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せいごろうのしろ
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1 ISSN ISSN (24 9 ) ? kozawa@yuvec.org? CEO (2), BP 2 COE GBRC 24 Global Business Research Center 483

2 ものづくり寄席第十一回 24 年 8 月 26 日摺り合わせ組み合わせ製品アーキテクチャ転換のダイナミックスを見る葛東昇 2 COE katsu@mmrc.e.u-tokyo.ac.jp 摺り合わせと組み合わせという言葉に合わせという共通なエレメントがある広辞苑は合うを二つ以上の事物が寄り集まるというように解釈している具体的に一つに集まるの意味のほか二つのものの形性質内容などが同じになる二つのものが互いに相手を悪くすること無く一緒に存在するという意味もあるそして合わせるは合うようにするという他動詞として使われている工学的設計論というより狭い文脈から見る際に分析総合という基本的な方法論において合わせは設計要素をひとつのまともな機能と構造を持つ製品システムにすることで摺り合わせと組み合わせは設計要素をまとめる二つの設計思想であると考えられる前者は設計要素間をうまく協調することで最適設計を実現する方法であるが後者は設計要素のインターフェースを事前に固めることで構造設計の最適性がやや欠ける一方各要素の設計をより独立に行うことができ要素技術の進歩がより直接に製品パフォーマンスに反映されるというメリットがある今回の寄席では摺り合わせと組み合わせを比較静学的に観察するよりは時間軸を入れることによって両者のダイナミックな転換を見ることにする設計思想の転換は実は産業構造を大きく変え企業間 ( 組立メーカーと部品メーカー ) の競争力をシフトさせる重要な戦略的なポイントであることを指摘した具体的にパソコン産業自転車産業日本と中国のオートバイ産業と最近中国で台頭した民営自動車メーカーの例を取り上げた MADE IN CHINA 484

3 洋ラジエータ新明和工業東本フォーミングトピー工業橋工第十二回 24 年 8 月 3 日ものづくり寄席投資家が見るものづくり企業掲示板に降り注ぐ言説安田雪 2 COE yyasuda@gbrc.jp Yahoo 掲示板の輸送用機械関連についての書き込みを分析すると投資家の関心の類似度が規定する企業間ネットワークを導くことができる 23 年 2 月から 24 年 7 月末までの yahoo 掲示板への書き込みを半年ごとにわけて分析したところ関心の推移投資家の共通書き込みパターンなどが見えるのだたかが掲示板と侮るなかれ意外にも書き込みには合理性や一貫性があるこの間の発言数の推移は 845(23 年 2 月から 7 月 ) 78(23 年 8 月から 24 年月 ) 9323(24 年 2 月から 7 月 ) であり直近の半年に増大している書き込み数では 23 年 8 月まではトヨタが半年で約 3 の書き込みを得ているが最後の半年には三菱自動車が 78 を上回り急激に増加する上位企業はその時々の話題企業だが位以下になるとほぼ書き込み数は安定しており順序はさほど変わらない発言関係のネットワークも優先的選択原理に規定されるスケールフリーネットワークの原則で成長しているようだ書き込みの共起頻度から投資家の発言パターンを見ると自動車メーカーの掲示板に書き込む者はその系列のサプライヤ企業への書き込みが多いなど関心の一貫性がうかがえるたとえばトヨタの掲示板に書き込む者はデンソーやアイシン精機などへの書き込みが多いこの傾向は他の自動車メーカーの共起パターンにも共通している共通の書き込みがあった企業を投資家の共通関心によって結びつけて企業間ネットワークを描き位置の類似度に基づいてクラスター分析を行うとやはり系列ごとの企業クラスターが見える ( 図省略 ) また共通発言の行列を元に MDS をおこなってみると類似企業が近くに位置するマッピングができる ( 図 ) なお図では yahoo 掲示板に登場する企業をすべて点として示してあるがスペースの都合で企業名については一部割愛している本研究のためのデータは人図工知能研究者の松尾豊氏 (( 財 ) ユア日近ニイダイハツディーゼル産業技術総合研究所 ) が独自にイ本畿プハNOK 車車ツシレホンダミクニ工日産車体スズキ日野自動車ン輌輛開発したシステムによってトヨタ車体ス愛知機械工業デンソ- yahoo サイトから自動抽出されー精製造三桜工業機八千代工業曙ブレーキケーヒン自動車鋳物自動車電機工業ボッシュオートモータチエス日本ケーブルシティブシステムている掲示板発言分析は AI ステム東京部品工業 ( 人工知能 ) とネットワーク分業東海理化タツミダ三菱自動車ヨロズ丸石自転車日産ディーゼル工業析のコラボレーションから出いすゞ業エクセディマーレテネックスフジユニバンス日本ガスケット信貴造船所三井造船日本飛行機自動車たちょっとした息抜きのようシマノ今仙電機製作所河西工業佐世保重工業川崎重工業富士重工業トヨタなものだが意外に楽しめるなフタバ産業カヤバ工業フジオーゼックスプレス工業イクヨ日産鬼怒川ゴム工業エイケン工業おデータの抽出と整形は松尾自動車部品工業丸石ホールディングスカルソニック氏そして分析の責任は安田にカンセイ安永ある 485

