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1 硕 士 学 位 论 文 论 文 题 目 中 日 色 彩 語 青 に 関 する 対 照 研 究 研 究 生 姓 名 指 导 教 师 姓 名 专 业 名 称 研 究 方 向 论 文 提 交 日 期 戴 永 萍 徐 卫 日 语 日 语 语 言 学 2013 年 5 月

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3 摘 要 本 论 文 主 要 是 通 过 对 中 日 颜 色 词 青 的 对 比 研 究, 阐 明 两 国 颜 色 词 青 的 语 源, 由 青 组 成 的 用 语, 在 历 史 及 现 代 的 青 的 使 用 情 况, 青 各 个 意 思 的 关 联 及 两 国 青 意 思 的 异 同 等 问 题 论 文 序 论 部 分 总 结 分 析 了 到 目 前 为 止, 国 内 外 研 究 学 者 对 于 颜 色 词 的 名 称 性 质 及 颜 色 词 的 文 化 风 俗 史 等 角 度 的 研 究, 确 立 本 研 究 的 内 容 和 目 的 方 法 和 构 成 论 文 正 文 部 分 主 要 由 四 个 方 面 的 内 容 构 成, 各 部 分 的 中 心 内 容 为 : 两 国 颜 色 词 青 在 词 典 中 的 意 思, 青 的 语 源 及 历 史 上 的 使 用, 现 代 文 中 青 的 用 语 其 语 构 成 特 征, 关 于 青 意 思 的 认 知 语 义 学 的 分 析 具 体 而 言, 首 先, 通 过 查 阅 现 有 中 日 两 国 词 典, 对 两 国 青 的 意 思 进 行 总 结 概 括 中 文 颜 色 词 青 的 意 思 主 要 由 草 木 发 芽 的 颜 色 之 意 等 九 种 意 思 构 成 与 此 相 对 的 日 语 中 青 主 要 是 由 晴 朗 天 空 的 颜 色 等 七 种 意 思 构 成 其 次, 通 过 考 察 中 日 两 国 颜 色 词 青 的 语 源 及 历 史 使 用 状 况 可 知, 中 日 两 国 关 于 青 的 语 源 学 说 分 别 各 有 三 种 日 语 中 的 青 的 使 用, 在 中 国 文 化 及 中 文 青 的 意 思 的 影 响 之 下, 其 意 思 也 在 不 断 地 发 生 变 化, 从 原 本 只 是 用 来 形 容 景 色 植 物 等 物 的 颜 色 词, 发 展 成 为 具 有 各 种 意 思 的 词 另 外, 通 过 对 现 代 文 青 的 使 用 状 况 的 考 察, 全 面 地 总 结 了 又 青 构 成 的 单 词, 成 语 并 统 计 了 使 用 数 量 在 此 语 料 的 基 础 上 分 析 了 中 日 两 国 青 的 语 构 成 特 征 最 后, 在 之 前 考 察 研 究 的 基 础 之 上, 全 面 概 括 青 的 意 思, 并 利 用 认 知 语 义 学 原 理 对 其 进 行 分 析 中 文 颜 色 词 青 从 基 本 原 型 义 绿 色 ( 草 木 出 生 的 颜 色 ) 引 申 出 青 色 物 青 草 还 未 熟 的 庄 稼 东 方 的 颜 色 幼 稚 年 轻 等 意 思 而 从 另 外 两 个 基 本 原 型 义 蓝 色 及 黑 色 分 别 引 申 出, 高 官 厚 禄 一 流 及 完 美 清 廉 廉 洁 有 好 感 等 意 思 日 语 颜 色 词 青 的 基 本 原 型 义 蓝 色 绿 色 灰 色 分 别 派 生 出 未 来 的 希 望 高 官 厚 禄 一 流 绿 灯 的 简 称 年 轻 未 成 熟 许 可 没 有 血 色 的 样 子 等 意 思, 每 章 最 后 通 过 图 形 将 分 析 内 容 及 结 论 展 现 关 键 词 : 中 日 色 彩 词 青 语 源 认 知 语 义 学 语 义 扩 张 比 较 i

