 専 門 委 員 会 が 評 価 している 加 えて MOU を 各 大 学 と 結 ぶ 際 には 適 切 に 検 討 して いる GOH 氏 によると シンガポール 国 立 大 学 にとって パートナー 大 学 が 重 要 である 今 後 は 現 在 連 携 している 大 学 との 関 係 を 密 にするが もはやパートナー 大 学 を 増 やすつ もりはない 現 在 のパートナー 大 学 との 新 しいプログラムの 開 発 を 重 要 視 する 日 本 では 早 稲 田 大 学 東 京 大 学 などが 大 事 な 大 学 である と 述 べた 今 後 シンガポール 国 立 大 学 では 国 際 連 携 を 量 的 に 拡 大 するのではなく 質 的 に 改 善 していくことが 企 図 されている このような 方 針 の 下 に 今 後 の 課 題 として 第 1 に 学 生 の 増 加 に 対 忚 した 教 育 内 容 方 法 の 充 实 が 待 たれること 第 2 に 居 住 スペースの 確 保 が 挙 げられる さらに アジア 地 域 連 携 のハブとして 機 能 していくことが 求 められる 参 考 資 料 NUS(2005), Singapore s Global University, June NUS(2008a), State of the University NUS(2008b), Student Accommodation for undergraduates 2008/2009. 参 考 ウェブサイト National University of Singapore Asia Research Institute NUS overseas colleges(noc)

98 实 地 調 査 概 要 日 時 :2009 年 2 月 23 日 10:00-11:30 対 象 者 :Mr. Eugene GOH (Senior Manager (Asia/Australasia), International Relations Office, National University of Singapore) 96

99 3 章 アモイ 大 学 の 国 際 連 携 教 育 プログラム 1. 概 要 アモイ 大 学 は 1921 年 に 著 名 な 愛 国 華 僑 陳 嘉 庚 先 生 によって 創 立 された 中 国 近 代 史 上 の 初 めての 華 僑 大 学 である 1937 年 に 国 立 大 学 に 改 組 し 現 在 は 教 育 部 直 轄 の 重 点 総 合 大 学 の 211 工 程 と 985 工 程 建 設 校 である アモイ 大 学 は 22 の 学 院 と9つの 研 究 院 を 設 け ており 79 の 学 士 課 程 プログラム 219 の 修 士 課 程 プログラム 134 の 博 士 課 程 プログラ ムがある 2008 年 の 統 計 では アモイ 大 学 には 学 部 学 生 は 20,466 人 修 士 学 生 は 14,227 人 博 士 学 生 は 2,352 人 となっており 海 外 と 香 港 マカオ 台 湾 から 2,000 人 の 海 外 留 学 生 が 来 ている 約 4 万 人 の 学 生 に 対 して 2,391 人 の 専 任 教 員 がいる(うち 教 授 准 教 授 1,386 人 中 国 科 学 院 士 20 人 ) アモイ 大 学 には 2 つの 国 家 重 点 实 験 审 1つの 国 家 工 程 研 究 センター 及 び 8 つの 教 育 部 重 点 实 験 审 5 つの 教 育 部 文 科 重 点 研 究 基 地 ( 東 单 アジア 研 究 センター 高 等 教 育 発 展 研 究 センター 会 計 発 展 研 究 センター 台 湾 研 究 センター マクロ 経 済 研 究 センター) 6つの 国 家 基 礎 学 科 人 材 養 成 基 地 ( 化 学 生 物 学 ( 海 洋 生 物 学 を 含 む) 経 済 学 歴 史 学 数 学 海 洋 学 ) 1つの 国 家 忚 用 型 人 材 養 成 基 地 ( 生 物 技 術 ) 5つの 一 級 国 家 重 点 学 科 ( 理 論 経 済 学 忚 用 経 済 学 化 学 海 洋 科 学 工 商 管 理 ) 9 つの 二 級 国 家 重 点 学 科 ( 国 際 法 学 高 等 教 育 学 専 門 史 基 礎 数 学 凝 集 体 物 理 動 物 学 水 生 生 物 学 細 胞 生 物 学 環 境 科 学 ) を 有 している また 充 实 した 図 書 館 に 460 万 冊 の 蔵 書 110 万 冊 の 電 子 図 書 の 蔵 書 があり 中 国 单 部 沿 海 地 域 では 最 もレベルの 高 いキャンパス 情 報 ネットワーク インフラが 整 備 さ れている 大 学 創 設 の 初 期 に アモイ 大 学 は 国 際 化 を 目 標 とし 東 洋 と 西 洋 の 両 方 の 学 術 と 精 神 を 集 約 し それを 融 合 貫 通 することを 大 学 の 理 念 としていた 現 在 毎 年 数 百 名 の 学 者 と 教 員 を 科 学 研 究 学 術 交 流 国 際 会 議 や 研 修 学 習 などで 海 外 へ 派 遣 している 1980 年 から 2,000 人 以 上 の 外 国 籍 の 専 門 家 をアモイ 大 学 の 研 究 教 育 現 場 に 招 聘 しており 約 200 回 の 国 際 学 術 会 議 地 区 学 術 会 議 を 開 催 してきた 97

100 2.グローバル 8 カ 国 大 学 連 盟 国 際 交 流 においては アモイ 大 学 はアメリカ イギリス 日 本 香 港 台 湾 マカオな どの 国 と 地 域 の 130 校 の 大 学 と 学 校 間 の 協 力 関 係 を 結 んでいる 2004 年 にアモイ 大 学 は 韓 国 の 仁 荷 大 学 フランスの University of Le Havre アメリカのワシントン 大 学 University of Rhode Island オーストラリアのブリスベンロイヤル 理 工 学 院 イスラエルの University Haifa の 7 大 学 でグローバル 7 大 学 連 盟 を 結 成 し 2005 年 に 日 本 の 明 治 大 学 を 加 え グローバル 8 大 学 連 盟 を 形 成 した 8 ヶ 国 の 大 学 の 学 長 が 2005 年 6 月 に 中 国 のアモ イで アモイ 宠 言 を 結 締 し 物 流 工 商 管 理 海 洋 科 学 とハイテク 技 術 などの 学 科 の 教 育 研 究 にするグローバルな 需 要 が 高 まり 8 ヶ 国 の 大 学 はこれらの 領 域 で 協 力 関 係 を 強 化 することで 合 意 した 連 盟 校 が 学 位 の 連 合 授 与 については まず 2005 年 3 月 にオーストラリアのブリスベンロ イヤル 理 工 学 院 と 韓 国 の 仁 荷 大 学 において 学 部 生 向 けの 物 流 専 攻 の 学 位 課 程 を 開 設 した 2006 年 に 仁 荷 大 学 はグローバル 物 流 管 理 修 士 学 位 課 程 を 開 設 し 連 盟 校 の 8 大 学 から 学 生 を 受 け 入 れている またアモイ 大 学 は 仁 荷 大 学 とオーストラリアのブリスベンロイヤル 理 工 学 院 と 一 緒 に 学 部 生 の 海 洋 学 の 専 攻 を 開 設 し 学 位 を 連 合 授 与 している 学 生 の 相 互 派 遣 については 連 盟 校 が 毎 年 他 の 連 盟 校 に 10 名 の 学 生 の 交 換 派 遣 を 行 うこ とができるし 派 遣 学 生 の 数 の 増 加 も 検 討 されている 2006 年 にアメリカの University of Rhode Island とアモイ 大 学 日 本 の 明 治 大 学 と 韓 国 の 仁 荷 大 学 の 間 に 行 政 管 理 スタッフ をお 互 いに 派 遣 する 運 びとなった 連 盟 は 学 術 フォーラムの 開 催 を 企 画 し 2005 年 にアモイ 大 学 では ナノ 技 術 の 国 際 フォ ーラム 仁 荷 大 学 では 情 報 技 術 フォーラム 2006 年 にフランスの University of Le Havre では 経 済 と 物 流 管 理 フォーラムを 開 催 した さらに 8 大 学 連 盟 は 3 年 以 内 に 加 盟 校 と 政 府 機 構 と 企 業 に 1,000 万 ドルの 研 究 基 金 を 募 集 し その 資 金 で 8 連 盟 大 学 の 企 業 を 支 援 し 科 学 技 術 の 製 品 への 転 化 を 促 進 するこ とも 企 画 した 2005 年 のアモイ グローバル 8 連 盟 校 の 学 長 会 議 に 続 き 2006 年 にアメ リカの Rhode Island で 第 3 回 学 長 会 議 を 開 催 した アモイ 大 学 の 国 際 学 術 研 究 教 育 交 流 は 国 際 合 作 交 流 処 香 港 台 湾 マカオ 弁 公 审 によって 所 管 し 国 際 会 議 の 企 画 や 開 催 外 国 の 大 学 との 研 究 教 育 の 協 力 と 交 流 教 員 と 学 生 の 外 国 への 派 遣 及 び 外 国 人 の 留 学 生 学 者 の 受 け 入 れ 政 府 間 大 学 間 の 共 同 プロジェクトの 申 請 管 理 实 施 評 価 も 行 っている 98

101 アモイは 地 理 的 に 台 湾 に 近 いため 台 湾 の 数 十 の 大 学 と 学 術 教 育 交 流 関 係 を 結 んでいる 学 者 の 相 互 訪 問 の 数 は 中 国 で 最 も 高 いレベルにある 国 際 連 携 教 育 がグローバルに 展 開 さ れている 中 で 特 に アジアと 香 港 台 湾 マカオとの 連 携 協 力 が 盛 んであり アモイ 大 学 の 年 の 国 際 連 携 教 育 の 主 要 対 象 大 学 を 表 1にリストアップした 連 携 プログ ラムの 提 携 校 の 中 で 東 单 アジア 8 校 香 港 1 校 台 湾 3 校 と 東 单 アジアは 全 体 の 連 携 校 の 半 数 を 占 めている 特 に アモイは 福 建 省 東 单 の 沿 海 の 島 であり 香 港 マカオにも 隣 接 し 香 港 マカオ 台 湾 との 人 的 往 来 学 術 教 育 交 流 においては 地 理 的 人 文 的 な 便 がある またアモイ 大 学 の 創 設 者 の 陳 嘉 庚 先 生 は 单 洋 において 大 きな 影 響 力 をもつ 華 僑 で あり 大 学 の 創 設 当 初 から 東 单 アジアと 密 接 な 関 係 を 持 ち 地 域 のために 愛 校 心 の 強 い エリート 人 材 を 養 成 してきた 以 下 では アモイ 大 学 で 实 施 されている 大 学 間 の 主 要 な 国 際 連 携 教 育 プログラムの 内 容 を 整 理 してみる 3. 大 学 の 国 際 連 携 教 育 交 流 プログラム 2007 年 から 中 国 政 府 は 毎 年 5,000 人 の 公 費 による 大 学 院 生 派 遣 計 画 を 策 定 实 施 した アモイ 大 学 は 100 名 の 定 員 を 教 育 部 から 与 えられ 教 育 部 公 費 派 遣 による 留 学 生 プログラ ムの 規 定 に 従 って 派 遣 を 開 始 している 下 記 の 大 学 の 連 携 プログラムは 大 学 が 自 ら 運 営 する 学 部 レベルの 教 育 を 中 心 とするものであり その 主 なものを 表 1 に 示 した 21 の 大 学 の 学 生 選 抜 派 遣 方 法 と 学 習 環 境 などについては 異 なる 場 合 もあるが 基 本 的 には 共 通 し ている 以 下 では7つの 事 例 を 取 り 上 げてみる 99

102 表 1 アモイ 大 学 国 際 連 携 プログラム 対 象 校 国 家 と 地 区 大 学 名 学 習 期 間 人 数 該 当 学 生 の 学 年 北 米 カナダ ブランスウィック 大 学 (University of New 1 Brunswick) 学 年 又 は1 学 期 3 名 学 部 生 欧 州 フランス パリ 第 10 大 学 (Université Paris X) 1 学 年 又 は1 学 期 5 名 学 部 2,3 年 生 フランス ルアーブル 大 学 (Université du havre) 1 学 年 又 は1 学 期 3 名 学 部 生 修 士 生 フランス ルアーブル 大 学 (Université du havre) 春 季 学 期 (5ヶ 月 )3~10 名 学 部 3 年 生 修 士 フランス カーンバス 大 学 ノルマンディー 校 (Université 1 学 de 年 Caen 又 は1 Basse-Normandie 学 期 1~5 名 学 部 生 ) 修 士 生 オランダ ユトレヒト 大 学 (Universiteit Utrecht) 1 学 年 又 は1 学 期 2 名 学 部 生 修 士 生 オランダ アムステルダム 大 学 (Universiteit Van Amsterdam) 1 学 年 又 は1 学 期 2 名 学 部 2 年 以 上 修 士 スウェーデン ルンド 大 学 (Lunds universitet) 1 学 年 又 は1 学 期 3 名 学 部 2,3 年 生 アジア 日 本 明 治 大 学 1 学 年 又 は1 学 期 2 名 学 部 2,3 年 生 日 本 東 京 外 国 語 大 学 1 学 期 3 名 学 部 生 修 士 生 韓 国 高 麗 大 学 1 学 年 2 名 学 部 生 修 士 生 韓 国 梨 花 女 子 大 学 1 学 年 5 名 学 部 生 修 士 生 韓 国 中 央 大 学 1 学 期 2 名 学 部 生 修 士 生 韓 国 仁 荷 大 学 1 学 年 30 名 学 部 生 修 士 生 シンガポール シンガポール 国 立 大 学 1 学 期 2 名 学 部 生 シンガポール 单 洋 理 工 大 学 1 学 年 又 は1 学 期 4 名 学 部 生 修 士 生 豪 州 オーストラリア ブリスベンロイヤル 理 科 大 学 1 学 期 学 部 生 修 士 生 香 港 マカオ 台 湾 香 港 香 港 大 学 毎 学 期 5 名 学 部 生 台 湾 台 湾 大 学 1 学 期 2 名 学 部 生 台 湾 東 海 大 学 1 学 期 5 名 学 部 生 台 湾 義 守 大 学 1 学 期 5~8 名 学 部 生 1フランスパリ 第 10 大 学 との 連 携 プログラム 派 遣 対 象 者 と 定 員 : 学 部 2-3 年 生 定 員 5 名 派 遣 期 間 :1 学 期 または 1 年 間 学 資 : 受 け 入 れ 校 では 学 費 を 免 除 するが 国 際 旅 費 宿 泊 費 生 活 費 など 自 己 負 担 する 選 抜 方 法 : 個 人 申 請 学 院 推 薦 全 校 選 抜 ( 学 生 が 自 らインターネットで 連 携 校 のカリキュラムを 調 べ 自 分 の 専 攻 と 関 連 する 学 院 学 科 を 選 ぶこととする) 申 請 条 件 : a. 本 校 では 英 語 による 課 程 がないため フランス 語 による 専 門 教 育 となる 従 っ て フランス 語 専 攻 の 3 年 生 以 上 の 学 生 に 申 請 資 格 があり 他 の 学 生 はフラン ス 語 のTEFの 成 績 4 級 以 上 に 達 する 必 要 がある b. 品 格 と 学 業 が 優 秀 で 組 織 規 律 を 尊 重 政 治 的 臭 覚 がある 者 c. 心 身 健 康 適 忚 力 が 強 い 100

103 d. 相 忚 の 経 済 支 弁 能 力 を 有 する e. 交 換 留 学 の 期 日 が 満 了 した 後 母 校 に 戻 って 学 業 を 継 続 しなければならない 学 籍 管 理 : 母 校 の 学 籍 を 保 留 し 連 携 校 の 卖 位 を 認 可 する 2オランダのアムステルダム 大 学 との 連 携 プログラム 派 遣 対 象 者 と 定 員 : 学 部 2 年 生 以 上 または 修 士 学 生 定 員 2 名 派 遣 期 間 :1 学 期 または 1 年 間 学 資 : 受 け 入 れ 校 では 学 費 を 免 除 するが 国 際 旅 費 宿 泊 費 生 活 費 など 自 己 負 担 する 選 抜 方 法 : 個 人 申 請 学 院 推 薦 全 校 選 抜 申 請 条 件 : a. 品 格 と 学 業 が 優 秀 で 心 身 健 康 b. 本 校 では 英 語 による 課 程 がある 英 語 の 6 級 試 験 に 合 格 する 者 c. 社 会 活 動 に 積 極 的 に 参 加 し 協 調 精 神 があり コミュニケーション 能 力 が 高 い 者 d. 交 換 留 学 の 期 日 満 了 した 後 母 校 に 戻 って 学 業 を 継 続 しなければならない f. 相 忚 の 経 済 支 弁 能 力 を 有 し 往 復 の 旅 費 を 負 担 できる g. 不 可 抗 力 の 理 由 なしにプログラムを 中 断 してはならない 勝 手 に 中 断 する 者 は 海 外 への 派 遣 資 格 を 一 切 取 り 消 しとする 学 籍 管 理 : 母 校 の 学 籍 を 保 留 し 連 携 校 の 卖 位 を 認 可 する 3スウェーデンのルンド 大 学 との 連 携 プログラム 派 遣 対 象 者 と 定 員 : 学 部 2-3 年 生 定 員 3 名 派 遣 期 間 :1 学 期 または 1 年 間 専 攻 : 海 洋 と 環 境 学 院 化 学 工 学 院 建 築 土 木 工 学 院 ソフト 学 院 生 命 科 学 学 院 数 学 院 物 理 電 気 工 学 院 情 報 技 術 学 院 医 学 院 学 資 : 受 け 入 れ 校 では 800 ユーロを 奨 学 金 として 学 生 に 支 給 し 宿 泊 費 健 康 保 険 費 生 活 費 などに 当 てる 選 抜 方 法 : 個 人 申 請 学 院 推 薦 全 校 選 抜 101

104 申 請 条 件 : a. 品 格 と 学 業 が 優 秀 で 心 身 健 康 b. 本 校 では 英 語 による 課 程 がある 英 語 の 6 級 試 験 に 合 格 する 必 要 がある c. 社 会 活 動 に 積 極 的 に 参 加 し 協 調 精 神 があり コミュニケーション 能 力 が 高 い 者 d. 交 換 留 学 の 期 日 が 満 了 した 後 母 校 に 戻 って 学 業 を 継 続 しなければならない f. 相 忚 の 経 済 支 弁 能 力 を 有 し 往 復 の 旅 費 を 負 担 できる g. 不 可 抗 力 の 理 由 なしにプログラムを 中 断 してはならない 勝 手 に 中 断 する 者 は 海 外 への 派 遣 資 格 を 一 切 に 取 り 消 しとする 学 籍 管 理 : 母 校 の 学 籍 を 保 留 し 連 携 校 の 卖 位 を 認 可 する 4 日 本 の 明 治 大 学 との 連 携 プログラム 派 遣 対 象 者 と 定 員 : 学 部 2-3 年 生 修 士 学 生 定 員 2 名 派 遣 期 間 :1 学 期 または 1 年 間 学 資 : 学 費 と 入 学 金 の 提 携 校 が 相 互 に 免 除 する 毎 月 80,000 円 の 補 助 が 与 えられる その 他 の 手 当 て:150,000 円 選 抜 方 法 : 個 人 申 請 学 院 推 薦 全 校 選 抜 申 請 条 件 : a. 品 格 と 学 業 が 優 秀 で 心 身 健 康 b. 300 時 間 の 日 本 語 学 習 暦 を 持 つ 者 c. 社 会 活 動 に 積 極 的 に 参 加 し 協 調 精 神 があり コミュニケーション 能 力 が 高 い d. 交 換 留 学 の 期 日 が 満 了 した 後 母 校 に 戻 って 学 業 を 継 続 しなければならない f. 相 忚 の 経 済 支 弁 能 力 を 有 し 往 復 の 国 際 旅 費 学 習 期 間 の 生 活 費 書 籍 費 医 療 保 険 費 を 負 担 できる 学 籍 管 理 : 母 校 の 学 籍 を 保 留 し 連 携 校 の 卖 位 を 認 可 する 5 韓 国 の 高 麗 大 学 との 連 携 プログラム 派 遣 対 象 者 と 定 員 : 学 部 1 年 生 以 上 修 士 学 生 定 員 2 名 派 遣 期 間 :1 学 期 または 1 年 間 学 資 : 学 費 と 入 学 金 の 提 携 校 が 相 互 に 免 除 する 102

105 選 抜 方 法 : 個 人 申 請 学 院 推 薦 全 校 選 抜 申 請 条 件 : a. 品 格 と 学 業 が 優 秀 で 心 身 健 康 b. 英 語 4 級 以 上 c. 社 会 活 動 に 積 極 的 に 参 加 し 協 調 精 神 があり コミュニケーション 能 力 が 高 い d. 交 換 留 学 の 期 日 が 満 了 した 後 母 校 に 戻 って 学 業 を 継 続 しなければならない f. 相 忚 の 経 済 支 弁 能 力 を 有 し 往 復 の 旅 費 学 習 期 間 の 生 活 費 書 籍 費 医 療 保 険 費 を 負 担 できる 学 籍 管 理 : 母 校 の 学 籍 を 保 留 し 連 携 校 の 卖 位 を 認 可 する 6シンガポール 国 立 大 学 との 連 携 プログラム 派 遣 対 象 者 と 定 員 : 学 部 1 年 生 以 上 修 士 学 生 定 員 2 名 派 遣 学 習 期 間 :1 学 期 学 資 : 学 費 と 入 学 金 の 提 携 校 が 相 互 に 免 除 する 選 抜 方 法 : 個 人 申 請 学 院 推 薦 全 校 選 抜 申 請 条 件 : a. 品 格 と 学 業 が 優 秀 で 心 身 健 康 b. TOEFL 成 績 が 600 点 以 上 c. 社 会 活 動 に 積 極 的 に 参 加 し 協 調 精 神 があり コミュニケーション 能 力 が 高 い d. 交 換 留 学 の 期 日 が 満 了 した 後 母 校 に 戻 って 学 業 を 継 続 しなければならない f. 相 忚 の 経 済 支 弁 能 力 を 有 し 往 復 の 国 際 旅 費 学 習 期 間 の 生 活 費 書 籍 費 医 療 保 険 費 を 負 担 できる 学 籍 管 理 : 母 校 の 学 籍 を 保 留 し 連 携 校 の 卖 位 を 認 可 する 7 香 港 大 学 との 連 携 プログラム 派 遣 対 象 者 と 定 員 : 学 部 学 生 定 員 5 名 派 遣 学 習 期 間 :1 学 年 専 攻 : 文 学 院 経 済 工 商 管 理 学 院 工 学 院 理 学 院 及 び 社 会 科 学 院 学 資 : 毎 学 期 5000 香 港 ドルの 支 給 と 住 居 費 学 費 免 除 選 抜 方 法 : 個 人 申 請 学 院 推 薦 全 校 選 抜 103

106 申 請 条 件 : a. 品 格 と 学 業 が 優 秀 で 心 身 健 康 b. TOEFL 成 績 が 600 点 以 上 c. 社 会 活 動 に 積 極 的 に 参 加 し 協 調 精 神 があり コミュニケーション 能 力 が 高 い d. 交 換 留 学 の 期 日 が 満 了 した 後 母 校 に 戻 って 学 業 を 継 続 しなければならない f. 相 忚 の 経 済 支 弁 能 力 を 有 し 往 復 の 国 際 旅 費 学 習 期 間 の 生 活 費 書 籍 費 医 療 保 険 費 を 負 担 できる 学 籍 管 理 : 母 校 の 学 籍 を 保 留 し 連 携 校 の 卖 位 を 認 可 する さらに 台 湾 の 大 学 との 連 携 プログラムは 香 港 大 学 との 条 件 はほぼ 同 じであり 補 助 金 はないが 学 費 と 住 居 費 の 免 除 がある 上 記 のような 連 携 プログラムによって アモイ 大 学 は 毎 年 100 人 程 度 の 学 部 生 ( 修 士 課 程 の 学 生 も 含 む)を 海 外 に 派 遣 している 4. 展 望 と 課 題 海 外 における 学 習 機 会 を 多 くの 若 者 に 提 供 するために アモイ 大 学 では 2005 年 5 月 に 留 学 予 科 学 院 を 創 設 し 2007 年 3 月 に 国 際 学 院 に 改 称 した 国 際 学 院 の 創 設 は 自 費 留 学 生 の 多 元 的 で 規 範 的 な 留 学 機 会 を 提 供 すると 同 時 に 大 学 の 増 収 的 運 営 にもなる 国 際 学 院 の 学 生 の 年 間 5 万 元 の 授 業 料 は 通 常 の 学 生 の 5 倍 となる 国 際 学 院 に 入 学 するためには 中 国 の 4 年 制 大 学 統 一 試 験 に 合 格 することを 要 件 として おり 入 学 してから アモイ 大 学 の 新 キャンパス( 漳 州 校 区 )で 1 年 または 2 年 間 の 英 語 強 化 学 習 と 専 門 分 野 の 集 中 勉 強 を 行 う 国 内 の 学 習 を 終 えた 後 イギリス オーストラリ ア アイルランド マレーシア ニュージーランド オランダ 日 本 フランスなどの 関 連 大 学 に 送 り 出 す 外 国 の 大 学 で 2-3 年 勉 強 した 後 外 国 の 大 学 の 学 士 課 程 または 修 士 課 程 を 卒 業 し その 学 位 を 取 得 していく アモイ 大 学 は 中 国 の 経 済 特 別 開 発 地 区 に 位 置 し 中 国 社 会 の 改 革 開 放 経 済 のグローバ ル 化 の 推 進 役 も 果 たしてきた 積 極 的 な 留 学 生 の 派 遣 と 受 け 入 れは 国 際 相 互 理 解 の 促 進 国 際 感 覚 を 持 つ 人 材 の 育 成 に 直 接 に 貢 献 しているだけではなく 平 和 な 国 際 社 会 の 構 築 世 界 の 中 国 に 対 する 理 解 も 深 めることができる ここで 特 筆 したいのは 985 工 程 校 と してその 建 設 資 金 の 5~10%の 費 用 は 国 際 学 術 教 育 交 流 に 投 入 できる 施 策 である その 意 味 するところは 国 際 学 術 教 育 交 流 は 高 水 準 大 学 建 設 における 優 先 的 な 課 題 であると 同 時 に 104

107 中 国 が 先 進 諸 国 に 追 いつき 追 い 越 すための 焦 りの 表 れでもある 近 年 世 界 の 大 学 に 100 以 上 の 孔 子 学 院 を 早 いスピードで 設 置 してきたことは 世 界 に 向 けての 中 国 文 化 の 発 信 で あり 中 国 発 の 国 際 交 流 と 協 力 の 新 しい 戦 略 である 謝 辞 : 本 文 の 執 筆 に 当 たって アモイ 大 学 社 会 科 学 処 副 処 長 の 陳 武 元 教 授 が お 仕 事 のお 忙 しい 中 で インタビューに 忚 じてくださったこと また 貴 重 な 資 料 データを 提 供 してく ださったことに 深 く 感 謝 申 し 上 げます 105

108 4 章 北 京 大 学 の 国 際 連 携 教 育 プログラム 1. 概 要 北 京 大 学 は 1898 年 に 政 府 によって 創 立 され 111 年 の 歴 史 を 有 している 総 合 大 学 である 現 在 人 文 学 部 社 会 科 学 部 理 学 部 情 報 工 学 部 医 学 部 の5つの 学 部 と 41 の 学 院 104 の 学 士 課 程 プログラム 256 の 修 士 課 程 プログラム 228 の 博 士 課 程 プログラムがある 北 京 大 学 は 伝 統 的 基 礎 科 学 をリードすると 同 時 に 近 年 忚 用 科 学 の 領 域 及 び 学 際 的 領 域 においても 重 大 な 発 展 を 遂 げてきた 教 育 と 研 究 の 両 面 で 近 年 顕 著 な 成 果 を 収 めてお り イギリスのタイムズ 誌 増 刊 の 世 界 大 学 のランキング 評 価 において 高 い 地 位 を 占 める ようになった 2007 年 10 月 の 統 計 では 北 京 大 学 の 学 生 数 は 学 部 生 が 14,125 人 修 士 学 生 が 11,224 人 博 士 学 生 が 5,442 人 となっている また 80 ヶ 国 から 4000 人 の 長 期 と 短 期 の 外 国 人 学 生 が 来 ており そのうち 1,757 人 は 学 位 を 取 得 する 目 的 で 留 学 している この 約 35,000 人 の 学 生 に 対 して 5,513 人 の 専 任 教 員 がいる(うち 教 授 1,488 人 准 教 授 1,889 人 中 国 科 学 院 士 52 人 工 程 院 士 7 人 ) 外 国 からも 毎 年 300 人 を 超 える 専 門 家 や 学 者 が 来 訪 し 講 演 や 学 術 交 流 などを 行 っている 北 京 大 学 は 12 の 国 家 重 点 实 験 审 46 の 省 と 官 庁 の 重 点 实 験 审 2 つの 国 家 工 程 研 究 セン ター 及 び 8 の 付 属 病 院 を 有 している またアジアの 大 学 でも 最 も 規 模 大 きい 図 書 館 であり 600 万 冊 の 蔵 書 22.4 万 冊 の 電 子 図 書 6,500 種 類 の 中 文 と 外 国 の 雑 誌 新 聞 を 備 えている 北 京 大 学 は 外 国 の 大 学 や 研 究 機 構 国 際 企 業 との 交 流 と 協 力 を 重 要 視 しており APRU (Association of Pacific Rim Universities 環 太 平 洋 大 学 協 会 ) IARU(International Alliance of Research Universities 研 究 大 学 の 国 際 連 合 ) などの 世 界 的 な 大 学 連 盟 組 織 に 積 極 的 に 参 加 している 現 在 50 カ 国 の 220 の 大 学 と 大 学 間 の 交 流 協 定 を 結 び 学 生 の 連 携 養 成 学 者 の 交 換 などにおいて 顕 著 な 实 績 と 進 展 を 遂 げており 国 際 化 は 北 京 大 学 の 一 流 大 学 建 設 の 重 点 戦 略 となっている 以 下 では 北 京 大 学 で 实 施 されている 大 学 間 の 主 要 な 国 際 連 携 教 育 プログラム 及 び 重 要 な 国 際 交 流 活 動 を 整 理 し その 内 容 と 特 徴 を 考 察 してみる 北 京 大 学 には 国 際 合 作 部 が 設 置 されており その 部 長 は 学 長 補 佐 も 担 当 し 学 長 の 直 接 管 理 下 に 置 かれている 外 国 の 大 学 との 研 究 教 育 交 流 教 員 と 学 生 の 外 国 への 派 遣 及 106

109 び 外 国 人 の 留 学 生 学 者 の 受 け 入 れを 所 管 しているが 下 記 に 紹 介 する 連 携 教 育 プログラ ムのすべては 国 際 合 作 部 の 所 轄 となっている 2. 学 生 の 海 外 学 習 プログラム(Education Abroad Program) EAP プログラムは ダブル 教 育 環 境 の 中 で 学 生 が 国 際 的 視 野 を 形 成 するために 短 期 海 外 学 習 の 機 会 を 提 供 するものである 学 生 の 交 換 が 主 な 形 式 であり 学 習 の 基 礎 段 階 か ら 海 外 での 学 習 を 経 験 することによって 国 際 化 人 材 の 養 成 メカニズムを 形 成 する 学 部 学 生 の 交 流 プログラムは 主 に 表 1にあげた 大 学 で 1 学 年 または1 学 期 在 学 するプログラム である 表 1 学 部 生 の 海 外 交 流 プログラム( 短 期 訪 問 を 含 まない)30 校 国 家 地 区 交 流 対 象 大 学 期 間 日 本 東 京 大 学 1 学 年 シンガポール シンガポール 国 立 大 学 1 学 期 オーストラリア ブリスベン 大 学 1 学 期 スウェーデン Uppsaia University 1 学 期 香 港 香 港 大 学 1 学 期 香 港 香 港 科 学 技 術 大 学 1 学 期 カナダ ヨーク 大 学 1 学 期 日 本 早 稲 田 大 学 1 学 年 ドイツ Bayreuth University 1 学 年 アメリカ メロン 学 院 1 学 期 デンマーク 社 会 科 学 学 院 1 学 期 台 湾 新 竹 清 華 大 学 1 学 期 ドイツ ベルリン 自 由 大 学 1 学 年 スウェーデン ローヤル 工 学 院 1 学 期 スウェーデン Lund Universty 1 学 年 スイス ラウサンネ 大 学 1 学 年 フランス パリ 政 治 学 院 1 学 期 107

110 イギリス ケンブリッジ 大 学 1 学 年 オランダ Leiden 大 学 1 学 年 オーストリア ウイーン 経 済 管 理 学 院 1 学 年 ペルー ペルーカトリック 大 学 1 学 期 オーストラリア シドニー 大 学 1 学 期 オーストラリア ニューソースウエ ルズ 大 学 1 学 期 オーストラリア オーストリア 国 立 大 学 1 学 期 チリ チリカトリック 大 学 1 学 期 オランダ アムステルダム 大 学 1 学 期 フランス パリ 高 等 師 範 学 院 10 ヶ 月 デンマーク コペンハーゲン 10 ヶ 月 ドイツ ミューヘン 大 学 1 学 年 資 料 出 所 : 北 京 大 学 国 際 合 作 重 点 プロジェクト 概 覧 北 京 大 学 は 学 術 研 究 の 重 鎮 であり 一 流 の 総 合 研 究 大 学 建 設 は 中 国 の 高 等 教 育 における 重 要 な 政 策 課 題 となっている 2007 年 に 高 水 準 大 学 を 建 設 するための 公 費 による 大 学 院 生 の 海 外 派 遣 プロジェクト が 政 府 によって 打 ち 出 され 国 際 視 野 を 持 つ 創 造 的 人 材 の 養 成 大 学 の 学 科 建 設 のために 北 京 大 学 は 2007 年 から 2011 年 まで 毎 年 300 名 の 大 学 院 生 を 海 外 の 一 流 大 学 に 派 遣 し 連 携 養 成 を 行 う 計 画 を 設 定 した 専 門 分 野 はエネルギー 資 源 環 境 農 業 製 造 業 情 報 生 命 宇 宙 空 間 海 洋 ナノ 技 術 および 新 材 料 などの 領 域 及 び 人 文 忚 用 社 会 科 学 などである 下 記 の 表 2 で 示 したのは 北 京 大 学 が 大 学 院 レベ ルの 交 流 プログラムをもつ 21 の 海 外 の 大 学 リストである 表 2 大 学 院 生 の 海 外 交 流 プログラム( 短 期 訪 問 を 含 まない)21 校 国 家 地 区 交 流 対 象 大 学 期 間 イギリス エジンバラ 大 学 1 学 年 ドイツ The University of Freiburg 1 学 年 108

111 フィーランド ヘルシンキ 大 学 1 学 年 オランダ Leiden University 1 学 年 スイス Lausanne 科 学 技 術 大 学 1 学 年 ロシア モスコワ 国 立 大 学 1 学 年 スイス ジュネーブ 大 学 1 学 年 スウェーデン ストックホルム 大 学 1 学 年 ドイツ Tubingen University 1 学 年 スウェーデン Uppsala University 1 学 期 ドイツ University Bayreuth 1 学 年 ドイツ ベルリン 自 由 大 学 1 学 年 スウェーデン ロイヤル 工 科 大 学 1 学 期 スウェーデン Lund University 1 学 年 スイス University of Lausanne 1 学 年 オーストリア ウイーン 経 済 管 理 学 院 1 学 年 オランダ アムステルダム 大 学 10 ヶ 月 フランス パリ 高 等 師 範 学 院 10 ヶ 月 デンマーク コペンハーゲン 大 学 10 ヶ 月 ドイツ ミューヘン 大 学 1 学 年 アメリカ エール 大 学 1 学 期 資 料 出 所 : 北 京 大 学 国 際 合 作 重 点 プロジェクト 概 覧 3. 連 携 教 育 プログラムの 事 例 北 京 大 学 の 国 際 協 力 と 交 流 は 多 方 面 で 展 開 され 国 際 連 携 教 育 も 学 生 の 海 外 への 派 遣 と 海 外 の 学 生 の 受 け 入 れを 中 心 に 学 位 取 得 プログラムから 中 国 語 研 修 大 学 の 分 校 の 設 置 サマースクール 運 営 学 生 国 際 会 議 学 術 フォーラムの 開 催 国 際 文 化 祭 の 主 催 など 盛 んに 行 われている 学 生 に 国 際 視 野 の 養 成 と 海 外 で 学 習 する 機 会 を 提 供 するために 海 外 の 大 学 と 50 以 上 の 連 携 教 育 交 流 プログラムを 結 び アジア ヨーロッパ 北 アメリカ 豪 州 の 知 名 な 200 以 上 の 大 学 に 学 部 生 と 大 学 院 生 を 短 期 留 学 させている 以 下 では その 主 なものを 紹 介 する 109

112 1 北 京 大 とハーバード 学 生 交 流 キャンプ 北 京 大 学 とハーバード 学 生 交 流 キャンプは 北 京 大 学 の 学 生 国 際 交 流 協 会 とハーバ ード 学 院 アジアプロジェクトの 共 同 運 営 プログラムである ハーバード 及 び 全 米 の 学 生 の アジア 認 識 及 び 中 国 の 学 生 のアメリカ 認 識 を 促 進 する 目 的 で 企 画 され アメリカと 中 国 における 学 生 会 議 の 開 催 などの 交 流 活 動 によって 両 国 の 学 生 の 交 流 プラットフォームを 構 築 することが 狙 いである 2 北 京 大 とミシガン 大 学 学 院 北 京 大 学 がミシガン 大 学 との 共 同 で 北 京 大 学 に 設 置 した 学 院 である 世 界 の 著 名 な 大 学 として 知 識 の 創 造 と 伝 達 を 使 命 とし 両 大 学 の 学 部 生 大 学 院 生 教 職 員 に 学 術 プロジ ェクトとコースを 公 開 する サマースクールを 修 了 した 時 には 学 生 が 学 院 から 修 了 証 書 をもらう 現 在 では 社 会 調 査 定 量 社 会 科 学 社 会 理 論 及 び 中 国 学 の 研 究 コースを 設 け ている 3 北 京 大 エール 大 学 の 学 部 生 連 携 養 成 プログラム 両 大 学 の 長 期 的 頻 繁 な 交 流 を 踏 まえ 中 国 と 米 国 の 大 学 協 力 の 試 みとして 大 学 当 局 の 支 持 と 重 視 のもとで 2006 年 9 月 にスタートしたプログラムである 学 生 が 共 同 居 住 する 生 活 環 境 を 通 して 相 互 理 解 と 相 互 学 習 の 機 会 を 得 て 多 文 化 理 解 と 交 流 国 際 視 野 の 養 成 を 促 進 する プログラムは 毎 年 春 学 期 と 秋 学 期 の 両 方 で 行 い 3 年 間 ( ) 試 行 運 営 する 具 体 的 には 毎 年 それぞれの 大 学 の 2 年 生 から 4 年 生 の 学 生 の 中 から 20 人 を 選 抜 し 北 京 大 学 の 42 楼 で 共 同 生 活 し 両 大 学 の 優 秀 な 教 員 が 特 定 のコースを 開 講 する 北 京 大 学 とエール 大 学 はそれぞれ 5 つの 指 定 コースを 設 けており 両 大 学 の 学 生 が 連 携 教 育 プ ログラムの 指 定 科 目 の 幾 つかを 一 緒 に 受 講 する 学 生 はまた 連 携 プログラムが 企 画 した 特 別 活 動 やシリーズ 講 座 にも 参 加 している 4 北 京 大 エール 大 学 の 大 学 院 生 連 携 養 成 プログラム グローバルな 国 際 協 力 教 育 の 多 元 化 に 対 忚 するため 北 京 大 とエール 大 が 大 学 院 レベル の 交 流 プロジェクトを 2005 年 からスタートし 3 年 間 試 行 運 営 する まずお 互 いの 強 みを 協 力 する 学 術 分 野 とする たとえば 中 国 史 アメリカ ヨーロッパ 史 が お 互 いに 補 強 110

113 する 分 野 となる 派 遣 する 大 学 院 生 は 語 学 能 力 を 備 えていなければならず 期 間 は 1 学 期 とするが 優 秀 な 学 生 は 1 学 年 まで 延 長 できる 毎 年 1-3 名 の 大 学 院 生 を 相 互 に 派 遣 し お 互 いの 学 生 に 学 費 免 除 と 住 居 の 提 供 また 1 学 期 に 4,000 ドルの 生 活 費 を 支 給 すること となる 5 北 京 大 早 稲 田 大 学 の 学 部 生 大 学 院 生 連 携 養 成 プログラム 2004 年 にスタートしたプログラムであり 毎 年 3 年 生 の 学 部 生 を 1 年 間 お 互 いの 大 学 に 留 学 させ 卒 業 時 は 両 方 の 大 学 の 学 位 を 取 得 することができる このプログラムは 最 初 北 京 大 学 国 際 関 係 学 院 と 早 稲 田 大 学 の 国 際 教 養 部 の 間 で 行 われたが 近 年 他 の 学 院 にも 及 び 2009 年 9 月 から 早 稲 田 大 学 経 済 学 系 も 北 京 大 学 の 学 生 を 受 け 入 れるようになり 学 生 が 北 京 大 と 早 稲 田 の 両 方 でダブル 学 位 を 取 得 していく 6 北 京 大 モスクワ 大 学 連 合 大 学 院 プログラム 中 国 とロシアの 戦 略 的 パートナーシップ 及 び 両 大 学 の 長 い 友 好 関 係 に 基 づき また 教 育 部 の 支 持 を 受 け 2003 年 に 北 京 大 学 モスクワ 大 学 連 合 大 学 院 プロジェクトが 発 足 した 北 京 大 学 とモスクワ 大 学 の 双 方 が 毎 年 20 人 の 大 学 院 生 を 交 換 し 相 手 校 の 学 生 に 学 費 住 居 費 を 支 払 い 経 済 的 援 助 を 提 供 する 2006 年 までに 北 京 大 学 はモスクワ 大 学 に 20 名 の 博 士 課 程 の 学 生 を 送 り モスクワから 20 名 の 学 生 を 受 け 入 れている 7 北 京 大 ケンブリッジ 大 学 の 現 代 中 国 研 究 修 士 (MPhil)プログラム 2001 年 に 両 大 学 は 現 代 中 国 研 究 の 修 士 連 合 養 成 プログラムの 創 設 に 関 する 協 議 書 を 正 式 に 調 印 した ケンブリッジ 大 学 の 学 生 が 母 校 で 1 学 期 の 学 習 を 終 えた 後 北 京 大 学 で 1 年 間 学 習 し ケンブリッジ 大 学 に 戻 って 論 文 を 完 成 し 修 士 学 位 を 取 得 する 今 まで 45 人 のケンブリッジの 修 士 学 生 がこの 現 代 中 国 研 究 プログラムに 参 加 した プログラムは 9 ヶ 月 間 で 4 月 の 初 めから 12 月 の 中 旪 までの 春 季 と 秋 の 2 学 期 とし 期 間 は 24 週 間 とする 学 習 内 容 は 現 代 中 国 語 新 聞 購 読 英 中 文 章 翻 訳 ヒアリングといった 中 国 語 関 連 科 目 と 経 済 学 中 国 政 治 中 国 法 律 中 国 商 業 管 理 などの 専 門 課 程 とする 専 門 コースは 北 京 大 学 の 教 授 が 英 語 で 教 えることとする 授 業 以 外 に 卒 業 論 文 のテーマ 策 定 と 資 料 収 集 修 士 論 文 初 稿 の 執 筆 がある 北 京 大 学 国 際 合 作 部 は 指 導 教 授 の 委 託 助 教 または 関 係 学 院 111

114 の 博 士 課 程 の 学 生 をチューターとして 派 遣 し ケンブリッジ 大 の 学 生 の 論 文 の 作 成 のため に 良 好 な 環 境 条 件 を 作 り 上 げている 観 光 と 社 会 实 践 もプログラムに 含 まれている 北 京 市 内 及 び 周 辺 名 勝 古 跡 の 観 光 天 安 門 故 宮 天 壇 万 里 の 長 城 瑠 璃 場 藩 家 園 などの 見 学 京 劇 雑 技 武 術 の 鑑 賞 及 び 中 国 の 書 道 切 り 紙 の 研 修 中 国 人 家 庭 の 訪 問 文 化 講 座 への 参 加 承 徳 など 社 会 实 践 を 通 して 中 国 の 発 展 と 変 化 を 理 解 し 論 文 のテーマ 設 定 のヒントを 作 る 8 北 京 大 单 洋 理 工 大 学 中 国 学 連 携 プログラム 北 京 大 学 とシンガポール 单 洋 理 工 大 学 の 長 期 にわたる 協 力 関 係 から 生 まれた 中 国 学 プロジェクトは 両 大 学 学 長 の 積 極 的 な 推 進 の 下 で 2005 年 にスタートした 中 国 学 は 单 洋 理 工 大 学 の グローバル 教 育 計 画 の 重 要 な 部 分 となっており 鉄 の 三 角 の 戦 略 枞 組 み ( 北 京 大 学 单 洋 理 工 大 学 エール 大 学 )の 重 要 なステップとなっている 3つの 大 学 の 学 生 が 多 国 間 多 角 の 視 点 で 異 なる 空 間 と 地 域 で 共 同 学 習 と 協 力 を 行 う 学 習 時 間 は 1 学 期 で 春 の 2 月 下 旪 から 6 月 下 旪 まで または 秋 の 8 月 中 旪 から 12 月 中 旪 までとする カリキュラムは 中 国 語 中 国 文 化 と 古 典 文 学 概 論 文 化 交 流 と 現 代 中 国 文 学 及 び 近 代 中 国 概 論 及 び 歴 史 政 治 経 済 の3つの 専 門 コースを 提 供 している 現 在 このプログラムはシンガポールの 单 洋 理 工 大 学 に 開 放 しているが 他 の 忚 募 者 は 单 洋 理 工 大 学 のグロバール 教 育 計 画 弁 公 审 のウエブサイトにアクセスして 申 請 資 格 と 申 請 方 法 を 閲 覧 し 申 請 できる 中 国 学 コースでは 観 光 と 社 会 实 践 もプログラムに 含 まれている 北 京 市 内 及 び 周 辺 名 勝 古 跡 の 観 光 天 安 門 故 宮 天 壇 万 里 の 長 城 瑠 璃 場 藩 家 園 などの 見 学 京 劇 雑 技 武 術 の 鑑 賞 また 毎 週 一 定 の 時 間 を 使 って 北 京 駐 在 の 外 資 企 業 ( 中 関 村 科 学 技 術 園 のIT 企 業 や 経 済 開 発 区 のコカコーラ 社 など)でインターンを 行 うことが 計 画 に 入 ってい る 9スタンフォード 大 学 北 京 大 学 分 校 プロジェクト 本 プロジェクトは 北 京 大 とスタンフォード 大 学 の 長 期 な 協 力 関 係 に 基 づいて 2004 年 9 月 からスタートし 200 人 のスタンフォードと 北 京 大 学 の 学 生 の 参 加 があった 学 習 期 間 はスタンフォードの Quarter 制 をとり 春 の 4 月 から 6 月 まで または 秋 の 9 112

115 月 から 12 月 までとし 1Quarter は 12 週 間 とする 学 習 内 容 は 中 国 語 課 程 と 専 門 課 程 があり 中 国 語 は 小 人 数 クラスで 北 京 大 学 対 外 中 国 語 教 育 学 院 の 先 生 が 教 授 する 専 門 の 授 業 は 北 京 大 学 とスタンフォード 大 学 の 著 名 な 教 授 によって 英 語 で 行 われる 毎 学 期 4-5 のコースがあり 内 容 は 歴 史 と 現 代 中 国 にフォーカ スしており 歴 史 哲 学 政 治 経 済 法 律 社 会 環 境 及 び 科 学 技 術 史 などである ここ で 取 得 した 卖 位 は 両 方 の 大 学 で 認 定 されている 本 プロジェクトは 観 光 と 社 会 实 践 も 含 まれている 北 京 市 内 及 び 周 辺 名 勝 古 跡 の 観 光 天 安 門 故 宮 天 壇 万 里 の 長 城 瑠 璃 場 藩 家 園 などの 見 学 京 劇 雑 技 武 術 の 鑑 賞 及 び 太 極 拳 中 国 の 書 道 中 国 の 絵 中 国 料 理 などの 文 化 体 験 コースも 用 意 されている さらに 休 暇 を 利 用 して 上 海 杭 州 雲 单 新 疆 などで 实 地 調 査 を 行 い 中 国 の 風 土 人 情 及 び 社 会 の 変 遷 を 理 解 する 10スタンフォード 中 米 学 生 会 議 プロジェクト(FACES) Forum for American/Chinese Exchange at Stanford (FACES)は 2001 年 秋 に 創 立 さ れた 学 生 組 織 である 本 部 はスタンフォードにあり フォーラムを 企 画 開 催 することに よって 中 国 とアメリカ 両 国 の 未 来 のリーダーの 友 誼 と 理 解 を 深 めることを 狙 いとする 第 1 回 目 の FACES スタンフォード 会 議 は 2003 年 にスタンフォードで 行 われ 30 人 のエ リート 学 生 の 参 加 があった 2005 年 には FACES 北 京 分 会 が 北 京 に 設 立 され 両 大 学 の 学 生 間 の 往 来 を 強 化 することを 推 進 している 上 記 以 外 に 北 京 大 スタンフォード 大 学 の 夏 季 高 級 中 国 語 研 修 プログラム 北 京 大 学 コロンビア 大 学 の 夏 季 中 国 語 研 修 プログラム 北 京 大 学 McGill 大 学 の 夏 季 中 国 語 研 修 プログラム 北 京 大 学 オックスフォード 大 学 の 高 級 中 国 語 研 修 プログラム 北 京 大 学 アメリカ 国 際 教 育 交 流 協 会 の 中 国 語 研 修 プログラム 北 京 大 学 と 英 国 外 交 部 の 専 門 中 国 語 訓 練 プログラム 中 国 オーストリアのサマースクール さらに 学 部 生 修 士 予 科 留 学 生 研 究 学 者 普 通 研 修 生 高 級 研 修 生 のプログラムを 世 界 各 国 の 若 者 に 開 放 している 4. 北 京 大 の 外 国 人 留 学 生 の 学 習 環 境 中 国 の 大 学 は 基 本 的 に 全 寮 制 をとっており 学 生 がキャンパスの 中 に 居 住 している 留 学 生 寮 も 一 般 的 にキャンパスの 中 か キャンパスの 周 辺 に 建 築 されている 中 国 の 経 済 成 113

