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1 熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repositor Title 妊娠早期胞状奇胎の臨床的特徴ならびに流産後の管理指 針に関する検討 Author(s) 三好, 潤也 Citation Issue date Type URL Thesis or Dissertation Right

2 学位論文 Doctoral Thesis 妊娠早期胞状奇胎の臨床的特徴ならびに 流産後の管理指針に関する検討 (Early-stage hydatidiform mole: clinical manifestations and the managements for the early diagnosis of following persistent trophoblastic disease) 三好潤也 Junya Miyoshi 指導教員 片渕 秀隆教授 熊本大学大学院医学教育部博士課程医学専攻産科婦人科学 2011 年度 1

3 学位論文 Doctoral Thesis 妊娠早期胞状奇胎の臨床的特徴ならびに流産後の管理指針に関する検討 (Early-stage hydatidiform mole: clinical manifestations and the managements for the early diagnosis of following persistent trophoblastic disease) 三好潤也 Junya Miyoshi 指導教員名 熊本大学大学院医学教育部博士課程医学専攻産科婦人科学 片渕秀隆教授 審査委員名 : 泌尿器科学 江藤正俊教授 小児科学 遠藤文夫教授 分子病理学山本哲郎教授 小児科学 中村公俊講師 2011 年度 2

4 目次 目次 2 要旨 3 発表論文リスト 5 謝辞 8 略語 9 1. 研究の背景と目的 10 1) 胎盤の発生と胞状奇胎の定義 診断 治療 2) 妊娠早期胞状奇胎の特徴ならびに診断における問題点 2. 研究の対象と方法 20 1) 妊娠早期胞状奇胎の臨床像と転帰 2) 妊娠早期部分胞状奇胎の鑑別診断 3. 結果 22 1) 妊娠早期胞状奇胎の臨床像 2) 妊娠早期胞状奇胎の超音波断層法所見 3) 妊娠早期部分胞状奇胎の鑑別診断 4) 妊娠早期胞状奇胎に続発する存続絨毛症の診断 (1) 流産後の血中 hcg 値の推移についての準備的検討 (2) 妊娠早期胞状奇胎における奇胎除去術後の血中 hcg 値の推移 (3) 妊娠早期胞状奇胎に続発する存続絨毛症 4. 考察 今後の展望 結語 参考文献 45 3

5 要旨 [ 目的 ] 胞状奇胎は受精過程の異常により発生し 栄養膜細胞の異常増殖と間質の浮腫を特徴とする疾患で 絨毛癌などの続発症を発症する危険性がある 医学の進歩により極早期に妊娠が診断されることから 臨床的に胞状奇胎と診断される前に掻爬術が施行される妊娠早期の胞状奇胎が増えている このような症例では胞状奇胎に典型的な肉眼所見で確認できず 病理組織検査が行われなかった場合には看過されてしまう 妊娠早期胞状奇胎の臨床像を把握し 血中ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hcg) 値の推移を指標として胞状奇胎後の存続絨毛症を早期発見するための管理指針について検討することを目的とした [ 方法 ] 熊本大学医学部附属病院産科婦人科で 超音波断層法と肉眼所見のいずれにおいても胞状奇胎の像を呈さず 病理組織学的検討によって初めて胞状奇胎と診断された 35 例の臨床像を検討した 血中 hcg 値は子宮内容除去術後に週に 1 回測定を行った 子宮内容物の病理組織学的検討で胞状奇胎が否定され 血中 hcg 値がカットオフ値である 0.5mIU/ml を下回るまで追跡が可能であった流産症例 24 例 ( 流産群 ) を対照として 臨床像 ( 年齢 妊娠週数 カットオフ値までの期間 初回月経開始までの期間 ) と血中 hcg 値の推移を比較検討した [ 結果 ] 妊娠早期胞状奇胎 35 例の病理組織学診断で 部分胞状奇胎 2 例 診断不一致 1 例を除外し 全胞状奇胎 32 例 ( 妊娠早期胞状奇胎群 ) を対象とした 子宮内容除去術を行った時点での流産群の血中 hcg 値は 31,205mIU/ml に対し 妊娠早期胞状奇胎群は 110,804mIU/ml と有意に高値であった (P<0.001) 妊娠早期胞状奇胎群 32 例のうち 奇胎娩出後に順調な経過を辿り血中 hcg 値が陰性化した胞状奇胎 ( 経過順調群 ) は 24 例 血中 hcg 値が陰性化せず存続絨毛症を続発した胞状奇胎 ( 存続絨毛症群 ) は 8 例であった 手術時の経過順調群の血中 hcg 値は 96,999mIU/ml と流産群に比較し有意に高値であった (P<0.01) 血中 hcg 値がカットオフ値を下回る 4

6 までの期間は経過順調群が 74 日 流産群が 60 日 (P=0.08) で 術後初回の月経が発来するまでの期間は経過順調群が 35 日 流産群が 34 日 (P=0.60) といずれも差はなかった 術後の月経発来を指標として血中 hcg 値の陰性化を検討すると 月経回数を繰り返す毎に経過順調群 流産群ともに血中 hcg 値が陰性化する症例が増加し 3 回目の月経後には両群ともに全例がカットオフ値まで低下した 手術時の存続絨毛症群の血中 hcg 値は 391,505mIU/ml で 経過順調群に比較し妊娠週数 (P<0.001) と血中 hcg 値 (P<0.01) が有意に高値であった 存続絨毛症群では術後 4 週間後の血中 hcg 値は 25mIU/ml 以下に低下することはなかった [ 考察 ] 妊娠早期胞状奇胎は胞状奇胎としての典型的な臨床的 肉眼的 および画像所見を欠く 妊娠早期胞状奇胎からも存続絨毛症が発生する危険性があるが 子宮内容除去術の術後 4 週間目の血中 hcg 値が 25mIU/ml 以下に低下し 術後 3 回目の月経後に血中 hcg 値が陰性化することは存続絨毛症を否定する上で有意義な所見であると考えられた 5

7 発表論文リスト 1 関連論文 Miyoshi J, Ohba T, Fukunaga M, and Katabuchi H. Clinical Features of Early-Stage Nonhydropic Mole for Diagnosis of Persistent Trophoblastic Disease. Obstet Gynecol 118: , その他の論文三好潤也 市原憲雄 内野貴久子 大場隆 片渕秀隆. 流産後の血中 hcg の推移 胞状奇胎後 hcg 存続症診断の指標として. 産婦治療 93: , 2006 三好潤也 大場隆 片渕秀隆. 初期胞状奇胎の診断と管理 胞状奇胎後 hcg 存続症診断の指標について. 産婦の実際 57: , 2008 三好潤也 大場隆 片渕秀隆. 初期胞状奇胎の流産後管理. 産と婦 76: , 2009 大場隆 三好潤也 片渕秀隆. 早期胞状奇胎の診断. 産婦治療 99: ,

8 大場隆 三好潤也 片渕秀隆. 絨毛性疾患の病態 病因論 : 胞状奇胎 侵入奇胎. 臨床婦人科産科 65: , その他の論文 Ohba T, Yoshimura T, Araki M, Miyoshi J, Yonemura Y, Matsuura K, and Okamura H. Aplastic anemia in pregnancy: treatment with cyclosporine and granulocytecolony stimulating factor. Acta Obstet Gynecol Scand 78: , 1999 大場隆 三好潤也 岩政仁 岡村均. 産褥子宮内感染症. 産婦治療 90: , 2005 大場隆 三好潤也 永吉裕三子 内野貴久子 岡村佳則 岡村均. 妊娠中期の羊水穿刺に対する経口抗生剤 CFPN-PI の有用性に関する検討. 産婦治療 92: , 2006 三好潤也 永吉裕三子 大場隆 三渕浩. HELLP/AFLP 母体から出生した児の脂肪酸代謝異常症についての検討 10 児の追跡調査. 日周産期 新生児会誌 43:35-38,