4 要 旨 本 研 究 は 中 日 色 彩 語 青 に 関 する 対 照 研 究 を 通 じて 両 言 語 における 青 の 語 源 関 連 した 用 語 歴 史 と 現 代 での 使 用 各 意 味 の 関 連 性 および 両 者 の 異 同 を 究 明 することを 目 的 とする 序 論 では 色 彩 の 名 称 色 彩 語 の 性 質 色 彩 語 の 文 化 史 風 俗 史 に 関 する 国 内 外 学 者 の 先 行 研 究 をまとめ 本 研 究 の 内 容 と 目 的 方 法 と 構 成 を 確 立 した 本 論 の 部 分 は 四 つの 章 からなり 両 国 の 青 の 意 味 青 の 語 源 と 歴 史 上 の 使 用 現 代 語 における 青 の 用 語 とその 語 構 成 中 日 の 青 に 関 する 認 知 意 味 論 的 分 析 が それぞれの 中 心 的 内 容 である 具 体 的 には まず 中 日 で 通 用 された 辞 書 を 利 用 して 両 者 の 青 の 意 味 を 調 べた 中 国 語 の 青 は 主 に 草 木 が 芽 生 える 色 などの 九 つの 意 味 に 用 いられ るのに 対 して 日 本 語 の 青 は 主 に 晴 れた 空 の 色 などの 七 つの 意 味 に 用 い られている 次 に 中 日 における 青 の 語 源 と 歴 史 上 の 使 用 状 況 を 考 察 してみた 両 国 の 青 の 語 源 に 関 しては それぞれ 三 つの 説 があるが 中 国 語 の 青 の 影 響 で 日 本 語 の 青 は 景 色 や 植 物 などを 修 飾 する 用 語 から 多 種 の 意 味 を 持 つよう になったのが 明 らかである また 現 代 語 における 青 の 使 用 状 況 を 考 察 して 中 日 青 用 語 の 語 彙 数 慣 用 句 の 数 および 語 構 成 の 類 型 を 明 らかにした 最 後 に 以 上 の 考 察 に 基 づき 両 言 語 における 青 の 意 味 を 概 観 し 認 知 意 味 論 的 分 析 を 行 ってみた 中 国 語 の 青 は 緑 色 ( 草 木 が 芽 生 える 色 ) 藍 色 黒 色 とい う 基 本 義 から それぞれ 青 いもの 青 草 未 熟 な 農 作 物 東 方 の 色 幼 稚 未 熟 若 い 高 位 高 官 一 流 完 璧 清 廉 清 潔 好 感 という 意 味 が 派 生 したのに 対 して 日 本 語 の 青 は 藍 色 ( 晴 れた 空 の 色 ) 緑 色 灰 色 という 基 本 義 か ら それぞれ 将 来 未 完 了 への 希 望 高 位 高 官 最 高 の 域 青 信 号 の 略 若 い 未 熟 許 可 顔 に 血 気 がない 様 子 という 意 味 が 派 生 したと 指 摘 して 各 意 味 の 関 連 と 意 味 拡 張 を 図 に 描 いた キーワード: 中 日 色 彩 語 青 語 源 意 味 論 意 味 拡 張 対 照 ii

5 中 日 色 彩 語 青 に 関 する 対 照 研 究 目 次 第 1 章 序 章 先 行 研 究 本 研 究 の 内 容 と 目 的 本 研 究 の 方 法 と 構 成...4 第 2 章 中 日 における 青 の 意 味 中 国 語 における 青 の 意 味 日 本 語 における 青 の 意 味...11 第 3 章 中 日 における 青 の 語 源 と 歴 史 上 の 使 用 中 国 語 青 の 語 源 とその 歴 史 上 の 使 用 中 国 語 青 の 語 源 に 関 する 説 中 国 語 青 の 歴 史 上 の 使 用 日 本 語 青 の 語 源 とその 歴 史 上 の 使 用 日 本 語 青 の 語 源 に 関 する 説 日 本 語 青 の 歴 史 上 の 使 用...28 第 4 章 現 代 中 日 における 青 の 用 語 とその 語 構 成 中 国 における 青 の 用 語 と 語 構 成 現 代 中 国 語 における 青 の 用 語 中 国 語 の 青 の 構 成 日 本 における 青 の 用 語 と 語 構 成 現 代 日 本 語 における 青 の 用 語 日 本 語 青 の 用 語 の 構 成...39 第 5 章 中 日 における 青 の 認 知 意 味 論 的 分 析 中 国 語 における 青 の 意 味 分 析 中 国 語 青 の 意 味 概 要 中 国 語 青 の 各 意 味 の 関 連 中 国 語 青 の 意 味 拡 張...54

