平成17年度

Transcription

1 平 成 17 年 度 卒 業 論 文 近 距 離 簡 易 DGPS 測 位 及 び RTK GPS 測 位 システムに 関 する 研 究 課 程 名 流 通 情 報 工 学 課 程 学 籍 番 号 氏 名 山 田 英 輝 指 導 教 官 安 田 明 生 教 授

2 目 次 第 1 章 序 論 はじめに 1 GPS の 概 要 1 3 本 研 究 の 背 景 と 目 的 第 章 GPS の 測 位 原 理 4 1 単 独 測 位 1 1 原 理 1 計 算 方 法 DGPS 測 位 1 原 理 測 位 位 置 補 正 方 式 3 擬 似 距 離 補 正 方 式 3 RTK GPS 測 位 3 1 原 理 3 計 算 方 法 第 3 章 近 距 離 簡 易 測 位 システムの 構 成 システムの 概 要 3 システムのハードとソフトについて 3 1 無 線 LAN について 3 無 線 LAN の 規 格 3 3 無 線 LAN 環 境 の 形 成 3 4 RS3C ケーブル 3 5 プログラムの 概 要 第 4 章 実 験 と 結 果 考 察 データの 送 受 信 時 間 間 隔 と 測 位 プログラム 稼 働 時 間 の 関 係 従 来 のシステムでの 測 位 プログラム 稼 働 時 間 の 再 調 査 4 1 無 線 LAN の 代 わりに RS3C ケーブルを 使 用 し 稼 働 時 間 を 調 査 時 間 間 隔 と 測 位 プログラム 稼 働 時 間 の 関 係 4 時 間 間 隔 調 整 後 のシステムの 評 価 4 1 通 信 範 囲 を 広 げて 実 時 間 DGPS 測 位 実 験 4 無 線 LAN の 受 信 状 況 を 調 査 4 3 実 験 での 問 題 点 4 4 問 題 点 に 関 する 考 察 と 今 後 の 方 針

3 第 5 章 結 論 まとめ 5 今 後 の 課 題 参 考 文 献 謝 辞

4 第 1 章 序 論 1 1 はじめに GPS とは Global Postog Sstem の 略 で 日 本 語 で 全 地 球 測 位 システムと 訳 される GPS は カーナビゲーションシステム 携 帯 電 話 船 舶 航 法 システム 土 木 工 事 移 動 体 の 自 律 制 御 などで 普 及 されている また 犯 罪 セキュリティにも 活 躍 の 輪 を 広 げており その 利 用 可 能 性 は 今 後 も 広 がると 考 えられる 衛 星 航 法 システムは GPS だけでなく ロシアが 運 用 している GLONASS や 欧 州 が 開 発 して いる GALILEO や わが 国 では 準 天 頂 衛 星 の 運 用 が 計 画 されている 現 在 では GPS が 無 い 状 態 での 陸 海 空 に 渡 る 交 通 輸 送 機 関 は 安 全 で 効 率 的 な 運 行 は 危 険 であると 言 っても 過 言 ではないほどになっている さらには 地 震 予 知 などのための 地 殻 変 動 監 視 システムはGPS を 全 面 的 に 頼 っている 004 年 1 月 15 日 はブッシュ 大 統 領 が 新 PNT 測 位 航 法 タイミング 政 策 の 承 認 を 発 表 した この 新 しいPNT 政 策 により GPS とその 関 連 サービスの 将 来 的 な 利 用 管 理 および 改 良 に 関 する 方 針 が 明 確 になった これは ユーザーへのGPS のアベイラビリティを 確 実 にし GPS 業 界 の 明 るい 未 来 を 約 束 するものである この 政 策 がGPS をグローバルな 情 報 技 術 標 準 として 安 定 させるための 道 を 開 き 続 けるということである 10 年 間 で 度 目 の 大 統 領 声 明 として PNT 政 策 は 世 界 中 のGPS ユーザからのダイナミックなニーズに 応 えるための 安 定 したグロー バルな 政 策 環 境 の 形 成 に 関 する 米 国 の 方 針 を 示 している 1

5 1 GPS の 概 要 GPSというシステムは セグメントと 呼 ばれる3つの 要 素 で 構 成 される GPS 衛 星 の 部 分 をス ペースセグメントと 言 い GPS 受 信 機 を 持 っている 利 用 者 のことをユーザーセグメントと 呼 び 衛 星 の 位 置 情 報 の 更 新 などをしているコントロールセグメントの 部 分 を 総 称 してGPSシステム という GPS 衛 星 は 高 度 約 0,000km の 軌 道 を 図 1-1 のGPS 衛 星 軌 道 概 念 図 が 示 すように 周 回 している 軌 道 面 は 赤 道 からの 傾 斜 角 55 と 各 軌 道 間 隔 60 の 全 てで6 軌 道 ある 各 軌 道 に4 機 の 衛 星 が 設 置 されており 計 4 衛 星 で 運 用 するとされている 軌 道 上 には 予 備 衛 星 が1 機 配 置 できるようになっており 現 在 004 年 3 月 では 8 機 のGPS 衛 星 が 使 用 可 能 である 各 衛 星 は 約 11 時 間 58 分 秒 約 1/ 恒 星 日 で 軌 道 を1 周 し 一 年 で 同 じ 配 置 に 戻 るように 制 御 されているようである 実 際 には 衛 星 軌 道 は 随 時 変 更 されており 完 全 には 決 定 していない 衛 星 の 軌 道 はm の 範 囲 で 地 上 のモニター 局 で 管 理 されており 時 間 間 隔 で 更 新 される 高 い 精 度 の 軌 道 情 報 Ephemesを30 秒 周 期 で 対 応 した 衛 星 が 放 送 している GPS 衛 星 ブロッ クⅡ/ⅡAの 設 計 寿 命 は7.5 年 とされている 各 衛 星 は10.3MHz の 基 準 発 信 機 を 搭 載 してお り 154 倍 のL1=1575.4MHz と10 倍 のL=17.6MHz の 周 波 の 右 旋 円 偏 波 を 全 地 球 に 向 けて 送 信 している 信 号 は 全 衛 星 同 一 の 周 波 数 を 用 いてC/A コードとP コードとともに 衛 星 ご とに 異 なるゴールド 符 号 と 呼 ばれる 擬 似 ランダム 雑 音 PRN : Psedo Radom NoseでBPSK B-Phase Shft Ke; 相 位 相 変 調 変 調 されている 具 体 的 にGPS 衛 星 からコードに 載 せ られて 送 信 されるデータは 衛 星 軌 道 情 報 Ephemes 衛 星 時 計 の 補 正 値 電 離 層 補 正 パ ラメータ 全 衛 星 の 位 置 情 報 almaac 等 である また GPS ではGPS タイムというものが あり この 時 刻 のもとに 運 用 されている 各 衛 星 には セシウム 原 子 時 計 と ルビジウム 時 計 が 搭 載 されている この 原 子 時 計 は 地 上 の 官 制 システムで 管 理 されており この 補 正 情 報 を 軌 道 情 報 とともに 衛 星 が 放 送 している GPS タイムは 一 週 間 で 一 回 りするようになっている ま た 世 界 標 準 時 であるUTC が 知 られているが UTC とGPS タイムの 違 いも 管 理 されている 図 1-1 GPS 概 念 図

6 1 3 本 研 究 の 背 景 と 目 的 移 動 体 の 自 律 制 御 する 方 法 には GPS ジャイロ 視 覚 認 識 装 置 などを 使 って 企 業 大 学 研 究 機 関 で 研 究 開 発 が 行 われている GPS を 用 いる 場 合 DGPS や RTK GPS などの 高 精 度 測 位 を 使 えば 精 密 な 自 律 制 御 が 要 求 される 場 合 においても 対 応 ができる 我 々の 研 究 室 では 無 線 LAN を 用 いた DGPS 測 位 システムのプロトタイプは 開 発 されている しかし この 測 位 システムには 以 下 のような 課 題 がある 1 測 位 プログラムの 稼 働 時 間 は 短 時 間 5 分 間 で 異 常 終 了 する このシステムの 実 用 的 な 評 価 がされていない この 論 文 の 目 的 は 1との 課 題 について 取 り 組 む つまり DGPS 測 位 プログラムの 稼 働 時 間 を 長 くすることと 本 システムの 実 用 的 な 評 価 をする 3

