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1 石綿則に基づく事前調査の アスベスト分析マニュアル 1.20 版 平成 30 年 3 月 厚生労働省

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3 はじめに 本 アスベスト分析マニュアル (1.20 版 ) は 平成 29 年度の厚生労働省委託事業における アスベスト分析マニュアル 改訂に係る検討会で 同マニュアル 1.10 版ないし 1.11 版の改訂について検討し 作成したものである 今般の改訂では 主に 1 本マニュアルを使用するに当たって の追加 2 電子顕微鏡による定性分析方法の追加 3 試料採取時の情報伝達と責任分担に関する記載 などを行った 建築物又は工作物の解体 破砕等の作業を行うときは 作業者のアスベストばく露を防止するために様々な措置を定めている石綿障害予防規則に基づき 当該建築物等について事前にアスベスト等の使用の有無を調査しなければならない 本マニュアルは その事前調査においてアスベストの有無を適切に分析するために 分析者に詳しい情報とノウハウを伝えることを目的に策定したものである 建材製品中のアスベスト含有率測定方法として JIS A 1481 が定められており 当該規格は現在 4 部構成となっている 第 1 部は 建材等のバルク材中のアスベストを主に光学顕微鏡で定性分析する方法を示した ISO :2012 の翻訳版である 第 2 部と第 3 部は 従来の JIS A 1481 の定性分析部分と定量分析部分に対応しており 2014 年の改訂で 第 2 部は光学顕微鏡と X 線回折分析を用いて行う定性分析 第 3 部は X 線回折による定量分析となった 第 4 部は ISO :2014 の翻訳版で 主に試料処理方法と光学顕微鏡を用いた定量分析である こうした中で本マニュアルでは 第 3 章 第 4 章ではアスベストを 0.1% を超えて含有するか否かについて定性的に判定する方法を 第 5 章 第 6 章はアスベストの含有量 ( 含有率 ) を定量的に求める方法を記載してある これらの方法は JIS A 1481 規格群を基にして 石綿障害予防規則第 3 条の事前調査の目的に合致するように 新たな知見等に基づいて追加 修正したものである また 第 7 章において 定性分析における光学顕微鏡ではアスベストの確認が難しいときに推奨されている電子顕微鏡によるアスベスト繊維の同定方法を記載している そのため 内容等 JIS A 1481 規格群と異なる部分もある点に留意して使用する必要がある 今後 さらに分析精度等が担保できる新たな方法が確立された場合には改訂 追加していく予定である また アスベストの規制基準が1% の頃に分析した結果や アスベストとしてクリソタイル アモサイト クロシドライトの3 種類のみを分析した結果に基づいて解体 改修工事を行ない アスベスト漏洩等の事故が発生している場合が見られる 現在は 0.1% を超えて含有する物がアスベスト含有物として規制の対象とされている また アスベストは上記の3 種類のみではなく アンソフィライト トレモライトおよびアクチノラ

4 イトのアスベストも含まれることは以前から変わりはない 分析者および分析依頼者はこれらに関しても本マニュアルの留意点を参考に注意を払っていただきたい なお 本マニュアルでは 石綿則の事前調査における分析方方のほか 天然鉱物中の石綿含有率の分析方法の検討結果報告書 の内容も掲載している また 用語について 第 1 章においては法令上の表現と合わせて 石綿 とし 第 2 章以降 ( ただし第 8 章は除く ) においては 本マニュアルが JIS A 1481 の流れを汲むものであることから JIS の表現と合わせて アスベスト で統一することとした [ 主な改訂履歴 ] 1.00 版平成 25 年度厚生労働省委託事業 適切な石綿含有建材の分析の実施支援事業 における検討委員会により策定 1.03 版平成 26 年度厚生労働省委託事業 建築物の解体事業時の石綿漏洩防止対策に係る周知啓発事業 における検討会により改訂 1.04 版平成 27 年度厚生労働省委託事業 建築物の解体事業時の石綿漏洩防止対策等に係る周知啓発事業 における検討会により改訂 1.10 版平成 28 年度厚生労働省委託事業 石綿分析機関能力向上事業 における検討会により改訂 1.11 版平成 28 年度厚生労働省委託事業 石綿分析機関能力向上事業 における検討会により改訂 (1.10 版の未反映部分の反映 ) 1.12 版所要の修正 1.20 版平成 29 年度厚生労働省委託事業 建築物の解体時の石綿漏洩防止対策に係る周知啓発事業 における検討会により改訂

5 厚生労働省委託事業 平成 29 年度建築物の解体時の石綿漏洩防止対策等に係る周知啓発事業 平成 29 年度 アスベスト分析マニュアル 改訂に係る検討会委員名簿 委員所属 委員長 神山宣彦 前東洋大学経済学部教授 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 フェロー研究員 委員小沢絢子株式会社 EFAラボラトリーズ 委員角元利彦公益社団法人日本作業環境測定協会 委員小坂浩元兵庫県立健康環境科学研究センター 委員小西淑人一般社団法人日本繊維状物質研究協会 委員高田礼子聖マリアンナ医科大学 委員富田雅行一般社団法人 JATI 協会 委員中村憲司独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 委員名古屋俊士早稲田大学名誉教授 委員山崎淳司早稲田大学理工学術院創造理工学部環境資源工学科 臨時委員舟田南海株式会社分析センター オフ サ ーハ ー橋本花那子経済産業省産業技術環境局国際標準課 オフ サ ーハ ー廣田由紀環境省水 大気環境局大気環境課 委員は五十音順 委託側担当者 小林弦太厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課

6 平成 29 年度アスベスト分析マニュアル改訂に係る検討会運営事務局 局員所属 統括脇谷壮太朗日本水処理工業株式会社常務取締役 統括代理 ( 事務 ) 統括代理 ( 技術 ) 山形聡志同上営業部主任 中嶋正旨同上検査課室長 事務担当山下重光同上営業部部長 事務担当中村麻由同上品質管理部課長代理 事務担当小俣実沙子同上品質管理部 技術担当 ( 分析 ) 吉本雅哉同上検査課課長 事務担当莵原昌博同上総務部部長技術担当東羊一同上営業部主任 ( 採取 ) 上記の所属先などはいずれも平成 30 年 3 月 1 日現在のものである

7 本マニュアルを使用するにあたって 建材中のアスベスト分析に当たっては 光学顕微鏡の調整をはじめとした分析機器の基本操作に習熟が不可欠であるのはもちろんのこと 分析方法の原理や鉱物に関する基礎的な知識を習得し 分析機器の長所や短所を理解しなければ 適切に分析を行うことは困難である 本マニュアルでは これら基本操作や基礎知識等の記載は省略しており そうした操作 知識等を習得した分析者が参照することを前提として記載している 加えて 建材中のアスベスト分析は微量分析であり 難易度の高いものであるが 訓練を重ねることにより分析の精度は高めることができる また 難易度の高い分析であることから その精度を担保するためには 単に本マニュアルの記載内容を理解すれば足りるわけではなく 分析者は 自らに訓練の機会を設け 他の分析者 事例からも率先して学習し 絶えず研鑽を積む必要があることを認識しなければならない さらに 対象となる分析検体は多種多様であり 分析に当たっては 建材の組成や各構成物質に関する知識をはじめ 分析対象の建材の施工状況と暴露環境 そこから推定される反応と劣化の履歴等 多方面の知識と判断を要する 分析者は こうした必要な知識 技能の下 分析検体等の各種状況 条件に応じて 本マニュアルの各章に示す方法から最高の分析精度を担保できる方法を適切に選択すべきである また 分析者は 本マニュアルの記載内容を杓子定規に捉えてしまうことで 不合理なケースに対して機械的に適用 不適用を判断してはならない むしろ 本マニュアルの内容を以て思考停止に陥らず 分析の原理等を理解した上で分析精度が高まるよう柔軟に分析手順に工夫を加える取り組みが推奨される

8 目次 はじめに本マニュアルを使用するにあたって第 1 章. 建築物の解体 改修作業に係る石綿の事前調査方法 石綿障害予防規則の事前調査 石綿建材の種類と発じん性に影響する因子 事前調査の流れ 書面調査 発注者への確認項目 発注者や関係者からの情報収集 現地調査 石綿含有建材の概要 吹付け材 耐火被覆板 断熱材 保温材 成形板その他 建築用仕上塗材 分析調査の試料採取 試料採取前の基礎的留意事項 建築物 工作物 船舶等 試料採取における注意事項 試料採取にあたっての共通注意事項 石綿を含む可能性のあるものの種別による試料採取の注意事項 吹付け材 耐火被覆材 断熱材 保温材 成形板 建築用仕上塗材 試料採取時の情報伝達と責任分担の明確化について 第 2 章. 厚生労働省が定める石綿則に基づく建材分析等 我が国で規定されてきた石綿含有率の分析方法... 37

9 2.2. 分析マニュアルの概要 第 3 章. 定性分析方法 1( 偏光顕微鏡法 ) 分析の概要 分析の手順 試料調製 肉眼および実体顕微鏡による予備観察 前処理 実体顕微鏡観察 偏光顕微鏡用標本の作製 偏光顕微鏡による同定 アスベスト質量分率の推定 分析に影響を与える要素 加熱を受けたアスベスト 溶脱クリソタイル 間違いやすい繊維 不検出確定の手順 第 4 章. 定性分析方法 2(X 線回析分析法 位相差分散顕微鏡法 ) X 線回折分析法 位相差分散顕微鏡法を併用した建材製品中のアスベストの定性分析方法の概要 定性分析用試料の調製 位相差 分散顕微鏡による定性分析用の一次分析試料の調製 X 線回折分析方法による定性分析用の二次分析試料の調製 X 線回折分析方法による定性分析方法 X 線回折分析法による定性分析の基本的な解析手順 石綿 6 種類及び関連鉱物の X 線回折線データファイル (Cu-Kα) 一次分析試料による位相差 分散顕微鏡による定性分析方法 標本の作製 位相差 分散顕微鏡による定性分析方法 吹付けバーミキュライトを対象とした定性分析方法 塩化カリウム処理試料の調製 吹付けバーミキュライト中のアスベスト含有の有無の分析方法 アスベスト含有の有無の判定方法 第 5 章. 定量分析方法 1(X 線回折分析法 ) X 線回折分析法による建材製品中の石綿の定量分析方法の概要 定量用二次分析試料および定量用三次分析試料の作製方法 定量用二次分析試料の作製方法... 96

10 定量用三次分析試料の作製方法 けい酸カルシウム保温材の前処理方法 基底標準吸収補正法による X 線回折定量分析方法 検量線の作成 定量分析手順 アスベスト含有率の算出 検量線の検出下限及び定量下限 第 6 章. 定量分析方法 2( 偏光顕微鏡法 ) 分析の概要 分析の手順 重量濃縮 灰化による有機物の除去 酸処理と沈降 残渣中のアスベストの定量手順 ポイントカウント用試料の準備 ポイントカウントのための偏光顕微鏡の調整 ポイントカウントの基準 ポイントカウント結果の計算 第 7 章. 定性分析方法 3( 電子顕微鏡法 ) SEM の概要 定性分析に用いる SEM の必要条件 観察標本の作製 SEM-A 法の作製方法 SEM-B 法の作製方法 SEM-C 法の作製方法 試料作製における共通留意点 観察と同定分析 繊維形態観察と EDX 分析のポイント 第 8 章. 天然鉱物中の石綿含有率の分析について 背景 基本的考え方 結論 天然鉱物中の石綿含有率の分析方法 適用範囲 試料の採取 調製方法 天然鉱物中の石綿含有率の分析方法

11 タルク中の石綿含有率の分析方法 セピオライト中の石綿含有率の分析方法 バーミキュライト中の石綿含有率の分析方法 天然ブルーサイト中の石綿含有率の分析方法 第 9 章. 分析結果の信頼性を確保するための分析機関としての望ましい組織体制 管理上の要求事項 組織体制 分析結果の精度管理 文書 分析試料の管理 技術的要求事項 分析者の技量 設備 施設および環境条件 アスベスト標準試料等試薬の所有状況 分析に必要な設備の所有状況 管理 その他 参考資料アスベストアナライザー ( マイクロフェーザー ) による定性分析方法 143 標準試料データ 146 標準試料データ ( 既存データ ) 242 石綿障害予防規則第 3 条第 2 項に基づく事前調査における石綿分析結果報告書様式 260 通達関連 293

12 第 1 章. 建築物の解体 改修作業に係る石綿の事前調査方法 1.1. 石綿障害予防規則の事前調査石綿は 肺がんや中皮腫など重度の健康障害を及ぼす有害性を有するものである ILO ( 国際労働機関 ) では 石綿の使用における安全に関する条約 ( 第 162 号 ) が採択されており 我が国でも同条約を批准しているなど 国際的にも 石綿による労働者の健康障害の防止が強く求められている 石綿障害予防規則 ( 以下 石綿則 という ) 第 3 条第 1 項では 事業者は 建築物又は工作物 ( 以下 建築物等 という ) の解体 破砕等の作業 ( 以下 解体等の作業 という ) を行うときは 石綿等による労働者の健康障害を防止するため あらかじめ 当該建築物等について 石綿等の使用の有無を目視 設計図書等 ( 以下 設計図書等 という ) により調査することが規定されている また 石綿則第 3 条第 2 項に 事業者は 同条第 1 項の調査を行ったにもかかわらず 当該建築物等について 石綿等の使用の有無が明らかとならなかったときは 石綿等の使用の有無を分析により調査することが規定されている なお 石綿等の使用の有無を分析により調査するとは 石綿等がその重量の 0.1% を超えて含有するか否かについて分析を行うものである 石綿とは 繊維状を呈しているアクチノライト アモサイト アンソフィライト クリソタイル クロシドライト及びトレモライト ( 以下 クリソタイル等 という ) をいう また 石綿含有物とは 石綿をその重量の 0.1% を超えて含有する製剤その他の物のことをいい 塊状の岩石は含まない ただし 塊状の岩石であっても 例えば蛇紋岩系左官用モルタル混和材のように これを微細に粉砕することにより繊維状を呈するクリソタイル等が発生し その含有率が微細に粉砕された岩石の重量の 0.1% を超えた場合は 製造等の禁止の対象となる ( 平成 18 年 8 月 11 日付け基発第 号 ) 繊維状のものを規制対象としているのは 石綿等による労働者の健康障害を防止する観点からであり ここで繊維状とは アスペクト比 ( 長さ / 幅 )3 以上の粒子をいう 本マニュアルでは各分析方法を紹介するが 石綿障害予防規則における石綿等については 上記のものを指し いずれの分析方法であっても最終的には上記に定義される規制対象の石綿の含有の有無を確認する必要がある 以降 全章において 特段の注意が無い限り石綿とは上記のものを示すものとする 1.2. 石綿建材の種類と発じん性に影響する因子建築物等の解体等の作業については 石綿粉じんの発じん性等を考慮して 表 1.1 に示す3つのレベルに分類し そのレベルにおける作業内容に応じた適切な対策を講じる必要がある 前述の 石綿粉じんの発じん性等 であるが 密度 ( かさ密度も含む ) 1

13 の軽重 石綿の種類 石綿含有率 等の因子と 施工後の劣化状況 に関係する因子がある 後者の劣化は 施工時の状態 ( 現場施工かどうか ) 石綿以外の原料の種類 使用部位の環境状況 ( 温度 湿度 気流等 ) 等に依存している このように これらの因子が複雑に絡み合っているので 同じレベルに該当する石綿含有材でも 当然 発じん性が異なることがある 例えば レベル 2 に該当する石綿含有材でも レベル 1 に相当する場合もあり また レベル 3 に該当する石綿含有材でも レベル 2 に相当する場合もある さらに これらの因子以外に 建築物等の解体等における作業方法 ( 手ばらしか 機械による解体か等 ) によっても 発じん性の度合いが異なってくる 以上により 表 1.1 のレベル分類はあくまでも目安と考え 建築物の解体等の計画 実行段階においては 石綿則の規定 石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアルを基に それ以外の因子も十分に考慮して措置することが肝要である 2

14 表 1.1 レベル分類 レベル分類レベル 1 レベル 2 レベル 3 対応石綿含有材 石綿含有吹付け材 石綿含有耐火被覆材 その他石綿含有成形板 1 吹付け石綿 1 耐火被覆板 1 石綿スレート 2 石綿含有吹付けロックウール ( 乾式 ) 2 けい酸カルシウム板第二種 2 けい酸カルシウム板第一種 3 湿式石綿吹付け材 ( 石綿含有吹付け 石綿含有断熱材 3 住宅屋根用化粧スレート ロックウール ( 湿式 )) 1 屋根用折版裏石綿断熱材 4 押出成形セメント板 4 石綿含有吹付けバーミキュライト 2 煙突用石綿断熱材 5 窯業系サイディング 5 石綿含有吹付けパーライト 石綿含有保温材 6 パルプセメント板 1 石綿保温材 7 スラグせっこう板 2 けいそう土保温材 8 フロー材 3 パーライト保温材 9 ロックウール吸音天井板 4 石綿含有けい酸カルシウム 10 石膏板 ( ボード ) 保温材 11 石綿円筒 5 不定形保温材 12 ビニル床タイル ( 水練り保温材 ) 13 その他石綿含有成形板 発じん性著しく高い高い比較的低い 具体的な使用箇所 1 建築基準法の耐火建築物 (3 階建以 1 ボイラ本体およびその配管 1 建築物の天井 壁 床等に の例 上の鉄骨構造の建築物 床面積の合計 空調ダクト等の保温材として 石綿含有成形板 ビニル床タ が 200m2 以上の鉄骨構造の建築物等 ) 石綿保温材 石綿含有けい酸カ イル等を張り付けている などの鉄骨 はり 柱等に 石綿とセ ルシウム保温材等を張り付け 2 屋根材として石綿スレート メントの合剤を吹付けて所定の被膜を ている 等を用いている 形成させ 耐火被膜用として使われて 2 建築物の柱 はり 壁等に耐 いる 昭和 38 年頃から昭和 50 年初頭 火被覆材として 石綿耐火被覆 までの建築物に多い 特に柱 エレベ 板 石綿含有けい酸カルシウム ーター周りでは 昭和 63 年頃まで 石 板第二種を張り付けている 綿含有吹付け材が使用されている場合 3 断熱材として 屋根用折版裏 がある 断熱材 煙突用断熱材を使用し 2 ビルの機械室 ボイラ室等の天井 ている 壁またはビル以外の建築物 ( 体育館 講堂 温泉の建物 工場 学校等 ) の 天井 壁に 石綿とセメントの合剤を 吹付けて所定の被膜を形成させ 吸音 結露防止 ( 断熱用 ) として使われてい る 昭和 31 年頃から昭和 50 年初頭ま での建築物が多い 3

15 参考 1 石綿条約について日本は ILO( 国際労働機関 ) で制定された石綿条約 ( 石綿の使用における安全に関する条約 ) を 2005 年 8 月に批准している ( 現在 35 か国が条約国 未批准の国は 米国 英国 中国など ) この条約は 業務上の石綿へのばく露による健康に対する危険を防止し 及び管理し並びにこの危険から労働者を保護するためにとるべき措置については 国内法令において定めることが求められている また この条約での石綿等の定義は次のようになっているが 石綿含有物の定義はなされていないため 有害性が非常に高いことを踏まえ 日本では 0.1 重量 % を超えて含有している製剤その他の物を法規の対象にしている (1) 石綿 とは 蛇紋石族の造岩鉱物に属する繊維状のけい酸塩鉱物 すなわち クリソタイル ( 白石綿 ) 及び角閃石 ( せんせき ) 族の造岩鉱物に属する繊維状のけい酸塩鉱物 すなわち アクチノライト アモサイト ( 茶石綿又はカミングトン グリューネル閃石 ( せんせき )) アンソフィライト クロシドライト( 青石綿 ) トレモライト又はこれらの一若しくは二以上を含有する混合物をいう (2) 吸入されやすい石綿繊維 とは 直径 3μm 未満の石綿繊維であって長さと直径との比率が 3 対 1 を超えるもの ( アスペクト比 3 を超えるもの ) をいうものとし 測定上 長さが 5μm を超える繊維のみを考慮に入れる (3) 石綿へのばく露 とは 石綿から生ずるか 又は石綿を含有する鉱物 材料若しくは製品から生ずるかを問わず 浮遊して吸入されやすい石綿繊維又は石綿粉じんに作業中にさらされることをいう 参考 2 レベル分類によるおおよその石綿則の適用の可否についてレベル分類によるおおよその石綿則の適用の有無を表 1.2 に示すが レベルにより異なるのは 届出 隔離の措置 ( 隔離措置に代えて作業者以外の立入り禁止措置の場合もあり ) 呼吸用保護具の種類の限定のみである それら以外の措置は すべてのレベルで適用される 4

16 表 1.2 レベル別の おおよその石綿則の適用一覧表 レベル 1 レベル 2 レベル 3. 石綿含有吹付け材保温材 耐火被覆材 断熱材 1) 成形板 耐火 準 その他 封込 囲 封込 囲 除去 除去 封込 囲 封込 囲 除去 耐火建築 の除去 込 ( 切断 込 ( 切断 ( 切断等 ( 切断等 込 ( 切断 込 ( 切断 物の除去 等あり ) 等なし ) あり ) なし ) 等あり ) 等あり ) 注文者の配慮 事前調査 作業計画 14 日前届出 事前届出 特別教育 作業主任者 の選任 保護具着用 2) 湿潤化 隔離の措置 3) 作業者以外 立入禁止 関係者以外 立入禁止 ( 表 1.2 は厚生労働省パンフレット 平成 26 年 6 月 1 日から改正石綿障害予防規則が施行されます を改変したもの ) 1) 保温材 耐火被覆材 断熱材のうち 著しい粉じん発散のおそれがある場合が対象であり 密度等を考慮し 具体的には表 1.1 のものが対象となっている それ以外は レベル 3 の区分となる 2) 隔離の措置を行う場合は 集じん 排気装置を設置し 稼働中の集じん 排気装置からの粉じん漏洩の有無を確認する等 5

17 1.3. 事前調査の流れ石綿障害予防規則の事前調査は 書面調査 現地調査の順に実施し 書面調査と現地調査の結果が異なる場合は現地調査結果を優先する 現地調査で石綿含有が明らかにならなかった場合は当該建材試料を採取し 分析を行う 本マニュアルはその分析方法を示したものである なお 事前調査のうち これら書面調査や現地調査は 1 建築物石綿含有建材調査者 2 石綿作業主任者技能講習修了者のうち石綿等の除去等の作業の経験を有する者 3 日本アスベスト調査診断協会に登録された者が行うことが望ましい 使用建築材料には 各種あり それらの施工部位も異なるので レベル1の吹付け材 レベル2の耐火被覆材 断熱材 保温材 レベル3のその他成形板についての石綿有無の書面調査の方法を以下に示す なお 各レベルの書面調査の際に目安として 石綿含有製品の製造期間を示している場合があるが 施工期間における石綿の有無は この製造期間と物流期間の関係を勘案して判断すべきである ( 石綿なしの証明は 1 分析するか または2 現地調査により裏面情報をメーカー証明等と照合することが必要 ) 図 1.1 事前調査の流れ ( 概略 ) 6

