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1 平成 27 年度エネルギー需給緩和型インフラ システム普及等促進事業 ( 円借款 民活インフラ案件形成等調査 ) マレーシア国 : ガス複合火力発電所プロジェクト案件形成調査報告書 平成 28 年 2 月 経済産業省 委託先 : 東電設計株式会社

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3 平成27 年度エネルギー需給緩和型インフラ システム普及等促進事業(円借款 民活インフラ案件形成等等調査)マレーシア国ガス複合火力発電所プロジェクト案件形成調査報告書平成28 年2 月経済産業省委託先: 東電設計株式会社

4 まえがき 本報告書は 経済産業省から東電設計株式会社が 平成 27 年度の事業として受託した 平成 27 年度エネルギー需給緩和型インフラ システム普及等促進事業 ( マレーシア国ガス複合火力発電所プロジェクト案件形成等調査 ) の成果をとりまとめたものです 本調査 マレーシア国ガス複合火力発電所プロジェクト案件形成等調査 は 同国マレー半島の電力需要の増加に対応するために 同国で産出される天然ガスを燃料とした最新鋭のガスタービンをベースとする複合火力発電所を最適地点に建設する事業を想定した調査です また 世界的な原油安およびリンギット安の状況の中 円借款をはじめとした我が国の有する優れたファイナンスツールの活用可能性を調査したものです 本報告が上記プロジェクト実現の一助となり 加えて我が国関係者の方々のご参考になることを希望します 平成 28 年 2 月東電設計株式会社

5 プロジェクト地図 Kuantan Kapar ( 出典 : グーグル地図を元に調査団が作成 )

6 略語表 略語 正式名称 日本語訳 B/C Benefit Cost Ratio 費用便益比率 CA Credit Agricole クレディット アグリコール CCPP Combined Cycle Power Plant 複合火力発電所 CCS Carbon Dioxide Capture and Storage 二酸化炭素の回収 貯留 CDM Clean Development Mechanism クリーン開発メカニズム CO 2 Carbon Dioxide 二酸化炭素 DSCR Debt Service Coverage Ratio デットサービスカバレッジレシオ DOE Department of Environment 環境局 EC Energy Commission エネルギー委員会 EIA Environmental Impact Assessment 環境影響評価 ( 環境アセスメント ) EIRR Economic Internal Rate of Return 経済的内部収益率 EOJ Embassy of Japan 日本大使館 EPC Engineering, Procurement and Construction 設計 調達 工事 EPU Economic Planning Unit 経済企画庁 FIRR Financial Internal Rate of Return 財務的内部収益率 FIT Feed in Tariff 長期固定買取制度 F/S Feasibility Study 事業実施可能性調査 FSA Fuel Supply Agreement 長期燃料供給契約 GDP Gross Domestic Production 国内総生産 GT Gas Turbine ガスタービン GW Giga Watt(1GW = 1,000,000.kilo Watt) ギガワット GWh Giga Watt hour(1gwh = 1,000,000.kilo Watt hour) ギガワット時 IBRD International Bank for Reconstruction and Development 国際復興開発銀行 IDC Interest during Construction 建設期間中の利子 ( 建中利子 ) IFC International Finance Corporation 国際金融公社 IMF International Monetary Fund 国際通貨基金 IPP Independent Power Producer 独立系発電事業者 JBIC Japan Bank for International Cooperation 国際協力銀行 JETRO Japan External Trade Organization 日本貿易振興機構 JICA Japan International Cooperation Agency 国際協力機構 JPY Japanese Yen 日本円 KeTTHA Ministry of Green Technology and water エネルギー 環境技術 水省 kw kilo Watt (1kW = 1,000W) キロワット

7 略語 正式名称 日本語訳 kwh kilo Watt hour (1kWh = 1,000Wh) キロワット時 LHV Lower Heating Value 低位発熱量 MAC Maximum Allowable Concentration 最大許容濃度 MPa Mega Pascal メガパスカル MMBTU Million British Thermal Unit 英国熱量単位 MMCFD Million Cubic Feet per Day ミリオンキュービックフィートパーデイ MW Mega Watt (1MW = 1,000,000 Watt) メガワット MWh Mega Watt hour(1mwh = 1,000,000 Watt hour) メガワット時 NEXI Nippon Export and Investment Insurance 日本貿易保険 NOx Nitrogen Oxides 窒素酸化物 NPV Net Present Value 純現在価値 O&M Operation and Maintenance 運転 保守 ODA Official Development Assistance 政府開発援助 OECD Organization for Economic Co-operation and Development 経済協力開発機構 PM Particle Matter 粒子状物質 PPA Power Purchase Agreement 長期電力取引契約 SC Super Critical 超臨界圧 TPP Thermal Power Plant 火力発電所 TNB Tenaga Nasional Berhad マレーシア電力会社 TSO Transmission System Operator 送電系統運用者 TWh Tera Watt hour テラワット時 US United State Cent 米国セント USC Ultra Super Critical 超々臨界圧 US$ United States dollar 米国ドル VAT Value Added Tax 付加価値税

8 目次 まえがきプロジェクト地図略語表 目次要約 (1) プロジェクトの背景 必要性等... 要 -1 1) プロジェクトの背景... 要 -1 2) プロジェクトの必要性... 要 -1 (2) プロジェクトの内容決定に関する基本方針... 要 -2 1) プロジェクト内容決定の基本方針... 要 -2 2) 概念設計および適用設備の仕様... 要 -2 (3) プロジェクトの概要... 要 -3 1) プロジェクトの範囲... 要 -3 2) 事業総額... 要 -4 3) 予備的な財務 経済分析の結果概要... 要 -5 4) 環境社会的側面の検討... 要 -7 (4) 実施スケジュール... 要 -8 (5) 実施に関するフィージビリティ... 要 -9 1) 円借款要請に係わる課題... 要 -9 2) 円借款要請 実施に関するフィージビリティ... 要 -9 (6) 我が国企業の技術面等での優位性... 要 -11 (7) 案件実現までの具体的なアクションプランおよび課題... 要 -12 (8) 調査対象国内での事業実施地点が分かる地図... 要 -13 第 1 章相手国 セクター等の概要 (1) 相手国の経済 財政事情 ) 経済の略史 ) 最近のマクロ経済概況 ) 主要産業状況 ) 国際収支状況 ) 最近の為替動向 ) 最近の外貨準備及び対外債務の動向 ) 財政事情概況 (2) プロジェクトの対象セクターの概要 ) マ 国の電力セクター ) マ 国のエネルギーセクター i

9 3) まとめ (3) 対象地域の状況 第 2 章調査方法 (1) 調査内容 ) 建設候補地点絞り込みのための現地調査 ) 基礎情報の確認調査 ) ガスコンバインドサイクル発電所の主要諸元 (2) 調査方法 体制 (3) 調査スケジュール 第 3 章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 (1) プロジェクトの背景 必要性等 ) プロジェクトの範囲 ) 現状分析と将来予測 ) プロジェクト実施効果 ) 他の選択肢との比較 (2) エネルギーの利用の高度化および合理化について (3) プロジェクトの内容等決定に必要な各種検討 ) 需要予測 ) プロジェクト内容を検討 決定する際に必要な問題点の把握分析 ) 技術的側面の検討 (4) プロジェクトの計画概要 ) プロジェクト内容決定の基本方針 ) 概念設計および適用設備の仕様 ) 提案プロジェクトの内容 ) 提案技術 システムを採用するに当たっての課題 およびその解決策 第 4 章環境社会的側面の検討 (1) プロジェクト サイトの環境 社会状況の確認 ) 自然環境 ) 環境の状況 ) 社会環境 (2) 影響の予測 評価及び代替案の比較検討 ) 大気質 ) 水質 ( 温排水 ) ) 騒音 (3) 緩和策 ( 回避 最小化 代償を含む ) の検討 ) 大気関係 ) 水質関係 ii

10 3) 資材等の搬出入 ) 動稙物 ) 廃棄物等 ) 温室効果ガス等 ( 二酸化炭素 )- 施設の稼働 ( 排ガス ) (4) 環境側面からの候補地点のスクリーニング (5) 環境チェックリスト ( 案 ) の作成 ) JICA ガイドライン / JBIC ガイドライン ) 本プロジェクトの環境社会配慮の結果 (6) モニタリング計画 ( 実施体制 方法等 ) 案の作成 ) モニタリング計画の概要 ) モニタリング実施体制 (7) 相手国側の環境社会配慮制度 組織の確認 ) マレーシアの環境行政 ) マレーシアの環境法規の概要 ) プロジェクトの実施に必要な相手国の EIA( 環境アセスメント ) 概要とその対応策等 第 5 章 財務的 経済的実行可能性 (1) 事業費の積算 ) 建設費 ( 設計 調達 工事 Engineering, Procurement and Construction:EPC) (2) 予備的な財務経済分析の概要 ) 分析の枠組み ) 予備的な財務的評価分析 ) 予備的な経済的評価分析 ) 総合評価 第 6 章 プロジェクトの実施スケジュール 第 7 章相手国側実施機関の実施能力 (1) 相手国実施機関の概要 ) 実施機関の財務状況 (2) 相手国におけるプロジェクト実施のための組織体制 (3) 相手国実施機関の能力評価 第 8 章我が国企業の技術面での優位性 (1) 想定される我が国企業の参加形態 ( 出資 資機材供給 施設の運営管理等 ) ) 出資 ) 資機材の供給 ) 施設の運営管理 (2) 当該プロジェクト実施に際しての我が国企業の優位性 (3) 我が国企業の受注を促進するために必要な施策 iii

11 第 9 章プロジェクトの資金調達の見通し (1) プロジェクトの資金調達の見通し ) 資金ソースおよび資金調達計画の検討 ) TNB からの資金検討 ) 我が国の動向 (2) 資金調達の実現可能性 ) 日本からの借款実現可能性 ) TNB による借入可能性及び自己資金拠出 第 10 章円借款要請に向けたアクションプランと課題 (1) 円借款要請及び実施に係る関係機関の概要 ) 要請機関 (EPU 他 ) の概要 ) 実施機関 (TNB) の概要 (2) 円借款要請及び実施に係る機関の取り組み状況 ) 要請機関の取り組み状況 ) 実施機関の取り組み状況 (3) 日本側の取り組み状況 (4) マ 国の法的 財政的制約等の有無 ) 政府保証 ) 発電事業権入札制度との整合性 (5) 戦略的意義 ) マ 国の電源開発への貢献 ) ライフサイクルコスト ) 人材育成 ) 本邦重電メーカの主機一式の輸出拡大 ) 開発途上国の電源開発における国際競争でのプレゼンス確保 (6) 今後の円借款要請 供与に向けて必要となる措置 ) サブ ソブリン向け円借款の適用 ) 円借款の迅速化 (7) 円借款要請に向けた具体的なアクションプランと課題 iv

12

13 要 約

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15 (1) プロジェクトの背景 必要性等 1) プロジェクトの背景 マ 国の電源構成はガスと石炭による火力発電が主力である 2012 年時点で総発電量に占める比率は ガス火力が 45.4% 石炭火力が 41.5% であったが この 10 年間で安価なガス価格を受けて国内の天然ガス需給が逼迫したことなどから ガスによる発電比率は低下の傾向にある 中長期的な電源開発計画としては原子力発電も視野に入れられているものの その開発が一気に進むことは考えにくく 今後もガス 石炭を燃料とする開発計画が主軸となるものと予想される これまでの マ 国の電力料金は他のアジア諸国と比較すると安いといえるが これは政府が補助金を出していたためであり 財政を圧迫する一因となっていた 2014 年 12 月から 財政改革の一環で燃料補助金が撤廃されたことにより 電力料金が 17% 引き上げられ 製造業等にとっては 生産コストの上昇につながる懸念材料となっている 2) プロジェクトの必要性 マ 国政府は 2015 年 5 月に発表された第 11 次マレーシア計画の中で 2020 年までに 7,626MW の設備容量増加を図る計画を発表している 一方 その 1 つであるガス複合火力発電所建設案件の遅延が発生しており 本プロジェクトはその代替案件として位置付けられる マレーシア計画は 長期展望計画を運用するために各開発にかかる 5 カ年計画を制定するとともに マクロ経済の成長目標を設定し 該当部門に対して方向性を示すものであり 民間部門の投資決定に当たっての誘導的な役割を果たしている 従って その完遂に向けた貢献を目的とする本プロジェクトは極めて重要である 要 -1

16 (2) プロジェクトの内容決定に関する基本方針 1) プロジェクト内容決定の基本方針 (a) プロジェクトの内容および技術的側面の検討 当該国の電力セクター全般に関する資料 データを入手 分析する 発電所建設候補地 その周辺変電所 送電線等の現状 燃料として使用する天然ガスの性状を調査し 最適なコンバインドサイクル発電所の仕様を策定する 上記仕様に基づき概略工程を策定する (b) 環境社会配慮 本プロジェクトの社会環境に与える影響 : 当該プロジェクト建設に伴う用地買収 雇用促進 経済裨益効果 その他社会環境に与える影響につき調査する 当該国における許認可関係 : 環境アセス 関連法規 必要な許認可等につき調査する (c) 財務経済分析 建設コストの積算 : 策定した仕様による概略工事費を積算する 事業性評価 : 財務 経済分析を行ない 事業採算の取れる資金調達 売電スキームを検討する 2) 概念設計および適用設備の仕様 提案する発電設備は 最新鋭の高効率コンバインドサイクル発電方式であり 日本国内外において建設および運用実績を有する 発電設備の主要機器構成は以下のとおりである ガスタービン 排熱回収ボイラ 蒸気タービン 発電機 付帯設備 ( ガス圧縮機 水処理設備 排水処理設備他 ) 電気 制御装置 要 -2

17 (3) プロジェクトの概要 1) プロジェクトの範囲 高効率コンバインドサイクル発電所の主要機器は ガスタービン 排熱回収ボイラ 蒸気タービンお よび発電機設備から構成されている その他に 次の設備から構成される ガスタービン補機 ( 吸気装置 潤滑油装置 3S クラッチ等 ) 蒸気タービン補機 ( 潤滑油装置 復水器 ボイラ給水ポンプ 復水ポンプ 循環水ポンプ 脱気器 復水器洗浄設備等 ) 発電機補機 ( 密封油装置 冷却装置等 ) 電気設備 制御設備 圧縮空気設備 燃料ガス圧縮設備 水処理設備 排水処理設備 冷却水設備 防災設備等 本事業対象とする コンバインドサイクル発電所建設の工事範囲について 現時点での計画概要を表 1 に示す 項目対象地点発電出力及び台数実施範囲実施範囲外 表 1 本事業において実施する範囲内容クアンタン (Kuantan) 及びカパール (Kapar) 500~700MW 2 機コンバインドサイクル発電所建設工事一式土木工事コンバインドサイクル発電所の詳細設計コンバインドサイクル発電所 ( ガスタービン及び補機 排熱回収ボイラ 蒸気タービン 蒸気タービン補機 発電機 発電機補機 電気設備 制御設備 環境設備 圧縮空気設備 冷却水設備 防災設備等 ) の製作 輸送 据付工事発電所の試運転コンサルティング業務以下の事項に関しては TNB にて実施するものとする 本事業に伴う発電所 送電線 変電所及びガス配管建設用地の収容 ( 出典 : 調査団作成 ) 要 -3

18 2) 事業総額 クアンタン及びカパールの建設費 初期投資コストを表 2 及び 3 に示す 表 2 コンバインドサイクル発電所の建設費 ( クアンタン ) プロジェクト コンポーネント クアンタン 総コスト (JPY 百万 ) 外貨部分 (JPY 百万 ) 内訳 内貨部分 (JPY 百万 ) A. 建設費用発電プラント機材 92, , ,661.0 土木費 4, , ガス供給システム 変電所 4, , 送電線 1, ,465.0 用地取得 5, ,371.5 小計 108, , ,389.5 B. コンサルティング 1, , C. 予備費 ( フィジカル )*1 10, , ,539.0 D. 建中金利 * E. 合計 121, , ,321.6 注 ) *1 予備費 ( フィジカル ) は建設費用について 10% 計上した *2 建中金利は JICA 円借款による資金調達の場合を想定 プロジェクト コンポーネント 表 3 コンバインドサイクル発電所の建設費 ( カパール ) カパール 総コスト (JPY 百万 ) 外貨部分 (JPY 百万 ) 内訳 内貨部分 (JPY 百万 ) A. 建設費用発電プラント機材 92, , ,661.0 土木費 16, , ,857.0 ガス供給システム 変電所 5, , 送電線 用地取得 造成 *1 4, ,330.7 小計 118, , ,585.7 B. コンサルティング 1, , C. 予備費 ( フィジカル )*2 11, , ,458.6 D. 建中金利 * E. 合計 133, , ,437.4 注 ) * 1 カパールの発電所建設予定地の用地については TNB 所有地を利用する予定であるが 財務分析上の都合上 クアンタン取得予定土地と同単価で用地取得費をしたものとして計算 ( 単価 RM15.6/ 平方フィート 用地面積 50 エーカー ) 加えて 用地造成費として RM130 百万を計上 *2 予備費 ( フィジカル ) は 建設費用について 10% 計上した *3 建中金利は JICA 円借款による資金調達の場合を想定 ( 出典 : 調査団作成 ) 要 -4

19 3) 予備的な財務 経済分析の結果概要 下表に示す前提条件を置き 予備的な財務 経済分析を行った 項目 表 4 主要前提条件 前提 発電発電出力 ( 所内率除く ):1229.8MW プラント ファクター :50% 年間発電量 :5,386.5GWh プロジェクト実施期間 2018 年 ~2041 年 *1 事業運営期間 21 年 (2021 年 ~2041 年 ) 資金ソース本試算では JICA 円借款による資金調達を前提に試算 JICA 円借款資金 : 約 85% エクイティ : 約 15% なお 代替的資金調達手段として JICA 海外投融資資金及び JBIC バイヤーズ クレジットも検討資金条件金利 :LIBOR+20bp*2 返済期間:25 年 ( 含む据置期間 7 年 ) 減価償却 期間 :21 年 ( 発電機器等 ) 方法 : 定額 ターミナル バリュー *3 EPC 価格 ( 発電プラント機材 土木費用 ガス供給システム 変 電所 ) の 50% 相当の金額 建中金利 LIBOR+20bp*2 売電単価 34.73sen/kWh*4 燃料単価 RM42.24/GJ(HHV)*5 予備費 ( フィジカル ) 10% 諸税 法人所得税 :24.% 物品 サービス税 :6% 輸入関税 :0% 輸入に課される物品 サービス税 :6% O&M 費用 プラント費用の 2% 為替レート RM1=JPY26.41*6 ( 出典 ) 調査団 ( 注 ) * 年に土地収用予定 *2. LIBOR=0.113%(2016/1/15 時点 ) を適用 *3. ターミナル バリューとは 事業期間が延長された場合に将来 Off-taker から受け取る電力代金を事業期間終了時における現在価値に割り引いた金額 本分析では Terminal Value は EPC 価格の 50% 相当と想定 *4.. 当該売電単価は 2012 年にマレーシア電力委員会が事業権入札実施した Prai ガス複合発電事業において 最終的に TNB が PPA(Power Purchase Agreement: 売電契約 ) を締結した際の Levelized Electricity Cost (LEC) がマレーシアにおけるベンチマークタリフになっていることから当該数値を適用 * 年にマレーシア電力委員会が作成したガス複合発電事業に係る入札図書で規定されている燃料単価を適用 * 年 1 月 15 日の為替レート適用 ( 出典 : 調査団作成 ) 要 -5

20 その結果を以下に示す 表 5 予備的な財務 経済分析結果 分析指標 結 果 クアンタン カパール 1 財務的内部収益率 (Financial Internal Rate of 3.54% 2.99% Return:FIRR) 2 経済的内部収益率 (Economic Internal Rate of 5.63% 4.57% Return:EIRR) 3 エクイティ内部収益率 (Equity Internal Rate of 12.88% 10.86% Return: エクイティ IRR) 加重平均資本調達費用 (Weighted Average Cost of Capital:WACC) 2.52% 2.48% ( 出典 : 調査団作成 ) (a) FIRR 及び EIRR 本プロジェクトにおける 2 候補地での FIRR 及び EIRR の算定結果は表 5 の通りである クアンタン およびカパールにおける本プロジェクト実施の FIRR はいずれも WACC を上回っており財務的実施可能 性を有する また 両プロジェクトサイトでの EIRR も いずれも マ 国における社会的割引率であ る 4.5%( マ 国政府発行 20 年物国債の 2016 年 2 月現在のイールド ) を上回っており 経済的実施 可能性を有する (b) エクイティ IRR エクイティ IRR はプロジェクトへの出資に帰属する収益率を表すものである 本プロジェクトでは 費用総額の約 15% を実施機関として想定する TNB からのエクイティで調達することを想定しているこ とから 出資者としての TNB に帰属する収益率である クアンタンおよびカパールでの事業実施にお けるエクイティ IRR は それぞれ 12.88% および 10.86% である 要 -6

21 4) 環境社会的側面の検討本調査は パハン州クアンタン (Kuantan Pahang) セランゴール州カパール(Kapar Selangor) の 2 候補地点について 環境社会配慮の観点から検討を行った またマ国の環境行政 EIA を含む環境社会配慮制度についても整理した パハン州クアンタンの候補地は 国道 3 号線 (Federal Route3) と海岸に挟まれた平坦な場所に位置する 候補地は 現在土地収用の交渉を実施中である 候補地周辺は 木材加工業 金属加工業 コンクリート製品業等の中小企業が生産活動している工業都市ゲベン (Gebeng) に隣接している また候補地の南東方向にクアンタン港がある セランゴール州カパールの候補地は 現在はほとんど耕作地である 敷地は 石炭火力発電所 ( 総出力 2420MW- KAPAR ENERGY VENTURE(KEV) の石炭灰処分場に隣接している KAPAR ENERGY VENTURE(KEV) は 国内の電力需要の 15% を賄っている 候補地は 事業者 (TNB) によって既に土地収用が完了している 海側に面する敷地境界にはマングローブが生育している 本調査では JICA 環境社会配慮ガイドライン 環境社会配慮確認のための JBIC ガイドライン を参考に 環境社会配慮に係る問題点の洗い出しを行うとともに 工事中及び供用時におけるモニタリング計画を提案した 今回の検討の結果 2 候補地点において重大な懸念事項は想定されないが 以下の点について 環境影響評価の検討段階で留意しておく必要がある パハン州クアンタン 土地収用と補償 サイト北 3 kmのリゾート地への影響 ( 景観等 ) セランゴール州カパール 既設発電所との累積影響の検討( 大気 温排水等 ) 敷地の海側のマングローブの伐採 要 -7

22 (4) 実施スケジュール 実施スケジュールを以下に示す 図 1 プロジェクト実施スケジュール Duration (month) METI Pre-F/S 5 Request for Yen Loan from EPU (GoM) to EoJ (GoJ) Study in GOJ and Confirmation with NGO F/S by JICA 6 EIA 12 Appraisal 2 Pledge E/N and L/A Selection of Consultant Preparation of Bidding Documents (under TNB funding) 10 Selection of Contractor 6 Construction of Combined Cycle Power Plant 36 ( 出典 : 調査団作成 ) 要 -8

23 (5) 実施に関するフィージビリティ 1) 円借款要請に係わる課題本調査では円借款要請機関を マ 国首相府経済企画庁 (EPU) 実施機関を マ 国電力会社の TNB として想定している TNB は実質的に政府機関であると位置づけられ また信用力 債務返済能力に問題はないと言えることから 円借款供与先として適していると考えられる 一方 円借款要請に際しては 下記制約の検討が今後必要となる (a) 政府保証 マ 国の政府債務残高 政府保証残高は年々上昇しており 新たに政府保証を供与するに当っては 慎重なプロジェクトの選定が求められている マ 国政府として 制度が整っており Bankability も高く 既に政府保証無しで資金調達が行われている電力セクターに対しては IPP 形式での事業実施 あるいは政府保証なしでの調達可能性があるサブ ソブリン向け円借款の供与を期待している (b) 発電事業権入札制度との整合性国際競争入札を通して各事業者に発電事業権が供与されることが一般的となっている マ 国状況下 発電事業権入札の実施に拘わらず 遅延する新規発電所建設案件の代替案件として本件を実現することで マ 国に裨益することを より マ 国関係者に認識させることが重要である 2) 円借款要請 実施に関するフィージビリティ上記制約事項はあるものの 下記事項に鑑みれば 円借款要請 実施に関するフィージビリティは十分有ると考えられる (a) 日本としての戦略的意義本調査報告書の第 10 章 (4) に記載の通り 主に以下 5 点より本プロジェクトの実現は日本にとって非常に戦略的意義が大きいと考える a) マレーシアの電源開発への貢献上述の通り マ 国政府は 2020 年までに 7,626MW の設備容量増加を図る計画を打ち出しているが その 1 つである 1,000MW-1,400MW 級ガス複合火力発電所建設案件の遅延が発生しており 代替案件の開発が急務となっており 本プロジェクトは代替案件としてマレーシアに貢献することが期待出来る b) ライフサイクルコスト三菱日立パワーシステムズ社製最新鋭 J 型ガスタービンは国内 海外で順調に運転実績を積み上げており 信頼性の高いガスタービンであると言える 最新鋭で高効率且つ運転実績があり信頼性の高いガスタービンを納入することにより 本プロジェクトは事業期間を通して経済的合理性を考慮する ライフサイクルコスト を低減した案件になり得る また 上述案件の遅延に伴い マ 国では PPA 満了を迎えた老朽化した効率の低い発電所の稼動期間を延長しているが 当該老朽化した発電所要 -9

24 を本プロジェクトに置き換えることで 二酸化炭素排出量も削減することができる c) 人材育成ガスタービンメーカーが 建設期間中は試運転時に技術アドバイザーを派遣し また商業運転開始後もガスタービンの長期保守サービス契約に基づきガスタービンの点検 補修を実施することになった場合には 最新鋭ガスタービンの保守 運転の経験を持たない TNB の人材育成に繋がることが期待できる d) 本邦重電メーカーの主機一式の輸出拡大現在 マ 国を含む東南アジア地域では新型ガスタービンの受注競争が活発化しており 特に米国 General Electric 社及び独国 Siemens AG 社が積極的に販促活動を行っている状況下 本件を通して 日本の国家プロジェクト 1,700 級ガスタービン技術開発 の一環として開発された 最新鋭ガスタービンの納入実績を作ることは 本邦重電メーカーの主機一式 ( ガスタービン 蒸気タービン 発電機 排熱回収ボイラ ) の輸出拡大に繋がる また 今後 マレーシアをはじめとする開発途上国への高効率ガスタービンを展開する際のモデルケースとなり得る e) 開発途上国の電源開発における国際競争でのプレゼンス確保昨今 東南アジア地域等の開発途上国において電源開発が盛んに行われており それに伴い先進 新興国の案件受注競争が熾烈になってきている 例えば 現在 マ 国政府ファンド 1MDB 傘下の発電会社 Edra Global Energy 社の全株式を中国国営電力会社である China General Nuclear Power Group への売却に向けた最終段階であり 仮にこれが実現した場合 マ 国半島発電設備容量の内 約 15% の持分容量を China General Nuclear Power Group が保有することとなり マ 国電力セクターにおける中国勢の存在感が高まる可能性がある マレーシアは円借款卒業移行国であるものの 円借款により三菱日立パワーシステムズ社製最新鋭ガスタービンを起用した日本業者による電源開発を実現することは 将来的に原子力発電も計画されている マ 国において協力を促進する点で意義があると考える (b) 機動的 柔軟な円借款の実現可能性 2015 年 11 月 21 日に マ 国クアラルンプールで開催された ASEAN ビジネス投資サミットにおける安倍総理大臣スピーチでは 例外なく政府保証を条件としていた 従来のやり方も改める 相手国政府の十分な関与を得ながら 自治体や公社など公的機関に円借款を行う場合には 政府保証がなくてもよいことにします 機動的 かつ柔軟な円借款を可能とすることで 多様なインフラニーズに しっかりと応えてまいります との発言があり マ 国側のサブ ソブリン向け円借款適用への期待は一層高まっている なお 今後 案件の円滑な進捗に向けてアクションを起こす必要があるのは日本側に限らず 事業実施主体が マ 国政府内における本事業の重要性を高めていく必要がある 要 -10

25 (6) 我が国企業の技術面等での優位性 日本の発電設備メーカーは欧米の競合メーカーと競いながら性能向上 信頼性向上のための開発努力を続けてきた また熾烈な国際競争の中で常にコスト低減努力を続けてきた その結果技術面 価格面での競争力を確保してきており 本事業において適用される J クラスのガスタービンは我が国の国家プロジェクトである 1,700 級ガスタービン技術開発 の一環として開発された最新鋭ガスタービンであり 出力 効率 環境負荷低減および運転実績で欧米の競合メーカーより優位に立っている 運転 保守 運営管理の面では 本邦発電設備メーカー 電力会社等の技術と経験は TNB の本事業のコンバインドサイクル発電所の運転 保守 運営管理の支援に資するところは大きい 要 -11

26 (7) 案件実現までの具体的なアクションプランおよび課題 マ 国側の円借款要請に向けて 先ずは本調査報告書を マ 国関係機関に共有し 日本の最新鋭ガスタービンの納入 並びに低金利資金調達を可能とする円借款供与により 遅延する新規発電所建設案件の代替案件として本件を実現することで マ 国に裨益することを認識させることが必要である その中で 今後の円借款要請 供与に向けて必要となる課題は主に下記 3 点であると考えられる 1) サブ ソブリン向け円借款の適用 (5) にて記載の通り マ 国政府は電力セクター向けに対してはサブ ソブリン向け円借款の活用を望んでおり 実施機関である TNB もその供与先として適していると結論付けられる 今後 円借款卒業移行国への円借款供与要件である 政策的意義 の証明や マ 国政府の具体的な関与方法等について検討を重ねていくことが必要である また 円借款要請を発出する機関である EPU にも本調査報告書の内容を共有し マ 国政府機関には経済性と事業権入札制度への準拠との両方の観点から 本プロジェクトの推進について総合的に判断してもらい 円借款要請手続きに繋げる必要がある また 円借款以外のファイナンスツール活用も並行して検討する 2) 円借款の迅速化 マ 国では 過去の同国向け円借款適用案件における複雑な手続き 案件実現までに必要とされる時間軸を引き合いとして 円借款の迅速化を求める声が多い また 上述の通り マ 国電源開発計画に登録済みの新規発電所建設案件が遅延しており その代替案件として本件の迅速な実施が求められている 要 -12

27 (8) 調査対象国内での事業実施地点が分かる地図 図 2 事業実施地点の分かる地図 Kuantan Kapar ( 出典 : グーグル地図を元に調査団が作成 ) 要 -13

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29 第 1 章 相手国 セクター等の概要

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31 (1) 相手国の経済 財政事情 1) 経済の略史マレーシア ( 以下 マ 国 ) は 19 世紀以降長期にわたりイギリス植民地統治下でのスズ 天然ゴムの一次産品輸出に依存したモノカルチャーの経済構造であった その後 この二品に加え 原油 パーム油 液化天然ガスなどの一次産品輸出の多様化にも注力をし始めた 1981 年から 20 年強に亘るマハティール政権下では 外資の積極的活用を図りながら 一次産品輸出依存から 集積回路 半導体等の電気 電子産業等を中心とした工業化の進展 サービス業 観光業等への多様化が図られた これを通じて マ 国経済の天然資源への依存度は後退し 現在では輸出の 6 割強を工業製品関連が占め かつ 欧米などの先進国向けの輸出割合が高いなど経済の多角化が進展した その結果 1988 年から 1996 年にかけて高水準の投資と旺盛な民間消費により 10% 前後の経済成長を続けた 1998 年にアジア通貨危機の影響による低成長 2001 年の米国同時多発テロによる米国経済減速や 2008 年の金融危機の影響によるマイナス経済成長を除けば 経済成長率は堅調に 4~7% 台で推移し 一人当たり GDP は 2012 年以降 1 万ドルを上回る水準に達するなど経済発展を進めている 一方 アジア域内の中でも国内経済規模が相対的に小さく外需依存度が高い マ 国経済は 海外経済の景気動向に大きく左右されやすいという脆弱性を依然として有している 特に 2008 年の金融危機前後からの先進国の景気伸び悩みのなかで中国等の新興国経済が相対的に勢いを増し マ 国の輸出に占める中国向け割合が 13% 以上に拡大するなど 先進国だけでなく中国経済の影響も受けやすい経済体質となっている 現在のナジブ政権では ビジョン 2020 という長期計画の下 2020 年までに一人当たり所得を 1 万 5 千ドル以上に引き上げて高所得国入り およびイスラム金融 ハイテク産業 バイオ産業 サービスセクターへの投資推進による付加価値の高い生産チェーンへの移行を目指している 2) 最近のマクロ経済概況 マ 国の 2014 年のマクロ経済は 良好な所得 雇用環境に加え政府の低 中所得者層へ支援などに支えられた堅調な民間消費や年前半の好調な輸出により 2010 年の 7.4% 以来の高成長となる 6.0% の経済成長を達成した 供給サイドでは 製造業 サービス業 建設業が成長を牽引した 2015 年前半の経済成長率は 資源価格下落による鉱業分野等における輸出鈍化 最大の輸出先である中国の経済減速に伴う中国向け輸出鈍化などにより 5.3% の成長に留まった 需要サイドでは 民間消費が賃金上昇 雇用の堅調な成長 2015 年初頭の洪水被害に対する政府の現金支給等に支えられ 2015 年前半に 7.6% の大幅な成長を達成した しかし 4 月からの物品 サービス税 (Goods and Services Tax(GST)) 導入により 4 月以降の民間消費は軟調となっている 政府消費も同期に 5.5% の成長したものの 政府投資は幾つかの国営企業投資が完了したことを受け 3.7% 減少した また民間投資は軟調であるが 7.5% 成長を記録し 全体の投資は 4.0% 成長した 輸出は年前半輸出量ベースで 2.2% の減少で輸入減少 0.9% を超えるペースで減少した 経常黒字は縮小している 第 3 四半期に入り リンギット安にも支えられ電子機器を中心とした輸出が回復基調にある 一方民間消費は GST 導入の反動及び 2015 年 7 月以降の急激なリンギット安による物価上昇等の理由により鈍化傾向にある これにより 7-9 月期の実質 GDP 比率は前年比 4.7% 増と前期の 4.9% 増より鈍化している 2015 年の経済成長は世銀では 4.7% と見込んでいる 2016 年においては 公的 民間投資の増加が期待 1-1

