平成 28 年度質の高いインフラシステム海外展開促進調査事業 ( ミャンマー等官民連携ファイナンス検討調査事業 ) 最終報告書 平成 29(2017) 年 2 月 受託者 : 株式会社日本総合研究所 協力会社 : 株式会社三井住友銀行 株式会社大和総研

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1 平成 28 年度質の高いインフラシステム海外展開促進調査事業 ( ミャンマー等官民連携ファイナンス検討調査事業 ) 最終報告書 平成 29(2017) 年 2 月 受託者 : 株式会社日本総合研究所 協力会社 : 株式会社三井住友銀行 株式会社大和総研

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3 目次 第 1 章序論 調査の背景 目的... 1 調査の方法... 2 調査実施体制... 2 調査スケジュール... 2 第 2 章ミャンマーにおける産業発展とインフラ整備 産業発展とインフラ整備の重要性 ミャンマー政府の経済政策とインフラ開発方針 現政権のインフラ整備方針 公的資金の制約による民間資金導入の必要性の裏付け 今後のインフラ整備の方向性 ミャンマーの資本市場を通じた資金調達の可能性 インフラ整備の現状整理 援助機関の援助方針と支援状況 民間資金の導入状況 第 3 章ミャンマー以外の諸外国の事例 フィリピンの官民連携 法制度 体制 ( 体系 法律 各種ガイドラインの内容 実施体制 ) 官民連携によるインフラ開発の動向 フィリピンの官民連携の発展経緯 現状を踏まえたミャンマーへの示唆 経済特区開発を含むタイのインフラ開発 法制度 体制 ( 体系 法律 各種ガイドラインの内容 実施体制 ) 官民連携によるインフラ開発の動向 資本市場及びインフラファンドを活用したインフラ開発事例 タイの官民連携 SEZ 開発の現状を踏まえたミャンマーへの示唆 カンボジア官民連携 カンボジアの概況とインフラ整備状況 法制度 体制 ( 体系 法律 各種ガイドラインの内容 実施体制 ) 官民連携によるインフラ開発の動向 カンボジアの官民連携の発展経緯 現状を踏まえたミャンマーへの示唆 第 4 章本調査のまとめ 参考インフラファンドとは... 65

4 図表リスト 図表 1-1 本事業の全体像... 1 図表 1-2 本調査の内容と方法... 2 図表 1-3 本調査の実施体制... 2 図表 2-1 ベトナムとミャンマーの 1 人当たり GDP の経年比較... 4 図表 2-2 ベトナムとミャンマーの正味外国投資流入量の経年比較... 4 図表 2-3 日本の国際協力機構 (JICA) によるミャンマーへの主なインフラ開発支援の具体的内容... 5 図表 2-4ADB によるミャンマーへの主なインフラ開発支援の具体的内容... 7 図表 2-5 WB グループによるミャンマーへの主なインフラ開発支援の具体的内容... 7 図表 2-6 国際ドナーの支援によるミャンマーの主要なインフラ開発計画文書... 8 図表 2-7 ミャンマー政権与党 (NLD:NATIONAL LEAGUE FOR DEMOCRACY) が 2015 年 11 月の総選挙で掲げた選挙公約のうち 経済 インフラに直接関連するもの... 9 図表 2-8 ミャンマー新政権の経済政策 (2016 年 7 月 29 日発表 ) 図表 2-9 ミャンマー新政権の投資政策 (2016 年 12 月 21 日発表 ) 図表 2-10 インフラ投資需要に関する過去の文献の比較 ( 単位 :10 億ドル ) 図表 年以降のミャンマーへの外国投資額の推移 ( 単位 :100 万ドル ) 図表 年以降のミャンマーの国内投資額の推移 ( 単位 :100 万ドル ) 図表 2-13 ヤンゴン証券取引所の上場企業 図表 2-14 世界銀行による対ミャンマー融資契約金額推移 ( 年度別 ) 図表 2-15 対ミャンマー貸付内訳 ( 案件数 ) 図表 2-16 対ミャンマー貸付内訳 ( 金額 ) 図表 2-17 対ミャンマー貸付金額内訳 ( インフラ案件のみ 分野別 ) 図表 2-18 我が国の対ミャンマー援助形態別実績 ( 年度別 ) 図表 2-19 主要ドナーの対ミャンマー経済協力実績 ( 支出総額ベース ) 図表 2-20 ミンジャンガス火力発電所案件の事業ストラクチャー 図表 3-1 国家事業向け PPP マニュアルの構成 図表 3-2 PPP センターの機能 図表 3-3 PPP センター組織図および 6 つの部署概要 図表 3-4 PPP 理事会構成メンバー (2017 年 1 月時点 ) 図表 3-5 PPP 事業のプロセス 図表 3-6 PPP プロジェクト概要 (2017 年 1 月時点 ) 図表 3-7 民間出資者が決まっている国家 PPP プロジェクト (2017 年 2 月時点 ) 図表 3-8 DANNG HARI ROAD PPP 事業の官民リスク分担 図表 3-9 PPP マスタープラン ( ) 図表 3-10 PISU ACT に従った PPP 事業のプロセス 図表 3-11 SEZ 開発地域 図表 3-12 SEZ 開発地域位置 図表 3-13 SEZ の推進スキーム 図表 3-14 SEZ の開発スキーム 図表 3-15 SEZ 開発の進捗状況 図表 3-16 SEZ への予算配分 図表 3-17 タイ SEZ と周辺国 図表 3-18 タイと周辺国の賃金比較 図表 3-19 アセアン 8 カ国のインフラ資金需要 ( ) 図表 3-20 タイのインフラファンドの制度概要 図表 3-21 タイの上場インフラファンドの概要 図表 3-22 BTSC の乗客数 運賃収入推移 ( 左 ) と 駅での風景 ( 右 ) 図表 3-23 現存するバンコクの大量輸送鉄道網と BTS SKY TRAIN( 深緑 浅緑 ) 路線 図表 3-24 カンボジア概要 (2016 年 ) 図表 3-25 ASEAN 諸国の GDP 成長率推移比較 図表 3-26 ASEAN 諸国の一人当たり GDP とインフラ整備状況 ( 注 1) の相関... 46

