日・黒海地域関係研究会第3回会合「ウクライナ危機と冷戦後の欧州国際秩序」

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1 THE GLOBAL FORUM OF JAPAN 日 黒海地域関係研究会第 3 回会合 ウクライナ危機と冷戦後の欧州国際秩序 - 速記録 - 基調報告を行う六鹿代表 2014 年 11 月 26 日 2014 年 12 月 グローバル フォーラム

2 まえがき この速記録は 2014 年 11 月 26 日に開催された第 3 回日 黒海地域関係研究会 ウクラ イナ危機と冷戦後の欧州国際秩序 ( 報告者 : 日 黒海地域関係研究会 代表 ) に関 する当フォーラム 日 黒海地域関係研究会 の会合の議論のもようを取りまとめたものである 本年 3 月 18 日のロシアによるクリミア併合に端を発した一連のウクライナ危機は ウクライナ東部における戦闘激化 マレーシア航空機の撃墜 一般市民避難民への砲撃などと続き 未だ解決の目処がたっていない状況である この度の一連のウクライナ危機は ロシアによって突発的に起こされた一地域紛争ではなく その背景には 西欧とロシアの間に位置するバルト海から黒海にいたる地域で 諸大国が長年にわたり権力闘争を繰り返し 複雑な国際政治が展開されてきた という経緯がある また グルジア紛争など これまでのロシアの旧ソ連地域に対する攻勢にも留意する必要がある したがって この度のウクライナ危機によって欧州の国際秩序 延いては国際社会全体の秩序が激しく揺さぶられる可能性があり この危機の本質を理解して如何に対応するかを検討することは 喫緊の課題である この研究会は このような問題意識のもとで第 3 回日 黒海地域関係研究会 ウクライナ危機 と冷戦後の欧州国際秩序 として開催されたものである 当日は六鹿代表から基調報告を受け その後出席者全員で自由討論をおこなった なお 速記録 は この 研究会 の内容につき その成果をグローバル フォーラム等各 方面の関係者に報告するものである なお 本 速記録 の内容は 当フォーラムのホームペー ジ ( 上でもその全文を公開している ご覧頂ければ幸いである 2014 年 12 月 26 日グローバル フォーラム代表世話人 日 黒海地域関係研究会 顧問伊藤憲一

3 第 3 回日 黒海地域関係研究会 ウクライナ危機と冷戦後の欧州国際秩序 ( 報告者 : 日 黒海地域関係研究会 代表 ) (2014 年 11 月 26 日 ) 速記録 目 次 1. 概要メモ 1 2. 速記録 4 (1) 伊藤憲一 日 黒海地域関係研究会 顧問の挨拶 4 (2) 日 黒海地域関係研究会 代表の基調報告 5 (3) 出席者間の意見交換 日 黒海地域関係研究会 代表の配布資料 23

4 1. 概要メモ 2014 年 11 月 26 日 グローバル フォーラム事務局 当フォーラムは その実施している 日 黒海地域対話 および 日 GUAM 対話 を理論的にサポートするため 日 黒海地域関係研究会 ( 代表 : 教授 ) を別途設置しているが この度当フォーラムは 研究会の六鹿代表を報告者にお迎えし ウクライナ危機と冷戦後の欧州国際秩序 と題して 下記 1.~ 5. の要領で研究会を開催したところ 六鹿代表の冒頭報告の概要は下記 6. のとおりであった その後の自由討論の詳細は割愛する 1. 日時 :2014 年 11 月 26 日 ( 水 )16:00~18:00 2. 場所 : 日本国際フォーラム会議室 ( 港区赤坂 チュリス赤坂 8 階 803 号室 ) 3. 主催 : グローバル フォーラム 4. テーマ : ウクライナ危機と冷戦後の欧州国際秩序 5. 報告者 : 日 黒海地域関係研究会 代表/ 教授 出席者 :21 名 ( は発言者) グローバル フォーラム 伊藤憲一 日 黒海地域関係研究会 顧問/ グローバル フォーラム代表世話人 伊藤和歌子 日 黒海地域関係研究会 メンバー/ 日本国際フォーラム研究室長 織田 一 朝日新聞社特派員 〇木下博生 全国中小企業情報化促進センター参与 佐藤真千子 日 黒海地域関係研究会 メンバー/ 国際関係学部講師 高畑洋平 グローバル フォーラム事務局長 / 日本国際フォーラム主任研究員 眞野輝彦 元三菱東京 UFJ 銀行役員 〇湯下博之 民間外交推進協会専務理事 渡辺 繭 日 黒海地域関係研究会 幹事/ グローバル フォーラム常任世話人 日本国際フォーラム 石井将勝 時事通信社外信部記者 〇大藏雄之助 日本国際フォーラム参与 / 異文化研究所代表 澤 英武 評論家 高橋一生 元国際基督教大学教授 〇中川原俊輔 三井物産戦略研究所ロシア 東欧ビジネス推進センター長 新田容子 日本安全保障 危機管理学会主任研究員 〇橋本 宏 元駐シンガポール大使 〇原 聰 日本国際フォーラム参与 / 京都外国語大学客員教授 松本 洋 日本国際協力システム顧問 山野陽一 日立製作所営業統括本部戦略サポート本部長 東アジア共同体評議会 箱木眞澄 東北大学名誉教授 ( 五十音順 ) 進行司会者 石川 薫 グローバル フォーラム執行世話人日本国際フォーラム専務理事 東アジア共同体評議会常任副議長 1

5 6. 日 黒海地域関係研究会 代表 / 教授の講話概要 (1) 冷戦後の欧州国際秩序ウクライナ危機についてはウクライナとロシアからのみ捉えるのではなく 19 世紀以来の欧州国際政治の歴史的連続性 2008 年のグルジア紛争からの流れ EU 東方パートナーシップ首脳会議等の全体像からとらえる必要がある 冷戦後ロシアは潜在的修正主義国となった 1989 年のベルリンの壁崩壊後 ソ連のゴルバチョフ大統領は冷戦後欧州国際秩序をNATOおよびWTO( ワルシャワ条約機構 ) の上にCSCEを 欧州共通の家 として構想し 集団安全保障機構を創り出そうとしていた しかし ドイツ統一承認の条件としてブッシュ米大統領は統一ドイツのNATO 加盟を またミッテラン仏大統領はEU 創設をそれぞれ明言し NATOとEUを中心とする冷戦後の欧州国際秩序からロシアは排除された その結果 冷戦後の欧州でロシアは発言力を持てなくなり ロシアは潜在的な修正主義国となった (2) 狭間の地政学 19 世紀以来 バルト海から黒海に至るロシアと欧州の狭間の地域はハプスブルク オスマン ドイツ ( プロイセン ) およびロシアの4 帝国による権力闘争の地であり 両大戦および冷戦はこの 狭間の地政学 をめぐる諸大国の権力闘争の結果生じた 冷戦後もこの歴史的な連続性が見られ 中 東欧およびバルト諸国がEUに加盟した 2004 年以降は 旧ソ連西域と南コーカサス-ベラルーシ ウクライナ モルドヴァ共和国 アルメニア アゼルバイジャン グルジア-をめぐって 欧米とロシアは綱引きを展開した 例えば メドヴェージェフ露大統領は NATOを骨抜きにする新欧州安全保障条約草案を提案したり (2009 年 11 月 29 日 ) ミサイル防衛(MD) に関して NATOとロシアがそれぞれの責任圏を設けるセクター方式を提案したりした (2010 年 11 月 NATOリスボンサミット ) これ以降対露リセット外交は破綻し NATOとロシアの関係が悪化していった 他方 EUは 2009 年春から上記旧ソ連西域と南コーカサス6ヶ国を対象とする 東方パートナーシップ を開始した これに対抗するため プーチン氏が大統領再選後 包括的自由貿易協定(D CFTA) と両立しないロシア ベラルーシ カザフスタンからなる関税同盟への加盟をウクライナに促し ウクライナのEUへの接近に歯止めを掛けようとした (3) 価値 をめぐるトランスナショナルな協力と対立の構造このような 狭間の地政学 をめぐる諸大国間の権力闘争という歴史的連続性とは別に 非連続性にも目を向ける必要がある ヒットラーのドイツとスターリンのソ連は東欧諸国民の意思に反してこの地域を占領下したが E UやNATOの東方拡大は 東欧諸国民が希望したものである しかも EUやNATOは 民主化 市場経済 軍の文民統制などコペンハーゲン基準や加盟行動計画 (MAP) を満たした国から加盟を認める方式を採用した その結果 EUないしNATOへの加盟を望む人々と ロシアへの接近を望む人々との間で 民主化など価値をめぐる対立が高じていき バラ革命やオレンジ革命など 所謂色革命が生じた しかし 価値をめぐるこの対立は 国内にとどまることなく 国境を越えたトランスナショナルな対立と協力の構造へと発展していった ロシアが 欧米とは異なる固有の伝統的文明を有する国であるとして 主権民主主義 を盾に欧米の民主主義に対抗する姿勢を強めたからである とりわけ 大統領再選後のプーチン氏は 旧来の権力基盤であるリアリスト勢力に加え 民族主義勢力も権力基盤とするようになり 欧米民主主義との対抗姿勢を鮮明にした このような状況下において ウクライナで生じたユーロ マイダン革命 (2014 年 2 月 ) は プーチン政権にとって二つの意味を有した 一つはユーロ マイダン革命がロシアに飛び火する危険性であり もう一つは ウクライナのEU(NATO) 接近の加速化 ひいてはロシア勢力圏の喪失であった そこで ユーロ マイダン革命に深く関与して敗者となったプーチン大統領は クリミア併合を敢行し同地をロシア連邦に帰属させることで マイダン革命の敗者から一転 国民的英雄へと登り詰めたのである しかし クリミア併合によってプーチン政権は安定したが ウクライナの欧州接近を阻止できなくなった と言うのもクリミアの親露派の票が減るので 親欧米派が政権をとることになるからである そこで ロシアは ウクライナに連邦制を敷き 同国東部に親露的な共和国を創設して 同共和国に重要な外交問題に関する拒否権を含む強大な自治権を供与することで ウクライナのEUやNATOへの接近に歯止めを掛けようと 東部の分離主義支 2

6 援に乗り出したのである (4) 独露協調に変化 : ドイツと対露制裁ポロシェンコ ウクライナ大統領は 今年 4 月 6 日に戦闘を開始した親露派武装勢力との停戦合意 (6 月 20 日の ) の打ち切りを宣言 (7 月 1 日 ) して ウクライナ東部奪還へ軍事作戦を展開した するとその翌日に4ヶ国ベルリン外相会議 ( 独仏露ウクライナ )(7 月 2 日 ) が開催され 即時停戦とコンタクト グループ (OSCE ウクライナ 露 ) による協議再開が決定された ここには ウクライナ危機の解決に向けた 独露協調関係が見られた しかし 今秋メルケル独首相は休戦協定実施に向けイニシアティヴをとると宣言し シュタインマイヤー独外相に代わって 対ウクライナ 対露政策を指揮し始めた 同首相のブラティスラヴァ演説 (10 月 20 日 ) によると ドイツによる対露制裁解除は ミンスク和平合意 ( 休戦ラインおよびウクライナ ロシア国境の国際機関による監視 ロシアの兵士および武器の撤収など ) が実行された後に行われるべきであるとのことである このメルケル演説を受け E Uは対露制裁の継続を決定した (10 月 24 日 ) これら一連の流れやNATOウェールズ サミット宣言などから ドイツでは対露政策をめぐって 首相府 外務省 国防省が対立しているのではないかと思われる (5) 黒海国際関係への波紋ロシアのクリミア併合により 黒海の軍事バランスが変化し これまでの ロシアとトルコの海 から ロシアの海 へ変わりつつある これに対して NATOは少なからぬ危機感を抱き 黒海沿岸国との海軍軍事演習を行ったり ポーランド~ルーマニア~トルコの縦軸の同盟がミサイル防衛をめぐって形成されつつある さらにクリミア タタール問題があり これが トルコにとっても重要な国内問題である と 駐キエフ米大使が自分 ( 六鹿教授 ) に述べていた また 以前からロシアのサウス ストリーム ガスパイプラインとEUのエネルギー第三パッケージの対立があったが 昨年暮れ以降ブルガリア セルビア オーストリアが露ガスプロム社とサウス ストリーム パイプライン建設契約をした こうした中 欧州委員会の中止要請を無視してブルガリアは国内法を改正してこのパイプラインを建設しようとしたが ジョン マッケインら米国議員がソフィアを訪問して圧力をかけこの建設を止めさせた 共和党の力が実感された (6) ウクライナ危機とGUAM GUAMの設立目的は 経済協力 分離主義問題および駐留ロシア軍問題に共同で対処することにある OSC Eイスタンブール サミット (1999 年 ) で NATOはCFE 条約の批准条件として ロシア軍のグルジアやモルドヴァからの撤退を掲げた クリミア併合では GUAM 諸国はロシアによる侵略を非難し 国際法を遵守すべしとして国連決議で共同歩調を取った このGUAM 各国の動静だが まず グルジアでは 与党内における権力闘争の激化が注目を引いた 大統領が議会で親露派の首相およびオリガルキーで前首相を務めたビジナ イヴァニシヴィリを批判した (11 月 14 日 ) これに対し 首相は親欧米派閣僚( 外相 国防相 ) を解任した また ロシアはアブハジアで反大統領デモを仕掛け ロシアとの同盟締結を迫るなど アブハジアのクリミア化が進んでいる アゼルバイジャンは 東方パートナーシップ (EaP) および個別パートナーシップ行動計画 (IPAP) に参加するなど EU/NATOとの協力関係を推進してきた しかし EUとの連合協定には調印せず NATOへの加盟を希望しないなど アゼルバイジャンは全方位外交を展開している モルドヴァ共和国は ウクライナと密接な協力関係を築いて来た しかし モルドヴァはトランスニストリア ( 沿ドニエストル ) で問題を抱えている この地域には現在 1500~2000 人のロシア軍が駐留し 地理的にはウクライナのオデッサまで陸路数時間で到達できる距離にある したがって ロシアが実効支配するクリミアからだけでなく このトランスニストリアからもロシア軍がウクライナに侵攻するのではないかと 西側諸国は懸念した さらに モルドヴァはガガウズでも問題を抱えている この地域の住民であるガガウズ人はトルコ系キリスト教徒だが 現在ロシアに接近しており ロシアはガガウズに対するワイン禁輸免除やガス価格値下げに同意するなど ガガウズを巧みに使ってモルドヴァ政府に揺さぶりをかけている モルドヴァの将来にとり11 月 30 日の議会選挙は極めて重要であるが そこでは 親欧米路線を行く与党諸政党と 関税同盟への参加を呼び掛ける共産党 社会党 祖国など親露派政党の対決となろう ( 文責 在事務局 ) 3

