揺れが一旦治まり状況確認をすると 廊下には割れた窓ガラスが飛び散っていて 避難するにもガラスを片づけなくては経路が確保できない状況でしたので 急いでガラスを廊下の端に寄せ 避難経路を確保した後に校庭へ避難を開始しました その時はすでに停電となり放送はできませんでしたが 教務らが避難の指示を大声で行う

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1 大規模震災時の対応について ~ 東日本大震災を受けて ~ 平成 23 年 3 月 11 日 14 時 46 分 大きな揺れと津波で東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災は 多くの児童生徒が学校滞在中に発生しました 東日本大震災 その時学校ではどのような対応をしたのでしょうか また 大震災の経験から何を改善したのでしょうか 今後 学校の管理下等での防災対策を考えていくうえでどのように心掛け 準備を行うのが望ましいのか その一例として茨城県ひたちなか市立磯崎小学校の地震当時の対応とその後の取組みを校長先生 教頭先生にインタビューしてきました ひたちなか市立磯崎小学校 ひたちなか市は 茨城県の中央部からやや北東に位置する県下 4 番目の規模の都市で 平磯 磯崎 阿字ヶ浦など海に面している地域もあります また 隣接する水戸市との間には那珂川が流れ その入江にはイカ釣り漁船が並び昔懐かしさを感じさせる那珂湊漁港があります 市内に学校は 小学校が20 校 中学校が9 校あり 今回取材させていただいた磯崎小学校は 磯崎灯台のすぐ近く 海から100 メートル 海抜 24 メートルの高台にあり 現在は 東日本大震災の影響により校舎が使用できなくなったため 茨城県立那珂湊第二高等学校の跡地を仮校舎として使用しています 平成 23 年度の全児童数は94 名と小規模ですが 創立は明治 23 年で歴史と伝統のある小学校です 震災当日の様子 平成 23 年 3 月 11 日 14 時 46 分 地震発生 ( 震度 6 弱 ) その頃学校では 5 校時が終わり 6 年生は6 校時の途中 それ以外は帰りの会などを行っていました 地震の揺れを感じて各担任は 訓練どおり児童に机の下にもぐるように指示をして 揺れが治まるのと避難の放送を待っていました 2

2 揺れが一旦治まり状況確認をすると 廊下には割れた窓ガラスが飛び散っていて 避難するにもガラスを片づけなくては経路が確保できない状況でしたので 急いでガラスを廊下の端に寄せ 避難経路を確保した後に校庭へ避難を開始しました その時はすでに停電となり放送はできませんでしたが 教務らが避難の指示を大声で行うのと同時に各学級から児童が避難を始めていました 児童の一人が足の怪我により松葉杖を使っていたのですが 教務と事務職員が両脇を抱え無事避難することができました 恐怖のあまり泣き出してしまう児童もいましたが 全員ケガなく避難ができたことが今思い出しても本当に良かったと思います 避難誘導している時にも余震がありましたが どうか校舎が倒壊しませんように と祈るような気持ちでした また とにかく避難した という状況だったため防寒具も何もなく 海辺の高台にある学校の校庭に吹く 寒く強い風は非常に厳しかったです 皆で身を寄せ合い 励まし合いながら 暫くの間 恐怖と寒さに耐えていましたが 校舎が倒壊しなかったので しばらくしてから教師達が児童の荷物を取りにいきました 3

3 避難後の教職員の動向と対応 校庭に避難して 15~20 分後 学校が避難場所となっていたので 保護者を含めた地域住民が学校に避難してきました しかし なかなか学校に現れない保護者もおり 動揺する児童もみられたことから まずは児童へ 安心 を与えなければいけないと考えました 津波については頭にありましたが 立地条件や日常の地域からの情報収集などから津波の危険性はないと判断しました また 体育館が避難所として使用できるか 被害状況の確認も行いました 校長先生の指示 教職員への指示 1 校庭は安全である 児童の安全確認と安心の提供 2 自分勝手には帰らない 3 先生の指示に従う 教頭 教務への指示 1 情報の収集 ( 電池式ラジオ 車のラジオ ) 被害状況などの情報収集 2 校舎 体育館等の被害状況確認 3 市教委との連絡 被害状況 教頭 教務が被害状況等を確認したところ 校舎は窓ガラスの破損や通気口の落下 柱 13 本中 9 本に亀裂 体育館は筋交いのネジがちぎれ 無数のボルトやナットが散乱しており 校舎 体育館を避難所に使用すると皆の生命を危険にさらすと判断し 市教委とも連絡が取れない中 新たな避難所を求めて住民を含めた全員を公民館へ移動させました 校舎 4