6 5.2 日 本 語 における 青 の 意 味 分 析 日 本 語 青 の 意 味 概 要 日 本 語 青 の 各 意 味 の 関 連 日 本 語 青 の 意 味 拡 張 中 日 における 青 の 意 味 上 の 異 同 中 日 青 の 意 味 上 の 共 通 点 中 日 青 の 意 味 上 の 相 違 点...66 第 6 章 終 章 まとめ 今 後 の 課 題...71 参 考 文 献...72 謝 辞...75 IV

7 第 1 章 序 章 色 彩 は 我 々の 日 常 生 活 と 深 いかかわりを 持 っており 人 間 にとって 非 常 に 重 要 な 存 在 である 色 彩 にまったく 無 関 心 な 民 族 はないともいえよう 世 界 のあ らゆる 言 語 には 色 彩 語 がある 色 彩 語 とは 言 うまでもなく 色 彩 を 表 現 す るための 語 であるが 色 彩 語 は 社 会 の 発 展 につれて 豊 富 になってくるのがそ の 特 徴 であろう 色 彩 語 の 意 味 を 検 討 することによって それらに 現 れている その 国 の 文 化 や 生 活 風 習 などを 覗 くことができると 思 われる 従 って 色 彩 語 の 研 究 は 言 語 学 の 分 野 において 非 常 に 有 意 義 なことだと 認 められている 中 国 語 にも 日 本 語 にも 青 という 色 彩 語 があるが 両 国 は それぞれ 青 をどのよう 使 用 しているのか 両 者 の 使 用 がどのような 異 同 があるのか お 互 いに 関 連 性 と 区 別 が 何 かといった 問 題 をめぐって 本 研 究 では 対 照 的 に 検 討 していきたい 1.1 先 行 研 究 色 彩 語 についての 研 究 は 国 内 外 ではたくさんある 古 くからさまざまの 分 野 で さまざまな 方 法 で 色 彩 語 を 考 察 する 著 作 や 論 文 などが 多 いである ( 一 ) 色 彩 の 名 称 に 関 する 研 究 1969 年 ドイツの Berlin&Kay 1 は 基 本 色 彩 語 の 認 定 基 準 に 従 って 白 黒 赤 緑 黄 青 茶 紫 ピンク 橙 灰 色 という 十 一 色 を 基 本 色 彩 語 と 定 め た 日 本 では 佐 竹 昭 広 2 (1995)の 古 代 日 本 語 に 於 ける 色 名 の 性 格 では 認 識 人 類 学 の 視 点 から 基 礎 色 彩 語 彙 弁 別 の 基 準 を 明 確 に 示 す この 論 文 では 日 本 語 において 色 名 に 用 いられているものを 一 つずつ 検 討 し 赤 青 白 黒 をもっとも 基 本 的 な 色 名 と 仮 定 している 次 には この 四 語 についてさらに 文 例 などを 対 照 検 討 した 後 赤 は 明 黒 は 暗 白 は 顕 青 は 漠 と 言 う 意 味 連 関 が 存 在 することを 証 明 し あるのは 赤 黒 白 青 という 色 彩 なのではなく 1 バーリンとケイ 基 本 的 な 色 彩 範 疇 :その 普 遍 性 と 発 展 史 2 佐 竹 昭 広 古 代 日 本 語 に 於 ける 色 名 の 性 格 p

8 明 (アカ)- 暗 (クロ) 顕 (シロ)- 漠 (アヲ)という 光 の 二 系 列 であるに 過 ぎない という 結 論 を 出 している すなわち 明 ー 暗 は 明 度 であり 顕 ー 漠 は 純 度 に 対 応 している と 述 べている そして 長 野 泰 彦 3 (1996)の 色 彩 名 称 に 関 する 諸 問 題 によって 色 彩 はアリストテレスに 始 まる 色 を 記 述 する 野 に 不 可 欠 の 三 要 素 色 素 明 度 純 度 は 概 念 的 である 色 彩 の 言 葉 を 手 がかりとして 語 彙 論 の 立 場 から 見 た 色 彩 語 彙 分 析 理 論 の 概 要 や 