7 第 章 GPS の 測 位 原 理 1 単 独 測 位 1 1 原 理 GPS 衛 星 による 単 独 測 位 は GPS でもっとも 基 本 的 な 利 用 方 法 であり 単 純 な 原 理 である GPS では WGS-84 座 標 系 により 経 度 緯 度 および 高 さが 計 算 されるようになっている 単 独 測 位 に 行 うために 必 要 なパラメータは 種 類 しかない 一 つ 目 は ある 時 刻 の 衛 星 の 位 置 二 つ 目 は 衛 星 と 衛 星 信 号 を 受 信 しているアンテナ 測 位 位 置 間 の 距 離 である 特 に 二 つ 目 の パラメータを 擬 似 距 離 psedoageと 呼 ぶ ある 時 刻 に1 機 のGPS 衛 星 の 衛 星 位 置 と 擬 似 距 離 が 測 定 されたとする このとき 測 位 位 置 は 衛 星 位 置 を 中 心 とし 擬 似 距 離 を 半 径 とする 球 面 上 に 存 在 することになる しかしこのままでは 球 面 上 のどこに 測 位 位 置 が 存 在 しているか 知 る ことができない そこで 複 数 の 衛 星 のパラメータを 同 時 に 測 定 する 各 衛 星 について 球 面 を 考 えることができる 測 位 位 置 は 各 衛 星 とも 同 位 置 であるので 各 球 面 の 交 点 として 求 めることが できる 具 体 的 には 機 の 衛 星 を 用 い つの 球 面 が 交 わるとその 交 線 は 円 となる 3 機 目 の 衛 星 の 球 面 を 用 い その 機 の 交 線 の 円 と 交 差 する 点 が 測 位 位 置 となる 当 然 この 交 点 は 箇 所 できることになるが 通 常 測 位 位 置 の 概 略 はわかっていて 箇 所 の 交 点 のうちどちらが 正 し い 測 位 位 置 か 知 ることは 容 易 であり このことが 問 題 なることはほとんどない 以 上 のことか ら 原 理 的 には3 機 のGPS 衛 星 を 用 いることで 測 位 位 置 を 求 めることができることになる こ れは 数 学 的 に 測 位 位 置 を 表 現 する3 次 元 座 標 の 成 分,,zの3つの 未 知 数 を 求 めるために 3つの 方 程 式 が 必 要 であることに 対 応 している しかしながら 実 際 の 単 独 測 位 を 行 うとき3 機 の 衛 星 からできる3つの 方 程 式 では 測 位 位 置 を 求 めることができない それは 擬 似 距 離 の 測 定 に 問 題 があるからである 擬 似 距 離 は 衛 星 から 信 号 を 送 信 した 時 刻 と 測 位 位 置 のアンテナがその 信 号 を 受 信 した 時 刻 との 時 刻 差 電 波 伝 搬 時 間 に 光 速 を 乗 ずることにより 測 定 する この 測 定 方 法 では 衛 星 が 搭 載 している 時 計 と 測 位 位 置 の 受 信 機 内 の 時 計 が 完 全 に 一 致 同 期 していなければ 正 確 な 距 離 を 求 めることができ ない 衛 星 が 搭 載 している 時 計 はセシウム 原 子 時 計 であり 正 確 に 時 刻 を 刻 む 一 方 受 信 機 内 の 時 計 は 衛 星 時 計 と 比 較 して 精 度 が 悪 く つの 時 計 は 一 致 同 期 していない 受 信 機 内 の 時 計 の 誤 差 は 測 定 した 全 ての 衛 星 に 対 して 等 しいので1つの 未 知 数 と 考 える 3 次 元 座 標 の 成 分 zの3つの 未 知 数 と 受 信 機 内 の 時 計 の 誤 差 を 求 めることになるので 実 際 単 独 測 位 を 行 うためには 図 -1 のように 最 低 4 機 の 衛 星 を 同 時 に 観 測 し 4つの 方 程 式 を 作 成 する 必 要 がある 単 独 測 位 の 精 度 は SA が 発 動 されていた 時 期 は 民 間 の 利 用 者 は 水 平 方 向 で 約 100m で あったが SA が 解 除 された 後 は30m 程 度 が 保 障 されている 4

8 図 -1 単 独 測 位 1 計 算 方 法 単 独 測 位 の 測 位 計 算 は 受 信 機 で 測 定 された 各 衛 星 との 擬 似 距 離 をもとにして 行 う 4 個 のGPS 衛 星 の 位 置 は 軌 道 情 報 から 計 算 される ここで 用 いる3 次 元 直 行 座 標 系 は 地 球 の 中 心 を 原 点 地 球 自 転 軸 に 沿 って 北 方 向 を 正 方 向 とするZ 軸 グリニジ 子 午 面 と 赤 道 面 との 交 点 方 向 に X 軸 これら 軸 と 右 手 系 をなすようにY 軸 を 選 ぶものとする この 座 標 系 で アンテナ 位 置 の 座 標 を 0, 0, z0 とする 番 の 衛 星 の 位 置 を,, z とする 測 点 と 番 目 の 衛 星 との 距 離 は ピタゴラスの 定 理 によって z z = c τ τ ここでτ は 測 定 で 得 られた 番 目 の 衛 星 の 電 波 伝 搬 時 間 であり τ は 受 信 機 の 時 計 のずれ 正 しい 時 刻 より 送 れている 時 を 正 とするで C は 光 の 速 度 であり この 式 -1の 関 係 が 観 測 している 全 ての 衛 星 について 成 り 立 つ また 観 測 点 衛 星 からの 真 の 距 離 を 0 とおく 幾 何 学 的 には, z を 中 心 とした 半 径 が c τ τ の3 球 面 の 交 点 として 測 点 が 求, められる 実 際 上 の-1 式 を 解 くことは 二 乗 や 平 方 根 があり うまく 解 くことができない そこで 未 知 数 を 近 似 値 と 補 正 量 の 和 であらわし 最 小 二 乗 法 を 使 用 して 解 く 方 法 がとられる 番 衛 星 とアンテナ 位 置 との 距 離 擬 似 距 離 は z = z0 と 表 すことが 出 来 る また 未 知 数 をその 近 似 値 と 補 正 量 の 和 で 表 すと 5

9 z z z Δ = Δ = Δ = と 表 すことができ これを 式 -1に 代 入 すると s z z Δ Δ Δ =, -4 ここで 出 てくる z は 次 の 式 のようになり それぞれ 衛 星 方 向 のベクト ルの z 方 向 への 射 影 方 向 余 弦 となっていることが 分 かる z z z z z z z z z = = = -5 ここで z = = = γ β α,, とおき 1 = Δ とおくと 番 目 の 衛 星 か らの 擬 似 距 離 の 補 正 量 Δ は s z Δ Δ Δ = Δ γ β α -6 となり 4 衛 星 分 の4 個 の 方 程 式 ができる = Δ Δ Δ Δ γ β α γ β α γ β α γ β α -7 具 体 的 な 計 算 の 求 め 方 は 最 初 に を 式 -に 代 入 し 近 似 距 離 を 求 める 実 測 さ れた4 衛 星 に 対 する 擬 似 距 離 の 差 を 0 0 0,, z Δ として 式 -7に 代 入 してΔ Δ Δz とs を 求 める これらの 値 から 初 期 値 である にそれぞれ 加 え 新 しい 初 期 値 を 作 成 する 作 成 した 初 期 値 を 式 -に 代 入 し 新 しい 近 似 距 離 を 求 め 新 しい 擬 似 距 離 との 差 0 0 0,, z 0 0 0,, z Δ を 用 いて 新 しいΔ Δ Δz とs を 求 めるという 作 業 を 繰 り 返 すことにより Δ Δ Δz は0 に 収 束 し これらが 充 分 小 さな 値 になった 時 点 で 計 算 を 打 ち 切 る この 時 の 初 期 値 を 求 められたアンテナ 位 置 とする またS は 一 定 値 に 収 束 する 0 0 0,, z また 実 際 の 計 算 では 衛 星 が4 個 ではなく4 個 以 上 見 えているので -7の 式 の 両 辺 に 転 地 行 列 をかければよい 仮 に 個 の 衛 星 が 見 えているとすると 6