5 図表 3-27 改善された飲料水へのアクセス率 (2015 年 ) 図表 3-28 電気へのアクセス率 (2012 年 ) 図表 3-29 一人当たり電力消費量 (2013 年 )( 注 1) 図表 3-30 電力損失率 (2013 年 )( 注 2). 48 図表 3-31 各国における舗装道路と未舗装道路距離 (2014 年 )( 注 1) 図表 3-32 舗装されている道路の割合 (2014 年 )( 注 3) 図表 3-33 コンテナ数量図表 3-34 航空旅客数 図表 3-35 携帯電話契約数 (2015 年 ) 図表 3-36 固定電話契約数 (2015 年 ) 図表 3-37 カンボジアの対外債務残高推移 (2007~2015 年 ) 図表 3-38 各国におけるインフラへの公的資金流入額 (2001~2014 年 ) 図表 3-39 世界銀行による対カンボジア融資契約額の推移 図表 3-40 対カンボジア貸付内訳 ( 案件数 ) 図表 3-41 対カンボジア貸付内訳 ( 金額 ) 図表 3-42 対ミャンマー貸付金額内訳 ( インフラ案件のみ 分野別 ) 図表 3-43 我が国の対カンボジア援助形態別実績 ( 年度別 ) 図表 3-44 主要ドナーの対カンボジア経済協力実績 ( 支出総額ベース ) 図表 3-45 経済財政省内の体制 図表 3-46 直近 (IMMEDIATE) の政策措置で記載されている優先分野 図表 3-47 中期的 (MEDIUM-TERM) な政策措置で記載されている優先分野 図表 3-48 ADB による対カンボジア PPP 関連支援事業 図表参考 - 1 インフラファンド投資への投資金額 ( コミットメントベース ) 図表参考 - 2 インフラファンドの組成状況 ( コミットメントベース ) 図表参考 - 3 インフラファンド投資の地域別アロケーション ( コミットメントベース )(2015 年 6 月 ) 図表参考 - 4 アジア向けファンドの金額規模上位 5 ファンド 図表参考 - 5 インフラ分野別アロケーション 図表参考 - 6 インフラ投資 ( 再生可能エネルギーも含む ) の実施状況 図表参考 - 7 インフラ投資へのスタンス 図表参考 - 8 インフラ投資の種類 形態 ( 複数回答可 ) 図表参考 - 9 現在投資しているインフラ施設の種類 ( 複数回答可 ) 図表参考 - 10 インフラ投資の地域別選択状況 ( 複数回答可 ) 図表参考 - 11 為替リスクがヘッジできると仮定したときのインフラ投資の希望地域 ( 複数選択可 ) 図表参考 - 12 インフラ投資の際に重視する項目... 71

6 略語集 略語正式名称日本語訳 ABPIF AMATA B. GRIMM POWER POWER PLANT INFRASTRUCTURE FUND AMATA B. GRIMM POWER POWER PLANT INFRASTRUCTURE FUND ADB Asian Development Bank アジア開発銀行 AIIB Asian Infrastructure Investment Bank アジアインフラ投資銀行 BOI The Board of Investment of Thailand タイ投資委員会 BOT Build-Operate-Transfer 建設 運営 譲渡方式 BRT Bus Rapid Transit バス高速輸送システム BTSGIF BTS Rail Mass Transit Growth Infrastructure BTS Rail Mass Transit Growth Fund Infrastructure Fund CDC The Council for the Development of Cambodia カンボジア開発評議会 CEN Country Engagement Note カンボジア支援支援戦略 CIB Cambodia Investment Board カンボジア投資委員会 COBP Country Operations Business Plan Country Operations Business Plan CPF Country Partnership Framework 国別支援フレームワーク CPS The Country Partnership Strategy 国別支援戦略文書 DICA Directorate of Investment and Company 投資企業管理局 Administration DIF Digital Telecommunications Infrastructure Fund DOF Department of Finance 財務省 DOH Department of Health 保健省 DOTr Department of Transportation 運輸省 DPWH Department of Public Works and Highways 公共事業道路省 EGATIF NORTH BANGKOK POWER PLANT BLOCK 1 INFRASTRUCTURE FUND, ELECTRICITY GENERATING AUTHORITY OF THAILAND Digital Telecommunications Infrastructure Fund NORTH BANGKOK POWER PLANT BLOCK 1 INFRASTRUCTURE FUND, ELECTRICITY GENERATING AUTHORITY OF THAILAND F/S feasibility study 事業可能性調査 FIT Feed-in Tariff 固定価格買取制度 FMI Farst Myanmar Investment Farst Myanmar Investment 社 GATT General Agreement on Tariffs and Trade 関税及び貿易に関する一般協定 GPIF Government Pension Investment Fund, Japan 年金積立金管理運用独立行政法人 ICC Investment Coordination Committee 投資調整委員会 ICPS Interim Country Partnership Strategy 暫定国別支援戦略 IEAT Industrial Estate Authority of Thailand タイ工業団地公社 IFC International Finance Corporation 国際金融公社 IMF International Monetary Fund 国際通貨基金 IPP Independent Power Producer 独立系発電事業者 ITD Italian-Thai Development イタリアンタイディベロップメント社 JASIF JASMINE BROADBAND INTERNET JASMINE BROADBAND

7 INFRASTRUCTURE FUND INTERNET INFRASTRUCTURE FUND JBIC Japan Bank for International Cooperation 国際協力銀行 JETRO Japan External Trade Organization 日本貿易振興機構 JICA Japan international Cooperation Agency 国際協力機構 LLDC the Least among less Developed Countries 後発開発途上国 LNG Liquefied Natural Gas 液化天然ガス METI Ministry of Economy, Trade and Industry 経済産業省 MIC Myanmar Investment Commission ミャンマー投資委員会 MJTD Myanmar Japan Thilawa Development Ltd MJ ティラワ デベロップメント社 MOI Ministry of Interior 内務省 MOU Memorandum of Understanding 覚書 MSEC Myanmar Securities Exchange Centre ミャンマー証券取引センター MTSH Myanmar Thilawa SEZ Holdings Myanmar Thilawa SEZ Holdings 社 NAIA Ninoy Aquino International Airport ニノイアキノ国際空港 NLD National League for Democracy ミャンマー国民民主連盟 NEDA National Economic and Development Authority 国家経済開発庁 NESDB National Economic and Social Development Board タイ国家経済社会開発庁 NSDP National Strategic Dveloment Plan 国家開発計画 O&M Operation and Maintenance 維持管理 運用および整備 ODA Official Development Assistance 政府開発援助 OMERS Ontario Municipal Employee Retirement オンタリオ州公務員年金基金 ( カ System ナダの年金基金 ) PDF Project Development Fund Project Development Fund PDMF Project Development Monitoring Facility Project Development Monitoring Facility PISU Private Investments in State Undertakings 国家事業に対する民間投資 ( 新 PPP 法 ) PPA Power-Purchase Agreement 電力買取契約 PPP Public-Private Partnetship 官民連携 PQ Pre-Qualification 事前入札資格審査 SEPO State Enterprise Policy Office タイ国営企業政策局 SET The Stock Exchange of Thailand タイ証券取引所 SEZ Special Economic Zone 経済特区 UNESCAP United Nations Economic and Social Commission for Asia and the Pacific 国際連合アジア太平洋経済社会委員会 VFM Value For Money バリュー フォー マネー VGF Viability Gap Funding Viability Gap Funding WB World Bank 世界銀行 WBG World Bank Group 世界銀行グループ WTO World Trade Organization 世界貿易機関 YCDC Yangon City Development Committee ヤンゴン市開発委員会 YESB Yangon Electricity Supply Board ヤンゴン電力供給公社