問 題 点 など を 示 し バーリとケイの 仮 説 を 分 析 していることを 通 じて 普 通 性 を 求 める あまり 個 別 言 語 の 特 徴 を 無 視 したり 切 捨 てを 行 うことは 普 通 論 構 築 にと って 決 してプラスにはならない と 結 論 している ( 二 ) 色 彩 語 の 性 質 に 関 する 研 究 日 本 の 学 者 鈴 木 孝 夫 4 (1972)の 色 彩 語 の 意 味 分 析 に 関 する 一 考 察 によ ると 色 彩 を 表 す 形 容 詞 および 色 を 表 す 名 詞 に の がつく 形 を 含 めた 色 彩 用 語 はどのように 使 うかについて 色 彩 を 使 うコンテクストや 使 用 目 的 や 色 の 性 質 などによって 色 彩 語 の 使 用 も 異 なると 言 われている また 構 造 的 な 意 味 分 析 をめぐって 日 本 語 の 赤 い あおい などの 形 容 詞 が 他 の 語 の 見 られな い 構 造 を 持 っていることをよく 分 析 している 吴 玉 璋 5 (1988)は 从 历 时 及 共 时 的 角 度 看 颜 色 词 的 模 糊 性 という 論 文 で 通 時 と 共 時 の 角 度 から 色 彩 語 の 曖 昧 さを 分 析 した 通 時 の 角 度 から 見 れば 色 彩 語 の 語 源 は 国 によって 異 なっている もともと 色 彩 語 がその 色 を 持 っているものからなっていた 同 じものはいくつかの 色 彩 語 を 代 表 することもある たとえば 中 国 の 緑 蒼 藍 は 全 部 青 草 からなっていた 共 時 の 角 度 から 見 れば 同 じ 言 語 で 同 じ 色 彩 語 は 二 つあるいは 二 つ 以 上 の 色 を 表 す たとえば 青 藍 緑 黒 三 つの 色 を 表 している 陈 家 旭 秦 蕾 6 (2003) 汉 语 基 本 颜 色 的 范 畴 化 及 隐 喻 化 认 知 では 基 本 的 な 色 彩 語 は 範 疇 化 と 隠 喩 化 によって 認 知 化 されていると 考 えられ ている 色 を 物 で 表 すことから 抽 象 化 および 記 号 化 隠 喩 化 までの 過 程 であ る 3 長 野 泰 彦 色 彩 名 称 に 関 する 諸 問 題.p 鈴 木 孝 夫 色 彩 語 の 意 味 分 析 に 関 する 一 考 察.p 吴 玉 璋 从 历 时 及 共 时 的 角 度 看 颜 色 词 的 模 糊 性.p 陈 家 旭 秦 蕾 汉 语 基 本 颜 色 的 范 畴 化 及 隐 喻 化 认 知.p

9 また 中 日 対 照 的 な 研 究 も 中 国 の 程 放 明 劉 旭 宝 7 (2003)の 颜 色 词 及 色 彩 意 识 的 中 日 差 异 李 慶 祥 8 (2005)の 中 日 颜 色 词 语 及 其 文 化 象 征 意 义 それぞれ 色 彩 語 の 性 質 について 中 日 の 異 同 を 分 析 した 中 日 色 彩 意 識 の 比 較 色 彩 語 と 文 化 の 関 係 及 び 色 彩 語 の 特 徴 を 述 べた ( 三 ) 色 彩 語 の 文 化 史 と 風 俗 史 からの 考 察 伊 原 昭 9 (1988)の 日 本 文 学 と 色 彩 語 によって 上 代 より 中 古 までを 中 心 に これらの 時 代 の 文 献 と 作 品 に 見 られた 色 彩 用 語 について 述 べている 自 然 の 風 物 の 名 称 をそのまま 色 の 名 とするものが 圧 倒 的 に 多 く 日 本 の 文 学 の 世 界 においては 色 は 単 なる 色 であるにとどまらず 作 品 における 人 物 とともに いき そして さまざまな 意 義 を 持 ち 大 きな 役 割 を 果 たしていると 述 べた 小 林 忠 雄 10 (1993)は 色 彩 のフォークロア 都 市 の 中 の 基 層 感 覚 では 日 本 人 と 色 彩 の 関 係 がどうなっているのかについて 歴 史 的 な 経 緯 を 含 めて 考 察 している 地 方 の 