10 α1 β1 γ 1 z1 α β γ z α 3 β 3 γ 3 z3 A = α β γ z Δ1 Δ Δ 3 δr = Δ δr = A δ となる 両 辺 にA の 転 置 行 列 を 掛 けると T T A δr = A A δ -8 となる 次 に 両 辺 にA とA の 転 置 行 列 をかけた 行 列 の 逆 行 列 をかけると T T δ = A A 1 A δr -9 となり 補 正 量 Δ Δ Δz s を 求 めることができる DGPS 測 位 1 原 理 DGPS システムは 図 1-で 示 しているように 衛 星 基 準 局 移 動 局 及 び 両 局 の 間 にデータ 送 受 信 用 のデータリンクの4つの 部 分 から 成 り 立 っている 単 独 測 位 の 精 度 を 決 める 要 因 は 衛 星 信 号 の 精 度 衛 星 の 配 置 電 波 伝 搬 路 C/A コード 位 相 の 測 定 精 度 測 位 演 算 の 精 度 などである 通 常 は 最 初 の3 項 目 の 影 響 が 大 きく 以 下 の 項 目 はあまり 影 響 しない 大 気 や 電 離 層 による 誤 差 は 衛 星 の 仰 角 が 極 端 に 低 くなれば 同 じ 地 域 では 概 略 同 じである そして 衛 星 信 号 の 誤 差 も 同 じである このような 性 質 を 利 用 して 精 度 を 高 めるのがDGPSDffeetal GPS 測 位 である 000 年 のSA 解 除 後 単 独 測 位 の 精 度 は10m 程 度 であるが DGPS によって 精 度 を1mまで 上 げることが 可 能 になった DGPS によって 基 準 局 及 び 移 動 局 に 共 通 な 誤 差 だけ 補 正 ができ マルチパスまたは 受 信 機 内 部 のノイズによる 誤 差 の 補 正 はできない DGPS の 精 度 は 基 準 局 と 移 動 局 間 の 距 離 に 大 きく 影 響 される DGPS は 予 め 位 置 が 正 確 に 分 かっている 固 定 基 準 局 efece statoで 測 位 誤 差 を 求 め それによってユーザー 局 移 動 局 での 測 位 結 果 を 補 正 して 精 度 を 改 善 するものである その 精 度 はメートル 程 度 で 条 件 がよければ1メートル 以 内 の 測 位 精 度 となる ただし DGPS 測 位 では 基 準 局 とユーザー 局 において 大 気 や 電 離 層 等 の 遅 延 量 を 同 じと 仮 定 しているので 両 地 点 間 の 最 大 距 離 は 数 100kmから 数 1000kmまでであり それ 以 上 になると 精 度 が 低 下 するの で 注 意 が 必 要 となる また 基 準 局 からの 補 正 データを 伝 送 する 必 要 があるためその 伝 送 方 法 と 距 離 が 測 位 精 度 に 影 響 することとなる 以 下 にDGPS 測 位 で 利 用 されている 種 類 の 補 正 方 式 について 述 べる 7

11 測 位 位 置 補 正 方 式 この 方 式 は 正 確 に 分 かっている 基 準 局 の 位 置 と 同 地 点 で 単 独 測 位 により 出 力 された 位 置 を 比 較 することによって 位 置 の 補 正 値 緯 度 経 度 高 さもしくは 三 次 元 直 交 座 標 系 のz 座 標 を 算 出 し ユーザー 局 の 測 位 結 果 にこの 補 正 値 を 適 用 するものである 以 下 の 数 式 によっ て 測 位 位 置 補 正 方 式 を 表 す X = X X X -10 X, X はそれぞれ 基 準 局 の 正 確 な 位 置 座 標 と 単 独 結 果 を 表 し X, X は 移 動 局 でのDGPS 測 位 結 果 と 単 独 測 位 結 果 を 表 している 移 動 局 側 では 通 常 のGPS 受 信 機 が 出 力 する 単 独 測 位 結 果 を 使 用 でき 計 算 処 理 も 単 純 である しかし 基 準 局 側 と 移 動 局 側 で 同 じ 組 み 合 わせのGPS 衛 星 を 使 用 して 測 位 を 行 わなければならないという 制 限 がある しかし 次 に 述 べる 擬 似 距 離 補 正 方 式 と 比 較 して 基 準 局 からユーザー 局 へ 伝 送 するデータ 量 は 格 段 に 少 なくてすむ 3 擬 似 距 離 補 正 方 式 この 方 式 は 基 準 局 で 受 信 している 衛 星 までの 真 の 距 離 と ユーザーが 実 際 に 測 定 した 擬 似 距 離 を 比 較 することによって 衛 星 ごとの 擬 似 距 離 補 正 値 及 びその 変 化 率 を 算 出 してユーザ ー 局 に 伝 送 する ユーザー 局 では 受 信 機 で 測 定 された 擬 似 距 離 に この 補 正 値 を 適 用 して 測 位 するものである 前 述 した 測 位 位 置 補 正 方 式 と 異 なり 基 準 局 で 擬 似 距 離 補 正 データが 得 られた 衛 星 であれば ユーザー 局 ではどんな 衛 星 の 組 み 合 わせを 測 位 に 使 用 しても 良 いという 柔 軟 性 がある この 方 式 は 世 界 標 準 として 広 く 利 用 されている 本 研 究 でもこの 方 式 を 使 ったが 測 位 用 のPC を 一 台 しか 使 ってないので 基 準 局 の 擬 似 距 離 情 報 を 全 て 無 線 LANで 送 信 し 移 動 局 にある 測 位 計 算 用 のPC で 計 算 し 補 正 値 を 計 算 し 移 動 局 の 擬 似 距 離 にこの 補 正 値 を 使 いDGPS 測 位 を 行 う 形 になっている 8

12 3 RTK GPS 測 位 3 1 原 理 GPS 測 位 では 測 位 を 行 うためのつのパラメータとして 衛 星 位 置 と 衛 星 - 利 用 者 間 の 距 離 を 用 いる 衛 星 - 利 用 者 間 の 距 離 として 単 独 測 位 やDGPS 測 位 は 擬 似 距 離 を 使 用 する 干 渉 測 位 は 衛 星 - 利 用 者 間 の 距 離 として 擬 似 距 離 の 代 わりに 搬 送 波 位 相 Cae Phaseを 利 用 する 擬 似 距 離 と 比 較 すると 搬 送 波 位 相 の 測 距 精 度 が 高 いため 干 渉 測 位 は 数 mm から 数 cm の 測 位 が 可 能 となる 干 渉 測 位 は 座 標 が 既 知 である 固 定 基 準 局 に 対 する 利 用 者 の 相 対 位 置 を 求 める 方 法 が 一 般 的 である 原 理 は 座 標 が 既 知 である 固 定 基 準 局 で 搬 送 波 位 相 を 測 定 し 同 時 に 利 用 者 側 でも 搬 送 波 位 相 を 測 定 する 基 準 局 と 利 用 者 側 で 同 じ 衛 星 から 測 定 した 搬 送 波 位 相 の 差 行 路 差 を 求 めることにより 基 準 局 からの 基 線 ベクトルを 求 める 基 線 ベクトルを 求 めること ができれば 利 用 者 の 座 標 は 基 準 局 からの 相 対 位 置 として 求 めることが 可 能 である 図 - に 行 路 差 と 基 線 ベクトルの 関 係 図 を 示 す 基 線 ベクトルは3つの 未 知 数 で 表 され 解 くためには3 個 の 行 路 差 が 必 要 である つまり3 衛 星 の 測 定 値 が 観 測 できれば 良 いことになるが 単 独 測 位 と 同 様 に 受 信 機 の 時 計 誤 差 を 消 去 するためにもう1 機 の 衛 星 が 必 要 となる 図 - 行 路 差 と 基 線 ベクトル 3 計 算 方 法 3 1 搬 送 波 位 相 と 整 数 値 バイアス 搬 送 波 位 相 は 衛 星 のC/A コードや 航 法 メッセージ 等 の 情 報 をGPS 衛 星 から 地 上 に 運 ぶ 媒 体 であり 電 波 である 搬 送 波 自 体 はサイン 波 であり 情 報 は 無 く 変 調 することによって 情 報 を 持 たせることができる GPS の 搬 送 波 にはL1 帯 とL 帯 の 種 類 があり L1 帯 は1,575.4MHz L 帯 は1,7.6MHzの 周 波 数 である それぞれを1 波 長 で 表 すとL1 帯 は 約 0.19m L 帯 は 約 0.4m である 搬 送 波 位 相 は1 波 長 を1 サイクル 波 数 として 表 される 搬 送 波 の 測 距 精 度 は1 波 長 の100 分 の1 であるため 搬 送 波 位 相 はL1 帯 で 約 mm の 精 度 で 測 定 できる このよ うに 波 数 を 少 数 点 以 下 まで 測 定 した 値 を 搬 送 波 位 相 と 呼 ぶ GPS 受 信 機 から 出 力 される 搬 送 波 9