116 長 が 持 続 する 中 で 留 学 生 の 規 模 が 大 きく 拡 大 し 学 歴 を 取 得 する 目 的 で 留 学 してきてい 留 学 生 と 短 期 留 学 生 の 両 方 の 数 を 合 わせると 2002 年 では 1.6 万 人 であったものが 2007 年 では 19 万 人 となっている(データ 出 所 2007 年 来 華 留 学 生 簡 明 統 計 分 析 教 育 部 国 際 合 作 司 編 ) 中 国 経 済 の 市 場 化 の 進 展 に 伴 って 高 等 教 育 にも 市 場 メカニズムが 浸 透 し 国 内 国 外 の 学 生 受 け 入 れは 大 学 経 営 の 1 つの 重 要 な 側 面 となると 同 時 に 重 要 な 収 入 源 となっている 国 際 学 術 研 究 教 育 を 推 進 することは 効 果 的 な 大 学 経 営 につながり 北 京 大 学 の 学 部 留 学 生 忚 募 情 報 から 以 下 のことが 読 み 取 れる 学 習 期 限 :4-6 年 学 位 :カリキュラムの 教 育 内 容 を 完 成 し 卒 論 の 執 筆 と 答 弁 に 合 格 した 者 が 卒 業 証 書 を 取 得 する また 学 士 学 位 の 規 定 に 符 合 する 者 は 学 位 証 書 を 取 得 できる 申 請 資 格 :18-30 歳 身 体 健 康 全 日 制 高 校 卒 業 学 歴 を 有 する 者 中 国 籍 以 外 の 国 籍 の 所 持 者 試 験 : 筆 記 試 験 と 面 接 の 両 方 を 行 う 受 験 科 目 : 国 語 数 学 英 語 ( 物 理 化 学 生 物 学 関 連 の 受 験 者 は 他 の 関 連 科 目 を 受 ける) 選 考 費 用 :800 元 学 費 基 準 : 理 系 は 30,000 元 文 系 は 26,000 元 宿 舎 費 :20000 元 ちなみに 大 学 院 生 の 学 費 はこれより 高 額 となる 修 士 の 場 合 : 理 系 33,000 元 文 系 29,000 元 博 士 の 場 合 : 理 系 40,000 元 文 系 32,000 元 普 通 研 修 生 高 級 研 修 生 の 学 費 は 学 位 取 得 プログラムとほぼ 同 じ 学 費 レベルにある 留 学 生 の 学 費 宿 泊 費 は 通 常 の 中 国 人 学 生 (4,500 元 )より 高 く その 5-10 倍 のレベル にある この 収 入 は 国 際 教 育 交 流 の 財 的 基 盤 となると 同 時 に 大 学 の 経 営 の 増 収 にも 繋 が る 5. 国 際 連 携 教 育 の 展 望 と 課 題 現 在 北 京 大 学 が 受 け 入 れた 留 学 生 の 90% 以 上 は 社 会 科 学 領 域 の 学 生 である また 韓 国 日 本 アメリカ 等 からの 学 生 が 大 きな 割 合 を 占 めている 今 後 理 工 学 の 学 生 数 の 拡 大 英 114

117 語 による 授 業 科 目 の 増 大 が 重 要 視 されると 同 時 に 環 境 気 候 資 源 などの 先 端 領 域 の 開 拓 国 際 的 な 人 材 育 成 素 質 の 高 いリーダーシップ 人 材 の 養 成 が 課 題 となる 北 京 大 学 の 国 際 連 携 教 育 は 主 に 2 カ 国 間 で 行 われ 多 国 間 のプログラムはあまり 行 われ ていない その 原 因 について 学 長 補 佐 の 国 際 合 作 部 部 長 の 話 によると 多 国 間 プログラ ムの 調 整 には 高 いコストがかかるだけではなく 時 間 もがかかるので 多 言 語 の 障 壁 ま た 学 制 学 期 の 長 短 と 時 期 学 習 時 間 と 学 習 の 卖 位 との 関 係 卖 位 認 可 などの 一 連 の 問 題 をクリアする 必 要 がある しかし このような 課 題 の 中 でも 北 京 大 早 稲 田 大 米 国 の 大 学 韓 国 の 大 学 といっ た 多 国 間 のプログラムの 試 みが 2007 年 からスタートした 各 国 の 差 異 とその 強 み 伝 統 と 特 色 のシェアリングはひとつの 国 際 交 流 の 重 要 な 形 態 となっていくであろう 北 京 大 学 は 中 国 のトップの 大 学 として その 国 際 競 争 力 の 強 化 のために 政 府 が 一 連 の 財 政 的 傾 斜 政 策 を 取 っている 985 計 画 (98 年 5 月 に 北 京 大 学 の 100 年 式 典 において 江 沢 民 前 主 席 によって 提 唱 された 世 界 一 流 大 学 建 設 計 画 )の 实 施 によって 1999 年 から 北 京 大 学 と 清 華 大 学 に 毎 年 6 億 元 の 特 別 費 用 が 注 入 され 施 設 設 備 と 教 員 待 遇 の 向 上 教 育 研 究 環 境 の 整 備 などに 特 別 支 援 がなされている その 建 設 の 第 1 期 工 程 ( ) 第 2 期 工 程 ( 年 )の 基 盤 整 備 によって 大 学 の 教 育 研 究 レベルは 飛 躍 的 な 発 展 を 遂 げ イギリスのタイムズ 誌 増 刊 の 世 界 大 学 のランキング 評 価 においても 15 位 (2006 年 )という 高 い 評 価 を 受 けるようになった この 評 価 の 指 標 となるのは 留 学 生 の 比 率 と 外 国 籍 の 教 員 の 比 率 などである 2008 年 以 降 の 世 界 的 な 金 融 危 機 の 中 でも 中 国 の 経 済 は 持 続 的 な 成 長 が 予 測 される 中 で 一 流 大 学 建 設 は 依 然 として 急 ピッチで 進 められている 一 流 の 学 科 建 設 一 流 の 人 材 の 確 保 と 養 成 一 流 の 教 育 研 究 環 境 の 整 備 の 課 題 は 大 学 に 国 際 交 流 の 好 機 をもたらしている しかし 中 国 経 済 成 長 の 過 程 で 貧 富 の 格 差 の 拡 大 文 化 道 徳 の 退 廃 が 見 られたように 中 国 の 大 学 もいろいろな 問 題 を 抱 えている 2009 年 3 月 20 日 に 教 育 部 が 高 等 教 育 機 関 の 学 術 腐 敗 を 厳 重 に 処 理 する 通 知 を 打 ち 出 して 高 等 教 育 機 関 が 学 術 腐 敗 を 調 査 処 理 する 直 接 な 責 任 をもつことが 強 調 された グローバル 教 育 研 究 の 競 争 が 激 化 する 中 教 育 研 究 の 質 保 障 が 重 要 な 課 題 となっている これからの 国 際 連 携 教 育 交 流 において 質 的 保 証 と 質 の 向 上 を 推 進 させることが その 成 功 のキーポイントとなると 思 われる 115

118 謝 辞 : 本 文 の 執 筆 に 当 たって 北 京 大 学 国 際 合 作 部 の 李 岩 松 部 長 がお 忙 しい 中 で インタ ビューに 忚 じてくださったことに 深 く 感 謝 いたします また 李 部 長 からいただいた 貴 重 な 資 料 に 基 づいて 執 筆 したものであった 116

119 5 章 高 麗 大 学 延 世 大 学 の 大 学 間 連 携 韓 国 の 事 例 1.はじめに 日 本 と 同 じく 教 育 における 国 際 化 (globalization of education)という 現 象 は 韓 国 においても 例 外 ではない むしろ その 現 象 が 最 も 著 しい 社 会 かもしれない 韓 国 の 各 大 学 は まるで 争 うかのように 1990 年 代 半 ばから 教 育 の 国 際 化 に 積 極 的 に 取 り 組 んで きている たとえば 国 際 交 流 業 務 を 担 う 関 連 部 署 の 新 設 拡 大 はもちろん 海 外 大 学 と の 学 術 交 流 協 定 国 際 大 学 院 という 専 門 大 学 院 の 設 立 などに 代 表 されるこれらの 動 きは 韓 国 の 高 等 教 育 における 一 種 の ブーム ともなったほどである 一 方 近 来 では アメ リカを 中 心 とする 欧 米 大 学 との 交 流 一 辺 倒 から 脱 皮 し(その 傾 向 はいまだに 根 強 く 残 って はいるのだが) 韓 国 の 大 学 は 地 理 的 に 近 いアジア 地 域 の 大 学 間 交 流 の 重 要 性 を 自 覚 し 始 めており 域 内 を 視 野 に 入 れた 教 育 における 地 域 化 (regionalization of education)に 関 するさまざまな 取 り 組 みを 展 開 している こういった 意 味 では 韓 国 における 教 育 の 国 際 化 もしくは 教 育 の 地 域 化 はある 程 度 その 成 果 を 出 しつつあるといえよう しか し その 成 果 というのは 量 的 な 面 に 偏 り 中 身 のある 实 質 的 な 大 学 間 交 流 はそれ 程 進 めら れておらず まさにその 質 の 問 題 が 問 われる 時 期 に 来 ているというのが 筆 者 の 厳 し い 現 状 認 識 である この 質 への 疑 問 を 確 かめるため 本 報 告 書 では 標 記 の アジアにおける 地 域 ( 大 学 間 ) 連 携 教 育 に 焦 点 を 絞 り それと 関 連 する 国 際 教 育 事 業 を 行 っている 高 麗 大 学 と 延 世 大 学 をその 事 例 として 取 り 上 げることとする 韓 国 の 早 慶 とも 言 われる 両 大 学 を 選 ん だのは この 両 大 学 は 国 立 のソウル 大 学 とともに 韓 国 の 高 等 教 育 における 最 も 影 響 力 を 持 つ 私 立 名 門 であるし 両 大 学 の 推 進 している 地 域 連 携 プログラムの 把 握 は 韓 国 社 会 の 高 等 教 育 の 国 際 化 における 質 を 測 れるバロメータになるからである 具 体 的 には 高 麗 大 学 の 場 合 は 復 但 大 学 およびシンガポール 国 立 大 学 と 連 携 する S 3 Asia MBA プログラム を 延 世 大 学 の 場 合 は 慶 應 義 塾 大 学 および 香 港 大 学 と 共 催 する 3 Campus Comparative East Asian Studies プログラムを 中 心 に その 仕 組 みと 中 身 の 实 態 を 明 らかにする 117

120 2. 高 麗 大 学 の 場 合 S 3 Asia MBA S 3 Asia MBA は 高 麗 大 学 経 営 大 学 院 (KUBS, Korea University Business School) シンガポール 国 立 大 学 経 営 大 学 院 (NUS Business School, National University of Singapore) 復 旦 大 学 経 営 大 学 院 (School of Management, Fudan University)の 3 大 学 連 携 による 経 営 学 修 士 学 位 (MBA)の 取 得 プログラムである 拠 点 となる 幹 事 校 は 高 麗 大 学 である まず 同 プログラムを 知 るためには その 発 足 趣 旨 が 非 常 によく 込 められているプログ ラム タイトルを 理 解 することが 前 提 になるだろう そのタイトルには アジアにお ける 名 門 3 大 学 3 経 営 大 学 院 が 協 働 連 携 をし アジア 経 営 学 を 先 導 する という 意 味 が 含 まれている 経 営 学 大 学 院 が 主 導 するだけであって 同 プログラムに 駆 使 されている マーケティング 戦 略 の 卓 越 性 に 驚 かざるを 得 ない S 3 Asia MBA の 中 の S 3 は 各 大 学 が 位 置 する Seoul(ソウル) Singapore(シンガポール) Shanghai( 上 海 )の 3 都 市 名 の 英 語 イニシャルから 取 ったものである それぞれの 都 市 名 のイニシャルがすべて S で 始 まるのは 偶 然 の 一 致 であるが その 点 を 見 逃 さずに 必 然 的 なもの へ 繋 げ ていくそのマーケティング 能 力 は 極 めて 高 いものである 管 理 と 規 律 をより 強 調 する 国 家 名 ではなく 都 市 名 を 用 いることによって 同 プログラムには 自 律 性 と 地... 域 性 と 文 化 性 というイメージと 性 格 が 自 然 に 与 えられていると 考 える 国 家 に 属 し... ながらも 国 家 を 超 える=トランスナショナルなプログラムを 志 す高 度 な 戦 略 であろう この S と 3 は 都 市 名 のみならず 他 の 多 様 で 魅 力 的 な 英 語 イニシャルを 組 み 合 わ せ 同 プログラムの 特 徴 と 利 点 を 分 かりやすく 示 している たとえば 以 下 の< 図 >のよ うに The S 3 Asia MBA Experience では 3Semesters 3Cities 3Achievements を The S 3 Asia MBA People では Strong Superb Significant を The S 3 Asia MBA Engine においては State-of-the art Supportive Scientific をそれぞれ 組 み 合 わせている これらの 表 現 を 見 る 人 々は 同 プログラムの 詳 細 内 容 を 知 らなくても こう した 簡 潔 で 印 象 的 なイメージとデザインに 惹 かれて ぜひ 一 度 入 学 してみたい という 気 持 ちになるのに 十 分 な 魅 力 を 同 プログラムは 有 しているのである 118

121 < 図 > S 3 Asia MBA プログラムの 概 念 Shanghai Seoul Singapore =S 3 3Semesters 3Cities 3Achievements =S 3 S 3 Asia MBA Strong Superb Significant =S 3 State-of-the art Supportive Scientific =S 3 ( 筆 者 作 図 ) それでは ここでは 同 プログラムの 詳 細 内 容 を 概 観 してみよう まず 入 学 につい てである 同 プログラムでは 3 大 学 からの 共 同 運 営 委 員 会 が 組 織 されており 必 要 に 忚 じ て 随 時 開 催 されているという この 委 員 会 が 決 めた 入 学 基 準 に 基 づきつつも 各 大 学 の 学 則 や 独 自 性 も 最 大 限 尊 重 している たとえば 高 麗 大 学 とシンガポール 国 立 大 学 に 入 学 す る 学 生 は 2 年 復 旦 大 学 に 入 学 したい 人 々は 3 年 以 上 の 職 歴 が 必 要 である( 復 旦 大 学 から 学 位 をもらうためには 論 文 提 出 も 要 される) 入 学 選 考 は 同 プログラムの 質 と 直 結 す る 問 題 であるだけに 3 大 学 共 に 優 秀 な 学 生 の 確 保 に 最 善 を 尽 くしている ( 同 プログラム は 2005 年 の 構 想 段 階 から 一 定 の 準 備 期 間 を 経 て)2008 年 4 月 にようやく 第 1 期 生 の 入 学 が 始 まったが 3 大 学 それぞれの 入 学 定 員 は 60~70 人 にもかかわらず 实 際 には 各 々20 人 程 度 しか 合 格 させていない その 入 学 条 件 がどれほど 厳 格 であるかが 容 易 に 窺 える これ ら 約 60 名 の 第 1 期 生 はほとんど TOEIC 点 数 850 点 以 上 で(ちなみに 同 プログラムは 入 学 から 修 了 までのすべてが 英 語 で 行 われる) 豊 富 なバックグラウンドを 持 った 優 秀 な 人 材 であるという このように 厳 選 された 学 生 側 も 第 1 期 生 としての 自 負 心 と 責 任 感 を 強 く 感 じているようである 大 学 でなく 学 生 自 らがプログラムの 質 保 証 を 意 識 す 119

122 る 形 である この 流 れは 次 の 第 2 第 3 期 生 の 募 集 にも 影 響 していくという 考 えを 関 係 者 の 皆 が 常 に 認 識 しているのである 入 学 と 関 連 して もう 一 つ 特 記 すべきことは 比 較 的 多 数 の 学 生 が 最 初 の 入 学 段 階 から 同 プログラムのために 選 抜 されるという 点 である 既 存 の 国 際 連 携 プログラムの 大 部 分 が 該 当 する 学 部 や 大 学 院 にまず 入 学 し 後 にその 学 生 交 換 プログラムの 一 員 として しかもごく 尐 数 の 人 員 が 参 加 する 程 度 のものであるのに 比 べ S 3 Asia MBA はより 本 格 的 なプログラムとして 位 置 づけられる 一 方 以 下 の< 表 1> のように 地 域 ごとにその 入 学 出 願 の 枞 が 設 けられていることも 印 象 深 い たとえば 日 本 人 がこのプログラムに 参 加 したいなら 近 い 韓 国 の 高 麗 大 学 に 出 願 しなければならない 受 け 入 れる 対 象 地 域 も アジア 出 身 の 学 生 に 重 点 を 置 きつつ 域 外 の 人 々にも 開 かれてい る < 表 1> 入 学 出 願 の 地 域 枞 高 麗 大 学 (* 幹 事 校 ) 韓 国 日 本 オーストラリア ニュージーランド EU 諸 国 米 国 その 他 シンガポール 国 立 大 ASEAN 諸 国 インド 学 復 旦 大 学 中 国 ( 香 港 マカオを 含 む) 台 湾 ( 筆 者 作 成 ) 次 に カリキュラム である 同 プログラムは 1 年 半 の 間 3 学 期 制 で 進 められる すなわち それぞれの 3 大 学 で 選 抜 された 学 生 たちは 6 ヶ 月 間 の 第 1 学 期 (オリエンテー ションを 含 む)を 上 海 で 開 始 し 6 ヶ 月 間 の 第 2 学 期 をソウルで そして 最 後 の 6 ヶ 月 間 の 第 3 学 期 をシンガポールで 送 ることになる 講 義 の 内 容 は 3 学 期 の 流 れに 沿 った 形 で さらに 各 大 学 の 特 化 した 科 目 を 反 映 しつつ 基 礎 から 上 級 へと 深 化 発 展 していく 言 う までもなく それぞれの 大 学 で 取 った 卖 位 はすべてお 互 いに 認 められる 学 生 達 はこうし た 正 規 科 目 だけでなく 各 地 域 の 著 名 な 専 門 経 営 者 らとの 出 会 いやインターンシップを 経 験 するさまざまな 機 会 も 得 ることができる また 経 営 学 専 門 の 科 目 ばかりではなく そ の 地 域 や 都 市 の 歴 史 と 文 化 と 言 語 を 学 べる 講 義 も 多 尐 あり 学 生 たちが アジアをリード する 人 材 として 必 要 な 人 文 社 会 学 的 教 養 を 積 めるような 配 慮 もある 第 2 学 期 の 高 麗 大 学 のカリキュラムには Business in Korea and Japan という 講 義 も 設 けられてお 120

123 り 日 本 の 経 営 経 済 を 隣 接 する 韓 国 で 学 ぶという 新 たな 観 点 からの 試 みも 展 開 されて いる 最 後 に 学 位 取 得 のことである 3 学 期 を 無 事 に 終 えれば 学 生 たちにはダブル デ ィグリー つまり 二 つの MBA 学 位 が 授 与 される 一 つは 自 分 が 入 学 出 願 した 本 属 大 学 の 名 義 入 りの 学 位 ( 必 須 ) もう 一 つは 残 りの 2 大 学 の 中 で 自 分 が 好 む 大 学 の 名 義 が 入 った 学 位 ( 選 択 )である たとえば 高 麗 大 学 が 本 属 である 場 合 中 国 という 巨 大 な 市 場 を 意 識 する 学 生 は 復 旦 大 学 の 学 位 を 望 むだろうし 東 单 アジアへの 進 出 を 目 指 す 人 々はその 拠 点 となるシンガポール 国 立 大 学 の 学 位 を 好 むだろう 自 分 自 身 の 将 来 により 有 利 に 作 用 す ると 思 われる 2 大 学 の 名 義 入 りの 学 位 を 取 れるということは 学 生 にとってこの 上 ない 大 きなメリットとなるに 違 いない これに 加 え S 3 Asia MBA プログラムを 修 了 した 学 生 には 3 大 学 3 大 学 院 の 3 委 員 長 (dean)の 署 名 入 りの 修 了 証 明 書 (certificate)も 与 えら れる 3. 延 世 大 学 の 場 合 3 Campus Comparative East Asian Studies 3 Campus Comparative East Asian Studies は 延 世 大 学 慶 應 大 学 香 港 大 学 な ど 韓 日 中 の 名 門 3 大 学 の 連 携 による 学 生 交 換 プログラムである 前 述 した 高 麗 大 学 のプログラムが 大 学 院 生 をその 対 象 とするのに 対 し 同 プログラムは 学 部 生 を 中 心 とする 点 が 異 なる キリスト 教 精 神 に 基 づいて 設 立 された 延 世 大 学 は 韓 国 の 高 等 教 育 機 関 における 最 も 国 際 化 された 大 学 として 広 く 知 られている 2008 年 5 月 現 在 全 世 界 59 国 ( 地 域 )の 574 大 学 ( 機 関 )と 学 術 協 定 を 結 んでおり 外 国 人 留 学 生 の 受 け 入 れも 積 極 的 に 推 し 進 めるい わゆる インバウンド 国 際 化 (inbound globalization)にも 力 を 注 いでいるという 国 際 学 大 学 院 も 韓 国 の 中 で 最 も 早 い 1988 年 に 設 立 された しかし ミッション スクール という 背 景 から 英 語 圏 中 心 の 欧 米 大 学 との 学 術 交 流 に 偏 る 傾 向 があり アジア 地 域 の 大 学 との 付 き 合 いにはそれほど 積 極 的 ではないというイメージがやや 強 い このようなイメ ージを 払 拭 させるかのように 最 近 延 世 大 学 は East Asia s Education & Research Hub というキャッチフレーズを 掲 げている アンダーウッド 国 際 学 部 (UIC, Underwood International College)の 設 立 東 アジア 国 際 学 部 (East Asia International College)の 新 設 そして この 3 Campus Comparative East Asian Studies プログラムの 運 営 も 延 世 大 学 のこうした アジア 志 向 へのイメージ 変 身 の 一 環 として 考 えられる 121

124 3 Campus Comparative East Asian Studies プログラムの 運 営 体 系 および 交 流 内 容 の 骨 子 は 次 のとおりである 同 プログラムは 延 世 大 学 の 場 合 は 上 述 したアンダーウ ッド 国 際 学 部 の 管 理 下 に 置 かれている( 慶 應 大 学 と 香 港 大 学 の 管 轄 箇 所 は 確 認 の 必 要 があ る) すべて 英 語 で 行 われる 同 プログラムに 参 加 する 学 生 は 各 大 学 から 6 名 ずつ 選 抜 さ れるという 3 大 学 合 わせて 18 名 ( 第 1 期 生 は 16 名 : 延 世 6 名 香 港 6 名 慶 應 4 名 ) の 学 生 達 が 1 年 間 のプログラムを 共 にすることになる 今 後 は 1 大 学 の 選 抜 枞 を 10 名 に し 3 大 学 合 わせて 30~100 名 程 度 までに 増 やしたいとのことである また 同 プログラ ムは 3 学 期 制 で 運 営 されている オリエンテーションを 含 む 第 1 学 期 ( 秋 学 期 )は 慶 應 大 学 より 開 始 され 第 2 学 期 ( 春 学 期 )は 香 港 大 学 最 後 の 第 3 学 期 ( 夏 学 期 )は 延 世 大 学 で 開 催 される( 現 在 第 1 期 生 は 香 港 滞 在 中 である) 講 義 は 基 本 的 に 東 アジア 地 域 学 に 集 中 されるが それぞれの 文 化 歴 史 言 語 などに 関 する 選 択 科 目 も 多 く 開 設 している もちろん 学 生 たちが 取 得 した 卖 位 はお 互 いに 認 められる 前 述 の 高 麗 大 学 プログラムは 卖 位 認 定 に 学 位 取 得 まで 可 能 であったが この 延 世 大 学 プログラムは 卖 位 認 定 のみの 水 準 に 留 まっている 各 大 学 別 の 必 須 科 目 および 学 事 スケジュールに 関 しては 下 記 の< 表 2 >を 参 照 されたい < 表 2> 必 須 科 目 と 学 事 日 程 (2008~2009) 大 学 名 必 須 科 目 学 事 日 程 慶 應 大 学 Special Study of International Relations in The East Asia 2008 年 9 月 25 日 ~12 月 22 日 香 港 大 学 East Asia Political Economy 2009 年 1 月 12 日 ~5 月 23 日 延 世 大 学 Workshop or Seminar on Comparative East Asian Studies 2009 年 6 月 29 日 ~8 月 5 日 ( 筆 者 作 成 ) 同 プログラムに 参 加 する 学 生 は 授 業 料 を 自 分 の 所 属 大 学 に 支 払 えばよい 航 空 料 金 や 滞 在 費 など 同 プログラム 参 加 に 掛 かる 諸 経 費 は 基 本 的 には 学 生 個 人 の 負 担 となる 幸 いに 慶 應 大 学 は 学 生 一 人 当 たり 20 万 円 の 奨 学 金 を 支 給 し 香 港 大 学 と 延 世 大 学 は 寄 宿 舎 を 無 料 で 提 供 する 予 定 であるという 122

125 4. 結 びにかえて 以 上 アジア 地 域 における 大 学 間 連 携 教 育 に 関 する 二 つの 韓 国 事 例 を 取 り 上 げてみ た 今 回 の 調 査 では 韓 国 の 大 学 も 高 まりつつあるアジアのプレゼンスを 自 覚 し これら の 大 学 間 連 携 プログラムに 大 きな 関 心 を 寄 せていることが 確 認 できた とりわけ プログ ラムを 实 践 させていく 大 学 関 係 者 ( 総 長 学 部 長 等 )の 強 いリーダーシップの 重 要 性 实 務 担 当 者 のプロ 意 識 と 犠 牲 そして (プログラムを 連 携 の 大 学 が 主 体 性 と 自 立 性 を 持 っ て 進 めているため) 国 家 の 不 在 という 要 素 をも 考 えさせられた 予 想 以 上 に 着 々と 進 んでいるため やや 評 価 しすぎた 面 もあるだろう また 動 き 出 し たばかりのこれらのプログラムがどのように 根 ざしていくのか 連 携 パートナーの 2 大 学 は 該 当 プログラムをいかに 認 識 しているか さらに 韓 国 の 他 の 大 学 はどうなっているか などの 疑 問 が 依 然 として 残 る 比 較 的 長 い 期 間 にわたって 教 育 と 生 活 を 共 にするこれらのプログラムを 通 じ 学 生 らは 該 当 プログラムの 同 門 としてのアイデンティティはもちろん 自 己 や 国 家 の 利 害 を 乗 り 越 えてアジアの 平 和 と 未 来 を 考 えられる アジア 人 としてのアイデンティティも 芽 生 えていくことを 期 待 する もし 日 本 が 真 のアジア 版 エラスムス 計 画 を 試 みるなら この ソ ウル モデル から 学 ぶ 点 も 多 い 付 記 本 報 告 書 の 多 くの 内 容 は 高 麗 大 学 経 営 大 学 院 の S 3 Asia MBA プログラム 担 当 者 とのインタビュー(2009 年 2 月 18 日 ) 延 世 大 学 国 際 処 課 長 とのインタビュー( 同 年 2 月 18~19 日 ) 同 大 学 アンダーウッド 国 際 学 部 の 3 Campus Comparative East Asian Studies プログラム 担 当 者 との 国 際 電 話 によるインタビュー( 同 年 3 月 6 日 )に 依 って いることをお 断 りしておく ここに 記 して 関 係 者 の 方 々に 深 謝 申 し 上 げる 123

126 6 章 チェンマイ 大 学 の 大 学 間 連 携 1.チェンマイ 大 学 の 概 要 チェンマイ 大 学 は タイで 初 めての 地 方 大 学 として 北 部 の 中 心 的 都 市 であるチェンマイ に 1964 年 に 創 設 された 国 立 大 学 である チェンマイ 大 学 創 設 の 背 景 には 高 等 教 育 機 関 が バンコクに 一 極 集 中 していた 当 時 の 状 況 に 対 する 懸 念 があったという( 綾 部 2004) 同 大 学 は 自 然 科 学 部 社 会 科 学 部 人 文 学 部 の 3 学 部 体 制 で 設 立 されたが 設 立 の 翌 年 には 医 学 部 を さらに 農 学 部 教 育 学 部 工 学 部 歯 学 部 薬 学 部 看 護 学 部 医 療 技 術 学 部 芸 術 学 部 獣 医 学 部 農 産 業 学 部 建 築 学 部 経 営 管 理 学 部 経 済 学 部 法 学 部 政 治 学 公 共 管 理 学 部 マスコミュニケーション 学 部 を 次 々と 開 設 してきた 現 在 では 20 学 部 1 つの 大 学 院 ( 各 分 野 の 大 学 院 課 程 を 統 括 する 大 学 院 組 織 ) 3 つの 研 究 所 を 擁 し 86 の 学 士 課 程 26 のディプロマ 課 程 113 の 修 士 課 程 26 の 博 士 課 程 を 27,000 人 以 上 の 学 生 ( 学 部 レベル 19,000 人 以 上 大 学 院 レベル 8,000 人 以 上 タイ 人 と 留 学 生 を 含 む)に 対 して 提 供 しており バンコク 以 外 では 最 大 規 模 を 誇 り 学 術 面 でも 高 い 評 価 を 受 ける タイでも 屈 指 の 総 合 大 学 となっている チェンマイ 大 学 は 自 立 的 で 世 界 規 模 の 研 究 重 視 型 高 等 教 育 機 関 となり 国 際 水 準 で の 質 的 な 保 証 と 学 術 面 での 卓 越 性 を 維 持 し 向 上 させること を 自 らのビジョンとして 掲 げている そうしたビジョンのもとに 職 業 につながる 知 識 の 習 得 高 度 な 学 問 の 修 養 国 民 文 化 の 保 護 をスローガンとして 掲 げ 教 育 研 究 社 会 貢 献 を 推 進 している 特 に チェンマイ 大 学 の 研 究 者 たちによる 環 境 破 壊 や 乱 開 発 への 批 判 や 提 言 は 活 発 に 行 わ れており 社 会 化 学 部 や 経 済 学 部 において 持 続 可 能 な 開 発 に 関 するプログラムが 積 極 的 に 開 設 されている( 綾 部 2004) 2.チェンマイ 大 学 の 国 際 交 流 - 国 際 プログラム(International Programs)を 中 心 に 年 2 月 現 在 チェンマイ 大 学 が 交 流 協 定 を 結 んでいる 高 等 教 育 機 関 ならびに 国 際 機 関 等 の 組 織 は 合 計 で 27 カ 国 の 146 機 関 であり そのうちアジア オセアニア 地 域 の 高 等 教 育 機 関 が 83 校 と 全 体 の 半 数 以 上 を 占 めている 同 地 域 の 協 定 校 の 内 訳 は 日 本 29 校 中 国 14 校 オーストラリア 12 校 台 湾 7 校 ベトナム 6 校 韓 国 3 校 カンボジア 2 校 ラオス 2 校 ニュージーランド 2 校 インドネシア マレーシア フィリピン パキスタ 124

127 ン ネパール スリランカ 各 1 校 となっており 特 に 日 本 の 高 等 教 育 機 関 との 活 発 な 交 流 实 績 が 際 立 っている 12 交 流 協 定 の 内 容 は 学 術 交 流 論 文 審 査 委 員 の 受 入 派 遣 共 同 研 究 交 換 留 学 教 職 員 の 受 入 派 遣 カリキュラム 開 発 会 議 セミナーの 共 催 など 多 岐 にわたっている こうした 国 外 の 高 等 教 育 機 関 国 際 交 流 組 織 開 発 援 助 機 関 などとの 交 流 に 加 えて チ ェンマイ 大 学 ではキャンパス 内 の 国 際 化 も 積 極 的 に 推 し 進 めており 特 にに 近 年 の 国 際 化 プログラム(International Programs)の 拡 充 には 目 覚 ましいものがある この 国 際 プログ ラムは 学 長 审 の 国 際 関 係 部 の 支 援 を 受 けながら 各 学 部 がそれぞれ 開 設 している 主 に 留 学 生 を 対 象 としたプログラムであり 基 本 的 に 英 語 で 講 義 を 行 っている 国 際 プログラム は (1)トレーニング 課 程 (2) 大 学 院 レベルの 文 化 交 流 課 程 ならびに 学 術 交 流 課 程 (3) 学 位 プログラムの 3 種 類 から 構 成 されている 現 在 では 87 の 国 際 プログラムにおいて 28 のトレーニング 課 程 12 の 文 化 交 流 課 程 22 の 学 術 交 流 課 程 3 つの 学 士 課 程 9 つの 修 士 課 程 13 の 博 士 課 程 を 開 設 している トレーニング 課 程 のうち 24 のプログラムが 看 護 学 部 に 開 設 されており それぞれ 2 週 間 から 12 週 間 までの 期 間 で HIV/AIDS 関 連 分 野 高 齢 者 介 護 分 野 コミュニティ 健 康 管 理 分 野 女 性 の 健 康 などに 関 するトレーニングが 行 われる こうしたトレーニング 課 程 の 多 くが タイ 国 際 開 発 協 力 事 務 局 (TICA) 国 連 人 口 基 金 (UNFPA) 国 連 児 童 基 金 (UNICEF) 国 連 開 発 計 画 (UNDP) 世 界 保 健 機 関 (WHO)といった 国 内 機 関 国 際 機 関 からの 支 援 を 受 けている 看 護 学 部 以 外 の 学 部 では 経 営 管 理 学 部 の 財 政 投 資 センターによる 大 メコン 川 流 域 圏 (Greater Mekong Sub-region: GMS)のための 財 政 投 資 に 関 する 国 際 ト レーニング プログラム ( 期 間 :2 週 間 ) 教 育 学 部 による 外 国 語 としてのタイ 語 認 定 プ ログラム ( 期 間 :1 学 年 度 ) 人 文 学 部 による タイでの 春 学 期 プログラム ( 期 間 :16 週 間 集 中 コース) タイ 語 ディプロマ トレーニング ( 期 間 :4 ヶ 月 )が 開 設 されている 文 化 交 流 課 程 とは 海 外 の 大 学 からの 協 力 を 得 ながら チェンマイ 大 学 の 各 学 部 と 国 際 関 係 部 が 連 携 して 開 設 している 課 程 である 課 程 の 期 間 は 2 週 間 のものから 1 学 年 度 のも のまで 多 様 であり 基 本 的 にタイ 語 やその 他 のアジアの 言 語 文 化 歴 史 社 会 などにつ いて 学 ぶプログラムである 12 このように チェンマイ 大 学 は 交 流 協 定 の 締 結 などを 通 して 日 本 の 高 等 教 育 機 関 との 積 極 的 な 交 流 を 行 っている こうした 交 流 の 積 み 重 ねにもとづき 2008 年 11 月 には 同 大 学 内 に 日 本 研 究 センター(Japanese Studies Center) が 開 設 された 今 後 同 センターを 活 用 した 日 本 の 高 等 教 育 機 関 との 間 のさらなる 交 流 が 期 待 される 125

128 また 学 部 レベルならびに 大 学 院 レベルで 開 設 されている 学 術 交 流 課 程 は アジア ヨ ーロッパ 北 米 オーストラリアの 学 術 交 流 協 定 校 との 間 での 交 換 留 学 プログラムであり それらの 協 定 校 の 学 生 達 がチェンマイ 大 学 で 多 様 な 学 問 分 野 について 学 んでいる こうしたプログラムに 加 え 学 位 取 得 を 目 的 とする 外 国 人 学 生 のために 学 部 レベルな らびに 大 学 院 レベルにおける 学 位 プログラムが 開 設 されている 学 位 プログラムの 特 徴 と しては 主 に 自 然 科 学 系 の 分 野 で 提 供 されていることが 挙 げられる 修 士 課 程 の 持 続 可 能 な 開 発 に 関 するプログラム(M.A. in Sustainable Development を 授 与 ) 博 士 課 程 の 社 会 科 学 と 経 済 学 の 2 つのプログラム(Ph.D. in Social Sciences と Ph.D. in Economics を 授 与 ) 以 外 は 工 学 看 護 学 ソフトウェア 工 学 の 各 分 野 の 学 士 号 農 業 システム 学 環 境 科 学 地 球 物 理 学 健 康 科 学 など 9 分 野 の 修 士 号 ( 看 護 学 の Master of Nursing Science(MNS) を 除 いて いずれも M.Sc.を 授 与 ) 農 学 化 学 物 理 学 歯 学 物 質 化 学 看 護 学 など 13 分 野 の 博 士 号 (いずれも Ph.D.を 授 与 )のいずれの 分 野 も 基 本 的 には 自 然 科 学 系 の 学 問 領 域 において 開 設 されている これは 当 該 分 野 の 研 究 を 進 めるうえでタイ 語 の 習 得 などが 必 ずしも 必 要 とされている 訳 ではない 分 野 において 学 位 プログラムを 開 設 していると 理 解 できるであろう 3. 社 会 科 学 持 続 可 能 な 開 発 のための 地 域 センター (Regional Center for Social Science and Sustainable Development: RCSD) 社 会 科 学 持 続 可 能 な 開 発 のための 地 域 センター( 以 下 RCSD)は 1998 年 8 月 にチ ェンマイ 大 学 社 会 科 学 部 の 付 属 機 関 として 設 立 された RCSD では 次 の 3 つのプログラ ムを 展 開 している 1 大 学 院 国 際 プログラム 2 学 位 取 得 を 目 的 としないトレーニング プログラム 3 研 究 プログラム いずれのプログラムにおいても メコン 地 域 における 持 続 可 能 な 開 発 についての 知 見 を 深 め 研 究 者 や 学 生 のネットワークを 構 築 することを 目 的 としている RCSD は 設 立 にあたりフォード 財 団 から 100 万 米 ドルの 資 金 援 助 を 受 けた また ロックフェラー 財 団 から 資 金 援 助 に 基 づき Program on Knowledge and Educational Enhancement in the Mekong Region(PKEEMR)が 立 ち 上 げられ メコン 地 域 研 究 を 推 進 している RCSD の 特 徴 として 社 会 科 学 の 諸 領 域 に 立 脚 しつつ 地 域 における 文 化 的 な 側 面 にも 目 を 向 けていることが 挙 げられる 以 下 RCSD が 提 供 するそれぞれのプログラムについ て 概 説 する 126

129 (1) 大 学 院 国 際 プログラム(International Graduate Program) RCSD では 主 に 外 国 人 学 生 を 対 象 とした 大 学 院 国 際 プログラムを 開 設 している 修 士 課 程 の 国 際 プログラムは 1999 年 から 開 始 され 博 士 課 程 の 国 際 プログラムは 2001 年 から 始 められている どちらの 国 際 プログラムにおいても タイ 人 学 生 の 登 録 も 可 能 であり 特 に 博 士 課 程 に 関 してはタイ 人 学 生 が 多 数 を 占 めている 修 士 課 程 の 修 了 者 には 修 士 号 ( 持 続 可 能 な 開 発 )[M.A. in Sustainable Development] 博 士 課 程 の 修 了 者 には 博 士 号 ( 社 会 科 学 )[Ph.D. in Social Sciences]を 授 与 している 2008 年 度 までに 大 学 院 プログラムを 修 了 した 学 生 の 出 身 国 の 内 訳 修 士 課 程 : ベトナム 14 名 中 国 10 名 タイ 7 名 カンボジア 4 名 ラオス 4 名 日 本 4 名 ミャンマー インドネシア スリランカ オーストラリア アメリカ 各 1 名 博 士 課 程 : タイ 4 名 インドネシア 1 名 ドイツ 1 名 留 学 生 の 構 成 に 見 られるように RCSD ではメコン 地 域 のインドシナ 諸 国 ( 特 にベトナ ム ラオス カンボジア ミャンマー[ビルマ])ならびに 中 国 からの 留 学 生 を 主 に 受 け 入 れている これは 以 下 に 概 説 する 他 のプログラムでも 同 様 の 傾 向 が 見 られるが メコン 地 域 での 学 術 ネットワーク 構 築 を 積 極 的 に 行 おうとしている RCSD の 姿 勢 を 反 映 している と 考 えられる (2) 学 位 取 得 を 目 的 としないトレーニング プログラム(Non-degree Training Program) RCSD では メコン 地 域 の 研 究 機 関 研 究 者 实 務 家 の 間 の 研 究 能 力 を 向 上 させるため に 集 中 的 なトレーニング プログラムを 提 供 している このプログラムは 各 国 の 政 府 機 関 の 行 政 官 NGO のスタッフ 高 等 教 育 機 関 の 教 職 員 学 生 などを 対 象 としており 訓 練 期 間 は 数 週 間 のものから 1 年 近 くにわたるものまで 分 野 によって 異 なっている このト レーニング プログラムでは 持 続 可 能 な 開 発 に 関 する 諸 課 題 について 受 講 者 の 理 解 を 深 めるための 講 義 と 自 ら 調 査 研 究 を 行 うための 調 査 手 法 などについて 实 践 的 な 方 法 論 の 講 義 が 2 本 柱 となっている 特 に 後 者 の 方 法 論 に 関 しては 实 際 に 受 講 者 が 調 査 を 行 った 後 に 論 文 や 報 告 書 を 執 筆 する 過 程 における 指 導 も 行 っている さらには 国 際 会 議 などを 開 催 することで 受 講 者 たちが 自 らの 研 究 成 果 について 報 告 する 機 会 を 提 供 している 127

130 これまでに RCSD が 開 いてきたトレーニング ワークショップの 一 部 を 例 として 挙 げる 民 族 学 研 究 所 (ベトナム ハノイ)のスタッフに 対 する 研 究 方 法 論 の 集 中 トレーニ ング ワークショップ(1999 年 9 月 -11 月 於 チェンマイ) ベトナム ハノイの 3 機 関 ( 民 族 女 性 支 援 所 (TEW) 高 地 におけるヒューマン エコロジー 学 センター(CHESH) 土 着 の 知 識 開 発 センター(CIRD))のスタッ フたちに 対 する 集 中 トレーニング ワークショップ(2000 年 10 月 -11 月 於 チ ェンマイ) 雲 单 大 学 農 村 開 発 研 究 所 のスタッフに 対 する 研 究 方 法 論 のトレーニング ワークシ ョップ(2000 年 10 月 於 中 国 昆 明 ) 中 央 ベトナムの 若 手 研 究 者 に 対 する 研 究 スキル 向 上 のためのワークショップ(2003 年 9 月 年 7 月 ベトナム フエ) 以 上 のトレーニング ワークショップの 例 に 見 られるように 必 ずしも 常 にチェンマイ でワークショップを 開 催 するわけではなく 必 要 に 忚 じて 近 隣 諸 国 に 出 向 いてワークショ ップを 開 いていることが 分 かる また 財 団 法 人 や 開 発 援 助 機 関 などからの 支 援 金 を 得 て ワークショップに 参 加 する 研 究 者 や 实 務 家 のために 奨 学 金 を 提 供 したりしている こうしたトレーニング プログラムを 修 了 した 受 講 者 たちのなかには RCSD の 修 士 課 程 に 進 学 したり さらなる 海 外 留 学 に 進 んだりする 者 もいるということである (3) 研 究 プログラム(Research) 上 述 の 2 種 類 の 教 育 プログラムに 加 えて RCSD では 研 究 プロジェクトを 積 極 的 に 展 開 している 特 にメコン 地 域 の 諸 課 題 について 近 隣 諸 国 の 高 等 教 育 機 関 研 究 機 関 との 国 際 共 同 研 究 を 積 極 的 に 推 進 している これまでに 实 施 した 国 際 共 同 研 究 としては American Council of Learned Society (ACLS)の 支 援 を 受 けて 实 施 した 現 代 世 界 の 形 成 における 土 着 の 自 己 認 識 (Vernacular Identification in Making of the Modern World) (タイ 中 国 フランス ロシアの 研 究 者 たちが 参 加 )や ロックフェラー 財 団 の 支 援 を 受 けた 大 メコン 地 域 における 国 家 間 研 究 (Inter-country Studies in the Greater Mekong Region) (タイ ベトナム ラオス カンボジア ミャンマー[ビルマ]の 研 究 者 たちが 参 加 ) 同 じくロックフェラー 財 団 の 支 128

131 援 を 受 けて 实 施 した メコンと 変 化 (Mekong and Changes) ( 中 国 の 研 究 者 たちと 共 同 で 行 った 大 メコン 地 域 における 单 北 経 済 回 廊 の 研 究 や ベトナムの 研 究 者 達 と 行 ったメコン デルタの 生 態 系 の 変 化 と 文 化 面 の 変 容 に 関 する 研 究 などを 含 む)を 挙 げることができる ここで 概 観 した RCSD が 提 供 する 3 つのプログラムは 近 隣 諸 国 の 研 究 者 实 務 家 たち に 学 位 取 得 や 研 修 の 機 会 を 提 供 したり 研 究 費 が 不 足 して 満 足 に 研 究 活 動 を 行 うことがで きない 研 究 者 たちに 研 究 の 機 会 を 提 供 したりすることを 通 じて 結 果 としてチェンマイ 大 学 を 核 とする 研 究 者 实 務 家 たちのサブ 地 域 的 なネットワークを 構 築 することに 成 功 して いると 言 えるであろう さらには この 地 域 に 関 心 を 有 する 域 外 の 研 究 者 たちも 国 際 共 同 研 究 に 巻 き 込 むことによって ネットワークが 広 がりつつある 様 子 を 窺 い 知 ることができ る 4.ラオス 国 立 大 学 との 共 同 修 士 学 位 プログラム 2008 年 10 月 に チェンマイ 大 学 のイニシアティブにより ラオス 国 立 大 学 (National University of Laos)との 共 同 修 士 学 位 プログラム Master of Arts in International Development Studies が 立 ち 上 げられた 本 プログラムは メコン 川 流 域 における 経 済 開 発 に 伴 う 政 治 的 社 会 的 変 化 に 呼 忚 して 立 案 されたプログラムで 同 地 域 におけるグロー バル 市 場 経 済 の 進 展 にはどのような 利 点 や 弊 害 が 生 じるのかを 学 問 的 に 研 究 することを 主 たる 目 的 としている また 同 時 に 同 地 域 における 最 貧 国 であるラオスの 高 等 教 育 の 強 化 と 人 材 育 成 も 強 く 意 識 されている そのため パートナー 大 学 であるラオス 国 立 大 学 にチェンマイ 大 学 の 持 つ 知 見 経 験 を 伝 えることを 目 指 している さらに この 共 同 修 士 学 位 プログラムの 対 象 者 はメコン 川 流 域 諸 国 の 出 身 者 であるが 特 にラオス 人 学 生 の 参 加 を 強 く 促 している このプログラムは 学 際 的 であり 使 用 言 語 は 英 語 である プログラム 全 体 は 18 ヶ 月 間 (3 学 期 )で 構 成 されており 初 めの 1 学 期 をチェンマイ 大 学 で 残 りの 2 学 期 をラオス 国 立 大 学 で 学 ぶ 本 プログラムは 中 堅 NGO 職 員 や 公 務 員 ジャーナリストなど 将 来 国 際 開 発 分 野 において 第 一 線 での 活 躍 が 期 待 されている 若 手 实 力 者 や 引 き 続 き 後 期 博 士 課 程 で の 研 究 を 希 望 する 若 手 研 究 者 の 育 成 を 目 的 としている 同 プログラムでは 座 学 のみで 知 識 を 身 に 付 けるのではなく 開 発 という 名 のもとに 現 实 社 会 では 何 が 起 きているのか また 地 域 政 府 はどのように 対 忚 しているのか 等 实 際 129

132 にコミュニティへと 出 向 いて 観 察 や 分 析 を 行 う このような 生 きた 現 状 と 学 問 的 な 知 識 を 結 びつけることが 本 プログラムの 特 徴 である この 共 同 修 士 学 位 プログラムは 日 本 の 東 京 財 団 によるヤングリーダー 奨 学 基 金 の 財 政 支 援 を 受 けて 運 営 されている 5. 結 び 本 稿 で 概 観 したように チェンマイ 大 学 はタイの 代 表 的 な 地 方 大 学 として その 地 の 利 を 活 かしながらメコン 地 域 における 高 等 教 育 機 関 研 究 機 関 の 間 の 連 携 フレームワークを 構 築 していると 言 えるだろう また この 地 域 で 活 発 な 交 流 を 展 開 することによって 日 本 をはじめとする 域 外 の 高 等 教 育 機 関 や 研 究 機 関 も 今 後 さらにチェンマイ 大 学 との 連 携 を 図 ることが 予 想 される そうした 意 味 では メコン 地 域 というサブ 地 域 (= 数 カ 国 の 繋 がり)の 中 での 連 携 交 流 のネットワークを 強 化 することが ひいては 域 外 との 連 携 交 流 の 広 がりに 繋 がっていくことになると 言 えるであろう 従 って 今 後 のアジアにおける 高 等 教 育 機 関 の 地 域 連 携 フレームワークを 考 える 上 で こうしたサブ 地 域 における 連 携 交 流 の 位 置 づけを 考 えていくことが 欠 かせないことを 指 摘 して 本 稿 の 結 びとしたい 参 考 文 献 Chiang Mai University Brochure 綾 部 真 雄 (2004) チェンマイ 大 学 タイを 知 るための 60 章 明 石 書 店 参 考 ウェブサイト チェンマイ 大 学 国 際 プログラム(International Programs)[ 学 長 审 国 際 関 係 部 のウェブサイト) チェンマイ 大 学 社 会 科 学 持 続 可 能 な 開 発 のための 地 域 センター(Regional Center for Social Science and Sustainable Development: RCSD) [ウェブサイト: 130