風 俗 の 例 を 挙 げて そこで 使 われてきた 事 物 に 与 えられた 色 彩 を 記 述 している 中 には 中 国 からの 影 響 を 示 唆 するものもある たとえ ば 加 賀 の 特 産 である 陶 器 は 中 国 の 明 末 の 陶 器 の 輸 入 などの 影 響 を 受 けて 五 彩 色 の 色 絵 を 持 っている また 日 本 の 沖 縄 の 八 重 島 諸 島 におけるアカマタ クロマタにおける 色 彩 シンボリズムは 中 国 江 南 地 方 の 色 彩 認 識 に 共 通 点 が 見 られる これまでの 研 究 を 見 れば 以 下 のように 指 摘 したい 一 つ 目 は 色 彩 語 の 名 前 色 彩 語 の 性 質 特 徴 などの 視 点 からの 著 作 が 多 いが 色 彩 の 語 源 語 構 成 意 味 論 的 な 分 析 から 論 じたものが 少 ない 二 つ 目 は 色 彩 語 を 研 究 するとき 色 彩 語 の 名 称 性 質 などに 関 する 総 合 的 な 研 究 に 比 べれば 単 一 色 彩 語 に 関 す る 具 体 的 な 研 究 が 少 ない 三 つ 目 は 単 一 色 彩 語 に 関 する 研 究 があっても 赤 紅 黒 白 などの 研 究 が 多 いのに 対 して 青 に 関 する 研 究 が 少 ない 7 8 程 放 明 刘 旭 宝 颜 色 词 及 色 彩 意 识 的 中 日 差 异.p 李 庆 祥 中 日 颜 色 词 语 及 文 化 象 征 意 义.p 伊 原 昭 日 本 文 学 と 色 彩 語.p 小 林 忠 雄 色 彩 のフォークロア 都 市 の 中 の 基 層 感 覚.p34 3

10 1.2 本 研 究 の 内 容 と 目 的 中 国 と 日 本 は 両 国 とも 青 を 基 本 色 彩 語 として 使 っているが その 青 はそれぞれどんな 色 なのか どんな 語 源 なのか 現 代 中 日 でどんな 役 割 を 果 た しているのかといった 疑 問 もないとも 言 えないだろう 本 研 究 では 中 日 両 国 が 共 有 している 色 彩 語 青 を 対 象 として 検 討 していきたいが 具 体 的 には 先 行 研 究 を 踏 まえ 中 日 における 青 の 意 味 青 の 語 源 と 歴 史 上 の 使 用 現 代 中 日 における 青 の 用 語 とその 語 構 成 青 に 対 する 意 味 論 的 分 析 と いう 四 つ 面 から 両 国 の 青 を 考 察 し 両 者 の 異 同 を 究 明 していきたい 日 本 語 の 色 彩 語 は 外 国 語 学 習 者 にとって 難 点 の 一 つであるが 中 国 人 学 習 者 にとっては 同 形 色 彩 語 の 本 国 色 彩 語 とのずれにもっとも 興 味 を 持 っている だろう 両 者 にずれがあるからこそ 誤 用 や 不 明 点 もよく 出 てくるだろう 本 研 究 は 主 に 以 下 ようなのことを 目 的 とする 1 両 国 の 青 の 意 味 と 語 源 を 調 べ 両 者 の 関 連 性 を 考 察 してみたい 2 両 国 の 青 の 歴 史 上 の 使 用 と 現 代 両 国 言 語 での 使 用 状 況 を 考 察 し 青 の 使 用 変 遷 を 究 明 してみたい 3 中 日 における 青 の 意 味 上 の 分 析 を 通 じて 両 国 の 意 味 の 異 同 とその 異 同 が 生 まれる 理 由 を 分 析 してみたい 1.3 本 研 究 の 方 法 と 構 成 本 研 究 は 両 国 の 青 を 分 析 するため 青 から 派 生 した 用 語 および 文 章 に 用 いられている 青 の 用 語 を 考 察 の 対 象 とする 青 の 使 用 歴 史 を 遡 るため 漢 字 の 由 来 や 歴 史 を 記 載 している 中 国 の 説 文 解 字 や 日 本 の 日 本 語 源 大 辞 典 などを 利 用 して 青 の 語 源 を 考 察 する 青 の 用 語 を 収 集 す るため 中 国 語 は 現 代 漢 語 詞 典 辞 海 漢 語 大 字 典 漢 語 大 詞 典 古 代 漢 語 詞 典 を 日 本 語 は 広 辞 苑 新 明 解 国 語 辞 典 現 代 日 漢 大 辞 典 日 本 語 源 大 辞 典 を 利 用 することにする また 用 語 収 集 と 意 味 調 査 のため そ れ 以 外 に 中 国 語 コーパスも 日 本 語 コーパスも 利 用 することにする 前 者 は 北 京 大 学 中 国 言 語 学 研 究 センターが 開 発 した 古 代 と 現 代 の 言 語 資 料 庫 (CCL) 4