4 第十三回 24 年 9 月 2 日ものづくり寄席ソフトウェアのアーキテクチャ測定立本博文 2 COE tatsu@mmrc.e.u-tokyo.ac.jp オープンソースプロジェクトはソフトウェアのソースコードが公開されているソースコードとは一般の製品で言うところの詳細設計図であるソースコードは関数の呼び合いとして記述されている親関数が関数内部で子関数を呼ぶこのような構造をグラフ表現したものをコールグラフといい行列表現したものを構造行列と呼ぶ構造行列を縮約化という技法を使ってやることで関係構造情報を ( なるべく ) 残したままサイズの小さい行列へと変換できる縮約化にはいくつかアルゴリズムがあるが今回は CONCOR というアルゴリズムを用いた実際のデータを用いた検証によると分割レベルによってモジュール度が異なる 2 おなじ製品でもマイナーバージョン毎にモジュール度に大きな変化があるということがわかった今後この手法を用いた実証研究が望まれる設計構造を見るためにブロックモデルを使う 2 イメージ行列の見方大きな構造行列を構造行列のもつ関係構造を残しつつ小さな行列にすることを縮約化 ( ブロックモデル ) と呼ぶ縮約化された結果の行列をイメージ行列と呼ぶ縮約化のアルゴリズムにはいくつかあり STRUCTURE(Burt, 976), CONCOR(Schwartz, 977) などが有名今回はCONCORアルゴリズムを採用オリジナル行列行列 2 ブロックブロックモデルモデル 3 イメージ行列行列関数 A, B 関数 C, E, F 関数 D, G A B C D E F G A B 2 3 C D E 2 F 3 G 密度が高い部分 = 低い部分 = 完全モジュール型 2 3 要素は要素にしか依存していない ( 自ブロック内部で完結している ) 2 要素 2 要素 3についても同様 3 インテグラル型 2 3 要素は要素とともに要素 2 要素 3にも依存している 2 3 モジュールが成立していない例 2 3 要素は要素に依存していない = 要素に関してはモジュールとして成立していない 2 共通部品などに見られるタイプ 3 Apache アーキテクチャ指数の推移 ( 分割レベル別 ) まとめと今後の課題アーキテクチャ指数 ( に近づくほどインテグラル ) アーキテクチャ指数の変化 ( 分割レベル別 ) プロジェクト番号 4 x 4 分割 8 x 8 分割 6 x 6 分割 32 x 32 分割 64 x 64 分割 28 x 28 分割まとめオープンソースのソフトウェアを研究対象にすることで開発ログやソースコードから様々な情報を得ることができるソースコード ( 設計情報 ) が公開されているので製品の内部構造まで分析することができる構造行列の縮約という手法を用いることで設計構造そのものを分析対象とすることができるアーキテクチャ指数を定義してやることでプロジェクト間の時系列的なアーキテクチャの変化を数量化してやることができた構造行列の縮約レベル ( 分割レベル ) によって構造の変化が異なる可能性があるのでどのレベルでの分析なのかを注意する必要が有る今後の課題アーキテクチャ指数など設計構造にかかわる変数と開発プロセス変数組織変数パフォーマンス変数との関係を調査することが必要 486