8 第 1 章 1-1 序論 調査の背景 目的 2011 年の民主化以降 ミャンマーは急速な経済成長を成し遂げ これに伴うインフラ整備のニーズが増大している また 外国企業の進出や投資が拡大する中で 電力や交通網の整備はミャンマーのみならず我が国をはじめとする諸外国企業にとっても 同国で製造業をはじめとする事業を円滑に行うための喫緊の課題となっている 他方 ミャンマー政府は その財政状況が脆弱であるため インフラ整備に必要な資金を税収等による自己財源から拠出できない また 債務負担能力も不十分な状況にあるため 政府開発援助 (ODA) をはじめとする対外債務の受入れに対して多くの場合慎重なスタンスを保持している そのような状況において 今後のミャンマーの経済発展を実現していくうえでは インフラ整備が 製造業 中小企業 農業等の産業全体の発展にとっても また 国民生活の向上を含む国家全体の発展にとっても重要なものであることと 適切なインフラ整備を効果的かつ効率的に実施していくことが必要不可欠であることをミャンマー政府に対して示すことが必要である また 適切なインフラ整備を行うには ミャンマー政府による資金調達のみでは不十分な状況にある中 官民が連携して必要な資金調達のあり方を検討し 計画を策定していくことが必要である このため 平成 28 年度質の高いインフラシステム海外展開促進調査事業 ( ミャンマー等官民連携ファイナンス検討調査事業 ) ( 以下 本事業 という ) では 産業発展のためのインフラ整備の重要性を示すとともに インフラ整備に向けた官民の役割分担や官民連携のあり方などに関する調査分析を実施した また 国の経済発展度合いや地政学的位置等を考慮して 特にミャンマーと類似の特徴を持つ諸外国における官民連携のあり方についても 合わせて調査 考察した 図表 1-1 本事業の全体像 本事業の上位目標 産業発展のためのインフラ整備の重要性やインフラ整備に向けた官民連携のあり方等に対するミャンマー政府の基礎的な理解の獲得 本事業の目標 産業発展のためのインフラ整備の重要性に対するミャンマー政府の理解を促す情報を整理すること ミャンマー政府の対外債務の受入れに対する慎重な姿勢 民間企業のミャンマーでのインフラ投資におけるリスク忌避の姿勢を踏まえた 双方合意可能な官民連携のあり方を導出すること 出所 : 調査団作成 1

9 1-2 調査の方法 本調査は 既存資料等による文献調査 また関係者へのヒアリング調査により実施した 図表 1-2 本調査の内容と方法 調査内容 ミャンマーにおける産業発展とインフラ整備の重要性の整理 ミャンマーにおけるインフラ開発の現状整理 ミャンマー以外の諸外国の事例の分析 ( フィリピン タイ カンボジア ) ミャンマー等におけるインフラ開発の課題整理及び官民連携のあり方等の検討 方法 既存資料等による文献調査 国内有識者 援助機関 民間企業へのヒアリング調査 既存資料等による文献調査 援助機関 民間企業へのヒアリング 既存資料等による文献調査 援助機関 民間企業へのヒアリング 上記調査に基づく分析 検討 出所 : 調査団作成 1-3 調査実施体制 本調査は 株式会社日本総合研究所が受託し 一部の業務については株式会社三井住友銀行 株式会社大和総研が実施した 図表 1-3 本調査の実施体制 日本総合研究所 総括 ミャンマーにおけるインフラ開発の現状整理 ミャンマー等におけるインフラ開発の課題整理及び官民連携のあり方の検討 諸外国事例調査 ( タイ経済特区開発 ) 諸外国事例調査 ( カンボジア官民連携 ) 三井住友銀行 ミャンマー等におけるインフラ開発の課題整理及び官民連携のあり方の検討 諸外国事例調査 ( フィリピン官民連携 ) 大和総研 ミャンマーにおける産業発展とインフラ整備の重要性の整理 ミャンマー等におけるインフラ開発の課題整理及び官民連携のあり方の検討 出所 : 調査団作成 1-4 調査スケジュール 本調査は 2016 年 8 月から 2017 年 2 月まで実施した 2

10 第 2 章 ミャンマーにおける産業発展とインフラ整備 2-1 産業発展とインフラ整備の重要性 ミャンマーのような経済成長の端緒 途上にある国にとって その成長を維持 加速するための不可欠な前提が 各種のインフラの整備である インフラ整備の重要性については各所の発表や文献で言及されているが 改めて具体的にその効果 役割を考えることで ミャンマーにおけるインフラの重要性を再確認し 本報告中のこの後に続く議論の前提を明確にしたい まず インフラとは通常 発送電施設 道路 通信施設 上下水施設 灌漑設備 港湾 鉄道施設等の 公共性を有する資産及びそれを利用したサービスを指す これら公共財 サービスが中間財として利用できる利点には 大きく分けて 経済成長と国民の生活水準向上の二つの側面がある 経済成長への寄与では インフラの整備は生産性の向上とコストの削減をもたらす 電力の安定供給は機械化及び長時間の生産活動の継続を可能とし 道路 鉄道 港湾等の整備は輸送コストの削減をもたらす 通信環境の整備は 情報伝達の迅速化を通じて事業機会や収益の増大につながり 上下水道の整備は原材料としての水の確保や 衛生的で良好な生産環境の維持に寄与する もし これらのインフラ供給が不充分な場合 事業者は劣悪な生産条件を強いられるか 代替するサービスを 独自に かつ 多くの場合はより高価な支出を甘受して 購入せざるを得ない 例えば 不安定な電力供給は 自家発電機及びその燃料の購入 繊細な電子 / 電気設備への損害 非効率な人力作業への依存 生産の遅れによる事業機会の逸失等をもたらしうる 道路の未整備は 輸送時間の増大により人件費を伴う輸送費の上昇に繋がるほか 輸送品の損傷を引き起こす そして これらインフラ不足の影響は製造 運輸 サービス等の広範な産業分野に及ぶため 国全体で生産 サービスの停滞が引き起こされる 国民の所得及び生活水準に与えるインフラの影響もまた大である 電力は 電気器具の活用を通じて家庭内労働の軽減 活動時間の延長を促し 所得生産機会の増大をもたらす 衛生的な水の供給は生活用水の確保に要する時間と労力を大幅に削減し健康状態を改善するだけでなく 煮沸処理を不要とすることで熱エネルギーを節約する 発達した通信網や交通インフラは情報収集と活動範囲の拡大を通じて雇用 教育 健康等の増大に寄与し 間接的に個人の生産性の向上につながる 上記に挙げた様々な具体例は 現在進行形で実際にミャンマーだけでなく日本を含む多くの国々で観察される事実であり 産業発展と国民生活水準の向上にあたって各種インフラの整備が死活的に重要であることは論を待たない それでは ミャンマーのインフラはこれまでどのような発展経過を辿り 今後どのような開発方針のもとにあるのかを 次項以下で手短に論じたい ミャンマー政府の経済政策とインフラ開発方針 ミャンマーは 1962 年に発足した軍事政権の社会主義的な政策により 企業は国有化され 貿易 や投資が制限されるなど 特に外国との経済的交流が ほとんど遮断された状態が長らく続いた 1988 年になって 軍政は社会主義を放棄し 市場経済に復帰したものの 1990 年に実施された総選挙で軍事政権側が大敗し 選挙に圧勝したはずのアウンサンスーチー氏率いる民主化勢力への抑圧を開始した この動きは 欧米諸国を中心とした諸外国の経済制裁を招き それによって 外国との経済交流は再び停滞 ミャンマーが経済面で世界と再び本格的につながり 本格的な発展段階に入るには 2011 年の民主化を待たなければならなかった この長く孤立した政治 経済状態により ミャンマーは主に外国からの投資と国際市場の確保に苦しみ 結果として 資源 人口等の要素からは不釣り合いなほど 周辺国に比して経済的に遅れをとった その経過は 1990 年代当初ミャンマーとほぼ同程度の GDP/ 人であったベトナムが 1980 年代後半以降継続的に外国への経済開放を進め 外資導入を起爆剤として 2000 年代に急発展した姿を見れば特に明瞭となる 3