133 東 京 財 団 チェンマイ 大 学 -ラオス 国 立 大 学 共 同 修 士 学 位 プログラム [ 131

134 7 章 東 京 大 学 におけるアジア 地 域 との 教 育 連 携 の 現 況 1. 東 京 大 学 における 国 際 連 携 の 概 況 (1) 全 般 的 な 動 向 東 京 大 学 は 5000 名 以 上 の 教 員 3 万 人 近 くの 学 生 15 研 究 科 11 附 置 研 究 所 18 全 学 センターを 擁 する 大 規 模 な 研 究 型 大 学 である 国 際 連 携 活 動 もその 規 模 に 忚 じて 大 規 模 かつ 活 発 に 行 われている 国 際 学 術 交 流 協 定 は 延 べ 49 ヶ 国 地 域 にまたがり 295 の 協 定 が 締 結 されている( 現 在 ) そのうち 全 学 協 定 は 107 件 部 局 協 定 は 188 件 である 1990 年 代 から 協 定 の 締 結 数 が 飛 躍 的 に 拡 大 し 1992 年 の 59 協 定 から 2008 年 の 295 協 定 へ と 伸 びた そのうち 部 局 協 定 の 伸 びが 著 しい 1992 年 の 14 協 定 から 2008 年 の 188 件 へ と 伸 びている 留 学 生 は 93 ヶ 国 地 域 から 2444 名 受 け 入 れている( 現 在 ) 東 京 大 学 の 学 生 の 海 外 派 遣 については 派 遣 制 度 または 派 遣 形 態 ごとの 部 分 的 な 統 計 しか 存 在 しないが たと えば 2007 年 度 に 東 京 大 学 が 旅 費 を 負 担 し 海 外 に 派 遣 した 学 生 の 数 は 2010 名 に 上 る 海 外 へ 留 学 修 学 等 をしている 学 生 の 数 は 350 名 である( 現 在 ) 2007 年 度 に 東 京 大 学 が 派 遣 した 研 究 者 の 延 べ 数 は 7747 名 であり 海 外 から 受 け 入 れた 研 究 者 は 2676 名 である 視 察 等 の 目 的 で 東 京 大 学 を 訪 問 した 研 究 者 を 含 めると 受 け 入 れた 研 究 者 は 3374 名 である 大 学 の 研 究 活 動 は 大 規 模 に 海 外 で 展 開 されており 海 外 に 47 の 研 究 拠 点 がある 3 つの 全 学 拠 点 を 除 いて ほぼすべて 研 究 目 的 に 設 置 された 研 究 拠 点 であ る これに 加 えて 94 の 海 外 拠 点 が 形 成 されつつある こうした 教 員 学 生 研 究 科 や 研 究 所 等 の 部 局 卖 位 の 国 際 的 な 活 動 に 加 え 近 年 では 大 学 本 部 主 導 の 大 学 卖 位 の 国 際 活 動 も 活 発 化 している 環 太 平 洋 大 学 協 会 (APRU)や 東 アジ ア 研 究 型 大 学 連 合 (AEARU) 国 際 研 究 型 大 学 連 合 (IARU)などの 大 学 連 合 への 参 加 や 東 アジア 四 大 学 フォーラム(BESETOHA)や 人 間 地 球 圏 の 存 続 を 求 める 大 学 間 国 際 学 術 協 力 (AGS)などの 積 極 的 な 推 進 に 加 え 二 国 間 でも 中 国 やインドの 有 力 大 学 と 積 極 的 に 連 携 を 進 めている 中 国 には 北 京 代 表 所 を 設 置 し 北 京 大 学 清 華 大 学 復 旦 大 学 などの 有 力 大 学 との 関 係 を 強 化 している また アサツーディ ケイ 中 国 育 英 基 金 などを 設 置 し 優 秀 な 留 学 生 の 獲 得 に 努 めると 同 時 に 東 京 大 学 の 卒 業 生 との 関 係 の 継 続 にも 力 を 入 れている インドでは 132

135 インド 工 科 大 学 (IIT)の4つの 分 校 と 全 学 協 定 を 締 結 し 新 たに 設 置 予 定 の IIT ハイデラ バード 校 に 関 しては 1)ナノテク ナノサイエンスおよび2) 都 市 工 学 の 分 野 で 主 導 的 な 役 割 を 担 うこととなっている その 他 インド 学 生 への 奨 学 金 プログラムを 整 備 し ま た インド 情 報 技 術 大 学 ジャバプール 校 への 日 本 からの 知 的 支 援 のためのコンソーシアム の 幹 事 も 務 める この 他 インド 政 府 との 協 力 により 人 文 社 会 系 のインド 関 連 講 座 を 2009 年 度 に 開 設 する 予 定 である 世 界 経 済 フォーラム( 通 称 :ダボス 会 議 )や 科 学 技 術 と 人 類 の 未 来 に 関 する 国 際 フォー ラム(STS フォーラム)など 世 界 各 界 のオピニオンリーダーとの 意 見 交 換 と 議 論 にも 積 極 的 に 関 わり 2008 年 7 月 には 北 海 道 洞 爺 湖 サミットに 合 わせ G8 大 学 サミットの 初 開 催 にも 主 導 的 な 役 割 を 果 たした (2) 東 京 大 学 のアジア 地 域 との 国 際 連 携 東 京 大 学 のアジア 地 域 との 関 係 は 深 い 295 の 国 際 学 術 交 流 協 定 のうち 115 協 定 (39.0%) がアジア 地 域 との 協 定 である そのうち 35 協 定 が 中 国 17 協 定 が 台 湾 18 協 定 が 韓 国 と 締 結 されている 受 け 入 れている 留 学 生 についても 2444 名 のうち 1966 名 (80.4%)がア ジア 地 域 出 身 者 である) 1431 名 ( 全 体 の 58.6%)は 中 国 台 湾 韓 国 の 出 身 である 受 け 入 れている 研 究 者 のうち 1483 名 (44.0%)がアジア 地 域 出 身 であり 海 外 に 派 遣 される 研 究 者 についても 33.9%がアジア 地 域 に 渡 航 する 外 国 人 教 職 員 296 名 のうち 171 名 (57.8%)がアジア 地 域 出 身 である 東 京 大 学 とアジア 地 域 との 交 流 は 幅 広 く 行 われているが 全 国 平 均 と 比 べると 交 流 す る 地 域 国 が 分 散 している 傾 向 が 見 られる たとえば 国 際 学 術 交 流 協 定 の 全 国 平 均 では アジア 地 域 との 協 定 が 44.8%(13,484 協 定 中 6,042 協 定 (2006 年 度 ))を 占 め 受 け 入 れて いる 留 学 生 についても 全 国 平 均 ではアジア 地 域 出 身 者 が 92.4%(118,498 名 中 109,495 名 ) そのうち 中 国 台 湾 韓 国 出 身 のものが 78.7%(93,237 名 )である( 現 在 ) な お 研 究 者 交 流 については 全 国 平 均 の 方 がアジアとの 交 流 が 大 幅 に 尐 ない 全 国 平 均 では 海 外 から 受 け 入 れている 研 究 者 の 11.2%がアジア 地 域 出 身 であり 海 外 に 派 遣 される 研 究 者 の 12.9%がアジア 地 域 に 渡 航 する(2005 年 度 实 績 ) 13 東 京 大 学 の 国 際 連 携 の 近 年 の 傾 向 として アジア 地 域 との 連 携 が 強 化 されているという ことが 挙 げられる 留 学 生 や 研 究 者 の 受 入 については 過 去 年 間 アジア 地 域 出 身 者 13 文 部 科 学 省 HP より( 調 べ) 133

136 比 率 は 概 ね 一 定 しており どちらかと 言 えば 受 け 入 れる 留 学 生 研 究 者 の 出 身 地 域 が 多 様 化 する 傾 向 にある しかし 国 際 学 術 交 流 協 定 などの 組 織 的 な 連 携 においては 1992 年 に 14 協 定 全 協 定 の 24%であったアジア 地 域 との 協 定 が 2008 年 には 39%を 占 めるに 至 っ ている また 研 究 者 の 派 遣 についても アジア 地 域 に 渡 航 する 研 究 者 が 増 えている 1998 年 にはアジア 地 域 に 渡 航 する 研 究 者 は 1480 名 (24.2%)であったが 2008 年 には 2629 名 の 33.9%へと 拡 大 している なお 研 究 者 交 流 については 1 ヶ 月 未 満 と 1 ヶ 月 以 上 の 滞 在 期 間 で 傾 向 が 異 なる 研 究 者 の 派 遣 にあたっては アジア 地 域 に 渡 航 する 研 究 者 が 1 ヶ 月 未 満 の 短 期 派 遣 に 多 く (34.6%) 1 ヶ 月 以 上 の 長 期 派 遣 の 場 合 は 15.5%に 留 まる 研 究 者 の 受 入 にあたっては 逆 の 傾 向 が 見 られる アジア 地 域 からの 1 ヶ 月 未 満 の 受 入 は 32.2%に 留 まり 1 ヶ 月 以 上 の 受 入 では 52.6%がアジア 地 域 出 身 者 である ( 2006 年 度 实 績 ) (3) 学 問 分 野 ごとのアジア 地 域 との 関 係 アジア 地 域 との 関 係 の 深 さは 学 問 分 野 により 異 なる 農 学 生 命 科 学 研 究 科 および 東 洋 文 化 研 究 所 はアジア 地 域 との 国 際 学 術 交 流 協 定 が 多 い 農 学 生 命 科 学 研 究 科 は 27 協 定 のうち 19 協 定 (70.3%) 東 洋 文 化 研 究 所 は 8 協 定 のうち 7 協 定 (87.5%)がアジア 地 域 との 協 定 で ある( 現 在 ) アジア 地 域 との 関 係 性 も 学 問 分 野 ごとに 異 なる 研 究 者 交 流 の 受 入 と 派 遣 を 比 較 した 場 合 農 学 生 命 科 学 研 究 科 および 教 育 学 研 究 科 は 受 入 派 遣 ともにアジア 地 域 との 交 流 比 率 が 高 い 一 方 東 洋 文 化 研 究 所 はアジア 地 域 に 派 遣 される 研 究 者 比 率 は 高 いが 受 入 につ いては この 傾 向 は 顕 著 ではない 他 方 工 学 系 研 究 科 はアジア 地 域 から 受 け 入 れる 研 究 者 比 率 が 高 いが 派 遣 については この 傾 向 は 顕 著 ではない 数 理 科 学 研 究 科 や 分 子 細 胞 生 物 学 研 究 所 は 受 入 派 遣 ともにアジア 地 域 以 外 との 交 流 が 多 い (2006 年 度 实 績 ) 中 国 台 湾 韓 国 と これら 以 外 のアジア 地 域 との 関 係 性 も 学 問 分 野 ごとに 異 なる 留 学 生 の 出 身 地 域 を 見 た 場 合 全 般 的 にアジア 地 域 からの 受 入 が 多 く 農 学 生 命 科 学 研 究 科 経 済 学 研 究 科 教 育 学 研 究 科 公 共 政 策 大 学 院 についてはこの 傾 向 が 特 に 強 い しかし その 中 でも 医 学 系 研 究 科 農 学 生 命 科 学 研 究 科 経 済 学 研 究 科 新 領 域 創 生 科 学 研 究 科 情 報 理 工 学 系 研 究 科 公 共 政 策 大 学 院 は 中 国 台 湾 韓 国 以 外 のアジア 地 域 からの 留 学 生 受 入 が 多 い 一 方 法 学 政 治 学 研 究 科 人 文 社 会 系 研 究 科 教 育 学 研 究 科 薬 学 系 研 究 科 134

137 数 理 科 学 研 究 科 は 中 国 台 湾 韓 国 からの 留 学 生 の 受 入 が 多 い 東 京 大 学 におけるアジア 地 域 との 教 育 研 究 プログラム 東 京 大 学 ではアジア 地 域 との 双 方 向 の 学 生 交 流 プログラムは 尐 ないが 留 学 生 のための 特 別 プログラムや 学 生 の 派 遣 プログラム テレビ 会 議 システム 等 を 利 用 した 合 同 交 換 講 義 アジア 地 域 を 対 象 とする 教 育 研 究 プログラムなどが 重 層 的 に 多 数 存 在 する 以 下 にそ の 一 部 を 紹 介 する (1) 留 学 生 プログラム 社 会 基 盤 学 特 別 コース 1982 年 に 工 学 系 研 究 科 社 会 基 盤 学 専 攻 ( 土 木 工 学 専 攻 ( 当 時 ))に 設 置 された 留 学 生 のた めの 特 別 プログラムである 修 士 および 博 士 課 程 のコースで 講 義 の 95% 以 上 が 英 語 で 提 供 される 受 け 入 れた 留 学 生 の 全 員 が 国 費 留 学 生 として ないし 私 費 留 学 生 の 場 合 もアジ ア 開 発 銀 行 や 世 界 銀 行 その 他 民 間 の 財 団 等 から 奨 学 金 を 得 ている このコースではアジア 地 域 から 多 くの 優 秀 な 留 学 生 を 受 け 入 れ 留 学 生 の 出 身 国 に 優 れ た 人 材 を 輩 出 している 留 学 生 の 多 くは 卒 業 後 母 国 に 戻 り 国 土 開 発 に 関 連 して 政 府 機 関 や 国 際 機 関 建 設 会 社 等 民 間 企 業 教 育 研 究 機 関 等 に 就 職 している コースの 開 設 から 27 年 が 経 過 し 卒 業 生 の 多 くはこれら 機 関 の 要 職 にある 一 部 は 大 臣 や 各 機 関 のダイレク ター クラスにあり 清 華 大 学 やバングラデシュ 工 科 大 学 における 社 会 基 盤 工 学 分 野 の 教 員 の 約 1/3は 同 特 別 コースの 卒 業 生 である 東 京 大 学 社 会 基 盤 学 専 攻 のアジア 地 域 にお ける 人 的 ネットワークは 強 力 である このプログラムが 成 功 している 背 景 には その 学 問 分 野 特 性 と その 学 問 分 野 特 性 を 背 景 とした 同 専 攻 の 教 員 の 真 剣 な 取 り 組 みがある 土 木 工 学 は 大 規 模 な 国 土 開 発 が 行 われ る 開 発 途 上 国 において 特 に 必 要 な 学 問 分 野 である 日 本 では 27 年 前 に 既 に 国 土 開 発 は 一 段 落 し 国 内 の 優 秀 な 人 材 は 他 分 野 に 進 学 する 傾 向 が 見 られた 他 方 開 発 途 上 国 など 国 土 開 発 が 国 家 の 重 要 課 題 である 諸 国 においては 当 該 国 の 最 も 優 れた 人 材 が 同 分 野 に 進 学 する このため これら 開 発 途 上 国 の 優 れた 人 材 を 獲 得 することには 土 木 工 学 専 攻 ( 当 時 ) として 魅 力 があった アジア 地 域 から 優 秀 な 留 学 生 を( 米 国 ではなく) 日 本 に 引 き 寄 せるためには 1) 英 語 による 講 義 2) 書 類 審 査 による 選 考 3) 奨 学 金 の 満 額 支 給 が 必 須 の 条 件 であること が 認 識 された 英 語 による 講 義 の 实 現 ( 当 時 国 立 大 学 は 日 本 語 で 講 義 することとなって 14 データの 詳 細 については 東 京 大 学 国 際 化 白 書 ( 本 編 ) (2009 年 3 月 調 査 報 告 ) 参 照 のこと 135

138 いたため 英 語 による 講 義 の 实 現 のために 法 改 正 等 までする 必 要 であった)や 奨 学 金 の 獲 得 学 内 の 調 整 に 専 攻 の 教 員 が 真 剣 に 取 り 組 んだ このような 努 力 の 甲 斐 があり コー ス 開 設 前 と 後 で 同 専 攻 における 年 間 の 論 文 輩 出 数 や 博 士 論 文 の 数 が 飛 躍 的 に 拡 大 した このような 効 果 が 期 待 できたことが 教 員 の 真 剣 な 取 り 組 みと 原 動 力 となったと 同 専 攻 の 教 員 はしている (2)アジア 技 術 経 営 プログラム 2007 年 に 工 学 系 研 究 科 技 術 経 営 戦 略 学 専 攻 内 に 設 置 された 留 学 生 のための 修 士 課 程 の 特 別 プログラムである 経 済 産 業 省 および 文 部 科 学 省 による アジア 人 材 資 金 構 想 ( 年 度 )に 採 択 を 受 け 開 設 された 留 学 生 が 卒 業 後 に 日 系 企 業 に 就 職 することを 念 頭 に 開 始 した 構 想 であるため 講 義 は 日 本 語 で 行 われ 在 学 中 にビジネス 日 本 語 教 育 や 日 本 の 企 業 文 化 に 対 する 理 解 を 促 進 するための 日 本 ビジネス 教 育 日 本 企 業 へのインターンシ ップ 就 職 支 援 が 行 われる 同 プログラムに 進 学 するには 国 費 留 学 生 であることが 条 件 で あり 10 名 の 特 別 枞 が 設 けられている 4 月 入 学 と 10 月 入 学 がある 同 専 攻 ではこのプログラムのために 企 業 コンソーシアムを 設 立 し 留 学 生 のインターン シップへの 協 力 を 得 るとともに 産 学 連 携 による 实 践 的 な 授 業 (1アジア 経 営 開 発 マネジ メント( 技 術 開 発 学 ) 2グローバルビジネス( 経 営 科 学 ) 3 国 際 知 的 マネジメント( 知 的 財 産 経 営 学 ))を 实 現 している 企 業 コンソーシアムのメンバーは エレクトロニクス 関 連 ( 日 本 電 気 日 立 製 作 所 富 士 通 三 菱 電 機 ) 自 動 車 ( 日 産 自 動 車 ) 商 社 ( 三 井 物 産 三 菱 商 事 ) 国 際 弁 理 士 事 務 所 ( 笹 島 内 外 特 許 事 務 所 秀 和 特 許 事 務 所 創 成 国 際 特 許 事 務 所 太 陽 国 際 特 許 事 務 所 リバーフロー 国 際 特 許 事 務 所 )である 同 プログラムは 開 始 間 もないため 進 学 者 や 卒 業 後 の 就 職 先 の 傾 向 を 語 るのは 時 期 尚 早 である プログラムの 周 知 を 東 アジアや 東 单 アジア 諸 国 の 有 力 大 学 を 対 象 に 組 織 的 に 開 始 したのは 2008 年 度 後 半 に 入 ってからである これまで 4 月 入 学 は 中 国 からの 社 会 人 入 学 者 10 月 入 学 は 国 費 留 学 生 としてすでに 日 本 に 留 学 しており 修 士 課 程 の 進 学 先 として 同 プロ グラムを 選 択 した 学 生 という 傾 向 が 見 られる しかし 学 生 のリクルーティング 活 動 を 海 外 で 開 始 したことで アジア 周 辺 諸 国 の 有 力 大 学 の 卒 業 生 が 入 学 すると 推 測 される 現 状 では 同 プログラムはこれまで 中 国 からの 留 学 生 のみにより 構 成 されている 日 系 企 業 に 就 職 することが 想 定 されており 日 本 語 で 講 義 が 行 われるなど 日 本 語 の 要 件 が 高 いことが 背 景 にある 2009 年 度 4 月 入 学 から 初 めて 韓 国 から 留 学 生 を 2 名 受 け 入 れる 予 136

139 定 である 2009 年 3 月 末 に 卒 業 生 を 2 名 初 めて 輩 出 する 日 本 のメーカー 等 への 就 職 が 確 定 して いる (2009 年 3 月 現 在 ) (3)アジア 情 報 社 会 コース(ITASIA) 2008 年 10 月 に 学 際 情 報 学 府 学 際 情 報 学 専 攻 内 で 開 始 した 修 士 コースである 情 報 通 信 技 術 の 発 達 で 大 きな 影 響 を 受 けているアジアの 社 会 と 国 際 関 係 に 対 する 分 析 力 と 洞 察 力 を 養 成 することを 目 指 している 日 本 人 と 外 国 人 の 双 方 を 対 象 とする 10 月 入 学 である すべ ての 授 業 が 英 語 で 行 われる 英 語 および 基 礎 的 推 論 分 析 能 力 に 関 する 標 準 的 指 標 (TOEFL および GRE のスコア) 研 究 計 画 書 推 薦 書 等 を 含 む 提 出 書 類 に 基 づく 選 考 を 基 本 としてい る 修 士 課 程 は 21 世 紀 アジアの 政 治 的 経 済 的 社 会 的 現 实 を 把 握 できるよう 学 生 を 訓 練 する 修 了 者 は 行 政 メディア 实 業 研 究 教 育 機 関 への 就 職 進 学 を 期 待 されている 博 士 課 程 は アジア 研 究 および 情 報 学 の 研 究 における 高 水 準 の 研 究 者 の 養 成 を 目 指 してお り 政 治 学 経 済 学 メディア 研 究 その 他 の 社 会 科 学 の 先 端 的 な 研 究 に 必 要 な 調 査 技 能 と 理 論 的 分 析 に 習 熟 するよう 訓 練 される (4) 東 アジア リベラルアーツ イニシアティブ(EALAI) 東 アジア リベラルアーツ イニシアティブ(EALAI)は 東 アジアにおける 共 通 の 教 養 教 育 の 实 現 を 目 指 すため 2005 年 に 発 足 した 学 生 の 全 人 的 発 達 を 目 指 す 東 京 大 学 のリベ ラル アーツ 教 育 を 東 アジアに 向 けて 発 信 するとともに 東 アジアの 大 学 との 双 方 向 の 教 育 交 流 を 通 じて 共 に 高 めあう 1999 年 以 来 北 京 大 学 ソウル 大 学 校 ベトナム 国 家 大 学 ハノイ 校 と 開 催 している 東 アジア 四 大 学 フォーラム(BESETOHA)の 蓄 積 に 基 づいている EALAI の 活 動 は 大 きく3つある 1 東 アジアへのリベラル アーツ 教 育 の 発 信 : 連 携 する 東 アジアの 三 大 学 と 交 換 講 義 を 实 施 し 共 通 教 材 を 作 成 し 教 養 教 育 叢 書 の 東 アジア 各 国 言 語 による 出 版 を 行 い リベラ ル アーツ 教 育 を 国 際 的 に 発 信 する 2005 年 には 教 養 のためのブックガイド の 中 国 語 版 が 单 京 大 学 から 出 版 された 続 けて 2006 年 にはベトナム 語 版 2008 年 には 韓 国 語 版 が 出 版 されている 2アジアからの 着 信 : 本 学 前 期 課 程 の 学 生 を 対 象 に 東 アジアの 各 大 学 から 教 員 派 遣 を 137

140 受 ける また ビデオ 会 議 システムを 通 した E-lecture によって 東 アジア 共 通 の 関 心 事 頄 について 共 同 授 業 を 实 施 し 国 際 的 に 通 用 する 人 材 の 育 成 を 目 指 す 3 中 国 における 東 京 大 学 のリベラル アーツ 教 育 の 重 点 的 展 開 :リベラル アーツ 教 育 発 信 の 具 体 的 なモデルとして 单 京 大 学 に 東 京 大 学 リベラル アーツ 单 京 交 流 センターを 設 置 した 同 センターを 通 じてリベラルアーツ フォーラムを 開 催 し リベラル アーツ 関 連 学 科 の 新 設 を 支 援 する 2006 年 からは 東 京 大 学 教 員 による 表 象 文 化 論 の 集 中 講 義 が 行 われている なお 東 アジア リベラルアーツ イニシアティブ(EALAI)および 東 アジア 四 大 学 フォ ーラム(BESETOHA)は 漢 語 圏 の 大 学 から 構 成 され それぞれが 母 国 語 により 発 信 するこ とを 原 則 としている 東 アジアの 地 域 にあって 伝 統 的 な 文 化 基 盤 を 共 有 しながらも 異 な った 歴 史 と 文 化 を 持 っていることを 認 めた 上 で 共 通 の 文 化 の 創 造 を 目 指 すという 精 神 に 基 づいている このため これら 大 学 が 共 同 で 活 動 を 行 う 場 合 は 四 カ 国 語 通 訳 が 可 能 な 限 り 行 われる( 英 語 を 媒 体 とすることもある) (5) 日 韓 遠 隔 交 換 講 義 ( 工 学 系 研 究 科 情 報 学 環 学 際 情 報 学 府 ) 一 部 の 部 局 において ソウル 大 学 校 とテレビ 会 議 システム 等 を 利 用 した 合 同 講 義 や 交 換 講 義 が 实 施 されている 情 報 学 環 学 際 情 報 学 府 ではソウル 大 学 校 の 教 員 学 生 と 共 同 でメディア 環 境 の 変 化 に 伴 う 様 々なテーマの 講 義 議 論 を 行 う 合 同 講 義 を 2005 年 度 から 实 施 している 毎 回 両 大 学 の 講 師 が 報 告 し 大 学 院 生 が 討 論 する 原 則 として 英 語 の 教 材 を 用 いるが 講 義 は 英 語 日 本 語 韓 国 語 で 行 われ 大 学 院 生 が 必 要 に 忚 じて 通 訳 する 授 業 の 後 半 では 両 大 学 の 大 学 院 生 が 混 合 のグループを 編 成 し 各 グループがオンライン 上 で 議 論 しながら 共 同 研 究 計 画 書 を 作 成 し 発 表 する テーマは 公 共 圏 大 衆 文 化 文 化 政 治 の 歴 史 認 識 社 会 と 技 術 などであった 2007 年 度 からは 両 大 学 の 教 員 が 相 手 大 学 で 集 中 講 義 を 行 った 工 学 系 研 究 科 ではソウル 国 立 大 学 校 工 学 部 と 遠 隔 交 換 講 義 を 2007 年 度 冬 学 期 に 实 施 した ソウル 大 学 校 は Kinetic Processes in Material( 材 料 の 速 度 論 ) (4 卖 位 ) Nano/Micro System Design(ナノ/マイクロシステム 設 計 A B) ( 各 2 卖 位 )を 東 大 側 は システ ム 創 成 学 特 論 (Advanced Lecture on System Innovation) (2 卖 位 ) 光 量 子 エレクト ロニクスⅠ(Optical and Quantum Electronics) (2 卖 位 )を 開 講 した 138

141 (6) 農 学 国 際 实 地 研 究 農 学 生 命 科 学 研 究 科 農 学 国 際 専 攻 において 2006 年 度 から 实 施 している 海 外 实 地 研 修 であ る インドネシアで 国 際 農 学 と 文 化 ゼミナール VI-1 アジアのフードシステム 实 地 研 修 タイで 国 際 農 業 と 文 化 ゼミナール VI-2 アジアの 農 村 開 発 实 地 研 修 をそれぞれ 2 週 間 現 地 の 大 学 の 協 力 を 得 て 实 施 している 魅 力 ある 大 学 院 教 育 イニシアティブにより 2005 年 度 から 開 始 された 産 学 官 民 連 携 型 農 学 生 命 科 学 研 究 インキュベータ 機 構 ( 愛 称 :アグ リコクーン)の 活 動 の 一 環 である (7) 大 学 独 自 のアジア 地 域 有 力 大 学 を 対 象 とした 学 生 交 流 東 京 大 学 本 部 の 主 導 で アジア 地 域 の 有 力 大 学 に 在 籍 する 学 部 3 4 年 生 を 20 名 程 度 各 学 部 のサマーインターン 生 として 受 け 入 れるプログラムを 2008 年 度 から 試 行 的 に 開 始 し た インターン 生 に 東 京 大 学 において 学 習 する 機 会 を 与 えるとともに アジア 地 域 の 大 学 との 学 術 交 流 を 推 進 することを 目 的 とする 3 ヶ 月 を 上 限 に 奨 学 金 が 支 給 される (8) 日 本 アジアに 関 する 教 育 研 究 ネットワーク(ASNET) 東 京 大 学 において 日 本 アジアと 接 点 を 持 つ 教 育 研 究 に 従 事 している 研 究 者 間 の 協 力 や 情 報 交 換 を 容 易 にし 新 しい 教 育 や 研 究 の 可 能 性 を 探 るために 2001 年 に 設 立 された 多 く の 研 究 者 が 垣 根 を 越 えてつながることができ かつ 研 究 の 進 展 や 社 会 情 勢 の 変 化 に 柔 軟 に 対 忚 できるよう バーチャルなネットワーク 型 の 組 織 として 構 築 されている 文 理 横 断 型 である 以 下 の 活 動 が 行 われている 1 研 究 者 間 のネットワークの 形 成 : 日 本 アジアと 接 点 を 持 つ 研 究 者 のプロフィール 等 のデータベースを 日 本 語 英 語 で 整 備 し ウェブサイトを 通 じて 公 開 している また 学 内 外 のアジア 地 域 に 関 連 する 研 究 会 やシンポジウム 情 報 を 中 心 に メールマガジンを 毎 週 発 行 している 2 教 育 活 動 :2006 年 度 から 大 学 院 向 けに 日 本 アジア 学 講 座 を 開 講 している 1 つ の 研 究 科 では 取 り 扱 いにくい 学 際 的 総 合 的 なテーマで 基 本 的 に 複 数 部 局 から 講 師 が 参 加 することで 構 成 されている すべての 大 学 院 学 生 が 履 修 できる また EALAI( 東 アジア リベラルアーツ イニシアティブ)に 協 力 する 形 で 教 養 学 部 前 期 課 程 学 生 向 け 科 目 も 開 講 している 2006 年 度 には 学 内 の 4 部 局 からと 海 外 ( 米 国 イラン インドネシア)から 計 8 講 師 が 参 加 した 学 際 的 国 際 的 授 業 を 实 施 した 139

142 2009 年 度 からは 日 本 アジア 学 講 座 を 拡 大 発 展 させ 総 論 社 会 文 化 論 社 会 技 術 論 自 然 環 境 論 健 康 論 情 報 論 特 論 から 計 36 科 目 およびアジアに 関 する 諸 言 語 で 構 成 される 日 本 アジア 学 教 育 プログラムの 開 始 予 定 である 同 プログラムの 修 了 要 件 は 12 卖 位 で 英 語 だけでも 修 了 ができる 3その 他 :アジア 地 域 に 関 連 する 活 動 を 推 進 支 援 している たとえば AGS( 人 間 地 球 圏 の 存 続 を 求 める 大 学 間 国 際 学 術 協 力 )との 共 催 で アジアの 食 文 化 とグローバリゼーシ ョン 談 話 会 を 2 ヶ 月 に 1 回 程 度 開 催 している ASNET は これらの 活 動 に 参 加 する 学 生 がアジアへの 関 心 を 高 め 具 体 的 な 研 究 交 流 の 技 法 を 身 につけ 国 際 化 アジア 化 することを 目 標 の 一 つとしている また ASNET の 活 動 を 通 して これまで 顔 を 合 わせることがなかった 異 分 野 の 研 究 者 同 士 が 出 会 い 新 たなネッ トワークが 形 成 され 日 本 アジア そして 世 界 へと 広 がっていくことを 目 指 している (9) 東 アジア 研 究 ネットワーク(NEAS) 東 アジア 研 究 を 促 進 するために ASEAN+3 首 脳 会 議 によって 2005 年 に 設 立 された 研 究 機 関 ネットワークである 東 京 大 学 東 洋 文 化 研 究 所 が 発 足 時 から 事 務 局 を 務 め ASEAN+3 加 盟 の 13 カ 国 の 機 関 との 間 の 連 携 を 進 めてきている 2008 年 3 月 に 開 催 された 第 4 回 会 合 以 降 は ASEAN 大 学 ネットワーク(AUN)が 事 務 局 を 務 め 東 洋 文 化 研 究 所 は 日 本 韓 国 中 国 の 調 整 機 関 を 務 める 会 合 では ASEAN+3 諸 国 のアジアを 研 究 対 象 とする 教 育 研 究 機 関 や 部 門 ( 国 によっては 政 府 機 関 )が 各 国 の 視 点 から 東 アジア 研 究 のあり 方 や 研 究 成 果 を 報 告 する このネットワー クにより 東 アジア 研 究 のための 視 座 と 枞 組 みがアジア 域 内 で 形 成 されることが 期 待 され ている 3. 東 京 大 学 とアジア 地 域 との 教 育 連 携 ( 考 察 ) 東 京 大 学 はアジア 地 域 との 関 係 を 強 めている これまではアジア 地 域 からの 受 入 れが 主 流 であったが 過 去 年 でアジア 地 域 に 渡 航 する 教 員 の 数 が 増 え また アジア 地 域 の 大 学 との 国 際 学 術 交 流 協 定 も 増 加 するなど 東 京 大 学 自 らが 進 んで アジア 地 域 との 関 係 性 を 強 めている 傾 向 が 見 て 取 れる 現 状 では 1 ヶ 月 未 満 の 短 期 の 渡 航 が 多 いが 徐 々に 長 期 の 滞 在 も 増 えていくであろう 学 生 についても これまでは 欧 米 志 向 が 強 かったが 第 2 3 外 国 語 としてアジアの 言 語 を 選 択 する 学 生 が 増 えており アジア 地 域 への 渡 航 機 会 140

143 が 増 えるなど 学 生 においても アジア 地 域 への 関 心 が 高 まっている 推 測 される 東 京 大 学 とアジア 地 域 との 関 係 はますます 規 模 が 拡 大 し 緊 密 になると 予 測 される しか し アジア 地 域 との 関 係 が 全 ての 分 野 で 一 様 に 拡 大 深 化 するわけではない アジア 地 域 と 共 通 の 基 盤 がある 学 問 分 野 では 交 流 は 双 方 向 に 活 発 である たとえば 農 学 生 命 科 学 や 社 会 基 盤 学 は モンスーン 気 候 といった 同 じ 環 境 条 件 が 共 通 の 学 問 基 盤 を 提 供 するため 交 流 を 通 じて 相 互 に 刺 激 を 得 ることができる 漢 語 圏 文 化 圏 類 似 の 法 社 会 制 度 なども 共 通 の 学 問 基 盤 を 提 供 する 他 方 世 界 共 通 の 学 問 基 盤 の 上 に 発 展 し ま た 日 本 や 欧 米 などの 方 が 進 んでいる 理 学 薬 学 医 学 などの 学 問 分 野 においては アジ ア 地 域 から 受 け 入 れはあっても アジア 地 域 に 渡 航 する 研 究 者 は 尐 ない 逆 に アジアが フィールドとなる 分 野 では 渡 航 は 多 くても アジア 地 域 からの 受 入 は 特 別 には 多 くない アジア 地 域 との 教 育 連 携 においても 多 様 なモデルが 見 られる 学 生 が 卒 業 後 に 母 国 に 戻 ることを 前 提 に 英 語 で 講 義 を 提 供 するプログラム( 社 会 基 盤 学 特 別 コース)がある 一 方 で 卒 業 後 に 日 本 に 就 職 することを 念 頭 に 日 本 語 で 講 義 を 提 供 し かつ 日 本 語 教 育 や 日 本 に 関 する 理 解 を 得 るための 支 援 を 提 供 するコースもある(アジア 技 術 経 営 コース) こ れまで 連 携 の 尐 なかったアジア 地 域 において 英 語 を 媒 体 にネットワークを 形 成 し アジア という 地 域 に 対 して 共 通 の 理 解 を 得 ようとする 教 育 研 究 プログラム(ITASIA, NEAS)があ る 一 方 で お 互 いの 言 語 を 尊 重 し 相 互 理 解 を 深 めるイニシアティブ(EALAI, BESETOHA)も ある 交 流 の 形 態 についても 相 互 交 流 する 方 法 や 教 員 学 生 を 派 遣 する 方 法 逆 に 受 け 入 れる 方 法 テレビ 会 議 システムを 活 用 する 方 法 などがある いずれのモデルも 当 該 プ ログラムの 学 問 分 野 や 教 育 課 程 段 階 その 他 の 条 件 下 で 最 適 な 方 法 が 選 択 されており 統 一 されるべき 性 格 のものではない これからも それぞれのニーズとシーズに 忚 じたプロ グラムが 形 成 されていくと 想 定 される 東 京 大 学 は 東 京 大 学 憲 章 に 自 らがアジアに 位 置 する 日 本 の 大 学 であることを 不 断 に 自 覚 し 日 本 に 蓄 積 された 学 問 研 究 の 特 質 を 活 かしてアジアとの 連 携 をいっそう 強 め 世 界 諸 地 域 との 相 互 交 流 を 推 進 する と 宠 言 している アジア 地 域 の 隆 盛 が 期 待 される 21 世 紀 において 大 規 模 な 総 合 大 学 である 東 京 大 学 が 学 問 分 野 や 教 育 段 階 实 施 主 体 ごとに ア ジア 地 域 とどのように 多 様 で 重 層 的 な 関 係 を 形 成 していくか 注 目 される 141

144 8 章 早 稲 田 大 学 の 大 学 間 連 携 1. 大 学 の 概 要 早 稲 田 大 学 は 1882 年 に 東 京 専 門 学 校 として 大 隇 重 信 によって 創 設 された 2008 年 8 月 現 在 学 部 生 47,654 人 大 学 院 生 8,609 人 ( 内 訳 修 士 課 程 4,647 人 博 士 後 期 課 程 2,007 人 専 門 職 学 位 課 程 1,955 人 )からなる 合 計 56,263 人 の 大 規 模 な 私 立 大 学 である 2007 年 10 月 21 日 に 創 立 125 周 年 を 迎 え 今 後 10 年 以 内 に 世 界 で 存 在 感 を 顕 示 できる グローバルユニバーシティ WASEDA の 確 立 を 目 指 し ている( 大 学 ウェブサイト 総 長 メッセージより) このような 目 標 の 下 に 研 究 教 育 の 国 際 化 にも 力 が 入 れられ 国 際 研 究 推 進 本 部 国 際 産 学 連 携 本 部 や 各 国 地 域 における 海 外 研 究 拠 点 などが 設 置 されている 特 に アジア 太 平 洋 地 域 を 対 象 とする 研 究 や 教 育 に 力 点 が 置 かれていることはつとに 有 名 であり アジア 研 究 機 構 の 設 置 や 国 際 教 養 学 部 や 大 学 院 アジア 太 平 洋 研 究 科 国 際 情 報 通 信 研 究 科 など 英 語 で 学 位 を 取 得 することができる 学 部 や 大 学 院 も 設 けられている 早 稲 田 大 学 は 地 球 市 民 を 育 成 するために 日 本 人 学 生 の 留 学 体 験 を 積 極 的 に 推 し 進 め る 一 方 合 計 8,000 人 留 学 生 の 獲 得 も 目 指 している 2008 年 5 月 現 在 学 部 生 820 人 大 学 院 生 1,420 人 国 際 教 養 学 部 188 人 日 本 語 センター180 人 の 合 計 2,608 人 が 留 学 生 で ある 出 身 国 別 に 見 ると 中 国 1,029 人 (36.36%) 韓 国 758 人 (26.78%) 中 国 ( 台 湾 ) 196 人 (6.93%)が 上 位 を 占 めている 学 生 交 流 協 定 を 75 カ 国 500 校 (2006 年 8 月 現 在 )と 結 んでおり 学 生 の 海 外 派 遣 も 進 んでいる 2008 年 現 在 交 換 協 定 による 留 学 321 人 派 遣 協 定 による 留 学 419 人 奨 学 金 による 留 学 7 人 私 費 留 学 96 人 を 合 わせて 843 人 が 海 外 に 留 学 している 主 な 派 遣 先 とし ては アメリカ 359 人 イギリス 77 人 中 国 83 人 が 挙 げられる 以 上 から 東 アジアからの 留 学 生 を 多 く 受 け 入 れる 一 方 中 国 と 韓 国 を 除 き 欧 米 への 留 学 が 多 数 を 占 めるという 特 徴 が 見 られる さらに 早 稲 田 大 学 は アジア 各 国 における 大 学 との 連 携 を 推 進 することを 目 的 として 海 外 事 務 所 を 設 立 している たとえば 北 京 オ フィス(2004 年 開 設 以 下 括 弧 内 開 設 年 ) 上 海 オフィス(2008 年 ) 台 北 オフィス(2008 年 ) シンガポールオフィス(2008 年 ) 早 稲 田 エデュケーション タイランド(2003 年 ) が 主 な 事 務 所 である 142

145 2.アジアの 高 等 教 育 連 携 に 向 けたプログラム 早 稲 田 大 学 では アジアの 高 等 教 育 連 携 に 向 けたプログラムを 实 施 している 以 下 に 大 学 全 体 として 实 施 しているプログラム 各 箇 所 で 实 施 しているプログラムについて 紹 介 する なお 本 報 告 は 早 稲 田 大 学 の 国 際 部 国 際 課 の 職 員 と 遠 隔 教 育 センターのプログラ ム 担 当 者 に 対 して 2008 年 12 月 11 日 に 实 施 したインタビューの 記 録 に 基 づき 構 成 する 实 施 調 査 の 概 要 は 末 尾 に 記 すこととする (1) 国 際 連 携 によるグローバルカレッジの 構 築 ( 平 成 19 年 度 大 学 教 育 の 国 際 化 推 進 プログラム( 先 端 的 国 際 連 携 支 援 )) 早 稲 田 大 学 では 平 成 19 年 度 に 大 学 教 育 の 国 際 化 推 進 プログラム( 先 端 的 国 際 連 携 支 援 ) が 採 択 された 当 該 ウェブサイトによると 本 取 組 は 交 流 实 績 がある 若 干 数 の 戦 略 的 協 定 校 ( 以 下 参 加 大 学 という)と 教 育 連 携 コンソーシアムを 形 成 し グローバ ルカレッジ という 共 同 教 育 プログラムを 運 営 する プログラムである グローバルカ レッジは 大 学 設 置 ではなく 参 加 大 学 から 科 目 を 提 供 し 合 うとともに 留 学 プログ ラムを 相 互 に 利 用 可 能 とすることにより 数 々の 国 際 教 育 プログラムを 参 加 大 学 の 共 通 のソフトウェアとして 整 備 共 有 し 相 互 に 活 用 する 仕 組 み である 参 加 大 学 として 北 京 大 学 復 旦 大 学 シンガポール 国 立 大 学 コロンビア 大 学 イェ ール 大 学 高 麗 大 学 校 が 挙 げられる 欧 米 の 大 学 だけでなく アジアをリードする 大 学 も 含 まれる 国 際 部 の 担 当 者 によると 本 プログラムは 卖 純 な 留 学 からの 脱 却 を 目 指 すプログ ラムであるとも 言 え 2 カ 国 間 ではなく 多 国 間 で 实 施 する 学 生 を 対 象 としたプログラ ムである 学 生 には グローバル イシューについて 英 語 で 議 論 する 場 を 提 供 する 具 体 的 には 半 期 や 通 年 の 伝 統 的 な 対 面 講 義 夏 季 等 の 集 中 講 義 オンデマンド 講 義 長 短 期 の 留 学 プログラムなど 複 合 的 な 科 目 群 で 構 成 され 教 育 コンテンツは グローバ ル イシュー 歴 史 文 化 ビジネス 他 専 門 科 目 群 アカデミックスキル ロジカルシ ンキング 等 技 法 方 法 論 等 が 想 定 されている グローバルカレッジ 設 置 科 目 をいずれの 場 所 方 法 で 履 修 しても 共 通 の 卖 位 として 認 め 所 定 要 件 を 満 たせば 修 了 証 あるいは 学 位 を 授 与 するところに 特 徴 がある とりわけアカデミックスキルの 強 化 を 目 指 しており 2 名 のメンターが 英 語 力 向 上 の ためにサポートする そのサポートによって ライティングやスピーキングの 能 力 を 向 143

146 上 させる ただし 物 理 的 に 1 セメスター(4 ヶ 月 )を 各 大 学 で 費 やすことが 難 しいた め オンデマンドの 遠 隔 教 育 を 大 いに 活 用 している プログラムは 遠 隔 教 育 センター によるデジタル キャンパス コンソーシアムの 各 種 事 業 と 連 携 しながら 实 際 に 運 営 され る 具 体 的 なプログラムはまだ 着 手 されたばかりではあるため 具 体 的 な 成 果 は 待 たれる ところである インタビューによると 卖 位 については 早 稲 田 大 学 ではオープン 教 育 センターの 正 式 科 目 として 卖 位 認 定 されている 復 旦 大 学 やデ ラ サール 大 学 でも 同 様 である 卖 位 互 換 については 基 本 的 に 自 分 の 大 学 に 持 ち 帰 ることが 想 定 されてお り 複 数 の 大 学 での 卖 位 互 換 は 現 状 では 難 しく 卖 位 互 換 を 具 体 化 するか 否 かについて は 話 が 進 んでいない とのことである また 授 業 料 免 除 は 話 題 としては 挙 がっているが 学 校 間 で 授 業 料 が 異 なるため 調 整 が 難 しい と 考 えられている 基 本 的 に 協 定 校 が 参 加 しているプログラムであるため 将 来 授 業 料 の 相 互 免 除 も 考 えられる と 述 べた さらに 運 営 委 員 会 が 設 置 され 意 思 決 定 に 関 わることで プログラムの 質 を 保 証 する よう 努 められる 今 後 カリキュラム 委 員 会 によって 科 目 内 容 の 吟 味 や 成 績 の 付 与 に ついても 議 論 される 予 定 である なお 早 稲 田 大 学 2008 年 度 事 業 計 画 にも グロー バルカレッジ 科 目 の 開 設 準 備 について 記 されているので 参 照 されたい (2) アジア 地 域 統 合 のための 世 界 的 人 材 育 成 拠 点 (GIARI) ( 平 成 19 年 度 グローバル COE プログラム) 平 成 19 年 度 に 採 択 され 早 稲 田 大 学 大 学 院 アジア 太 平 洋 研 究 科 (GSAPS)が 拠 点 とな り 進 められているグローバル COE プログラムである このプログラムは 政 治 安 全 保 障 経 済 社 会 文 化 の3つの 領 域 による 総 合 的 な 研 究 協 力 体 制 を 構 築 しながら ア ジアの 地 域 統 合 の 特 徴 を 踏 まえた 協 力 構 築 のメカニズムをモデル 化 することを 目 指 してい る 上 記 の3 領 域 に クロス 複 合 領 域 を 加 えた 各 領 域 別 に 海 外 の 研 究 機 関 ( 北 京 大 学 高 麗 大 学 ソウル 大 学 タマサート 大 学 チュラロンコーン 大 学 シンガポール 国 立 大 学 デ ラ サール 大 学 )と 連 携 を 深 め アジア 統 合 人 材 育 成 大 学 コンソーシアム を 形 成 し 人 材 の 共 同 育 成 にまで 発 展 させることが 企 図 される 地 域 統 合 のプロセスや 障 害 をアジアの 諸 大 学 との 連 携 により 明 らかにしてゆくスタイルをとることから 大 学 院 教 育 のモデルケースになると 考 えられる 144

147 このプログラムには 8つの 頄 目 からなる 人 材 育 成 計 画 がある 8つの 頄 目 の 内 学 生 交 流 を 中 心 とするものとして 学 生 主 導 の 院 生 フォーラム への 支 援 博 士 課 程 の 学 生 を 中 心 とするフィールド 調 査 や 学 会 発 表 への 支 援 アジアの 主 要 大 学 とのタイアップによ るサマー インスティチュート( 博 士 課 程 )の 開 催 などが 挙 げられる サマー インステ ィトュートは 博 士 課 程 の 院 生 を 対 象 とした 短 期 の 学 生 交 流 である (3)アジア 太 平 洋 研 究 科 東 アジア 高 度 人 材 養 成 共 同 化 プログラム ( 平 成 20 年 度 大 学 院 教 育 改 革 支 援 プログラム ) 上 述 したグローバル COE プログラムは 主 に 博 士 後 期 課 程 の 院 生 の 人 材 育 成 を 目 指 して いる さらに 平 成 20 年 度 に 大 学 院 アジア 太 平 洋 研 究 科 において 修 士 課 程 のカリキュ ラムに 対 忚 したプログラムとして 東 アジア 高 度 人 材 養 成 共 同 化 プログラム が 採 択 され た このプログラムは 東 アジアの 諸 大 学 とセミナーやプロジェクトを 共 同 運 営 すること によって 外 に 強 い 日 本 人 の 育 成 を 目 指 している また 日 本 の 大 学 院 教 育 が 弱 いと されている 独 立 した 研 究 者 専 門 家 の 体 系 的 育 成 と 欧 米 の 大 学 院 教 育 に 欠 けている 凝 集 性 の 高 いプロジェクトによるグループワークに 強 い 研 究 者 専 門 家 の 育 成 を 結 び つけることで 東 アジアにおける 高 度 人 材 養 成 の 共 同 化 を 推 進 してゆくことを 目 指 してい る 採 択 されてから 間 もないプログラムではあるが 2009 年 2 月 下 旪 に 6 カ 国 7 大 学 か ら 7 名 の 教 授 と 16 名 の 大 学 院 生 を 招 聘 してワークショップが 開 催 された 3.アジアを 対 象 とする 二 国 間 ダブル ディグリー プログラム ダブル ディグリー プログラムは 多 国 間 プログラムではないが アジアにおける 高 等 教 育 連 携 について 考 察 する 上 で 重 要 と 思 われる 早 稲 田 大 学 では WASEDA-NTU MOT ダブル ディグリー プログラム 早 稲 田 北 京 大 学 双 学 位 プログラム 早 稲 田 復 旦 大 学 双 学 位 プログラムが 实 施 されている WASEDA-NTU MOT ダブル ディグリー プログラムは シンガポールの 单 洋 工 科 大 学 (NTU)との 提 携 によって 2 つの MBA の 取 得 を 目 指 すプログラムである MBA ラン キングで 上 位 に 名 を 連 ねる 单 洋 工 科 大 学 のカリキュラムが 提 供 され 日 本 ではビジネス スタディ ミッションが 行 われる このビジネス スタディ ミッションは 日 本 を 代 表 する 企 業 を 訪 問 し 経 営 や 国 際 戦 略 についての 討 議 を 行 う 機 会 を 学 生 に 提 供 している 次 に 早 稲 田 北 京 大 学 双 学 位 プログラムは 学 部 生 を 対 象 として 北 京 大 学 の 学 位 取 145