13 位 相 は 波 数 を0.01 サイクルの 精 度 で 測 定 し 積 算 した 値 である ここで 番 衛 星 のL1 帯 の 搬 送 波 位 相 φ L 1 ccleを 式 で 表 現 すると I T f δt δt N ε φ 1 L1 = λ L1 L1 L1 L1 L1-11 となる ここで λ L1 はL1 帯 の 波 長 m は 衛 星 - 利 用 者 間 の 正 確 な 距 離 m I L1 はL1 帯 の 電 離 層 遅 延 量 m T はL1 帯 の 対 流 圏 遅 延 量 m f L1 はL1 帯 の 周 波 数 MHz δt は 受 信 機 の 時 計 誤 差 s δt は 衛 星 の 時 計 誤 差 s NL1 はL1 帯 搬 送 波 の 整 数 値 バイアスccle εl1 はマルチパス 等 の 誤 差 ccleである 上 付 き 文 字 の 括 弧 は 次 数 と 衛 星 番 号 の 区 別 するためのものである 擬 似 距 離 と 異 なる 点 は まず 搬 送 波 が 電 離 層 を 通 過 するとき 位 相 速 度 は 見 かけ 上 速 くなるため 電 離 層 遅 延 量 の 符 号 は 負 となることである 次 にマルチパスの 影 響 が 擬 似 距 離 のm レベルと 比 較 して 搬 送 波 はcm レベルと 小 さい 最 後 に 整 数 値 バイアス Itege Ambgtと 呼 ばれる 項 の 存 在 である 搬 送 波 位 相 は 整 数 部 1 波 長 の 数 と 小 数 部 とで 構 成 されている 小 数 部 は0.01 サイクルの 精 度 で 正 確 に 測 定 できることは 先 ほど 述 べたが 整 数 部 の 絶 対 値 は 整 数 値 バイアスのために 正 確 に 測 定 できない 整 数 値 バイアスはそ の 名 の 通 り 整 数 値 となるが 衛 星 ごと 受 信 機 ごとに 異 なる 値 を 示 すため 電 離 層 対 流 圏 遅 延 を 相 殺 するように 他 の 測 定 値 を 利 用 して 相 殺 することができない しかし 搬 送 波 を 連 続 的 に 観 測 できている 期 間 においては 整 数 値 バイアスは 変 化 しないため 一 度 決 定 Itege Ambgt Resoltoできると 連 続 的 に 正 確 な 搬 送 波 位 相 を 得 ることができる サイクル スリップ 等 の 原 因 で 連 続 観 測 が 中 断 した 場 合 整 数 値 バイアスは 変 化 するため もう 一 度 決 定 し なおす 必 要 がある 干 渉 測 位 計 算 アルゴリズムはDGPS 測 位 と 同 様 で 単 純 であるが 整 数 値 バ イアスの 決 定 が 容 易 でない 干 渉 測 位 にはいろいろな 種 類 があるが 基 準 局 からの 基 線 ベクト ルを 求 めることには 相 違 なく 整 数 値 バイアスの 決 定 方 法 の 違 いによる 分 別 である 3 搬 送 波 位 相 誤 差 項 の 削 除 -11 式 には 整 数 値 バイアス 以 外 の 誤 差 項 電 離 層 衛 星 時 計 等 がある これらの 誤 差 項 はDGPS 測 位 と 同 様 に 基 準 局 の 測 定 値 等 を 利 用 することで 相 殺 できる 整 数 値 バイアスの 決 定 測 位 精 度 の 改 善 のために 誤 差 項 を 相 殺 したほうがよい ここでは 搬 送 波 位 相 の 誤 差 項 の 削 除 法 を 記 す 一 重 位 相 差 1 受 信 機 間 一 重 位 相 差 図 - のように 基 準 局 と 利 用 者 側 の 受 信 機 で 同 時 に 同 じ 衛 星 から 測 定 した 搬 送 波 位 相 の 差 つまり 行 路 差 を 求 める 方 法 である 受 信 機 間 一 重 位 相 差 φ- は 10

14 φ = φ φ [ I I T T ] f [ δt δt δt δt ] 1 = λ N N ε ε -1 I T f δt N = λ ε 1 で 表 される ここで 添 え 字 の は 利 用 者 側 は 基 準 局 を 示 し - は 利 用 者 側 の 測 定 値 から 基 準 局 の 測 定 値 を 引 いた 値 を 示 す -1 式 では 衛 星 時 計 誤 差 の 項 が 相 殺 されていることがわ かる 受 信 機 間 一 重 位 相 差 では 衛 星 時 計 誤 差 が 消 去 できる 整 数 値 バイアスは 基 準 局 と 利 用 者 側 の 差 となるが 整 数 の 値 となる -1 式 は 基 線 長 が 短 距 離 である 場 合 電 離 層 と 対 流 圏 の 項 は 同 じ 衛 星 であるため 相 殺 できる -1 式 から 短 基 線 長 の 受 信 機 間 一 重 位 相 差 は φ 1 = λ f δt N ε -13 となる 当 然 のことながら 基 線 長 が 長 距 離 の 場 合 や 電 離 層 の 活 動 が 活 発 である 場 合 は 相 殺 され ずに 誤 差 項 を 消 去 することはできない 衛 星 間 一 重 位 相 差 図 -3 衛 星 間 一 重 位 相 差 図 -3 のように 1 個 の 受 信 機 で 同 時 刻 に 測 定 したGPS 衛 星 機 の 搬 送 波 位 相 差 を 取 った 値 を 衛 星 間 一 重 位 相 差 と 言 う 例 えば 利 用 者 側 の 受 信 機 で 番 衛 星 とm 番 衛 星 の 搬 送 波 位 相 を 測 定 φ m したとすると 衛 星 間 一 重 位 相 差 は -14 式 で 表 される -14 式 から 衛 星 間 一 重 位 相 差 では 受 信 機 の 時 計 誤 差 の 項 が 相 殺 できる 11

15 m m φ φ φ = [ ] [ ] 1 m m m m t t t t f T T I I δ δ δ δ λ = m m N N ε ε m m m m m m N t f T I = ε δ λ 衛 星 間 一 重 位 相 差 は 搬 送 波 位 相 を 測 定 した 衛 生 が 異 なるため 電 離 層 対 流 圏 の 項 を 相 殺 する ことはできない 衛 星 間 一 重 位 相 差 も 受 信 機 間 一 重 位 相 差 と 同 様 で 整 数 値 バイアスの 項 は 整 数 である 二 重 位 相 差 どちらの 一 重 位 相 差 でも 時 計 誤 差 を 完 全 に 消 去 することができない 二 重 位 相 差 は 衛 星 時 計 誤 差 と 受 信 機 時 計 誤 差 の 両 方 を 理 論 的 に 完 全 に 消 去 できる 二 重 位 相 差 は 受 信 機 間 一 重 位 相 差 からも 衛 生 間 一 重 位 相 差 からも 求 めることができ 結 果 は 同 じである 図 -4 が 示 すように 地 点 の 観 測 場 所 と それぞれの 地 点 で 機 のGPS 衛 星 からの 搬 送 波 位 相 から 二 重 位 相 差 は m φ 図 -4 二 重 位 相 差 m m m φ φ φ φ φ = 1 m m m m m N T I = ε λ -15 で 表 される ここで-15 式 は 番 衛 星 とm 番 衛 星 の 受 信 機 間 一 重 位 相 差 を 求 め それらの 値 1

16 を 差 し 引 いた 値 である -15 式 を 並 べ 替 えることにより 利 用 者 側 と 基 準 点 の 衛 星 間 一 重 位 相 差 の 引 き 算 になることがわかる -15 式 からは 衛 星 時 計 誤 差 と 受 信 機 時 計 誤 差 が 完 全 に 消 去 され 基 線 長 が 短 距 離 であれば 電 離 層 対 流 圏 の 項 も 相 殺 される 干 渉 測 位 は 行 路 差 から 基 線 ベクトルを 求 めると 説 明 したが 実 際 の 干 渉 測 位 には 一 重 位 相 差 では 時 計 誤 差 が 完 全 に 消 去 されないために 使 用 しない 二 重 位 相 差 を 行 路 差 に 相 当 する 値 として 測 位 を 行 う また 基 線 ベクトル 未 知 点 の 座 標 を 求 めるためには 独 立 した 二 重 位 相 差 が3 個 必 要 であるため コー ドを 利 用 する 測 位 と 同 様 に 最 低 4 衛 星 の 測 定 値 が 必 要 である 測 位 計 算 では 独 立 した 二 重 位 相 差 を 算 出 するためにある 衛 星 を 基 準 にする 一 般 的 には 衛 星 仰 角 の 最 も 高 い 衛 星 を 基 準 衛 星 とする 場 合 が 多 い 13