11 図表 2-1 ベトナムとミャンマーの 1 人当たり GDP の経年比較 出所 :IMF World EconomicOutlook データより調査団作成 図表 2-2 ベトナムとミャンマーの正味外国投資流入量の経年比較 注 1:(V) はベトナム (M) はミャンマーでの出来事を指す注 2: ベトナム ミャンマーの外国投資法改正はそれぞれ 2000 年 2012 年注 3: ミャンマーは WTO の前身である GATT に 1948 年に加盟済み出所 :ADB Key Indicators for Asia and Pacific (2007, 2012, 2016) データより調査団作成 4

12 この経済的停滞の間に ミャンマー国内のインフラ開発も当然ながら資金と技術の不足により停滞に陥った 工業団地は開発されたものの 電力や交通等の基本的な環境の整備は遅れ 周辺他国に見られる現代的な機能は実現しなかった 通信分野は軍事政権の厳しい管理 規制下に置かれて発展は阻害され 電話の普及率は固定 携帯とも 1% 程度にとどまった 鉄道や水道も当初の敷設以降は細々とした維持管理が行われるだけで 老朽化と性能の劣化が深刻化した その中で 経済制裁に苦しむミャンマーに対して数少ない支援者の一つが中国であった 1990 年代以降 急速に政治と経済で発展する中国は 資源調達経路及び調達源及としてミャンマーに着目し 資源開発や電源開発 各種の大規模なインフラ開発等に関与することになる この中国との蜜月の名残は 主要な幾つかの発電所 首都ネピドーの空港などに見ることができる 一方 インフラ開発資金不足の解決を目指して 官民連携の端緒とも言える事例も見られた 特に道路分野では 2012 年までに 85 路線 総延長約 1 万 km の主要道路が BOT(Build-Operate-Transfer) 方式で敷設 改良された 代表的なものには ヤンゴンとマンダレーを結ぶ幹線道路 マンダレーから中国国境のムセを結ぶ総延長約 460km の道路 タイ国境のミャワディに繋がる幹線道路などがある しかし その実態は不完全な事業計画と不透明な事業者選定に基づき かつ 事業リスクを民間事業者に一方的に負わせる強引な方式が採用されたため 民間事業者の自由で活発な参画を駆動力としたインフラ開発を促すものではなかった 2011 年 軍事政権を引き継いだテインセイン政権は 政治 経済面での大胆な改革を次々と実施し 国内市場の自由化と外国への経済の開放を全面的に推進した 民主化の推進することで欧米との関係を好転させ 2013 年 1 月には日本を含む主要債権国との間で約 60 億ドル ( 当時の為替レートで約 5,400 億円に相当 ) の債務免除を獲得し 外国や国際機関による新たな支援の受け入れに道筋を開いた この結果 インフラ開発の面でも 日本や各国政府 アジア開発銀行 (ADB) 世界銀行等から大量の資金支援と技術援助が流れ込んだ それら主要ドナーによる 2012 年以降のインフラ支援だけでも 以下の図表 2-3 に示す多くの例が挙げられる 図表 2-3 日本の国際協力機構 (JICA) によるミャンマーへの主なインフラ開発支援の具体的内容 (2012 年以降のみ 色付きは無償支援 ) 契約 分野 案件名 金額 ( 億円 ) 保健医療 中部地域保健施設整備計画 防災エーヤーワディ デルタ輪中堤復旧機材整備計画 水資源中央乾燥地村落給水計画 6.29 情報通信 通信網緊急改善計画 保健医療 病院医療機材整備計画 防災 気象観測装置整備計画 防災 第二次気象観測装置整備計画 2.31 水道 ヤンゴン市上水道施設緊急整備計画 道路 カレン州道路建設機材整備計画 7.59 水上交通 ヤンゴン市フェリー整備計画 空港 全国空港保安設備整備計画 情報通信 中央銀行業務 ICT システム整備計画 電力 バルーチャン第二水力発電所補修計画 電力 ガス インフラ緊急復旧改善事業 ( フェーズI) 電力 港湾 ティラワ地区インフラ開発事業 ( フェーズI) 電力 橋梁 道路 水道 貧困削減地方開発計画フェーズI

13 ( 通報 ) 保健医療 カヤー州ロイコー総合病院整備計画 保健医療 シャン州ラーショー総合病院整備計画 保健医療 ヤンゴン市内総合病院医療機材整備計画 9.78 橋梁 新タケタ橋建設計画 鉄道 鉄道中央監視システム及び保安機材整備計画 道路 ラカイン州道路建設機材整備計画 7.38 情報通信 通関電子化を通じたナショナル シングルウィンドウ構築及び税関近代化計画 鉄道 ヤンゴン マンダレー鉄道整備事業フェーズI( 第一期 ) 水道 ヤンゴン都市圏上水整備事業 道路 ティラワ地区インフラ開発事業フェーズⅡ 灌漑 バゴー地域西部灌漑開発事業 水資源 第二次中央乾燥地村落給水計画 水道 マンダレー市上水道整備計画 道路 カチン州及びチン州道路建設機材整備計画 情報通信 港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画 電力 ガス 全国基幹送変電設備整備事業フェーズⅠ 情報通信 通信網改善事業 電力 ヤンゴン配電網改善事業フェーズⅠ 電力 港湾 ティラワ地区インフラ開発事業フェーズI( 第二期 ) 鉄道 ヤンゴン環状鉄道改修事業 電力 全国基幹送変電設備整備事業フェーズⅡ 橋梁 東西経済回廊整備事業 保健医療 マグウェイ総合病院整備計画 水上交通 経済社会開発計画 ( ラカイン州における水上交通 ) 電力 地方主要都市配電網改善計画 橋梁 バゴー橋建設計画 鉄道 ヤンゴン マンダレー鉄道整備事業フェーズI( 第一期 ) 水道 ヤンゴン都市圏上水整備事業フェーズⅡ( 第一期 ) 電力 橋梁 道路 水道 貧困削減地方開発計画フェーズⅡ 上記無償案件総計 上記有償案件総計 3, 上記総計 4, 注 ) 具体的なインフラ施設の建設や関連物品の購入を伴う案件のみを抽出出所 :JICA 外務省発表資料 6

14 図表 2-4ADB によるミャンマーへの主なインフラ開発支援の具体的内容 拠出額案件分野案件名 ( 百万承認米ドル ) 2013 電力 Power Distribution Improvement 道路 Maubin-Phyapon Road Rehabilitation 道路 通信 Connectivity Infrastructure Development 通信 Nationwide Telecommunications Greater Mekong Subregion East-West Economic Corridor 道路 Eindu to Kawkareik Road Improvement 2015 水道 Mandalay Urban Services Improvement 電力 Power Transmission Improvement 電力 Myingyan Natural Gas Power 灌漑 Irrigated Agriculture Inclusive Development 上記総計 注 ) 具体的なインフラ施設の建設や関連物品の購入を伴う案件のみを抽出 出所 :ADB Web site ( 図表 2-5 WB グループによるミャンマーへの主なインフラ開発支援の具体的内容 ( 色付きは IFC による融資 / 出資案件 ) 承認 分野 案件名 拠出額 ( 百万米ドル ) 2012 電力 道路 水道 National Community Driven Development Project 電力 Electric Power Project 情報通信 Ooredoo Myanmar 電力 National Electrification Project 灌漑 Agricultural Development Support Project 電力 Myingyan IPP 港湾 Myanmar Port 情報通信 Irrawaddy Towers 上記総計 注 ) 具体的なインフラ施設の建設や関連物品の購入を伴う案件のみを抽出 出所 :WB web site( IFC web site( また この時期には インフラ自体の建設だけではなく 日本や国際機関による基礎調査や法制度等整備の面での支援により ミャンマーの将来の経済社会発展を見据えた電力 交通 エネルギー 都市インフラ等の各種インフラの総合開発計画が策定された 代表的なものには JICA の策定した電力マスタープラン 全国交通マスタープラン ヤンゴン都市圏交通マスタープランのほか ADB によるエネルギーマスタープラン WB の支援による全国電化計画等がある これらは 安定かつ安価な電力供給のための熱源構成 国内外との連結強化のための幹線道路網の特定とその整備の優先度の示唆等 インフラの種類に応じた改善指針を示しており テインセイン政権はそれらを参考として 2016 年以降の経済五カ年計画の策定を進めた 7