9 髙石清美 本田律生 三好潤也 田代浩徳 大場隆 片渕秀隆. 妊娠 出産により軽快した肺子宮内膜症の 2 例. エンドメトリオーシス研会誌 29: , 2008 小山淳子 内野貴久子 三好潤也 田浦 ( 永吉 ) 裕三子 大場隆 三渕浩 片渕秀隆. 体外受精 胚移植によって成立し 1 児が先天性筋強直性ジストロフィーを呈した二絨毛膜性双胎妊娠の 1 例. 日周産期 新生児会誌 44: , 2008 Takaishi K, Miyoshi J, Matsumura T, Honda R, Ohba T, and Katabuchi H. Hypertriglyceridemic acute pancreatitis during pregnancy: Prevention with diet therapy and ω-3 fatty acids in the following pregnancy. Nutrition 25: , 2009 大場隆 三好潤也 片渕秀隆. 妊娠中の消化器疾患. 周産期医学 40: , 2011 三好潤也 大場隆 片渕秀隆. 妊娠中の肝 胆 膵疾患. 周産期医学 40: ,

10 謝辞 本研究を進めるにあたり ご指導を頂いた学位論文指導教員の片渕秀隆教授に深甚なる謝意を捧げます また 日常の議論を通じて知識や示唆を頂いた大場隆准教授に厚く感謝致します 症例の病理学的解析にあたり 東京慈恵会医科大学第三病院病理部の福永眞治教授には症例の病理診断を快く受けて頂き 助言を賜り 心より感謝致します さらに 研究に協力して頂きました熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学および熊本大学医学部附属病院産科婦人科の皆様に感謝致します 9

11 略語一覧 hcg: human chorionic gonadotropin PTD: persistent trophoblastic disease ヒト絨毛性ゴナドトロピン 存続絨毛症 10

12 1. 研究の背景と目的 1) 胎盤の発生 ならびに胞状奇胎の定義 診断 治療正常な1 倍体の精子と卵子が受精すると 受精卵は卵割を繰り返し胚盤胞になり その外側の細胞層として栄養膜細胞 ( トロホブラスト ) から成る栄養膜が形成される 子宮内膜への着床が始まると栄養膜細胞は細胞性栄養膜細胞と合胞体栄養膜細胞に分化する これらの栄養膜細胞から成る絨毛膜は子宮内膜由来の基底脱落膜側では増殖し絨毛膜有毛部となり 脱落膜と共に胎盤を形成するようになる ( 図 1) 図 1. ヒト胎盤の構築 細胞性栄養膜細胞と合胞体栄養膜細胞から成る絨毛膜は子宮内膜由来の脱落膜と 共に胎盤を形成している 正常の栄養膜細胞は組織学的に絨毛性の細胞性栄養膜細胞と合胞体栄養膜細 胞および絨毛外性の中間型栄養膜細胞に分類される ( 図 2 左 ) 絨毛性疾患はこの 11

13 栄養膜細胞が異常増殖を来した疾患の総称で 胞状奇胎 侵入胞状奇胎 絨毛癌 胎盤部トロホブラスト腫瘍 類上皮トロホブラスト腫瘍ならびに存続絨毛症の 6 つに分 類される 1) 図 2. 妊娠初期胎盤絨毛の組織像 x40 x40 ヘマトキシリン エオジン染色 左 : 正常絨毛 ( 妊娠 11 週 ) 右 : 全胞状奇胎 ( 妊娠 8 週 ) 胞状奇胎は絨毛における栄養膜細胞の異常増殖と間質の浮腫を特徴とする ( 図 2 右 ) 本邦においては嚢胞化絨毛が肉眼的に短径 2mm を超えることが胞状奇胎の診断根拠とされたが その診断は肉眼的所見によってなされ 組織学的検査は必ずしも必要ではなかった 2011 年 7 月に改定された 絨毛性疾患取扱い規約第 3 版 1) において 後述する理由 (16 頁, 38 行 ) から胞状奇胎の診断は肉眼所見ではなく組織学的所見に基づき 診断が困難な場合には免疫組織学化学的検査あるいは遺伝子検査を行うことが望ましいと変更された 胞状奇胎は 全ての絨毛が嚢胞化している全胞状奇胎と 嚢胞化絨毛と正常絨毛あるいは胎児成分の両者が認められる部分胞状奇胎に分類され その発生機序は異なっている 全胞状奇胎は雄核発生 ( 父性全ゲノムダイソミー ) で 全胞状奇胎の 75-80% では核が不活性または欠如した卵子に 23,X の 1 倍体の精子が受精し その 12

14 後にゲノムが 2 倍体化して染色体数は 46,XX となる 残る 20-25% は 核のない卵子にいずれか一方が 23,X である 2 精子が受精することによって生じ 染色体は 46,XX または 46,XY となる ( 図 3) 23,Y の 1 倍体精子ゲノムが倍化した胚 (46,YY) は発生し得ない 図 3. 全胞状奇胎の発生機序 精子 卵子 遺伝型 表現型 一精子受精 ( 75-80% ) 二倍体 ( 父性片親ダイソミー ) 全胞状奇胎 二精子受精 ( 20-25% ) 二倍体 ( 父性片親ダイソミー ) 全胞状奇胎 ( 予後不良型?) 二倍体精子受精 ( まれ ) 二倍体 ( 父性片親ダイソミー ) 全胞状奇胎 NALP7 ホモ変異? 二倍体 ( 両親型 ) 全胞状奇胎 ( 大場隆 三好潤也ら. 臨床婦人科産科 65: , ) ) 全胞状奇胎は 核が不活性または欠如した卵子に精子が受精する雄核発生が主な発生 原因である ごく一部に両親の NALP7 にアレル変異 ( ) があり 両親型の全胞状奇胎となる いっぽう部分胞状奇胎は 主として 1 倍体の卵子に 2 精子 または 2 倍体の精子 が受精することにより発生し 染色体は父由来のゲノム 2 コピーを有する 69,XXX ま たは 69,XXY の 3 倍体となる ( 図 4) 13

15 図 4. 部分胞状奇胎の発生機序 精子卵子遺伝型表現型 二精子受精 三倍体 (diandric) 部分胞状奇胎 二倍体精子受精 ( まれ ) 三倍体 (diandric) 部分胞状奇胎 二倍体卵子受精 三倍体 (digynic) 子宮内胎児発育不全 ( 大場隆 三好潤也ら. 臨床婦人科産科 65: , ) ) 1 倍体の卵子に 2 精子 または 2 倍体の卵子に 1 倍体の精子が受精する ことにより発生し 染色体は 69,XXX または 69,XXY の 3 倍体となる 超音波断層法は妊娠中の画像診断として広く施行されている 超音波断層法による胞状奇胎の診断が始まった頃は 奇胎嚢胞は高輝度の点状エコーとして描出されていたため吹雪状 snow storm pattern と表現された 現在の超音波断層法装置は解像度が向上し 一つ一つの奇胎嚢胞を捉えることができるようになり multibubble pattern または multivesicular pattern が胞状奇胎の典型的な超音波断層法所見 ( 図 5) とされている 生化学検査においては 異常増殖した栄養膜細胞から分泌される hcg が絨毛性疾患のマーカーであり 正常妊娠に比し異常高値を示すことが多い 14