32 されている一方 民間消費は実質可処分所得の減少や軟調な労働市場の影響を受け穏やかな成長が期待されている それにより マ 国政府は 2016 年 1 月に 2016 年経済成長率を見直し 2015 年見通しを下回る 4.0~5.0% としている 世界的な経済動向の不確定さは 2016 年に入ってからも消えず 輸出依存の高い マ 国経済にとってのリスク要因となっている 近年インフレーションは比較的安定的に推移している また 国内外経済環境の不確実性上昇や経済成長の鈍化により 中央銀行は 2014 年 7 月に短期金利を引き上げて以来 政策金利を引上げていない 目先のインフレーションは 2014 年 12 月の燃料補助金廃止に伴う燃料小売価格引上げ 2015 年 4 月の GST の導入に加え 為替下落による輸入品価格への価格転嫁により上昇傾向にある 但し GST 導入のインフレーションへの影響は GST 以前に存在した売上サービス税 ( 税率 10%) の対象品目が値下がりしていることや 生活必需品の多くが課税対象外となっていることから限定的であると考えられる 表 1-1 マ 国の主要経済指標 GDP 成長率 (%) 一人当たり GDP(US ドル ) 7,379 8,647 7,439 8,920 10,253 10,653 10,796 11,049 10,073 経常収支 ( 対 GDP %) CPI(%) ( 出典 :IMF (2015), Malaysia, Staff Report for the 2014 Article IV Consultation, IMF(2012), Malaysia, Staff Report for the 2011 Article IV Consultation) 3) 主要産業状況 (a) 産業構造 2014 年における GDP への各産業の寄与率で考慮すると 産業比率はサービス業 54% 製造業 37% 農業 9% と 2002 年における産業比率であるサービス業 49% 製造業 42% 農業 9% と比較してサービス業の比率が増加しており プランテーションや資源輸出に依存する経済構造から 工業化そしてサービス経済へと移行している 製造業では 電子 電気産業に加えて 自動車産業や食品産業が中心である サービス業では 観光産業の他 最近政府が外資誘致と産業育成に注力している IT 産業やイスラム金融 また医療や教育機関も成長分野となっている 農業部門の総体的比重は低下しているものの パーム油が引き続き高い生産量を維持している 表 1-2 産業別名目 GDP に対する産業別寄与 ( 単位 : 億リンギット %) 金額 構成比 金額 構成比 金額 構成比 全体 3,832 8,214 11,066 農業 % % % 鉱業 採石 % % 1, % 製造業 1, % 1, % 2, % 建設 % % % 電気 ガス 水道 % % % 卸売 小売 ホテル レストラン % 1, % 1, % 運輸 倉庫 通信 % % % 金融 保健 不動産 % % 1, % その他民間サービス % % % 政府サービス % % % 輸入関税 % % % ( 出典 : マレーシア統計局 ) 1-2

33 (b) 貿易構造 マ 国の輸出は 電気 電子製品が中心であり 輸出全体の 3 割以上を占めている 次いで一次産 品は現在でも相応のウェイトを占め パーム油 液化天然ガス 原油の 3 品で輸出の 2 割以上の構成と なっている 石油製品を含めると輸出の約 3 割を資源関係の品目が占めており 工業製品と天然資源が 分散された輸出構造となっている 輸入は 電子 電気機器等の加工 組立産業の占める割合が高いこ ともあり 輸出同様に電気 電子製品が全体の 3 割近くを占めている 次いで 輸入金額ベースで石油 製品であり 以下原油が続いた 原油価格は低下しているが内需が堅調なことから輸入量は増加してい る 表 1-3 マ 国の主要品目別輸出入( 上位 5 品目 )( 通関ベース ) ( 単位 : 億リンギット %) 輸出 (FOB) 輸入 (CIF) 金額 金額 構成比伸び率 金額 金額 構成比 伸び率 電気 電子製品 2,369 2, 電気 電子製品 1,796 1, パーム油 同製品 石油製品 液化天然ガス 原油 石油製品 航空機 関連部品 原油 金 ( 非貨幣用 ) その他 2,679 3, その他 3,493 3, 合計 7,200 7, 合計 6,487 6, ( 出典 :JETRO) マ 国の輸出入先を国別で見ると 2014 年ではシンガポールが最大の輸出先であり総輸出の 14.2% を構成している 次いで中国 (12.1%) 日本(10.8%) の順となっている 2014 年の輸出増を牽引したのはシンガポール 米国 香港 オーストラリア インド EU であった シンガポール向けの輸出では集積回路や石油が伸びている また 米国向けは電話機や集積回路等の電気 電子製品輸出が中心であった 対中国輸出は 精製銅や石油などの原材料輸出の大幅な減少を受け 前年比 4.8% 減の 923 億リンギッドで 2 年振りに減少した 輸入については 2014 年では中国が最大輸入国であり 次いでシンガポール 日本 米国の順となっている 中国 シンガポールからの輸入は 2014 年ではそれぞれ 8.7% 6.9% と大幅に増加している 中国からの輸入増加の中心は 電気 電子製品の輸出用部材としての電子部品や建築関連資材であった シンガポールからの輸入でも集積回路や石油の増加が顕著であった 表 1-4 マ 国の主要国輸出入 ( 通関ベース ) ( 単位 : 億リンギット %) 輸出 (FOB) 輸入 (CIF) 金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率 シンカ ホ ール 1,004 1, 中国 1,063 1, 中国 シンカ ホ ール 日本 日本 米国 米国 タイ タイ 香港 韓国 オーストラリア イント ネシア インド オーストラリア EU EU 合計 7,200 7, 合計 6,487 6, ( 出典 :JETRO) 1-3

34 4) 国際収支状況 (a) 経常収支 マ 国の 90 年代の経常収支は 98~99 年のアジア経済危機まで ほぼ均衡か若干の経常赤字が継続 していた しかし アジア通貨危機以降 マ 国通貨の為替レートが 1996 年から 1998 年の間に約 5 割以上減価したことなどに伴い マ 国輸出製品の競争力の高まりから 1998 年以降経常黒字を計上し てきた しかしながら 経常収支黒字については リーマンショック前の 2008 年に対 GDP17.1% を記録 以降 黒字幅は縮小傾向にあって 2015 年には 2.9% に低下しており 不安定な資本流出に対するバッフ ァーが薄くなっている この経常収支黒字の大幅減少の主要因は 消費等内需の拡大やそれに対応する 国内向け投資増加など マ 国経済の構造的変化に起因するところが大きい しかし 最近の減少は原 油価格の下落に伴う鉱物性燃料の輸出の低迷に加え 最大貿易相手国である中国経済の景気減速に伴う 対中輸出の低迷に起因していると言える 表 1-5 マ 国の国際収支状況 貿易収支 (10 億 US ドル ) 輸入 (10 億 US ドル ) 輸出 (10 億 US ドル ) 経常収支 (10 億 US ドル ) 資本収支 (10 億 US ドル ) 国際収支 (10 億 US ドル ) 経常収支 ( 対 GDP %) ( 出典 :IMF (2015), Malaysia, Staff Report for the 2014 Article IV Consultation, IMF(2012), Malaysia, Staff Report for the 2011 Article IV Consultation) (b) 資本収支 マ 国の 2014 年の対内直接投資は前年比 29% 減の 342 億リンギットと 2 年振りに減少した 人件費上昇や労働者確保といった労務関連問題に加え 電気やガス等に対する補助金撤廃によるエネルギー関連コスト増もその要因として挙げられる 2015 年では第 3 四半期までに 292 億リンギットと前年同期比 11.1% 増となっている 対外直接投資は 2014 年には前年比 26.6% 増の 513 億リンギットと 3 年振りに増加した 一方 証券投資は 上述のような経常黒字の縮小 近年の資源価格下落 マ 国の最大輸出国である中国の景気減速などによる輸出の下押し圧力や 米国の景気回復に伴う利上げ観測 政府系投資会社であるマレーシア開発銀行 (MDB:Malaysia Development Bank) の資金を巡る政治不安 為替安等を懸念材料に 2014 年後半から外国人投資家の証券投資が流出傾向にあり それにより為替の下振れ圧力が増加している 表 1-6 資本収支の状況 第 1 四第 2 四第 3 四第 4 四第 1 四第 2 四第 3 四半期半期半期半期半期半期半期対内直接投資 (10 億 US ドル ) 対外直接投資 (10 億 US ドル ) 証券投資 (10 億 US ドル ) ( 出典 : マレーシア中央銀行 ) 5) 最近の為替動向リンギットは対米ドルでは 2011 年以降毎年 3~7% 程度下落が続いていた 2014 後半からの原油価格急落を受けた経常黒字の縮小観測を呼び リンギットの急速な下落が始まった 2015 年前半に一旦下落 1-4

35 は沈静化したものの 8 月から 9 月にかけ再び一段と下落し 9 月末で年初来 27.2% 下落した その後反発傾向にあり 2015 年 12 月末時点で年初来 22.9% 下落の 1 ドル 4.3 リンギット程度とアジア危機以来の安値水準で推移している 対日本円に対しても 2015 年後半から大幅な減価が進んでおり 2015 年 12 月時点で年初から 21.9% 低下している 為替下落の要因としては 1 マ 国の輸出の 3 割程度を占める原油や天然ガス等の資源価格下落や中国経済の成長鈍化等による マ 国の貿易収支 財政収支悪化懸念 2 先進国経済の先行不透明感 3 米国経済持ち直しに伴う金利上昇期待 (2015 年 12 月に金利引上げ ) などによる海外証券投資の流出 4 上述の政治不安などが挙げられている 図 1-1 為替レート推移 ( 出典 : マレーシア中央銀行 ) 6) 最近の外貨準備及び対外債務の動向前述のように為替相場が低下しているため 中央銀行はリンギット下支えのために為替介入を実施しており それを主因に外貨準備高は 2015 年 10 月時点で 940 億ドルまで減少し 対短期対外債務比 (1 年以内に返済期限を迎える債務 ) は IMF が定めた目安である 1 倍を辛うじて上回る 1.2 倍にまで低下している そのため 国際投資家がリスク回避の流れに転じて新興市場から更なる資金引上げが開始した場合には 資本流出圧力に晒されやすい体質となっている なお 輸入カバー率 ( 輸入月額に対する割合 ) は低下しているものの 10 月末時点で 8.7 カ月程度確保されていることから当面の間は外貨準備不足になる可能性は低いと考えられる 図 1-2 マ 国の外貨準備高推移 図 1-3 マ 国の対外債務残高推移 ( 出典 : マレーシア財務省 ) 1-5

36 マ 国の対外債務の名目 GDP 比率を見ると 過去 3 年は 60%~70% 程度の水準で推移しており 2015 年に入ってから上昇傾向にあり 2015 年 9 月末では対 GDP 比で 73.4% となっている この要因は 2015 年のリンギットの主要通貨に対する大幅な減価によるところが大きいとされている 総対外債務のうち半分以上が中長期債務であり 通貨建てでは総対外債務の約 35% がリンギット建てであり 主に非居住者によるリンギット建て債券の保有である 一般的に対外債務残高が多い場合 急減な資本流出を惹き起こすリスクが高まると考えられている しかしながら 二か国間の通貨スワップ取極めや危機時に外貨を融通しあうチェンマイ イニシアティブなどの仕組みが整備されていることから アジア通貨危機時のような大規模な資本流出が発生する可能性は低いと言える 7) 財政事情概況 マ 国の財政は 2008 年に発生したリーマンショック時の景気低迷を支えるための大規模な財政出動以降悪化傾向にあった 政府債務残高は増加傾向をたどり 同国の財政赤字対 GDP 比は 2007 年の 3.28% から 2009 年には 7.0% に大幅拡大 同様に政府債務残高の対 GDP 比も 2007 年の 41.5% から 2013 年には法定上限 1 の 55% に近い 53.7% に上昇した 加えて 歳入の 3 割程度を占める石油 ガス収入は産業構造の変化や資源価格の低下により暫時減少 一方社会保障等の義務的支出は増加が見込まれており 財政改革は不可避な状態であった このような財政悪化に対応するために 2013 年 5 月の総選挙後に現政権は経済脆弱性を解消するために 2020 年財政均衡を目的とした財政改革に着手した 2013 年に財政政策策定 実施のための意思決定機関として財政政策委員会が設置された 増加していた補助金の見直しが着手され 2013 年 9 月には一般世帯向けガソリンとディーゼルに対する補助金削減 10 月には砂糖に対する補助金全廃 2014 年 1 月には電気代に対する補助金削減 2014 年 1 月には燃料補助金が全廃された ( 約 107 億リンギットの節約 ) また 2015 年 4 月には従来の売上税 10% とサービス税 6% を撤廃して課税対象外品目を従来よりも限定した GST( 税率 6%) を導入した また 中期的な財政の持続確保 効果 効率的な予算配分を実施するために中期財政フレームワークやパフォーマンス ベースの予算策定を導入した これらの政府による財政赤字削減の取組みにより 2014 年及び 2015 年の財政赤字はそれぞれ対 GDP 比で 3.5% 3.2%( 予測 ) 同年の政府債務残高対 GDP 比は 53.5% 52.9%( 予測 ) と いずれもスローペースではあるが改善傾向にある 但し 歳入の石油 ガス収入への依存度は依然として高く 今後も引き続き資源価格が低下するようであれば 2020 年までの財政赤字削減目標を達成するためには 更なる歳出削減 公共投資の質の改善 課税対象拡大等の税制措置等の更なる対応を採ることが必要であることが IMF や世銀から指摘されている 2 1 Loan Act 1959, Government Funding Act IMF (2015), Malaysia, Staff Report for the 2014 Article IV Consultation, the World Bank (2015), Malaysia Economic Monitor, December

37 図 1-4 政府債務残高と財政赤字 ( 対 GDP 比 %) ( 出典 :IMF (2015), Malaysia, Staff Report for the 2014 Article IV Consultation, IMF(2012), Malaysia, Staff Report for the 2011 Article IV Consultation) 注 :2015 年以降のデータは IMF 予測値 なお 2014 年に実施された IMF の債務持続性分析では ベースラインシナリオ ( 実質経済成長率 5% 2018 年に基礎的財政収支黒字化 ) では 債務残高対 GDP 比は 2019 年までに 49% に低下 基礎的財政収支現状維持のシナリオでは 同比率は 2019 年までに 50% に低下 最も厳しいシナリオ ( 基礎的財政収支が 1% 悪化 ) では 2016 年に同比率は 56% に一旦上昇後 低下に転じる等の試算がされており いずれのシナリオにおいても同比率が大幅に悪化することは予想されてない 1-7

38 (2) プロジェクトの対象セクターの概要 1) マ 国の電力セクター マ 国の電力は 2013 年時点で国内需要 1,186 億 kwh に対し 国内供給は 1,321 億 kwh と国内需要を満たしており 実現性の高い電源開発計画に基づき発電所の設置 運営を行っている 3 電力供給は政府系電力会社と民間が行っており 本プロジェクトの対象地域であるマレー半島部においては マ 国の国家電力委員会を前身とするテナガ ナショナル (Tenaga National Berhad 以下 TNB) がその最大手である 電源構成はガスと石炭による火力発電が主力である 2012 年時点で総発電量に占める比率は ガス火力が 45.4% 石炭火力が 41.5% であったが この 10 年間で安価なガス価格を受けて国内の天然ガス需給が逼迫したことなどから ガスによる発電比率は低下の傾向にある 4 中長期的な電源開発計画としては原子力発電も視野に入れられているものの その開発が一気に進むことは考えにくく 今後もガス 石炭を燃料とする開発計画が主軸となるものと予想される これまでの マ 国の電力料金は他のアジア諸国と比較すると安いといえるが これは政府が補助金を出していたためであり 財政を圧迫する一因となっていた 2014 年 12 月から 財政改革の一環で燃料補助金が撤廃されたことにより 電力料金が 17% 引き上げられ 製造業等にとっては 生産コストの上昇につながる懸念材料となっている 2) マ 国のエネルギーセクター (a) マ 国のエネルギーセクターの体制 マ 国のエネルギー政策は 最高決定機関である首相府(Prime Minister's Department) の経済企画庁 (EPU:Economic Planning Unit) に置かれたエネルギー課 (Energy Section) が担当しており 国家の開発計画を策定する マ 国におけるエネルギー供給の方針や戦略策定の担当省庁は エネルギー 環境技術 水省 (Ministry of Energy, Green Technology and Water:KeTTHA) であり 環境産業の育成や環境保全政策の実施 省ネルギー政策の策定などを行っている エネルギー 環境分野では EPU とエネルギー 環境技術 水省とが連携し エネルギー政策や環境技術の振興などに取り組んでいる その下部組織である エネルギー委員会 (Energy Commission:EC) では 電力 ガス供給事業者に対するガイドラインの策定やエネルギー関連法制度の実施 エネルギー価格等の監督など 電力 ガス分野全体の規制を行っている また エネルギー 環境技術 水省の下部組織として 再生可能エネルギー固定価格買取制度の実施機関である 持続可能エネルギー開発庁 (Sustainable Energy Development Authority:SEDA) が設置されている ガス事業は国営の Petroliam National Berhad(Petronas) に石油 ガス資源の開発 生産 保有権と精製 石油化学分野における製造 販売権が付与されている 電力事業は マレー半島の Tenaga Nasional Berhad(TNB) サバ州の Sabah Electricity JETRO アジア オセアニア各国の電力事情と政策 4 同上 1-8

39 Sdn.Bhd.(SESB) および サラワク州の Sarawak Energy Berhad(SEB) の政府系電力会社 3 社と 独 立系民間発電事業者 (Independent Power Producer:IPP) が担当している 図 1-5 エネルギー事業の体制 首相府 経済企画庁 (EPU) エネルギー 環境技術 水省 (KeTTHA) エネルギー委員会 (EC) 持続可能エネルギー開発庁 (SEDA) 電気事業 ガス事業 TNB SESB SEB IPP Petronas ( 出典 : 調査団作成 ) (b) エネルギー需給状況 マ 国では 1990 年代以前は石油が一次エネルギー消費の多くを占めていたが 政府は石油の輸出量確保と石油資源の温存を目的として石油の消費を抑制したため 天然ガスが急増した 2000 年以降は 石油と天然ガスがほぼ同水準で推移し 年は天然ガスが石油を若干上回っている 1-9

40 図 次エネルギー消費の推移 ( 出典 :BP Statistical Review of World Energy June 2015) 特にアジア金融危機以降 1999 年から 2014 年までの推移をみると 石油は 1999 年の 2,230 万トンから 2014 年の 3,520 万トンへ約 58% の増加だが 天然ガスは 1,940 万 toe( 原油換算トン ) から 3,690 万 toe へ約 90% の伸びとなり その結果 2014 年の一次エネルギー消費に占めるシェアは 石油が 38.7% 天然ガスが 40.5% 石炭 17.5% 水力 3% 再生可能エネルギーが 0.3% となっている 生産の方は 1990 年代中頃までは石油が多かったが 生産抑制策により 1990 年代に入って伸びが鈍化し始め 2004 年の 3,630 万トンをピークに下降傾向に転じた 一方それに対し天然ガスの生産は積極的に拡大され 1997 年からガスの生産が石油を上回るようになった 2014 年のガス生産は 5,980 万 toe 石油生産は 3,030 万トンであった 1-10

41 図 1-7 石油と天燃ガスの生産量の推移 ( 出典 :BP Statistical Review of World Energy June 2015) (c) 天然ガスの生産 消費状況 マ 国の天然ガス生産は輸出産品としての LNG 生産とともに急増したが 2005 年からやや鈍化してきた 2014 年のガス生産は 66.4 Billion m 3 ( 前年比 1.2% 減 ) であった ガス消費も急増したが 2005 年以降は需要が抑制され ほぼ横ばいで推移してきた 消費は 2013 年から再び上昇してこれにより 2014 年の消費量は過去最大の 41.0 Billion m 3 ( 前年比 1.8% 増 ) であった 1-11

42 図 1-8 天然ガス需給の推移 ( 出典 :BP Statistical Review of World Energy June 2015) マ 国内の用途別ガス消費比率(2012 年 ) は 発電用が 56% 産業用 原料用が約 43% で, 発電 用が約 6 割を占めている 表 1-7 用途別ガス消費比率 用途 比率 (%) 発電用 56% 非エネルギー ( 原料用等 ) 23% 産業用 20% 輸送用 1% 家庭 業務用 0.1% 合計 100% ( 出典 :Malaysia: Natural Gas Industry Annual Review 2014 Edition ) また TNB の発電設備におけるエネルギー ( 燃料 ) の割合は 天然ガス 48.13% 石炭 40.14% 水力 11.64% 石油他 0.09% となっており 天然ガスが半分以上を占めている (TNB 2015 Annual Report) マ 国の天然ガスの確認埋蔵量は 2.5 兆 m 3 (2005 年時点 ) ~1.1 兆 m 3 (2014 年末時点 ) で 可採年数は 38.0 年 (2009 年末時点 ) ~16.2 年 (2014 年末時点 ) である この埋蔵量は全世界の 0.6% であり アジアではオーストラリア 中国 インドに次ぎ 4 位で 7% を占める 1-12

43 (d) マ 国の今後のエネルギーの需給見通し マ 国では今後も年 3~4% の電力需要の伸びが見込まれているが 電力の安定供給のための燃料の多様化が必須となっている 天然ガスはこれまで主要な燃料であって今後も継続するが ガス需要抑制策とベースロード火力がガス焚きから石炭焚きにシフトする中で石炭の増加が見込まれている 図 1-9 エネルギー源別発電量推移予測 ( 出典 :Peninsular Malaysia Electricity Supply Industry Outlook 2014) (e) TNB によるガス調達 TNB へのガスは Petronas から調達する Petronas Gas Berhad(PGB) 社がマレー半島に敷設している Y 字型のペニンシュラガスパイプライン (Peninsular Gas Utility Line: PGU) から発電設備に供給される 今回の調査で候補となっている 2 地点とも PGU からのガス供給が可能である 3) まとめ マ 国のエネルギー需給は石油と天然ガスが主体であり(2014 年の一次エネルギー消費に占めるシェアは 天然ガスが 40.5% 石油が 38.7%) そのうち天然ガスの約 6 割は発電用に消費されている 電力は今後も年 3~4% の需要の伸びが見込まれており 天然ガスは今後とも主要な発電用燃料である 1-13

44 (3) 対象地域の状況 図 1-10 に本プロジェクトの対象地点であるカパール (Kapar) 及びクアンタン (Kuantan) の位置を示す 図 候補地点の位置図 Kuantan Kapar ( 出典 :Google earth を基に調査団作成 ) 1-14

45 図 1-11 カパール (Kapar) 地点 ( 出典 :Google earth を基に調査団作成 ) 1-15

46 図 1-12 クアンタン (Kuantan) 地点 ( 出典 :Google earth を基に調査団作成 ) 1-16

47 第 2 章 調査方法

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49 (1) 調査内容 本調査における発電所建設候補地は マ 国の下記 5 地点である この候補地点から 最終的に1クアンタンを候補地点として選定した ( 地点選定の詳細については第 3 章 (3) に後述する ) パハン州クアンタンジョホールバルー州パッシルグダンセランゴール州プラウインダーセランゴール州カパールネグリ センビラン州ポ-トディクソン 本調査における調査項目は以下の通りである 1) 建設候補地点絞り込みのための現地調査発電所建設地点選定のため 候補地点の視察を実施し 敷地の地形 / 地質などの状況 冷却水の取水方法 送電網 重量物輸送のアクセスなどについて調査する 2) 基礎情報の確認調査環境 社会面への影響評価 ならびに発電所基本設計 施工計画 積算等の各作業における必要な精度を確保するため 以下について調査する (a) 環境影響評価 環境面 社会面の影響につき JICA 環境ガイドラインを踏まえて問題点の有無を確認し 発電所建設 予定地およびガス及び水のパイプライン建設予定地域の現況と併せて評価 検討する (b) 燃料供給計画の検討既存のガスパイプラインネットワークと各サイト候補地との取合い点の位置 並びに設備の所掌範囲を確認する (c) 主要機器諸元の検討候補地点の立地を考慮し ガスパイプラインや送変電設備等を含めた事業の全体計画 およびその主要な諸元を計画する (d) 概念設計構内配置概略計画 プラントタイプ及び規模 単機容量 コンバインドサイクル発電設備基本構成 復水器冷却方式 土木建築設備 送変電設備等に関し 基礎となる概念を確立する (e) 経済財務分析経済分析では国民経済的な観点から経済的な便益を分析し 評価を行う また プロジェクト実施機関がプロジェクトの建設 操業を一定期間 一定の効率性を維持しながら運営することができることを 2-1

50 確認する 定性的効果としは 短期的な供給力の確保 エネルギーセキュリティの確保 ( 中 長期的な効果 ) TNBの人材の有効活用 雇用創出と経済波及効果等を確認する 3) ガスコンバインドサイクル発電所の主要諸元ガスパイプラインや送変電設備等を含めた事業の全体計画において その主要な諸元について検討 計画する (a) 構内配置概略計画設備基本構成に基づく発電所構内配置図の最適案を作成する 配置検討にあたっては サイトにおける燃料 冷却水 送電線などへのアクセス 並びに既設発電所内の既存構造物などの位置等を考慮すると共に 経済的な配置計画 運転 保守の容易さ 発電所周辺への環境影響 ( 騒音 振動 排ガス ) 温排水対策を考慮した冷却水の取放水位置 もしくは冷却塔 空冷復水器の場合は最適冷却効果を得られる配置に配慮する (b) プラントタイプ及び規模 単機容量本調査での調査結果を総合的に判断し プラントタイプ及び規模を検討する 更に発電設備の単機容量及びその組み合わせについて ガスタービンシンプルサイクルも視野に入れ検討する また コンバインドサイクル発電設備基本構成を確定する 2-2

51 (2) 調査方法 体制 本調査は東電設計株式会社を主提案企業とし 住友商事株式会社 日本エヌ ユー エス株式会社 OPMAC 株式会社 THE パワーグリッドソリューション株式会社に業務の一部を委託し 下記の体制で実施した 総括岡野秀之東電設計 電力事情調査小林悦子東電設計 発電設備計画三賢憲治東電設計 燃料供給計画野村三夫東電設計 送電設備計画 A 平沢達夫東電設計 送電設備計画 B 吉澤広明東電設計 送電設備計画 C 吉田遼大郎東電設計 土木建設計画小島明東電設計 系統解析佐藤雅一 THE ハ ワーク リット ソリューション株式会社 コーテ ィネーション / 燃料調達計画青田崇住友商事 環境 社会配慮加藤栄一日本エヌ ユー エス 経済財務分析飯田利久 OPMAC 2-3

52 (3) 調査スケジュール 図 2-1 全体調査実施スケジュール 2015 年 10 月 11 月 12 月 2016 年 1 月 2 月 現地調査 国内作業 報告書 最終報告書中間報告書ト ラフト最終報告書 2-4

53 第 3 章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討

54

55 (1) プロジェクトの背景 必要性等 1) プロジェクトの範囲 本プロジェクトは 最新鋭の高効率ガスタービン コンバインドサイクル発電設備 (500~700MW x 2 ユニット分 ) をマレー半島のクアンタンおよびカパールを候補地として建設する計画である ( 候補地の選定については 後述 3)(a) 項を参照 ) 今回適用するコンバインドサイクル発電技術は 1,600 級ガスタービンをベースとするより高効率な発電プラント ( 発電効率は LHV で 60%) であり 我が国で既に確立された同技術を適用することで 本邦企業の本事業への参入可能性を高めるとともに 二酸化炭素などの温室効果ガス排出の削減に対しても寄与できる 図 3-1 高効率コンバインドサイクル発電所イメージ図 ( 参考 ) ( 出典 :Siemens, Prai Power Plant Malaysia sets a new trend regarding efficiency and emission in South East Asia) 3-1

56 高効率コンバインドサイクル発電所の主要機器は ガスタービン発電機 排熱回収ボイラ とタービ ン発電機設備から構成されている その他に 次の設備から構成される ガスタービン補機 ( 吸気装置 1 潤滑油装置 3S クラッチ 2 等 ) タービン補機 ( 復水器 ボイラ給水ポンプ 復水ポンプ 循環水ポンプ 脱気器 復水器洗浄設備等 ) 発電機補機 ( 密封油装置 3 冷却装置等) 電気設備 制御設備 圧縮空気設備 ガス圧縮機 水処理設備 排水処理設備 冷却水設備 防災設備等 本事業対象とする コンバインドサイクル発電所建設の工事範囲について 現時点での計画概要を表 3-1 に示す 表 3-1 本事業において実施する範囲 項目対象地点発電出力及び台数実施範囲実施範囲外 内容クアンタン (Kuanatan) 及びカパール (Kapar) 500~700MW 2 機コンバインドサイクル発電所建設工事一式土木工事コンバインドサイクル発電所の詳細設計コンバインドサイクル発電所 ( ガスタービン及び補機 蒸気タービン及び補機 排熱回収ボイラ及び補機 発電機及び補機 電気設備 制御設備 環境設備 圧縮空気設備 冷却水設備 防災設備等 ) の製作 輸送 据付工事発電所の試運転コンサルティング業務以下の事項に関しては TNB にて実施するものとする 本事業に伴う発電所 送電線 変電所及びガス配管建設用地の収容 ( 出典 : 調査団作成 ) 1 吸気フィルター : ガスタービンが空気を取り込む際に空気中の砂やばいじんなどを取り除く装置 2 3S クラッチ : ガスタービン 発電機と蒸気タービンをつなぐクラッチ コンバインドサイクルプラントを起動するときは サイリスタ起動という発電機をモーター代わりにしてガスタービンを起動し ある回転速度まで達すると 蒸気タービンとカップリングし コンバインドサイクルプラントとして起動 ( 回転 ) を始める 3 密封油装置 : 機内の水素ガスを密封する目的で設置される 密封方法としては 密封油を機内ガス圧より 70kPa 程度高い圧力で供給し この油を密封リングの中の小穴を通って軸と密封リングの隙間に流れ込ませて軸に沿って空気側および水素側に押し出し 軸と密封リングの間に油膜をつくって密封する 3-2

57 2) 現状分析と将来予測 Energy Commission が 2014 年に発行した Peninsular Malaysia Electricity Supply Industry Outlook 2014 によれば マ 国の電力需給状況の内 国民一人当たりの電力消費量は 1990 年は 1,101kWh であ ったが 2012 年は 3,902kWh と 22 年間で 5.9% と堅調な伸びを示している 表 3-2 エネルギー密度 需要及び弾性度に関する的指摘データ Peninsular Malaysia GDP at 2005 prices (RM million) 453, , , , , , , ,163 Population ('000 people) 21,075 21,370 21,662 21,951 22,241 22,656 23,132 23,429 Final Energy Demand (ktoe) 32,195 34,390 37,921 38,530 34,521 35,593 35,968 36,683 Electricity Consumption (ktoe) 6,366 6,669 7,030 7,307 7,567 8,145 8,427 8,791 Electricity Consumption (GWh) 73,987 77,504 81,710 84,924 87,950 94,666 97, ,174 PER CAPITA GDP at 2005 prices (RM million) 21,516 22,436 23,520 24,371 23,593 25,053 25,846 27,110 Final Energy Consumption (toe) Electricity Consumption (kwh) 3,627 3,772 3,869 3,955 4,178 4,234 4,361 ENERGY INTENSITY Final Energy Consumption (toe/gdp at 2005 prices (RM million)) Electricity Consumption (toe/gdp at 2005 prices (RM million)) Electricity Consumption (GWh/GDP at 2005 prices (RM million)) ( 出典 :Peninsulara Malaysia Electricity Supply Industry Outlook 2014 by Energy Commission) 表 3-3 に 2014 年における過去 7 年間 (2007 年 ~2013 年 ) 並びに今後 20 年間 (2014 年 ~2033 年 ) の売電電力量 発電量並びにピーク需要並びに毎年の増加出力を示す 3-3

58 表 3-3 改定版長期電力需要想定 HISTORICAL FORECAST Year Sales (GWh) Growth (%) Generation (GWh) Growth (%) Peak Demand (MW) Growth (%) MW increase , % 90, % 13, % , % 94, % 14, % , % 92, % 14, % , % 100, % 15, % , % 103, % 15, % , % 106, % 15, % , % 111, % 16, % , % 114, % 17, % , % 117, % 17, % , % 121, % 18, % , % 125, % 18, % , % 130, % 19, % , % 134, % 20, % , % 138, % 20, % , % 142, % 21, % , % 146, % 21, % , % 147, % 21, % , % 152, % 22, % , % 155, % 22, % , % 158, % 23, % , % 160, % 23, % , % 163, % 23, % , % 165, % 24, % , % 168, % 24, % , % 170, % 24, % , % 172, % 25, % , % 175, % 25, % 329 Average period growth rates, % pa: % 2.90% 2.80% 1.60% 1.50% 1.40% ( 出典 :Peninsulara Malaysia Electricity Supply Industry Outlook 2014 by Energy Commission) 上表から過去 7 年間における売電電力量 (GWh) 発電量(GWh) 並びにピーク需要は リーマンショックのあった 2009 年を除くと それぞれの 6 年間平均は 5.27% 4.58& 及び 3.85% とまずまずの伸びを示している また 2014 年から 2023 年までの 10 年間では 売電電力量 (GWh) 発電量 ( GWh) 並びにピーク需要は それぞれ 3.10% 2.90& 及び 2.80% を予測しており 過去 7 年間に比べて 2% 程度減少する予測をしている 更に 2014 年から 2033 年までの 20 年間では 売電電力量 (GWh) 発電量(GWh) 並びにピーク需要は それぞれ 1.60% 1.50& 及び 1.40% を予測しており 更に各数値が鈍化する予測である 以上のように今後の電力需要などを低い増加に予測している原因としては 中国の経済成長率の鈍化 世界的な原油安の傾向が当分続くとの予想が反映されていると考えられる 将来の電力需要の伸びが鈍化するとの予測がされる一方 今後 10 年間は 3% 弱の増加が予想されており 需要にあった電源開発を継続して行う必要がある 表 3-4 に電源開発計画を示す 電源開発計画は高い電力需要及びサラワク州との系統連携の遅れの結果として見直された 改定版の電源開発計画では 高い電力需要想定及び短期間の拡張を抑制するため 3-4

59 に当初 2020 年に運転開始予定であったコンバインドサイクル発電所 (1,000MW) が 2018 年の運転開始に前倒しされた また サラワク州との系統連携の代替として 2,000MW のコンバインドサイクル発電所を 2021 年に投入する計画であるが サラワク州の系統連携が 2024 年に先延ばしとなるため その代替として 2023 年に 1,000MW の石炭火力発電所の運転開始を計画している 表 3-4 電源開発計画 Year Recommended Plant-Up 2014 S.J. Jambatan Connaught CCGT Extension (300MW) 2015 TNB Janamanjung (Unit 4) (1,010MW), CBPS Redevelopment (384.7MW) 2016 Hulu Terengganu (250MW), Ulu Jelai (372MW) Tg Bin Energy (1,000MW), Tembat (15MW), TNB Prai (1,071.43MW), KLPP/ GSP Extension (675MW) Pengerang Co-Generation (400MW), Segari Extension (1,303MW), S.J. Sultan Iskandar CCGT Extension (275MW), TNB Manjung Five (1,000MW) Additional Chenderoh (12MW), Jimah East Power (1,000MW), New CCGT (1000MW) 2019 Jimah East Power (1,000MW) 2020 Tekai (156MW) 2021 New CCGT (2,000MW) 2022 Telom (132MW) 2023 Coal (1000MW) 2024 Sarawak: 2 x 1000MW, Nenggiri (416 MW) ( 出典 :Peninsulara Malaysia Electricity Supply Industry Outlook 2014 by Energy Commission) 3) プロジェクト実施効果本事業は 電力需要予測に基づいた電源開発の一旦を担えると考えられるので マレーシアの社会 経済の発展に寄与する マ 国においては 発電原価の安い石炭火力発電所の建設を推進しているが 昨今の地球温暖化防止の機運が高まっており 温室効果ガスの排出量の多い石炭火力発電所に比べて同排出量が少なく かつ 60% を超える発電効率を持つ高効率コンバインドサイクル発電を採用することは 地球温暖化防止にも資するプロジェクトと考えられる また 全世界的な原油安並びに中国経済の成長鈍化等によるマレーシア リンギット安により 大規模プロジェクトを実施する場合の資金調達は低金利のファイナンスが好まれる傾向にあり 譲許性の高い JICA や JBIC のファイナンスツールは こうした先方政府の意向に応え得るものである 3-5