15 図表 2-6 国際ドナーの支援によるミャンマーの主要なインフラ開発計画文書 発表 分野 都市開発 電力 運輸交通 運輸交通 支援機関 JICA JICA JICA JICA 文書名称 ヤンゴン都市圏開発マスタープラン A Strategic Urban Development Plan of Greater Yangon 国家電力マスタープラン National Electricity Master Plan 全国交通運輸マスタープラン Myanmar s National Transport Master Plan ヤンゴン都市圏交通マスタープラン Yangon Urban Transport Master Plan 電力 WB National Electrification Plan エネルギー ADB Myanmar Energy Master Plan 主な提言 都心機能の同心円状の分散 南北緑地帯の保全 国内エネルギーの活用 発電エネルギー多様化 国土を東西南北に延びる幹線道路と 中国 タイとの接続道路の優先整備 ヤンゴンの都市交通を管轄する機関の新設 BRT(Bus Rapid Transit) の導入 電気料金の再検討 民間資金の導入促進 最大限の天然ガス活用 固体バイオマスエネルギー ( 木材等 ) の利用比率削減 再生可能エネルギーの利用推進 出所 :JICA ADB WB ミャンマー政府発表資料より調査団作成 しかし テインセイン政権の後半には インフラ需要の膨大さから 一旦解消された対外債務が再び数千億ドル規模で積み上がる懸念がミャンマー政府内で指摘された 2015 年 11 月の総選挙を前に 地方と都市との経済格差の拡大が政権与党の地方での集票力を弱める懸念があった等の事情により 都市部のインフラに集中しがちな外国からの支援の受け入れを躊躇する傾向が見られ始めた 上記のようなインフラ投資資金の不足に対する有力な解決手段の一つとして期待されたのが 官民連携 (PPP:Public-Private Partnetship) による民間資金の調達である それまでのミャンマーには 道路建設分野で先述の BOT のような官民連携事例は既に存在したほか 電力分野でも既存法律に従って民間事業者が参入する例は存在した ( 代表例 :2013 年に運転を開始した Ahlone 地区での Toyo-Thai による IPP 事業 ) しかし 事業破綻の際のミャンマー政府側の対応等 主要契約項目の内容が個別の案件交渉に依存して一貫性に欠けるうえ その記述も不明確であるなど 大規模投資としての予見性と透明性に乏しいことが民間銀行等からの資金調達を妨げ 結果として民間企業の参入 出資は活発とは言えなかった この事情を受けてテインセイン政権は 2014 年から ADB 等の国際機関の支援により 国際水準の官民連携制度の整備に着手した 電力開発分野におけるその最初の適用例となったのが ADB と IFC の支援による国際的な慣例に準じた入札手続き及び電力買い取り契約等を採用した ミンジャンのガス火力発電所の建設計画である この結果 2015 年末にはシンガポールの Sembcorp を中心とした企業連合が本案件を落札し 2016 年 3 月 29 日 ( テインセイン政権の最終日に該当 ) にはミャンマー政府との間で 22 年間の長期電力買い取り契約 (PPA:Power-Purchase Agreement) が締結された 8

16 しかし 上記制度の整備と普及の努力も膨大なインフラ需要の時間的な要請には到底追い付けず その一方で 民間経済は 2011 年の民主化以降は好調を継続して電力消費や自動車台数が急増したため ヤンゴンやマンダレーでは渋滞が深刻化したほか 国際的な支援などで一時は改善されつつあった電力事情も再び悪化し始めた そして 2015 年 11 月の総選挙では さらなる民主化を求める国民はアウンサンスーチーが率いる NLD(National League for Democracy) を圧倒的多数で選択した この結果 多くの課題を抱えたままの経済 インフラに関する政策の舵取りは 2016 年度以降 NLD 主導の新政権に引き継がれた 現政権のインフラ整備方針 2016 年 3 月末に発足した NLD を中心とするミャンマー新政権は 選挙マニフェストの中で経済への言及はしていたものの具体性を欠き 政権発足後も経済政策への関心が明確ではなかった 2016 年 7 月末になって アウンサンスーチー国家顧問から 12 項目の経済政策方針が発表されたが おおまかな原則的方針を示したのみで 個別具体的な開発計画や施策への言及はなく 国内外の経済界からは懸念の声が漏れた その後 同年 10 月後半にも 各国大使や主要財界人に向けて 経済政策への注力姿勢 主要財閥との和解 投資関連法制の改善等を強調し 同年 12 月後半には投資政策の概要を示した Investment Policy を発出した だが これら累次の発言や発表文書の内容には 新政権による一貫した考え方は示されているものの 独自の具体的な経済 / インフラ開発政策は未だに明示されておらず 国内外の経済界には更なる詳細の発表を求める声が強い 図表 2-7 ミャンマー政権与党 (NLD:National League for Democracy) が 2015 年 11 月の総選挙で掲げた選挙公約のうち 経済 インフラに直接関連するもの 4-i 経済 内容 1. 公共の金融制度を効果的に活用し 国家歳入の最大限の かつ 秩序立った徴収を 可能とするため 透明性があり 適正な財政支出を保証し かつ財務基準に沿った 公的財務管理制度を構築する a. 納税を通じて税制を支えたいという意欲が国民に芽生えるような 税の徴収制 度の整備を図る 税収の裾野を広げるために 税率を引き下げる また 秩序 立って かつ 法に従って 不動産およびその他の資産の売買益 もしくは譲 渡益からの税の徴収を行う 一般国民が税金の使途を把握できるよう 税制の 透明性を確保する b. 財政の中央集権的管理を低減させるために 財政問題に関する権限と責任を連 邦 州 / 管区政府の間で適切に分担させる 同時に 州 / 管区間での公平な財 政配分を確保するために対話を進める 2. a) 国家の発展に必要な資本 技術 資金の調達を可能にするための金融市場およ び金融機関の構築を奨励する b) 中央銀行に対して 真正なる独立権限を与える 通貨の安定 ならびに地場産 業の事業主 中小企業の事業主 起業家 および農家等の資本投資資金の融資 要請に応えられる金融制度の整備に尽力する 3. 国際的にも最高水準の外国投資をさらに呼び込むために 投資 被投資国の双方に とって持続可能な長期の互恵関係を実現する経済協力の道筋を整える この政策を通じて 我が国による国際市場への参入 より多くの雇用機会の創出 技術移転および労働者の技能向上という恩恵の享受が可能となる 4. 運輸 電化 および情報化を含めた効果的な基礎インフラを構築する 9