18 1.4. 書面調査ここでは 書面調査を行わない分析者向けに概要を解説する 書面調査を行う者は 石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル ( 厚生労働省 ) 等を参照し 詳細を確認すること 書面調査は既存の情報からできる限りの情報を得るとともに 現地調査の計画を立てるために行う 改修履歴をはじめ記録がすべて文書で残っているとは限らず 書面調査はあくまで現地調査の前段として行うものである そのため 平成 18 年 9 月の石綿禁止以降に着工した建築物等を除き 現地調査をせず 書面調査だけで事前調査結果を確定させてはならない 発注者への確認項目 1 発注者の保有する資料の有無の確認設計図書 確認申請書 竣工図 改修工事関連図書類 解体は設備関連の書類 2 調査目的の確認石綿則ではレベル1~レベル3の改修 解体工事を目的とした調査を対象としている この他 建物共用のための維持保全管理のため 資産除去債務の計上のためなどもある 3 調査の対象 範囲ならびに箇所の確認調査後の改修 解体工事に資する範囲とし その対象 範囲等を確認する 4 調査作業時の湿潤 破壊の可否及び復旧等の確認調査時の粉じん飛散抑制剤の散布 壁の破壊 点検口のない天井の一部破壊等の可否及び 破壊調査後の復旧方法を確認する 5 調査スケジュール等の確認調査工程 現地調査日程 当日の立会者等の確認 及び報告書記載内容や提出期限の確認する 発注者や関係者からの情報収集 1 発注者等関係者に対するヒアリング 設計図書類 過去の調査記録等の確認( 新築施工年 増築 改築 改修の有無と施工年 建物用途変更の有無 ) ヒアリング対象 依頼者 立会者 施設管理者 出入り工事会社( 必要に応じて含過去 ) 建物使用現況確認 入室調査の可否などの確認 ( テナントエリア セキュリティーエリアなど ) 2 設計図書等の書面調査 関係資料から得られる情報の整理 建物各部屋毎に使用建築材料 施工部位の石綿含有建材の使用状況 ( 可能性 ) を把握 現地調査に向けた資料を作成する 7

19 < 留意点 > 設計図書は現況を現していない場合があるので 次の点に留意する 設計時の情報が記載されている または同等品という表現もあり 建材が確定できないことあり ( 設計変更や代替品使用など ) 施工時の機能向上などの目的で記載されていない材料が使われている 調査依頼 調査実施計画 書面調査 ヒアリング 設計図書等 建築物 / 工作物の種別 使用建築材料 ( 建材の種類を確認 ) 施工年 ( 建材の製造年の確認 ) 施行部位 ( 天井 壁 柱 梁等 ) 含有 非含有の判定 石綿含有 石綿含有不明 石綿非含有 現地調査 該当建材の有無 該当建材以外の石綿含有建材の有無 ( 各部屋ごとに床 壁 天井等を調査 設計図書等と相違を確認 新たな建材を確認したら再診断 ) 施工状況 裏面確認等 石綿建材とみなす JIS 不燃番号等確認 ( 成形板等の裏面に情報あり ) 試料採取 分析 報告書作成 報告書提出 図 1.2 事前調査の基本的な流れ 8

20 1.5. 現地調査ここでは 現地調査を行わない分析者向けに概要を解説する 現地調査を行う者は 石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル ( 厚生労働省 ) 等を参照し 詳細を確認すること 現地調査は 次の点に留意して実施する (1) 設計図書に記載された室内用途に変更がないかを確認する (2) 設計図書に記載されている形状のもの ( ボード状 円筒状 吹付け ) が同一か否かを確認する (3) 改修の記録がない場合もあるので 記録のない部分も改修されているかもしれないという視点で確認する (4) 目視判断で含有 / 不含有判定する場合は 調査日 判断理由 ( 証拠 ) 判断者を明確とし その旨記録保存し 報告書に当該内容を記載する (5) 各建材の石綿の有無に関する判断は 概略として表 1.3 の通りである 表 1.3 各建材の石綿の有無に関する判断の概略石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル [2.20 版 ]( 厚生労働省 )( 抜粋 ) レベル1の吹付け材は目視での石綿含有 無含有の判断は出来ない 過去の記録等で 石綿あり とされている場合を除き サンプリングを行い 分析を行う 石綿禁止以前に着工した建築物については 当該吹付け材の施工時期のみをもって石綿等が使用されていないという判定を行わないこと レベル2の保温材 断熱材等についても レベル1の吹付け材と同様である レベル3の成形板等は 裏面等に書かれている情報( メーカー名 不燃認定番号 JIS 番号等 ロット番号 商品名 製造工場名 a マークなど ) を確認し 石綿の有無に関する情報を読み取る 読み取った情報をもとに 石綿 ( アスベスト ) 含有建材データベース やメーカー情報と照合し 石綿 あり と判断したり メーカーの無含有証明書により石綿 なし の判断を行う レベル2,3 建材は 石綿含有建材と みなす ことも認められている 発注者の意向や施工されている場所 数量など必要に応じて みなし を行う (5) 現地調査の記録 写真や図面による調査結果の記録 ( または 各部屋毎のスケッチの実施 ) 書面調査 現地調査により石綿含有建材なしが明らかになった場合も調査方法や調査場所を記録する (6) 現地調査の調査結果 石綿含有の有無が不明な場合において 石綿なしを証明する際には 分析のために試料採取を行うことになるが これに関する試料採取の留意点については 1.7 に述べる 9

21 1.6. 石綿含有建材の概要石綿障害予防規則の事前調査は 石綿の製造 使用等の禁止 (2006( 平成 18 年 )9 月 ) 以降に着工した建築物 工作物 ( 又はその部分 ) を除き 石綿含有なしの証明を行うことから始まる 以下の ~ に例示するような石綿を含有する可能性のある建材について 石綿無しを証明するには 1 分析を行うか 2メーカー証明等と照合することが必要がある 例えば 石綿の製造 使用等の禁止 (2006( 平成 18 年 )9 月 ) 以前の製品記載情報や設計図書等の 石綿なし ( 例 :A マークがないこと ) は 石綿なしの証明にはならない また 過去の分析結果については 6 種類すべての石綿を対象に 0.1% 超か否かを判定しているかを確認することが必要である 図 1.3 石綿の労働安全衛生法令における規制の経過 吹付け材吹付け材は 鉄骨の耐火被覆 吸音 結露防止等の目的で使用される 石綿含有吹付け材には 吹付け石綿 石綿含有吹付けロックウール ( 乾式 ) 湿式石綿含有吹付け材 ( 石綿含有吹付けロックウール ( 湿式 )) 石綿含有吹付けバーミキュライト 石綿含有吹付けパーライトがある 10

22 a) 施工時期吹付け石綿 石綿含有吹付けロッウール ( 乾式 )( 建設省通則指定 業界団体に与えた指定 ) 湿式石綿含有吹付け材( 石綿含有吹付けロックウール ( 湿式 ))( 建設省個別指定 会社単位に与えた指定 ) の使用期間の目安を図 1.4 に示すが 図 1.4 中の備考欄を留意すること なお 石綿含有吹付けバーミキュライト 石綿含有吹付けパーライトについては 製造時期等が不明であり 意図的に石綿を使用している可能性があることに留意する b) 施工部位吹付け材の施工部位は 天井 壁 鉄骨 柱 梁等であるので 設計図書等を参照する際は これらの施工部位にどのような素材 ( 吹付けか否か ) を使用しているか確認する c) 石綿含有吹付け材の商品名表 1.4~ 表 1.8 に示す商品名には石綿が含まれているので 設計図書等により確認することになるが 各表下の注に留意すること 図 1.4 石綿含有吹付け材の石綿含有率 使用されていたおおむねの期間および判定 11

23 なお表 1.1~1.12 に記載の年号等に関する情報は 国土交通省 / 経済産業省の石綿 ( アスベスト ) 含有建材データベース ( で確認可能な範囲のもの (2015 年 3 月 6 日現在 ) である 今後情報が更新される場合があるため 事前調査等にあたっては 正確さを期するため当該データベースを都度参照されたい 表 1.4 吹付け石綿商品名 1) ブロベスト 6) コーベックスA 2) オパベスト 7) ヘイワレックス 3) サーモテックスA 8) スターレックス 4) トムレックス 9) ベリーコート 5) リンペット 10) 防湿モルベルト注 ) 上記商品は 1975 年 ( 昭和 50 年 ) 以前に施工中止されており 石綿含有率は 60~70 重量 % である なお 上記 4) トムレックスは吹付けを意味することで使用する場合があるので 1975 年 ( 昭和 50 年 ) 以降の設計図書等に この商品名がある場合は 後述の二次調査以降の調査により 石綿含有の有無の確認が必要である 表 1.5 石綿含有吹付けロックウール ( 乾式 ) 商品名 ( 建設省通則指定 ) 1) スプレーテックス 9) スプレーコート 2) スプレエース 10) スターレックスR(1982( 昭和 57) 年 7 月耐火構造としての大臣指定取り消し ) 3) スプレークラフトS,H 11) バルカロック 4) サーモテックス 12) ヘーワレックス 5) ニッカウール (1987( 昭和 62) 年 12 月 13) オパベストR 耐火構造としての大臣指定取り消し ) 6) ブロベストR 14) べリーコートR 7) 浅野ダイアロック (1975( 昭和 50) 年 15) タイカレックス 10 月耐火構造としての大臣指定取り消し ) 8) コーベックス (R) 注 1) 上記商品は 1980( 昭和 55) 年以前に施工中止されており 石綿含有率は 5 重量 % 以下である ただし 上記 1) スプレーテックス ( カラー用 ) は 1987( 昭和 62) 年まで石綿が使用していたので 注意を要する 注 2) 上記商品は 無石綿となっても 商品名を変えずに販売されている場合があり 特に施工時期が 1980( 昭和 55) 年以降の場合は注意が必要である 12

24 表 1.6 湿式石綿含有吹付け材商品名 ( 建設省個別認定 ) 1) トムウェット 5)ATM-120 2) バルカーウェット 6) サンウエット 3) ブロベストウェット 7) スプレーウエット 4)( アサノ ) スプレーコートウェット 8) 吹付けロックンライト注 1) 上記商品は 1988( 昭和 63) 年以前に施工中止されており 石綿含有率は 5 重量 % 以下であるが 他にも商品化されている可能性がある ただし 上記 4)( アサノ ) スプレーコートウェットは 1989( 平成元 ) 年まで石綿が使用されていたので注意を要する 注 2) 上記商品は 無石綿となっても 商品名を変えずに販売されている場合があり 特に施工時期が 1980( 昭和 55) 年以降の場合は 注意が必要である 表 1.7 石綿含有吹付けバーミキュライトの商品名 1) バーミライト 2) ミクライトAP 3) ウォールコートM 折版用 4) ゾノライト吸音プラスター 5) モノコート 6) バーミックスAP 注 ) 他にも商品化されている可能性がある また 作業現場で 石綿を混入する場合があるので注意を要する 表 1.8 石綿含有吹付けパーライトの商品名 1) アロック 2) ダンコートF3 注 ) 他にも商品化されている可能性がある また 作業現場で 石綿を混入する場合があるので注意を要する 耐火被覆板 断熱材 a) 耐火被覆板耐火被覆板は 化粧目的に鉄骨の耐火被覆等のため 吹付け材の代わりに 使用されているため 施工部位は明確のため 表 1.9 に示す商品名 ( 製造期間を含む ) がある場合は 石綿含有と判断する b) 断熱材断熱材は断熱を目的に 施工部位も明確で 屋根折版用 煙突用として使用されている 表 1.9 に示す商品名 ( 製造期間を含む ) がある場合は 石綿含有と判断する また 屋根折版用と煙突用の断熱材については 製造メーカーが明確であることから 1990 年以降に製造されたものは石綿が使用されていない しかし 煙突用については 断熱 13

25 材に石綿は含まれていないが その基材の管 ( 円筒 ) には石綿が含まれている可能性が高 いので 断熱材に含まれていなくても 基材の石綿有無の分析を行い 石綿有りの場合はレベル3の措置をとること 表 1.9 耐火被覆材 断熱材 一般名 商品名 製造期間 トムボード ~1973 ブロベストボード ~1975 耐火被覆板 石綿含有リフライト ~1983 耐火被覆板サーモボード ~1987 コーベックスマット ~1978 耐火被覆板 石綿含有けい酸カルシウム板第一種 ヒシライト ~1997 キャスライトL,H ~1990 ケイカライト ケイカライトL ~1987 ダイアスライトE ~1980 カルシライト一号 二号 ~1988 ソニックライト一号 二号 ~1976 耐火被覆板 石綿含有けい酸タイカライト一号 二号 ~1986 カルシウム板第二種サーモボードL ~1987 ヒシライト ~1997 ダイオライト リフボード ~1983 ミュージライト ~1986 耐火被覆塗り材 ひる石プラスター 屋根用折版裏石綿断熱材 フェルトン ~1983 屋根用折版裏石綿断熱材 ブルーフェルト一般用 ~1971 ウォールコートM 折板用 ~1989 煙突用石綿断熱材 カポスタック ~1987 ハイスタック ~ 保温材保温材は保温 断熱が主であり 工作物本体の保温 断熱及び配管経路での保温 断熱が施工部位となる また 工作物関連は 定期メンテナンスにより 一部分メンテナンス時に 無石綿の保温材に変更している場合があるので 注意が必要である a) 成形保温材成形保温材は プラント ボイラ タービン本体及び配管の保温のために用いられており 表 1.10~ 表 1.11 に記載されているものに合致する場合は石綿含有と判定する また 製造者から石綿を含有していないとの証明がある場合はなしと判定する 14

26 b) 不定形保温材 ( 水練り保温材 ) 不定形保温材は a) の成形保温材の隙間を埋めるために使用される補助的な保温材で 少なくとも 1988 年まで 石綿が使用されていたこと ( 含有率 1-25%) に留意して a) の成形保温材と併せて総合的に石綿の有無を判定すること 表 1.10 石綿含有保温材 保温材の種類 石綿の種類 石綿使用石綿含有率時期 (%) 石綿保温材 クリソタイル アモサイト ~1979 年 90 以上 けいそう土保温材 アモサイト ~1974 年 1~10 パーライト保温材 アモサイト ~1974 年 1~5 けい酸カルシウム保温材 クリソタイル アモサイト ~1983 年 1~25 注 1) 不定形保温材 ( 水練り保温材 ) 2) クリソタイル アモサイト トレモライト注 ~1988 年 1~25 注 1) 配管等の保温では 最終仕上げで バルブ フランジ エルボ等の部分に不定形 保温材を使用するが この不定形保温材に少なくとも 1988( 昭和 63) 年頃まで 石 綿が含有している場合がある 注 2) トレモライトを使用している可能性がある 表 1.11 石綿含有保温材の商品名 成形板その他成形板その他のうち 石綿含有成形板に関しては 労働安全衛生法第 55 条に基づく製造等の禁止が 2004 年 ( 平成 16 年 )10 月 1 日からであり また 石綿代替化材料と同時並行的に販売されている場合もあるので 平成 16 年 10 月より前に製造された窯業 15

27 系建築材料には石綿が含有されている可能性が高いと判断すべきである その目安として 表 1.12 に示す なお 詳細な調査が必要な場合は ( 公社 ) 日本作業環境測定協会発行 建築物解体等に係わるアスベスト飛散防止対策マニュアル 2011 や国土交通省 / 経済産業省の 石綿 ( アスベスト ) 含有建材データベース ( 等を参考にされたい また 2004 年時点の禁止は 在庫品の使用 流通を禁止しておらず 1% を超えるものが対象であることから 2004 年 10 月以降のものであることを以て石綿なしの証明にはならない 表 1.12 建築物における考えられる施工部位と主な石綿含有建築材料の例 施工部位 主な石綿含有建材 製造期間 代替品開始年 スレートボード 1931~ けい酸カルシウム板第一種 1960~ パルプセメント板 1954(1958)~ (2003) 内装材 ( 壁 天井 ) スラグせっこう板 1973(1979)~ 2004(2003) 1993 押出成形セメント板 1970~ 石綿含有ロックウール吸音天井板 ~ 石綿含有石膏板 ( ボード ) ~ 耐火間仕切り けい酸カルシウム板第一種 1960~ ビニル床タイル (1952)~ (1986) 床材 押出成形セメント板 1970~ フロア材 ~ 窯業系サイディング 1961~ パルプセメント板 1954(1958)~ (2003) スラグせっこう板 1973(1979)~ 1993 外装材 ( 外壁 軒天 ) 2004(2003) 押出成形セメント板 1970~ スレート波板 1917~ スレートボード 1931~ けい酸カルシウム板第一種 1960~ 屋根材 住宅屋根用化粧スレート 1961(1974)~ 煙突材石綿セメント円筒 ~ 注 1) 石綿含有ロックウール吸音天井板は石綿含有率は 5% 未満であるが 比重が 0.5 未満のため 解体 / 改修にあたっては石綿粉じんの飛散に留意すること また製造者によっては この製造期間以前に石綿を含まない製品もあるので確認すること 注 2) 製造会社により製造期間が異なる ( ) 内は 国交省データベースの値 16

28 建築用仕上塗材建築用仕上塗材 ( 以下 仕上塗材 ( しあげぬりざい ) という ) は 建築物の内外装仕上げに用いられており そのルーツは セメント 砂 着色顔料などを混合して砂壁状に吹付けるセメントリシンまたは防水リシンと称される塗材 ( 薄塗材 C) で 昭和 20 年代から普及し 1970 年 ( 昭和 45 年 ) にJIS A 6907( 化粧用セメント吹付材 ) が制定された その後 合成樹脂系のリシン ( 薄塗材 E) や 吹付けタイルと称される凹凸模様の塗材 ( 複層塗材 ) などが開発されてきたが 当初は専用の吹付け機器で施工されていたので 総称して 吹付材 と呼ばれていた しかし 昭和 50 年代になると施工面周辺への材料の飛散防止の要求などから 吹付け用だけではなく ローラー塗り用の材料も開発されてきたため JIS の名称も1983 年 ( 昭和 58 年 ) 以降 吹付材 から 仕上塗材 に改められた 仕上塗材は 数十ミクロン程度の厚さとなる塗料とは異なり 数ミリ単位の仕上げ厚さを形成する塗装材料または左官材料である 吹付け こて塗り ローラー塗りなどの施工方法によって 立体的な造形性を持つ模様に仕上げられることから 塗膜のひび割れや施工時のダレを防止するために 主材の中にクリソタイル ( 白石綿 ) が少量添加材として使用されていた時期がある 仕上塗材は吹付材と称されていた時期があるため 耐火被覆などで使用されている吹付け石綿や石綿含有吹付けロックウールと混同されることもあるが 内外装の表面仕上材に使用される塗装または左官材料である 主材中に含まれる石綿繊維は合成樹脂やセメントなどの結合材によって固められており 仕上塗材自体は塗膜が健全な状態では石綿が発散するおそれがあるものではないが 仕上塗材の除去に当たっては これを破断せずに除去することが困難である したがって 除去方法によっては含有する石綿が飛散するおそれがある 日本建築仕上材工業会会員会社が過去に販売したアスベスト含有仕上塗材の概要を表 1.13 に示す また 図 1.5 に建築用仕上塗材の模様と層構成の例を示す 17

29 表 1.13 日本建築仕上材工業会会員会社が過去に販売したアスベスト含有仕上塗材の 概要 建築用仕上塗材 建築用下地調整塗材 塗材の種類 ( 括弧内は通称 ) 販売期間石綿含有量 (%) 薄塗材 C( セメントリシン ) 1981~ 薄塗材 E( 樹脂リシン ) 1979~ ~0.9 外装薄塗材 S( 溶剤リシン ) 1976~ 可とう形外装薄塗材 E( 弾性リシン ) 1973~ 防水形外装薄塗材 E( 単層弾性 ) 1979~ ~0.2 内装薄塗材 Si( シリカリシン ) 1978~ 内装薄塗材 E( じゅらく ) 1972~ ~0.9 内装薄塗材 W( 京壁 じゅらく ) 1970~ ~0.9 複層塗材 C( セメント系吹付けタイル ) 1970~ 複層塗材 CE( セメント系吹付けタイル ) 1973~ ~0.5 複層塗材 E( アクリル系吹付けタイル ) 1970~ ~5.0 複層塗材 Si( シリカ系吹付けタイル ) 1975~ ~1.0 複層塗材 RE( 水系エポキシタイル ) 1970~ ~3.0 複層塗材 RS( 溶剤系エポキシタイル ) 1976~ ~3.2 防水形複層塗材 E( 複層弾性 ) 1974~ ~4.6 厚塗材 C( セメントスタッコ ) 1975~ ~3.2 厚塗材 E( 樹脂スタッコ ) 1975~ 軽量塗材 ( 吹付けパーライト ) 1965~ ~24.4 下地調整塗材 C( セメント系フィラー ) 1970~ ~6.2 下地調整塗材 E( 樹脂系フィラー ) 1982~ 出典 : 日本建築仕上材工業会ウェブサイト 18

30 図 1.5 建築用仕上塗材の模様と層構成の例 ( 出典 : 建築物の改修 解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処 理技術指針 国立研究開発法人建築研究所 日本建築仕上材工業会 平成 28 年 4 月 28 日 ) 19

31 1.7. 分析調査の試料採取試料採取の方法については以下のほか 石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル も参照のこと 試料採取前の基礎的留意事項建築物や工作物等の構造物には 石綿を含んだものが部材の一部として使用されている可能性がある これらの構造物を解体または改修する場合は 事前に石綿を含んだものがどの施工範囲 ( 試料採取範囲 ) に存在しているかを確認し 労働者の石綿ばく露を防止できるようにすることが必要である 一般的に 意図的に石綿を添加したものに関しては 使用目的から使用している施工範囲が 使用時期から石綿の有無を推測できる ( 現場の判断で石綿を混ぜているケースなどがあり推測は困難 ) 場合もあるが 使用時期によっては 石綿を含んだものと石綿を含まないものが混在している場合や法規制の適用対象外 ( 昭和 50 年は石綿含有率が 5 重量 % 以下 平成 7 年は 1 重量 % 以下 平成 18 年は 0.1 重量 % 以下 ) を石綿なしの表示 ( 無石綿 ) としたものがあることに留意する必要がある また 意図的に石綿を添加していないものについては 石綿を不純物とした天然鉱物 ( 現在判明している天然鉱物 : 蛇紋岩 バーミキュライト タルク セピオライト ) を原料にしたものがある これについては 吹付け材や成形板の一部に使用していることは確認しているが これ以外に構造物のどの部位に使用されているかはわかっていない点に留意する必要がある いずれにしても調査範囲を安易に絞り込むことなく 網羅的かつ下地等目視では確認できない部分まで確実に調査する必要があり 石綿の有無が特定できない場合は 最終的に 試料を採取した上で 石綿の有無を分析することになるが 試料を採取に当たっては まず構造物単位で どのような施工範囲 ( 試料採取範囲 ) に 石綿を含む可能性のあるかを特定することが重要である そのための参考として以下に述べる 建築物建築物には 戸建住宅 共同住宅 鉄筋コンクリート (RC) 構造ビル 鉄骨 (S) 造ビル 工場建屋等があり これらのうち 鉄筋コンクリート (RC) 造ビル 鉄骨 (S) 造ビルに関し 石綿を含む可能性のある部位例を図 1.6 に 戸建住宅に関する石綿を含む可能性のある部位例を図 1.7 に示す これらの図は国土交通省発行の 目でみるアスベスト建材 ( 第二版 ) に示されているが この小冊子には これ以外の情報も記載されているので 参考にすること なお建築物に施工され 石綿を含む可能性のあるものとしては 吹付け材 各種用途での成形板 煙突用セメント管 フェルト状断熱材 床用タイル等がある 20