60 4) 他の選択肢との比較提案プロジェクト以外に可能と考えられる選択肢 ( 代替案 ) として 以下 4 案を想定する 代替案 1: 超々臨界圧石炭火力発電所の建設代替案 2: 電力取引量の増大 ( 発電所建設を行わない ) 代替案 3: 再生可能エネルギーの導入 (a) 代替案 1: 超々臨界圧石炭火力発電所の建設 マ 国において 燃料多様化の観点から 発電原価の安い超々臨界圧石炭火力発電所の積極的な建設が進められている 従って ベース電源は確立されつつある状況である 一方 COP21 により各国に温室効果ガスの削減目標値が割り当てられ マ 国としても温室効果ガスの削減に努める必要がある 超々臨界圧石炭火力発電所は発電効率が 42% と高いが 温室効果ガスの排出量はガス焚きコンバインドサイクル発電 ( 発電効率は 60%) に比較して多いと言わざるを得ない また 600MW 2 基の超々臨界圧石炭火力発電所の初期建設費用は 2,000 億円を超える資金を必要とするため 本プロジェクト (500MW~700MW 2 基 ) の事業費 1,200 億円と比較すると割高である 原油安などによりリンギット安となっているため マ 国政府としては 多額の借金は避けたいのが実情である 以上のように環境面及び資金調達の観点から 超々臨界圧石炭火力発電所の建設は 現実的な選択肢とは成り得ない (b) 代替案 2: 電力輸入量の増大本代替案は発電所の建設計画を取りやめ 電力供給に関しては他国からの電力取引量を増やすことで対応させようとするものである 電力需要が増えることが予想されているが この案では将来予測される需要増に対応できないばかりか 需給予測で加味されていない設備の老朽化によるリプレース リプレース対応による供給力の減少にも対応できず 建設計画を取りやめた場合 恒常的に電力取引を利用することとなる 現在のようにピーク対応として電力取引を活用することは大いに意義があるが 恒常的な電力として輸入電力を利用することは 同国政策から逸脱すると共に 同国に甚大なる経済的ダメージを与える (c) 代替案 3: 再生可能エネルギーの導入環境改善の観点から 再生可能エネルギーを積極的に導入することはエネルギー戦略でも掲げられている課題となっており 太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの利用は 同国の政策上 推進すべきと考えられる しかし 本事業による発電量を再生可能エネルギーに置き換えた場合 莫大なコストと時間が必要となり現実的ではない 太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーは 化石燃料に比べてエネルギー密度が低く 自然環境に大きく影響を受けることから 大型火力発電所のような安定供給電源としての機能を期待することはできない 以上から 上記代替案には それぞれに解決すべき課題が多く存在すると共に 提案プロジェクトと同等の効果を得るためには 莫大なコストや時間が必要となる また マ 国においては ベース電源を水力発電及び石炭火力発電で賄い 負荷調整用としてコンバインドサイクル発電を使っている 近年 クアラルンプールなどの大都市では 昼と夜の電力消費差 3-6

61 が拡大し 負荷調整用の発電設備の役割が大きくなっており 今後 マ 国が発展し 大都市化が進む ことにより コンバインドサイクル発電は果たすべき役割は確実に大きくなると考えている 3-7

62 (2) エネルギーの利用の高度化および合理化について 本事業では 高効率コンバンドサイクル発電方式を採用することにより エネルギー ( 天然ガス ) 利用の高度化および合理化を実現させる コンバンドサイクル発電システムは 極めて信頼性の高い確立された技術として 広く利用されている 高効率コンバインドサイクル発電方式は 2015 年に東京電力 ( 株 ) 川崎火力発電所 2 号系列 (1,000MW) において 1,600 の燃焼温度を持つガスタービン (M701J) が採用されており 同発電方式の発電端効率は 60% にまで向上し 天然ガス利用の高度化および合理化が実現可能となった 加えて 環境対策においても効果的である 火力発電所における発電電力量あたりの二酸化炭素や硫黄酸化物 窒素酸化物の排出量に関しても 優れた値を達成できる 3-8

63 (3) プロジェクトの内容等決定に必要な各種検討 1) 需要予測長期電力需要予測 (2012 年版 ) では 売電電力量が 2013 年の 99,921GWh 2022 年に 134,982GWh(35% の伸び ) 2032 年に 161,292GWh(61% の伸び ) 発電電力量が 2013 年の 111,620GWh 2022 年に 146,243GWh(31% の伸び ) 2032 年に 172,907GWh(54% の伸び ) ピーク電力需要量が 2013 年の 16,562 MW 2022 年に 21,794 MW(32% の伸び ) 2032 年に 25,279 MW(53% の伸び ) と想定している 2) プロジェクト内容を検討 決定する際に必要な問題点の把握分析プロジェクト内容を検討 決定する際に必要な問題点として 以下項目が上げられる (a) 技術的な問題点の把握分析 発電所建設候補地の選定 適用するガスタービンの検討 軸構成の検討 構内配置の検討 系統解析 (b) 環境 社会面における問題点の把握分析 発電所建設候補地の自然環境 社会環境の状況 住民移転の有無並びに対策 発電所から排出される大気汚染物質 (c) 経済 財務分析に係る問題点の把握分析 TNB から提示される諸条件をベースにした経済 財務分析 円借款以外のファイナスソースをベースにした経済 財務分析 (d) 案件形成に係る問題点の把握分析 マレーシアへの戦略的意義のある案件の形成 事業権入札と円借款供与の整合性の検討 3) 技術的側面の検討本項では 上記 2)(a) 項に上げた技術的な側面の把握分析について詳細に述べる (a) 発電所建設候補地の選定 マ 国の長期電源計画においては 2018 年の運転開始が予定される New CCGT (1,000MW) と目される Truck 4A プロジェクトが遅延しており 本事業は Truck 4A が頓挫した場合の代替案となる可能性がある a) 候補地の選定基準発電所の建設候補地の選定基準を以下のように定めた 3-9

64 1 発電設備 水処理設備 開閉所等を建設する十分な敷地面積があること 2 天然ガスの供給が容易であること 3 海水の取水が可能で 十分な水深がある事 ( 干潮時も含む ) 4 淡水の供給 ( または取水 ) が可能で有ること 5 近隣に接続可能な送電線 変電所等が設置されていること 6 重量物が輸送可能な道路等又は港が整備されていること 発電設備の概略規模を推定したうえで 技術的及び経済的な観点より最初に次の 5 箇所の発電所建設候補地を想定した ( 図 3-2 参照 ) - カパール (Kapar) - プラウインダー (Pulau Indah) - ポートディクソン (Port Dickson) - クアンタン (Kuantan) - パッシルグダン (Pasir Gudang) 図 3-2 本調査対象候補地点 ( 出典 :Google Map を基に調査団作成 ) TNB から プラウインダーについては 土地収用完了の見込みがたっていないこと また 海を隔てて送電線並びにガスパイプラインを敷設する必要があり 費用面 技術面から非常に困難である 3-10

65 点を理由に 候補地から外したいとコメントが出された またパッシルグダンについては 既に別プロジェクト ( 通称 Track 4A Project) のサイトとして登録済みであることから 同様に本プロジェクトの候補地から外すこととした 以上より候補地点を上記のカパール ポートディクソン クアンタンの 3 箇所に絞り 現地視察を実施した b) 候補地の比較 評価各候補地について 1 土地収用の状況 2 敷地面積 3 地質状況 4 淡水供給 5 主放水路 6 ガス供給の可否 7 送電線 変電所との位置関係 8 環境 社会配慮の各項目について各候補地を評価した 各地点に関する評価の具体的な内容を以下に述べる (i) 候補地 1: カパール 1 土地収用の状況既に土地は取得済みである 現在 敷地境界内でサトウキビ パーム椰子が栽培されているが 土地使用者には賠償も済んでおり 着工 6 ヶ月前に使用者に通知することで整地などの工事が開始できることになっている 2 敷地面積発電所予定地として十分な広さを確保出来る 3 地質状況地表面から深さ 20m までの軟弱地盤であり 土地改良が必要である 杭の長さは 60~70m 必要と考えられる また 現在の地盤高は標高 +2.0m であるが 敷地計画高さを+5.0m とする必要がある これにより 30 年間で 30cm 程度の沈下が予想される 4 淡水供給発電所予定地近くの道路沿いに上水配管が敷設されているので 水道局に必要量を通知し 供給可否性を確認する必要がある 5 取放水路発電所建設予定地前面の海岸が遠浅のため 取放水路を沖まで伸ばす必要がある ( 海岸線から約 2.5km) また 海岸線沿いにマングローブが生い茂っているので 取放水路( 配管 ) はマングローブ林を避けるか その下を通すか検討を行う必要がある 6 ガス供給既設のカパール石炭火力発電所の近くにあるメタリング ステーションを改造してガス配管を新設発電所まで敷設するか あるいは新設発電所の近くに新しくメタリング ステーションを建設して 新設発電所までガス配管を敷設する案が考えられる 3-11

66 7 送電線 変電所発電所建設予定地に隣接する既存の 500/275 kv 変電所があり 同既設変電所内には増設に十分な敷地がある 8 環境 社会配慮軟弱地盤対策 樹木伐採計画について 今後詳細な検討が必要である また発電所建設予定地近傍にマングローブ林がある為 取放水設備工事における伐採 ならびに温排水による影響が懸念される 既設石炭火力発電所との排ガスの重合や温排水の重畳等 累積的影響に注意が必要である (ii) 候補地 2: ポートディクソン 1 土地収用の状況既設発電所内の敷地につき土地収用は不要 2 敷地面積 600~700MW の複合火力発電所を 2 基設置するには敷地面積が不足している 従って 敷地面積の観点からは候補地として不可と判断される 3 地質状況既設発電所の敷地内であり 現状特に地盤沈下等の事象も生じていないため問題はない 4 淡水供給既設発電所に淡水を供給している配管があるため 問題はない 5 取放水路取水口及び取水路の敷設スペースが取れない問題がある また 新設発電所からの排水が温排水循環となり 既設発電所の取水温度が上昇し 既設発電所プラント効率の低下に繋がる可能性がある ( 温排水循環についての検討は実施済 ) 取放水路建設並びに海水温度への影響の観点から 候補地として不可と判断される 6 ガス供給既設発電所の近くにあるメタリング ステーションかららガス配管で供給することが可能 7 送電線 変電所既設変電所内に変電設備を増設する敷地が不足している 従って 候補地として不可と判断される 8 環境 社会配慮既設発電所内の増設であり 社会環境面で大きな問題は懸念されないが 既設発電所との排ガスの重合や温排水の重畳等について注意が必要である (iii) 候補地 3: クアンタン 1 土地収用の状況土地は取得の交渉中であり まもなく取得できる見込みである 3-12

67 2 敷地面積 発電所建設予定地として十分な広さを確保出来る 3 地質状況地質は砂質で杭の長さは約 20m 必要である また 地盤レベルは標高 +1.5m~2.0m であり 発電所最終地盤高標高 +4.0m とする必要がある 4 淡水供給発電所予定地近くの道路沿いに上水配管が敷設されている為 水道局に必要量を通知し 供給可否を確認する必要がある 5 取放水路発電所建設予定地の海岸線から 500~600m 付近で十分な深さがある為 取放水設備の建設に問題はない 6 ガス供給発電所建設予定地から既設ガスパイプラインまでのガス配管 ならびにメタリング ステーションを新設する必要がある 7 送電線 変電所新設発電所と既存の 275kV 送電線の間に送電線および開閉所を新設する必要がある 8 環境 社会配慮発電所建設予定地は平坦であり 大規模な土地造成は必要がないと思われる 現場視察時は 貴重な植物は見受けられなかったが 詳細な調査は必要である 尚 土地収用に伴う住民への補償等に注意を払う必要がある 以上の結果を表 3-5 に纏める 表 3-5 各候補地点の比較 評価結果 土地収用敷地面積地質状況淡水供給取放水路ガス供給 送電線変電所 環境 社会配慮 カパール ポートディクソン クアンタン 備考 : ; 好条件 / ; 特に問題なし / ; やや問題有り ( 対応可能 )/ ; 問題あり ( 対応不可 ) ここでポートディクソンの敷地面積 取放水路および変電所については 後述の理由より 問題 あり ( 対応不可 ) と評価されたため 新規発電所の候補地としては不適格と判断した これより カパールおよびクアンタンを発電所建設候補地として選定し 今後この 2 地点につい て基本計画を行うものとする 3-13

68 (b) 適用するガスタービンの検討 - ガスタービンの推奨モデル - ガスタービンは コンバインドサイクル発電プラントの信頼性を左右する最も重要な機器であり 高い信頼性が要求される カスタムメイドの蒸気タービンとは異なり ガスタービンは 開発期間の短縮および製造コスト削減のため 製造業者の標準設計を用いるのが普通である つまり 一般的にはガスタービン OEM メーカーの標準ラインナップの中から プロジェクトの要件を満たす適切なガスタービンのモデルを選定する ここでいうガスタービン OEM メーカーとは プロトタイプとなる機器の開発を完了し 継続的にアップグレードや改良設計を行っているメーカーを指し ここでは シーメンス社 三菱日立パワーシステムズ社 (MHPS) ゼネラル エレクトリック社(GE) アルストム社の4 社を対象とする OEM メーカーは機器の設計の本質を知っており何らかのトラブルが発生した場合でも適切で素早い対応ができる ガスタービンについては継続的に新しい技術が開発されており その性能は年々向上している 近年では F モデル (MHPS の代表機種 ) よりも高い性能を有する H モデル ( シーメンス社製 ) 及び J モデル (MHPS 製 ) が公表されている 60 Hz 用タービンの H モデル (SGT6-8000H) および J モデル (M501J) は豊富な運転実績 ( それぞれ 10 万時間以上 ) を持ち 十分に成熟したモデルであるといえる これに対し 50 Hz 用タービンの商業運転実績は少ないが 50 Hz 用は 60 Hz 用をベースに比例設計されており 両者の機械的強度特性は理論的に同じであるため 信頼性が裏付けされていると看做すことができる 特に M701J の蒸気冷却燃焼器内筒は 運転実績の多い M501J の蒸気冷却燃焼器内筒と同一構造 同一寸法及び同一熱負荷 ( 個数は異なっている ) であり その信頼性は確認されていることになる このような背景から 本プロジェクトで採用する 50Hz 用ガスタービンには H モデル ( シーメンス SGT5-8000H) および J モデル (MHPS M701J) を推奨する なお GE 製の 60Hz 用のモデル 7HA.01 および 02 に関しては現時点での運転実績が一般に報告されていないことから これらをベースとする比例設計と考えられるモデル 9HA.01 および 02 については候補としないこととし その代わりモデル 9F.05 を本検討に加える 同様に アルストム社製 GT26 の最新 F モデルを検討対象とする アルストム社ではアップグレード モデル GT36 の開発が進められていると伝えられているが その性能諸元は公表されておらず検討対象外とする 調査団の選定した 4 つのガスタービン モデルについて Gas Turbine World Handbook (Volume 31) より ISO 条件に基づくその性能諸元を表 3-6 に示す 3-14

69 表 3-6 ガスタービン各推奨モデルの性能 Model of Gas Turbine GT26 9F.05 M701J SGT5-8000H Manufacturer Alstom GE MHPS Siemens ISO base rating (MW) Efficiency (%) Pressure ratio Air flow rate (kg/s) Exhaust gas temp ( C) Equipment cost ($/kw) * 注 :FOB 価格 ( 出典 : Gas Turbine World Handbook (Volume 31)) なお 現時点で十分な運転実績のない H および J モデルについては 本プロジェクトの入札時点でそ の動作信頼性を再度評価する必要がある また仮に GT26 と 9F.05 の上位モデルが将来公開された場合 は これについても同様である (c) 軸構成 ここでは 2 台のガスタービンおよび 2 台の排熱回収ボイラ (Heat Recovery Steam Generator 以下 HRSG) からなる 複合サイクル発電プラント (Combined Cycle Power Plant 以下 CCPP) ならびに 1 台もしくは 2 台の蒸気タービンと発電機から構成される CCPP のシャフト構成について検討する 基本的に 軸構成には 2 つのタイプがある マルチ シャフトと呼ばれるタイプでは ガスタービンと蒸気タービンが別軸となっている この軸構成においては 2 つのケースがある 一つはガスタービン1 台と蒸気タービン1 台の組み合わせで 1 オン 1 マルチ シャフト タイプと呼ばれ もう一つはガスタービン 2 台と1 台の蒸気タービンの組み合わせで 蒸気タービンには 2 台の HRSG から蒸気が供給される このタイプは 2 オン 1 マルチ シャフト タイプと呼ばれ 蒸気タービンの容量は 1 オン 1 のほぼ 2 倍となる マルチ シャフト タイプでは ガスタービンの単独運転のために従来はガス流れ切換ダンパー付バイパス排気塔を設置することが普通であった しかし ガスタービンの容量増大に伴いダンパーのサイズが大きくなり H/J クラスのガスタービンでは 8m 平方を超えるような大きさになっている しかも 排ガス温度は 600 を超えており このような温度条件の中での信頼性の高いダンパーの作動を期待することは極めて困難であり 本プロジェクトでのダンパー付バイパス排気塔の設置は考慮しないこととする 図 3-3 は本スタディーの中で検討対象とする 3 タイプの軸構成を示している ガスタービン軸と蒸気タービン軸が直結された構成はシングル シャフト タイプと呼ばれる このタイプでは ガスタービン及び蒸気タービンに共通の容量の大きい発電機が使用され プラントはシングル シャフト タイプ CCPP 2 系統で構成されている このタイプの構成はさらに 2 つのタイプに分けられる 一つは 発電機と蒸気タービンとの間にクラッチを備えたタイプで ガスタービン及び発電機はクラッチを離脱し蒸気タービンを停止させたまま起動し HRSG で十分な蒸気が供給されるようになってから蒸気タービンを起動しガスタービン 発電機と嵌合させる したがって 補助ボイラ容量は蒸気タービン後段翼の冷却用蒸気が要らないので小さくて済む ( 蒸気タービン グランドの密封用のみ ) 3-15

70 ことになる もう一つはクラッチの無いタイプであるが 本プロジェクトではクラッチを備えたタイプを推奨する これは 近年の大容量の CCPP ではこのタイプが広く採用されており 実績も多く標準設計となっているためである 図 3-3 コンバインド サイクルの軸構成 Type A: 1 on 1 Multi-shaft Configuration Type B: 2 on 1 Multi-shaft Configuration 3-16

71 Type C: Single-Shaft Configuration ( 出典 : 調査団作成 ) 上記のように タイプ A 及び B では 2 台の発電機がそれぞれガス及び蒸気タービンに用いられる また タイプ B では 容量が 2 倍の 1 台の蒸気タービンが 2 台の HRSG から上記を供給される構成であ る タイプ C の場合は 大容量の 1 台の発電機が両方のガス及び蒸気タービンに接続される 比較検討結果を表 3-7 に示す 黄色で強調されたセルは その項目の値が他のタイプと比較して優位であることを示す シャフト構成を黄色のセルの数で選択する場合 タイプ B と C が A タイプと比較して優位となる 尚 優先事項によって選択すべき軸構成の優先度は異なる 例えば経済性 ( 建設費および発電単価 ) を重視するならば タイプ B を選択すべきであるが 詳細検討によって送電系統における影響が許容されない場合は タイプ B を選択することはできない また 主要発電設備の据付面積の比較では タイプ B が最少でタイプ C が次に位置している 以上のように総合的な観点からタイプ C を本プロジェクトの推奨案とする 3-17

72 表 3-7 軸構成概略比較検討結果のまとめ Comparison Item Type of Shaft Configuration A B C 1. Thermal Efficiency Base (100%) % % 2. Operational Flexibility Base Less flexible Similar 3. Operability Base Similar Slightly simple 4. Start-up Requirement Steam Base Similar Similar Power for Starting device Base Similar Similar 5. Application Experience Base Similar Similar 6. Operating Reliability POPH Base (100%) 2.2 % % POPE Base (100%) Same % 7. Maintenance Cost Base Slightly less Slightly less 8. Footprint Area of Power Block Base (100%) 30 % 10 % 9. Phased Construction No No No 10. Construction Cost Base (100%) 10.2 % 5.1 % 11. Power Generation Cost Base (100%) 2.3% 1.2% 12. Transportation Base Similar Slightly difficult 13. Influence on Electrical Networks Base Double Same ( 出典 : 調査団作成 ) (d) 系統解析の検討マレーシアでは F/S 時点では TNB が系統解析を行い その後 事業権を得た段階で事業者が系統解析を行うため F/S 時点では系統解析の詳細は第三者に開示されない 本調査においても調査団からの系統解析データの開示要求に対して TNB からは開示出来ないとの回答があった 一方 TNB の系統解析の結果 クアンタン及びカパールに 1,000~1,400MW の発電所を建設した場合は 系統上の問題はないことを確認した * この系統上の問題がない点は 第 2 次現地調査の中で TNB の署名を得て確認している (e) 構内配置の検討 発電所建設候補地として選定されたクアンタン地点及びカパール地点における土地造成 取水 放水設備の配置 送電線及びガス配管のルートについて概略配置図をベースに検討した 選定された発電所建設候補地に対して配置検討を行う 配置検討に当たっては 取水 放水 天然ガスの受入ルート 送電線ルートなどを考慮する 3-18

73 図 3-4 クアンタンサイト概略配置図 3-19 ( 出典 : 調査団作成 ) 3-19

74 図 3-5 カパールサイト概略配置図 3-20 ( 出典 : 調査団作成 ) 3-20

75 (f) 環境 社会面における問題点の把握分析 a) 発電所建設候補地の自然環境 社会環境の状況 (i) クアンタンサイト クアンタンはまだ土地収用のための交渉中であるが 2016 年 2 月現在は 問題は起こっていない また サイト内に川が流れているので その流れを変えるべく ローカルコンサルタントに検討を依頼し 実施中とのことである (ii) カパールサイト カパールサイトは 既に TNB の所有地である サイトの海岸沿いにマングローブが生い茂っているので 取 放水路工事の際に一時移設し 工事が完了した後に戻すことが望ましい b) 住民移転の有無 (i) クアンタンサイトクアンタンサイトにおいては 幹線道路から建設予定地に入るアクセス道路の工事の際に数件の住民移転が必要と考える 数件の移転であるので 問題とはならないと予想される (ii) カパールサイト カパールサイトでは 特に住民移転の問題はない c) 発電所から排出される環境汚染物質ガス焚きコンバインドサイクル発電所からは 大気汚染物質として NOx が排出されるが マレーシアばかりでなく IFC の環境規制値も満足できると考えている また排水については排出処理装置を設置し 適切な処理を行うことにより 海への影響はないと考える (g) 経済財務に係る問題点の把握分析 a) TNB が要求する諸条件をベースにした経済 財務分析 本プロジェクトの経済財務分析のための条件としてはプライ発電所 4 のベンチマークタリフ 燃料単価 稼働率を使用したが 燃料単価は高く 稼働率が低く設定されているので 財務的内部収益率 (FIRR) や経済的内部収益率 (EIRR) が非常に低い数値となることが予想される b) 円借款以外のファイナンスソースに基づく経済財務分析 マ 国は 所得分類上 円借款卒業国に分類されるが 今回の調査では 円借款以外に JICA 海外投融資や JBIC バイヤーズクレジットについても経済 財務分析を行った 結論としては 円借款以外のファイナンスツールについては TNB が要求する基準をクリアするファイナスツールとはならなかった (h) 案件形成に係る問題点の把握分析 a) 日本としての戦略的意義ある案件の形成 調査団は 本プロジェクトの日本としての 戦略的意義 を以下のとおり分析する 本プロジェクトに導入が想定されるガスタービンは 日本が国家プロジェクトとして開発した最新鋭の高効率ガスタービンであり 本プロジェクトへこのガスタービンを導入することにより 今後 マレーシアをはじめとする開発途上国へ高効率ガスタービンを展開する際のモデルケースとなり得る 本プロジェクトの一環としてコンバインドサイクル発電に関する人材育成を行うことが可能と考える 現在 マレーシアでは IPP による火力発電所の運転 保守が行われており マレ 年に EC が事業権入札実施したコンバインドサイクル発電所 TNB が PPA を締結 3-21

76 ーシア人の技能習得に結びついていない b) 事業権入札と円借款供与の整合性の検討 マレーシアでは 事業権入札が優先されるので 随意契約で事業権を得ることはできない 従って TNB が入札により事業権を獲得した後に 円借款を供与できるかどうか検討する必要がある この問題については今後の検討課題である 詳細については第 10 章 (4) 2) 項を参照 (i) 技術的手法の検討 最大限の省エネルギー効果と環境負荷低減を図るため コンバインドサイクル発電技術を採用する 表 3-8 に 高効率ガスタービンコンバインドサイクルプラン及び超々臨界圧石炭火力発電プラントのプラント性能向上量を示す J 又は H 型ガスタービン採用に伴い 超々臨界圧石炭火力発電プラントに比べて約 20% のプラント効率改善が期待できる 項目 表 3-8 最新鋭ガスタービン採用によるプラント性能向上量 J 型ガスタービンコンンバインドサイクルプラントベース 超々臨界圧石炭火力発電プラントベース 発電端効率 19.7% アップ (61.7%) ベース (42.0%) 二酸化炭素排出量 17,556,345 tco 2 / year ベース ( 出典 : 調査団作成 ) 3-22

77 (4) プロジェクトの計画概要 1) プロジェクト内容決定の基本方針 (a) プロジェクトの内容および技術的側面の検討 当該国の電力セクター全般に関する資料 データを入手 分析する 発電所建設候補地 その周辺変電所 送電線等の現状 燃料として使用する天然ガスの性状を調査し 最適なコンバインドサイクル発電所の仕様を策定する 上記仕様に基づき概略工程を策定する (b) 環境社会配慮 本プロジェクトの社会環境に与える影響 : 当該プロジェクト建設に伴う用地買収 雇用促進 経済裨益効果 その他社会環境に与える影響につき調査する 当該国における許認可関係 : 環境アセス 関連法規 必要な許認可等につき調査する (c) 財務経済分析 建設コストの積算 : 策定した仕様による概略工事費を積算する 事業性評価 : 財務 経済分析を行ない 事業採算の取れる資金調達 売電スキームを検討する 3-23

78 2) 概念設計および適用設備の仕様 (a) プラント性能 本プロジェクトの CCPP は 現在の世界市場で調達可能な候補ガスタービンとそれに合致したボトミングシステム (HRSG および蒸気タービンシステム ) によって構成される CCPP の性能は候補ガスタービンとボトミングシステムの形式によって変わる 加えて CCPP の性能は大気条件とガス ( 燃料 ) 性状によって影響を受ける 本調査での計算条件は以下の様に設定する a) 大気条件 大気条件は TUANKU JAAFAR 発電所の計画条件を踏襲して以下とする 大気乾球温度 32.0 o C 相対湿度 80.0 % RH 大気湿球温度 29.0 o C 大気圧力 kpa 最大出力時の最低大気乾球温度 18.0 o C b) 燃料ガスの性状 供給圧力 30.0 bar (g) 供給温度 25.0 o C 化学成分 (vol. %) メタン エタン 4.35 プロパン 1.37 イソブタン 0.05 ノルマルブタン 0.03 イソペンタン 0.06 ノルマルペンタン 0.02 ベンゼン 0.02 窒素 1.58 二酸化炭素 7.27 合計 正味発熱量 (LHV) 40,310 kj/kg ( 上記化学成分から算出 ) c) ガスタービンの候補モデルプラント性能の計算に使用するガスタービンの候補モデルは 前セクションの表 3-6 にそれらの性能を示したものである d) ボトミングシステムの形式コンバインドサイクルプラントは ガスタービンによるブレイトンサイクルのトッピングシステムと ボイラ - 蒸気タービンによるランキンサイクルのボトミングシステム組み合わせである コンバインドサイクルプラントの性能は 与えられたガスタービンのトッピングシステムに対しどのようにボトミングシステムを計画するかによって変わる 一般的に ボトミングサイクルのサイクル構成が複雑であるほどコンバインドサイクルの性能は良くなる F, H および J 型のガスタービンを使用する場合には 通例ボトミングサイクルとして 3 圧式 再熱プラントが採用される 3-24

79 図 3-6 コンバインドサイクル発電システム トッピングシステム ( ブレイトンサイクル ) ボトミングングシステム ( ランキンサイクル ) 熱力学サイクルに関する補足 1. ブレイトン サイクル米国のジョージ ブレイトンの名前にちなんで命名されたガスタービンの基本的な熱力学的サイクルで次の 4 つの過程 ( 開放サイクルの場合 ) から構成されている (1) 圧縮機により空気を断熱圧縮し燃焼器に送る ( 動力が必要 ) (2) 燃焼器で燃料の燃焼により等圧加熱し高温燃焼ガスをつくる (3) タービンで燃焼ガスが断熱膨張する過程で仕事を発生する (4) タービンからの排ガスと大気との混合によって等圧冷却される タービンの仕事から圧縮機の駆動動力を引いたものがガスタービンの出力となる 2. ランキン サイクル英国のウイリアム ジョン ランキンによって提唱された汽力発電所の基本的な熱力学的サイクルで次の 4 つの過程から構成されている (1) 飽和水を給水ポンプで断熱圧縮してボイラに送る (2) ボイラで燃料の燃焼により飽和水を等温加熱して蒸気にする (3) 蒸気がタービンで断熱膨張する過程で仕事を発生する (4) タービンを出た蒸気は復水器中で等圧冷却され飽和水となる タービンの仕事から給水ポンプの駆動動力を引いたものが蒸気タービンの出力となる ( 出典 : 火力原子力発電入門講座 Sep ページに調査団が加筆 ) 3-25

80 e) ボトミングシステムの計画条件 ( パラメーター ) ボトミングシステムのサイクル計画条件 ( パラメーター ) は各 CCPP メーカーの設計の考え方によって異なる 本調査においては 4 つの候補ガスタービン形式でのヒートバランス ( 熱平衡線図 ) を計算するために 以下をボトミングシステムのサイクル計画条件 ( パラメーター ) として仮定した GT 吸気冷却システム無し GT 吸気圧力損失 (kpa) 1.0 GT 排気圧力 (kpa) 3.5 サイクル形式三圧式 再熱 HRSG 形式助燃無し 定格大気条件での蒸気タービン入口の蒸気条件 高圧蒸気 F class H or J class 温度 ( o C) 圧力 (MPa) 中圧蒸気温度 ( o C) 圧力 (MPa) 低圧蒸気 温度 ( o C) 低圧過熱器と中圧タービン排気の混圧 蒸気の温度 圧力 (MPa) 予熱器入口温度 ( o C) 復水器 終端温度差 ( o C) 2.8 器内温度 ( o C) 41.8 器内圧力 (kpa) 8.1 冷却水温度上昇 ( o C) 7.0 復水器冷却水系統 形式 一過式 冷却水 海水 冷却水入口温度 ( o C) 32.0 冷却水出口温度 ( o C) 39.0 最大出力時の冷却水入口温度 ( o C) 25.0 f) ヒートバランス ( 熱平衡線図 ) 計算結果 4 つの候補ガスタービン形式による 一軸式の CCPP のヒートバランス計算を前項に述べた条件に基づいて行った ヒートバランス計算は一軸の 1 系列分について行ったが 本調査での CCPP は 2 系列から成る 1 系列分の予想性能計算結果を表 3-9 にまとめた 3-26

81 表 3-9 候補ガスタービンによる CCPP の予想性能 (1 系列 (1 軸 ) 分 ) 候補ガスタービン GT26 9F.05 M701J SGT5-8000H プラント総出力 (MW) GT 総出力 (MW) ST 総出力 (MW) プラント総熱効率 (%) 所内動力 (MW) プラント正味出力 (MW) プラント正味熱効率 (%) 燃料流量 (t/hr) 同上 (MMcfd at 15 o C and 760 mmhg) 排ガス流量 (wet t/hr) 2,404 2,242 2,9941 2,920 同上 (wet Nm 3 /hr) 1,915,000 1,786,000 2,390,000 2,326,000 復水器冷却水量 (t/hr) 33,300 31,500 43,900 40,100 ( 出展 : 調査団作成 ) 表 3-8 に示すように 各 OEM ガスタービンメーカーによる 定格サイト大気条件下でのプラント正味出力は 400 MW から 615 MW の範囲にある またプラント正味熱効率は 56% から 59% の範囲にある 現段階では本プロジェクトによる環境影響評価および電力系統に与える影響の解析は M701J ガスタービンを使った CCPP の性能値で行うこととする それに関連して 最低大気温度 18 における M701J 1 系列のプラント正味出力は概略 700MW と想定される 各候補ガスタービンによる 1 系列分の CCPP の熱平衡線図を以下に添付する 図 3-7 Heat and Mass Balance Diagram of One (1) Train of CCPP by Alstom GT26 Gas Turbine 図 3-8 Heat and Mass Balance Diagram of One (1) Train of CCPP by GE 9F.05 Gas Turbine 図 3-9 Heat and Mass Balance Diagram of One (1) Train of CCPP by MHPS M701J Gas Turbine 図 3-10 Heat and Mass Balance Diagram One (1) Train of CCPP by Siemens SGT5-8000H Gas Turbine 3-27

82 図 3-7 熱平衡線図 (Alstom GT26 1 系列 ) ,403.7 G H kpa T G G G 2,403.7 G 1.2 G 3,511.9 H 2,961.7 H H 88.5 H G T 13.4 P 60.7 G 0.41 P 0.56 P P 3,499.0 H T 2,984.5 H T 60.0 T 83.2 T 13.4 P 3.79 P T T G 3,608.6 H 3.00 P T *4 *3 * G G G t/hr 3,497.6 H 2,956.1 H H kj/kg 12.7 P 0.39 P P MPa 1.2 G T T T o C T 0.0 G Steam H G G Water kpa 2,403.7 G 3,591.2 H 3,006.0 H Cooling Water T H 2.94 P 0.37 P Gases kpa T T T * G TCA Coole HP SH RHTR HP EVA IP SH HP ECO IP EVA LP SH IP ECO LP EVA LP ECO 3,150.2 H 3.15 P T Gross Power Output Gas turbine 304,000 kw Steam turbine 144,900 kw Plant total 448,900 kw Plant Gross Thermal Eff 58.4 % Auxiliary Power 11,400 kw Plant Net Power Output 437,500 kw Plant Net Thermal Eff 56.9 % Operating Conditions Dry Bulb Temperature Ambient Pressure 32.0 oc kpa Relative Humidity 80.0 % Wet Bulb Temperature 29.0 oc Type of Fuel Natural Gas Net Specific Energy 40,310 kj/kg *4 Turbine Air Compessor HPT IPT LPT G 0.0 H Combustor 0.66 P T T G 2,419.9 H G LHV+Sensible Heat (kj/kg) 40,356 *1 2,334.4 G 8.1 P(kPa) H 41.8 T T 33,300 G kpa 39.0 T Fuel Gas 32.0 T *2 Heater G H G Fuel Gas Comp 0.66 P H *2 40, T 0.66 P LHV+Sensible Heat (kj/kg) LHV+Sensible Heat (kj/kg) 40, T 42.7 T 68.8 T 88.8 T from Gland Seals 33,300 G 32.0 T Heat and Mass Balance Diagram at Rated Ambient Conditions Type of Gas Turbine Alstom GT26 ( 出典 : 調査団作成 ) 3-28