17 4-vii エネルギー 4-xii 都市 5. 現代的な農業部門の発展 農地をめぐる紛争の公正な解決 農地所有権の保証の確立 ならびに農地の保全と移転に関する法令 規則に則った透明性の向上に取り組む 農業部門および農村部の発展のために必要となる投入資材と資金が十分に入手できる仕組みを実現する 土地なし及び非定住労働者向けの生計支援プログラムが活用できる仕組みを整える 農業部門の発展を通じて 産業 サービス分野の発展と 輸出の増加を図る 6. 天然資源の採掘と利用を行う場合 環境および生態系の被害を回避するためのような適切手段を計画する 採掘プロジェクトは国民に周知され 透明性を伴って計画されるよう取り組む 上記のようなプロジェクトの収益が国の長期的発展の目的で利用されるよう 専用の基金を創設する ミャンマーは 多くのエネルギー源を有している i. 地下資源 (a. 石油 b. 天然ガス c. 石炭 ) ii. 水力 iii. 太陽光 iv. 風力 v. 地熱 vi. バイオガス vii. バイオ燃料 1. 地下資源には限りがあり かつ 程度の違いはあるにしろ環境に害を及ぼしうる 地下資源は最も活用しやすいエネルギー源だが有限であり それゆえ エネルギー政策を考えるにあたっては将来の世代を考慮することが重要である 2. 水力発電のために必要な大規模ダムの建設は 環境に深刻な害を与える ゆえに 水力発電には既存の水力発電設備を活用するほか より効率的な発電の実現のため 既存のダムの修理と維持管理を行う 3. 家庭用の発電目的には 太陽光 バイオガス 籾殻燃料 小規模水力発電のような小規模な民間エネルギー事業者の秩序だった発展を促す 4. 都市 農村を含む全土で電力供給を確立するよう尽力する 1. ヤンゴンやマンダレーのような大都市で できるだけ速やかに公共交通システムを発展させる 2. 現在破損状態にある 都市の既存の水道 電力 下水設備を刷新する 3. 樹木や植生破壊の問題に対応するため 都市の緑化プログラムをできるだけ速やかに確立する 4. 自然災害 経済的事情 および土地の接収により都市に流入してきた 定住先のない移住労働者の再定住プログラムをできるだけ速やかに確立する 5. 公共の娯楽 スポーツ 及び健康的な運動のために元々供されていた空間を再生させる出所 :NLD 2015 Election Manifesto を翻訳 図表 2-8 ミャンマー新政権の経済政策 (2016 年 7 月 29 日発表 ) 政策内容 1. 透明 良質 強靭な 公的金融監督機構により 財源を増やす 2. 公営事業をより成功裡に実施するため 民営化できる分野では民営化を行うほか 経済を向上させる中小企業を支援する 3. 現代的で発達した経済の構築に寄与する人材を育成するとともに 学術及び職業分野を多様化する 4. 電力 道路 港湾等のインフラ開発を優先的に行い データ ID カードシステム デジタル政府戦略 電子政府システムを設立する 10

18 5. ミャンマー国内に居住する または 外国から帰国するすべてのミャンマー国民のため雇用の機会を創出し 大規模な雇用を創出する事業に高い優先度を与える 6. あらゆる分野を進歩させ 食糧生産と輸出を増大させるために 農業と工業が均衡を維持し共に向上していく経済環境を確立する 市場経済の原則に従って 民間部門を改善するために別個に政策を策定するほか すべての 7. 国民に対して 望む事業を自由に行うことを認め 外国投資を増加させる また 著作権を 保護し 法の支配を維持する 8. 金融分野の安定を図るため 家計 農家 事業の長期的な発展を促す金融機構を活用する 9. 環境保護と共存する街を建設し 公共サービスを拡大し 公共施設を増やし 文化遺産を保護する 10. 国の税収増大のために効率的で公平な税制を確立し 法と手続きを制定することで市民権及び個人が資産を保有する権利を保護する 11. 革新と先進技術に関する能力を向上させるため 知的所有権を支援する技術と手続きを採用する 12. 偉大な知恵に基づいて産業を確立するために アセアン及び他地域において変動しやすい事業環境を見極める 出所 : 現地新聞 Mizzima 英語記事 (2016 年 7 月 30 日 ) より抜粋 翻訳 図表 2-9 ミャンマー新政権の投資政策 (2016 年 12 月 21 日発表 ) 政策内容 1. 責任ある 相互利益をもたらす外国投資は歓迎する 2. ミャンマー投資委員会 (MIC) 及び関連する政府機関は 透明 明確 迅速な手続きを通じて外国投資を必ず円滑にする 3. あらゆる投資家にとって円滑に機能する経済インフラを確立するため マクロ経済的な安定性 法の支配 信頼のおける紛争調停手続き 信頼できる金融機構への支援環境を整える 4. 国民の発展にとって外国投資は死活的に重要であるため 連邦共和国政府は以下を行う a. 国内と外国の企業を無差別に取扱う 予見可能な規制環境を確立する b. 論争の原因になりやすい接収措置から企業を保護する c. 税の支払い 及びその他の義務や支払義務を果たした後は 法に従った利益の移転やその他の帰還 送還の権利を保護する d. 承認された投資に対して 長期土地借用の権利を法に従って与える 5. 国内及び外国の投資家は 環境資源や自然資源に関する事項を含む責任ある投資及び事業行為の原則に 常に平等かつ無差別に従わなくてはならない 6. 外国人は 国家の安全保障や文化 社会事情に関わる特定の事業は行うことができない これらの制限された事業は 公的に実施される 7. 次に示す事業への投資を歓迎し 推奨する a. 生産性向上をもたらし付加価値の高い農業を基盤とした産業を支援する投資事業で 地域及び世界の供給網と連関したもの b. 技術移転と国内生産を可能とする投資事業 c. 中小企業の発展支援を可能にする投資事業 d. インフラの迅速な開発のための投資事業 e. 雇用の創出と 職業訓練 技能向上訓練 能力開発の提供を可能にする投資事業 f. 経済的に開発の遅れた地域での投資事業 g. 産業都市及び特別な経済的産業集積の開発を進める投資事業 h. 観光に関連する投資事業 出所 : ミャンマー政府発表資料 ( 11