17 第 3 章 近 距 離 簡 易 測 位 システムの 構 成 3 1 システムの 概 要 基 準 局 移 動 局 GPS 受 信 機 GPS 受 信 機 無 線 LAN コンバータ 仮 想 COM ポート 通 常 COM ポート ノート PC 無 線 LAN 内 蔵 リアルタイムで DGPS 測 位 計 算 図 3-1 近 距 離 簡 易 測 位 システム 図 1 基 準 局 の GPS 受 信 機 と 無 線 LAN コンバータは RS3C ケーブルで 接 続 する 基 準 局 の 無 線 LAN コンバータから 補 正 データ 擬 似 距 離 データと 衛 星 の 位 置 情 報 など を 移 動 局 の PC に 送 信 する 3 移 動 局 の PC では TCP VSP というソフトで 仮 想 COM ポートを 作 成 し 基 準 局 からの 補 正 データを 受 信 する 4 移 動 局 の GPS 受 信 機 と PC は RS3C ケーブルで 接 続 されている PC の 通 常 COM ポ ートに 移 動 局 の 受 信 機 からデータを 受 信 する 5プログラムで 両 方 の COM ポートからのデータを 使 用 して DGPS 測 位 計 算 をする 3 システムのハードとソフトについて 3 1 無 線 LAN リアルタイムで DGPS 測 位 や RTK-GPS 測 位 をするために 基 準 局 のデータを 何 らかの 転 送 手 段 で 移 動 局 に 送 らなければならない 今 回 は 無 線 LAN を 使 用 して 基 準 局 のデータを 送 ること にしている そこで 無 線 LAN とは 何 か 無 線 LAN 環 境 をどのように 形 成 したかについて 説 明 し ていく LAN はLOCAL AREA NETWORK の 略 でより 対 線 や 同 軸 ケーブル 光 ファイバーなどを 使 って 同 じ 建 物 の 中 にコンピュータやプリンタなどを 接 続 し データをやり 取 りするデータ 通 信 14

18 ネットワークである 通 信 制 御 方 式 によってEtheet, FDDIFbe-Dstbted Data Iteface 光 ファイバーを 利 用 したもの Toke.Rgなどいくつかの 種 類 がある 最 も 普 及 しているのはEtheet 規 格 で その 中 でも 対 線 を 使 ったスター 型 LAN である10BASE-T 最 大 通 信 速 度 が10Mbps 最 大 伝 送 距 離 が100mと100BASE-TX 最 大 通 信 速 度 が100Mbps 最 大 伝 送 距 離 が100mが 主 流 である 対 線 とは 電 線 を 本 ずつ 撚 り 合 わせて 対 にした 通 信 用 ケーブ ルのことである 平 行 型 の 電 線 に 比 べてノイズの 影 響 を 抑 えることができる 各 ペアの 周 りに 雑 音 を 遮 断 するシールド 加 工 を 施 したものを STPShelded Twsted Paケーブル シー ルドしていないものを UTPUShelded Twsted Paケーブル という 無 線 LAN は 無 線 通 信 でデータの 送 受 信 をするLAN のことである 無 線 LAN の 特 徴 として 次 の ものが 挙 げられる 1.レイアウト 変 更 が 多 いオフィスではLAN ケーブルの 引 き 直 しの 度 に 多 くの 時 間 と 費 用 が 費 やされるが 無 線 LAN ではこのような 問 題 は 生 じない. 規 格 が 固 まったばかりで 製 品 があまり 市 場 に 出 回 っていないので 初 期 コストが 高 いのが 欠 点 だが 維 持 コストの 差 を 考 えれば 長 期 的 には 有 線 のLAN を 用 いるよりもコストが 抑 え られると 思 われる 3.また 配 線 に 制 約 の 多 い 一 般 家 庭 でも 無 線 LAN は 効 果 的 で 最 近 ではダイアルアップルー タとノートパソコンとの 間 を 無 線 LAN で 結 ぶ 製 品 が 広 く 出 回 っている Mbps の100BASE-TX 規 格 が 浸 透 している 有 線 LAN に 比 べて 伝 送 速 度 が11Mbps 程 度 IEEE 80.11b の 場 合 とさほど 速 くないことや 他 の 電 気 機 器 との 電 波 干 渉 により 通 信 エラーが 発 生 し 得 ることもあり 必 要 に 応 じて 有 線 と 使 い 分 けることが 重 要 である 3 無 線 LANの 規 格 本 研 究 ではIEEE80.11b 規 格 の 無 線 LAN アダプタを 使 用 したので それについて 詳 しく 説 明 する IEEE80.11bでは.4GHzの 周 波 数 を 利 用 している これはISMIdst Scece Medcal 帯 域 と 言 われ 名 称 通 り 産 業 科 学 医 療 機 器 工 場 生 産 ラインなど の 無 線 機 器 において 自 由 に 使 用 される 周 波 数 帯 域 である なお 使 用 に 関 しては 各 国 が 独 自 に 管 理 認 証 を 行 って おり 我 が 国 の 場 合 は 無 線 免 許 なしで 使 用 できる 変 調 にはスペクトラム 拡 散 方 式 を 採 用 し 1Mbps にDBPSKDffeetal Ba Phase Shft Keg Mbps にDQPSKDffeetal Qatea Phase Shft Keg 5.5/11Mbps に CCKComplemeta Code Kegと 呼 ばれる 搬 送 波 の 位 相 差 を 使 った1 次 変 調 を 行 い DSSS Dect Seqece Spead Spectm 直 接 シーケンス スペクトラム 拡 散 方 式 の 次 変 調 で 0MHz の 帯 域 に 拡 散 する DSSS は 信 号 にPN 疑 似 ノイズ 符 号 系 列 を 掛 け 合 わせ 信 号 を 拡 散 する 方 式 であり 高 速 通 信 に 用 いる この 方 式 は 拡 散 に 使 用 した 同 一 の 信 号 を 使 用 しなければ 復 元 できず 隠 匿 性 と 干 渉 に 強 く 現 在 多 くの 無 線 LAN ベンダはDSSS 方 式 を 採 用 する これ に 対 してFHSSFeqec-hoppg spead-spectm: 周 波 数 ホッピング 方 式 は 搬 送 波 の 周 波 15

19 数 を 切 り 替 えて 通 信 する 方 法 であり 狭 帯 域 での 搬 送 に 適 する 表 3-1に 主 な 無 線 LANの 規 格 を 示 す 表 3-1 主 な 無 線 LAN の 規 格 IEEE 80.11b IEEE 80.11a IEEE 80.11g 周 波 数.4GHz 帯 5.GHz 帯.4GHz 帯 通 信 速 度 規 格 値 最 大 11Mbps 最 大 54Mbps 最 大 54Mbps 通 信 速 度 実 質 値 最 大 5Mbps 最 大 Mbps 最 大 0Mbps 伝 送 距 離 50m~180m 0m~90m 0m~180m 互 換 性 高 い なし b より 低 い 電 波 干 渉 の 可 能 性 Bletooth/ 電 子 レンジ なし Bletooth/ 電 子 レンジ 3 3 無 線 LAN 環 境 の 形 成 SSID の 設 定 : SSIDはSevce Set IDの 略 で 無 線 LANがどの 相 手 と 通 信 するべきかを 特 定 するために 必 要 と なる 無 線 LANネットワークのIDである SSIDを 指 定 することにより 初 めて 通 信 を 行 うことが できる SSIDにはBSSIDとESSIDがあって BSSIDはBaseSevce Set 基 本 サービスセットの 略 であり アドホック 方 式 での 通 信 領 域 あるいは 各 アクセスポイントの 通 信 領 域 となる 各 領 域 は 個 別 のBSS IDBSS 名 が 設 定 され 区 別 が 図 れる なお BSS 内 に 含 まれる 無 線 LAN 端 末 は 同 一 のBSS IDを 設 定 する もう 一 つのESSIDはEteded Sevce Set IDの 略 で インフラストラクチャ 方 式 で 使 われる 各 アクセスポイントの 通 信 領 域 であるBSSをローミング 領 域 として 統 合 する これによりロー ミングするユーザーはBSS 間 を 自 由 に 移 動 することが 可 能 となる 但 し ESSに 含 まれるアクセ スポイントは 同 一 のESS IDに 設 定 する 必 要 がある ESS IDの 別 の 用 途 に 負 荷 分 散 がある 同 一 場 所 に 複 数 台 のアクセスポイントが 設 置 された 場 合 特 定 のアクセスポイントに 無 線 LAN 端 末 からのアクセスが 集 中 することがあるが この 負 荷 集 中 を 防 ぐために 無 線 LAN 端 末 のESS-ID を 特 定 のアクセスポイントのESS-IDと 同 一 にすることにより 他 のアクセスポイントへのアク セスを 回 避 でき 分 散 が 行 える SSIDの 設 定 には 大 文 字 と 小 文 字 は 区 別 されるため 注 意 が 必 要 である CREATE SSIDの 設 定 : アドホックモード 時 にホストとなる1 台 に 新 たに 作 成 する 無 線 LANネットワークのIDである 他 の 無 線 LANのSSIDをCREATE SSIDと 同 じ 値 に 設 定 する 事 でアドホックモードでの 通 信 を 行 う 事 ができる 16