11 であるが 後 者 は 青 空 文 庫 の 電 子 版 と 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コーパス である 調 査 考 察 した 上 で 意 味 論 的 な 分 析 を 行 い 青 の 基 本 的 意 味 か ら 各 派 生 意 味 への 意 味 拡 張 を 究 明 して 両 者 の 異 同 を 明 らかにしてみたい 本 研 究 は 六 つの 部 分 からなっている 序 章 では 色 彩 語 を 研 究 した 国 内 外 学 者 の 結 論 と 要 点 をまとめ これまでの 研 究 の 成 果 をまとめた 上 で 本 研 究 の 内 容 と 目 的 方 法 と 構 成 を 述 べる 第 二 章 では 曖 昧 性 という 特 徴 がある 青 の 意 味 を 全 面 的 に 調 べ 中 日 の 辞 書 を 利 用 して 中 日 における 青 の 意 味 を 考 察 する 第 三 章 では 青 を 根 本 的 に 考 察 するため 中 日 における 青 の 語 源 を 探 り 語 源 に 関 する 両 国 の 関 連 性 を 論 じる また 中 日 の 歴 史 文 献 によって 青 の 歴 史 上 の 使 用 状 況 を 考 察 する 第 四 章 では 現 代 中 日 における 青 の 使 用 状 況 を 究 明 するため 青 か ら 派 生 した 現 代 用 語 を 収 集 したうえで 両 国 青 用 語 の 語 構 成 を 分 析 する 第 五 章 では 用 語 の 数 と 形 式 によって 意 味 論 的 分 析 を 行 う 辞 書 に 載 せて ある 意 味 のほか 現 代 に 使 用 されている 意 味 を 加 え 認 知 言 語 学 の 理 論 で そ の 基 本 意 味 から 派 生 意 味 への 意 味 拡 張 を 論 じる 中 日 の 比 較 を 通 じて 両 国 の 青 の 意 味 上 の 異 同 を 究 明 する 第 六 章 では 本 研 究 をまとめ 今 後 の 課 題 を 指 摘 する 5

12 第 2 章 中 日 における 青 の 意 味 2.1 中 国 語 における 青 の 意 味 よく 耳 に 来 る 色 彩 語 青 とは 中 国 語 でどんな 意 味 といえば 緑 の 意 味 や 藍 色 などが 周 知 的 であろう 現 代 漢 語 字 典 では 青 について 下 記 のように 説 明 している 会 意 从 生, 从 丹 金 文 字 性 上 面 是 个 生 字, 下 面 是 个 丹 字, 丹 是 井 字 之 变 青 是 汉 字 部 首 之 一 本 义 : 蓝 色 (p1028) すなわち 青 は 会 意 字 で 字 形 が 生 と 丹 からなり 上 部 は 生 その 字 で 下 部 は 丹 その 字 だが 丹 は 井 から 変 遷 してきた 漢 字 の 部 首 の 一 つで 本 義 は 藍 色 という 意 味 であろう 東 漢 許 慎 の 説 文 解 字 によると 青, 东 方 色 也 木 生 火, 从 生 丹, 丹 青 之 信 言 象 然 ( 訳 文 : 青 東 の 色 木 は 火 を 生 じてから 丹 になって 丹 青 に なる )と 書 いてある 王 文 娟 の 五 行 与 五 色 (2005)から 見 れば 古 代 中 国 人 は 世 界 が 木 火 土 金 水 からなって 五 色 は 五 行 と 対 応 していると 信 じるということがわかった 同 じ 説 文 では 木, 冒 也, 