7 2. 速記録 2014 年 11 月 26 日 石川薫 ( 司会 ) 本日はお忙しい中 また寒い日にもかかわりませずお集まりいただきましてありがとうございます 早速でございますけれども 日 黒海地域関係拡大研究会 ウクライナ危機と冷戦後の欧州国際秩序 と題しまして 今日は 教授 また日 黒海地域関係研究会代表でいらっしゃる六鹿先生に お話 ご報告を賜りたいと存じます 六鹿先生 よろしくお願い申し上げます ( 日 黒海地域関係研究会 代表) よろしくお願いいたします 石川薫 ( 司会 ) では45 分程度 先生からお話をいただきまして その後 ディスカッション Q&Aというふうに進めさせて頂きます 冒頭 代表世話人の伊藤憲一より 一言ご挨拶を申し上げます (1) 伊藤憲一 日 黒海地域関係研究会 顧問の挨拶 伊藤憲一 ( 日 黒海地域関係研究会 顧問/ グローバル フォーラム代表世話人 ) どうも 本日は皆さん お忙しいところ ありがとうございます 六鹿先生に代表をやっていただいている日 黒海地域関係研究会ですが これはグローバル フォーラムとして 黒海地域 ブラックシー エリアとの対話というのを これはもう定期的にかなり積み重ねてきているわけですが それを理論的に支える狙いで研究会を組織していただいたわけですが その後 黒海地域というと もう20カ国を超える諸国の集まりなものですから それを東京でやるなどというと なかなかそう簡単に動かないという状況があるわけで その中で グルジア ウクライナ アゼルバイジャン モルドバの4カ国が 彼らの組織として 彼らのイニシアチブで GUAMという国際機関をつくって運動しているわけですが これまでは 日本として価値観外交を世界的に展開する中で 黒海地域というのは大事だという認識だったのですが さらに焦点を絞ると GUAM4 カ国というのは重要なんだという認識にたどり着いていたわけなのですが 今回 我々にとってのGUAM 諸国の重要性が浮き彫りになったのではないかと思うのは ウクライナ危機が発生して 私ども 当初は何となく日 黒海地域対話を開催しようかなということになったわけですが よく見てみると 黒海地域はロシアとロシア以外の国とで真っ向から対立するという状態になってしまっていて 黒海地域というものは ロシアがクリミア半島を奪取して ウクライナ東部 2 州について現状のような実質的占領状態 もちろん国際法に違反しているわけですが このような状況において ちょっと日 黒海地域対話というのは 日本から見て成り立たなく 目の前でロシアとロシア以外が大論争するのを 我々日本が まあ味方するとすれば ロシアでない側と立場が近いというか 法の支配ということになるわけで 困ったなと言っていたわけですが 最近 GUAMの事務総長であるチェチェラシビリ氏と連絡もとれまして どうもGUAM4カ国は一致してロシアの侵略を批判しているということのようなものですから そして それはまた我々日本の立場でもあると思いますので 日 黒海対話が実質上難しいということの裏返しとして むしろこの際 日 GUAM 対話をやりたいと タイミングとしては来年になると思いますが そういう状況をご説明申し上げたのは この研究会はある意味で日本側の理論武装の場で もちろん対話にご出席いただく諸先生には 個人の資格 立場でご自分の意見を自由に言っていただくつもりでおりまして 要するに言論統制などするつもりは全くないのですが それにしても 日本側内部で一度も議論したことがないというような状況で それで日 GUAM 対話をやってみたら 四分五裂になる日本側は個人個人には勉強された結果なのであろうけれども 日本側としてあまりにも何を言っているのかわからないというようなことでも せっかく対話を日 GUA M 対話として組織する理由がなくなるものですから 今日の ウクライナ危機と冷戦後の欧州国際秩序 については 4

8 六鹿先生からいつものように我々の議論をリードするようなご報告をいただけると思いますが その後 皆様 そういう含みがあるということで ご議論を深めていただきたいと かように思うものですから 冒頭ちょっとお時間をいただいたということでございます 石川薫 ( 司会 ) それでは よろしいでしょうか 六鹿先生 お願いいたします (2) 日 黒海地域関係研究会 代表の基調報告 の六鹿でございます はじめに 伊藤憲一代表世話人様 石川薫執行世話人様 渡辺繭常任世話人様 このような報告の機会を与えてくださいまして ありがとうございました また 悪天候にもかかわらずご出席くださいました皆様方にも 心から御礼申し上げたいと思います どうぞよろしくお願いいたします さて この写真 ( 本速記録 23ページ参照 ) は EUの東方パートナーシップ サミットと並行して 昨年 11 月末にリトアニアのヴィルニスで行われました 市民社会フォーラムのウクライナ セッションです 東方パートナーシップ (EaP) とは EUが2009 年 5 月に 旧ソ連 6カ国 -ウクライナ モルドヴァ ベラルーシ アゼルバイジャン アルメニア グルジア-のEUへの接近 なかんずくEU 加盟を切望するウクライナ グルジア モルドヴァのEU 加盟準備を目的に開始した政策です このEaPサミットに合わせて NGOによる市民社会フォーラムが行われ 主催国リトアニア政府から招待され 日本外務省からも要請がありましたので 私もこの市民フォーラムに参加しました とても面白い会議で ウクライナとの交渉にあたったクワシネフスキー元ポーランド大統領とコックス元欧州議会議長が この 1 年半の間にウクライナを35 回訪問し ヤヌコーヴィッチと18 回会談を行ったのに 結局最後の段階で調印が流れてしまったとぼやいていたのが印象的でした また この写真にはヤツェニューク ポロシェンコ クリチコら野党指導者が映っていますが この会議の3カ月後に彼らは政権に就き その後ロシアによるクリミア併合へと進んでいくわけです 次の写真 ( 本速記録 24ページ参照 ) は 私が2012 年 3 月にクリミアを訪れたとき セヴァストーポリの軍事歴史博物館 ( 正式名称は セヴァストーポリ英雄的防衛 解放国立博物館 ) で撮った写真です ロシア語で194 4 年春のクリミア作戦と書かれており ソ連軍がクリミアを解放した経路が示されています 今春のクリミア併合も ウクライナ本土とクリミア半島が交わる陸路を遮断し シンフェローポリ空港ともう一つの空軍基地を閉鎖したうえで 例の迷彩色の軍服を着た人達が突如現れて 治安 にあたるとともに 4 万に上るロシア軍がウクライナを包囲する中で しかも 新政権によるロシア系少数民族に対する人権蹂躙の脅威がロシアのマスメディアによって喧伝される中でいわゆる住民投票が行われ クリミアのロシア連邦への帰属が宣言されたわけです このように ウクライナ危機がウクライナとロシアの問題であることは言うまでもありませんが この問題を冷戦後の欧州国際秩序の文脈において考察することが報告の目的です 2008 年 8 月 NATO 拡大をめぐる欧米とロシアの対立の中で グルジア ロシア戦争が起きましたが ウクライナ危機はその延長線上で生じたものと考えています ただ 1 週間前に 伊藤代表世話人様からGUAMについて話が聞きたいとのお電話をいただきましたので 先ほどまで掛かって黒海およびGUAM 関連のパワーポイントを作成しました したがいまして 黒海やGUAM 関連につきましては未完成な部分が多く これからの研究課題とさせていただきたいと思います ( イ ) ウクライナ危機の国際構造要因まず ウクライナ危機の原因ですが 私は 少なくとも4つの要因があると考えております ロシア要因 ウクライナ要因 グルジア紛争における西側の対応 それに国際構造です ロシア要因やウクライナ要因のみならず グルジア紛争における西側の対応や オバマ政権のシリア問題への対応のまずさが プーチン大統領にクリミア併合を決断させた要因であると考えられますが 今日は国際構造要因を中心に話をさせていただきます 私が強調したい国際構造要因は3つあります 1つは 冷戦後の欧州国際秩序で 同秩序においてロシアが潜在的修正主義国になったことです 2つ目は この研究会でずっと言い続けてきたことですのでまたかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが バルト海から黒海へと至る諸大国間の 狭間の地政学 をめぐる歴史的な権力闘争が 5

9 冷戦後も続いていることです ウクライナ危機は この 狭間の地政学 をめぐる歴史的連続性の延長線上にあると言えます そして3つめは非連続性です 冷戦の終結以前は ヒトラーにしろスターリンにしろ 東欧諸国民の意思に反してこの地域を武力で占領してきたわけですが 冷戦後は むしろ中 東欧諸国がEUやNATOへの加盟を希望し EUとNATOのコンディショナリティーであるコペンハーゲン基準や加盟行動計画 (MAP) を満たした国から加盟が認められてきたことです ここから 民主主義や市場経済といった価値をめぐり トランスナショナルな協力と対立の構造が成立し これがウクライナ危機を惹起させたと考えられます それでは これら3つの要因について もう少し具体的に見て参りましょう 第 1の冷戦後の欧州国際秩序ですが 同秩序の原形は 1989 年 11 月 9 日のベルリンの壁の崩壊からおよそ1 年にわたる ドイツ統一をめぐる諸大国間交渉の中で出来上がりました その際 当時ソ連邦共産党書記長兼大統領であったゴルバチョフは NATOとワルシャワ条約機構を漸次政治化していき 最終的にCSCEを中心とした集団安全保障体制を構築し 同体制において冷戦後のソ連の影響力と発言力を残そうと考えていました ところが ドイツ統一を承認する条件として アメリカのブッシュ政権が統一ドイツのNATO 加盟を主張し フランスのミッテラン大統領がEU 創設を掲げたため NATOとEUを中心とする冷戦後の欧州国際秩序ができ上がったわけです その結果 ロシアは NATOとはNATO=ロシア評議会 (NATO-Russia Council) を介して EUとは 4つの共通空間 (Four Common Spaces) とか 2010 年に始まる 近代化パートナーシップ (Partnership for Modernization) を介した関係に留まり 冷戦後の欧州国際秩序の中枢における発言力や影響力を喪失したのです このようにして ソ連邦および後のロシアは 1990 年の時点で潜在的な修正主義国になったわけです 2つ目は バルト海から黒海へと至る諸大国の 狭間の地政学 をめぐる権力闘争です この地図は19 世紀の4 帝国による東欧分割支配を示していますが その後もこの地をめぐる諸大国の権力闘争は継続していきます その国際政治史を一言で要約すれば 第 1 次世界大戦 第 2 次世界大戦 冷戦のすべてがこの 狭間の地政学 をめぐる諸大国の権力闘争の結果生じたということ および冷戦が終焉したのも1989 年の東欧革命の結果であったということです そして この 狭間の地政学 をめぐる諸大国の権力闘争は冷戦後も継続していき その結果今まさに この 狭間の地政学 に位置するウクライナをめぐって新冷戦が始まろうとしているのです ここから 東欧地域は もう一つのヨーロッパ と呼ばれ 世界史の授業ではあまり重視されないようですが アジア太平洋を含む国際政治全般をより一層深く理解するには この地をめぐる国際政治の勉強が不可欠であることを ご理解いただけるのではないかと思います そこで この地をめぐる冷戦後の権力闘争の実態に目を向けますと 歴史的に 強いアクターが常にこの地を征服してきたように 冷戦後はEUとNATOが2004 年に東方拡大し バルト諸国や中 東欧がEUとNATOに加盟しました それ故 2004 年以降は 新たな 狭間の地政学 すなわち旧ソ連のベラルーシ ウクライナ モルドヴァ共和国 さらには黒海東岸の南コーカサス-グルジア アルメニア アゼルバイジャン-をめぐって EU/ NATOとロシアが綱引きを展開しました その結果 2008 年 8 月にNATO 拡大をめぐってグルジア=ロシア戦争が起き 今春 EUの東方パートナーシップをめぐってウクライナ危機が生じたのです しかしながら 3つめの要因として 非連続性にも注目する必要があります 先に触れましたように 冷戦後は 単なる諸大国間の権力闘争にとどまらず 民主化という価値をめぐる闘争が加わっています ウクライナ グルジア モルドヴァといった旧ソ連地域では 青年層や中小企業家たちを中心に 汚職を撲滅し 闇経済や寡頭制を打破して市場経済を導入し 競争原理に則った公正なビジネスを展開するとともに 民主的な体制を構築しようとする動きがあります これらの目標を達成するために 彼らはEUやNATOへの加盟を主張します 他方 民営化プロセスにおいて汚職や闇経済を通じて莫大な資産を手にした少数の支配者達 ( オリガーク ) は 民主化や競争原理に則った市場経済を好みませんから それらを要求するEUやNATOへの加盟には当然反対します また 旧ソ連体制を懐かしがる一部の年配層や マスメディアや親露派政党による反米 反 NATO 反西欧宣伝を無批判に受け入れる人々も EUやNATOではなく 関税同盟やユーラシア連合への接近を支持します このようにして EU/NATO の東方拡大を機に両勢力の対立が激しくなっていき 2003 年から2004 年にかけ グルジアでバラ革命 ウクライナでオレンジ革命が起きたのです 今回のユーロ マイダン革命も然りですが 問題は 旧ソ連国内における民主化をめぐる対立が 一国内で収束することなく 国境を越えて他の国内闘争へと飛び火していくことです とりわけ ウクライナとロシアの密接な歴史 6

10 的つながりや 両民族のつながりを考えますと ウクライナにおける価値をめぐる闘争が ロシアのプーチン体制に影響を及ぼすことは必至と言えましょう プーチンのクリミア併合は この文脈において考える必要があると思われますが この点につきましては後で触れます (a) 冷戦後の欧州国際秩序とロシアの集団安全保障構想さて 第一の要因として指摘しました冷戦後の欧州国際秩序に関して ゴルバチョフが 欧州共通の家 構想を唱え 集団安全保障体制の構築を考えていたことは既に述べましたが エリツィン大統領時代のロシアも 例えば19 94 年 12 月のCSCEブダペスト サミットでCSCEの集団安全保障機構化を主張しました このサミットはC SCEがOSCEへと改名するサミットとして知られていますが そのOSCEとNATOとの棲み分けがなされたサミットでもありました EC(EU) CSCE NATOが冷戦後の欧州安全保障体制におけるリーダーシップをめぐって競争を繰り広げたことは周知の事実で これは 頭文字戦争 と呼ばれたりしますが このCSCEブダペスト サミットに置きまして ロシアが提唱したOSCEの集団安全保障機構化案が米英などの反対にあい 結局 O SCEは協調的安全保障ないし予防外交にその活路を求めていくことになりました また 最近では メドベージェフ大統領が2008 年 7 月にドイツを訪問した際 新欧州安全保障条約の締結を提唱しまして その草案が2009 年 11 月 29 日に公表されました しかし 同草案に目を通しますと 新欧州安全保障条約の目的がNATOを骨抜きにすることにあることがわかります つまり NATOと欧州集団安全保障体制はゼロ サムの関係にあるわけです したがって ロシア問題をNATOと集団安全保障体制をにらみながらどう解決していくのかは 極めて難しい問題であると言わざるを得ません (b) 狭間の地政学 をめぐる権力闘争とロシア修正主義 2つ目の 狭間の地政学 をめぐる権力闘争と関連して 冷戦後のロシア外交を垣間見てみますと 91 年から9 2 年に掛け ロシアはコーズィレフ外相下で親欧米外交を展開しましたが 民族派による批判が強まるにつれ ロシア外交は次第にユーラシア重視の外交へと移行していきます とはいえ 2000 年にプーチンが大統領に就任した際 彼は親欧米外交を展開しました 私の記憶では 彼は9.11 以前の段階においてバルト諸国のNATO 加盟を認める発言をしていましたし ロシアのNATO 加盟の可能性にさえ言及していました 思い出される方がいらっしゃると思います 2001 年 6 月のリュブリアナ米露サミットにおける プーチンは信頼できる人物であるとのブッシュ大統領の発言に象徴されるように ブッシュ=プーチンの蜜月時代が始動しました ところが その信頼関係は 2003 年のイラク戦争と2003 年から2004 年に掛けての色革命で崩れていきます 2007 年のかの有名なプーチン大統領のミュンヘン演説は冷戦を彷彿させるもので 実際ロシアはその年 7 月 CFE 条約を12 月に凍結すると宣言し それを実行しました 所謂 凍結された紛争 に関する政策にも変化が現れました ロシアはエリツィン政権時代から 公式には 分離主義問題を抱えるモルドヴァ グルジア アゼルバイジャンの領土保全を支持し 非公式には モルドヴァのトランスニストリア ( 沿ドニエストル ) グルジアのアブハジアと南オセチア アゼルバイジャンのナゴルノ カラバフの 未承認国家化 を推進するという 二元外交を展開してきたのです ところが 2008 年 2 月にコソヴォが独立を宣言し 同年 4 月のNATOブカレスト サミットが グルジアとウクライナの将来のNATO 加盟を宣言すると プーチン大統領はすかさず大統領令を出して アブハジアと南オセチアとの外交関係を樹立するよう命令したのです つまり グルジアの領土保全支持政策を撤回したのです また 2010 年 11 月のNATOリスボン サミットにおいて メドベージェフ大統領は ミサイル防衛に関するセクター方式なるものを提唱しました これは NATOとロシアが各々の責任圏を設け それぞれが各々の責任圏においてミサイル防衛を行うという構想ですが 同構想はNATOにとっては二つの点で受け入れ難いものでした 一つは バルト諸国や中 東欧諸国が同提案をロシアの勢力圏構想と結びつけて理解したからであり もう一つは 同構想がNATOの集団防衛義務を定めたワシントン条約第 5 条に抵触するからです そこで リスボン サミット以降 ロシアとNATOの関係 ひいては米露関係は悪化の一途をたどることになりました 私が2010 年 1 月末の第 3 回 日 黒海地域対話 (Japan-Black Sea Are Dialogue) の会議用ペーパーで指摘しましたように 対露リセットは 双方の利益が共有されるうちは機能しましたが それが対立する分野に差し掛かった途端に脆くも崩れさっ 7

