A 型インフルエンザ ( 人獣共通感染症 ) Ø 水禽類 ( カモ 白鳥など ) が全ての亜型を保持する自然宿主 H1 - H18 N1 - N11 H17, 18 Fruit bats Aquatic birds Poultry Humans Pigs Horses Aquatic mammals

Size: px
Start display at page:

Download "A 型インフルエンザ ( 人獣共通感染症 ) Ø 水禽類 ( カモ 白鳥など ) が全ての亜型を保持する自然宿主 H1 - H18 N1 - N11 H17, 18 Fruit bats Aquatic birds Poultry Humans Pigs Horses Aquatic mammals"

Transcription

1 鳥インフルエンザA(H7N9)感染症 国立感染所研究所 インフルエンザウイルス研究センター長 田代 眞人

2 A 型インフルエンザ ( 人獣共通感染症 ) Ø 水禽類 ( カモ 白鳥など ) が全ての亜型を保持する自然宿主 H1 - H18 N1 - N11 H17, 18 Fruit bats Aquatic birds Poultry Humans Pigs Horses Aquatic mammals Cats Dogs Influenza Branch

3 渡り鳥の飛翔行路 渡り鳥が鳥インフルエンザウイルスを伝播する ( 南北方向 )

4 鳥からヒト新型インフルエンザウイルスへの経路 (1)突然変異の蓄積 新型ウイルス (3) 遺伝子再集合 (2) 遺伝子再集合 新型ウイルス

5 ヒトでの新型インフルエンザ大流行 鳥インフルエンザウイルス由来の新亜型ウイルスが - 直接 感染 ( ブタ等を介して ) にヒトの世界に侵入し - ヒト ヒト間の伝播力を獲得して流行をおこす 人が新( 亜 ) 型ウイルスに対する免疫を持たない場合には - 全世界を巻き込む大流行となる - 個人的にも防御免疫が無いので重症となる その結果 - 大きな健康被害 ( 患者 重症患者 死亡者 ) がでる - 2 次的に社会活動 社会機能の停滞 破綻が生じる

6 新型インフルエンザは必ず出現する! H2N2 ブタインフルエンザ (H1N1) 鳥インフルエンザ H3N8 H2N2 H1N1 H6 H H3N2 H5 H H1N1pdm H1N Russian Influenza H2N Old HK Influenza H3N Spanish Influenza H1N Asian Influenza H2N Hong Kong Influenza H3N Pandemic H1N1pdm09 新型インフルエンザ大流行

7 世界の航空路と旅客数 高速大量輸送時代においては 地球のどこかで出現した 新しい感染症は 数日以内に世界各地に伝播され 数週間で 世界全体で同時期に大流行を起こしうる 例 2003年 SARS, 2009年 (H1N1)インフルエンザ大流行 Influenza Branch

8 健康被害の推定 ( 世界銀行など 2008) パンデミックの程度 推定致死率推定死亡者数 (%) ( 百万人 ) 軽度 ( 香港かぜ程度 ) 0.1~ 1.4 中程度 ( アジアかぜ程度 ) 重度 ( スペインかぜ程度 ) 特大 (H5N1 を想定 ) 5-15* * 先進国 6.2 (5-10)% 途上国 12.2 (10-15)% 季節性インフルエンザ < 0.1% / 年

9 IHR no8fica8on to WHO by China An Essen8al Trigger for WHO s Response On 31 Mar 2013, China no)fied WHO of 3 cases of human infec)on with influenza A(H7N9) virus as a poten/al Public Health Emergency of Interna/onal Concern (PHEIC) under IHR (2005) 2 from Shanghai and 1 from Anhui All 3 presented with respiratory tract infec)on with progression to severe pneumonia On the same day, China CDC made the entire genome sequences of the three A(H7N9) viruses available in an international database, GISAID.

10 Chest X- ray and CT graphs of A(H7N9) pa8ents Severe pneumonia, ARDS (acute respiratory distress syndrom, and Cytokine storm (dysregulated hyper- reac8on of host defense mechanisms) are noted. Gao R et al. N Engl J Med DOI: /NEJMoa

11 中国における鳥 A(H7N9) インフルエンザ 2013 年 3 月 31 日 中国政府発表 Ø 2 月中旬から 揚子江河口地域で 3 名の重症の鳥インフルエンザ A(H7N9) 患者発生 Ø 3 株の A(H7N9) 鳥インフルエンザウイルスの遺伝子全塩基配列を公表ヒト型に近く パンデミックの可能性が懸念 3~4 月に患者発生の拡大 ( 患者 135 名 死亡 35 名 ) WHO 世界各国がパンデミックに備えて対応 中国が流行地の鳥市場を閉鎖 (4 月 ~6 月 ) 5 月中旬以後 新たな患者はほとんど出ていない 秋 ~ 冬に再出現の可能性

12 鳥インフルエンザ A(H7N9) 確定例流行曲線 10 月 25 日現在 症例数 /10/2013 2/17/2013 2/24/2013 3/3/2013 3/10/2013 3/17/2013 上海市浙江省江蘇省台湾その他 3/24/2013 3/31/2013 4/7/2013 4/14/2013 4/21/2013 4/28/2013 5/5/2013 5/12/2013 5/19/2013 5/26/2013 6/2/2013 6/9/2013 6/16/2013 6/23/2013 6/30/2013 7/7/2013 N=137( 発症日不明 10 例を含む ) 7/14/2013 7/21/ 年 10 月 25 日現在確認患者 137 人死亡患者 45 人 7/28/2013 8/4/2013 8/11/2013 8/18/2013 8/25/2013 9/1/2013 9/8/2013 9/15/2013 発症日 9/22/2013 9/29/ /6/ /13/ /20/2013

13 WHO に報告された A(H7N9) ウイルス感染 確認患者の推移 (2013 年 ) 2013 年 10 月 25 日現在確認患者 137 人死亡患者 45 人

14 WHO に報告された A(H7N9) ウイルス感染 確認患者の推移 (2013 年 ) 2013 年 10 月 25 日現在 確認患者 137 人死亡患者 45 人

15 Gao R et al. N Engl J Med DOI: /NEJMoa 胸部レントゲン写真および CT 画像. 重症肺炎 ARDS ( 急性呼吸促迫症候群 ) サイトカイン ストーム ( 生体防御応答の過剰反応 ) を特徴とする

16 患者 死亡者ともに 中高齢者に多い 患者 死亡者ともに 女性に比べて男性が 2~3 倍多い ( 大都会で顕著だが 地方都市では男女同率 ) 小児感染者は軽症 ~ 不顕性

17 中国における H7N9 と H5N1 感染患者の 年齢分布の比較 H5N1 感染者 死亡者の大半は小児 ~ 若年成人だが N7N9 では高齢者に多い 若年者は軽症に留まる

18 H7N9 疑い患者の専門医療機関への転送 2013 年 4 月上海

19 4 月 12 日北京市第 1 例 7 歳女児早期治療で回復 退院へ 近隣の 4 歳男児 ( 不顕性感染 ) に感染伝播か?

20 H7N9 ウイルス感染の警告ポスター 2013 年 4 月上海

21 病院の発熱外来 2013 年 4 月上海

22 国家中医薬管理局による H7N9 鳥インフルエンザに対する中医薬の宣伝ポスター 2013 年 4 月

23 中国政府は情報公開を進め 連日 WHO 中国事務所代表と共同記者会見を行った 2013 年 4 月 19 日 北京 2013

24 中国では 生きた鳥が市場で売買され 家庭で屠殺 調理される食習慣が強い 上海などでは 高齢の男性が 市場で鳥を買うことが多いという 2013 年上海

25 鳥市場への訪問が感染リスクとされた 上海の鳥市場での家禽の殺処分 2013 年 4 月

26 2013 4

27 2013 年 4 月 一羽の野生鳩からH7N9ウイルスが分離され 公園などで鳩の捕獲が行われた 2013 年 4 月上海

28 H7N9 鳥インフルエンザウイルスのヒト感染 2013 年 2 月 19 日上海市で最初の患者確認 その後 3~4 月をピークとして 揚子江河口域を中心に 16 の省 市に拡大 蘇州から台湾への帰国者が発症 4 月初旬から鳥市場を閉鎖 5 月中旬以後は 新たな患者発生はほとんど報告されていない 確認患者数 135 名 死亡 45 名 ( 致死率 30%) 中高年層が大多数を占める ( 年齢中央値 59 歳 ) 男性 : 女性 =2.7:1 患者の 76% が基礎疾患をもつ 患者の大多数は重症肺炎 多臓器不全 少数の小児 若年者は軽症

29 潜伏期 3~10 日 ( 最近の報告では 3 日前後 ) 初期症状上気道感染症状 ( 発熱 せき ) その後 比較的急激に肺炎症状 ( 喀痰排泄 呼吸困難 ) 下痢 約 50% が ARDS 多臓器不全に進展 ECMO( 体外式膜型酸素交換装置 ) 必要例が多い 致死率 30% ノイラミニダーゼ阻害剤の効果は明確でない ( 投与開始の遅れから 有効例が少ない ) 耐性ウイルスの出現 小児 年少者では不顕性 ~ 軽症

30 中国当局の正式発表 (2013 年 7 月まで ) 患者同士の接触歴無し 家族内感染 院内感染が疑われる例も数例ある しかし 継続的なヒト - ヒトの感染伝播は確認されず 市場での家禽との接触がリスク要因 ( 鳥からの直接の感染の証拠は無く 鳥が感染源か否かは不明 ) しかし 約 30% の患者には鳥との接触歴なし 8 万羽の家禽の調査にもかかわらず 数ヵ所の市場で 40 羽の鳥 ( ニワトリおよびハト ) でウイルス陽性のみ 農場や養鶏場では検出されず 野生のハト 1 羽でウイルス陽性 鳥では不顕性感染 ( 弱毒型ウイルス ) ブタでの感染は確認されず 5 月下旬以後 新規患者の発生なし ( 終息宣言 ) 家禽市場閉鎖の効果 (?) 夏季に向かい鳥インフルエンザ伝播が低下 (?)

31 H7N9 の最新知見と疑問点 高齢者の重症疾患 ( 致死率 30%) との正式報告だが 小児 若年者の多くは軽症 ~ 不顕性感染小児 若年者での推定感染者 >10,000 人 全体での推定致死率 (CFR) 2.8~0.16% 効率は悪いが ヒト - ヒト間の感染伝播がある 抗体保有率は 一般人 :0% 鶏取扱い業者 :6% 鳥よりも哺乳動物でウイルスが伝播維持 (?) 鳥市場の小動物 ( ネズミ ネコ イヌなど ) の間でウイルスが維持され ヒトにも伝播 (?) 高齢者におけるARDSは 免疫病理機構 (?) 過去に感染したH7ウイルスとの交叉性免疫 (?)