32 図 1.6 鉄筋コンクリート造ビル 鉄骨造ビルに関する石綿を含む可能性のある部位例 ( 出典 : 目で見るアスベスト建材 ( 第 2 版 ) 国土交通省 平成 20 年 3 月 ) 21

33 図 1.7 戸建住宅に関する石綿を含む可能性のある部位例 ( 出典 : 目で見るアスベスト建材 ( 第 2 版 ) 国土交通省 平成 20 年 3 月 ) 工作物工作物には 主にボイラ タービン 化学プラント 焼却施設等があり これらはいずれも熱源の放散を防ぐために それぞれの本体や配管に図 1.8 に示す保温材を使用している また 配管と配管のつなぎ目に石綿を含む可能性のあるシール材が使用されたり 熱によるダクト伸縮を緩和するために伸縮継ぎ手 ( 石綿紡織品を使用している可能性あり ) を使用している場合がある なお 建築物内に小型ボイラを設置している場合は ボイラ配管等に石綿を含む可能性のある塗材を使用している場合があることに留意する必要がある 22

34 図 1.8 保温材の施工例 船舶等船舶については ( 財 ) 日本船舶技術研究協会発行 船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル ( 第 2 版 ) に記載されている ただし 船舶の使用部位に関しては IMO( 国際海事機関 ) や先進諸国の法規制により 年代により 石綿を含むものの使用時期が異なることに留意する必要がある また 鉄道車両に関しては 厚生労働省のパンフレット 鉄道車両の解体作業にかかわる発注者 事業者の皆様へ に石綿を含む可能性のあるものに関する記述があるので 参照のこと 1.8. 試料採取における注意事項前述により 構造物における石綿を含む可能性のある施工範囲 ( 試料採取範囲 ) が特定できた場合は その施工範囲から試料を採取することになるが 以下に 試料採取にあたっての注意事項について述べる 試料採取にあたっての共通注意事項 (1) 試料採取にあたっては 最低限 次の器材等を準備する 1 試料採取にあたる人数分の保護具 ( 国家検定防じんマスク 防護服 手袋等 ) ここでいう 防護服 とは 石綿技術指針対応版石綿粉じんへのばく露防止マニュ 23

35 アル ( 建設業労働災害防止協会 平成 24 年 ) に記載の作業衣と同等以上のものを指す なお その装着は上下ともが基本である 2 試料採取器具 ( 例 : コルクボーラ 鋭利なカッター等 ) 3 試料採取予定分の密閉式試料ホルダー ( 例 : フィルムケース チャック付ビニール袋 ) 4 施工範囲 ( 試料採取範囲 ) ごとに3を一纏めに収納する密閉式試料ボックス 5 水又は飛散抑制剤入りの湿潤器 6 粉じん飛散防止剤入りの噴霧器粉じん飛散防止剤としては 国土交通省認定のものが望ましい 7 施工範囲 ( 試料採取範囲 ) ごとの図面 8 試料番号等記載できるラベル 9 試料採取記録用紙 10 必要であれば安全衛生用具 (HEPA フィルタ付真空掃除機 養生シート等 ) (2) 試料そのものに石綿が含まれているか否かが判明していない時点で 試料を採取するので 試料採取時には必ず保護具を着用すること なお 可能な限り湿潤器を使用して 試料採取部位の湿潤化を行うこと (3) 試料を採取し 試料ホルダーに入れ密閉する (4) 施工範囲 ( 試料採取範囲 ) ごとに 前述 (3) の試料ホルダーを試料ボックスに入れ 密閉した上で 試料番号 採取年月日 採取建物名 施工年 採取場所 採取部位 採取したものの形状 ( 板状不定形状等 ) 採取者名等後で試料を特定できるようにするための必要な情報を記入すること (5) 試料を採取した部位からの飛散を防止するために 採取部位に粉じん飛散防止剤を噴霧する なお 粉じん飛散防止剤に関しては建築基準法第 37 条により認定された石綿飛散防止剤を使用することが望ましい (6) 複数の場所で採取する場合は 採取場所ごとに 採取用具は洗浄し 手袋は使い捨てを使用する等 他の場所の試料が混入しないように十分注意する必要がある 石綿を含む可能性のあるものの種別による試料採取の注意事項レベル1の吹付け材 レベル2の耐火被覆材 断熱材 保温材 レベル3の成形板について それぞれの試料採取における留意事項を以下に述べる 吹付け材吹付け材は 現場において 吹付け材料を対象物に吹付けて完成するが 完成したものは材料組成が不均一になっている可能性が極めて高い 特に石綿の含有率が低い場合は 完成したものの不均一性を十分考慮する必要がある 例えば 吹付け材の現場配合比で石綿含有率 4% 程度のものが施工されている箇所から 24

36 試料を採取し 分析を行った場合でも 試料採取位置によっては 石綿なし となる場合や 石綿含有率が 10% 以上 となることも想定され 完成したものの石綿含有のばらつきがかなり大きいと考えておいた方がよい このほか 施工年によっては 石綿含有のものと無石綿のものとが混在している時期があったり 大規模な施工現場では 二以上の施工業者が吹付け作業を行い 片方の業者が無石綿の吹付け材で施工し もう一方の業者は石綿含有の吹付け材で施工したりする場合があるので これらの点にも留意する必要がある また 吹付け材の場合は 最終仕上げ工程で セメントスラリーを表層に散布する場合や表面化粧する場合があることにも留意する このようなことから 吹付け材の試料採取は該当吹付け材施工表層から下地まで必ず貫通しての試料の採取を前提に次により行う なお 主成分がバーミキュライト主体の吹付け材に関しては 厚み 1 mm以下がほとんどのため この場合は 100cm 2 角程度の試料採取を行う また 吹付け層全体の表面の色において 一部分 吹付け層の色が異なる場合は その一部分は補修した可能性が高いため その部分は既存部分とは別の試料として採取を行う また 吹付けの年代が違う場合も別の試料として採取を行う (1) 平屋建ての建築物で施工範囲が 3000m 2 未満の場合 試料は 図 1.9 または図 1.10 の採取位置の例に従い 原則として 該当吹付け材施工部位の 3 箇所以上 1 箇所当たり 10cm 3 程度の試料をそれぞれ採取し それぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で それらの試料を一纏めにして密閉式試料ボックスに収納すること (2) 平屋建ての建築物で施工範囲が 3000m 2 以上の場合 600m 2 ごとに 1 箇所当たり 10cm 3 程度の試料をそれぞれ採取し それらの試料を一纏めにして密閉式試料ボックスに収納すること (3000m 2 以上の場合は 2 業者で施工することがある ) (3) 一建築物であって 施工等の記録により 耐火被覆の区画に関し 耐火被覆の業者 ( 吹付け業者 ) が明確な場合 業者ごとの区画を一つの施工範囲としその範囲ごとに 3 箇所以上 1 箇所当たり 10cm 3 程度の試料をそれぞれ採取し それぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で それらの試料を一纏めにして密閉式試料ボックスに収納すること (4) 一建築物であって 耐火被覆の区画に関し 記録がなく かつ耐火被覆の業者 ( 吹付け業者 ) が不明確な場合 各階を施工範囲とし それぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で それらの試料を一纏めにして密閉式試料ボックスに収納すること なお 一建築物の一つの階の床面積が 3000m 2 以上の場合の試料採取は 上記 (2) の方法による (5) 上記 (2) (3) (4) の試料採取方法は 昭和 50 年以降の施工の建築物において 耐火被覆業者により 主に石綿が 1~5 重量 % 含有の吹付け材で施工している 25

37 業者と石綿をまったく含まない吹付け材で施工している業者が混在している可能性があることに留意したものであり 昭和 49 年以前施工の建築物は耐火被覆業者が異なった場合であっても 石綿含有率の違い ( 数十 % 以上 ) はあるものの 意図的に石綿が含有されている吹付け材であるため 原則として 試料の採取は上記 (1) を適用してもよいが より安全を期するために 全体階から 2 つ以上の階を選定して試料を採取する 図 1.9 天井 壁における採取位置の例 図 1.10 耐火被覆された鉄骨における採取位置の例 26

38 耐火被覆材耐火被覆材には 吹付け材 耐火被覆板又はケイ酸カルシウム板 2 種 耐火塗り材がある 吹付け材を除く耐火被覆材は施工部位が梁 柱と明確であり 各階の梁 柱全体を施工範囲とする なお 吹付け材に関しては 前述 に基づいて試料採取を行う (1) 施工範囲から奇数階および偶数階からそれぞれ 1 フロアを選定する この 1 フロアの梁 柱から代表的な部位を 1 つ選び そこから 3 箇所以上 1 箇所当たり 10cm 3 程度の試料をそれぞれ採取しそれぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で それらの試料を一纏めにして密閉式試料ボックスに収納すること (2) 耐火被覆材と耐火被覆材の境界に耐火塗り材が使用されている可能性があるため その境界を中心に試料を採取すること 断熱材断熱材には 折版屋根用断熱材と煙突用断熱材がある 折版屋根用断熱材に石綿を使用している場合は 石綿含有率が非常に高いため 特に試料採取に留意する必要はなく 折版屋根用断熱材の施工範囲から 3 箇所以上 1 箇所当たり 100cm 2 程度の試料をそれぞれ採取しそれぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で それらの試料を一纏めにして密閉式試料ボックスに収納する 煙突用断熱材の試料採取に当たっては次の点に留意する必要があるが いずれにしても 3 箇所以上 1 箇所当たり 10cm 3 程度の試料をそれぞれ採取しそれぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で それらの試料を一纏めにして密閉式試料ボックスに収納する (1) 煙突用断熱材には 1 煙道側に断熱層がある場合 2 煙道側の円筒管の裏側に断熱層がある場合があり 特に後述の2の場合は 断熱層に石綿を含む場合と 断熱層は石綿が含まないが 円筒管に石綿を含む場合 断熱層と円筒管の両方に石綿を含む場合があるので 断熱層と円筒管を分離して試料採取を行うこと (2) 煙道側に断熱層がある場合や煙道側の円筒管にひび割れがあり 断熱層が露出しているおそれがあるような場合は 煙道中に含まれる硫黄酸化物等により 石綿が変質し 他の物質に変わっている可能性があるため 試料採取に当たっては 表層からの試料採取を行わず 必ず下地に接するまで試料を採取すること 保温材保温材には 成形保温材と不定形保温材があり 建築物の小型ボイラ等の配管に使用される保温材は不定形の保温材がほとんどであり これらはバルブ フランジ エルボ部分に使用されている場合が多いが 直管部でも可能性があるので それぞれ 3 箇所以 27

39 上 下地まで貫通し 1 箇所当たり 10cm 3 程度の試料をそれぞれ採取してそれぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で 密閉式試料ボックスに入れ それらの試料を一纏めにして収納する またボイラ タービン 化学プラント等の場合は 配管距離も長く かつ成形保温材と不定形保温材の両方を使用している場合がほとんどであり 試料採取にあたっては次の点に留意する必要がある (1) 成形保温材と成形保温材のつなぎ目に不定形保温材を使用する場合があり 不定形保温材は成形保温材に比べて石綿含有期間が長いため 試料採取にあたっては 成形保温材と成形保温材のつなぎ目を貫通して試料を採取すること なお 保温材の場合は 使用目的から 配管表層部の温度が高温となっている場合があり 表層部に接触している保温材の材質 ( 石綿を含め ) が変化している可能性がある このような箇所からの試料採取を避けること (2) ボイラ タービン 化学プラント等には定期検査があり この検査において 保温材をはぎ 検査終了後 新たな保温材を施工するが この時に石綿を含まない保温材に変更する場合がある このようなことを想定して 試料の採取を次のようにする 化学プラント 火力発電所の場合化学プラントにおいて 系統単位を施工範囲とし その系統において 定期検査を行っている場合は 30m ごとに 定期検査を行っていない場合は 60m ごとに 3 箇所以上 下地まで貫通し 1 箇所当たり 10cm 3 程度の試料をそれぞれ採取してそれぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で 密閉式試料ボックスに入れ それらの試料を一纏めにして収納する 原子力発電所の場合原子力発電所の場合は 配管の溶接線の肉厚のチェックのために 所定の範囲 (2m 程度 ) で定期検査を行うことになっているので この範囲からの試料採取は避け 系統単位を施工範囲とし 600m 3 ごとに 3 箇所以上から 1 箇所当たり 10cm 3 程度の試料をそれぞれ採取してそれぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で 密閉式試料ボックスに入れ それらの試料を一纏めにして収納する 成形板意図的に石綿を添加し製造された成形板 ( 例 : スレート けい酸カルシウム板 ) は 使用目的から ほぼ施工部位が特定できるので 試料採取範囲は, 構造部材であればフロア単位ごとに 建築物内設備機器に使用の部材であれば その設備機器単位ごとに行なう 試料の採取は 試料採取範囲から 3 箇所を選定して 1 箇所あたり 100cm 2 / 箇所程度 28

40 の試料をそれぞれ採取してそれぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で 密閉式試料ボックスに入れ それらの試料を一纏めにして収納する ( ここで 3 箇所選定 とあるが その理由は成分のばらつきが考えられるためである 成形板は工場での生産品であるため ばらつきの程度は吹付け材ほどではないが 使用されている石綿の種類によってはセメント等の Ca により含有率が変化するおそれがある ) この他 試料採取にあたって次の点に留意すること (1) 施工範囲 ( 試料採取範囲 ) 内において 改修の有無に関する確認を行うこと 改修が行われた場合は 施工範囲全体に石綿を含んでいないものを施工したか それとも部分的に施工したかにより 石綿の有無分析に大きな影響を及ぼす そのため 部分的に改修が行われたことが明確な場合は 既存部分と改修部分を別の試料として採取を行うこと (2) 成形板には 表面を化粧したものがあるため 表面のみの試料採取はしないこと 建築用仕上塗材既存建築物の改修工事および解体工事を実施する前に 既存仕上塗材層が石綿を含有しているか否かを確認しておく必要がある 過去に重量の0.1% を超えて石綿を使用していた仕上塗材については 日本建築仕上材工業会が公表している アスベスト含有仕上塗材 下地調整塗材に関するアンケート調査結果 により 石綿含有仕上塗材の種類 販売期間 石綿含有量が確認できる したがって これらの情報をもとにヒアリング結果や当該現場での調査結果も併せ 石綿の有無が確認できる場合は 既存仕上塗材層を採取して分析を行う必要がない ただし 設計図書の多くは特記仕様書において仕上塗材の一般名が記載され 数社の製造業者の中から製品を選択できるようになっているため 当該現場に使用された製品名を特定することは難しい その場合は 既存仕上塗材層を部分的に採取して 分析を行い判定する 試料の採取は粉じんが飛散しないように採取面に無じん水を散布 ( 噴霧 ) してから カッターナイフ スクレーパ等で仕上塗材表面部分から仕上塗材内部に刃先を入れ少しずつ剥離 採取する 施工部位の3 か所以上から1か所当たり容量 10cm 3 程度を目安に試料を採取し 密閉容器に入れ それらを一まとめの試料として 試料採取履歴 ( 表 1.15) として 採取試料の形状 ( 断面の層状構造 ) 等 必要事項を記録 添付し試料とする ( 図 1.11 参照 ) なお 労働安全衛生法令では 石綿含有の建築用仕上塗材 ( 及びその下地調製塗材 ) のうち吹付け施工のものが 石綿の計画届や作業届の対象となることとされているが その際に建築用仕上塗材とその下地調製塗材を区別して石綿の含有の有無を分析できた場合は 石綿含有材料部分が吹付け施工か否かによりこの届出の要否が決まることと 29

41 されている ( 平成 30 年 1 月 29 日基安化発 0129 第 1 号 ) (1) 薄付け仕上塗材 ( 砂壁状仕上げなど ) の場合は 上塗材が使用されておらず 下塗材もほとんど層を形成していないので 仕上塗材と下地との界面にスクレーパやカッターナイフの刃先を入れ 仕上塗材を採取するのが一般的である 薄付け仕上塗材は 膜厚が3mm 程度以下と薄いため 比較的広い面積の塗膜を採取する必要がある (2) 複層仕上塗材 ( 吹付けタイル仕上げなど ) は 上塗材 主材 下塗材があるが 上塗材の厚さは塗料と同じ数十ミクロンであり 下塗材もほとんど層を構成していない したがって 複層仕上塗材層のほとんどが主材部分であり これをカッターナイフ スクレーパ ノミ等削り取るのが一般的である 複層仕上塗材は表面に凹凸模様のテクスチャーが付与されていることが多い これらの凹凸部分を形成している主材は どの部分であっても組成は均一である また 複層仕上塗材は下地への付着強度が高いので 下地と主材層との界面からきれいに剥離除去できない場合が多いと考えられる このような場合は 主材層を部分的に破壊して採取することとなる (3) 厚付け仕上塗材 ( スタッコ仕上げなど ) は 上塗材がある場合と上塗材がない場合がある 上塗材があったとしても仕上塗材層全体に占める質量比は僅かである 厚付け仕上塗材の主材層は厚く その組成も均一であることから主材層を部分的に採取すればよいと考える 厚付け仕上塗材層と下地との界面で剥離採取することはかなり困難である 塗り替え等の改修工事の場合は 分析用試料採取後 簡易補修を行う 改修または解体のいずれの場合においても 塗材の種類や工法が部位などによって異なっている場合や 棟によって施工業者が異なっている場合は それぞれ別に採取する (4) 採取した仕上塗材には下地調整塗材やコンクリート等が付着している場合がある まず 目視で試料を確認し コンクリートが付着していないことを確認する (5) 改修 ( 再塗装 ) で 塗材に亀裂や部分的剥離がない場合には 調査対象は仕上塗材のみとなる 第 3 章で分析を実施する場合には 実体顕微鏡で表面から順次各層の観察を実施し 下地調整塗材の上までを調査対象範囲とする ( 図 1.11 の赤色線で示した範囲 ) 第 4 章で分析を実施する場合には 実体顕微鏡等を用いて下地調整塗材が混入しないよう 予めカッターナイフ等で除去してから分析試料とする (6) 解体を目的とした場合には 下地調整塗材および仕上塗材が調査対象となる 第 3 章で分析を実施する場合には 実体顕微鏡で表面から順次各層の観察を実し 躯体の上までを調査対象範囲とする ( 図 1.11 の青色線で示した範囲 ) 第 4 章で分析を実施する場合には 目視および実体顕微鏡等を用いて躯体が付着していれば予 30

42 めカッターナイフ等で除去してから分析試料とする 無機質 有機質の試料ともに 塗料等が用いられていることが多いため 灰化して有機成分を処理し 第 4 章の手順に基づいて分析を実施する (7) 目視上 施工が同じようにみえていても 塗り重ねの場合 既存が残存している可能性を考慮し 外壁 内壁 上裏のように施工が異なる可能性を有する部位については 別途採取調査することが望ましい 31

43 解体の場合 改修の場合 解体の場合 改修の場合 解体の場合 改修の場合 図 1.11 建築用仕上塗材の試料採取部位 32

44 建築用仕上塗材 ( 下地調整塗材含む ) 分析用試料の採取写真 採取 採取箇所をビニール袋で囲んで養生し 採取した塗材をそのままビニール袋内に封入 湿潤化 塗材によってはトップコートが水を弾く スクレーパーを入れて剥離した部位は湿潤されていないため 必要に応じ 適時湿潤を追加する 採取痕の固化 固化材噴霧や接着剤塗布を行う 塗材と類似した色のスプレーを塗布し 簡易補修を兼ねることも一般的 33

45 採取道具の例 養生シート採取用ビニール袋スクレーパーハンマー湿潤用無じん水 簡易補修用カラースプレー飛散防止用スプレー接着剤飛散防止用固化材 複層材の採取痕の凹みが気になる場合には ノンブリードのシール材等による簡易補修が有効である 34

46 試料採取時の情報伝達と責任分担の明確化について書面 現地調査にはじまり 試料採取 そして分析までが適切に行われるには 的確に情報伝達を行うとともに 責任分担を明確化にすることが必要である ( 表 1.14) (1) 分析者 ( 分析機関 ) が自ら試料採取を行う場合は 現地調査結果において同一と考えられる建材の範囲が特定されているか確認を行い 不明な場合は調査実施者等に明確な情報を求める 採取した試料の識別と分析を行う際の前処理等の情報を得るために 表 1.15 に示した試料採取履歴に必要事項を記録する (2) 分析者 ( 分析機関 ) が 外部から持ち込まれた試料の分析を請け負う場合は 分析依頼元に対して 表 1.15 に示した試料採取履歴に必要事項を記入して必ず添付するように要請すること 表 1.14 現地調査から試料採取までの責任分担の明確化 石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル [2.20 版 ]( 厚生労働省 )( 抜粋 ) 7. 事前調査の一連の過程では 現地調査において同一材料範囲の判断 試料採取において同一材料範囲のうちどの箇所から試料採取するか判断を行う これらは石綿の有無に関する重要な判断であり これらの判断の責任者が誰であるか不明確なまま 事前調査を行ってはならない また 一部解体や改修工事であれば 工事内容によって調査すべき建材の範囲が異なってくるため 工事内容に応じて調査対象建材を適切に判断しなければならない 8. 具体的には 次の通りである 石綿則上は同一材料範囲の判断までが第 3 条第 1 項に基づく現地調査の一環であるが 試料採取を外注する際に 同一材料範囲の判断もあわせて依頼するのであれば そのことを明示して依頼することが必要である 試料採取を行う際に 採取作業者とは別の者が 採取個所を指示( 判断 ) する場合もある 採取作業者だけでなく 採取個所の指示者 ( 判断者 ) の氏名も報告書に明記する 分析機関が試料採取に関与しない場合には 試料採取者は 採取した試料ごとに 表 -4( 編注 : 本マニュアルの表 1.15) に示す試料採取履歴に求められている内容について記入し 試料と一緒に分析機関に委託する また 分析機関に試料採取者の情報を伝え 分析機関が作成する分析結果報告書には 当該試料採取者の情報を記録させる必要がある 35