冒 地 而 生 と 書 いてある 木 は 草 木 の 萌 えるのと 万 物 の 動 き 始 めるのも 含 んでいる 木 は 東 方 と 配 してある 楚 辞 集 注 によると 青, 东 方 春 位, 其 色 青 也 とある 以 上 の 論 述 によれば 青 は 東 方 色 と 解 釈 できる また 東 漢 刘 熙 の 释 名 释 采 帛 では 青, 生 也 象 物 之 生 色 也 ( 訳 文 : 青 は 生 である 物 が 芽 生 える 色 である )と 述 べている 以 上 の 文 献 は 視 点 と 重 点 の 違 いによって 結 論 も 異 なっているが まとめ てみれば 青 の 意 味 は 少 なくともそれに 対 する 説 明 が 三 つあることがわ かる それは(1) 物 が 芽 生 える 色 という 意 味 (この 意 味 は 青 の 語 源 と 深 い 関 係 を 持 っている) (2) 五 行 五 色 説 からの 東 方 色 という 意 味 (3) 現 代 中 国 語 で 周 知 に 認 められる 藍 色 という 意 味 である 6

13 本 研 究 は 青 の 意 味 を 全 面 的 に 分 析 するため 現 代 漢 語 大 詞 典 (1991) 古 代 漢 語 詞 典 (1998) 辞 源 (1979)および 漢 語 大 字 典 (1992)を 調 べ 辞 書 で 説 明 した 意 味 を 表 1 に 示 す 表 1 中 国 辞 書 における 青 の 意 味 辞 書 名 现 代 汉 语 词 典 古 代 汉 语 词 典 辞 源 意 味 1 绿 色 或 者 蓝 色 2 指 黑 色 3 指 青 草 尚 未 成 熟 的 农 作 物 4 比 喻 年 轻 1 蓝 色 又 深 绿 色 又 青 色 之 物 2 黑 色 3 东 方 的 代 称 4 春 的 代 称 5 古 州 名 1 五 色 之 一 2 泛 指 青 色 之 物 3 黑 色 4 草 木 初 生 青 色 引 申 为 出 生, 少 年 5 地 名 青 州 1 春 季 植 物 叶 子 的 颜 色 2 深 绿 色 3 蓝 色 4 青 色 物 5 黑 汉 语 大 字 典 色 6 年 轻 7 清 静 8 东 方 的 代 称 9 春 的 代 称 10 古 州 名 11 青 海 省 简 称 12 姓 氏 以 上 の 表 を 踏 まえ 中 国 における 青 の 主 な 意 味 は 以 下 のようにまとめ られる (1) 草 木 が 芽 生 える 色 (2) 深 緑 色 (3) 藍 色 (4) 黒 色 (5) 青 色 物 (6) 青 草 未 熟 な 農 作 物 (7) 若 い (8) 東 方 の 代 称 (9) 地 名 姓 氏 中 国 における 色 彩 語 青 の 意 味 は 大 体 以 上 の 9 つであるが その(1) ~(9)の 意 味 に 用 いられた 使 用 例 を 見 てみよう 7

14 11 (1) 草 木 が 芽 生 える 色 という 意 味 の 用 例 青, 生 也 象 物 之 生 色 也 ( 訳 文 : 青 成 長 を 喩 える 色 である ) ( 戦 国 释 名 释 采 帛 ) 青 青 河 畔 草, 郁 郁 园 中 柳 ( 訳 文 : 川 辺 の 草 が 青 くなり 庭 園 の 柳 も 茂 っている ) ( 東 漢 古 诗 十 九 首 之 二 ) 青 秧 发 广 亩, 白 水 涵 孤 城 ( 訳 文 : 稲 が 広 い 面 積 に 芽 生 え 雨 がこの 町 に 放 っている ) ( 宋 苏 轼 雨 ) (2) 深 緑 色 という 意 味 の 用 例 青 谓 之 葱 ( 訳 文 : 青 は 葱 の 色 である ) ( 戦 国 尔 雅 释 器 ) 草 色 入 帘 青 ( 訳 文 : 青 い 草 の 色 は 目 に 入 った ) ( 唐 刘 禹 锡 陋 室 铭 ) (3) 藍 色 という 意 味 の 用 例 夫 至 人 者, 上 观 青 天, 下 潜 黄 泉, 挥 斥 八 级, 神 气 不 变 ( 訳 文 : 世 に 偉 い 人 なら 青 空 を 見 ようとも 地 獄 に 行 こうとも 平 気 で 対 応 できる ) 11 用 