32 中国の A(H7N9) に対する WHO の判断 ヒトへの感染リスクは鳥市場への訪問が疑われるが 感染源と感染経路は不明 ウイルスは弱毒性だが 高齢者が高い致死率の重症肺炎を起こすので 適切な早期診断 治療を要する ウイルスはかなりヒト型に変化しているが 未だ継続的なヒト - ヒト間の感染伝播は起きていない 将来パンデミックを起こす可能性は否定できないが 国際衛生上の緊急対応が必要な状況でなない 多くの人が免疫を持たないので パンデミックに備えて 診断方法 新型ワクチンの開発を進めておくべき ウイルスのバイオセフティーレベルは 当面 BSL-3 ウイルスの取り扱いには BSL-3 施設が必要 ワクチン製造には BSL-2 に下げる必要がある

33 中国の鳥インフルエンザ A(H7N9) への 感染研インフルエンザウイルス研究センターの対応 中国 CDC からのウイルス遺伝子の全塩基配列情報を解析ウイルス性状予測 リスク評価 情報共有 (4 月 1 日 ~) 中国 CDC から分与されたウイルスを用いて (4 月 10 日 ~) 1. ウイルス遺伝子診断系 (PCR) 開発 検証 製造 分与 2. 国内診断体制の構築 ( 地衛研 検疫所 ) 3. 市販迅速診断キットの性能検討 4.H7N9 ワクチン製造株の開発 検証 試験 分与 5. ウイルス学的性状の解析抗原性 レセプター特異性 抗ウイルス剤感受性 6 動物モデルにおける病原性 伝播性の検討 7. 抗ウイルス剤の効果予測 8. 日本人における抗体保有状況 9. ワクチン効果の予測 ワクチン株の改良 10. ワクチンによる副作用の予測

34 A(H7N9)ウイルス遺伝子塩基配列情報の解析 WHO監視ネットワークに報告 4月1日 2日 リスク評価への活用 論文発表 EuroSurveillance電子版(4月8日 A/Anhui/1/2013(H7N9)

35 A(H7N9) 鳥インフルエンザウイルスは 3 種類の鳥インフルエンザに由来する遺伝子分節の交雑体である

36 Selected characteristic amino acids of novel H7N9 viruses Viral protein PB2 遺伝子解析からは ヒト型に近づいていることが強く示唆される Amino acid No. Shang hai/ 1/ 2013 Shag hai/ 2/ 2013 Anhui/ 1/ 2013 Hangz hou/ 1/ 2013 A/ Zhejia ng/ DTID- ZJU 01/ 2013 A/ A/ Hangz Hangz hou hou /2/ /3/ Ck/ Shang hai/ S105/ 2013 Enviro nment/ Shang hai/ S108/ 2013 Pigeon / Shangh ai/ S1069/ 2013 Ck/ Jiang su/ K27/ 2013 Ck/ Jiangs u/ K89/ 2013 Ck/ Zhejia ng/ DTID- ZJU01 /2013 Enviro nment / Hangz hou /34/ 2013 Human influenz a viruses Avian influenz a viruses Comments 627 K K K K E K K E E E n.d. n.d. E E K E E627K: Mammalian host adaptation 701 D D D D N D D D D D n.d. n.d. D D D/N D D701N: The same effect as E627K PB1-F2 - full full full full full n.d. n.d. full full full n.d. n.d. full n.d. - - PB1-F2: Pathogenicity HA NA 128/ 138* 151/ 160* 177/ 186* 217/ 226* S A A A A A A A A A A A A A A A** A A A A A A A A A A A A A A K A** G V V V V V V V V V V V V V G G** Q L L I L L L L L L L L Q L I Q** S138A: Increased virus binding to human-type receptors T160A: Loss of N-glycosylation and increased virus binding to humantype receptors G186V: Increased virus binding to human-type receptors Q226L: Increased virus binding to human-type receptors Deletion of amino acids 69-73: Del Del Del Del Del n.d. Del Del Del Del n.d. n.d. Del Del No del No del Increased virulence in mice 289/ 294 /292 K R R R R R R R R R n.d. n.d. R R R R R294K: Reduced susceptibility to oseltamivir and zanamivir 30 D D D D D n.d. n.d. D D D n.d. n.d. D n.d. D/(S) D N30D: Increased virulence in mice (most influenza A viruses encode M1 30D) T215A: Increased virulence in mice 215 A A A A A n.d. n.d. A A A n.d. n.d. A n.d. A A (most avian influenza A viruses encode 215A) M2 31 N N N N N n.d. n.d. N N N n.d. n.d. N n.d. S/N S31N: Reduced susceptibility to S/(N) amantadine and rimantadine P42S: Increased virulence in mice 42 S S S S S n.d. n.d. S S S n.d. n.d. S n.d. S S/A (most avian influenza A viruses encode 42S) NS Del Del Del Del Del n.d. n.d. Del Del Del n.d. n.d. Del n.d. No del No del/ Lack of PDZ domain binding motif: 30 Del Decreased virulence in mice

37 遺伝子解析から予想される A(H7N9) 鳥インフルエンザウイルスの性状 ウイルスは 3 種類の鳥ウイルス由来の遺伝子再集合体 HA と NA はユーラシア系統の 2 つの鳥ウイルス由来 6 内部遺伝子は中国の鳥 H9N2 ウイルス由来 鳥の弱毒型ウイルス H5N1 と異なり HA 解裂部位は単一アルギニン (R) 鳥では不顕性感染 ( 発見は困難 ) 動物でも病原性は低い ヒトに感染し 増殖し易く変化している鳥とヒトの両方のレセプターに結合 (HA Q226L/I) 増殖至適温度が低くなっている (PB2 E627K) ヒトに重症疾患を起こす遺伝子は存在せず中高齢者における重症化の原因は不明

38 G177V (G186V) Q217L/I (Q226L/I) 128S 138S) HA タンパクのレセプター結合部位は 鳥型レセプター α (2-3) に加えて ヒト型レセプター α(2-6) にも結合しやすく変化している

39 鳥インフルエンザ A(H7N9) ウイルスへの検査関連対応 3 月 31 日中国が 3 例の患者のウイルスについて 遺伝子の全塩基配列情報を公開 中国からの分離株到着以前 系統保存および流行予測事業で集められた鳥 ブタインフルエンザウイルス ライブラリーにあった国内分離株から陽性コントロール株を選出 H7( ユーラシア系統 ) の HA 遺伝子検出系のプライマー プローブを設計ライブラリーの充実 系統保存および流行予測事業の拡充が今後の課題 4 月 10 日中国 CDC より A/Anhui/1/2013 ウイルス株が到着 構築した検出系の感度確認 4 月 日国内での検査体制構築にために 地衛研 検疫所用 プライマー プローブ発注 4 月 12 日全国 74 地衛研および 16 検疫所へ 乾燥化した陽性コントロールを感染研から発送 WHO インフルエンザ監視対応ネットワーク (GISRS;Global Influenza Surveillance and Response System) 内で H7 検出系プロトコールの情報提供を行った 4 月 16 日全国 74 地衛研および 16 検疫所へ遺伝子検査用試薬 プライマー プローブが配布完了 ( 各メーカーより直送 ) 地衛研へ 鳥インフルエンザ A(H7N9) ウイルス検出マニュアル ( 第 1 版 ) をメーリングリストにて送付 4 月下旬まで海外 6 カ国の National Influenza Center へ遺伝子検査キットの送付完了 5 月 22 日感染研 HP で 一般向けに遺伝子検査マニュアルの公開ならびに それに関する質問フォームの開設 5 月 23 日国内で販売されている 20 の迅速診断キットへの反応性に関する検討結果を HP で公開 6 月 21 日 鳥インフルエンザ A(H7N9) ウイルス検出マニュアル ( 第 2 版 ) を公開 (RT-LAMP 法追記 ) 7 月 3 日遺伝子検査をより正確に行うためのタグ入り陽性コントロールを作成し 地衛研へ配布

40 鳥インフルエンザ A(H7N9) ウイルスの性状解析 インフルエンザウイルスがヒトからヒトに空気感染するためには上気道で良く増える必要がある ü 中国の H7N9 インフルエンザ患者から分離されたウイルスの遺伝子性状を解析した結果 このウイルスはヒト上気道で良く増えるための変異を獲得していることが分かった IC ウイルス 50 (nm)* タミフルラピアクタリレンザイナビル A/Anhui/1/ A/Shanghai/1/ A/Taiwan/1/ 耐性株コントロール 感受性株コントロール 中国と台湾から入手した H7N9 ウイルスについて 抗インフルエンザ薬に対する感受性を調べた ü 2 株の H7N9 ウイルスがノイラミニダーゼ阻害薬に対して耐性を示すことが分かった 抗体保有率 (%) H7N9 ウイルス 年令群 季節性ウイルス 日本人の H7N9 ウイルスに対する抗体保有状況を調査した ü 全年齢層の日本人は H7N9 ウイルスに対する抗体を全く持っていないことが分かった

41 中国の A(H7N9) ウイルス株のウイルス学的性状に関する季節性ウイルス パンデミックウイルスとの比較解析 細胞レセプターとの結合特性 ( 鳥型 vs. ヒト型 ) 細胞培養における感染 増殖効率と特徴 動物モデル ( マウス フェレット ブタ サル ニワトリ ウズラ ) における感染 増殖 発症 病理 病原性 フェレット間における飛沫伝播 サルにおけるサイトカイン ケモカインの応答 抗インフルエンザ薬の効果 耐性ウイルスの性状解析 WHO 海外研究機関との情報共有リスク評価への活用論文発表 Nature 電子版 (7 月 24 日 )

42 (H5N1) 鳥型レセプターの糖鎖 α(2-3) ヒト型レセプターの糖鎖 α(2-6) (H7N9) (H7N9) (H7N9) (seasonal H1N1)

43 MDCK cells ( イヌ腎細胞 ) NHBE cells ( 分化ヒト気管支上皮 ) H7N9 ウイルスは鳥型ウイルスに比べて ヒト初代気管支上皮細胞でよく増殖する ヒトの上気道の体温においても増殖性が良い ウイルス RNA ポリメラーゼ PB2 の遺伝子変異に一致 (E627K または D701K)

44 H7N9 ウイルスの宿主と伝播経路は? 鳥とヒトからの分離ウイルスが区別されることから に哺乳類 ( ヒトを含む ) の間で伝播維持されているのではないか?

45 ヒト H7N9 ウイルスは 鳥 H7N9 ウイルスよりもマウスに対して病原性が高い A/H1N1pdm09 ウイルスと同程度の病原性 ( ヒト H7N9) ( ヒト H7N9) ( 鳥 H7N9) (H1N1pdm09))

46 ヒト H7N9 ウイルスは ブタの呼吸器 ( 主に上気道 ) でよく増殖する しかし 症状を示さない ( 不顕性感染 )

47 A(H7N9) ウイルスは フェレット間で飛沫感染伝播を起こす (H7N9) (H1N1pdm)

48 サルに対して ヒト H7N9 ウイルスは鳥 H7N9 よりも強い病原性を示す ヒト H7N9 ウイルス 鳥 H7N9 ウイルス

49 サルにおいて ヒト H7N9 ウイルス ( 赤 ) は 鳥 H7N9( 青 ) に比べ より強いサイトカイン ケモカインの応答を誘起する

50 細胞 動物実験における A(H7N9) ウイルスの性状 鳥弱毒型ウイルスだが ヒトの呼吸器 ( 上気道と肺の両方 ) に感染しやすく また増殖しやすい様に変化している マウス フェレット ブタ サルなどの哺乳動物の呼吸器に感染が成立し 鳥型ウイルスよりも病原性は高まっている H5N1 とは異なり ウイルス血症や全身感染は起こさない 軽度のサイトカイン応答を誘起する ヒト - ヒト間では効率の良い感染伝播は起こっていないが 動物実験の結果からは 飛沫感染伝播を起こしうる 今後 効率の良いヒト - ヒト間の感染伝播を起こすように変異する可能性がある ほとんどのヒトは免疫を持たないので パンデミックが起これば大きな流行が予想される その際には 中高年層に大きな健康被害が出る (?)

51 抗ウイルス剤の効果 耐性ウイルス出現 A(H7N9) ウイルスはアマンタジン耐性 ノイラミニダーゼ阻害薬に感受性 しかし 動物実験では 季節性ウイルスに比べて効果は低い 多くの症例では ノイラミニダーゼ阻害剤による治療開始が遅れ ( 平均 9 日後 ) 治療効果は低い A/ 上海 /1 株は ノイラミニダーゼ阻害剤に高度の耐性を示すウイルスと感受性ウイルスの混ざり 薬剤感受性試験を行うと 耐性シグナルは検出されにくく 当初は タミフル感受性と判断された 上海や台湾では タミフル投与中に耐性ウイルスが選択され 治療効果が認められなくなった

52 (H7N9) マウスでの発症抑制効果は ノイラミニダーゼ阻害剤よりも T- 705 が強い (H1N1pdm) Days post- infec8on

53 H7N9 ワクチンの開発 全ての人が H7N9 に対する免疫を欠如 パンデミックになれば ワクチンの大量製造 接種が必要 ワクチン製造株の開発 (2013 年 3 月 31 日から開始 ) 1) 公表された遺伝子塩基配列から HA と NA 遺伝子の cdna を人工合成し A/PR/8 株 cdna と co- transfec8on してワクチン製造株ウイルスを回収 (Novar8s, US- CDC) 2) 中国 CDC から分与されたウイルスから HA と NA 遺伝子をクローニングし A/PR/8 株 cdna と co- transfec8on してワクチン製造株ウイルスを回収 (NIBSC, 感染研 ) 3) 中国 CDC から分与されたウイルスを用いて 発育鶏卵内で古典的な抗増殖性遺伝子再集合体を作製 4) 遺伝子塩基配列から cdna を人工合成し 組み換え HA タンパクを発現 (Protein Science 社, MediCargo 社ら )

54 H7N9 ウイルスワクチン製造種株の作出 A/Anhui/1/2013 株の輸入 ~ ワクチン株開発の開始 リバースジェネティクス法によるワクチン株ウイルスの作製 増殖性が高く 抗原性が維持されている 3 株を選択 候補株 :A/Anhui/1/2013 (NIIDRG- 10.1) A/Anhui/1/2013(H7N9) PR8 株由来蛋白質発現用プラスミド DNA (PA, PB1,PB2, NP) PR8 株 病原性 遺伝的安定性 抗原的安定性を確認し WHO へ報告 WHO のワクチン製造候補株に指定 (7 月 20 日 ) H7N9 ウイルス株由来 RNA 合成用プラスミド DNA (HA, NA) PR8 株由来 RNA 合成用 6 プラスミド DNA (PA, PB1,PB2, NP, M, NS) LLCMK2 細胞 抗原性 塩基配列の確認 国内外のワクチンメーカーへ分与

