<4D F736F F D C B8CA48B8694AD955C97768E7C814589FC332E646F63>

Size: px

Start display at page:

Download "<4D F736F F D C B8CA48B8694AD955C97768E7C814589FC332E646F63>"

ゆりなうばら
5 years ago
Views:

1 都市ゴミ焼却灰を活用したエコレンガ製造技術の開発荒木窯業株式会社 1. 研究の目的都市ゴミ焼却灰は数 % が溶融スラグとして利用されているだけで残りは全て埋立て処分されているしかし最終処分場はそのスペースに限りが有り焼却灰の資源化による処分場の延命化が強く望まれているこの様な背景のもと従来のレンガの製造技術を用いて焼却灰の資源化技術を開発し併せて製品の高付加価値化及び製品の利用促進を通じてリサイクルモデルを構築することを目的としている 2. 構成メンバーと主な役割荒木窯業株式会社エコレンガ製造技術の開発製品の高付加価値化九州大学知的財産本部研究プロジェクトのコーディネート福岡県工業技術センター原料及び製品の物性評価製造条件の解析福岡県保健環境研究所焼成試験時の環境調査等大川市都市ゴミ焼却灰の提供利用促進久留米市追跡調査の協力利用促進大牟田市 RDF 焼却灰の提供利用促進 3. 研究開発期間及び経費平成 14 年度 ~ 平成 16 年度毎年 1,000 万円 ( 合計 3,000 万円 ) 4. 研究の概要都市ゴミ焼却灰及びRDF 焼却灰を活用したレンガの試作と品質評価を積み重ねてエコレンガの製造技術を開発するまた試作品製造の際に焼成試験炉の排ガス工場排水水質工場近辺の土壌等の周辺環境に及ぼす影響を調査する併せて顧客のニーズに合致した安全安価多彩なバリエーションを持つ製品を開発して高付加価値化を目指し焼却灰排出自治体における公共事業への製品の利用促進を図ることによりリサイクルモデルを構築する 5. エコレンガの原料と試作フローチャート (1) エコレンガの原料粘土質原料通常のレンガ製造に使用している天然資源である可塑性のある赤系粘土 2 種類及び再生材である花崗岩風化物 ( 真砂土 ) 及び山砂 ( 砂岩 ) の水簸残渣を用いた焼却灰大川市の都市ゴミ焼却灰及び大牟田市のRDF 焼却灰を用いたその平均的な主要成分を表 1に示す

2 表 1 焼却灰の成分分析結果灰区分大川市大牟田市成分ゴミ焼却灰 RDF 焼却灰 SiO₂ CaO Al₂O₃ Fe₂O₃ Na₂O K₂O Cl SOx 単位 :wt% 特記事項 * 一般的な窯業原料に比較してCa Oが非常に多い * 窯業原料に無い成分であるCl が非常に多い補助材焼却灰のように一旦焼成された原料は可塑性を失う傾向にあり成形助剤としてベントナイト強度増強剤として長石粉を用いた (2) エコレンガ試作フローチャートエコレンガ試作のフローチャートを図 1に示す粘土質原料焼却灰補助材配合クラッシャー粉砕混練水分調整含水率約 20% 湿式成形ミニ真空土練押出し成形機乾燥乾燥炉焼成試験炉 1130~1140 物性測定図 1 エコレンガ試作のフローチャート