16 表 1. 全胞状奇胎における臨床症状 所見の変遷 症状 所見 (n=306) (n=74) 性器出血 97% 84% 子宮の腫大 51% 28% 貧血 54% 5% 子癇前症 27% 1.3% 妊娠悪阻 26% 8% 甲状腺機能亢進症 7% 0 呼吸障害 2% 0 無症状 0 9% (Soto-Wright V, et al ) ) 図 5. 典型的な全胞状奇胎の超音波断層法 肉眼所見 左 : 経腹超音波断層法像 ( 妊娠 11 週 ) 子宮内に無数の小嚢胞が観察され multivesicular pattern を呈している 右 : 絨毛の肉眼所見 奇胎嚢胞がぶどう状に観察される 全胞状奇胎 部分胞状奇胎 および水腫様流産の病理組織学的鑑別 4) を表 2 に示 す 全胞状奇胎 部分胞状奇胎は ともに栄養膜細胞の増殖および間質の浮腫が特 徴的で 全胞状奇胎では 絨毛の全体に水腫様変化がみられ 部分胞状奇胎では 15

17 一部に正常絨毛を残して 有核赤血球などの胎児成分が観察される 水腫様流産は 本邦の 絨毛性疾患取扱い規約第 2 版 5) では顕微鏡的奇胎に含まれ 胞状奇胎とは 別に扱われていた 表 2. 全胞状奇胎 部分胞状奇胎および水腫様流産の病理組織学的鑑別 全胞状奇胎部分胞状奇胎水腫様流産 絨毛の肉眼所見 びまん性 かつ著明な腫大 部分的な腫大 全胞状奇胎に比べ小さい 絨毛の腫大は認められないことが多い 胎児成分 認められない 認められることが多い 絨毛の水腫様変化 絨毛全体に及ぶ 部分的で 正常の絨 毛を残す 殆ど認められない 部分的 あるいは顕微鏡的 トロホブラストの極性 絨毛の全周にわたる 絨毛の全周にわたる Anchoring villi に認め られる トロホブラストの増殖 異型性 軽微から著明まで多様認められることが多い 部分的 軽微 まれ Anchoring villi に限局するなし (Mazur MT and Kurman RJ ) を改変 ) 胞状奇胎が臨床的に診断された場合には麻酔下に胎盤鉗子あるいは吸引装置を用いて胞状奇胎の除去を行った後 子宮内壁を掻爬し 超音波断層法で子宮内腔に胞状奇胎組織が除去されたことを確認し手術を終了する さらに 1 週間後に同様の方法で再度子宮内の掻爬を行い 奇胎組織の遺残がないことを確認する 胞状奇胎除去後の管理は 1 次管理と 2 次管理に分けられる 1 次管理は胞状奇胎除去後 hcg 値が測定感度以下に至るまでのもので 2 次管理は1 次管理終了後に続発性疾患の発症を早期に発見することを目的としている 胞状奇胎除去後の管理は 侵入奇胎や絨毛癌を早期発見 治療する上で重要である 具体的には 従来の 16

18 絨毛性疾患取扱い規約では 1 次管理は奇胎絨毛を除去し その後に 1 2 週間毎に hcg 値の推移を観察して 初回手術より 5 週で hcg 値が 1000mIU/ml 以下 8 週で 100mIU/ml 以下 20 週 ( 絨毛性疾患取扱い規約第 3 版 1) では 24 週 ) までにカットオフ値以下に低下することを確認することになっている ( 図 6) 図 6. 胞状奇胎娩出後の hcg 値の減衰パターンの分類 hcg 値 (miu/ml) カットオフ値 判別線 II 型 ( 経過非順調型 ) I 型 ( 経過順調型 ) 奇胎娩出 5 8 奇胎娩出後週数 24 週 ( 絨毛性疾患取扱い規約第 3 版 1) を改変 ) 胞状奇胎娩出後 5 週で 1000mIU/ml 8 週で 100mIU/ml 24 週でカットオフ値の 3 点を結ぶ線を判別線とし いずれの時点でもこの線を下回る場合を経過順調型 いずれか 1 つ以上の時点でこの線を上回る場合を経過非順調型と分類する 各々のチェックポイントで基準値を下回る場合は経過順調型 いずれか一つ以上の時点で基準値を超える場合には経過非順調型に分類される 5) 2 次管理は 1 次管理が終了した後の hcg の再上昇の有無を観察する 全胞状奇胎娩出後に無治療で経過観察した場合 全胞状奇胎の約 10% 部分胞 17

19 状奇胎の約 1% が侵入奇胎を続発する 6) 侵入胞状奇胎は胞状奇胎絨毛が子宮筋層あるいは筋層の血管への侵入像を示すものを言い 絨毛癌は異型性を示す栄養膜細胞の異常増殖からなる悪性腫瘍で いずれも組織学的検査によって確定診断される 侵入奇胎や絨毛癌が臨床的に疑われるが組織学的検査で確認できない場合は存続絨毛症と診断され 奇胎後 hcg 存続症 臨床的侵入奇胎 臨床的絨毛癌の 3 つに分類される これらは先行妊娠 潜伏期間 転移部位 肺転移巣 hcg 値 基礎体温の各項目を点数化する絨毛癌診断スコアによって診断され 主にメトトレキサートなどによる化学療法が行われる 胞状奇胎娩出後の適切な管理は 侵入奇胎や絨毛癌を早期発見 治療する上で重要である 先行妊娠から侵入奇胎発症までの期間は多くの場合 3 ヶ月以内と比較的短く 胞状奇胎娩出から絨毛癌発生までの期間は 42% が 1 年 72% が 2 年以内 累積百分率が 93% に達するのは 4 年で 胞状奇胎の寛解後 4 年を経ても 6.6% の絨毛癌の発生がある 7) 胞状奇胎の一次管理に血中 hcg-β-ctp 測定が導入されて以来 一次管理で寛解に至った症例には絨毛癌の発生はみられていない 8) 2) 妊娠早期胞状奇胎の特徴ならびに診断における問題点 hcg 高感度測定系の開発により われわれ臨床医はより早期の妊娠 そしてより早期の胞状奇胎に遭遇するようになった 妊娠初期の不正性器出血を初発症状とし 妊娠悪阻や 妊娠週数に比し大きな子宮の触知 hcg の異常高値 そして超音波断層法で子宮内に multivesicular pattern がみられる場合に胞状奇胎を疑うとされていたが 近年は無月経以外の症状を欠く症例が増えている 3) 1999 年から 2009 年の間に当施設で経験した 65 例の胞状奇胎においても 半数以上は不正性器出血などの症状を欠き 無月経のみを主訴として 超音波断層法所見を契機として胞状奇胎が疑われていた これは超音波断層法の解像度の改善や hcg 微量測定法の開発によ 18

20 って妊娠自体がより早期に診断されるようになったためと考えられる 全胞状奇胎はもちろん 部分胞状奇胎も絨毛癌の先行妊娠になりうる 9) ことを考慮すると まず胞状奇胎を看過ごさないことが重要であるが 妊娠早期の胞状奇胎には 非胞状奇胎との鑑別が困難な症例が存在する 10) 2000 年の日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会報告によれば 絨毛癌の先行妊娠は 43% が正期産と早産 31% が自然流産と人工流産 22% が胞状奇胎 1% が異所性妊娠 3% が先行妊娠なしであった 11) しかし 流産症例の約 8% が病理組織学的検査で胞状奇胎であったとの報告 12) や 部分胞状奇胎の 90% 以上が臨床的に不全流産や稽留流産として扱われ 13) また妊娠 12 週までの部分胞状奇胎 80 例中 4 例しか術前に胞状奇胎を指摘されていない 14) という諸家の報告は 妊娠早期の胞状奇胎の大部分が流産として取扱われていることを示唆している 日本では胞状奇胎が減少傾向にあると言われており さらに胞状奇胎娩出後の管理が徹底された結果 絨毛癌の約 7 割は胞状奇胎以外の妊娠を先行妊娠として発症している 5) このような症例の中には妊娠の極めて早期に流産した胞状奇胎を先行妊娠とする例が含まれているものと推定される 12) 妊娠早期胞状奇胎 すなわち妊娠絨毛が水腫化していない胞状奇胎は無症状で hcg 値が必ずしも高値ではなく 超音波断層法でも典型的所見を呈さないことがあるため 全ての流産絨毛は病理組織学的検査によって評価されるべきである しかし 完全流産 不全流産の一部などでは評価すべき絨毛が得られず病理組織学的検討が行えなかった症例では胞状奇胎が看過ごされる危険がある さらに組織学的診断も絶対的なものではない 妊娠早期の胞状奇胎は絨毛の水腫化が完成された胞状奇胎とは異なる病理組織学的所見を呈するため 妊娠早期の全胞状奇胎と部分胞状奇胎 妊娠早期の部分胞状奇胎と水腫様流産をそれぞれ鑑別するためにはある程度の経験が必要とされる 19