11 たのです また エネルギーをめぐっても 双方は激しい競争を繰り広げてきました そして グルジア ロシア戦争からおよそ半年経た2009 年 5 月に ポーランドとスウェーデンのイニシアティヴにより EUの東方パートナーシップ サミットがプラハで開催されました これは EUが2004 年春に導入した 欧州近隣諸国政策 (ENP) をさらに強化したもので EUが旧ソ連 6カ国 ( ベラルーシ ウクライナ モルドヴァ グルジア アゼルバイジャン アルメニア ) との関係を 連合協定や 深淵かつ包括的な自由貿易協定 (D CFTA) を介して一層強化しようとするものです つまり NATOに代わって 今度はEUが 狭間の地政学 をめぐる国際政治の主役となって躍り出てきたわけです すると プーチン氏は 2010 年 1 月に ロシア ベラルーシ カザフスタンからなる関税同盟を発効させ ウクライナをはじめとする旧ソ連諸国を関税同盟へと迎え入れようとします 実は それまでもロシアとCIS 諸国との間には自由貿易協定がありましたが これはEUのDCF TAと両立しますので ウクライナは双方に加盟できるわけです そこで DCFTAと両立しない 排他的な関係にある関税同盟を発効させて 東方パートナー対象国に二者択一を迫ったわけです これに対し ウクライナのヤヌコーヴィッチ大統領は代案として 3プラス1 案を提唱し DCFTAと両立する分野に限定した関税同盟への参加を求めましたが プーチン大統領は 関税同盟に参加するかしないのかの二者択一しかないと迫り 結局ヤヌコーヴィッチ政権は 2013 年 11 月末のEaPヴィルニス サミットの1 週間前にEUとの連合協定調印の延期を決定したのです (c) 価値をめぐる対立とロシア民族主義勢力の台頭さて 第三の価値をめぐる対立ですが EUのロシア担当官によれば かつてロシアは民主化とか 旧ソ連諸国との関係とか 凍結された紛争 については 一切 EUとの交渉に応じなかったそうです ところが 2005 年 5 月に 4つの共通空間 (4 Common Spaces) に向けたロードマップ協定が調印されて以降 ロシアは対話に応じるようになったとのことです 同年 3 月に私がEUとロシアに赴いて双方から状況説明を受けた際 EUとロシアの関係は大変な緊張関係にありました それにもかかわらず その二か月後に突如調印されたので驚いて協定に目を通しますと 案の定 双方が対立していた部分は具体性を欠いていました そこで 再びブリュッセルに赴いてEUのロシア担当官に事の真相について尋ねますと 確かにEUの中にも協定が具体性に欠ける点を批判する向きがあるけれども 協定はないよりあった方が良いとして ロシアが民主化や 凍結された紛争 などについて我々と話し合いに応じるようになった点を強調しました 加えて これまではロシア外務省だけが交渉の窓口であったが このロードマップの調印によって これからは経済関連省庁と直接交渉できるため 実務面で交渉の進展が期待できるとのことでした 同じ頃 米国国務省の政策立案局次長を訪ねますと ロシアは我々とも話し合いに応じるようになったと ロシアの態度の変化について同じ印象を口にしました しかし 4つの共通空間に関する交渉は成果に乏しく その後 グルジア ロシア戦争により欧米とロシアの関係が緊張しますと 翌年ドイツのイニシアティヴにより 近代化パートナーシップ が始動し ロシアの近代化支援と それを介した民主化に向けて動き始めました ところが この辺りから ロシアでは民族派勢力の勢いが増していきます ロシアには大別すると三つの政治集団が存在すると言われます 親欧米派 民族主義派とりわけスラヴ諸民族との統一を主張するのはスラヴ派 現実主義派の3つです 民族主義派は 西欧とは違うロシア固有の文明論を展開し 主権民主主義 論を盾に欧米型民主主義への対抗姿勢を強め 西側による内政干渉に対する批判を強めていました 他方 2011 年秋にプーチン首相とメドヴェージェフ大統領が首相と大統領ポストを交替することを公表したことから それに激怒した民衆による大規模な反政府デモが起きました また 2011 年から12 年にかけ ロシアの議会選と大統領選 アメリカの大統領選が続いたため 欧米とロシアの間で民主化をめぐる対立が深まっていきました そして 2012 年 5 月にプーチン氏が大統領ポストに返り咲きますと 彼は現実主義派勢力に加え 民族主義派勢力を政権基盤に取り込み 外国から資金供与を受けているNGOにエージェントとして届け出ることを義務付けるなど 社会に対する引き締めを強化し ロシア社会と欧米に対する対抗姿勢を鮮明にしました また プーチン大統領はウクライナやアルメニアに圧力を掛けて 13 年 11 月末のEaPヴィルニス サミット前に 両国のEUとの連合協定調印阻止に成功したのです 8

12 (d) プーチン政権とユーロ マイダン革命 : 二つの意味ところが プーチン氏にとって青天の霹靂ともいえるユーロ マイダン革命が 本年 2 月に起きました これまでの説明から明らかなように 同革命はプーチン大統領にとって 少なくとも二つの重要な意味を持っていました 1 つは ウクライナに誕生した新政権がEUへ急接近する可能性ですが これはロシアがウクライナ ひいてはロシア勢力圏を喪失して 国家目標に掲げる大ロシア あるいは世界のロシアを実現できなくなることを意味します もう一つは 価値をめぐるトランスナショナルな協力と競争の構図から ユーロ マイダン革命がモスクワに飛び火して プーチン政権が窮地に追い込まれる可能性です そこで プーチン大統領は3 月 4 日の演説の中でくしくも認めたように ユーロマイダン革命の鎮静化をはかろうと ヤヌコーヴィッチに治安部隊を撤退させないよう助言したのですが ヤヌコーヴィッチが部隊をひいてしまったのでカオスが起きてしまったのです したがって マイダン革命の成就は ヤヌコーヴィッチだけでなく プーチンの敗北でもあったのです そこで 彼は場所をキエフからクリミアに移し ハイブリッド戦争を介してクリミアをロシア領に併合することで マイダンの敗者からおよそ9 割の国民から支持される国民的英雄 つまりツァーリ ( ロシア皇帝 ) の地位にまで上り詰めたのです このようにして 政権の危機は脱しましたが プーチン大統領にはもう一つの重大な目標がありました ウクライナをロシア勢力圏に留めることで 大国ロシアを構築することです しかし クリミアを奪取したことで 逆にウクライナのEUやNATOへの接近が容易になりました 選挙におけるクリミアの親ロシア票がなくなりますから 議会選挙や大統領選挙で 親欧米派が圧倒的な勝利を収める可能性が出てきたからです 実際 5 月末の大統領選挙では決戦投票を待たずにポロシェンコが当選しましたし 10 月末の議会選挙でも親欧米派が議会の過半数を占めました そこで ウクライナ全体のEUやNATOへの接近を阻止するために 4 月 6 日から東部で武装闘争が開始され ドンバス人民共和国 の創設宣言がなされたのです これは 2003 年 11 月にロシア大統領府副長官であったドゥミトリ コザック氏がトランスニストリア ( 沿ドニエストル ) 紛争解決案として作成した 所謂コザック メモランダムに則ったもので ウクライナを連邦化し 東部に外交面での拒否権を含む大幅な権限を有する共和国を創設することで ウクライナのEUやNATOへの接近を阻止しようとする作戦です 私は1989 年 11 月はじめに初めてモルドヴァを訪れて以来 モルドヴァをはじめとする周辺地域からソ連やロシアを見てきました つまりモスクワにいては見えてこないロシア帝国主義政策を追ってきましたので ウクライナ東部のトランスニストリア化への動きは明瞭に理解できます ( ロ ) 国際危機と国際秩序および国際安全保障体制 (a) 戦間期の国際秩序と国際安全保障体制今まで申し上げたことから 国際秩序と失地回復政策が極めて密接な関係にあることをご理解いただけたのではないかと思いますが 日本国際政治学会での報告のために現状と戦間期欧州国際秩序を比較しまして 両者の類似性に驚きました 戦間期の欧州国際秩序は 修正主義諸国と現状維持諸国からなる極めて不安定な二極構造でして 先ほど触れました 狭間の地政学 をめぐる諸大国間の権力闘争もすさまじいものでした 1920 年代はフランスとイタリアが東欧 バルカンをめぐって対立し ヒトラーが1933 年 1 月に政権をとるとドイツとフランスがこの地をめぐって闘争を繰り広げ ヒトラーがラインラントに兵を進めて欧州大陸における勢力均衡がドイツに傾くと それまでドーヴァー海峡のかなたから大陸の国際政治を見守っていたイギリスが乗り出してきて 英独による欧州分割を行いました これがかの有名なチェンバレンの対独宥和政策でして ここにおいて ヒトラーは民族自決権を盾に失地回復へと向かい オーストリアの併合 ミュンヘン会議におけるズデーテンの割譲を経て ポーランド回廊の要求へと進んでいき 第 2 次世界大戦へと至るわけです いうまでもなく 私は ナチスとプーチン体制を同じだとは決して申しませんが 不安定な国際秩序において修正主義国が失地回復に乗り出した場合 国際社会は如何に対処すべきか 歴史の教訓も含め 真剣に考えるべき課題だと思います ただ 戦間期と現在の欧州国際秩序には大きな相違点があります 例えば ロシアのジリノフスキー自由民主党党首が ポーランド ルーマニア その他の近隣諸国にウクライナ分割案を提案しました 戦間期でしたら おそらく 9

13 これら諸国は喜んでこの話に飛びついたのではないかと思います ハンガリーやブルガリアは 第一次 第二次ウィーン裁定やクライオーヴァ条約を介して あっという間にチェコスロヴァキアやルーマニアの分割をやってのけました ところが 今回はウクライナの西部近隣諸国はすべてEUおよびNATO 加盟国ですから さすがにどの近隣諸国もこの話に乗ることはありませんでした 極めて大きな相違点だと思います もう一つ 戦間期と冷戦後の著しい相違点は 安全保障体制です 戦間期の安全保障体制は ご存知のとおり 国際連盟を中心とする集団安全保障体制と少数民族保護レジームの2つで構成されていましたが 結局 2つとも機能せず 第 2 次世界大戦へと至りました 他方 冷戦後の安全保障体制は 冒頭で申しましたように ドイツ統一をめぐる諸大国間交渉を通じてその骨格ができ上がり 1992 年春に始まり95 年のデイトン合意で終結する ボスニア紛争をめぐる実際の国際政治を介して精緻化されました したがって コソヴォ紛争が激化し NATOが1999 年 3 月に空爆に踏み切ったのは このようにして出来上がった冷戦後の欧州安全保障体制そのものが問われていたからです 当時 ユーゴの専門家やマスメディア さらには幾人かの国際政治学者はNATO 空爆を批判しましたが もしNATOが空爆に踏み切らなかったなら 冷戦後の欧州国際安全保障体制は再構築を余儀なくされ 不安定化は避けられなかったことでしょう (b) 欧州国際社会のウクライナ危機への対応それでは 冷戦後の欧州国際安全保障体制の特徴は何かと申しますと 第一は国際法原則です かつては民族自決権が基本原則と考えられていましたが 冷戦後の欧州国際社会では 領土保全と少数民族の権利の遵守が1 対の原則として受け入れられてきました したがって ミロシェヴィッチがコソヴォのアルバニア系住民の人権を蹂躙した際 国際社会はどう対処すべきかを迫られたわけです 第二は 国連 OSCE EU 欧州評議会(Council of Europe) NATOからなる重層的 (interlocking) な制度です 第三は EUとNATOが課す 民主化や市場経済化等のコンディショナリティーです 戦間期の経験からすれば OSCEや欧州評議会による予防外交はさほど効果を上げられないはずですが 両機構が民主化や民族紛争の予防にそれなりの効果を発揮できたのは EUやNATOのコンディショナリティー効果による後ろ盾があったからです EUやNATOに加盟するには コンディショナリティーを充足しなければならないからです そして これらの制度がうまく機能しない場合 最終的にNATOの強制力が用いられるわけです この点が戦間期との大きな違いです そして NATOの空爆後は 再び複数の諸機構による復興のための分業体制が作動します それでは 次に このような冷戦後の欧州安全保障体制はグルジア紛争とウクライナ危機にどのように適用されたのかという話をしなければなりませんが 時間の関係上グルジアは飛ばしまして 今回のウクライナ危機について考えてみたいと思います まず ロシアはEUやNATOに入りませんから 当然コンディショナリティー効果はありません それから ロシアの国際法違反については単なる批判に留まり いわゆる人道的介入という軍事的解決の可能性は著しく低いと思われますので 対露経済制裁が欧米の主要な手段ということになります そうなると 重層的な諸機構による安全保障体制がどのように機能したかが注目されますが クリミアに関しましては あれ程の電撃作戦でしたから何ら具体的な手段を講じることはできませんでした しかし ウクライナ東部の紛争につきましては 武力紛争が大規模な戦争へと至らなかった点に着目すれば それなりに機能したと評価できるのではないかと思います グローバル フォーラムのこの会場でOSCE 事務総長が今年 6 月に講演された際 OSCEが欧米とロシアの調停役を務めている点を強調されました 確かに 2008 年のグルジア=ロシア戦争では出番がなく 当時 EU 議長国であったフランスのサルコジ大統領がロシアとグルジアの休戦協定をまとめ上げました これとは対照的に 今回 OSCEは人権査定 選挙監視 軍事活動監視といった監視団を派遣して ロシア政府の情報戦に抗して 現地からの具体的な情報の提供に努めました EUも 経済支援だけでなく 警察機構構築支援に関する共通安全保障防衛政策 (CSDP) 使節を派遣するなど 安全保障面での貢献をしています また NATOはロシア軍の動静に関する衛星写真を公開したり バルトの防空パトロールを強化したり ポーランドやルーマニアにAWACSを送るなど 抑止力の強化に努めました また ウクライナに対しては 支援だけでなく 圧力も相当かけました さらに 国際社会が和平交渉と経済協議に取り組み それなりの成果を出した点も評価できます 経済協議については EUがロシアとウクライナの間に入って DCFTAとガス問題について合意を取り付けました これはかなり画期的なことです と言いますのは 冒頭で触れました2013 年 11 月末のヴィルニス市民フォーラムで EU 10

