008-New Audi A4 Technology Magazine.pdf

Transcription

1

2 最新世代のAudi A3やTTが MQB( モジュラートランスバースマトリックス ) と呼ばれる体系的モジュール戦略の恩恵に浴しているように 新しい Audi A4も MLB evo( モジュラーロンギチューディナルマトリックスエボ ) と呼ばれる 縦置きパワートレイン搭載モデルを対象とした最新のモジュールマトリックス戦略に基づいて開発されたクルマの 1 台である モジュラーマトリックスの発想が最初に生まれたのは 1990 年代アウディにおいてだった 当時初代 A4( アウディの社内コードB5) を開発するなかで 共通のコンポーネントからクラスやタイプの異なる複数のモデルを開発する手法を確立していった 当時のグループ会長 フェルディナンドピエヒは 当初計画されていた初代 A4のボディが大きくなりすぎていると判断して 開発陣にサイズを縮小するよう指示をした 出来上がった A4は 当初よりも全長が 75cm 短くなっていた 結果としてその判断は吉と出て 初代 A4は非常なヒット作となり それに続いて開発された 初代 A6( 社内コードC5) も 同じプラットフォームを使って設計されることになった C5の開発に際して アウディの技術陣は A4でやったことと逆のことをやって Cセグメントの標準に合うようクルマの幅と全長を拡大した トレッドをフレキシブルに拡大できるよう クルマの全幅を規定するパーツ類に関しては そうした条件を満たすように設計し それ以外のパーツは ほとんど共有できるようにして 非常に高いコスト競争力を確保したのだ その後 Audi A4とA6はそれぞれ独自のプラットフォームから開発された時期もあったが 2007 年にデビューした初代 Audi A5において アウディ開発陣は モジュラーマトリックスのコンセプトを より本格的で体系的な モジュラーロンギチューディナルマトリックス ( MLB) としてまとめ上げた MLBではまずドライブラインが規定され それに基づいてプラットフォームのディメンジョンが得られるよう ボディシェルの基本設計がなされた ホイールサ NEW AUDI A4 And MLB evo 新型 Audi A4 と最新のマトリックス戦略 MLB evo The new-generation Audi A4 is a fascinating synthesis of technology and esthetics. All the technology in the brand s bestselling family has been redeveloped so that it yet again defines the benchmark in the premium mid-size car segment. ボディからシャシー エンジン さらに操作方式やインフォテイメントシステム 豊富に用意されたアシスタンスシステムまで すべての面で新しくなって大胆な進化を遂げたプレミアムミッドサイズセダン Audi A4 その誕生の背景には アウディブランドの威信をかけた 新世代のモジュラーマトリックス戦略があった そのMLB evoの内容を中心に 新型 A4に込められたアウディ技術開発陣のフィロソフィーとビジョンを語ろう この冊子は英文版の The Audi Technology Magazine Encounter 2/2015 号から新型 Audi A4 に関する記事を抜粋 特別に再編集したものです

3 Audi R18 e-tron quattro New Audi A4 ルマンを戦った Audi R18 e-tron quattro のようなレースカーの形状は レギュレーションの許す範囲内で 完全に機能に従ったものになっている ボディデザインの 課題は ひとえにダウンフォースと空気抵抗の最適な妥協点を見出すことだ 0.23( 欧州仕様 ) という驚異の Cd 値を実現した新型 Audi A4 のアンダーボディ エンジンベイは完全にカプセル化され 乗員ルームとラゲッコンパートメントの下側にも ガード塗装が施されたフラットなエリアが広がっている イズの選択がフレキシブルにできるようにし Q モデ マトリックスでも それと同じことが可能になってい 基づくことになる しかもこの数字には グループ内 ミッドサイズカーの新型 A4 の場合 ボディシェルの ことで アウディモデルに乗るすべての人々が 最新の ルの開発が可能になるよう プラットフォームの高さ る すなわち MBL evo に基づいたモデルには TFSI 他ブランドのモデルは含まれていない 大半がスチールになっているが 上のセグメントのモ テクノロジーの恩恵に浴することができる にも自由度が得られるよう配慮した しかしながら TDI といった内燃エンジンのほか 電動化されたドラ マトリックス戦略においては あらゆる変更の提案が デルではアルミの比率がより高くなっている これは そうした分野でのアウディの基本的アプローチは マ MLB の目的は たんにクルマの基本構成やテクノロ イブシステムを搭載することができる そして この 意思決定機関による厳密な審査の対象となる もち 正しい素材を正しい量 正しい場所へ というアウ トリックス戦略を通じて 新しいテクノロジーを上から ジーモジュールを構築するだけではなかった アウ 電動化されたドライブシステム には 48 ボルトの車 ろん マトリックス戦略は 常にライバルに対して競争 ディのモットーに則ったやり方でもある 次世代の A8 下のセグメントに広げていくことだ 最初に採用する ディは それらを生産するための工場設備の設計も同 載エレクトリックシステムに基づいた新しいテクノロ 力を維持しなければならないので ときに応じて細か では CFRP も使われる可能性がある のは高価な上級モデルだけであったとしても 次第に 時に行なっている インゴルシュタットとネッカースル ジーから Audi Q7 e-tron quattro のようなプラグイ な修正は必要だ しかしながら 少なくとも 生産に関 MLB evo により大きく進化した部分として エンジン 設定モデルを広げていくことで 実際の交通状況にも ムの両工場で 生産面での共通性を確立するための ンハイブリッドのシステム さらにバッテリー式の EV ま わる車両の基本アーキテクチャーは マトリックスが ボディ シャシーといった基本部分のほかに 操作 / 影響を与えられるようになる 先進的なアシスタンス 取り組みがなされた 生産性の高い工場は 雇用の安 で 幅広い可能性が想定されているのだ 全面的に更新されるまで変更されることはない ディプレイ方式 コネクティビティ ドライバーアシスタ システムも 広範囲のモデルに搭載されるようになれ 定にもつながる MLB evo モデルにおいては フロントエンドのレイアウ 開発スタッフにとってモジュラーマトリックスは いわ ンスシステムなどが挙げられる トラフィックジャムア ば安全面での社会的貢献を果たすことになるだろう この最初の MLB が 今日のモジュラーマトリックス戦 ト バルクヘッドの位置 