21 加藤らは胞状奇胎における肉眼および組織学的診断と遺伝子診断との合致率を検討している 15) その結果 全胞状奇胎と肉眼的に診断された 100 例のうち 99 例が遺伝学的に全胞状奇胎であったが 肉眼的に部分胞状奇胎と診断された 19 例のうち遺伝子診断が一致したものはわずかに 9 例 (47.4%) であった 19 例中 14 例は正常絨毛と考えられる部分が認められたため肉眼的あるいは組織学的に部分胞状奇胎と診断されていたが このうち 10 例は遺伝子診断で全胞状奇胎と評価された この結果は 絨毛に充分な水腫様変化が起きていない胞状奇胎は組織学的診断を行ったとしても部分胞状奇胎さらには非胞状奇胎とされてしまう危険性を示している このため 2011 年 7 月に改訂された 絨毛性疾患取扱い規約 では 胞状奇胎の確定診断は組織学的診断を以て行うよう改訂されるとともに 妊娠早期胞状奇胎の病理組織学的所見について詳述し 病理医への啓発を行っている いっぽう 正常妊娠においても胞状奇胎 とくに妊娠早期部分胞状奇胎と類似の所見が認められることがある 妊娠早期胞状奇胎が 従来知られていた典型的な超音波断層法所見を呈しないことが認識されるようになると 正常妊娠が胞状奇胎と過剰診断され 妊婦に無用な不安を与える恐れがある 妊娠早期胞状奇胎の臨床像について広く知られるようになることは重要であるが 一方で過剰診断の危険性についての啓発も欠かすことはできない これまで述べてきたように妊娠早期の胞状奇胎は 血中 hcg 値 超音波断層法による臨床診断だけでなく 子宮内容物の肉眼所見 ときには病理組織学的な評価によっても正しい診断に至らない可能性がある 本研究の目的は妊娠早期胞状奇胎の臨床的特徴を明らかにし 鑑別診断のポイントを明らかにすること そして続発症である存続絨毛症を早期発見するための指針を提言することである 20

22 2. 研究の対象と方法 1) 妊娠早期胞状奇胎の臨床像と転帰 1999 年 4 月から2009 年 6 月までの間に熊本大学医学部附属病院産科 婦人科で子宮内容除去術を施行した 35 例の妊娠早期胞状奇胎を対象とした 対象症例の経腟超音波断層法検査は超音波専門医である 2 名の産婦人科医が施行した 他の臨床所見を含めた評価により 異常妊娠であり子宮内容除去術の適応があるが 胞状奇胎と診断し得る所見を呈していないこと また手術によって得られた子宮内容物の肉眼所見で水腫様変化がみられなかった症例を対象とした 胞状奇胎の診断は ヘマトキシリン エオジン (HE) 染色標本を利用した Mazur and Kurman 16) の病理組織学的な診断基準に基づいて行った すなわち全胞状奇胎の診断は胎児成分がなく 広範囲にわたる細胞性栄養膜細胞 合胞体栄養膜細胞および中間型栄養膜細胞から成る栄養膜細胞の異常増殖と間質の浮腫や中心槽形成が観察された場合とした また部分胞状奇胎の診断は胎児成分を伴い 栄養膜細胞の部分的な異常増殖は軽度から中等度で 全胞状奇胎との鑑別診断において特徴的な所見である栄養膜細胞封入や絨毛の著明な貝殻模倣の輪郭が観察された場合とした 病理組織学的検討は 2 名の病理医が独立して HE 染色標本により行い 2 名の診断が一致した症例を本研究の対象とした 全ての症例において 子宮内容除去術後は 1 週間毎に血中 hcg 値を測定した 胞状奇胎症例では 本邦の 絨毛性疾患取扱い規約 に従い 5) 初回の子宮内容除去術から 1 週間後に子宮内容除去術を再度行った 血中 hcg 値は今回用いたキットの測定感度である 0.5mIU/ml 未満に低下するまで測定し 0.5mIU/ml 未満に低下したのをもって陰性化と判断した 同時期に当施設で子宮内容除去術を行い 病理組織学的に胞状奇胎が否定され 21

23 た流産症例で 流産後の経時的な hcgの測定に同意が得られた 24 例 ( 流産群 ) を対照として 臨床像と血中 hcg 値の推移を比較検討した 血中 hcg は β サブユニットのカルボキシ末端側のペプチド部分である hcg-β -CTP に対するモノクローナル抗体を含む 2 種類のモノクローナル抗体を用いた 1 ステップサンドイッチ EIA 法 (STE テスト TOSHO 2(hCG), 日水製薬株式会社 ) で測定し 測定感度は 0.5mIU/ml であった 血中 hcg 値が順調に低下した場合は術後 20 週までに測定感度以下となるが 3 週間にわたりプラトーである場合 2 週間上昇傾向にある場合 あるいは術後 5 週 8 週 20 週のいずれかの基準値を越えた場合は存続絨毛症を含める続発症と診断した 順調な経過をとり術後 20 週までに hcg が陰性化したものを経過順調群 続発症と診断した症例を存続絨毛症群とした パラメトリックデータの統計学的有意差はスチューデントの t 検定によって評価し ノンパラメトリックデータは Mann-Whitney の U 検定により評価した P <0.05 を統計的に有意とみなした 2) 妊娠早期部分胞状奇胎の鑑別診断対象は 2007 年から 2010 年の 4 年間で超音波断層法にて妊娠早期部分胞状奇胎が疑われ 当施設で管理を行った 12 症例とした 対象症例の経腟超音波断層法検査は超音波専門医である 2 名の産婦人科医が施行した 1-2 週間毎に超音波断層法を施行するとともに血中 hcg 値を測定し 超音波断層法所見と血中 hcg 値の経時的変化ならびに妊娠の転帰について検討した 本研究は 被験者の個人情報を保護するために外科関連学会協議会において示された " 症例報告を含む医学論文及び学会研究会発表における患者プライバシー保護に関する指針 " のもとに行われ 本研究は熊本大学大学院生命科学研究部の倫理審査委員会の承認を受けて行った 22

24 3. 結果 1) 妊娠早期胞状奇胎の臨床像妊娠早期胞状奇胎群の 32 例が当施設を受診した際の主訴は無月経 16 例 不正性器出血 15 例 つわり症状 1 例で 50% が無月経を主訴としていた ( 図 7) 妊娠早期に臨床診断されていたことを反映して 手術時の妊娠週数は 8.8±2.5 週と早かった 図 7. 妊娠早期胞状奇胎の臨床症状 1 ( 3 %) 15 ( 47 %) 16 (50 %) 無月経不正性器出血つわり症状 妊娠早期胞状奇胎の 50% は無月経のみを主訴としていた 2) 妊娠早期胞状奇胎の超音波断層法所見妊娠早期胞状奇胎の超音波断層法所見はこれまで胞状奇胎の典型的な所見とされてきた multivesicular pattern 17) ではなく 多彩な像を呈していた ( 図 8A-H) その中でも特徴的なのは 子宮内腔を占拠するように不整に隆起した高輝度の子宮内膜像であった 子宮内の液体貯留を示唆する無エコー部分は共通して認められた ( 図 8-A, B, C) いくつかの症例では胎嚢に類似する嚢胞様構造が子宮内に認められた( 図 8-D, E, F) が 辺縁が厚く不整で 嚢胞の中に卵黄嚢や胎芽を認めないのは正常の 23