14 はロシアとウクライナの調停役を務める意思はないのかと私が尋ねたところ そういうことはしないとの明確な答えがステファン フューレ氏から帰ってきたからです つまり EUは半年間で立場を180 度変えてロシアとの交渉に踏み切り 経済戦争を防ぐことに成功したのです (c) 和平交渉他方 和平協議に関しましては 時間の関係上詳細に跡付けることはできませんが 良く言えば色々なアクターが積極的にイニシアティヴをとったと評価できますし 多くのアクターが主導権争いをしたとも言えます 後者に関連しまして 1990 年から92 年に掛け OSCE EU NATOが冷戦後の欧州安全保障体制をめぐって主導権争いをした 所謂 頭文字戦争 が思い出されます ウクライナ東部をめぐる最初の和平交渉は アメリカとEUのイニシアティヴにより4 月 17 日にジュネーブで行われましたが それが成果なく終わると即座にOSCEがロードマップを作成し OSCE ウクライナ ロシアからなるコンタクト グループが作られました 6 月 20 日に公表されたポロシェンコ和平案も このコンタクト グループを中心に交渉が進められました OSCEの事務総長が OSCEは中立的立場を堅持してきたが故に調停役としての役割を果たすことができると自画自賛しておられましたが 確かに9 月 5 日のミンスク和平協定もコンタクト グループ内で協議され締結されました しかし 締結後 O SCEの限界が露呈されることになります ミンスク協定では 休戦ラインの画定 緩衝地帯の設置 ウクライナ ロシア国境の国際監視 ロシア軍や準軍事部隊の撤退と武器の撤収 ウクライナ東部の地方選挙などが取り決められましたが 同協定の成否の鍵は ロシア ウクライナ国境の監視と ウクライナ東部の停戦ラインの監視です ところが ロシアが拒否権を行使したため OSCEによる国際監視が実現されず およそ300キロにわたるロシアとウクライナの国境はロシアが制したままですし ロシア側は停戦ラインの西方への拡張を狙って今も尚戦闘を継続しています 和平交渉に関してもう一点注目すべきはドイツの動向です ポロシェンコ大統領は 非合法な武装勢力とは絶対に交渉しないと明言しましたが 6 月 23 日のドネツク交渉には コンタクト グループに加え ルガンスクとドネツクの代表と プーチン氏が推したと言われる親ロシア派ウクライナ人政治家まで入っていました このような交渉枠組みは ロシアの圧力だけでは実現しなかったでしょう 恐らく ドイツの圧力が働いたものと推量されます その証拠に ポロシェンコ氏が7 月 1 日に停戦を打ち切って東部での攻撃を再開すると 翌日ベルリンで 4 カ国外相会議が開かれ 即時停戦と7 月 5 日までのコンタクト グループ会議の開催が決定されたのです この時点での停戦は ウクライナが武装勢力による東部地域の占領を事実上承認し その上で停戦交渉に応じることを意味しますから 明らかにウクライナのトランスニストリア化への道 すなわち 未承認国家化への道が開かれるわけで それを推進したのがロシアとドイツであったということです つまり この時点では 和平交渉は独露協調の下で進められていたのです ところが その後 ドイツの対露政策は強化されて行きます 7 月のマレーシア航空機追撃事件後 EUの対露制裁を第三段階へと引き上げる方針を打ち出し 10 月 20 日のブラティスラヴァ演説において メルケル首相が 対露制裁解除はミンスク和平合意の成立だけでは不十分で 同合意が実現された後に行われるべきであると述べたため EUは対露制裁継続を決定しました この一連の動きを見ていますと メルケル首相がシュタインマイヤー外相に代わってウクライナ危機の解決に乗り出したような印象を受けます また 7 月 2 日のシュタインマイヤー外相による 4カ国ベルリン外相会議開催 9 月 5 日のNATOウェールズ サミット宣言に見られるドイツ主導下の10か国グループの創設 メルケル氏の上記発言を見比べてみますと ドイツはウクライナ危機と対露外交をめぐって首相府 外務省 国防省の間で亀裂が生じているのではないかと勘繰りたくなります と言いますのも 1990 年 2 月に コール首相 ゲンシャー外相 シュトルテンベルク国防相が ドイツ統一後のNATOの旧東独領への拡大をめぐって 激しく対立していたことを想起するからです コール首相が統一ドイツの中立の可能性にまで言及したため ブッシュとスコークロフトがコールをワシントンに呼びつけ ドイツ統一を支持する条件として 統一ドイツのNAT O 加盟を再確認したといういきさつがあります 今後 ドイツは対露協調路線を継続していくのか ロシアを対象としたNATO 集団防衛で主導的役割を演じていくのか 対露制裁解除の条件をどこに設定するのか ミンスク和平協定をロシアにどう履行させるのか ドイツがこれらの諸政策をどう調整し整合性を保っていくのか注目されます 11

15 ( ハ ) ウクライナ危機の黒海国際政治への波紋時間が随分経過しましたので ウクライナ危機が欧州国際秩序や安全保障体制に及ぼす影響につきましては別の機会とさせていただきまして 伊藤憲一代表世話人様より頂戴しました宿題 - 黒海国際関係とGUAMに入っていきたいと思います 最初に指摘すべきは これまで黒海はロシアとトルコの海でしたが ロシアのクリミア併合によって黒海の勢力均衡に変化が生じ ロシアの海へと向かう可能性が出てきたことです ロシアは2007 年 12 月にCF E 条約を一時停止して同条約による規制を受けなくなりましたが 1997 年の黒海艦隊の地位と諸条件に関する分割条約 (Partition Treaty on the Status and Conditions of the Black Sea Fleet ) によって セヴァストーポリのロシア艦隊の兵員数 戦艦 武器と装備などは規制されていました ところが 3 月にセヴァストーポリをロシア連邦に事実上組み入れたことで ロシアはこの規制からも解放され 自由に軍事力を拡張できる環境が整ったのです 言うまでもなく NATOはこのような状況を憂慮しまして 本年 3 月以降 既に数か国のNATO 加盟諸国の海軍が黒海に入って ブルガリアやルーマニアと軍事演習を行ってきました また ポーランド ルーマニア トルコのミサイル防衛をめぐる縦軸の同盟関係も強化されつつあります さらに ウェールズ サミットではNATO 海洋戦略を採用して NATO 諸国の艦隊を黒海に常駐させる態勢を作ろうとしていますが その場合モントルー条約が壁となります 同条約は外国艦隊の黒海滞在日数を21 日以内と規定していますので NATO 諸国の艦隊は黒海内に交代で停泊することになります トルコはこれまでもモントルー条約の改正に断固反対してきましたので 今後 NA TOは如何にして黒海艦隊の増強を図っていくのか またモントルー条約の改定交渉の行方も注目されます もう一点注目すべきは クリミア タタールの問題です 今年 3 月 キエフのトルコ大使にインタヴューした際 トルコの中に何百万というクリミア タタールのディアスポラがいるので トルコにとっては無視できない重大な問題だと仰っていました また ロシアにとっても看過できない問題です と申しますのは クリミアを奪取したことで ロシア国内のタタールスタン問題が出てきたからです プーチン大統領はパンドラの箱を開けてしまったのです それから ロシアのバルカン南下政策にも注目する必要があります 2012 年夏にルーマニア議会が親欧米派のバセスク大統領の職務停止決議を行った際 ロシアは反大統領派の社会党 = 自由党連合をあからさまに支援しましたし ハンガリーのオルバン政権 セルビアの進歩党や社会党 ブルガリア社会党と密接な関係を築いてきました 当時 もしこれでウクライナがロシアと緊密な関係を構築するようなら モスクワ~キエフ~ブカレスト / ブダペスト ~ソフィア~ベオグラードのルートが開設され 伝統的なロシアのバルカン南下政策が復活することになると思ったりしたものです とりわけ注目を引いたのは 昨年秋から今年に掛け ブルガリアとセルビアがロシアのガス プロムとサウス ストリーム ガスパイプライン建設契約を締結し 欧州委員会が中止を要請すると ブルガリア議会は法律を改正して強引にパイプライン建設を推し進めようとしました 連立を組んでいたトルコ系政党が連立の解消を申し出るとともに 本年 6 月にジョン マッケインなど米国の有力議員がソフィアを訪れて圧力を掛けたため その翌日ブルガリアはサウス ストリーム ガスパイプラインの建設中止と 欧米が進める南回廊 ( サウス コリドール ) パイプライン建設を優先するとの声明を出しました セルビアもブルガリアの政策変更を踏襲しましたが このようにバルカンでは 欧米とロシアがガスパイプライン建設をめぐって火花を散らしたのです 黒海経済協力機構 (BSEC) は ウクライナ危機の最中の本年 6 月に外相理事会を開催しました BSECのホームページを見ますと 加盟国代表者の発言とは別に ウクライナ代表の声明とロシア代表の宣言が Annex に含まれていることから ウクライナ危機について各国の立場が率直に表明されたものと推測されます ツヴィルクン (Tvirkun) BSEC 事務総長にアネックスの内容についてメールで問い合わせましたところ アネックスの文書は加盟国にのみ配布されるとのことで公表されませんが これまでのBSEC 加盟諸国担当官の話によれば 如何なる非政治的な問題も結局政治的な口論になってしまうということですから ウクライナ危機をめぐって激論が交わされたものと思います ( ニ )GUAMのウクライナ危機への対応次はGUAMですが GUAMは太平洋上に浮かぶ島の名前ではありませんで グルジア ウクライナ アゼルバイジャン モルドヴァからなる地域国際機構で 正式名称は 民主主義と経済発展のための機構 -GUAM です 日本は2007 年に GUAM+ 日本 を創設しました 12

16 GUAMが1997 年に発足したのは ワルシャワ条約機構の崩壊を受け 当時欧州通常兵力削減条約 (CFE: Conventional Forces in Europe) の再交渉が行われており 分離主義問題を抱えるこれら4カ国は ロシアの圧力に協力して対抗する必要があったからです ウクライナはクリミア グルジアは南オセチアとアブハジア モルドヴァはトランスニストリア ( 沿ドニエストル ) アゼルバイジャンはナゴルノ カラバフ問題を抱えていましたし ロシア軍がウクライナ モルドヴァ グルジアに駐留していました したがって 彼らはGUAMを結成し これら共通の問題に対処しようとしたのです その甲斐あって 1999 年のOSCEイスタンブール サミットで改訂版のCF E 条約が調印された際 NATOは グルジアおよびモルドヴァに非合法的に駐留するロシア軍の撤退をCFEの批准条件として課したのです 日本ではCFE 条約は余り取りざたされませんが このようにCFE 条約は旧ソ連の分離主義問題や駐留ロシア軍の問題とも絡む重要な問題です ロシアが2007 年 12 月にCFE 条約を一方的に停止して ロシア軍の北部と南部の配備比率の束縛から解放され ロシア軍を南方に移動させる自由を得たことと 翌年 8 月のグルジア攻撃とは無関係ではないような気がいたします 他方 トルコや北欧 バルト諸国は 今も尚 ロシア軍の国内における南北配置比率の固定化に執着しています 話をGUAMに戻しますと クリミアの分離主義問題は1996 年までに大凡解決しましたが 本年 3 月にロシアがクリミアのロシア連邦への帰属を宣言し 現在実効支配していますので ウクライナを含むGUAM4カ国すべてが分離主義問題を抱えることになりました したがいまして GUAMは当初からロシアのウクライナ侵攻を非難し 国際法の遵守を求め 国連決議等々で共同歩調をとってきました チェチェラシヴィリ事務総長とも連絡を取りましたが GUAMは一体となってクリミアを含むウクライナの領土保全を支持しているとの返信が来ました GUAMとBSECの違いはこの点にあります すなわち GUAMは共通の課題を抱えた4カ国で構成されるが故に 対露関係やEU/NATOとの関係において温度差があるにせよ B SECのように対立したり 紛争を起こしたりすることはありません ここでGUAM 加盟諸国間の温度差について見てみますと EUやNATOへの加盟に最も積極的だったのはグルジアやウクライナです 2010 年にヤヌコーヴィッチが大統領に就任して以降 ウクライナは非同盟国家宣言をしてNATO 加盟から遠のいたり EUのDCFTAと関税同盟の間で揺れるなどしました また GUAMの活動の重点を経済協力に絞るなどの動きも見られました しかし 親欧米派勢力が大統領ポスト 議会 政府を掌握しましたので ウクライナは親欧米外交とGUAM 強化へと向かうものと思われます (a) グルジアについてグルジアでは 2012 年 10 月の議会選挙で ロシアで大富豪になったと言われるイヴァニシヴィリ (Bidzina Ivanishvili) が率いる グルジアの夢 が勝利して以降 ロシアとの関係が漸次改善されてきました しかし 同じ政権内部で深刻な権力闘争が生じ 本年秋には親欧米派の外相や国防相が更迭されました グルジアの憲法裁判所長官が10 月はじめにグローバル フォーラムで講演された折り 私が大統領と首相および議会の権力闘争に関して質問した際 その回答の中で同じ政党内部の権力闘争を認めました これに加えて 親露派は関税同盟への参加を求めるデモを サーカシビリ派は11 月 19 日に反政府デモを行っていますので グルジアの今後の歩みに細心の注意を払っていく必要があります グルジアについてもう一つ留意すべき点は アブハジアのクリミア化が進んでいることです ロシアは5 月から6 月にかけてアブハジアで反大統領デモを工作し 8 月に大統領選挙を行って親露派のハジムバ (Raul Khajimba) 氏を大統領ポストに据え 現在アブハジアにロシアとの同盟統合協定の締結を迫っています 同協定が結ばれると アブハジアのクリミア化が生じますので 多くのアブハズ人が反対しています グルジアにとってアブハジアを取り戻す好機なはずですが この対応をめぐっても政府と野党が対立しています (b) アゼルバイジャンについてさて GUAMの中で最も消極的な国がアゼルバイジャンです それは アゼルバイジャンが全方位外交をめざしているからです 例えば GUAM+ 日本 が発足した 2007 年のGUAMバクー サミットのタイトルは 諸大陸の統合 (Bringing continents together) でした このように ウクライナ グルジア モルドヴァがEUやN ATOへの接近を優先課題に掲げるのに対し アゼルバイジャンは日本 韓国 中国などアジア諸国に招待状を送っ 13