5 ものづくり寄席第十四回 24 年 9 月 6 日ものづくりのカイゼン販売営業活動への活用は? トヨタ生産方式の自動車販売業への活用田中正 2 COE tady7@yahoo.co.jp. カイゼンの状況生産の現場とお客様商売の営業活動とは別だといってメーカーのカイゼン提案を必ずしも受け止めない会社もある中で神奈川県のトヨタ販売会社 ( 神奈川トヨタ自動車 ) がカイゼンに取り組んだ同社のご協力を得ながら 3 年間のカイゼンの取り組みを観察し一般化を考えたい観察には藤本ゼミ松尾ゼミ ( 都立大 ) の学生 4 名も 2 店舗で就業学習観察実施同社は BR: ビジネスリボリューションと名づけ下記を推進 () 車検作業の標準化効率化 ( クオリティー 45 分車検 ) (2) 営業とサービススタッフの職種一体化多能工化組織の水平統合 (3) お客様へのサービス商品の提案営業活動のカンバン見える管理 (4) データベースとしての IT 活用結果サービス売り上げお客様の来店増加社員のカイゼンマインド向上などの成果をあげつつある 2. 表層深層の競争力と裏層の非競争力カイゼンによる表 ( お客様 ) から見える表層の競争力増加の背景にカイゼンのツールとしてのシステムツールを活用するアクション社員のマインドなどの深層の競争力があるしかし深層のプラス面の裏に裏層の非競争力ともいうべきカイゼンを阻むマイナス面もある従来のやり方に固執しがちなベテランスタッフ現場の都合のよい解釈悪い情報はトップに上げないなどこれらをいかに克服してカイゼンを推進するかトップの強い意思店長のリーダーシップ社員のマインドづくり人づくりなど継続的かつ根気の要る取り組みと組織能力が求められる 3. マーケティングとの関係カイゼンもマーケティングもお客様の求めることに対応する組織活動しかしお客様の求めることがなにかがわからないことが多いこれはと思うもの ( 商品サービス店舗でのイベントなど ) を提案しお客様の参加反応からヒントを得るお客様との共創が課題と考える 487

6 ものづくり寄席第十五回 24 年 9 月 9 日家電の旧道新道善本哲夫 2 COE yoshimoto@mmrc.e.u-tokyo.ac.jp 家電事業では韓国中国企業の台頭が著しい日本企業にとって先端要素技術を駆使した製品が救世主になるかどうかは疑問である先端要素技術でいつまで逃げ切ることができるのか? 近年の生産革新は成熟製品枯れた技術でいかにアジア企業に抗しうるかがポイントのひとつになっている 99 年代半ばから 24 年現在セル生産は日本企業の生産革新の代名詞になったセル生産は生産革新のひとつの解ではあるがすべてではない新たに導入する生産思想と自らが持つ生産製品技術の摺り合わせが重要であるセル生産思想は多様な解を模索する契機になったことに意義があるセル生産導入ブームに踊らされていないか? セルの進化よりも自分たちの製品の技術特性 ( 製品生産 ) 市場特性の分析再評価と他産業業種から学ぶことで生産思想を深化させることが重要であると思っている近年の生産革新がバブルとなりはじけないことを願うばかりであるデジタル家電が救世主? 日本でしか生産できない高付加価値製品?? いつかはアジア企業も追いついてくる DVDや液晶テレビもすでに韓国中国企業が生産いつまでも最先端高付加価値で勝負するのか? メートルを全速力で走る 42.95キロを全速力で走れるか? いつかは息切れするセルは万能の救世主??? なんでもかんでもセル生産を導入すれば救われるのか? 自分たちの生産する製品の特性や市場条件技術条件がはどうなっているのかきちんと分析したのか? みんなが成功事例を真似る : 表面だけの型枠導入が多くないか? 生産思想の深化コンベアを取っ払うことが生産革新ではないセルを導入することが先進的ではないこの年でトライした事項深めた考え自社製品市場技術を再評価セルの進化というよりも生産思想の深化多様な解をチョイスできる選択検討可能性の幅が広がった 488