3 6. 試作品の製造とその物性について (1) 大川市都市ゴミ焼却灰を用いたエコレンガ乾式成形 31 種類湿式成形 6 種類延べ36 種類の基礎試験を経て最終的に成形性 ( 可塑性 ) と強度の改善を目的にベントナイト長石を添加し表 2に示す配合比とした表 2 エコレンガの配合比原料添加量 ( 容積 %) 大川市焼却灰 27 赤系粘土 30 山砂水簸残渣 15 真砂土水簸残渣 23 金属精錬スラグ 5 長石 3 ベントナイト 5 図 2 大川市焼却灰含有エコレンガ外観焼成温度 1140 酸化雰囲気での焼成結果下記のJIS 及びJASS 規格を満足する物性値を有するエコレンガを製造することができた外観写真を図 2に示す表 3 大川市焼却灰含有エコレンガの物性測定結果 ( 工業技術センター測定 ) 吸水率圧縮強さ曲げ強さ試験項目 (%) ( N/ mm2 ) ( N/ mm2 ) 測定値 JIS 規格 JASS 規格 JIS R 1250 ( 吸水率 10% 以下圧縮強さ30N/ mm2以上 ) JASS7M-101 (5N/ mm2以上 ) 溶出試験の結果重金属の溶出は認められず土壌環境基準を満足していた表 4 大川市焼却灰含有エコレンガの溶出試験測定結果 ( 保健環境研究所測定 ) カドミウ六価クロ試験項目鉛砒素総水銀セレン弗素硼素ムム測定値 (mg/l) <0.001 <0.005 <0.04 <0.005 < <0.002 < 土壌環境基準 (2) 大牟田市のRDF 焼却灰を用いたエコレンガ乾式成形 12 種類湿式成形 4 種類の試験を経て灰の配合率は27 容積 % とした焼成温度 1130 酸化雰囲気での焼成結果 JIS 及びJASS 規格を満足するレンガ

の製造に成功したまた RDF 焼却灰を用いたエコレンガの場合も溶出試験結果土壌環境基準を満たしていた表 5 RDF 焼却灰含有エコレンガの物性試験結果試験吸水率圧縮強さ曲げ強さ項目 (%) (N/ mm2 ) (N/ mm2 ) 測定値 4.5 42.1 8.

4 の製造に成功したまた RDF 焼却灰を用いたエコレンガの場合も溶出試験結果土壌環境基準を満たしていた表 5 RDF 焼却灰含有エコレンガの物性試験結果試験吸水率圧縮強さ曲げ強さ項目 (%) (N/ mm2 ) (N/ mm2 ) 測定値 JIS 規格 JASS 規格 10% 以下 30N/ mm2以上 5N/ mm2以上図 3 RDF 焼却灰含有エコレンガ外観 (3) バリエーションの展開エコレンガの焼成条件 (1140~1150 酸化還元焼成) 及び焼成後の加工方法 ( イブシ及びローリング加工 ) を組み合わせることにより 8 種類のバリエーションを展開し付加価値を高めることで用途の多様化に対応できるようになった (4) エコレンガ経年変化の追跡調査都市ゴミ焼却灰及びRDF 焼却灰を用いたエコレンガは試作途中であり経年変化までは追跡調査できないため既に開発を終え実際に施工されている下水道汚泥焼却灰を用いたエコレンガの経年変化を 3 年間追跡調査した調査結果を表 6に示すエコレンガ品名 : e-bricks FR 施工時期場所 : 平成 11 年久留米市中央公園表 6 e-bricks 追跡調査結果 ( 物性測定 : 工業技術センター溶出試験 : 保健環境研究所 ) 抜取り日測定日吸水率曲げ強さ圧縮強さ ( % ) ( N/ mm2 ) ( N/ mm2 ) 溶出試験規格 10 以下 5 以上 30 以上土壌環境基準未使用品基準値以下 H H 基準値以下 H H 基準値以下 H H 基準値以下施工後 5 年経過したが品質特性の劣化や有害物の溶出は認められずレンガ製品として十分な物性値と安全性が保たれていた 7. 環境測定 (1) 試験炉で試作品焼成中の排ガス分析大川市の都市ゴミ焼却灰を用いたエコレンガを焼成中の試験炉排ガスを分析した結果

重金属類塩化水素若干のダイオキシンが認められた重金属類によって揮散の割合が異なり焼成炉排ガスのばいじん中の重金属濃度は原料である焼却灰の金属含有量の約 50~100 倍の濃度であった塩化水素は原料中の約 48% が塩化素ガスとしてばい煙中に揮発されている事が分かったダイオキシンについては

試験炉内温度 750 以下 750 以上大川市 1 号炉 0.4 大川市焼却灰 3.3 0.72 焼却灰 2 号炉 0.78 エコレンガ RDF 加熱脱塩 < 0.

校の土壌中のダイオキシン類工場近傍の河川水質の分析 3 年間の追跡調査を行った結果全ての項目について環境基準値以下で問題なかった 8.