47 表 1.15 試料採取履歴 36

48 第 2 章. 厚生労働省が定める石綿則に基づく建材分析等 2.1. 我が国で規定されてきた石綿含有率の分析方法石綿障害予防規則第 3 条第 2 項に基づく分析方法は 厚生労働省通達により指定されており 主として 1 建築物の耐火等吹付け材の石綿含有率の判定方法について ( 平成 8 年 3 月 29 日付け基発第 188 号労働省通達 ) 2 建材中の石綿含有率の分析方法について ( 平成 17 年 6 月 22 日付け基安化発第 号厚生労働省通達 ) 3 建材製品中のアスベスト含有率測定方法 ( 最終改正平成 28 年 4 月 13 日付け基発 0413 第 3 号 ( JIS A 1481 規格群など )) が定められてきた JIS A , JIS A は2の分析方法をもとに JIS 化されたものであり また JIS A において石綿不検出であることを判定する場合は本マニュアルの内容に留意して判定することになる もとより石綿則による分析は厚労省通達で指定しており 厚労省通達において JIS 法の実施に当たっては 本マニュアルの記載事項に留意して実施することと明記されており 本マニュアルをよく理解することが重要である なお 上記のほか 次の分析方法も定められており これらの場合に該当するときは これらの分析方法を用いることができる 1 ベビーパウダーに用いられるタルク中のアスベスト試験法 ( 昭和 62 年 11 月 6 日付け薬審 2 第 1589 号の別紙 ) 2 蛇紋岩系左官用モルタル混和材による石綿ばく露の防止について ( 平成 16 年 7 月 2 日付け基発第 号厚生労働省通達 ) 3 天然鉱物中の石綿含有率の分析方法について ( 平成 18 年 8 月 28 日付け基安化発第 号厚生労働省通達 ) 3については本マニュアルの第 8 章に記載している 2.2. 分析マニュアルの概要本マニュアルでは 第 3 章で定性分析法 1( 偏光顕微鏡法 ) 第 4 章で定性分析法 2(X 線回折分析法 位相差分散顕微鏡法 ) 第 5 章で定量分析法 1(X 線回折分析法 ) 第 6 章で定量分析法 2( 偏光顕微鏡法 ) 第 7 章で定性分析法 3( 電子顕微鏡法 ) 第 8 章で天然鉱物中の石綿含有率の分析について 第 9 章で分析結果の信頼性を確保するための分析機関としての望ましい組織体制について記述している 第 3 章及び第 6 章は 建材製品 天然鉱物及びそれを原料としてできた製品中のアスベスト分析に適用可能である 一方 第 4 章及び第 5 章は 建材製品中のアスベスト分 37

49 析だけを対象としており また ILO 条約の精神を踏まえ石綿除去作業者等の安全衛生を考慮して作成した方法である 第 3 章及び第 4 章は アスベストの含有の有無の判定基準 が異なっている 第 3 章は 繊維状粒子が存在する場合 偏光顕微鏡を使用してアスベスト繊維か否かの判定をしている 一方 第 4 章は X 線回折分析の定性分析により アスベストを含めた類似鉱物の存在を確認した上で 位相差 分散顕微鏡による分散染色法の定性分析結果により 粒子状物質中に存在するアスベスト繊維数の割合を含めた判定基準に基づいて判定する このように 分析方法及び分析機器などが異なっているため 共通の判定ではないが 試料の採取方法や検出限界などを踏まえ アスベストの有無の判定について同等としている 尚 本マニュアルでは 3 章及び第 4 章の定性分析結果から 石綿障害予防規則の適用対象か否か ( 建材中に 0.1% を超えてアスベストを含有するか否か ) ついての判断方法についても記載しているので留意すること 分析精度を担保するためには 第 3 章から第 7 章に記載されている分析方法からできる限り複数の方法を組み合わせて実施することが望ましい 38

50 第 3 章. 定性分析方法 1( 偏光顕微鏡法 ) 3.1. 分析の概要本章は JIS A によるアスベスト含有率測定について JIS A に記載の内容のほか JIS A の実施に当たって具体的な留意点や補足を掲載したものである その流れは 図 3.1 の通りである 1 試料を受け取ったら肉眼で試料の全体をよく観察し 色や材質を記録する 2 必要であれば灰化 酸処理 浮遊沈降による非アスベスト成分の除去を行う ( 試料調製 ) 3 調製した試料又は未処理の試料を肉眼と実体顕微鏡で詳細に観察し 試料の種類や前処理の必要性の有無を確認する 4 前処理が必要な場合は適切な前処理を行う 5 試料を実体顕微鏡で観察し アスベストの可能性がある繊維を探して代表的なものを取り出し 偏光顕微鏡用の標本を作製する 6 標本を偏光顕微鏡で観察し 形態 光学的性質からアスベストの同定を行う 7 調べた繊維がいずれもアスベストではなかった場合 または試料から実体顕微鏡で確認できる大きさの繊維が見つからなかった場合は 無作為に分取した試料で偏光顕微鏡用の標本を作製し 実体顕微鏡では見えない微細なアスベスト繊維を探す 留意点 : 試料調製と前処理の違いについて : 試料調製は顕微鏡観察に先立って 試料の大部分を構成する非アスベスト成分を除去する操作であり 顕微鏡観察で繊維が検出されやすいようにすることが目的である 前処理は実体顕微鏡観察の後で試料から繊維を取り出したり繊維から付着物を取り除いたりする操作で 偏光顕微鏡観察を容易にするために行われる いずれも必須の手順ではなく 必要に応じて行われる 39

51 図 3.1 定性分析方法 1( 偏光顕微鏡法 ) での分析の流れ 40

52 3.2. 分析の手順 試料調製アスベストの含有量が低い場合 または試料中のアスベストの分布が不均一で大量の試料を分析しなければアスベストを確実に見つけられない場合には 顕微鏡観察に先立って非アスベスト成分の大部分を取り除くための試料調製をしてアスベストの検出を容易にすることができる 試料調製の方法には灰化 酸処理 浮遊沈降がある < 灰化 > 有機物は 485 で 10 時間加熱することで取り除くことができる 加熱処理を行うときは 試料を磁性るつぼに入れてふたをし マッフル炉に入れて加熱する 加熱は必ずるつぼを炉内に入れてから開始するようにする < 酸処理 > 試料を 2mol/L の冷希塩酸 ( 室温 ) 中で 15 分程度撹拌することで多くの成分を除去することができ アスベストの検出が容易になる 1メノウ乳鉢に試料を入れ 蒸留水で試料を軽く湿らせる 2 試料に直接あたらないよう注意しながら乳鉢に塩酸を加え 乳棒で軽くすりつぶす 3 発泡がおさまったらさらに塩酸を加える 4 塩酸を加えても新たな発泡が起きなくなったらポリカーボネートフィルタ上に吸引ろ過する 5ポリカーボネートフィルタはふた付きのディッシュに入れてから乾燥させ 分析用の試料とする < 浮遊沈降 > 試料の種類によっては砂利や砂粒が入っている場合があり それらは水中での沈降や浮遊により取り除くことができる バーミキュライトやパーライトは低密度のため浮遊によって除去できる 砂や砂利は水中でアスベストより速やかに沈降するため沈降法により大部分を除去することができる 浮遊沈降法は以下のような手順で行う 酸処理に続いて行う場合は 酸処理後のろ過をせずに直接以下の手順で浮遊沈降法を行う 1 約 300mL の蒸留水を入れた 500mL ビーカーに試料を投入し 水面に浮くものがあれば薬匙で数回水中に押し込んだ後 浮いているものを薬匙ですくい取る 試料の量が多い場合は数回に分けて行う 2 浮いているものを取り除いたら 水をよく撹拌する 3 大きな粒子が沈んだら速やかに懸濁液を別のビーカーに移す 4150mL の蒸留水を加えて撹拌し 3の操作を行う これを 2 回繰り返す 5 蒸留水の洗瓶で沈殿物をビーカーから洗い流してペトリ皿にとり 乾燥させる 6ビーカーにとってある懸濁液は孔径 0.4μm のポリカーボネートフィルタ上に吸引ろ過し 乾燥させる 41

53 7 水面に浮いたものと沈殿物を実体顕微鏡で確認し 大きな繊維束があればろ過試料に 移す 8 ろ過試料を顕微鏡分析用試料とする ( 実体顕微鏡観察 ) 留意点 1: 試料調製が必要な試料の例としては アスベストを含む可能性のある鉱物が使用されている試料や繊維に付着しやすい成分を大量に含んでいる試料 アスベストと紛らわしい繊維が大量に含まれている試料 砂や砂利を含む試料などがあげられる 肉眼での観察でアスベストらしい繊維が確認できる試料や ガラス繊維が主体でアスベストが覆い隠される恐れが少ない試料などについては 試料調製を行う必要はない 留意点 2: 酸処理を行うと マグネシウムの溶脱によりクリソタイルの屈折率はわずかに低下するが 他のアスベストの光学的性質には影響しない 留意点 3: 灰化 酸処理 浮遊沈降を組み合わせて行う場合はこの順番で行うことが推奨される 肉眼および実体顕微鏡による予備観察 1 試料全体を詳細に観察して素材の種類や目に見える繊維の有無を確認する 2 実体顕微鏡で試料を確認し 繊維がある場合は可能な範囲で繊維が何種類あるかを特定する 3 試料の見た目 色を記録しておく 試料が不均一であったり層をなしていたりする場合は 試料のそれぞれの部分 層について記述し どの部分 層からアスベストが検出されたのかが分かるようにしておく 留意点 1: 必要な前処理を知る手掛かりになる場合があるため 試料の材質に注意する 留意点 2: 実体顕微鏡は 10 倍から 40 倍以上まで連続的に倍率を変えられるものを使い 10 倍で確認をしながらより詳細に観察を行いたい場合には適宜倍率を上げて観察する 前処理前処理の目的は 繊維を試料から取り出し 付着している粒子を取り除くことである 成形板などの場合は割って新たな断面をだす 試料をすりつぶす 表面や角をナイフで削り取るなどの方法で繊維を露出させる 繊維の付着物が炭酸カルシウム ( 石灰石 ) や硫酸カルシウム ( 石膏 ) ケイ酸カルシウムの場合は 希酢酸 (50%) や 2mol/L の冷希塩酸 ( 室温 ) で除去できる 炭酸カルシウムマグネシウム ( ドロマイト ) が付着している場合 除去には冷濃塩酸 (36% 室温 ) を使用する 42

54 プラスチック アスファルト 樹脂 ゴム製品の共存物の除去には 有機溶剤で処理するかマッフル炉を使って 485 での灰化を行う 浸液に浸した状態で 150 程度に加熱することで 有機成分を溶かして中に含まれる繊維を視認しやすくすることができる場合もある 留意点 1: 酸処理を行う場合はメノウ乳鉢に目的の繊維 試料片を入れ そこに酸を滴下して反応させる 塊がある場合は軽く乳棒で押しつぶすなどして反応が十分に進むようにする 酸処理は発泡が収まるまで続ける 留意点 2: クリソタイルは濃塩酸にわずかに溶けるので 濃塩酸は角閃石系アスベストが疑われる場合に使用する 留意点 3: 酸処理が終わった後で酸を放置しておくと 繊維の光学的性質が変化してしまうほか塩の結晶が生成される場合があるため ろ過してから数回水で洗い流すようにする 留意点 4: どの有機溶剤による処理がどの素材に有効かということは個別試験やその素材に関する知識により判断する 留意点 5: 灰化はクリソタイル アモサイト クロシドライトの光学的性質を変化させる可能性があるので注意する 実体顕微鏡観察アスベストを建材に添加する際には多くの場合束になった長い繊維を使用するため 多くのアスベスト含有建材では実体顕微鏡観察でアスベストが検出できる 1 試料をグラシン紙やトレイなどの容器におき ピンセットやプローブ ( 探針 ) を使って全体を詳しく探索する 2 層をなしている試料や不均一な試料は 全ての層 全ての部分を十分に観察して特徴を記載する 3 確認された繊維がどの層からとられたかを記録し 形状 色から繊維の種類を仮に同定する ( 波打った形状をして絹のような光沢を示す白色の繊維はクリソタイル 白色の直線的な繊維の束であればアモサイトまたはトレモライト アクチノライト アンソフィライトのいずれか 青色の直線的な繊維であればクロシドライトなど ) 実体顕微鏡観察で仮に同定した繊維は その後偏光顕微鏡で光学的性質を確認して最終的な同定を行う ( 偏光顕微鏡による同定 ) 留意点 1: 偏光顕微鏡用の標本にするのは数 mg 程度の量であるのに対し 実体顕微鏡では数 g の試料を観察することができ 全体をより把握しやすい 微量のア 43

55 スベストを検出するためには この段階で細心の注意を払うことが重要である 留意点 2: 一部の層にのみ比較的低濃度のアスベストが含まれている場合には全体を混ぜると検出が困難になる場合もあるので 層に分かれているものは層別に分析を行う (3.4. 不検出確定の手順 ) 留意点 3: 実体顕微鏡観察は倍率 10 倍程度で行い より詳細に繊維の細部を確認したい場合には倍率を上げて観察を行なう この仮同定の結果に基づいて 偏光顕微鏡用の標本をつくる際の浸液を選定する ( 偏光顕微鏡用標本の作製 ) 偏光顕微鏡用標本の作製実体顕微鏡での仮同定の結果に基づき偏光顕微鏡用の標本を作製する 1 清浄なスライドグラス上に適切な浸液を滴下する 2 実体顕微鏡観察で検出された代表的な繊維を浸液に浸す 3 清浄なカバーガラスを静かにかぶせて偏光顕微鏡用の標本とする 留意点 1: クリソタイルが疑われる場合は屈折率 の浸液 アモサイトの場合は の浸液 クロシドライトの場合は の浸液 トレモライトまたはアンソフィライトの場合は の浸液 アクチノライトまたはリヒテライト / ウィンチャイトの場合は の浸液を用いる 留意点 2: 実体顕微鏡観察で繊維が検出されなかった場合や 調べた繊維がいずれもアスベストでなかった場合は 無作為に試料の一部を分取して 2 枚以上の標本を作製し 偏光顕微鏡で分析する (3.4. 不検出確定の手順 ) 留意点 3: 標本を作製する時 大きな塊が入っているとカバーガラスを載せたときに傾きが生じて偏光顕微鏡観察の際に支障をきたすため そのような塊は乳棒で押しつぶすか スライドガラス 2 枚で挟んですりつぶすなどして 事前に十分細かくしておく ( 図 3.2) 44

56 図 3.2 塊のつぶし方の例 偏光顕微鏡による同定偏光顕微鏡でアスベスト繊維を同定する際には以下の項目を観察する 観察は 100 倍 ( 接眼レンズ 10 倍 対物レンズ 10 倍 ) で行い 繊維の細部をより詳細に調べたい場合には対物レンズを 40 倍に切り替えるなどして高倍率で観察を行う 形態 : 全てのモードで観察可能 色 多色性 : オープンポーラで観察 複屈折 ( バイレフリンゼンス ) : クロスポーラで観察 消光特性 : クロスポーラで観察 伸長の符号 : クロスポーラ+ 鋭敏色検板で観察 屈折率 : オープンポーラ+ 分散染色用レンズで確認 (1) 形態アスベストに特有の形態的特徴 ( アスベスト様形態 ) は光学顕微鏡で観察した際以下のような特徴で認識される a) 5μm を超える繊維について 20:1 以上のアスペクト比を持つ繊維が存在する b) 繊維の伸長方向に沿って 0.5μm 未満の太さの非常に細い単繊維に分けられる ( 太さ 0.5μm の単独の繊維は偏光顕微鏡で見ることが困難であるが 通常偏光顕微鏡で観察される繊維束の内部を観察すると太さ 0.5μm の繊維が多数集まっている様子が観察できる ) c) 上記の特徴に加え次の特徴のいずれかを備えていれば アスベストに特有の形態を持つことはより確かになる 1) 繊維束になっている互いに平行な繊維 45

57 2) 端がほうき状に広がっている繊維束 3) 細い針状の繊維 4) 個々の繊維が絡まりあった塊 5) 曲率を持った繊維 留意点 1: 形態の観察はすべてのモードで観察可能であるが 繊維と屈折率の近い浸液中で見た場合オープンポーラだと無色の繊維は見えにくい場合がある 繊維の細かい形態を観察するには 繊維を対角位におき クロスポーラまたはクロスポーラ+ 検板の状態での観察をすると見やすい場合が多い 留意点 2: 労働安全衛生法に定める 石綿 の定義としてはアスペクト比 3:1 以上の粒子となっているため アスベスト様形態ではないものも 石綿 として報告しなければならないが アスベスト様形態の有無を確認している場合はアスベスト様形態の有無も以下の記載例に従って報告書に明記すること 記載例 石綿含有トレモライト 0.1-5% コメント : アスベスト様形態の繊維が確認された 石綿含有トレモライト 0.1-5% コメント : アスベスト様形態の繊維は確認されなかった 石綿含有トレモライト 0.1-5% コメント : アスペクト比 10 程度の針状結晶が複数見られたがアスベスト様形態かどうかは判断できない 留意点 3: アスベストとは 破砕または加工したときに 長く 細く かつ 柔軟で強い繊維に容易に分かれるようなアスベスト様形態の晶癖を持つ 蛇紋石及び角閃石族に属するけい酸塩鉱物のグループに用いられる用語 であり アスベスト様形態とは 繊維及び単繊維で高い抗張力及び柔軟性をもつ鉱物の繊維形態の特殊なタイプ である 労働安全衛生法に定める アスベスト の定義については第 1 章の冒頭を参照のこと 46

58 留意点 4: トレモライト アクチノライト アンソフィライトについてはアスベスト様 形態かどうかの区別が明確にできない粒子が存在する場合もあるため そのような粒子が存在した場合はその旨報告書に記載するようにする (2) 色と多色性色と多色性は オープンポーラで観察する 1アナライザを光路からはずしてオープンポーラにする 2ステージ下にある開口絞りを絞り 見やすいように調節する 留意点 1: クロシドライトは強い多色性を持っていて 繊維の長さ方向に振動する光に対しては濃い青色 幅方向に振動する光に対しては薄い青 ~ 灰色を示す留意点 2: アモサイトは加熱を受けると ( ごくまれには加熱を受けていなくても ) 多色性を示すことがある この時の多色性は繊維の長さ方向が焦茶色 幅方向が薄茶色となる クリソタイルはほぼ無色で多色性を示さない 鉄の含有量によっては アクチノライトが繊維の長さ方向で緑色 幅方向で灰色 ~ 黄色の多色性を示す場合がある (3) 複屈折複屈折の有無やその大きさ (2 つの屈折率の差の大きさ ) はクロスポーラ観察により確認する クロスポーラ観察をするにはアナライザを光路に挿入する 鋭敏色検板は光路からはずしておく 留意点 1: 複屈折を持つ粒子をクロスポーラで観察したとき 粒子中の光の振動面がポラライザ アナライザの振動方向と 45 になっていると干渉色が観察される 干渉色は粒子の厚みと複屈折の大きさ 繊維の軸周りの単繊維の向きの乱雑さの程度によって決まっている 留意点 2: クロスポーラで観察したとき アスベスト繊維は繊維がポラライザの振動方向と 45 になっていると明瞭に観察することができる 留意点 3: クリソタイルの場合は複屈折が低いため細い繊維は灰色に 太い繊維は白またはさらに高い一次の干渉色 ( 場合によっては二次の干渉色 ) を示す クロシドライトは複屈折が低く 可視光の領域に強い吸収があるため異常干渉色を示す アモサイト トレモライト アクチノライト リヒテライト / ウィンチャイトは中程度の複屈折で 細い繊維では白色 太い繊維では一次または二次の干渉色を示す 干渉色については干渉色図表を参照すること 留意点 4: 光学的等方体は複屈折が 0 であり 干渉色を示さない クロスポーラで観察 47

59 すると人工ガラス繊維のような光学的等方体はほとんど見えなくなるが 鋭敏色検板を挿入したりアナライザの角度をわずかにずらしたりすることで視野全体を明るくすると 浸液との屈折率の差によっては輪郭が見えるようになる 屈折率の差が小さいとそれでも輪郭がほとんど見えない場合があるが 分散染色を見るモードにすると屈折率の差が小さくても分散色がガラスと浸液の境目に観察されるので輪郭が見えるようになる 留意点 5: 一部の天然有機繊維はアスベストと紛らわしい形状を持つ場合があるが 繊維の長さ方向に沿って一様でない干渉色を示したり不完全消光をしたりするという特徴からアスベストと区別できる場合がある (4) 消光角クロスポーラでアスベスト繊維を観察すると 1 回転する間に 90 ごとに 4 回繊維が消える ( 消光 ) 繊維の伸長方向とポラライザやアナライザの振動方向が一致しているときに消光することを直消光 角度をなして消光するものを斜消光と呼ぶ クリソタイル アモサイト クロシドライト アンソフィライトはいずれも直消光する トレモライト アクチノライト リヒテライト / ウィンチャイトは直消光と斜消光の両方がありうる 留意点 : トレモライトと鉄含有量が低めのアクチノライト アンソフィライトは同程度の屈折率であるため 区別をするには消光角を用いる 見つかった繊維の消光角を確認してみて繊維の一部が斜消光していれば 屈折率などの他の光学的性質が同様で直消光している他の繊維も含めてトレモライトまたはアクチノライトであると推定できる (5) 伸長の符号伸長の符号は クロスポーラに鋭敏色検板を挿入したときの繊維の色から判断できる 伸長の符号の正負で それぞれの色は以下のようになる 伸長の符号が正の繊維北東 南西方向で青緑色北西 南東方向で橙黄色伸長の符号が負の繊維北東 南西方向で橙黄色北西 南東方向で青緑色 留意点 1: 伸長の符号は繊維の伸長方向と光学的性質との関係を示している 繊維の長さ方向に振動する光の屈折率が幅方向に振動する光の屈折率より高い場合を伸長の符号が正であるとし 逆の場合を負であるとする 48

60 留意点 2: クロスポーラで灰色 白 一次の干渉色を示している繊維で確認するよう気を付ける 高次の干渉色を持つ繊維では 鋭敏色検板を挿入しても色に大きな変化がない場合がある 留意点 3: クロシドライトは唯一伸長の符号が負となるアスベストであるが 300 以上の加熱を受けると伸長の符号の正負が逆転する場合がある 留意点 4: 検板には屈折率の大小の方向 (X および Z またはαおよびγ) が表示されているので X またはαが北西 南東方向 Z またはγが北東 南西方向になっていることを確認すること (6) 屈折率アスベスト繊維の屈折率は 分散色の観察により確認できる 1 分散色を確認したい繊維を消光位におく 2 昼光色補正フィルタとポラライザ以外のすべてのフィルタ類を光路から外す 3 分散染色用対物レンズに切り替える 4コンデンサを分散染色用のコンデンサに切り替える 分散色を観察することで 粒子 繊維の屈折率と浸液の屈折率との関係を以下のように知ることができる a) 繊維の屈折率 >> 浸液の屈折率 : 白色 b) 繊維の屈折率 > 浸液の屈折率 : 紫 赤 / 橙色 / 黄色 c) 繊維の屈折率 = 浸液の屈折率 : 濃青色 赤紫 d) 繊維の屈折率 < 浸液の屈折率 : 青 / 青 緑 e) 繊維の屈折率 << 浸液の屈折率 : 白色 屈折率が大きく違う場合には分散色がいずれも白色になってしまうが 繊維の屈折率が浸液より高い場合には黄色味を帯びて見え 低い場合には青味を帯びて見えるので 色合いに注意して適切な浸液を選ぶ手がかりとする 各アスベストの分散色は表 3.1 のようにまとめられる 表 3.1 アスベストの分散色 アスベストの種類 浸液の屈折率 分散色 ( ) 分散色 ( ) クリソタイル 青色 赤紫色 アモサイト 青色 黄金色 クロシドライト 青色 明青色 49