7 ものづくり寄席 489 第十六回 24 年 9 月 3 日ものづくりから見たホンダの原点と進化パート伊藤洋 2 COE h-ito@iris.ocn.ne.jp 日本で 4 輪車生産最後発のメーカーであるホンダが競争の激しい業界の中でなぜ生き残れ成長してきたかカタログや数値で表される商品そのものが表の競争力としてユーザーに受け入れられたことは当然であるしかしそれを支えてきた裏の競争力即ち創業者のものづくりの哲学が重要な役割を果たしていた創業以来数回の危機を乗り越え規制をチャンスにそのたびに成長してきたホンダの姿が浮き彫りになったトヨタのようにトヨタシステムと言われるような学問的に認められるホンダシステムはないが場面に応じて柔軟にベクトルを合わせられるところが強みなのかトップが変わっても変わらない理念人間尊重と三つの喜びを求心力にし車の進化と共にシステムやソフト領域で裏の競争力を高め今のホンダを作り上げている歴史キーワードとしての能力構築競争競争紛争組織能力設計情報の転写進化組合 :UAW

8 ものづくり寄席第十七回 24 年 9 月 6 日トヨタ生産システムの源流松井幹雄 mmatsui@ner.takushoku-u.ac.jp 日本のものづくりの強さと結びつけられるトヨタ生産システムの源流は何処にあったのかトヨタの創業者豊田喜一郎は機械設計技術者として紡績業の生産技術システムの発展に深く関わった紡績業は明治中期以降ダイナミックな発展を遂げ 93 年代には英国ランカシャーに代わって世界市場をリードする産業になった紡績業の競争力は低賃金女子労働や政府の産業政策に求められてきたが多品種多量生産と品質管理現場主義の経営が大きな貢献をしているしかも英米の紡績生産システムと異なる独自の発展を遂げていたこれらの事情を熟知していた喜一郎は量産効果に頼らぬ生産性の向上をめざすという狭隘な日本市場に適応する自動車生産に関する野心的な構想を描き現在のトヨタ生産システムの原点を明確にしたそして彼の構想の実現に携わった大野耐一はベテランの紡績生産技術者であった二人のキーパーソンと豊田紡織および豊田自動織機を媒介にして戦前に日本紡績業で完成した生産システムの方式やノウハウが自動車生産の現場に移転された 49

9 赤門マネジメントレビュー編集委員会編集長新宅純二郎編集委員阿部誠粕谷誠片平秀貴高橋伸夫藤本隆宏編集担当西田麻希赤門マネジメントレビュー 3 巻 9 号 24 年 9 月 25 日発行編集東京大学大学院経済学研究科 ABAS/AMR 編集委員会発行特定非営利活動法人グローバルビジネスリサーチセンター理事長片平秀貴東京都千代田区丸の内

Microsoft Word - 11　進化ゲーム

Microsoft Word - 11　進化ゲーム . 進化ゲーム 0. ゲームの理論の分類これまで授業で取り扱ってきたゲームは協ゲームと呼ばれるものであるこれはプレイヤー同士が独立して意思決定する状況を表すゲームでありふつうゲーム理論といえば非協力ゲームを表すこれに対してプレイヤー同士が協力するという前提のもとに提携形成のパタンや利得配分の在り方を分析するゲームを協ゲームというもっとも社会現象への応用可能性も大きいはずなのに