55 H7N9 ワクチンの問題点 (1) 1) 一般に H7 ウイルスはヒトに対して免疫原性が低い 2003 年オランダでの HPAI H7N7 流行時に 感染患者の半数近くで血清抗体が陽転化しなかった H7N3, H7N7 の不活化 split プレパンデミックワクチンの接種試験で 90 μg x 2 回接種 ( 季節性ワクチンの 12 倍量 ) でも ほとんど抗体上昇は起こらなかった ( 米国 ) 2) ウイルス遺伝子解析で H7N9 ウイルスの HA および NA に T 細胞エピトープがほとんど存在しないことが示された CTL の誘導や Helper T 細胞依存性の抗体応答が悪い可能性がある ワクチン効果が低いことが予想され 接種量の増量や新規ワクチン剤型の開発が必要かもしれない ( 開発や臨床試験に時間がかかる可能性 )

56

57

58 H7N9 ワクチンの問題点 (2) 中国での H7N9 患者の年齢分布 (H5N1 とは対照的 ) Ø 中高齢者が主に感染発症し 重症肺炎 ARDS が多い Ø 小児 若年者の患者は軽症に経過し 予後が良い 作業仮説 : 高齢者は過去に流行したウイルスに対する免疫をもつ これは H7N9 を感染防御出来ず むしろ H7N9 ウイルスと交差反応を起こし 免疫病理機序で病態を悪化させる (CTL, ADCC, Ag- Ab 複合体 + 補体活性化など ) 過去の不活化麻疹ワクチンや RS ワクチン接種後の肺炎 デング出血熱などの病態と同様の免疫病理機序 問題点もしも この様な免疫病理機序が働いているとすると ワクチン接種は病態を悪化させる可能性がある ワクチン接種については 慎重に検討する必要がある

59 日本で認可されているノイラミニダーゼ阻害薬 NAIs Drag Name Administration route Licensed date Zanamivir リレンザ吸入剤 (2 回 / 日 5 日 ) Dec, 2000 Oseltamivir タミフル経口剤 (75 mg x 2/ 日 5 日 ) Feb, 2001 Peramivir ラピアクタ静脈注射 (1 回投与 ) Jan, 2010 Laninamivir イナビル吸入剤 (1 回投与 ) Sept, 2010 Oseltamivir (active form) Peramivir Zanamivir Laninamivir (active form) H 3 C O H 2 N H N H H H 3 C H O O OH CH 3 O H N HN H NH OH NH 2 O OH HO HO H H HN H 3 C H O H OH H O N H CO 2 H NH 2 NH HO H 3 C O H H HN H 3 C H O H OH H O N H CO 2 H NH 2 NH

60 鳥インフルエンザ A(H7N9) のリスク評価リスク (Risk)= 可能性 (Possibility) X 影響 (Impact) H7N9 ウイルスは鳥で不顕性感染なので 感染した鳥の発見は至難 ヒトを含む哺乳類での感染伝播を調査する必要がある 2013 年 5 月下旬以降 中国での患者報告数は減少している 鳥市場の閉鎖による効果なのか? 夏季に向かって鳥インフルエンザの活動低下が理由か その場合には今秋 ~ 冬に再発生する可能性がある ヒトへの感染源 感染経路は不明であり これらへの対策は困難 現時点で連続的なヒトーヒト感染は確認されていないが 数万人の規模で 軽症 ~ 不顕性感染者が存在する可能性 今後も患者が発生し 感染者が中国から入国する可能性がある A(H7N9) ウイルスはノイラミニダーゼ阻害剤に感受性なので 早期診断 早期治療により重症例の減少が期待される ウイルスがヒトへの適応性を高めており パンデミックの可能性は否定できない その際の健康被害は軽度 ~ 中程度だが (H1N1)2009 の 10 倍程度 適時のリスク評価にもとづき パンデミックへの対応強化が必要

61 冬季に向かって A(H7N9) 再出現か? 2013 年 10 月 8 日浙江省紹興県で患者発生 39 歳男重体で入院中鳥との接触歴は不明 2013 年 10 月 16 日浙江省嘉興市で患者発生 67 歳男重体で入院中農家で家禽と接触歴あり周囲に発症者なしリスク評価 : 予想された事態で 現時点では特に変更は無い

62 H5N1 H5N1 強毒型新型インフルエンザ出現の可能性をを忘れてはいけない! 忘れてはいけない! H5N1 強毒型鳥インフルエンザは 新型 H1N1 インフルエンザの影響を受けることなく 独立して流行しており この間にヒトの感染例も増えている H5N1 ウイルスがブタに不顕性感染 ( 中国 インドネシア ) H1N1 と H5N1 の同時期 同地域での流行が起こると ブタやヒトの中でウイルス遺伝子の交雑が起こり ヒト型の H5N1 強毒型ウイルスが出現する危険がある 現在の H5N1 ウイルスは鳥型であるが 1~5 ヵ所の遺伝子突然変異によりヒト型に変化する可能性がある この様な変化が徐々に起こっている WHO は依然パンデミック警報フェイズ 3 を維持

63

64 H5N1 型高病原性鳥インフルエンザウイルス感染患者の病態 重症肺炎全身感染呼吸器感染 + ウイルスが血液中に入り ( ウイルス血症 ) 血流を介して 呼吸器以外の臓器にも感染が拡がる サイトカインの 嵐 多臓器不全ウイルス感染に対抗する宿主応答が異常に強く起こり かえって多くの臓器を傷害してしまう 高致死率の重症疾患小児 若年成人を中心に 致死率は 60% 以上 インフルエンザ とは異なる新しい重症疾患 季節性インフルエンザ = ウイルス感染は上気道呼吸器上皮に限局 症状は 発熱 全身倦怠感 筋肉痛 呼吸器症状 (ILI) 致死率は 0.1% 以下 高齢者等のハイリスク群で重症化

65 野鳥と家禽における H5N1 鳥インフルエンザ流行地域とウイルス系統 (2003 年後半 ~2013 年 8 月 ) Clade 2.2 Clade 2.3 Clade 1 Clade 2.1

66 鳥 H5N1 感染患者発生地域 (2003 年後半 ~2013 年 8 月 )

67 H5N1 human cases reported to WHO 感染患者 死亡者 10 月まで 感染患者 ( 報告数 ) は減少傾向にはない ( 氷山の一角 ) 鳥の H5N1 流行対策 ; 住民への教育 環境整備の効果 監視体制の不備 報告 報道規制 鳥における H5N1 流行は制圧されていない鳥へのワクチン接種 不顕性感染 ウイルスの土着化と持続 新型インフルエンザ出現のリスクは依然として高い

68

69 WHO に報告された高病原性 H5N1 鳥インフルエンザの流行地域 (2013 年 3 月 ~10 月 ) Human cases 31 Deaths 20 Clade Clade 2.2 Clade 1 Clade Clade 2.1.3

70 Annual Genomic Replikin Counts for five strains of influenza virus, Oct 2013

71 致死率 米国における死亡者数 米国のパンデミック準備計画における致死率の推定 (2007) 強毒型ウイルス (H5N1 など ) によるパンデミック スペインかぜ (1918) アジアかぜ (1957) 香港かぜ (1968) H1N1 (2009)

72 新型インフルエンザのリスク比較 H5N1 H9N2 H7N9 H6N1 H2N2 鳥での流行規模 ブタでの流行 人の感染例 人での病原性 ~ レセプター特異性 鳥型 ヒト型 ヒト型 鳥型 ヒト型 ( ヒト型も出現 ) 増殖至適温度 鳥型 鳥型 ヒト型 鳥型 ヒト型 ( ヒト型も出現 ) 新型出現の可能性 ? 健康被害の程度 ~ 社会的影響 コメント ヒトにも強毒性弱毒型 弱毒型 弱毒型 弱毒型 全身感染 ILI 重症肺炎 ILI アジア型 多臓器不全中国アジア多臓器不全 ウイルスの 一旦出現したらの鳥で ( 中高年者 ) 漏出事故 健康被害甚大最も流行 <45 歳免疫なし ワクチン準備 プレパンデミック候補株 ワクチン なし 旧製造株 ワクチンの備蓄あり 開発中

73 日本人には 欧米人に比べてインフルエンザ重症化と関連する遺伝子型 rs12252-c が CC である割合が高い Interferon- induced transmembrane protein- 3 gene8c variant rs C is associated with severe influenza in Chinese individuals. Zhang, Y.- H. et al. Nature Comm. (2013)

74 WHO 新型インフルエンザ時系列分類 (2009 年改定 ) 地理的拡大 ( 大流行期 ) 5-6 主に動物における感染ヒトでは限局した感染伝播 ヒトからヒトへの連続した感染伝播 大流行ピーク後 大流行後 時間経過

75 WHO パンデミック フェイズの連続性 (2013 年改定 ) パンデミックの時系列は 地域によって進行状況が異なり また連続的に経過 移行するので ある時点で画一的にフェイズを区別することは適当ではない 各国が各々のリスク評価に応じて判断すべき ( 無責任 )

76 新型インフルエンザ大流行対策の基本戦略 1. 新型ウイルスの出現阻止鳥における鳥インフルエンザの監視と制圧ブタにおける感染伝播の監視 リスク評価ヒトへの感染防御 ( 教育 宣伝 生活環境改善 ) 2. 新型ウイルスの発生局所での早期封じ込め早期発見 早期報告 ( サーベイランス ) ヒト感染例の監視 ウイルス検出と性状モニター早期封じ込め作戦 ( 移動制限 抗ウイルス剤集中投与 ) 3. 感染拡大の阻止 遅延と健康被害の最小化公衆衛生的介入 ( 検疫 隔離 行動制限など ) 医学的対応 ( ワクチン 抗ウイルス剤 医療提供 ) 4. 社会機能 経済活動の維持社会機能維持に不可欠な職種事業継続計画 (BCP) 5. パンデミック終息後の回復計画

77 侵入を遅らせる ( 国境監視 ) 拡大を遅らせる ( 早期封じ込め ) 感染拡大の抑制 ( 公衆衛生的介入 ) 流行規模の平坦化 ワクチンの早期開発, 生産, 接種 患者数 流行のピークを下げて医療への負荷を減らすプレパンデミックワクチン事前接種 医療対応体制の強化 新型ウイルスの国内侵入 時間経過

78 新型インフルエンザの健康被害対策 医薬品による対策 ワクチン 抗ウイルス薬 医療サービス 検疫強化 医薬品以外による対策 公衆衛生上の対策 個人防御 入国者に対する発熱などのスクリーニング 渡航の自粛 国内への拡大抑制 外出の自粛 学校 職場の閉鎖 集会等の制限 咳エチケット 手洗い マスクの着用 有効と考えられる全ての対策を総動員する必要がある

79 新型インフルエンザ対策の基本認識 世界規模の社会危機管理の問題である ( ウイルスによる全世界無差別テロ ) 単一で有効な防止 対応手段は無い 新型インフルエンザの出現 拡大 健康被害 社会 経済の被害を少しでも減らせる全ての手段 対応を駆使する必要がある 事前準備が不可欠である 緊急対応実施に伴う損害と補償基本的人権の制限経済的損害 最悪のシナリオに対する準備をしておけば 軽度の大流行にも余裕を持って柔軟に対応可能 Ø 事前の法的整備 国民への説明と合意

スライド 1

スライド 1 2013 年 4 月 23 日 : 中国における鳥インフルエンザ A(H7N9) に係る医療関係者研修会 トリ - ヒト感染の 分子メカニズム 京都府立医科大学 医学研究科 感染病態学教室 中屋隆明 (H2) (N2) (H3) H1N1 H2N2 H3N2 インフルエンザのすべて 松本慶蔵編集 / 日本ロッシュを一部改変 インフルエンザウイルスの宿主動物 ( を改変 H4,5,7,9,10 N1,2,4,7

More information

なお本研究は 東京大学 米国ウィスコンシン大学 国立感染症研究所 米国スクリプス研 究所 米国農務省 ニュージーランドオークランド大学 日本中央競馬会が共同で行ったもの です 本研究成果は 日本医療研究開発機構 (AMED) 新興 再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業 文部科学省新学術領