エンジンの搭載位置と角度 ば ガードレール の役割を果たしている ハイウェイ シストは 将来のパイロッティドドライビング ( 自動運 エアロダイナミクスはアウディが伝統的に力を注い 略の母体となった フォルクスワーゲン / アウディは がすべてのモデルで共通になっている モデルによっ はガードレールで囲まれているからこそ 安心して飛 転 ) への途を切り拓くものだ できた領域だ 新しい A4 によって アウディブランド そのアイデアを MQB という形で パワーユニットを横 て異なるのはシート位置 ペダル類の横方向の配置 ばすこともできる マトリックス戦略があることでデザ モジュラーマトリックスにより 部品だけでなく生産設 はふたたび この分野のトップランナーの座に返り咲 置きするクルマの世界にも展開した それは かつて 及びステアリングコラムの角度などである トレッド イナーやエンジニアたちも 目標をしっかり定めて 集 備の規格化が可能になり クオリティが安定してコス いた 新型 Audi A4 は 0.23 の Cd 値を達成し ( 欧州仕 ない体系的で大掛かりなもので かつドライブシステ ホイールベース オーバーハング アウタースキンなど 中して仕事に取り組むことができるのだ トも削減されることになる また 新しいテクノロジー 様の最良値 ) 市販セダンのなかでもっとも空力面で ムをフレキシブルに選択できる形に進化していた の設計は 完全にフレキシブルになっている MLB と MLB evo の技術面での大きな違いのひとつ を広範囲のモデルに搭載できるようになる 優れたクルマになったのである MQB で開発されたモデルは パワーユニットとしてガ MLB evo は B C D セグメント及び大型の Q モデルの は MLB evo では マテリアルミックステクノロジーへ その端的な例が モジュラーインフォテイメントマト 対応するモジュラーマトリックスに関わりなく アウ ソリン / ディーゼルエンジンのほか 電気モーター さ すべてに対応可能で 現在販売されているアウディ車 の備えが十分になされている点である ボディシェル リックス ( MIB) だ これは インフォテイメントシステム ディモデルにとって エアロダイナミクスはさらに重要 らにプラグインハイブリッドのドライブシステムなどを の 60 パーセント以上が縦置きエンジン搭載であるこ については スチールのみでも アルミニウムのみで の幅広いラインナップを提供するだけでなく 各シス なテーマになっている ゴールは 先進的なデザイン 搭載することができるが アウディの新しい MLB evo とから 計画されているすべてのモデル導入が完了し も また 両方の素材の組み合わせでも作ることがで テムが常時アップデートされる仕組みにもなってい を最高水準のエアロダイナミクスと融合することだ すなわち第 2 世代のモジュラーロンギチューディナル た暁には 年間 120 万台以上のクルマが MLB evo に きる る 不断の開発努力により常に技術が更新されていく 新型 Audi A4 はその最高の成功例といっていい NEW AUDI A4 And MLB evo The new-generation Audi A4 is a fascinating synthesis of technology and esthetics. All the technology in the brand s bestselling family has been redeveloped so that it yet again defines the benchmark in the premium mid-size car segment. 不断の開発努力により常に技術が更新されていくことで アウディモデルに乗るすべての人々が 最新のテクノロジーの恩恵に浴することができる 2007 MLB 2012 MQB 2015 MLB evo アウディが開発した第 1 世代のMLB( モジュラーロンギチューディナルマトリックス ) の対象モデルは 2007 年に発売されたAudi A5が最初で その後 Audi A4 A6 A7 Sportback A8 Q5 Q7 といったモデルにまで広げられた この第 1 世代のMLBの重要な特徴のひとつは ホイールベースを延長して フロントディファレンシャルをクラッチ及びトルクコンバーターの前に配置したことだ 2012 年に生産が始まった最新世代のAudi A 年にデビューした新型 TTは いずれもフォルクスワーゲングループが導入したMQBを利用している プラグインハイブリッドのドライブシステムを採用した Audi A3 Sportback e-tron( 写真 ) のようなモデルにより ドライブシステムに関するMQBのフレクシビリティが Audi TTSにより運動性能面でのポテンシャルが証明されることになった この第 2 世代のMLBを最初に適用したのは新型 Audi Q7で 続いて新型 A4にも採用されることになった MLB evoの強みは 幅広いタイプのドライブシステムや複数のマテリアルを併用したボディ設計に対応し さらに 様々な操作 / ディスプレイ方式 インフォテイメント及びアシスタンスシステムが用意されている点だ 03 04

4 01 Stefan Gmelch ステファン グメルヒ 新型Audi A4シャシー開発のチームリー ダー 足回り部品の大半を再設計して大胆な軽量化を実現しつつ ハンドリング 乗り心地の改善も果たした 03 Dr. Rainer Wurms & Dr. Ralf Budack Dr.ライナー ヴルムスとDr. ラルフ ブダック エンジンの先行開発部 門で働くDr.ヴルムスとDr.ブダックの2人は 新しい燃焼プロセスを採 用して燃費を大幅に改善した2.0 TFSIエンジン開発の立役者 新型 Audi A 4 開発の立役 者たち プレミアムミッドサイズセダン のスタンダードを より高いものに 変 え た 新 型 A u d i A 4 新しいテクノロジーとデ ザイン 誕 生の 背 景には プロジェクトに関 わった多く人々の 熱 意と努力 があった 文 ヨハ ネス ケブラー 写 真 ベ ルンハ ルト ヒューバー Even more powerful, even more efficient, even more intelligent. The new Audi A4 sets the bar a good deal higher. Who are the brains behind the new technologies and solutions? THE NEW AUDI A4 Greater than the sum of its parts 04 Dr. Wolfgang Huhn Dr. ウォルフガング ヒューン アウディにおける照明及び視界に 関する技術開発の責任者 A8 A6 TTなどに続いて今回A4にも採 用されることになったマトリクスLEDヘッドライトについて語る 02 Tiziana Mauri ティッツィアーナ マウリ 色と表面フィニッシュを担当する部門 Color & Trimに所属して新型A4を担当したイタリア人女性デザイ ナー 社会とファッション分野のトレンドに常に目を光らす 05 06