17 て 東西の架け橋を目標に掲げたのです 地政学的な要因を勘案してのことでしょうが 権威主義体制故に 欧米が掲げる民主主義と距離を置きたいという思惑もあるでしょうし 石油や天然ガスに恵まれていますので EUやNA TOが課すコンディショナリティーを受け入れてまで欧米諸国との貿易や経済関係を強化する必然性がないからでしょう そうは言いましても アゼルバイジャンは 他のGUAM 諸国と同様 EUやNATOとの協力関係を強化してきました EUの東方パートナーシップ (EaP) のメンバーでもありますし NATOとは個別パートナーシップ行動計画 (IPAP:Individual Partnership Action Plan) に沿って強力関係を進めてきました ちなみに NAT O 加盟のための最終段階は加盟行動計画 (MAP:Membership Action Plan) その前は対話の強化(Intensified Dialogue) さらにそのひとつ前がIPAPです また 今年 4 月のNATO 理事会においても NATOはアゼルバイジャン アルメニア モルドヴァとの協力強化を決定しています ところが 今回のウェールズ サミットでは NATOは防衛 安全保障力イニシアティヴ (Defense and Related Security Capability Building Initiative) をグルジアやモルドヴァと進めていくことを謳っていますが アゼルバイジャンは入っていません 他方 アゼルバイジャンはロシアとの関係にも配慮しています タカ派のロシア副首相ロゴージンが アゼルバイジャンとロシアの経済協力政府間委員長に就任しました ロゴージンはトランスニストリア問題の責任者でもありますから ナゴルノ カラバフ問題の行方も含めて注目される人事です しかし ドゥカールNATO 安全保障問題担当事務総長補佐官が今春アゼルバイジャンを訪れ アフガニスタンへのロジスティクスに関する協力で合意しました ドゥカール大使とは1997 年 7 月にお会いして以来 NATO 情勢について色々と教えていただいていますが 彼はルーマニアのエリート外交官で 長年 NATO 大使を務めた後 ラスムッセン事務総長によって補佐官に抜擢された人物です このように アゼルバイジャンは 全方位外交の中で GUAMとも協力関係を推進している国と言えましょう (c) モルドヴァについて最後はモルドヴァですが この国はウクライナと直接国境を接していますので ウクライナ危機をGUAMの中で一番深刻に捉えている国です 私が3 月末にキエフにおりました時 モルドヴァのトランスニストリア担当副首相のカルポフ氏が協議のためにウクライナにやってきました ウクライナ東部国境沿いに集結していた4 万人のロシア軍によるウクライナ攻撃の可能性と トランスニストリアとクリミアに駐留するロシア軍によるオデッサ攻撃の可能性が真剣に取りざたされていた時です トランスニストリアとオデッサは車で数時間の距離で トランスニストリアにはロシアPKF400 名以外に ロシア機動部隊が1200~1500 名程駐留しています 現地のトランスニストリア軍やコサック部隊を合わせますと総勢 1 万人 ~1 万 5 千の兵力に達しまして 武器弾薬も貯蔵されています 年春 プーチン大統領はブッシュ大統領に ウクライナは人工的な国家であるので もしウクライナがNAT O 加盟に向かうようなら ロシアはウクライナ分割に乗り出すと警告したと言われます その場合 ロシアはウクライナ東部から南部に掛けたノヴォロシア ( 新ロシア ) と呼ばれる地域の獲得を狙うでしょうが その際第二戦線として重要な役割を担うのが トランスニストリアに駐留するロシア軍です また トランスニストリアのクリミア化の可能性も懸念されました 本年 4 月にトランスニストリア 最高会議 は 主権独立国家として承認するようロシア下院に働きかけるとともに 嘆願書への署名を集めまして 同地を訪れたロシアのロゴージン副首相兼トランスニストリア担当特使に託されました ところが ウクライナとルーマニアが彼の搭乗する政府特別機の領空通過を許可しなかったため やむなくキシナウ ( モルドヴァの首都 ) 国際空港に引き返し そこで3 万人の署名がモルドヴァの官憲によって没収されたとのことです ロシアに戻ったロゴージン副首相が ツイッターに 次回はTU-160 戦略爆撃機に搭乗してルーマニア領空を飛行すると書いたため ルーマニア外務省がロゴージン副首相の声明は EUおよびNATO 加盟国としてのルーマニアに対するロシア政府の公式の立場かどうか確認を求めたとのことです モルドヴァはトランスニストリア以外にも ガガウズ分離主義問題を抱えています ガガウズ人とは モルドヴァ南部に居住するキリスト教化したトルコ系民族のことですが 彼らは本年 2 月に独立を問う住民投票を実施し モルドヴァがEUとの連合協定に調印した場合ガガウズは独立を宣言すると牽制しました そして 3 月末にガガウズの県知事がモスクワでプーチン大統領やメドヴェージェフ首相と会見し ガガウズ産ワインの禁輸措置解除やガス価格 14

18 の値下げで合意するなど ロシアはガガウズ カードを巧みに使いこなしています モルドヴァの将来に決定的に重要な出来事は11 月 30 日の議会選挙です 現与党の親欧米派勢力が勝利して現在の路線が継続されて行くのか あるいは共産党 社会党など親露派勢力が政権をとって 関税同盟へと接近していくのかが焦点となります 現政権は後者のシナリオを念頭に 7 月 2 日にEUとの連合協定を批准しましたが 社会党は9 月に5 万人集会を組織して関税同盟への加盟を働き掛けています 最後に GUAMとは別の話ですが トルコ アゼルバイジャン グルジアが首脳会談を開くなど 協力関係を強化しています 他方 アルメニアは昨年 2013 年 9 月にEUとの連合協定の調印中止を決定しまして プーチン大統領が12 月にアルメニアを訪問し 軍事同盟などさらなる関係強化が進んでいます また 本年 5 月末に関税同盟首脳会議がカザフスタンの首都アスタナで開催されまして ユーラシア経済同盟設立協定が結ばれました この会議で アルメニアの将来の加盟が検討されましたが カザフスタンのナザルバエフ大統領がナゴルノ カラバフの加盟を断固拒否しました カザフスタン北部には多くのロシア系ディアスポラが住んでいますので クリミア併合の轍を踏まないために カザフスタンは領土保全に固執するのです ここにも クリミア併合の否定的な影響が現れています 10 分ほどオーバーいたしましたのでこれで終わりたいと思いますが 今後 ウクライナ危機が広域ヨーロッパ 黒海国際関係 BSECやGUAMに及ぼす影響について引き続き見ていく必要があります ご清聴ありがとうございました ( 拍手 ) 石川薫 ( 司会 ) 六鹿先生 ありがとうございました 多分 多くの方がご質問をされたいのだろうと思います いつものように ご発言をお求めになる方は どうぞ名札をフラッグしていただければと思います それでは 橋本先生 お願いいたします (3) 出席者間の意見交換 橋本宏 ( 元駐シンガポール大使 ) 私から ごく一般的な質問をさせていただきます たまたま きのう イギリスのシンクタンクの人からここでお話を聞く機会があったのですけれども 私の得た印象ですと その方は ウクライナ問題をめぐるロシアの立場というのは非常に悪くなっておって もう何かNATOというのか欧州にとって ロシアはあまり脅威ではないと ロシアと中国の関係を見ても 中国はロシアのことをあまり好きではないし 言ってみればロシアというのは今後の国際情勢の変化の中で あまり大きな役割を果たすこともないのではないだろうかといった感じのコメントをされていたので 実を言うと個人的に私も驚きまして ニューサンス バリューは ロシアは非常に大きいものを持っているし いずれにせよロシアの動向というのは世界情勢にいまだにいろんな意味で大きな影響を与えると思っております そういったことから ちょっと今までの先生のお話と違った角度からですけれども 西欧のほうでロシアに対する 私が今ちょっとご紹介したような見方というのが広まっているのか 彼の言ったことは特殊なものなのか もしもコメントいただければありがたいと思って質問した次第です どうもありがとうございました この3カ月間 学会報告の準備に追われまして ご指摘の問題について詳細には追っておりませんが ウクライナ危機への対処についていくつかの論文が Foreign Affairs 誌に掲載されています 例えば メルケル首相は プーチンは前世紀の頭で国際政治を見ていると指摘しましたが ミアシャイマーはその評価がそのままあてはまるような国際政治観を展開しています きわめて単純な勢力均衡論に則って ロシアとの均衡を維持するために ウクライナは大国ロシアの立場にもっと耳を傾けるべきだとの論理を展開しています 他方 ロシア専門家のレグヴォルドは ミアシャイマーとは比較にならない極めて精緻な論理を展開していますが その中でウクライナ危機をロシアとの新冷戦の危機の始まりとしてとらえています つまり ロシアはかつてのソ連や中国に比べればその重要性は低下しているし かつての冷戦時代と比べ 今は中国の台頭 イデオロギー対立の欠如 二極構造から多極構造への移行などの相違点はあるものの 現状は新冷戦であるとして それを回避すべくいくつかの留意点を指摘しています ということは イギリスの専門家がおっしゃったような 石川薫 ( 司会 ) フレイザー キャメロン先生 キャメロン先生がご指摘になられたようなロシアの役割は低下したという見方は 確かに相対的にはそ 15

19 うでしょうが ロシアが無視しえない大国であることにかわりはないでしょう 現に 軍事力を動員して失地回復を断行し 冷戦後の欧州国際秩序に挑戦しているわけですから しかも 世界は 少なくとも欧米諸国は ロシアをどう扱うべきかで悩んでいます ロシアをどう扱うかについては 恐らく 大別すれば2つの見方があると思います 1つは 制裁を強化してプーチン政権を追い込んでいけば 反政府勢力や民主化勢力が勢いづいてプーチン政権は窮地に追い込まれるとする見方です もう一つは 制裁を強化すると 逆にロシア民族主義が高揚して プーチン体制は一層強化されるという見方です この点について議論を詰めていく必要があると思いますが 私は プーチン政権が合理主義的に判断できるのであれば クリミアを実効支配しているわけですし 対露制裁やロシアの国力や資源 さらには政権の安定を考えれば ロシアはウクライナ東部の収束に向かうべきだと思うんです ところが ロシアは依然としてウクライナ東部を手放す気配は感じられませんし それどころかアブハジアの併合に乗り出しています これら一連の動向を考えますと 政権の基盤となっている民族派を満足させるために また火をつけてしまったナショナリズムを維持するために さらには国民の不満を外に向け続けるために プーチン政権はこのような修正主義路線を継続せざるを得ないのではないか とても危険な状況にあると思っています 石川薫 ( 司会 ) 湯下先生お願いします 湯下博之 ( 民間外交推進協会専務理事 ) 大変詳しいご説明で 話も細部まで理解できなかったかと思いますけれども しかし全体として大変感銘を受けました 私 国際問題についていろいろ考えるときに 個々の問題について その問題だけを取り上げて考えればそれで解決できるような問題と それだけでは済まなくて もっと背景にあるいろんなことを考えないといけない問題とが どうもあるのではないかという気がするのです 例えば ロシアによるクリミア併合などというのは それだけ見るととんでもない話であって もう悪いとしか言いようがないということで終わってしまって もう それをやめさせるか罰するかということになると思うのですが しかし なぜそういうことになったかというと 今日のお話を聞きますと 冷戦後のいろいろな動きでもって 西側が勢いに乗り過ぎてというか ロシアがあまりにも追い詰められて ある種 窮鼠猫をかむというか そこまではもう引っ込めないというようなところで ああいうことをやったというようなことも ひょっとしてあるのではないかという気がしました もしそうだとすると ほんとうに大きな流れの中での問題として考えていかなくてはいけないのではないかと思うのです で もしそうであれば 平和を維持するためにはこの問題についてどういうふうに考えるのがいいのだろうかということ ただ その場合に 単なる力関係だけで考えていいのか 例えばウクライナの人たちの西欧志向とか NA TOとまで言わないまでにしても EUの一員になりたいというような そういう願望というようなものもいろいろあるでしょうし 民族問題その他を考えて そういう意味も踏まえて どういう大局の中で こういう問題をどうしたらいいのだというふうに考えたらいいのかということについて 何かお考えをいただければと思います 伊藤憲一ちょっとよろしいですか 今 湯下さんがご指摘になった大きな背景という文脈で こういう場でも それからメディアの場でも ほとんど触れていないので この間 在日ウクライナ大使の話を聞いたときに彼は触れましたけれどね で 私は評価しています それは ロシアもNATOも核保有国なわけですよね ということは これは 目先は通常兵器のドンパチで進んでいるように見えるけれども 最後のところは全部 どちらの側から見ても核抑止力が大枠を形成しているのではないか この間のウクライナ大使は なぜ NATOはこんなあからさまなロシアの侵略行為を見ながら 全く軍事的対応をしないのか 経済制裁などと言っているが それは 西側がロシアの核によって抑止されているからではないか と言ったのが 私は物事の本質を突いているなと これは逆に ロシアもウクライナの東部あたりではドンパチ元気よくやるけれども それ以上 ルーマニアに入ってくるとか ポーランドに入ってくるとかできないのは これは西側の核抑止力がきいているからで 大きな核抑止力のつくった枠組み 舞台の中で 通常戦力の展開が行われている さらには経済制裁とか さらにもっとマイナーなあれこれが行われているということを見ないといけないのではないかな と私は思うのですが 六鹿先生のコメントにちょっと加えて ありがとうございました まさに伊藤代表世話人様のご指摘のとおりだと思います 1つ加えさせていただきますと NATOの主要な任務と義務はワシントン条約第 5 条の集団防衛ですが この義務は非加盟国には適用されません つまり NATOはウクライナを防衛する義務はないのです だからこそ バルトや中 東欧諸国は 16

