上原記念生命科学財団研究報告集, 28 (2014)

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1 上原記念生命科学財団研究報告集, 28 (2014) 62. 卵母細胞の老化が染色体分配を誤らせる機構 北島智也 Key words: 卵母細胞, 減数分裂, ライブイメージング, 老化 理化学研究所発生 再生科学総合研究センター染色体分配研究チーム 緒言卵母細胞の減数第一分裂における染色体分配エラーの頻度は, 母体年齢とともに上昇する 1). 染色体分配エラーは染色体数異常の卵子を生み, そのような卵子は受精したとしても多くが流産となり, 出産まで至った場合にはダウン症などの先天性疾患を引き起こす. このことは出産年齢が高まる現代社会において 卵子の老化 として広く認識され始め, 社会的関心も高まってきた. しかしながら, なぜ年齢に依存して染色体分配エラーが増加するのかは, 分かっていない. 最近のマウス卵母細胞をモデルに用いた解析からは, 染色体接着因子コヒーシンが老化とともに減少することが分かってきた 2-4). コヒーシンは, 胎児期にある減数分裂前 DNA 合成期に, 姉妹染色分体間の接着を確立する. 卵母細胞はその後, 減数第一分裂前期を経て dictyate 期と呼ばれる長期間の細胞周期停止状態に入る.dictyate 期は出生から排卵直前まで続くため, マウスでは十数ヶ月, ヒトでは数十年にも及ぶ長い期間である. この dictyate 期においてはコヒーシンが新たに姉妹染色分体間の接着を確立することはない 5,6) ため, 年齢依存的にコヒーシンが失われていく. しかしながら, この老化依存的なコヒーシン減少が, 染色体分配エラーの主要な原因であるという直接的な証拠はない. これまで, コヒーシン減少により姉妹動原体間の構造が脆弱になることで, 動原体と微小管の接続に誤りを引き起こし, 染色体分配エラーに至るという仮説が提案されている. しかしながらこの仮説では, ヒトの多型解析によって示されている, 相同染色体間の組み換えが分配エラーの確率に影響する 1) ことを説明できない. したがって, 老化した卵母細胞の減数第一分裂において, どのように染色体分配エラーが引き起こされるのかは未だに不明である. そこで本研究では, 老化したマウスから得られた卵母細胞において, どのように減数第一分裂で染色体分配エラーが起こるのかを高解像度ライブイメージングにより観察し, 分配エラーの原因を同定することを目的とした. 方法および結果若いマウスから得られた卵母細胞では減数第一分裂における染色体分配エラーはほとんど観察されないのに対し, 老化したマウス (~16 月齢 ) から得られる卵母細胞では染色体分配エラーが 10% 程度の確率で起こる. 本研究におけるライブイメージングでは, 以下を達成することで, 染色体分配エラーの原因を解明することを目指した. まず, 卵母細胞に動原体マーカー 2mEGFP-CENP-C と染色体マーカー H2B-mCherry をコードする mrna をマイクロインジェクションし, 動原体と染色体を可視化する. これらを減数第一分裂を通してライブイメージングすることで,1) 老化した卵母細胞のうち, 実際に染色体分配エラーに至った卵母細胞を同定する.2) その卵母細胞の中で実際に分配エラーとなった染色体を減数第一分裂を通して追跡する.3) 追跡結果から, エラーに至った染色体が特徴的に持つ動態を定量的に見出す. そのような特徴的な動態が, 分配エラーの原因であると考えられる. これらを達成するためには, 多数の卵母細胞を同時にライブイメージングし, かつ減数第一分裂を通してすべての染色体を追跡できるほどの高解像度な動画を得ることが求められる. 我々は, これまでに確立した自動化したレーザー共焦点顕微鏡 7) を改良し, それぞれの卵母細胞において全ての染色体を追跡できるほどの時空間的解像度と, 一回の実験で 30 個程度の卵母細胞をイメージングできるハイスループット能力を併せ持つライブイメージングの系を確立した ( 図 1). これを用いることで, これ 1

2 までに老化したマウスから得られた卵母細胞を約 100 個イメージングし 対照としておよそ同数の若いマウスから得ら れた卵母細胞をイメージングした 図 1 確立されたハイスループットかつ高解像度なマウス卵母細胞のライブイメージング 染色体 赤 動原体 緑 Scale bar : 5μm まず 老化したマウスから得られた卵母細胞が共通して示す染色体動態の特徴がないかを 若いマウスから得られた 卵母細胞と定量的に比較することで調べた 卵母細胞の減数第一分裂における核膜崩壊から染色体分配までの過程は その染色体動態をもとに 4 つのフェーズに分けられる 7) フェーズ1では 染色体は凝集後 微小管球の表面に移動す る フェーズ2では 染色体は微小管球の表面を滑るように赤道面へ移動し 特徴的な染色体の空間的配置である前中 期ベルトを形成する フェーズ3では微小管球が伸長して両極性の紡錘体となるとともに 染色体が紡錘体の両極へ伸 長して両方向性を獲得する フェーズ4では 紡錘体の赤道面における染色体の整列が維持される その後 染色体は 紡錘体の両極へ分配される 2