83 図 3-8 熱平衡線図 (GE F 系列 ) ,242.0 G H kpa T G G G 2,242.0 G 1.4 G 3,511.9 H 2,968.5 H H 89.6 H G T 13.4 P 4.0 G 0.51 P 0.68 P P 3,499.0 H T 3,063.6 H T 60.0 T 84.4 T 13.4 P 3.79 P T T G 3,608.6 H 3.00 P T HP SH RHTR * G G G t/hr 3,497.6 H 2,963.2 H H kj/kg 12.7 P 0.49 P P MPa 1.1 G T T T o C T 0.0 G Steam H G G Water kpa 2,242.0 G 3,591.2 H 3,045.0 H Cooling Water T H 2.94 P 0.48 P Gases kpa T T T G HP EVA IP SH HP ECO IP EVA LP SH IP ECO LP EVA LP ECO 3,145.7 H 3.15 P T Gross Power Output Gas turbine Steam turbine Operating Conditions Dry Bulb Temperature Ambient Pressure Relative Humidity 80.0 % Wet Bulb Temperature 29.0 oc Net Specific Energy 263,500 kw 141,800 kw Plant total 405,300 kw Plant Gross Thermal Eff 57.4 % Auxiliary Power 9,000 kw Plant Net Power Output 396,300 kw Plant Net Thermal Eff 56.1 % 32.0 oc kpa Type of Fuel Natural Gas 40,310 kj/kg Turbine Air Compessor HPT IPT LPT G 0.0 H Combustor 0.78 P T T G 2,413.7 H G LHV+Sensible Heat (kj/kg) 40,356 *1 2,178.3 G 8.1 P(kPa) H 41.8 T T 31,500 G kpa 39.0 T Fuel Gas 32.0 T *2 Heater G H G Fuel Gas Comp 0.78 P H *2 40, T 0.78 P LHV+Sensible Heat (kj/kg) LHV+Sensible Heat (kj/kg) 40, T 42.8 T 37.2 T 57.2 T from Gland Seals 31,500 G 32.0 T Heat and Mass Balance Diagram at Rated Ambient Conditons Type of Gas Turbine GE 9F.05 ( 出典 : 調査団作成 ) 3-29

84 図 3-9 熱平衡線図 (MHPS M701J 1 系列 ) 3-30 Gas Turbine Combustor 2,994.2 G H kpa T G G G 2,994.2 G 1.5 G 3,587.9 H 2,939.2 H H 83.2 H G T 16.5 P G 0.51 P 0.68 P P 3,574.8 H T 3,129.6 H T 60.0 T 78.1 T 16.5 P 3.79 P T T G 3,699.1 H 3.00 P T *4 *3 * G G G t/hr 3,573.7 H 2,933.8 H H kj/kg 15.7 P 0.49 P P MPa 1.7 G T T T o C T 0.0 G Steam H G G Water kpa 2,994.2 G 3,681.5 H 3,098.5 H Cooling Water T H 2.94 P 0.48 P Gases kpa T T T * G TCA Coole HP SH RHTR HP EVA IP SH HP ECO IP EVA LP SH IP ECO LP EVA LP ECO 3,158.3 H 3.15 P T Gross Power Output Gas turbine Steam turbine Operating Conditions Dry Bulb Temperature Ambient Pressure Relative Humidity 80.0 % Wet Bulb Temperature 29.0 oc Net Specific Energy 420,900 kw 208,500 kw kw Plant total 629,400 Plant Gross Thermal Eff 60.3 % Auxiliary Power 14,600 kw Plant Net Power Output 614,800 kw Plant Net Thermal Eff 58.9 % 32.0 oc kpa Type of Fuel Natural Gas 40,310 kj/kg *4 Turbine Air Compessor HPT IPT LPT G 0.0 H Combustor 0.78 P T T G 2,436.6 H G LHV+Sensible Heat (kj/kg) 40,356 *1 2,901.1 G 8.1 P(kPa) H 41.8 T T 43,900 G kpa 39.0 T Fuel Gas 32.0 T *2 Heater G H G Fuel Gas Comp 0.78 P H *2 40, T 0.78 P LHV+Sensible Heat (kj/kg) LHV+Sensible Heat (kj/kg) 40, T 42.7 T 46.9 T 66.9 T from Gland Seals 43,900 G 32.0 T Heat and Mass Balance Diagram at Rated Ambient Conditions Type of Gas Turbine MHPS M701J ( 出典 : 調査団作成 ) 3-30

85 図 3-10 熱平衡線図 (Siemens SGT5-8000H 1 系列 ) ,920.5 G H kpa T G G G 2,920.5 G 1.5 G 3,587.9 H 2,972.0 H H 82.2 H G T 16.5 P 35.2 G 0.41 P 0.56 P P 3,574.8 H T 3,129.6 H T 60.0 T 77.4 T 16.5 P 3.79 P T T G 3,699.1 H 3.00 P T HP SH RHTR *3 * G G G t/hr 3,573.7 H 2,966.5 H H kj/kg 15.7 P 0.39 P P MPa 1.3 G T T T o C T 0.0 G Steam H G G Water kpa 2,920.5 G 3,681.5 H 3,049.0 H Cooling Water T H 2.94 P 0.38 P Gases kpa T T T G HP EVA IP SH HP ECO IP EVA LP SH IP ECO LP EVA LP ECO 3,158.3 H 3.15 P T Gross Power Output Gas turbine 352,500 kw Steam turbine 183,900 kw Plant total 536,400 kw Plant Gross Thermal Eff 58.7 % Auxiliary Power 12,000 kw Plant Net Power Output 524,400 kw Plant Net Thermal Eff 57.4 % Operating Conditions Dry Bulb Temperature Ambient Pressure 32.0 oc kpa Relative Humidity 80.0 % Wet Bulb Temperature 29.0 oc Type of Fuel Natural Gas Net Specific Energy 40,310 kj/kg Turbine Air Compessor HPT IPT LPT G 0.0 H Combustor 0.66 P T T G 2,437.2 H G LHV+Sensible Heat (kj/kg) 40,356 *1 2,838.1 G 8.1 P(kPa) H 41.8 T T 40,100 G kpa 39.0 T Fuel Gas 32.0 T *2 Heater G H G Fuel Gas Comp 0.66 P H *2 40, T 0.66 P LHV+Sensible Heat (kj/kg) LHV+Sensible Heat (kj/kg) 40, T 42.7 T 39.2 T 59.2 T from Gland Seals 40,100 G 32.0 T Heat and Mass Balance Diagram at Rated Ambient Conditons Type of Gas Turbine SMS SGT5-8000H ( 出典 : 調査団作成 ) 3-31

86 (b) 発電設備 a) ガスタービンおよび補機 (i) 設計規格基準ガスタービンシステムは基本的に ISO Gas turbines-procurement-part 3: Design requirements および ISO Gas turbine applications-safety. に依り設計される (ii) ガスタービン ガスタービンは 1 軸 開放型で J クラスの入口温度レベルの発電用ガスタービンであり 燃料ガス性状に適したドライ低 NOx 設計とする ガスタービンは軸受け数が最小に設計され 発電機短絡または非同期併入時に発生する過渡的軸トルクのどちらか大きい方にも耐えるように 鋼製のフレームまたは適切な鋼構造とコンクリート基礎上に据え付けられる ガスタービンは付属設備として起動装置 潤滑油装置 吸気フィルター装置 燃料ガス供給装置 ターニング装置 制御 監視装置を備え 指定燃料において安全で信頼性が高く効率的な運転を行えるようにする ガスタービンは屋内型で 騒音の規定を満足するようなエンクロージャーを備える ガスタービンはメーカーの標準に従い 規定された燃料性状範囲でベースロードでの連続運転が可能なように設計される また 規定された燃料での起動 負荷および停止を可能なものとする ガスタービンは中央操作室からの遠隔操作 監視が可能な自動起動および制御システムを備える ガスタービンの制御システムは シンプルサイクルとコンバインドサイクルの以下の運転が可能なものとする 最低負荷から全負荷までの全ての負荷帯での一定負荷運転 ガバナーフリー運転 タービン入口温度一定運転 シンプルサイクルで併入せずに限られた時間の無負荷運転 全てのタービンバイパス弁を閉じて蒸気タービンに全負荷を負わせた状態での コンバインドサイクルとしての 30% を超えない最低負荷運転 ガスタービンとスタック出口までの全ての排気系統のガスを除去できる自動ガスパージサイクル ガスパージ時間は調整可能とする 全負荷からの負荷遮断でユニットがトリップせずに 容易に再併入できること 燃焼器は 起動時は補助ボイラからの蒸気によって冷却され HRSG の発生蒸気が利用可能になったらそちらに切り替える ガスタービンのケーシングは水平分割とし 簡便な保守と 動静翼などへのアクセスを容易なものとする ガスタービンの保温 防音は定検 点検時にそれらの除去と交換が容易なものとする 保温剤はアスベストフリー 耐火性で 化学的に不活性な材料とし シートメタルでカバーする 断熱および吸音材に潤滑油が浸みこまないような設計とする ガスタービンの周囲 0.8m は作業スペースとして確保し 配管 ケーブル 壁などによる干渉を避ける ジャーナル軸受けはスリーブ形とする 軸方向にかかるスラスト力は全ての定常運転状態で一方向とし スラスト軸受けにより支持される 全ての軸受けは流体軸受けで 出口潤滑油温度計 監視装置と振動計 監視装置を備える 監視装置はメーカーの標準に従って警報やトリップ信号を発生する ガスタービン内部の重要部分はボアスコープで点検できるようにする 図 3-11 は本プロジェクトの候補ガスタービンのひとつである J クラスガスタービンの長手断面図を示す 3-32

87 図 3-11 J クラスガスタービンの断面図 3-33 ( 出典 :MHPS) 3-33

88 (iii) 起動装置 起動装置とその電源装置はガスタービン / 発電機の加速と長時間のパージ運転とコンプレッサー洗浄運転に適するものとする 起動装置の定格は ガスタービン / 発電機を規定された大気温度の範囲での全ての条件の下で 25 分以内 ( パージと併入にかかる時間は除く ) に停止状態から定格回転数まで適正な余裕をもって起動および加速トルクを発生できるものとする 起動装置とその電源装置の容量は規定時間内に加速できる範囲でできるだけ小さいものとする 大容量のガスタービン / 発電機の起動装置には次の様な 2 通りの方法が考えられる サイリスタ起動方式 ( 同期発電 / 電動機とサイリスタ ( 静止周波数変換器 ) によるもの ) トルクコンバーター起動方式 ( かご形電動機とトルクコンバーターによるもの ) 起動装置は 連続起動回数に制限の無いことが望ましい 潤滑油圧力がガスタービン / 発電機を回転するのに充分でない場合には 起動できないようにインターロックが組まれる 起動装置は 最大許容回転数に達する前に自動的に嵌脱して停止する 起動装置は 通常 ガスタービンが自立速度または無負荷回転数に達すると嵌脱し 通常運転中は停止する 嵌脱に失敗した場合は起動シーケンスを自動的に中止する 発電機は 待機状態にあるときにはいかなる停止状態からも即座に起動できるものとする 起動制御装置は ターニング運転のような起動準備操作を含み 以下の様な手動および自動起動を可能とする 手動起動 : 自動起動 : 起動シーケンスは クランキング パージ 着火および最低ガバナ設定回転数にて保持し次ステップに進行する 起動シーケンスは 最低ガバナ設定回転数または併入準備完了または予め設定された負荷まで自動的に進行する 起動制御装置は 安全運転を確保するために自動パージ機能を備える (iv) 潤滑油装置 潤滑油系は基本的に API 614 の最新版または相当規格の要求に従って設計される 潤滑油装置はジャッキングオイルシステム ( 適用される場合 ) 油清浄機およびガスタービン / 発電機の油ドレンシステムを含む 潤滑油系は潤滑油が供給されるシステムの要求を満足するに充分な容量を持つ 潤滑油系は系統のどの機器が保守のために停止してもプラントの運転に支障を来さないように充分な予備機を備える 一軸型のコンバインドサイクルではガスタービンの潤滑油装置は蒸気タービンと共通にしても良い 潤滑油タンクの保持時間は通常運転時の流量での 8 分を下回らないようにし また潤滑油システムが充分な運転実績を持たないものについては API 614 に従った最低運転レベルでの保持容量を下回らないようにする 最低限以下の場合には警報を発する 潤滑油圧低 潤滑油タンクレベル低 潤滑油吐出温度高 潤滑油供給温度高 潤滑油フィルター差圧高 3-34

89 全ての軸受け油ドレンラインと油槽には現場の架台または運転床から監視可能なオイルサイトを設置する 油逃がし弁の出口側は潤滑油タンクに接続する AC 電源喪失の場合には 回転体の安全停止と軸受けの冷却のために DC 電源駆動の非常用潤滑油ポンプが自動起動する AC/DC のくし形電動機駆動による一体型潤滑油ポンプは使用しない 潤滑油が 2 台以上の機器に共通に供給される場合には 潤滑油の性状は EPC 契約者によって指定される EPC 契約者が指定した潤滑油は異なった機器の要求を満足し 現地での調達が可能である必要がある 図 3-12 は潤滑油システムの系統の一例を示す 図 3-12 潤滑油システムの系統の一例 Each Bearing Oil Cooler Oil Filter Oil Filter Main Oil Tank P P P Emergency Oil Pump Main Oil Pump P Prefilter Coalescer Filter Oil Purifier Pump (v) 燃料供給設備 ( 出典 : 調査団作成 ) ガスタービンの燃焼システムはマレーシア産の指定された燃料ガス性状に対応したガス専焼設計とする 天然ガス配管の取り合い点は 発電所境界の塀の外側に位置する 取り合い点での圧力は 25~40 bar(g) の範囲である 前処理設備の設計に必要なダスト微粒子の分布データはプラント設計の段階で調査される 燃料供給設備は通常状態において指定された天然ガスを適切に前処理してガスタービンに供給できるものとする 最悪の条件で必要とされる昇圧用ガスコンプレッサーを必要に応じ設置する 燃料供給設備はガスタービンの起動 停止 および連続運転に必要な全ての機器を含む 流量計量弁 圧力調整弁 遮断弁 流量計 細目フィルター等も供給範囲に含まれる ガスタービンメーカーによっては プラント効率向上のためにガスタービン冷却用に圧縮機から抽気された高温の空気あるいは HRSG からの蒸気で燃料ガスを加熱するガス加熱設備を備えることもある その他のガスタービンの設計に必要な条件は詳細設計時に調査する 3-35

90 (vi) 吸気システム i) 全般 ガスタービンへの空気の供給は ガスタービン 蒸気タービン建家の上方に設置される吸気口から取り入れられる 吸気口は HRSG のスタックからの排ガスを取り入れないような位置に設置される フードは空気フィルターのメンテナンスが容易なように設計する フィルターを通った後 空気はガスタービンの圧縮機の入口フランジに導かれる 吸気システムは 入口スクリーンおよびルーバー フィルター フィルターから圧縮機までの密閉型ダクト 異物保護用スクリーン 防音設備 および安全な制御に必要な全ての計装 制御設備から成る 吸気システムの保守点検用に必要な点検場所や貫通部の数は最小限にする 全てのドアやハッチは確実にロックできるようにし ドアやハッチが適切に閉じていない状態では起動できないようにインターロックを組む 図 3-13 に 2 段フィルターの吸気システムの一例を示す ii) 吸気フィルターシステム 吸気フィルターシステムは多段の乾式システムである フィルターエレメントは 産業廃棄物を最小にするため洗浄して再利用可能なものが望ましい 吸気フィルターシステムは初期重量捕捉効率が ASHRAE の試験ダストで 99.5% を下回らないように設計する このため 第一段を E6 クラス 第二段を E9 クラス 第三段を H11 クラスとするのが望ましい フィルターエレメントの交換間隔時間は ASHRAE の試験ダストでダスト濃度が 0.1 mg/m 3 の場合で 6000 時間を下回らないようにする 吸気システムは フィルターシステムの下流にサイレンサーを備え ダクト全体はフィルターされない空気が侵入しないようにシールされる 空気フィルターは サイトの最も厳しい条件で 砂 大気中の塩分を ガスタービン寿命を損なわないようなレベルまで減少させるのに適したものを選択する 自動クリーニング式の空気フィルターシステムも別案として適用可能である この場合 フィルターシステムは上記条件を満たすような高効率メディアのカートリッジから成り ガスタービン圧縮機の中間段から抽気された空気により自動洗浄される 逆洗クリーニング時の音圧レベルは機側 1m で 85 db(a) を超えないようにする 吸気フィルターシステムの設計は吸気系の圧力損失が最小になるように行う 計装 制御機器も最小限とするが 各フィルター段の差圧監視は含めるものとする iii) 吸気ダクト 吸気ダクトは 必要な伸縮継手 ガイドベーン 支持脚および支持用鋼構造 防振器 防音装置 外被およびその他のシステムで必要とされるものを含む 伸縮継手は ガスタービンの吸気入口フランジに荷重や力が加わらないように設置する フィルター以降の吸気ダクト内面には ナット ボルト リベットは使わないようにする ダクトにはフィルターシステムが過大となったときに空気をバイパスできるようなドアを設ける バイパスドアの構造はカウンターウエイト型が望ましい フィルターの差圧高で中装に警報を発する さらに差圧が大きくなった場合には 高高の警報を発すると共にバイパスドアを自動的に開とする iv) サイレンサー 圧縮機からの騒音を規定レベルまでに下げるためにサイレンサーを備える サイレンサーの防音パネルはガスタービン全負荷で 30 年間運転できる寿命を持つようにする サイレンサーは サイレンサーがついているダクト以外は取り外すことなしに 取り外せるようにする サイレンサーの防音パネルは 3-36

91 ステンレス鋼製とする パネルと充填物はサイトで想定される最悪の大気条件にも耐えるものとする 充填物は偏在したり固まらないように注意を払う 充填物には防虫対策を施すものとする v) 異物保護 (FOD) スクリーン ガスタービンには異物が吸い込まれて回転体を損傷する可能性があるため 圧縮機入口には異物保護 (FOD) スクリーンを備える スクリーンの位置は 羽根の損傷をもたらすような 大きな構造物による局部的な流量のブロックを避けるよう 充分上流側とする 図 段フィルターの吸気システムの一例 Weather Louver Air Inlet Duct FOD Protection Screen Silencer HEPA filter Prefilter ( 出典 : 調査団作成 ) b) 排熱回収ボイラおよび補機 (i) 全般 HRSG は 3 重圧式 自然循環または強制循環式 再熱 屋外型で ASME B&PV Code または相当規格に従った実績に基づいた設計とする HRSG は規定された最低大気温度でのガスタービンベースロード負荷での最大排気流量を受け入れるように設計する 伝熱面は 種々の大気条件およびガスタービン負荷の下でのガスタービン排気の温度 / 流量の変化パターンを考慮に入れて設計される HRSG は ガスタービンに固有の起動および停止条件に対し 過度の熱応力が発生しないようなものとする HRSG は規定されたガス燃料を燃焼した時のガスタービン排気で運転できるように設計される 排ガスのバイパスシステムは H または J クラスの場合は排ガスを制御するダンパーのサイズが大きくなり運転の信頼性が想定されないため 本 PJ では設置しない HRSG はガスタービンの排気圧力を最小にしつつ 既定の条件で蒸気を発生するものとする 伝熱部モジュールは 据付期間を短縮するためにできるだけ大きなものとし 工場試験を行い 出荷する 図 3-14 に縦型 HRSG の一例を示す 3-37

92 図 3-14 縦型 HRSG の一例 ( 出典 : 調査団作成 ) 保守 点検に要する停止期間を最小にするため ガスパス部 伝熱管 その他の耐圧部の点検が容易にできる構造とする 大気への漏れを防ぐシール構造を持つ保守点検用ドアを備える HRSG は屋外型で 全体を防水仕様で設計する 屋根が備えられ 人および機器 ( ドラム付属品 弁および循環ポンプ ) を外部環境から保護する また ドラムの容量は ボイラ給水ポンプ 1 台がトリップした場合に 予備の給水ポンプが起動する前に HRSG がトリップすることのないようなものとする HRSG は ドラム 加熱器 再熱器 蒸発器 節炭器 ヘッダー 降水管 および付属配管一式を含み 鋼構造により支持される この構造は通常の通路 架台 階段などの接続部分を除き 他の建家からは独立している HRSG と補機 付属品は 特に部品と構造物の設計において ベースロードとサイクル負荷の両方に対応できるよう考慮する HRSG は定圧運転と変圧運転の両方で蒸気タービンとの温度マッチングができるように設計上配慮する (ii) 設計および運転条件 HRSG は 実績に裏付けられたコンバインドサイクルプラントの通常および異常運転条件に適するように設計する HRSG のガス側は 予測される全ての運転条件 ( トリップを含む ) でのガスの最高温度 圧力 流量に対応するように設計される 全負荷遮断の際には HRSG の熱負荷は 安全弁を吹かすことなく バイパスシステムにより復水器に逃がされる HRSG はガスタービンと同時に起動するように計画される 3-38

93 HRSG はガスタービンの全運転範囲で連続的に効率的な運転ができるように最適設計される 給水の水質は 適用基準に従い HRSG と蒸気タービンの要求を満足するようにする (iii) 設計規格および基準 全ての裁量 設計 製造 建設 および試験 検査は該当する規格 基準の規定または推奨に従うものとする 全ての耐圧部 搭載物 付属品および組み立て品は承認された検査機関の要求に従って 設計 建設 検査される (iv)hrsg の設計と構造 i) HRSG ガスパス HRSG を通るガスタービン排気のガスパスは メーカーの標準設計に従い横型または縦型で 水および蒸気伝熱管もそれに従い ガスの流れに即し水平または垂直に配置される ガスパス内の各伝熱モジュールの伝熱面は ガスタービンに供給されるガス性状で節炭器出口またはスタック内部での低温ガスによる腐食を避けるのに可能な範囲で ガスの温度を下げる 給水温度は 炭酸塩による腐食から保護するため 節炭器のどの部分のメタル温度も 60 以上になるように制御する 各伝熱部の伝熱管とヘッダーは完全に排水可能で 保守点検用が可能な配置とする ii) 伝熱管 伝熱管はメーカーの経験に基づく引き抜き鋼管または電気抵抗溶接鋼管とする 伝熱管の設計 製造 試験は該当する標準仕様に従うものとする 急速な起動や負荷変化時に起こり得る水循環の乱れを最小にするために 適切な循環比が設定される 熱伝達特性を向上させるために伝熱管の外表面にフィンを連続溶接したフィンチューブが使用される 伝熱管とヘッダーの溶接接続部はすべてガスパスの外に配置され 保守点検が可能なものとする iii) 過熱器と再熱器 HP 過熱期の過熱管の配置は 蒸気タービンに供給される蒸気の温度が 予想される最高大気温度でガスタービンが連続ベース負荷運転されるときに 減温スプレー無しに 蒸気タービンのスチームチェストとローターの制限値を超えないように 設計される 過熱器と再熱器は 定圧運転と変圧運転に対応し ガスタービンの排気ガス流量の変化特性に対応できるように設計する HP,IP および LP 過熱器は全負荷範囲で伝熱管内での蒸気流量が均等に分布するように設計される 過熱器と再熱器は 完全にドレン排出可能なようにする また 起動時に蒸気がない状態での運転も考慮して設計する iv) 蒸発器 HP,IP および LP 蒸発器は全負荷範囲で鼓動や振動無く運転できるよう また伝熱管内での均等に流量が分布するように設計される 蒸発器のエレメントはドレン排出可能なようにする v) 節炭器 HP,IP および LP 節炭器は HRSG の全負荷範囲を通してスティーミングのない単相流の安定運転ができるように設計される 節炭器のエレメントはドレン排出可能なようにする 3-39

94 vi) 復水予熱器 復水予熱器は最終の熱回収モジュールとして HRSG から排出される排ガスの温度を下げて排熱回収効率を最大にするために設けられる 復水予熱器は復水ポンプの締め切り圧に耐えるように設計される vii) 蒸気温度制御 過熱器と再熱器の出口蒸気温度は 直接スプレー式の減温器により制御される 減温器の容量は全ての運転条件を考慮に入れて決定される スプレー水調整弁は 共通ラインに電動の止め弁を備え 蒸気温度が設定温度よりも下がった場合には蒸気タービンへのウオーターインダクション防止のため 止め弁を自動的に閉とするインターロックを組む viii) 安全弁 安全弁の個数 容量と設置位置は関連する国際規格の要求に従って規定される 過熱器出口の安全弁の容量は 少なくとも HRSG 最大蒸発量の 20% とする ドラムの安全弁の容量は 少なくとも HRSG 保護のために必要な最大蒸気量の残りで計画される ix) HRSG の保温と外被安全弁安全弁 HRSG 全体の内面および外面は保温され 外面の保温は屋外設置に適した全天候型の外被が施される 保温材は最高運転温度での連続運転に適したものとする x) 点検用ドア HRSG のガスパスと耐圧部の保守 クリーニング用に 当該部に自由に出入りできるような 適切な型式とサイズの点検用ドアを設置する xi) ブローダウンおよびドレン ドラムには連続ブローダウンの座を設ける 座は濃縮されたドラム水を優先的に排出できる位置に設け 座の近傍の操作点検可能な場所にパラレルスライドの隔離弁と絞り弁を備える HRSG には連続ブローダウンおよび連続ブローダウンタンクを備える ブローダウン弁および過熱器 再熱器ドレン弁として適切な台数の電動弁を設置し それらは HRSG の起動 負荷 停止運転時に自動的に開閉される xii) 復水予熱器再循環システム 復水予熱器を炭酸塩による腐食から保護するため 復水予熱器入口給水温度を HRSG メーカーにより規定された値より高く保持するように復水予熱器再循環ポンプを備える c) 蒸気タービンおよび補機 蒸気タービンシステムはタービン本体と補機類 ( 復水器, 脱気器およびポンプ類 ) で構成される タンデムコンパウンド型の蒸気タービンのイメージ ( 鳥瞰図 ) を図 3-15 に示す 蒸気タービンは混圧再熱復水式で 高圧部から出た蒸気は HRSG の再熱器により加熱され, 再び中圧部に戻りタービン翼を回転する その後 蒸気は中圧部から低圧部に導入されるがその際に HRSG 低圧蒸気と混圧される 低圧タービン出口の蒸気はタービン下部の復水器で冷却されて水に戻り,HRSG 給水として再利用される 蒸気タービンの最大可能出力は ガスタービンが最大可能出力を発生する大気温度条件下での HRSG の発生蒸気圧力 温度 流量で計画される 蒸気タービンは付属設備として復水器 潤滑油装置 制御油圧装置 蒸気止め弁 加減弁 調速装置 3-40

95 タービンバイパス装置 制御および監視装置などを備える タービン制御装置は電気油圧式制御装置が採用される 蒸気タービンの基本仕様 (J 型ガスタービンを使用したコンバインドサイクルプラントで軸構成が Type C の場合 ) を表 3-10 に示す 項目 型式 出力 蒸気条件 ( タービン入口 ) 回転数 表 3-10 蒸気タービン基本仕様 仕様 タンデムコンパウンド TC2F MW 高圧 : 16.0 MPa/600 中圧 : 3.0 MPa/600 低圧 : 0.5 MPa 3000 rpm 車室高中圧 : 1( または高圧 :1, 中圧 :1), 低圧 : 1 復水器圧力 8.1 kpa ( 出典 : 調査団作成 ) 復水器は表面式 単胴 1 折流 ( または 2 折流 ) 型で, イメージ ( 鳥瞰図 ) を図 3-16 に示す 冷却管の材質は通常, チタンまたはステンレススチールなどを使用する 脱気器はスプレー トレー式やスプレー式でイメージ ( 鳥瞰図 ) を図 3-17 に示す 表 3-11 蒸気タービン補機の仕様 項目 仕様 復水器 単胴式 脱気器 スプレー / トレー式 復水ポンプ 100% 2 ( 出典 : 調査団作成 ) 3-41

96 図 3-15 蒸気タービンの鳥瞰図 ( イメージ ) ( 出典 : 火力原子力発電入門講座 May ページ ) 項目 表 3-12 復水器の仕様 仕様 型式表面式, 単圧, 単胴,1 折流または 2 折流型 復水器器内圧力 8.1 kpa 冷却管材質チタン, ステンレススチール 復水器支持方法 関連付帯設備 ( 出典 : 調査団作成 ) コンクリート基礎 ボール洗浄装置 3-42

97 図 3-16 復水器の鳥瞰図 ( イメージ ) ( 出典 : 調査団作成 ) 図 3-17 脱気器 ( イメージ ) ( 出典 : 調査団作成 ) 3-43

98 d) 発電機及び補機 (i) 発電機本体発電機の構造を鳥瞰図にて図 3-18 に示す この構造は多くの実績がある代表的構造である 図 3-18 発電機の鳥瞰図 ( イメージ ) ( 出典 : 調査団作成 ) (ii) 発電機補機 i) 密封油装置 密封油系統は回転子 鉄心を冷却するための水素を発電機内に密封するためのシステムである 潤滑油系統から分岐させた油を真空処理にて不純物を除去し 主密封油ポンプで加圧し 発電機両側のシール部に供給する 発電機内部の水素と密封油の差圧は機械式の差圧調整弁で一定に保たれる 水素側の油は拡大槽 フロートトラップで水素を除去した後 空気抽出槽で空気側の油と合流し 潤滑油系統に戻される ii) 冷却装置 固定子冷却水系統は 水冷却の固定子コイルに純度の高い水を供給するためのシステムである イオン交換塔で純度を高めた水をポンプで加圧し クーラで冷却した後 温度調節弁で一定の温度に制御し フィルターを通して固定子コイルに純水を送る また 回転子は水素ガスで冷却され 水素ガスクーラー 水素ガスボンベ貯蔵庫等から構成されている 3-44

99 e) 電気設備 (i) 電気システム i) 電気システムの概要 1 軸型コンバインドサイクルプラントは 1 台のガスタービン (GT) 1 台の蒸気タービン (ST) ならびに 1 台の発電機で構成される 発電した電気は 昇圧変圧器 (GST) により クアンタンの場合は 275 kv に カパールの場合は 275kV または 500kV に昇圧され 開閉所 (AIS または GIS) に送電される プラントの起動時は 6.3 kv の所内電源系統に接続されている補機などへは 所内変圧器 (UAT) および起動変圧器 (SAT) を介して 開閉所から供給される プラントが停止しているときの補機電源は SAT を経由して開閉所から供給される UAT は 発電機および GST との間の出力を生成 IPB から分岐されなければならない UAT は 遮断器を介して 6.3 kv の所内電源系統に接続される 3 相 3 巻型変圧器 ( 分割変圧器 ) が UAT と SAT に使用される 各二次側巻線の容量は UAT と SAT の容量 (kva) の半分となる 補助システムおよび関連機器は 補機用電源の信頼性の高い電源を提供するために 柔軟性と適切な冗長性を有するように設計される 停電時に停止することができない機器 ( 例えば 軸受用オイルポンプ 密封油設備 充電器および非常灯 ) は 非常用ディーゼルエンジン発電機に接続された開閉器から電力が供給される (ii) 発電機 i) 発電機の仕様発電機の仕様の概要を前述の d) 項に示す ii) 発電機冷却系発電機冷却系統は 水素冷却方式または 空気冷却方式である 最近の冷却性能や風損の低減などの技術の進歩により 350 MVA 以下の発電機には空気冷却方式が採用されるが 本プロジェクトでは発電機容量は 500MVA 以上となるため水素冷却方式を採用する (iii) 密封油装置と水素供給システム i) 密封油装置水素冷却システムのための密封油装置は すべてのポンプ モーター クーラー ドレンタンク 配管 バルブ フロートトラップを含む システムは 自動的に 固定子内の水素圧を 予め設定された正の圧力で シャフトシールのオイルを維持するように構成する 水素側シールからオイルドレインがドレンタンクに収集するものとする シールオイルの現場制御盤も設置する必要がある 発電機は ケーシングの端部シールドとシャフトとの間に周方向隙間を介して固定子からの水素漏れを防ぐために 両端にシャフトシールを有するものとする 通常のシールオイルポンプは AC モータ駆動とする 別置の 100% 容量の AC モータ駆動予備ポンプと DC モータ駆動の緊急ポンプも備えるものとする ii) 水素ガス供給システム水素ガス供給システムは 水素冷却発電機のために提供されなければならない 同設備は水素で発電機を充填するために 循環ファン ガス漏れ測定装置 水素冷却器 配管 バルブ 制御装置および指示装置を含む システムは 自動的に運転中の正しいステータ内のガス圧 純度および湿度レベルを維持する機能を持つ 自動ガス乾燥機は 連続的に水素を乾燥する 水素冷媒を制御し 連続的に監視するための水素のコントロールパネルおよび関連する機器が設置される 制御盤は すべての必要な調整 制御装置や インジケータ アラーム 純度 温度と圧力計や 3-45

100 レコーダーを装備するものとする 必要があれば 水素発生装置を設置する必要がある 水素発生装置の操作パネルに加えて ガスボンベ ガスボンベを収納するラックを設置しなければならない iii) 二酸化炭素 (CO2) 供給システム水素冷却発電機からの空気または水素ガスを完全にパージするために 二酸化炭素供給マニホールド 配管 バルブを設置する必要がある また ガスボンベ ガスボンベ収納ラックも設置する (iv) 励起装置 i) 励磁機発電機は それが可能なシステムを中断した場合に ほぼ瞬時に完全なシーリング電圧 ( 正または負 ) を提供することを可能にするサイリスタ静止励磁システムを備える 励起システムは 励起トランス フィールド回路ブレーカ 初期励起装置を含む 静的サイリスタ励磁装置は 励磁変圧器は 発電機主回路から分岐しなければならないので 他の電源から電力の供給はできない ii) 自動電圧調整装置自動電圧調整 (AVR) は 即時応答励起型レギュレータのものでなければならず デュアルシステムのマイクロプロセッサを利用する AVR 装置は エアコン完備の部屋に設置する必要があり AVR 機能は 次のものが含まれる 自動電圧調整器 (90R) 現場電圧調整器 (70R) 過励磁制限 (OEL) Under 励起リミッタ (UEL) 電源システムの安定剤 (PSS) 自動無効電力調整器 (AQR) 自動力率調整器 (APFR) 手動電圧調整器 (MVR) その他の必要な機能 (v) 発電機主回路 i) 相分離母線 (IPB) 相分離母線は 連続的に 65 度に母線温度の上昇を制限しながら 最大定格発電出力を送電できるように自己冷却できる設計とする 屋外にある IPB のいずれかの部分が暑さによる温度上昇を抑制することができるように日よけを設置する必要がある 自動結露排水設備も備えなければならない ii) ブッシュ電流トランス発電機の制御 調整 保護および計測のための計器用変流器は 発電機の固定子端子ブッシングのライン上と中性点両方に設置される 計器用変流器は 精度等級 0.2 のものでなければならない 二次側の定格電流は 1A. でなければならない iii) 変圧器 (VT) とサージアブソーバ (SA) 計測器電圧器 (VT) とサージアブソーバ (SA)( 避雷器 & コンデンサー ) は 発電機と GST の間に設置する これらは 独立したキュービクルに設置する 電力量計などの計量に使用される VT は 精度等級 0.2 でなければならない サージコンデンサ容量は 発電機の製造業者によって推奨される iv) 接地開閉器 (ES) 発電機回路のアース用スイッチは VT / SA キュービクルに設置する 発電機の接地開閉器の開閉要件は 最低でも発電機が無電圧であり 発電機の回路遮断器は開放されていること および所内電源系統の受電遮断器が開放されていることである 3-46