25 図 8. 妊娠早期胞状奇胎の超音波断層法所見 A B C D E F G H I 当施設で経験した典型的な妊娠早期胞状奇胎 (A-H) ならびに妊娠早期全胞状奇胎と 類似した所見を示し 胞状奇胎が否定された自然流産 (I) の経腟超音波断層法像を示す 胎嚢との鑑別点と考えられた またいくつかの不定形な無エコー領域を伴って 一見 して子宮内膜の異常な肥厚と思われる像がみられる症例もあった ( 図 8-G, H) この ような症例の子宮内容物は 肉眼的に径 2mm を越える嚢胞化絨毛が明らかではなく 本邦で従来用いられていた取扱い規約 5) では胞状奇胎と診断することができなかった 18)19) また 図 8-C の症例は順調な経過をとったのに対して 図 8-B の症例は存続絨 毛症を続発したが 後方視的にみて両者の鑑別に有用な超音波断層法所見はなか った さらに これらの超音波断層法所見は必ずしも妊娠早期の全胞状奇胎に特異 24

26 的な所見ではなく 部分胞状奇胎 ( 図 9) 胞状奇胎以外の流産 ( 図 8-I) でも類似した 所見が観察される場合があった 図 9. 部分胞状奇胎の超音波断層法所見 妊娠早期の全胞状奇胎と類似する超音波断層法所見を呈している 3) 妊娠早期部分胞状奇胎の鑑別診断妊娠早期に部分胞状奇胎が疑われた 12 例のうち 9 例が他院からの紹介で 母体の平均年齢は 27.9±5.8 歳であった 初診時の妊娠週数は 8.6±3.1 週で 血中 hcg 値は 99,356mIU/ml であった 全例に胎嚢と考えられる構造が認められ 8 例に心拍を伴う胎芽が確認できた 12 例を経過観察し うち 4 例は胚の生存が期待できないと診断し 妊娠 11.0±3.6 週で子宮内容除去術を行った 組織学的診断は このうち 3 例が部分胞状奇胎 1 例が全胞状奇胎であった 4 例はいずれも胞状奇胎と診断し得るだけの超音波断層法および肉眼所見を呈しておらず 稽留流産や胎児水腫の臨床診断であった これら 4 例の胞状奇胎における血中 hcg の最高値は平均 752,468mIU/ml で その際の胎児頭臀長の平均値は 7.3±5.8mm であった また夫婦が人工流産を選択した 1 例では流産絨毛の病理組織学的検査にて胞状奇胎は否定された 正常の妊娠経過を辿った症例は 8 例 (67%) で 子宮筋層の境界に認められた小嚢胞 ( 図 10A, B) は胎児頭臀 25

27 長が 60mm になるまでに全例が消失していた 血中 hcg 値は妊娠 9.6±1.1 週で 平 均 215,296mIU/ml を最高に低下した 分娩に至った 7 例いずれも新生児に異常所見 はなく 胎盤の病理組織学的検討では水腫化絨毛は認められなかった 図 10. 部分胞状奇胎との鑑別を要した正常妊娠の超音波断層法所見 A B いずれの症例 (A, B) も嚢胞は絨毛膜内ではなく 子宮筋層との境界に限局している 正常妊娠において認められた胞状奇胎様の嚢胞について 経時的変化の典型例を示す ( 図 11) 妊娠 5 週に胎嚢の外側にわずかに観察された嚢胞様構造は妊娠 6 週には増加し 部分胞状奇胎を疑わせる所見であったが 嚢胞は子宮筋層との境界に限局していた 嚢胞は互いに連続しておらず 内部に血流は認められなかった 妊娠 7 週以降 妊娠の経過と共に嚢胞は減少し妊娠 8 週にはほぼ消失した 26

28 図 11. 正常妊娠にみられた胞状奇胎様嚢胞の経時的変化 妊娠 5 週 3 日 妊娠 6 週 1 日 A 妊娠 8 週 1 日 B 妊娠 6 週 4 日 D C 嚢胞は一時増加した (A, B, C) が妊娠週数と共に減少し妊娠 8 週 (D) には消失した 4) 妊娠早期胞状奇胎に続発する存続絨毛症の診断 (1) 流産後の血中 hcg 値の推移についての準備的検討妊娠早期の胞状奇胎は臨床的に非典型的な像を呈し 適切な病理組織学的検査が行われなければ流産として扱われてしまう恐れがあることは既に述べた しかし現実には 完全流産や不全流産の一部などでは評価すべき絨毛を得ることができず また諸事情により病理組織学的検討を行い得なかった症例も存在する このような流産例全てに対して胞状奇胎娩出後管理 (13 頁 ) と同様に hcg 値を追跡することは現実的ではない そこで 流産後の存続絨毛症を否定するため hcg 陰性化時期を指標とした管理指針を作ることが必要と考えた このため まず胞状奇胎以外の妊娠における流産後の血中 hcg 値の推移を検討した 流産群 (22 頁 )24 例の平均年齢は 32.4±5.0 歳で 12 例が経産女性であった 最終月経から起算した対象症例の平均妊娠週数は 9.4±1.5 週であった 術前診断は稽留流産が 19 例 進行流産が 1 例 人工流産が 4 例であった 方法は流産手術を型の 27

29 如く行い 採取した子宮内容物の一部または全部に対し病理組織学的検討を行い 絨毛組織を確認し胞状奇胎の除外診断を行った 術前に血中 hcg 値を測定し 術後は血中 hcg 値が陰性化するまで追跡した また 流産後に発来した月経の時期と血中 hcg 値との関連を検討した 術前血中 hcg 値の中央値は 31,205mIU/ml (1, ,611mIU/ml) で 症例によって術前の血中 hcg 値は大きく異なっていた 血中 hcg 値が陰性化するまでの hcg の減衰を検討すると ( 図 12) 血中 hcg 値は術後日数を経るにしたがい順調に低下し 24 例の全てが術後 120 日以内に陰性化した 血中 hcg (miu/ml) 図 12. 流産群における血中 hcg 値の推移 術後日数 ( 日 ) 同形の点は同一症例を示す 血中 hcg 値は術後日数を経るに従い順調に低下した 初回の月経が発来するまでの日数の中央値は 34 日 (25-84 日 ) で 術前の血中 hcg 値と術後の初回月経が発来するまでの日数との間にわずかに正の相関が認められた ( 図 13) 術後に血中 hcg 値が陰性化するまでの日数の中央値は 60 日 28

30 ( 日 ) で 術前の血中 hcg 値と血中 hcg 値が陰性化するまでの日数に相関はみられなかった ( 図 14) 流産手術後初回の月経が発来した時点で 24 例のうち13 例は血中 hcg 値が陰性化していた 2 回目の月経後には 残る11 例中 6 例が さらに3 回目の月経が発来した後には全症例において血中 hcg 値が陰性化していた 図 13. 流産群における術前血中 hcg 値と術後初回の月経までの日数 10 6 血中 hcg 値 ( miu /ml) y = 1626x R 2 = 術後日数 ( 日 ) 術前の血中 hcg 値と術後初回の月経までの日数には わずかに正の相関が認められた 29