61 トレモライト 青色 黄色 アクチノライト 青色 赤 赤紫色 アンソフィライト 青色 赤紫 黄色 リヒテライト / ウィンチャイト 青色 赤紫色 留意点 1: 分散色を確認する際には昼光色補正フィルタを外さないようにすること 留意点 2: 偏光顕微鏡用の分散染色用対物レンズを使用している場合は 開口絞りを視野全体が暗くなるまで絞る この時 コンデンサの先玉を光路から外しておく 位相差顕微鏡用の分散染色用対物レンズを使用している場合は コンデンサを位相差用コンデンサに切り替える ユニバーサルコンデンサを使用している場合は 位相差用コンデンサに切り替えるときに先玉を光路に入れるのを忘れないようにする 留意点 3: 分散染色に用いる浸液は Cargille 社製のもののほか試薬を混合することにより調製することもできる 必要な試薬の種類 調製方法については JIS A の の表 2 を参照すること 留意点 4: クリソタイルは産地による組成の違いにより屈折率と観察される分散色に小さな幅が見られるが アモサイトとクロシドライトには顕著な違いは見られない ボリビア産のクロシドライトだけはほかの産地のものに比べて低い屈折率を持つことが分かっているが この場合も繊維の形態や伸長の符号が負であること 多色性から同定を行うことが可能である 留意点 5: トレモライトとアクチノライトは固溶体を形成しているため 組成は連続的に変化する 鉱物学的には Mg/(Mg+Fe 2+ ) が のものをトレモライト のものをアクチノライト のものをフェロアクチノライトと呼ぶことになっており (Leake et al., 1997) 鉄の割合が増えるにつれ屈折率は高くなるため トレモライトとアクチノライトを区別したい場合は高いほうの屈折率が 以下ならトレモライト を超えるならアクチノライトとする 留意点 6: 一部の産地のタルクはアンソフィライトと混同される可能性がある繊維を含んでいる こうした繊維はアンソフィライトとタルクの両方の結晶構造が連晶になっていて 屈折率はアンソフィライトよりも低く タルクとアンソフィライトの中間になる この場合には屈折率 の浸液で分析し 高いほうの屈折率が を超えるような繊維がなければタルクと分類し 高いほうの屈折率が 以上の繊維はアンソフィライトと分類する 留意点 7: リヒテライト / ウィンチャイトの同定は 偏光顕微鏡のみでは困難である バーミキュライトやタルクが試料中に含まれる場合にはリヒテライト / ウィンチャイトが存在する可能性がある 偏光顕微鏡のみで同定しようとする 50

62 と リヒテライト / ウィンチャイトはアクチノライトとよく似た光学的性質を持っているため アクチノライトとして同定されることになる リヒテライト / ウィンチャイトが存在する可能性がある試料で アクチノライトと同様の光学的性質を持つ繊維が見つかり どちらであるかを確定したい場合は 走査型または透過型電子顕微鏡による同定を行うことが推奨される 参考 分散染色の原理粒子と浸液の屈折率の波長分散が異なっていると ある波長で屈折率が一致していても他の波長では異なっていることになる これにより 適切な浸液で観察すると粒子と浸液の境界に色がついて見える 実際に行う際には暗い背景で明るい色のついた粒子を見るのがもっとも見やすいため コンデンサ絞りからの光線に対し対物レンズの後焦点面の中心部分を遮光することで分散色を観察する ( 位相差用分散染色レンズの場合は 位相差用コンデンサのスリットに合わせてリング状に遮光されている ) 通常用いられる浸液の屈折率は 摂氏 25 における 589.3nm の波長の光に対する屈折率である これより短い波長に対する浸液の屈折率は大きく 長い波長に対する屈折率は小さくなっている 一方粒子の屈折率の分散は浸液の屈折率の分散に比べるとはるかに小さい したがって 粒子の屈折率が浸液よりも大きい場合は 589.3nm より短い波長で屈折率が一致することになり 逆の場合は長い波長で一致することになる 屈折率の一致する波長の光は分散染色用レンズで遮蔽されてしまうため 分散染色で観察されるのはその補色である そのため 粒子の屈折率が浸液より大きければ短い波長の青の光が遮られて赤 黄色系の色 浸液より小さければ長い波長の赤の光が遮られて青系の色が観察されることになる 浸液の屈折率は温度により変化するため 分析室の室温は常に監視する必要がある 浸液の屈折率の温度による変化率は 通常瓶のラベルに記載されている アスベスト質量分率の推定アスベストが同定された場合は 肉眼 実体顕微鏡 偏光顕微鏡による観察結果に基づきアスベストの質量分率を 0.1-5%, 5-50%, % の 3 段階で推定する 分析の際にアスベスト繊維が 1,2 本のみ検出され 意図しない混入の可能性がある場合は これらの 3 段階以外に 検出 という表現を使用することができる 目視定量をする際には図 3.3 及び図 3.4 のような模式図や 類似した素材からなる既知濃度試料を参考にする 模式図を参考にする場合は 例えば粒子が視野の 40% アスベスト繊維が視野の 5% を占めていれば 5/(40+5) で 11% 程度と推定されるので 5-50% となる 留意点 1: 目視定量の結果は分析データとして保管する必要があるが 試験報告書に必 51

63 須の項目ではない 留意点 2: 分析の結果 検出 及び 0.1-5% となった場合に 0.1% を本当に超えるかどうかを確認したい場合は JIS A により定量分析を行うことができる 分析の結果アスベストが検出されない場合は 0.1% 未満であるため定量分析をする必要はない 図 3.3 粒子の面積 %(Terry and Chilingar (1955) を改変 ) 52

64 図 3.4 繊維の面積 %(Asbestos Identification Using PLM より ) 3.3. 分析に影響を与える要素 加熱を受けたアスベスト加熱を受けるとアスベストの光学的性質が変化する クロシドライトの場合 の熱に短時間曝しただけでも色の変化や屈折率 複屈折の増大が生じる クロシドライトは加熱によって以下のような変化をする 伸長の符号の正負の反転 ( 負 正 ) 53

65 色の変化 ( 灰色 黄色 橙 ~ 茶色 ) 多色性の変化 ( 灰色の段階で一旦弱まった後 多色性が再度あらわれる ) アモサイトは加熱しても伸長の符号が変化しない 色は黄色から焦げ茶へと変化し 多色性が見られるようになる 500 以上の加熱を受けたクロシドライトとアモサイトは光学的性質がよく似てくるため 偏光顕微鏡では区別が不可能になる クリソタイルの屈折率は 600 以上の熱にしばらく曝されると上昇する 複屈折は小さくなり 稀に伸長の符号の正負が反転する場合がある 色は薄い茶色になる 留意点 : 熱影響が進むと最終的には非アスベストに変化するが 光学的性質が変化してもアスベストとしての性質が残っている場合もあるため 加熱による影響が疑われる場合は透過型電子顕微鏡や X 線回折分析法により元の結晶構造が残っているかどうかの確認を行うことが推奨される 溶脱クリソタイルクリソタイルを酸性の液体に曝すとマグネシウムが溶脱することにより屈折率が下がる場合がある 溶脱が続くと複屈折も低下し 最終的には光学的等方体に変化する 溶脱は試料調製や前処理における酸の使用のほか 腐食性の水 ( カルシウム マグネシウムに乏しく ph の低い水 ) によっても起きる 溶脱クリソタイルは長く雨に曝された屋根のセメント材などにみられる場合がある 留意点 : 長く雨に曝された可能性のある試料を分析する場合は溶脱クリソタイルが存在する可能性があることに留意する 間違いやすい繊維ポリエチレンは形状がややクリソタイルに似ている場合があり 屈折率も近似しているため注意が必要である 偏光顕微鏡用標本をホットプレートやライターの火で泡が出るまで加熱すると ポリエチレンであれば溶けるためクリソタイルと区別することができる 細断されたアラミド繊維はクリソタイルと形状が似ているが 複屈折が非常に高いことで見分けられる 皮革の繊維やクモの糸 セルロースのような天然有機繊維は屈折率がクリソタイルと近いため特に付着物が多い場合には見間違える可能性がある このような繊維の存在が疑われる場合は灰化をすることで除去することができる 繊維状タルクは細いリボン状で 特徴的なねじれで認識できる場合もある タルク中にアンソフィライトが不純物として含まれる場合があるので ねじれのない繊維については高いほうの屈折率が を下回ることを確認するようにする 54

66 繊維状ブルーサイト ( ネマライト ) は直線状の繊維で白色または薄茶色で アスベストほどの抗張力はなく 酸に溶ける ブルーサイトの伸長の符号は負で 加熱を受けると正に変わる の浸液で分散色が黄色 薄黄色になることでクリソタイルと区別する ウォラストナイトは直線的な針状の繊維形状を示す場合があり トレモライトと屈折率が近いため混同される可能性がある ウォラストナイトは 繊維の長さ方向の屈折率が幅方向の 2 つの屈折率の中間になるため 繊維の向きにより伸長の符号が変化する 偏光顕微鏡用標本のカバーガラスをプローブなどで軽くたたいて繊維を転がした時 伸長の符号の正負が反転すればウォラストナイトであると同定できる 珪藻土は針状のかけらを含むことがあるが 屈折率が 1.42 程度と低いためアスベスト繊維とは容易に区別できる 3.4. 不検出確定の手順建材のアスベスト分析において 不検出 を決定するには 徹底した分析が必要である 不十分な分析はアスベストの見落とし ( フォールス ネガティブ ) につながる可能性があるため JIS A に記載されている手順に適切に従う必要がある 分析でアスベストが同定されなければ 分析者はその試料を不検出と報告することができる 以下に記述する手順は JIS A の分析手順に対する追加の手引きとなるものである 表 3.2 建材の種類別の処理方法の例成形材 ( 床タイル 巾木を除く ) 割るナイフで削る乳棒で押しつぶすピンセットでほぐす床タイル 巾木 接着材ナイフで削り 浸液に浸して加熱する吹付け材ピンセットでほぐす乳棒で押しつぶす紐状 織物状の素材ピンセットでほぐす塗材ナイフで 1 層ずつ削り取る 1. 試料全体を肉眼と実体顕微鏡で調べ 試料の構成要素 層構造 目視できる繊維のすべてを記録する レベル3 建材においては目視できる繊維を見つけるため試料を削ったり割ったりする必要がある場合がある 試料の前処理が必要かどうかを確認する 試料の不均一性を示している可能性があるので色や質感の違いに留意する 2. 目視できる繊維は直ちに偏光顕微鏡分析用のプレパラートにする 目視できる繊維 55

67 がすべて非アスベストと確認されても 試料の全体が不検出であると報告することはできない さらに分析が必要である (4. 以降の手順 ) 3. 妨害物質を除去する必要がある試料については そのための前処理を JIS A に示されている方法に従って行う必要がある 0.2μm より細いアスベスト繊維は偏光顕微鏡で検出できない可能性が高い アスベストの繊維束構造を崩さないために過度の粉砕は避ける ( 例えば乳鉢でのゆるやかなすりつぶし ) 試料の前処理のあとは再び実体顕微鏡による徹底的な確認を行うべきである g 程度を手作業ですりつぶすなどして実体顕微鏡でよく調べる ( 建材別の適切な処理方法は表 3.2 を参照すること ) 目視できる繊維が存在していない または目視できる繊維がすべて非アスベストであった場合 試料の各層 各部分から数 mg ずつを無作為に分取して偏光顕微鏡分析用のプレパラートを 6 枚ずつ作製する 試料を均一に広げるため塊はほぐしておく 適切に作成されたプレパラートの偏光顕微鏡写真の例を図 3.5 に示す プレパラート 1 枚に乗せる試料の量は原則として 3mg 程度とする 5. プレパラートを偏光顕微鏡で観察する カバーガラスの右上の角から始めて プレパラートを縦方向または横方向の線に沿って 前にスキャンした領域を視野に入れながら動かしていき カバーガラスの下の領域すべてを分析する このスキャンは倍率 100 倍 ( 接眼レンズ 10 倍 対物レンズ 10 倍 ) で行ない アスベストの可能性がある微細な繊維を発見した場合は適宜 400 倍に切り替えるなどして確認する 見つけた繊維は 少なくとも 1 つの光学的特性がアスベストと異なると分かるまで観察をする までの手順でアスベストが見つからない場合は試料調製 ( 灰化 酸処理 ) を行い 残渣から無作為にプレパラート 1 枚あたり 3mg 程度を分取して 2 枚以上のプレパラートを作製して 5. と同様の方法で偏光顕微鏡観察を行う なお クリソタイルが変質する恐れがあるため冷希塩酸 (2mol/L 室温) 中に 15 分以上浸して放置しないよう留意する 7. アスベスト繊維が見つからなければアスベスト不検出と報告される 偏光顕微鏡での不検出の結果はその試料中のアスベストの濃度が検出下限値未満であることを示しており その検出下限値は 0.01% を下回る 8. 以上の操作による偏光顕微鏡での分析では 均一な試料を作成して数 mg の観察試料中に 1 本のアスベスト繊維が確認できなければ 0.01% 以下となるといえる その理由は次のように考えることができる 1mg の建材試料を偏光顕微鏡で確認する場合を考えると 0.01% 以下であることを証明するにはその中に 0.1μg を超える重量の繊維がないことを確認すればよい 例えば 2μmφのクリソタイル繊維で長さ 10μm の重量は約 0.9x10(-4)μg(1x1x3.14 x10x3( 密度 )x10(-12))g となる また角閃石では約 1.2x10(-4)μg 56

68 (2x2x10x3x10(-12g)) となる いずれも概ね μg であり 0.1μg より 3 桁程度低い 長さが 100μm であっても 0.001μg 程度であり 0.1μg より 2 桁低い これ以下の繊維径と長さであれば十分に低い重量となる 従って 1mg の試料中にこのサイズの繊維が確実にないことが確認できれば検出限界 0.01% 以下ということができる ただし この操作には試料の前処理が必要であり 繊維が共存物質により隠されないような操作手順に十分な配慮をすることが記載されている 1 試料から繊維を分離させる 試料が塊状である場合は切断 破断 潰す等して内部の繊維を確認する ただし繊維が粉砕されないように乳鉢等でゆるやかに潰し 均一にする 2 試料中のバインダー等 ( 炭酸カルシウム 硫酸カルシウム ケイ酸カルシウム等 ) は希塩酸で溶解除去でき 有機物であれば溶剤による溶解あるいは灰化による除去も可能である 3 更に試料を均一化して 数 mg を観察する 図 3.5 適切なプレパラートの例 ( 倍率 100 倍 ) 留意点 1: けい酸カルシウム板 耐火二層管などの試料では粒子がアスベスト繊維に付着して繊維の同定が困難になる場合があるが 10% の冷希塩酸 ( 室温 ) などによる処理でこのような付着粒子を除去すると検出が容易になる場合がある ( 図 3.6) 57

69 図 3.6 耐火二層管試料の浸液中 ( 左 ) と 10% 塩酸中 ( 右 ) の偏光顕微鏡写真 ( 倍率 100 倍 ) 留意点 2: ロックウール吸音天井板 ( 岩綿吸音板 ) ビニル床タイルには微細なクリソ タイル繊維が低濃度で含まれることがあるので留意する ( 図 3.7) 図 3.7 ロックウール吸音天井板 ( 岩綿吸音板 ) 試料 ( 左 ) とビニル床タイル ( 右 ) 中 のクリソタイルの偏光顕微鏡写真 ( 倍率 400 倍 ) 留意点 3: バーミキュライト中に含まれる可能性のあるリヒテライト / ウィンチャイトは肉眼で見える大きさの繊維束として入っている場合があるので 実体顕微鏡下で試料全体をくまなく探すようにする 留意点 4: 同定が困難な微細な繊維が偏光顕微鏡観察で確認された場合は 電子顕微鏡による検査で確認することが推奨される 留意点 5: 試料が実体顕微鏡観察で色や質感からだけでは均一性が判断できない場合は 1 つまみの試料を 2 か所以上から取ってプレパラートを作製し 偏光顕微鏡で確認する 偏光顕微鏡で観察して粒子構成が違っていれば その試料は不均一である 不均一で層をなしている場合はそれぞれの部分から最低 2 枚ずつプレパラートを作製して偏光顕微鏡分析を行なう 58

70 第 4 章. 定性分析方法 2(X 線回析分析法 位相差分散顕微鏡法 ) 4.1.X 線回折分析法 位相差分散顕微鏡法を併用した建材製品中のアスベストの定性分析方法の概要アスベスト含有建材等のアスベストの含有の有無を調べるための定性分析は図 4.1 の手順に従って実施する 分析対象の建材等から適切な量の試料を採取し 当該建材の形状や共存物質によって研削 粉砕 加熱等の処理を行った後 一次分析試料を調製する 次に X 線回折分析法用試料として 一次分析試料をぎ酸で処理して 二次分析試料を調製する 調製した二次分析試料を用いて X 線回折分析法による定性分析を実施するとともに 一次分析試料を用いて 位相差 分散顕微鏡を使用して分散染色分析法による定性分析を実施する X 線回折分析法による定性分析結果及び分散染色分析法による定性分析結果から 判定基準に基づいてアスベスト含有の有無を判定する なお 分析用試料にアスベストが含有しているか否かについての X 線回折分析法による定性分析の結果 バーミキュライトの回折ピークが認められた吹付け材については の吹き付けバーミキュライトを対象とした定性分析方法により分析を行なう なお 本法は JIS A をベースとしつつも その一部を修正し また JIS A を単に補足するのではなく 分析手順等が本書の内容で完結するよう解説している そのため 石綿障害予防規則に基づく分析は JIS A ではなく 本書を参照して行う必要がある 図 4.1 建材製品中の石綿含有の判定のための定性分析手順 59

71 定性分析用試料の調製 分析対象試料の外見や色調等について観察を行った後 位相差 分散顕微鏡による定 性分析用及び X 線回折分析方法による定性分析用の試料の調製を行なう 位相差 分散顕微鏡による定性分析用の一次分析試料の調製 (1) 無機成分試料の場合 3 ヶ所から採取した無機成分試料の必要量を同量ずつ採って粉砕器に入れて粉じんの飛散に留意しながら十分に粉砕した後 目開き 425~500μm の篩いを通して篩い分けし すべての試料が篩い下になるまで粉砕と篩い分けの操作を繰り返して行い 篩い分けした試料を位相差 分散顕微鏡による定性分析用の一次分析用試料とする 留意点 1: 成形された建材試料の場合は カッターナイフやボードサンダー等で側面を削りとった試料を粉砕器に入れ 十分に粉砕した後 目開き 425~500 μm の篩いを通して篩い分けし すべての試料が篩い下になるまで粉砕と篩い分けの操作を繰り返して行い 篩い分けした試料を一次分析用試料とする 留意点 2: 粉砕器としては乳鉢 ( 磁性乳鉢 瑪瑙乳鉢 アルミナ乳鉢など ) ウイレー粉砕器 超遠心カッター 振動ミル ボールミルなどを使用し 粉砕の程度と粉砕時間はアスベストの繊維形態に影響を与えるとともに 建材の一部のものは細かくなりすぎるものもあるので過剰粉砕にならないように 短時間粉砕で篩い分け回数を多く繰り返すこと 留意点 3: 定性分析用の一次分析用試料を調製する場合の試料の量は 使用する X 線回折分析用の試料ホルダーの容積及び位相差 分散顕微鏡による定性分析の使用量を考慮して調製すること (2) 有機成分試料の場合 3 ヶ所から採取した試料の必要量を同量ずつとり 磁性るつぼに入れ 450 ±10 に設定した電気炉に入れ 1 時間以上加熱後清浄な状態で放冷して有機成分を灰化した後 試料を粉砕器に入れ (1) に従って粉砕 調整し 位相差 分散顕微鏡による定性分析用の一次分析用試料とする 留意点 : 灰化には低温灰化装置を用いて有機成分を灰化してもよい 60

72 X 線回折分析方法による定性分析用の二次分析試料の調製 で調整した一次分析用試料を X 線回折分析装置の試料ホルダーに充填し 定性分析を行い アスベストおよび共存成分の確認を行なう 次に で調整した一次分析用試料を X 線回折分析装置の試料ホルダーに充填するための必要量を秤量してコニカルビーカーに入れ 試料 100mg に対して 20% のぎ酸を 20ml 加えて撹拌し その後 無塵水 40ml を加えて超音波洗浄器で1 分間分散する 30 ±1 に設定した恒温槽内に入れ 12 分間連続して振蕩後 ポアサイズ 0.8μm φ 25mm の白色メンブランフィルターを装着したガラスフィルターベースの吸引ろ過装置で吸引ろ過を行い 無じん水にて数回洗浄する ろ過後 フィルタを取り出し 乾燥後 フィルタ上に捕集された試料をフィルタから剥がして X 線回折分析方法による定性分析用の二次分析試料とする 留意点 1: 分析対象試料に関する既知データから アスベスト含有率が明らかに高いと判断される場合は 一次分析試料を直接使用して X 線回折分析方法による定性分析を行ってもよい 留意点 2: 定性分析用の二次分析試料の調製にあたっては 使用する X 線回折分析装置の試料皿の容量を考慮して試料の量を増やす場合には 一次分析試料 100mg に対して 20% のぎ酸を 20ml 無じん水を 40ml の割合を遵守して調製すること X 線回折分析方法による定性分析方法 X 線回折分析方法による定性分析用の二次分析試料を試料ホルダーに均一に かつ試料ホルダー面と一致するように充填し X 線回折分析装置にセットし 表 4.1 に示す定性分析条件で測定し 得られた X 線回折パターンの回折線ピークに図 4.2 から図 4.6 に示す分析対象のアスベストの回折線ピークまたは図 4.7 から図 4.9 に示すバーミキュライトの回折線が認められるか否かを確認し プロファイル上に所定の記号を記す また 共存するアスベスト以外の結晶性物質の種類を確認し プロファイル上に所定の記号を記す 留意点 1: 表 4.1 に示す定性分析条件と同等以上の検出精度を確保できる装置等による定性分析を実施してもよい 留意点 2: 定性分析に使用する試料ホルダーは 試料ホルダー由来の回折線ピーク ( 例えば アルミニューム等 ) が妨害ピークとなるため ガラス製の試料ホルダーを使用する等の注意が必要である 留意点 3: アスベストおよび共存するアスベスト以外の結晶性物質の X 線回折パターンの回折線ピークの確認には 試料と同一条件でアスベスト標準試料の X 61

73 線回折パターンを測定して比較するか ICDD データファイル ( 米国 ) 等を使用し 回折線ピークのすべてについて確認する 留意点 4: 確認されたアスベスト以外の結晶性物質の種類に関する情報は 定量分析用の分析試料の調製に活用すること 留意点 5: トレモライトおよびアクチノライトは化学組成が連続的に変化する固溶体のため X 線回折パターンによる判別は難しいため 分析結果はトレモライト / アクチノライトと表示して同一の種類として扱う 留意点 6: 煙突用の断熱材は 重油等の燃焼により発生した SOx ガスと煙突内の建材に由来するカルシウムやナトリウム等が反応して生成した硫酸カルシウムや硫酸ナトリウム等の硫酸塩が蓄積している場合があり X 線回折分析法の定性分析で硫酸塩を確認すること 表 4.1 X 線回折装置の定性分析条件 設定項目 測定条件 X 線対陰極 銅 (Cu) 管電圧 (kv) 40 管電流 (ma) 30~40 単色化 (K β 線の除去 ) Ni フィルタ又はグラファイトモノクロメータ フルスケール (cps) 1000~4000 時定数 (s) 1 走査速度 ( /min) 1~2 発散スリット ( ) 1 散乱スリット ( ) 1 受光スリット (mm) 0.3 走査範囲 (2θ)( ) 5~ X 線回折分析法による定性分析の基本的な解析手順 (1) Search Manual によるカード検索方法 1 回折パターンから主な回折線の回折角度 (2θ) を読み取る 22θ-d 対照表を使用して各回折線に対する格子面間隔 d(a ) を求める 3 回折線の強度比を求める 43 強線を選び 既知物質データ集の Hanawalt 索引を使って調べる アスベスト含有建材等の場合は 一種類の物質では説明できない回折線が存在するため 上記の作業を繰り返し すべての回折線の帰属が説明できるように 混在している物質を特定する 62

74 (2) 検索用データベースによる方法コンピュータ制御の検索システムでは計算対象の回折線の数や評価精度 構成元素情報など詳細な条件設定の指定が可能で 処理時間も大幅に改善されている 検索用データベースは 1936 年 J D Hanawalt により 化合物の回折線の面間隔と強度を測定したデータベースが作成され ASTM (American Standard for testing Materials) からカード形式で刊行された その後 1969 年に ASTM から独立した JCPDS(Jointo Committee Diffraction Standard) に引き継がれ 現在は ICDD(International Centre for Diffraction Data) データベースにいたっている 図 4.2 クリソタイル JAWE131 の X 線回折パターン 63

75 2θ/Degree CuKα 図 4.3. アモサイト JAWE231 の X 線回折パターン 図 4.4 クロシドライト JAWE331 の X 線回折パターン 64

76 2θ/Degree CuKα 図 4.5 トレモライト / アクチノライト JAWE531 の X 線回折パターン 図 4.6 アンソフィライト JAWE431 の X 線回折パターン 65

77 図 4.7 バーミキュライト未処理及び KCl 処理物の X 線回折パターン 66

78 未処理 ハイドロバイオタイト バーミキュライト フロゴパイト オージャイト アパタイト 塩化カリウム処理後 2θ/Degree CuKα ( 管電圧 :40kV 管電流 :40mA 走査速度 :1 /min) 拡大した X 線回折パターン クリソタイルピーク ( 管電圧 :40kV 管電流 :40mA 走査速度 :1/8 /min) 図 4.8 バーミキュライト標準試料 ( クリソタイル 0.8% 含有 ) の X 線回折パターン 67

79 未処理 ハイドロバイオタイト バーミキュライト フロゴパイト オージャイト アパタイト 塩化カリウム処理後 2θ/Degree CuKα ( 管電圧 :40kV 管電流 :40mA 走査速度 :1 /min) 拡大したX 線回折パターン トレモライトピーク ( 管電圧 :40kV 管電流 :40mA 走査速度 :1/8 /min) 図 4.9. バーミキュライト標準試料 ( トレモライト 0.5% 含有 ) の X 線回折パターン 68

80 I(cps) 一次分析試料 I(cps) ギ酸処理試料 図 4.10 吹付け材の定性分析例 2θ/Degree CuKα 69

81 I(cps) 一次分析試料 I(cps) ギ酸処理試料 図 4.11 スレート材の定性分析例 2θ/Degree CuKα 70

82 I(cps) 一次分析試料 I(cps) ギ酸処理試料 2θ/Degree CuKα 図 4.12 石膏ボードの定性分析例 71

83 留意点 1: 図 4.10 に 吹付け材の一次分析試料の定性分析例 ( クロシドライト含有吹付け材 ) を示した 留意点 2: 図 4.11 に 残さ ( 渣 ) 率の低い [ 残さ ( 渣 ) 率 :0.08, スレート板 ] の場合の一次試料の回折線 ( 上段 ) および二次分析試料の回折線 ( 下段 ) を示した 一次試料の主成分となる CaCO 3 ( カルサイト ) の回折線は ぎ酸処理によって溶解する また マトリックス成分の溶解によって クリソタイル (2θ:12.1 ) の回折線の感度が著しく向上する 留意点 3: 図 4.12 に石膏ボードの一次試料の回折線 ( 上段 ) および二次分析試料 ( ギ酸処理試料 下段 ) 回折線を示した 留意点 4:X 線回折ピークの同定には次の共通記号を使用する Chr: クリソタイル Amo: アモサイト Cro: クロシドライト Tre /Act: トレモライト / アクチノライト Ant: アンソフィライト Ca: カルサイト Q: 石英 Tr: トリジマイト Cr: クリストバライト Vc: バーミキュライト Hb: ハイドロバイオタイト Br: ブルーサイト Se: セピオライト Cl: クロライト Mc: マイカ ( イライト ) Fl: 長石 Gyp: ギプサム ( 石膏 ) Un: 未同定ピーク留意点 5: 石綿障害予防規則第 3 条第 2 項に基づく事前調査における石綿分析結果報告書 ( 証明書 ) の X 線回折分析法による定性分析回折線プロファイルの欄には図 4.10~4.12 に示した通り 上段に一次分析試料 下段に定性分析用二次分析試料の回折線プロファイルを併記して記載すること 72

84 石綿 6 種類及び関連鉱物の X 線回折線データファイル (Cu-Kα) 総ての石綿データは Cu-Ka による回折角度に換算したものである 表 4.2 クリソタイルの X 線粉末回折線データ (Clinochrysotile-2M) θ ( ) d(å) I/I 文献 :Moody,J.,Can.Mineral.,14,462(1976) 産地 試料 :East Broughton,Quebec.Canada 73

85 表 4.3 アモサイトの X 線粉末回折線データ (Grunerite) θ ( ) d(å) I/I < u u < θ ( ) d(å) I/I < u u <1u 文献 :Davis,B.,South Dakota School of Mines and Technology, Rapid City,South Dakota,USA,ICDD Grant-in-Aid(1991) 産地 試料 :Transvaal,South Africa 74

86 表 4.4 クロシドライトの X 線粉末回折線データ 表 4.5 アンソフィライトの X 線粉末回折線データ (Riebeckite) (Anthophyllite) θ ( ) d(å) I/I θ( ) d(å) I/I 文献 : 産地 試料 :Doubrutscha,Rumania. 文献 :Beatty,Am.Mineral.,35,579(1950) 産地 試料 :Specimen from Georgia,USA. 75

87 表 4.6 トレモライトの X 線粉末回折線データ 表 4.7 アクチノライトの X 線粉末回折線データ (Tremolite) (Actinolite) θ( ) d(å) I/I 0 2θ( ) d(å) I/I 文献 :Stemple,Brindley,J.Am.Ceram.Soc.,43,34(1960) 産地 試料 :Gotthard,Switzerland 文献 :Dostal,Acta Univ. Carol.,Geol.,3,175(1965) 産地 試料 :Sobotin,Czechoslovakia. 76

88 表 4.8 バーミキュライトの X 線粉末回折線データ 表 4.9 セピオライトの X 線粉末回折線データ (Vermiculite-2M) (Sepiolite) θ ( ) d(å) I/I u u u u u u b u u u u u u 文献 :Mukherjee,Clay Miner.Bull.,5,194(1963) 産地 試料 :Ajmer-Marwar,India 2θ( ) d(å) I/I b 文献 :Brindley,Am.Mineral.,44,495(1959) 産地 試料 :Little Cottonwood,Utah,USA 77

89 表 4.10 タルクの X 線粉末回折線データ (Talc-2M) θ( ) d(å) I/I 0 2θ( ) d(å) I/I < b b < b b b b b b b < b b b b b b 文献 :Technisch Physische Dienst,Delft,The Netherlands ICDD Grant-in-Aid,(1966) 産地 試料 : 78

90 表 4.11 ブルーサイトの X 線粉末回折線データ (Brucite) θ( ) d(å) I/I 文献 :Natl.Bur.Stand.(U.S.),Circ.539,6,30(1956 産地 試料 :NBS 調整 表 4.12 カルサイトの X 線粉末回折線データ (Calcite) θ ( ) d(å) I/I 文献 :Swanson,Fuyat,Natl.Bur.Stand.(U.S.), Circ.539,II,51(1953) 産地 試料 :Mallinckrodt Chemical Works. 79

91 表 4.13 ウォラストナイトの X 線粉末回折線データ表 石英の X 線粉末回折線データ (Wollastonite-1A) (Quartz) θ ( ) d(å) I/I θ ( ) d(å) I/I < < < 文献 :Kern,A.,Eysel.,W.,Mineralogisch-Petrograph.Inst.,U Heidelberg,Germany,ICDD Grant-in-Aid,(1993) 産地 試料 : 文献 :Matsueda,H,Mineral. J,7,180(1973) 産地 試料 :Sampo mine,chugoku Province,Japan. 80

92 表 4.15 ギプサム ( 石膏 ) の X 線粉末回折線データ (Gypsum) θ ( ) d(å) I/I θ ( ) d(å) I/I 文献 :Natl.Bur.Stand.(U.S.)Monogr,25,17,16,(1980) Winchell,A,Elements of Optical Mineralogy,2,157,(1951) 産地 試料 : 81

93 表 4.16 アンチゴライトの X 線粉末回折線データ 表 4.17 リザルダイトの X 線粉末回折線データ (Antigorite) (Lizardite) θ( ) d(å) I/I 文献 :Selfridge L Am Mineral.,21 469(1936) 産地 試料 :Cross River, Mikonni, New Zealand. 2θ( ) d(å) I/I 文献 :Krstanovic, I., NeuesJahrb. Mineral., Monatsh., 1997, 451, (1997) 産地 試料 :CrniKamen, Kacanik, Sar Mount,Serbia, Yugoslavia 82

94 表 4.18 クロライトの X 線粉末回折線データ (Clinochlore) θ( ) d(å) I/I θ( ) d(å) I/I 文献 :Calculated from ICSD using POWD-12++, (1997) 産地 試料 :Erzincan province, Turkey 83

95 表 4.19 カオリナイトの X 線粉末回折線データ (Kaolinite) θ( ) d(å) I/I θ( ) d(å) I/I θ( ) d(å) I/I 文献 :Calculated from ICSD using POWD-12++, (1997) 産地 試料 :Keokuk, IA, USA 84

96 表 4.20 ハロイサイトの X 線粉末回折線データ (Halloysite-7A ) θ ( ) d(å) I/I 文献 :MacEwan, Amoros., AnalesEdafol. Fisol. Vegetal (Madrid), 9, 363, (1950) 産地 試料 :Hungary

97 一次分析試料による位相差 分散顕微鏡による定性分析方法 標本の作製容量 50ml の共栓試験管に一次分析用試料 10~20mg の範囲で必要量を精秤し 無じん水 20~40ml を入れ 激しく振とうした後 容量 50ml のコニカルビーカーに移し 回転子をいれ マグネチックスターラーで撹拌しながら 清拭したスライドグラス上に載せた円形のガイド内にそれぞれマイクロピペッターで 10~20μl の範囲で滴下し 円形のガイドを載せたまま 100±10 に設定したホットプレート上で乾燥し 乾燥後 円形のガイドをはずす スライドグラスが室温になるまで放冷後 選択した浸液を 1 滴滴下し カバーグラスを載せて定性分析用の標本とする 同様の操作を繰り返し 一分析試料に付き アスベストの種類および選択した浸液の種類に応じた標本数を作製する 留意点 1: マイクロピペッターで試料溶液を採取する際に ビーカー内の試料が偏在しないように十分注意する必要がある 留意点 2: 一次分析用試料の必要量は試料の種類によって異なるため 一次分析用試料作製時の粉砕 篩分け時の状況により 短時間で粉砕 篩分けが可能であった場合少なくする方が良い (1) アスベストの X 線回折ピークが認められた場合 X 線回折分析法による定性分析結果に基づき X 線回折ピークが認められたアスベストに該当する浸液を屈折率 n 25 D = 又は の6 種類の中から選ぶ 選択したそれぞれの浸液に対して3 枚の標本を作成し 当該浸液をそれぞれの標本に 3~4 滴滴下し その上に清拭したカバーグラスを載せて標本とし 各標本に試料 浸液の屈折率を記載しておく 留意点 : 浸液の選択に当たっては 表 4.21 に示す屈折率 n 25 D = の浸液を併用し 分散色の変化を確認しておくことが重要である (2) アスベストの X 線回折ピークが認められない場合試料採取時の記録および X 線回折分析法による定性分析結果から入手したアスベスト以外の結晶性物質の種類に関するデータに基づき 屈折率 n 25 D = 又は の6 種類の浸液から 使用の可能性があるアスベストに相当する浸液を選択する 選択した一種類の浸液に対して3 枚の標本を作成し 当該浸液をそれぞれの標本に3 ~4 滴滴下し その上に清拭したカバーグラスを載せて標本とし 各標本に試料 浸液の屈折率を記載しておく 86

98 留意点 : 分析対象試料に関して 設計図書や試料採取時の記録 国土交通省の建材製品のデータ X 線回折分析法による定性分析の結果のどれからも情報が得られない場合には X 線回折分析法による定性分析用の二次分析試料を使用して 予め 屈折率 n 25 D = 又は の浸液に対して鋭敏分散色を示す粒子 ( アスペクト比 3 以上の粒子及びそれ以外の粒子を含めた粒子 ) の存在を確認し 鋭敏分散色を示す粒子が認められた浸液を選択する 写真 4.1 標本作製用円形ガイドの例 87

99 石綿の種類 表 4.21 アスベストの分散色 屈折率 25 a) n D クリソタイル b) アモサイトクロシドライトトレモライト b) 分散色 偏光振動方向偏光振動方向 ( 参考 ) c) ( 参考 ) c) 赤紫 ~ 青 橙 青 桃 橙 青 青 濃青 ~ 紫 淡青 だいだい ( 橙 ) ~ 赤褐 濃橙 淡橙 b) 桃 桃 桃 青 淡青 濃青 ゴールデンゴールデンイエローイエロー 紫 b) 赤紫 橙 青 青 青 淡青 アクチノライト 又は b) 赤紫 ~ 桃橙 ~ 赤紫青 桃 ~ 薄青 橙 ~ 赤紫 青 ゴールデン淡ゴールデン 橙イエローイエローアンソフィライト b) 橙 ~ 赤紫橙赤紫 ~ 青 青 濃青 淡青 注 a)25 における屈折率を示す b) それぞれの石綿の鋭敏色を示す屈折率である c) 顕微鏡に附属のアナライザを使用する場合の偏光振動方向を参考として示す 方向は, 石綿繊維の伸長方向と偏光板の振動方向が平行になった場合を示す 方向は, 石綿繊維の伸長方向と偏光板の振動方向が直交になった場合を示す 留意点 1: 表 4.21 に示したアスベストの分散色は色補正フィルタを使用しない場合の分散色であり 顕微鏡メーカーにより視野の背景色の濃淡が多少異なることがあるので 標準アスベスト繊維により分散色の色調を確認しておくこと 留意点 2: 浸液の屈折率は長期間の保存や 保存状態により変化するため 使用の都度 屈折計により確認することが望ましい 88

100 位相差 分散顕微鏡による定性分析方法作製した標本を位相差 分散顕微鏡のステージに載せ 倍率 10 倍の分散対物レンズで粒子が均一に分散しているかを確認する 均一性が確認された標本について 分散対物レンズの倍率を 40 倍に切り替え 10 倍の接眼レンズのアイピースグレーティクルの直径 100μm の円内に存在するすべての粒子数と分散色を示したアスペクト比 3 以上の繊維状粒子数を計数し その合計粒子数が 1000 粒子になるまでランダムに視野を移動して計数し 分散色を示したアスベストの種類と繊維状粒子数及び分散色を示した粒子数を記録する アイピースグレーティクルの直径 100μm の円の境界に掛かる粒子の取り扱いは JIS K または作業環境測定ガイドブック 1に準じる 留意点 1: 粒子が多すぎたり 少なかったりした場合には一次分析試料の分取量やマイクロピペッターの分取量を調整して標本を作製し直すこと 1 標本で 1000 粒子を計測するための標本は 1 視野当たり 10 粒子を目安として 100 視野の計数で 1000 粒子の計測となるように調製する 留意点 2: 計数に際しては 1000 粒子を計数した視野数を記録しておき 3 枚の標本が近似した視野数であるか否かを確認し 変動が大きい場合は 100 視野で 1000 粒子となるように標本を作製し直すこと 留意点 3: 分散染色法でアスベストの種類を同定する場合には 予め標準アスベスト繊維を使用して屈折率の異なる浸液の分散色を確認し 浸液の屈折率と当該アスベストの分散色の関係をグラフ化 ( 分散曲線を作成 ) しておくか 写真でシリーズ化しておことが重要であり 鋭敏分散色のみで判断すると誤った判断をする場合があるので注意が必要である 留意点 4: アスベスト繊維は天然鉱物であり 産地によって屈折率が多少異なるため 表 4.21 の鋭敏色を示す屈折率の浸液によってアスベストが検出されない場合には 表 4.21 に示す鋭敏色の前後の屈折率の浸液による確認を行うとともに 鋭敏色以外の残りの屈折率の浸液についてそれぞれ3 標本を作製し 同様の分析を行い 色の変化を確認する 留意点 5: 分散色の同定には 顕微鏡に附属のアナライザを使用し 繊維の伸長方向と平行及びそれと直交する偏光振動方向の分散色を確認することにより分析精度を向上させることができる 留意点 6: 分散色を示したアスベストの種類と繊維状粒子数を記録するとともに分散色を示すアスペクト比 3 未満の粒子数も記録の対象とすることにより X 線回折分析法による定性分析結果との判定の際の判断に役立てることができる また X 線回折分析法による定量分析結果に分散染色を示した粒子数中のアスベスト繊維数の割合 (%) を乗ずることにより 当該石綿繊維の含有率の推定に利用することが可能である 89

101 例えば 3000 粒子中に鋭敏分散色を示したアスペクト比 3 以上の繊維状粒子 ( アスベスト繊維 ) が 15 本 鋭敏分散色を示した粒子が 20 個確認された場合 仮にX 線回折分析法による定量分析の結果 アスベスト含有率が 25% であれば アスペクト比 3 以上のアスベスト繊維の含有率は (%) =10.7(%) 35 と推定できる 留意点 7: 同定が困難な微細な繊維が位相差 分散顕微鏡観察で確認された場合は 電子顕微鏡による検査で確認することが推奨される 吹付けバーミキュライトを対象とした定性分析方法吹付けバーミキュライトのアスベスト含有率測定は図 4.13 の手順に従って実施する で調製した二次分析用試料を一定量試料ホルダーに 均一にかつ試料ホルダー面と一致するように充填し X 線回折分析装置にセットし 表 4.1 に示す定性分析条件で測定し 得られた X 線回折パターンの回折線ピークに表 4.8 に示したバーミキュライトの回折線が認められるか否かを確認する バーミキュライトの回折線が認められた場合には 吹付けバーミキュライトを対象とした定性分析を行う 留意点 : ただし回折線ピークにクリソタイル トレモライト / アクチノライト以外の石綿回折線が認められた場合は 当該アスベストについては で調製した一次分析試料を用いて の分析を実施すること 塩化カリウム処理試料の調製バーミキュライトの回折線が認められた一次分析用試料を 粉砕機で再度粉砕して 目開き 75µm 以下の篩下に調整する 目開き 75µm 以下の篩下に調整した試料 1.0g をビーカーに入れ JIS K 8121 に規定する 1 モルの塩化カリウム水溶液 100ml 中によく分散させる 次いで 70~80 の温度の中で 1 時間以上放置する 放置後 遠心分離機で遠沈させ 蒸留水で十分洗浄して沈殿物を採取する この沈殿物を 100±10 の乾燥機内またはシリカゲルデシケータで十分乾燥し 塩化カリウム処理試料とする 吹付けバーミキュライト中のアスベスト含有の有無の分析方法 で得られた塩化カリウム処理試料を試料ホルダーに均一 かつ 試料ホルダー面と一致するように充てんする 充てんした試料ホルダーを 表 4.22 に示した定性分折条件で走査範囲 (2θ)2~70 90

102 の測定を行い クリソタイル及びトレモライト / アクチノライトの回折ピークが認められるか否かの定性分析を行う クリソタイル及びトレモライト / アクチノライトと考えられる回折ピークが認められた場合は 市販のアスベスト含有バーミキュライト標準試料について と同様の塩化カリウム処理を行い 塩化カリウム処理標準試料とする 塩化カリウム処理試料及び塩化カリウム処理標準試料をそれぞれ表 4.23 に示した定量分析条件で クリソタイル ( 回折ピーク位置 12.1 付近 ) または ( 回折ピーク位置 24.3 付近 ) トレモライト ( 回折ピーク位置 10.4 付近 ) におけるクリソタイルおよびトレモライト / アクチノライトの回折線強度 ( 面積 ) を求める 塩化カリウム処理標準試料と塩化カリウム処理試料はそれぞれ試料を詰め直して 3 回繰り返し測定し 平均回折線強度 ( 面積 ) を求めて クリソタイルおよびトレモライト / アクチノライトの有無の判定を行なう 留意点 1: アスベスト含有バーミキュライト標準試料は ( 公社 ) 日本作業環境測定協会から販売されている JAWE1311~1316( トレモライト含有標準試料 ) 及び JAWE1411~1416( クリソタイル含有標準試料 ) を使用すること 留意点 2: 塩化カリウム処理が十分に行われていない場合や X 線回折ピーク面積の処理方法に問題がある場合には 過剰にアスベストありと判定する恐れがあるので この場合はそれらの点の見直しを行った上で 再判定を行なうこと 表 4.22 吹付けバーミキュライトの X 線回折装置の定性分析条件 設定項目 測定条件 X 線対陰極 銅 (Cu) 管電圧 (kv) 40 管電流 (ma) 30~40 単色化 (K β 線の除去 ) Ni フィルタ又はグラファイトモノクロメータ フルスケール (cps) 1000~2000 時定数 (s) 1 走査速度 ( /min) 1~2 発散スリット ( ) 1 散乱スリット ( ) 1 受光スリット (mm) 0.3 走査範囲 (2θ)( ) 2~70 ただし これと同等以上の検出精度を確保できる装置等によってもよい 91

103 表 4.23 吹付けバーミキュライト中のアスベスト有無の判定のための X 線回折装置の分析条件 設定項目 測定条件 X 線対陰極 銅 (Cu) 管電圧 (kv) 40 管電流 (ma) 30~40 単色化 (K β 線の除去 ) Ni フィルタ又はグラファイトモノクロメータ 時定数 (s) 1 走査速度 連続スキャニング ( /min) 1/8~1/16 ( /min) ステップスキャニング 秒 ~ 秒 発散スリット ( ) 1 散乱スリット ( ) 1 受光スリット (mm) 0.3 クリソタイル 11.0~13.0 走査範囲 (2θ)( ) ( 回折ピーク位置 12.1 付近 ) トレモライト 10.0~11.0 ( 回折ピーク位置 10.4 付近 ) ただし これと同等以上の検出精度を確保できる装置等によってもよい 92