101 v) 発電機中性点接地発電機の中性点は 1 芯ケーブルを介して中性点接地装置に接続する 発電機の中性点接地装置は 抵抗または単相変圧器プラス抵抗で構成される 接地装置の選択 適切な電流と抵抗値は 発電機製造者の推奨による (vi) 変圧器 i) GST GST は 単一のタンク内の三相 2 巻線 50 ヘルツ 屋外 油浸型であり オフロードタップチェンジャーとする GST の冷却方式は オイル強制空気冷却方式とし オイル強制空気冷却型 (ONAF / OFAF) とする 位相接続は YNd11 とする GST は 送電線の電圧 (275, 500 kv) に発電機電圧 (21.0 kv) からステップアップする 変流器 (CT) を保護し 測定用変圧器に設置される 変圧器の定格容量は IEEE C に基づいて選択される 接続方法 : 低電圧側 ( 発電機側 ): 単離された位相バスで接続 (IPB) 高電圧側 ( 開閉側 ): 高電圧 XLPE ケーブルで接続 中性点 : 直接接地 ii) UAT UAT は 発電機電圧 (21.0kV) から中電圧ユニットバス A と B(6.3kV) にステップダウンしなければならない UAT は 単一のタンク内の三相 3 巻線 50 ヘルツ 屋外 油浸型とする UAT は上の負荷時タップ切換器を装備する 各二次巻線は 同じ容量を持つことになる 冷却型は オイル自然空気冷却式 (ONAN) タイプとする 位相接続は DYN1 でなければならない 中性点抵抗接地しなければならない iii) SAT SAT は 中電圧共通バス C 及び D(6.3 キロボルト ) に 270KV から受電する 起動変圧器は 単一のタンク内の三相 3 巻 50 ヘルツ 屋外 油浸型である SAT は 上の負荷時タップ切換器を提供しなければならない 各二次巻線は 同じ容量を持つことになる 冷却型は オイル自然空気冷却式 (ONAN) タイプとし 位相接続は Yyn0d11 とする 巻線高電圧の中性点が直接接地と低電圧巻線の中性点抵抗接地とする iv) 2 巻線と 3 巻線変圧器 6.3kV 系統は 2 グループ構成によって計画される UAT または SAT の二次変圧器側は 遮断器を介して 6.3kV バスラインに接続される システムは 6.3kV バスへの 2 つの二次巻線から 3 巻線変圧器を接続する 2 つの回路を持つ 一般的には 3 巻線変圧器の二次巻線の容量は 2 巻線変圧器の容量の半分であり 6.3kV バスで短絡事故が発生した場合の短絡電流の影響は限られている 二次変圧器側回路やその他の要因の大きさの減少を考慮すると 3 巻線タイプの変圧器を製造するためにわずかにコストが高いが 両方の変圧器のコストは ほぼ同等である その結果 本プロジェクトのために 3 巻線変圧器を採用する 図 3-19 に 2 巻線及び 3 巻線変圧器の概要を示す 3-47

102 図 巻線と 3 巻線変圧器 3 winding transformer 2 winding transformer Impedance Impedance 6.3 kv BUS 6.3 kv BUS ( 出典 : 調査団作成 ) (vii) ユニットの電気供給ユニットへの電気は UAT と SAT から供給される 発電所の運転に使用される装置は 単位トランスから電力を供給しなければならない 一般的な機器やプラント (BOP) 機器のバランスのために使用した装置は SAT から電力が供給される 発電プラントの起動または停止する時には ユニットの電力は 6.3kV の開閉装置とバスタイ遮断器を経て SAT から供給される また 電力の緊急事態のための電源の一つとして 3 相のディーゼルエンジン発電機が設置され 発電所の安全停止時の電気を発電所に供給する i) 中電圧スイッチギア 6.3 kv のユニット中電圧スイッチギアは プラント運転のために必要な補助電源を供給する装置である 6.3kV ユニットバスの設計は 1A(2A) 及び 1B(2B) の 2 つの構成に基づくものとする UAT は 発電機電圧 (21kV) から 6.3kv のユニットバス電圧に降圧する変圧器である SAT は 送電線の電圧 (275kV または 500 kv) から 6.3kV の共通バス C と D の電圧に降圧する変圧器である ユニットバス 1A(2A)/ 1B(2B) および C / D は バスタイ遮断器と断路器で接続されている バスタイ遮断器は 共通バス側に設置される バスタイ断路器は ユニットバス側に設置される 一般に バスタイ遮断器は開いた状態 バスタイ断路器は閉じた状態でなければならない バスタイ遮断器は 発電機がトリップするか ユニットバスの電圧が失われると閉じる その後 共通バス C / D から ユニットバス 1A(2A)/ 1B(2B) に電力を供給する 遮断器のタイプは 7.2kV の真空遮断器 (VCB) または SF6 ガス遮断器 (GCB) とし 絶縁方式は 空気絶縁または固体絶縁とすべきである ii) 400V 低電圧スイッチギヤ 6.3kV から 400V に降圧する変圧器は 低電圧開閉装置が装備されている 低電圧開閉装置変圧器は キャスト樹脂タイプの変圧器などの乾式変圧器でなければならず 屋内に設置される 変圧器の中性点は直接接地される 発電設備の低電圧補助電源は 低電圧開閉装置バス 本質的な開閉装置バス 共通の開閉装置バスや共通設備低電圧開閉装置バスで構成される 低電圧開閉装置は 3 相 4 線で構成され 遮断器のタイプは 空気遮断器 (ACB) とする モータ用の ACB は 3 極型とし 4 線用の ACB は 4 極型とする iii) 400 V モーターコントロールセンター (MCC) MCC は 小容量のモーターおよび 400 V または 230 V 電源に電力を供給する バスラインは 3 相 4 線式のものである バスは ラインバス (L1 L2 及び L3) 及び中性バス (N) で形成される 230 V の単相負荷は 中性線と相線の間に電源から供給される 開閉装置は 引き出しタイプのものとする 3-48

103 iv) 220 V DC 電源供給システム 220 V DC 電源供給システムは バッテリーを有し DC 負荷は DC 分電盤からの電源によって供給される 発電設備は 停電があったときはいつでも バッテリーからの直流電力を使用して安全に停止することができる したがって 100% 容量のバッテリーを 2 台設置する 一つのバッテリーは 本質的な BUB に接続しなければならず 別のバッテリーは共通バスに接続される DC 供給システムは バッテリーの急速充電時の電圧制御用としてシリコンドロッパーを装備する v) 無停電電源システム無停電電源装置 (UPS) は 本質的な負荷に連続的な AC 電力を供給できなければならない UPS は AC 供給源と 220 V DC 電源システムに供給する UPS は シリコンドロッパーのない充電器の出力に接続される vi) 非常用ディーゼル発電機設備発電所は 少なくとも 1 台の非常用ディーゼル発電機を有するものとする これは 非常用ディーゼル発電機からの非常用電源を供給するものとする 非常用交流電源は 非常用ディーゼル発電機からユニット 1 とユニット 2 の 400 V 本質的なバス並びに共通の本質的なバスに供給される vii) サイトの接地 IEEE-80 勧告は 発電設備の接地システムの要件を決定するために使用される 全体の接地グリッドシステムは もっぱら地下接続のための発熱接続で銅の導体を使用する (viii) 発電機及び変圧器保護発電機 GST UAT SAT の保護として マイクロプロセッサベースの数値リレーとして二重化する すべてのリレーは精度等級 5P20 の変流器の芯に接続しなければならない 発電機及び変圧器の典型的な保護を次の表に示す 表 3-13 発電機及び変圧器保護 Name Device No. 1) Generator Generator Differential protection 87G Generator Negative Sequence protection 46G Generator Loss of Excitation protection 40 Generator Reverse Power protection 32R Rotor Earth Fault Protection 64R Out-of-Step Protection 78 Generator Stator Earth Fault protection 59NG Generator Stator Overload protection 49G Generator Backup Two-Zone Impedance 21G protection Generator Over Voltage protection 59G Generator Under and Over Frequency protection 81U/O Generator Under Voltage protection 27G Over Excitation protection U/f 24G Exciter Transformer Differential protection 87ET Exciter Over current protection 50/51EH 2) Transformer GST UAT SAT Differential protection 87GST 87UAT 87SAT Phase Over current Protection Earth Fault Over current Protection 51N 51N 51N Restricted Earth Fault Protection 87N N.A N.A Thermal Overload Protection Negative Sequence Protection

104 Name Device No. Over Excitation Protection U/F(24) N.A N.A Overall Differential Protection (gen. and transf.) 87GT N.A mechanical relays Buchholz relay 96P1 96P1 96P1 Sudden pressure response devices 96P2 96P2 96P2 Transformer oil temperature relay 26Oil 26Oil 26Oil HV winding temperature relay 26WH 26WH 26WH LV winding temperature relay 26WL 26WL 26WL Protection of the tap changer N.A 63OLTC 63OLTC ( 出典 : 調査団作成 ) (ix) 通信システム通信システムは 発電所の管理と監視を容易にするように構築される i) 電話施設コードレス電話網は 発電所内の通信のために構築する 構内交換機 (PBX) を設置し PBX は 公衆電話網に 内部の通話に接続するために使用される ii) CCTV システム CCTV( 閉回路テレビ ) 機器は 装置の運転の遠隔監視 並びに発電所構内のセキュリティを強化ために設置する 装置は カラーカメラを使用して 次の機能を有する : 夜間監視 ズーム機能 チルト機能 自動およびマニュアルフォーカス調整機能 モニター画面は 中央制御室とセキュリティオフィスに設置される iii) 時計装置 GPS( 全地球測位システム ) を搭載した時計装置を設置する DCS 及び主要な制御装置は 時計装置に同期される SCADA システムとの同期も考慮される iv) パブリックアドレスシステム特定の選択された領域に通常ページングに使用するマイク局とパブリックアドレスシステムが提供される ページングは ページングマイクを介して確立することができ サービスされるエリアはライトを示すとともに ゾーンセレクタスイッチやプッシュボタンを介して選択することがで決まる v) ラジオページングシステム基地局トランシーバとモバイルトランシーバを含む一般的な発電所の通信のための完全な陸上移動無線電話システムを設置する (x) ケーブルとケーブルウェイ i) 電源ケーブルは銅導体の XLPE を使用し 制御ケーブルは銅導体のビニール絶縁ビニールシースケーブルを使用する 非磁性体の装甲ワイヤからなるケーブルは 単芯の HV ケーブルのために使用される 光ファイバケーブルは 装甲ケーブルで囲み 保護管に敷設する必要がある ii) ケーブルウェイケーブルウェイは トレイまたは導管を使用する ケーブルウェイの最適な容量及びルートは 建設方法およびサイト条件に基づいて選定される コンジットパイプは通常のパイプ 塩ビ管 コンクリート管またはセラミック管である アスベスト管を使用してはならない f) 制御装置 (i) 基本設計方針 プラントの起動 停止 通常運転は中央制御室のオペレータステーションにて少人数の運転員で行われる プラントの情報は 中央制御室のオペレータステーションにて集中監視可能とする 運転リーダ専用のオペレータステーションを含め 適切な台数のオペレータステーションを中央制御室に設置することから 大型スクリーンは設置せず 追設可能なシステム構成としておく プラントの緊急操作としての必要最小限のハードウエア操作器を設ける 3-50

105 主機および主要補機の事故時には 運転員の対応操作を必要とせず 運転可能な低負荷へのランバックもしくは安全停止させる (ii) プラントの自動化 i) プラント自動起動プラント起動操作は概ね自動化する ただし メンテナンス等による長期停止後の起動時のプラント起動準備 ( 所内電気系統通電 各系統水張り完了等 ) および下記例のような操作をする際には手動対応が必要となる なおウォーム ホット起動時は 通常 手動操作は不要となる ( 手動操作を必要とする起動操作例 ) 循環水系統起動 補助蒸気系統起動 軸冷系統起動 圧縮空気系統起動 タービン油系統起動 タービンターニング系統起動 発電機密封油系統起動 発電機水素系統起動 排水系統起動 ii) プラント通常運転重要機器の動作確認試験は 中央制御室からの手動開始操作により行う 各動作確認試験は 手動開始指令を受けシーケンシャルに行われる ( 例 ) タービン主弁閉動作試験 タービン非常用油ポンプ起動試験 iii) プラント自動停止プラント停止時の自動化範囲は定格運転から復水ポンプ停止までとなり その間の手動操作は不要である メンテナンス等により長期停止する際は 自動停止の後で下記の例のような操作に手動対応が必要となる ( 手動操作を必要とする停止操作例 ) 循環水系統停止 真空破壊 補助蒸気系統停止 軸冷系統停止 圧縮空気系統停止 タービン油系統停止 タービンターニング系統停止 発電機密封油系統停止 発電機水素系統停止 iv) トリップインターロック トリップインターロックの考え方を下表に示す 3-51

106 表 3-14 トリップインターロックの考え方 ケース ガスタービン保護装置動作 タービン保護装置動作 発電機保護装置動作 送電系統故障 考え方 燃料を遮断して直ちにガスタービントリップさせる また湿り蒸気の流入を防止するために ガスタービントリップ信号により蒸気タービンをトリップさせる タービン流入蒸気を遮断して直ちにタービントリップさせ タービンバイパス系統を動作させる タービンバイパス系統が動作しない場合 直ちにボイラトリップさせる タービントリップにより 主遮断器と界磁遮断器を介して発電機をトリップさせる 主遮断器と界磁遮断器を介して発電機をトリップし 故障拡大防止の観点から 発電機を停止させる為に蒸気タービンをトリップさせる ( 出典 : 調査団作成 ) 3-52

107 g) 燃料供給設備 カパール クアンタンの両候補サイトとも 近傍に既設のガスパイプラインが通っており そこから分岐して新設の CCPP までガス配管を建設することにより各候補サイトへ燃料ガスを供給することができる (i) カパールサイト カパールサイトは既設のカパール石炭火力発電所 ( 下図の旧名称ポートクラン発電所 ) に隣接している 既設の石炭火力発電所には天然ガスパイプラインが引かれており Gas metering station が近傍にあるので そこから新設サイトまでガスを供給することができる 新設発電所の近くに Gas metering station を新設して 新設発電所までガス配管を敷設する 既設の meteringstation を改造してガス配管を新設発電所まで敷設する案もあるが 現時点では図 3-20 に示す案で TNB からはコメントは出ていない 図 3-20 カパールサイトへのガスパイプライン サイト候補地 新設 gas metering station 新設ガスパイプライン 既設ガスパイプライン 既設 gas metering station ( 出典 :Google earth を元に調査団が作成 ; 約 1/50000) (ii) クアンタンサイト クアンタンサイトは サイトから 1.71 km 離れた所を既設のガスパイプラインが通っている そこに Gas metering station を新設してその metering station からガス配管を新設発電所まで敷設する 新設発電所の近くに Gas metering station を新設して 新設発電所までガス配管を敷設する案もあるが 現時点では図 3-21 に示す案で TNB からはコメントは出ていない 3-53

108 図 3-21 クアンタンサイトへのガスパイプライン 新設 gas metering station 新設ガスパイプライン 既設ガスパイプライン サイト候補地 ( 出典 :Google earth を元に調査団が作成 ; 約 1/100000) (iii) 取り合い点におけるガス性状 圧力 温度 流量今回の調査により 取り合い点におけるガス性状 圧力 温度は以下の通りであることが確認された 表 3-15 ガス性状 ( 出典 : 調査団作成 ) ガスタービン入り口で必要とされるガス圧力は ガスタービンメーカー ガスタービンの形式 ( 圧縮機圧力比 ) により異なるが 5 MPa 以上 ( ノズル入口 ) は必要と想定され 取り合い点でのガスを昇圧す 3-54

109 るためのガスコンプレッサーが必要になる 今回の J 型ガスタービンを使用したコンバインドサイクルプラントの必要ガス流量は最大で 193 MMSCFD 程度と想定される この値はガスタービンメーカー ガスタービンの形式により変動する このガスは前述のように既設の PGU パイプラインから供給され 分岐されて使用される h) 共通設備 (i) 圧縮空気設備 圧縮空気は 制御用空気と所内用空気に分けられる 制御用空気は空気作動調整弁の駆動源などとして供給される 制御用圧縮空気はオイルフリーとして 国際基準に従うように計画する 所内用空気は各種シールエアー 清掃用などに使用される 下記に概念系統図を示す 図 3-22 圧縮空気設備概念系統図 ( 出典 : 調査団作成 ) (ii) 防消火設備 ガスタービン 蒸気タービン HRSG 発電機及び変圧器 燃料設備等 危険物を扱う設備には 消火栓 固定消火装置及び火災検知器を設置する 防消火設備はマレーシアの基準並びに全米防火協会 (National Fire Protection Association : NFPA) などの国際規格を参照する予定である 防消火並びに監視装置は中央操作室に防災盤 火災報知器を設置 集中監視できるようにする 下記に概念系統図を示す 3-55

110 図 3-23 防消火設備概念系統図 (iii) 水処理 排水処理設備 ( 出典 : 調査団作成 ) 発電所で使用する HRSG への補給水 補機冷却水の補給水 洗浄水などの所内用水 消火用水 飲料水 生活用水などを要求される水質で得るために水処理設備を設置する 水処理設備は 前処理装置 ろ過水タンク 純水装置 飲料水設備等から成る 原水は前処理装置で凝集沈殿 ろ過され所内用水 消火用水として使用される HRSG への補給水 補機冷却水の補給水などはろ過水をさらに純水装置でイオン交換樹脂により純水にして供給される 水処理設備のシステム構成などは 具体的には発電所の取り合い点での原水の性状により詳細を決定する 水処理設備の構成を下図に示す 図 3-24 水処理設備の構成 ( 出典 : 調査団作成 ) 3-56

111 発電所の各種工程から排出される排水は 排水処理装置で排水基準値を満たすように処理されて発電所境界外へ排水される 排水処理設備は 排水貯槽 凝集沈殿層 ろ過器 中和槽 汚泥処理設備等から成る 排水処理設備のシステム構成などは 具体的には発電所の排水の性状 量などにより詳細を決定する 排水処理設備の構成を下図に示す 図 3-25 排水処理設備の構成 ( 出典 : 調査団作成 ) (c) 送変電設備 発電所と既存のグリッド間を接続する送変電設備は主に 3 つの部分からなる 一つ目は昇圧変電所で 発電所内に設置され 発電電圧をグリッド電圧まで昇圧する 二つ目は送電線で 発電した電力を昇圧変電所からグリッドまで送る 三つ目は送電線とグリッドを接続する設備である 送変電設備計画では 発電所建設の候補地となっているカパール ( セランゴール州 ) で A 案と B 案の 2 案があり クアンタン ( パハン州 ) で 1 案がある 各案に沿って設備概要を述べる なお 発電機の容量を 1,400MW と想定して設備仕様を検討した a) カパールサイト (A 案 ) 発電した電力を 275kV 昇圧変電所から隣接する既設の 500/275kV KPAR 変電所へ 275kV 架空送電線 2 回線で送る KPAR 変電所は電力受け入れのため 275kV 引出口を 2 回線増設する (i) 昇圧変電所 変電所機器は屋外式空気絶縁形開閉機器 (Air Insulated Switchgear 以下 AIS) とし 結線は 1.5 遮断器方式とする 図 3-26 に昇圧変電所単線結線図を示す 発電機が 2 ユニットあるので 昇圧変圧器として油入変圧器を 2 台設置し 遮断器はガス絶縁形遮断器 (Gas Circuit Breaker 以下 GCB) を 6 台設置する 3-57

112 図 3-26 カパールサイト (A 案 ) 昇圧変電所単線結線図 ( 出典 : 調査団作成 ) 昇圧変電所の主要機器の仕様を表 3-16 に示す 表 3-16 カパールサイト (A 案 ) 昇圧変電所主要機器仕様 油入変圧器 遮断器 (GCB) 一次電圧 (kv) 20 二次電圧 (kv) 275 容量 (MVA) 750 定格電圧 (kv) 275 定格電流 (A) 4,000 定格遮断電流 (ka) 50 ( 出典 : 調査団作成 ) (ii) 送電線 i) 仕様 昇圧変電所 ~ 既設 KPAR 変電所間を接続する送電線仕様の概要は下表の通りである 3-58

113 表 3-17 カパールサイト (A 案 ) における送電線仕様の概要 電圧回線数亘長支持物基礎がいし電線地線 275 kv 2 回線 1 ルート 0.80 km 2 回線装柱鉄塔直接基礎または杭基礎磁器またはガラス ACSR ZEBRA 4 導体 ACSR SKUNK OPGW 各 1 条 ( 出典 : 調査団作成 ) ii) 設計条件 TNB の設計基準に基づき 調査団は本プロジェクトに対する基本的設計条件について 下記の通り提案する 周囲温度 最高温度 : 40 最低温度 : 21 平均気温 : 32 風圧 下記の風圧値は地上 10m の高さにおける風速に基づくものであり 送電線の部位の高さに応じて逓増するものとする 電線 地線 : 430 N/m 2 碍子 : 430 N/m 2 鉄塔 : 820 N/m 2 Right of Way 送電線中心から片側 20m( 計 40m)* 単独送電線の場合 iii) 鉄塔及び基礎 鉄塔については一般的に TNB の標準鉄塔が適用され 今回は 2 回線装柱鉄塔とする また 基礎については基礎加重と現地の地盤耐力によって直接基礎または杭基礎を適用する iv) がいし 275kV 送電線に標準的に適用されるがいしは磁器またはガラスがいしである がいしの仕様を下表に示す 3-59

114 表 3-18 がいし仕様 がいし装置 機械強度 [kn] 個数 [ 個 / 連 ] 懸垂装置 耐張装置 ( 出典 :TNB) v) 電線及び地線 275kV 送電線に標準的に適用される電線は ACSR ZEBRA であり 送電容量により条数を 1~4 条と使い分けているが 今回は 4 導体を採用する また 標準的な地線は ACSR SKUNK と OPGW である なお 電線の最高温度は 75 であり 電線地上高は次表の通りである 表 3-19 電線の最低地上高 適用箇所一般地道路横断箇所建物及び構造物 ( 人間が上に乗る可能性のあるもの ) 他の送電線横断箇所 ( 出典 :TNB) 275 kv 7.31 m 10 m 5.18 m 4.57 m vi) ルート概要 現場調査や衛星写真 (Google Earth) により 送電線ルートの概略検討を実施した結果 昇圧変電所 ~ 既設 KPAR 変電所間のエリアには複数の既設送電線が通過しており 新設送電線はこれらを横断する必要があると想定される その他 送電線建設に対する重大な障害物はないものと想定されるが さらに詳細な検討は詳細設計時に実施する必要がある なお 送電線は 2 回線 1 ルート 亘長は約 0.80km である (iii) グリッド接続 500/275kV KPAR 変電所で 275kV 引出口を 2 回線増設して 発電所からの架空送電線を接続する KPAR 変電所は屋外式 AIS で その母線構成は 500kV が 1.5 遮断器方式で 275kV が二重母線方式である 増設する 275kV 引出口は既設と同じ屋外式 AIS で二重母線方式とし その単線結線図を図 3-27 に示す 増設する母線は既設母線と直結する 3-60

115 図 3-27 カパールサイト (A 案 )KPAR 変電所増設引出口単線結線図 ( 出典 : 調査団作成 ) 増設引出口の主要機器の仕様を表 3-20 カパールサイト (A 案 )KPAR 変電所増設引出口主要機器仕様に示す 表 3-20 カパールサイト (A 案 )KPAR 変電所増設引出口主要機器仕様 遮断器 (GCB) 定格電圧 (kv) 275 定格電流 (A) 3,150 定格遮断電流 (KA) 50 ( 出典 : 調査団作成 ) b) カパールサイト (B 案 ) 発電した電力を 500kV 昇圧変電所から隣接する既設の 500/275kV カパール変電所へ 500kV 架空送電線 2 回線で送電する カパール変電所は電力受け入れのため 500kV 引出口を 2 回線増設する (i) 昇圧変電所 変電所機器は屋外式 AIS とし 結線は 1.5 遮断器方式とする 図 3-28 に昇圧変電所単線結線図を示す 発電機が 2 ユニットあるので 昇圧変圧器として油入変圧器を 2 台設置し 遮断器は GCB を 6 台設置する 3-61

116 図 3-28 カパールサイト (B 案 ) 昇圧変電所単線結線図 ( 出典 : 調査団作成 ) 昇圧変電所の主要機器の仕様を表 3-21 に示す 表 3-21 カパールサイト (B 案 ) 昇圧変電所主要機器仕様 油入変圧器 遮断器 (GCB) 一次電圧 (kv) 20 二次電圧 (kv) 500 容量 (MVA) 750 定格電圧 (kv) 500 定格電流 (A) 4,000 定格遮断電流 (ka) 50 ( 出典 : 調査団作成 ) (ii) 送電線 i) 仕様 昇圧変電所 ~ 既設 KPAR 変電所間を接続する送電線仕様の概要は下表の通りである 3-62

117 表 3-22 カパールサイト (B 案 ) における送電線の仕様 電圧回線数亘長支持物基礎がいし電線地線 500 kv 2 回線 1 ルート 0.63 km 2 回線装柱鉄塔直接基礎または杭基礎磁器またはガラス ACSR CURLEW 2 導体 ACSR SKUNK OPGW 各 1 条 ( 出典 : 調査団作成 ) ii) 設計条件 TNB の設計基準に基づき 調査団は本プロジェクトに対する基本的設計条件について 下記の通り提案する 周囲温度 最高温度 : 40 最低温度 : 21 平均気温 : 32 風圧 下記の風圧値は地上 10m の高さにおける風速に基づくものであり 送電線の部位の高さに応じて逓増するものとする 電線 地線 : 430 N/m 2 碍子 : 430 N/m 2 鉄塔 : 820 N/m 2 Right of Way 送電線中心から片側 25m( 計 50m)* 単独送電線の場合 iii) 鉄塔及び基礎 鉄塔については一般的に TNB の標準鉄塔が適用され 今回は 2 回線装柱鉄塔とする また 基礎については基礎加重と現地の地盤耐力によって直接基礎または杭基礎を適用する iv) がいし 500kV 送電線に標準的に適用されるがいしは磁器またはガラスがいしである がいしの仕様を下表に示す 3-63

118 表 3-23 がいし仕様 がいし装置 機械強度 [kn] 個数 [ 個 / 連 ] 懸垂装置 上中相 下相 耐張装置 160 or ( 出典 :TNB) v) 電線及び地線 500kV 送電線に標準的に適用される電線は ACSR CURLEW の 4 導体である また 標準的な地線は ACSR SKUNK と OPGW である なお 電線の最高温度は 75 であり 電線地上高は次表の通りである 表 3-24 電線の最低地上高 適用箇所一般地道路横断箇所建物及び構造物 ( 人間が上に乗る可能性のあるもの ) 他の送電線横断箇所 ( 出典 :TNB) 500 kv 10 m 12 m 6 m 6 m vi) ルート概要 TNB の送電線ルート案に基づき 現場調査や衛星写真 (Google Earth) により 送電線ルートの概略検討を実施した結果 昇圧変電所 ~ 既設 KPAR 変電所間のエリアには既設送電線が通過しており 新設送電線はこれを横断する必要があると想定される その他 送電線建設に対する重大な障害物はないものと想定されるが さらに詳細な検討は詳細設計時に実施する必要がある なお 送電線は 2 回線 1 ルート 亘長は約 0.63km である (iii) グリッド接続 500/275kV KPAR 変電所で 500kV 引出口を 2 回線増設して 発電所からの架空送電線を接続する KPAR 変電所は屋外式 AIS で その母線構成は 500kV が 1.5 遮断器方式で 275kV が二重母線方式である 増設する 500kV 引出口は既設と同じ屋外式 AIS で 1.5 遮断器方式とし その単線結線図を図 3-29 に示す 増設する母線は既設母線と直結する 3-64

119 図 3-29 カパールサイト (B 案 )KPAR 変電所増設引出口単線結線図 ( 出典 : 調査団作成 ) 増設引出口の主要機器の仕様を表 3-25 に示す 表 3-25 カパールサイト (B 案 )KPAR 変電所主要機器仕様 遮断器 (GCB) 定格電圧 (kv) 500 定格電流 (A) 4,000 定格遮断電流 (KA) 50 ( 出典 : 調査団作成 ) c) クアンタンサイト 発電した電力を 275kV 昇圧変電所から新設の 275kV 開閉所まで 275kV 架空送電線 4 回線で送電し さらに開閉所から既設 275kV 架空送電線まで 275kV 架空送電線 4 回線で電力を送り そこでグリッドと接続する 既設 275kV 架空送電線は そのため接続箇所で分断され それぞれが発電所と接続する形となる 本プロジェクトの範囲はクアンタンサイトでは発電所及び昇圧変電所までであるが 電力の安定供給のためにグリッドへの接続までを検討範囲とした クアンタンサイトの電力の流れを図 3-30 に示す 3-65

120 図 3-30 クアンタンサイトの電力の流れ ( 出典 : 調査団作成 ) (i) 昇圧変電所 変電所機器は屋外式ガス絶縁形開閉機器 (Gas Insulated Switchgear 以下 GIS) とし この変電所は昇圧のほか 275/132kV 基幹変電所としての機能を併せ持つ 結線は 275kV 132kV ともに二重母線方式とし 図 3-31 に単線結線図を示す 発電機が 2 ユニットあるので 変電所には昇圧変圧器として油入変圧器 2 台の他 275kV 遮断器 12 台 132kV 遮断器 10 台 275/132kV 油入変圧器 2 台を設置する 表 3-26 に主要機器の仕様を示す 3-66

121 図 3-31 クアンタンサイト昇圧変電所単線結線図 ( 出典 : 調査団作成 ) 表 3-26 クアンタン昇圧変電所主要機器仕様 油入変圧器 ( 昇圧用 ) 油入変圧器 遮断器 (GIS) 遮断器 (GIS) 一次電圧 (kv) 20 二次電圧 (kv) 275 容量 (MVA) 750 一次電圧 (kv) 275 二次電圧 (kv) 132 容量 (MVA) 240 定格電圧 (kv) 275 定格電流 (A) 4,000/1,600 定格遮断電流 (ka) 50 定格電圧 (kv) 132 定格電流 (A) 3,150/1,600 定格遮断電流 (ka) 31.5 ( 出典 : 調査団作成 ) (ii) 送電線 i) 仕様 昇圧変電所 ~ 新設開閉所間並びに新設開閉所 ~TKLG - GBID 送電線間を接続する送電線仕様の概要は下表の通りである 3-67

122 表 3-27 クアンタンサイトにおける送電線仕様の概要 昇圧変電所 ~ 新設開閉所間 新設開閉所 ~TKLG - GBID 送電線間 電圧 275 kv 275 kv 回線数 4 回線 1 ルート 2 回線 2 ルート 亘長 6.93 km 5.0 km 支持物 4 回線装柱鉄塔 2 回線装柱鉄塔 基礎 直接基礎または杭基礎 直接基礎または杭基礎 がいし 磁器またはガラス 磁器またはガラス 電線 ACSR ZEBRA 3 導体 ACSR ZEBRA 3 導体 地線 ACSR SKUNK OPGW 各 1 条 ACSR SKUNK OPGW 各 1 条 ( 出典 : 調査団作成 ) ii) 設計条件 TNB の設計基準に基づき 調査団は本プロジェクトに対する基本的設計条件について 下記の通り提案する 周囲温度 最高温度 : 40 最低温度 : 21 平均気温 : 32 風圧 下記の風圧値は地上 10m の高さにおける風速に基づくものであり 送電線の部位の高さに応じて逓増するものとする 電線 地線 : 430 N/m 2 碍子 : 430 N/m 2 鉄塔 : 820 N/m 2 Right of Way 送電線中心から片側 20m( 計 40m)* 単独送電線の場合 iii) 鉄塔及び基礎 鉄塔については一般的に TNB の標準鉄塔が適用され 昇圧変電所 ~ 新設開閉所間は 4 回線装柱鉄塔 新設開閉所 ~TKLG - GBID 送電線間は 2 回線装柱鉄塔とする また 基礎については基礎加重と現地の地盤耐力によって直接基礎または杭基礎を適用する iv) がいし 275kV 送電線に標準的に適用されるがいしは磁器またはガラスがいしである がいしの仕様を下表に示す 3-68

123 表 3-28 がいし仕様 がいし装置 機械強度 [kn] 個数 [ 個 / 連 ] 懸垂装置 耐張装置 ( 出典 :TNB) v) 電線及び地線 275kV 送電線に標準的に適用される電線は ACSR ZEBRA であり 送電容量により条数を 1~4 条と使い分けているが 今回は 3 導体を採用する また 標準的な地線は ACSR SKUNK と OPGW である なお 電線の最高温度は 75 であり 電線地上高は次表の通りである 表 3-29 電線の最低地上高 適用箇所一般地道路横断箇所建物及び構造物 ( 人間が上に乗る可能性のあるもの ) 他の送電線横断箇所 ( 出典 :TNB) 275 kv 7.31 m 10 m 5.18 m 4.57 m vi) ルート概要 TNB の送電線ルート案に基づき 現場調査や衛星写真 (Google Earth) により 送電線ルートの概略検討を実施した結果 昇圧変電所 ~ 新設開閉所間及び新設開閉所 ~TKLG - GBID 送電線間の想定ルート上には送電線建設に対する重大な障害物はないものと想定されるが さらに詳細な検討は詳細設計時に実施する必要がある なお 昇圧変電所 ~ 新設開閉所間の送電線は 4 回線 1 ルート 亘長は約 6.93km であり 新設開閉所 ~TKLG - GBID 送電線間は 2 回線 2 ルート 亘長は約 5.0km である (iii) 開閉所 開閉所は変電所と異なり変圧器等の電気を変成する設備を持たず 主として母線と開閉装置からなる 系統の切替機能を持ち 構成は 275kV 送電線 8 回線と母線区分 1 回線である 屋外式単母線方式 GIS とする 図 3-32 に 275kV 開閉所の単線結線図を示す 開閉所を設ける主な目的の 1 つとして 送電線停止区間の短縮による系統安定度向上 供給信頼度向上が挙げられる 4 回線鉄塔で入った送電線がここで 2 回線鉄塔 2 組に分離される 3-69

124 図 3-32 クアンタンサイト 275kV 開閉所単線結線図 ( 出典 : 調査団作成 ) 設置される遮断器は 9 台で 表 3-30 に主要機器の仕様を示す 表 3-30 クアンタンサイト 275kV 開閉所主要機器仕様 遮断器 (GIS) 定格電圧 (kv) 275 定格電流 (A) 4,000/1,600 定格遮断電流 (KA) 50 ( 出典 : 調査団作成 ) (iv) グリッド接続 発電電力は昇圧変電所から 4 回線鉄塔で送電され 途中の開閉所で 2 回線鉄塔 2 組に分離される 各送電線は既設 275kV TKLG - GBID 送電線に直接接続されて電力がグリッドに送られる 図 3-33 で示すように TKLG 変電所と GBID 変電所間の送電線が分割され それぞれの送電線に発電電力が送られる なお図中の GBPS は新設昇圧変電所を GBSS は新設開閉所を表す またこの図は昇圧変電所の 132kV 側から KMAN 変電所と GBNG 変電所へも電力が送られることを示している 既設 275kV TKLG - GBID 送電線については 今回の発電電力に対し 容量が不足する可能性がある 3-70