なお本研究は 東京大学 米国ウィスコンシン大学 国立感染症研究所 米国スクリプス研 究所 米国農務省 ニュージーランドオークランド大学 日本中央競馬会が共同で行ったもの です 本研究成果は 日本医療研究開発機構 (AMED) 新興 再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業 文部科学省新学術領 平成 29 年 12 月 22 日 東京大学医科学研究所 ニューヨークのネコで流行した H7N2 インフルエンザウイルスの特性を解明 1. 発表者 : 河岡義裕 ( 東京大学医科学研究所感染 免疫部門ウイルス感染分野教授 ) 2. 発表のポイント : 2016 年 12 月から 2017 年 2 月にかけ 米国ニューヨーク市の動物保護シェルターで 500 匹以 上ものネコが H7N2 ネコインフルエンザウイルス

More information

2003 年後半から 新たな強毒型 H5N1 鳥インフルエンザの流行が東アジアから始まった その後 急速に 東南アジア 中国 韓国 日本 シベリア南部 中東 欧州 北アフリカへと拡大を続けている ウイルスは超強毒性で 家禽 野鳥 ネコ トラ イヌ ネズミなど多くの哺乳動物にも感染して 致死的な全身感

2003 年後半から 新たな強毒型 H5N1 鳥インフルエンザの流行が東アジアから始まった その後 急速に 東南アジア 中国 韓国 日本 シベリア南部 中東 欧州 北アフリカへと拡大を続けている ウイルスは超強毒性で 家禽 野鳥 ネコ トラ イヌ ネズミなど多くの哺乳動物にも感染して 致死的な全身感 有識者会議 ( 第 3 回 ) 田代委員提出資料概要 P1~5 本編 P6~17 新型インフルエンザ事前準備 緊急対応体制の再構築 ( 概要 ) 国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター田代眞人 [ 鳥 ブタ ヒトのインフルエンザ ] [ 新型インフルエンザ大流行 ] 20 世紀に 3 回起ったパンデミックと 21 世紀最初のパンデミック (H1N1)2009 など過去の大流行は すべて弱毒型の鳥やブタのウイルス由来だった

More information

インフルエンザ、鳥インフルエンザと新型インフルエンザの違い

インフルエンザ、鳥インフルエンザと新型インフルエンザの違い カゼの季節に入り 集団カゼやインフルエンザという文字や言葉を見聞きす ることが増えてきました 今回は インフルエンザ と 鳥 や 新型 が 付いたインフルエンザとの違いについて考えてみましょう インフルエンザは インフルエンザ でも 鳥インフルエンザ でも 新型インフルエンザ でも インフルエンザウイルスが原因です そして 3つの違いは 原因となるインフルエンザウイルスの違いによって起こります

More information

鳥インフルエンザから新型インフルエンザ大流行へ

鳥インフルエンザから新型インフルエンザ大流行へ H1 - H16 N1 - N9 Aquatic birds Poultry Humans Pigs Horses Aquatic mammals Cats Dogs Influenza Branch ( ) 1997 H5N1 18 6 H5N1 HPAI 2004 36,169 7 5 210,431-27 Feb. 2004, Chickens 6, 1 12 Jan.2004 Chickens

More information

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に 2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に伴い 肺炎におけるウイルスの重要性が注目されてきました 本日のお話では 成人におけるウイルス性肺炎の疫学と診断の現状

More information

かなりの程度低く抑えられると想定される しかし 現在の地球人口は 74 億人 (4 倍 ) に増加しており 生活様式も大きく変化した 航空機等による高速大量輸送の発展によって 2009 年の H1N1 パンデミックにおいて経験されたように パンデミックは 2 カ月以内に世界中に波及し ほぼ全世界で同

かなりの程度低く抑えられると想定される しかし 現在の地球人口は 74 億人 (4 倍 ) に増加しており 生活様式も大きく変化した 航空機等による高速大量輸送の発展によって 2009 年の H1N1 パンデミックにおいて経験されたように パンデミックは 2 カ月以内に世界中に波及し ほぼ全世界で同 平成 24 年 10 月 16 日第 3 回有識者会議田代委員提出資料 ( 一部修正あり ) 新型インフルエンザ事前準備 緊急対応体制の再構築 プレパンデミックワクチンの意義と必要性 国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長 田代眞人 [ 鳥 ブタ ヒトのインフルエンザ ] A 型インフルエンザウイルスは HA タンパクの抗原性により 16 の亜型が区別される これらはカモなど水棲類の渡り鳥を起源とし

More information

別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに 別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに最新の知見を集約し 変更される可能性がある (3) 届出基準ア患者 ( 確定例 ) 患者 ( 確定例

More information

ルス薬の開発の基盤となる重要な発見です 本研究は 京都府立医科大学 大阪大学 エジプト国 Damanhour 大学 国際医療福祉 大学病院 中部大学と共同研究で行ったものです 2 研究内容 < 研究の背景と経緯 > H5N1 高病原性鳥インフルエンザウイルスは 1996 年頃中国で出現し 現在までに

ルス薬の開発の基盤となる重要な発見です 本研究は 京都府立医科大学 大阪大学 エジプト国 Damanhour 大学 国際医療福祉 大学病院 中部大学と共同研究で行ったものです 2 研究内容 < 研究の背景と経緯 > H5N1 高病原性鳥インフルエンザウイルスは 1996 年頃中国で出現し 現在までに [PRESS RELEASE] 平成 28 年 4 月 27 日 鳥インフルエンザウイルスはヒトで増殖しやすく変化する ~ 鳥インフルエンザウイルスのメカニズム解明に関する論文掲載 ~ 京都府立医科大学医学研究科感染病態学講師渡邊洋平らの研究グループは H5N1 高病原性鳥インフルエンザウイルスが感染患者体内で獲得するウイルス遺伝子変異を網羅的に解析することで ウイルスポリメラーゼ遺伝子の新たな適応変異を同定することに成功し

More information

Research 2 Vol.81, No.12013

Research 2 Vol.81, No.12013 2 5 22 25 4 8 8 9 9 9 10 10 11 12 14 14 15 7 18 16 18 19 20 21 16 17 17 28 19 21 1 Research 2 Vol.81, No.12013 Vol.81, No.12013 3 P r o d u c t s 4 Vol.81, No.12013 Research Vol.81, No.12013 5 6 Vol.81,

More information

蚊を介した感染経路以外にも 性交渉によって男性から女性 男性から男性に感染したと思われる症例も報告されていますが 症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり 性交渉による感染例は全体のうちの一部であると考えられています しかし 回復から 2 ヵ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告

蚊を介した感染経路以外にも 性交渉によって男性から女性 男性から男性に感染したと思われる症例も報告されていますが 症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり 性交渉による感染例は全体のうちの一部であると考えられています しかし 回復から 2 ヵ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告 2016 年 8 月 3 日放送 ジカウイルス感染症 国立国際医療研究センター国際感染症センター忽那賢志ジカ熱とはジカ熱とは フラビウイルス科フラビウイルス属のジカウイルスによって起こる蚊媒介感染症です ジカウイルス感染症 ジカ熱 ジカウイルス病など さまざまな呼び方があります ジカ熱を媒介する蚊は 主にネッタイシマカとヒトスジシマカです ジカ熱は近年 急速に流行地域を拡大しており 2013 年のフランス領ポリネシア

More information

インフルエンザ(成人)

インフルエンザ(成人) ⅩⅠ-2 インフルエンザ 1 概要 インフルエンザは A 型 B 型インフルエンザウイルスによる急性呼吸器疾患である 主に冬季に流行する 典型的なものでは 急激で高度の発熱 頭痛 倦怠感などの全身症状が現れ 同時かやや遅れて鼻汁 咽頭痛 咳などの呼吸器症状が出現する 熱は 38 度以上となり 諸症状とともに次第に緩解し 1 週間ほどで治癒に向かう 2 診断 臨床症状に加え下記の方法で診断する 迅速診断

More information

Slide 1

Slide 1 第 2 回東北感染制御ネットワークフォーラム感染制御ベーシックレクチャー インフルエンザとは 東北大学医学系研究科感染制御 検査診断学分野山田充啓 インフルエンザとはどのような病気か? インフルエンザ とはインフルエンザ ウイルスに感染して起きる感染症である ( インフルエンザ (influenza): イタリア語で意味は 影響 ) 感染症とは 微生物 が ヒト に 侵入 増殖して さまざまな症状を

More information

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性 2018 年 10 月 31 日放送 成人 RS ウイルス感染症 坂総合病院副院長高橋洋はじめに RS ウイルスは小児科領域ではよく知られた重要な病原体ですが 成人例の病像に関しては未だ不明の点も多いのが現状です しかし近年のいくつかの報告を契機として この病原体の成人領域での疫学や臨床像 とくに高齢者における重要性が少しずつ明らかになってきています 今回は成人における RS ウイルス肺炎の病像を当施設の成績を踏まえてお話しさせていただきます

More information

スライド タイトルなし

スライド タイトルなし 日本国外務省講演相談会 鳥インフルエンザ A(H7N9) に関する 講演相談会 インフルエンザ感染症対策のポイントについて 東北大学大学院医学系研究科感染制御 検査診断学分野賀来満夫 平成 25 年 4 月 自己紹介 1. 感染症専門医 感染制御医として 1300 床の東北大学病院にて インフルエンザや肺炎 敗血症などの感染症患者さんの診療 感染症対策: 院内感染の発生を予防 アウトブレイクへの対応

More information

60 秒でわかるプレスリリース 2008 年 2 月 19 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス反応を増強する重要分子 PDC-TREM を発見 - 形質細胞様樹状細胞が Ⅰ 型インターフェロンの産生を増幅する仕組みが明らかに - インフルエンザの猛威が続いています このインフルエンザの元凶であるインフルエンザウイルスは 獲得した免疫力やウイルスに対するワクチンを見透かすよう変異し続けるため 人類はいまだ発病の恐怖から免れることができません

More information

Microsoft Word - 【要旨】_かぜ症候群の原因ウイルス

Microsoft Word - 【要旨】_かぜ症候群の原因ウイルス かぜ症候群の原因ウイルス ~ サフォードウイルスもそのひとつ?~ 新潟県保健環境科学研究所ウイルス科主任研究員広川智香 1 はじめにかぜ症候群とは, 鼻やのど, 気管支や肺に急性の炎症をきたす疾患の総称で, その原因となる病原体は 80~90% がウイルスといわれています 主な原因ウイルスとしてはライノウイルス, コロナウイルス, パラインフルエンザウイルス,RS ウイルス, インフルエンザウイルスなどがあげられます

More information

Microsoft Word - 【最終】リリース様式別紙2_河岡エボラ _2 - ak-1-1-2

Microsoft Word - 【最終】リリース様式別紙2_河岡エボラ _2 - ak-1-1-2 新しいエボラワクチンの開発に成功 ワクチンの有効性をサルで証明 1. 発表者 : 河岡義裕 ( 東京大学医科学研究所感染 免疫部門ウイルス感染分野 教授 ) 2. 発表のポイント : 新しいエボラウイルス ( 注 1) ワクチンを開発し 霊長類において 本ワクチン の有効性を示した 本ワクチンは エボラウイルスの遺伝子の一部を欠損した変異エボラウイルスを 基に作製しているため 安全性が高く ワクチン効果が高い

More information

スライド 1

スライド 1 感染と CRP 感染と CRP メニュー 1.Sepsis 1 診断的 価値 Intensive Care Med 2002 2 重症度 3 治療効果 予後判定 判定 Crit Care 2011 Infection 2008 2.ICU Patients 3.VAP Crit Care 2006 Chest 2003 Crit Care Med 2002 Heart & Lung 2011

More information

検査項目情報 インフルエンザウイルスB 型抗体 [HI] influenza virus type B, viral antibodies 連絡先 : 3764 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10) 5F410 分析物 インフルエン

検査項目情報 インフルエンザウイルスB 型抗体 [HI] influenza virus type B, viral antibodies 連絡先 : 3764 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10) 5F410 分析物 インフルエン influenza virus type B, viral antibodies 連絡先 : 3764 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10) 5F410 分析物 インフルエンザウイルス B 型 6091 5. 免疫学的検査 >> 5F. ウイルス感染症検査 >> 5F410. Ver.11 診療報酬 特掲診療料 >> 検査 >> 検体検査料

More information

< F2D817988C482C682EA94C5817A895E97708E77906A2E6A7464>

< F2D817988C482C682EA94C5817A895E97708E77906A2E6A7464> 平成 21 年 10 月 1 日厚生労働省 医療の確保 検疫 学校 保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針 ( 二訂版 ) 1. 基本的考え方 平成 21 年 6 月 19 日付け厚生労働省 医療の確保 検疫 学校 保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針 ( 改定版 ) について 諸外国の患者発生状況 これまでの我が国の患者発生状況等にかんがみ 以下のように改定する ( 今回の改定の背景