5 軽量設計は 生半可な取り組みでは到底実現できな また 新型 A4 は前輪にアルミ製の固定ブレーキキャ 乗り心地を味わえるはずだ その一方で スポーティ の制御プログラム さらにアダプティブクルーズコン い根気のいる開発作業の結晶だ それでもなおアウ リパーを採用しており ここでも左右あわせて 旧型 なキャラクターも失われていない トロール使用時の加減速の制御などが それぞれ調 ディは この分野で新たな基準を打ち立てることに 比 5kg の重量が削減されている サスペンションシス オプションのダンピングコントロール付サスペン 整されることになる 01 Stefan Gmelch 成功した 搭載するエンジンによっては 新型 A4は旧モデルより最大 120kgも重量が軽くなっており テムそのものも 前後あわせて 11kg 旧型より軽くなった 主要なリンク類はすべてアルミ製で 製法も ションを搭載すれば 乗り心地はさらに快適なものになるでしょう グメルヒは語った このシステムを ホイールに関しても 開発時に 12.5kgという厳密な重量リミットが設けられていた また エレクトロニッ ( 注 : 欧州仕様 ) その大きな部分をシャシーが占めて 多くの場合 鋳造ではなく鍛造が採用されている 例 搭載した新型 A4 では 走行状況に応じて ダンパー クスタビリティコントロール (ESC) の働きも 旧型時 いる えば 新しい鍛造アルミ製スウィベルベアリングは 減衰力が無段階で連続的に可変制御される 高度に 代と比べてより正確で繊細なものになり 従来型に 今回われわれは シャシー部品のひとつひとつを丁 従来の鋳造製のものと比べて 800g 軽く仕上がって 統合されたコントロールユニット ( 新型 A4 及びほか 続いて エレクトロメカニカル パーキングブレーキが 寧に見直しました と語るのは新型 A4 のシャシー開 おり さらに 生産のために要するエネルギーもずっ 発のチームリーダーを務めたステファングメルヒだ その結果 多くの部品を全面的に設計し直すことにしたのです そうやって見直されたコンポーネントのひとつが エ と少なくなっているのだという サスペンションシステムは 今回からフロントだけでなく リヤにも 5リンクが採用されることになった これにより2 つの恩恵がもたらされます ステファ シャシー部品のひとつひとつを丁寧に見直した結果多くのコンポーネントを全面的に設計し直すことにしました 足回りだけで多くの重量が削減されています レクトロメカニカルタイプのパワーステアリングだ ングメルヒは語っている ひとつは バネ下重量を Running Gear この部分だけで旧型比 3.5kgの重量が削減されている 新しく採用されたモノチューブタイプのダンパー 減らせること もうひとつは 縦方向と横方向の力を別個に制御できるようになったことです 横方向の のMLB evoモデルに採用された新機構のひとつ ) が 縦方向及び横方向の加速度及びホイールの動き 全モデルに標準設定されることになった グメルヒはこう言ってインタビューを締めくくった より快適な乗り心地とスポーティな操縦性を得るために も 従来のものより 4 本あわせて約 2kg 軽くなった 力に対しては ラバー / メタルマウントを用いること に関するあらゆる情報をモニタリングして状況を判 新型 A4 の足回りは 快適性とスポーティなキャラク A4の足回りには徹底的なてこ入れがなされた とりわけ焦点が置かれたのは 体系的な軽量化と インテリジェントな制御テクノロジーだ グメルヒはまた 新しいダンパーの軽量化以外のアドバンテージについてもコメントしている 新しく採用したモノチューブダンパーでは オイルが で硬くして スポーティなハンドリングに必要な剛性を確保し その一方で縦方向の力に対しては マウントをソフトなものにして快適な乗り心地を得ていま 断していく ダンパーコントロールのモード選択は アウディドライブセレクトのシステムを介して行い そこでドライ ターを かつてない高いレベルで両立させています すべての評価項目において 新たなベンチマークを打ち立てているといえるでしょう すべてピストンバルブを介して流れるため よりダイ す ビングモードを選ぶと ダンパーの制御プログラム レクトな反応が得られるのです 実際 新型 A4 のドライバーは 旧型よりもスムーズな だけでなく アクセルペダルの特性 7 速 S トロニック Greater than the sum of its parts THE NEW AUDI A4 Even more powerful, even more efficient, even more intelligent. The new Audi A4 sets the bar a good deal higher. Who are the brains behind the new technologies and solutions? 彼女はゆっくりとトリムピースの上に指を滑らせた 彼女が抱えるオープンコアタイプのオークには 天然 に 相応しい色やスタイルを見出す仕事を行っているのだ ンといった色調を多用して スポーティでエレガントな印象を演出しようとしている そのことを端的に示 ファッションフェア ( 国際的に有名なインテリアデザインの見本市 ) で見かけたことがあります ティッ 02 Tiziana Mauri 杢ならではの特別な風合いがあった こうした杢目 ティッツィアーナマウリは 新型 A4 の特徴について しているのが ワピティブラウンとロックグレーのカ ツィアーナマウリはそう語った それで わたしたち パネルはモダンデザインの家具ではひとつの流行になっています そう語るのは カラー & トリム担当 熱っぽい口調で語ってくれた エクステリアのために まったく新しい3つのカ ラーコーディネーションを採用したシートやダッシュボードだ の仕事は正しい方向にあったのだと 勇気づけられた気持ちになりました Color & Trim のデザイナーであるティッツィアーナマウリだ ラー マタドールレッド マンハッタングレー ゴットラ わたしはこれと同じ色の組み ペイントの色合い アッドオンパーツ インテリアの 新型 Audi A4では インテリアの選択肢のひとつとして グレーの天然オークの杢目も提供しています ンドグリーンをラインナップに加えました イタリア人である彼女はそう説明した 合わせを しばらく前のミラノ マテリアル及びカラーは 徹底的に見直されました 新型 A4シリーズの各モデルには 落ち着いた 現代的エレガンスが強く感じられます エクステリアに設定した3つの新しいカラーは いずれも顔料の使用を抑えた エレガントな色合いにしています 新型 A4にはこうした落ち着いた色が似合うと判断しました Color & Trim( カラー & トリム ) は Audiモデルの表面仕上げを担当するデザイン部門である エクステリアカラーの色合いや アッドオン ( ボルトオン / 接着 ) パーツ及びインテリアのマテリアルやカラーの選択について 判断を下すのがその仕事だ 世の中の大きなトレンドや 目まぐるしく移り変わるファッションの流行を分析して 発売されるとおおよそ 7 年間市場に留まり その後も長く路上を走り続けるアウディ車 いずれも顔料を控えめに使ったので 落ち着いた とてもエレガントな色合いになっています 新型 A4 にはこうした傾向の色が似合うと判断しましたが モデルによってキャラクターは違っていますから 例えば新型 Q7には もう少しはっきりとした色のほうが似合うと感じています Color & Trim のデザイナーたちは インテリアに新しいハイテク素材や クールで都会的なグレー ブラウ 07 08