125 図 3-33 クアンタンサイトの送電線接続案 ( 出典 :TNB) 3-71

126 (d) 土木設備 a) クアンタンサイト Kuantan Site (i) 地形 地質 i) 地形 この用地はほぼフラットであり 標高は MSDL+1.5~2.0m となっている 用地内北側には背後地から海へ流れ出る小河川がある ii) 地質この地点の地質は砂地盤であり 基礎処理並びに圧密沈下は問題がない (ii) 前面海域 i) 海底地形 この前面海域はほぼ直線で砂浜の海岸となっており水質も良く ( 濁り等がない ) きれいな海岸である この海岸は遠浅海岸でないため 水深 -8m 地点は約 1,000m 程度となっている ii) 海底地質 表層は砂が堆積しており地質も砂地盤と考えるが FS 時に海上ボーリンク等で確認する必要がある (iii) 土木設備 i) 既設河川の切り替え工事 背後地から国道 3 号線を横断して海へ流れ出ている河川があり 敷地内の北側に直線で切り換える必要がある この問題については 河川の管轄者がイリゲーションデパートメントで在ることから 切り替え工事に必要な許認可 設計等 ( 水路構造 幅 勾配等 ) についてはイリゲーションデパートメントと打合せを行う必要がある この時 河川からの放流で既存の海岸線が変形等を生じない放流方法を考える必要がある ii) 基礎工事 この発電所計画地点は地表面にある樹木等を取り除き 比較的良質な土砂で約 1.5m 盛り土を行う事とする この地点は砂地盤であることから盛り土により初期に多少の沈下は生じるが 長期の圧密沈下は生じないと考える このため沈下対策としての地盤改良は必要無いが 地表から 10m 程度掘削する構造物に対しては 工事の安全性を考えて 地盤改良等を行う必要がある 発電所の主要構造物基礎はコンクリート製の杭を約 40m 程度打設するものとし 比較的荷重が軽い構造物基礎についてはコンクリート製の杭を約 20m 程度打設するものとする iii) 冷却水の取放水方式 発電所計画用地と海までは約 100m 程度離れている この海岸は直線海岸で この海岸に取放水設備等の構造物を構築すると海岸線が変化する事が懸念される この直線海岸を変化させないためには 水深 -8m 付近から深層取水を行い 発電所構内まで取水管を地中部に埋設し 海岸線を現状のまま維持するものとする 放流管も取水管と同様に埋設し 水深 -5m 付近から深層放流を行う事とする この方式により海岸線には構造物を設けない事で自然海岸を現状のまま維持出来る考えである 深層取水の水深 -8m は発電所敷地境界から約 1.0km であり 放流地点の水深 -5m が約 400m と考える事から この取放水設備の計画概要を添付資料 -1 深層取放水設備概要に示す b) カパールサイト Kapar Site (i) 地形 地質 i) 地形発電所用地内は平坦な用地で標高は約 MSDL+2.0m となっている 3-72

127 用地内はパームヤシ並びにサトウキビが植えられており耕作地である 発電所用地外の西側は灌漑用水路があり その水路から海岸線の間はマングローブが生育している 又 計画用地東側は約 4m 幅の農道が存在する この用地南側の石炭火力発電所との間には灌漑を兼ねた河川があり この小河川が増設用地境界となっている 用地北側は用地内と同様パームヤシ等の耕作地となっており あぜ道が用地境界である ii) 地質 この付近の地質は軟弱地盤で既設の石炭火力発電所の工事実績から見ると N 値 =0( 標準観入試験値 ) の軟弱層が地表面から 20m で 支持層までは約 60m の深さとなっている (ii) 前面海域 i) 海底地形 発電所計画地点の前面海域は遠浅海岸で 海底勾配は約 1/300 となっており用地北側では海底勾配がもっと緩い この海岸の特徴は河川から流れ出る土砂による堆積が多いため 既設発電所の石炭荷揚げ用バース並びに冷却水の取水で水深確保に費用が係っている ii) 海底地質 表層はシルト混じりの軟弱層と考える 支持層は陸上と同様 60m 程度と考えられるが FS 時に海上ボーリンク等で確認する必要がある (iii) 土木設備 i) 地盤改良工事 発電所建設時にはこの軟弱地盤上に敷地造成として約 3m の盛り土を行うため 長期の圧密沈下が生じる 既設の石炭火力発電所構内並びに計画敷地内の変電所では 圧密による沈下が発生しており その沈下量は 25cm~30cm となっている ( 軟弱層が 20m で盛り土高さが 2m~3m の場合 圧密沈下量は発電所ライフタイム 30 年間で 約 25cm の沈下量となる 最終沈下量は約 90cm 程度で 期間は 90 年と想定される ) この発電所計画地点も同程度と考えられるが 長期の圧密沈下を低減するための地盤改良工事が必要と考える この地盤改良工事については種々の改良工事方法があるので FS 時に地質調査を行いその調査結果に基づき最適な地盤改良工法を決定する事とする ii) 基礎工事 主要構造物は鋼管杭を支持地盤まで 60m 程度打設するものとし 比較的荷重が軽い構造物についてはコンクリート製の杭を 30m 程度打設するものとする 発電所内の構造物は基礎杭を打設するので沈下の問題は無いが 循環水 ( 冷却水 ) 設備のスクリーン ポンプ室 / 取放水路 / 放水管接合ピット等が地下構造物となる この地下構造物を構築するには -8m ~ -10m 程度掘削しなければならない事から掘削が安全に出来る様な地盤改良工事を行う必要がある iii) 冷却水の取放水方式 冷却水を前面海域から取水する事になるが 遠浅で漂砂海岸のため沿岸取水が困難である このため取水は深層取水方式とし 水深 -8m に取水塔を設け海底配管で構内に設けるポンプ室へ接続する方式とする 取水塔からポンプ室までの距離はおおむね 2.5km となる 放水は遠浅海岸で海岸線にマングローブが生育しているため これらの生態系に影響を与えない様汀線での表層放流を止め 水深 -5m 付近からの深層放流方式 ( 放流流速を 3m 付近 ) を採用する事とする これにより 温排水の拡散範囲を出来るだけ縮小し 海岸線並びに既設火力発電所取水口へ影響を与え 3-73

128 ない様に配慮するものとする 深層取水の水深 -8m は発電所敷地境界から約 2.5km であり 放流地点の水深 -5m が約 1.5km と考える事から この取放水設備の計画概要を添付資料 -1 深層取放水設備概要に示す (e) 配置計画図 3-34 にクアンタン 図 3-35 にカパールの構内配置計画図を示す 3-74

129 図 3-34 クアンタンサイト 構内配置図 3-75 出典:調査団作成 3-75

130 図 3-35 カパールサイト構内配置図 3-76 ( 出典 : 調査団作成 ) 3-76

131 3) 提案プロジェクトの内容 本プロジェクトは マレー半島の東海岸にあるクアンタンまたは西海岸のカパールに 最新鋭の高効率ガスタービンをベースとする一軸型コンバインドサイクル発電設備を 2 基 (1,000MW~1,400MW) 建設する計画である 我が国で既に確立された同技術を適用することで 本邦企業の本事業への参入可能性を高めるとともに 二酸化炭素などの温室効果ガス排出の削減に対しても寄与できる 想定される概算事業総額を表 3-31 に示す 表 3-31 概算事業総額 項目 単位 金額クアンタンカパール 発電設備および共通設備 ( 土木建築 百万円 108, ,478 取放水路 送変電設備など ) 予備費 百万円 ,848 事業総額 百万円 121, 建設費単価 円 /kw 99, ,286.7 US$/kW ( 出典 : 調査団作成 ) 上表のカパールの事業費がクアンタンより高いのは カパールは軟弱地盤であるので 土地改良費並びに 発電所建設地点の前面の海岸が遠浅であるため 取 放水設備の建設費が高くなるためである 4) 提案技術 システムを採用するに当たっての課題 およびその解決策 最新鋭ガスタービンをベースとするコンバインドサイクル発電技術を採用することには プラントの高効率化が図られるなどの大きなメリットがある 一方 最新鋭機器であるため運転実績があまり多くない機種もあり 機器の信頼性という面ではまだ十分とは言えないところがある EPC ターンキー契約では 設備据付および試運転において 契約書に規定する受取性能保証項目が満たされ 設備欠陥が無いことを事業実施者が審査した後 設備引き渡しとなる この審査を確実に行い EPC 契約者に対し適切に技術交渉するためには 発電設備に関する高度な技術および知見を持つ必要がある 加えて 商業運転開始以降も様々な技術課題が発生することが多く これらの技術課題を適切に解決し EPC 契約者と適切に技術交渉する上で 発電設備専門家による技術支援を受けることが望ましい 3-77

132

133 第 4 章 環境社会的側面の検討

134

135 本調査の対象地域であるパハン州クアンタン (Kuantan Pahang) セランゴール州カパール (Kapar Selangor) の 2 地点について環境社会配慮の観点から検討を行った (1) プロジェクト サイトの環境 社会状況の確認 1) 自然環境 (a) 気象状況 Malaysian Meteorological Department の報告によれば マレーシアの気候は年間を通じて気温の変化は少なく多湿で降雨が多い地域である 風向 風速の特徴として マレーシアは四季に応じた変化がみられる 5 月中旬から 9 月の終わりにかけて風速は 8m/s 以下の南西モンスーンが卓越し 11 月から 3 月にかけては北西モンスーンが卓越し 風速 5-10m/s である マレーシア半島東部沿岸では 15 m/s 以上の北からの冷たい風が吹くことがある 季節の変わり目をつなぐように 短いモンスーンがそれぞれの間に出現する マレーシア半島の南西部沿岸を除き 10 月から 11 月と 4 月から 5 月は雨季にあたり 6 月 7 月は乾季となる 本プロジェクトは 候補地が広範囲に点在していることから 気象モデル (MM5(The Mesoscale Model)) を使って 各候補地における 2014 年の気象データを次の 2 つの区域に分けて整理することとした ( 表 4-1 図 4-1) 1 パハン州クアンタン 2 セランゴール州カパール パハン州クアンタンでは 海からの北東の風が卓越し 年間の平均風速は 3.2m/s であった セランゴール州では 海からの北西の風が卓越し 年間の平均風速は 3.2m/s であった 候補地の平均気温は 26~28 である 表 4-1 (1) 気象モデルの解析結果 [ パハン州 ] 項目 単位 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 年間 平均風速 m/s 風向 最頻値 NE NE ENE ENE ESE SE SE SE SE ENE ENE NE NE 平均気温 o C 平均相対湿度 % 平均気圧 Mb 平均雲量 表 4-1 (2) 気象モデルの解析結果 [ セランゴール州 ] 項目 単位 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 年間 平均風速 m/s 風向 最頻値 ENE E E NNW NNW NW NNW NNW NNW NW WNW NW NW 平均気温 o C 平均相対湿度 % 平均気圧 Mb 平均雲量 ( 出典 : 調査団作成 ) 4-1

136 図 4-1 対象地域周辺の風向風速 Data SIO,NOAA,U.S.Navy,NGA,GEBCO C 2016 Google U.S.Dept of State Geographer Image Landsat ( 出典 : 調査団作成 /Google Earth) 4-2

137 (b) 土地状況 候補地点の土地状況は 以下のとおりである [ 参考写真 ] -パハン州クアンタン- Data SIO,NOAA,U.S.Navy,NGA,GEBCO C 2016 Google Image C 2016 TerraMetrics Image C 2016 DigtalGlobe Image C 2016 CNES/Astrium C 2016 Google Image C 2016 TerraMetrics Image C 2016 DigtalGlobe 候補地は 木材加工業 金属加工業等の中小企業が生産活動している工業都市ゲベン ( Gebeng) に隣接している 候補地の海岸の南東方向からクアンタン港 (Kuantan) の桟橋が確認できる [ 出典 :Google Earth] 候補地は 国道 3 号線 (Federal Route3) と海岸に挟まれた平坦な場所である [ 出典 :Google Earth] 国道 3 号線は 片側 2 車線道路であり ボーキサイト鉱山から採掘された土砂の運搬車両が多く通行していた [ 調査団撮影 ] 候補地の海側は 浜辺が広がり 候補地内には樹木が生育している [ 調査団撮影 ] 4-3

138 [ 参考写真 ] - セランゴール州カパール - 候補地南側には 既設火力発電所用の石炭灰処分 場がある [ 出典 :Google Earth] C 2016 Google Image C 2016 TerraMetrics Image C 2016 DigtalGlobe C 2016 Google Image C 2016 DigtalGlobe 候補地は耕作地で 周辺には住居地が点在している [ 出典 :Google Earth] 候補地は 既に土地収用が行われているが 地元住民は 事業者の許可を得てパームヤシやサトウキビの栽培を行っている [ 調査団撮影 ] 候補地海側では マングローブが生育している [ 調査団撮影 ] 候補地の南側にある KAPAR ENERGY VENTURE(KEV) は 総出力 2420MW で国内需要の 15% を賄っている [ 調査団撮影 ] 候補地は 軟弱性の地盤のため 候補地と隣接する送配電設備を設置している基礎部において地盤沈下がみられた [ 調査団撮影 ] 4-4

139 (c) 自然公園 保護区 ANNUAL REPORT 2013 (Department of Wildlife And National Parks(DWNP)) によれば マレーシアには象 (Elephant) や爬虫類 (Wild Boar) 等の貴重な大型哺類が生息し マレーシア政府は基金を設立し DWNP は天然資源環境省 (Ministry of Natural Resources and Environment) と連携し積極的な保護政策を展開している パハン州クアンタン セランゴール州カパールの候補地周辺には自然公園や保護区はないが パハン州クアンタンでは 北 3 kmは浜辺をリゾート地として利用している また セランゴール州カパールでは沿岸域にマングローブが広範囲に生育している 2) 環境の状況 (a) 大気質 Malaysia Environmental Quality Report 2014 によれば DOE は マレーシア国内において 浮遊粒子状物質 (PM 10 ) NOx や VOC の 2 次生成物であるオゾン (O 3 ) 二酸化硫黄 (SO 2 ) 二酸化窒素(NO 2 ) について継続的なモニタリングを実施している マレー半島の西海岸で カパールの南約 60 km ( ポートディクソンの北 20 km ) のクランバレー (Klang Valley) の大気環境は 大気汚染指標 (Air Pollutant Index; API) による大気環境の状況 (AIR QUALITY STATUS) について PM や O 3 は良好 (Good) が 61% 中位(Moderate)36% 不健康(Unhealthy)2% であった マレー半島の東海岸は 全体的に良好な大気環境と報告されている しかし 現地実査において クアンタンは工業地帯に近く サイトに近い国道は ボーキサイト鉱山の積出港の輸送ルートになっており 車両の巻き上げ粉じんが気になった PM については 隣国からの越境と 森林や泥炭地帯 (Peat land) の火災が主な原因となっている SO 2 は 近年減少の傾向にあるが 発生の原因として産業部門での化石燃料の燃焼が主たる原因となっている NO 2 は 都市部 その近郊において顕著に増加しており その原因は 車両によるものである (b) 水質 a) 河川 DOE は 国内の河川について 水質のモニタリングを実施している Malaysia Environmental Quality Report 2014 によれば 477 河川 891 か所について 水質汚濁指標 (Water Quality Index;WQI) に基づき 244 河川で良好 189 河川で若干汚濁 43 河川で汚濁に分類された 河川における水質汚濁は 不適切な処理の下水 農業排水 工業排水の流入が主な原因になっている また 浮遊物質量 (Suspended Solids) は 不適切な土木工事等が原因になっている ここ数年の河川の水質の状況は 図 4-2 のとおりである 4-5

140 図 4-2 河川の水質の状況 / ( 出典 : Malaysia Environmental Quality Report 2014) b) 海域 Malaysia Environmental Quality Report 2014 によれば DOE は 1978 年以降 マレー半島周辺の海域の水質モニタリングを行っている 2014 年は 150 か所の沿岸域 76 か所の河口域 89 か所の島嶼において海域のモニタリングを行っている その結果 海洋水質汚濁指標 (Marine Water Quality Index;MWQI) に基づき 沿岸域の 150 か所のうち 30 か所が極めて良好 45 か所が良好 75 か所が中位に分類された 図 4-3 のとおり MWQI の傾向は 改善の方向にある 76 か所の河口域については 7 か所が極めて良好 8 か所が良好 61 か所が中位に分類された 図 4-4 のとおり 沿岸域同様 改善の方向にある 89 か所の島嶼については 10 か所が極めて良好 34 か所が良好 45 か所が中位に分類された 図 4-5 のとおり 沿岸域同様 改善の方向にある 図 4-3 沿岸域の水質の状況 / ( 出典 : Malaysia Environmental Quality Report 2014) 4-6

141 図 4-4 河口域の水質の状況 / ( 出典 : Malaysia Environmental Quality Report 2014) 図 4-5 島嶼の水質の状況 / ( 出典 : Malaysia Environmental Quality Report 2014) (c) 騒音 Malaysia Environmental Quality Report 2014 によれば 本プロジェクト近傍において騒音のモニタリングは実施されていないが 2014 年 DOE は学校 モスク 空港 病院で騒音の測定を実施したところ 全ての観測場所で昼間の基準である 50dB(A) 夜間の基準である 40dB(A) を超過していた 特に 工業地帯は騒音レベルが高い傾向にあった 4-7

142 3) 社会環境 (a) 社会経済指標マレーシアにおける基本的な社会経済指標は 表 4-2 のとおりである 表 4-2 基本的な社会経済指標 項目 単位 指標 ( 期間 ) 経済的指標国内総生産 百万 US$ 6,475(2014) GDP( 国民一人当たり ) US$ 1,182.8(2010) 失業率 % 8.4(2010) 就業者数割合 ( 第 2 次産業 ) % 20.6(2010) 就業者数割合 ( 第 1 次産業 ) % 34.0(2010) 成人女性当たりの就業者数割合 % 55.7(2014) 成人男性当たりの就業者数割合 % 79.0(2014) 社会的指標人口増加率 年平均 % 1.6( ) 都市部人口増加率 年平均 % 2.5( ) 地方部人口増加率 年平均 % -1.0( ) 都市部人口割合 % 74.2(2013) 人口比 (0-14 歳 ) % 26.1(2013) 人口比 (15-59 歳 ) % 65.4(2013) 人口比 (60- 歳 ) % ( 女性 / 男性 ) 8.5(8.3/8.7) (2013) 男女比 女性 100 人比 94.3(2013) 寿命 女性 / 男性 77.3/72.7( ) 乳児死亡率 乳児 1000 人当たり 4.1( ) 出生率 女性 1 人当たり子供の数 2.0( ) 小中学校卒業割合 女 / 男 (100 人当たり ) 83.2/84.7( ) 高校生女性比 % 56.5( ) ( 出典 : World Statistics pocketbook 2014(United Nation)) (b) 社会基盤 a) 交通候補地周辺の主要な道路並びに港湾は 表 4-3 のとおりである クアンタンは 国道 3 号線に隣接しておりアクセス道路は必要としない 一方 カパールは サイトから国道 5 号線まで約 1 kmあり いずれの国道も片側 2 車線道路の幹線道路である パハン州クアンタンの南約 3 kmにクアンタン港があり ボーキサイト鉱山の積み出し等に利用されている セランゴール州カパールは 南約 15 kmにクラン港がある この港は マレーシアにおいても主要な港湾に位置づけられている 表 4-3 交通の状況項目パハン州クアンタンセランゴール州カパール候補地周辺の幹線道路国道 3 号線国道 5 号線候補地周辺の港湾クアンタン港クラン港 ( 出典 : 調査団作成 ) 4-8

143 b) 送電線パハン州クアンタンは 既設送電線に接続するため 新たに送電線と開閉所を設置することになる セランゴール州カパールは 候補地内に既設変電所 [ 参考写真 ] があり この変電所内に設備を設置し対応することになる [ 参考写真 ] [ 調査団撮影 ] c) 学校 病院パハン州クアンタン セランゴール州カパール周辺の学校 病院は下図のとおりであり パハン州クアンタンでは 最寄りの学校まで約 5 km 病院まで約 3 kmである また セランゴール州カパールでは 最寄りの学校まで約 1 km 病院まで約 3 kmである 図 4-6 (1) サイト周辺の学校 病院 ( パハン州クアンタン ) C 2016 Google Image C 2016 TerraMetrics Image C 2016 DigtalGlobe 学校病院 SK Balok Baru ( 小学校 ) Klinik Kesihatan Sg Ular SK Pelabuhan ( 小学校 ) SK Balok Makmur ( 小学校 ) SK Balok ( 小学校 ) SK Lembah Jabor ( 小学校 ) SMK Pelabuhan ( 中学校 ) ( 赤丸 ; 学校 黄色丸 ; 病院 ) ( 出典 : 調査団調べ / Google Earth) 4-9

144 図 4-6 (2) サイト周辺の学校 病院 ( セランゴール州カパール ) km C 2016 Google Image C 2016 TerraMetrics Image C 2016 DigtalGlobe 学校 Sekolah Rendah Agama Tok Muda ( 小学校 ) Sekolah Rendah Kebangsaan Tok Muda ( 小学校 ) 病院 Klinik Kesihatan Tok Muda Klinik Kesihatan Kapar Sekolah Rendah Kebangsaan Sg Serdang ( 小学校 ) ( 赤丸 ; 学校 黄色丸 ; 病院 ) ( 出典 : 調査団調べ / Google Earth) (c) 少数民族 先住民族いずれの候補地に関して 周辺には少数民族 先住民族は居住してない (d) 土地収用 住民移転各候補地点における土地収用 住民移転の状況は 表 4-4 のとおりである パハン州クアンタンは まだ用地の収用を行っていない 従って 地権者であるパハン州開発会社から土地を取得する必要がある セランゴール州カパールは 事業者所有の土地である 現在 地元住民にパームヤシやサトウキビの栽培のために無料で貸し出している なお 事業者は工事開始 6 か月前に地元住民に周知することになっている 表 4-4 発電所に係る用地取得 住民移転等の状況 項目 パハン州クアンタン セランゴール州カパール 用地取得 パハン州開発会社より土地を取得する必 取得済 要がある 住民移転 なし なし ( 出典 : 調査団調べ ) 4-10

145 発電所以外については パハン州クアンタンでは送電線 開閉所の設置のための土地収用が発生する 送電線ルートは まだ検討段階にあるが 開閉所の予定地 [ 参考写真 ] は 既に土地造成が行われてい る場所に計画されている [ 参考写真 ] [ 調査団撮影 ] また セランゴール州カパールは 道路幅が狭くアクセス道路に関して 新たに道路を敷設するか 既存道路の拡張 改良が必要になる 今後 具体的な検討を行うことになるが 新たな道路の敷設であれば 約 1~2 kmの敷設 [ 参考写真 ] となり土地収用の可能性がある 図 4-7 国道までの距離 ( セランゴール州カパール ) 1~2 km C 2016 Google Image C 2016 TerraMetrics Image C 2016 DigtalGlobe ( 出典 : 調査団調べ / Google Earth) 4-11

146 (2) 影響の予測 評価及び代替案の比較検討 1) 大気質 [ 排ガス諸元 ] 本プロジェクトは 天然ガスを燃料とするガスコンバインドサイクル発電である 排ガス中の大気汚染物質には 窒素酸化物がある 一般に排ガス中の窒素酸化物は 低 NOx バーナー 排煙脱硝装置 適切な運転管理によって低減が図られる 本プロジェクトでは同規模 ( MW 級 ) の排ガス諸元 ( 表 4-5) を参考に 排ガス条件を設定するとともに 本プロジェクトは 2 か所の候補地があり気象の状況が違うため 可能な限り候補地での気象条件を踏まえ 大気環境への影響を検討した 表 4-5 排ガス諸元 項目単位諸元 排ガス量 ( 湿ガス ) Nm 3 /h 2, 排ガス温度 ºC 85 排ガス速度 m/s 30 煙突高さ m 100 煙突口径 m 5.6 窒素酸化物排出量 kg/h 150 備考 1. 上記の数値は 同規模の石炭火力発電所に係る環境影響評価報告書を参考に仮定した値である 2. 排ガス諸元は 最大負荷時とする ( 出典 : 調査団調べ ) 予測モデルは 欧米諸国や我が国の環境アセスメントで多用されているプルーム式を基本とした米国環境保護庁 (US-EPA) で推奨している AERMOD を採用した 予測計算に使用した気象データは 気象モデル (MM5) で再現した各候補地の気象データとし 地理的状況を勘案し検討した 1 パハン州クアンタン 2 セランゴール州カパール [ 予測結果 ] 大気汚染物質の年平均値の拡散結果は図 4-8 に示すとおり 各候補地において最大値着地濃度地点は煙源から約 3km で最大値着地濃度地点は 22-27μg/m 3 ( ppm) と予測され 各候補地点で大きな差はない なお 発電所のレイアウト決定後 大気汚染物質による短期的な影響について 周辺の建物や土地利用 ( 住居地域等 ) を踏まえ 詳細に検討していく必要がある 4-12

147 図 4-8 大気汚染物質の拡散濃度 Data SIO,NOAA,U.S.Navy,NGA,GEBCO C 2016 Google Image C 2016 TerraMetrics Image C 2016 DigtalGlobe パハン州クアンタン C 2016 Google Image C 2016 TerraMetrics Image C 2016 DigtalGlobe セランゴール州カパール ( 出典 : 調査団調べ / Google Earth) 4-13

148 2) 水質 ( 温排水 ) 改訂 発電所に係る環境影響評価の手引 ( 経済産業省 平成 27 年 7 月 ) によれば 表層放水方式と水中放水方式における排水総熱量と温排水の拡散面積との関係が図 4-9 に示されている この関係を利用して 本プロジェクトによる温排水の拡散面積を推定することとした 本プロジェクトは MW 級ガス複合火力発電所の建設計画であるため 温排水の 1 並びに 3 上昇域の拡散面積は 図 4-9 のとおり 5-8km 2 (3 上昇域 ) と 10-20km 2 (1 上昇域 ) と推定される 図 4-9 排水総熱量と温排水の拡散面積との関係 ( 出典 : 改訂 発電所に係る環境影響評価の手引 ( 経済産業省 平成 27 年 7 月 )) 推計された温排水の拡散面積をもとに 放水口から同心円に拡散すると仮定すると 3 上昇域 ( 半円状 ) は放水口から半径約 2 km 1 上昇域 ( 半円状 ) は放水口から半径約 3 kmとなる 図 4-10 に推計された温排水の拡散面積を示した 既設発電所と隣接するセランゴール州カパールの候補地点は 既設発電所からの温排水との累積影響に留意する必要がある さらに温排水と冷却水との再循環の可能性にも留意する必要である 4-14

149 図 4-10 温排水の拡散面積 Data SIO,NOAA,U.S.Navy,NGA,GEBCO C 2016 Google Image C 2016 TerraMetrics Image C 2016 DigtalGlobe C 2016 Google Image C 2016 TerraMetrics Image C 2016 DigtalGlobe パハン州クアンタン セランゴール州カパール ( 濃い黄色 :3 上昇域 薄い黄色 :1 上昇域 ) ( 濃い黄色 :3 上昇域 薄い黄色 :1 上昇域 ) ( 出典 : 調査団調べ / Google Earth) 3) 騒音発電所のレイアウトは 今後 詳細に検討されることになるが 一般に発電所の騒音源は表 4-6 に示される設備がある 表 4-6 発電所の騒音レベル ( 単位 :dba) 項目騒音レベルタービン建屋 60 ボイラ 80 主変圧器 50 ポンプ類 90 煙突 70 ( 出典 : 調査団調べ ) 備考 : 同規模の石炭火力発電所に係る環境影響評価報告書を参考に作成 4-15

150 ISO Acoustics- Attenuation of sound during propagation outdoors- によれば 音源から発生される騒音レベルは距離に応じて減衰することが知られている このため発電所から住居や環境への配慮を必要とする病院や学校等の施設との位置関係を明らかにしておくことが環境への影響を評価する上で重要となる 現地実査 事業者インタビューによれば 候補地近傍には病院や学校はないが 周辺に住居が点在している セランゴール州カパールは 既設石炭発電所の敷地境界から周囲 1,000m を緩衝地域 1 として設定されており 居住が制限されているため 発電所からの騒音の影響は少ないと考えらえる パハン州クアンタンは 国道沿いに住居があり 発電所のレイアウトを含め 今後 騒音による周囲への影響には留意が必要である 1 緩衝地域は 敷地境界から石炭火力発電所は 1,000m ガス火力発電所は 500m と設定されている この区域内では 新たに住宅 病院 学校を建設することはできない ( 商業施設等の建設は妨げるものではない ) 既にある住宅に関しては EIA 手続きの中で住民説明等によって事業者は地元住民と合意形成 ( 補償の交渉を含め ) を図る必要がある 出典 :GUIDELINES FOR SITING AND ZONING OF INDUSTRY AND RESIDENTIAL AREAS (DOE, 2012 年 10 月 ) 4-16

151 (3) 緩和策 ( 回避 最小化 代償を含む ) の検討 1) 大気関係 (a) 排ガス a) 発生源の低減対策窒素酸化物 (NOx) の低減対策については 天然ガスを燃料とする高効率なコンバインドサイクル発電設備を採用する ガスタービンに低 NOx 燃焼器を採用し 乾式アンモニア接触還元法の排煙脱硝装置を設置し 窒素酸化物の排出濃度及び排出量を低減する b) 煙突の高さの検討ばい煙の有効煙突高さを高くし 大気汚染物質の拡散効果を向上させる c) 騒音 振動発電設備は可能な限り敷地境界から離れた場所に設置し 発電所敷地外への騒音及び振動を低減する 2) 水質関係 (a) 一般排水発電所からの排水に伴う水の汚れによる影響を低減するため 排水処理装置を設置し 排水中の化学的酸素要求量 (COD) 窒素含有量(T-N) 燐含有量(T-P) 等の低減を図る (b) 温排水放水設備は 温排水による流向及び流速の変化を考慮した配置とする 高効率なコンバインドサイクル発電方式を採用することにより 出力当たりの復水器の冷却水量の低減を図る 3) 資材等の搬出入発電所の関係車両の運行の平準化を図るとともに 効率のよい資機材の搬出入に努める ドライバーへの交通安全の教育 指導 必要に応じて交通標識の設置を行う 4) 動稙物発電所の建設では 必要最小限の土地造成を行い 動植物の生息 生育環境への影響を可能な限り回避する また 発電所構内には 適切な緑化を検討する 5) 廃棄物等天然ガスを燃料とすることから ばいじんや燃え殻の発生はない 発電所内で発生する産業廃棄物は 分別回収 再使用 再生利用に努め 廃棄物の処分量の低減を図る 6) 温室効果ガス等 ( 二酸化炭素 )- 施設の稼働 ( 排ガス ) 高効率なコンバインドサイクル発電方式を採用することにより 発電電力量当たりの二酸化炭素排出量の低減を図る 発電設備の適切な維持管理及び運転管理を行うことにより 発電効率を高く維持する 4-17

152 (4) 環境側面からの候補地点のスクリーニング 前述 (1) から (3) の検討結果並びに調査団による候補地点のスクリーニング結果を表 4-7 に示す なお スクリーニングの判定理由は (5) 環境チェックリスト ( 案 ) を参照 表 4-7 環境社会配慮に係るスクリーニング結果 項目 候補地点ハ ハン州クアンタンセランコ ール州カハ ール 全体 汚染対策 大気質 水質 廃棄物 土壌汚染 騒音 振動 地盤沈下 悪臭 自然環境 保護区 生態系及び生物相 地形 地質 社会環境 住民移転 生活 生計 文化遺産 景観 少数民族 先住民族 労働環境 ( 労働安全を含む ) その他 工事中の影響 事故防止対策 モニタリング ( 出典 : 調査団作成 ) 備考 : ; 予測評価すべき環境要素として考慮する必要がない項目 ; 現時点の調査結果 緩和策等によって 環境影響への低減が図れると考えら れる項目 ; 影響要因が存在し 環境影響について検討する必要がある項目 4-18

153 (5) 環境チェックリスト ( 案 ) の作成 1) JICA ガイドライン / JBIC ガイドライン独立行政法人国際協力機構 (JICA) は 2010 年 4 月 1 日付で新たに JICA 環境社会配慮ガイドライン ( 以下 JICA ガイドライン という ) を策定し公表している また 株式会社国際協力銀行 (JBIC) は 2015 年 4 月 1 日付で新たに 環境社会配慮確認のための JBIC ガイドライン ( 以下 JBIC ガイドライン という ) を策定し公表している 両ガイドラインは JICA 並びに JBIC が行う環境社会配慮の責務と手続き 相手国等に求める要件を示すことにより 相手国等に対し 適切な環境社会配慮の実施を促すとともに 環境社会配慮支援 確認の適切な実施を確保することを目的としている また 相手国等にスクリーニング様式の記入を求め その情報をカテゴリ分類の際の参考にする 環境レビューに当たってはセクター別の環境チェックリストを適切に活用する こととしている 2) 本プロジェクトの環境社会配慮の結果本プロジェクトは マレーシア半島で MW 級のガス複合火力発電所の建設を検討するものである まず最初に事前検討によって 複数のサイトから候補地の絞り込みを行った 更に調査団と事業者との検討の結果 適切なサイトとしてパハン州クアンタン セランゴール州カパールについて JICA 環境チェックリスト 2. 火力発電 JBIC 環境チェックリスト 11. 火力発電 を参考に 本調査の次の段階で必要となる環境社会配慮調査項目の洗い出しを行った 表 4-8 に記載した環境チェックリスト ( 案 ) の確認結果は 現時点での調査結果である 記載内容について パハン州クアンタン セランゴール州カパールの両方に該当する場合は [ 共通 ] パハン州クアンタンの場合は [ クアンタン ] セランゴール州カパールは[ カパール ] と整理した 4-19

154 分類認可 説明表 4-8 環境チェックリスト ( 案 ) 環境項目 主なチェック事項 影響の概要 影響 ( 有 無 ) 講じられる予定の対策及び必要となる検討 JICA カ イト ライン JBIC カ イト ライン (1)EIA 及び環境許認可1許(2) 現地ステークホルダーへの説明 (a) 環境アセスメント報告書 (EIA レポート ) 等は作成済みか (b) EIA レポート等は当該国政府により承認されているか (c) EIA レポート等の承認は付帯条件を伴うか 付帯条件がある場合は その条件は満たされるか (d) 上記以外に 必要な場合には現地の所管官庁からの環境に関する許認可は取得済みか (a) プロジェクトの内容及び影響について 情報公開を含めて現地ステークホルダーに適切な説明を行い 理解を得ているか (b) 住民等からのコメントを プロジェクト内容に反映させたか 1 環境社会影響評価報告書 (ESIA レポート ) 等は作成済みか 当該国の公用語又は広く使用されている言語で書かれているか 2 ESIA レポート等は当該国政府により承認されているか 3 ESIA レポート等の承認は無条件か 付帯条件がある場合は その条件は満たされるか 4 上記以外に 必要な場合には現地の所管官庁からの環境に関する許認可は取得済みか 1プロジェクトの内容及び影響について プロジェクトの準備期間 実施期間を通じて適切な時期に 事前に十分な情報が公開されたうえで 地域住民等と協議を行い 理解を得ているか 2 地域住民等との協議に係る協議記録が作成されているか 3 説明にあたり 地域住民等が理解できる言語と様式による書面が作成されているか 4 ESIA レポート等は 地域住民等がいつでも閲覧可能で コピーの取得が認められているか 5 住民及び所管官庁からのコメントに対して適切に対応されているか [ 共通 ] 本プロジェクトは MW 級の火力発電所の建設計画である EIA 法に基づき環境影響評価書の作成し DOE の承認が必要である 今後 事業実施に向け 必要な許認可を取得しなければならない [ 共通 ] EIA 法に従い 地域住民 への説明が必要である - - [ 共通 ] 本事業について 地域住民からのコメントに適切に対応することが求 められる 4-20