19 また 新政権は環境社会配慮を重視し 大規模水力発電と石炭火力等化石燃料を熱源とする火力発電を避ける意向を選挙マニフェスト等で類似にわたって明確に表明している これは 前政権のもとで作成された電力開発マスタープランやエネルギーマスタープランに大幅な変更を迫るものであり エネルギー源の確保及びそのコスト負担等を大幅に再検討する必要が生じる 電力は ほぼあらゆる産業の機械化 効率化等に必須のインフラであるため 政権の理念を優先した方針変更に伴う電力開発の遅れは 具体的な経済政策の不在とあいまって 産業発展の障害となりかねない 現に 国内で最も先進的なインフラ設備を有し 販売が好調なティラワ経済特区 (SEZ) でも 高付加価値な輸出志向産業の進出が期待ほどでない大きな理由の一つとして 電力供給への不安が挙げられている その一方で 新政権の方針には堅実な側面もあり 各省庁の官僚をそのまま留任させて行政実務の連続性の確保を図り 前政権の国際合意に基づく経済政策やインフラ開発計画は 既出のティラワ開発やミンジャン発電所建設計画を含め おおむね踏襲されている インフラ投資を含めた投資環境整備に関する課題であった新投資法の制定と会社法の改正も前政権から引き継ぎ 2016 年 10 月には無事に新投資法が制定された また 前政権時代に一度中止となったヤンゴン地域の緊急電源整備計画を独自に修正して実施したり 前政権が消極的だったバゴー橋 ( 通称 ) の新規建設の円借款要請を決定したり 世界銀行の支援で LNG 受け入れ基地の調査を進めるなど 新政権独自の検討と判断に基づく個別案件も徐々にではあるが現れ始めている インフラ開発への民間資金導入についても 前政権の電力分野での取り組みを継続するだけでなく 新たな動きとして 2017 年 2 月に運輸交通分野での PPP に関する戦略 事業アドバイザリー契約を ADB との間で結んだ これにより今後 ADB は運輸交通分野において PPP 制度の整備のほか PPP 計画の立案 優先順位付け 事業者選定 資金調達等にわたって幅広く政府に助言する立場に立つ この契約に先立つ 2016 年 7 月に ADB が発表したミャンマーの運輸交通分野での Policy Note では 喫緊の優先案件として ヤンゴン環状線の改修 タイと中国へ繋がる幹線道路の改良 ヤンゴン-マンダレー間の高速道へのトラック乗り入れ許可 エーヤワディ川を利用した河川交通の活用等が挙げられており これらの内容が今後の運輸交通インフラ政策に反映されていくことが考えられる 公的資金の制約による民間資金導入の必要性の裏付け資金上の制約によりミャンマー政府が民間資金導入を進めていることは既に述べたが その必要性は過去の調査報告等の数字から客観的かつ明白に理解できる 2013 年に発行された McKinsey Global Institute の報告書 (Myanmar s moment: Unique Opportunities, major challenges) は 2010 年時点から起算して 2030 年までに ( 仮定 : 年 8% の GDP 成長の継続 ) ミャンマーのインフラ開発には不動産開発や行政 公共サービス等の制度インフラ整備も含めて総額で 3,200 億ドル規模の資金が必要であり うち都市部での電力 上下水道 道路 交通等の開発だけで約 300 億ドルが必要と試算した 2014 年には ADB が独自の試算結果を発表し (MYANMAR UNLOCKING THE POTENTIAL COUNTRY DIAGNOSTIC REPORT 2014) 2014 年から起算して 2030 年までに 電力 道路 鉄道 通信インフラの 4 分野での全土のインフラ開発で約 390 億ドル以上が必要と述べた ( 試算の仮定 : 運輸通信部門の平均 GDP 成長率が年 5% 発電設備部門の平均 GDP 成長率が 12%) 2016 年 7 月発表の ADB の運輸交通分野 Policy Note でも 運輸交通分野のインフラだけで全土で 億ドルが必要と試算されている そのほか インフラ需要の試算結果をいくつかの文献から抽出して比較すると 以下のようになる 12

20 電力 運輸交通全般 図表 2-10 インフラ投資需要に関する過去の文献の比較 ( 単位 :10 億ドル ) McKinsey 2013 ( ) 30 ( 都市部のみ ) ADB 2014 ( ) 低成長シナリオ JICA 2014E ( ) JICA2014TN ( ) ADB 2016 ( ) 通信 総需要額 39.1 ( 都市部のみ ) ( 電力のみ ) ( 交通のみ ) ( 交通のみ ) 年平均 需要額 ( 都市部のみ ) ( 電力のみ ) ( 交通のみ ) ( 交通のみ ) 出所 :McKinsey 2013: Myanmar s moment: Unique opportunities, major challenges (2013, McKinsey Global Institute), ADB 2014: Myanmar Unlocking the Potential (2014, ADB), JICA 2014E: National Electrification Master Plan (2014, Ministry of Electric Power), JICA 2014TN: ミャンマー国全国交通プログラム形成準備調査ファイナルレポート (2014, JICA, ADB 2016: Myanmar Transport Sector Policy Note(2016, ADB) これらの報告 分析はミャンマーの潜在的経済成長力やインフラ需要を各々個別に想定しているた め試算結果は異なるが その概算規模は概ね一致している その結果を見ると 電力 各種の運輸交 通 通信の主要インフラの開発だけでも 今後 2030 年までに総額約 400 億ドル ( 約 4-5 兆円 ) 相当 以上が必要であろうという点では 見解に大きな相違はないと思われる これは 2015 年のミャン マーの GDP 総額 ( 約 639 億ドル :IMF 統計 ) の 6 割以上に達する規模であり その負担の巨大さ が窺える この結果 今後 15 年程度にわたって年平均約 25 億ドル ( 約 3,000 億円相当 2015 年の ミャンマー GDP の約 4%) 程度以上のインフラ開発資金が最低限必要となるが 上記に示した JICA ADB WB の過去 5 年に渡る大規模なインフラ支援の総額でも総額約 60 億ドル 年平均で約 12 億 ドルにしか届かない 未だ脆弱なミャンマー政府の財政基盤を考えれば この従来以上の勢いで外国 支援が増加するとは考えにくく 結果 外国支援を含む公的資金だけでは 上記の各報告 分析が想 定する経済成長の潜在力は到底発揮できないことになる そこで 民間資金で残りの 13 億ドル / 年以上の投資を補えるのかを検証してみる DICA の発表し ている投資額の統計を見ると 外国投資が電力と交通運輸 通信だけで 2014/2015 年度に約 16 億ド ル 2015/2016 年度には約 23 億ドル 政権交代後の 2016/2017 年度も 22 億ドル以上を確保しつつ あり インフラ整備の代替財源となりうる規模を近年は安定的に維持している 一方で 国内投資を 見ると運輸 通信分野でそれなりの寄与はあるものの 電力や石油 ガス分野での貢献はほとんどな く 1 件あたり投資額も外国投資の数分の 1 程度にとどまる 実績のある分野の偏りやインフラに要 求される技術水準等を考え合わせても 今後大規模に推進されるべきインフラ開発の資金源としては 国内勢への不安は拭えない これだけの金額上の単純な比較検討からも ミャンマー経済の潜在力を 開花させるためには 外資を最大限に誘致 活用してインフラ資金の需給ギャップを埋めることが最 も有力かつ現実的な手段の一つであることがわかる 13

21 図表 年以降のミャンマーへの外国投資額の推移 ( 単位 :100 万ドル ) 2014/ / /17 (2016 年 12 月まで ) 総計製造業電力 運輸 通信 石油 ガス 不動産開発 その他 件数 金額 8, , , , 件平均 件数 金額 9, , , , 件平均 件数 金額 3, , 件平均 出所 :DICA ( 図表 年以降のミャンマーの国内投資額の推移 ( 単位 :100 万ドル ) 2014/ / /17 (2016 年 12 月まで ) 総計製造業電力 運輸 通信 ホテル 観光 不動産開発 その他 件数 金額 件平均 件数 金額 3, 件平均 件数 金額 件平均 出所 :DICA ( インフラ開発への外資導入を考えた場合の最近の大きな追い風は 米国によるミャンマーへの経済制裁が 2016 年 10 月に完全解除されたことである これまで インフラを含むミャンマーへの投資では 当該制裁措置が米国企業はもちろん日本を含む外国企業にとっても常に大きな不安要素であり 外国投資拡大の大きな障害となっていた この制裁解除措置を契機として 米企業をはじめ欧米諸国や日本によるミャンマーへのインフラ投資も加速するものと期待される 14