31 図 14. 流産群における術前血中 hcg 値とカットオフ値までの術後日数 血中 hcg 値 (miu/ml) y = x R 2 = 術後日数 ( 日 ) 術前血中 hcg 値と hcg 値が陰性化するまでの術後日数は相関しなかった (2) 妊娠早期胞状奇胎における奇胎除去術後の血中 hcg 値の推移 35 例の妊娠早期胞状奇胎のうち 部分胞状奇胎の 2 例と病理医の診断が一致しなかった1 例を除外し 32 例の全胞状奇胎を妊娠早期胞状奇胎群として 前述した流産群 24 例における血中 hcg 値の減衰と比較検討した 妊娠早期胞状奇胎群 流産群の平均年齢 (30.8 vs 歳 ; P = 0.42) 手術時の平均妊娠週数 (8.5 vs. 9.4 週 ; P = 0.12) に有意差はみられなかった ( 表 3) 術前血中 hcg 値の中央値は 流産群に対し妊娠早期胞状奇胎群の方が高値であった (110,804 vs. 31,205 miu/ml; P < 0.001) が 各症例のhCG 値は両群共に最小値から最大値まで約 100 倍と広く分布しており 流産群と妊娠早期胞状奇胎群を鑑別するカットオフ値を設定することはできなかった 30

32 表 3. 妊娠早期胞状奇胎群と流産群との比較 妊娠早期胞状奇胎群流産群 (n=32) (n=24) P - value 年齢 ( 歳 ) 平均値 (95% 信頼区間 ) 30.8 ( ) 32.4 ( ) 0.42 * 手術時妊娠週数 ( 週 ) 平均値 (95% 信頼区間 ) 8.5 ( ) 9.4 ( ) 0.12 * 術前血中 hcg 値 (miu/ ml ) 中央値 ( 範囲 ) 110,804 (5,127-4,274,245) 31,205 (1, ,611) <0.001 :Mann-Whitney U-test *:Student s t-test 妊娠早期胞状奇胎群の 32 例を経過観察すると 24 例は順調な hcg の漸減を示して陰性化に至り 取扱い規約上の経過順調型と判定された ( 経過順調群 ) 8 例は存続絨毛症を続発した ( 存続絨毛症群 ) 経過順調群 24 例について 流産群と比較すると 手術時の平均妊娠週数はより早く (7.6 vs. 9.4 週 ; P < 0.001) 術前血中 hcg 値の中央値はより高値であった (96,999 vs. 31,205 miu/ml; P < 0.01)( 表 4) 経過順調群の全例が 術後 126 日までに血中 hcg 値が陰性化した ( 図 15) その日数の中央値は流産群と有意な差はなく (74 vs. 60 日 ; P = 0.08) 術前の血中 hcg 値とは相関しなかった ( 図 16) また 術後に初回月経が発来するまでの日数の中央値は 35 日 ( 日 ) で これも流産群の 34 日 (25-84 日 ) と有意な差はなく 子宮内容除去手術から術後初回の月経までの日数は術前の血中 hcg 値とは相関しなかった ( 図 17) 31

33 表 4. 妊娠早期胞状奇胎 ( 経過順調群 ) と流産群における臨床背景の比較 妊娠早期胞状奇胎 ( 経過順調群 ) (n=24) 流産群 (n=24) P - value 手術時妊娠週数 ( 週 ) 平均 (95% 信頼区間 ) 7.6 ( ) 9.4 ( ) <0.001 * 術前血中 hcg 値 (miu/ ml ) 中央値 ( 範囲 ) 96,999 (5, ,964) 31,205 (1, ,611) <0.01 術後にカットオフ値以下 までの日数 ( 日 ) 中央値 ( 範囲 ) 74 (32-126) 60 (20-118) 0.08 術後初回の月経発来 までの日数 ( 日 ) 中央値 ( 範囲 ) 35 (23-104) 34 (25-84) 0.60 :Mann-Whitney U-test *:Student s t-test 図 15. 妊娠早期胞状奇胎 ( 経過順調群 ) における血中 hcg 値の推移 血中 hcg (miu/ml) 術後日数 ( 日 ) 同形の点は同一症例を示す 血中 hcg 値は術後日数を経るに従い順調に低下した 32

34 図 16. 妊娠早期胞状奇胎 ( 経過順調群 ) における術前血中 hcg 値と 術後に hcg が陰性化するまでの日数 血中 hcg 値 (miu /ml) y = x R 2 = 術後日数 ( 日 ) 術前血中 hcg 値とカットオフ値までの術後日数とは相関しなかった 図 17. 妊娠早期胞状奇胎 ( 経過順調群 ) における術前血中 hcg 値と 術後初回月経までの日数 血中 hcg 値 (miu /ml) y = x R2 = 術後日数 ( 日 ) 術前血中 hcg 値と術後初回の月経までの日数とは相関しなかった 33

35 次に 経過順調群と流産群について 術後に発来した月経を指標として血中 hcg 値の推移を比較検討した 経過順調群では 術後 2 回目の月経が発来するまでの間に 24 例中 8 例 (33%) 3 回目の月経が発来するまでに 17 例 (71%) の血中 hcg 値が陰性化した 流産群では 術後 2 回目の月経が発来するまでに 24 例中 13 例 (54%) 3 回目の月経が発来するまでに 19 例 (79%) において血中 hcg 値が陰性化した 3 回目の月経が発来した時点で 経過順調群および流産群ともに全ての症例で血中 hcg 値が陰性化した ( 図 18) 図 18. 血中 hcg 値の推移と術後に発来した月経回数との関係血中 hcg 値 <0.5mIU/mlの累積患者数 (%) 回目 2 回目 3 回目術後の月経 ( 回数 ) 両群ともに月経を経るに従い血中 hcg 値がカットオフ値未満に低下する患者数の割合 が増加し 3 回目の月経が発来した時点で全ての症例がカットオフ値未満に低下した 赤実線 : 流産群 黒実線 : 経過順調群 34

36 (3) 妊娠早期胞状奇胎に続発する存続絨毛症妊娠早期胞状奇胎群の 32 例から 8 例が存続絨毛症を続発し ( 存続絨毛症群 ) その内訳は臨床的侵入奇胎が 7 例 転移性奇胎が 1 例であった 存続絨毛症群と経過順調群について 臨床的特徴と血中 hcg 値の推移を比較した ( 表 5) 存続絨毛症群における平均年齢は35.0 歳で経過順調群との有意な差はみられず 手術時の平均妊娠週数は 11.7 週であった 術前の超音波断層法所見を後方視的に検討しても存続絨毛症の続発を示唆する所見はなかった ( 図 8) 術前の血中 hcg 値の中央値は経過順調群 24 例と比較して高値を示し (391,505 vs. 96,999 miu/ml; P =.01) 血中 hcg 値が 1,000,000 miu/ml を超えていた 2 例はいずれも存続絨毛症を続発した 表 5. 存続絨毛症群と経過順調群における臨床背景の比較 :Mann-Whitney U-test *:Student s t-test 妊娠早期胞状奇胎の存続絨毛群 8 例 経過順調群 24 例について 手術当日または 前日における臨床背景を比較した 妊娠早期胞状奇胎 存続絨毛症群経過順調群 (n=8) (n=24) P - value 年齢 ( 歳 ) 平均値 ( 95% 信頼区間 ) 35.0 ( ) 29.3 ( ) 0.12 * 手術時妊娠週数 ( 週 ) 平均値 ( 95% 信頼区間 ) 11.7 ( ) 7.6 ( ) <0.001 * 術前血中 hcg 値 ( miu / ml ) 中央値 ( 範囲 ) 391,505 (54,805-4,274,245) 96,999 (5, ,964) <0.01 術後の血中 hcg 値は 術前 術後約 1 週間 3 週間および 4 週間ともに存続絨毛 症群で有意に高かった 存続絨毛症群 8 例のうち 7 例が術後初回の月経が発来する 35