104 図 4.13 吹付けバーミキュライトの分析手順 93

105 アスベスト含有の有無の判定方法 (1)X 線回折分析法による定性分析の結果 二次分析用試料中に 図 4.2~4.6 表 4.2 ~4.7 に示すアスベストの回折ピークが強弱にかかわらず一つでも認められ かつ 位相差 分散顕微鏡による定性分析の結果 三つの標本で計数した合計 3000 粒子中に アスベスト繊維が 4 繊維状粒子以上の場合は アスベスト含有 の試料と判定する (2)X 線回折分析法による定性分析の結果 二次分析用試料中に 図 4.2~4.6 表 4.2 ~4.7 に示すアスベストの回折ピークが認められないが 位相差 分散顕微鏡による定性分析の結果 三つの標本で計数した合計 3000 粒子中に アスベスト繊維が 4 繊維状粒子以上の場合は アスベスト含有 の試料と判定する (3)X 線回折分析法による定性分析の結果 二次分析用試料中に 図 4.2~4.6 表 4.2 ~4.7 に示すアスベストの回折ピークが一つでも認められるが 位相差 分散顕微鏡による定性分析の結果 三つの標本で計数した合計 3000 粒子中に アスベスト繊維が 4 繊維状粒子未満の場合は 位相差 分散顕微鏡による定性分析方法によって 再分析を行なう なお 位相差 分散顕微鏡による分散染色法で再分析する場合は 回折ピークが認められたアスベストおよびその他使用された可能性があるアスベストを対象とし 一次分析試料を用いて によって新たに標本を作製して分析を行う 再分析の結果 アスベストが 4 繊維状粒子未満の場合は アスベスト含有無し の試料と判定し アスベストが 4 繊維状粒子以上認められた場合は アスベスト含有 の試料と判定する 留意点 1: クリソタイルと同様な X 線回折ピークが認められる鉱物には 蛇紋石 ( アンチゴライト リザルダイト ) 緑泥石( クロライト ) およびカオリン鉱物 ( カオリナイト ハロイサイト ) がある 留意点 2: アモサイト クロシドライトおよびアンソフィライトと同様な X 線回折角度 (9~10 ) にタルクがある 留意点 3: アスベスト以外の天然の鉱物繊維の屈折率はアンチゴライトが リザルダイトが 繊維状石膏( ギプサム ) が 1.52~1.53 セピオライトが 1.49~1.53 ウォラストナイトが 1.62~1.66 アタパルジャイトが 1.50~1.56 ハロイサイトが 1.53~1.54 モルデナイト( ゼオライト ) が 1.47~1.49 等があり 人造鉱物繊維の屈折率はグラスウール ガラス長繊維が 1.56 以下 ロックウール スラグウールが 1.56 以上であり こ 94

106 れらの屈折率に対応した浸液を使用して分散色を確認することができる (4)X 線回折分析法による定性分析の結果 二次分析用試料中に 図 4.2~4.6 表 4.2 ~4.7 に示すアスベストの回折ピークが認められず かつ 位相差 分散顕微鏡による定性分析の結果 三つの標本で計数した合計 3000 粒子中に アスベスト繊維が 4 繊維状粒子未満の場合は アスベスト含有無し の試料と判定する (5) 吹付けバーミキュライト中のアスベスト含有の有無の判定は 塩化カリウム処理した一次分析試料にアスベストと考えられる回折ピーク ( 図 4.7~4.9 参照 ) が認められないか またはその積分 X 線強度が塩化カリウム処理標準試料の同ピークの積分 X 線強度以下である場合は アスベスト含有無し の試料と判定する これら以外の場合は アスベスト含有 の試料と判定する (6) アスベスト含有無し と判定された場合には当該試料には 0.1% を超えてアスベストは含有しないと判断することができる 位相差 分散顕微鏡による定性分析において 共栓試験管に一次分析試料を 10 mg精秤し 無じん水 20ml を入れ 激しく振とうした後 容量 50ml のコニカルビーカーに移し 回転子を入れてマグネチックスターラーで撹拌して均一濃度とし マイクロピッペッターで 10μl 採取して全量をスライドグラスに載せた円形ガイドに滴下 乾燥して分析標本を作製した場合 乾燥したスライドグラス上には mgの試料が存在することになる 位相差 分散顕微鏡による定性分析の結果 3000 粒子中に4 本の鋭敏分散色を示したアスベスト繊維が検出された場合のアスベスト含有率 R(%) は 4 本 mg 3000 個 R(%) = 100 = 0.13(%) mg となり 3000 粒子中に3 本の鋭敏分散色を示したアスベスト繊維が検出された場合は 0.1% となるため 3000 粒子中に鋭敏分散色を示したアスベスト繊維が4 本未満の場合は 0.1% を超えてアスベストは含有しないことになる 95

107 第 5 章. 定量分析方法 1(X 線回折分析法 ) 5.1.X 線回折分析法による建材製品中の石綿の定量分析方法の概要この方法は 第 3 章および第 4 章において アスベスト含有 と判定された試料について X 線回折分析方法によって アスベスト含有率 ( 質量分率 )( 以下 アスベスト含有率 という ) を定量する方法である 第 3 章および第 4 章によって アスベスト含有 と判定する過程において 明らかにアスベスト含有率が高い ( 例えば 5% 以上 ) と判定した場合は 5.2 の前処理作業を実施せず 一次分析試料を直接使用してアスベストの定量分析ができる アスベスト含有建材等のアスベスト含有率の定量分析は図 5.1 の手順に従って実施する ただし 天然鉱物中に不純物として含有するおそれがあるアスベストの分析については 適用されない なお 本法は JIS A をベースとしつつも その一部を修正し また JIS A を単に補足するのではなく 分析手順等が本書の内容で完結するよう解説している そのため 石綿障害予防規則に基づく分析は JIS A ではなく 本書を参照して行う必要がある 留意点 : アスベストが不純物として含有するおそれのある天然鉱物中のアスベスト含有率の具体的な分析方法として 天然鉱物中の石綿含有率の分析方法の検討結果報告書 ( 平成 18 年 12 月 ( 社 ) 日本作業環境測定協会 ( 第 8 章や厚生労働省ホームページに掲載 )) がある 5.2. 定量用二次分析試料および定量用三次分析試料の作製方法 定量用二次分析試料の作製方法定量用二次分析試料の作製に用いる直径 25 mm のふっ素樹脂バインダグラスファイバーフィルタ ( 以下, フィルタ という ) の質量及びフィルタを装着した状態で基底標準板 ( 亜鉛またはアルミニウム ) の主回折強度を計測しておく 第 4 章 4.1.1(1) 又は (2) で調製した一次分析試料を 100mg(M 1 : 一次分析試料の秤量値 ) 精秤して 200ml コニカルビーカーに入れ 20% のぎ酸を 20ml 加えて攪拌した後 無じん水を 40ml 加えて, 超音波洗浄器を用いて 1 分間分散する その後 30±1 に設定した恒温槽内に入れ 12 分間連続して振とうする フィルタを装着した直径 25mm のガラスフィルタベース付きの吸引ろ過装置で吸引ろ過する 乾燥後 フィルタ上に捕集された試料の質量 (M 2 : 定量用二次分析試料の秤量値 ) を求め 定量用二次分析試料とする また 定量用二次分析試料の作製に当たっては 1 試料当たり三つの定量用二次分析試料を作製する ガラスフィルタベースをもつ吸引ろ 96

108 過装置及びフィルタの直径は X 線回折分析装置の試料台と同一のものを使用する なお 定量用二次分析試料の作製で 残さ ( 渣 ) 率 (M 2 /M 1 ) が 0.15 を超えた場合は によって 定量用三次分析試料を作製する 第 3 章又は第 4 章で 石綿の含有が認められた場合 図 5.1 建材製品中のアスベスト含有率定量分析手順 97

109 定量用三次分析試料の作製方法定量用三次分析試料の調製は で作製した定量用二次分析試料から 10~15mg を分取して 無じん水中に分散後 基底標準板の X 線回折強度を計測し 秤量済みのフィルタに吸引ろ過を行い乾燥させて秤量し 試料の質量 (M 3 : 定量用三次分析試料の秤量値 ) を求め 定量用三次分析試料とする 留意点 1: フィルタの秤量に用いる天秤は 読取り限界が 0.01mg 以下のものを使用すること 留意点 2: フィルタの秤量は 秤量約 2 時間前にフィルタを天秤室の雰囲気に慣らした後 秤量を行い1 回目の秤量値を得る 1 回目の秤量後 半日以降に 再度 1 回目と同様な手順で秤量を行い 2 回目の秤量値を得る 1 回目と 2 回目の秤量値が同じ場合 その値を秤量値として用いる 違った場合 再度同様な秤量を行い 2 回連続同じ値を得られるまで 秤量を繰り返し 秤量値を得る 留意点 3:X 線回折強度を求める前に 蛍光板で X 線の照射面積が アスベスト試料が捕集されている面積と同じがどうかを確認する 留意点 4: 第 4 章 4.1.1(2) で調製した一次分析試料を使用する場合は 次式により減量率 :rを算出し 含有率算出の際に補正する 加熱処理後の分析試料量 r= 加熱処理前の試料量留意点 5: 一次分析試料を (2) に規定する加熱条件によって 改めて加熱処理することによって減量が期待できる無機成分試料の場合は 加熱後の一次分析試料から定量用二次分析試料を調製してもよい 留意点 6: 定量用二次分析試料の量が定量用三次分析試料量の作製に不足する場合は 再度 定量用二次分析試料作製方法と同じ条件で一次分析試料から定量用二次分析試料を作製し これを定量用三次分析試料の作製に使用してもよい けい酸カルシウム保温材の前処理方法アスベスト含有率の分析対象試料のうち残渣率が 0.15 を超える可能性のある けい酸カルシウムを主体とした試料については 以下に示す前処理法により 残渣率が 0.15 以下にすることが可能となったので 試料の定量操作を行うための試料調製手順を記載する この方法は 一次分析試料の X 線回折分析法による定性分析の結果 けい酸カルシウム ( トバモライト ゾノトライト等 ) が主体の試料であることが判明した場合に適用する 98

110 なお けい酸カルシウムを主体とした試料でも その試料の使用過程で 約 1000 程度の温度にさらされていたもの等 残渣率が 0.15 以下にならないものについては に基づき 定量用三次分析試料を作製すること けい酸カルシウムを主体とした試料の定量操作を行うための試料の作製は以下に示す1~7の手順により行う 1 一次分析試料を 100mg 精秤し 100ml のコニカルビーカーに入れる 2100ml のコニカルビーカーに 20% 水酸化ナトリウム溶液 60ml を加える 3 次いで 電熱器等を利用して 上記 2の 20% 水酸化ナトリウム溶液が約 50ml になるまで濃縮する 4 その後 常温になるまで 放冷する 5 放冷後 基底標準板の X 線回折強度を計測し 秤量済みのフィルタに吸引ろ過を行う この時に コニカルビーカーに付着している残渣物及びフィルタ上の残渣物に対して 20% のぎ酸で洗浄する 6 ガラスフィルタベース付の吸引ろ過装置を停止した後 フィルタ上の残渣物に 20% のぎ酸 20ml を加えて 2 分間放置した後 無じん水を 40ml を加えて 10 分間放置する 7 その後 無じん水で洗浄しながら ガラスフィルタベース付の吸引ろ過装置で吸引ろ過した後 乾燥し フィルタ上に捕集された試料の質量を求め けい酸カルシウムを主体とした定量二次分析試料とする なお この分析試料の作製にあたっては 1 試料当たり三つの分析試料を作製する ガラスフィルタベース付きの吸引ろ過装置およびフィルタの直径は X 線回折分析装置の試料台と同一のものを使用する 5.3. 基底標準吸収補正法による X 線回折定量分析方法第 5 章で使用するアスベストの標準試料は ( 公社 ) 日本作業環境測定協会 (JAWE) で販売されている標準試料を基に検討されており それ以外の UICC 等の標準試料を使用する場合は アスベスト繊維のサイズの相違により JAWE 標準試料の回折 X 線強度と異なる場合があるので注意が必要である 過去に JAWE 標準試料で作成した検量線で測定された定量結果と UICC 等の標準試料で新規に作成した検量線で測定された定量結果が異なる場合は UICC 等の標準試料で新規に作成した検量線の勾配を JAWE 標準試料で作成した検量線の勾配を用いて補正を行い 同じ定量結果になることを確認すること 検量線の作成検量線は 相関係数 (R) が 0.99 以上 ( 又は決定係数 (R 2 ) が 0.98 以上 ) とする 99

111 検量線の作成に使用する 直径 25mm のフィルタの質量の秤量およびフィルタを装着した状態で基底標準板 ( 亜鉛またはアルミニウム ) の主回折強度を計測しておく 分析対象のアスベスト標準試料を 0.2mg 0.4mg 0.6mg 0.8mg1.0mg を目安に精秤し 秤量別に5 個の 50ml コニカルビーカーに入れ それぞれ 20% のぎ酸を 0.04ml 0.08ml 0.12ml 0.16ml 0.2ml 加えて攪拌した後 無じん水を 0.08ml 0.16ml 0.24ml 0.32ml 0.4ml 加えて超音波洗浄器で 1 分間分散する その後 30 ±1 に設定した恒温槽内に入れ 12 分間連続して振蕩する 振蕩終了後直ちに 20ml 以上になるように無じん水を 50ml コニカルビーカーに加える フィルタを装着した直径 25mm のガラスフィルタベース付の吸引ろ過装置で吸引ろ過を行い 無じん水にて数回洗浄する ろ過後のフィルタを取り出し 乾燥後 秤量し フィルタ上に捕集されたぎ酸処理後の試料の質量を求め 検量線試料とする 作製したそれぞれの検量線試料を X 線回折分析装置の試料台に固定して 基底標準板と分析対象のアスベストの X 線回折強度を表 5.1 に示した分析条件で計測し 基底標準吸収補正法によって求めた X 線回折強度を縦軸に ぎ酸処理後の検量線試料の質量を横軸にとり 原点を通る検量線を作成する 定量分析手順 または で作成した定量用二次分析試料または定量用三次分析試料を X 線回折装置の回転試料台に固定する 検量線作成と同一の条件で 三つの定量用二次分析試料または定量用三次分析試料について 基底標準板および回折 X 線強度を計測し 基底標準吸収補正法によって X 線回折分析を行う で作成した検量線から当該アスベストの質量を算出してアスベストの含有率を求める 留意点 : 煙突用の断熱材はアスベストの含有率が 80% 以上と高いにもかかわらず 実際の分析ではアモサイト含有率が低値を示す場合があるが これは重油等の燃焼により発生した SOx ガスと煙突内の建材に由来するカルシウムやナトリウム等が反応して生成した硫酸カルシウムや硫酸ナトリウム等の硫酸塩の蓄積により 見かけ上低くなることが原因であり X 線回折分析法の定性分析で硫酸塩が確認された場合には 分析結果報告書に除去対象のアスベスト含有率は分析値よりも高い可能性があることを記載し 当該作業者に注意喚起することが重要である 100

112 表 5.1 X 線回折装置の定量分析条件 設定項目 測定条件 X 線対陰極 銅 (Cu) 管電圧 (kv) 40 管電流 (ma) 30~40 単色化 (K β 線の除去 ) Ni フィルタ又はグラファイトモノクロメータ 時定数 (s) 1 連続スキャニング走査速度 1/8~1/16 ( /min) ( /min) ステップスキャニング 秒 ~ 秒 発散スリット ( ) 1 散乱スリット ( ) 1 受光スリット (mm) 0.3 走査範囲 (2θ)( ) 定量回折線を含む前後 2~3 程度 留意点 1: 定量分析は表 5.1 によって実施し 回転試料台を用いて定量物質の X 線回折積分強度 ( 積分値 ) が 2000 カウント以上とする 留意点 2: ただし 表 5.1 に示した X 線回折装置の定量分析条件は必要最低の条件であり この条件又はこれ以上の検出精度を確保できる条件で分析すること アスベスト含有率の算出 (1) 定量用二次分析試料からのアスベスト含有率の算出一つの定量用二次分析試料からのアスベスト含有率は式 1によって また建材製品中のアスベスト含有率は 式 2によって算出する なお (2) に規定する 有機成分試料の一次分析試料作製方法によって定量用二次分析試料を作製した場合は 減量率 r で補正する Ci=As 2 /M 1 r C=(C 1 +C 2 +C 3 )/3 2 ここに Ci:1つの定量分析用試料のアスベスト含有率 (%) C: 建材製品中のアスベスト含有率 (%) As 2 : 検量線から読み取った定量用二次分析試料中のアスベスト質量 (mg) M 1 : 一次分析試料の秤量値 (mg) r: 減量率 ただし加熱処理をしない場合はr=1 とする 101

113 (2) 定量用三次分析試料からのアスベスト含有率の算出一つの定量用三次分析試料からのアスベスト含有率は式 3によって また建材製品中のアスベスト含有率は式 4によって算出する なお 一次分析試料を (2) に示す加熱条件によって減量して作製した定量用二次分析試料または定量用三次分析試料の場合は 減量率 r で補正する Ci= As 3 M 2 M 3 M 1 r C=(C 1 +C 2 +C 3 )/3 4 ここに Ci:1つの定量分析用試料のアスベスト含有率 (%) C: 建材製品中のアスベスト含有率 (%) As 3 : 検量線から読み取った定量用三次分析試料中のアスベスト質量 (mg) M 1 : 一次分析試料の秤量値 (mg) M 2 : 定量用二次分析試料の秤量値 (mg) M 3 : 定量用三次分析試料の秤量値 (mg) r: 減量率 ただし加熱処理をしない場合はr=1 とする 検量線の検出下限及び定量下限検量線作成時に調製した最小標準試料 (0.01~0.1mg/cm 2 ) を X 線回折分析装置の試料台に固定して 検量線作成と同一の条件で基底標準板と分析対象のアスベストの X 線回折強度を繰り返して 10 回計測し 積分 X 線強度の標準偏差 (σ) を求める 検量線の検出下限は 式 5により 定量下限は 式 6によって算出する C k =(σ/a)/m C t =(3σ/a)/M ここに C k : 検出下限 (%) C t : 定量下限 (%) σ:10 回計測の積分 X 線強度の標準偏差 a: 検量線の傾き M 1 : 一次分析試料の秤量値 (100mg) 留意点 1: 定量用二次分析試料または定量用三次分析試料を作製し 基底標準吸収補正法による X 線回折定量分析方法 により定量分析を行なう場合において 102

114 アスベスト回折線のピークが確認できないことがあり得るが その場合においては 一般にアスベスト含有率は検量線から求めた定量下限以下とされていることから 定量下限が 0.1% 以下であるときには アスベストがその重量の 0.1% を超えて含有しないものとして取り扱う 留意点 2: 定量用二次分析試料または定量用三次分析試料を作製し 基底標準吸収補正法による X 線回折定量分析方法 により定量分析を行う場合において 検量線から求めた定量下限が 0.1% を超える場合 または不純物による影響等のため アスベスト回折線のピークの有無の判断が困難な場合については アスベストがその重量の 0.1% を超えて含有しているものとして取り扱う 103

115 第 6 章. 定量分析方法 2( 偏光顕微鏡法 ) 6.1. 分析の概要本章は JIS A によるアスベスト含有率測定について JIS A に記載の内容のほか JIS A の実施に当たって具体的な留意点や補足を掲載したものである JIS A による定量分析は アスベストが検出されていてアスベスト濃度がおおむね 5% より低い試料のアスベスト濃度を定量することを意図している 日本国内において 商業的に生産された製品に 0.1% 以下のアスベストを意図的に添加した例はないことから 製品に産業利用されていたアスベスト ( クリソタイル アモサイト クロシドライト ) が含まれていた場合は 0.1% を超えていることが明らかなので 意図的に添加したアスベストの場合 石綿則等国内法令の規制対象 ( 重量比 0.1% 超 ) であることを判断するに当たっては それ以上の定量は必要ない ただし トレモライト アクチノライト アンソフィライトはロックウール吹付け材などに意図的に添加されている場合と 水練り保温材やバーミキュライト吹付け材などに不純物として非意図的に含有されている場合の両方がありうる クリソタイルについても 蛇紋石が使用されている場合やセピオライトが使用されている場合などには不純物として含有される可能性がある 表 6.1 石綿則等国内法令の規制対象であることの判断含有物の種類 JIS A による定量分析商業的に商業製品に何らかの産業利用されていたアスベストが確認された製造された製品場合 さらなる定量分析は要求されない 5% 以下でアスベストが含有していると目視評価された場合 規制その他の素材対象の基準 ( 重量比 0.1%) 超過かどうか正確に判定するためには定量分析が必要である 6.2. 分析の手順 JIS A では 灰化 酸処理 浮遊沈降よって試料を減量した後 残渣中のアスベストの含有濃度を求めて含有量を算出する 残渣中のアスベスト含有量を求める方法としては目視定量 ( 偏光顕微鏡 走査型電子顕微鏡 透過型電子顕微鏡 ) ポイントカウント ( 偏光顕微鏡 走査型電子顕微鏡 ) 繊維計測による定量( 走査型電子顕微鏡 透過型電子顕微鏡 ) がある 重量濃縮重量濃縮の目的は アスベスト以外の物質を可能な限り除去して 残渣中のアスベス 104

116 トの濃度を高めることである 灰化により有機物の除去を 酸処理により酸に溶ける物質の除去を 沈降により大きな粒子の除去を行うことができる 灰化による有機物の除去灰化処理ではマッフル炉で 450 の加熱を 4 時間行う 1 磁性るつぼまたは石英るつぼに耐熱マーカーで試料番号などを書き入れて秤量する 2 試料をるつぼに入れてから再度秤量する 3るつぼにふたをしてマッフル炉に入れ 450 ±10 で 4 時間加熱する 4 加熱後るつぼの中身を確認し 有機物の灰化が不十分である場合は再度るつぼをマッフル炉に入れて加熱する 5るつぼが室温まで冷却するのを待ってから秤量を行う 留意点 1: 事前に有機物がほとんど含まれないと分かっている試料であれば 灰化処理を行わずに秤量後直接 酸処理と沈降 ( ) に進むことができる 留意点 2: 灰化の温度は 485 まで上げることができるが 500 を超えるとクリソタイルが分解し始めるため 485 を超える温度にはしない 酸処理と沈降炭酸カルシウム 石膏 ミネラルウールなどは塩酸に溶けるため 2mol/L の塩酸中で 15 分撹拌すると除去することができる 素材によっては酸処理後に骨材や砂が残る場合があり これらは沈降または浮遊により取り除くことができる 焼成されたバーミキュライトやパーライトは浮遊によって取り除ける 砂や骨材は懸濁液中でアスベストよりもはるかに早く沈むため 試料の種類によってはアスベストを含む他の部分から大部分を取り除くことが可能である 以下 酸に溶ける成分を含む試料 ( 骨材を含む場合及び含まない場合 ) の処理の方法と床タイルの処理の方法に分けて記載する < 酸に溶ける成分を含む試料の酸処理 浮遊沈降手順 > 1 灰化された試料を 200mL の三角フラスコに移す 22mol/L の塩酸を 100mL 加えてフッ素樹脂加工された回転子を入れ マグネチックスターラーで 15 分間撹拌する 3 孔径 0.4μm 47mm 径のポリカーボネートフィルタをペトリ皿に入れて秤量し 47mm 径の吸引ろ過装置に装着する 425mm 径の吸引ろ過装置を組み立て 孔径 0.45μm の混合セルロースエステルフィルタ (MCE フィルタ ) を装着する 5 酸処理の後で水面に浮くものや底面に沈んでいる骨材 砂などがなければ 直接ポイ 105