20 チャンネルの 設 定 : チャンネルは 利 用 する 周 波 数 のことでIEEE80.11b では 周 波 数.4GHz 帯 の 無 線 を 利 用 して 通 信 を 行 うが 実 際 には 多 くの 機 器 で14 のチャンネルに 分 けられており ユーザーは1 から 14 のいずれかのチャンネルの 中 から 選 択 をすることができる EZL-300Wでは 0 を 設 定 すると 無 線 LANカードのデフォルト 値 に 設 定 することになる WEPの 設 定 : これはWed Eqvalet Pvacの 略 で IEEE80.11b で 定 められているセキュリティ 機 能 のひとつであって 設 定 したパスワードWEPキーをもとに 送 受 信 データの 暗 号 化 を 行 う 暗 号 化 の 方 法 としては 暗 号 化 なし 64btと18btの 種 類 のキーが 用 意 されており この 数 値 が 大 きいほど 暗 号 が 複 雑 化 することになり セキュリティ 機 能 が 向 上 される 64bt なら5 文 字 以 内 18bt では13 文 字 以 内 の 半 角 英 数 字 で 指 定 を 行 う EZL300Wの 場 合 これらの 設 定 はezSealCofg というソフトの 画 面 で 簡 単 に 設 定 すること ができる この 時 無 線 LANカードがEZL-300Wに 挿 入 されて 無 い 状 態 でEZL-300WとPCのCOMポー トをRS3Cのクロスケーブルで 接 続 画 面 からCOMポートを 選 びREADボタンをクリックすれば 画 面 の 内 容 を 書 き 換 えるようになる 設 定 したい 項 目 を 書 いてWRITEボタンを 押 せば 設 定 完 了 である 今 回 はSSIDにはDENSHI チャンネルを0 WEPキーをなしに 設 定 した 3 4 RS3C ケーブル RS3Cとは シリアルCOMポートの 一 つで 一 番 普 及 している 規 格 である シリアルCOM ポ ートはパソコン 本 体 と 周 辺 機 器 間 のシリアルデータ 転 送 用 のポートである シリアル 転 送 とい うのは 1 本 の 信 号 線 を 使 って1 ビットずつデータを 転 送 する 方 式 であり シリアル 転 送 方 式 では 一 方 転 送 及 び 双 方 向 転 送 がある 一 方 転 送 の 場 合 はつの 信 号 線 を 使 用 する 一 つが 送 信 用 で もう 一 つはグラウンドとなる しかし 双 方 向 転 送 の 場 合 は 信 号 線 が3つで 送 信 と 受 信 のため 別 々のつの 線 があって もう 一 つはグラウンドになる シリアル 転 送 方 式 はパラレル 転 送 方 式 に 比 べ 転 送 速 度 は 遅 いが 最 大 伝 送 距 離 は 長 い パソコン 上 のシリアルポートはモ デム キーボード マウスなどの 接 続 に 使 われる 3 5 プログラムの 概 要 本 研 究 では 測 位 用 のPC の 通 常 COM ポート 及 び 仮 想 COM ポートによってそれぞれ 移 動 局 と 基 準 局 の 受 信 機 との 通 信 を 行 うためにPC のCOM ポートを 制 御 するプログラムが 必 要 である これはWIN3 API のシリアル 通 信 関 数 を 使 ってCOM ポートの 設 定 及 び 動 作 を 制 御 している COM ポートの 動 作 及 び 制 御 用 のヘッダ 及 びソースファイルはそれぞれcom.h 及 びcom.cpp である com.h のヘッダファイルでは 次 のWIN3 API のシリアル 通 信 関 数 を 定 義 している 17

21 研 究 室 のプログラムでは ある 一 定 時 間 のGPS データがファイル 化 されているので そのフ ァイルをオープンしてデータを 読 み 込 んでいた しかし 今 回 はリアルタイムで 毎 秒 cha 型 配 列 s_bf[]に 入 ってくるデータをそのまま 読 み 込 み 外 部 変 数 に 格 納 している 受 信 機 OEM3 では $RGEA 衛 星 の 擬 似 距 離 情 報 のデータ 及 び$SVDA 衛 星 の 位 置 情 報 のデータと OEM4では#RANGEA 衛 星 の 擬 似 距 離 情 報 のデータ 及 び#SATXYZA 衛 星 の 位 置 情 報 のデータ を 読 み 込 んでいる 基 準 局 と 移 動 局 のデータを 別 々に 読 み 込 むために 別 々 名 前 のソースファ イルを 作 ったが 基 準 局 のファイルではcv=0と 移 動 局 のファイルではcv=1だけの 違 いで 全 く 同 じコードである 18

22 図 3-1 の 図 3- に 測 位 用 PC 側 で 行 われているプログラムのフローチャートを 示 す 測 位 用 PC 図 3- プログラムのフローチャート 図 3- で 基 準 局 のアンテナ 精 密 位 置 と 擬 似 距 離 RGEAから 各 衛 星 の 補 正 値 を 計 算 し 移 動 局 の 単 独 測 位 は 移 動 局 の DGPS 測 位 と 比 較 するために 計 算 した 図 3- のフローチャート で 補 正 値 をあえて PC で 計 算 するのは 将 来 的 に 補 正 値 をカスタマイズすることを 考 慮 したか らである よって 受 信 機 から 補 正 値 情 報 を 無 線 で 転 送 しなかった その 代 わり 転 送 するデ ータは RGEA 擬 似 距 離 データと SVDA 衛 星 位 置 データである 以 上 が 本 システムのハードとソフトウェアの 説 明 である 19

23 第 4 章 実 験 と 結 果 考 察 4 1 無 線 LAN によるデータ 時 間 間 隔 と 測 位 プログラム 稼 働 時 間 の 関 係 従 来 のシステムでの 測 位 プログラム 稼 働 時 間 の 再 調 査 従 来 のシステムでは 測 位 プログラムの 稼 働 時 間 は 短 時 間 5 分 程 度 で 終 了 すると 報 告 されているが 再 現 性 があるかどうか 稼 働 時 間 を 再 調 査 した その 時 の 実 験 設 備 と 実 験 結 果 を 表 4-1 と 表 4- に 示 す 表 4-1 実 験 設 備 項 目 基 準 局 移 動 局 位 置 研 究 室 同 左 アンテナ NOVATEL の GPS-70 同 左 受 信 機 NOVATEL の OEM3 同 左 測 位 用 PC なし 無 線 LAN 内 蔵 の Paasoc の PC シリアル 無 線 LAN コンバータ α-poject 社 製 の EZL-300W なし 無 線 LAN カードアダプタ I-ODATA 社 製 の WN-B11/PCMH なし 表 4- プログラムの 稼 働 時 間 平 均 稼 働 時 間 最 大 値 最 小 値 標 準 偏 差 分 7 秒 53 分 1 秒 54 秒 分 5 秒 表 4-1 から 分 かるとおり 基 準 局 と 移 動 局 は 同 じアンテナを 使 用 し 静 止 で DGPS 測 位 実 験 をしたものであり 移 動 体 で DGPS 測 位 をしたわけではない 表 4- では 試 行 回 数 は 10 回 のときの 結 果 で プログラムの 稼 働 時 間 が 5 分 程 度 であることが 確 認 でき 再 現 性 がある ことがわかった 0

24 また 図 4-1 に このときのゼロ 基 線 での 測 位 結 果 を 示 す 図 4-1 zeo 基 線 での 測 位 結 果 ここで 真 値 は 原 点 である 原 点 の 周 りの 誤 差 m 以 内 に 測 位 結 果 が 分 布 していることから DGPS 測 位 は 良 好 であると 確 認 できた また 図 4-1 の 青 で 表 示 されている 単 独 測 位 の 結 果 は 通 常 見 られる 原 点 の 周 りを 覆 い 囲 むような 分 布 になっていなかった ここで 図 4-1 の 赤 と 青 の 測 位 結 果 のデータは たかだか 数 十 分 間 連 続 で 実 時 間 DGPS 及 び 単 独 測 位 した 測 位 結 果 で ある 後 の 実 験 から 数 時 間 以 上 長 時 間 連 続 で 測 位 すれば 原 点 の 周 りを 覆 い 囲 むような 分 布 に なることが 本 測 位 システムで 確 認 しているので 問 題 ないと 考 える 1