More information

untitled

untitled Influenza A Viruses H1 - H16 N1 - N9 Aquatic birds Poultry Humans Pigs Horses Aquatic mammals Cats Dogs Influenza Branch HA NH 2 S S COOH HA HA NH 2 S S COOH () HA HA1 HA2 H5 PQ -----KETR GL - - - A/ Chicken/

More information

成人の肺炎球菌感染症とワクチン予防

成人の肺炎球菌感染症とワクチン予防 講演 3 新型インフルエンザの診療と対策に関する研修 2018 年 10 月 28 日 鳥インフルエンザ A(H7N9) と A(H5N6) の 疫学状況とリスクアセスメント 大石和徳 ( 国立感染症研究所 ) 講演内容 鳥インフルエンザと新型インフルエンザ 鳥インフルエンザA(H7N9) ウイルス ウイルス学 疫学 / 臨床 ワクチン 鳥インフルエンザA(H5N6) ウイルス 新型インフルエンザの出現

More information

3.2013/14シーズンのインフルエンザアップデート(12/25現在)

3.2013/14シーズンのインフルエンザアップデート(12/25現在) 平成 30 年度新型インフルエンザの診療と対策に関する研修日時 2018 年 10 月 28 日 ( 日 ) 第 II 部講演 5 15:00-15:35 講演 5 近年の季節性インフルエンザの状況 砂川富正 sunatomi@niid.go.jp 国立感染症研究所感染症疫学センター第 2 室長 ( 協力 : 高橋琢理 有馬雄三 大石和徳他 ) 当センターは感染研のコミュニケーション活動 の一環としてサーベイランス情報を中心に感染症の情報を国民へ還元しています

More information

スライド 1

スライド 1 ウエストナイルウイルス 特異的血清検査法 独立行政法人農業 食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 動物疾病対策センター知的基盤管理室 清水眞也 West Nile Virus (WNV) WNV はフラビウイルス科フラビウイルス属に属する エンベロープを有する RNA ウイルスで 野鳥と蚊の間で維持および増幅される WNV 感染症は ヒト 産業動物および野生動物に被害をもたらす 世界的に重要な人獣共通感染症である

More information

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性 2012 年 1 月 4 日放送 抗菌薬の PK-PD 愛知医科大学大学院感染制御学教授三鴨廣繁抗菌薬の PK-PD とは薬物動態を解析することにより抗菌薬の有効性と安全性を評価する考え方は アミノ配糖体系薬などの副作用を回避するための薬物血中濃度モニタリング (TDM) の分野で発達してきました 近年では 耐性菌の増加 コンプロマイズド ホストの増加 新規抗菌薬の開発の停滞などもあり 現存の抗菌薬をいかに科学的に使用するかが重要な課題となっており

More information

<4D F736F F D D28F5782C982A082BD82C182C42E646F63>

<4D F736F F D D28F5782C982A082BD82C182C42E646F63> 新型インフルエンザパンデミック 全国共済農業協同組合連合会経営企画部和野嗣賢 はじめに 2009 年の4 月 メキシコで発生した豚を感染源とする新型インフルエンザは 北米 欧州 アジア オセアニア等へと感染域を拡大し 世界的大流行 ( パンデミック ) となっている わが国では 5 月に感染が確認され大騒ぎとなった後 弱毒性ということから 一時 警戒心が薄れたが 海外では 表 1のとおり すさまじい勢いで感染は拡大していた

More information

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性 2018 年 8 月 29 日放送 東南アジアにおけるインフルエンザの流行 新潟大学大学院国際保健学分野教授齋藤玲子はじめにインフルエンザは寒いときに流行るウイルス感染症です 主な症状は 高い熱が出る 喉がいたい 咳が出るなどの呼吸器症状ですが インフルエンザの場合は だるい 食欲がない 起き上がれない 関節がいたむ などの全身症状がつよいことが特徴です インフルエンザは 子供がかかることが多いですが

More information

(\212T \227v.xls)

(\212T \227v.xls) 別海町新型インフルエンザインフルエンザ等対策行動計画等対策行動計画の概要 Ⅰ 行動計画策定の背景 1. 新型インフルエンザについて 基本的にすべての人が免疫を獲得していないため 世界的な大流行 ( パンデミック ) となり 大きな健康被害と社会的影響をもたらすことが懸念される 2. 新型インフルエンザ等対策特別措置法の制定 新型インフルエンザやこれと同等の危険性のある新感染症が発生した場合には 国家の危機管理として対応していくため

More information

Microsoft Word - ③鈴木先生 完成.doc

Microsoft Word - ③鈴木先生 完成.doc 総合工学第 25 巻 (2013) 21 頁 -26 頁 ヒトヘの感染力の強い高病原性鳥インフルエン ザウイルスの変異シグナル簡易監視材料の開発 と次期パンデミック阻止 -2 * 鈴木康夫 Development of a Device to Survey Human Adaptation of Highly Pathogenic Avian Influenza Viruses and its Application

More information

も 医療関連施設という集団の中での免疫の度合いを高めることを基本的な目標として 書かれています 医療関係者に対するワクチン接種の考え方 この後は 医療関係者に対するワクチン接種の基本的な考え方について ワクチン毎 に分けて述べていこうと思います 1)B 型肝炎ワクチンまず B 型肝炎ワクチンについて

も 医療関連施設という集団の中での免疫の度合いを高めることを基本的な目標として 書かれています 医療関係者に対するワクチン接種の考え方 この後は 医療関係者に対するワクチン接種の基本的な考え方について ワクチン毎 に分けて述べていこうと思います 1)B 型肝炎ワクチンまず B 型肝炎ワクチンについて 2015 年 2 月 16 日放送 院内感染対策としての予防接種 慶應義塾大学感染症学教授岩田敏はじめに ワクチンで防ぐことのできる疾病(Vaccine Preventable Disease; VPD) はワクチンの接種により予防する ということは 感染制御の基本です 医療関係者においても 感染症をうつさない うつされないために VPD に対して 免疫を持つ必要がある という考えのもと B 型肝炎

More information

症候性サーベイランス実施 手順書 インフルエンザ様症候性サーベイランス 編 平成 28 年 5 月 26 日 群馬県感染症対策連絡協議会 ICN 分科会サーベイランスチーム作成

症候性サーベイランス実施 手順書 インフルエンザ様症候性サーベイランス 編 平成 28 年 5 月 26 日 群馬県感染症対策連絡協議会 ICN 分科会サーベイランスチーム作成 症候性サーベイランス実施 手順書 インフルエンザ様症候性サーベイランス 編 平成 28 年 5 月 26 日 群馬県感染症対策連絡協議会 ICN 分科会サーベイランスチーム作成 目次 1. はじめに 2. インフルエンザ様症候性サーベイランスについて 1) 目的 2) 対象施設 3. サーベイランスの進め方 1) 開始の決定 2) 対象者 実施場所の選定 3) データの収集 4) データの集計 分析

More information

Microsoft PowerPoint - 資料6-1_高橋委員(公開用修正).pptx

Microsoft PowerPoint - 資料6-1_高橋委員(公開用修正).pptx 第 1 回遺伝子治療等臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会 平成 29 年 4 月 12 日 ( 水 ) 資料 6-1 ゲノム編集技術の概要と問題点 筑波大学生命科学動物資源センター筑波大学医学医療系解剖学発生学研究室 WPI-IIIS 筑波大学国際睡眠医科学研究機構筑波大学生命領域学際研究 (TARA) センター 高橋智 ゲノム編集技術の概要と問題点 ゲノム編集とは? なぜゲノム編集は遺伝子改変に有効?

More information

<4D F736F F D20926E C5E B8FC797E192E88B CC8DC489FC92E88E9696B D2E646F63>

<4D F736F F D20926E C5E B8FC797E192E88B CC8DC489FC92E88E9696B D2E646F63> 都道府県医師会感染症危機管理担当理事殿 ( 地 Ⅲ53F) 平成 21 年 5 月 25 日 日本医師会感染症危機管理対策室長飯沼雅朗 新型インフルエンザに係る症例定義及び届出様式の再改定に係る事務連絡の送信について 標記の件につきましては 5 月 22 日付 ( 地 Ⅲ50F) をもってご連絡申し上げたところですが 本件に関連して 厚生労働省健康局結核感染症課から各都道府県 政令市 特別区の新型インフルエンザ担当部局に対し

More information

論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析 論文題目 腸管分化に関わる microrna の探索とその発現制御解析 氏名日野公洋 1. 序論 microrna(mirna) とは細胞内在性の 21 塩基程度の機能性 RNA のことであり 部分的相補的な塩基認識を介して標的 RNA の翻訳抑制や不安定化を引き起こすことが知られている mirna は細胞分化や増殖 ガン化やアポトーシスなどに関与していることが報告されており これら以外にも様々な細胞諸現象に関与していると考えられている

More information

Untitled

Untitled 上原記念生命科学財団研究報告集, 23(2009) 149. サルエイズウイルスのヒトへの感染伝播を規定する宿主制御因子の解明 武内寛明 Key words: エイズウイルス, 異種間感染, 感染症, 人畜共通感染症, 新興感染症 東京大学医科学研究所感染症国際研究センター微生物学分野 緒言ヒト後天性免疫不全症候群 ( ヒトエイズ ) は, ヒト免疫不全ウイルス (HIV) によって引き起こされる慢性持続感染症である.

More information

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital 6459 8. その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May. 2017 EGFR 遺伝子変異検査 ( 院内測定 ) c-erbb/egfr [tissues] 基本情報 8C051 c-erbb/egfr JLAC10 診療報酬 分析物 識別材料測定法

More information

インフルエンザ定点以外の医療機関用 ( 別記様式 1) インフルエンザに伴う異常な行動に関する調査のお願い インフルエンザ定点以外の医療機関用 インフルエンザ様疾患罹患時及び抗インフルエンザ薬使用時に見られた異常な行動が 医学的にも社会的にも問題になっており 2007 年より調査をお願いしております

インフルエンザ定点以外の医療機関用 ( 別記様式 1) インフルエンザに伴う異常な行動に関する調査のお願い インフルエンザ定点以外の医療機関用 インフルエンザ様疾患罹患時及び抗インフルエンザ薬使用時に見られた異常な行動が 医学的にも社会的にも問題になっており 2007 年より調査をお願いしております ( 別記様式 1) インフルエンザに伴う異常な行動に関する調査のお願い インフルエンザ様疾患罹患時及び抗インフルエンザ薬使用時に見られた異常な行動が 医学的にも社会的にも問題になっており 2007 年より調査をお願いしております 厚生労働省では 引き続き その背景に関する実態把握をいたしたく 川崎市健康安全研究所により研究を行うこととしておりますので 以下のとおり 当該研究にかかる調査へのご協力をお願いします

More information

DVDを見た後で、次の問いに答えてください

DVDを見た後で、次の問いに答えてください ( 実験責任者 実験従事者兼用 ) 理解度テスト問題 動画を視聴した後に この問題を見ながら設問に答えてください ( 二択もしくは複数選択問題です 正しいものを全て選んでください ) 問題 1 HIV-1 の病原性に関与しない rev 遺伝子を pcdna3.1 と pet28a プラスミド ( 図 1 参照 ) に挿入し COS 細胞および大腸菌で発現させる実験を計画した Step 1. Step

More information

<4D F736F F F696E74202D B AB490F591CE8DF482AD947A957A8E9197BF816A2E >

<4D F736F F F696E74202D B AB490F591CE8DF482AD947A957A8E9197BF816A2E > インフルエンザが流行しています インフルエンザの感染防止対策 2015 年 1 月 26 日感染管理認定看護師門田悦子 感染しないためにはどうしたらいいの? 感染経路は? 毎年ワクチンを打つのはなぜ? ワクチンを接種したら感染しないの? 本日の目的 インフルエンザウイルスの特徴を知る インフルエンザの感染経路を知る インフルエンザの感染防止対策を知る インフルエンザとは インフルエンザはインフルエンザウイルスによって感染する感染症であり

More information

最近の動物インフルエンザの発生状況と検疫対応

最近の動物インフルエンザの発生状況と検疫対応 講演要旨 最近の動物インフルエンザの発生状況と検疫対応 動物検疫所精密検査部衛藤真理子 1 はじめに近年 H5 及び H7 亜型の高病原性鳥インフルエンザ (HPAI) が世界的に流行まん延し 養鶏業に被害を及ぼすとともに 人への感染例が報告される国もあり 新型インフルエンザウイルス出現への脅威となることから対策が強化されている 我が国では 2004 年の 79 年ぶりの HPAI の発生以降 8