6 アウディは 新型 A4 シリーズに搭載する新開発の 部門で働く Dr. ラルフブダックと 着火型 ( ガソリン & ション 及びアウディバルブリフトシステム ( AVS) と しては異例に高い 11.7:1 に設定されています それ 2.0 TFSIにより 着火型 ( ガソリン ) エンジンの技術開発史に新たな一章を追加しようとしている 140kW / 190PS 320Nm(1,450~4,200rpm) の 天然ガス ) エンジンの先行開発部門のチーフである Dr. ライナーヴルムスの 2 人のエンジニアだ われわれはアウディのダウンサイジング戦略をライ いったシステムを組み合わせることで 圧縮比をかつてないほど高く設定することに成功したのだ Dr. ブダックがその技術の背景を語ってくれた わ に続く膨張行程は 圧縮工程より長く続きますから より多くのエネルギーがクランクシャフトに伝えられることになります 長い膨張行程を通じて ガスの膨 03 Dr. Rainer Wurms & Dr. Ralf Budack 出力 トルクを発揮するこの直列 4 気筒ユニットは 2 トサイジングというコンセプトに進化させました そ れわれは 2006 年に開発プロジェクトに着手したと 張圧力をより多く動力に変換することで 燃費効率 l クラスのエンジンとして かなりの高性能を発揮す う語るのは Dr. ヴルムス 新しい 2.0 TFSI では われ きすでに この原理の有効性を確信していました し を向上させているのです る一方 新型 A4 セダンとの組み合わせで 燃料消費 われは排気量を増やしつつ それに適切なテクノロ かしその後 燃焼室の形状やバルブタイミング 圧縮 短い吸気工程のなかでエアの充填が十分に得られる をわずか 4.8l/100km(CO2 排出量は 109g/km) に ジーを組み合わせました 結果 おとなしく走った場 比の設定 さらに制御プログラムといった細かい作業 よう 2.0 TFSI エンジンの吸気ポート バルブ ピスト に かなりの手間がかかりました ン及び燃焼室の設計は 新しい専用のものになって 2006 年に開発プロジェクトに着手したときから原理の有効性には確信をもっていました しかしその後 細かい開発作業に手間がかかってしまいました 新型エンジンは とりわけ中間負荷での効率のよさに特徴がある それは 2タイプが組み合わされた ( デュアル ) インジェクターのうちとくにポート側が働く領域だ このポートインジェクションにより燃 いる 高負荷領域では 排気側から吸気側に移されたAVSが クランクアングルにして 170 度のバルブの遅閉じ制御 ( 長い吸気工程 ) を行い 充填されるエアの量を増やして パワーとトルクを向上させるのだ 抑えている これは パワーに劣る旧 2.0 TFSI (180PS) と比べて 22パーセントもの燃費削減を意味している ( 値はいずれも欧州仕様のもの ) この改善には クルマ全体の軽量化ももちろん貢献しているが 同時に高効率な新エンジンが果たした役割も 合には 小排気量エンジンなみに燃料消費を抑制できる一方 スポーティに走行したときには大型エンジンの高性能が得られるようになったのだという 新しい 2.0 TFSIエンジンは よく知られた ミラーサイクル の原理を活用しつつも それをさらに一歩進化 料の霧化が上手く行なわれるようになり 効率的で きわめてクリーンな燃焼が可能になっているのだ そのとき吸気バルブは クランクアングルにしてわずか140 度の範囲でしか開かず そのため 吸気マニフォールド内の圧力が高まって 吸気工程でのスロットルロスも減少するのだという Dr. ライナーヴルムスは この新しいテクノロジーが切り拓いた技術的可能性についても言及した 将来にわたって排ガス規制をクリアしていくための優れた技術的基盤をわれわれは確立できたと言えます さらに加えて この新しい燃焼プロセスは 燃費効率のいい領域だけを利用するという ハイブリッ 2.0 TFSI with new combustion process ダウンサイジングからライントサイジングへ 新しい燃焼プロセスを採用した 2.0 TFSI エンジンは 小排気量エンジンの効率と 大型パワーユニットの高性能を融合しています 大きい させた燃焼プロセスを実現した 圧縮工程を短縮し 新しい 2.0 TFSI エンジンが 圧縮工程において実際 ドドライブのコンセプトにも合致しています 大きな 今回そのあたりの説明を行ってくれたのが 過給サイ て膨張行程を伸ばすというミラーサイクルの基本原 に圧縮する混合気の量は 1.4 TFSI のそれとあまり ポテンシャルを持ったテクノロジーの開発に われわ クル / サーモダイナミクス ( 熱運動力学 ) の先行開発 理に加えて ターボチャージャー デュアルインジェク 変わりありません しかも 圧縮比は過給エンジンと れはまだ着手したばかりなのです Greater than the sum of its parts THE NEW AUDI A4 Even more powerful, even more efficient, even more intelligent. The new Audi A4 sets the bar a good deal higher. Who are the brains behind the new technologies and solutions? アウディは照明テクノロジーの分野においても パ ロールユニットに送られてくる るという われわれは われわれの部門のなかに す 数年以内にこれらのテクノロジーを 多くのモ イオニアの役割を果たしてきた マトリクス LED マトリクス LED ヘッドライトが発生するハイビーム コントロールユニットのソフトウェアを開発する専 デルで標準化できればと思っています 制御ユ ヘッドライトは そんなアウディが開発を手掛けた のパターンは あわせて数百万にも達します 特定 用チームを結成しています 彼はそう証言した ニットの統合をさらに進めることで それも可能に 先進テクノロジーのひとつで 2013 年にまずフ の方向だけライトをマスキングしていきますから クルマの内部のネットワークが複雑化し さらに なるでしょう そして もうひとつは さらなるハ ラッグシップセダンの Audi A8 でデビューを飾って ほかの道路使用者たちに眩しい思いをさせること いまでは外部とのネットワークも緊密になってき イテクを追い求める途です われわれは現在 ライ いる なく 先方の道路を均一で明るい光で照らし続け ています われわれにはそのぶん クルマの照明 トを数百億のエレメントに分散させることを可能 われわれはその後 よりサイズの小さいモデルシ ることができるのです を より一層インテリジェントなやり方で制御する にする新しいモジュレーションプロセスの研究に リーズにも採用を拡大してきました そう語るの 一方 マトリクス LED のヘッドライトユニットに内蔵 必要性に迫られているのだといえます この分野 取り組んでいます これが実現すれば 例えば 照 は 照明及びドライバー視界に関する技術開発を されたダイナミックコーナリングライトは 状況に 04 Dr. Wolfgang Huhn 統括しているDr. ウォルフガングヒューンだ 彼は語った 今回われわれは新型 Audi A4にもマトリクスLED ヘッドライトを設定しました こうした新しいテクノ 応じて光の焦点を移動させて ドライバーの便宜を図るシステムだ ナビゲーションシステムと連携して 進行先の道路情報を活用することで ドライバーがステアリングを切る前に進行先を照らす と マトリクス LEDなどの新しい照明テクノロジーにより Audiが提供するクルマの付加価値が高まり 同時にビジュアル面での魅力も高まるものと確信しています ロジーは 顧客の支持を広げることで 量産も可能 いった機能まで果たしてくれる ( 注 : 日本市場では Lighting Technology アウディは照明技術の分野でも世界をリードするブランドです 新型 A4では 状況に応じて部分的にハイビームの光量を制御するマトリクスLEDのテクノロジーを提供しています になり 結果として多くの顧客に手頃な価格で提供できるようになります 新型 Audi A4に採用されたマトリクス LEDヘッドライトでは 合計 12のLEDによりハイビームが形成されている コントロールユニットが それらひとつ 設定なし ) これは新型 A4の新しい機能といえます 反射の強い交通標識などがあった場合 そちらの方向だけ3 分の1 程度 光量を落とすといった設定にもしています において 技術革新のペースは徐々に早くなっているのです ならば今後 照明のテクノロジーはどういう方向に進んでいくのだろうか? われわれが想定しているのはおおよそ 2つの方向 明によって ドライバーにグラフィック情報を提供することもできます いずれにしてもわれわれは 市場で成功を得るために デザイナーたちと緊密に連携を取りながら研究を続けていくつもりです 新しい照明テクノロ ひとつの LED の光量を 状況に応じて 64 段階で調 Dr. ヒューンによれば アウディが照明テクノロジー です Dr. ウォルフガングヒューンは答えた ジーにより Audi モデルの付加価値が高まり 同 整している 画像処理の一部も担当する新開発の の分野で主導的立場を確保している理由のひとつ ひとつは マトリクス LED などの先進テクノロジー 時にビジュアル面での魅力も高まるものと確信し カメラから 判断のもとになるシグナルが コント は エレクトロニクス分野での豊かなノウハウにあ をよりシンプルで安価なものにするという方向で ています 09 10

7 Aerodynamics meet An aerodynamics specialists and designer explain how teamwork delivered the optimum solution for the new Audi A4 and how a car managed to lift the bar a good deal higher. Design エアロダイナミクスと融 合したアウディデザイン エアロダイナミクスとカーデ ザインは 一 般 的には 近しいものとみられる一方 で ときとして 対 立する 概 念 でもあるようだ フランク ランベ ル ティとベアト ハインツェルマン が 両 者 の チ ームワークにより 新 型 A u d i A 4 の C dとリフトがいかにして最 適 化され たのか を語る 文 マーロン マテウス 写 真 ウルリケ ミルジック Aerodynamics Specialist Beat Heinzelmann ベアト ハインツェルマン エ アロダイナミクス及びエア ロアコースティックスのエ キスパート 同僚とともに ごく初期段階から新型Audi A4の開発プロジェクトに参 画して Cd値の新しいベン チマークを確立した Exterior Designer Frank Lamberty フランク ランベルティ エ クステリアデザインのプロ ジェクトリーダーとして スタッフとともに新型A4の デザインを担当 カーデザ イナーにとってもっとも大 切なものは オリジナルな アイデアであると力説 11 12

8 Aerodynamics meet An aerodynamics specialists and designer explain how teamwork delivered the optimum solution for the new Audi A4 and how a car managed to lift the bar a good deal higher. Design 最初に お二人それぞれに伺いたいのですが どんなクルマが完璧といえますか? ハインツェルマン : 空力を専門とするわたしの立場からすると クルマは飛行機の翼の断面のように 細長い流線型をしているべきです ホイールは完全にキャップで覆い 全体のデザインは 1930 年代のタイ ランベルティ : ときとして予期しない発見をすることがあります エアロダイナミクスの面で厳しいだろうと思われた形状が 吉と出ることもあります お二人は新世代のAudi A4の開発に深く参画されていましたよね そのなかで もっとも大きな妥協を強いられた部分はどこですか? マのリヤエンドのデザインをダイナミックでスポーティなものに見せています おかげで A4アバントのデザインは 通常のワゴンとは一線を画したものになりました しかしながらエアロダイナミクスの点ではこれは望ましくありません エアセパレーションエッジの位置が前方に寄ってしまうからです テールゲートを自動的に開けるためのバーチャルペダルを欲しがる人もいるでしょう そうした新しい装備はすべてスペースを要求します われわれは そのための場所を確保しなければならないし エアロダイナミクスの専門家は 抵抗にならないようその形を整えなければなりません そうした作業では われわれは プ C スピードチャレンジカーを見本にすべきです そう ハインツェルマン : もしデザイナーだけですべてを決 もう少しわかるように説明していただけますか 利害を共有しています すれば最高の Cd 値が得られるでしょう 定していたら 新型 A4 のトレッドはずっと広くなって ハインツェルマン : セパレーションエッジは リヤにお クルマの購入理由の第一は昔も今もデザインで その意見に対しデザイナーとしてはどうですか? いたでしょう われわれの当初の考えでは 優に いてエアを適切な形で離して 後方の乱流による抵抗 す Cd