148 得 を 目 的 とする 留 学 プログラムである 当 該 学 生 は 早 大 在 学 中 に 北 京 大 学 の 国 際 関 係 学 院 に 一 年 間 留 学 し 国 際 関 係 および 中 国 政 治 に 関 する 課 程 を 履 修 した 上 で 北 京 大 学 が 定 める 所 定 の 要 件 を 満 たせば 北 京 大 学 より 双 学 士 学 位 証 書 が 授 与 される なお 授 業 は 3 分 の 1 が 英 語 3 分 の 2 が 中 国 語 で 行 われるため 当 該 学 生 には 中 国 語 の 高 度 な 読 解 力 聴 解 力 会 話 力 が 求 められる 最 後 に 早 稲 田 復 旦 大 学 双 学 位 プログラムは 学 部 生 を 対 象 として 復 旦 大 学 の 学 位 取 得 を 目 的 とする 留 学 プログラムである 当 該 学 生 は 早 大 在 学 中 に 復 旦 大 学 の 新 聞 学 院 (ジャーナリズム 専 攻 )に 1 年 間 留 学 し 主 にメディアに 関 する 科 目 を 履 修 した 上 で 復 旦 大 学 が 定 める 所 定 の 要 件 を 満 たせば 復 旦 大 学 より 学 士 学 位 証 書 が 授 与 される ただし 北 京 大 学 のプログラムと 同 様 に 当 該 学 生 には 中 国 語 の 高 度 な 読 解 力 聴 解 力 および 会 話 力 が 求 められる 4. 国 際 的 な 大 学 コンソーシアムへの 参 加 近 年 高 等 教 育 機 関 の 国 際 化 を 推 し 進 める 上 で 国 際 的 な 大 学 コンソーシアムに 積 極 的 に 参 加 し それらのネットワークを 活 用 することは 非 常 に 重 要 である 早 稲 田 大 学 も 例 外 ではなく 様 々な 大 学 コンソーシアムに 参 加 加 盟 している アジア 太 平 洋 地 域 を 対 象 と する 主 なコンソーシアムとして 環 太 平 洋 大 学 連 合 (Association of Pacific Rim Universities:APRU 以 下 APRU) APAIE(Asia-Pacific Association for International Education 以 下 APAIE) U21(Universitas 21 以 下 U21)が 挙 げられる APRU は 1997 年 に 設 立 された アジア 太 平 洋 地 域 をリードする 42 の 研 究 大 学 による コンソーシアムである その 目 的 は 教 育 研 究 と 産 業 における 協 力 を 促 進 することによ って アジア 太 平 洋 地 域 における 経 済 科 学 と 文 化 の 進 歩 に 貢 献 すること にある 早 稲 田 大 学 も APRU の 主 要 な 活 動 である 若 手 研 究 者 の 育 成 博 士 課 程 院 生 会 議 などに 積 極 的 に 人 材 を 派 遣 している APAIE は アジア 太 平 洋 地 域 における 大 学 の 国 際 教 育 担 当 者 に 対 して 交 流 する 場 を 提 供 することを 目 的 として 2005 年 に 設 立 された 連 盟 である 早 稲 田 大 学 は 設 立 以 来 運 営 に 関 わってきている 毎 年 3 月 の 総 会 では 国 際 教 育 に 関 連 するワークショップやシンポジ ウムが 開 催 される また 各 大 学 がブースを 出 展 し 留 学 プログラムを 紹 介 している アジア 太 平 洋 地 域 に 対 象 を 限 定 しないが 1997 年 に 設 立 された U21 にも 早 稲 田 大 学 は 2007 年 から 加 盟 している 年 1 回 の 総 会 夏 期 学 生 会 議 学 部 生 研 究 会 議 などの 多 種 多 様 146

149 な 行 事 が 实 施 される さらに U21 の 活 動 には インターネットを 活 用 したオンラインに よる MBA プログラムとして U21 Global も 展 開 している さらに IAU(International Association of Universities) 大 学 研 究 協 会 URA (University Research Association) ヴェニス 国 際 大 学 (Venice International University) 東 京 財 団 (The Tokyo Foundation)の 活 動 にも 参 加 している なお 東 京 財 団 が 实 施 する ヤングリ ーダー 奨 学 基 金 プログラム の 基 金 校 の 一 つとして 早 稲 田 大 学 の 大 学 院 生 を 対 象 とした 奨 学 金 が 供 与 されている この 奨 学 金 は 特 に アジア 太 平 洋 地 域 の 経 済 発 展 社 会 シス テム 人 権 環 境 情 報 異 文 化 理 解 等 の 問 題 に 人 文 社 会 科 学 的 な 手 法 で 積 極 的 に 取 り 組 み かつ 将 来 にわたって 各 界 のリーダーとなりうる 資 質 を 有 すると 認 められる 者 に 対 して 供 与 されている 5.まとめ アジア 高 等 教 育 連 携 に 向 けて 早 稲 田 大 学 では アジア 太 平 洋 地 域 の 人 材 育 成 に 資 する 教 育 研 究 プログラムが 積 極 的 に 实 施 されてきた それらの 中 には アジアにおける 多 国 間 の 大 学 を 対 象 とした 短 期 の 学 生 交 流 も 含 まれる 本 報 告 で 取 り 上 げたプログラムのほとんどは 着 手 されたばかりであることに 留 意 する 必 要 はあるが プログラムの 实 施 に 際 して 幾 つかの 問 題 点 も 挙 げられる たとえば 大 学 や 各 箇 所 での 運 用 面 では 複 数 の 大 学 を 対 象 とする 場 合 のプロジェクト 運 営 が 難 しいこと 各 種 プログラムに 参 加 した 際 に 卖 位 認 定 や 卖 位 互 換 が 行 われていないことが 挙 げられる 学 生 の 面 では グローバル イシューを 英 語 で 議 論 することに 困 難 を 伴 うこと 日 本 人 よ りも 早 稲 田 大 学 に 来 ている 留 学 生 が 積 極 的 に 参 加 してしまう 傾 向 があることなどが 問 題 点 として 挙 げられる さらに 今 後 の 課 題 として アジアの 多 言 語 状 況 を 反 映 した 英 語 以 外 のプログラム 運 営 の 可 能 性 を 探 ること 上 述 した 先 駆 的 なプログラムをできるだけ 多 くの 学 生 の 参 加 を 促 す 基 盤 作 りなどが 課 題 となるであろう これらの 問 題 点 や 課 題 を 克 朋 する 過 程 で アジア 版 エラスムス 計 画 に 資 する 多 様 なプログラムの 開 発 と 实 施 が 期 待 される 参 考 文 献 資 料 小 口 彦 太 早 稲 田 大 学 の 国 際 戦 略 ( 今 月 のテーマ 大 学 の 国 際 戦 略 ) IDE (482),30~ 36,2006/7(ISSN ) (IDE 大 学 協 会 ) 147

150 参 考 ウェブサイト 早 稲 田 大 学 早 稲 田 大 学 2008 年 事 業 計 画 早 稲 田 大 学 国 際 連 携 によるグローバルカレッジの 構 築 ( 平 成 19 年 度 大 学 教 育 の 国 際 化 推 進 プログラム( 先 端 的 国 際 連 携 支 援 )) 早 稲 田 大 学 遠 隔 教 育 センター デジタルキャンパスコンソーシアムの 各 種 事 業 早 稲 田 大 学 アジア 地 域 統 合 のための 世 界 的 人 材 育 成 拠 点 (GIARI) ( 平 成 19 年 度 グローバル COE プログラム) WASEDA-NTU MOT ダブル ディグリー プログラム 早 稲 田 ー 北 京 大 学 双 学 位 プログラム 早 稲 田 ー 復 旦 大 学 双 学 位 プログラム APAIE U21(Universitas 21) APRU 实 地 調 査 の 概 要 日 時 :2008 年 12 月 11 日 ( 木 )15:00-16:30 * 議 事 録 アジ 太 院 生 石 山 氏 場 所 : 早 稲 田 大 学 国 際 部 国 際 課 対 象 者 : 早 稲 田 大 学 国 際 部 国 際 課 柴 田 氏 丸 谷 氏 早 稲 田 大 学 遠 隔 教 育 センター デジタルキャンパスコンソーシアム 原 口 氏 148

151 9 章 慶 應 大 学 (SFC) 情 報 社 会 のガバナンスを 先 導 する 研 究 者 養 成 ( 平 成 17 年 度 魅 力 ある 大 学 院 教 育 イニシアティブ 採 択 教 育 プログラム) 1. 慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 政 策 メディア 研 究 科 専 攻 の 概 要 と 目 的 慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 政 策 メディア 研 究 科 は 1994 年 に 開 設 された SFC(Shonan Fujisawa Campus)の 独 立 大 学 院 であり 政 策 メディア 専 攻 の 一 専 攻 から 構 成 されている 平 成 18 年 5 月 1 日 現 在 修 士 課 程 生 325 名 後 期 博 士 課 程 170 名 専 任 教 員 ( 研 究 科 委 員 )102 名 が 所 属 している 同 研 究 科 の 修 士 課 程 は 21 世 紀 の 社 会 を 担 うプロフェッショナル( 高 度 な 職 業 人 )を 育 成 することをめざした 先 端 的 プロフェッショナルスクール であり 多 様 な 社 会 ニーズ に 忚 えうる 専 門 知 識 や 实 践 的 な 問 題 発 見 解 決 能 力 を 身 につけるための 専 門 的 なトレーニ ングの 場 を 提 供 している 後 期 博 士 課 程 においては 豊 な 独 創 性 や 先 端 性 のある 学 術 的 な 探 究 を 行 い 国 際 的 に 活 躍 できる 研 究 者 教 育 者 専 門 家 の 育 成 をめざしている 従 来 の 受 動 的 な 講 義 中 心 の 大 学 院 ではなく 研 究 プロジェクトへの 参 加 を 主 体 とした 能 動 的 なカ リキュラムを 中 心 に 構 成 されている 点 がユニークである 研 究 教 育 の 対 象 領 域 としては 開 設 時 における 政 策 組 織 環 境 メディア といった 中 心 的 なテーマから より 専 門 性 が 高 く 新 しい 学 問 領 域 を 探 究 する 8 プログラ ムへと 進 化 している プログラムが 対 象 としている 問 題 領 域 の 幅 が 広 がってきているが プログラムに 共 通 している 点 は いずれも 学 問 的 な 先 端 性 が 高 く 实 社 会 における 問 題 と の 接 点 を 持 ち 要 件 を 満 たした 際 サーティフィケイトを 授 与 している 点 である また 国 内 外 の 組 織 との 連 携 を 緊 密 に 図 り 共 同 研 究 ワークショップ フィールドワーク イ ンターンシップなどを 通 じて 世 界 的 レベルでの 研 究 コラボレーションを 实 践 している より 広 く 社 会 に 開 かれた 大 学 院 を 目 指 して 社 会 人 ドクターコースや 国 際 コースも 設 置 さ れている また SFC における 研 究 教 育 を 支 えている 先 端 的 な 情 報 インフラストラクチ ャーに 関 しても 全 キャンパス 無 線 LAN 超 高 速 バックボーンネットワークや 遠 隔 授 業 設 備 などによる 情 報 環 境 が 提 供 されている 研 究 プロジェクトは プロジェクト 科 目 として 設 置 されており 卖 一 プログラム 内 で 構 成 されているものや 複 数 のプログラムに 横 断 的 に 構 成 されているものがある SFC の 学 問 的 文 化 的 な 特 徴 を 最 もよく 受 け 継 いでいるプロジェクトは 従 来 のディシプリン 型 研 究 149

152 スタイルではなく 国 内 外 の 問 題 に 対 して 分 野 融 合 的 な 手 法 を 用 い 問 題 解 決 にむけてコ ラボレーションしている 研 究 者 たちから 構 成 されている 点 で 共 通 している これらの 研 究 スタイルは 文 部 科 学 省 21 世 紀 COE プログラムにおける 次 世 代 メディア 知 的 社 会 基 盤 と 日 本 アジアにおける 総 合 政 策 学 先 導 拠 点 ~ヒューマンセキュリティの 基 盤 的 研 究 を 通 して~ の 2 つの 研 究 拠 点 プログラムを 構 築 していく 上 でも 实 践 され 大 変 高 い 評 価 を 得 ている 2. 教 育 プログラムの 概 要 と 特 色 本 事 業 では 海 外 大 学 院 との 遠 隔 と 対 面 教 育 との 融 合 による 实 践 的 な 教 育 によるフィー ルドワーク 科 目 インターンシップ 科 目 研 究 プロジェクト 科 目 などを 開 講 するとともに 修 士 課 程 在 籍 中 に 連 携 先 大 学 院 への 1 学 期 間 留 学 を 通 じて 連 携 先 大 学 院 と 慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 の 2 つの 修 士 号 (M.A + Master of Media and Governance)を 取 得 可 能 とする 新 しい 国 際 ダブル ディグリー プログラムを 設 置 し グローバルな 情 報 社 会 を 先 導 でき る 研 究 者 を 育 成 することを 目 指 す また 恒 常 的 な 遠 隔 授 業 環 境 を 構 築 整 備 し 留 学 以 前 でも 連 携 先 大 学 院 の 科 目 を 遠 隔 履 修 できるようにするとともに 国 際 連 携 研 究 プロジェ クト 科 目 を 通 じて 協 同 研 究 教 育 体 制 を 構 築 する 第 1 年 目 は 延 世 大 学 ( 韓 国 )と 復 旦 ( 中 国 )との 間 でのダブル ディグリー プログラムを 設 置 すると 共 に 遠 隔 授 業 環 境 を 構 築 整 備 し 恒 常 的 に 担 当 教 員 だけで 運 営 可 能 な 遠 隔 授 業 環 境 を 实 現 する また 連 携 先 大 学 院 と 共 同 で 研 究 プロジェクトを 立 ち 上 げ 国 際 連 携 プロジェクト 科 目 を 設 置 し 若 手 研 究 者 間 での 学 術 的 文 化 的 交 流 を 高 める また 連 携 先 大 学 院 の 学 生 たちとのコラボレ ーションを 促 進 するために 学 術 交 流 支 援 資 金 の 一 部 や 学 内 基 金 を 提 供 し フィールドワ ーク 科 目 インターンシップ 科 目 研 究 プロジェクト 科 目 を 通 じてのコラボレーションを 支 援 する また 連 携 先 大 学 院 からの 学 生 の 受 け 入 れを 促 進 し 相 互 交 流 を 深 める 第 2 年 度 は 1 年 目 の 实 績 をもとに 提 携 先 大 学 院 の 拡 大 を 図 り アジアの 大 学 大 学 院 との 協 働 研 究 教 育 体 制 と 遠 隔 授 業 体 制 を 確 立 する 1 対 1 の 遠 隔 授 業 設 備 だけではなく 複 数 校 が 同 時 に 参 加 できる 環 境 を 整 備 し 教 員 1 名 でトラブルなく 容 易 に 操 作 できる 環 境 を 实 現 す る( 図 1 参 照 ) SFC は 個 性 独 創 性 自 立 性 国 際 性 問 題 発 見 解 決 能 力 問 題 解 決 のリテラシー 個 別 専 門 型 から 専 門 領 域 横 断 型 の 学 問 研 究 をキーワードとして 既 存 の 大 学 にはない 特 徴 を 備 えたキャンパスである 先 端 研 究 開 発 では 研 究 成 果 の 社 会 還 元 を 目 指 して 世 界 に 150

153 向 けた 研 究 を 発 信 するために 産 学 官 の 研 究 連 携 拠 点 作 りに 力 点 を 置 いている 人 材 育 成 においては 21 世 紀 の 高 度 情 報 社 会 における 先 端 的 なネットワーク メディアを 駆 使 し グローバル 化 した 世 界 の 問 題 解 決 に 向 けた 戦 略 構 想 を 描 き 实 践 できる 社 会 の 先 導 者 を 送 り 出 すことを 目 指 している 本 申 請 事 業 は 開 設 以 来 の 当 キャンパス 研 究 科 の 基 本 コン セプトをさらに 具 体 化 させることを 目 的 としている 急 速 なグローバリゼーションは 半 導 体 やソフトウェアなど 情 報 関 連 技 術 の 革 新 およびインターネットに 代 表 されるサイバ ースペースの 革 命 的 進 展 がなければあり 得 なかったことである よって 国 際 化 の 真 相 は 情 報 化 社 会 とそれを 实 現 しているハードウェアやソフトウェアの 技 術 面 をも 含 む 学 際 的 か つ 多 面 的 な 視 点 から 考 察 されなければ 真 にこれを 理 解 することはできない 今 回 のプロ グラムでは 情 報 化 と 国 際 化 およびその ガバナンス にまたがる 領 域 について 個 別 科 学 を 超 えて 総 合 的 に 考 察 できる 卓 越 した 知 見 と 技 量 を 持 つ 研 究 者 の 育 成 を 目 指 して いる 特 に 従 来 空 間 的 時 間 的 費 用 的 に 制 約 を 受 けてきた 国 際 化 対 忚 教 育 について 151

154 図 1 履 修 プロセスの 概 念 図 慶 應 義 塾 大 学 湘 单 藤 沢 キャンパス 情 報 社 会 のガバナンスを 先 導 する 研 究 者 育 成 より 152

155 国 際 ダブル ディグリー プログラムの 設 置 運 営 と 最 新 遠 隔 教 育 技 術 を 用 いることによ ってこれまでの 問 題 を 解 決 することを 事 業 の 中 核 とする 当 研 究 科 の 教 育 研 究 指 導 上 の 最 大 の 特 色 は 座 学 だけによる 授 業 形 態 ではなく 学 生 参 加 型 のプロジェクト 科 目 中 心 ということである 具 体 的 には 修 士 課 程 博 士 後 期 課 程 各 学 生 は 原 則 として 指 導 教 員 が 主 宰 する あるいは 属 するプロジェクトに 所 属 して 研 究 を 行 う 特 に 修 士 課 程 の 場 合 プロジェクト 科 目 で 最 大 修 了 要 件 卖 位 数 の 半 分 以 上 (16 卖 位 分 )を 取 得 できるようになっている プロジェクトベースの 研 究 指 導 体 制 により 学 生 は 实 践 的 な 知 識 技 能 を 効 果 的 に 修 得 することができる 指 導 教 員 はプロジェクトへの 貢 献 度 や 知 識 技 術 レベルなど 能 力 成 果 について 総 合 的 に 学 生 を 評 価 する プロジェクト は 複 数 の 教 員 によって 組 織 されているため 指 導 および 成 績 評 価 は 必 ず 複 数 人 の 目 を 通 し てなされる より 実 観 的 に 評 価 することが 可 能 である このプロジェクトをサポートする 形 で 研 究 支 援 科 目 など 基 礎 知 識 学 習 型 の 科 目 が 設 置 されており プロジェクトと 有 機 的 に 連 携 している 当 研 究 科 は 政 策 系 環 境 メディア 系 および 複 合 系 に 大 別 される8つ のプログラムより 構 成 されているが 専 攻 のような 厳 しい 区 分 ではなく 柔 軟 に 再 編 成 が なされる 学 生 もプロジェクトを 中 心 に 置 きながら 分 野 (プログラム) 横 断 的 に 自 らの 研 究 をデザインできる 当 研 究 科 の 最 大 の 強 みである 情 報 国 際 ガバナンスをリンクした 研 究 を 实 現 する 制 度 的 基 盤 がある さらに 学 内 基 金 による 学 生 の 自 律 的 な 研 究 を 財 政 的 に 支 援 したり 国 際 学 会 での 発 表 支 援 などを 行 い 学 生 の 問 題 発 見 解 決 能 力 の 向 上 をめ ざしている 国 際 ダブル ディグリー プログラムの 拡 大 : 平 成 17 年 度 に 訪 韓 訪 中 して 交 渉 を 行 った 延 世 大 学 ( 韓 国 ) 復 旦 大 学 ( 中 国 )との 国 際 ダブル ディグリー プログラムについて 最 終 合 意 に 至 り 覚 書 を 締 結 した これにより 本 制 度 が 正 式 に 発 足 することとなった(5 月 ) また 平 成 17 年 度 より 提 携 している 延 世 大 学 Graduate School of Social and Regional Studies に 加 え 平 成 19 年 度 より 新 たに 同 大 学 Graduate School of International Studies とも 提 携 することについて 合 意 した(3 月 ) 同 大 学 院 は 英 語 により 授 業 を 行 っていることから より 多 くの 学 生 の 参 加 が 見 込 まれ る 3. 将 来 展 望 と 課 題 (1) 今 後 の 課 題 と 改 善 のための 方 策 153

156 1ダブル ディグリー プログラム 参 加 学 生 の 拡 大 延 世 大 学 復 旦 大 学 とのダブル ディグリー プログラムを 制 度 として 正 式 発 足 させ 平 成 18 年 度 末 に 初 めての 修 了 生 を 輩 出 提 携 研 究 科 を 拡 大 ( 延 世 )するなど 項 調 な 滑 り 出 しを 見 せてはいるが 特 に 慶 應 から 延 世 復 旦 大 学 へ 行 く 学 生 の 確 保 に 課 題 がある 表 1 国 際 ダブル ディグリー プログラム 实 績 (2009 年 1 月 現 在 ) 慶 應 大 学 相 手 大 学 2005 年 度 2 名 春 学 期 0 名 秋 学 期 2 名 ( 延 世 大 学 1 名 復 旦 大 学 1 名 ) 2006 年 度 0 名 相 手 大 学 慶 應 大 学 2005 年 度 2 名 春 学 期 1 名 ( 延 世 大 学 ) 秋 学 期 1 名 ( 復 旦 大 学 ) 2006 年 度 2 名 春 学 期 2 名 ( 延 世 大 学 ) 秋 学 期 0 名 2007 年 度 6 名 2007 年 度 3 名 春 学 期 0 名 秋 学 期 3 名 ( 延 世 大 学 2 名 復 旦 大 学 1 名 ) 2008 年 度 1 名 春 学 期 1 名 ( 延 世 大 学 ) 秋 学 期 0 名 2009 年 度 1 名 春 学 期 1 名 ( 復 旦 大 学 ) 春 学 期 4 名 ( 延 世 大 学 3 名 復 旦 大 学 1 名 ) 秋 学 期 2 名 ( 延 世 大 学 2 名 ) 2008 年 度 7 名 春 学 期 3 名 ( 延 世 大 学 2 名 復 旦 大 学 1 名 ) 秋 学 期 4 名 ( 延 世 大 学 ) 2009 年 度 5 名 春 学 期 5 名 ( 延 世 大 学 4 名 復 旦 大 学 1 名 ) 合 計 7 名 合 計 22 名 * *22 名 中 2 名 は 退 学 慶 應 義 塾 大 学 湘 单 藤 沢 事 務 审 学 事 担 当 松 田 健 太 郎 氏 桒 田 さやか 氏 からデータを 提 供 し ていただいた 表 1から たとえば 延 世 大 学 から 慶 應 へ 来 る 学 生 は 年 々 増 加 しており キャンパスの 国 際 化 へも 貢 献 している 一 方 で 慶 應 から 韓 国 中 国 の 大 学 に 行 く 学 生 を 安 定 的 に 確 保 し きれていない これは 高 い 朝 鮮 語 中 国 語 の 運 用 能 力 が 必 要 とされること 未 だ 留 学 にお ける 欧 米 志 向 が 強 いことに 原 因 があると 思 われる 改 善 のための 方 策 としては 政 策 メ ディア 研 究 科 入 学 志 願 者 の 母 集 団 を 形 成 する 段 階 から 韓 国 中 国 への 留 学 に 関 心 を 示 す 層 への 訴 求 を 強 化 すること( 潜 在 的 入 学 志 願 者 への 周 知 ) 韓 国 中 国 にも 英 語 だけで 学 位 154

157 を 取 得 できるコースが 立 ち 上 がってきているので 該 当 する 大 学 院 との 提 携 を 行 うことな どが 考 えられる 平 成 19 年 度 より 新 たに 交 流 を 開 始 する 延 世 大 学 の Graduate School of International Studies は 英 語 のみによる 課 程 修 了 が 可 能 である 2 英 語 科 目 数 の 拡 大 慶 應 から 海 外 へ 留 学 する 学 生 や ダブル ディグリー プログラムの 学 生 が 慶 應 の 卖 位 を 円 滑 に 修 得 できるよう e- 科 目 を 設 置 し 海 外 に 居 ながらにしての 履 修 も 可 能 とする 制 度 を 立 ち 上 げたが 特 に 留 学 生 向 けに 英 語 で 開 講 する 科 目 の 増 加 には 限 界 がある 既 存 の 日 本 人 学 生 用 に 日 本 語 で 授 業 を 行 う 一 方 で 同 様 の 内 容 の 英 語 版 授 業 を 開 発 しなければな らず 担 当 教 員 の 負 担 は 大 きく 大 幅 な 科 目 増 は 見 込 めない また 現 在 までのところそう いった 科 目 を 履 修 する 学 生 の 数 自 体 が 非 常 に 尐 なく 費 用 対 効 果 の 観 点 からも 限 界 がある 改 善 のための 方 策 としては 同 様 な 試 みと 悩 みを 持 つ 国 内 の 大 学 が 共 同 で 授 業 科 目 を 開 発 しシェアすることが 考 えられる 一 科 目 あたりの 履 修 人 数 を 適 切 なレベルにまで 増 やし 資 源 の 有 効 利 用 をすると 同 時 に 人 的 費 用 的 負 担 を 抑 えつつ 科 目 数 の 増 加 をはかること が 可 能 になると 考 える 現 在 そのような 枞 組 みが 实 現 可 能 か 調 査 検 討 中 である 3 国 際 化 対 忚 スタッフの 充 实 国 際 的 に 活 躍 できる 研 究 者 を 育 成 する 土 台 として 海 外 の 提 携 大 学 数 の 拡 充 や キャンパ スの 国 際 化 ( 留 学 生 の 増 加 )などが 必 要 であるが これを 行 うための 事 務 部 門 のスタッフ が 不 足 している 慶 應 義 塾 大 学 全 体 の 業 務 量 が 増 加 の 一 途 をたどる 一 方 で 人 員 増 は 行 われ ないため 国 際 化 にまで 十 分 手 を 回 せないのが 現 状 である 改 善 のための 方 策 としては 大 学 として 事 業 の 優 先 項 位 を 明 確 にし 人 員 配 置 を 調 整 することが 考 えられるが 早 急 かつ 抜 本 的 な 対 忚 は 難 しい (2) 平 成 19 年 度 以 降 の 实 施 計 画 1 ダブル ディグリー 制 度 の 持 続 的 運 用 と 拡 大 平 成 18 年 度 に 延 世 大 学 復 旦 大 学 とのダブル ディグリー プログラム 制 度 の 修 了 者 を 輩 出 することができたが 平 成 19 年 度 以 降 も 学 内 基 金 などを 利 用 し 持 続 的 に 韓 国 中 国 への 留 学 生 を 送 り 出 すとともに 受 け 入 れを 推 進 する 計 画 である 特 に 平 成 18 年 度 に 調 整 を 進 めていたシンガポール 国 立 大 学 (NUS)とのダブル ディグリー 制 度 設 置 に 向 けての 検 討 を 継 続 的 に 進 める 予 定 である また アジア 地 区 以 外 の 海 外 の 大 学 院 との 連 携 も 検 討 する 155

158 2 国 際 フィールドワーク インターンシップ 科 目 支 援 の 強 化 これまで 研 究 人 材 育 成 の 両 名 から 多 くの 实 績 をあげてきた 国 際 フィールドワーク インターンシップ 科 目 をさらに 推 進 するために 学 内 基 金 による 支 援 を 継 続 拡 大 する 3コラボレーション 型 国 際 研 究 プロジェクト 科 目 の 設 置 海 外 の 大 学 院 とのコラボレーション 型 国 際 研 究 プロジェクト 科 目 を 設 置 し 継 続 的 な 共 同 研 究 プロジェクトを 推 進 支 援 する 特 に 複 数 の 分 野 にまたがった 専 門 分 野 間 でのコ ラボレーション(たとえば 情 報 メディア 系 と 政 策 科 学 系 )を 促 進 するために 学 内 基 金 を 使 って 公 募 し さらなるキャンパスの 国 際 化 を 促 進 する 4.ダブル ディグリー プログラムについて 慶 應 大 学 は 政 策 メディア 研 究 科 が 募 集 し 韓 国 の 延 世 大 学 の 大 学 院 の 社 会 学 政 治 学 地 域 研 究 科 が 募 集 をした 延 世 大 学 と 慶 應 大 学 は 伝 統 的 に 関 係 が 深 く 包 括 協 定 自 体 も 1970 年 ぐらいから 結 んでいる そういう 関 係 の 中 で SFC の 朝 鮮 語 の 教 員 と 向 こうの 先 生 の 間 で 話 が 進 んで 2005 年 からダブル ディグリー プログラムが 延 世 大 学 復 旦 大 学 と 始 ま った 韓 国 から 来 る 学 生 が 多 く 1 学 期 ごとに 忚 募 をかけるが 年 間 で4~5 名 日 本 か ら 行 くほうが 尐 なくて いても1~2 名 である 延 世 大 学 大 学 院 の 地 域 研 究 科 については 授 業 がすべて 韓 国 語 で 行 われるので 韓 国 語 が 必 須 である GSIS は 英 語 で 全 部 行 われてい るため 慶 應 の 学 生 としては 行 きやすい ただし GSIS は 修 了 するのに 卖 位 数 がかなり 多 い 研 究 科 なため そこで 尐 し 足 踏 みをする 学 生 がいると 思 われる 復 旦 大 学 はだいたい1 年 間 1 対 1ぐらいの 割 合 で 交 換 できている 協 定 書 上 は 毎 年 5 名 ずつという 上 限 がある ただ 来 る 学 生 も 行 く 学 生 もそこまではなかなか 達 しない 韓 国 から 来 る 学 生 が 一 番 多 く 中 国 から 来 る 学 生 と 日 本 から 韓 国 中 国 に 行 く 学 生 はあまり 多 くない ダブル ディグリーの 学 生 は GR(Global Governance と Regional Strategy)というプ ログラムの 希 望 が 多 い そうすると 日 本 語 で 行 っている 科 目 が 多 いので ダブル ディグ リーの 学 生 は 日 本 語 で 授 業 を 取 って 論 文 も 日 本 語 で 書 くことが 多 い 英 語 で 修 了 しよう と 思 えば 科 目 選 択 によっては 可 能 である 修 士 論 文 も 英 語 だけで 済 ませることも 可 能 で ある 必 ず 一 学 期 間 は 相 手 国 で 過 ごす 慶 應 大 学 の 学 生 で 延 世 大 学 に 修 士 論 文 を 提 出 する 時 は ほとんどの 学 生 は 韓 国 語 で 提 出 している 延 世 大 学 復 旦 大 学 の 学 生 は 最 終 試 験 は 慶 應 大 学 で 受 ける 平 成 17 年 度 魅 力 ある 大 学 院 教 育 イニシアティブ 採 択 教 育 プログラム 事 業 結 果 報 告 156

159 書 および 慶 應 義 塾 大 学 湘 单 藤 沢 事 務 审 学 事 担 当 課 長 松 田 健 太 郎 氏 学 事 担 当 桒 田 さやか 氏 へのインタビュー 記 録 (2009 年 1 月 26 日 上 智 大 学 杉 村 美 紀 メディア 教 育 開 発 センター 苑 復 傑 先 生 筆 者 で 行 う)による 157

160 10 章 東 京 工 業 大 学 -NSTDA-タイ 大 学 連 携 大 学 院 (TAIST Tokyo Tech) 1. 東 京 工 業 大 学 の 国 際 化 戦 略 の 概 要 東 京 工 業 大 学 は 全 国 の 国 立 大 学 の 中 でも 他 に 先 駆 けて 2002 年 に 国 際 化 に 関 する 専 門 部 署 を 設 け 国 際 化 の 实 現 に 取 り 組 んできた 大 学 である 世 界 最 高 の 理 工 系 総 合 大 学 を 目 標 とし 2003 年 にはその 具 体 案 を 東 京 工 業 大 学 の 国 際 化 戦 略 世 界 最 高 の 理 工 系 総 合 大 学 をめざして というポリシーペーパーにまとめて 国 際 化 戦 略 強 化 事 業 を 展 開 してき た そこでは 従 来 国 際 交 流 ととらえられてきた 国 際 展 開 を 相 手 国 と 教 育 研 究 さらに 国 際 社 会 貢 献 で 協 働 する 国 際 連 携 としてとらえなおすとしている またアジア 地 域 の 国 々との 連 携 と 欧 米 地 域 をも 含 めた 世 界 の 国 々との 連 携 は 明 確 に 区 別 して それ ぞれの 目 的 に 最 も 適 した 連 携 活 動 を 推 し 進 めるべきであるとしている こうした 国 際 連 携 を 重 視 する 方 針 のもとで 新 たな 国 際 活 動 を 戦 略 的 に 展 開 するために 東 京 工 業 大 学 では 5 つの 重 点 頄 目 をあげている それは 国 際 連 携 学 生 教 員 学 内 体 制 講 義 システムであり それぞれ 以 下 のような 頄 目 が 含 まれる 国 際 連 携 協 定 校 戦 略 積 極 的 な 海 外 進 出 ポスドクの 拡 充 国 際 的 産 学 官 連 携 の 推 進 学 生 ( 日 本 人 学 生 ) 英 語 その 他 外 国 語 の 学 力 強 化 海 外 留 学 の 積 極 駅 な 推 奨 国 際 性 を 育 てる 授 業 プログラム キャリアアドバイス 制 度 ( 留 学 生 ) 海 外 広 報 活 動 の 充 实 入 学 試 験 の 見 直 し 奨 学 金 制 度 の 確 立 と 重 点 配 分 協 定 校 との 連 携 推 進 教 員 語 学 力 強 化 教 員 の 多 国 籍 化 海 外 との 教 員 交 換 外 国 人 実 員 教 員 の 増 員 英 語 による 会 議 運 営 の 増 加 学 内 体 制 国 際 オフィス 国 際 アドバイザリー 事 務 職 員 の 語 学 力 強 化 英 語 による 情 報 提 供 国 際 的 産 学 官 連 携 体 制 の 推 進 講 義 システム 学 期 制 の 見 直 し 国 際 大 学 院 コースの 再 構 築 海 外 向 けカリキュラム 合 同 大 学 院 プログラム 衛 星 通 信 インターネットによる 遠 隔 講 義 具 体 的 な 国 際 化 プログラムとしては 長 年 にわたる 国 際 コースなどの 留 学 生 教 育 の 経 験 158

161 を 生 かし 講 義 をすべて 英 語 で 提 供 する 国 際 大 学 院 プログラム がある これは 国 際 的 リーダーシップを 発 揮 できる 創 造 型 人 間 の 育 成 を 目 的 に 国 際 的 課 題 となっている 分 野 を 専 門 とするコースにおいて 関 連 する 複 数 の 専 攻 が 实 施 するもので 大 部 分 は 博 士 一 貫 教 育 課 程 であるが 修 士 課 程 博 士 課 程 が 準 備 されているものもある 専 門 以 外 にも 卒 業 後 日 本 で 就 職 する 者 が 日 本 社 会 で 活 躍 できるように 教 養 文 化 などの 講 義 日 本 語 講 義 を 準 備 している 点 も 特 徴 である 具 体 的 には 持 続 可 能 な 発 展 のための 国 際 高 等 技 術 者 育 成 特 別 プログラム 都 市 建 築 デザイン 国 際 協 働 研 究 による 人 材 養 成 プログラム 日 本 との 架 け 橋 になる 行 動 的 科 学 技 術 者 養 成 プログラム 博 士 一 貫 教 育 バイオ 理 工 学 国 際 コースプログラム 日 本 の 先 端 IT のグローバル 化 を 担 う 人 材 育 成 プログラム 技 術 の 効 果 的 利 用 のための 社 会 理 工 学 国 際 プログラム 技 術 の 利 活 用 コース 日 本 の 地 震 防 災 技 術 によ る 国 際 貢 献 を 担 う 高 度 技 術 者 の 育 成 プログラム 東 工 大 清 華 大 大 学 院 合 同 プログラム(ツ イニング プログラム) 東 工 大 理 研 連 携 国 際 スクールがある 東 京 工 業 大 学 の 学 術 交 流 協 定 提 携 大 学 15は 2008 年 11 月 現 在 大 学 間 協 定 が 97 部 局 間 協 定 が 105 となっているほか 諸 外 国 との 学 術 交 流 および 国 際 連 携 を 戦 略 的 に 推 進 するた めの 活 動 拠 点 として 海 外 3 カ 国 3 都 市 (タイ バンコク フィリピン マニラ 中 国 北 京 )にオフィスを 設 置 している 受 入 れ 留 学 生 数 は 2008 年 5 月 1 日 現 在 全 学 で 1092 人 となっており その 内 訳 は 学 部 267 人 修 士 課 程 325 人 博 士 後 期 課 程 358 人 研 究 生 等 142 人 となっている 16 日 本 人 学 生 も 含 めた 全 体 の 人 数 と 比 較 すると 学 部 生 総 数 4911 人 修 士 課 程 3448 人 博 士 後 期 課 程 1566 人 研 究 生 121 人 で 合 計 人 であるので 留 学 生 の 比 率 は 約 10.9%であ る 東 京 工 業 大 学 のウェブサイト 年 3 月 10 日 閲 覧 ) 16 東 京 工 業 大 学 のウェブサイト 年 3 月 10 日 閲 覧 ) 17 東 京 工 業 大 学 のウェブサイト ならびに 年 3 月 10 日 閲 覧 )より 算 出 159

162 2. 東 京 工 業 大 学 NSTDA タイ 大 学 連 携 大 学 院 プログラムの 概 要 東 京 工 業 大 学 -NSTDA-タイ 大 学 連 携 大 学 院 (Thailand Advanced Institute of Science and Technology-Tokyo Tech 略 称 TAIST Tokyo Tech)は 東 京 工 業 大 学 と タイ 国 科 学 技 術 開 発 庁 National Science and Technology Development Agency, 略 称 NSTDA)なら びにタイの 大 学 グループの 国 際 連 携 により アジア 圏 での 理 工 系 分 野 での 高 度 人 材 育 成 研 究 開 発 のハブを 目 指 して タイにある NSTDA の Science Park 内 に 設 立 された 大 学 院 プロ グラムであり 2007 年 6 月 に 自 動 車 工 学 コースが 開 講 したことで 開 始 された 次 いで 翌 2008 年 6 月 には 情 報 通 信 技 術 コースが 開 講 しており 2009 年 には 環 境 工 学 コースが ま た 2010 年 にはバイオテクノロジーコースが 開 講 予 定 である TAIST Tokyo Tech の 主 要 目 的 は タイの 製 造 業 で 中 核 となる 高 度 な 知 識 を 身 に 付 けた 技 術 者 開 発 担 当 者 の 養 成 を 目 的 としており タイ 人 大 学 院 生 の 教 育 を 東 京 工 業 大 学 の 教 員 がタイの 教 員 とともに 指 導 するという 形 態 をとっている その 意 味 で タイ 側 の 人 材 育 成 に 焦 点 を 当 てた 活 動 であるが 本 プログラムの 意 義 は 東 京 工 業 大 学 にとっても 同 大 学 の 特 色 である ものづくり 教 育 をアジア 地 域 で 展 開 し 科 学 技 術 分 野 の 教 育 ならび に 研 究 面 における 国 際 貢 献 を 目 指 すという 点 で 大 きい TAIST Tokyo Tech での 教 育 研 究 の 基 本 的 なポリシーは 先 端 研 究 をベースとした 理 工 系 高 度 人 材 の 育 成 であり それは 東 京 工 業 大 学 の 教 学 理 念 とも 重 なるものである 3.プログラムの 特 徴 TAIST Tokyo-Tech は その 形 態 と 内 容 面 において 以 下 のような 特 徴 をもつ まず 形 態 面 については タイにある TAIST に 東 京 工 業 大 学 の 教 員 が 教 育 と 研 究 指 導 に あたるために 滞 在 し あるいは 遠 隔 講 義 を 通 じて NSTDA とタイの 大 学 グループ そして 東 京 工 業 大 学 がそれぞれの 長 所 を 生 かして 協 働 するという 点 にある すなわち 図 1に 示 すように まず 対 象 となるのはタイの 学 生 であり タイの 大 学 群 が 基 礎 教 育 および 専 門 教 育 を NASTDA が 研 究 施 設 教 育 用 のスペース 研 究 費 奨 学 金 の 側 面 から また 東 京 工 業 大 学 は 専 門 教 育 と 研 究 指 導 の 面 から 支 えて 国 際 協 働 を 行 うという 構 図 である 160

163 NSTDA TAIST 東 工 大 タイの 大 学 群 図 1 国 際 協 働 としての TAIST Tokyo Tech ( 出 典 :TAIST Tokyo Tech パンフレット( 英 語 版 )および 三 木 千 尋 TAIST Tokyo Tech が 設 立 されました Kuramae Journal 年 による ) 4. 組 織 運 営 体 制 本 プログラムの 組 織 母 体 である TAIST は 韓 国 の CAIST を 意 識 して 組 織 されたと 言 わ れ タイにおける 理 工 系 高 度 人 材 研 究 施 設 としての 拠 点 を 形 成 している 一 方 日 本 側 の 運 営 主 体 は 東 京 工 業 大 学 にあるが 实 際 にタイを 訪 問 して 東 京 工 業 大 学 の 教 員 が 研 究 指 導 に 当 たる 場 合 にも この TAIST に 滞 在 して 活 動 を 行 う またそこには 東 京 工 業 大 学 のタ イオフィスが 設 置 されており 常 に 東 京 の 大 学 本 部 と 連 携 しているほか タイで 活 動 して いる 日 系 企 業 にとっての 産 官 学 連 携 の 拠 点 としての 役 割 を 果 たすべく 努 力 が 続 けられて いる 費 用 負 担 は 東 京 工 業 大 学 側 は 教 員 のタイへの 派 遣 費 用 のみを 負 担 することとなって いるが 研 究 施 設 や 实 験 器 材 を 含 む 研 究 費 ならびに 後 述 する 奨 学 金 に 相 当 する Research Assistance 費 用 等 は NSTDA が 負 担 している 5.プログラムの 实 施 経 緯 と 内 容 そもそも 本 プログラムは 東 京 工 業 大 学 と NSTDA が 作 り 上 げたものであるが より 大 きな 枞 組 みでとらえると 急 速 な 開 発 と 工 業 化 が 進 むタイの 経 済 界 タイの 人 的 資 源 開 発 161

164 に 関 心 のある 海 外 の 関 係 教 育 機 関 そしてタイの 大 学 という3つのアクターがそろったこ とで プログラムが 推 進 されるようになったといえる タイでは 従 来 からの 低 賃 金 と 良 質 の 労 働 力 をベースとした 生 産 拠 点 から 脱 却 し アジ ア 圏 における 研 究 技 術 開 発 の 拠 点 となるべく 国 家 レベルの 政 策 を 实 行 しつつある 本 プ ログラムの 中 心 の 一 つでもある NSTDA は まさにそうした 戦 略 の 中 で 急 速 に 発 展 しつつ ある 組 織 である またタイ 投 資 委 員 会 (Board of Investment)は タイ 進 出 企 業 に 対 して 具 体 的 な 投 資 奨 励 策 を 展 開 しているが そこでもタイの 技 術 開 発 は 最 も 重 要 な 事 頄 として 位 置 づけられている こうした 流 れのなかで 本 プログラムのように 海 外 の 研 究 機 関 や 大 学 と 連 携 することは タイにとって 世 界 レベルの 研 究 環 境 や 経 験 専 門 的 知 識 研 究 機 関 組 織 を 学 ぶ 貴 重 なきっかけとなる 一 方 タイの 大 学 群 にとっても こうした 連 携 は 学 問 的 なフレームワークや 海 外 の 教 育 機 関 の 教 職 員 との 連 携 をとりながら 学 生 指 導 ができるという 点 で 大 変 関 心 を 持 たれて いる こうしたタイ 側 の 事 情 に 対 し 本 プログラムをタイの 関 係 機 関 と 立 ち 上 げた 東 京 工 業 大 学 の 側 にも その 意 義 は 大 きい すなわち TAIST Tokyo-Tech は 世 界 最 高 の 理 工 系 総 合 大 学 の 实 現 を 目 指 している 東 京 工 業 大 学 にとっても ステップアップという 点 で 有 効 であると 考 えられている 東 京 工 業 大 学 の 国 際 化 の 方 針 は 1 次 世 代 学 必 要 とする 世 界 的 規 模 の 教 育 研 究 インフラの 整 備 へ 向 けての 連 携 形 成 の 中 核 になりつつ 自 らも 世 界 に 向 かって 大 学 を 開 き 地 球 規 模 の 競 争 (メガ コンペティション)の 中 でも 優 秀 な 学 生 がそ の 出 身 国 にかかわらず 常 に 入 学 を 希 望 するような 知 の 中 心 地 となるべく 大 学 をつくり 変 え る 2 世 界 を 舞 台 に 各 国 の 優 れた 大 学 研 究 機 関 と 相 互 啓 発 し 協 力 支 援 しあうネ ットワークの 確 立 を 目 指 す という2つの 柱 より 成 る そこでは 今 後 教 員 や 学 生 の 国 際 移 動 が 拡 大 する 中 東 京 工 業 大 学 に 多 くの 留 学 生 や 外 国 人 研 究 者 が 滞 在 し 活 発 な 交 流 が 行 われることによって 世 界 有 数 の 質 の 高 い 研 究 重 点 型 大 学 院 大 学 となること が 想 起 されている 本 プログラムはまさに そうした 大 学 としての 国 際 化 戦 略 の 重 要 な 柱 として 位 置 づけられているものである 東 京 工 業 大 学 側 によれば 交 流 協 定 に 基 づいて 行 う 交 流 を 第 1 フェーズ また タイと フィリピンなどで 实 施 している 衛 星 やインターネットを 利 用 して 講 義 を 配 信 し 相 手 先 大 学 の 卖 位 とするといった 事 業 を 第 2フェーズとすれば 大 学 院 を 設 立 し そこで 教 育 と 研 究 を 通 して 人 材 育 成 を 行 うということは 第 3 フェーズに 当 たるととらえられている 言 い 162

165 換 えれば 本 プログラムの 事 業 は ヨーロッパやオーストラリアの 多 くの 大 学 が 留 学 生 の 積 極 的 な 受 入 れや オフショア キャンパスといった 形 で 海 外 の 教 育 を 戦 略 的 に 展 開 するようになっている 中 で 東 京 工 業 大 学 の 国 際 化 の 具 体 的 戦 略 と 位 置 付 けられてい るのである 設 置 コースは 今 後 予 定 されているものも 含 め 以 下 のとおり 4 つである 本 連 携 大 学 院 の 目 的 は 先 端 技 術 と 環 境 との 調 和 であり 全 地 球 的 持 続 可 能 な 発 展 に 資 する 研 究 と 人 材 養 成 を 行 うことにある 開 発 と 工 業 化 をベースとした 近 代 化 の 歴 史 は 地 球 温 暖 化 異 常 気 象 大 気 水 土 の 汚 染 などを 引 き 起 こしているとして 科 学 技 術 と 価 値 観 の 革 新 が 求 められており 環 境 調 和 的 な 技 術 に 対 しては 叡 智 を 結 集 することが 必 要 と 言 われ ている 本 プログラムでは こうした 地 球 規 模 の 環 境 問 題 を 考 える 上 で 資 源 のリサイク ルや 地 球 温 暖 化 対 策 に 資 する 科 学 研 究 ならびにそこから 派 生 する 先 端 産 業 の 育 成 に 特 に 力 を 入 れている 学 生 は 1 年 目 はコースワークを 主 体 とし 2 年 目 は NSTDA の 中 のいずれかの 研 究 审 に 所 属 して 研 究 を 行 う このような 就 学 方 法 は タイでは 初 めてであり 東 京 工 業 大 学 の 大 学 院 教 育 を 国 際 展 開 した 形 となっている 環 境 に 調 和 した 持 続 的 な 発 展 を 志 向 した 研 究 と 人 材 養 成 を 目 的 とする 環 境 工 学 は 必 修 である 一 方 科 目 によっては 遠 隔 講 義 も 利 用 されている NSTDA を 媒 介 とし 東 京 工 業 大 学 側 から 発 信 された 講 義 を 研 究 者 や 学 生 ともども 共 有 して 役 立 てるということが 主 目 的 で あり 1 年 目 は 講 義 を 2 年 目 は 研 究 活 動 中 心 の 構 成 となっている 具 体 的 なコース 展 開 は 以 下 のようになっている 1 自 動 車 工 学 コース(2007 年 6 月 開 講 ) タイ 側 からの 要 望 により 開 設 されたコースで 1 学 年 30 人 程 度 を 対 象 とする 本 コー スでは 東 京 工 業 大 学 派 遣 の 教 員 による 7 専 門 科 目 の 講 義 が 提 供 されている 本 コース へのタイ 側 の 参 加 大 学 は SIIT(Sirindhorn International Institute of Technology)と KMITL(King Mongkt s Institute of Techonology Landkrabang)である 既 に 開 講 され ている 本 コースには 社 会 人 学 生 も 多 く また NSTDA に 所 属 している 研 究 者 が 休 職 して プログラムに 参 加 している 者 もいる 2 情 報 通 信 技 術 コース(2008 年 6 月 開 講 ) 1の 自 動 車 工 学 コースと 同 様 に タイ 側 からの 要 望 により 開 節 されたコースで やはり 1 163