117 ントカウント用のフィルタの準備に進む ( 10) 6 水面に浮いているパーライトやバーミキュライトがある場合は 水面が三角フラスコの縁に来るまで蒸留水を加え 清浄なスパチュラで浮遊物を可能な限り取り除く 浮遊物は事前に秤量してある 50mm 径のペトリ皿に入れ ホットプレート上で乾燥させる 浮遊物を取り除いた場合は 容器を数分間静置した後上澄みを半分程度 1000mL ビーカーに移す 7 三角フラスコ内の液を 沈殿した粒子が再度懸濁するように円を描くようにして振り混ぜる 動きを止めて粗大な粒子が沈むまで待ち 液の大部分を 1000mL ビーカーに移す 三角フラスコに 150mL の蒸留水を加え 同じことを 2 回繰り返す 8 洗瓶を使って三角フラスコの底に残った沈殿物を 100mm 径のペトリ皿に移し 上澄み液は 1000mL ビーカーに移す ペトリ皿はホットプレートの上で乾燥させる 91000mL ビーカーに蒸留水を加え 700mL にする 10 懸濁液中の粒子を十分に分散させる そこから 0.5-4mL 程度を分取し 5mL 以上の蒸留水で希釈してから 4で用意した MCE フィルタにろ過する フィルタは最低 4 枚用意する フィルタはサンプル名を書いたペトリ皿に入れて ホットプレート上で乾燥させる 11 懸濁液の残りは3で用意したポリカーボネートフィルタでろ過し サンプル名を書いたペトリ皿に入れてホットプレート上で乾燥させる 12 沈殿物 懸濁物を実体顕微鏡で確認し 大きなアスベスト繊維束は秤量済みの容器に移す また 懸濁物中に大きな粒子がある場合は沈殿物に移す 13 沈殿物 浮遊物 懸濁物 取り出したアスベスト繊維束をそれぞれ秤量する 留意点 :12にあるアスベスト繊維束を入れるための容器は アルミホイルで作った小さな皿などでよい < 床タイルの酸処理手順 > 1 孔径 0.4μm 47mm 径のポリカーボネートフィルタをペトリ皿に入れて秤量し 47mm 径の吸引ろ過装置に装着する 2 灰化後の試料をメノウ乳鉢に移し 蒸留水を 0.5mL 加えてすりつぶす 32mL の濃塩酸をゆっくり加え ガスの発生が弱まってきたら時々すりつぶす 4ガスの発生が止まったらすぐに 10mL の蒸留水で希釈する 5 懸濁液を1で用意した吸引ろ過装置でろ過し フィルタをペトリ皿に入れてホットプレートまたはランプで乾燥させる 6フィルタを室温まで冷ましてから秤量する 留意点 : 濃塩酸に 20 分以上放置しないようにする 106

118 残渣中のアスベストの定量手順 ポイントカウント用試料の準備ポイントカウント用試料の作製方法は MCE フィルタを使用する方法とポリカーボネートフィルタ上の残渣から作製する方法の 2 種類がある <MCE フィルタを使用する場合 > 1 乾燥させたフィルタを DMF35% 氷酢酸 15% 蒸留水 50% からなる混合液 100μL にひたして 60 に加熱することで透明化する 2トリアセチンを滴下してカバーガラスを載せることでポイントカウント用のプレパラートを作製する <ポリカーボネートフィルタ上の残渣から作製する場合 > 1 計数対象となるアスベストと異なる屈折率の浸液を選び スライドガラス上に滴下する 2 残渣をピンセットで分取し 浸液に入れてよく広げ分散させる 3カバーガラスを乗せて計数用のプレパラートとする 図 6.1 ポリカーボネートフィルタ上の残渣からのポイントカウント用プレパラートの作製 留意点 : 残渣から分取してポイントカウント用のプレパラートを作製する場合は 試料中の繊維や粒子がすべて十分なコントラストで観察できるように浸液を選ぶ 透明な物質は 付近の屈折率を持っているものが多いため この屈折率範囲の浸液は避ける ポイントカウントのための偏光顕微鏡の調整ポイントカウントでは粒子 繊維の径を測定する必要があるため 視野の十字線の少なくとも片方に目盛が入っている接眼レンズを使用する 1 クロスポーラにして 530nm の鋭敏色検板を挿入する 107

119 2 倍率が 100 倍程度になるように対物レンズを選ぶ 3ランプの出力を最大にし ステージ下の開口絞りを絞ってコントラストを強める 4スライドを確認して 全ての粒子が十分なコントラストを持っているか確認する ( 特に光学的等方体に注意する ) コントラストが不十分な粒子があれば 別の浸液を使ってスライドを作り直す ポイントカウントの基準 a) 全てのプレパラートをスキャンして 最大の粒子と各アスベストの最大の繊維の径を見積もる b) 粒子については最大粒子径の 10% を超えるもの 繊維については各アスベスト繊維の最大径の 20% を超えるもののみ計数する c) 十分な径を持つ粒子と繊維が重なっている点に当たった場合は粒子と繊維各 1 ポイントずつとする d) 十分な径の繊維 2 本が重なっている点に当たった場合はアスベスト 2 ポイントとする e) 十分な径の粒子 2 つが重なっている点に当たった場合は粒子 2 ポイントとする f) 枝分かれしている繊維の上に当たった場合は その部分の径が最大繊維径の 20% を超える場合のみ計数する g) ポイントはプレパラート全体に分布するようにする e) アスベストが 20 ポイントに達するか 総ポイント数が 130 残渣率 (%) に達するまで計数を行う また これに関わらず 最低 2 枚のプレパラートを使って 100 点計数する 留意点 : ポイントカウントをする際には 同じ点を何度も通ることがないよう 図 6.2 のように折り返しながらポイントがスライド全体を移動するようにするとよい スライド 1 枚当たりのポイント数に制限はないが 1 枚当たり 50 ポイント程度を目安とする 図 6.2 スライド上のポイントの移動例 108

120 ポイントカウント結果の計算 アスベストの質量分率は以下の式で計算できる C=100/W x (M + R x A/N) W: 開始時の試料重量 (g) M: 沈殿物と懸濁物から取り出したアスベスト繊維束の重量 (g) R: ポリカーボネートフィルタ上の最終残渣の重量 (g) A: アスベストポイントの数 N: 全ポイントの数 両側 95% 信頼区間の上限値と下限値も計算する 109

121 第 7 章. 定性分析方法 3( 電子顕微鏡法 ) 定性分析方法 1( 偏光顕微鏡法 ) あるいは定性分析方法 2(X 線回折分析法 位相差分散顕微鏡法 ) によって分析した結果 アスベストの確認が難しいときは電子顕微鏡によるアスベスト繊維の同定等が推奨されている 本法は そのような場合に用いられる走査電子顕微鏡によるアスベストの定性分析方法である 定性分析方法 1あるいは定性分析方法 2でアスベストの存在が疑われるが最終確認が難しい建材試料について 本法でアスベストが確認された場合はアスベスト含有あり 確認されなければアスベスト含有なしと判定できる しかし 本法のみによりアスベスト含有なしの判定はできない 電子顕微鏡には 走査型と透過型の2つの型があるが ここでは走査電子顕微鏡 (SEM: Scanning Electron Microscope) を用いて建材中のアスベストを定性分析する方法について述べる 走査電子顕微鏡は 光学顕微鏡の実体顕微鏡に似ていて 透過電子顕微鏡より観察標本の作製や操作が容易である 試料は塊状 ( バルク ) のままでよく 試料粒子の形や試料表面の形態などを観察するのに適している しかし 電子線の光路は 基本的に全て真空にする必要があることや 荷電粒子である電子は 試料にダメージを与えやすいなど 電子顕微鏡に関する基本特性の理解は不可欠である 7.1.SEM の概要光源の電子銃から発生した電子線を細く絞って試料表面を走査すると 試料表面から電子や電磁波が逐次発生する 試料表面の凹凸などの構造に対応して発生する2 次電子あるいは反射電子を検出器で受けて その強度変化を時系列の電気信号に変換し その輝度の変調をモニター画面 ( ブラウン管や液晶画面 ) に表示したのが SEM 像である 試料表面の構造などが拡大像として観察できる SEM 像の拡大倍率は 試料上の縦または横方向の走査距離とモニター画面の対応する縦または横方向距離の比である 試料に電子線を照射すると特性 X 線が発生する その特性 X 線を検出して分光すると試料表面付近の元素分析 ( 元素の種類と量 および分布 ) ができる 試料からの特性 X 線の検出 分光に半導体検出器 (SSD) を用いたのがエネルギー分散型 X 線分析器 (EDX) である EDX を備えた SEM(SEM-EDX) を分析走査電子顕微鏡 (ASEM: Analytical Scanning Electron Microscope) と呼ぶ なお 結晶を用いて分光する波長分散型 X 線分析器を備えた SEM 装置は EPMA(Electron Probe Micro-Analyzer) と呼び ASEM より広い試料領域の高精度の元素分析に用いられている 通常のアスベストの定性分析には EDX を装着した ASEM が用いられる ASEM によるアスベストの定性分析では 繊維の形態と元素組成の2つの情報から アスベストであるか否かを判定することになる 110

122 7.2. 定性分析に用いる SEM の必要条件使用する SEM は 加速電圧 15~25kV 倍率は 100~20,000 倍 分解能は 60nm を満たすもので EDX の装着が必須である EDX は Na 以上の特性 X 線を検出できるものとし 7.4 の同定方法の要求を満たすものが必要である SEM の倍率の正確さは 繊維数濃度および繊維サイズの測定結果に影響するので 必要に応じて倍率の校正をする 倍率校正には 標準ポリエチレンラテックス球状粒子 ( 種々の寸法の標準粒子が販売されている ) 標準グレーティングレプリカ( 一定間隔の升目のレプリカカーボン膜から成る標準寸法を示す電子顕微鏡用標準試料 ) などを用いて行う 7.3. 観察標本の作製建材中のアスベストの定性分析に適用できる SEM 観察標本は 1SEM-A 法 ( 試料粉末を捕集したフィルターを SEM 試料台に貼り付ける方法 ) 2SEM-B 法 ( 試料粉末を SEM 試料台に直接載せる方法 ) 3SEM-C 法 (SEM 試料台の導電性カーボン両面テープに試料を接着させる方法 ) などがある 観察しようとする試料の状態に合った観察標本作製法を選択 考案することが重要である 導電処理方法は図 7.1 に示す方法による 最近は 金蒸着 白金パラジウムに加えてオスミウム蒸着が一般的になっている SEM 試料台は アルミニウム製真鍮 ( 黄銅 ) 製 あるいはグラファイト製などの直径 1~3cm 高さ 1cm 程度の円柱状であるが メーカーの純正品を使用することが多い SEM-A 法の作製方法 SEM-A 法は ポリカーボネート (PC) または混合セルロースエステル (MCE) のメンブランフィルターに試料粉末を発塵あるいは懸濁液にして吸引捕集し その細片を予め導電性カーボン両面テープを貼った SEM 試料台に接着し 導電処理を施し 観察標本とするものである 1)PC メンブランフィルターを用いた SEM-A 法の場合 試料粉末を発塵あるいは懸濁液にして吸引捕集した PC の細片を予め導電性カーボン両面テープを貼った SEM 試料台に貼り付け オスミウム蒸着等の導電処理を施す PC を用いた標本は SEM 像が見やすいという利点がある ( 図 7.3) 試料を捕集した PC の試料輸送等に多少難がある 2)MCE メンブランフィルターを用いた SEM-A 法の場合 予め導電性カーボン両面テープを貼った SEM 試料台に 試料粉末を発塵あるいは懸濁液にして吸引ろ過した MCE の細片を直接貼り付け 導電処理を施して観察標本とする MCE を用いた標本は MCE 自身の構造と試料の繊維との識別が紛らわしく アスベストを探すのに手間取ることがある しかし MCE は試料粉末を吸引捕集しやすく かつ試料の輸送など 111

123 が容易であることや 位相差顕微鏡法や位相差偏光顕微鏡法で観察した同一フィルターの一部の観察 計数ができるなどの利点がある SEM-B 法の作製方法 SEM-B 法は試料粉末を SEM 試料台に直接載せる方法である ただ 試料粉末をそのまま載せてもすぐに吹き飛んでしまうので 次のような標本作製を行う 1) 被検試料が試料粉末状態で入手されたとき SEM-B 法では まずその試料粉末の懸濁液を作り その 1~2 滴 ( 数 μl~10μl) を表面が平滑な 1cm 角程度の親水化処理 * を施したニッケル板あるいは銅板に滴下し 風乾後 SEM 試料台に導電性両面テープで接着して 観察標本とする * 親水化処理はグロー放電処理が好適である 2) 被検試料が MCE に捕集された状態で入手された場合 SEM-B 法では MCE の細片を表面が平滑な 1cm 角程度のニッケル板や銅板にアセトン等で貼り付け 低温灰化を施して MCE を除去して その試料残渣を載せた金属板を導電性両面テープを用いて SEM 試料台に接着して 観察標本とする SEM-A 法は 試料粉末を発塵あるいは懸濁液にして吸引捕集した MCE をそのまま SEM 試料台に載せる方法であるが SEM-B 法は MCE を除去する低温灰化処理が施されるので 観察しやすい標本になる 3) 被検試料が PC に捕集された状態で入手された場合は SEM-A 法の 1) と同様である SEM-C 法の作製方法 SEM-C 法は SEM 試料台に予め貼った導電性カーボン両面テープに観察する試料を直接または間接的に接着させる方法である その接着方法がいくつかあり 主なものを次に示す 1) 被検試料が建材等からピンセットで採取した肉眼的繊維試料の場合 この予め導電性カーボン両面テープを貼った SEM 試料台に直接接着させ 導電処理を施して観察標本とする 2) 被検試料が粉末状態で入手された時 SEM-C 法では導電性カーボン両面テープを貼った SEM 試料台を試料粉末に押し付けて テープに試料粉末に移し取り その SEM 試料台に導電処理を施して観察標本とする 3) 被検試料が現場から移せない場合は 現場に赴いて 現場で観察標本の前段階までを作製しなくてはならない そのようなときの標本作製法は SEM-C 法が適している 予め導電性カーボン両面テープを貼った SEM 試料台を何個も必要数準備しておく 現場で分析したい建材等の表面や堆積粉じんなどに押し付けて 対象建材の表面の粉じん試料を SEM 試料台に移し取る ラボに持ち帰り 導電処理を施して観察標本とする 112

124 試料作製における共通留意点 1) SEM 試料台を手で持つとき ゴムまたはプラスチックの手袋をはめた手で持ち 試料台を手の油等で汚染しないようにする 2) SEM 試料台に導電性カーボン両面テープを接着するとき 5~10mm 角サイズの小片にして用いる その両面テープに 所定の方法で粉末試料を吸引捕集した PC あるいは MCE のメンブランフィルターを 5~10mm 角の細片にして接着する 3) フィルターや金属板を導電性両面テープで SEM 試料台に貼り付けた場合でも それらの端にカーボンペースト (SEM 試料の導電処理用として販売されている ) を塗って SEM 試料台との間の導電処理を施す その後 乾燥 ( 風乾 ) 後 カーボンまたは金 白金パラジウム オスミウムなどを蒸着して観察標本とする 4) カーボン蒸着はカーボン蒸着装置を用いる 金 白金パラジウムあるいはオスミウムなどの蒸着にはイオンスパッタリング装置を用いる カーボン蒸着装置およびイオンスパッタリング装置の例を図 7.1に示す 図 7.1 カーボン蒸着装置とイオンスパッタリング装置の例 7.4. 観察と同定分析モニター画面上の像から繊維形態の粒子を探す 目的の繊維状粒子が見つかったなら その粒子の EDX 分析を行い その EDX スペクトルからアスベストであるか否かを判定する アスベストであればその種類を同定する 1) 観察繊維の決定 : ここで繊維とは アスペクト比 3 以上の粒子をいう 目的に応じてどこまで小さいサイズ ( 長さと幅 ) の繊維を観察し EDX 分析するかを決める 観察下限サイズは SEM の倍率を上げればかなり細い繊維 ( 例えば 0.1μm 径以下とか ) まで観察可能であるが 倍率が高ければ観察視野が狭くなり 観察労力との関係であまり高い倍率は取れない 1PC で実際に観察している繊維は 幅が普通 0.2~0.4μm 程度の繊維である メンブ 113

125 ランフィルター等に載っている繊維から位相差顕微鏡と同等の繊維サイズ ( 長さ5μm 以上で幅 0.2~0.4μm 以上 ) を観察する場合 すなわち PC 相当繊維の SEM 観察は 2000 倍から 3000 倍の倍率で行う 使用する SEM 装置で 予め高倍率にして繊維の幅を精度よく計測しておき そうして幅を計測した繊維の内 幅 0.2~0.4μm の繊維に着目して 倍率をどこまで下げるとモニター画面上で確認できなくなるかを調べておき 観察倍率を決めることが望ましい 1 任意のサイズの繊維を観察する場合 特に1の PC 相当線維よりもさらに細い繊維を観察する場合 主に繊維幅の下限サイズを大略決めておき それを観察できる観察倍率を1と同様に予め調べて決める必要がある 例えば クリソタイルの場合 その単繊維の直径はほとんどが 0.1μm 以下である 0.1μm 以下のクリソタイル単繊維を観察するためには 一般に 10,000 倍以上の倍率が必要になる 電界放射型 SEM(FE-SEM) ではない通常の SEM では その観察がかなり難しい 通常の SEM では クリソタイル繊維束を観察することになる 繊維幅 0.1μm とか 0.2μm 以上というように決める 角閃石アスベストの場合は その多くの繊維幅が 0.1μm 以上であるので 0.1μm 程度を観察下限の繊維幅とすればよい 通常は 5,000 倍から 10,000 倍でこれらのサイズの繊維が観察可能である いずれにしても どこまで細い繊維を観察できるかを予め確認したうえで その条件で観察できたアスベストの観察 同定を行うことが求められる 2) アスベストの同定 : アスベストの同定は モニター画面上で観察された繊維の EDX 分析を行い 得られた EDX スペクトルによってアスベストかその他の繊維かを判定する アスベストの場合には さらにその種類を同定する EDX 分析の観察倍率は 2000 倍から 10,000 倍の倍率で メンブランフィルター等に載っている繊維を確認して 繊維形態を撮影した後 EDX 分析を行う EDX 分析は 電子線束を細く絞った電子ビームを繊維上に照射し 発生する特性 X 線を EDX 検出器で受けて EDX スペクトルを得る アスベストの種類ごとに特徴的な EDX スペクトルを示すので ほとんどの場合 アスベストの種類の同定はその EDX スペクトルから決定できる EDX 分析の際 繊維の近傍にある粒子からの特性 X 線が目的の繊維の EDX スペクトルに影響しないように電子線の分析位置を決めるなどの留意が重要である EDX スペクトルに近傍物質からの影響が考えられた場合 電子ビームの照射位置を変えて EDX 分析をし直すてみる必要がある また 建材中に在ったアスベストは セメントやケイ酸カルシウム物質などに包埋されていたことが多いので 建材から取り出したアスベストがそれらの物質にコーティングされていることがよくある その場合 セメントの Ca やケイ酸カルシウムの Si や Ca がアスベスト表面に吸着していて Ca や Si のピークが EDX スペクトルに余分に現れ 標準的な EDX スペクトルと異なるものが得られることがある 分析者は これらの状況を想定して判定することも求められる 特に後者の場合は 114

126 酸処理等で除去できるので 分析前のギ酸処理等が貢献する アスベストの繊維の形態と EDX スペクトルを図 7.2 に示す 図 7.2 アスベストの EDX スペクトル PC フィルター上に捕集したクリソタイル アモサイト クロシドライトの SEM 像を図 7.3 に示した クリソタイルは カールした繊維などの形状からある程度判定できる場合もあるが アモサイトとクロシドライトは直線的な繊維のみで形態から両者の区別は難しい 7.5. 繊維形態観察と EDX 分析のポイント ASEM でアスベストの定性分析を行う際の留意すべき点などを次に示す 1) 試料の導電性 : 導電性が不十分な場合 繊維形態の観察で繊維や尖った粒子等が帯電 ( チャージアップ ) して異常コントラストが出現することがある 試料を作製し直すことが一番であるが それができない場合は加速電圧を下げ かつ試料電流値を下げる等の工夫で 帯電量を減らしてコントラストを下げることをする 2) SEM の電子銃 : ヘアピン型に成型したタングステンや針状単結晶の LaB 6 ( ラブロクとも呼ぶ ) を陰極 ( フィラメント カソード ) に用いた電子銃の場合 電子銃を加熱して電子を放出させる 放出された電子は高電圧 (1~30kV) を印加した陽極 ( アノード ) で加速され 電子線束をつくる 電子銃には この他 電界放射型電子銃 (Field Emission(FE) 電子銃 ) がある FE 電子銃は 輝度が極めて高い電子線束を生じるので 電子線束を細く絞れて 高分解能 SEM を形成している EF 電子銃の近傍は極めて高い真空 (10-8 Pa) が必要で 高価な SEM 装置である なお 分解能は 115

127 輝度と相関しており 電子銃がタングステン LaB 6 FE の順に高分解 SEM となっている 3) SEM のレンズ系 : 集束レンズ ( コンデンサーレンズ ) は 電子線の電流量を調節するレンズで このレンズを強くすると焦点距離は短くなり 対物レンズ絞りを通過して対物レンズに到達する電子線量が減少する 対物レンズは 試料に入射する電子線を細く絞り込む最終縮小レンズで 焦点合わせに用いられる 非点補正装置 (stigmator) は 電子線束の断面形状を整え歪のない像を得るための補正装置 4 個 1 組の電磁石を2 組ずらして配置して 2 組の電磁石の電流を加減して断面形状と方向を調整する 走査コイルは 電子線を水平 直角の2 方向に偏向させて 試料上を走査させるためのもの 走査幅を変えると倍率が変わる 4) SEM の試料ステージ : 観察試料を振動やチャージアップ ( 帯電 ) から防ぎ安定に保持し 対物レンズとの距離 (working distance) 観察位置 方向を選択するための移動 ( 上下 水平方向 ) 回転 傾斜の各機構を持つ 5) 分析位置 : アスベストの EDX 分析には 繊維の分析したい位置に電子線束を止めて一定時間露光するポイント分析が主に行われる 細いアスベスト繊維上に止めた電子線束が露光中に繊維から外れることが多々ある その場合 正確な EDX スペクトルが得られないので 注意が必要である 対策としては 使用している SEM 装置の操作に慣れることやポイント分析時のコツを習得することなどが必要である 6) 試料汚染 ( コンタミネーション ): 最近は低真空 SEM 装置も普及しているが 試料室が低真空であるためポイント分析時にコンタミネーションを起こしやすく EDX スペクトルが不明瞭になることがある 低真空 SEM の EDX 分析には特に注意が必要である 7) 試料破壊 ( ダメージ ): 電子は粒子であるため 高速で電子が照射されると試料にダメージを与える 中でもクリソタイルは比較的電子線照射に弱いので 照射中にクリソタイルが破壊され 元素組成比が変わってしまうことがよくある 必要最小限の弱い電子線照射に抑えて EDX 分析をするなど 不要な電子線束照射をしないように注意する 8) マトリックス物質の影響 : アスベストに吸着物質がある時や近傍にマトリックス物質がある時 それらからの特性 X 線が EDX スペクトルに紛れ込むことがある アスベスト自身の EDX スペクトルなのか その他の近傍の物質からの特性 X 線が影響しているのか 分析位置を変えて分析し直してチェックすることが必要である 9) 加速電圧 : アスベストの EDX 分析は 加速電圧が高い方が明瞭な EDX スペクトルが得られる SEM-EDX 分析は 15kV より 20kV の方がよい 15kV 以下の低い加速電圧での EDX 分析はできるだけ避ける 116

128 図 7.3 クリソタイル アモサイト クロシドライトの SEM 画像 117

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