37 までに血中 hcg 値が再上昇した ( 図 19) 存続絨毛症群の全ての症例において初回 手術から 4 週間後の血中 hcg 値は 25mIU/ml を越えていた 図 19. 存続絨毛症群と経過順調群における血中 hcg 値の推移の比較 血中 hcg (miu/ ml ) * 1 術前 術後日数 ( 日 ) 35 存続絨毛症群では全ての症例において術後 4 週間での血中 hcg 値は 25mIU/ml を越 えていた 破線 : 経過順調群の術後血中 hcg 値の推移 横点線 : 血中 hcg 値 25mIU/ml 縦点線 : 存続絨毛症群の術後血中 hcg 値が再上昇した平均術後日数 *: 術後 43 日目 に血中 hcg 値が再上昇した症例 36

38 4. 考察 欧米における報告では 全胞状奇胎の発生頻度は約 1,500 から 2,000 妊娠に 1 例 部分胞状奇胎は約 700 妊娠に 1 例とされる 13)20) 日本を含めたアジアの諸国では欧米に比べて発生頻度が高く 全胞状奇胎は約 500 妊娠に 1 例 絨毛癌は約 20,000 から 40,000 妊娠に 1 例の割合で発症し 11) 全胞状奇胎娩出後に無治療で経過観察した場合の絨毛癌の発生頻度は約 1% とされる 5) 絨毛癌は胞状奇胎以外にも正常妊娠 死産 流産 そして異所性妊娠を先行妊娠として発症することがわかっている 胞状奇胎の発生率は日本では近年減少傾向にあり その結果 胞状奇胎以外の妊娠を先行妊娠とする絨毛癌が相対的に増加し 絨毛癌 4 例のうち 3 例は胞状奇胎以外の妊娠を先行妊娠として続発している 5)11) その原因の一つとして 胞状奇胎の胞状化が始まる前に流産と診断されて子宮内容除去術を施行される結果 無視できない割合の胞状奇胎が看過ごされている可能性が示唆されている 13)22) Rua et al. は自然流産として扱われた 540 例の DNA 解析を行った結果 27 例 (5%) が部分胞状奇胎 15 例 (2.8%) が全胞状奇胎であったことを報告している 12) 本邦においては Fukunaga が 臨床的に診断された部分胞状奇胎はわずか 5% であったと報告している 14) 今回の研究期間中に当施設で経験した 65 例の胞状奇胎のうち 34 例 (52.3%) は妊娠早期胞状奇胎であった 超音波断層法と高感度 hcg 測定法が広く普及している先進国では 妊娠早期胞状奇胎は臨床医が日常診療の中で一般的に遭遇する病態となっている 妊娠早期胞状奇胎の病態を正しく理解すること そして流産後に存続絨毛症を除外診断することは 21 世紀における新たな絨毛癌予防対策として重要な意味を持つ 妊娠早期胞状奇胎は無月経以外の臨床症状を欠き 血中 尿中 hcg 値が異常高値を示さず 超音波断層法でも典型的な所見を認めないことが多い 17)18) 妊娠中期に 37

39 おける全胞状奇胎の典型的な超音波断層法所見は multivesicular pattern すなわち子宮腔内に均一に分布する嚢胞を伴う高輝度の組織が充満している像として記載されている 23) 妊娠早期胞状奇胎では奇胎絨毛の嚢胞化が始まっていないために典型的な multivesicular pattern を呈することはなく 高エコーの不規則に肥厚した内膜様の像が観察されるのみである 週数が進み絨毛の嚢胞化が進行するにつれて小さな嚢胞が散見されるようになり やがて典型的な multivesicular pattern を呈するようになると考えられる ( 図 20) 図 20. 胞状奇胎の自然経過 嚢胞化が始まっていない 一部の絨毛のみが嚢胞化 初めは奇胎絨毛の嚢胞化が始まっておらず 不規則に肥厚した内膜様の像が観察される のみである 週数が進み絨毛の嚢胞化が進行するにつれて小さな嚢胞が散見されるように なり やがて典型的な multivesicular pattern を呈するようになると考えられる 38

40 全胞状奇胎は胎嚢を欠くため 胞状奇胎との診断に達していなくても hcg 定量法と組み合わせることにより 正常妊娠でないことを診断するのは容易である しかし自然流産と妊娠早期胞状奇胎を画像診断のみで鑑別することは困難であり 23)24-27) 組織学的診断による確認が求められる 妊娠早期の部分胞状奇胎では 超音波断層法上 絨毛膜には嚢胞様構造はみられず 胎芽が生存している限り 異常妊娠と診断する決め手に欠ける場合が多い ( 図 9) いっぽう正常妊娠においても妊娠早期胞状奇胎に類似の超音波断層法所見が認められることがある ( 図 10) とくに胎嚢や胎芽を有する部分胞状奇胎と正常妊娠との鑑別は容易ではなく このような症例が胞状奇胎と過剰診断された場合には無用の不安や人工流産を招く恐れがある 両者の鑑別診断には経時的な観察により嚢胞部分が減少 消失すること 血中 hcg 値の上昇が一過性であることを確認することが有用であると考えられる 今回の検討では 胞状奇胎では絨毛は肥厚し嚢胞は増加し明瞭化するのに対して 正常妊娠にみられる嚢胞は一過性であり 胎児頭殿長が60mmになるまでに消失した 5) 妊娠早期胞状奇胎の絨毛はこれまでの本邦における診断基準である 短径 2mm を超える嚢胞化した絨毛の存在 を満たさず 胞状奇胎と診断することができなかった さらに胞状奇胎か否かの診断だけではなく 続発症の発生頻度が異なる部分胞状奇胎と全胞状奇胎の鑑別についても従来の診断基準では対応できなくなっていた これが2011 年に 絨毛性疾患取扱い規約 が改定された重要な理由の一つである 絨毛性疾患取扱い規約改訂第 3 版では 胞状奇胎における絨毛の嚢胞化は妊娠早期には短径 2mmを越えないことがあることを述べた上で 診断は肉眼所見ではなく 病理組織学的検討に基づくこととし 診断困難例では免疫組織化学的検討や遺伝子解析を併用することが勧められている 1) 事実 今回我々が検討した症例の中にも頻度は少ないとはいえ病理組織学的検討によっても診断困難例が存在した また免疫 39

41 組織化学的検討や遺伝子解析は未だ日常診療では一般的ではない さらに不全流産のように病理組織学的に検討すべき検体が失われている症例では病理組織学的検討に頼らない方法で存続絨毛症を早期発見する必要がある このような理由から 広く臨床応用されている絨毛細胞のマーカーであるhCGを用いた管理方針を検討するのが妥当と考えられたが 現在汎用されているカットオフ値 0.5 miu/ml のhCG 高感度測定法における流産後のhCG 減衰曲線は報告されていなかったため まず胞状奇胎以外の妊娠について流産後のhCG 値を検討することとした 医学的適応で流産手術を行い 組織学的検査により胞状奇胎が否定された症例 ( 流産群. n=24) では 術後日数を経るにしたがい血中 hcg 値は漸減し 流産後初回の月経が発来するまでの平均日数は39 日 ±16 日で 術前の血中 hcg 値と流産後にはじめて月経が発来するまでの日数にはわずかに正の相関がみられた 血中 hcg 値がカットオフ値以下になるまでの術後日数の中央値は60 日 ( 日 ) で 24 例全てが術後 120 日以内にカットオフ値未満となった 術前の血中 hcg 値と血中 hcg 値が陰性化する日数に相関があるか否かについては 過去の低感度測定法による報告では一定の結論が得られていなかった 28)-31) が 今回の検討では相関はみられなかった ( 図 14) Aral et al. は流産症例 44 例について術後の血中 hcg 値の推移を検討し 術前の平均血中 hcg 値が48,342mIU/mlで 流産手術後に血中 hcgが10miu/ml 未満に低下するまでの日数が30 日と報告している 30) またSteier et al. は人工流産 36 例および自然流産 35 例を対象に検討し流産手術後に血中 hcgが10miu/ml 未満に低下するまでの日数が 各々 日 ( 中央値 30 日 ) と9-35 日 ( 中央値 19 日 ) であったと報告している 28) さらにMarrs et al. は13 例の流産症例を検討し 第 1 三半期で流産手術を行った症 例において 術後の血中 hcg が 2mIU/ml まで低下する日数は 37.5±6.4 日 29) との結果 を示した 40