はそこでどんな意味がありますか? ランベルティ : わたしの意見は少し違います わたし 20mm 以上離れていました エアロダイナミクスの観 を最小にする役割を果たします その位置が後方に ハインツェルマン : 空力性能は 燃料消費に直接関わ にとって一番大切なものは バランスがよくて力強い 点からすると 別次元ともいえるギャップでした なるほど 空気抵抗は小さくなります りますから クルマにとって非常に重要なポイントで プロポーションなのです それには 幅広いショル ランベルティ : わたしはずっと幅広の A4 でレース活動 ランベルティ : セダンでは エアセパレーションはトラ す Cd 値が低いということは 燃焼消費が少ないとい ダー部分や クワトロの血統を表す力強いホイール を行っていましたからね われわれにとって 幅が広 ンクリッド後端で発生します それに対しアバントで うことであり CO2 の排出も少ないということです 顧 アーチなどが含まれます いことはスポーティネスを表す証なのです は ルーフスポイラー後端がその位置となります そ 客もこれは気にすると思います チームワークを発揮するのは大変そうですね ハインツェルマン : そうした考えは われわれにとって れでわれわれは スポイラーとリヤウインドーのあい ランベルティ : クルマを効率的なものにするために ランベルティ : われわれの最終的なゴールは 素晴ら 確実な障害といえますね クルマは幅が広くなるほど だに エアロバッブル とでも言うべき 平らな面の小 は 小さなことでもおざなりにするべきではありませ 2016 UPSIDE DOWN AUDI A4 しいデザインであり 同様に素晴らしいCd 値です そして よりよい結果を得るには われわれのあいだに建設的で緊密な協力関係があることが絶対必要で 空気抵抗を減らすことが難しくなります Cd 値が悪くなるだけでなく 前面投影面積が大きくなって 燃料消費もエミッションも増大してしまいます さなジョイント部分を設けることにしました それにより セパレーションエッジを実質的に後方に動かすこ ん 新型 A4 ultraはわずか99g/kmしかco2を排出しません これはベストの値です す その恰好の例が新型 Audi A4で セダンは 0.23 アバントも 0.26のCd 値を達成することができました いずれもクラス最高の値であり デザインの魅力を損なうことなく実現できたことに満足を感じています ランベルティ : フロントスカートとサイドエアインテイクについては さんざん議論しました われわれはすべての部分を なるべく立体的 彫刻的にしたかったのです その結果生じる空気の乱流を減らすために ハ 今後は可動空力パーツといった新しいテクノロジーを通じて デザイナーとエアロダイナミクスの専門家がともに創造性を発揮していく余地が 大きく拡がっていくでしょう ハインツェルマン : その通りです もちろん 最初のう インツェルマンさんたちは苦労されたようです ちは多くの点で意見の相違がありますが 時間をかけ ハインツェルマン : 基本的には単純な面のほうが対応 とに成功しているのです 未来に目を向けるとして この先どんな課題が てひとつひとつ課題を克服していくことで 共通の土 しやすいのです 新型 A4 のフロントエンドのデザイン ハインツェルマン : 最終的には われわれはみな満足 待ち受けていますか? アンダーボディの念入りな空力処理は 新型 A4 が優れた Cd 値を叩き出す上での 俵を発見し 最善の解決策を見出すことができます が 最終的に素晴らしいものになったことは間違いあ しました デザイナーにとっては 望みどおりの細くて ハインツェルマン : 新型 A4 でわれわれが成し遂げた 最大の貢献要因のひとつといえる これは新型 A4を下から見た写真だが エンジンルームの下側は完全にパネルで覆われ そことキャビンの床裏部分には 保護のための樹脂吹き付けがなされている また リヤのサスペンションアームには それぞれカバーがかけられ ホイールの前側と燃料タンクなどには エアの整流のための小さなスポイラーが設けられている 一方 下の写真は1972 年に発売された初代 Audi 80 このモデルが開発されていた頃は エアロダイナミクスに対する関心はまだ薄く ボディ裏側の空力処理など考えられていなかった 空スペースだらけのエンジンルームはボンネットを開けた状態で下から覗けば たくさんの隙間から空も見えただろう もっとも 初代 Audi 80の車両重量はわずか835kgで 軽量設計においては 結局のところ どちらにとっても 最終目標は卓越したクルマを世に送りだすことなのですから それは 敵が仲間になるということでしょうか? ランベルティ : 極端すぎる喩えですけど 外れてもいません われわれデザイナーは新たな傑作車を生み出したい エアロダイナミクスは当然その重要な要件のひとつですが だからと言って 最初から発想を狭 りません しかし こうした細部の造形は 立体的になるほどエアフローの制御が難しくなります それでわれわれは思い切って サイドインテイクにエア通路を設けることにしました それにより フロントスカートまわりの空気をうまく導いて 乱流をあまり起こさない形で ホイールのサイドから外部に放出するようにしているのです 傾斜した Dピラーが得られたし われわれも 空気抵抗を減らして アバントでもベスト イン クラスの Cd 値を実現することができました デザインとエアロダイナミクスは究極的には補足し合うものなのでしょうか? ハインツェルマン : われわれは実際 多くの部分で共通の土俵に立っていると思いますし しばしば 気が ことのすべてが 次の新型車に引き継がれるでしょう これは 絶えざる改良のプロセスで とてもゆっくりで 手間のかかるプロセスでもあります Cd 値に関する限り 今後は可動の空力パーツにより 大きな進展がなされる可能性があると思っています ランベルティ : わたしも似たような考えを持っています 可動空力パーツは デザイナーにとっても まった アウディは 40 年以上も前から ライバルをリードする存在だった めてしまうことありません 最初の時点で大切なのは デザインとエアロダイナミクスを融合するため 付けば同じ課題に直面したりします 例えば われわ く新しいアプローチを提示する可能性があります クリエイティビティでありオリジナルな発想ですから に ほかにはどんなトリックを使いましたか? れはいずれも リヤエンドの高い位置までせり上がる ハインツェルマン : そうした面でわれわれは 初代 ハインツェルマン : 合意点を見出すのにしばしば苦労 ハインツェルマン : ランベルティさんたちは 新しいア ディフューザーを望みました クルマをスポーティに見 Audi R8 にリトラクタブルリヤスポイラーを装着すると することがあります だからこそわれわれは 開発の バントの D ピラーを細く 強く傾斜したものにしたいと せるだけでなく リヤのリフトを下げて空力的なバラ ころからスタートしました 新型の Audi Q7 と A4 には 初期段階から 一緒に仕事をするようにしています 断固主張しました ンスを良くするからです こうした面では