3 動原体を追跡することでこれらのフェーズにおける染色体動態を解析し, 老化した卵母細胞と若い卵母細胞の間で比較したところ, フェーズ1~3において差異は見出されなかった. 一方, フェーズ4においては, 老化した卵母細胞でのみ過度に伸長した染色体が多く観察された ( 図 2). それらの染色体における H2B-mCherry シグナルはその中心部で間隙が見られ, 一つの染色体が二つに分かれたように見受けられたものの, 染色体上の両末端に位置する二つの動原体は相関した振動を示していたため, これらは物理的なつながりを維持しているものと考えられた. また, 分裂後期において, 若い卵母細胞ではすべての相同染色体が同調的に分離し, 紡錘体の両極に染色体が分配されていくのに対して, 老化した卵母細胞では, 相同染色体分離の同調性が低いものが多く見られた ( 図 3). 図 2. 老化したマウスから得られた卵母細胞における染色体の異常伸長 ( 矢頭 ). 染色体 ( 紫 ), 動原体 ( 緑 ).1 ユニット : 4μm. 3

4 図 3. 老化したマウスから得られた卵母細胞における染色体の非同期的な分離. 染色体 ( 紫 ), 動原体 ( 緑 ).Scale bar : 5μm. 考察 今回の研究により, 老化した卵母細胞に特徴的な染色体動態として二点を見出した. 一つは, 減数第一分裂中期 ( フ ェーズ 4) において染色体が異常に伸長することであり, もう一つは, 分裂後期において相同染色体分離の同調性が低 下することである. これらの観察は, 最近の報告と一致する 8). 今回報告した, 老化した卵母細胞に特徴的な染色体動態は, 染色体分配エラーに至らなかった卵母細胞においても共 通して見られるものであり, 分配エラーを引き起こすのに十分なものではないと考えられる. 分配エラーを引き起こす 直接的な原因の同定には, 老化した卵母細胞で実際に分配エラーに至った染色体を追跡し解析する必要があるが, 今回 の研究においてその技術的基盤は整えられた. 今後, 老化した卵母細胞の観察数を増やし, 分配エラーに至る染色体の 追跡結果を多数収集して定量的に解析することで, 分配エラーの直接的な原因を解明することができるだろう. 共同研究者 本研究の共同研究者は, 理化学研究所発生 再生科学総合研究センター染色体分配研究チームの榊原揚悟博士である. 最後に, 本研究にご支援を賜りました上原記念生命科学財団に深く感謝いたします. 文献 1) Nagaoka, S., Hassold, T. & Hunt, P. : Human aneuploidy: mechanisms and new insights into an age-old problem. Nat. Rev. Genet., 13 : , ) Liu, L. & Keefe, D. : Defective cohesin is associated with age-dependent misaligned chromosomes in oocytes. Reprod. BioMed. Online, 16 : , ) Chiang, T., Duncan, F., Schindler, K., Schultz, R. & Lampson, M. : Evidence that weakened centromere cohesion is a leading cause of age-related aneuploidy in oocytes. Curr. Biol., 20 : , ) Lister, L., Kouznetsova, A., Hyslop, L., Kalleas, D., Pace, S., Barel, J., Nathan, A., Floros, V., Adelfalk, C., Watanabe, Y., Jessberger, R., Kirkwood, T., Höög, C. & Herbert, M. : Age-related meiotic segregation errors in mammalian oocytes are preceded by depletion of cohesin and Sgo2. Curr. Biol., 20 : , ) Revenkova, E., Herrmann, K., Adelfalk, C. & Jessberger, R. : Oocyte cohesin expression restricted to predictyate stages provides full fertility and prevents aneuploidy. Curr. Biol., 20 : , ) Tachibana-Konwalski, K., Godwin, J., van der Weyden, L., Champion, L., Kudo, N., Adams, D. & Nasmyth, K. : Rec8-containing cohesin maintains bivalents without turnover during the growing phase of mouse oocytes. Genes Dev., 24 : , ) Kitajima, T., Ohsugi, M. & Ellenberg, J. : Complete kinetochore tracking reveals error-prone homologous chromosome biorientation in mammalian oocytes. Cell, 146 : ,

5 8) Yun, Y., Lane, S. & Jones, K. : Premature dyad separation in meiosis II is the major segregation error with maternal age in mouse oocytes. Development, 141 : ,

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