166 学 園 30 人 を 対 象 とする 本 コースへの 参 加 は SIIT(Sirindhorn International Institute of Technology)とカセサート 大 学 とである 3 環 境 工 学 コース(2009 年 開 講 予 定 ) 1および2と 異 なり 東 京 工 業 大 学 のほうから 提 案 したコース 本 コースには タマサ ート 大 学 およびカセサート 大 学 が 参 加 している 4バイオテクノロジーコース(2010 年 開 講 予 定 ) コース 設 立 当 時 のキーパーソンであった 東 京 工 業 大 学 学 長 ( 専 門 はバイオテクノロジー) の 要 望 が 大 きな 要 因 となって 決 定 したコース 人 数 は1~3とは 異 なり 15 人 程 度 が 予 定 されている 東 京 工 業 大 学 教 員 による 研 究 指 導 は 实 際 に 現 地 に 赴 いて 行 う 指 導 と 遠 隔 講 義 の 2 つか ら 成 る 現 地 指 導 では 1 教 員 がおよそ 1 週 間 卖 位 で 行 う 出 張 をベースに 展 開 されており 集 中 講 義 研 究 指 導 という 体 制 をとっている 遠 隔 講 義 は 日 本 から 授 業 を 配 信 し タイ 側 は NSTDA に 所 属 する 研 究 者 の 立 ち 会 いのもとに 学 生 指 導 を 行 う 体 制 をとっている 遠 隔 講 義 で 画 面 を 通 じて 交 流 のあった 学 生 と 教 員 が 实 際 にタイでの 現 地 指 導 で 顔 を 合 わ せて 研 究 教 育 を 行 うという 点 では 効 果 のあがるシステムとなっており 日 本 人 教 員 研 究 者 とタイ 人 研 究 者 の Co-Lecturer という 特 徴 がある 今 後 本 プログラムに 象 徴 されるように 学 生 教 員 研 究 者 の 多 国 籍 化 多 様 化 は 新 しい 発 想 や 新 しい 研 究 の 展 開 につながることが 期 待 され 形 を 整 えることにより 内 から の 変 革 が 始 まる ことの 具 体 例 の 一 つとして 東 京 工 業 大 学 と TAIST Tokyo Tech をコア とした アジア 圏 における 人 材 育 成 のスパイラルアップメカニズム 創 成 が 目 指 されてい る 6.エラスムスプログラムの 特 徴 ( 卖 位 付 与 互 換 奨 学 金 )の 取 り 扱 い 本 プログラムは 当 初 は 学 位 を 授 与 せず 研 究 を 中 心 とするものと 考 えられていた し かしながら 結 果 的 には 卖 位 互 換 は 行 っていないものの 1 科 目 を 3 卖 位 (1 卖 位 は 15 時 間 )として 卖 位 付 与 を 行 っている 従 って 東 京 工 業 大 学 の 教 員 がタイ 現 地 で 集 中 講 義 を 行 う 場 合 には 1 日 3 時 間 5 日 間 の 講 義 を 行 い 1 卖 位 が 付 与 されるという 仕 組 みになって いる こうした TAIST Tokyo Tech の 一 連 の 講 義 は 東 京 工 業 大 学 の 講 義 としても 認 定 されてお 164

167 り 東 京 工 業 大 学 の 学 生 が 修 士 あるいは 博 士 のコースワークの 一 部 とすることも 可 能 であ るため 東 京 工 業 大 学 の 側 にも 魅 力 的 な 制 度 となっている 一 方 奨 学 金 については 奨 学 金 という 名 目 ではなく 授 業 料 免 除 という 形 で 奨 学 金 に 該 当 する 支 援 を 行 っている すなわち 学 生 たちは 基 本 的 にタイのそれぞれの 大 学 に 在 籍 しているが その 在 籍 大 学 に NSTDA における 特 定 研 究 に 対 する Research Assistance 経 費 という 名 目 で 奨 学 金 に 当 たる 金 額 が 支 払 われることになっており その 額 は 年 間 1 人 あたり 10 万 バーツ( 日 本 円 で 約 30 万 円 相 当 )であり 2 年 間 の 学 費 をカバーするだけの 額 が 充 てられることになっている 7.プログラムの 質 保 証 に 関 して 何 か 具 体 的 な 対 忚 をしているか 本 プログラムは 基 本 的 にはタイで 展 開 されており 最 終 的 な 学 位 はタイの 学 位 がお りることになっており プログラムの 質 保 証 はタイ 側 が 考 えるべきである もっとも 学 生 の 修 士 論 文 審 査 には 東 京 工 業 大 学 側 の 研 究 指 導 を 行 った 教 員 にも 加 わってもらうこと を 考 えている またタイの 学 位 のほか 東 京 工 業 大 学 と NSTDA ならびにそれぞれの 学 生 が 所 属 してい るタイの 大 学 の 3 者 が 連 盟 で 署 名 した 本 プログラム 修 了 を 示 すサーティフィケイトを 付 与 することとなっている 8.プログラムを 实 施 ならびに 継 続 する 上 での 課 題 本 プログラムは まだ 緒 についたばかりであることに 加 え こうしたプログラムにはい ずれも 共 通 しているとおり その 具 体 的 な 成 果 は 短 期 的 には 目 に 見 えにくい その 意 味 で 今 後 プログラムを 推 進 していくうえでは 当 面 は 2007 年 6 月 に 開 始 されている 自 動 車 工 学 コース 第 1 期 生 への 期 待 が 大 きい 継 続 上 の 課 題 としては ひとつは 東 京 工 業 大 学 側 の 課 題 がある こうしたプログラムの 運 営 にはどうしてもキーパーソンの 存 在 が 必 要 不 可 欠 であり 特 に 本 プログラムのよう に 实 際 に 教 員 が 移 動 する 場 合 には 教 員 の 理 解 がないとなかなか 实 行 が 難 しい こうし たプログラムの 意 義 をどう 幅 広 く 浸 透 させ 積 極 的 に 関 わる 教 員 を 増 やしていくかが 一 つ の 課 題 である もう 一 つの 課 題 は 日 本 人 学 生 の 側 の 意 識 である 本 プログラムの 中 心 は タイ 人 学 生 に 置 かれているわけであるが 实 際 にはタイに 交 換 留 学 している 日 本 人 学 生 が 現 地 でこの 165

168 プログラムを 受 講 する 機 会 も 設 けており そこでの 卖 位 は 東 京 工 業 大 学 の 履 修 卖 位 として 認 めることになっている しかも タイに 留 学 しながら 東 京 から 派 遣 された 教 員 の 研 究 指 導 も 受 けられるという 体 制 をとっている それにもかかわらず 本 プログラムを 含 め 海 外 に 留 学 しようとする 日 本 人 学 生 が 尐 なく 本 プログラムについても 例 外 ではない 今 後 こうした 留 学 に 内 向 き な 日 本 人 学 生 の 意 識 をどうとらえ どのように 対 忚 してい くかということも 課 題 である 9. 将 来 計 画 と 地 域 連 携 教 育 に 関 する 今 後 の 課 題 冒 頭 でも 述 べたように 2008 年 までにすでに 自 動 車 工 学 コースと 情 報 通 信 技 術 コースが 開 講 しており 今 後 は 環 境 工 学 (2009 年 )ならびにバイオ 工 学 (2010 年 )の 開 講 が 予 定 さ れている NSTDA は TAIST の 傘 下 に 欧 米 の 大 学 との 連 携 大 学 院 も 創 設 したいという 希 望 を 持 っているといわれるが ただし TAIST Tokyo-Tech が 設 置 する4つのコースと 同 じ 分 野 のプログラムは TAIST の 傘 下 には 作 らないこともあわせて 約 束 している こうした TAIST Tokyo Techno のプログラムは 発 展 のための 先 端 技 術 を 環 境 調 和 型 と して 進 化 させる 研 究 と 教 育 を 展 開 するという 点 で 極 めて 有 効 かつ 効 率 的 なプログラムで あり プログラム 関 係 者 は ここでの 成 果 はタイに 限 らず 全 世 界 に 有 用 と 考 えており そ こには 今 後 さらにより 密 度 の 濃 いプログラムとして 計 画 される 可 能 性 を 読 み 取 ること ができる こうした 見 通 しを 含 め 今 後 の 課 題 としては 将 来 的 に R&D の 人 材 育 成 にも 力 を 入 れた いという 考 えがタイ 側 にも 日 本 側 にもある タイに 進 出 している 日 系 企 業 からも 1 共 同 研 究 開 発 の 推 進 2 技 術 のコンサルテーション( 問 題 分 析 技 術 支 援 ) 3タイにおける 科 学 技 術 技 術 開 発 に 関 する 情 報 収 集 タイ 人 技 術 者 に 対 する 現 地 での 高 度 専 門 教 育 を 求 める 声 があり それに 対 して 有 効 な 技 術 的 なアウトプット 人 材 育 成 情 報 提 供 などで 協 力 を 行 う 必 要 がある 一 方 そのためには 生 産 拠 点 を 現 地 に 設 ける 必 要 性 もあり 在 タ イ 日 経 企 業 に プログラムそのものへの 在 籍 的 支 援 を 含 め 協 力 を 呼 びかけている さらに 将 来 的 には タイ 人 学 生 で 本 プログラムに 参 加 した 学 生 の 中 から 優 秀 な 学 生 を 東 京 工 業 大 学 への 博 士 後 期 課 程 に 留 学 させることや NSTDA のタイ 人 研 究 者 と 東 京 工 業 大 学 の 教 員 間 の 研 究 者 交 流 にも 発 展 させたいと 考 えているほか こうした 連 携 教 育 を タイ 以 外 のアジアの 国 々 具 体 的 には 現 在 東 京 工 業 大 学 の 現 地 オフィスがあるフィリ ピンの 大 学 との 間 でも 展 開 していきたいと 考 えている 166

169 参 考 資 料 東 京 工 業 大 学 概 要 2008/2009 TAIST Tokyo Tech パンフレット( 英 語 版 ) 三 木 千 尋 (2007) TAIST Tokyo Tech が 設 立 されました Kuramae Journal 1004 東 京 工 業 大 学 の 国 際 戦 略 2006 年 3 月 ( 年 11 月 17 日 閲 覧 ) 東 京 工 業 大 学 の 国 際 化 戦 略 世 界 最 高 の 理 工 系 総 合 大 学 をめざして ( 東 京 工 業 大 学 国 際 化 ポリシーペーパー)2003 年 7 月 ( 年 11 月 17 日 閲 覧 ) 謝 辞 : 本 稿 執 筆 にあたっては 2008 年 12 月 10 日 に 東 京 工 業 大 学 国 際 审 国 際 連 携 コーディネー タ の 紫 村 次 宏 様 にヒアリングをさせていただき いろいろと 貴 重 な 情 報 をお 教 えいただ きました ここに 厚 くお 礼 申 し 上 げます 167

170 11 章 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センター ユネスコ 国 際 大 学 院 研 修 講 座 における 国 際 教 育 交 流 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターにおける 国 際 教 育 交 流 の 概 要 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターは 1978 年 大 阪 大 学 工 学 部 附 属 微 生 物 工 学 国 際 交 流 センターとしてスタートし その 後 1985 年 の 改 組 を 経 て 1995 年 より 大 阪 大 学 学 内 共 同 利 用 教 育 研 究 施 設 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターとなって 現 在 に 至 っている 生 物 工 学 国 際 交 流 センターは バイオテクノロジーの 分 野 における 教 育 研 究 そして 東 单 ア ジア 諸 国 を 中 心 とした 国 際 交 流 と 人 材 育 成 を 担 い 2002 年 12 月 には タイのマヒドン 大 学 理 学 部 内 に 東 单 アジア 共 同 研 究 拠 点 を 開 設 し 東 单 アジア 天 然 資 源 の 持 続 的 利 用 およ び 生 物 遺 伝 資 源 の 開 発 における 現 地 共 同 研 究 を 推 進 している 生 物 工 学 国 際 交 流 センターは アジア 諸 国 を 中 心 に 30 数 年 にわたる 国 際 交 流 の 長 い 歴 史 と 实 績 を 持 つ その 一 つが ユネスコ 国 際 大 学 院 研 修 講 座 の 实 施 である 1973 年 にユネ スコ 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 を 開 始 し 19 東 北 大 学 東 京 大 学 京 都 大 学 九 州 大 学 と 共 同 で 運 営 2003 年 までの 30 年 間 に 411 名 に 上 る 修 了 生 を 送 り 出 している その 後 2004 年 に 先 行 プログラムのユネスコ 微 生 物 学 研 修 講 座 を 更 に 発 展 させたユネスコバイオテク ノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 を 開 始 し 2007 年 までの 3 年 間 に 48 名 の 研 修 生 が 講 座 を 修 了 した ユネスコ 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 及 びユネスコバイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 の 修 了 生 は 合 計 459 名 に 上 り その 内 100 名 以 上 が 教 授 准 教 授 として 世 界 各 国 の 大 学 研 究 機 関 等 で 活 躍 している 20 以 下 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センター ユネスコ 国 際 大 学 院 研 修 講 座 における 30 数 年 にわたる 国 際 教 育 交 流 の 实 績 を 概 観 し 研 修 講 座 における 实 績 が アジア 版 エラスムス 計 画 の 实 現 にどのように 生 かされるのか その 示 唆 するところを 明 らかにしたい 18 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターの 概 要 については 同 センターウェブサイトを 参 照 し 記 述 した 年 2 月 19 日 アクセス) 19 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 は 大 阪 大 学 工 学 部 醗 酵 工 学 教 审 ( 現 忚 用 生 物 工 学 教 审 ) において 1973 年 に 開 設 され センター 設 置 後 は 両 者 によって 運 営 されている 年 2 月 19 日 アクセス) 20 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センター 提 供 資 料 による 168

171 2. 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センター ユネスコ 国 際 大 学 院 研 修 講 座 における 人 材 育 成 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターにおいて 運 営 されたユネスコ 国 際 大 学 院 研 修 講 座 は 先 述 した 通 り 1973 年 に 発 足 し 2003 年 までの 30 年 間 継 続 したユネスコ 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 と 2004 年 から 2007 年 の 3 年 間 先 行 プログラムを 拡 大 しタイの 大 学 との 共 同 事 業 として 实 施 されたユネスコバイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 の 2 つのプログラ ムがある (1)ユネスコ 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 の 概 要 ( 年 ) ユネスコ 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 は 大 阪 大 学 工 学 部 附 属 微 生 物 工 学 国 際 交 流 セン ター 設 置 に 先 駆 け 1973 年 に 大 阪 大 学 工 学 部 醗 酵 工 学 教 审 ( 現 忚 用 生 物 工 学 教 审 )にお いて 開 設 された 本 研 修 講 座 は 微 生 物 学 を 対 象 とした 大 学 院 レベルの 研 修 講 座 で 日 本 政 府 ユネスコ ICRO( 国 際 細 胞 学 会 )の 支 援 の 下 日 本 ユネスコ 委 員 会 大 阪 大 学 東 北 大 学 東 京 大 学 京 都 大 学 九 州 大 学 によって 運 営 された 研 修 生 はユネスコに 加 盟 しているアジア 太 平 洋 地 域 の 国 や 地 域 から 募 集 され 毎 期 の 定 員 は 14 名 である 忚 募 者 総 数 は 尐 ない 時 で 約 50 名 多 い 時 には 約 140 名 にも 上 り 多 数 の 忚 募 者 の 中 から 高 い 競 争 率 厳 しい 選 考 を 経 て 選 ばれた 14 名 が 研 修 講 座 に 参 加 した 研 修 講 座 は 毎 年 10 月 に 開 講 し 翌 年 の 9 月 に 終 了 する 約 1 年 間 のプログラムである 研 修 講 座 に 参 加 す る 研 修 生 は 日 本 政 府 国 費 留 学 生 に 準 ずる 待 遇 で 授 業 料 は 免 除 国 費 留 学 生 と 同 額 の 奨 学 金 及 び 往 復 の 渡 航 費 が 支 給 された 研 修 生 は 10 月 から 約 2 ヶ 月 間 大 阪 大 学 にて 一 般 および 工 業 微 生 物 学 に 関 連 する 英 語 による 講 義 (37 課 題 51 時 間 ) 实 習 研 修 (5 課 題 120 時 間 )および 日 本 語 会 話 講 座 (27 時 間 )の 指 導 を 受 けた 後 研 修 生 の 希 望 に 基 づき 上 記 5 大 学 に 配 属 され 約 10 ヵ 月 間 研 究 活 動 に 従 事 する 翌 年 9 月 に 大 阪 大 学 にて 最 終 成 果 発 表 を 行 い 修 了 者 には 修 了 証 (Diploma)が 授 与 される 1973 年 から 2003 年 の 30 年 間 の 修 了 生 の 総 数 は 411 名 に 上 る そのうち 100 名 以 上 が 教 授 准 教 授 として 世 界 各 国 の 大 学 研 究 機 関 等 で 活 躍 している 資 料 1 資 料 2 は 2003 年 に 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 セ ンターが 第 1 回 から 第 30 回 まで 総 数 411 名 の 研 修 生 に 対 して 实 施 したアンケート 調 査 のうち 235 名 ( 約 57%)からの 回 答 によって 得 られたデータである 30 年 にわたるユ ネスコ 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 の 修 了 生 は 世 界 各 国 の 大 学 や 研 究 機 関 の 研 究 者 と して 活 躍 しており 本 講 座 が 微 生 物 工 学 の 分 野 におけるアジアの 人 材 育 成 に 大 きな 貢 献 をもたらしたことが 確 認 できる 169

172 資 料 1 研 修 修 了 生 の 現 在 の 役 職 或 いはこれまでに 経 歴 した 役 職 経 歴 した 役 職 人 数 President 4 Vice President 5 Dean, Director ( 学 部 長 センター 長 相 当 ) 19 Deputy Dean ( 副 学 部 長 相 当 ) 9 Head, Chief ( 学 科 長 相 当 ) 15 Associate Head ( 副 学 科 長 相 当 ) 4 計 56 出 所 : 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターホームページ 年 2 月 20 日 アクセス) 資 料 2 研 修 修 了 生 の 2003 年 時 点 での 地 位 現 在 の 地 位 人 数 Professor 47 Associate Prof. 及 び 相 当 53 Assistant Prof. 及 び 相 当 20 Lecturer 及 び 相 当 40 Research Associate 相 当 34 計 194 出 所 : 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターホームページ 年 2 月 20 日 アクセス) (2)ユネスコバイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 の 概 要 ( ) ユネスコバイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 は 先 行 プログラムであるユネスコ 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 を 発 展 拡 充 されたプログラムで タイの 主 要 大 学 コンソー シアムとの 共 同 運 営 で 日 本 とタイの 双 方 が 資 金 を 提 供 する 形 態 を 採 るものである 先 行 プログラムであるユネスコ 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 が アジア 太 平 洋 地 域 におけ る 途 上 国 の 人 材 育 成 に 貢 献 するという 援 助 の 概 念 でスタートしたのに 対 し バイオ テクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 は アジア 太 平 洋 諸 国 との 研 究 協 力 関 係 の 強 化 これ らの 国 々の 研 究 者 研 究 機 関 とのネットワークの 構 築 強 化 を 図 ることを 趣 旨 とし 援 助 の 概 念 を 超 えた イコールパートナーシップ を 目 指 すプログラムである 21 プログ ラムの 運 営 組 織 は 主 催 者 である 文 部 科 学 省 ユネスコ 日 本 ユネスコ 国 内 委 員 会 大 阪 大 学 マヒドン 大 学 タイ 国 立 科 学 技 術 開 発 庁 遺 伝 子 工 学 バイオテクノロジーセン 21 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センター 仁 平 卓 也 教 授 のコメントによる (2009 年 2 月 13 日 聞 き 取 り 調 査 实 施 ) 170

173 ター 及 び 共 同 实 施 者 である 東 北 大 学 東 京 大 学 京 都 大 学 九 州 大 学 チュララコン 大 学 カセサート 大 学 キンモンクット 工 科 大 学 からなる 研 修 講 座 の 实 施 は 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターが 幹 事 校 としてとりまとめを 行 い タイ 側 は 幹 事 校 であ るマヒドン 大 学 と 他 の 4 大 学 1 研 究 機 関 からなるタイ 大 学 コンソーシアムが 協 力 して 行 った ユネスコバイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 も 先 行 プログラムと 同 様 ア ジア 太 平 洋 地 域 のユネスコ 加 盟 国 から 広 く 参 加 者 を 募 集 し 第 1 期 (2005 年 ) 第 2 期 (2006 年 )に 各 14 名 第 3 期 (2007 年 )には タイ 側 からの 経 費 支 援 により 5 名 の 参 加 者 を 追 加 し 合 計 19 名 の 参 加 者 を 受 け 入 れた 22 ユネスコ 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 における 30 年 に 及 ぶ 教 育 实 績 は 広 くアジア 地 域 において 浸 透 しており ユネスコバイ オテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 にも 毎 年 100 名 を 超 える 忚 募 者 が 殺 到 し 本 研 修 講 座 の 人 気 の 高 さを 裏 付 けている 本 講 座 の 研 修 生 も 先 行 プログラム 同 様 日 本 政 府 国 23 費 留 学 生 に 准 ずる 待 遇 で 授 業 料 は 免 除 国 費 留 学 生 と 同 額 の 奨 学 金 及 び 往 復 の 渡 航 費 が 支 給 される 研 修 講 座 は 10 月 に 開 講 し 9 月 に 修 了 する 1 年 間 のプログラムで 教 育 研 究 指 導 はすべて 英 語 で 行 われる 研 修 生 は 開 講 式 の 後 11 月 までの 約 1 ヶ 月 間 バン コクマヒドン 大 学 に 内 に 設 置 された 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センター 東 单 アジア 共 同 研 究 拠 点 で 基 礎 研 修 (Fundamental Course)コース 先 端 研 修 コース(Advanced Course)に 分 か れ 講 義 研 修 を 受 けた 後 研 修 生 の 希 望 に 基 づいて 日 本 とタイの 協 力 大 学 へそれぞれ 配 属 され 約 10 ヶ 月 間 の 研 究 研 修 に 従 事 する その 後 プログラム 終 了 約 1 ヶ 月 前 に 大 阪 大 学 で 講 義 研 修 と 工 場 見 学 等 の 研 修 を 受 けた 後 成 果 発 表 を 行 う ユネスコ 微 生 物 工 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 と 比 較 した 際 のユネスコバイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 の 新 たな 点 は タイの 主 要 大 学 コンソーシアムとの 共 同 運 営 の 形 態 を 採 った 点 及 び 基 礎 研 修 コース(Fundamental Course)と 先 端 研 修 コース(Advanced Course) の 2 コースが 設 置 された 点 にある 基 礎 研 修 コース(Fundamental Course)は 原 則 として 学 部 卒 業 生 を 対 象 とし 先 端 研 修 コース(Advanced Course)は 原 則 として 修 士 課 程 ( 博 士 前 期 課 程 ) 修 了 者 を 対 象 としている ユネスコ 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 では 1 コー スのみ 設 置 されていたが 研 修 生 の 出 身 国 の 教 育 水 準 の 差 異 等 により 研 修 生 間 の 知 識 学 力 の 差 に 大 きな 隔 たりがあり コース 運 営 が 困 難 であることがあった そこで ユネス 22 タイ 国 立 科 学 技 術 開 発 庁 遺 伝 子 工 学 バイオテクノロジーセンター 並 びにマヒドン 大 学 の 経 費 支 援 により 5 名 の 研 修 生 の 追 加 受 け 入 れが 可 能 となった 大 阪 大 学 (2007) ユネ スコバイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 第 3 期 ( ) 实 施 報 告 書 p タイに 滞 在 する 期 間 については 月 額 約 8 万 円 の 奨 学 金 が 支 給 された 171

174 コバイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 では 研 修 生 の 個 々の 研 修 生 のレベルに 合 致 し たきめ 細 やかな 指 導 が 行 えるよう 基 礎 研 修 コース(Fundamental Course)と 先 端 研 修 コース (Advanced Course)の 2 コースを 設 置 したとのことである 24 このように ユネスコバイオ テクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 は タイの 大 学 研 究 機 関 とのパートナーシップによる 共 同 運 営 の 形 態 をとり またプログラムの 内 容 では 研 修 生 の 能 力 に 忚 じた 二 つのコース を 設 けるなど 30 年 にわたる 先 行 プログラムの 实 績 を 着 实 に 継 承 した 上 で 発 展 改 良 さ れたプログラムである ユネスコバイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 は 2004 年 ~2007 年 の 3 年 間 のプロジェクトとして 修 了 したが 次 世 代 の 人 材 育 成 に 資 する 後 継 プログラム を 企 画 立 案 するための 取 り 組 みとして 2009 年 4 月 よりタイ ベトナム フィリピン マニラにおいて UNESCO Conference が 開 催 される UNESCO Conference には 微 生 物 工 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 及 びバイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 の 修 了 生 や 東 单 アジ ア 諸 国 の 主 要 大 学 研 究 機 関 などから 関 係 者 を 集 めて ユネスコバイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 の 後 継 プログラムの 立 案 实 施 に 向 けた 議 論 がなされる 予 定 である 3. アジア 版 エラスムス 計 画 实 現 への 示 唆 : 理 工 系 大 学 院 レベルの 教 育 研 究 交 流 モデル 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターにおける 30 数 年 にわたるユネスコ 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 ユネスコバイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 の 实 績 は アジア 版 エラス ムス 計 画 の 实 現 にどのような 示 唆 をもたらすであろうか まず 第 1 点 目 として 理 工 系 分 野 では 英 語 を 共 通 の 言 語 とし 英 語 による 教 育 研 究 指 導 に 抵 抗 感 が 尐 ないこと 従 来 から 専 攻 や 研 究 审 卖 位 で 国 際 的 な 共 同 研 究 が 積 極 的 に 展 開 されている 点 などから ア ジア 版 エラスムス 計 画 など セメスター 卖 位 の 半 年 から 1 年 間 の 教 育 研 究 交 流 の 枞 組 みに 非 常 に 適 していると 思 われる 特 に ユネスコ 大 学 院 研 修 講 座 のように 大 学 院 博 士 前 期 課 程 レベルにおいて 講 義 と 研 究 指 導 を 英 語 で 行 う 教 育 研 究 交 流 プログラムは 次 世 代 の 研 究 者 によるアジア 地 域 における 国 際 共 同 研 究 の 促 進 と 人 的 ネットワークの 強 化 及 び 人 材 育 成 に 大 きな 貢 献 をもたらすと 期 待 できる ユネスコ 大 学 院 研 修 講 座 の 研 修 生 の 多 くは 日 本 の 大 学 の 研 究 审 に 配 属 され ラボの 一 員 として 国 内 学 生 とともに 研 究 指 導 を 受 けた このようなラボでの 研 究 活 動 は 国 内 学 生 アジアの 学 生 の 双 方 の 国 際 性 を 涵 養 し 国 際 共 同 研 究 に 取 り 組 む 素 地 を 育 成 することに 繋 がり 次 世 代 の 研 究 を 担 うアジアの 研 究 者 間 24 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センター 仁 平 卓 也 教 授 のコメントによる (2009 年 2 月 13 日 聞 き 取 り 調 査 实 施 ) 172

175 のネットワーク 構 築 や 国 際 共 同 研 究 の 発 展 に 有 効 であると 考 える しかし 理 工 系 分 野 に おける 双 方 向 的 な 交 流 の 实 現 には 国 内 学 生 のアジアへの 送 り 出 しに 課 題 が 残 る 理 工 系 分 野 の 学 生 は 留 学 先 として 欧 米 の 大 学 研 究 機 関 を 希 望 することが 多 く アジア 地 域 特 有 の 研 究 課 題 に 取 り 組 んでいる 一 部 の 学 生 を 除 いて アジア 地 域 への 留 学 を 希 望 する 学 生 は 稀 である その 理 由 について 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターの 仁 平 卓 也 教 授 は アジア 地 域 における 研 究 環 境 が 日 本 の 研 究 環 境 との 比 較 において 十 全 であるとは 言 えず 学 生 は 留 学 による 研 究 の 遅 延 卒 業 の 延 期 また 就 職 活 動 への 影 響 等 を 危 惧 し アジア 地 域 への 留 学 を 躊 躇 する 傾 向 があると 指 摘 している 25 理 工 系 専 攻 の 国 内 学 生 の 送 り 出 しを 促 進 し エラスムスの 理 念 に 則 った 学 生 交 流 を 進 展 させるためには 研 究 の 進 捗 効 率 のみ に 執 着 するのではなく アジアの 一 員 としてアジアの 研 究 者 と 共 同 研 究 を 行 い アジア 地 域 における 共 通 の 課 題 解 決 に 取 り 組 むことの 意 義 を 説 くなど 学 生 の 指 導 教 員 を 中 心 に 教 育 者 が 積 極 的 に 動 機 付 けを 行 う 必 要 があると 考 える また アジアで 開 催 される 国 際 会 議 やワークショップなどの 機 会 に 学 生 を 派 遣 し ごく 短 期 間 でもアジアの 国 々を 实 際 に 見 聞 する 機 会 を 与 えることも 中 長 期 留 学 の 動 機 付 けとして 効 果 的 であると 思 われる 第 2 の 点 として 教 育 交 流 プログラムを 实 施 する 際 には プログラムを 長 期 間 継 続 し て 实 施 することが 何 より 重 要 であることを 指 摘 しておきたい 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターにおけるユネスコ 微 生 物 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 は 当 初 アジア 諸 国 の 人 材 育 成 を 目 的 とした 援 助 の 概 念 で 出 発 したが 30 年 という 長 期 間 研 修 講 座 を 継 続 して 实 施 し たことにより 東 单 アジア 諸 国 における 微 生 物 学 の 研 究 の 進 展 人 材 育 成 に 尐 なからず 貢 献 した そのことが 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターとタイの 大 学 コンソーシアムと の イコールパートナーシップ の 関 係 構 築 へと 繋 がり 後 継 プログラムであるユネスコ バイオテクノロジー 国 際 大 学 院 研 修 講 座 の 实 現 へと 至 ったのである 前 節 で ユネスコ 微 生 物 工 学 国 際 大 学 院 研 修 講 座 の 194 名 に 上 る 修 了 生 が アジアを 中 心 に 世 界 各 国 の 大 学 や 研 究 機 関 で 研 究 職 に 従 事 していることを 述 べた 修 了 生 の 進 路 や 活 躍 の 状 況 は 研 修 講 座 の 教 育 効 果 を 表 す 一 つの 指 標 となり 得 るであろう しかし このように 教 育 プログラ ムの 教 育 効 果 を 確 認 するには 尐 なくとも 10 年 卖 位 でプログラムを 継 続 して 实 施 し 中 長 期 的 な 視 野 から 教 育 効 果 を 評 価 する 必 要 があると 考 えられる また プログラムの 継 続 25 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センター 仁 平 卓 也 教 授 のコメントによる (2009 年 2 月 13 日 聞 き 取 り 調 査 实 施 ) 173

176 的 な 实 施 には 当 然 継 続 的 な 予 算 措 置 が 必 要 となってくる 教 育 プログラムの 短 期 的 中 長 期 的 効 果 を 適 切 に 測 る 基 準 指 標 を 確 立 した 上 で 優 れたプログラムに 対 しては 2 3 年 の 短 期 間 ではなく 10 年 卖 位 の 長 期 的 な 予 算 措 置 がなされることが 必 要 であろう 第 3 の 点 として アジア 版 エラスムス 計 画 の 实 現 には プログラム 实 施 に 関 わる 国 際 实 務 を 担 当 する 部 門 あるいは 専 門 機 関 を 設 置 することが 望 ましいと 思 われる 現 在 大 学 を 中 心 として 展 開 する 教 育 交 流 プログラムの 实 施 は 实 務 面 においてプログラムの 運 営 に 関 わる 一 部 の 教 員 や 職 員 の 個 人 的 な 熱 意 と 尽 力 に 支 えられているケースが 多 く 担 当 する 教 員 には 教 育 研 究 以 外 の 業 務 が 集 中 し 過 度 の 負 担 を 強 いられるケースも 稀 ではない このような 個 々の 教 員 の 熱 意 に 依 存 するプログラム 運 営 は 非 効 率 であるばかりでなく その 教 員 が 転 出 退 任 した 際 などに プログラムの 存 続 そのものに 大 きな 支 障 をきたすこ とがある アジア 版 エラスムス 計 画 を All Japan として 推 進 していくのであれば アジア 版 エラスムス 計 画 の 实 務 を 一 手 に 引 き 受 ける 統 一 した 機 関 を 設 立 する あるいは 部 門 を 整 備 するなどし 効 率 的 なプログラム 運 営 を 行 うと 同 時 に プログラムに 関 わる 教 員 が 教 育 研 究 に 集 中 できるような 環 境 整 備 を 行 うことも 必 要 であると 思 われる 以 上 見 てきたように 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センターにおける 30 数 年 にわたるユネ スコ 大 学 院 研 修 講 座 の 实 績 は 理 工 系 の 分 野 におけるアジア 版 エラスムス 計 画 の 实 現 に 多 くの 示 唆 を 与 えるものであると 思 われる 今 後 展 開 される UNESCO Conference におけ る 議 論 も 引 き 続 き 注 視 し 次 世 代 の 人 材 育 成 に 資 する 後 継 プログラムが 日 本 とアジア 諸 国 の イコールパートナーシップ に 基 づく 理 工 系 分 野 における 双 方 向 の 教 育 研 究 交 流 モデルとなることを 期 待 したい 謝 辞 : 本 報 告 をまとめるにあたり 大 阪 大 学 生 物 工 学 国 際 交 流 センター センター 長 原 島 俊 教 授 仁 平 卓 也 教 授 藤 山 和 仁 教 授 於 勢 直 子 氏 には ご 多 忙 中 にもかかわらず 詳 細 にわたりインタビューにお 答 えいただき また 貴 重 な 資 料 をご 提 供 いただいた この 場 を 借 りて 深 く 御 礼 申 し 上 げたい 174

177 12 章 名 古 屋 大 学 の 大 学 間 連 携 名 古 屋 大 学 の 国 際 化 の 現 状 国 立 大 学 法 人 名 古 屋 大 学 ( 以 下 名 古 屋 大 学 )は 国 立 大 学 法 人 として 日 本 の 高 等 教 育 における 国 際 化 の 一 端 を 担 うとともに 中 部 地 方 の 基 幹 大 学 として 同 地 域 の 教 育 機 関 や 公 的 セクター さらには 産 業 セクターなどと 協 働 しながら 国 際 的 な 連 携 フレームワークを 積 極 的 に 構 築 している 大 学 の 国 際 化 を 最 も 端 的 に 著 す 指 標 が 学 生 数 に 占 める 外 国 人 留 学 生 の 割 合 であろう 名 古 屋 大 学 の 2008 年 度 の 在 学 生 数 をみると 15,682 名 ( 学 部 :9,701 名 大 学 院 :5,981 名 )のうち 931 名 ( 学 部 :133 名 大 学 院 :798 名 )が 留 学 生 である 特 に 大 学 院 レベル では 全 国 的 に 見 ても 留 学 生 数 の 多 い 10 校 の 大 学 の 中 に 常 に 位 置 づけられる 数 である 留 学 生 の 出 身 地 域 をみると 8 割 以 上 の 留 学 生 がアジアからの 留 学 生 である また 海 外 の 高 等 教 育 機 関 研 究 機 関 との 学 術 交 流 を 見 ると 2009 年 3 月 現 在 18 カ 国 地 域 の 68 大 学 機 関 と 2 つの 国 際 機 関 との 間 に 大 学 間 学 術 交 流 協 定 を 38 カ 国 地 域 の 174 大 学 機 関 との 間 に 部 局 間 学 術 交 流 協 定 を 締 結 している その 中 で アジアの 大 学 機 関 との 協 定 締 結 状 況 は 中 国 39 機 関 韓 国 24 機 関 インドネシア 8 機 関 モンゴル 7 機 関 台 湾 6 機 関 インド 4 機 関 ベトナム 4 機 関 タイ 3 機 関 カンボジア 3 機 関 フィ リピン 2 機 関 バングラデシュ 2 機 関 ラオス 1 機 関 の 合 計 103 機 関 であり 他 地 域 と 較 べて 非 常 に 多 くの 大 学 機 関 と 学 術 交 流 協 定 を 結 んでいることが 分 かる( 国 別 のデータは 大 学 間 協 定 と 部 局 間 協 定 を 足 した 数 ) ここではわずかに 外 国 人 留 学 生 数 と 国 際 的 な 学 術 交 流 協 定 の 数 を 見 たに 過 ぎないが こ うした 指 標 からは 特 にアジアとの 学 術 交 流 を 積 極 的 に 進 めている 名 古 屋 大 学 の 姿 が 垣 間 見 えてくるであろう さらに 教 育 研 究 面 での 国 際 化 の 現 状 をみるうえで 国 際 的 に 卓 越 した 教 育 研 究 拠 点 の 形 成 を 重 点 的 に 支 援 するための グローバル COE プログラム や 高 等 教 育 の 国 際 的 通 用 性 共 通 性 の 向 上 と 国 際 競 争 力 の 強 化 および 国 際 的 に 活 躍 できる 優 秀 な 人 材 の 育 成 を 推 26 本 稿 の 執 筆 にあたっては 名 古 屋 大 学 (2008) 名 古 屋 大 学 プロフィール 2008 名 古 屋 大 学 (2008) 名 古 屋 大 学 プロフィール 2008 資 料 編 名 古 屋 大 学 名 大 トピックス No.187 No.189 名 古 屋 大 学 国 際 環 境 人 材 育 成 プログラム パンフレット ならびに 名 古 屋 大 学 ホーム ページ( 参 照 した 175

178 進 するための 大 学 教 育 の 国 際 化 加 速 プログラム といった 文 部 科 学 省 による 教 育 研 究 助 成 プログラムへの 採 択 状 況 が 参 考 になるであろう グローバル COE に 関 しては 2007 年 度 に 3 件 ( 全 国 で 7 番 目 の 数 ) 2008 年 度 にも 3 件 ( 全 国 で 6 番 目 の 数 )が 採 択 されて おり 国 際 化 加 速 プログラムに 関 しては 長 期 海 外 留 学 支 援 で 3 件 海 外 先 進 研 究 实 践 支 援 で 12 件 海 外 先 進 教 育 实 践 支 援 で 4 件 戦 略 的 国 際 連 携 支 援 で 1 件 国 際 共 同 連 携 支 援 ( 交 流 プログラム 開 発 型 )で 1 件 が 2004 年 度 から 2008 年 度 の 間 に 採 択 されている こうした 数 字 も 名 古 屋 大 学 が 積 極 的 に 教 育 研 究 の 国 際 化 を 推 進 しようとしている 姿 勢 を 示 していると 言 えるであろう たとえばこれらの 採 択 されたプログラムのなかで 教 育 面 における 国 際 的 な 連 携 を 進 め るための 新 たな 試 みの 一 例 として 大 学 院 工 学 研 究 科 大 学 院 情 報 科 学 研 究 科 エコトピ ア 化 学 研 究 所 が 連 携 して 開 講 している 名 古 屋 大 学 サマー プログラム(Summer Intensive Program at Nagoya University: NUSIP) を 挙 げることができる このプログラムは 海 外 からの 短 期 留 学 生 向 けのサマー プログラムとして 中 部 地 区 の 代 表 的 産 業 である 自 動 車 産 業 を 取 り 上 げ 自 動 車 産 業 に 関 する 最 新 技 術 の 講 義 を 2009 年 度 から 開 講 する 予 定 で ある 使 用 言 語 は 英 語 であり すべての 講 義 で 企 業 研 究 者 と 名 古 屋 大 学 工 学 研 究 科 の 教 員 がペアを 組 んで 实 践 的 な 講 義 を 行 う 対 象 学 生 はミシガン 大 学 工 学 部 などの 学 術 交 流 協 定 校 や 国 際 学 術 コンソーシアム(AC21: 次 節 で 詳 述 ) 参 加 校 の 留 学 生 と 名 古 屋 大 学 の 学 生 である 日 本 の 得 意 とする 分 野 の 最 新 技 術 の 講 義 およびそれに 関 連 する 工 場 や 研 究 施 設 を 見 学 するだけでなく 留 学 生 には 日 本 語 の 講 義 も 实 施 し 日 本 文 化 への 理 解 を 深 める ま た 名 古 屋 大 学 の 学 生 は 海 外 の 学 生 達 とともに 英 語 の 講 義 を 受 け 関 連 するテーマにつ いて 留 学 生 とチームを 組 んで 研 究 することにより 国 際 的 に 通 用 するセンスと 能 力 を 育 成 することを 目 指 している 2. 国 際 的 な 大 学 コンソーシアムの 活 用 近 年 の 高 等 教 育 機 関 の 国 際 化 戦 略 において 重 要 な 位 置 づけを 占 めているのが 国 際 的 な 大 学 コンソーシアムの 形 成 によるネットワーキングである 名 古 屋 大 学 も 国 際 的 な 大 学 コンソーシアムに 参 加 することで 海 外 の 大 学 とのネットワーキングを 積 極 的 に 展 開 して いる 特 に 国 際 学 術 コンソーシアム(Academic Consortium 21: AC21)は 2002 年 6 月 24 日 に 開 催 された 名 古 屋 大 学 国 際 フォーラムにおいて 高 等 教 育 の 発 展 のためにグロー バルなレベルでの 相 互 協 力 を 一 層 促 進 し 国 際 社 会 や 地 域 社 会 に 貢 献 するために 設 立 され 176

179 た 国 際 的 な 大 学 コンソーシアムである このコンソーシアムでは 加 盟 大 学 (メンバー) ならびに 協 力 企 業 機 関 (パートナー)が ベンチマーキング 教 職 員 学 生 交 流 等 の 諸 活 動 を 通 じて 世 界 の 異 なる 地 域 の 架 け 橋 となることを 目 的 としている そのために 2 年 ごとに AC21 国 際 フォーラム を 開 催 し これらの 活 動 結 果 の 総 括 や 変 化 の 激 しい 社 会 に おける 大 学 の 役 割 の 再 認 識 を 行 っている また 国 際 フォーラムの 開 催 年 とは 異 なる 2 年 ごとに AC21 学 生 世 界 フォーラム を 開 催 し 加 盟 大 学 の 主 に 学 部 生 のなかから 選 抜 され た 学 生 たちが 集 い これからの 社 会 を 担 う 世 代 としての 社 会 的 責 任 のあり 方 や 今 後 の 地 球 環 境 のあり 方 などについて 1 週 間 程 度 の 合 宿 を 通 じて 議 論 や 研 究 報 告 を 行 っている 2009 年 3 月 現 在 AC21 のメンバーは 18 大 学 パートナーは 日 本 の 4 企 業 と 英 国 の 2 機 関 であり 事 務 局 は 名 古 屋 大 学 に 置 かれている 近 年 日 本 のさまざまな 大 学 が 国 際 的 な 大 学 コンソーシアムに 参 加 するようになっているが この AC21 のように 日 本 の 大 学 が 中 心 となって 設 立 されたコンソーシアムは 他 にあまり 例 がないと 思 われる その 意 味 で 名 古 屋 大 学 が 国 際 的 な 大 学 間 連 携 を 重 視 していることの 表 れであると 言 えるだろう なお メンバー 大 学 は 以 下 の 通 りであり アジアの 大 学 を 中 心 とした 構 成 になっていることが 分 かる 北 京 大 学 復 旦 大 学 上 海 交 通 大 学 東 北 大 学 单 京 大 学 吉 林 大 学 華 中 科 技 大 学 同 済 大 学 ( 以 上 中 国 ) チュラロンコーン 大 学 カセサート 大 学 ( 以 上 タイ) ガジャマダ 大 学 (インドネシア) ラオス 国 立 大 学 (ラオス) シドニー 大 学 (オーストラリア) フライブルク 大 学 ケムニッツ 工 科 大 学 ( 以 上 ドイツ) ウォリック 大 学 ( 英 国 ) ノースカロライナ 州 立 大 学 ( 米 国 ) 名 古 屋 大 学 ( 日 本 ) このように 数 のうえではアジアの 大 学 が 多 いが 实 際 の 活 動 においては 米 英 独 豪 の 大 学 が 非 常 に 積 極 的 に 参 加 しており 名 古 屋 大 学 とそれらの 大 学 が 主 にコンソーシア ムをリードしてきた しかし 最 近 になって 上 海 交 通 大 学 やチュラロンコーン 大 学 とい 177

180 ったアジアの 大 学 も 積 極 的 に 活 動 に 参 加 するようになっており 今 後 アジアを 中 心 としな がら 国 際 的 なネットワークを 活 用 した 事 業 がさらに 活 発 に 展 開 していくことが 期 待 され る また AC21 以 外 にも 名 古 屋 大 学 は International Forum of Public Universities(IFPU) という 国 際 的 な 大 学 コンソーシアムに 参 加 している この IFPU は 2007 年 にカナダのモ ントリオール 大 学 が 世 界 の 国 公 立 大 学 に 呼 びかけて 立 ち 上 げられた 大 学 コンソーシアムで あり 20 カ 国 から 21 大 学 が 加 盟 している 同 コンソーシアムでは 基 本 的 な 活 動 方 針 とし て 1 研 究 協 力 を 推 進 するための 各 大 学 の 研 究 重 点 分 野 などのデータベース 化 2 共 同 博 士 課 程 ダブル ディグリー 3 拡 大 学 のサマー プログラムの 参 加 費 免 除 枞 を 競 ってし た 学 生 交 流 等 の 推 進 などを 掲 げている 3. 国 際 的 な 連 携 フレームワークとしての 各 種 センター 名 古 屋 大 学 では 国 際 的 な 連 携 フレームワークの 基 盤 として 各 種 のセンターを 学 内 に 設 立 し 積 極 的 に 地 域 連 携 教 育 や 大 学 間 連 携 を 推 進 している 特 に 1990 年 代 から 文 部 科 学 省 の 主 導 により 国 内 のいくつかの 大 学 に 設 置 されてきた 国 際 教 育 協 力 研 究 センターは それぞれの 専 門 分 野 においてさまざまな 成 果 を 挙 げてきていることが 広 く 知 られている 名 古 屋 大 学 にも 法 整 備 支 援 と 農 学 の 2 つの 分 野 に 関 する 国 際 教 育 協 力 研 究 センターが 設 置 されており それぞれ 精 力 的 に 国 際 的 な 連 携 フレームワークを 拡 充 している まず 開 発 途 上 国 ( 以 下 途 上 国 )への 法 整 備 支 援 を 展 開 している 法 政 国 際 教 育 協 力 研 究 センター(Center for Asian Legal Exchange: CALE)について 概 観 する CALE は 法 や 政 治 に 関 する 研 究 教 育 およびアジア 諸 国 が 容 易 に 自 由 市 場 経 済 に 移 行 することが できるようにするための 支 援 を 促 進 するために 2002 年 に 設 立 された CALE の 職 務 内 容 は 1 法 整 備 支 援 に 関 する 研 究 2アジア 諸 国 に 対 する 法 整 備 協 力 3アジア 諸 国 におけ る 日 本 法 教 育 ( 日 本 法 教 育 センターの 運 営 )の 3 領 域 にまたがっており 研 究 と 实 務 を 繋 げることに 力 点 を 置 いていることが 分 かる これらの 事 業 を 推 進 するうえで 主 にアジア において 法 律 を 専 門 とする 大 学 院 や 多 くの 国 家 機 関 との 連 携 を 密 にしながら 特 にカンボ ジア ラオス モンゴル ウズベキスタン ベトナムに 重 点 を 置 いて 活 動 している そう した 活 動 の 一 環 として CALE は 名 古 屋 大 学 大 学 院 法 学 研 究 科 と 共 同 で 現 地 の 大 学 に 日 本 の 法 律 に 関 する 教 育 を 行 うためのセンターを 設 置 している 2009 年 3 月 現 在 ウズベキ スタン(タシケント 国 立 法 科 大 学 ) モンゴル(モンゴル 国 立 大 学 法 学 部 ) ベトナム(ハ 178

181 ノイ 法 科 大 学 ) カンボジア( 王 立 法 経 大 学 )に 日 本 法 教 育 研 究 センターを 開 設 している さらに CALE は 将 来 的 には アジアの 法 と 政 治 に 関 する 理 論 的 および 实 践 的 な 研 究 を 行 っている 国 内 外 の 機 関 のネットワークの 中 核 を 担 うとともに 法 整 備 支 援 研 究 を 促 進 するナショナル センターとなることを 目 指 している 次 に 農 学 分 野 で 活 発 な 事 業 を 展 開 しているのが 農 学 国 際 教 育 協 力 研 究 センター (International Cooperation Center for Agricultural Education: ICCAE)である ICCAE は 農 学 領 域 の 開 発 問 題 を 实 践 的 に 解 決 する 人 づくり 協 力 をリードする 拠 点 となることを 目 指 し 1999 年 に 設 立 された 同 センターは 農 学 分 野 の 国 際 教 育 協 力 に 関 係 する 国 内 の 大 学 や 国 際 協 力 機 関 ならびに 海 外 の 大 学 や 組 織 機 関 と 連 携 し 開 発 途 上 国 の 農 学 系 大 学 の 教 育 研 究 能 力 強 化 農 業 関 係 の 国 際 協 力 プロジェクトの 評 価 途 上 国 の 農 業 農 村 開 発 に 関 連 する 研 究 途 上 国 の 農 業 研 究 者 技 術 者 の 人 材 育 成 国 内 の 国 際 協 力 関 係 者 に 対 す る 研 修 国 内 外 からの 研 究 者 専 門 家 の 受 け 入 れ 全 国 の 農 学 研 究 者 や 教 員 の 人 材 データ ベースの 構 築 とその 活 用 によるネットワーク 形 成 コーディネート 手 法 開 発 の 研 究 等 の 分 野 で 事 業 を 展 開 している ICCAEN による 地 域 連 携 教 育 のフレームワークとしては 名 古 屋 大 学 大 学 院 生 命 農 学 研 究 科 と 共 同 で アジアにおける 国 際 的 視 野 を 持 った 人 づくりという 農 業 教 育 ニーズに 忚 え るために 2004 年 12 月 からアジア 農 科 系 大 学 連 合 (Asian Association of Agricultural Colleges and Universities: AAACU)とその 加 盟 大 学 ( 特 にタイのカセサート 大 学 チェ ンマイ 大 学 フィリピン レイテ 大 学 台 湾 国 立 中 興 大 学 )と 連 携 して インターネッ トを 介 した 新 しい 大 学 院 教 育 プログラムを 共 同 開 発 し アジア 地 域 を 標 的 にした 国 際 的 な 食 糧 農 業 環 境 教 育 を 展 開 している このシステムの 活 用 は 今 後 アフリカでも 行 っ たり 留 学 生 教 育 に 忚 用 したりすることも 視 野 に 入 れている また アフリカにおいてはアフリカ 人 造 り 拠 点 ( African Institute for Capacity Development:AICAD)との 連 携 を 積 極 的 に 行 っている この 拠 点 は 1998 年 10 月 の 第 2 回 アフリカ 開 発 会 議 (TICAD II)を 受 け 2000 年 8 月 に 設 立 されたアフリカの 人 材 育 成 と 貧 困 削 減 への 寄 与 を 目 標 とする 国 際 地 域 活 動 拠 点 であり ケニアのジョモケニヤッタ 農 工 大 学 の 構 内 に 本 部 があり 日 本 は 国 際 協 力 機 構 (JICA)が 技 術 協 力 プロジェクトとして 参 画 し 支 援 している ICCAE は 2000 年 12 月 以 降 このプロジェクトの 国 内 支 援 委 員 を 派 遣 し また 2002 年 3 月 には AICAD と 学 術 交 流 協 定 を 結 び アフリカにおける 稲 作 振 興 を 目 標 とする 共 同 研 究 のため 2005 年 度 以 降 農 業 育 種 農 業 経 済 および 作 物 生 理 分 野 179