例 は 南 京 大 学 電 子 版 の 十 三 経 電 子 版 の 全 唐 詩 全 宋 詞 による 以 外 イ ンタネットの 資 料 である 北 京 大 学 中 国 言 語 学 研 究 センターが 開 発 した 古 代 と 現 代 の 言 語 資 料 庫 (CCL) 日 本 の 青 空 文 庫 及 び 日 本 の 大 学 共 同 利 用 機 関 法 人 人 間 文 化 研 究 機 構 国 立 国 語 研 究 所 と 文 部 科 学 省 科 学 研 究 費 特 定 領 域 研 究 日 本 語 コーパス プロ ジェクトが 共 同 で 開 発 した 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コーパス で 検 索 したものである 訳 文 は 筆 者 が 訳 したものである 8

15 ( 周 庄 子 田 子 方 ) 青 取 之 于 蓝 而 青 于 蓝 ( 訳 文 : 青 は 藍 より 出 でて 藍 より 青 し ) ( 春 秋 戦 国 荀 子 劝 学 ) 俱 怀 逸 兴 壮 思 飞, 欲 上 青 天 揽 明 月 ( 訳 文 : 壮 大 な 志 があるとも 実 現 できず 自 分 の 理 想 を 月 に 託 す) ( 唐 李 白 宣 州 谢 楼 饯 别 校 书 叔 云 ) (4) 黒 色 という 意 味 の 用 例 厥 土 青 黎 厥 田 惟 下 上 ( 訳 文 : 黒 い 土 ) ( 春 秋 戦 国 书 禹 贡 ) 高 堂 明 镜 悲 白 发, 朝 如 青 丝 暮 成 雪 ( 訳 文 : 鏡 でみた 両 親 の 髪 の 毛 が 白 くなったのを 悲 しみ 朝 のつやある 黒 い 髪 の 毛 が 夕 暮 れになると 雪 のように 白 くなるや ) ( 唐 李 白 将 进 酒 ) 两 鬓 可 怜 青, 一 夜 相 思 老 ( 訳 文 : 会 いたくてたまらぬ 髪 の 毛 が 一 夜 白 くなった ) ( 宋 王 観 生 查 子 ) (5) 青 色 物 という 意 味 の 用 例 人 生 自 古 谁 无 死, 要 留 丹 心 照 汗 青 ( 訳 文 : 人 間 はいずれ 死 ぬものだが 死 ぬとも 自 分 の 愛 国 心 を 歴 史 に 残 させる ) ( 宋 文 天 祥 过 零 丁 洋 ) 9

16 绿 窗 明 月 在, 青 史 古 人 空 ( 訳 文 : 窓 外 の 緑 と 月 は 昔 のまま 存 在 してい るが 歴 史 に 名 を 残 した 古 人 たちはもう 人 の 頭 に 薄 くなってきた ( 清 曹 雪 芹 紅 楼 夢 ) (6) 青 草 未 熟 な 農 作 物 という 意 味 の 用 例 耕 田 秋 耕, 青 者 为 上 ( 訳 文 : 秋 の 農 作 活 は 青 いものが 一 番 いい ) ( 宋 斉 民 要 術 ) 郎 骑 竹 马 来, 绕 床 弄 青 梅 ( 訳 文 : 幼 馴 染 の 関 係 の 二 人 は 二 人 きりの ことのすごす ) ( 唐 李 白 长 干 行 之 一 ) 在 这 青 黄 不 接 的 时 期, 只 有 三 五 个 老 辈 在 哪 里 支 撑 门 面 ( 訳 文 : 人 材 が 欠 けている 現 代 では 年 取 った 三 五 人 が 仕 事 を 維 持 している ) ( 民 国 胡 适 国 学 季 刊 ) (7) 若 い という 意 味 の 用 例 青 年 粹 质, 终 异 常 人 ( 訳 文 : 青 年 は 純 粋 な 体 質 で 普 通 の 人 と 異 なっ ている ) ( 明 李 昌 祺 剪 灯 余 话 ) 老 了 呀, 老 弟, 要 在 你 这 样 青 枝 绿 叶 的 年 纪, 别 说 五 十 斤 胡 子, 就 是 五 百 五 千, 也 挡 得 住 ( 訳 文 :もう 年 取 った 君 のような 年 だったら 25 キロはと もかく 500 や 5000 でも 問 題 ない ) ( 周 立 波 暴 风 骤 雨 第 一 部 十 九 ) (8) 東 方 の 代 称 という 意 味 の 用 例 五 色, 东 方 谓 之 青 ( 訳 文 : 五 色 では 東 方 は 青 と 言 われる ) 10