20 集団防衛義務があるNATOに加盟しようと 並々ならぬ努力をしたわけです しかしながら 今回のウェールズ サミットでも NATOはすべての民主的な欧州諸国に開かれているとしてモンテネグロにはMAP 資格を供与しましたが グルジアにはISAFなどでの協力を高く評価しながらも 結局 MAPを与えませんでした NATOはロシアを牽制しつつも レッド ラインは守っています ロシアに対する配慮です それは伊藤先生が仰るとおり 核抑止の問題だと思います オバマ大統領は最初から ロシアに対する軍事力の使用はないとさえ断言しています 核抑止と関連しまして一つ思い出しましたが プーチン大統領が侵したもう一つの大きな誤りは アフガン後のN ATOを蘇生させてしまったことです 10 数年にわたるNATOスタッフの友人が今年 2 月に東京に来まして 彼の好きな日本食をご馳走したのですが どうも元気がないんですね アフガン後のNATOを憂いていまして 何もアジェンダがないのによくウェールズ サミットを開催するものだとつぶやいていました ところが 3 月末にブリュッセルで会いましたら 彼はプーチンをののしりながらも意気揚揚と働いていました ラスムッセンNATO 事務総長も 北米と欧州を飛びまわって 目覚まし時計が鳴った と警鐘を鳴らしながら アメリカの欧州安保への関与の必要性と NATO 諸国の軍事費増額を訴え続けました また NATOの域外活動やグローバル パートナーシップを快く思っていなかったバルトや中 東欧諸国は ロシア グルジア紛争が起きた時にNATOの集団防衛強化を訴え 具体的な防衛戦略の構築の必要性を訴えましたが オバマ大統領の登場によって対露リセット政策が開始されてしまいました したがいまして 同諸国は今回ここぞとばかりに集団防衛の重要性を訴え ウェールズ サミットで具体的な戦略が採択されました ロシアによる侵攻のシナリオを想定し NATOの具体的な軍事的対応を詰めていくはずです そして 万が一 ロシアがロシア系ディアスポラの人権擁護を盾にバルト諸国に侵攻する事態が生じれば NATOが集団防衛義務に則って行動することは必至と思われます そうでなければ同盟の存在意義が問われ NATOは存続の危機に直面しますから このようにして プーチン大統領は クリミア併合によって アフガン後の先行きが危ぶまれていたNATOを蘇えらせてしまったのです 他方 NATOは集団防衛義務を有するが故に 戦争に巻き込まれる恐れのある国の加盟には慎重にならざるを得ないという側面もあります その仮想相手がロシアのような核大国である場合は尚更です ドイツをはじめ少なからぬ国が アブハジアや南オセチア問題を抱えてロシアと対立するグルジアをNATOに加盟させることに反対するのはそのためです グルジアは非 NATO 加盟諸国の中で一番多い 2500 名の兵士をアフガニスタンに送ってIS AFに貢献してきたにもかかわらず 未だにMAP 資格がもらえない状況が続いているのです さて 湯下先生のロシアが追い詰められたというご指摘ですが 冷戦後の国際秩序の中でロシアが潜在的な修正主義国家になったことは申しましたが NATOはロシアとの共存を目指してきたと思います 例えば 中欧三カ国の NATO 加盟を決めた1997 年 7 月のNATOマドリッド会談直前に NATO-ロシア基本条約を結んで常設共同評議会 (Permanent Joint Council) を創設して ロシアとの対話と協力に努めようとしました そして NATO ビッグバン拡大前の2002 年のローマ サミットではNATO=ロシア評議会 (NRC:NATO-Russia Council) を創設しました PJCはNATOとロシアの会議でしたが NRCは全 NATO 加盟諸国とロシアの会議ですので ロシアは他のNATO 加盟諸国と同等の立場で会議に出席できるわけです 当時のロシアは大変満足していて EU にNATO 方式を採用するよう迫ったくらいです アジェンダについては 双方が合意した問題についてのみ協議することになっていますので NATOの集団防衛とか拡大などといった根幹的な課題は ロシアとの協議対象になることはありません ウクライナ国民の意思を考慮しながら大局的な判断が肝要とのご指摘はその通りだと思います 民主化や汚職撲滅など諸条件を課しながらウクライナの経済発展支援を進めていくことが必用でしょうし 狭間の地政学 に位置する国々の主権や領土保全の遵守 さらにはポーランドやヴィシェグラード4 バルト諸国 ルーマニアなどとの協力も必要でしょう また ロシアの安全保障上の要求と冷戦後の欧州安全保障体制をどのように調整していくのかは 極めて難しい問題だと思います 特に 既に指摘しましたように NATOの集団防衛とロシアが主張する集団安全保障体制はゼロ サムの関係にあると言っても過言ではありませんので どのようにして折り合いをつけていくのかはとても難しい問題です グルジア紛争の後に ロシアをNATOに入れるべきだという論調があらわれました 今回はさすがにそう言った論調は出てこないだろうと思っていましたら ミアシャイマーの論文が掲載されました プーチン大統領は 欧米の中に少数派とはいえそのような主張を展開する人たちがいることを熟知しているからこそ あのような強硬な態度に 17

21 出られるのでしょうね プーチン大統領やロシアの政治エリートにしてみれば 西側の政治家は我々の真意を全く理解していない 2007 年のミュンヘン演説で警告したのに変化は見られなかった そこで 2008 年春にNAT Oブカレスト サミットがグルジアとウクライナのNATO 加盟に言及すると グルジアへの軍事攻撃を断行し ロシアが本気であるという鮮明な信号を送った そうしたら ロシアをNATOに加盟させるべきだと言う論調が現れたり 対露リセット政策まで始まった そこで ウクライナにマイダン革命が起きて 親欧米政権がEUへと向かい始めると ロシアは再び実力行使に出たわけです それに対し 西側はどう対応するのか 深刻な課題を突きつけられていると思います 今後 先程申しました冷戦後の安全保障体制がどう変化していくのかが 我々の研究課題です 伊藤憲一ミアシャイマー 来月ここに来ますよ 彼の頭の中にはEUの新しい政治や価値観はなく 価値をめぐる対立も入ってこないわけです メルケル首相はプーチン大統領を別の世界の人間だと言いましたが ミアシャイマーも19 世紀の権力闘争や勢力均衡を中心に国際政治を見ているようです クレムリンの誰かが書いたのではないかと錯覚を起こさせるエッセーですね 伊藤憲一だからアメリカにもイスラエル支援をやめろと言っている そんなことを言えるのは アメリカでは 緻密な議論を展開しているレグヴォルドの論文とは対照的です 石川薫 ( 司会 ) ありがとうございました あとお三方が発言を希望されていまして 時間は30 分ございます お1 人ずついきます 木下先生 お願いいたします 木下博生 ( 全国中小企業情報化促進センター参与 ) 木下でございます 今 ご議論になっていたことに関連する質問なのですけれども 私はロシア問題についてそれほどわかっている人間ではありませんので 間違っているかもしれませんが 旧西欧諸国とロシアを含む旧ソ連圏諸国が対立していた時代は NATOは存在意義があったと思います 二 三日前の NHKの番組で ゴルバチョフのことを2 時間にわたって放送していました 非常に興味深く見たのですけれども 私の勝手な見方に立てば 冷戦が終わってしまった後は NATOというのは 存在しようがなくなるのではないかなと思われます そういうことでありますなら 敵であったロシアと対立する関係が今後もずっと続いていくというふうに考えてしまってよろしいでしょうか 今もお話がありましたけれども ウクライナはE Uに入ろうとしていますが 将来 ロシア自身をEUに入れてしまうということすらあり得る話でありますので そういう見方をすると 旧冷戦時代のロシア圏とヨーロッパのNATOとの対立というものが今後もずっと続いていくというふうに想定してしまっていいものかどうか という疑問が出てきます それについての質問でございます どうもありがとうございました 冷戦後の欧州国際秩序をどうするかをめぐって 先ほど申しましたように 欧米の中で対立がありまして 確かに 冷戦後のNATO 不要論はありました アメリカやイギリスはNAT Oを中心とする国際秩序を確立しようとし フランスは欧州安全保障防衛アイデンティティ (ESDI) に象徴されるアメリカを排除した欧州国際秩序を作ろうとし ソ連はCSCEを主体とした欧州共通の家構想を想い描いていました 東欧革命直後は 東欧諸国を含むすべての国が支持したため CSCEの制度化がすすめられましたが ユーゴスラヴィア紛争でCSCEとESDIの無力さが歴然とし NATOの空爆によってボスニア紛争が解決されたことで OSCEとNATOの棲み分けが行われ 前者が協調的安全保障 後者が集団防衛と域外安全保障を担うことになりました また ESDIとNATOの関係も 分離可能であるが 分離しない という原則の下に CJTF を介した双方の協力関係が構築されました いずれも1994 年のことです 欧米とロシアの関係が最も旨く行っていたのは1990 年代はじめです エリツィン政権下のロシアは 民主化と市場経済化を介して欧米国際社会に参与し その中で発言力を強化しようと コーズィレフ外相の下で親欧米外交を展開したからです しかし ロシア国内で民族派勢力が勢力を盛り返すにつれ 中 東欧諸国のNATO 加盟待望論が高まっていき ついにクリントン大統領は1994 年 1 月 問題は拡大するか否かではなく いつ拡大するかである (The problem is not whether but when) という発言をして NATO 拡大方針を公にしました しかし 拡大は段階を踏んで慎重に進められました 96 年のロシア大統領選挙においてエリツィンを支援し ロシアの民主化路線の継続を確保しました そして 同年秋のアメリカ大統領選挙演説において翌年夏にNATOを拡大させる方針を明らかにし 3 月にヘルシンキで米露サミットを行って G7にロシアを加えたG8を創設してロシアに大国の地位を与えるとともに NATO=ロシア常設合同評議会を創設するなど ロシアへの配慮を怠りませんでした このような周到な準備の後 7 月のNATOマドリッドサミットで中欧三カ国に絞って拡大したのです 2004 年の拡大のときも 先ほど言いましたように NATO=ロシア評議会 (NRC) を創設し ロシアとNATOの協議枠組み 18

22 を作った上で拡大させました このように NATO 側はロシアを敵扱いしたわけではなく NRCを介した協力関係を構築してきたわけです 他方 当時のロシアは国力が十分ではありませんでしたし プーチンの権力も固まっていませんでしたから 2004 年のEU NATO 拡大 つまり中 東欧とバルト諸国の拡大までは承認したのです 問題はその後です 報告の中で述べましたように 色革命後にロシアの外交 安全保障政策が大転換され 大欧州構想とユーラシア連合構想の下で 2008 年以降 ロシア系ディアスポラの保護を名目に軍事力が二度にわたって使用されたのです ここにおいて ロシアは潜在的な修正主義国家から 実際の修正主義国家に転化したわけで 我々はこの基本的変化を踏まえて国際政治を見ていく必要があると思います NATOウェールズ サミット宣言は このような新たな事態に対するNATOの回答と言えます 石川薫ありがとうございました では 中川原先生お願いいたします 中川原俊輔 ( 三井物産戦略研究所ロシア 東欧ビジネス推進センター長 ) 先ほどの大きな背景という部分について ちょっとコメントさせていただきたいのと 質問を1つさせていただきたいのですが 私もこの問題は1 年以上ずっと見ておりまして そんな中で 今はこれを総括して 一体何が問題だったんだと その大きな背景というのは一体何なんだということを私なりに考えてみると ウクライナの問題というのはやっぱりオレンジ革命のとき やはり一体何だったんだというところが始めなのだろうと思うのですが もっと大きな構造の中で考えたときに やはりソ連解体というところまでさかのぼらなければいけないのだろうという気がするわけです ソ連が91 年 12 月に解体されたときに みんな 冷戦が終わったというふうに はしゃぎ回ったわけなんです 冷戦が終わったというのは そのちょうど2 年前のベルリンの壁のときもあったのですが あのときに我々が言っていた 冷戦が終わったというのは 逆にこれは気持ちとしては 冷戦に勝ったという意味だったのだろうという気がするわけです 勝ったと言うと生々しいので 終わった 終わったと言っていたのだろうと思うのですが その後に起こったことというのはまさに戦後処理の問題であると で 戦後処理の問題というのは戦勝国がやるわけであって 敗戦国の言い分というのは一切耳をかす必要はないわけです これは歴史の事実として 日本もそういう目に遭っているわけなのですけれども そういうふうな目で見ると まず戦後処理 一番最初にやらなければいけないことは何かというと 勝利を確定させることですよね この場合 勝利を確定させることは何かというと かつてのソ連の衛星国を EUに NATOに取り込んでいくということにほかならないわけですね で 最後に残った旧ソ連圏の国を それをやろうとしたときに まさにウクライナ グルジアで次に爆発したと こういう見方をすると 冷戦というのはまだ終わっていなかったのではないかという気がするぐらいなんです その間 ロシアの立場からすると ここで何が一番大きな問題かというと ロシアはみずから共産党をぶっ壊し ソ連を解体したのは事実ですよね 91 年 3 月に国民投票を全ソ連でやって 連邦維持までやっていたにもかかわらず ゴルバチョフとエリツィンの単なる政権闘争でもって ソ連というのは解体されていくわけなのですが で 彼らは だからロシア人としては ソ連を解体し なおかつ共産主義も捨てたのだけれども だからといって冷戦に負けたとは思っていなかった にもかかわらず ずっと西側は敗戦国扱いをしてきていた その不満といいますか これがまさに3 月 18 日のクリミア併合のときのプーチンの演説に全部出てきていると思うんです それに加えて ここ2 年間ぐらい見てみますと 西側はやっぱり プーチンが大統領に返り咲くことを好ましく思っていなかった これが嫌だったんですね だから プーチンが大統領に返り咲いた後はずっと嫌ロ政策をやってくるわけですね マグニツキー法に始まり スノーデンの問題もあり あるいは一番直近では 例のソチオリンピックのときに西側の首脳がこぞってボイコットすると しかも その問題は背後には 同性愛を未成年者に宣伝することを禁止する法律が人権に反するみたいな形で 何かつまらないことで ずっとロシアに対してハラスメントをやってきた これは言えると思うんです それともう一つ 例のMDの問題にしても これはロシアを標的にしたものではないということをずっと言い続けるわけですね アメリカは ロシアはそれを信じなかったのだけれど 最後は ではわかりましたと では そのことを一筆書いてくださいと言った瞬間に アメリカはこれを拒否するわけです これはやっぱり ロシアの立場から見ると いいかげんにしろよという気持ちになっても 私はおかしくないと思う メディアの報道などを見ると 何かクリミアの併合を含めて ロシアが1 人で暴れ回っているという感じがするのですが 決してそうではないと私は思うんです というのは いわゆる90 年代のロシアというのは とにかく国がぼろぼろで お金がなかった 言いたいことを言っても 誰も言い分を聞いてくれなかった そのときのロシアと同じ調子で今でもつき合おうとするから 対立が深刻化するんだろうと思うんです 今のロシアは当時と比べればはる 19