42 今回の検討では 現在本邦で標準的に使用されているカットオフ値 0.5mIU/ml の高 感度血中 hcg 測定法を用いている 今回の対象において 仮にカットオフ値 10mIU/ml とすると中央値は 35 日 2mIU/ml では中央値 55 日となり 過去の報告と同様の結果と なる カットオフ値が 0.5mIU/ml に下がった結果 hcg 陰性化までの日数は過去の報 告 32) の倍近い日数となることが明らかとなった 妊娠早期胞状奇胎の術前血中 hcg 値は流産群に対して高値であったが hcg 値 の分布は広く 流産群と妊娠早期胞状奇胎群を鑑別するカットオフ値を設定すること 5) はできなかった 経過順調な妊娠早期胞状奇胎の hcg 減衰曲線はこれまでの報告 と同様に流産群における経過と類似していた 過去の報告によれば 胞状奇胎娩出 後の経過順調型では娩出後約 20 週で血中 hcg 値がカットオフ値以下になる 8) とされ ており 今回検討した経過順調な妊娠早期胞状奇胎の血中 hcg 値の推移は 従来 の経過順調型に矛盾しない経過であった 今回我々が検討した妊娠早期胞状奇胎の 25% に存続絨毛症が続発した このこと は 胞状奇胎を早期発見しても存続絨毛症は回避されないことを示唆している 存続 絨毛症を続発した妊娠早期胞状奇胎症例を後方視的に検討したが 超音波断層法 所見では存続絨毛症の続発を予測することはできなかった 存続絨毛症群における 術前の血中 hcg 値は比較的高値を示し ( 図 19) 術前の血中 hcg 値が 100 万 miu/ml を超えた 2 症例はいずれも存続絨毛症に進展した ただし 術前の血中 hcg 値が 10 万 miu/ml 未満の症例もまた存続絨毛症を続発する場合があり 存続絨毛症 を経過順調群と鑑別するカットオフ値を設定することはできなかった 経過順調群における術後血中 hcg 値は月経が発来する毎に順調に低下し 流産 群と同様に 3 回目の月経が発来した後にカットオフ値未満に低下したのに対し 存続 絨毛症群の全例で術後 4 週目の血中 hcg 値は 25mIU/ml 以上であった Wolfberg et al. は 1,029 例の全胞状奇胎を対象に血中 hcg 値と存続絨毛症のリスクを検討し 奇 41

43 胎除去術後 4 週間で血中 hcg 値が 200 miu/ml 以下に低下した場合には存続絨毛症の危険は 9% 以下であったと述べている 33) 術後 4 週目の血中 hcg 値が 25 miu/ml 未満であることは 存続絨毛症の危険を否定する上で充分な指標と考えられる 組織学的に胞状奇胎であることが確認された妊娠早期胞状奇胎症例については 部分胞状奇胎を含めた 28) 全ての症例において古典的な胞状奇胎と同様に 流産後のhCG 値がカットオフ値以下になるまで追跡し 古典的な胞状奇胎流産後の2 次管理 3) を遵守して続発する存続絨毛症の早期発見に努めなければならない 34) このことを 組織学的評価を行い得なかった流産症例にも敷衍しようとすると 流産の全症例に対する胞状奇胎娩出後管理に準じたhCGの追跡が必要となる しかしながらそれは現在の保険診療の枠を超えており 患者の負担も膨大なものとなる 従って 組織学的診断にて胞状奇胎ではないことが確定診断できなかった症例において 存続絨毛症の続発を予測するために血中 hcg 値の最小限の指標を確立する必要がある その指標は患者が受診する機会を容易に理解でき 患者の負担が最小限となる検査でなければならない 今回の検討において 流産後に発来した月経との関連に注目して検討を行った結果 図 16に示すように流産後 3 回目の月経が発来した時点で 全ての経過順調型症例において血中 hcg 値がカットオフ値以下に低下していた Kerkmeijer et al. は355 例の胞状奇胎を前向きに検討し 血中 hcg 値が陰性化した症例から存続絨毛症が続発する可能性は0.38% と極めて低いとしている 35) 他の報告 36)-38) においても奇胎娩出後に血中 hcg 値が陰性化した後に存続絨毛症を続発する危険は極めて低いことが示されており とくに部分胞状奇胎において血中 hcg 値が陰性化した例ではフォローアップは不要との意見もみられる 39) 子宮内容物を病理組織学的に検討できなかった患者において 存続絨毛症を否定 42

44 するための必要最小限の指標として術後 4 週目の血中 hcg 値が25 miu/ml 未満であること 流産後に発来した月経との関連に注目すると3 回目の月経をみた後に血中 hcg 値が陰性であることを確認することは 流産絨毛の組織学的診断が不明である場合に存続絨毛症を否定する上で有意義であると考えられた 43

45 5. 今後の展望 術前の臨床所見や画像診断 血中 hcg 値に基づいて自然流産と妊娠早期胞状奇胎を鑑別することは困難である したがって子宮内容物の病理組織学的検査は胞状奇胎を正確に診断するために必須の診断手技であり 新しく改訂された絨毛性疾患の取扱い規約では 妊娠早期胞状奇胎の病理組織学的所見について詳述し 病理医への啓発を行っている しかし より早期の胞状奇胎においては絨毛の浮腫は著しくなく 栄養膜細胞の異常増殖はしばしば部分的かつ軽度なものとなり 病理組織学的検討においてもある程度の困難を伴うのが現状である 40) 最近のエピジェネティック研究の進歩により p57 Kip2 などによる免疫組織化学的染色が全胞状奇胎と流産や部分胞状奇胎とを鑑別するための有用な手段となり得ることが示された 41) 胞状奇胎の発生機序(9 頁 ) で述べたように全胞状奇胎は雄核発生で 父由来のアレルのみからなる 2 倍体である いっぽう父由来アレルと母由来アレルの両方を有する部分胞状奇胎は 3 倍体 水腫様流産は正常 2 倍体である 11 番染色体短腕の 15.5 領域のインプリンティング遺伝子上に存在する CDKN1C は父由来アレルでは抑制されている この産物である p57 Kip2 に対する抗体を利用した免疫組織学的検討では 母由来アレルを有する部分胞状奇胎および水腫様流産で細胞性栄養膜細胞および間質細胞で陽性となるが 父由来アレルのみの全胞状奇胎では陰性となり 鑑別診断が可能となる p57 Kip2 では絨毛外性の栄養膜細胞で陽性となることがあるが 同領域に存在する PHLDA2 の産物である TSSC3 による免疫組織学的検討では絨毛外性の栄養膜細胞も陰性となる 42) ため 両抗体を用いることでより精度の高い鑑別診断を行うことができ 全胞状奇胎を部分胞状奇胎および水腫様流産と鑑別診断する有力な手段として今後の臨床応用が期待できる 44

46 6. 結語 妊娠早期胞状奇胎は無月経以外の臨床症状を欠き 血中 hcg 値が異常高値を示さず 超音波断層法でも典型的な所見である multivesicular pattern を認めないことが多い これらの症例からも存続絨毛症が続発していることが示された 組織学的診断にて胞状奇胎ではないことが確定診断できなかった症例において 存続絨毛症の続発を予測するために術後の血中 hcg 値の測定が有用であった 患者が受診する機会を容易に理解でき 患者の負担が最小限となる指標として術後 4 週目の血中 hcg 値が25 miu/ml 未満であること 流産後に発来した月経との関連に注目すると3 回目の月経をみた後に血中 hcg 値が陰性であることを確認することは 存続絨毛症を否定する上で有意義であると考えられた 45

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