155 分類4-21 染対策環境項目 (3) 代替案の検討 (1) 大気質 (2) 水質 JICA カ イト ライン 主なチェック事項 (a) プロジェクト計画の複数の代替案は ( 検討の際 環境 社会に係る項目も含めて ) 検討されているか (a) 発電所操業に伴って排出される硫黄酸化物 (SOx) 窒素酸化物 (NOx) 煤じん等の大気汚染物質は 当該国の排出基準等と整合するか また 排出により当該国の環境基準等と整合しない区域が生じるか (b) 石炭火力発電所の場合 貯炭場や石炭搬送施設からの飛散炭じん 石炭灰処分場からの粉じんが大気汚染を生じる恐れはあるか 汚染防止のための対策がとられるか (a) 温排水を含む発電所からの排水は当該国の排出基準等と整合するか また 排出により当該国の環境基準等と整合しない区域や高温の水域が生じるか (b) 石炭火力発電所の場合 貯炭場 石炭灰処分場からの浸出水は当該国の排出基準等と整合するか (c) これらの排水が表流水 土壌 地下水 海洋等を JBIC カ イト ライン 影響の概要 影響 ( 有 無 ) 講じられる予定の対策及び必要となる検討 [ 共通 ] 本計画は 当初 5 地点 調査団と TNB との検討の結果 2 地点の候補地点から選定する予定で ある 2汚1 発電所操業に伴 ガス火力の って排出される硫 ため SOx 黄酸化物 (SOx) 煤じんの発 窒 素 酸 化 物 生はない (NOx) 煤塵等 既設設備と の大気汚染物質 の累積影響 は 当該国の排出 基準を満足する か 3プロジェクトに 起因する大気汚染 物質により 当該 国の環境基準を満 足しない区域が生 じないか 2 石炭火力発電所 の場合 貯炭場や 石炭搬送施設から の飛散炭塵 石炭 灰処分場からの粉 塵が大気汚染を生 じることはない か 汚染防止のた めの対策がとられ るか 4 プロジェクト からの温室効果ガ ス排出量を削減す るための対策がな されるか 1 温排水を含む発電所からの排水は当該国の排出基準を満足するか 2 石炭火力発電所の場合 貯炭場 石炭灰処分場からの浸出水は当該国の排出基準を満足するか 3 生活排水及び雨水排水は 当該国の排出基準を満足するか 4 排水が表流水 土壌 地下水 海洋等を汚染しない 温排水の排出 プラント排水の排出 既設設備との累積影響 [ 共通 ] 発電所からの排ガスは 当該国の基準とともに IFC/WB の EHS ガイドラインとの適合が必要である [ カパール ] 既設発電所との累積影響の検討が必要である [ 共通 ] 発電所からの排水は 当該国の基準とともに IFC/WB の EHS ガイドラインとの適合が必要である [ カパール ] 既設発電所との累積影響の検討が必要である プラント排水の排出 [ 共通 ] (a) と同じ

156 分類4-22 然環境環境項目 (3) 廃棄物 (4) 土壌汚染 (5) 騒音 振動 (6) 地盤沈下 (7) 悪臭 (1) 保護区 JICA カ イト ライン 汚染しない対策がなされるか (a) 操業に伴って発生する廃棄物 ( 廃油 廃薬品 ) または石炭灰 排煙脱硫の副生石膏等の廃棄物は当該国の規定等に従って適切に処理 処分されるか - (a) 騒音 振動は当該国の基準等と整合するか (a) 大量の地下水汲み上げを行う場合 地盤沈下が生じる恐れがあるか (a) 悪臭源はあるか 悪臭防止の対策はとられるか (a) サイトは当該国の法律 国際条約等に定められた保護区内に立地するか プロジェクトが保護区に影響を与えるか 主なチェック事項 JBIC カ イト ライン対策がなされるか また 排水により当該国の環境基準を満足しない区域が生じないか 1 操業に伴って発生する廃棄物 ( 廃油 廃薬品 ) または石炭灰 排煙脱硫の副生石膏等の廃棄物は当該国の基準に従って適切に処理 処分されるか 1 サイトの土壌は 過去に汚染されたことがないか また 土壌を汚染しない対策がなされるか 1 操業に伴う騒音 振動は当該国の基準を満足するか 2 石炭火力発電所の場合 揚炭設備 貯炭場 運搬設備は騒音を少なくするよう計画されるか 1 大量の地下水汲み上げを行う場合 地盤沈下は生じないか 1 悪臭の発生源はないか 悪臭防止の対策はとられるか 1 サイトは当該国の法律 国際条切な管理が必要である 3約等に定められた自保護区内に立地していないか プロジェクトが保護区に影響を与えないか 影響の概要 廃油等の発生 廃棄物 / 排水等の漏洩 機器からの騒音 既設設備との累積影響 影響 ( 有 無 ) 講じられる予定の対策及び必要となる検討 [ 共通 ] 発電所から発生する廃棄物について処理処分方法の検討が必要である [ 共通 ] 発電所から発生する廃棄物 / 排水について処理処分方法の検討が必要である [ 共通 ] 発電所からの騒音 振動は 当該国の基準とともに IFC/WB の EHS ガイドラインとの適合が必要である 周辺の住居地域への影響について把握する必要がある [ カパール ] 既設発電所との累積影響の検討が必要である - 本プロジェクトは 地下水を汲み上げる計画がないことから 地下水汲み上げが原因となる地盤沈下の発生はない [ カパール ] 軟弱地盤のため 敷地内の既設変電所で地盤沈下が発生しており 適切な地盤対策が必要である 残留アンモニアの発生 発電設備の設置 [ 共通 ] 排煙脱硝装置にアンモニアを使用する場合 適 [ 共通 ] サイト並びその周辺には 保護区はない

157 分類4-23 環境項目 (2) 生態系及び生物相 主なチェック事項 JICA カ イト ライン (a) サイトは原生林 熱帯の自然林 生態学的に重要な生息地 ( 珊瑚礁 マングローブ湿地 干潟等 ) を含むか (b) サイトは当該国の法律 国際条約等で保護が必要とされる貴重種の生息地を含むか (c) 生態系への重大な影響が懸念される場合 生態系への影響を減らす対策はなされるか (d) プロジェクトによる取水 ( 地表水 地下水 ) が 河川等の水域環境に影響を及ぼすか 水生生物等への影響を減らす対策はなされるか (e) 温排水の放流や冷却水の大量の取水 浸出水の排出が周辺水域の生態系に悪影響を与えるか JBIC カ イト ライン 1 プロジェクトは生態学的に重要な森林 ( 原生林 熱帯の自然林を含む ) 及び生息地 ( 珊瑚礁 マングローブ湿地 干潟を含む ) の著しい転換又は著しい劣化を伴わないか 2 プロジェクトが自然生息地 ( 天然林を含む ) の著しい転換又は著しい劣化を伴う場合には 影響の回避が優先的に検討されたか 影響が回避できない場合には 適切な影響の緩和策が作成されるか 5 サイトは当該国の法律 国際条約等で保護が必要とされる貴重種の生息地を含まないか 3 プロジェクトが自然生息地に及ぼす影響の評価や代償措置の検討が 専門的知見に基づき行われるか 4 森林の違法伐採は回避されるか 6 プロジェクトによる取水 ( 地表水 地下水 ) が 河川等の水域環境に影響を及ぼさないか 水生生物等への影響を減らす対策はなされるか 7 温排水の放流や冷却水の大量の取水 浸出水の排出が周辺水域の生態系に悪影響を与えないか 8 その他生態系への重大な影響が懸念される場合 生態系への影響を減らす対策はなさ 影響の概要 発電設備の設置 発電設備の設置 発電設備の設置 冷却水及びプラント用水の取水 温排水の排出 プラント排水の排出 既設設備との累積影響 影響 ( 有 無 ) 講じられる予定の対策及び必要となる検討 [ カパール ] サイト周辺の沿岸には マングローブ生育しており 取放水設備等の工事に伴う影響 緩和策の検討が必要である [ 共通 ] サイトは 貴重な動植物の生息地となっていない [ 共通 ] [ カパール ] では パームヤシ サトウキビが栽培されている [ クアンタン ] では 樹林帯が形成されている 現地調査 文献調査を行い 必要な対策を検討しなければならない [ 共通 ] サイト周辺の河川等の生物について 現地調査 文献調査を行い 必要な対策を検討しなければならない [ 共通 ] 発電所からの排水は 当該国の基準とともに IFC/WB の EHS ガイドラインとの適合が必要である [ カパール ] 既設発電所との累積影響の検討が必要である

158 分類4-24 会環境環境項目 (3) 地形 地質 (1) 住民移転 JICA カ イト ライン - (a) プロジェクトの実施に伴い非自発的住民移転は生じるか 生じる場合は 移転による影響を最小限とする努力がなされるか (b) 移転する住民に対し 移転前に補償 生活再建対策に関する適切な説明が行われるか (c) 住民移転のための調査がなされ 再取得価格による補償 移転後の生活基盤の回復を含む移転計画が立てられるか (d) 補償金の支払いは移転前に行われるか 主なチェック事項 JBIC カ イト ライン れるか 1 プロジェクト - 2.(6) 地盤沈下 参照により サイト及び周辺の地形 地質構造が大規模に改変されないか 1 プロジェクトの実施に伴い非自発的住民移転及び生計手段の喪失は回避されるか 住民移転等が回避できない場合は 影響を最小限とする努力がなされるか 2 住民移転等の影響を受ける者4が 以前の生活水準や収入機会 生社産水準において改善又は回復できるよう 十分な補償及び支援が与えられるか また 補償は 可能な限り再取得価格に基づき事前に行われるか 4 大規模な住民移転等が発生する場合には 住民移転計画 ( 必要に応じ生計回復計画含む ) が作成 公開されているか 住民移転計画には 適合を確認する国際金融機関の基準で求められる内容が含まれているか 5 住民移転計画の作成に当たり 事前に十分な情報が公開されたうえで 被影響者やコ 影響の概要 影響 ( 有 無 ) 講じられる予定の対策及び必要となる検討 用地取得 [ カパール ] 土地所有者は事業者であり 用地取得及び住民移転は生じない ただし アクセス道路の敷設が必要なことから 付帯事業に係る用地取得並びに住民移転の有無について検討する必要がある [ クアンタン ] 開発事業者所有の土地であることから 用地取得が必要であるが 住民移転は生じない ただし 送電線 変電設備の敷設が必要なことから 付帯事業に係る用地取得並びに住民移転の有無について検討する必要がある

159 分類4-25 環境項目 (2) 生活 生計 JICA カ イト ライン (e) 補償方針は文書で策定されているか (f) 移転住民のうち特に女性 子供 老人 貧困層 少数民族 先住民族等の社会的弱者に適切な配慮がなされた計画か (g) 移転住民について移転前の合意は得られるか (h) 住民移転を適切に実施するための体制は整えられるか 十分な実施能力と予算措置が講じられるか (i) 移転による影響のモニタリングが計画されるか (j) 苦情処理の仕組みが構築されているか (a) プロジェクトによる住民の生活への悪影響はあるか 必要な場合は影響を緩和する配慮が行われるか (b) プロジェクトの実施により必要となる社会基盤の 主なチェック事項 JBIC カ イト ライン 影響の概要 影響 ( 有 無 ) 講じられる予定の対策及び必要となる検討 ミュニティーとの協議が 被影響者が理解できる言語と様式による説明とともに行われるか 被影響者のうち特に女性 子供 老人 貧困層 少数民族 先住民族等の社会的弱者に適切な配慮がなされた移転計画であるか 7 被影響者について移転前の合意は得られるか 8 住民移転等を適切に実施するための体制は整えられるか 十分な実施能力と予算措置が講じられるか 9 住民移転等による影響のモニタリングが計画されるか 3 住民移転等に係る対策の立案 実施 モニタリングには 被影響者やコミュニティーの適切な参加が促進されているか また 被影響者やコミュニティーからの苦情に対する処理メカニズムが整備されるか 1 プロジェクトによる住民の生活への悪影響はないか 必要な場合は影響を緩和する配慮が行われるか 5 女性 子供 老人 貧困層 少数民族 先住民族等の社会的弱者に対して 適切な配慮がなされるか 2 プロジェクトの実施により必要となる社会基盤の 作業員の流入等に経済活動の増加 作業員の流入等による社会基盤の [ 共通 ] 地元雇用 地元の企業の活用による地域の活性化と促進が期待される [ 共通 ] 学校 病院等の整備は 今後の計画の中で 詳細

160 分類4-26 環境項目 (3) 文化遺産 (4) 景観 (5) 少数民族 先住民族 主なチェック事項 JICA カ イト ライン JBIC カ イト ライン 影響の概要 整備は十分か ( 病 整備は十分か ( 病 整備 院 学校 道路等 ) 院 学校 道路等 ) 不十分な場合 整 不十分な場合 整 備計画はあるか 備計画はあるか (c) プロジェクト 3 プロジェクト 工事車両に に伴う大型車両等 に伴う大型車両等 よる交通量 の運行によって周 の運行によって周 の増加 辺の道路交通に影 辺の道路交通に影 響はあるか 必要 響はないか 必要 に応じて交通への に応じて交通への 影響を緩和する配 影響を緩和する配 慮が行われるか 慮が行われるか (d) プロジェクト (6) 労働環境 関係車両に 活動に伴う作業員 1 プロジェクト よる交通量 等の流入により に伴う大量の作業 の増加 疾病の発生 (HIV 員等の流入によ 等の感染症を含 り 疾病の発生 む ) の危険はある (HIV 等の感染症 か 必要に応じて を含む ) や治安の 適切な公衆衛生へ 悪化等の安全 衛 の配慮は行われる 生面等における悪 か 影響はないか 必 要に応じて適切な 配慮は行われる か (e) プロジェクト 4 プロジェクト 冷却水及び による取水 ( 地表 による取水 ( 地表 プラント用 水 地下水 ) や温 水 地下水 ) や温 水の取水 排水の放流が 既 排水の放流が 既 温排水の排 存の水利用 水域 存の水利用 水域 出 利用 ( 特に漁業 ) に 利用 ( 特に漁業 ) に プラント排 影響を及ぼすか 影響を及ぼさない 水の排出 か (a) プロジェクト 1 プロジェクト 発電設備の設 により 考古学的 により 考古学的 置 歴史的 文化的 歴史的 文化的 宗教的に貴重な遺 宗教的に貴重な遺 産 史跡等を損な 産 史跡等を損な う恐れはあるか わないか また また 当該国の国 当該国の国内法上 内法上定められた 定められた措置が 措置が考慮される 考慮されるか か (a) 特に配慮すべ 1 特に配慮すべ 発電設備の設 き景観が存在する き景観への悪影響 置 場合 それに対し はないか 必要な 悪影響を及ぼす 対策は取られる か 影響がある場 か 合には必要な対策 は取られるか (a) 当該国の少数 1 プロジェクト 民族 先住民族の による少数民族 文化 生活様式へ 先住民族への影響 の影響を軽減する は回避されるか 配慮がなされてい 回避ができない場 るか 合は 影響を最小 化し 損失を補償 影響 ( 有 無 ) 講じられる予定の対策及び必要となる検討な検討が必要である [ 共通 ] 具体的工事計画の策定後 地元住民等への周知 交通車両の事故対策について検討が必要である [ 共通 ] 関係法令に従い 作業員に対する労働環境 労働衛生に係る対策について検討する必要がある [ 共通 ] 必要な取水量 ( 冷却水 プロセス用水等 ) の検討 漁業の状況の確認 [ 共通 ] サイト並びにその周辺は 考古学的 歴史的 文化的 宗教的に貴重な遺産 史跡等はない [ クアンタン ] サイト北 3 kmにリゾート地があり 景観等への影響について検討する必要がある 用地取得 [ 共通 ] サイト並びにその周辺には 少数民族 先住民は 生活していない

161 分類4-27 環境項目 (6) 労働環境 ( 労働安全を含む ) JICA カ イト ライン (b) 少数民族 先住民族の土地及び資源に関する諸権利は尊重されるか (a) プロジェクトにおいて遵守すべき当該国の労働環境に関する法律が守られるか (b) 労働災害防止に係る安全設備の設置 有害物質の管理等 プロジェクト関係者へのハード面での安全配慮が措置されるか (c) 安全衛生計画の策定や作業員等に対する安全教育 ( 交通安全や公衆衛生を含む ) の実施等 プロジェクト関係者へのソフト面での対応が計 主なチェック事項 JBIC カ イト ライン するための対策が講じられるか 3 先住民族計画が作成 公開されているか 先住民族計画には 適合を確認する国際金融機関の基準で求められる内容が含まれているか 4 先住民族計画の作成に当たり 事前に十分な情報が公開されたうえで 当該少数民族 先住民族との協議が 当該少数民族 先住民族が理解できる言語と様式による説明とともに行われているか 5 少数民族 先住民族からは 十分な情報が提供されたうえでの自由な事前の合意を得られているか 2 プロジェクトが土地及び資源に関する少数民族 先住民族の諸権利に影響を及ぼす場合 当該諸権利が尊重されるか 1 プロジェクト実施者は 当該プロジェクトにおいて遵守すべき当該国の労働環境に係る法令に違反しないか 2 労働災害防止に係る安全設備の設置 有害物質の管理等 プロジェクト関係者へのハード面での安全配慮が措置されるか 3 安全衛生計画の策定や作業員等に対する安全教育 ( 交通安全や公衆衛生を含む ) の実施等 プロジェクト関係者へのソフト面での対応が計 影響の概要 影響 ( 有 無 ) 講じられる予定の対策及び必要となる検討 従業員の雇用 従業員の雇用 従業員の雇用 [ 共通 ] 関係法令に従い 作業員に対する労働環境に係る対策について検討する必要がある [ 共通 ] 関係法令に従い 防火設備 安全に係る保護具等の設置について検討する必要がある [ 共通 ] 安全管理 安全教育 公衆衛生 緊急措置等に係る実施計画の策定について検討する必要がある

162 分類4-28 の他環境項目 (1) 工事中の影響 (2) 事故防止対策 (3) モニタリング JICA カ イト ライン 主なチェック事項 JBIC カ イト ライン 影響の概要 討する必要がある 画 実施されるか 画 実施されるか (d) プロジェクトに関係する警備要員が プロジェクト関係者 地域住民の安全を侵害することのないよう 適切な措置が講じられるか 4 プロジェクトに関係する警備要員が プロジェクト関係者 地域住民の安全を侵害することのないよう 適切な措置が講じられるか 警備要員の採用 (a) 工事中の汚染 1 工事中の汚染 粉じんの発 ( 騒音 振動 濁 ( 騒音 振動 濁 生 水 粉じん 排ガ 水 粉塵 排ガス 騒音の発生 ス 廃棄物等 ) に 廃棄物等 ) に対し 濁水の発生 対して緩和策が用 て緩和策が用意さ 濁水の発生 意されるか れるか 廃棄物 (b) 工事により自 2 工事により自 然環境 ( 生態系 ) 然環境 ( 生態系 ) に悪影響を及ぼす に悪影響を及ぼさ か また 影響に ないか また 影 対する緩和策が用 響に対する緩和策 意されるか が用意されるか (c) 工事により社 3 工事により社 作業員の流 会環境に悪影響を 会環境に悪影響を 入等に経済 及ぼすか また 及ぼさないか ま 活動の増加 5影響に対する緩和た 影響に対する 工事車両に策が用意される緩和策が用意されよる交通量 そか るか の増加 (a) 石炭火力の場合 貯炭所の自然発火を防止するよう計画されるか ( 散水設備等 ) (a) 上記の環境項目のうち 影響が考えられる項目に対して 事業者のモニタリングが計 1 事故防止に対する安全施設の設置 作業者への安全教育等 ソフト ハード両面にわたる適切な事故防止策 軽減策を行う計画があるか また 事故発生時の応急措置についても充分な検討がなされるか 2 石炭火力の場合 貯炭所の自然発火を防止するよう計画されるか ( 散水設備等 ) 1 上記の環境項目のうち 影響が考えられる項目に対して 事業者のモニタリングが計 影響 ( 有 無 ) 講じられる予定の対策及び必要となる検討 [ 共通 ] 警備要員について 警備体制 教育等に係る実施計画の策定について検 [ 共通 ] 工事実施に際し 以下の対策等の検討が必要である 土砂等の輸送でカバー 工事場所及び通行する道路には散水 資材の運搬車両の整備 杭打ち作業は可能な限り昼間に実施 工事開始前に地形や容量等を考慮した排水溝を設置 土地造成 [ 共通 ] 今後 動植物の調査結果を踏まえ 必要に応じて適切な保全対策の検討を行う [ 共通 ] 工事実施に際し 以下の対策等の検討が必要である 地元雇用 地元の企業の活用による地域の活性化と促進 工事計画の周知 交通車両の事故防止対策 [ 共通 ] 環境影響評価実施時に作成するモニタリング計画書に従い 定期的に 排ガス 排水 周辺の大

163 分類4-29 意点環境項目他の環境チェックリストの参照環境チェックリスト使用上の注意 JICA カ イト ライン 主なチェック事項 JBIC カ イト ライン 画 実施されるか 画 実施されるか (b) 当該計画の項目 方法 頻度等はどのように定められているか (c) 事業者のモニタリング体制 ( 組織 人員 機材 予算等とそれらの継続性 ) は確立されるか (d) 事業者から所管官庁等への報告の方法 頻度等は規定されているか (a) 必要な場合には 送変電 配電に係るチェックリストの該当チェック事項も追加して評価すること ( 送変電 配電施設の建設を伴う場合等 ) (b) 必要な場合は 港湾に係るチェックリストの該当チェック事項も追加して評価すること ( 港湾設備の建設を伴う場合等 ) (a) 必要な場合には 越境または地球規模の環境問題への影響も確認する ( 廃棄物の越境処理 酸性雨 オ 2 当該計画の項目 方法 頻度等は適切なものと判断されるか 3 事業者のモニタリング体制 ( 組織 人員 機材 予算等とそれらの継続性 ) は確立されるか 4 事業者から所管官庁等への報告の方法 頻度等は規定されているなければならない か 5 モニタリング結果は 当該プロジェクトに関わるステークホルダーに公開される計画であるか 6 第三者等から環境社会配慮に係る指摘があった場合の問題解決に向けた処理メカニズム等が整備されるか 1 必要な場合には 送変電 配電に係るチェックリストの該当チェック事項も追加して評価すること ( 送変電 配電施設の建設を伴う場合等 ) 62 必要な場合は 留港湾に係るチェックリストの該当チェック事項も追加して評価すること ( 港湾設備の建設を伴う場合等 ) 1 石炭火力発電所の場合 下記の項目についても確認が必要である 石炭の品質基準は定められるか 影響の概要 影響 ( 有 無 ) 講じられる予定の対策及び必要となる検討 気質及び水質 騒音の状況を監視する必要がある - - [ 共通 ] 環境影響評価実施時に 作成する環境モニタリ ング計画書に従い 規制 当局と協議して適切な 項目 方法及び頻度を確 定する必要がある - - [ 共通 ] 環境管理計画書に従い モニタリング体制を確 立する必要がある - - [ 共通 ] 関係機関 (DOE) にモニ タリング結果を報告し - - 付帯設備に係る環境影響評価の検討を行う必要がある [ クアンタン ]: 送変電設備の設置 [ カパール ]: アクセス道路の敷設 [ 共通 ]: 港湾設備 [ 共通 ] 本プロジェクトは 天然ガスを燃料とする火力発電所の建設計画である エネルギー効率等を踏

164 分類4-30 環境項目 主なチェック事項 JICA カ イト ライン JBIC カ イト ライン 影響の概要 ゾン層破壊 地球 発電設備は石炭 温暖化の問題に係 の品質を考慮して る要素が考えられ 計画されるか る場合等 ) 2 必要な場合に は 越境または地 球規模の環境問題 への影響も確認す る ( 廃棄物の越境 処理 酸性雨 オ ゾン層破壊 地球 温暖化の問題に係 る要素が考えられ る場合等 ) ( 出典 : 調査団作成 ) 影響 ( 有 無 ) 講じられる予定の対策及び必要となる検討 まえ 導入技術の妥当性について検証する必要がある

165 (6) モニタリング計画 ( 実施体制 方法等 ) 案の作成 1) モニタリング計画の概要工事中及び供用時において 事業特性 地域特性の観点から適切にモニタリングを実施することが必要である 表 4-9(1)(2) にモニタリング計画案について示す モニタリングにおけるサンプリング及び分析について 関係法令や国際的スタンダードに従い実施する必要がある そして その結果の信頼性を確保するために定期的に関係機関や専門家によるモニタリング結果の検証を行うことが望ましい 表 4-9(1) 工事中のモニタリング項目場所大気質周辺の住居 _ 窒素酸化物 粉じん等騒音 振動敷地境界 周辺の住居 _ 騒音レベル 振動レベル工事排水沈殿池等から排水口 _ph TSS 等水質工事区域周辺の海域 / 河 _ph 水温 DO COD(or BOD) TSS 川油類 塩素 アンモニア性窒素 硝酸性窒素動植物サイト内 その周辺 _ 陸生生物 _ 海生生物 ( マクロベントス プランクトン 魚類 ) 備考 : 頻度は EIA 承認の条件において決定される 表 4-9(2) 供用時のモニタリング 項目場所排ガス煙突 ( 煙道 ) _ 窒素酸化物騒音敷地境界 周辺の住居 _ 騒音レベル温排水放水口 _ 水温 塩素水質 ( 排水処理施設 ) 排水処理施設の排水口 _ph 水温 COD TSS 油類 塩素 アンモニア性窒素 硝酸性窒素水質 ( 周辺海域 / 河川 ) サイト周辺の海域 / 河川 _ph 水温 DO COD(or BOD) TSS 油類 塩素 アンモニア性窒素 硝酸性窒素動植物サイト内 その周辺 _ 陸生生物 _ 海生生物 ( マクロベントス プランクトン 魚類 ) 備考 : 頻度は EIA 承認の条件において決定される ( 出典 : 調査団作成 ) 4-31

166 2) モニタリング実施体制プロジェクト実施者である TNB では 環境コンサルタント会社や関係会社 例えば R-Sync Technical Sdn Bhd(Sendirian Berhad) ERE Consultation Sdn Bhd Alam Sekitar Malaysia Sdn Bhd と連携して発電所での環境モニタリングを実施している 具体的な関係は図 4-11 のとおりであり 本プロジェクトも同様 TNB と環境コンサルタント会社と連携し対応していく予定である モニタリング結果は 定期的に DOE に報告することになっている もし DOE に住民等から苦情が寄せられれば DOE が窓口となり 事業者への指導が行われる 図 4-11 モニタリング実施体制 住民等からの苦情 TNB DOE モニタリング報告書の提出 環境コンサルタント会社 住民, NGO 住民等からの苦情 _ 評価 _ モニタリング _ 報告書作成 _ 緩和策の準備 備考 ; モニタリング報告書は 一般公開されない ( 出典 : 調査団調べ ) 4-32

167 (7) 相手国側の環境社会配慮制度 組織の確認 2 1) マレーシアの環境行政環境汚染の深刻化を背景に 1974 年に環境法が制定され 1975 年 DOE が設置された 2004 年には天然資源環境省 (Ministry of Natural Resources and Environment) として設立され その際 省をまたぐ組織が再編が行われ 土地鉱山監督局 (Department of Director General of Lands and Mines) 森林局 研究機関(Forestry Department Peninsular Malaysia Forest Research Institute Malaysia and Minerals and Geosciences Department Malaysia) DOE 自然公園野生生物局(Department of Wildlife & National Parks Peninsular Malaysia) 等が下部組織となった DOE は全国各地に州事務所と地方事務所を設置し 工場排ガスや排水の監視 大気汚染 水質汚濁等のモニタリング 環境影響評価等の環境行政を担当している 2) マレーシアの環境法規の概要 (a) 環境保護 1974 年 環境法 (Environmental Quality Act) が制定された 環境規制全般を所管するために DOE への権限が規定され 環境規制 環境保全 低減対策等について盛り込まれた その後 環境問題を背景に改正が行わるとともに 大気汚染 水質汚濁等の公害対策 環境影響評価等の個別法への展開のための基礎になっている (b) 大気質環境法に基づき規則 命令によって排出基準が設定されている 固定発生源に係る排出基準 大気環境に係るガイドライン値が次のとおり設定されている 2 (ⅰ)Official Portal Ministry of Natural Resources and Environment -Frequency Asked Question- (ⅱ)URL: (ⅲ)November (Confirmation date) 4-33

168 表 4-10 排ガス基準 項目 単位 CLEAN AIR* IFC guideline Thermal power plant** 二酸化硫黄 mg/nm 3 200(SO 2 ) --- 窒素酸化物 mg/nm (25ppm) at O 2 15% 浮遊粒子状物質 mg/nm 塩素 mg/nm 塩酸 mg/nm 硫化水素 ppm 水銀 mg/nm カドミウム mg/nm 鉛 mg/nm アンチモン mg/nm ヒ素 mg/nm 亜鉛 mg/nm 銅 mg/nm 備考 : 至近更新年は 2015 年 2 月 5 日 * 新設の燃焼過程 ** 燃焼タービン ( 燃料 ; 天然ガス ) ( 出典 : ENVIRONMENTAL QUALITY (CLEAN AIR) REGULATIONS, 1978 PU(A) 280/1978 Environmental Requirements: A Guide For Investors(October 2010)) 項目 オゾン 一酸化炭素 二酸化窒素 二酸化硫黄 PM 浮遊粒子状物質 --- 表 4-11 大気環境基準 MAAQG IFC General EHS Guidelines ppm μg/m 3 (mg/m 3 )* μg/m (1hr) 200(1hr) 0.06(8hr) (1hr) 35(1hr) * 9(8hr) (1hr) 320(1hr) 200(1hr) 0.04(24hr) 10(24hr) 40(1year) 0.19(10min) 500(10min) 500(10min) 0.13(1hr) 350(1hr) 125( 中間目標値 -1)(24hrs) 0.04(24hr) 105(24hr) 150(24hr) 50(1year) 260(24hr) 90(1year) 150( 中間目標値 -1)(1hr) 70( 中間目標値 -1)(1year) --- 鉛 (3month) --- 備考 : kPa ( 出典 : Malaysia ambient air quality guideline; MAAQG Environmental Requirements: A Guide For Investors(October 2010)) [ 関係法令 ] Malaysia ambient air quality guideline; MAAQG ENVIRONMENTAL QUALITY (CLEAN AIR) REGULATIONS, 1978 PU(A) 280/

169 (c) 水質 環境法に基づき規則 命令によって排水基準並びに河川 海域における環境基準が次のとおり設定さ れている 表 4-12(1) 下水排水基準 IFC General EHS ENVIRONMENTAL QUALITY ACT 項目単位 Guidelines A B 下水処理排水 水温 ph 生物化学的酸素要求量 mg/l 化学的酸素要求量 mg/l 浮遊物質量 mg/l 油分 mg/l アンモニア態窒素 5 5 _ 閉鎖性水域 mg/l _ 河川 --- Nitrate Nitrogen _ 閉鎖性水域 _ 河川 mg/l ( 全窒素 ) 全リン mg/l _ 閉鎖性水域備考 :A 区分は集水域の基準であり B 区分はその他の区域 4-35

170 表 4-12(2) 工場排水基準 項目 単位 ENVIRONMENTAL QUALITY ACT IFC guideline A B 火力発電所 水温 C ph 生物化学的酸素要求量 mg/l (20 ) 浮遊物質量 mg/l 水銀 mg/l カドミウム mg/l クロム (VI) mg/l クロム (III) mg/l ( 全クロム ) ヒ素 mg/l シアン mg/l 鉛 mg/l 銅 mg/l マンガン mg/l ニッケル mg/l スズ mg/l 亜鉛 mg/l ホウ素 mg/l 鉄 mg/l 銀 mg/l アルミニウム mg/l セレン mg/l バリウム mg/l フッ素 mg/l ホルマリン mg/l フェノール mg/l 残留塩素 mg/l 硫化物 mg/l 油分 mg/l アンモニア態窒素 mg/l 色 ADMI 備考 :A 区分は集水域の基準であり B 区分はその他の区域 *American Dye Manufactures Institute ( 出典 :ENVIRONMENTAL QUALITY ACT, 1974, the Malaysia Environmental Quality (Sewage and Industrial Effluents) Regulations, 1979, 1999, 2000 Environmental Requirements: A Guide For Investors(October 2010)) 4-36

171 表 4-13 水質環境基準 項目 単位 I IIA IIB III IV V アンモニア態窒素 mg/l >2.7 生物化学的酸素要求量 mg/l >12 化学的酸素要求量 mg/l >100 溶存酸素 mg/l <3.0 <1.0 ph 色 TCU 電気伝導率 umhos/cm 1,000 1, , 浮遊物 - n n n 臭い - n n n 塩分 % 味 - n n n 全溶存物質量 mg/l 500 1, , 全浮遊物質量 mg/l 温度 --- Normal Normal 濁度 NTU 糞便性大腸菌群数 counts/100ml 通常レベル / 検出されず通常レベル / 検出されず通常レベル / 検出されず通常レベル / 検出されず 5,000 (20,000)a 5,000 (20,000)a 大腸菌群数 counts/100ml 100 5,000 5,000 50,000 50,000 >50,000 Levels 1 (Leaf) 鉄 mg/l above 5(Others) IV マンガン 硝酸塩 リン 油分 mg/l mg/l mg/l mg/l 通常レベル / 検出されず ; N 0.04; N N Levels above IV Levels above IV Levels above IV Levels above IV 備考 : n : 視覚的あるいは感覚的に確認されず a : 最大値を超えず N : 視覚的に確認されず Class Uses Class I : 自然環境保全. 上水 1 級 特別 処理を必要としない水質 水産 1 級 特に敏感な水生生物 Class IIA : 上水 II 級 従来の処理が必要な水質 水産 II 級 敏感な水生生物 Class IIB : レクリエーション Class III : 上水 III 級 かなりの処理が必要な水質 水産 III 級 共通 経済的数値 耐性のある種 畜産用飲料水 Class IV : 灌漑用 Class V : 上記以外 ( 出典 :ENVIRONMENTAL QUALITY ACT, 1974, the Malaysia Environmental Quality (Sewage and Industrial Effluents) Regulations, 1979, 1999, 2000 Environmental Requirements: A Guide For Investors(October 2010)) 4-37