25 4 1 無 線 LAN の 代 わりに 有 線 ケーブルを 使 用 し 稼 働 時 間 を 調 査 基 準 局 のデータは 無 線 LAN で 測 位 用 PC に 転 送 しているが ここでは 無 線 LAN を 使 用 せ ずに 基 準 局 の GPS 受 信 機 と 測 位 用 PC を RS3C ケーブルで 接 続 し 基 準 局 のデータを 有 線 で 送 ったときに 測 位 プログラムの 稼 働 時 間 がどう 変 わるか 調 査 した 基 準 局 移 動 局 とも 第 4 実 験 棟 の 情 報 通 信 工 学 研 究 室 の 屋 上 にある 同 じアンテナを 使 い 測 位 用 PC は ノート PC を 使 用 して 静 止 で DGPS 測 位 した その 結 果 を 表 4-3 に 示 す 表 4-3 連 続 DGPS 測 位 稼 働 時 間 稼 働 時 間 無 線 5 分 間 有 線 13 時 間 以 上 プログラム 稼 働 時 間 は 長 時 間 13 時 間 以 上 伸 びたことを 確 認 した この 場 合 は 13 時 間 経 ち 強 制 終 了 した ここでの 強 制 終 了 は 私 がプログラムを 終 了 したのではなく PC がプロ グラムを 終 了 したことを 意 味 する この 原 因 は 既 定 の 処 理 回 数 の 設 定 値 を 超 えたため プログ ラムが 強 制 終 了 したと 考 えられるが 現 在 調 査 中 である このことからプログラム 稼 働 時 間 が 短 時 間 で 終 了 するのは 無 線 LAN が 関 係 している 可 能 性 が 高 いと 考 えられる 無 線 LAN では TCP/IP をプロトコルとした 通 信 を 行 っているため TCP の 受 け 渡 しが 上 手 くいかないと 再 送 要 求 を 送 る 仕 組 みになっている ここで 遅 延 が 生 じることが 知 られている 測 位 用 PC がデータを 受 け 取 る 間 隔 はプログラムで 設 定 しているが この 遅 延 によって デー タを 受 け 取 る 時 間 間 隔 と 無 線 LAN を 通 じてデータが 伝 送 される 時 間 間 隔 が 合 わないと 本 プ ログラムでは 対 応 できていない 可 能 性 がある

26 4 1 3 時 間 間 隔 と 測 位 プログラム 稼 働 時 間 の 関 係 有 線 実 験 の 結 果 から 連 続 で DGPS 測 位 できる 稼 働 時 間 は 伸 びることはわかった しかし このシステムでは 基 準 局 と 移 動 局 の 距 離 を 離 した 状 態 で DGPS 測 位 を 用 いて 移 動 体 の 自 律 制 御 などを 目 的 にしている したがって 無 線 通 信 で 測 位 が 十 分 可 能 にしなければならない このとき 前 節 で 述 べたように 無 線 LAN の 問 題 も 検 討 する 必 要 がある そこで データを 転 送 する 時 間 間 隔 すなわち 測 位 用 PC がデータを 受 け 取 る 時 間 間 隔 を 広 げることで 遅 延 によるタイムラグを 待 つことを 試 みた GPS 受 信 機 の 内 部 で 生 成 された 生 デ ータは 垂 れ 流 しではなく 何 秒 おきに 生 データを 転 送 するかを GPS 受 信 機 に 対 して 設 定 でき るアプリケーションソフトがある 今 までのシステムでは 一 秒 おきにデータを 転 送 すると 設 定 して 無 線 LAN を 行 っていた そこで 時 間 間 隔 を 変 更 したときの 稼 働 時 間 の 関 係 について 調 査 した 10 5 緯 度 m 単 独 測 位 DGPS 経 度 m 図 4-3 ZERO 基 線 での 測 位 結 果 図 4-3 は 時 間 間 隔 を 3 秒 おきに 設 定 したときの 無 線 LAN を 用 いた DGPS 測 位 結 果 である 真 値 は 原 点 である 稼 働 時 間 は 16 時 間 以 上 であった ただし 16 時 間 後 強 制 終 了 したわけ ではなく 自 分 で 終 了 させたので 稼 働 時 間 は 16 時 間 以 上 続 くと 見 込 める また DGPS 測 位 結 果 は 1~m の 誤 差 範 囲 に 納 まっている ただし 一 部 データの 飛 びがある このことから 時 間 間 隔 を 伸 ばすことで 稼 働 時 間 が 増 加 することがわかった また 時 間 間 隔 を 3 秒 おきで 稼 働 時 間 が 安 定 するには 無 線 LAN で 転 送 するボーレートを 57600bps に 設 定 した 場 合 であり 例 えば ボーレートを 9600bps にした 場 合 は 7 秒 おきで 安 定 することも 実 験 で 確 認 できた 3

27 4 時 間 間 隔 調 整 後 のシステムの 評 価 前 節 で 時 間 間 隔 を 変 えることで 連 続 DGPS 測 位 稼 働 時 間 を 大 幅 に 増 やすことができた た だし 今 まで DGPS 測 位 実 験 では 測 位 用 PC と 無 線 LAN コンバータの 距 離 は 6m 以 内 で DGPS 測 位 実 験 をしてきた すなわち 第 4 実 験 棟 の 屋 上 の 同 一 のアンテナを 基 準 局 移 動 局 のアンテナ 位 置 とした この 節 では 通 信 距 離 測 位 用 PC と 無 線 LAN コンバータ 間 の 距 離 を 広 げて 実 時 間 DGPS 測 位 実 験 をした 前 システムでは 通 信 距 離 を 100m 以 上 とした 場 合 でも 実 時 間 DGPS 測 位 は 可 能 であった 今 回 の 実 験 の 目 的 は 通 信 距 離 を 広 げた 時 に 時 間 間 隔 を 変 えることで 稼 働 時 間 の 変 化 や 再 現 性 があるか 確 認 することである また 距 離 は 幾 何 学 的 距 離 で 考 えるとする 表 4-3 に 屋 外 での 実 験 設 備 を 示 す 移 動 局 では 台 車 の 上 に 測 位 用 PC と GPS 受 信 機 と 1V のカーバッテリーを 乗 せた また 台 車 と 機 器 の 間 に 毛 布 を 敷 いて 移 動 したときの 機 器 に 与 える 振 動 を 和 らげるよう 配 慮 した 図 4-4 に 実 験 場 所 を 示 す 研 究 室 とは 第 4 実 験 棟 の 5 階 にある 情 報 通 信 工 学 研 究 室 を 指 す 大 学 院 棟 前 とは 研 究 室 と 3 号 館 とポンドの 外 壁 によって 囲 まれた 場 所 を 指 す 表 4-3 実 験 設 備 項 目 基 準 局 移 動 局 位 置 研 究 室 の 屋 上 ポンド 大 学 院 棟 前 アンテナ NOVATEL の GPS-70 同 左 受 信 機 NOVATEL の OEM3 同 左 測 位 用 PC なし ノート PC シリアル 無 線 LAN コンバータ α-poject 社 製 の EZL-300W なし 無 線 LAN カードアダプタ I-ODATA 社 製 の WN-B11/PCMH 同 左 移 動 方 法 なし 台 車 を 使 用 図 4-4 実 験 場 所 4

28 4 1 通 信 範 囲 を 広 げて 実 時 間 DGPS 測 位 実 験 通 信 範 囲 を 広 げて 実 時 間 DGPS 測 位 実 験 を 行 い 静 止 測 位 と 移 動 体 の 場 合 で 実 験 した は じめに 移 動 局 測 位 用 PCと 基 準 局 無 線 LAN コンバータ 間 の 距 離 を 0mとした 場 合 静 止 で 連 続 DGPS 測 位 実 験 を 行 った ここでは 基 準 局 のアンテナを 研 究 室 の 屋 上 に 設 置 し 移 動 局 のアンテナを 大 学 院 棟 前 に 置 いた 通 信 距 離 を 広 げても 前 システムの 稼 働 時 間 より 約 3 倍 70 分 以 上 長 く 稼 動 することを 確 認 した さらに 通 信 範 囲 を 広 げた 時 移 動 体 で 連 続 DGPS 測 位 の 再 現 性 を 確 認 した 平 成 18 年 1 月 17 日 に 学 内 のポンドと 大 学 院 棟 前 で DGPS 測 位 実 験 を 行 った 1 ポンドでの 実 験 基 準 局 のアンテナ 位 置 は 第 四 実 験 棟 の 屋 上 に 設 置 し ポンド 内 で 台 車 移 動 体 を 移 動 した 通 信 範 囲 は 約 130m であった 図 4-5- a にポンドで 移 動 体 の DGPS 測 位 及 び 単 独 測 位 した 結 果 を 示 す DGPS 測 位 結 果 は 赤 旗 で 表 し 単 独 測 位 結 果 は 黄 旗 で 表 した 図 4-5- a DGPS 測 位 赤 と 単 独 測 位 黄 色 結 果 5