5 重金属類塩化水素若干のダイオキシンが認められた重金属類によって揮散の割合が異なり焼成炉排ガスのばいじん中の重金属濃度は原料である焼却灰の金属含有量の約 50~100 倍の濃度であった塩化水素は原料中の約 48% が塩化素ガスとしてばい煙中に揮発されている事が分かったダイオキシンについては原料の灰に含まれる組成が排ガス中のばいじんに含まれるダイオキシンの組成と異なりまた量も多く検知されていることから焼成の過程で再合成されたものと考えられる表 7 焼却灰中のダイオキシン含有量及び排ガス中のダイオキシン類測定結果ダイオキシン類含有量ダイオキシン類 (ng-teq/g) ng-teq/g 試験炉内温度 750 以下 750 以上大川市 1 号炉 0.4 大川市焼却灰焼却灰 2 号炉 0.78 エコレンガ RDF 加熱脱塩 < 0.1 焼却灰処理後 (2) 工場周辺の環境測定重金属塩化水素ダイオキシン類などの有害物質を含有する焼却灰を取り扱う試験を行なうため山田市との協議で下記項目について工場周辺の環境調査を3 年間行った工場排水試験炉近傍の土壌中の重金属溶出試験及びダイオキシン類含有量山田市内の小学校 2 校の土壌中のダイオキシン類工場近傍の河川水質の分析 3 年間の追跡調査を行った結果全ての項目について環境基準値以下で問題なかった 8. 研究活動の広報について毎年 10 月に西日本展示場で開催されるエコテクノ展にエコレンガ関係を出展し広報を行なった展示会全体の入場者数は次のとおりであった第 1 回目 : 平成 14 年 10 月 23~25 日 ( 入場者数 34,257 人 ) 第 2 回目 : 平成 15 年 10 月 22~24 日 ( 入場者数 34,609 人 ) 第 3 回目 : 平成 16 年 10 月 27~29 日 ( 入場者数 35,037 人 ) また以下の2 件について学会発表を行った第 20 回韓日国際セラミックスセミナー Effects of Sintering Conditions on 図 4 エコテクノ出展風景 ( 平成 16 年 )

6 Chemical Properties of Bricks Containing Incineration Fly Ash 第 15 回廃棄物学会研究発表会焼却灰を原料に用いたれんがの製造時における含有成分の挙動 9. 企業化の検討ゴミ焼却灰等を使用したエコレンガを製造する際に重金属類塩化水素ダイオキシン類が焼成炉から排ガス中に含まれて排出する事が想定される事から排ガス処理の方法設備等について委託調査を行った処理方法は洗浄塔で排ガスとアルカリ性洗浄液を接触反応させて有害物質を捕集するもので設備費は次のような額となったエコレンガ 400t/ 月生産ベースを想定した場合 900m3 / 分排ガス処理設備設置に関わる必要経費 123,000 千円エコレンガ 100t/ 月生産ベースを想定した場合 300m3 / 分排ガス処理設備設置に関わる必要経費 60,000 千円なおいずれの算出においても有害物質除去効率は同程度とし次の値の範囲とした塩素 :86~91% 塩化水素 :86~91% フッ化水素 :90~95% またエコレンガの製造方式についてローラーキルンシャットルキルントンネルキルンの3 方式を検討した結果全ての方式で製造コストが185~190 円 / 個となり通常製品との競争力が無い事が判明したコスト上昇の原因は 1 焼却灰に多量の塩素を含みキルンの耐酸化改造が必要であり更に排ガスの洗浄設備も必要となってその設備費償却の割合が大きい 2 焼却灰に多量のカルシウムを含み焼成温度幅が著しく狭く通常のレンガのように積み重ねて焼くと下段部分に変形を起こし易いので荷重のかからない特殊な焼成方法を取る必要があり生産効率が下がる結果となった以上のような理由で品質的に規格を満足するレベルまで開発できたが製造コストの面で通常製品の2~3 倍割高となって競争力が無くなり企業化を断念した今後リサイクル商品として競争力を高めるためには焼却灰等の廃棄物を安全安価に供給できるように公共レベルでの無害化処理が望まれる以上

練馬清掃工場平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

練馬清掃工場平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7 練馬清掃工場平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7 4 周辺大気環境調査結果 8 5 試料採取日一覧 9 ( 参考 ) 測定項目及び測定箇所 10 ( 参考