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きょういちたつざわ
5 years ago
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1 1 日本の情報サービス業の現状 1.1 情報サービス業の定義と特徴 391. ソフトウェア業受託開発ソフトウェア業パッケージソフトウェア業 392. 情報処理提供サービス業情報処理サービス業情報提供サービス業その他の情報処理提供サービス業

2 図 1 情報サービス業の売上高比率出所 : 経済産業省特定サービス実態調査平成 24 年 (2012 年 ) データより作成

3 図 2 情報サービス業におけるソフトウェア開発比率の推移出所 : 経済産業省特定サービス実態調査 ( 長期 ) データより作成

4 1.2 ソフトウェア業の売上高と技術系従業員数に見る特徴景気に左右されやすい産業企業が景気に合わせた直接的で大規模な解雇を行わず一定の技術者を確保している解雇ではなく新規採用を控えることで人件費抑制を図っていることも考えられる元請や上位下請開発受託業者が下請に対して委託を減少させることで対処し下請受託業者にしわ寄せがきている急激な需要変化に対処するべく一定の技術者数を維持しておく必要がある人件費と従業員の雇用に関して非常に難しい問題を抱えている

5 図 3 ソフトウェア業における売上高と技術系従業員数の前年比推移 ( 出所 : 経済産業省特定サービス実態調査 ( 長期 ) データより作成 ) IT バブルサブプライムローン問題リーマンショック

6 図 4 ソフトウェア業における売上高と技術系従業員数の伸び ( 出所 : 経済産業省特定サービス実態調査 ( 長期 ) データより作成 ) 減少するフラット大きく伸びる

7 2 SIer の原点から現在の状況まで 2.1 SIer の登場とその背景 1960 年代には企業内の電算室でデータ処理中心のプログラム開発が行われていた日本においては 1990 年代のバブル崩壊以降に IT 投資ブームが起きたことにより各企業は IT 投資の拡大と同時に費用削減も迫られていた社内に多くの技術系従業員をかかえるよりも外注に回す方が費用削減効果が大きい近年は Web 系システムの導入が増加し技術的にもシステム構築が容易になってきているため開発業者としての起業のハードルが低くなっている

8 図 5 非一次産業民営事業所 2004 年 ~2006 年 ( 出所 : 経済産業省中小企業白書 2008 年度版より作成 )

9 2.2 外注と内製の比率と産業構造現在の米国ではソフトウェアに対する投資は内製とソフトウェアパッケージの利用が約 2/3 を占めており IT 技術者はユーザ企業に技術系従業員として所属しているアメリカの IT 技術者のうちユーザ企業に所属しているのは 2,362,300 人 (72%) であり SIer は 941,410 人 (28%) である日本ではユーザ企業に所属しているのは 254,721 人 (25%)SIer は 771,426 人 (75%) である

10 そのデメリットの一つは下請専門業者となってしまえば常に上からの指示待ち型の開発となり本来企業としてあるべき競争力をつけることができなくなる点であるピラミッドの中に固定された中小零細企業は元請の業績や思惑に影響され独自に新規ビジネスに挑戦する余裕は生まれにくいまた下請として受託する開発はモジュール構築となりシステム全体を設計するときに必要な上流工程に参加できないことがプロジェクトマネジメントのスキルを低く抑えられる要因ともなりうる

11 2.3 中小下請 SIer の抱える問題と業界の動向日本の SIer の現状を整理すると第一にリーマンショックまでは景気の影響は受けながらも伸び続けていた産業であるがそれ以降売上が伸び悩んでいる下層の SIer が指示待ち姿勢となり自らの技術力やスキルの向上はそれほど期待できない産業構造がピラミッド型であることは下層の SIer が上位企業の業績に直接的に影響を受けるということになる

12 大手各社は今後国内需要を国の公共投資に合わせて安定した受注を続けようとするとともに今後の特需以降の需要を海外に求めている小規模ながらも高収益を上げるニッチな存在となるある程度の企業規模拡大を目指しスケールメリットを活かした戦略が行える企業に転身する