23 かに豊かなんですよね クリミアだけとってみても 94 年に独立問題というのは起こっているわけです 当時 ロシアはこれを支援できなかったのは 国内でチェチェン問題があり こちらで独立を抑え ウクライナの独立 クリミアの支援をするというのはやっぱりできないので 当時は手を引いたわけなのですが そのときにウクライナのクチマ大統領は やっぱりこれを鎮圧しています だから ある日突然クリミアをとったということではないと思うんです プーチンからしてみれば ウクライナが わかった そこまで西側寄りになるのか オレンジ革命の時代のオレンジ政権というのはロシアにとっては悪夢だったわけです セバストーポリの租借期間を延長しないとか そこからグルジアに出て行った戦艦はもう帰還させないとか ユーシェンコ大統領というのは もう徹底した反ロシアでやっていましたので それの延長がまた起こるとすれば これはロシアにとっては悪夢なので ではウクライナを捨てようと ウクライナを捨てたときに 絶対にそのコストとしてとっておかないといけないのは何かといったら やっぱりクリミアだったのだと だからクリミアの併合なのだけれども 併合されて みんな重圧に苦しんでいるかというと そうではない ロシアにとってみれば もともとあそこがロシアであったのが ウクライナに 何の根拠もなくフルシチョフが割譲したのがおかしかったんだと それをみずから正したんだということで ロシアからすると クリミアがあくまで 戻ってきた なんですよね この部分の報道というか あれが全くないのは 私は非常に遺憾な感じがするのと この問題でいろんなシンクタンクにいろいろ回ってみるのですが やっぱり英米系のところは言うことが無責任な感じがするんですね 今後 これは欧州の安全保障問題なので やっぱりそこで主導権を握るべきはドイツだろうと思って 1 月前にドイツのアデナウアー財団という 政権与党に近いところと話をしてきたのですが 彼らはやっぱり真剣に考えているんです 真剣に考えているけれども やっぱり出口が見つからないと もう あえぎ苦しんでいるという状況だったんですよね それが今の現状なのだろうと思うんです そこで私が申し上げたいのは 質問をしたいのは そういう状況の中で 日本の立ち位置というのはどういうところにやっぱり持っていくべきなのだろうかということなんです もともとこれは欧州の安全保障の問題なので 直接的には日本には関係なかったはずなんです でも 今はそうも言っていられない どの辺に 我が日本の立ち位置を持っていくのが一番適切なのだろうかというところで ご意見をお伺いしたいと思います 石川薫 ( 司会 ) ありがとうございました あと 大藏先生と原先生 続けてお願いできますでしょうか その後に六鹿先生に締めていただければと思います 大藏先生お願いいたします 大藏雄之助 ( 異文化研究所代表 ) 私は今の中川原さんのお話と非常に近いのですけれども クリミアは独立するチャンスがあったのだけれど うまくいかなかったですね 私も何回もクリミア ウクライナに行きましたけれども あれはもう どう見てもロシアなのですよ だから私は さっきちょっとお話に出ましたけれども ウクライナとすれば クリミアが外れてしまえば やっぱり意見は割合統一しやすいわけです だから クリミアは 諦める余地は 私はどこかにあったと思うのですけれど もう 今になっては難しいです だけど西側も これがプーチンの野心で ソ連の領域を全部回復しようとしているのも出始めたと だからバルト三国だとか旧東ヨーロッパ諸国をおさめようとしているというのは ちょっと言い過ぎで 私は違うと思うのです 今回 確かに緑の兵士などが行ったでしょうけれど しかし武力で弾圧するような 世論を動かすような力には全然なっていません それで バルト三国でも 東ヨーロッパでも みんなやっぱり ある程度の ソ連だってうまくやるつもりですね ヒトラーと手を結んだときに バルト三国を手に入れたときに やっぱり 傀儡政権を使って そして申し込みをさせて ソ連に編入したのです 東ヨーロッパは 戦争のために全部占領した地域にやっぱり 傀儡政権をつくって それで東ヨーロッパ諸国をソ連の政府でつくったわけですね だけど 今回のクリミアは別にそれではなくて そうではなくても独立したかったわけで これがとにかく加盟しようとすれば プーチンとしては ソ連のスラブ民族主義としても受け入れやすい だからそうなったので 私にはそこでうまく西ヨーロッパが これがおしまいよと だから それ以外のところはなしと言えば 私は案外うまくいったのではないかと思っているのです それから アブハジアとか ああいうのは全部 ソ連が崩壊したときにソ連軍が残ってしまったのですね それで民族と一緒になっていろいろやっている だけど もともとそこに武力を派遣してやったわけではない モルドバなどだって あれはモルドバがまだルーマニアに所属しているころに モルダビアというのをつくりたいものだから 前からあのあたりにちょっかいを出して軍事占領したということなのです だから ちょっと クリミア問題とは違う それも プーチンはいろいろやっていますけれども プーチンも恥をかくようなことはやりたくない それで 20

24 軍事力からしても 今 バルト三国だとか東ヨーロッパに出ていくような力はありません だから そんなことは 正義も許されないし やらない プーチンは非常に賢く 日本と西ヨーロッパ諸国 アメリカと分断しようとして 反制裁のときにも日本は除いているのですよね そういう点では 日本はもう少し やっぱりうまく立ち回るべきではないのかと思っております 石川薫 ( 司会 ) それでは最後に原先生お願いいたします 原聰 ( 日本国際フォーラム参与 ) 六鹿先生のお話は 私のようなこの地域を知らない者にとっては大変勉強になりました ありがとうございました 私の質問は 今 大藏さんがお話しになったこととかなり重なるかもしれないのですが 六鹿先生が言われた2 番目の点 狭間の地政学というところにかかわるものです 東欧とか もしくは黒海周辺のいろんな国々というのは まさに大国であると信じているロシア人が運営している国 ロシアにとっての緩衝地帯です どのような大国も大体自分の周りに緩衝地帯は持ちたいと思うのが世の常であり 地政学の根本だろうと思います そうだとすれば ロシアの安全保障にとって緩衝地帯というのはどの程度の大きさのもの どの程度の広がりのもの どの程度の地域だったら満足できる もしくは不満足だ とロシア人は思うのでしょうか もしくはヨーロッパ 西欧の連中は ロシアはどの程度の緩衝地帯を欲していると読んでいるだろうか ということについて六鹿先生に教えていただければと思います 具体的には 例えばバルト三国は昔ソ連領でした それが ソ連から分離独立しただけではなく NATOにも入った でも今は ロシアは まあいいや と 少なくともそれを容認している と受けとめられているようです ウクライナについてはどうでしょうか 今 大藏さんが言われたような ロシアによるクリミア併合はもうしようがない という感覚がヨーロッパでもウクライナでも結構あるのだろう という雰囲気は私も感じています しかしながら クリミアを除くウクライナがよりヨーロッパに近づいている そのウクライナはヨーロッパになっていいのか もうロシアにとって緩衝地帯でなくてもいいのか ウクライナの東部地域だけが緩衝地帯になればいいのか もしくは やっぱりウクライナ全体が緩衝地帯でないといけないのか そういうところについて もしおわかりであれば 教えていただきたいと思います 石川薫 ( 司会 ) 盛りだくさんな質問で済みません 六鹿先生 よろしくお願いいたします どうもありがとうございました プーチン政権の目的は 旧ロシア帝国領を自国の勢力圏に入れることで 世界大国としての地位を築きたいということだと思います この観点からクリミアと東部はどこが違うかと言えば クリミアは戦略的な重要性はありますが ウクライナを勢力圏に残すことには役に立たない 他方 東部はウクライナ全体をロシア勢力圏に入れるための手段になり得るということでしょうか ロシアの黒海艦隊はダーダネルス ボスフォラス両海峡を通ってシリアまで行けますし 今ギリシャ キプロス イスラエル ロシアとトルコが争っている東地中海のガス田にも到達できます さらに クリミアは東部と比較して 地政学的に奪取しやすい地形をしていますし 住民の民族比からしてもロシアへの帰属意識が強いところですので それだけロシアが併合しやすい環境にありました 皆様方はお触れになりませんでしたが ロシアの宣伝戦の巧みさは圧巻でした プーチン大統領はジャーナリストに感謝の意を述べています 確かに ウクライナも 議会がロシア語を第二国家語にする法律を廃止するという間違いを犯しました ただ 最終的には臨時大統領が署名しなかったので この法律は廃止されることはなかったのです ところが ロシアの政治エリートやマスメディアは ウクライナの新政権は極めて民族主義的であり ロシア系民族の権利が蹂躙されていると喧伝し ロシア系少数民族の恐怖心を煽って彼らを巧みに政治動員するなかで クリミアの親ロシア派が主要ポストを掌握し住民投票を実施して クリミアのロシア連邦への併合を決定したのです 軍隊が動員される中で住民投票が行われるというのは尋常ではないですし 住民がどの選択肢が最もふさわしいのかを時間を掛けて議論し 熟考したうえで行われるものです 2~3 週間の間に電撃的に行われるものではないでしょう それから もう一つはクリミアで終わりだというご指摘 他のウクライナをロシアは諦めているという 中川原先生のご指摘でしたでしょうか 大藏雄之助クリミアだけをロシアに渡して ウクライナのほかは もうヨーロッパと話し合いをする ただ ほんとうは今 ウクライナは貧乏ですから もう大変な状態です もう とにかくお金をくれるところなら どこでもいいのです 石油の料金を返せなどと言われたら それならロシアなど嫌だと言う 西側が補償してくれるなら そっちがいい だから もう揺れ動いていますけれど 冷静になれば ウクライナもどっちか片一方ではなくて 両方 21

25 の中間にいたい これは歴史的にそうなのです キエフの支配以来 ずっとあるのです だから私は もう少し冷静になってやればよかったということです 外から見ているとそうかもしれませんが ウクライナの中は一枚岩ではありません 親露派もいれば 極端な民族主義者もいます 知識人 若者の多く 中小企業の経営者たちは 寡頭体制や汚職を撲滅し 民主化や競争原理に則った市場経済化を進めて 自由に発言し クリーンな経済活動のできる体制づくりを望んでいます 他方では オリガルヒは既得権益を手放したくないでしょうから 体制の維持に執着するでしょうし ロシアとのビジネスを通じて巨万の富を蓄えた企業家は 親露政策を主張するでしょう 狭間の地政学 に位置するウクライナは 各社会層や各地域が様々な方向を志向していますので そう単純な問題ではないのです しかしながら 先日のウクライナ議会選挙結果から ウクライナ人の態度の変化を見て取ることができます ロシアが 平和党 と呼ぶ穏健派のポロシェンコ派が大勝するだろうと予想されていましたが ふたを開けてみると ロシアが 戦争党 という強硬派のヤツェニューク派が躍進しました このことは ウクライナ人の多くが ポロシェンコ大統領主導の下で進められた ロシアとの妥協を図ろうとしたミンスク和平協定に批判的であること また 東部の問題に関してロシアや武装勢力と妥協しないで 断固たる態度を貫き ウクライナの領土保全を死守すべきであると考えていることが判明しました つまり ご指摘のような西か東かの問題というより ウクライナは今まさに領土保全の問題と闘っているのです 次は ロシアは緩衝地帯として クリミアだけで十分と考えているのか あるいは 東部 さらにはウクライナ全体を必要としているのかというご指摘がございましたが プーチン体制はいくつかのシナリオと選択肢を描いていたと思います 最善の選択肢は ウクライナが関税同盟に加盟し ゆくゆくはユーラシア連合を創設して 大国ロシアとして世界に影響力を及ぼしていくことです しかし 最も時宜に適った戦略目標はクリミアの奪取でした それによって支持率が上がり政権も安定しますし 戦略的に有利に立つことができますし またそれを実現する可能性も十分ありました しかし クリミアのロシア連邦への併合は ウクライナ全体をロシア勢力圏に入れる手段としては不十分です そこで クリミア奪取後 プーチン政権が考えたであろう選択肢としては 第一に 軍事力によるウクライナ全土の制圧ないしキエフの征服 第二に ウクライナを連邦化し 東部に巨大な権限を持つ共和国を創設し それを介してウクライナのEU/NATOへの接近を牽制する 第三に ウクライナが実際にEU/NATOに接近し始めた場合 ウクライナ分割を断行して EU/NATOに加盟していく領土をできるだけ少なくし 残りをロシアとの緩衝地帯とするか ロシア領に編入する選択肢です 3 月末は第一のシナリオの可能性が最も高い時期でした 4 万の大軍をウクライナ東部国境沿いの軍事演習に動員し さらに一部部隊を北部に移動させるなどしたため キエフ攻略作戦が取りざたされた程です また ロシアが ウクライナ東部から南部へと至る新ロシア ( ノヴォロシア ) に加え オデッサからトランスニストリアを領有するシナリオも想定されました しかし 4 月 6 日以降 第二のシナリオに則って 東部での武装闘争が開始されました ロシアがウクライナに執着するのは ロシアにとって旧ソ連の中で一番重要な国はウクライナだからです 地政学的 戦略的要因は言うまでもなく 歴史的経済的繋がりも深いですし ソルジェニーツィンのようなロシアのスラブ派は カザフスタンではなく ベラルーシ ウクライナ ロシアから成るスラヴ連合を最重要視するからです それが故に 8 月におよそ280 台の軍用トラックを人道的支援と称してウクライナ東部に送り 武器 弾薬 さらにはロシア正規軍まで動員して戦況を一気に覆し プーチン大統領はポロシェンコ大統領に停戦を迫ったわけです その後のロシアの動きを見ても ウクライナを手放すつもりはないようです これですべてお答えしましたでしょうか 中川原俊輔日本の立ち位置について 日本の立ち位置につきましては 日本国際フォーラム政策委員会が 積極的平和主義と日本の針路 という立派な政策提言をされました 私はその趣旨に全面的に賛同し署名しておりますので そちらをご参照いただければと思います 私の理解が間違っていればご訂正いただきたいのですが 一言で言えば 日本は国際法の遵守と国際社会との協調路線を最優先すべきである ということになりましょうか 石川薫 ( 司会 ) どうも長時間 ありがとうございました お時間になりました ( 拍手 ) 貴重なご意見をいただきまして 大変勉強になりました ありがとうございます 了 22

26 3. 日 黒海地域関係研究会 代表の配布資料 大学院国際関係学研究科教授同大広域ヨーロッパ研究センター長 ( むつしかしげお ) 東方パートナーシップ (EaP) 市民社会ヴィルニス国際会議 23

27 ゴルバチョフの冷戦後欧州国際秩序構想 CSCE ( 欧州共通の家 構想 = 集団安全保障機構 ) NATO ( 政治化 ) WTO ( ワルシャワ条約機構 ) ( 政治化 ) 24

28 冷戦後欧州国際秩序 - ロシアの排除 NATO NRC ロシア EU 4 Common Spaces Partnership for Modernization OSCE( 協調的安全保障 / 予防外交 ) ロシア 狭間の地政学 をめぐる権力闘争 -4 帝国支配下の東欧 (19 世紀 ) 25

29 戦間期東欧 Britain France Germany Soviet Union Italy 戦間期東欧の 力の真空 をめぐる欧州諸大国の権力闘争 1920 年代 <フランスvsイタリア> 1930 年代前半 <フランスvsドイツ> * ヒトラー政権誕生 (1933.1) 1936~ < 英独欧州分割 > ドイツ軍のラインラント進駐 =ヴェルサイユ体制の崩壊 (1936) * ミュンヘン協定 (1938.9) ズデーテン割譲 * ドイツ チェコに武力侵攻 (1938.2) 対独宥和政策の破綻 ~ < 三つ巴外交 >( 英仏 vs 独 vsソ連 ) * 独ソ不可侵条約 ( ) * 第一次世界大戦の勃発 ( ) ~ < 独ソ東欧分割 > ~ * フランスの降伏 (1940.6) <バルカンを巡る独ソ対立 > * 独ソ戦開始 ( ) ~1944 春 < ドイツの東欧単独支配 > < 米英ソ戦時外交 > ソ連の東欧支配を決定 1 米英カサブランカ会談 (1943.1) 対独無条件降伏決定 2 イタリア占領方式 (1943.9~) の定着 3 テヘラン会談 ( ) ノルマンディー上陸作戦毛定 26

30 広域ヨーロッパ 狭間の地政学 民主化 - トランスナショナルな協力と対立の構造 < ウクライナ > < ロシア > E U 反体制デモ ヤヌコーヴィッチ政権 プーチン体制 主権民主主義 反体制デモ デモ隊 ( 急進派 ) 野党政治家 親露派 27

31 1. 冷戦後の欧州国際秩序とロシアの集団安全保障構想 ゴルバチョフ- 欧州共通の家 構想 CSCEブダペスト サミット ( ) OSCE ロシア :OSCEの集団安全保障機構化 米英の反対 メドヴェージェフ大統領の新欧州安全保障条約 (2008.7) ( ドイツ訪問の際 ) 新欧州安全保障条約草案骨子 ( ) ロシア外交の変遷二元外交から修正主義へ < 二元外交 > 公式 - 領土保全支持 ( エリツイン時代 ~2008.4) モルドヴァ グルジア アゼルバイジャン非公式 - 分離主義勢力 未承認国家 支援トランスニストリア アブハジア 南オセチア ナゴルノ カラバフ < 修正主義外交 > プーチンのミュンヘン演説 (2007.2) CFE 一時凍結宣言 (2007.7) 凍結実施 ( ) NATO ブカレスト サミット宣言 (2008.4) プーチン大統領令 (2008.4) 領土保全政策の見直し ロシア = グルジア戦争 メドヴェージェフ ドクトリン ( 軍事力によるディアスポラ保護 ) 南オセチア アブハジアの独立承認 28