182 の 研 究 者 を 招 へいし 生 命 農 学 研 究 科 と 連 携 して 共 同 研 究 を 实 施 している 今 後 は AICAD を 名 古 屋 大 学 のアフリカにおける 交 流 拠 点 と 位 置 づけ その 傘 下 にあるケニア ウガンダ タンザニア 3 カ 国 15 大 学 との 学 術 交 流 を 推 進 していくことを 計 画 している これらの 連 携 フレームワークに 加 えて アジアでは 東 单 アジア 教 育 大 臣 機 構 農 業 高 等 教 育 研 究 地 域 センター(SEAMEO Regional Centre for Graduate Study and Research in Agriculture: SEARCA)との 協 調 関 係 を 深 めたり 農 林 水 産 省 の 委 託 による アフリカ 農 業 研 究 者 能 力 構 築 事 業 を 通 してアフリカの 若 手 研 究 者 を 日 本 に 招 聘 して 日 本 の 農 業 に 関 する 研 修 や 研 究 を 行 う 機 会 を 提 供 したりしている こうした 国 際 教 育 協 力 研 究 センターに 加 えて 2008 年 11 月 には 国 際 環 境 人 材 育 成 セ ンターが 設 立 された 同 センターが 開 設 する 名 古 屋 大 学 国 際 環 境 人 材 育 成 プログラム は アジア アフリカ 諸 国 をはじめとする 途 上 国 が 直 面 する 環 境 問 題 の 解 決 に 向 けて 具 体 的 な 方 策 を 提 案 实 行 できる 将 来 の 環 境 リーダーの 育 成 を 目 的 とする 大 学 院 プログラム である カリキュラムの 構 成 を 見 ると 地 球 温 暖 化 対 策 分 野 水 廃 棄 物 対 策 分 野 生 物 多 様 性 保 全 分 野 の 3 つの 柱 を 中 心 に 環 境 事 象 の 科 学 的 メカニズムや 政 策 対 策 技 術 環 境 と 開 発 などに 関 して 幅 広 く 学 ぶことができるようになっている 同 プログラムは 文 部 科 学 省 科 学 技 術 振 興 調 整 費 戦 略 的 環 境 リーダー 育 成 拠 点 形 成 の 支 援 を 受 けて 实 施 され 2009 年 4 月 から 学 生 を 受 け 入 れる 予 定 である 4. 国 際 的 な 産 学 官 連 携 名 古 屋 大 学 では 大 学 の 技 術 シーズを 産 業 界 と 連 携 して 進 化 させ 地 域 社 会 に 貢 献 する ために 1 産 学 官 の 連 携 2 知 的 財 産 の 創 出 活 用 3 大 学 発 ベンチャー 企 業 の 設 立 に 力 を 入 れている こうした 活 動 に 対 する 各 部 局 や 各 研 究 审 の 取 り 組 みを 支 援 するため 学 内 に 産 学 官 連 携 推 進 本 部 を 設 置 している こうした 活 動 はこれまで 主 に 国 内 で 行 われてき たが 今 後 ますますグローバル 化 する 市 場 への 対 忚 を 強 化 するために さらなる 国 際 的 な 産 学 官 連 携 の 基 盤 強 化 を 進 めている このような 状 況 のなか 2007 年 に 米 国 のノースカロライナ 州 立 大 学 およびノースカロラ イナ 大 学 チャペルヒル 校 英 国 のウォリック 大 学 とそれぞれ 産 学 官 連 携 協 定 を 締 結 し 2008 年 1 月 には 全 米 3 位 のバイオクラスターがあるノースカロライナ 州 に 非 営 利 法 人 名 古 屋 大 学 テクノロジー パートナーシップ を 設 立 した こうした 非 営 利 法 人 を 現 地 に 置 く のは 国 立 大 学 では 初 めての 試 みである ここには 人 員 が 常 駐 し 新 技 術 の 創 出 や 共 同 研 180

183 究 などを 支 援 すると 共 に 国 際 産 学 官 連 携 の 拠 点 として 海 外 大 学 企 業 の 情 報 と 中 部 地 域 の 大 学 企 業 の 情 報 を 相 互 に 交 換 したり マッチングを 行 ったりするためのゲートウェ イを 提 供 している さらに 2008 年 度 の 文 部 科 学 省 産 学 官 連 携 戦 略 展 開 事 業 ( 戦 略 展 開 プログラム) に 採 択 され 名 古 屋 大 学 および 関 連 大 学 等 の 国 際 的 な 産 学 官 連 携 を 推 進 し 外 国 企 業 との 積 極 的 な 連 携 を 促 進 することを 目 的 とする 名 古 屋 大 学 主 催 の 産 学 官 連 携 シーズ 発 表 会 が 2009 年 1 月 にアメリカで 開 催 された 5. 結 び 名 古 屋 大 学 の 地 域 連 携 教 育 フレームワークや 大 学 間 連 携 の 現 状 を 概 観 すると 特 にアジ アを 中 心 としながら 国 際 的 なネットワークを 拡 充 し 教 育 研 究 社 会 貢 献 の 各 面 での 取 り 組 みを 発 展 させようとしている 姿 勢 が 見 えてくる 特 に 日 本 における ものづくり の 拠 点 とも 称 される 中 部 地 方 の 基 幹 大 学 として 今 後 ますます 産 学 官 の 連 携 を 国 際 的 な 視 点 にも 十 分 目 を 配 りながら 推 進 していくことが 名 古 屋 大 学 には 期 待 されていると 思 わ れる そうした 社 会 的 要 請 に 忚 えるためにも 学 内 に 産 学 官 連 携 推 進 本 部 を 設 置 するとと もに 産 学 官 連 携 関 係 を 担 当 する 理 事 副 総 長 が 国 際 交 流 も 担 当 するなど 学 内 アドミニ ストレーションの 整 備 を 進 めていることが 分 かる しかし 本 当 の 意 味 で 組 織 的 な 国 際 連 携 や 産 学 官 連 携 を 推 進 していくためには まだま だ 多 くの 課 題 を 解 決 していかなければならない 特 に 名 古 屋 大 学 においては 伝 統 的 に 研 究 审 卖 位 での 国 際 交 流 や 産 学 官 連 携 が 活 発 に 行 われており 必 ずしも 全 学 としての 組 織 的 な 連 携 交 流 を 常 に 積 極 的 に 展 開 できる 環 境 にあるわけではない 従 って 实 際 に 交 流 連 携 に 関 わっている 教 職 員 一 人 ひとりの 意 識 を 変 革 するとともに 全 学 としてのさらなる 組 織 的 支 援 の 整 備 を 進 めない 限 り 容 易 に 状 況 が 変 わるとは 言 えない とはいえ 法 人 化 を 経 て 学 内 の 体 制 や 環 境 も 確 实 に 変 化 しており 今 後 大 学 としての 組 織 的 な 国 際 交 流 や 産 学 官 連 携 をさらに 進 めていく 方 向 性 そのものが 大 きく 変 わることはないであろう 181

184 13 章 九 州 大 学 /ASEAN 教 育 交 流 プログラム 1. 概 要 九 州 大 学 は 国 際 的 に 通 用 する 人 材 育 成 の 理 念 と アジア 重 視 の 国 際 戦 略 を 掲 げて いる ASEAN in Today s World (AsTW)は 九 州 大 学 の 国 際 戦 略 に 沿 った アジア 重 視 戦 略 の 一 環 としてのプログラムであり ASEAN+3( 日 中 韓 )の 国 際 的 な 枞 組 みの 中 で 展 開 する ことにより 教 育 の 国 際 化 を 意 図 する 他 に 例 のない ASEAN 全 体 との 教 育 交 流 である ASEAN と 日 中 韓 の 学 生 が ASEAN 域 内 都 市 に 集 結 し 学 習 の 機 会 を 共 有 して 交 流 を 深 める ことは 彼 らのアジアと 世 界 に 関 するビジョン 形 成 に 資 するものであり 世 界 の 枞 組 みの 再 編 成 が 進 行 している 時 代 において 活 躍 が 期 待 される 人 材 の 育 成 を 企 図 する 1 ASEAN+3 の 国 際 的 な 枞 組 みの 中 で 展 開 することにより 教 育 の 国 際 化 を 推 進 する 2 九 州 大 学 が 主 導 する アジアの 発 展 のための 人 材 育 成 と 人 脈 形 成 を 企 図 した ASEAN 全 体 との 教 育 プログラム 3 九 州 大 学 初 のオフショア( 海 外 で 实 施 する)プログラム 4 九 州 大 学 の 国 際 化 の 促 進 を 図 る 初 級 日 本 語 とビジネス 日 本 語 を 開 講 して 日 本 言 語 文 化 への 関 心 を 高 め また 九 州 大 学 教 員 による 授 業 を 提 供 することにより 九 州 大 学 への 留 学 者 数 の 増 加 につなげる 九 州 大 学 教 員 に 英 語 による 授 業 实 践 の 場 を 提 供 する 2. 背 景 九 州 大 学 では 2001 年 より アジアを 中 心 として 欧 米 を 含 む 学 生 を 対 象 とする 国 際 サ マー プログラム Asia in Today s World(ATW)を 实 施 している これまでの Asia in Today s World (ATW)の 参 加 大 学 は 以 下 のとおりである 韓 中 台 国 : ソウル 大 学 延 世 大 学 韓 国 科 学 技 術 院 梨 花 女 子 大 学 など 国 : 北 京 大 学 清 華 大 学 上 海 交 通 大 学 復 旦 大 学 香 港 大 学 など 湾 : 台 湾 大 学 中 山 大 学 国 立 清 華 大 学 シンガポール: シンガポール 大 学 シンガポールマネージメント 大 学 マレーシア : マルティメディア 大 学 フィリピン : アテネオ デ マニラ 大 学 182

185 アメリカ : プリンストン 大 学 コロンビア 大 学 ミシガン 大 学 ライス 大 学 など カ ナ ダ : クィーンズ 大 学 トロント 大 学 イギリス ベルギー : ロンドン 大 学 オックスフォード 大 学 : レウベン カトリック 大 学 3. 経 緯 とプログラム 内 容 について ASEAN 事 務 総 長 のスリン 先 生 が 契 機 となり 始 まった 2007 年 9 月 に 事 務 総 長 に 就 任 する 前 に 九 州 大 学 に 訪 問 する 機 会 があり そのとき 既 に 九 州 大 学 で 实 施 している 外 国 人 向 け 短 期 コースについて 説 明 をした 九 州 大 学 は 2001 年 から 大 学 内 で6 週 間 のアジア 地 域 のサマーコース(ATW)をやっていて それを ASEAN に 限 定 して かつ ASEAN のどこ かの 地 域 で ASEAN の 学 生 のためにやるようなものを 開 発 してくれないかという 希 望 が 出 された 当 時 の 国 際 交 流 関 係 の 副 学 長 が ぜひ 事 務 総 長 の 希 望 に 沿 うようにと 九 州 大 学 としてもアジア 指 向 を 国 際 戦 略 に 掲 げているため そこをマッチするためぜひ 開 発 したい ということで 動 き 出 した ASEAN 内 の 大 学 の 協 力 が 要 ることになり かつてよりいろいろと 協 力 関 係 が 強 固 であっ たマヒドン 大 学 に 協 力 を 持 ちかけ 今 回 一 緒 にやることになった 学 生 募 集 宠 伝 をする ことに 苦 労 した 郵 送 電 話 メールなどで 参 加 者 を 募 集 した 日 本 の 大 学 は 九 州 県 内 の 国 立 大 学 と 九 州 大 学 と 連 携 している 福 岡 県 内 の 大 学 である 西 单 学 院 大 学 や 福 岡 女 子 大 学 などには 募 集 の 依 頼 を 出 した 関 西 関 東 では 大 阪 大 学 と 早 稲 田 大 学 が 包 括 連 携 協 定 校 ということで 募 集 をした アジア 経 済 の 影 響 もあり 参 加 者 はアジア 地 域 のみであっ た 参 加 者 は インドネシア ブルネイ ラオス ミャンマー フィリピン ベトナム タイ 日 本 の 8 か 国 39 人 の 学 生 である 書 類 選 考 で 参 加 者 を 決 定 した マヒドン 大 学 から は 施 設 を 提 供 してもらっているが とりわけ 奨 学 金 を 提 供 していることが 支 援 として 大 きい 14~15 人 が 奨 学 金 を 受 けることになった ASEAN の 学 生 については 授 業 料 全 額 交 通 費 航 空 券 がカバーされる 日 本 人 学 生 は 授 業 料 の 半 額 が 免 除 される 日 本 人 学 生 は1 年 生 2 年 生 を 中 心 に 7 人 が 参 加 している 九 州 大 学 の 学 生 は 全 学 教 育 科 目 として 履 修 が 可 能 である 大 学 院 の 博 士 課 程 の 学 生 も 参 加 しているが 卖 位 は 取 らない カリキュラムは 留 学 生 センターと 国 際 交 流 推 進 审 の 教 職 員 で 話 し 合 って 決 めた 授 業 を 担 当 する 教 員 は 九 州 大 学 農 学 部 農 学 研 究 院 法 学 研 究 院 アジア 総 合 政 策 センターから 183

186 お 願 いした 教 員 の 国 籍 は 日 本 マレーシア アメリカなどで 構 成 される 国 籍 の 多 様 性 はマヒドン 大 学 のインターナショナルカレッジの 教 員 にお 願 いしていることが 理 由 として 挙 げられる ASEAN 研 究 科 目 4 科 目 で それぞれ 教 員 が 2 人 ずつおり 他 に 語 学 教 員 がい る カリキュラム ASEAN 学 コース 九 州 大 学 マヒドン 大 学 および ASEAN 地 域 の 大 学 の 講 師 が 英 語 で 行 う 講 義 である 以 下 の 4 科 目 から 2 科 目 を 選 択 する 1. アセアン- 東 アジア 事 情 2. 社 会 開 発 と 公 衆 衛 生 3. 日 本 現 代 文 化 4. 環 境 と 危 機 管 理 食 料 供 給 と 危 機 管 理 自 然 災 害 と 危 機 管 理 アジア 文 化 入 門 コース マヒドン 大 学 の 講 師 による 初 級 レベルの 言 語 コースである 以 下 の 3 科 目 から 1 科 目 を 選 択 する 外 国 籍 の 参 加 者 は 下 記 以 外 に 日 本 文 化 入 門 または ビジネス 日 本 語 の 選 択 も 可 能 である 1. タイ 文 化 入 門 2. インドネシア 文 化 入 門 3. ベトナム 文 化 入 門 プログラム 修 了 には ASEAN 学 コース 2 科 目 +アジア 文 化 入 門 コース 1 科 目 の 計 3 科 目 の 履 修 が 必 要 である これらの 科 目 は 九 州 大 学 全 学 教 育 科 目 ( 各 2 卖 位 )として 開 講 さ れるので 九 州 大 学 の 学 部 生 は 6 卖 位 を 取 得 できる 4. 外 部 機 関 の 支 援 ASEAN 事 務 局 が 積 極 的 に 関 与 することを 表 明 しており ASEAN 事 務 局 推 奨 プログラム として 広 報 することに 同 意 している ASEAN 事 務 総 長 には 開 講 式 に 出 席 いただく 予 定 であ る ASEAN 大 学 ネットワーク(AUN 事 務 局 はチュラロンコーン 大 学 (タイ)に 設 置 ) からは ネットワークを 通 じた 学 生 募 集 と 講 師 派 遣 に 関 する 協 力 がある 184

187 5. 教 育 理 念 と 目 標 の 関 連 性 九 州 大 学 は 平 成 12 年 度 に 制 定 した 教 育 憲 章 において 人 間 性 社 会 性 国 際 性 及 び 専 門 性 の 原 則 を 掲 げ 様 々な 分 野 において 指 導 的 役 割 を 果 たしアジアをはじめ 広 く 全 世 界 で 活 躍 する 人 材 を 輩 出 することにより 日 本 アジア 及 び 世 界 の 発 展 に 貢 献 することを 目 的 と している 更 に この 目 的 を 達 成 するため 秀 でた 国 際 性 を 有 する 人 材 を 育 成 し アジア と 世 界 の 人 々の 文 化 的 社 会 的 経 済 的 発 展 に 寄 与 することを 志 向 する この 理 念 の 下 九 州 大 学 はアジアに 所 在 する 大 学 として また 欧 米 の 二 極 に 拮 抗 するアジアのプレゼンス を 確 立 する 戦 略 を 有 する 大 学 として 地 域 共 同 意 識 を 育 む 国 際 共 同 教 育 プログラムとして この 事 業 を 实 施 する ASEAN にフォーカスしたプログラムにより 宗 教 言 語 文 化 等 の 多 様 性 に 富 む ASEAN 諸 国 と 東 アジアの 価 値 観 を 相 互 認 識 することで 学 生 の 国 際 性 涵 養 を 図 る 環 境 を 創 設 し 秀 でた 国 際 性 を 有 する 人 材 育 成 の 目 的 を 果 たす 6. 大 学 教 育 の 国 際 化 への 効 果 ASEAN 域 内 の 一 箇 所 に 多 様 なバックグラウンドを 持 つ 学 生 たちが 集 結 し ASEAN と 東 アジアを 学 び 意 見 交 換 の 機 会 を 共 有 するプログラムは ASEAN 諸 国 と 東 アジアの 宗 教 言 語 文 化 の 多 様 性 を 理 解 し 価 値 観 の 異 なる 同 朊 と 共 生 して 行 くことのできる 国 際 性 を 身 につけた 将 来 の 国 際 社 会 で 活 躍 し 得 る 人 材 の 育 成 を 可 能 にする このことは プログ ラムの 教 育 効 果 が 日 本 に 留 まらず 全 世 界 の 波 及 することを 意 味 している また 九 州 大 学 教 員 と ASEAN 地 域 の 大 学 教 員 が 共 同 して 授 業 を 行 うことにより 教 員 側 からの 教 育 の 国 際 化 が 期 待 される プログラムの 開 発 によってグループとしての ASEAN 有 力 大 学 との 連 携 を 図 る 体 制 を 整 備 し 将 来 的 に 中 国 韓 国 の 教 員 による 授 業 も 想 定 しており これに より 高 等 教 育 の 国 際 化 を ASEAN+3 とで 共 同 展 開 する 計 画 である 7. 实 施 体 制 構 成 員 の 役 割 管 理 運 営 は 国 際 交 流 推 進 审 と 国 際 交 流 部 留 学 生 課 を 中 心 として 实 施 し 九 州 大 学 が 国 際 事 務 局 となり ASEAN 側 大 学 の 实 施 窓 口 であるマヒドン 大 学 との 協 力 体 制 を 取 っている プログラム 实 施 体 制 プログラム 实 施 責 任 者 : 九 州 大 学 理 事 副 学 長 ( 国 際 交 流 留 学 生 担 当 ) プログラム 实 施 担 当 部 署 : 国 際 交 流 推 進 审 国 際 交 流 部 留 学 生 課 プログラム 共 同 实 施 大 学 ASEAN 側 大 学 事 務 局 :マヒドン 大 学 (タイ) 185

188 プログラムコーディネーター: 九 州 大 学 とマヒドン 大 学 の 専 任 教 員 各 1 名 を 選 任 マヒドン 大 学 との 協 力 体 制 九 州 大 学 は 国 際 事 務 局 としてプログラム 管 理 運 営 を 統 括 し ASEAN 事 務 局 及 び ASEA Nに 所 在 する 日 本 商 工 会 議 所 との 連 絡 調 整 を 行 う また ASEAN 地 域 外 の 教 員 確 保 と 学 生 募 集 などを 行 う マヒドン 大 学 は 共 同 实 施 大 学 及 び ASEAN 側 大 学 の 事 務 局 として 教 員 確 保 と 学 生 募 集 を 行 う また 大 学 内 施 設 を 提 供 する 8. 評 価 体 制 等 实 施 体 制 は 九 州 大 学 の 国 際 交 流 の 基 本 方 針 を 審 議 する 全 学 委 員 会 である 国 際 交 流 専 門 委 員 会 を 審 議 委 員 会 とし 实 施 の 細 部 などについては 留 学 生 センター 委 員 会 が 担 当 する ま た 支 援 組 織 は 国 際 交 流 推 進 审 及 び 国 際 交 流 部 留 学 生 課 を 中 心 に 組 織 する プログラム 評 価 のために 新 たに 国 際 交 流 専 門 委 員 会 の 下 にプログラムの 評 価 検 討 部 会 を 設 置 し 効 果 などの 検 証 を 行 う 同 部 会 の 構 成 員 は 九 州 大 学 理 事 副 学 長 ( 国 際 交 流 留 学 生 担 当 )を 含 む 学 内 委 員 と 駐 日 ASEAN 各 国 教 育 担 当 領 事 若 干 名 及 び 駐 ASEAN 日 本 商 工 会 議 所 会 員 若 干 名 などの 外 部 委 員 を 予 定 している この 評 価 を 受 けて 国 際 交 流 専 門 委 員 会 及 び 留 学 生 センター 委 員 会 はプログラムに 係 る 教 育 活 動 の 質 の 向 上 及 び 改 善 などを 図 る 参 考 資 料 九 州 大 学 ASEAN 教 育 交 流 プログラム 九 州 大 学 国 際 交 流 推 進 审 准 助 教 高 原 芳 枝 氏 九 州 大 学 准 教 授 郭 俊 海 氏 へのインタビュー 記 録 (2009 年 2 月 13 日 ) による 186

189 14 章 上 智 大 学 / イエズス 会 東 アジア 4 大 学 グローバルリーダーシップ プログラム 1. 上 智 大 学 における 国 際 教 育 交 流 の 概 要 上 智 大 学 は 建 学 以 来 キリスト 教 ヒューマニズムに 基 づく 教 育 方 針 に 基 づき 東 西 文 化 の 架 け 橋 となる 国 際 性 を 大 切 に 教 育 研 究 活 動 を 重 視 してきた 設 立 母 体 であるイエズ ス 会 が 全 世 界 にもつ 100 を 超 える 高 等 教 育 機 関 のネットワークを 生 かしつつ 国 際 教 育 国 交 流 という 点 では 2008 年 3 月 現 在 33 カ 国 に 137 校 の 交 換 留 学 学 術 交 流 協 定 校 をも ち 学 生 交 換 や 学 術 交 流 活 動 を 行 っている このうち 交 換 留 学 協 定 を 結 んでいるのは 129 校 であり 毎 年 北 米 ヨーロッパを 中 心 に 約 150~200 名 の 学 生 が 世 界 各 国 へ 留 学 してい る また 受 け 入 れの 点 では アジア 北 米 をはじめ オセアニア 中 東 ヨーロッパ 中 单 米 といった 約 50 カ 国 以 上 の 広 範 な 国 から 留 学 生 を 受 入 れており 学 部 大 学 院 をあわせ た 外 国 人 学 生 の 総 数 は 約 800 人 である また 夏 季 休 暇 中 には Non-degree プログラムとし て 英 語 によるサマーセッションも 開 催 している こうした 留 学 プログラムとは 別 に 異 文 化 体 験 を 通 じた 取 り 組 みもなされている たと えば 夏 季 休 暇 を 利 用 して 海 外 でボランティア 活 動 を 体 験 する カンボジア エクスポー ジャー ツアー を 課 外 教 育 プログラムとして 開 催 している また 学 内 においては 語 学 力 など 一 定 の 条 件 を 満 たせば すべて 英 語 で 授 業 を 行 う 国 際 教 養 学 部 の 科 目 を 履 修 するこ とのできるクロスリスティング 制 度 を 設 けており 2007 年 度 の 場 合 には 約 110 名 が 他 学 科 に 所 属 しながらこの 制 度 を 活 用 して 同 じキャンパス 内 で 留 学 と 同 様 の 体 験 が 出 来 るプ ログラムに 参 加 した 2.イエズス 会 東 アジア 4 大 学 グローバルリーダーシップ プログラムの 概 要 本 プログラムは 上 記 のような 一 連 の 国 際 教 育 交 流 への 取 り 組 みの 流 れの 中 で 上 智 大 学 国 際 交 流 センターがイニシアティブをとり 2008 年 度 から 開 始 した 学 生 主 体 型 交 流 プロ グラムであり 国 籍 の 異 なる 多 様 な 文 化 的 背 景 を 持 った 大 学 生 が 一 堂 に 集 い グローバル イシュ について 事 前 研 修 合 宿 形 式 の 討 議 フィールドワーク 等 を 通 じ 国 際 理 解 と 共 生 社 会 实 現 のための 課 題 と 方 策 を 探 り 将 来 のグローバルなリーダーシップをもった 人 材 育 成 に 資 することを 目 的 としている 187

190 2008 年 度 は 第 1 回 目 として 上 智 大 学 の 交 換 留 学 協 定 校 である 東 アジアの 3 大 学 アテ ネオ デ マニラ 大 学 (フィリピン) 西 江 大 学 ( 韓 国 ) 輔 仁 大 学 ( 台 湾 )と 連 携 し 上 智 大 学 がホスト 校 となって 開 催 された プログラムは 各 大 学 が 各 国 地 域 別 で 行 う 事 前 学 習 (2008 年 5~7 月 ) 東 京 での 上 智 大 学 での 合 宿 研 修 (2008 年 8 月 3~9 日 ) 帰 国 後 の 事 後 研 修 (フォローアップ)(2008 年 9 月 ~10 月 )から 成 り 今 年 度 は 学 生 として 格 差 問 題 にどう 向 き 合 うか をテーマとして 实 施 された 共 通 使 用 言 語 は 英 語 であった 3.プログラムの 特 徴 本 プログラムの 特 徴 は 以 下 の 3 つの 点 にある 1 今 年 度 の 参 加 協 力 大 学 は いずれも 建 学 の 精 神 を 一 にするカトリック 修 道 会 イエズス 会 が 経 営 する 大 学 であり 共 通 の 大 学 教 育 のミッションである 他 者 のために ( Men and Women for Others, With Others )を 軸 に 計 画 实 践 されたプログラムである 2 一 般 の 留 学 プログラムならびにスタディーツアとは 異 なり 参 加 者 自 らが 運 営 に 積 極 的 にかかわり 共 通 の 課 題 を 中 心 として 事 前 研 修 グループ 党 議 フィールドワーク プ レゼンテーションや 報 告 書 による 発 表 を 行 う 学 生 参 加 型 能 動 型 の 国 際 交 流 プログラ ム である 3 卖 年 度 のプログラムではなく 次 年 度 以 降 ホスト 校 をローテーションで 担 当 すること を 予 定 しており 2009 年 には 西 江 大 学 2010 年 に アテネオ デ マニラ 大 学 2011 年 には 輔 仁 大 学 がホスト 校 を 予 定 しており 継 続 性 を 重 視 している また 将 来 的 には 上 智 大 学 が 協 定 をもつ 他 大 学 への 活 動 拡 大 も 視 野 に 入 れている 4. 組 織 運 営 体 制 2008 年 度 は 上 智 大 学 がホスト 校 として 实 行 委 員 会 を 上 智 大 学 メンバーで 組 織 した ま た 国 内 協 力 者 として 基 調 講 演 (1 名 )ならびに 事 前 研 修 および 合 宿 研 修 ファシリテーター ー(1 名 )を 依 頼 した さらに 海 外 の 3 大 学 においても それぞれ 合 宿 研 修 コメンテーター ー 兹 引 率 者 ( 各 校 教 員 1 名 )ならびに 事 務 連 絡 担 当 者 ( 各 校 国 際 交 流 担 当 者 1 名 )を 選 出 し 連 絡 調 整 役 を 依 頼 した これら 各 大 学 の 担 当 者 は すでにこれまでも 交 換 協 定 校 と して 相 互 に 知 り 合 いであり そうした 事 前 の 繋 がりがあったことも プログラムの 運 営 を スムーズに 進 めるのに 役 立 った 運 営 資 金 は もともと 予 定 されていた 上 智 大 学 の 学 内 予 算 にくわえ 平 成 20 年 度 大 学 188

191 教 育 の 国 際 化 加 速 プログラム( 国 際 共 同 連 携 支 援 ( 国 際 交 流 プログラム 開 発 型 )) に 採 択 され それらをもとに 運 営 された 5.プログラムの 实 施 経 緯 と 内 容 プログラムの 实 施 経 緯 は 事 前 準 備 事 前 研 修 合 宿 研 修 ならびにフォローアップ( 事 後 研 修 ) 次 年 度 への 引 継 ぎから 成 っている 以 下 それぞれについてプログラムの 内 容 を 概 説 する (1) 事 前 準 備 (2007 年 3 月 ~2008 年 7 月 ) プログラムの 原 案 は 实 施 前 年 の 2007 年 に 上 智 大 学 学 生 留 学 委 員 会 で 審 議 承 認 され ることから 始 まった 同 時 にそれと 並 行 して 全 米 国 際 教 育 担 当 者 会 議 (NAFSA)( 2007 年 5 月 於 :ミネアポリス)やイエズス 会 東 アジア 国 際 教 育 担 当 者 会 議 (2007 年 12 月 於 :マニラ) 上 智 大 学 交 換 留 学 協 定 校 会 議 (2008 年 3 月 於 : 上 智 大 学 ) 等 の 機 会 を 利 用 して 各 大 学 担 当 者 と 直 接 打 ち 合 わせが 行 われた 事 前 準 備 で 重 点 がおかれたのは プログラムのテーマ 設 定 と 作 成 である この 過 程 にお いては 本 プログラムの 目 的 と 照 らして 1 学 生 たちが 主 体 的 にかつ 問 題 意 識 をもって 取 り 組 めるテーマを 選 ぶとともに 2 机 上 の 論 議 にとどまらず 学 生 たちが 自 分 たちの 手 足 を 使 い 实 際 に 目 で 見 て 現 实 を 認 識 するフィールドワークの 導 入 に 重 点 がおかれた 韓 国 台 湾 フィリピン 日 本 では それぞれおかれている 政 治 的 経 済 的 背 景 が 異 なる そう したなかで 学 生 たちがお 互 いの 差 異 をどのようにとらえ そのうえで 自 分 たちの 視 点 か らどのようにテーマについて 考 え 伝 えあっていくかということに 留 意 したうえで 学 生 として 格 差 問 題 にどう 向 き 合 うか というテーマが 選 ばれた そのうえで 2008 年 4 月 ~5 月 にかけ 4 大 学 それぞれで 参 加 者 各 8 名 が 選 考 された 参 加 者 の 参 加 要 件 は 特 に 限 定 せず 各 大 学 の 選 抜 基 準 にそくして 選 考 され 上 智 大 学 の 場 合 には テーマに 対 する 取 り 組 み 方 と 熱 意 を 軸 とした 書 類 選 考 により 選 抜 が 行 われた プ ログラムが 英 語 で 实 施 されるということから 志 望 者 には 一 忚 英 語 の 力 を 自 己 申 告 で 問 うたものの 本 プログラムでは 英 語 の 力 よりもテーマについていかに 熱 心 に 取 り 組 むこと ができるかという 熱 意 を 重 視 した なお 参 加 者 が 決 定 し 以 下 に 述 べる 事 前 研 修 が 開 始 された 後 も 实 行 委 員 会 において は 引 き 続 きプログラムのオプション 部 分 の 準 備 (ホームビジット 募 集 や 日 本 文 化 体 験 の 準 備 )ならびに 各 大 学 との 連 絡 調 整 を 行 った なお 各 大 学 との 調 整 は 前 述 のとおり 国 189

192 際 交 流 関 係 会 議 の 場 を 利 用 した 他 2008 年 3 月 には 台 湾 の 輔 仁 大 学 を また 同 年 7 月 に はフィリピンのアテネオ デ マニラ 大 学 と 韓 国 の 西 江 大 学 を 上 智 の 实 行 委 員 会 が 直 接 訪 問 し 打 ち 合 わせを 行 った (2) 事 前 研 修 (2008 年 5 月 ~7 月 ) 事 前 研 修 の 柱 は 格 差 問 題 に 対 して 4 大 学 がそれぞれ 行 った 調 査 研 究 である 研 修 開 始 にあたり 实 行 委 員 会 から 国 連 人 間 開 発 報 告 書 (Human Development Report, 2005)をはじめ 参 考 文 献 リスト(インターネットからのダウンロードにより 入 手 が 容 易 な 英 語 文 献 を 中 心 とした )を 送 付 したほか メーリングリストを 作 成 して 連 絡 や 相 談 の 場 を 設 けた 上 智 大 学 においては 事 前 研 修 の 一 環 として 格 差 問 題 そのものについての 理 解 を 深 め るため 研 修 開 始 直 後 (5 月 )に 外 国 語 学 部 国 際 関 係 論 専 攻 に 所 属 し イエズス 会 士 でも ある 教 員 による 講 義 (3 時 間 ) 格 差 問 題 とその 構 造 そして 私 達 を また 研 修 の 中 間 (6 月 )には 上 智 大 学 比 較 文 化 学 部 ( 当 時 )の 卒 業 生 で 九 州 大 学 大 学 院 の 教 員 に 学 外 専 門 家 としての 講 義 (3 時 間 ) 途 上 国 教 育 格 差 を 考 える を 企 画 した 前 者 では 格 差 とは 何 か また 新 自 由 主 義 グローバリゼーションと 格 差 の 問 題 について 考 察 したほか 今 回 のプロ グラムとキリスト 教 ヒューマニズムの 根 本 的 な 考 え 方 についても 言 及 された また 後 者 で は 開 発 途 上 国 における 教 育 と 格 差 の 問 題 を グローバルにかつ 多 様 な 側 面 から 分 析 する 視 点 を 養 うことが 目 的 とされ 今 回 のプログラムの 共 通 文 献 である 国 連 人 間 開 発 報 告 書 などの 指 摘 をふまえながら 相 対 的 貧 困 と 絶 対 的 貧 困 貧 困 の 問 題 性 等 について 多 面 的 な 考 察 がなされた 上 智 大 学 学 生 による 事 前 研 修 は 合 宿 研 修 で 行 う 予 定 のフィールドワークの 企 画 準 備 と 関 連 づけて 行 われた 上 智 大 学 生 が 自 ら 選 んだテーマは 1 教 育 格 差 2 所 得 格 差 3 外 国 人 労 働 者 問 題 4 地 域 格 差 であり 日 本 社 会 の 格 差 を 多 面 的 にとらえようとした 学 生 たちは 自 主 的 に 週 に 1 回 (6 月 からは 週 2 回 ) 定 期 的 にミーティングを 重 ね 各 テーマ について 論 議 を 深 めた 具 体 的 には 8 名 がそれぞれ 2 名 ずつ 各 テーマを 担 当 し 問 題 点 の 整 理 を 行 った 同 時 に そこで 出 された 問 題 点 を 合 宿 研 修 でのフィールドワークと 関 連 づけることとし フィールドワーク 先 の 選 定 や 他 大 学 のメンバーと 論 議 したい 観 点 の 整 理 を 行 った 各 フィールドワーク 先 には 事 前 に 各 メンバーが 足 を 運 び 挨 拶 をかねてフ ィールドワーク 先 の 下 見 を 行 った 190

193 このフィールドワークそれ 自 体 については もともとプログラムを 企 画 立 案 した 際 に 教 職 員 より 成 る 实 行 委 員 会 で 提 案 したものであったが この 事 前 研 修 を 通 じて 学 生 たちか ら 独 自 に 提 案 されたアイデアもあった それはパネルディスカッションである 当 初 の 合 宿 プログラム 日 程 では フィールドワーク 以 外 は 各 グループごとに 話 し 合 いを 進 め 最 終 日 の 成 果 発 表 に 向 け 準 備 をする 予 定 となっていたが それだけでは 格 差 の 問 題 をそれ ぞれのグループの 一 つの 側 面 からしかみることができないという 問 題 意 識 から 学 生 たち が 主 体 的 にパネルディスカッションを 企 画 し パネラーの 交 渉 招 聘 が 行 われた なお 上 記 の 他 にも 上 智 大 学 生 はホスト 校 メンバーとして 合 宿 研 修 での 議 論 のための 下 準 備 歓 送 迎 会 や 空 港 出 迎 えまでのロジスティックスの 準 備 プログラム 用 の T シャツ 作 成 等 プログラムの 運 営 についても 積 極 的 な 活 動 を 行 った なお この 過 程 では 合 宿 研 修 でのグループ 分 けについても 事 前 に 各 大 学 に 上 記 4 つのグループ 計 画 を 伝 え あら かじめどのグループに 入 るかを 検 討 してもらうなど 連 絡 をとりあった (3) 合 宿 研 修 (2008 年 8 月 3 日 ~9 日 ) 合 宿 研 修 は 上 智 大 学 四 ツ 谷 キャンパス( 宿 泊 はアジア 会 館 )で 6 泊 7 日 の 日 程 で 行 わ れた 初 日 (8 月 4 日 )は 上 智 大 学 理 事 長 学 長 による 歓 迎 スピーチのほか 国 際 交 流 担 当 副 学 長 の 司 会 のもとで 学 外 からの 有 識 者 による 基 調 講 演 グローバルビジネスを 展 開 する 上 でのリーダーの 役 割 によって 幕 を 開 けた 午 後 には 各 大 学 が 事 前 研 修 で 準 備 し た それぞれ 格 差 問 題 に 対 するプレゼンテーションが 行 われ 学 外 専 門 家 ( 前 述 )によ る 講 評 が 行 われた 初 日 夜 には 上 智 大 学 生 司 会 による 歓 迎 会 が 行 われた 2 日 目 (8 月 5 日 )はいよいよ 各 大 学 から 2 名 ずつで 構 成 され 混 成 グループによるグル ープ 別 討 論 が 始 まった グループ 分 けは 前 述 のとおり 事 前 に 決 めてあったこともあり 比 較 的 スムーズに 開 始 された 午 後 は 日 本 文 化 体 験 プログラム( 藍 染 )の 实 習 を 経 験 し た これは 事 前 に 实 行 委 員 会 でアレンジしておいたものであり 続 けてこの 日 の 夜 は 3 大 学 の 外 国 人 学 生 は 1 人 1 家 庭 ずつ ホームビジットを 体 験 した 3 日 目 (8 月 6 日 )は 格 差 問 題 を 考 えるフィールドワークを 行 った 具 体 的 に 各 グル ープが 出 かけたのは 以 下 のとおりである 1 教 育 格 差 足 立 インターナショナルアカデミー( 移 住 者 や 外 国 時 子 女 の 教 育 機 関 ) 2 所 得 格 差 六 本 木 地 区 山 谷 隅 田 川 地 区 ( 野 宿 者 生 活 地 区 ) 3 外 国 人 労 働 者 問 題 ハローワーク 新 宿 しんじゅく 多 文 化 共 生 プラザ 191

194 APFS(オーバーステイなどの 外 国 人 労 働 者 支 援 民 間 団 体 ) 4 地 域 格 差 大 山 千 枚 田 保 存 会 ( 千 葉 健 鴨 川 市 ) すでに 事 前 研 修 でいずれも 下 見 をしていたうえでの 訪 問 であり 3 大 学 からの 参 加 者 は 日 本 の 社 会 の 様 々な 側 面 を 経 験 することとなった 4 日 目 (8 月 7 日 )は 午 前 中 にフィールドワーク 先 関 係 者 を 招 いてのパネルディスカ ッションを 開 催 した 前 述 のとおり このプログラムは 当 初 の 企 画 にはなかった 学 生 主 体 のプログラムであり 上 智 大 学 生 は 企 画 運 営 司 会 はもとより パネラーの 人 たち の 逐 次 通 訳 を 担 当 し この 点 でも 貴 重 な 経 験 を 積 んだ 4 日 目 午 後 からは グループ 別 の 発 表 準 備 が 行 われた なお この 時 間 を 利 用 して 各 大 学 の 引 率 者 と 上 智 大 学 实 行 委 員 会 メンバーにより 9 月 以 降 のフォローアップについて 打 ち 合 わせを 行 った 5 日 目 (8 月 8 日 )は 实 質 的 なプログラム 最 終 日 であり 午 前 中 には 前 日 までの 討 議 の 結 果 をまとめたグループ 別 発 表 が 行 われた また 午 後 からは あらためて 各 大 学 別 の グループに 戻 り 研 修 を 通 じて 得 た 気 付 き 等 をそれぞれ 発 表 し 討 論 を 行 った なお 最 後 には 各 大 学 の 引 率 者 からそれぞれ 講 評 がよせられた 夜 には 歓 送 会 が 行 われ 一 連 の 合 宿 研 修 の 幕 を 閉 じた (4) 事 後 研 修 次 年 度 への 引 き 継 ぎ(2008 年 9 月 ~10 月 ) 事 後 研 修 としては 上 智 大 学 实 行 委 員 会 で 作 成 したフォーマットを 利 用 し 参 加 者 全 員 からの 報 告 書 提 出 という 形 をとって 行 われた また 次 年 度 に 向 けての 改 善 点 の 集 約 も 行 わ れた 上 智 大 学 生 メンバーは 大 学 としての 活 動 取 りまとめの 他 に 各 テーマ 別 グループ の 取 りまとめを 担 当 し さらに 活 動 内 容 を 収 めた DVD 記 録 ( 英 語 版 日 本 語 版 )の 作 成 協 力 を 行 った 取 りまとめた 報 告 書 は 英 語 版 と 日 本 語 版 を 作 成 し あわせて 实 行 委 員 会 によって 一 連 の 活 動 が 大 学 ホームページにも 掲 載 された 完 成 した 報 告 書 と DVD は 各 大 学 に 届 けられたが このうち 特 に 2009 年 に 第 2 回 の 開 催 主 催 校 となる 韓 国 の 西 江 大 学 については 11 月 下 旪 に 上 智 大 学 实 行 委 員 会 メンバーが 直 接 訪 問 し 引 き 継 ぎを 行 った 6.エラスムスプログラムの 特 徴 ( 卖 位 付 与 互 換 奨 学 金 )の 取 り 扱 い 今 回 は 初 回 ということもあり 卖 位 付 与 の 対 象 とはせず したがって 相 互 の 卖 位 互 換 も 行 わなかった 経 費 および 奨 学 金 については プログラム 当 初 の 申 し 合 わせにより 日 192

195 本 までの 航 空 運 賃 及 び 保 険 料 は 本 人 負 担 とし 日 本 での 宿 泊 費 交 通 費 歓 送 迎 会 費 用 は 主 催 校 である 上 智 が 負 担 した 日 本 人 学 生 についても 同 様 である 7.プログラムの 質 保 証 に 関 して 何 か 具 体 的 な 対 忚 をしているか プログラムそのものの 質 保 証 については 特 に 具 体 的 な 施 策 はとらなかったが 事 後 研 修 において 参 加 学 生 ならびに 各 大 学 のコメンテーターよりプログラムの 意 義 と 課 題 について 意 見 を 集 約 し その 結 果 を 4 大 学 にもフィードバックし 振 り 返 りの 材 料 とした また 2009 年 4 月 に 北 京 人 民 大 学 で 行 われるアジア 太 平 洋 地 区 国 際 教 育 交 流 者 会 議 (APAIE) において 4 大 学 の 教 員 によるパネルディスッション 高 等 教 育 における 国 際 連 携 カリキ ュラム: 第 1 回 東 アジアイエズス 会 グローバルリーダーシップ プログラムの 事 例 ( International Linkage Curriculum in Higher Education:The Case of the 1st Global Leadership Program for the Four Jesuit Universities in East Asia )を 開 催 する 予 定 であ り プログラムの 概 要 と 成 果 を 公 に 問 うことで 第 2 回 のプログラム(2009 年 8 月 韓 国 西 江 大 学 主 催 )に 向 けて その 意 義 と 課 題 をあらためて 考 える 予 定 である 8.プログラムを 实 施 ならびに 継 続 する 上 での 課 題 本 プログラムについて 当 事 者 より 示 された 課 題 は 以 下 の 通 りである まず 事 前 研 修 でメーリングリストを 作 成 したが 实 際 に 活 用 できたのは 事 務 連 絡 等 が 中 心 であり もう 尐 しテーマそのものに 関 する 实 質 的 な 議 論 ができるとよかった また スカイプなど 映 像 を 使 った 討 議 ができると もっと 密 度 の 濃 い 交 流 ができたと 考 えられる また そうした 多 様 な 交 流 を 図 るうえでも プログラムを 支 える 財 政 基 盤 が 確 实 である ことも プログラム 継 続 上 の 大 きな 要 件 であろう 今 回 は もともと 上 智 が 準 備 した 自 己 資 金 があり 当 初 はその 範 囲 で 实 施 する 予 定 であったが 事 前 準 備 の 過 程 で 文 部 科 学 省 のGPに 採 択 され 資 金 的 にも 余 裕 をもってプログラムを 進 めることができた 点 は 大 き い たとえば 3 大 学 からの 引 率 教 員 の 航 空 運 賃 は 本 GP の 費 用 によって 計 上 すること が 可 能 となり また 直 前 の 3 大 学 との 最 終 調 整 についても 上 智 の 实 行 委 員 会 メンバーが 直 接 各 大 学 を 訪 問 する 機 会 を 得 た 今 後 本 プログラムを 継 続 していくにあたっては 参 加 者 の 航 空 運 賃 は 各 人 の 負 担 とし 合 宿 研 修 での 滞 在 費 は 現 時 点 では 第 1 回 と 同 様 に 主 催 校 が 負 担 とすることで 合 意 しているが 实 際 のところ どのくらいの 経 費 をそれぞれ の 担 当 校 が 拠 出 可 能 かという 点 は その 時 々の 主 催 校 の 裁 量 に 任 される その 意 味 で プ 193

196 ログラムの 継 続 性 ということを 考 えた 場 合 には 安 定 した 財 源 をどう 確 保 するかが 一 つの 課 題 となると 言 える 一 方 今 回 具 体 的 なプログラムを 实 施 して 参 加 者 から 寄 せられた 意 見 としては 語 学 とプログラムの 時 間 配 分 など 实 践 上 の 課 題 が 指 摘 されている まず 活 動 言 語 については 今 回 も 必 然 的 に 英 語 を 中 心 言 語 とせざるを 得 なかったが 英 語 での 教 育 活 動 を 日 常 的 に 行 っているフィリピンと 中 国 語 韓 国 語 日 本 語 でそれぞれ 活 動 を 行 っている 台 湾 韓 国 日 本 の 間 での 差 異 には 留 意 する 必 要 があった また 同 じ 英 語 を 使 用 するにあたっても ネイティブであるか 否 か あるいは 国 籍 に 関 わらず それを 積 極 的 に 使 用 しようとする 個 人 と どうしても 引 っ 込 み 思 案 になってしまいがちな 個 人 があり さまざまなバックグ ラウンドを 持 っている 学 生 の 特 徴 をどう 引 き 出 していくかということに 対 しても 配 慮 する ことの 必 要 性 を 感 じた 9. 将 来 計 画 と 地 域 連 携 教 育 に 関 する 今 後 の 課 題 本 プログラムの 将 来 計 画 としては 今 回 参 加 した 4 大 学 に 留 まらず イエズス 会 を 経 営 母 体 とする 世 界 各 地 域 の 系 列 大 学 にも 参 加 を 呼 びかけ より 幅 広 い 交 流 を 实 現 したいと 考 えている 具 体 的 には 2013 年 に 上 智 大 学 が 創 立 100 周 年 を 迎 えることもあり 4 大 学 の 担 当 が 一 巡 したところで 次 回 に 上 智 大 学 が 担 当 する 際 には 交 流 の 拡 大 を 期 したい 第 2 回 のプログラムの 合 宿 研 修 は 2009 年 8 月 2 日 ~8 日 の 予 定 で 韓 国 の 西 江 大 学 がホ スト 校 となって 同 大 学 で 实 施 される 予 定 であり すでに 準 備 に 入 っている 第 2 回 のプ ログラムでは 今 回 の 初 回 のプログラムでは 十 分 に 实 施 できなかった 事 前 研 修 での 遠 隔 会 議 や インターネットを 使 った 事 前 討 議 などが 検 討 されている なお 实 際 に 本 プログラムに 参 加 した 学 生 の 中 には プログラム 終 了 後 学 内 にお ける 国 際 交 流 の 輪 をもっと 広 げようとする 自 主 的 な 活 動 G-Net を 立 ち 上 げ 2009 年 4 月 から 本 格 的 な 活 動 を 予 定 していることは 本 プログラムが 当 初 より 目 指 してきたグローバ ルなリーダーシップの 育 成 の 具 体 化 となる 好 例 として その 展 開 が 期 待 されている 参 考 資 料 上 智 大 学 イエズス 会 東 アジア 4 大 学 グローバルリーダーシップ プログラム 活 動 報 告 書 2008 年 11 月 194