13 3 中小零細 SIer の存続に必要な行動 3.1 フライフィッシングカーブによる分析小規模を活かす ( 小回りが利く細かいニーズにこたえるなど ) SIer という業種は他の産業よりもニッチ戦略の可能性は高いと思われる ( 例 )Web 系の比較的小さな案件を個別にしかも場所を選ぶことなく受注など規模を適正な範囲で大きくし競争力をつける中小の下請企業同士の合併により互いの技術やスキルを補完しそのスケールメリットを活かした経営戦略が可能な企業へと転身する

14 図 6 フライフィッシングカーブによる企業規模と収益率の関係 ( 片亀長谷 [6] を参考 )

15 業種によっては企業規模と収益性には比較的明確な相関関係があることが知られているその関係を表したグラフをフライフィッシングカーブという石上他 [4] では代表的な例として銀行業界スーパーマーケット業界食品メーカー業界紙パルプメーカー業界に明確なフライフィッシングカーブの存在を見出すことができるとしている自動車メーカーの場合収益性のカーブが谷を形成せず企業規模に応じて利益率が上がる現象が見られ家電メーカー業界においてははっきりとしたカーブを描くことができないことが指摘されている

16 図 6 フライフィッシングカーブによる企業規模と収益率の関係 ( 片亀長谷 [6] を参考 )

17 利益率を最大化できる適正規模が存在する可能性がある今後の業界再編は大手元請各社が社会インフラに傾注しながら海外進出が進むことで海外のシステム受注が増えると考えられる同時に国内需要は特需である社会インフラの完成後に縮小する可能性があり中小零細 SIer は企業規模と収益性を考慮した適性規模での生き残りをかけて再編すると考えられる

18 3.2 バリューチェーンの維持中小の下請 SIer が存続するためにはビジネスの観点からも自社を見直すことが必要受託型ビジネスの基本は顧客のニーズに耳を傾けて顧客満足を最大限に引き上げるということに他ならない競合する企業との競争で優位に立つためには SIer としてのバリューチェーンを明らかにしそれに沿った戦略が必要となる技術的問題だけではなく自社における営業の課題設計の課題開発の課題運用保守の課題すべてに対応していかなければならない

19 図 7 受託開発業におけるバリューチェーン ( 出所 :IPA[2])

20 大手の場合研究開発から社員研修などの教育システムが整えられておりそのバリューチェーンは他社との競争優位に資していると考えられるが下請 SIer の場合これらのバリューチェーンがうまく機能しているとは言えずどうしても元請や上位の下請企業からの指示待ち的ビジネスを展開せざるを得ない営業の部分で顧客のニーズを本当に対応できるのは元請だけであり下請となって受託する場合は前述したようにモジュールとして規格化された製品プログラムを作ることしかできない中小零細 SIer に必要なものは受注するための営業力を筆頭にバランスのとれたバリューチェーンなのであるすなわちフライフィッシングカーブで定義づけられる高収益な企業となるためにはバリューチェーンの維持を忘れてはならない

21 まとめ本研究を通して得た知見 SI 事業は景気の影響を受けやすい需要は頭打ちになりつつあり大手は需要を求めて海外へ下請は取り残されぬよう下請なりの戦略と再編が必要分析方法としてフライフィッシングカーブを使う指示待ちビジネスからの脱却は受託ビジネスのバリューチェーンの維持によって可能本研究の意義日本のソフトウェア業は受託型ビジネスが多いことが特徴である現在はその転換点である中小零細企業が生き残るための戦略の一つを提言できたと考える

22 ソフトウェア開発業における企業規模別の売上高の推移 ~2007 年時点で従業者 300 人未満の企業が全売上高の 36% を占めている ~

23 ソフトウェア開発業の取引構造の変遷 ~1990 年代以降ソフトウェア開発業を営む中小企業は取引を多様化させてきた ~

24 オープン化企業や行政などの情報システムシステム開発の分野では大型汎用機 ( メインフレーム ) などメーカーごとに独自仕様の機材ソフトウェアで構成されたプロプライエタリシステムあるいは汎用系システムを標準規格や業界標準に則り複数のメーカーの製品を組み合わせて構成することができるオープンシステム ( オープン系システム ) に置き換えることを意味することが多い機器やソフトウェアネットサービスなどのオープン化という場合はその仕様や接続方法などを公開して別のメーカーが対応製品を作れるようにしたり別のメーカーの製品を組み合わせて利用できるようにすることを意味することが多いまたソフトウェアのオープン化といった場合はソースコードを公開してオープンソース化するという意味で用いられることもある