172 表 4-14 海域における水質環境基準 Parameter Unit E 水温 通常の水温通常の水温通常の水温通常の水温 溶存酸素 mg/l >80 飽和状態 全浮遊物質量 mg/l (10%)* (10%) (10%) (30%) 油分 mg/l 水銀 μg/l カドミウム μg/l クロム (VI) μg/l 銅 μg/l ヒ素 μg/l 3 20(3)** 50 20(3) 鉛 μg/l 亜鉛 μg/l シアン μg/l アンモニア μg/l 亜硝酸塩 μg/l , 硝酸塩 μg/l , リン酸塩 μg/l フェノール μg/l トリブチルスズ μg/l 糞便性大腸菌群数 counts/100ml 多環芳香族炭化水素 (PAHs) mg/l 備考 : Class 1 : 保護 保全区域 海洋公園 Class 2 マリンライフ 水産 サンゴ礁 レクリエーション マリンカルチャー Class 3 港湾 油ガス田 水産 Class E マングローブ 河口部 r * 季節ごとの平均値と比べ ( ) 内の数値 ( 割合 ) の範囲内であれば その値は低いと判断される **( ) 内の数値は 人が食する海藻が生育する海域に適用する ( 出典 :ENVIRONMENTAL QUALITY ACT, 1974, the Malaysia Environmental Quality (Sewage and Industrial Effluents) Regulations, 1979, 1999, 2000 Environmental Requirements: A Guide For Investors(October 2010)) [ 関係法令 ] Malaysia Environmental Quality (Sewage and Industrial Effluents) Regulations, 1979, 1999, Marine Water Quality Criteria and Standard; NWQSM (d) 騒音 振動 Planning Guidelines for Environmental Noise Limits and Control ( DOE) Vibration Limits and Control in the Environment ( DOE) によれば 周辺の土地利用の状況に応じて騒音レベルが そして構造物の種類によって振動レベルが次のとおり設定されている 4-38

173 土地利用 騒音に配慮が必要な施設 ( 学校 病院 ) 等がある場所 静穏な住居地市街地 公共の場 レクリエーション都市部 開発区域 ( 住居 - 商業地区 ) 表 4-15 騒音レベル Schedule1 DOE Noise guideline ( 工業地区 ) 単位 dba 昼間 7:00-22:00 夜間 22:00-7: IFC General EHS Guidelines 昼間 7:00-22:00 55 ( 住居地域 教育等の配慮すべき区域 ) 単位 dba 夜間 22:00-7:00 45 ( 住居地域 教育等の配慮すべき区域 ) 商業地区 工業地区 ( 商業 / 工業地区 )( 商業 / 工業地区 ) 備考 : 既存の騒音レベル (L Aeq ) がガイドライン値を超過しているときは次式に従う L Aeq = L ( ただし騒音に配慮すべき場所での夜間は L Aeq = L ) とする ( 出典 : Environmental Noise Limits and control(doe)) 表 4-16 振動レベル 項目 地盤上の振動速度 [SCHEDULE 1] 定常状態における振動に対する推奨値 安全 3 以下 ( Hz) 注意レベル 3 to 5 ( Hz) 小さなダメージあり 5 to 30 ( Hz) 大きなダメージあり 30 以上 ( Hz) [SCHEDULE 2] 短期間における振動に対する推奨値 工場建屋等 40 (all frequencies) 商業建屋等 15 (all frequencies) 上記以外で部分的に考慮すべき場所がある場合住居等の建物 ) 8 (all frequencies) [SCHEDULE 3] 衝撃的な振動に対する推奨値工場建屋等 40 (< 40 Hz) 50 (> 40 Hz) 商業建屋等 20 (< 40 Hz) 50 (> 40 Hz) 上記以外で部分的に考慮すべき場所がある場合 12 (< 40 Hz) 50 (> 40 Hz) ( 出典 : Vibration Limits and Control in the Environment Environmental (DOE)) [ 関係法令 ] Planning Guidelines for Environmental Noise Limits and Control(DOE) Vibration Limits and Control in the Environment(DOE) (e) 自然保護マレーシアでは 野生生物の保存 保護を目的に規則 例外規定 罰則等を定めた Wildlife Conservation Act 2010(WCA) International Trade in Endangered Species Act 2008 文化遺産 史跡等については その保全 保存を目的とした National Heritage Act 2005 が制定されている 4-39

174 [ 関係法令 ] Wildlife Conservation Act 2010(WCA) International Trade in Endangered Species Act 2008 National Heritage Act 2005 (f) 有害物質および廃棄物管理環境法の下 Environmental Quality (Scheduled Wastes) Regulations 2005 が制定され 廃棄 管理等について規定している Solid Waste and Public Cleansing Management Cooperation Act 2007 また住宅地方政府省 (Ministry of Housing and Local Government) が所管となってアクションプランを策定し 廃棄物の排出抑制 再利用 リサイクルを推進している [ 関係法令 ] Environmental Quality (Scheduled Wastes) Regulations 2005 Solid Waste and Public Cleansing Management Cooperation Act 2007 (g) 労働環境 ( 労働安全 ) 包括的な労働法として Employment Act, 1955 が制定されており 労働関係法令には以下の法令が制定されている [ 関係法令 ] Workman s Compensation Act, 1952 Employment Act, 1955 Trade Union Act, 1959 Industrial Relation Act, 1967 Factories and Machineries Act, 1967 Employees Social Security Act, 1969 Occupational, Safety and Health Act,

175 3) プロジェクトの実施に必要な相手国の EIA( 環境アセスメント ) 概要とその対応策等 (a) マレーシアの EIA( 環境アセスメント ) 概要マレーシアにおける環境影響評価 (EIA) は 環境基準法 (Environmental Quality Act 1974) に基づき 環境影響評価に関する環境命令 (Environmental Quality (Prescribed Activities) (Environmental Impact Assessment) Order 2015) に規定されている この規定 (First Schedule) では送電 / 発電 3を含む 21 の事業について 予備的な EIA 報告書 (Preliminary Environmental Impact Assessment Report) を作成し 天然資源環境省 (Ministry of Natural Resources and Environment) の DOE に提出しなければならない 予備的な EIA 報告書 (First Schedule) は DOE の技術委員会 (technical committee) で審査される 技術委員会は EIA 委員会 他の政府機関の専門官 NGO が加わる 審査期間は 最短で 4-5 週間程度である ここで環境への影響が重大と判断された事業 ** は さらに詳細な EIA 報告書 ( Detailed Environmental Impact Assessment Report; DEIA) を作成し DOE の承認を得る必要がある ** 以下の発電事業が該当する - 出力 10MW 以上の化石燃料 ( 石炭火力 ) を燃料とする汽力発電 - 原子力発電 DOE 長官を議長とする特別審査委員会によって審査が行われる 特別審査委員会は DEIA レポートに対するコメント 付帯条件等について提言を行う 審査期間は 最短で 8-12 週間程度である また EIA 手続きにおいてプロジェクトに関する理解を得るために関係者への説明を行うことを求めている DEIA レポートの承認の有効期間 ( 承認から 2 年間 ) が設定されるため 承認日から有効期間内にプロジェクトの開始が出来なければ 承認は無効となる 2015 年 10 月に DOE が公表した事例をみると Preliminary assessment の段階で計画変更があった場合 DOE 州事務所は 変更を考慮した申請をし直すことを求めている EIA 承認後に計画変更があった場合 申請のし直し あるいは 変更を踏まえた再承認等 DOE 州事務所によってその状況に応じた決定がされる EIA 手続きの概要は 図 4-12 のとおりである 3 以下の発電事業が該当する - 出力 10MW 以上の化石燃料 ( 石炭火力 ) を燃料とする汽力発電 - コンバインドサイクル発電 - 環境配慮が必要な場所での送電線の敷設 4-41

176 EIA 承認後の手続きは プロジェクト実施者は 工事中並びに供用時におけるモニタリングを実施し モニタリング結果は 定期的に DOE に報告することになっている もし住民から苦情が寄せられれば DOE が窓口となり 事業者への指導が行われることになる 図 4-12 EIA 手続きの概要 事前 EIA の手続き ( 出典 :Environmental guideline Handbook) 詳細 EIA の手続き [ 関係法令 ] Environmental Quality Act, 1974 Environmental Quality (Prescribed Activities) (Environmental Impact Assessment) Order 2015 (b) EIA への対応策マレーシアでは 法律に従い EIA 手続きが定められており この手続きに従い本プロジェクトの EIA を実施する必要がある 実施に当たっては JICA 等の環境社会配慮ガイドラインとの整合性にも留意しつつ できる限り早い段階から情報公開 住民説明により 関係者 住民の意見を十分取り入れ 設計 工事及び運転に反映させることが重要である 4-42

177 第 5 章財務的 経済的実行可能性

178

179 (1) 事業費の積算 1) 建設費 ( 設計 調達 工事 Engineering, Procurement and Construction:EPC) 発電プラントのコストは東電設計が所有している SAOPP( 米国の EPRI 社が開発したコンバインドサイ クルプラントの性能計算等のソフト ) により試算した その結果を表 5-1 及び表 5-2 に示す 表 5-1 クラスコンバインドサイクル発電所の建設費 ( クアンタン ) プロジェクト コンポーネント クアンタン 総コスト (JPY 百万 ) 外貨部分 (JPY 百万 ) 内訳 内貨部分 (JPY 百万 ) A. 建設費用発電プラント機材 92, , ,661.0 土木費 4, , ガス供給システム 変電所 4, , 送電線 1, ,465.0 用地取得 5, ,371.5 小計 108, , ,389.5 B. コンサルティング 1, , C. 予備費 ( フィジカル )*1 10, , ,539.0 D. 建中金利 * E. 合計 121, , ,321.6 注 ) *1 予備費 ( フィジカル ) は建設費用について 10% 計上した *2 建中金利は JICA 円借款による資金調達の場合を想定 ( 出典 : 調査団作成 ) 5-1

180 表 5-2 コンバインドサイクル発電所の建設費 ( カパール ) プロジェクト コンポーネント カパール 総コスト (JPY 百万 ) 外貨部分 (JPY 百万 ) 内訳 内貨部分 (JPY 百万 ) A. 建設費用発電プラント機材 92, , ,661.0 土木費 16, , ,857.0 ガス供給システム 変電所 5, , 送電線 用地取得 造成 *1 4, ,330.7 小計 118, , ,585.7 B. コンサルティング 1, , C. 予備費 ( フィジカル )*2 11, , ,458.6 D. 建中金利 * E. 合計 133, , ,437.4 注 ) *1 カパールの発電所建設予定地の用地については TNB 所有地を利用する予定であるが 財務分析上の都合上 クアンタン取得予定土地と同単価で用地取得費をしたものとして計算 ( 単価 RM15.6/ 平方フィート 用地面積 50 エーカー ) 加えて 用地造成費として RM130 百万を計上 *2 予備費 ( フィジカル ) は 建設費用について 10% 計上した *3 建中金利は JICA 円借款による資金調達の場合を想定 ( 出典 : 調査団作成 ) 5-2

181 (2) 予備的な財務経済分析の概要 1) 分析の枠組み 本プロジェクトの財務的実行可能性および経済的実行可能性を 最終プロジェクト候補地として選定 されているクアンタンおよびカパールでの事業で分析 評価した その際の各候補地のプロジェクトコスト プロジェクトの基本的枠組み および主要な前提条件は前出表 5-1 および表 5-2 下表 5-3 および表 5-4 の通りである 表 5-3 プロジェクトの基本的な枠組み 発電出力 1,229.8MW*1 プラント ファクター 50%*2 発電所建設着工 着工 :2018 年 1 月 発電所運営開始 2021 年 1 月 プロジェクト期間 ( 発電所運営開始 ~) 21 年 ( 出典 : 調査団作成 ) ( 注 ) *1 発電出力は所内率 ( 発電所内動力分 ) を除いた量 *2.TNB からは 本プラントの特性を考慮して 50% のプラント ファクターを適用する様に要求されている ガス複合火力発電の場合 負荷変動への追従性が優れている性質に鑑み 電力需要の動向に応じたミドルロード運転が求められる 5-3

182 発電 項目 表 5-4 主要前提条件要約 前提発電出力 ( 所内率除く ):1229.8MW プラント ファクター :50% 年間発電量 :5,386.5GWh プロジェクト実施期間 2018 年 ~2041 年 *1 事業運営期間 21 年 (2021 年 ~2041 年 ) 資金ソース本試算では JICA 円借款による資金調達を前提に試算 JICA 円借款資金 : 約 85% エクイティ : 約 15% なお その他のファイナンスツールとして JICA 海外投融資資金及び JBIC バイヤーズ クレジットも検討 ( 第 9 章参照 ) 資金条件金利 :LIBOR+20bp*2 返済期間 :25 年 ( 含む据置期間 7 年 ) 減価償却 期間 :21 年 ( 発電機器等 ) 方法 : 定額 ターミナル バリュー *3 EPC 価格 ( 発電プラント機材 土木費用 ガス供給システム 変電 所 ) の 50% 相当の金額 建中金利 :LIBOR+20bp*2 収入 売電単価 :34.73sen/kWh*4 燃料費 RM42.24/GJ(HHV)*5 予備費 ( フィジカル ) 10% 諸税 法人所得税 :24.% 物品 サービス税 :6% 輸入関税 :0% 輸入に課される物品 サービス税 :6% O&M 費用 プラント費用の 2% 為替レート RM1=JPY26.41*6 ( 出典 : 調査団作成 ) ( 注 ) * 年に土地収用予定 *2. LIBOR=0.113%(2016/1/15 時点 ) を適用 *3. ターミナル バリューとは 事業期間が延長された場合に将来 Off-taker から受け取る電力代金を事業期間終了時における現在価値に割り引いた金額 本分析では Terminal Value は EPC 価格の 50% 相当と想定 *4.. 当該売電単価は 2012 年にマレーシア電力委員会が事業権入札実施した Prai ガス複合発電事業において 最終的に TNB が PPA(Power Purchase Agreement: 売電契約 ) を締結した際の Levelized Electricity Cost (LEC) がマレーシアにおけるベンチマークタリフになっていることから当該数値を適用 * 年にマレーシア電力委員会が作成したガス複合発電事業に係る入札図書で規定されている燃料単価を適用 * 年 1 月 15 日の為替レート適用 2) 予備的な財務的評価分析 (a) 評価の方法論と基本的変数財務的評価はプロジェクトの財務的実施可能性の分析により実施される つまり 財務的評価は 一定期間 一定レベルの財務的効果性の下で プロジェクト主体が運営維持を実行するための財務的持続性を有することを証明することを目的としている 一般的には 財務的実施可能性は プロジェクトからの財務的収入 ( 財務的便益 ) とプロジェクトに対する投資 ( 財務的費用 ) が同一となる内部収益率 ( 財務的内部収益率 (FIRR)) により測定される 算出された FIRR がプロジェクトの総資本費用調達に係る加重平均金利 (WACC) を上回っている場合には プロジェクトは財務的実施可能性があると判断される 5-4

183 (b) 財務的費用 a) 燃料費用 2012 年にマレーシア電力委員会が作成したガス複合電力発電所建設事業に係る入札図書で規定されて いる燃料単価を適用した (42.24RM/GJ) 本プロジェクトの年間発電量に対応する年間燃料消費量は 32,364,400 GJ とした b) 運営維持費用 本プロジェクトの運営維持管理費用をプラント費用の 2% とした c) 諸税 物品 サービス税 (GST) がプロジェクトコストとして財務分析に参入された なお 発電プラント輸入に係る関税は非課税である (c) 財務収入本プロジェクトの財務収入は電力売上収入である 電力販売単価は 2012 年にマレーシア電力委員会が事業権入札を実施した Prai ガス複合発電事業において 最終的に TNB が PPA(Power Purchase Agreement: 売電契約 ) を締結した際の Levelized Electricity Cost(34.73sen/kWH) を適用した Levelized Electricity Cost とは 事業期間を通して TNB が支払う EPC 価格 燃料代 O&M コスト等のライフサイクルコストを電力量あたりの単価に換算したものである また 21 年目に EPC 価格 ( 発電プラント機材 土木費 ガス供給システム 変電所 ) の 2 分の 1 を Terminal Value として想定した (d) 加重平均資本費用 (Weighted Average Cost of Capital (WACC) 本プロジェクトに係る WACC は以下の計算式で算定された () WACC = [re x E/(D + E)] + [rd for ODA x (1-T) x D for ODA/(D + E)] re: 資本コスト = 15.1% p.a.*1 rd for ODA : ODA 融資利率 = 0.31% p.a E/(D + E): エクイティ比率 *2 = 約 15% D for ODA / (D + E): ODA 融資比率 *2 = 約 85% 法人所得税 = 24% 注 )*1. 資本コストは 2015 年 TNB の税引前 ROE を適用 :2 融資比率 エクイティ比率は事業サイトで若干異なる ( クアンタン : 融資 84.6% エクイティ 15.4% カパール: 融資 84.9% エクイティ 15.1% 各プロジェクトサイトにおける本プロジェクトの WACC は表 5-5 のとおりである 表 5-5 候補地における WACC WACC クアンタン 2.52% カパール 2.48% ( 出典 : 調査団作成 ) 5-5

184 (e) FIRR 本プロジェクトの FIRR は前述の前提条件を基に算定される 本プロジェクトにおける 2 候補地での FIRR 算定結果は下表 5-6 の通りである クアンタンおよびカパールにおける本プロジェクト実施にお ける FIRR はいずれも WACC を上回っており財務的実施可能性を有する 表 候補地における FIRR FIRR クアンタン 3.54% カパール 2.99% ( 出典 : 調査団作成 ) 5-6

185 Financial Internal Rate of Return (FIRR) ( クアンタン ) ( 単位 : 百万円 ) Fiscal Year Financial Cost (A) Financial Capital O&M & Fuel Total Cost Benefit (B) (B) - (A) , , , , , , , , , , , , ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41, ,109 58,188 Total 122, ,335 1,003,099 1,088,253 85,153 FIRR 3.535% Financial Internal Rate of Return (FIRR) ( カパール ) ( 単位 : 百万円 ) Fiscal Year Financial Cost (A) Financial Capital O&M & Fuel Total Cost Benefit (B) (B) - (A) , , , , , , , , , , , , ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41,921 49,407 7, ,921 41, ,419 64,499 Total 135, ,335 1,016,023 1,094,563 78,539 FIRR 2.992% 5-7

186 (f) エクイティ IRR FIRR がプロジェクト全体の財務的実施可能性を表すのに対し エクイティ IRR はプロジェクトへの出 資に帰属する収益率を表すものである 本プロジェクトの資本構成では 費用総額の約 15% を TNB から のエクイティで調達することを想定していることから 出資者としての TNB に帰属する収益率である クアンタンおよびカパールでの事業実施におけるエクイティ IRR は それぞれ 12.88% および 10.86% で ある 表 5-7 エクイティ IRR エクイティ IRR クアンタン 12.88% カパール 10.86% ( 出典 : 調査団作成 ) (g) 感度分析感度分析は プロジェクトの前提としている項目の数値が変化した場合の FIRR に対するインパク トを評価するものである 本調査では 前検討において FIRR が高い値を有するクアンタンでの事 業において 以下の 4 可変項目について それぞれの変化の FIRR に対するインパクトを検討した : ア )EPC コスト イ ) プラント ファクター ウ ) 燃料単価 エ ) 売電単価 下表 5-8 のように 各 項目で 5% 上下することにより FIRR はハードル レート (WACC) を上下するなど 本プロジェクトは 可変項目に敏感に反応する 特に 売電単価や燃料単価の変化に FIRR はより敏感に反応する 例え ば 売電単価が 10% 上昇すると FIRR は 7.49% に増加する 逆に燃料単価が 10% 上昇した場合には FIRR は -1.20% に減少する 5-8

187 表 5-8 感度分析の結果 ( クアンタン ) 項目 変動幅 FIRR (%) FIRR のベースケースとの違い エクイティ IRR (%) ベースケース 3.54% 12.88% EPC コスト + 10% 2.84% % +5% 3.18% % -5% 3.92% % -10% 4.34% % プラント ファクター 50% 60% 5.10% % 50% 55% 4.33% % 50% 45% 2.71% % 50% 40% 1.85% % 燃料単価 +10% 0.23% % +5% 1.73% % -5% 5.21% % -10% 6.79% % 売電単価 +10% 7.49% % +5% 5.59% % -5% 1.29% % -10% 1.20% % ( 出典 : 調査団作成 ) 3) 予備的な経済的評価分析 (a) 評価方法と基本的変数経済的分析は同様に投資便益の評価を行うものであるが 経済的分析の概念は財務的分析のそれとは異なる 財務的分析がプロジェクト主体の財務収益性を測定するのに対し 経済的分析は国民経済に対する効果を測定するものである その国民経済に対するプロジェクトの効果は 経済的財務収益率 (EIRR) により表象される そのため 経済的分析では 当該プロジェクトが実施された場合 (with-project) と実施されなかった場合 (without-project) を比較することにより プロジェクトの真正な経済便益を把握する方法が採られる その際には 算出された財務価値は経済価値に変換された上で プロジェクトの経済効果が経済的内部収益率 (EIRR) によって評価される 計算された EIRR が社会的割引率 ( 長期国債のイールドにて表象される ) を上回っていることが確認される時 当該プロジェクトは経済的に実施可能であると結論される (b) 財務便益 / 財務費用の経済便益 / 経済費用への変換本プロジェクトの経済分析実施にあたり 次の費用および便益について財務分析で利用した数字から経済費用 経済便益へ転換を実施した a) 経済的費用経済的費用については 財務分析で利用したプロジェクトコストから土地収用費用及び租税賦課を控除したものを利用した 5-9

188 b) 経済的便益経済的便益については 当該プロジェクトが整備された場合 (With-project) と整備されなかった場合 (Without-project) の差異により測定される 発電事業の場合には 代替エネルギー源を使用する発電プラントを代替プラントと見做して それと等量の発電を行う新規発電所の経済便益を測定する方法を適用した そこで 本検討では 以下のように場合分けした With-project: 当該発電所が完成した場合 Without-project: 本プロジェクトによる発電所は喫緊の電力需要増加に対応するためのものではなく 安定的な電力を供給するためのミドルロード電源を増加させるためのものである TNB 全体の平均発電単価が比較的変動していることから 本分析では 2014 年と 2015 年における TNB 全体の発電ユニットの平均費用 (35sen/kWh) による同量の発電量 ( 金額ベース ) を経済便益とした (c) EIRR 前述の前提条件を基にした算定された本プロジェクト EIRR は下表 5-9 の通りである 経済的評価では 経済便益と経済費用が等価となる割引率 ( つまり経済的内部収益率 ) を求め マ 国における社会的割引率である 4.5%( マ 国政府発行の 20 年物国債の 2016 年 2 月現在のイールド ) と比較することで 本プロジェクトの経済性を評価した 算出された両サイトにおける EIRR は いずれも社会的割引率を上回っている これは 本事業は いずれのサイトで実施されても マ 国経済に十分な経済的便益をもたらすことを示している 表 候補地における EIRR EIRR クアンタン 5.63% カパール 4.57% ( 出典 : 調査団作成 ) 5-10

189 Economic Rate of Return( クアンタン ) ( 単位 : 百万円 ) Fiscal Year Economic Cost (A) Economic Capital O&M& Fuel Total Cost Benefit (B) (B) - (A) , , , , , , , , , ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41, ,489 59,568 Total 116, , ,429 1,117, ,802 EIRR 5.627% Economic Rate of Return( カパール ) ( 百万円 ) Fiscal Year Economic Cost (A) Economic Capital O&M& Fuel Total Cost Benefit (B) (B) - (A) , , , , , , , , , , , , ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41,921 50,787 8, ,921 41, ,799 65,878 Total 128, ,335 1,009,084 1,123, ,457 EIRR 4.572% 5-11

190 (d) 感度分析感度分析は プロジェクトの前提としている項目の数値が変化した場合の EIRR に対するインパクト を評価するものである 本調査では 前検討で EIRR がより高い値を示したクアンタンでの事業におい て 以下の 4 項目について それぞれの変化に対する EIRR へのインパクトを検討した : ア )EPC コスト イ ) プラント ファクター ウ ) 燃料単価 燃料単価の変化が EIRR に対して最も影響を及ぼしている 燃料単価が 10% 上昇した場合 EIRR は 1.84% に減少するが 逆に 10% 低下した場合には EIRR は 8.96% に上昇する また プラント ファク ターの変化も EIRR に対して相当の影響を及ぼしている 例えば プラント ファクターが 50% から 60% に上昇した場合には EIRR は 7.46% に上昇する なお 本プロジェクトにより整備されるプラントは その特性を考慮して電力需要の動向に応じたミドルロード運転が求められているため 本分析ではプラント ファクターを 50% に設定している しかし 今後経済動向改善にともなって電力需要増加が見込まれていることから 実際の稼働率はそれ以上になる可能性が高い 5-12

191 表 5-10 感度分析の結果 項目 変動幅 EIRR (%) ベースケース 5.63% ベースケースとの違い EPC コスト +10% 4.78% % 5,19% % 6.10% % 6.62% 0.99 プラント ファクター 50% 60% 7.46% % 55% 6.57% % 45% 4.67% % 40% 3.67% 1.96 燃料単価 +10% 1.84% % 3.80% % 7.34% % 8.96% 3.33 ( 出典 : 調査団作成 ) 4) 総合評価上述のように FIRR 及び EIRR を財務的 経済的実施可能性の指標とした財務経済分析の結果から 現在の分析前提条件下では クアンタンおよびカパールの両サイトにおける本事業は 財務的 経済的実施可能性を有することが判明した また クアンタンでの事業は カパールでの事業と比較して FIRR EIRR エクイティ FIRR のいずれの指標も高い値を示した 尚 実際に本事業を実施する場合 電力販売価格はリンギット建てとなる一方で 事業資金の返済は外貨建てであるため TNB は事業資金返済に係る為替変動リスクを負うが 上述の財務経済分析では当該リスク及び為替ヘッジコストを見込んでいないため 本事業の経済性は事業者が為替変動リスクをどう判断するか若しくはヘッジするかによって変動する 5-13

192

193 第 6 章 プロジェクトの実施スケジュール

194

195 図 6-1 にプロジェクト実施スケジュールを示す 図 6-1 プロジェクト実施スケジュール Duration (month) METI Pre-F/S 5 Request for Yen Loan from EPU (GoM) to EoJ (GoJ) Study in GOJ and Confirmation with 5 NGO F/S by JICA 6 EIA 12 Appraisal 2 Pledge E/N and L/A Selection of Consultant Preparation of Bidding Documents (under TNB funding) 10 Selection of Contractor 6 Construction of Combined Cycle Power Plant 36 ( 出典 : 調査団作成 ) 1) 事業化可能性調査円借款案件として具体的にデベロップさせるには JICA 協力準備調査を行うことが一般的である 約半年を掛けて プラント性能の最適化を図るとともに 総事業費の洗い直しや経済性の再評価 環境社会影響評価を行うに足りる詳細情報の入手 資料の作成等も行う 2) 環境社会影響評価本プロジェクトは 円借款による実現を想定している JICA を始めとする国際金融機関は 融資を実行するに当たり 環境社会配慮ガイドラインを設定しており それに即した影響評価を行う必要が有る 実施期間は約 1 年程度が必要と想定している 3) コントラクターの選定 L/A (Loan Agreement) 締結後 国際競争入札にてコントラクターを選定する 従来は L/A 締結後に選定されたコンサルタントが基本設計 購入仕様書の作成 入札書評価及びコントラクターとの契約までを実施するが 工期短縮のため この業務は TNB の自己資金により実施する 4) EPC 開始から操業運転までコンバインドサイクル発電所の工期は 通常 蒸気タービンの納期に左右される ここでは最近の実績を踏まえてコンバインドサイクル発電所の建設スケジュールとして 3 年とした 6-1

196

197 第 7 章 相手国側実施機関の実施能力

198

199 (1) 相手国実施機関の概要 1) 実施機関の財務状況 a) 財務概要 TNB は 1949 年に マ 国で唯一の発電から配電まで実施する電力会社として設立され マレー半島の送電 配電ネットワークをほぼ独占運営している 2015 年 8 月時点で マ 国が直接 間接的に約 68.9% の株式を保有する また サバ州で電力供給をするサバ電力は TNB の子会社である 2015 年 8 月末時点の総発電能力 10,818MW 総資産 47.4 億リンギット 2015 年度総収入 433 億リンギット 純利益 61 億リンギット 2014 年 1 月に マ 国の電力委員会の規制方法が従来の Rate-of-Return base (RORB) から Incentive-Based-Regulation(IBR) に変更となった これに伴い 従来のアドホックでの電力料金改訂から 6 か月毎に燃料費や買電費用等の変動費の変化に対応して電力料金を消費者に転嫁可能となる Imbalance Cost Pass-Through (ICPT) が導入された これにより TNB は燃料価格変動リスクに対する一部ヘッジが可能となるほか キャッシュフローの平準化が期待される 一方 電力料金が必ずしもコストの変動に連動して常に見直されるわけではなく 且つ直近の新規発電所建設案件では ベンチマークタリフ (2012 年に採択された案件で認められた電力料金 (34.74 リンギット /100kw) が設定され 当該タリフを超える電力買取価格は認められない方針であったので 出来るだけ低コストでの新規発電所案件の形成が求められている なお 発電燃料構成は 2011 年の天然ガス不足による価格高騰以降 燃料構成の多様化を促進させ 高価格の天然ガス LNG 石油系燃料の構成を下げ 石炭の割合を上昇させて燃料費用の低下に努めている 7-1

200 表 7-1 TNB の財務概況データ ( 単位 : 百万リンギット ) 貸借対照表サマリー ( 連結 ) 流動資産 16, , , ,795.0 固定資産 72, , , ,340.0 流動負債 9, , , ,592.2 短期借入金 1, , , ,985.8 固定負債 42, , ,075.9 借入金 21, , , ,713.1 総資本 36, , , ,466.9 損益計算書サマリー ( 連結 ) 総収入 35, , , ,286.8 業務費用 ( 減価償却前 ) 27, , , ,189.2 燃料費 + 買電費用 20, , , ,836.4 業務収入 支払利息 税金 減価償却前利益 (EBITDA) 9, , , ,921.8 減価償却費 4, , , ,294.2 支払利息 税金 為替差損益前利益 5, , , ,953.0 金融費用 税引前 為替差損益前利益 (EBIT) 4, , , ,953.0 為替差益 ( 損 ) 税引前当期利益 4, , , ,133.7 当期純利益 3, , , ,118.4 主要指標ユニット当たり発電費用 (sen/kwh) 総資本利益率 (ROA)(%) EBITDA マージン (%) ( 出典 :TNB, Annual Report 各年版 ) b) 収益性下表 7-2 は収益性の程度を測定する関連指標である EBITA マージンや売上原価率は改善されているが これは主に石油関連燃料による発電量の割合が減っていることや石炭価格の低下の影響により発電コストが低下していることが要因となっている 前述のように電力料金の設定が発電コストを反映した方法に変更になったことにより キャッシュフロー及び収入の平準化に貢献すると考えられる なお 2015 年後半からリンギッドが大きく減価しており (2015 年 11 月末時点で対米ドル年初来 22% の下落 ) リンギッドベースでは石炭価格は上昇傾向に転じているが 前述の新たな電力料金設定方法により その収益に及ぼす影響は緩和されると考えられる 表 7-2 収益性関連指標 総資本利益率 (ROA)(%) 自己資本利益率 (ROE)(%) EBITA マージン 売上原価率 ( 燃料費 )(%) ( 出典 :TNB, Annual Report 各年版より算出 ) 1 EBITDA は支払利息 税金 減価償却費控除前の利益であり 企業が本業から生み出す税引前のキャッシュフローを意味するものなので EBITDA マージンは EBITDA を売上に除すことにより売上に対する収益性を見ようとする指標である 7-2

201 表 7-3 燃料別発電量の割合 天然ガス LNG 43.9% 47.3% 54.5% 49.4% 石炭 45.6% 44.4% 39.8% 45.6% 石油関連燃料 4.8% 4.0% 1.9% 0.5% 水力 5.6% 4.2% 3.8% 4.5% 全体 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% ( 出典 :TNB, Annual Report 各年版 ) c) 成長性成長性を示す指標はいずれも何らかの理由により毎年の変動幅が大きい 但し EBITDA の増加率が 2013 年度以降上昇傾向にあるが これは発電費用を含む業務費用が横ばいであることに起因している 2015 年度の総収入は 1.2% の伸びに留まっているが これは 2014 年から導入された ICPT による電力料金設定の下で 最近の資源安による TMB の発電コスト低下を受け 2014 年 1 月から 2015 年 5 月の間の ICPT リベートとして約 18 億リンギットが徴求されたものである 表 7-4 成長性関連指標 総収入増加率 (%) EBITDA 増加率 (%) 税引前利益増加率 (%) 電力販売量増加率 (%) ( 出典 :TNB, Annual Report 各年版より算出 ) d) 流動性 債務返済能力下表 7-5 では TNB の流動性及び返済能力を測定する指標を示した 流動比率は低下傾向にはあるももの1を大きく上回っており特に問題は認められない 債務返済能力に関しても 自己資本比率は上昇傾向にある他 インタレストカバレッジレシオ 2 も 10 倍以上で かつ改善傾向にあることから支払利息返済資金は十分に確保されていると言える 表 7-5 流動性 返済能力関連指標 流動比率 ネット負債資本倍率 (%) 自己資本比率 (%) 固定長期適合率 インタレスト カバレッジ比率 ( 出典 :TNB, Annual Report 各年版より算出 ) e) 信用格付の状況 TNB は国際的格付機関である Standard & Poors (S&P) Moody s investor Service から信用格付を取得している他 マ 国の現地格付機関である RAM Ratings Service Berhad( RAM) 及び Malaysia Rating Corporation Berhad(MARC) からも格付けを取得している 格付状況は下表 7-6 の通りであり 現地格付では 2 社とも最上級の AAA 格付を取得している また 国際格付でも Moody s からは マ 国政府のソブリン債務と同レベルの格付である A3(A-に相当 ) を取得しており 信用格付からの観点 2 インタレストカバレッジレシオは 企業の借入金支払利息能力を測る指標であり 金融費用に対する事業利益の比率である 一般に当該比率が高いほど利息の支払能力は高いと判断される 7-3

202 では債務返済に大きな問題はないと言える 表 7-6 信用格付取得状況 格付 見通し 国際格付 S&P BBB+ 安定的 Moody s A3 ポジティブ 現地格付 RAM AAA 安定的 MARC AAA 安定的 ( 出典 :TNB ウェブサイト 年 2 月現在 ) f) TNB が実施機関となった円借款事業における実施能力の評価 TNB はこれまでも JICA 円借款による事業を実施してきている 90 年代以降の JICA 円借款による事業は表 7-7 の通りであり 既にこれらの事業では事後評価が実施されている 評価結果では TNB の実施機関としての運営 維持管理体制 運営 維持管理の技術 運営維持管理の財務 運営 維持管理状況等 ( 円借款事後評価の持続性に係る評価 ) について問題は認められていない 表 7-7 TNB が実施機関となった円借款案件 開始年度 案件名 持続性に係る評価 ( 事後評価報告書からの抜粋 ) 1999 ポートディクソン火力発電所リハビリ事業 (2) 事業の維持管理は体制 技術 財務状況ともに問題なく 本事業によって発現した効果の持続性は高い 1998 ポートディクソン火力発電所 TNB の組織体制 技術力 財務面での観点から持続性は高い リハビリ事業 1993 ポートクラン火力発電所 (3-2) TNB の技術 体制 財務 維持管理状況で特段の問題はない 1992 ポートクラン火力発電所 (3) TNB の技術 体制 財務 維持管理状況で特段の問題はない ( 出典 :JICA 円借款事後評価報告書 ) 7-4

203 (2) 相手国におけるプロジェクト実施のための組織体制 TNB の組織を図 7-1 に示す 社長の下に Core Business 部門として 発電 送変電 配電の 3 部門が Non-Core Business 部門として 財務 企画 人事 情報通信 調達 投資管理の 6 部門が組織されている 今回の調査における窓口である Energy Venture Division は Core-Business から独立した部門であり 国内外の市場拡大 効率的かつタイムリーな電力供給と収益性の高い非規制電力関連事業を成長させる ことを目指すとされている 図 7-1 TNB 組織図 ( 出典 :TNB Annual Report 2014) 7-5

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