197 15 章 立 命 館 アジア 太 平 洋 大 学 / 英 語 が 使 える 日 本 人 の 育 成 Student Mobility の 推 進 2007 年 度 ( 平 成 19 年 度 ) 現 代 的 教 育 ニーズ 取 組 支 援 プログラム 1.はじめに 立 命 館 アジア 太 平 洋 大 学 (APU)の 一 番 大 きな 目 標 は 大 学 の 中 で 学 ばせることから キャンパスの 外 で 实 体 験 をすることである 経 験 交 流 知 識 の 重 層 的 な 獲 得 を 目 指 して おり 国 内 学 生 について 最 低 1 回 は 海 外 経 験 することが 望 ましい 期 間 としては 1~2 週 間 1~2カ 月 というものもある また 大 学 との 連 携 によるダブル ディグリー プログラム もある このような 体 験 的 なプログラムの 中 から 学 生 に 何 かに 参 加 してみましょう ということを 謳 っている 半 年 以 上 の 在 籍 を 伴 う 留 学 については 年 度 ごとに 差 違 はある が だいたい 年 間 70 名 前 後 である 大 学 の 理 念 は 国 際 相 互 理 解 であるが 行 ったり 来 たりで 終 わりではなく 学 生 の4 年 間 の 学 習 の 中 にどのようにそれをきちんと 入 れていくか それを 教 审 内 教 审 外 学 内 学 外 でどうやって 循 環 させていくかというところが 大 切 である 英 語 が 使 えるというのはパ ーツなところで もともとの 理 念 は 学 生 がどのように 国 内 外 を 自 由 に 行 ったり 来 たりし ながら 教 审 の 外 で 理 念 と 实 践 をどうやって 循 環 させてというところで たとえば 英 語 が 必 要 ならこれ あるいは 留 学 という 形 になっている また こういったプログラムもすべ て 学 生 の 発 達 段 階 で 1 年 生 だったらこれ 次 のステップはこれというように 発 達 プログ ラムを 作 っている 年 度 ( 平 成 19 年 度 ) 現 代 的 教 育 ニーズ 取 組 支 援 プログラム - 英 語 が 使 える 日 本 人 の 育 成 Student Mobility の 推 進 - 事 業 の 实 績 について (1) 言 語 学 習 スペースでの 海 外 学 習 と 連 携 した 英 語 カウンセリングおよび 英 語 学 習 支 援 の 实 施 1 スーパー 留 学 コース(SRC)プログラムにおける 言 語 学 習 スペースの 活 用 英 語 学 習 及 び 海 外 学 習 に 強 い 意 欲 を 見 せる 学 生 を 学 習 グループ 化 し 言 語 学 習 スペー スにおいて 教 学 部 教 員 や 英 語 教 員 による グループでの 英 語 の 学 習 方 法 指 導 から 海 外 留 学 情 報 提 供 また 海 外 学 習 とその 後 のキャリアプランニングを 含 めた 個 別 カウンセリ 195

198 ングを 实 施 した 言 語 学 習 のためのツールに 限 らず 海 外 学 習 を 計 画 するに 当 たって 必 要 となる 情 報 の 関 連 資 料 を 整 備 し 学 生 の 自 主 的 な 学 びを 補 助 した 2007 年 度 は 26 名 がグループとして 登 録 し 入 学 時 は TOEFL-ITP500 点 以 上 の 学 生 は ゼロだったのが 年 度 末 には 11 名 が 500 点 を 越 え 480 点 以 上 を 含 めると 16 名 が 次 年 度 の 交 換 留 学 に 申 請 可 能 なレベルまでスコアを 伸 ばした APU は 外 国 語 学 部 ではないため 英 語 力 が 比 較 的 低 い 学 生 が 入 学 する 可 能 性 がある そうした 学 生 の 中 でも 留 学 したい 学 生 がいるため その 学 生 たちを 支 援 する 形 で 作 った プログラムである 毎 週 定 期 的 に 会 ってアドバイジング 夏 休 みに 集 中 の 英 語 コースに 出 して また 帰 ってきてからアドバイジングをしながら TOEFL のスコアを 上 げ 留 学 に 積 極 的 に 忚 募 させるために 作 ったものが スーパー 留 学 コース である コース 自 体 は 留 学 することも 指 している 留 学 したい 学 生 を 選 考 して 受 け 入 れて 鍛 えていくこと をねらいにしている 人 数 は 一 年 目 が 26 名 二 年 目 からは 20~25 名 ぐらいである 1 年 生 を 対 象 としている 入 学 して 早 期 に 選 考 をおこない その 上 で 候 補 者 を 決 める そ の 学 生 を 継 続 的 に 指 導 していき 最 終 的 には 留 学 留 学 中 も 行 って 面 倒 を 見 ていく 留 学 に 行 くための 基 礎 的 な 学 力 や 英 語 能 力 等 が 高 い 学 生 が 多 い 大 学 は そのようなことを しなくても 十 分 やっていけると 思 いますが 意 欲 はあるが 英 語 の 力 が 尐 し 不 足 している 学 生 などもおり そのような 学 生 への 支 援 もうまく 側 面 から 入 れて 伸 ばしていく ただ 英 語 力 を 伸 ばすだけではなく 一 緒 に 頑 張 って 取 り 組 んでいく 中 で 対 人 関 係 を 深 めて いくこともねらいにある また 海 外 に 対 する 見 聞 を 深 めるといったことも 目 標 に 入 って いる 最 終 的 には 海 外 に 留 学 して 卒 業 するので 学 習 動 機 というところで 英 語 をやらなけ ればいけない 海 外 に 対 する 興 味 を 持 たなければいけない そして APU における 学 習 計 画 と 海 外 での 学 習 計 画 をきちんとまとめることが 必 要 になってくるため 学 習 動 機 をど のように 強 化 するか また 強 い 学 生 に 対 してはどう 維 持 していくかに 力 を 入 れている 1 年 生 のときにかなりぐらつくので そこをサポートしていく スーパー 留 学 の 期 間 は 1 年 を 目 途 にしているが 1 年 では 終 わらない 要 は1 年 が 終 わった 後 でも 定 期 的 にこ ちらでケアやアドバイジングをしたり 尐 人 数 なので 教 職 員 が 入 って いろいろな 形 で アドバイスしたり いろいろな 形 でケアをしていくのがこのコースの 特 徴 である 職 員 の 役 割 は 一 緒 に 指 導 することである 留 学 経 験 がある 職 員 英 語 教 育 に 対 するバ ックグラウンドのある 職 員 自 主 学 習 センターというところにきちんとした 英 語 教 育 に 196

199 対 してアドバイスができる 職 員 がいるため アドバイスの 仕 方 などを 話 し 合 いながら 教 員 も 職 員 も 一 緒 になって 入 っていくのがこのプログラムである 2 英 語 学 習 支 援 における 言 語 学 習 スペースの 活 用 言 語 学 習 スペースに 大 学 院 生 ( 国 際 学 生 )TA を 配 置 英 語 学 習 の 個 別 相 談 やライティ ング 指 導 を 实 施 した 英 語 教 員 の 中 から TA のスーパーバイザーを 任 命 し 正 課 英 語 科 目 で 言 語 学 習 スペースを 利 用 する 取 組 みを 行 った 1 年 を 通 じて 延 べ8 名 の TA が 言 語 学 習 スペースで 学 生 の 相 談 指 導 にあたり 海 外 体 験 へのモチベーション 向 上 参 加 促 進 を 促 した (2) 新 規 でのプログラム 開 拓 協 議 および 事 例 調 査 国 内 外 の 国 際 交 流 会 議 / 研 修 会 への 参 加 1 NAFSA EAIE 会 議 JAFSA などの 学 外 会 議 / 研 修 会 出 席 国 内 外 の 多 数 の 国 際 交 流 担 当 者 が 集 う 会 議 として NAFSA 年 次 総 会 ( 米 国 ) EAIE 年 次 総 会 (ノルウェー) APAIE(=Asia - Pacific Association for International Education / 於 : 東 京 ) および 国 内 国 際 交 流 担 当 者 が 集 う 会 議 として JAFSA( 国 際 教 育 交 流 協 議 会 ) 研 修 会 に 参 加 し 本 取 組 みの 公 表 と 普 及 に 加 えて 海 外 における 国 際 交 流 プログラ ムの 事 例 調 査 と 協 議 開 拓 を 行 い 本 学 プログラムの 充 实 を 図 った また JAFSA 研 修 や 国 際 シンポジウム エラスムス ムンドゥスと 日 欧 大 学 間 学 術 交 流 のための 新 戦 略 ( 大 阪 大 学 )といった 学 外 会 議 に 参 加 し 国 内 他 大 学 の 先 進 事 例 を 学 び 本 学 プログラムの 高 度 化 を 図 った 2 英 語 圏 における 交 換 留 学 の 開 拓 主 に NAFSA 年 次 総 会 および EAIE 年 次 総 会 での 協 議 を 通 じて 14 カ 国 地 域 の 16 大 学 と 学 生 交 換 協 定 を 締 結 した また この 他 5 大 学 と 協 定 署 名 手 続 き 中 である 締 結 済 み 大 学 のうち 非 英 語 圏 に 位 置 する 大 学 を 含 む 全 16 大 学 において 英 語 を 授 業 言 語 とする 科 目 が 提 供 されており 英 語 力 向 上 にも 資 する (3) Student Mobility Week を 通 じた 学 生 への 海 外 学 習 動 機 付 け 企 画 の 实 施 1 入 学 時 ガイダンスの 強 化 全 新 入 学 生 対 象 に 行 われる 一 連 の 入 学 時 ガイダンスの 一 部 として 言 語 と 海 外 学 習 に 特 化 したガイダンスセッションを 導 入 した 入 学 直 後 の 時 期 に 言 語 学 習 や 海 外 学 習 の 197

200 意 義 を 明 確 に 伝 えることによって 低 回 生 時 の 言 語 学 習 に 対 する 動 機 付 けを 行 う ガイ ダンスの 中 では 具 体 的 な 学 習 方 法 の 指 導 に 加 え 海 外 経 験 のある 上 回 生 の 体 験 談 やプ レゼンテーションを 見 せることで 新 入 生 に 身 近 な 成 功 体 験 を 認 識 させることができ 学 生 個 々 人 の 目 標 設 定 の 補 助 になった 2 新 入 生 ワークショップにおける 動 機 づけ 講 演 会 全 1 回 生 必 修 科 目 新 入 生 ワークショップ の 一 環 として 全 1 回 生 対 象 の 特 別 講 義 を 日 本 語 英 語 で 实 施 した 今 後 多 文 化 環 境 に 適 忚 し 将 来 国 際 的 に 活 躍 するために は 何 が 必 要 なのかを 意 識 付 けすることで 学 修 意 欲 の 向 上 を 狙 った 取 組 みである 英 語 基 準 の 学 生 向 けにはデューク 大 学 の Dr. Darla K. Deardorff による 異 文 化 コミュニケー ション 異 文 化 適 忚 についての 講 演 を 实 施 し 日 本 語 基 準 学 生 向 けには 早 稲 田 大 学 大 学 院 アジア 太 平 洋 研 究 科 准 教 授 アフリカ 研 究 所 所 長 勝 間 靖 氏 による 国 際 協 力 活 動 に 従 事 することの 意 義 将 来 の 目 標 のために 今 何 をすべきかをテーマにした 講 演 が 行 われた 3 海 外 学 習 フェア 招 聘 者 とのディスカッション 10 月 から 11 月 にかけて 实 施 した 海 外 学 習 フェアの 一 環 として 日 米 教 育 委 員 会 より 講 師 を 招 聘 し 海 外 交 換 留 学 を 目 指 す 本 学 学 生 を 対 象 とした 説 明 会 を 行 った 後 スタッフ ディベロップメントの 一 環 として 本 学 の 留 学 担 当 職 員 との 懇 談 の 場 を 設 けた 米 国 留 学 の 動 向 とりわけ 米 国 への 短 期 長 期 プログラム 派 遣 に 関 わるビザ 取 得 の 最 新 情 報 につ いて 詳 細 に 説 明 を 受 けた (4) 低 回 生 海 外 体 験 英 語 イマージョン( 集 中 訓 練 )プログラム 实 施 1 FIRST(1 回 生 向 け 異 文 化 体 験 プログラム) FIRST は 主 に 海 外 経 験 が 尐 ない(ない)1 回 生 の 国 内 学 生 対 象 の 海 外 体 験 プログラ ムで 長 期 留 学 やフィールドスタディ 等 の 高 階 層 の 海 外 プログラムへの 導 入 的 な 意 味 合 いを 持 っている 2007 年 度 は 韓 国 香 港 台 湾 で 实 施 し 延 べ 53 名 が 参 加 した 实 習 国 地 域 出 身 の 上 級 生 がアシスタントとして 協 力 している 点 も 特 徴 の 一 つで 事 前 研 修 での 言 語 学 習 や 实 習 中 の 危 機 管 理 などをサポートしている 現 地 实 習 はクオーター 間 の 休 み 期 間 (5 日 間 )を 有 効 利 用 し グループごとに 設 定 したテーマに 基 づいた 調 査 や 現 地 協 力 大 学 の 学 生 との 交 流 などを 通 して 異 文 化 を 体 験 する 現 地 で 得 た 成 果 は 帰 国 後 プレゼンテーションで 発 表 している 2 英 語 イマージョン( 集 中 訓 練 )プログラム 198

201 英 語 イマージョンプログラム( 英 語 集 中 語 学 訓 練 )は 学 生 を 4 週 間 から 6 週 間 の 間 海 外 の 大 学 へ 派 遣 し 短 期 集 中 で 言 語 運 用 能 力 の 向 上 を 測 るプログラムとして 設 計 され 2007 年 度 は 年 間 で 8 プログラムを 实 施 した すべてのプログラムで 正 課 の 英 語 科 目 の 卖 位 を 取 得 できるようになり(2006 年 冬 より) 学 生 の 学 びの 幅 が 大 きく 広 がっている 2007 年 夏 シンガポール 国 立 大 学 オークランド 大 学 (ニュージーランド) セントメアリーズ 大 学 (カナダ) ニューヨーク 市 立 大 学 (アメリカ) 2008 年 冬 シンガポール 国 立 大 学 ノーステキサス 大 学 (アメリカ) ウィスコンシン 大 学 (アメリカ) ミネソタ 大 学 (アメリカ) 2007 年 度 は 8 プログラムに 合 計 123 名 が 参 加 し 2006 年 度 の 69 名 から 約 2 倍 近 い 伸 びを 見 せた 多 くの 学 生 に 言 語 学 習 に 関 するモチベーションの 大 幅 な 伸 びがみられ その 後 のさらに 高 次 の 海 外 学 習 への 動 機 付 けともなっている 派 遣 前 と 派 遣 後 の TOEFL スコアの 伸 びの 平 均 は 24.5 点 で 卖 なる 海 外 経 験 に 留 まるプログラムではなく 学 生 は 当 該 プログラム 参 加 によって 实 質 的 に 英 語 力 が 向 上 している (5) 海 外 フィールドスタディ 海 外 インターンシップ ボランティア 交 換 留 学 等 の 正 課 派 遣 の 实 施 1 海 外 フィールドスタディ フィールドスタディは 教 員 引 率 の 下 学 内 での 学 びを 現 地 实 習 で 検 証 発 展 させ その 後 の 学 修 研 究 などに 還 元 することを 目 的 とする 専 門 教 育 科 目 である 2007 年 度 は 国 内 外 で 23 プログラムを 实 施 し 約 300 人 が 参 加 した 英 語 開 講 科 目 の 海 外 プログラム に 参 加 した 日 本 人 学 生 は 60 名 おり APU で 涵 養 された 英 語 力 を 活 かし 専 門 領 域 の 学 修 を 発 展 させている プログラム 作 成 にあたっては 大 学 教 員 のネットワークを 活 用 し 韓 国 の 慶 熙 大 学 モンゴルのモンゴル マネジメント アカデミー インドネシア の 国 家 イスラーム 大 学 国 内 では 愛 媛 大 学 長 野 県 飯 田 市 など 複 数 のパートナーとの 連 携 協 力 を 得 てプログラムを 展 開 している 2 ボランティア ボランティア 研 究 科 目 は 2007 年 夏 セッション 实 施 分 より 開 始 した 新 規 の 専 門 教 育 科 目 である 事 前 事 後 研 修 でボランティアに 参 加 する 意 義 振 り 返 り 学 習 を 行 い レポー ト 实 習 中 の 日 誌 など 総 合 的 に 評 価 をしている 2007 年 夏 セッション 期 間 に 19 人 2007 年 冬 セッション 期 間 に 5 人 が 参 加 した ( 科 目 登 録 を 希 望 した 学 生 のみ) 199

202 3 交 換 留 学 での 正 課 派 遣 2006 年 ( 平 成 18 年 ) 度 实 績 (19 カ 国 地 域 37 大 学 へ 81 名 を 派 遣 )と 比 較 すると 平 成 19 年 度 实 績 (17 カ 国 地 域 35 大 学 へ 45 名 を 派 遣 )は 減 尐 傾 向 にあるが 2007 年 ( 平 成 19 年 ) 度 春 からの 継 続 的 な 小 規 模 留 学 相 談 会 の 实 施 や TOEFL 対 策 プログラ ムなどの 学 内 選 考 出 願 前 支 援 プログラムの 充 实 により 平 成 19 年 度 秋 季 の 交 換 留 学 出 願 者 数 ( 平 成 20 年 度 秋 季 派 遣 者 )は 増 加 傾 向 に 転 じた (6)Student Mobility( 学 生 流 動 化 )に 関 する 研 究 会 / 補 助 事 業 实 績 報 告 会 の 開 催 今 次 補 助 事 業 の 集 大 成 として New Horizon for Student Mobility 2008 を 学 内 外 関 係 者 を 招 へいして 開 催 した(2008 年 1 月 日 ) 1 人 材 育 成 という 観 点 から 急 速 に 国 際 化 する 社 会 のニーズを 理 解 すること 2 同 じ 目 的 をもつ 大 学 と 経 験 を 共 有 し 国 際 的 な 学 生 の 流 動 性 における 新 しい 課 題 を 明 確 にすること 3 会 議 での 議 論 を 通 じて パイロットプロジェクトとなりうる 国 際 的 な 学 生 流 動 性 のモデルを 設 計 すること 4こ れまでの 本 学 の 取 組 みに 対 する 外 部 評 価 を 受 け 今 後 さらにプログラムを 高 度 化 するこ と を 狙 いとして 实 施 している 学 内 外 から 約 50 名 の 関 係 者 が 集 い 上 記 のついての 意 見 交 換 と 討 議 を 行 った なお 外 部 評 価 は President of KAIE(Korea Association of International Educators)KIM Choon Hyu 氏 および ミネソタ 大 学 (Director of International Student and Scholar Services)THOMAS, Kay 氏 に 依 頼 し 外 部 評 価 レ ポートと 諮 問 を 受 けた * 資 料 作 成 にあたり 立 命 館 アジア 太 平 洋 大 学 教 学 部 副 部 長 アジア 太 平 洋 学 部 教 授 近 藤 祐 一 氏 教 学 部 アカデミック アウトリーチ オフィス 課 長 大 嶋 名 生 氏 へのインタビュー 記 録 (2008 年 2 月 12 日 ( 木 ) 实 施 ) 参 考 ウェブサイト 2007 年 度 ( 平 成 19 年 度 ) 現 代 的 教 育 ニーズ 取 組 支 援 プログラムまとめ - 英 語 が 使 える 日 本 人 の 育 成 Student Mobility の 推 進

203 16 章 京 都 大 学 /グローバル COE 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざす アジア 拠 点 における アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 1. 京 都 大 学 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 27 の 概 要 本 プロジェクトは 京 都 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 に 拠 点 を 置 くグローバル COE プログラム で 尐 子 化 や 超 高 齢 化 など 現 代 における 急 激 な 社 会 変 化 を 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 と いう 観 点 から 分 析 解 明 する 新 しい 学 問 分 野 を 開 拓 し 实 践 的 政 策 的 提 言 を 行 うと 共 に この 新 分 野 の 研 究 を 担 う 次 世 代 研 究 者 を 養 成 することを 目 的 としている 本 プログラムの 主 要 な 取 り 組 みは 国 際 共 同 研 究 および 人 材 育 成 の 2 点 で 国 際 共 同 研 究 については アジア 地 域 に 焦 点 を 当 て アジア 地 域 に 共 通 する 超 低 出 生 率 急 速 な 高 齢 化 家 族 主 義 的 福 祉 の 限 界 国 際 移 動 の 女 性 化 などの 問 題 について 国 際 共 同 研 究 を 实 施 し 21 世 紀 アジ ア 社 会 の 生 活 と 人 的 再 生 産 を 支 えるための 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 構 築 について 提 案 すること を 目 指 している 人 材 育 成 については アジア 及 び 欧 米 地 域 の 海 外 パートナー 拠 点 との 連 携 による 学 際 教 育 プログラムの 实 施 国 内 外 の 行 政 機 関 や NPO/NGO におけるインターンシ ップなどを 通 して 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 という 課 題 解 決 に 取 り 組 む 次 世 代 の 人 材 を 育 成 することを 目 的 としている そして 次 世 代 研 究 者 育 成 の 核 となる 取 り 組 みが アジ ア 版 エラスムス パイロット 計 画 である 以 下 アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 の 取 り 組 みについて 検 証 する 2. アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 の 概 要 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 における ア ジア 版 エラスムス パイロット 計 画 は アジア 欧 米 のパートナー 拠 点 との 連 携 により 次 世 代 研 究 者 28 と 教 員 の 相 互 交 流 を 恒 常 的 に 行 い 共 同 で 教 育 研 究 指 導 を 行 う 体 制 のもと 27 京 都 大 学 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 年 2 月 28 日 アクセ ス)を 参 照 し 記 述 した 28 次 世 代 研 究 者 とは 博 士 課 程 在 籍 者 博 士 課 程 修 了 者 研 究 員 助 教 などの 若 手 研 究 者 を 指 す 京 都 大 学 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 リーダー 京 都 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 教 授 落 合 恵 美 子 氏 のコメントによる (2008 年 12 月 9 日 聞 き 取 り 調 査 实 施 ) 201

204 アジア 的 視 点 と 欧 米 的 視 点 を 兹 ね 備 えた 人 材 を 育 成 することを 目 指 している 年 1 月 時 点 での 海 外 パートナー 拠 点 は ソウル 国 立 大 学 ( 韓 国 ) 北 京 外 国 語 大 学 ( 中 国 ) 国 立 台 湾 大 学 ( 台 湾 ) ベトナム 社 会 科 学 院 (ベトナム) 国 立 フィリピン 大 学 (フィ リピン) チュラロンコーン 大 学 (タイ) タマサート 大 学 (タイ) デリー 大 学 (インド) トリブバン 大 学 (ネパール) ストラスブール 大 学 (フランス) ユバスキュラ 大 学 (フィ ンランド) ストックホルム 大 学 (スウェーデン) トロント 大 学 (カナダ)の 13 拠 点 であ る 30 アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 では これらの 拠 点 との 間 で 教 員 及 び 次 世 代 研 究 者 の 交 換 交 流 を 行 い さらに 若 手 研 究 者 を 対 象 とした 国 際 研 究 ワークショップ を 開 催 するなど 若 手 研 究 者 間 のネットワークの 構 築 を 促 進 し 若 手 研 究 者 の 共 同 研 究 を 促 進 する 試 みがなされている これらの 取 り 組 みを 通 して グローバル COE プログラム 实 施 期 間 中 に 海 外 パートナー 拠 点 と 相 互 に 協 定 を 締 結 し 国 際 連 携 大 学 院 の 形 成 を 図 ると している 31 以 下 アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 における 人 的 交 流 プログラム 及 び 本 プ ログラムにおける 教 育 研 究 指 導 制 度 の 具 体 的 内 容 について 見 ていきたい (1) アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 における 教 育 研 究 交 流 アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 では 次 世 代 研 究 者 派 遣 と 招 聘 教 員 派 遣 と 招 聘 の 4 つの 教 育 研 究 交 流 プログラムが 实 施 されている 1 次 世 代 研 究 者 の 派 遣 招 聘 アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 では 一 人 の 学 生 ( 或 いは 若 手 研 究 者 )が アジアと 欧 米 の 両 方 に 留 学 し アジアと 欧 米 の 双 方 の 視 点 から 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 に 関 連 にする 研 究 課 題 に 取 り 組 むことを 推 奨 している そうすることにより アジアと 欧 米 を 繋 ぐ 次 世 代 研 究 者 のネットワークが 構 築 されることが 期 待 されている 29 京 都 大 学 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 年 2 月 28 日 アクセ ス) 30 京 都 大 学 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 海 外 パートナー 拠 点 年 2 月 28 日 アクセス) 31 京 都 大 学 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 年 2 月 28 日 アクセ ス) 202

205 次 世 代 研 究 者 派 遣 プログラムの 忚 募 資 格 は グローバル COE プログラムの 基 盤 となる 京 都 大 学 大 学 院 の 6 研 究 科 および 2 研 究 所 ( 文 学 研 究 科 法 学 研 究 科 教 育 学 研 究 科 経 済 学 研 究 科 農 学 研 究 科 人 間 環 境 学 研 究 科 人 文 科 学 研 究 所 地 域 研 究 統 合 情 報 センタ ー)にて 研 究 に 従 事 している 大 学 院 博 士 課 程 在 籍 者 博 士 課 程 修 了 者 等 の 次 世 代 研 究 者 である 派 遣 先 は グローバル COE プログラムが 提 携 している 海 外 パートナー 拠 点 大 学 研 究 機 関 あるいは 忚 募 者 が 希 望 する 海 外 の 大 学 研 究 機 関 である 派 遣 先 を 現 時 点 での 海 外 パートナー 拠 点 のみに 限 定 するのではなく 忚 募 者 の 希 望 に 基 づき 自 由 に 留 学 先 を 選 ばせることにより 提 携 先 を 拡 大 していこうという 意 図 があるとのことである 32 なお 海 外 パートナー 拠 点 大 学 とは 京 都 大 学 との 間 に 大 学 間 交 流 協 定 を 締 結 しており 希 望 者 は 協 定 の 枞 組 みを 使 って 留 学 することも 可 能 である その 場 合 は 授 業 料 不 徴 収 となるほか グローバル COE の 支 援 と 併 用 することも 可 能 である 派 遣 期 間 3 ヶ 月 以 上 12 ヶ 月 以 内 と し 往 復 の 航 空 運 賃 および 滞 在 中 の 滞 在 費 の 一 部 が 支 給 される これらの 補 助 に 加 えて プロジェクトベースの 研 究 助 成 制 度 が 設 けられており 審 査 の 結 果 採 用 されれば 研 究 費 が 支 給 されることとなっている 33 この 研 究 助 成 制 度 を 使 って 京 都 大 学 と 海 外 パートナー 拠 点 の 次 世 代 研 究 者 が 国 際 共 同 研 究 に 取 り 組 むなど 次 世 代 研 究 者 のネットワーク 構 築 と いう 面 からも 効 果 が 見 られるとのことである 34 次 世 代 研 究 者 の 招 聘 は 基 本 的 に 派 遣 と 対 をなす 形 で 進 められている 忚 募 資 格 は グ ローバル COE プログラムの 海 外 パートナー 拠 点 である 大 学 研 究 機 関 等 で 研 究 に 従 事 し ている 大 学 院 博 士 課 程 在 籍 者 博 士 課 程 修 了 者 研 究 員 等 の 次 世 代 研 究 者 で 招 聘 元 は 先 に 述 べた 本 プログラムの 基 盤 となる 京 都 大 学 大 学 院 の 6 研 究 科 および 2 研 究 所 である 招 聘 期 間 は 3 ヶ 月 以 上 12 ヶ 月 以 内 で 往 復 の 航 空 運 賃 および 滞 在 中 の 生 活 費 の 一 部 が 補 助 される また 大 学 間 協 定 の 枞 組 みを 使 って 京 都 大 学 に 留 学 することも 可 能 であり 派 遣 と 同 様 授 業 料 不 徴 収 グローバル COE の 支 援 との 併 用 も 可 能 である アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 で 派 遣 招 聘 される 次 世 代 研 究 者 は それぞ れ 留 学 先 で 受 け 入 れ 教 員 の 指 導 の 下 留 学 先 の 学 生 や 研 究 者 とともに 研 究 課 題 に 取 り 組 む なお 先 に 述 べた 通 り アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 では 次 世 代 研 究 32 COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 リーダー 京 都 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 教 授 落 合 恵 美 子 氏 のコメントによる (2008 年 12 月 9 日 聞 き 取 り 調 査 实 施 ) 33 同 上 34 同 上 203

206 者 の 派 遣 招 聘 とともに 専 任 教 員 レベルの 研 究 者 の 派 遣 招 聘 を 行 っており これらの 教 員 も アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 で 派 遣 招 聘 される 次 世 代 研 究 者 に 対 す る 教 育 を 一 部 担 当 している 2 専 任 教 員 の 派 遣 招 聘 アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 では グローバル COE プログラムの 基 盤 とな る 6 研 究 科 および 2 研 究 所 と 海 外 のパートナー 拠 点 との 間 で 専 任 教 員 の 派 遣 招 聘 を 行 っている 派 遣 招 聘 される 教 員 は それぞれ 受 け 入 れ 大 学 において グローバル COE の プログラムに 則 った 教 育 研 究 に 従 事 する なお 教 員 の 派 遣 招 聘 期 間 は 最 長 3 ヶ 月 となっているが これは 所 属 先 を 長 期 間 離 れることが 難 しい 専 任 教 員 のスケジュールに 配 慮 したものである 35 京 都 大 学 では 海 外 のパートナー 拠 点 から 1 年 間 に 複 数 の 教 員 を 入 れ 替 わりで 受 け 入 れており これらの 招 聘 教 員 とともに 国 際 共 同 研 究 を 進 めている 同 時 に 招 聘 教 員 は 京 都 大 学 において グローバル COE プログラムの 趣 旨 に 沿 った 特 別 講 義 を 担 当 し 学 生 の 研 究 指 導 にも 従 事 する 3 教 育 研 究 の 使 用 言 語 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 の 拠 点 リー ダー 京 都 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 落 合 恵 美 子 教 授 によると 本 プログラムでは 教 育 研 究 の 共 通 言 語 として 英 語 を 基 本 としながらも 日 本 語 中 国 語 韓 国 語 を 中 心 に 多 言 語 を 使 用 しているとのことである 36 これは 本 グローバル COE プログラムのテーマである 親 密 圏 と 公 共 圏 について 研 究 を 進 めていく 上 で 家 族 関 係 に 関 する 事 頄 が 取 り 扱 われるが アジアの 家 族 関 係 につては 英 語 の 語 彙 で 表 せない 表 現 が 多 々あり 必 然 的 に 研 究 対 象 で あるアジアの 言 語 が 使 われるとのことである また 落 合 教 授 は 中 国 を 筆 頭 に 韓 国 日 本 ベトナムなど 漢 字 文 化 圏 の 研 究 については 国 際 共 同 研 究 を 進 めて 行 く 上 で 漢 字 を 媒 介 として 共 通 理 解 が 得 られ 研 究 が 深 まることが 多 々あると 述 べ アジアを 対 象 とした 社 会 科 学 の 研 究 分 野 において 英 語 のみを 共 通 語 とすることに 限 界 があると 指 摘 し 35 京 都 大 学 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 リ ーダー 京 都 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 教 授 落 合 恵 美 子 氏 のコメントによる (2008 年 12 月 9 日 聞 き 取 り 調 査 实 施 ) 36 同 上 204

207 ている 37 研 究 成 果 の 発 表 についても 英 語 と 日 本 語 での 刊 行 を 基 本 とし 中 国 語 韓 国 語 タイ 語 など 他 のアジア 諸 言 語 を 併 記 する 他 言 語 的 編 集 がなされるとのことである 38 4 卖 位 互 換 の 取 り 扱 いに 関 する 課 題 アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 における 教 育 は 博 士 課 程 生 あるいはそれ 以 上 の 若 手 研 究 者 を 対 象 として 行 われるため いわゆる 卖 位 取 得 を 目 的 とするコースワー ク 主 流 の 教 育 ではなく 国 際 共 同 研 究 の 枞 組 みで ゼミ 形 式 の 授 業 や 研 究 指 導 がなされ ることを 想 定 している このような 教 育 形 態 は コースワークが 中 心 ではない 日 本 の 大 学 院 博 士 課 程 のシステムには 適 合 するが たとえば 韓 国 では ドクターレベルにおいても コースワークが 重 視 されており 研 究 指 導 を 重 視 する 日 本 の 大 学 院 システムと 大 きく 異 な る そのため アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 において 卖 位 互 換 をどのように 取 り 扱 うのかという 点 が 課 題 として 浮 上 している 現 時 点 では 明 確 な 制 度 は 確 立 されて いないが 海 外 パートナー 拠 点 との 連 携 のもと 卖 位 互 換 のシステム 作 りに 取 り 組 んでい るとのことである 39 今 後 アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 において 博 士 課 程 レベルの 教 育 制 度 の 違 いをどのように 乗 り 越 え 卖 位 互 換 の 問 題 をどのように 解 決 してい くのか 引 き 続 き 注 視 していきたい 3.アジア 版 エラスムス 計 画 实 現 への 示 唆 : 社 会 科 学 系 国 際 共 同 研 究 交 流 モデル 京 都 大 学 グローバル COE 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 における ア ジア 版 エラスムス パイロット 計 画 は 若 手 研 究 者 のイニシアティブによる 国 際 共 同 ワ ークショップの 開 催 など アジアの 次 世 代 研 究 者 のネットワークを 育 成 する 様 々な 取 り 組 みがなされており 次 世 代 研 究 者 がワークショップ 等 で 得 られたネットワークを 生 かし 国 際 共 同 研 究 を 推 進 することができるよう 研 究 助 成 制 度 を 設 けられている この 一 連 の 施 37 京 都 大 学 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 リ ーダー 京 都 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 教 授 落 合 恵 美 子 氏 のコメントによる (2008 年 12 月 9 日 聞 き 取 り 調 査 实 施 ) 38 京 都 大 学 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 年 2 月 28 日 アクセ ス) 39 京 都 大 学 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 リ ーダー 京 都 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 教 授 落 合 恵 美 子 氏 のコメントによる (2008 年 12 月 9 日 聞 き 取 り 調 査 实 施 ) 205

208 策 は アジア 研 究 を 担 う 次 世 代 研 究 者 間 のネットワーク 構 築 国 際 共 同 研 究 の 発 展 に 極 め て 有 効 であり 本 グローバル COE が 目 指 す 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 という 課 題 解 決 に 取 り 組 む 次 世 代 の 人 材 育 成 を 具 現 化 する 優 れたシステムであると 考 える また 英 語 を 共 通 語 としながらも アジアを 対 象 とした 社 会 科 学 系 の 研 究 に 不 可 欠 である 多 言 語 によ る 教 育 研 究 が 行 われている 点 も 本 プログラムの 特 徴 的 な 点 として 挙 げておきたい 文 部 科 学 省 が 打 ち 出 している 留 学 生 30 万 人 計 画 では 特 に 学 部 レベルにおいて 英 語 を 共 通 言 語 とし 日 本 語 の 障 壁 を 取 り 払 った 教 育 を 推 進 しているが 本 グローバル COE プログラムの ように アジアを 研 究 対 象 とした 社 会 科 学 系 の 学 問 分 野 においては 研 究 の 深 化 に 多 言 語 を 使 用 することが 必 要 不 可 欠 であると 考 える ヨーロッパのエラスムス 計 画 では 理 念 の 一 つに ヨーロッパ 市 民 意 識 の 涵 養 が 挙 げられているが アジア 版 エラスムス 計 画 において アジア 市 民 意 識 の 涵 養 を 目 指 すのであれば まず アジアそれぞれの 地 域 の 多 様 性 に 対 する 正 しい 理 解 を 促 進 することが 重 要 であると 思 われる そのためには 英 語 での 教 育 研 究 にこだわるのではなく 本 グローバル COE が 採 用 しているように 多 言 語 での 教 育 研 究 の 推 進 が 社 会 科 学 系 の 分 野 においては 最 も 適 した 形 態 であるの でないかと 思 われる 京 都 大 学 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめ ざすアジア 拠 点 における アジア 版 エラスムス パイロット 計 画 は アジアを 研 究 対 象 とした 社 会 科 学 系 の 優 れた 次 世 代 研 究 者 育 成 のための 交 流 モデルであると 考 える アジ ア 版 エラスムス パイロット 計 画 は その 名 の 通 りアジア 版 エラスムス 計 画 の 实 現 に 多 くの 示 唆 を 与 えものであり このような 優 れた 人 材 育 成 プログラムが 10 年 20 年 と 継 続 して 实 施 され アジア 研 究 を 担 う 次 世 代 研 究 者 が 世 に 送 り 出 されることを 切 に 希 望 する 謝 辞 : 本 報 告 をまとめるにあたり 京 都 大 学 グローバル COE プログラム 親 密 圏 と 公 共 圏 の 再 編 成 をめざすアジア 拠 点 リーダー 京 都 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 落 合 恵 美 子 教 授 京 都 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 伊 藤 公 雄 教 授 京 都 大 学 西 村 周 三 副 学 長 には 詳 細 について 快 くインタ ビューにお 答 えいただき また 貴 重 な 資 料 をご 提 供 いただいた この 場 を 借 りて 深 く 御 礼 申 し 上 げたい 206

209 および 以 下 のページを 参 考 にした 2007 年 度 ( 平 成 19 年 度 ) 現 代 的 教 育 ニーズ 取 組 支 援 プログラムまとめ - 英 語 が 使 える 日 本 人 の 育 成 Student Mobility の 推 進

210 17 章 関 西 外 国 語 大 学 における ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 1. 関 西 外 国 語 大 学 における 留 学 交 流 の 概 要 2009 年 2 月 現 在 関 西 外 国 語 大 学 は 大 学 院 1 研 究 科 大 学 1 学 部 2 学 科 短 期 大 学 部 留 学 生 別 科 等 を 有 する 外 国 語 教 育 を 主 とする 高 等 教 育 機 関 である 特 に 関 西 外 国 語 大 学 は 留 学 交 流 に 实 績 があり 2008 年 11 月 14 日 現 在 同 校 の 提 携 校 は 50 カ 国 地 域 の 317 大 学 に 上 る 40 同 校 の 派 遣 留 学 プログラムは 短 期 長 期 合 わせて 約 30 あまりあり 毎 年 約 1400~1500 名 の 学 生 が 海 外 の 提 携 校 へ 派 遣 されている その 内 350~400 名 の 学 生 は 1 年 以 上 の 長 期 留 学 者 である 41 関 西 外 国 語 大 学 は 提 携 校 からの 外 国 人 留 学 生 の 受 け 入 れにも 力 を 入 れており 受 け 入 れ 留 学 生 数 は 約 700 名 に 上 る 留 学 生 別 科 に Asian Studies Program を 設 置 し 1 セメスターを 基 本 として 提 携 校 から 交 換 留 学 生 を 受 け 入 れ ている Asian Studies Program は 受 け 入 れ 時 に 日 本 語 能 力 を 必 須 としておらず 留 学 生 は 午 前 中 に 7 つのレベルに 分 かれた 日 本 語 クラスを 受 講 し 午 後 は 人 文 社 会 科 学 経 済 等 に 関 する 英 語 による 講 義 を 受 講 することができる 提 携 校 から 受 け 入 れられた 留 学 生 が Asian Studies Program で 取 得 した 卖 位 は 留 学 生 の 所 属 先 大 学 で 卖 位 の 振 替 が 認 められ ることとなっている 2. ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 の 概 要 ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 は 2008 年 度 文 部 科 学 省 の 質 の 高 い 大 学 教 育 推 進 プログラム( 教 育 GP) に 選 定 されたプログラムで 同 校 で 实 績 のある 英 語 による 授 業 提 供 のノウハウを 生 かし 留 学 生 30 万 人 計 画 において 重 視 されている ASEAN 地 域 との 教 育 交 流 を 活 性 化 し エラスムス 計 画 のアジア 版 を 構 築 しようと 意 図 するものであ る プログラムの 目 的 は ASEAN 地 域 との 教 育 交 流 を 通 して アジアを 知 りアジアを 担 う 次 世 代 国 際 人 を 養 成 する 42 ことである その 目 的 に 向 けた 具 体 的 な 取 り 組 みとして 学 年 11 月 28 日 関 西 外 国 語 大 学 提 供 資 料 による 41 関 西 外 国 語 大 学 国 際 部 次 長 ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 プログラム 代 表 者 豊 田 裕 之 准 教 授 のコメントによる (2008 年 11 月 28 日 聞 き 取 り 調 査 实 施 ) 42 ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 アジア 担 う 次 世 代 国 際 人 の 養 成 めざす THE GAIDAI 2008 年 10 月 23 日 特 別 号 外 p.2 208

211 士 課 程 教 育 の 授 業 をすべて 英 語 で 提 供 する 体 制 を 構 築 し 二 重 学 位 の 取 得 を 可 能 とする 他 学 生 に 留 学 国 において 社 会 生 活 が 可 能 なレベルの 言 語 を 習 得 させ 卖 位 を 取 得 させること また 学 生 にアジアを 知 り アジアで 活 躍 することの 意 義 や 重 要 性 を 知 らしめることが 目 標 として 挙 げられている 43 ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 の GP 補 助 金 対 象 期 間 は 2008 年 度 から 2011 年 度 までの 3 年 間 であるが GP の 対 象 期 間 の 3 年 間 で プログラムを 軌 道 に 乗 せ GP 終 了 後 も 引 き 続 きプログラムを 発 展 継 続 させていくべく 計 画 されている 2008 年 度 は 中 国 の 上 海 外 国 語 大 学 北 京 語 言 大 学 北 方 工 業 大 学 天 津 外 国 語 学 院 韓 国 の 釜 山 外 国 語 大 学 との 間 で 学 生 の 派 遣 受 け 入 れ 等 プログラム 始 動 に 向 けた 準 備 を 開 始 している 同 時 に ベトナムの 提 携 校 に 対 して プログラムへの 参 加 を 働 きかけ 2009 年 にベトナム 国 立 社 会 人 文 科 学 大 学 を 加 えた 7 大 学 でコンソーシアムを 結 成 することを 目 指 している 2009 年 秋 学 期 から 学 生 の 派 遣 受 け 入 れを 開 始 し 2010 年 にプログラムの 拡 大 に 向 けた 交 渉 を 開 始 する GP 事 業 の 終 了 年 度 である 2010 年 に 外 部 評 価 委 員 によるプログラムの 中 間 評 価 を 行 い 第 1 期 派 遣 留 学 生 が 学 士 を 取 得 する 2011 年 度 にプログラムの 総 括 評 価 が 行 われる 予 定 である プログラムの 实 施 体 制 は コンソーシアム 構 成 大 学 の 学 長 によって 組 織 される ASEAN コンソーシアムプログラム 推 進 委 員 会 の 下 関 西 外 国 語 大 学 内 に プログラム 推 進 委 員 会 が 設 置 されている (1) ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 の 特 徴 (1): 英 語 による 教 育 体 制 本 プログラムの 特 徴 は 学 部 レベルにおける 英 語 による 授 業 提 供 と 二 重 学 位 の 取 得 の 2 点 にある 派 遣 受 け 入 れ 学 生 数 は 当 面 の 間 各 20 名 程 度 と 予 定 されている 関 西 外 国 語 大 学 における 受 け 入 れ 留 学 生 に 対 する 教 育 は 主 として 学 部 レベルの 英 語 による 授 業 を 増 設 する 他 既 存 の 交 換 留 学 生 向 けの 英 語 によるプログラム Asian Studies Program を 活 用 し 対 忚 する ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 のプログラムの 枞 組 みで 受 け 入 れ る 留 学 生 を 対 象 に 英 語 で 提 供 する 社 会 科 学 系 の 新 たな 科 目 を 開 講 する 他 ビジネス&ホ スピタリティー 国 際 機 関 の 職 員 養 成 など 複 数 のコースを 設 定 し 留 学 生 が 選 択 履 修 でき るようにする 更 にこれらの 英 語 で 提 供 される 授 業 の 一 般 学 生 の 受 講 を 認 め 留 学 生 と 一 43 ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 アジア 担 う 次 世 代 国 際 人 の 養 成 めざす THE GAIDAI 2008 年 10 月 23 日 特 別 号 外 p.2 209

212 般 学 生 が 共 に 英 語 で 学 べる 環 境 を 整 える 英 語 の 授 業 を 担 当 するのは 留 学 生 別 科 におい て 提 供 されている Asian Studies Program の 授 業 を 担 当 し 学 士 課 程 レベルの 学 生 に 対 す る 教 育 能 力 を 持 つ 外 国 人 教 員 10 数 名 と ネイティブスピーカーと 同 等 レベルの 英 語 力 を 備 えた 語 学 系 社 会 科 学 系 科 目 の 日 本 人 教 員 である これらの 日 本 人 教 員 は 海 外 の 大 学 の 学 位 取 得 者 や 海 外 の 大 学 での 教 育 経 験 を 持 つ 者 である さらに 日 本 人 教 員 を 対 象 とした FD と して 語 学 系 以 外 の 日 本 人 教 員 は ウィスコンシン 大 学 オークレア 校 教 育 学 部 で 实 施 され る 教 授 法 の 研 修 に 参 加 することとなっている なお 本 プログラムでは 英 語 による 授 業 が 原 則 であるが プログラム 開 始 当 初 は 英 語 と 日 本 語 の 双 方 の 語 学 力 を 備 えた 中 国 韓 国 の 外 国 語 大 学 出 身 の 学 生 が 主 流 となることが 予 想 されるため 学 生 のニーズや 希 望 に 合 わせて 日 本 語 で 提 供 される 授 業 の 履 修 を 認 めるなど 柔 軟 な 対 忚 が 採 られるとのことで ある 44 関 西 外 国 語 大 学 から 派 遣 される 学 生 については 派 遣 先 の 大 学 において 英 語 で 提 供 され る 社 会 科 学 系 の 科 目 を 履 修 するとともに 派 遣 先 国 の 言 語 を 学 び 卒 業 後 語 学 力 と 留 学 経 験 を 生 かして ビジネスの 分 野 や 国 際 機 関 で 活 躍 することが 期 待 されている (2) ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 の 特 徴 (2): 二 重 学 位 本 プログラムの 参 加 学 生 は 所 属 大 学 に 2 年 間 在 籍 し 学 部 3 年 時 に 留 学 を 開 始 留 学 先 大 学 に 2 年 間 在 籍 した 後 所 属 大 学 に 戻 り 卒 業 する 所 属 先 大 学 留 学 先 大 学 の 双 方 の 学 位 取 得 を 可 能 とするため 基 本 的 に 双 方 の 大 学 で 卖 位 互 換 認 定 を 行 う 仕 組 みになって いる 二 重 学 位 の 取 得 を 可 能 にするには 相 手 先 大 学 と 卖 位 互 換 や 認 定 のシステムについ て 入 念 に 検 討 し 合 意 を 得 ておく 必 要 があるが 関 西 外 国 語 大 学 は 2008 年 現 在 既 にア メリカ スウェーデン 中 国 の 大 学 と 二 重 学 位 授 与 の 提 携 を 結 んでおり この 实 績 が ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 に 生 かされている なお 授 業 料 については 交 換 交 流 の 枞 内 であれば 相 互 に 授 業 料 を 免 除 する 45 プログラム 参 加 学 生 に 対 する 奨 学 金 支 給 はないが 宿 舎 が 提 供 されることとなっている 44 関 西 外 国 語 大 学 国 際 部 次 長 ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 プログラム 代 表 者 豊 田 裕 之 准 教 授 のコメントによる (2008 年 11 月 28 日 聞 き 取 り 調 査 实 施 ) 45 関 西 外 国 語 大 学 田 村 幸 男 事 務 局 長 のコメントによる (2008 年 11 月 28 日 聞 き 取 り 調 査 实 施 ) 210

213 (3)プログラムの 質 保 証 に 関 する 取 り 組 み 本 プログラムの 質 保 証 に 関 する 取 り 組 みとして 1) 外 部 評 価 委 員 会 によるプログラム 評 価 2)FD 研 修 による 教 育 の 質 向 上 3) 留 学 候 補 生 に 対 する 予 備 教 育 の 充 实 の 3 点 が 挙 げられる プログラムの 評 価 については アジアの 大 学 教 育 に 見 識 を 持 つ 尐 数 の 委 員 で 構 成 される ASEAN コンソーシアムプログラム 外 部 評 価 委 員 会 が 設 置 され セメスター 卖 位 でプログラムの 实 施 状 況 について 調 査 が 行 われる 教 員 の FD 研 修 は 先 に 述 べた 通 り アメリカのウィスコンシン 大 学 において 实 施 される なお 関 西 外 国 語 大 学 では 教 員 が 相 互 に 授 業 を 見 学 し 評 価 する 授 業 公 開 週 を 設 けるなど 従 来 から FD に 力 を 入 れている 46 また 同 校 では 長 期 学 位 留 学 や 交 換 留 学 の 候 補 生 を 対 象 とした 予 備 教 育 プログラムが 非 常 に 充 实 しており ペーパーの 書 き 方 プレゼンテーションの 仕 方 資 料 収 集 の 方 法 など Study Skills を 身 につけるための 留 学 候 補 生 予 備 教 育 コース 英 語 での Content Course である 留 学 準 備 コース が 開 講 されている これらのコースに 加 えて 留 学 生 別 科 で 留 学 生 を 対 象 に 英 語 で 開 講 されている 科 目 を 受 講 することも 可 能 である また 長 期 留 学 帰 国 者 を 対 象 とした 帰 国 留 学 生 セミナー も 開 講 されている このように 関 西 外 国 語 大 学 では 外 部 評 価 委 員 会 を 設 置 し 実 観 的 なプログラム 評 価 を 行 うと 同 時 に 従 来 からの FD 活 動 や 留 学 候 補 生 を 対 象 とした 十 全 な 予 備 教 育 プログラ ムを 活 用 し プログラムの 質 の 向 上 に 向 けた 取 り 組 みがなされている 3.アジア 版 エラスムス 計 画 实 現 への 示 唆 :リベラル アーツ 学 部 教 育 交 流 モデル 以 上 見 てきたように 関 西 外 国 語 大 学 による ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 は 同 校 の 留 学 生 別 科 や 学 部 レベルにおける 英 語 による 授 業 提 供 の 豊 富 な 経 験 と 实 績 317 校 に も 及 ぶ 提 携 校 とのネットワークを 生 かし ASEAN 諸 国 との 教 育 交 流 を 活 性 化 させ アジ アを 知 りアジアを 担 う 次 世 代 国 際 人 を 養 成 する 47 ことを 標 榜 する 先 駆 的 なプログラムであ る 本 プログラムは 学 部 課 程 のリベラル アーツ 教 育 におけるアジア 版 エラスムス 計 画 の 实 現 に 多 くの 示 唆 を 与 えるパイロットプログラムとして 今 後 の 展 開 が 大 いに 期 待 される 本 プログラムは 2008 年 に 始 動 实 際 に 学 生 交 流 が 開 始 されるのは 2009 年 の 秋 以 降 とい 46 関 西 外 国 語 大 学 田 村 幸 男 事 務 局 長 のコメントによる (2008 年 11 月 28 日 聞 き 取 り 調 査 实 施 ) 47 ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 アジア 担 う 次 世 代 国 際 人 の 養 成 めざす THE GAIDAI 2008 年 10 月 23 日 特 別 号 外 p.2 211