More information

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル 60 秒でわかるプレスリリース 2007 年 12 月 17 日 独立行政法人理化学研究所 免疫の要 NF-κB の活性化シグナルを増幅する機構を発見 - リン酸化酵素 IKK が正のフィーッドバックを担当 - 身体に病原菌などの異物 ( 抗原 ) が侵入すると 誰にでも備わっている免疫システムが働いて 異物を認識し 排除するために さまざまな反応を起こします その一つに 免疫細胞である B 細胞が

More information

顎下腺 舌下腺 ) の腫脹と疼痛で発症し そのほか倦怠感や食欲低下などを訴えます 潜伏期間は一般的に 16~18 日で 唾液腺腫脹の 7 日前から腫脹後 8 日後まで唾液にウイルスが排泄され 分離できます これらの症状を認めない不顕性感染も約 30% に認めます 合併症は 表 1 に示すように 無菌

顎下腺 舌下腺 ) の腫脹と疼痛で発症し そのほか倦怠感や食欲低下などを訴えます 潜伏期間は一般的に 16~18 日で 唾液腺腫脹の 7 日前から腫脹後 8 日後まで唾液にウイルスが排泄され 分離できます これらの症状を認めない不顕性感染も約 30% に認めます 合併症は 表 1 に示すように 無菌 2017 年 8 月 30 日放送 無菌性髄膜炎の診断と治療 川崎医科大学小児科教授寺田喜平はじめに本日は無菌性髄膜炎をテーマにお話しさせていただきます 時間も限られていますので 4 つに焦点を絞ってお話しいたします はじめに 図 1 の無菌性髄膜炎から分離 検出されたウイルスについて 2013 年から 2017 年までのデータを見ていただきましょう 2013 年は黄色のエコー 6 と青色のエコー

More information

/‚“1/ŒxŒ{‚×›î’æ’¶

/‚“1/ŒxŒ{‚×›î’æ’¶ 60 1 pp.3-8 2010 1. H1N1 1) 2) 3) 4) ERATO 2009 H1N1 21 H1N1 HA PB2 2009 3 Pandemic H1N1 2009 WHO 6 11 21 2009 11 2010 4 21 H1N1 H1N1 2009 4 15 CDC 108-8639 4-6-1 TEL: 03-5449-5281 FAX: 03-5449-5408 E-mail:

More information

インフルエンザ院内感染対策

インフルエンザ院内感染対策 Ⅷ. 季節性インフルエンザ院内感染対策 このマニュアルは季節性インフルエンザに対応するものであり 新型インフルエンザ 鳥インフ ルエンザ等については状況に応じて別途定めることとする 1. 臨床 感染経路 : 飛沫感染経路をとる 潜伏期 :1~3 日 症状 : インフルエンザを疑う下記の症状 1. 突然の発症 2. 38 を超える発熱 3. 上気道炎症状 4. 全身倦怠感等の全身症状発熱 ( 通常 38

More information

インフルエンザ施設内感染予防の手引き

インフルエンザ施設内感染予防の手引き インフルエンザ施設内感染予防の手引き 平成 18 年 2 月改訂厚生労働省健康局結核感染症課日本医師会感染症危機管理対策室 目次 1. はじめに 2. インフルエンザの基本 (1) インフルエンザの流行 (2) インフルエンザウイルスの特性 (3) インフルエンザの症状 (4) インフルエンザの診断 (5) インフルエンザの治療 3. 施設内感染防止の基本的考え方 4. 施設内感染対策委員会 (1)

More information

< F2D915395B68CB48D BD816A2E6A7464>

< F2D915395B68CB48D BD816A2E6A7464> 豚インフルエンザウイルスの抗体保有状況と検査方法の検討 はじめに 奈良県家畜保健衛生所武平有理子 インフルエンザウイルスの動物種を超えた流行において 豚がカギとなっていることは広く知られている 豚の気道上皮細胞にはトリ型とヒト型のウイルスに対する両方のレセプターがあり 由来の異なるウイルスが同時に一つの細胞に感染すると文節型遺伝子が交雑したリアソータントを生み出し 大きな抗原変異が起きる そのため

More information

日産婦誌58巻9号研修コーナー

日産婦誌58巻9号研修コーナー α β γ α αヘルペスウイルス単純ヘルペスウイルス 1 型 (HSV1) 性器ヘルペス単純ヘルペスウイルス 2 型 (HSV2) 水痘 帯状疱疹ウイルス (VZV) βヘルペスウイルスサイトメガロウイルス (CMV) ヒトヘルペスウイルス 6 型 (HHV6) ヒトヘルペスウイルス 7 型 (HHV7) γヘルペスウイルス EpsteinBarウイルス (EBV) ヒトヘルペスウイルス 8 型

More information

70 例程度 デング熱は最近増加傾向ではあるものの 例程度で推移しています それでは実際に日本人渡航者が帰国後に診断される疾患はどのようなものが多いのでしょうか 私がこれまでに報告したデータによれば日本人渡航者 345 名のうち頻度が高かった疾患は感染性腸炎を中心とした消化器疾患が

70 例程度 デング熱は最近増加傾向ではあるものの 例程度で推移しています それでは実際に日本人渡航者が帰国後に診断される疾患はどのようなものが多いのでしょうか 私がこれまでに報告したデータによれば日本人渡航者 345 名のうち頻度が高かった疾患は感染性腸炎を中心とした消化器疾患が 2014 年 4 月 23 日放送 輸入感染症の鑑別診断 東京医科大学病院感染制御部部長水野泰孝はじめに近年の国際化に伴い 日本人海外渡航者は 1800 万人を超える時代となっています このような背景のもと 一般臨床でも海外渡航者の診療機会は日常的になっていると思われます 本日は 海外渡航者が帰国後に何らかの症状を訴えて医療機関を受診した場合に どのような問診をし どのような疾患を鑑別に挙げ もし日本国内には存在しないあるいは稀な輸入感染症が疑われた場合の診断へのアプローチについて解説します

More information

2009年8月17日

2009年8月17日 医師 2,000 人超の調査結果を多数掲載中です https://www.facebook.com/medpeer 2013 年 8 月 1 日 メドピア株式会社 マイコプラズマ感染症診断における迅速診断キットの使用状況 について 半数以上はキットを使用していない 医師約 6 万人が参加する医師専用サイト MedPeer ( メドピア https://medpeer.jp/) を運営するメドピア 株式会社

More information

( 別添 ) インフルエンザに伴う異常な行動に関する報告基準 ( 報告基準 ) ( 重度調査 ) インフルエンザ様疾患と診断され かつ 重度の異常な行動を示した患者につき ご報告ください ( 軽度調査 ) インフルエンザ様疾患と診断され かつ 軽度の異常な行動を示した患者につき ご報告ください イン

( 別添 ) インフルエンザに伴う異常な行動に関する報告基準 ( 報告基準 ) ( 重度調査 ) インフルエンザ様疾患と診断され かつ 重度の異常な行動を示した患者につき ご報告ください ( 軽度調査 ) インフルエンザ様疾患と診断され かつ 軽度の異常な行動を示した患者につき ご報告ください イン ( 別記様式 2) インフルエンザに伴う異常な行動に関する調査のお願い インフルエンザ定点医療機関用 インフルエンザ様疾患罹患時及び抗インフルエンザ薬使用時に見られた異常な行動が 医学的にも社会的にも問題になっており 2007 年より調査をお願いしております 厚生労働省では 引き続きその背景に関する実態把握をいたしたく 川崎市健康安全研究所により研究を行うこととしておりますので 以下のとおり 当該研究にかかる調査へのご協力をお願いします

More information

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ 再発した前立腺癌の増殖を制御する新たな分子メカニズムの発見乳癌治療薬が効果的 発表者筑波大学先端領域学際研究センター教授柳澤純 (junny@agbi.tsukuba.ac.jp TEL: 029-853-7320) ポイント 女性ホルモンが制御する新たな前立腺癌の増殖 細胞死メカニズムを発見 女性ホルモン及び女性ホルモン抑制剤は ERβ 及び KLF5 を通じ FOXO1 の発現量を変化することで前立腺癌の増殖

More information

Microsoft PowerPoint - 4_河邊先生_改.ppt

Microsoft PowerPoint - 4_河邊先生_改.ppt 組換え酵素を用いた配列部位 特異的逐次遺伝子導入方法 Accumulative gene integration system using recombinase 工学研究院化学工学部門河邉佳典 2009 年 2 月 27 日 < 研究背景 > 1 染色体上での遺伝子増幅の有用性 動物細胞での場合 新鮮培地 空気 + 炭酸ガス 使用済み培地 医薬品タンパク質を生産する遺伝子を導入 目的遺伝子の多重化

More information

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効 60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - がんやウイルスなど身体を蝕む病原体から身を守る物質として インターフェロン が注目されています このインターフェロンのことは ご存知の方も多いと思いますが 私たちが生まれながらに持っている免疫をつかさどる物質です 免疫細胞の情報の交換やウイルス感染に強い防御を示す役割を担っています

More information

‚“’à-™ƒ›®Š²Œ¾.ec9

‚“’à-™ƒ›®Š²Œ¾.ec9 京府医大誌 122(3),123~131,2013. インフルエンザ HAの病原性分子機構 123 総 説 インフルエンザウイルス HA タンパク質の病原性分子機構 * 中屋隆明 京都府立医科大学大学院医学研究科感染病態学 CriticalRoleofHemagglutinin(HA)inPathogenesisofInfluenzaViruses TakaakiNakaya DepartmentofInfectiousDiseases,

More information

論文の内容の要旨

論文の内容の要旨 1. 2. 3. 4. 5. 6. WASP-interacting protein(wip) CR16 7. 8..pdf Adobe Acrobat WINDOWS2000 論文の内容の要旨 論文題目 WASP-interacting protein(wip) ファミリー遺伝子 CR16 の機能解析 氏名坂西義史 序 WASP(Wiskott-Aldrich syndrome protein)

More information

新型インフルエンザ Novel influenza, New influenza ブタ ( 由来 ) インフルエンザ Swine influenza, Swine originated influenza (OIV) パンデミックインフルエンザ 2009 Pandemic influenza A/H

新型インフルエンザ Novel influenza, New influenza ブタ ( 由来 ) インフルエンザ Swine influenza, Swine originated influenza (OIV) パンデミックインフルエンザ 2009 Pandemic influenza A/H 新型インフルエンザ等対策特別措置法都道府県担当者説明会内閣官房新型インフルエンザ等対策室 新型インフルエンザに関する 最近の動向 岡部信彦国立感染症研究所感染症情報センター 川崎市衛生研究所平成 24 年 6 月 26 日 新型インフルエンザ Novel influenza, New influenza ブタ ( 由来 ) インフルエンザ Swine influenza, Swine originated

More information

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者 217 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 で 前年から 29 増加した HIV 感染者は前年から 3 AIDS 患者は前年から 26 増加した 図 -1 2 HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた報告数の概要として 主に以下のことが挙げられる 図 -2 3 4 外国籍男性は前年から 11

More information

医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では 皮膚から侵入したアレルゲンが 食物アレルギー アトピー性皮膚炎 喘息 アレルギー性鼻炎などのアレルギー症状を引き起こすきっかけになる

医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では 皮膚から侵入したアレルゲンが 食物アレルギー アトピー性皮膚炎 喘息 アレルギー性鼻炎などのアレルギー症状を引き起こすきっかけになる 化粧品用コラーゲンの原料 現在は 魚由来が中心 かつては ウシの皮膚由来がほとんど BSE 等病原体混入の危険 人に感染する病原体をもたない アレルギーの問題は未解決 ( むしろ問題は大きくなったかもしれない ) アレルギーを引き起こす可能性 医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では

More information

Microsoft Word - 【セット版PDF】131105_H25今冬のインフルエンザ総合対策.docx

Microsoft Word - 【セット版PDF】131105_H25今冬のインフルエンザ総合対策.docx 平成 25 年度 今冬のインフルエンザ総合対策について 1. はじめに この冬のインフルエンザの流行シーズンに備え 今冬のインフルエンザ総合対策 を取りまとめ 国や地方自治体が対策に取り組むとともに 広く国民の皆様にインフルエンザ対策を呼びかけることとしました 季節性インフルエンザのウイルスには A/H1N1 亜型 ( 平成 21 年に流行した新型インフルエンザと同じもの ) A/H3N2 亜型 (

More information

RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果

RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果 RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果 Poly I:C により一部の樹状細胞にネクローシス様の細胞死が誘導されること さらにこの細胞死がシグナル伝達経路の活性化により制御されていることが分かりました