4 体育館 校庭 公民館では市の職員が対応しておりましたが やはり被害が大きいため使用できず 公民館の前にあるホテルも同様で 結局公民館の駐車場で待機することになりました また 児童の下校については 瓦の落下や塀の倒壊などの二次災害を想定したことと 停電の暗闇の中子どもを1 人にしないといった配慮から 保護者へ手渡しすることを決め 引き渡し時間のチェックをしました 迎えに来られない保護者もおりましたので その子については家へ送り届け全児童の引き渡しを確認し 教職員が解散したのは 18 時半でした 保護者へのメール発信もできず 市教育委員会とも連絡が取れない中 我が校の判断は正しかったと考えています 仮校舎移転 震災後 校舎については耐震工事と補修を行い使用するということで話がすすんでおりましたが 市の施設担当課の応急危険度判定調査の結果により 校舎は 取り壊し が決定し 旧県立那珂湊第二高等学校を仮校舎に新年度をスタートさせることが決まりました 仮校舎決定が 3/30 新年度スタートが 4/6 即座に臨時 PTA 役員会や保護者への連絡 移転計画の作成などを行いました 保護者の方々は 児童が安全な校舎で学校生活をおくれることに安心したようで 保護者会の時も移転のお手伝いのことなど 前向きな質問が多く非常にありがたかったです しかし 高等学校の校舎も少なからず震災の影響はあり 清掃や片づけが非常に大変でしたが PTA 役員 自治会のみなさん 保護者 市教委などの協力のおかげでなんとか 4/6 の始業式に間に合うことが出来ました 5

5 避難訓練について 震災前 本校の立地条件等は確認していたので津波に関しては余り心配しておらず 校舎の耐震補強が未整備だったので 迅速な避難を一番に考えていました 避難訓練も 迅速な避難 を念頭に行っていました 震災後 自校の立地条件確認の重要性を改めて認識したので移転先の立地条件も確認しました また 緊急放送が聞き取れない場所や停電時を想定してハンドマイクの声がとおらない場所の確認なども行っています 被災前は 窓ガラスが割れて避難がしづらい 携帯が繋がらないなどの状況は想定しておらず 避難後のことも想定が甘かったと考え 今回の大震災で起こった様々な状況をシミュレーションし 色々なパターンの避難訓練や児童引き取り訓練などを行っています 4 月 21 日第 1 回避難訓練 6 月 7 日第 2 回避難訓練 仮校舎の立地条件や建物の確認 安全な場所 危険な場所の確認 停電になり 校内放送が使えない状況を想定 ( ハンドマイクで対応したが 声が届かないことが判明 ) 9 月 5 日第 3 回避難訓練 始業式当日 地震への避難後 津波を想定し実施 児童は二人一組になり 3 階まで避難 ( 屋上に避難することも想定し 屋上の鍵は階下の職員室ではなく屋上に近い教室に保管することとする ) 引き渡し訓練児童の引き渡しが安全 確実に行えるよう訓練を行い 緊急事態に備えるとともに 課題点を把握する 1 月 13 日第 4 回避難訓練予定 ( 津波避難中心 ) 6

6 引き渡し訓練 磯崎小学校では 東日本大震災の経験を踏まえ ひたちなか市の方針に従い震度 5 強の強い地震が発生した場合は 大地震対応体制 とし 学校 その他の場所にいる児童は活動をやめ 保護者への引き渡しによる安全下校を最優先にします そこで 大規模地震への対応をまとめ 児童の安全下校が確認できるよう 児童引き渡しカード を作成しました 非常時は保護者が迎えに来られるとは限らないため 保護者以外にも引き取り可能な方 ( 例えば 祖父母 親類 近所の方 ) の情報を記載します 磯崎小学校の 大規模地震の対応 1 保護者迎えの原則 児童が学校にいるときに起きた場合 児童は 校地内避難するので 校地内で保護者が迎えに来るのを待つ ( 保護者が迎えに来られない場合は 親類が迎えにくることをお願いする ) 引き渡しカード で確認する 大津波に関する情報が入った場合は 保護者の迎えでも引き渡さないこともある 保護者等 ( カード記載者 ) が迎えに来るまでは職員で対応 児童は教職員の看護の下 保護者等の来るのを学校で待つ 2 迎えが遅くなっても学校を離れない 児童は教職員の看護の下 保護者の来るのを学校で待つ 3 学校が倒壊等により使用できなくなった場合 児童は避難先に移動させ そのことを学校に掲示し知らせる ( スクールメールが通じる場合は メールを使う ) 4 バス通学途上で地震に遭遇した場合 児童は 学校側の判断した場所で待機し救援を待つ そこで保護者等の迎えを待つ スクールメールが通じる場合はメールを使う 通信手段がない場合は 磯崎自治会に伝えるので 磯崎小学校で掲示 自治会長のお店での掲示及び学校での掲示を確認する 5 登校中バス停までで地震に遭遇した場合 (1) 児童は 近くの空き地 畑 ( 物が落ちてきたりしない場所 ) に待機し 救援を待つ (2) 保護者の迎えを待つように指導するので 保護者は通学路を迎えに行く (3) 電話等が使用できるときは 児童の安否情報を学校に知らせる 6 下校中バス停から家につくまでの間で地震に遭遇した場合 (1) 児童は 近くの空き地 畑 ( 物が落ちてきたりしない場所 ) に待機し 救援を待つ (2) 児童は 地震が収まっても 家の人がいる場合は 迎えを待つように指導するので 保護者は通学路を迎えに行く ( 児童の下校時刻に仕事等で家に誰もいない場合は学校へ連絡する ) 家庭でも 避難場所 避難方法などをよく話し合っておくこと 7