32 frozen conflicts 凍結された紛争 トランスにストリア ( 沿ドニエストル ) モルドヴァ共和国 アブハジア 南オセチア ( グルジア ) ナゴルノ カラバフ ( アゼルバイジャン ) クリミア 2. 狭間の地政学 をめぐる諸大国間権力闘争の連続性 プーチン大統領のミュンヘン演説 (2007.2) ロシア = 欧州通常兵器削減条約 (CFE) 停止 ( ) ミサイル防衛 (MD)- ロシアのセクター方式提案 ( ) エネルギー憲章 ; 第三パッケージ ; 欧州エネルギー共同体南回廊 (South Corridor)vs サウス ストリーム ( 露 : ガスプロム ) 東方パートナーシップ (EaP)(2009.5~) 連合協定および DCFTA( 深淵かつ包括的自由貿易圏 ) ユーラシア連合構想関税同盟 ユーラシア経済連合 ユーラシア連合 大欧州 DCFTA と両立しない関税同盟創設ベラルーシ カザフスタン ロシアウクライナに関税同盟への加盟促す EU 接近を阻む 29

33 Greater Europe / большая европа EU 関税同盟ユーラシア経済連合ユーラシア連合 3. 価値をめぐる協力と対立のトランスナショナルな関係 ロシア外務省 : 民主化 凍結された紛争 に関する協議に応じない EU= ロシア : 4 つの共通空間 (2005.5) 調印ロシアは話し合いに応じる - 民主化 凍結された紛争 など 近代化パートナーシップ ( サミット ) 近代化 = 経済 + 政治 社会ロシアは民主化 NGO についても協議に応じる ロシア固有の文明論国家プロジェクトとして推進され始めた (2008 年頃から ) ロシアは欧米とは異なる固有の伝統的な文明を有する国 主権民主主義 = 欧米型民主主義とは異なるロシア固有の民主主義 2011~2012 のロシアの議会 大統領選挙反体制デモ 民主化をめぐり欧米とロシアの対立深まる 30

34 プーチン大統領とユーロ マイダン プーチン政権の権力基盤 = リアリスト勢力 + 民族主義勢力 社会に対する引き締め強化外国から資金を受ける NGO- エージェントとしての届け出結社の自由を制限する法律の採択 ロシアの国内体制や民主主義をめぐり 欧米とロシアの対立 ユーロ マイダン革命 (2014.2) の意味 1 ウクライナの EU(NATO) 接近 ロシア勢力圏の喪失 2 プーチン政権にとっての危機 ロシアのクリミア併合プーチン : マイダンの敗者 国民的英雄へロシア民族主義の高揚 政権の安泰 クリミア併合の問題点 - ウクライナの欧米接近を阻止できない ウクライナ東部の武力紛争 = ドネツク共和国創設 連邦化 冷戦後の欧州国際秩序とプーチン外交 ( まとめ ) 国際秩序 - 潜在的修正主義国家を抱える体制 潜在的修正主義国 - 狭間の地政学 をめぐり権力闘争 西側からの攻勢 民主化 体制の危険に晒される 国力回復 民族主義勢力へ権力基盤を移す アイデンティティ政治 = 外交 安全保障政策と一体化 ディアスポラの権利保護を名目 失地回復ないし国境修正 31

35 戦間期欧州国際秩序との類似性 < 戦間期 > 1 ヴェルサイユ体制 - 不安定な二極構造修正主義 = 独 伊 ソ連 ハンガリー ブルガリア現状維持 - 英仏 ポーランド チェコスロヴァキア ルーマニア ユーゴスラヴィア 2 東欧の 力の真空 をめぐる諸大国間権力闘争仏伊対立 独仏対立 英独欧州分割 独ソの東欧分割 独ソ戦争 ドイツの単独占領 対独無条件降伏 力の真空 ソ連ブロックの誕生 3 ドイツの匕首 ( あいくち ) 伝説とヴェルサイユ体制への不満潜在的修正主義国家 ドイツの復興 + ヒトラー政権の誕生 民族自決権を盾に失地回復へオーストリア併合 ミュンヘン会談 ( ズデーテン ) チェコスロヴァキア支配 ポーランド回廊要求 * ウィーン裁定 ( スロヴァキア南部 トランシルヴァニア北部 ) 現国際体制との相違 : ジリノフスキーのウクライナ分割案 - 近隣諸国応ぜず! 欧州の国際安全保障体制 - 相違 < 戦間期 > 国際連盟 : 集団安全保障 英仏宥和政策など 機能不全少数民族保護レジーム- 強制力の欠如など 活動停止 < 冷戦後 > ドイツ統一 ( 骨格 )+ボスニア( 精緻化 ) コソヴォ紛争( 適用 ) 原則 - 領土保全 + 少数民族の権利遵守 の一対 重層的諸機構からなる制度 UN OSCE 欧州評議会 EU NATO EU/NATOのコンディショナリティー効果 ( 予防外交 ) NATOの強制力 ( ボスニア コソヴォ ISAF リビア) 軍事介入後の復興分業体制 (UN OSCE EU NATO) 32

36 国際社会のウクライナ危機への対応 1 コンディショナリティー効果なし 2 人道的介入は不可能 対露経済制裁 = 主要手段 3 原則 = 国際法違反を批判 4 重層的な安全保障体制 ( 国際諸機構の分業体制 ) ロシアの外交的孤立化 (G7 NATO/EU は協力関係の停止 ) *NRC の窓は開けておく ( グルジア戦争との相違点 ) ウクライナ情勢の監視 (OSCE UN) OSCE: 人権査定 選挙監視 軍事活動監視 (* グルジア戦争 ) EU: 共通安全保障防衛政策 (CSDP) 使節派遣 NATO- ロシア軍の動静監視 ( 衛星写真公開 ) 集団防衛強化 ウクライナ支援 ( 外交支援 経済支援 軍事力強化支援 ) ウクライナへの圧力 : 停戦 ロシアと和平交渉 地方分権 和平協議 / 経済協議 (EU ウクライナ ロシア )-DCFTA/ ガス輸出 重層的な分業体制 - 大規模戦争の抑止に貢献 ( クリミア併合は例外 ) 和平交渉の流れ < ウクライナ東部の和平交渉 > ウクライナ東部で武装集団が戦闘開始 (4/6) ジュネーヴ交渉 (4/17)- 米 EU 露 ウクライナ ロードマップ (5/12)OSCE スイス議長国トロイカ コンタクトグループ -OSCE ロシア ウクライナウクライナ国内円卓会議 (3 回実施 ) ポロシェンコ和平案と一時停戦 (6/20) 武装解除 武装勢力出国 国境管理 非連邦制 ( 分権化 ) ドネツク円卓会議 (OSCE 露 ウクライナ )(6/23) + 東部代表者 2 名 + 親露派ウクライナ人政治家 2 名 * トランスニストリア 5 者協議枠 =OSCE 露 ウクライナ モルドヴァ トランスニストリア オブザーバー =EU/ 米国 (2005~) ドネツクのトランスニストリア化? ポロシェンコ停戦打ち切り宣言 (7/1) 東部奪還へ軍事作戦展開 4 ヶ国ベルリン外相会議 ( 独仏露ウクライナ )(7/2)- 独露協調 - 即時停戦と 7/5 までの協議開始 33

37 独露協調に変化 - ドイツと対露制裁 OSCE の限界 - 露の拒否権 - 停戦ライン ロシア国境の監視不可 独露協調 (6 月 ~7 月はじめ ) ポロシェンコ停戦打ち切り宣言 (7/1) 東部奪還へ軍事作戦展開 4ヶ国ベルリン外相会議 ( 独仏露ウクライナ )(7/2)- 独露協調即時停戦と7/5までの協議開始 メルケル (10.16) 休戦協定実施に向けイニシアティヴをとると宣言 シュタインマイヤー外相に代わり 対露 ウクライナ政策を指揮 メルケル ブラティスラヴァ演説 (10.20) 対露制裁解除は ミンスク和平合意が実行された後 EU 対露制裁継続を決定(10.24) 焦点 : 露 東部勢力の和平合意遵守 / ウの連邦化 不安定化 34

38 ウクライナ危機の欧州国際秩序へのインパクト 集団安全保障体制さらに遠のくアフガン後のNATOの蘇生に寄与 NATOの集団防衛強化 狭間の地政学 をめぐる対立 WW1,WW2, 冷戦 新冷戦 NATO vs ロシアの軍事対立 + 価値をめぐる対立 * 冷戦時代の二極対立とは異なる ( 中国 BRICS G20など ) 黒海地域の国際関係の緊張 クリミアのロシアへの帰属 価値をめぐる対立 さらに激化露 : オルバン政権など 権威主義体制の国との関係強化欧米の右派勢力との関係強化 ウクライナ危機 新冷戦 +アイデンティティ政治の活発化 欧州安全保障体制の将来? ドイツの対露政策? 黒海の勢力均衡? = 今後の重要課題 黒海地域 35

39 黒海国際関係への波紋 1. ロシアのクリミア併合 黒海軍事バランスの変化 ロシアとトルコの海 から ロシアの海 へロシア黒海艦隊への制約解除 ボスポラス ダーダネルス海峡 東地中海 ( シリアへ ) 2. 黒海における NATO 海軍軍事演習 (* モントルー条約による制約 ) NATO ウェールズ サミット -NATO 海洋戦略 NATO 常駐海軍力 (Standing Naval Forces) ポーランド ~ ルーマニア ~ トルコのミサイル防衛 3. クリミア タタール問題 露土関係のさらなる緊張シリア ミサイル防衛 CFE 東地中海ガス田 PKK + クリミア タタールトルコ - 黒海安全保障 ( 対露軍事バランス )+ 中東情勢黒海の影響力維持 / 欧米とロシアの均衡 4. ロシアのバルカン南下政策 vs 欧州委員会サウス ストリーム ガスパイプライン vs EU エネルギー第三パッケージ TANAP (Trans-Anatolian Pipeline) ~TAP (Trans-Adriatic Pipeline) { サウスストリーム ガスパイプラインをめぐる攻防 } ブルガリア セルビア オーストリア ガスプロムとサウスストリーム パイプライン建設契約 欧州委員会の中止要請 ブルガリア : 法律改正 パイプライン建設 トルコ系連立政党 議会解散選挙などの威嚇 ジョン マッケインなど米国議員 - ソフィアを訪問して圧力 サウスストリーム建設活動の中断決定 (6 月 ) EU とアメリカが推す 南ガス回廊 優先 セルビアも同路線に追従 欧州委員会 - ガスプロムエネルギー第三パッケージをめぐる論争の継続 36

40 クリミア併合と黒海軍事バランス : ロシア = トルコの海 ロシアの海 黒海艦隊基地の租借 (1997~ ~ 年毎の延長 ) 9000 万ドルの租借料 + ガス価格の 30% 値下げ Partition Treaty on the Status and Conditions of the Black Sea Fleet (1997 年協定 ) ロシア黒海艦隊に関する通達 - 兵員数 戦艦 武器と装備 1997 年 5 月の規模を超えない ( 第 4 条 ) ロシア黒海艦隊の増強フリゲート艦 (6 隻 ); 潜水艦 (6 隻 ) ミストラル級戦艦 ( フランスから購入 ) ーヴラディヴォストーク ; セヴァストーポル ロシア黒海艦隊 > トルコ艦隊 + その他諸国の軍事力 ウクライナの大陸棚 + 排他的経済水域 見直し トルコ / ルーマニア ケルチ海峡 ロシアの独占 Chernomor Naftohaz ロシアが獲得 モントルー条約 (Montreux Conventions) 外国艦船の黒海進入制限総トン数 トン以内 21 日間のみ黒海滞在許可 (18 条 ) 15 日前にトルコに通告義務 (13 条 ) 商船 - 平和時如何なる種類の貨物 (with any kind of cargo) ( 第 2 条 ) ロシア : シリアに武器を輸出 交戦国の戦艦 - 海峡通過禁止 (19 条 ) NATO アメリカ艦隊の黒海進入禁止 cf. アメリカ艦隊 -グルジア戦争時黒海に進入 *NATO 海軍 ( 米艦隊 ルーマニア ブルガリア協力 ) 37

41 ウクライナ危機と BSEC 5.BSEC: Organization of the Black Sea Economic Cooperation(1992 創設 ) 非政治部門での協議継続 第 30 回外相理事会 ( ) 開催 (Varna) 12カ国代表が参加 参加者 議題 Tvircun 書記長 議長国ギリシャ外務次官 代表団長声明 ウクライナ代表声明 ロシア代表声明 Annex Ⅰ~Ⅷ 非公表 Victor Țvircun- 六鹿メール (11 月 24 日 ) への返信 38

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<92508F838F578C76955C81408EE88E9D82BF8E9197BF2E786C7378> NHK 平和に関する意識調査 単純集計結果 調査期間 2017 年 6 月 21 日 ( 水 )~7 月 25 日 ( 火 ) 調査方法 郵送法 調査対象 18 歳 19 歳限定地域 : 全国 2017 年 7 月末時点で18 歳 19 歳の国民 1200 人 20 歳以上の成人地域 : 全国 2017 年 7 月末時点で20 歳以上の国民 1200 人 いずれも住民基本台帳から層化無作為 2 段抽出

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86 また南シナ海での領有権をめぐりベトナムとならんで中国と激しく対立す るフィリピンでは オバマの同国訪問を機会に同年4月28日 米軍がフィリ ピンで向こう10年間軍事基地を使用できるようにする軍事協定が調印された この協定によって 1992年 米軍がスービック海軍基地 クラーク空軍基地 など在フィリピンの基地から全面撤退していらい はじめてフィリピンに大 規模に軍事的復帰を遂げる道が開けた 中国が南シナ海への進出を加速させ

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2-1_ pdf 歴史 2-_02020 History 教員室 : B02( 非常勤講師室 ) 環境都市工学科 2 年 会的諸問題の解決に向けて主体的に貢献する自覚と授業の内容授業授業項目授業項目に対する時間. 近代世界の成立 - 近代ヨーロッパの成立と世界 -2 絶対王政と近代国家の形成 -3 市民革命と産業革命 -4 ナショナリズムと 国民国家 の成立 -5 アジアの植民地化 2- 帝国主義 の成立と世界分割

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学習指導要領

学習指導要領 (1) 世界史へのいざない ア自然環境と歴史歴史の舞台としての自然環境について 河川 海洋 草原 オアシス 森林などから適切な事例を取り上げ 地図や写真などを読み取る活動を通して 自然環境と人類の活動が相互に作用し合っていることに気付かせる [ 大河流域の生活と歴史 ] 大河流域に形成された古代文明周辺の自然環境の特色と人類の生活や活動とのかかわりについて知る [ 草原の生活と歴史 ] 内陸アジア北部にひろがる大草原の自然環境の特色と人類の生活や活動とのかかわりについて知る

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学習指導要領

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