More information

2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の

2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の Ⅵ. 職業感染対策 1. 針刺し 切創 粘膜曝露 1) 針刺し 切創 粘膜曝露対策および事例発生時の対応 職業感染を防止するためには 針刺し 切創 粘膜曝露を起こさないことが重要ではあ るが もし針刺し 切創 粘膜曝露が発生した場合は 迅速に対処することが必要となる 針刺し 切創 粘膜曝露事例発生時はフローチャートに従い行動する 表 1 感染症別の針刺しによる感染率 問題となるウイルス 感染率 備考

More information

2. 今後想定すべき事態 (1)SARS 流行の振り返り前述の通り MERS( マーズ ) コロナウイルスは 2003 年に中国を中心に流行した SARS ウイルスに類似したウイルスである そこで 今後の MERS( マーズ ) コロナウイルスの感染の拡大等を考えるにあたって SARS の流行を振り

2. 今後想定すべき事態 (1)SARS 流行の振り返り前述の通り MERS( マーズ ) コロナウイルスは 2003 年に中国を中心に流行した SARS ウイルスに類似したウイルスである そこで 今後の MERS( マーズ ) コロナウイルスの感染の拡大等を考えるにあたって SARS の流行を振り 2013 No.25 MERS( マーズ ) コロナウイルス感染拡大への備え 2012 年より中東地域を中心に断続的に人への感染が確認されている新型のコロナウイルスの感染拡大が懸念されている 厚生労働省は 2013 年 5 月 24 日 ウイルス分類に関する国際委員会が 当病原体を MERS-CoV 1 と命名したことを受け 当病原体の名前を MERS( マーズ ) コロナウイルス とし 感染症の名前を

More information

<4D F736F F F696E74202D20838C E388C8E313993FA8CA793E D89EF8B632E505054>

<4D F736F F F696E74202D20838C E388C8E313993FA8CA793E D89EF8B632E505054> 第 2 回新型インフルエンザに係る県内病院連絡会議 病院における新型インフルエンザ 院内感染防止対策について 東北大学大学院内科病態学講座感染制御 検査診断学分野 賀来満夫 平成 21 年 8 月 19 日 本日の内容 Ⅰ 新型インフルエンザの現状および共通認識 ( 情報共有 ) Ⅱ 院内感染防止対策のポイント Ⅲ 地域連携 ネットワーク構築 新型インフルエンザの発生 インフルエンザウイルス A(H1NI)

More information

卸-11-2.indd

卸-11-2.indd Q ①国家備蓄に関し およそこの10年 緊急にワク No.1450 コレラワクチンの販売中止について 2009年10月 チンを接種したケースがない ②現在のコレラの治療方針について 基本的には 経口または点滴で水分と電解質を補い 並行し て抗生物質による抗菌治療を実施するとされて コレラワクチンは コレラ菌による急性感染性 おり 以上の併用治療により 大体死亡率は 腸炎であるコレラの予防に用いるもので

More information

Microsoft Word 「ERATO河岡先生(東大)」原稿(確定版:解禁あり)-1

Microsoft Word 「ERATO河岡先生(東大)」原稿(確定版:解禁あり)-1 解禁時間 ( テレヒ ラシ オ WEB): 平成 27 年 3 月 25 日 ( 水 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) ( 新聞 ) : 平成 27 年 3 月 26 日 ( 木 ) 付朝刊 平成 2 7 年 3 月 2 3 日 科学技術振興機構 (JST) Tel:03-5214-8404( 広報課 ) 東京大学医科学研究所 Tel:03-5449-5601( 総務チーム ) 光で居場所を探せるインフルエンザウイルスの開発に成功

More information

Microsoft PowerPoint 最近の性感染症の動向

Microsoft PowerPoint 最近の性感染症の動向 最近の性感染症の動向 厚生労働省健康局結核感染症課 井手一彦 平成 28 年度保健師中央会議 2016.7.22. 告数性感染症患者報告数の年次推移 報50,000 性器クラミジア感染症 45,000 淋菌感染症 ( 単位 : 人 ) 性器ヘルペスウイルス感染症 尖圭コンジローマ 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 年 資料

More information

A 農場の自家育成牛と導入牛の HI 抗体価の と抗体陽性率について 11 年の血清で比較すると 自家育成牛は 13 倍と 25% で 導入牛は 453 倍と % であった ( 図 4) A 農場の個体別に症状と保有している HI 抗体価の と抗体陽性率を 11 年の血清で比較した および流産 加療

A 農場の自家育成牛と導入牛の HI 抗体価の と抗体陽性率について 11 年の血清で比較すると 自家育成牛は 13 倍と 25% で 導入牛は 453 倍と % であった ( 図 4) A 農場の個体別に症状と保有している HI 抗体価の と抗体陽性率を 11 年の血清で比較した および流産 加療 牛コロナウイルス病の発生とその防除対策についての検討紀北家畜保健衛生所 亀位徹上田雅彦柏木敏孝 背景と目的 管内の A 酪農場で牛コロナウイルス病 ( 以下 BCVD) が発生した BCVDは 牛コロナウイルス ( 以下 BCV) の感染による 突然の激しい水様性下痢を主症状とする感染症である 一般的に致死率は低いものの 乳用牛では乳量の減少をともない経済的被害が大きい疾病である A 農場では 12

More information

( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関

( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関 Title 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 大西, 正俊 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date 2010-03-23 URL http://hdl.handle.net/2433/120523 Right Type Thesis or Dissertation

More information

なくて 脳以外の場所で起きている感染が 例えばサイトカインやケモカイン 酸化ストレスなどによって間接的に脳の障害を起こすもの これにはインフルエンザ脳症やH HV-6による脳症などが含まれます 三つ目には 例えば感染の後 自己免疫によって起きてくる 感染後の自己免疫性の脳症 脳炎がありますが これは

なくて 脳以外の場所で起きている感染が 例えばサイトカインやケモカイン 酸化ストレスなどによって間接的に脳の障害を起こすもの これにはインフルエンザ脳症やH HV-6による脳症などが含まれます 三つ目には 例えば感染の後 自己免疫によって起きてくる 感染後の自己免疫性の脳症 脳炎がありますが これは 2012 年 10 月 3 放送 脳炎と脳症 岡山大学大学院 小児医科学教授 森島 恒雄 急性脳炎 脳症とは 急性脳炎 脳症とはどんな病気で しょうか まず その説明をしたい と思います 急性脳炎に関してはこのように考 えるとわかりやすいと思います 一つは ウイルスが脳の中で直接 増殖することによって 中枢神経の 障害が起きる場合です これには 単純ヘルペス脳炎や日本脳炎などが あります 次に 脳症と呼ばれるもの

More information

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産 TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE 1-3 KAGURAZAKA, SHINJUKU-KU, TOKYO 162-8601, JAPAN Phone: +81-3-5228-8107 報道関係各位 2018 年 8 月 6 日 免疫細胞が記憶した病原体を効果的に排除する機構の解明 ~ 記憶 B 細胞の二次抗体産生応答は IL-9 シグナルによって促進される ~ 東京理科大学 研究の要旨東京理科大学生命医科学研究所

More information

卵管の自然免疫による感染防御機能 Toll 様受容体 (TLR) は微生物成分を認識して サイトカインを発現させて自然免疫応答を誘導し また適応免疫応答にも寄与すると考えられています ニワトリでは TLR-1(type1 と 2) -2(type1 と 2) -3~ の 10

卵管の自然免疫による感染防御機能 Toll 様受容体 (TLR) は微生物成分を認識して サイトカインを発現させて自然免疫応答を誘導し また適応免疫応答にも寄与すると考えられています ニワトリでは TLR-1(type1 と 2) -2(type1 と 2) -3~ の 10 健康な家畜から安全な生産物を 安全な家畜生産物を生産するためには家畜を衛生的に飼育し健康を保つことが必要です そのためには 病原体が侵入してきても感染 発症しないような強靭な免疫機能を有していることが大事です このような家畜を生産するためには動物の免疫機能の詳細なメカニズムを理解することが重要となります 我々の研究室では ニワトリが生産する卵およびウシ ヤギが生産する乳を安全に生産するために 家禽

More information

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号 資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号 ;II-231) 1 医療上の必要性の基準に該当しないと考えられた品目 本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル

More information

イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ

イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ 2012 年 12 月 13 日放送 第 111 回日本皮膚科学会総会 6 教育講演 26-3 皮膚病変におけるウイルス感染検査と読み方 川崎医科大学皮膚科 講師山本剛伸 はじめにウイルス性皮膚疾患は 臨床症状から視診のみで診断がつく例もありますが ウイルス感染検査が必要となる症例も日常多く遭遇します ウイルス感染検査法は多種類存在し それぞれに利点 欠点があります 今回は それぞれのウイルス感染検査について

More information

pdf0_1ページ目

pdf0_1ページ目 平成 年 月 日 担 当 課 衛生環境研究所 ( 担当者 ) ( 高田 梁川 ) 電話 -- 鳥取県感染症流行情報 第 [ 平成 年 月 7 日 ( 月 ) ~ 月 日 ( 日 祝 ) ] 疾 病 名 東 部 中 部 西 部 イ ン フ ル エ ン ザ 〇 感 染 性 胃 腸 炎 〇 〇 〇 水 痘 ( 水 ぼ う そ う ) 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 手 足 口 病 〇 〇 〇 ヘ ル

More information

1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ

1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ ( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 朝日通雄 恒遠啓示 副査副査 瀧内比呂也谷川允彦 副査 勝岡洋治 主論文題名 Topotecan as a molecular targeting agent which blocks the Akt and VEGF cascade in platinum-resistant ovarian cancers ( 白金製剤耐性卵巣癌における

More information

Microsoft PowerPoint - 新技術説明会配付資料rev提出版(後藤)修正.pp

Microsoft PowerPoint - 新技術説明会配付資料rev提出版(後藤)修正.pp 食品の抗アレルギー活性評価に利用できる マウスモデルの紹介 農研機構食品総合研究所 食品機能研究領域主任研究員 後藤真生 農研機構 は独立行政法人農業 食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネームです 国民の 1/3 はアレルギー症状を自覚している 1 アレルギー症状なし (59.1%) 皮膚 呼吸器 目鼻いずれかのアレルギー症状あり (35.9%) 医療機関に入院 通院中 (58.2%) (

More information

後などに慢性の下痢をおこしているケースでは ランブル鞭毛虫や赤痢アメーバなどの原虫が原因になっていることが多いようです 二番目に海外渡航者にリスクのある感染症は 蚊が媒介するデング熱やマラリアなどの疾患で この種の感染症は滞在する地域によりリスクが異なります たとえば デング熱は東南アジアや中南米で

後などに慢性の下痢をおこしているケースでは ランブル鞭毛虫や赤痢アメーバなどの原虫が原因になっていることが多いようです 二番目に海外渡航者にリスクのある感染症は 蚊が媒介するデング熱やマラリアなどの疾患で この種の感染症は滞在する地域によりリスクが異なります たとえば デング熱は東南アジアや中南米で 2017 年 5 月 3 日放送 海外渡航時に気をつけたい感染症とその対策 東京医科大学病院渡航者医療センター教授濱田篤郎はじめに旅行や仕事で日本から海外に渡航する人の数は年々増加しており その数は年間 1700 万人にのぼっています これは日本国民の 7 人に 1 人が毎年 海外渡航をしている計算になります 滞在国としては熱帯や亜熱帯の発展途上国が増えていますが こうした国々では感染症が日常的に流行しており

More information

pdf0_1ページ目

pdf0_1ページ目 平成 年 月 日 担 当 課 衛生環境研究所 ( 担当者 ) ( 高田 梁川 ) 電話 5-5-5 鳥取県感染症流行情報 第 週 [ 平成 年 月 7 日 ( 月 ) ~ 月 日 ( 日 ) ] 疾 病 名 東 部 中 部 西 部 イ ン フ ル エ ン ザ 感 染 性 胃 腸 炎 〇 水 痘 ( 水 ぼ う そ う ) 〇 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 〇 手 足 口 病 〇 ヘ ル パ

More information

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝 エンテカビル トーワ を服用されている方へ B 型慢性肝疾患の治療のために 監修 国立大学法人高知大学医学部消化器内科学講座 教授西原利治先生 施設名 2017 年 10 月作成 (C-1) 肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが

More information

2012 年 11 月 21 日放送 変貌する侵襲性溶血性レンサ球菌感染症 北里大学北里生命科学研究所特任教授生方公子はじめに b 溶血性レンサ球菌は 咽頭 / 扁桃炎や膿痂疹などの局所感染症から 髄膜炎や劇症型感染症などの全身性感染症まで 幅広い感染症を引き起こす細菌です わが国では 急速な少子

2012 年 11 月 21 日放送 変貌する侵襲性溶血性レンサ球菌感染症 北里大学北里生命科学研究所特任教授生方公子はじめに b 溶血性レンサ球菌は 咽頭 / 扁桃炎や膿痂疹などの局所感染症から 髄膜炎や劇症型感染症などの全身性感染症まで 幅広い感染症を引き起こす細菌です わが国では 急速な少子 2012 年 11 月 21 日放送 変貌する侵襲性溶血性レンサ球菌感染症 北里大学北里生命科学研究所特任教授生方公子はじめに b 溶血性レンサ球菌は 咽頭 / 扁桃炎や膿痂疹などの局所感染症から 髄膜炎や劇症型感染症などの全身性感染症まで 幅広い感染症を引き起こす細菌です わが国では 急速な少子 高齢化社会を迎えていますが 基礎疾患を有する人々の増加とともに これらの菌による市中での侵襲性感染症が再び増加しており

More information

新技術説明会 様式例

新技術説明会 様式例 ジカウイルス感染症治療用医薬組成物 C 型肝炎治療薬リバビリンの ジカ熱への応用 大分大学医学部感染予防医学講座 小林隆志 1 ジカ熱兆候と症状 主症状 : 発熱 発疹 関節痛 眼充血その他症状 : 筋肉痛 頭痛 眼痛 嘔吐など 眼充血 Kutsuna S, et al.. Euro Surveill. 2014;19(4):pii=20683. online: http://www. eurosurveillance.org/viewarticle.