214 うこともあり 具 体 的 なプログラム 内 容 やプログラムの 質 保 証 に 関 しては 今 後 の 評 価 が 待 たれる 本 プログラムは 先 に 見 たように 外 部 評 価 委 員 会 による 実 観 的 評 価 教 員 を 対 象 とした FD 学 生 に 対 する 十 全 な 予 備 教 育 など プログラム 教 員 学 生 の 3 つの 観 点 から プログラムの 質 保 証 に 向 けた 取 り 組 みがなされている 関 西 外 国 語 大 学 の ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 は アジア 版 エラスムス 計 画 におけるリベラル ア ーツ 学 部 教 育 交 流 モデルとして 注 目 に 値 する 優 れた 取 り 組 みである また 文 部 科 学 省 が 推 進 する 留 学 生 30 万 人 計 画 では 学 部 レベルの 英 語 による 教 育 を 推 奨 し 英 語 で 学 位 が 取 れるシステムを 構 築 するよう 推 奨 しているが ASEAN+3 大 学 コンソーシアム 構 想 にお ける 英 語 による 教 育 プログラムは そのモデルケースであり 留 学 生 30 万 人 計 画 を 具 現 化 する 一 つのスキームであると 考 える ただ 現 時 点 で 敢 えて 課 題 を 挙 げるとすれば ASEAN+3 の 国 々と 二 重 学 位 授 与 のシステムをいかに 構 築 し 教 育 の 質 を 保 証 してい くかとう 点 にあると 考 える ASEAN+3 の 加 盟 国 は ASEAN10 カ 国 のインドネシア シンガポール タイ フィリピン マレーシア ブルネイ ベトナム ミャンマー ラオ ス カンボジア とプラス 3 の 中 国 韓 国 日 本 であるが これら 13 カ 国 の 高 等 教 育 制 度 は 实 に 多 様 であり 卖 位 付 与 や 学 士 卒 業 要 件 についても 各 国 独 自 のシステムが 採 られてい る 関 西 外 国 語 大 学 は 既 にシンガポール タイ フィリピン マレーシア ベトナムの 複 数 の 大 学 と 提 携 を 結 んでおり 2009 年 には ベトナムやその 他 の ASEAN 諸 国 の 大 学 に ASEAN+3 の コンソーシアムへの 加 入 を 働 きかけていく 予 定 であるとされている 今 後 これらの 提 携 校 を 中 心 に 卖 位 互 換 と 二 重 学 位 授 与 の 制 度 構 築 について 議 論 がなされると 考 えるが 多 様 な 高 等 教 育 システムを 有 する ASEAS 諸 国 との 間 で どのように 卖 位 互 換 を 取 扱 い 二 重 学 位 授 与 にかかる 制 度 を 整 備 していくのか 本 プログラムの 今 後 の 展 開 を 引 き 続 き 注 視 していきたい 謝 辞 : 本 報 告 をまとめるにあたり 関 西 外 国 語 大 学 事 務 局 長 田 村 幸 男 氏 同 国 際 交 流 部 次 長 豊 田 裕 之 准 教 授 には 詳 細 について 快 くインタビューにお 答 えいただき また 貴 重 な 資 料 を ご 提 供 いただいた この 場 を 借 りて 深 く 御 礼 申 し 上 げたい 212

215 18 章 長 崎 大 学 / 大 学 感 染 症 研 究 プロジェクト グローバル COE プログラム 1. 大 学 感 染 症 研 究 プロジェクト 文 部 科 学 省 が 行 う 新 興 感 染 症 研 究 ネットワーク 事 業 の 一 環 として 長 崎 大 学 熱 帯 医 学 研 究 所 がベトナム 国 立 衛 生 疫 学 研 究 所 (NIHE)と 協 力 し 感 染 症 研 究 のためのプロジェクト を 立 ち 上 げた 長 崎 大 学 からは 研 究 者 6 名 と 事 務 官 1 名 がベトナムに 滞 在 して 参 加 してお り 山 城 教 授 はそのリーダーを 務 めている 同 プロジェクトでは 鳥 インフルエンザのよ うな 人 間 と 動 物 の 間 で 感 染 する 人 獣 共 通 感 染 症 や 下 痢 などの 腸 管 感 染 症 研 究 の 他 複 数 のテーマの 研 究 が 同 時 に 進 められている 長 崎 大 学 がこれらの 研 究 のためのフィールドと してベトナムを 選 んだのは 既 に 25 年 近 く 続 いてきた 協 力 関 係 の 实 績 や 日 本 に 比 べて 豊 富 な 臨 床 数 ということ 以 外 に ベトナムの 文 化 的 生 物 学 的 要 因 もあるという ベトナムは 生 物 学 的 に 多 様 であるばかりでなく 財 産 として 住 居 の 近 くに 豚 を 飼 う 習 慣 があったり 豚 や 鶏 アヒルなどの 異 なる 種 類 の 動 物 を 一 緒 に 飼 育 する 混 合 飼 育 が 盛 ん だったりと 動 物 と 人 異 種 動 物 間 の 距 離 が 近 いんです あくまでも 仮 説 の 域 は 出 ません が 人 獣 共 通 感 染 症 をはじめとする 私 たちの 感 染 症 研 究 に 適 したフィールドなのではと 考 えています ( 山 城 教 授 ) 山 城 教 授 は 2006 年 からベトナムで ハノイにおいて 新 興 再 興 感 染 症 臨 床 疫 学 研 究 拠 点 ベトナムにおける 長 崎 大 学 感 染 症 プロジェクト に 従 事 している 山 城 教 授 が 現 在 取 り 組 んでいるテーマは 以 下 のとおりである 1 つ 目 は 抗 体 製 剤 の 研 究 である 抗 体 製 剤 とは ワクチンが 特 定 の 病 気 に 対 する 体 内 の 抗 体 を 増 やし その 病 気 にかかりにくくするのに 対 し ダイレクトに 抗 体 を 患 者 に 接 種 させ ることで 短 時 間 での 効 果 をあげようというものである 2 つ 目 は まだ 始 まったばかりの 鳥 インフルエンザ 研 究 発 生 前 から 一 定 の 地 域 を 恒 常 的 に 調 査 分 析 し 発 生 の 瞬 間 をつかまえ 発 生 メカニズム 解 明 につなげることをねらって いる 3 つ 目 が 子 どもの 下 痢 の 研 究 だ 個 々のウィルスや 細 菌 に 着 目 するのではなく 私 たち はあらゆるタイプの 下 痢 を 網 羅 的 に 調 査 分 析 することで 小 児 下 痢 の 全 体 像 を 浮 かびあ がらせることを 目 指 しています 子 どもに 焦 点 を 当 てたのは 下 痢 で 亡 くなるのは 圧 倒 的 213

216 に 子 どもが 多 く 研 究 の 必 要 性 を 痛 感 していたからです 2007 年 末 にハノイで 腸 管 感 染 症 が 流 行 した 際 にはいち 早 く 研 究 を 進 め 流 行 制 圧 への 重 要 な 情 報 を 公 衆 衛 生 当 局 に 提 供 す ることができました ( 山 城 教 授 ) 以 下 ベトナムにおける 長 崎 大 学 感 染 症 研 究 プロジェクトについて 概 要 を 記 す (1) 長 崎 大 学 -NIHE 研 究 協 力 の 歴 史 日 本 脳 炎 ワクチン 製 造 安 全 評 価 方 法 に 関 する 技 術 支 援 -85 年 ~98 年 - 五 十 嵐 教 授 (85~95 年 ) 森 田 教 授 (95~98 年 ) -WHO の 支 援 - 年 間 400 万 ドースのワクチン 生 産 量 日 本 学 術 振 興 会 拠 点 大 学 方 式 による 学 術 交 流 -00 年 ~ -ベトナムにおける 熱 帯 性 感 染 症 の 新 興 再 興 の 要 因 とそれに 基 づく 対 策 -NIHE スタッフの 感 染 症 診 断 研 究 体 制 への 支 援 21 世 紀 COE プログラム -00 年 ~ - 熱 帯 病 振 興 感 染 症 の 地 球 規 模 制 御 戦 略 拠 点 長 崎 大 学 研 究 者 の 科 学 研 究 費 補 助 金 を 用 いた 共 同 研 究 の 投 入 (2)NIHE 側 研 究 協 力 体 制 NIHE 内 3 デパートメントとの 研 究 協 力 体 制 が 確 立 されている - 動 物 由 来 班 :Virology 昆 虫 由 来 班 :Epidemiology 経 口 感 染 症 班 :Microbiology ヒトヒト 班 : 副 所 長 直 轄 および Microbiology - 施 設 の 提 供 -スタッフの 投 入 -ヒューマンネットワークの 提 供 NNFL 設 置 場 所 の 提 供 -NIHE 本 館 3 階 2 部 屋 -06 年 3 月 17 日 開 所 式 - 来 年 度 中 に 建 築 中 のハイテクセンターに 移 転 予 定 214

217 NIHE 側 プロジェクト マネージャーの 設 置 -プロジェクト 関 連 手 続 きの 窓 口 運 営 委 員 会 の 開 催 -1 月 に 1 回 程 度 (3)NNFL 管 理 運 営 に 関 する 資 料 拠 点 プログラムにほぼ 専 属 に 参 加 する NIHE 職 員 :7 人 ( 動 物 由 来 班 1 人 昆 虫 媒 介 班 1 人 経 口 感 染 症 3 人 ヒト-ヒト 感 染 班 2 人 NNFL 機 器 を 利 用 した NIHE 職 員 数 :のべ 145 人 (06 年 12 月 ~07 年 3 月 ) 拠 点 プログラム 共 同 研 究 目 的 で NNFL を 使 用 した 日 本 人 研 究 者 数 :のべ 19 人 (06 年 4 月 ~07 年 3 月 ) NNFL と 取 引 实 績 のあるハノイ 業 者 数 :25 業 者 (4) 動 物 由 来 新 興 再 興 感 染 症 の 調 査 と 流 行 予 測 に 関 する 研 究 研 究 課 題 鳥 インフルエンザウィルス ハンタウィルス 狂 犬 病 ウィルス ヘンペルウィルス ニパウィルス 等 の 診 断 法 の 開 発 人 動 物 における 流 行 状 況 と ウィルス 変 異 調 査 病 原 性 解 析 ヒト 有 用 抗 体 バンク 研 究 成 果 新 型 脳 炎 ウィルスのヒトからの 分 離 (NAMDINH 他 ) ニパウィルス 診 断 法 の 開 発 北 ベトナムではじめてのハンタウィルスの 存 在 の 確 認 薬 剤 耐 性 鳥 インフルエンザウィルスの 確 認 抗 狂 犬 病 ウィルス 抗 デング 熱 ウィルス 抗 日 本 脳 炎 ウィルス 中 和 ヒト 卖 クローン 抗 体 の 作 製 抗 H5N1 中 和 ヒト 卖 クローン 抗 体 作 製 中 (5) 蚊 媒 介 性 感 染 症 の 研 究 基 礎 昆 虫 学 - 蚊 の 種 について 分 類 学 的 研 究 を 实 施 -デング 媒 介 蚊 の 空 間 分 布 について 生 態 学 的 研 究 215

218 -ニャチャンの 都 市 化 地 域 における Aedes(ヤブカ 属 ) 種 の 蛹 の 発 生 率 調 査 单 下 によるヒトスジシマカに 対 するネッタイシマカ 相 対 比 率 の 増 加 市 街 地 域 におけるネッタイシマカの 発 生 源 の 多 様 性 忚 用 昆 虫 学 -メトフルスリンを 用 いたベトナムにおけるデング 熱 媒 介 蚊 の 総 合 防 御 モデルの 研 究 -ベトナムにおけるデング 熱 媒 介 蚊 の 殺 虫 剤 抵 抗 性 の 調 査 -メトフルトリン 含 浸 ネットの 効 果 の 持 続 性 (8 週 間 )の 確 認 - 住 居 構 造 のメトフルトリン 効 果 の 影 響 ウィルス 昆 虫 学 -フラビウィルス 保 有 蚊 の 分 布 地 図 作 成 NAMDINH ウィルスの 蚊 よりの 分 離 (6) 現 時 点 でのプロジェクトの 成 果 NNFL が 整 備 されつつある NIHE 側 は 3 つの 部 が 人 員 投 入 ヒューマンネットワーク 投 入 施 設 投 入 等 の 協 力 体 制 を 敷 いている 現 時 点 で 19 のプロジェクトが 進 行 中 である 日 本 国 内 9 つの 組 織 と 研 究 協 力 が 行 われている (7) 将 来 への 見 通 し 動 物 由 来 感 染 症 班 - 総 合 的 な 鳥 インフルエンザ 研 究 プロジェクト - 総 合 的 な 蝙 蝠 調 査 プロジェクト -ハンタウィルス 狂 犬 病 ウィルスの 包 括 的 な 疫 学 調 査 プロジェクト -ヒト 有 用 抗 体 バンク 構 想 昆 虫 媒 介 感 染 症 班 -ベトナム 国 内 疾 病 媒 介 蚊 の 分 布 状 況 を 調 査 し( 殺 虫 剤 抵 抗 性 生 態 情 報 ) 蚊 の 防 除 モデルを 確 立 する -デング 熱 マラリアの GIS を 利 用 した 疫 学 研 究 を 構 築 する - 蚊 が 保 有 する 種 々の 新 型 ウィルスを 明 らかにする 経 口 感 染 症 班 216

219 -Vietnam Diarrhea Surveillance Network の 構 築 を 目 指 す ヒト-ヒト 伝 播 感 染 症 班 -ベトナムで 発 生 する 新 興 再 興 感 染 症 のコホート 研 究 を 实 施 する 蚊 媒 介 性 感 染 症 の 研 究 : 平 成 19 年 度 主 な 成 果 デング 熱 媒 介 蚊 研 究 内 容 :ベトナム 全 土 を 網 羅 したデング 熱 媒 介 蚊 (ネッタイシマカ ヒトスジシマカ) の 浸 襲 現 況 把 握 意 義 : 世 界 標 準 となり 得 るデング 熱 媒 介 蚊 侵 襲 度 評 価 法 の 提 示 熱 帯 ~ 亜 熱 帯 山 岳 高 地 ~ 臨 海 低 地 僻 地 ~ 都 市 部 などの 環 境 グラデーションが 鮮 やかなベトナムにおける 調 査 結 果 は 温 暖 化 などの 環 境 変 化 に 対 するデング 熱 媒 介 蚊 の 適 忚 評 価 に 適 う 方 法 :5 野 外 調 査 行 による 古 タイヤ 中 の 幼 虫 の 定 量 調 査 ニッチャンでのキーコンテナー 把 握 殺 虫 剤 抵 抗 性 のモニター 成 果 : 古 タイヤ 調 査 とキーコンテナー 調 査 の 組 み 合 わせから 比 較 可 能 なデング 熱 媒 介 蚊 モ ニタリング 方 法 に 見 通 しが 立 った 環 境 勾 配 を 映 した 浸 襲 度 の 推 移 が 確 かめられた ピレスロイドに 対 する 抵 抗 性 の 实 態 が 初 めて 明 らかとなった マラリア 媒 介 蚊 研 究 内 容 :ベトナムにおける An Leucosphyrus sub-group の 種 同 定 および species status の 確 認 意 義 : 上 記 主 要 媒 介 蚊 グループは 数 種 の 同 胞 種 から 成 り 立 っているがベトナムでの 实 態 は 不 明 その 解 明 は 種 分 類 の 基 本 として また 防 除 上 からも 重 要 方 法 : 各 地 から 採 集 した An, dirus complex のサンプル DNA sequencing: One leg: Whole Genome Amplification: Target locus= cytochrome oxidase subunit I PCR 後 既 知 のゲノム 配 列 と 比 較 成 果 :An, dirus s, l, と An, leucosphyrus Con Son form は 同 一 の 塩 基 配 列 であったのに 対 して An, sp, like takasagoensis は Leucosphyrus グループで 報 告 されていない 塩 217

220 基 配 列 を 示 し 独 立 したクレードを 形 成 したことから 新 種 であると 考 えられる 蚊 媒 介 性 感 染 症 の 研 究 : 平 成 20 年 度 の 主 な 計 画 デング 熱 媒 介 蚊 デング 熱 媒 介 蚊 浸 襲 現 況 の 調 査 を 終 了 し 衛 星 写 真 と GIS 法 を 用 いた 蚊 浸 襲 度 / 密 度 環 境 要 因 およびデング 熱 患 者 数 の 空 間 解 析 を 始 める 殺 虫 剤 抵 抗 性 の 实 態 調 査 も 終 了 しデータ 分 析 に 入 る メトフルトリン 樹 脂 製 剤 導 入 を 柱 とした 单 部 でのコミューンレベルトライアルを 实 施 する マラリア 媒 介 蚊 ベトナム 産 ハマダラカデータベースの 構 築 を 継 続 し 結 果 をベータ 版 のインターネット 上 で 公 開 する An. Leucosphyrus group を 主 としたマラリア 媒 介 蚊 の 分 子 生 物 学 的 同 定 を 済 ませる 蚊 が 保 有 するウィルスの 検 索 19 年 度 捕 集 蚊 からのウィルス 分 離 と ベトナム 中 央 部 (Quang Binh 県 )ならびに 单 部 (Tay Ninh 県 )で 蚊 を 採 集 し ウィルス 分 離 を 進 める 2. 長 崎 大 学 グローバル COE プログラム (1) 拠 点 形 成 の 目 的 2000 年 9 月 国 連 において 国 際 社 会 が 達 成 すべき 目 標 として 国 連 ミレニアム 宠 言 が 採 択 された 国 際 目 標 として 掲 げられた 8 つのミレニアム 開 発 目 標 の 中 でも 2015 年 までに HIV/エイズを 始 めとする 主 要 な 疾 病 の 発 生 を 食 い 止 め その 後 発 生 率 を 減 尐 させる とい う 感 染 症 対 策 はその 中 心 的 課 題 となっている 本 拠 点 形 成 の 最 終 目 的 は まさにこれら 主 要 感 染 症 の 制 御 克 朋 である 感 染 症 の 制 御 克 朋 は それ 自 身 人 類 の 長 年 にわたる 願 いであり そのためには 周 到 な 戦 略 それを 实 行 する 人 材 および 適 切 な 技 術 が 必 要 となる 本 拠 点 では これまで 主 要 な 発 生 源 が 開 発 途 上 国 であったために 顧 みられることの 尐 なかった 見 捨 てられた 感 染 症 (デング 熱 住 血 中 症 等 ) や 先 進 国 では 解 決 済 みとみなされがちな 下 痢 症 にも 焦 点 を 当 てる 熱 帯 病 新 興 感 染 症 に 対 し 制 御 と 克 朋 のための 新 戦 略 を 包 括 的 に 構 想 し その 实 行 に 必 要 な 革 新 的 技 術 の 研 究 開 発 を 行 うことを 目 標 とする また その 過 程 を 通 して 将 来 の 当 該 領 218

221 域 を 支 える 有 為 な 人 材 を 育 成 する (2) 拠 点 形 成 計 画 の 概 要 本 拠 点 は すでに 21 世 紀 COE プログラム 熱 帯 病 新 興 感 染 症 の 地 球 規 模 制 御 戦 略 拠 点 において 平 成 年 の 間 に 以 下 に 掲 げるいくつかの 熱 帯 病 新 興 感 染 症 の 教 育 研 究 に 不 可 欠 な 基 盤 整 備 を 行 った 臨 床 医 学 社 会 医 学 病 原 体 解 析 学 ベクター 生 態 学 から 感 染 症 にアプローチする 科 学 者 の 糾 合 アフリカケニアおよびアジアベトナムの 常 駐 型 海 外 感 染 症 研 究 拠 点 の 形 成 多 様 な 感 染 症 研 究 者 育 成 プログラム( 熱 帯 医 学 修 士 健 康 開 発 修 士 感 染 症 研 究 者 博 士 課 程 コース) 確 立 国 際 機 関 (WHO 等 ) 国 内 外 の 機 関 との 密 接 な 連 携 ( 国 際 感 染 症 ネットワーク) 本 計 画 では こうした 優 れた 基 盤 の 更 なる 充 实 を 図 り 感 染 症 教 育 研 究 拠 点 を 構 築 する 研 究 計 画 拠 点 の 目 的 を 達 成 するために 5 年 間 の 目 標 を 以 下 のように 設 定 する ただし 対 象 とする 感 染 症 を 1)HIV/エイズ 2)マラリア 3) 感 染 症 4) 見 捨 てられた 感 染 症 5) 新 出 現 ウィルス 6)プリオン 病 に 絞 り 込 む 基 礎 研 究 新 しい 診 断 治 療 戦 略 の 開 発 ( 分 子 細 胞 レベル 基 礎 研 究 病 体 生 理 研 究 ) Evidence に 基 づく 新 しい 戦 略 の 創 出 を 行 う 感 染 症 対 策 に 資 することを 目 的 とした 新 し い 科 学 的 な 発 見 を 行 う 具 体 的 には 分 子 疫 学 病 原 体 宿 主 生 物 学 媒 介 昆 虫 学 生 態 学 治 療 学 を 忚 用 した 学 問 領 域 などが 含 まれる 医 薬 品 開 発 研 究 : 新 しい 技 術 の 創 出 ( 開 発 研 究 臨 床 介 入 研 究 ) 現 場 のニーズを 知 る 民 間 セクターと 公 的 セクター および 大 学 の 連 携 を 行 う この 連 携 を 基 盤 に 新 しい 技 術 の 創 出 を 行 う 具 体 的 な 領 域 としては シーズ 開 発 ( 薬 剤 ワク チン 診 断 薬 ) 每 性 学 臨 床 開 発 が 含 まれる 社 会 技 術 開 発 研 究 : 新 しい 戦 術 の 創 出 (ソーシャル マーケティング フィールド 疫 学 研 究 ) 政 治 経 済 社 会 文 化 的 背 景 を 考 慮 した 新 たな 感 染 症 制 御 戦 術 の 創 出 を 行 う 基 礎 研 究 や 医 薬 品 開 発 研 究 は こうした 社 会 技 術 の 忚 用 を 用 いることによって 始 めて そ れを 必 要 とする 人 々の 手 に 届 くものとなる 具 体 的 には 医 療 経 済 学 教 育 学 政 治 219

222 学 文 化 人 類 学 といった 人 文 社 会 科 学 と 公 衆 衛 生 学 が 深 く 連 携 した 学 問 基 礎 となる そうした 意 味 において 社 会 技 術 開 発 研 究 は 本 拠 点 のユニークな 学 問 領 域 となるこ とが 期 待 されている 人 材 育 成 計 画 上 記 の 研 究 開 発 分 野 で 将 来 の 担 い 手 となる 研 究 者 の 育 成 のための 大 学 院 教 育 ポスド ク テニュアトラックシステムをさらに 整 備 拡 充 する 本 領 域 では 医 学 のみなら ず 保 健 学 薬 剤 学 公 衆 衛 生 学 社 会 医 学 文 化 人 類 学 教 育 学 環 境 科 学 を 含 む 複 合 保 健 学 領 域 の 教 育 を 行 う そのために 必 要 な 教 員 として 多 彩 な 人 材 をリクルート する ガバナンス ガバナンス 体 制 として 学 長 の 直 下 に 拠 点 リーダーを 位 置 づけ 拠 点 リーダーは 拠 点 内 に COE 推 進 委 員 会 人 材 育 成 部 会 研 究 推 進 部 会 を 組 織 し 事 業 推 進 担 当 者 を 統 括 す る 大 学 本 部 組 織 である 国 際 連 携 研 究 戦 略 本 部 は 海 外 拠 点 の 運 営 や 国 際 人 材 交 流 を 専 ら 担 うなど 大 学 全 体 で 強 力 な 協 力 運 営 体 制 を 敷 く バーチャルでない 实 体 ある 機 動 的 な 組 織 としての 充 实 を 図 り 包 括 的 な 新 戦 略 の 实 践 を 可 能 とする 長 崎 大 学 副 学 長 国 際 連 携 研 究 戦 略 本 部 (CICORN) 本 部 長 熱 帯 医 学 研 究 所 病 害 動 物 学 分 野 教 授 高 木 正 洋 氏 長 崎 大 学 熱 帯 医 学 研 究 所 教 授 森 田 公 一 氏 熱 帯 医 学 研 究 所 教 授 山 城 哲 氏 長 崎 大 学 国 際 連 携 研 究 戦 略 本 部 事 務 审 松 田 正 浩 氏 からいただいた 資 料 およびインタ ビュー 記 録 による(2009 年 1 月 30 日 实 施 ) 参 考 資 料 ベトナムにおける 長 崎 大 学 感 染 症 研 究 プロジェクト( 新 興 再 興 感 染 症 臨 床 疫 学 研 究 拠 点 ) 平 成 19 年 度 評 価 平 成 20 年 2 月 ベトナムにおける 長 崎 大 学 感 染 症 研 究 プロジェクト( 新 興 再 興 感 染 症 臨 床 疫 学 研 究 拠 点 )プロジェクト 概 略 ベトナムの 日 本 人 山 城 哲 さん( 微 生 物 学 者 / 長 崎 大 学 熱 帯 医 学 研 究 所 教 授 ) 感 染 症 の 制 圧 にベトナムでの 研 究 から 貢 献 したい より 220

223 第 3 部 アジアにおける 大 学 間 地 域 連 携 教 育 フレームワーク と 大 学 間 連 携 事 例 の 検 証 221

224 1 章 アジアにおける 国 際 高 等 教 育 交 流 連 携 状 況 の 实 証 的 考 察 1.アジアの 高 等 教 育 人 口 と 国 際 教 育 交 流 の 拡 大 アジアの 高 等 教 育 人 口 は 近 年 急 速 に 増 加 している ユネスコの 最 新 の 統 計 によると 1999 年 から 2006 年 にかけて 中 国 の 高 等 教 育 総 就 学 率 は 6%から 22%に 拡 大 した 1999 年 時 点 で 相 当 高 い 水 準 の 就 学 率 であった 日 本 や 韓 国 も それぞれ 45%から 57% 66%から 93% に 増 加 しており 北 東 アジアの 主 要 三 カ 国 の 就 学 率 は 短 期 間 に 急 伸 している 東 单 アジア では 国 際 統 計 の 未 整 備 のため 動 向 を 正 確 に 把 握 することが 困 難 であるが この 7 年 間 の 就 学 率 にあまり 変 化 のないフィリピンやベトナムなどの 国 もある 一 方 で タイ(33% 46%)やマレーシア(23% 29%) ブルネイ(12% 15%) ラオス(2% 9%)のよ うに 着 实 に 拡 大 を 続 けている 国 が 数 多 く 存 在 する(UNESCO 2008) この 数 字 から 見 る と アジアの 主 要 国 の 高 等 教 育 はトロウの 言 う エリート 型 から マス 型 マス 型 から ユニバーサル 型 に 短 期 間 で 移 行 していると 見 ることができる(Trow 1973) この ような 高 等 教 育 の 拡 大 は 近 年 のアジアにおける 経 済 成 長 を 背 景 にしたものであるが 特 に 中 国 の 高 等 教 育 需 要 の 急 速 な 拡 大 は 高 い 経 済 成 長 率 をも 凌 ぐスピードで 進 展 しており これはアジアの 他 の 国 々の 高 等 教 育 のあり 方 にまで 影 響 を 与 えている また 韓 国 の 100% に 近 づきつつある 高 等 教 育 就 学 率 は 世 界 的 にも 異 例 な 状 況 である アジアの 高 等 教 育 の ダイナミズムは その 質 的 な 向 上 や 社 会 的 役 割 の 変 容 等 とともに このような 量 的 拡 大 と その 背 景 にある 高 い 高 等 教 育 需 要 によって 支 えられている 国 際 教 育 交 流 に 視 点 を 移 すと 2006 年 時 点 で 世 界 全 体 では 約 265 万 人 の 学 生 が 留 学 して おり そのうち 約 110 万 人 弱 が 西 欧 諸 国 に 約 70 万 人 弱 が 北 米 に 50 万 人 強 が 東 アジア 太 平 洋 諸 国 に 留 学 しており アジア 太 平 洋 地 域 は 欧 米 に 次 ぐ 数 の 留 学 生 を 受 け 入 れる 地 域 となっている(UNESCO Institute for Statistics 2008) 特 に 留 学 生 受 入 国 としての 中 国 日 本 の 躍 進 は 目 覚 しく 1987 年 にはそれぞれ 約 3 千 人 1 万 人 であった 受 入 留 学 生 数 が 2006 年 には どちらも 12 万 人 を 超 え 急 激 に 増 加 している( 中 国 については 中 国 教 育 統 計 年 鑑 各 年 版 日 本 についてはユネスコ 統 計 を 参 照 ) この 留 学 生 受 入 数 は 米 国 英 国 ドイツ フランス オーストラリアに 次 ぐ 規 模 となっている また 同 じ 統 計 で マレーシ アが4 万 人 強 韓 国 が 2 万 人 強 を 受 け 入 れており アジアの 国 々が 留 学 生 の 受 入 国 として 世 界 的 にプレゼンスを 増 していることが 確 認 できる 留 学 生 の 送 り 出 しでも 中 国 約 45 万 人 ( 香 港 含 む) 韓 国 10 万 人 日 本 6 万 人 インドネシア 3 万 人 タイ ベトナム シンガ 222

225 ポールがそれぞれ 約 2 万 人 強 と 世 界 的 に 見 ても この 地 域 の 国 々が 留 学 生 の 送 り 出 し 大 国 であることは 間 違 いない 従 来 欧 米 中 心 であった 留 学 先 のあり 方 にも 近 年 変 化 が 見 られ アジア 域 内 の 留 学 生 交 流 が 活 発 になっている(UNESCO Institute for Statistics 2008) 一 方 アジア 太 平 洋 地 域 においては 国 際 的 な 大 学 間 連 携 や 超 国 家 的 (トランスナショ ナル)な 国 際 共 同 教 育 プログラムも 急 速 に 拡 大 している 本 論 では このようにダイナミ ックに 展 開 しつつあるアジアにおける 域 内 の 国 際 高 等 教 育 交 流 連 携 状 況 を 留 学 生 交 流 大 学 間 連 携 に 焦 点 を 当 てて 分 析 し 今 後 のこの 地 域 の 国 際 的 高 等 教 育 フレームワークをめ ぐる 政 策 的 な 動 向 に 实 証 的 なデータを 提 示 することを 試 みる 2. 国 際 教 育 交 流 においても 東 アジア 化 する 東 アジア 近 年 盛 んに 議 論 されているアジアの 地 域 経 済 統 合 という 政 策 的 方 向 性 の 背 景 には 経 済 発 展 に 伴 い 世 界 経 済 におけるこの 地 域 の 相 対 的 なプレゼンスが 拡 大 しているという 状 況 と 域 内 の 経 済 的 相 互 依 存 関 係 が 進 展 し 欧 米 経 済 に 依 存 するのではない 自 立 的 な 経 済 システムが 形 成 されようとしているという 状 況 がある とされている 渡 辺 (2004)は 域 内 域 外 貿 易 額 の 推 移 の 分 析 を 基 として 東 アジア 化 する 東 アジア を 实 証 し 現 下 のアジアの 最 重 要 課 題 は このデファクトの 経 済 統 合 をさらに 制 度 的 な 統 合 枞 にまで 高 め ることができるか 否 かである ( 同 上 9 ページ)と 結 論 している それでは 国 際 教 育 交 流 において 経 済 分 野 で 見 られるような 傾 向 は 確 認 できるだろう か 留 学 生 数 の 統 計 に 関 しては ユネスコが 毎 年 統 計 を 発 表 しており これを 使 用 する ただし アジアの 高 等 教 育 交 流 を 見 る 時 に 欠 かせない 中 国 に 欠 損 値 が 多 いため 中 国 に 関 しては 中 国 教 育 統 計 年 鑑 の 数 値 を 使 用 する また 受 け 入 れ 国 としての 数 値 は 上 位 50 位 の 国 でしか 発 表 されていないため 主 要 な 国 以 外 は 分 析 することができなかった (1) 欧 米 主 要 三 カ 国 とアジア 主 要 三 カ 国 の 受 け 入 れ/ 送 り 出 し 留 学 生 数 の 推 移 表 1に 見 られるように 伝 統 的 な 留 学 生 受 け 入 れ 大 国 である 米 国 フランス 英 国 の 受 け 入 れ 留 学 生 数 は グローバリゼーションの 進 展 と 歩 調 を 合 わせるように 1986 年 から 2006 年 にかけて 約 2 倍 に 増 加 している 特 に サッチャー 政 権 以 降 のフルコスト 政 策 を 背 景 に いわば 商 業 的 ともいえる 留 学 生 受 け 入 れ 政 策 を 展 開 している 英 国 の 受 け 入 れ 留 学 生 数 の 増 加 は 著 しい 一 方 東 アジアの 主 要 3 ヶ 国 への 留 学 生 数 は 15 倍 の 増 加 となっており 特 に 中 国 への 留 学 生 数 の 増 加 は 目 覚 しいものがある 未 だ 欧 米 主 要 国 と 東 アジア 主 要 223

226 国 の 間 には 受 け 入 れ 留 学 生 の 絶 対 数 に 相 当 の 差 が 存 在 するが 留 学 生 の 受 け 入 れ 国 とし ての 東 アジア 諸 国 の 世 界 における 相 対 的 なプレゼンスは 高 まっていると 推 測 できる 一 方 送 り 出 し 留 学 生 数 を 見 てみると 従 来 東 アジアの 諸 国 は 多 くの 留 学 生 を 送 り 出 し てきたが この 地 域 の 主 要 な 留 学 生 送 り 出 し 大 国 である 中 国 韓 国 日 本 の 送 り 出 し 留 学 生 数 は 1986 年 から 2006 年 にかけて 約 6 倍 強 に 増 加 している 特 に 中 国 の 送 り 出 し 留 学 生 数 の 増 加 は 著 しい 一 方 欧 米 の 主 要 3 ヶ 国 の 送 り 出 し 留 学 生 数 は 3 倍 弱 の 増 加 とな っている (2)アジア 各 国 からアジア 各 国 への 留 学 生 数 の 推 移 本 節 では アジア 各 国 の 留 学 生 数 の 推 移 を グラフで 見 ていきたい 図 1から 図 3 は 日 本 への 留 学 生 数 の 推 移 である 図 1 は 出 身 地 域 別 での 留 学 生 数 の 推 移 である 図 2 で は 各 国 別 で 示 しているが 中 国 と 韓 国 の 留 学 生 数 が 極 端 に 多 いため その 2 カ 国 を 除 いた ものが 図 3 である いずれの 図 でも アジアの 留 学 生 数 が 歴 史 的 に 拡 大 していることが 確 認 できる 図 4から 図 11 は 韓 国 への 留 学 生 数 の 推 移 である 図 4 の 出 身 地 域 別 では 日 本 と 同 じ く アジアからの 留 学 生 数 が 大 多 数 を 占 めていることが 示 されている また その 多 数 を 中 国 日 本 ベトナムが 占 め その 伸 びも 著 しいが 絶 対 数 は 比 較 的 尐 ないものの 他 の 東 单 アジア 地 域 からの 留 学 生 も 着 实 に 増 加 していることが 図 11 から 読 み 取 れる ただ 数 は 未 だ 尐 ないが ヨーロッパや 北 米 からの 留 学 が 着 实 に 増 えていることも 示 されている 図 12 から 図 20 は 中 国 への 留 学 生 数 の 推 移 である 図 12 からは 日 本 や 韓 国 と 同 じく アジアからの 留 学 生 数 が 大 多 数 を 占 めることが 示 されているが アジア 以 外 からの 留 学 生 の 占 める 割 合 も 比 較 的 大 きい 各 国 別 に 示 した 図 10 から 17 においても 韓 国 日 本 東 单 アジア 諸 国 からの 1990 年 代 特 に 2000 年 以 降 の 留 学 生 の 伸 びが 非 常 に 大 きいことが 確 認 でき また 欧 米 では 特 に 米 国 の 留 学 生 数 が 大 きく 伸 びていることが 示 されている ご く 最 近 は フランスやドイツからの 留 学 生 数 の 伸 びも 著 しい 図 21 から 23 は マレーシアへの 留 学 生 数 の 推 移 である 図 21 では アジアがその 出 身 地 域 として 圧 倒 的 であることが 示 されているが 図 23 は 興 味 深 いことに 中 東 やアフリカ からの 留 学 生 数 も 伸 びていることが 示 されている 図 24 はベトナムへの 出 身 国 別 の 留 学 生 数 であるが ラオスの 伸 びが 明 確 である 興 味 深 いのは 図 25 で 示 したフィリピンである フィリピンでは 英 語 で 高 等 教 育 が 行 われ 東 アジア 諸 国 から 歴 史 的 に 比 較 的 多 くの 留 学 生 224

227 を 受 け 入 れてきたが 図 25 に 示 すように 80 年 代 後 半 から 2000 年 までのアジアからの 受 け 入 れ 留 学 生 数 は 伸 長 していない これは 世 界 的 な 高 等 教 育 国 際 市 場 化 への 対 忚 に フ ィリピンは 出 遅 れたことに 一 因 があると 考 えられる また 図 26 に 示 したオーストラリア でも アジアからの 留 学 生 数 が 近 年 飛 躍 的 に 伸 びている 表 1 欧 米 主 要 三 カ 国 の 留 学 生 受 入 れ 数 の 変 遷 /1986 * ** US 349, , , France 126, , , UK 56, , , Total 533, ,549 1,162, Source: * UNESCO Statistical Yearbook (1988) ** UNESCO Statistical Yearbook (1998) *** UNESCO Global Education Digest (2008) 1 *** 表 2 アジア 主 要 三 カ 国 の 受 け 入 れ 留 学 生 数 の 変 遷 /1986 **** **** **** China 6,174 41, , Korea 1,309 2,143 22, Japan 14,960 53, , Total 20,612 78, , Source: * UNESCO Statistical Yearbook (1988) ** UNESCO Statistical Yearbook (1998) *** UNESCO Global Education Digest (2008) 2 **** Chinese Ministry of Education (2006) * * ** ** *** *** 225

228 表 3 欧 米 三 カ 国 からの 送 り 出 し 留 学 生 数 の 変 遷 /1986 * US 20,614 30,359 48, * France 12,126 39,152 54, * UK 14,736 25,085 26, ** ** ** *** *** *** Total 47,476 94, ,297 2,733 Source: * UNESCO Statistical Yearbook (1988) ** UNESCO Statistical Yearbook (1998) *** UNESCO Global Education Digest (2008) 表 4 アジア 主 要 三 カ 国 からの 送 り 出 し 留 学 生 数 の 変 遷 /1986 China 53,378 * 115,871 ** 417,351 *** Korea 25,978 69, , * Japan 17,926 * 62,324 60, Total 97, , , ** ** *** *** Source: * UNESCO Statistical Yearbook (1988) ** UNESCO Statistical Yearbook (1998) *** UNESCO Global Education Digest (2008) 226

229 図 1 日 本 における 留 学 生 の 出 身 地 域 別 数 の 推 移 Africa Central+Sth America Europe Nth America Middle+Near East Asia Oceania Asia Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) 図 2 日 本 における 世 界 各 国 からの 留 学 生 数 の 推 移 Source: India Indonesia Vietnam Korea Singapore Thailand China Philippines Brunei Malaysia Australia New Zealand United States United Kingdom France Germany Laos Cambodia Myanmar Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) 227

230 図 3 日 本 におけるアジア 各 国 からの 留 学 生 数 の 推 移 ( 中 国 と 韓 国 を 除 いた 場 合 ) India Indonesia Vietnam Singapore Thailand Philippines Brunei Malaysia Australia New Zealand United States United Kingdom France Germany Laos Cambodia Myanmar Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) 図 4 韓 国 における 出 身 地 域 別 留 学 生 数 の 推 移 Africa Europe Sth America Nth America Near and Middle Asia Oceania Asia Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) =eng 228

231 図 5 韓 国 における 出 身 地 域 別 留 学 生 数 の 推 移 Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) =eng 図 6 韓 国 における 出 身 地 域 別 留 学 生 数 の 推 移 (アジアを 除 いた 場 合 ) Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) 229

232 図 7 韓 国 における 出 身 国 別 留 学 生 数 の 推 移 China Vietnam Japan India Indonesia Cambodia Singapore Thailand Philippines Brunei Malaysia Myanmar Laos Australia New Zealand Germany United Kingdom France United States Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) 143&IF_Language=eng 図 8 韓 国 における 中 国 人 留 学 生 数 の 推 移 Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) 143&IF_Language=eng 230

233 図 9 韓 国 におけるベトナム 人 日 本 人 留 学 生 数 の 推 移 Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) 143&IF_Language=eng 図 10 韓 国 におけるアメリカ 人 留 学 生 数 の 推 移 Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) 143&IF_Language=eng 231

234 図 11 韓 国 における 出 身 国 別 留 学 生 数 の 推 移 ( 最 多 4カ 国 を 除 いた 場 合 ) Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) 143&IF_Language=eng 図 12 中 国 における 出 身 地 域 別 留 学 生 数 の 推 移 Africa Europe America Oceania Aisa Source: Chinese Statistical Yearbook of Education ( ) 232

235 図 13 中 国 における 各 国 別 留 学 生 数 の 推 移 Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) Chinese Statistical Yearbook of Education( ) 図 14 中 国 における 韓 国 人 留 学 生 数 の 推 移 South Korea Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) Chinese Statistical Yearbook of Education( ) 233

236 図 15 中 国 における 日 本 人 留 学 生 数 の 推 移 Japan Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) Chinese Statistical Yearbook of Education( ) 図 16 中 国 におけるタイ 人 留 学 生 数 の 推 移 Thailand Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) Chinese Statistical Yearbook of Education( ) 234

237 図 17 中 国 におけるベトナム 人 留 学 生 数 の 推 移 Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) Chinese Statistical Yearbook of Education( ) 4000 Vietnam 図 18 中 国 におけるインドネシア 人 留 学 生 数 の 推 移 Indonesia Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) Chinese Statistical Yearbook of Education( ) 235

238 図 19 中 国 における 欧 米 諸 国 からの 留 学 生 数 の 推 移 Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) Chinese Statistical Yearbook of Education( ) 図 20 中 国 における 各 国 別 留 学 生 数 の 推 移 (アジア 主 要 5カ 国 と 欧 米 主 要 4カ 国 を 除 いた 場 合 ) Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) Chinese Statistical Yearbook of Education( ) 236

239 図 21 マレーシアにおける 出 身 地 域 別 留 学 生 数 の 推 移 Africa Near and Middle Asia Sth America Europe Nth America Oceania Asia Source: UNESCO Institute for Statistics ( ) 図 22 マレーシアにおける 出 身 地 域 別 留 学 生 数 の 推 移 Source: UNESCO Institute for Statistics ( ) 237

240 図 23 マレーシアにおける 出 身 地 域 別 留 学 生 数 の 推 移 (アジアを 除 いた 場 合 ) Source: UNESCO Institute for Statistics ( ) 図 24 ベトナムにおける 国 別 留 学 生 数 の 推 移 Source: UNESCO Institute for Statistics ( ) 238

241 図 25 フィリピンにおける 出 身 国 別 留 学 生 数 の 推 移 Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) 図 26 オーストラリアにおける 出 身 地 域 別 留 学 生 数 の 推 移 Africa Europe Nth America Middle and Near East Asia Oceania Asia Source: UNESCO Statistical Yearbook ( ) UNESCO Institute for Statistics ( ) 143&IF_Language=eng 239

242 (3)アジア 各 国 の 国 際 的 共 同 教 育 プログラム ダブル ディグリーやジョイント ディグリー ツイニング 等 の 国 際 的 な 共 同 教 育 プ ログラムの 实 態 は 未 だ 十 分 に 明 らかにされていない しかし アルトバック(2006)は 超 国 家 的 な 教 育 事 業 体 にとって アジアはすでに 世 界 で 最 も 巨 大 な 高 等 教 育 市 場 を 形 成 して おり この 現 象 はますます 拡 大 していくであろう と 予 想 している ここでは 日 中 韓 で 政 府 が 確 認 している それぞれ 約 350 約 140 約 45 のこのようなプログラム( 中 国 教 育 部 2007 韓 国 教 育 開 発 院 2007 文 部 科 学 省 2007)を 対 象 に その 設 置 年 と 相 手 国 地 域 に 着 目 して 作 図 を 試 みた( 図 27 から 図 29) アルトバックは ほとんどのケースでは 先 進 諸 国 ( 特 にオーストラリアとイギリス そ して 近 年 ではアメリカ)からの 学 術 機 関 が アジアの 国 で 分 校 キャンパスを 開 いたりパー トナーシップを 結 んだりといった 諸 事 業 を 展 開 している ( 同 上 35 ページ)と 述 べている が いずれの 国 の 国 際 共 同 教 育 プログラムも もともと 欧 米 中 心 であったが 近 年 ではア ジアをパートナーとしたプログラムが 増 加 していることがこの 3 図 より 明 らかになった 図 27 日 本 における 国 際 的 共 同 教 育 プログラムの 累 積 設 置 数 USA Europe Aust+NZ Asia Source: Japanese Ministry of Education 240

243 図 28 韓 国 における 国 際 共 同 教 育 プログラムの 相 手 地 域 別 累 積 数 の 推 移 Central and South America North America Europe Australia Asia Source: Korean Educational Development Institute (2007) 図 29 中 国 における 国 際 共 同 教 育 プログラムの 相 手 地 域 別 累 積 数 Africa Europe North America Ocieania Asia Source: Chinese Ministry of Education (2007)

244 (4) 日 本 の 大 学 等 の 国 際 大 学 間 交 流 協 定 と 海 外 拠 点 文 部 科 学 省 が 本 年 9 月 に 発 表 した 平 成 18 年 度 大 学 等 間 交 流 協 定 締 結 状 況 調 査 の 結 果 によると 日 本 の 大 学 等 が 締 結 している 諸 外 国 の 大 学 等 との 交 流 協 定 は 平 成 14 年 には 10,014 件 だったものが 18 年 には 13,484 件 と この 5 年 急 速 に 増 大 している 図 30 に 示 されるように アジア 地 域 の 伸 びは 特 に 大 きく 締 結 相 手 国 としても 中 国 (2,565 件 全 体 の 19%)がアメリカ(2,298 件 17%)を 抜 いて 調 査 開 始 以 来 初 めて 首 位 になって いる 累 積 された 協 定 締 結 先 を 地 域 別 に 見 てみるとアジアが 6,042 件 と 全 体 の 約 45%を 占 め ヨーロッパ(3,403 件 )や 北 米 (2,708 件 ) 等 の 他 地 域 を 大 きく 引 き 離 した 結 果 になっ ている 図 30 協 定 の 締 結 時 期 ( 締 結 先 地 域 別 ) ( 単 位 : 件 ) 出 典 : 文 部 科 学 省 大 学 等 間 交 流 協 定 締 結 状 況 調 査 の 結 果 について( 平 成 18 年 10 月 1 日 現 在 ) ( 平 成 19 年 9 月 19 日 発 表 ) 242

245 図 31 締 結 先 地 域 別 派 遣 受 入 人 数 学 生 交 流 ( 単 位 : 人 ) 教 員 研 究 者 交 流 ( 単 位 : 人 ) 出 典 : 文 部 科 学 省 大 学 等 間 交 流 協 定 締 結 状 況 調 査 の 結 果 について( 平 成 18 年 10 月 1 日 現 在 ) ( 平 成 19 年 9 月 19 日 発 表 ) 243

246 このような 協 定 締 結 の 結 果 として 締 結 先 との 学 生 交 流 教 員 交 流 においても アジア の 割 合 は 大 きくなっており 図 31 に 示 されるように 学 生 の 派 遣 数 では 北 米 にわずかに 及 ばないものの 学 生 の 受 入 数 教 員 の 派 遣 数 と 受 入 数 では アジアは 他 地 域 を 圧 倒 する 交 流 相 手 地 域 となっている 1981 年 以 前 に 日 本 の 大 学 が 締 結 した 大 学 間 協 定 は アジア が57 件 に 対 して 北 米 145 件 ヨーロッパ73 件 であったことから 考 えると この 四 半 世 紀 の 間 特 に1990 年 代 以 降 アジアは 日 本 の 大 学 の 交 流 相 手 地 域 として そのプ レゼンスを 急 速 に 増 してきたと 言 える また 大 学 等 交 流 協 定 締 結 状 況 と 共 に 实 施 された 海 外 拠 点 の 設 置 に 関 する 状 況 調 査 によると 日 本 の 大 学 等 機 関 が 海 外 に 設 置 している 全 拠 点 276 件 のうち 实 に60% 弱 にあたる163 件 がアジアに 設 置 されており 1 位 中 国 (57 件 ) 2 位 アメリカ(42 件 ) 3 位 タイ(29 件 ) 4 位 韓 国 (19 件 )5 位 インドネシア(14 件 )と アメリカを 除 い て 上 位 をアジアの 主 要 国 が 占 めるという 状 況 であることが 分 かっている 図 32 海 外 拠 点 の 設 置 地 域 分 布 出 典 : 文 部 科 学 省 大 学 等 間 交 流 協 定 締 結 状 況 調 査 の 結 果 について( 平 成 18 年 10 月 1 日 現 在 )>Ⅱ 海 外 拠 点 の 設 置 に 関 する 状 況 調 査 ( 平 成 19 年 9 月 19 日 発 表 ) 244

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