29 図 4-5- b は 図 4-5- a をグラフで 表 したものである 緯 度 m DGPS 単 独 測 位 基 準 局 のアン テナ 位 置 経 度 m -10 図 4-5- b DGPS 測 位 と 単 独 測 位 結 果 座 標 表 示 図 4-5- a と 図 4-5- b から ポンドで 連 続 DGPS 測 位 の 再 現 性 を 確 認 できた 大 学 院 棟 前 での 実 験 基 準 局 のアンテナ 位 置 は 第 四 実 験 棟 の 屋 上 に 設 置 し 大 学 院 棟 前 で 台 車 移 動 体 を 移 動 し た 通 信 範 囲 は 約 0m であった 図 に 台 車 を 移 動 した 軌 跡 を 示 す 図 4-6- と 図 に 大 学 院 棟 前 で DGPS 測 位 した 結 果 と 単 独 測 位 した 結 果 を 示 す DGPS 測 位 結 果 は 赤 旗 で 表 し 単 独 測 位 結 果 は 黄 旗 で 表 した 図 移 動 軌 跡 6

30 図 4-6- DGPS 測 位 結 果 図 単 独 測 位 結 果 図 4-6- と 図 を 比 較 すると 明 らかに 図 の 移 動 軌 跡 に 対 し 黄 旗 単 独 測 位 は 分 散 しているが 赤 旗 DGPS 測 位 は 移 動 軌 跡 に 収 束 することを 確 認 できた 7

31 図 は 図 4-6- と 図 をグラフで 表 したものである 緯 度 m 0 10 DGPS 単 独 測 位 0-10 基 準 局 のア ンテナ 位 置 経 度 m 図 DGPS 測 位 と 単 独 測 位 結 果 の 一 部 座 標 表 示 図 4-6- 図 図 から 大 学 院 棟 前 で 連 続 DGPS 測 位 の 再 現 性 を 確 認 できた 図 に 大 学 院 棟 前 の 測 位 実 験 における 単 独 測 位 結 果 のデータの 飛 びを 示 す データの 飛 びとは 何 らかの 原 因 で 測 位 した 場 所 からかけ 離 れた 場 所 に 測 位 点 が 求 められる 現 象 である 緯 度 m 経 度 m 単 独 測 位 図 単 独 測 位 結 果 全 体 図 図 の 原 点 付 近 に 図 の 単 独 測 位 の 分 布 があると 考 えてよい しかし 図 で 緯 度 経 度 が 数 千 m である 測 位 点 がいくつか 存 在 しているのがわかる 今 回 DGPS 測 位 では データの 飛 びをほとんど 存 在 しなかったが 本 システムを 改 善 する 必 要 はある 8

32 4 無 線 LAN の 受 信 状 況 を 調 査 受 信 状 況 は Wdows XP にある シグナルの 強 さ を 用 いて 以 下 に 定 性 的 に 評 価 した 表 4-4 に 受 信 状 況 の 評 価 方 法 を 示 す 表 4-5 に 受 信 状 況 の 結 果 を 示 す 表 4-4 受 信 状 況 の 数 値 化 受 信 状 況 のレベル 非 常 に 強 い 5 強 い 4 普 通 3 弱 い 非 常 に 弱 い 1 シグナルなし 0 表 4-5 無 線 LAN の 受 信 状 況 基 準 局 移 動 局 受 信 状 況 研 究 室 大 学 院 棟 前 0m 研 究 室 ポンド130m 0 もしくは 1 大 教 室 ベランダ 大 教 室 前 0m 受 信 状 況 が 0 のときは 必 ず 測 位 不 能 になった 今 回 使 用 した 無 線 LAN の 規 格 は IEEE80.11b である 表 3-1 の 無 線 LAN の 規 格 表 から IEEE80.11b の 伝 送 距 離 は 50m から 180m である IEEE80.11 の 規 格 では 通 信 範 囲 が 広 がるにつれて 受 信 状 況 が 著 し く 悪 くなることがわかっている 受 信 状 況 が 悪 いと 現 システムでは 測 位 不 能 になると 考 えるが 伝 送 距 離 と 受 信 状 況 の 関 係 があるかどうかさらなる 定 量 的 な 検 討 をする 必 要 がある 9

33 4 3 実 験 での 問 題 点 図 からわかるとおり データの 飛 びが 測 位 結 果 全 体 で 見 ると 複 数 存 在 している この システムを 他 に 応 用 するには データの 飛 びをなくさなければならない また 無 線 LAN コ ンバータからデータを 測 位 用 PC に 転 送 する 際 に 受 信 状 況 によっては 測 位 に 悪 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 が 挙 げられる 4 4 問 題 点 の 考 察 と 今 後 の 方 針 データの 飛 びの 原 因 は 解 明 していないが プログラムの 記 述 で 条 件 式 を 入 れて 異 常 な 値 を 取 り 除 くコードを 書 くことで 解 決 する また 受 信 状 況 が 本 システムの DGPS 測 位 に 悪 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 について 伝 送 距 離 と 受 信 状 況 の 関 係 があるかどうかさらなる 定 量 的 な 検 討 をす る 必 要 がある その 結 果 伝 送 距 離 と 受 信 状 況 に 関 係 がある 場 合 無 線 LAN の 受 信 状 況 が 悪 いときデータが 正 しく 送 られているか 調 べる 必 要 がある 例 えば 本 プログラムで 様 々なデー タでたらめなデータや 空 データを 送 りプログラムが 稼 動 するか 検 証 し プログラムを 改 良 することを 考 えている 30

34 第 5 章 結 論 5 1 まとめ 第 4 章 から 研 究 室 内 で 無 線 LAN を 用 いたリアルタイム DGPS 測 位 の 連 続 稼 働 時 間 を 前 システムで 5 分 間 のところを 16 時 間 以 上 にすることができた また 測 位 用 PC 移 動 局 と 無 線 LAN コンバータ 基 準 局 の 距 離 が 130m 以 上 ある 場 合 でも 連 続 で DGPS 測 位 の 再 現 性 を 確 認 できた しかし 無 線 LAN の 受 信 状 況 が 測 位 プログラムに 悪 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 が あり 実 験 環 境 によっては 長 時 間 稼 働 するのは 難 しいということが 判 明 した 問 題 点 は 受 信 状 況 が 悪 いとき 本 プログラムでは 測 位 計 算 が 停 止 してしまう 危 険 性 があると いう 点 である 受 信 状 況 が 本 システムの DGPS 測 位 に 悪 影 響 を 及 ぼすという 点 について 伝 送 距 離 と 受 信 状 況 の 関 係 があるかどうかさらなる 定 量 的 な 検 討 をする 必 要 がある 伝 送 距 離 と 受 信 状 況 が 関 係 ある 場 合 原 因 を 解 明 しプログラムを 改 良 して 受 信 状 況 の 悪 い 場 所 でも DGPS 測 位 が 可 能 になると 考 える 5 今 後 の 課 題 一 つ 目 は 受 信 状 況 が 悪 いとき 本 測 位 プログラムの 稼 動 時 間 の 関 係 についてさらに 定 量 的 な 議 論 をしなければならない 関 係 がある 場 合 は 通 信 が 切 断 しても 測 位 が 継 続 するシステムに 改 良 することである または 現 在 使 用 している 無 線 LAN よりも 受 信 が 高 感 度 なものを 適 用 することも 考 えている 二 つ 目 は 今 回 できなかった RTK-GPS 測 位 を 実 時 間 で 連 続 測 位 を 可 能 にすることである 31

35 参 考 文 献 1 SAHA KRISHINA KAMAL 東 京 海 洋 大 学 無 線 LAN を 使 用 した DGPS 測 位 の リアルタイム 化 卒 業 論 文 005 年 日 本 航 海 学 会 GPS 研 究 会 精 説 GPS 3 岡 本 伸 也 東 京 商 船 大 学 長 基 線 DGPS 測 位 および 干 渉 測 位 の 測 位 精 度 に 関 する 研 究 修 士 論 文 003 年 4 Bolad C Comple: 5 山 本 信 雄 初 めての MFC プログラミング 翔 泳 社 6 NOVATEL 社 GPSCad Commad Descptos Maal 7 日 本 テクトロニクス 社 無 線 LAN 入 門 セミナ 8 守 倉 正 博 松 江 英 明 IEEE80.11 準 拠 無 線 LAN の 動 向 電 子 情 報 通 信 学 会 論 文 3

36 謝 辞 本 研 究 を 行 うにあたり あらゆる 面 で 多 大 な 御 指 導 と 御 鞭 撻 を 賜 った 安 田 明 生 教 授 に 厚 く 御 礼 申 し 上 げます 本 研 究 に 関 して プログラミングの 基 本 技 術 やさまざまな 問 題 提 起 など 研 究 の 全 ての 段 階 で 有 益 な 御 示 唆 をいただいた 久 保 信 明 助 手 に 心 より 感 謝 申 し 上 げます 本 研 究 の 取 り 組 み 方 やデータ 取 得 及 び 実 験 の 際 有 益 なご 助 言 を 賜 りました 博 士 後 期 過 程 の 吉 田 将 司 さんに 心 から 感 謝 いたします 最 後 に 情 報 通 信 工 学 研 究 室 の 皆 様 に 心 より 感 謝 いたします 33