More information

<4D F736F F D208DC58F498F4390B D4C95F189DB8A6D A A838A815B C8EAE814095CA8E86325F616B5F54492E646F63>

<4D F736F F D208DC58F498F4390B D4C95F189DB8A6D A A838A815B C8EAE814095CA8E86325F616B5F54492E646F63> インフルエンザウイルス感染によって起こる炎症反応のメカニズムを解明 1. 発表者 : 一戸猛志東京大学医科学研究所附属感染症国際研究センター感染制御系ウイルス学分野准教授 2. 発表のポイント : ウイルス感染によって起こる炎症反応の分子メカニズムを明らかにした注 炎症反応にはミトコンドリア外膜の mitofusin 2(Mfn2) 1 タンパク質が必要であった ウイルス感染後の過剰な炎症反応を抑えるような治療薬の開発

More information

Microsoft Word - 【広報課確認】 _プレス原稿(最終版)_東大医科研 河岡先生_miClear

Microsoft Word - 【広報課確認】 _プレス原稿(最終版)_東大医科研 河岡先生_miClear インフルエンザウイルスの遺伝の仕組みを解明 1. 発表者 : 河岡義裕 ( 東京大学医科学研究所感染 免疫部門ウイルス感染分野教授 ) 野田岳志 ( 京都大学ウイルス 再生医科学研究所微細構造ウイルス学教授 ) 2. 発表のポイント : インフルエンザウイルスが子孫ウイルスにゲノム ( 遺伝情報 ) を伝える仕組みを解明した 子孫ウイルスにゲノムを伝えるとき 8 本のウイルス RNAを 1+7 という特徴的な配置

More information

<4D F736F F D208D B B835896F2938A975E82CC8D6C82A695FB2E646F63>

<4D F736F F D208D B B835896F2938A975E82CC8D6C82A695FB2E646F63> 事務連絡平成 21 年 5 月 28 日 都道府県 各 保健所設置市 衛生主管部 ( 局 ) 特別区 感染症対策担当者及び新型インフルエンザ対策担当者殿 厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務局 新型インフルエンザの診療等に関する情報 ( 抗インフルエンザ薬の予防投与の考え方等 ) に係る Q&A の送付について 平成 21 年 5 月 3 日付新型インフルエンザ対策推進本部事務連絡 新型インフルエンザの診療等に関する情報

More information

表 1. 抗インフルエンザ薬 オセルタミビルザナミビルラニナミビルペラミビル 新生児 乳児 (1 歳未満 ) 推奨 * 推奨されない 幼児 (1 歳から 4 歳 ) 推奨 吸入困難と考える 小児 (5 歳から 9 歳 ) 推奨 吸入が出来ると判断された場合に限る 10 歳以上 原則として使用を差し控

表 1. 抗インフルエンザ薬 オセルタミビルザナミビルラニナミビルペラミビル 新生児 乳児 (1 歳未満 ) 推奨 * 推奨されない 幼児 (1 歳から 4 歳 ) 推奨 吸入困難と考える 小児 (5 歳から 9 歳 ) 推奨 吸入が出来ると判断された場合に限る 10 歳以上 原則として使用を差し控 2017/2018 シーズンのインフルエンザ治療指針 2017/2018 シーズンの流行期を迎えるにあたり 日本小児科学会新興 再興感染症対策小委員会予防接種 感染症対策委員会 2017/2018 シーズンの流行期を迎えるにあたり 治療指針を更新いたしましたのでお知らせいたします 飛沫感染対策としての咳エチケット ( 有症者自身がマスクを着用し 咳をする際にはティッシュやハンカチで口を覆う等の対応を行うこと

More information

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります 2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にありますが 本邦の結核では高齢者結核が多いのが特徴です 結核診療における主な検査法を示します ( 図 1) 従来の細菌学的な抗酸菌の塗抹

More information

Microsoft Word _ソリリス点滴静注300mg 同意説明文書 aHUS-ICF-1712.docx

Microsoft Word _ソリリス点滴静注300mg 同意説明文書 aHUS-ICF-1712.docx 患者様同意説明文書 非典型溶血性尿毒症症候群 (ahus) ソリリスの投与開始前に 医師または医療従事者から ソリリスを投与される方へ (ahus) 及び 患者安全性カード に従ってこの薬の安全性 有効性の説明 髄膜炎菌ワクチン等の接種の必要性及び患者様のデータの取扱いの説明を十分に理解できるまで受け さらにこの 患者様同意説明文書 の記載に従ってご確認ください 担当医師または医療従事者は 患者様にこの薬を投与する場合

More information

スライド 1

スライド 1 平成 25 年度新型インフルエンザの診療に関する研修 (2013.11.24 東京 ) 鳥インフルエンザ (H7N9) への対応 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院呼吸器内科 石田直 鳥インフルエンザ (Avian influenza, Avian flu, bird flu) * 鳥インフルエンザとは A 型インフルエンザウイルスが鳥類に感染して起きる鳥類の感染症 * 鳥インフルエンザウイルスは

More information

下痢 消化管粘膜が損傷をうけるために起こります 好中球 白血球 減少による感 染が原因の場合もあります セルフケアのポイント 症状を和らげる 下痢になると 体の水分と電解質 ミネラル が失われるので ミネラルバ ランスのとれたスポーツドリンクなどで十分補うようにしましょう 冷えすぎた飲み物は 下痢を悪化させることがあるので控えましょう おなかが冷えないよう腹部の保温を心がけましょう 下痢のひどいときは

More information

1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを 薬生薬審発 0525 第 3 号薬生安発 0525 第 1 号平成 30 年 5 月 25 日 都道府県各保健所設置市衛生主管部 ( 局 ) 長殿特別区 厚生労働省医薬 生活衛生局医薬品審査管理課長 ( 公印省略 ) 厚生労働省医薬 生活衛生局医薬安全対策課長 ( 公印省略 ) トファシチニブクエン酸塩製剤の使用に当たっての留意事項について トファシチニブクエン酸塩製剤 ( 販売名 : ゼルヤンツ錠

More information

娠中の母親に卵や牛乳などを食べないようにする群と制限しない群とで前向きに比較するランダム化比較試験が行われました その結果 食物制限をした群としなかった群では生まれてきた児の食物アレルゲン感作もアトピー性皮膚炎の発症率にも差はないという結果でした 授乳中の母親に食物制限をした場合も同様で 制限しなか

娠中の母親に卵や牛乳などを食べないようにする群と制限しない群とで前向きに比較するランダム化比較試験が行われました その結果 食物制限をした群としなかった群では生まれてきた児の食物アレルゲン感作もアトピー性皮膚炎の発症率にも差はないという結果でした 授乳中の母親に食物制限をした場合も同様で 制限しなか 2018 年 3 月 22 日放送 第 41 回日本小児皮膚科学会 2 シンポジウム 3 アレルギーマーチの予防の可能性 国立成育医療研究センター アレルギー科医長大矢幸弘 アトピー性皮膚炎とアレルゲン感作生後 1~2 ヶ月頃に何らかの湿疹病変を生じる乳児は多いですが アトピー性皮膚炎と診断するには脂漏性皮膚炎や間擦部のカンジダ性皮膚炎 あるいはおむつかぶれを含む接触性皮膚炎などとの鑑別診断が必要となります

More information

■リアルタイムPCR実践編

■リアルタイムPCR実践編 リアルタイム PCR 実践編 - SYBR Green I によるリアルタイム RT-PCR - 1. プライマー設計 (1)Perfect Real Time サポートシステムを利用し 設計済みのものを購入する ヒト マウス ラットの RefSeq 配列の大部分については Perfect Real Time サポートシステムが利用できます 目的の遺伝子を検索して購入してください (2) カスタム設計サービスを利用する

More information

耐性菌届出基準

耐性菌届出基準 37 ペニシリン耐性肺炎球菌感染症 (1) 定義ペニシリン G に対して耐性を示す肺炎球菌による感染症である (2) 臨床的特徴小児及び成人の化膿性髄膜炎や中耳炎で検出されるが その他 副鼻腔炎 心内膜炎 心嚢炎 腹膜炎 関節炎 まれには尿路生殖器感染から菌血症を引き起こすこともある 指定届出機関の管理者は 当該指定届出機関の医師が (2) の臨床的特徴を有する者を診察した結果 症状や所見からペニシリン耐性肺炎球菌感染症が疑われ

More information

ロタウイルスワクチンをめぐる話題

ロタウイルスワクチンをめぐる話題 ロタウイルスワクチンをめぐる話題 ロタウイルスの歴史 ロタウイルス ( レオウイルス科 ) Photo from Dr. Kapikian. 1973 年 オーストラリアの Dr. Bishop が下痢症患者の便から原因と思われるウイルスを発見 その形状からロタウイルスと命名 ロタ はラテン語で 車輪 を意味する このウイルスが乳幼児の重傷下痢症の主な原因であることが判明 培養細胞で培養可能 ワクチン開発ロタシールド

More information

untitled

untitled 神奈川県感染症情報センター 神奈川県衛生研究所企画情報部衛生情報課 TEL:0467834400( 代表 ) FAX:0467895( 企画情報部 ) 神奈川県感染症発生情報 (7 報 ) (09 年 4 月 日 ~4 月 8 http://www.eiken.pref.kanagawa.jp/ 今の注目感染症 ~ 輸入感染症 ~ 連休中に海外へ行かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか 感染症には

More information

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾 2 緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾向が強い 多剤耐性緑膿菌は5類感染症定点把握疾患 赤痢菌属 グラム陰性通性嫌気性桿菌 腸内細菌科

More information

(RS - 8 5 5 ) 禁複製 社内限り 新型インフルエンザに有効な対策は何か 新型インフルエンザは A/H5N1 型鳥インフルエンザウイルスがヒトからヒトへ感染する能力を獲得した想像上の感染症だが 大流行する日は近いと専門家は予測している 2007 年 1 月には抗インフルエンザ薬の予防投与を中心とした国レベルの対策案が発表され にわかに関心が高まってきた 2 0 0 7 年 3 月 東京都千代田区内幸町

More information

BSL4の稼働合意について

BSL4の稼働合意について 平成 27 年 8 月 5 日 公益社団法人日本医師会 BSL4 の稼動に対する日本医師会の見解 去る 8 月 3 日に 塩崎恭久厚生労働大臣と武蔵村山市の藤野勝市長との会談において 国立感染症研究所村山庁舎を BSL4 として稼働させることで合意したことについて 日本医師会としての見解を以下に述べる 国立感染症研究所村山庁舎においては 1981 年に一種病原体を取り扱うことのできる BSL4 施設を整備していたが

More information

平成14年度研究報告

平成14年度研究報告 平成 14 年度研究報告 研究テーマ 多嚢胞性卵巣発症に関する遺伝性素因の解析 - PCO の解析 - 北海道大学大学院医学研究科 助手菅原照夫 現所属 : 北海道大学大学院医学研究科 医学部連携研究センター サマリー 多嚢胞性卵巣 (PCO) は生殖可能年齢の婦人の 5 10% に発症する内分泌疾患である 臨床症状は 月経不順 多毛 肥満 排卵障害が主な特徴であり 難治性の不妊症の主な原因である

More information