たとえ他部 シングルフレームグリルの背後に 調整可能なクーリ われわれは ごく初期の 寸法だけ正しくしたデザイン ランベルティ : 結果的にはそれほど細くはなりません 門から疑問の声が上がったとしても われわれは共闘 ングエアインテイクを設けています このメカニズムに 1972 UPSIDE DOWN AUDI 80 モデルを風洞に持ち込んで そこでの結果について議論を行います われわれのそれぞれが独自の信念を持っており モデルを使って実験することで 初めて でしたが ( 笑 ) 少しでも細く見えるように ピラーに追加のラインを加えています われわれはこの ファーストバック スタイルの Dピラーを 前方に傾斜したリヤ できるでしょう ランベルティ : 新型車を開発するとき われわれは実に様々な要求に直面します 顧客にとっては 広くて快 より クルマの Cd 値だけでなく 燃料消費も減らすことに成功しています こうしたテクノロジーを通じて デザイナーとエアロダイナミクスの専門家が 創造性 意見をすり合わせることができます ウインドーを得るために活用しており それによりクル 適な室内は重要だし 折り畳み収納式のトーフックや を発揮する余地は大きく拡がっていくでしょう 13 14

9 ミッドサイズアウディ成功の 50 年 アウディのスポーティミッドサイズカーの歴史が始まったのはちょうど半世紀前です 以来 最初のAuto Union AudiからAudi 80 A4と あわせて 9つの世代を経て いままた未来に向けた新たな一歩を踏み出そうとしています イラスト : ベルントシファーデッカー 1980 年の200PSターボエンジンを搭載した初代 Audi quattroの登場は衝撃的だった しかしながら フルタイム4WDの適用は そうしたスポーツモデルだけに留まらなかった 1978 年から生産開始されたこの第 2 世代のAudi 80にも 1982 年秋からquattroモデルが設定されることになったのである 136PSの2.2l 直列 5 気筒エンジンを搭載した80 quattroは たんに速いだけでなく 実用性にも卓越していた 1985 年からは よりマイルドな4 気筒 90PSエンジンを搭載したquattro 仕様も追加され quattroテクノロジーが 比較的廉価なモデルにまで広がっていくことが示唆された 初代のイメージを残した直線基調のクリーンなスタイリングは 実直なカーユーザーにも人気があった そのため ベースモデルは引き続き1.3l55PSエンジンを搭載し 途中から54PSのディーゼル仕様もラインナップに加わった 燃費にこだわるユーザーの要望に応えて Eポジションと呼ばれる非常に長いオーバードライブギアを備えた5 速マニュアルトランスミッションが開発され搭載されていた 1965 アウトウニオンアウディ AUTO UNION AUDI 1972 Audi A4 の源流にあたる戦後初めて販売されたミッドサイズアウディが発売されたのは いまから半世紀前の 1965 年である 1950 年代に隆盛を誇った 2 サイクルモデルの人気に陰りが見えたため もともと 2 サイクル 3 気筒エンジンを搭載していた DKW F102 に大規模な改造を加え 4 ストロークの 4 気筒エンジンを載せたモデルを アウトウニオンアウディ として 発売することにしたのだ 11.2:1 という当時のガソリンエンジン車としては異例に高い圧縮比を採用したそのモデルは 72PSという なかなかのハイパワーを発揮して 1949 年に再結成されたアウトウニオン社に 新しい息吹きをもたらした 翌 1966 年には よりパワフルな80PS 90PS 仕様に加え 今日のアバントの源流ともいえる3ドアのワゴンモデルも uto Biography 追加発売されている そのとき車名を エンジンパワーを表す形で アウディ 72 アウディ 80 アウディスーパー 90 という風に 改めたことが 次の世代の アウディ有数の成功作である初代 Audi 80 の誕生へとつながる 代目 Audi 80 (B2) AUDI 80 B The career of Audi s sporty mid-size model began exactly 50 years ago. Since the Ur-Audi of 1965 and in eight generations of the Audi 80 and Audi A4, this model range has been the heart of the brand. With the ninth edition, it is ready to take yet another step into the future. この世代の Audi 80 は 依然として多くが現役で走っている 1986 年 9 月から 1991 年 8 月までに 約 130 万台もの B3 Audi 80 が 工場ラインを後にしたということももちろんあるが 同時にこの時代の Audi モデルから ボディに全面的な亜鉛メッキ処理が施されるようになって よりいっそう長持ちするようになったからである ライバルブランドに先駆けて 10 年の穴あき保障が Audi の全モデルに適用されるようになった それ以前の 2 世代のモデルと比べると丸みを増したボディは Cd わずか 0.29 に抑えられており そのぶん 燃料消費も大幅に削減されていた とりわけ 1990 年 9 月に発表されたシリーズ初のディーゼルターボモデルは 際立った燃費効率を誇っていた パワーも 80PS を発揮して なかなかの俊足ぶりも誇っていた この B3 Audi 80 をベースに いくつかの魅力的なバリエーションも登場した そのうち Audi 90 は 同じボディに 5 気筒エンジンを載せた上級仕様だった その 90 をもとに Audi Coupe が開発され 1972 初代 Audi 80 (B1) AUDI 80 B さらにそのクーペをもとに 初代 Audi quattroのスポーツ性を継承した高性能モデルとして 220PSの5 気筒ターボエンジンを搭載したAudi S2が開発され 1990 年からラインナップに加わった 1972 年に発売されたこの魅力的サルーンは ボディもシャシーもエンジンもすべて新しい 正真正銘のニューモデルだった 新開発の 4 気筒エンジンを縦置きし フロントサスペンションには やはり新開発のマクファーソンストラットを用いていた ネガティブステアリングオフセットを採用したおかげで ブレーキング時の安定性の高さが自慢だった 全長は 418cm で 今日でいえばコンパクトセダンだが 室内スペースは広かった トランクの容量も 450l 確保されていた もっとも軽いモデルは800kgを切っていたから 1.3l55PSエンジンを積んだベースモデルでも走りはきびきびしていたし 75PS/85PSの1.6l エンジンを搭載した仕様は 多くのドライバーにとって とても速いクルマに感じられた 1973 年には 100PSエンジンを搭載したスポーツモデルの80GTを発売 さらに1975 年に発売した80GTEは 110PSの燃料噴射装置付きエンジンを搭載して180km/h 超のトップスピードを実現 スポーツセダンとして人気を博した 代目 Audi 80 (B3) AUDI 80 B