7 引き渡しカード記載内容 児童 ( 氏名 学年 組 ) 保護者 ( 氏名 住所 電話番号 携帯電話番号 勤務先名 勤務先電話番号 ) 仕事等で普段下校時間に家にいないことが多いかどうかの確認児童を迎えに来る人の氏名 続柄 緊急連絡先電話番号 想定される交通手段 引き渡し確認欄( 職員記入欄 ) を設け 引き渡し日時 引き渡し者名 対応職員名を記録します 引き渡しカードの使用手順 1 大きな地震が発生した場合 保護者は報道等でひたちなか市の震度を確認する 2 震度 5 強以上の場合 磯崎小学校は 大地震対応体制 とする 3 児童は活動を止め 保護者への引き渡しによる安全下校を最優先とする 4 保護者または 児童引き渡しカード に名前のある方は 学校に児童を引き取りに向かう 5 職員が 児童引き渡しカード で確認をしながら引き渡しを行う 8

8 他校へ伝えたいこと 今回の大震災に遭遇して校長として感じたことは 児童 教職員の命への安全確保に対する校長の決断は非常に重いものだということです 震災直後 市教育委員会と連絡が全くつかず学校は孤立しました 避難所となっている学校へは地域住民も避難してきます そこでリーダーシップと判断 決断する役目は校長ということになります また 判断 決断するには安否情報 地震津波の情報 校舎の被害 地域の様子等 とにかく情報は非常に大切なものだと感じました また 今回の震災時から震災後にかけて大きな力になったのは地元自治会でした 連絡不通の孤立した中で 地元自治会と連携できたのは心強く 日頃の連携のなかで生まれた地域住民との協力関係は震災時には非常に大きな力となりました 今後について 現在は 地元から約 6km の道のりを市が手配してくれたスクールバスで通学しています 余震による津波の心配があるため沿岸部を避けたルートを使用しており 片道約 15~20 分程度かかってしまいます そのため バス酔いになる児童や気持が沈んでしまう児童もみられ 新たな工夫が必要だと感じています また 今年度は震災がありましたが熱中症対策も兼ね5 月に大運動会を行いました 登下校の疲労もある中 児童は一生懸命頑張っていました 震災の心のキズは震災後 1 年 ~2 年後に現れると聞きます これからも明るい笑顔を絶やすことなく 磯っ子フルパワー を発揮できるよう 地域住民と共に児童の心もケアしながら今後も安全な学校生活を提供したいと考えております [ 春季大運動会の様子 ] ( 取材日 : 平成 23 年 9 月 20 日 ) 9

もくじ 鎌倉市教育委員会の災害発生時における小中学校の基本的対応 非常災害時と大規模地震への対応について 災害発生時の対応について 一斉下校時の教職員の立哨について 大規模地震発生時の職員対応 ( 授業中 ) ( 休み時間中 ) 避難訓練年間計画 防災計画

もくじ 鎌倉市教育委員会の災害発生時における小中学校の基本的対応 非常災害時と大規模地震への対応について 災害発生時の対応について 一斉下校時の教職員の立哨について 大規模地震発生時の職員対応 ( 授業中 ) ( 休み時間中 ) 避難訓練年間計画 防災計画 (HP 用 ) 非常災害時の対応 防災対策 鎌倉市立植木小学校 もくじ 鎌倉市教育委員会の災害発生時における小中学校の基本的対応 非常災害時と大規模地震への対応について 災害発生時の対応について 一斉下校時の教職員の立哨について 大規模地震発生時の職員対応 ( 授業中 ) ( 休み時間中 ) 避難訓練年間計画 防災計画 鎌倉市教育委員会の災害発生時における小中学校の基本的対応 (1) 次のような災害状況においては

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