25 従来企業や政府の基幹システムにはレガシーシステムと呼ばれるメインフレーム ( 大型コンピューター ) を使ったシステムが使われてきたしかしレガシーシステムは Windows Linux で使うシステムとは互換性のない独自仕様になっておりさらに保守作業はシステム開発をした業者以外に委託できないという弊害があったそこで政府や多数の企業はクライアントサーバー方式や仕様公開を通じて複数メーカーの製品をとりこめるオープンシステムに移行することになったこのことを IT 調達のオープン化という

26 OSS / Open Source Software ソフトウェアの設計図にあたるソースコードをインターネットなどを通じて無償で公開し誰でもそのソフトウェアの改良再配布が行えるようにすることまたそのようなソフトウェアソースコードがあればそのソフトウェアの類似品を作成したりそのソフトウェアで利用されている技術を転用することが容易に可能なため企業などでは自社の開発したソフトウェアのソースコードは極秘とし他社に供与するときにはライセンス料を取ることが多い 1998 年 The Open Source Initiative(OSI) という団体によって The Open Source Definition (OSD) という定義が発表されている自由な再頒布の許可派生ソフトウェアの頒布の許可個人や集団の差別の禁止適用分野の制限の禁止など 10 項目からなりこれに準拠しているソフトウェアライセンスには OSI 認定マークが付与されるただし人々が日常使うオープンソースという言葉が必ずしも OSD の内容を指しているとは限らない

27 主要参考文献 [1]Michael Hammer, James Champy, Reengineering the Corporation: A Manifesto for Business Revolution HarperBusiness ( 野中郁次郎監訳リエンジニアリング革命企業を根本から変える業務革新日本経済新聞社 2002 年 ) [2]IPA 情報サービス業のビジネス戦略と人材育成への展開 IT スキル標準ベストプラクティスモデルワークショップ 2003 年度報告 2003 年 [3]IPA Software Engineering Center 非ウォーターフォール型開発の普及要因と適用領域の拡大に関する調査 ~ 非ウォーターフォール型開発の普及要因の調査 ~ 調査概要報告書 2012 [4] 石上圭太郎中村直之大木隆広 M&A から見る業界再編求められる企業規模最適化知的創造 2007 年 8 月号 pp [5] 大槻繁雄他新しい経営情報システム中央経済社 1999 年 [6] 片亀光行長谷聡太郎再編に向かう受託型システム開発業界 (SIer) 知的資産創造 2009 年 8 月号 pp [7] 最相力究極のアウトソーシング戦略システムインテグレータの時代コンピュータエイジ社 1991 年 [8] 佐藤博樹 IT 時代の雇用システム日本評論社 2001 年 [9] 佐野雄一米井洋平 2013 年の日本産業動向 ( 情報サービス ) みずほ産業調査 41 No 年 pp [10] 立川丈夫経営情報システム論その環境と概念の歴史的考察創成社 1996 年 [11] 平田周ソフトウェアクライシス 21 世紀のコンピュータ戦略日本放送出版協会 1993 年 [12] 宮川公男経営情報システム中央経済社 1999 年 [13] 東洋経済新報社会社四季報業界地図 2014 年版東洋経済新報社 2013 年

目次要旨 1 Ⅰ. 通信放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信放送業界の業績動向 6 (3) 国民

目次要旨 1 Ⅰ. 通信放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信放送業界の業績動向 6 (3) 国民ケーブルテレビ事業の現状 (2015 年度決算版 ) 2016 年 11 月株式会社日本政策投資銀行企業金融第 2 部産業調査部目次要旨 1 Ⅰ. 通信放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信放送業界の業績動向