10 B3 Audi 80 は 1991 年に実質的なフルモデルチェンジを行って B4 80 に進化 B3 から外観イメージなどは 継承していたが ホイールベースが若干延長され ボディバリエーションにアバントが加わった (1992 年 ~) さらに Audi 80 シリーズとして初めて V6 エンジンが設定されることになった V6 エンジンは 2.6l と 2.8l の 2 つの排気量が用意され パワーはそれぞれ 150PS と 174PS だった 贅沢な V6 モデルを設定したのに伴って B2 の時代から存在した Audi 90 は 80 シリーズに吸収される形で姿を消した 実直なミッドサイズカーという性格もあった Audi 80 が より上質で高性能なモデルへと 生まれ変わったのがこの世代だった クーペベースの高性能バージョン S2の生産は継続されていたが 1994 年にアバントボディを採用したさらに強烈なスポーツモデルが登場することになった Audi RS2 Avantと命名されたそれは 315PSを発揮する2.2l 直列 5 気筒ターボエンジンを搭載し 0-100km/h 加速 4.8 秒 最高速 262km/hという圧倒的な運動性能を実現していた 代目 Audi A4 (B7) AUDI A4 B シングルフレームグリルを初採用することで フロントの印象が大きく変わったのがこの 2004 年に発表された B7 A4 だ B6 と異なり この世代ではセダンとアバントが同時に発表されている テクノロジーの面で注目されたのはエンジンで 直噴に過給器を組み合わせた TFSI が初めて搭載されている (2.0 TFSI で最高出力は 200PS) 直噴ターボディーゼルの TDI も さらにパワフルになり かつ効率的になった もっとも高性能の TDI モデル (3.0V6) は 233PS の高出力を実現していた 2005 年 11 月には 高性能スポーツモデルの RS4 も発売された この世代の RS4 はセダンとアバントが選べ 発売はセダンが先で RS4 Avant が追加されたのは 2006 年半ばになってからだった エンジンは同じ 4.2lV8 ながら パワーは 420PS(@7,800rpm) まで増強されていた 0-100km/h を 5 秒未満で加速してみせたが それ以上に印象的だったのがハンドリングで 代目 Audi 80 (B4) AUDI 80 B 改良されたquattroシステムは 前 40: 後 60の非対称なトルク分配を行い さらにダイナミックトルクベクタリングシステムの助けもあって かつてないニュートラルな操縦性を実現していた この新しいタイプのquattroシステムは その後 Audiの多くのモデルに採用されていくことになる B5セダンが1994 年 11 月に発表されたとき モデルネームが変更されたことにあまり驚きはなかった それより先に最上級セダンのAudi A8と Audi 100から名前を変えたA6がデビューを果たしていたからだ 前輪に新開発のマルチリンクサスペンションを採用し 前席エアバッグ パワーステアリング ABSといった装備を全車標準で備えたこの初代 A4は 安全性と快適性 さらに操縦性能の分野で新しい基準を打ち立てていた また 緻密なボディの造りにより 品質の面でも B4から格段の進歩を遂げていた 1995 年 9 月にはアバントが追加で発表され 美しいシルエットにより人々の注目を集めた 美しいワゴンはアバントと呼ばれる というのは 当時知られたB5アバントの宣伝コピーである この時代 アウディのガソリンエンジンは 5バルブテクノロジーを採用して パワーと効率をさらに改善していた しかしヨーロッパ市場では それ以上に直噴ターボディーゼルのTDIが人気を呼んで 1999 年には150PSの2.5lV6TDIを搭載した高性能モデルも発売された Auto Biography The career of Audi s sporty mid-size model began exactly 50 years ago. Since the Ur-Audi of 1965 and in eight generations of the Audi 80 and Audi A4, this model range has been the heart of the brand. With the ninth edition, it is ready to take yet another step into the future 初代 Audi A4 (B5) AUDI A4 B 初代 80から数えて6 世代目にあたるB6 A4は 2000 年に発売されるや 様々なデザイン賞を授与されたモデルである しかし B5から進化したのは見た目だけではなかった アルミ製軽量足回りパーツ サイド & ヘッドエアバッグ さらにESPなどを標準装備し NCAPや アメリカの研究者たちによる衝突テストで 最高の評価を獲得していた Avantが発売されたのは1 年遅れの2001 年だった エクステリアもさることながら インテリアの質感 デザイン 操作のしやすさは 顧客からも専門家からも称賛を浴びていた ドイツの有名自動車誌 アウトモーターウントシュポルト の読者投票で 2002 年にAudi A4は ミッドサイズクラスの カーオブザイヤー に選出されている テクノロジーの面では この時代にガソリン直噴を採用したFSIエンジンが初採用された 新しいV6エンジンや常時可変ギアレシオ式のオートマチックトランスミッション マルチトロニック もラインナップに加わった スポーツ仕様のS4に搭載された自然吸気の4.2lV8ユニットは 5バルブテクノロジーを採用して344PS(@7,000rpm) のハイパワーを誇っていた アウディのエンジニアが長年開発に取り組んできたモジュラーロンギチューディナルマトリックス ( MLB) が この世代のA4において実を結ぶことになった 2002 年にアウディに移籍してきたデザイナーのワルターデシルヴァも エレガントなニューモデルを創造するために 早速 MLBを活用することにしたのである MLBプラットフォームの最大のポイントはフロントディファレンシャルをクラッチとトランスミッションの前に置いたことだ それにより 前輪車軸の位置を154mm 前方に移動させることが可能となった B8 A4のスタイリングは力強さとエレガンスを兼ね備え かつ0.27のCd 値を達成するなど 機能の面でも優れていた 高効率なTFSIガソリン TDIディーゼルエンジンには 同じく高効率な自動変速機である Sトロニックが組み合わされ さらにダイナミックステアリングやアダプティブダンパーといった先進テクノロジーも選択肢として提供されるようになった 2009 年 3 月には 新たなバリエーションとして オールラウンドなキャラクターを備えたA4 Avant allroad quattroが発表されている 代目 Audi A4 (B6) AUDI A4 B 代目 Audi A4 (B8) AUDI A4 B