22 2-1-4 今後のインフラ整備の方向性 ここまで述べてきたとおり ミャンマー新政権のインフラ整備の方向性はまだ明示はされていないものの 2017 年 2 月上旬までの実態と各方面からの情報を総合すると 現時点では大きく以下の 4 点に集約されると考えられる 1 前政権時代の国際的合意に基づく主要なインフラ整備計画の踏襲 継続 2 政権の基本方針 公約に抵触する案件の修正 停止 3 政権が重要性を認めた案件の個別推進 検討 4 ADB 等の外国 国際機関の支援を活用した官民連携制度整備によるインフラ開発への民間資金の導入 今後も 明示的な開発方針の発表の有無にかかわらず 新政権による行政実績の蓄積につれてインフラ整備の方向性も自ずと明らかになっていくと思われる しかし ミャンマー政府がインフラ開発においてどのような方針を採用するにしろ 避けられない大きな課題の一つが先に述べた資金調達であることに疑いの余地はない 通常のインフラ建設資金を民間から調達する際の手法は 資本市場を活用するものと 民間からの投資を活用するものに大別される よって 次項ではまず 2016 年から本格的に始動したミャンマー資本市場を 今後のインフラ整備の資金源として活用する可能性について検討を試みる また 次節においてはミャンマーのインフラ開発の進展状況について情報を整理し 次章以降で展開される近隣他国のインフラ開発及び官民連携事例との比較材料とする ミャンマーの資本市場を通じた資金調達の可能性 日本におけるインフラ整備のための資金提供者は 商社を中心としたエクイティ ( 株式 ) 出資者や プロジェクト ファイナンス ( インフラ ( 直接 ) 融資 ) を中心とした大手銀行が主体となっている これらはインフラへの 直接 投融資を基本としている しかし 特に年金基金を中心とした機関投資家による投資形態は インフラへの 間接 投融資 すなわちインフラ事業の事業主体に対してデット ( 融資 / 債券 ) やエクイティにより資金供与を行うことを目的に設立されたインフラファンドへの投資が多い ( インフラファンドについては 巻末にて概要を記載する ) 本節では このような多様な投資家の存在を念頭に 資本市場が急速に整備されているミャンマーにおいて 現時点で ( もしくは近い将来 ) どのような民間資金活用の方策が考えられるのか検討する (1) ヤンゴン証券取引所の状況 2015 年 12 月にヤンゴン証券取引所が開設された 同取引所は 2012 年の大和総研 東京証券取引所 ( 現 日本取引所グループ ) ミャンマー中央銀行との覚書をもとに 開設準備が進められたものである ヤンゴン証券取引所では 第一号上場の First Myanmar Investment (FMI) 社 (2016 年 3 月上場 ) に続いて ティラワ経済特区のミャンマー側の出資主体である Myanmar Thilawa SEZ Holdings (MTSH)(2016 年 5 月上場 ) Myanmar Citizens Bank(2016 年 8 月上場 ) First Private Bank(2017 年 1 月上場 ) の 4 社が上場している インフラ開発主体の MTSH に注目すると その取引は活況を呈しており 時価総額 ( 上場株式数ベース ) は 1,712 億チャット ( 約 150 億円 ) 日々の売買代金は平均 1.5 億チャット ( 約 1500 万円 上場来平均 ) に達する (2017 年 1 月 20 日現在 ) このように インフラ開発のエクイティ投資主体として 証券取引所を通じて投資家を巻き込むことが可能になっている 15

23 図表 2-13 ヤンゴン証券取引所の上場企業 上場時期 時価総額 First Myanmar Investment (FMI) 2016 年 3 月 3,169 億チャット Myanmar Thilawa SEZ Holdings (MTSH) 2016 年 5 月 1,712 億チャット Myanmar Citizens Bank 2016 年 8 月 946 億チャット First Private Bank 2017 年 1 月 840 億チャット 出所 : ヤンゴン証券取引所 (2) 外国人投資家の参入課題 現在 ヤンゴン証券取引所の取引参加者はミャンマー国内投資家に限定されている その主たる理由はミャンマー会社法にある 同法によると 外国人投資家が 1 株でも保有すると当該企業は外国企業に分類され 各種制約を受けてしまう そこで 会社定款などで外国人による株式保有を禁じている企業が多い ミャンマー会社法は現在改訂作業中であり 2017 年 4 月を目標に新会社法が施行されると言われている 新会社法では ( 業種などに依存するものの )35% までであれば外国人が株式保有しても国内企業として定義される見通しである (2017 年 1 月 12 日付 Myanmar Times 紙 ) ヤンゴン証券取引所に外国人投資家が参加するためには 会社法改定後 関連法規取引所のルールなどの変更が求められるものの 近い将来 外国人投資家が参加可能となることが見込まれる (3) 取引所を通じた Exit プランの確立 ティラワ SEZ の開発主体である MTSH の上場は 初期投資家の株式持ち分の一部を売り出したものである すなわち 初期投資にかかる資本調達や 公募増資ではない それでも インフラプロジェクトの初期投資家に対して Exit プランを提供できることとなった点は高く評価できるだろう また インフラファンドに対してはブラウンフィールド案件を提供できるようになる点もメリットである ただし 上場においては 1 対象インフラが一定程度開発され 事業の予見性が高まること 2 事業実態を伴うもの ( テナントからの配当収入だけでは認められない ) などの条件をクリアすることが求められる点に留意が必要であろう (4) 債券発行による資金調達 なお債券発行の観点では ベンチマークたる国債の流通量増加が必要な状況である 1996 年の Myanma Security Exchange Centre (MSEC) の発足以降 国債売買が開始され 2011 年より ASEAN Bond Market Initiative の支援により国債市場は徐々に整備されているが 2016 年 9 月よりプライマリーのオークションマーケットが開始されたに過ぎず セカンダリーマーケットは流動性が乏しい 国債の流動性が高まった後の 次のステップとして地方債が検討されている 例えば ヤンゴン市開発委員会 (Yangon City Development Committee, YCDC) が起債する場合が想定される これと類似のケースとして 使途を限定した特別目的債といったアイデアもある 例えば ヤンゴン電力供給公社 (Yangon Electricity Supply Board, YESB) などによる起債である 国債に準じた信用力を保持する一方で 使途が特定されるため 国債への投資と比べてミャンマー人投資家から選好される可能性がある 海外での事例としては 日本の公営企業債 ( 水道事業や病院事業など ) や住民参加型市場公募債 ( 使途の特定の制約は存在しないが その多くが使途を特定することで住民の関心を高めている ) が挙げられる IFC が 2014 年 11 月に発行したインドのイ 16

24 ンフラ投資を目的とした債券発行や (100 億インドルピー 満期 10 年 格付け AAA) も同様のスキームと言えよう いずれも発行団体の信用力によって低利で記載できることが特徴である ミャンマーにおける社債やプロジェクトボンドの起債 流通は さらに後になってからの導入となる 社債発行を妨げる法令は存在しないものの 改正会社法においても債権者保護に関する規定が明記されていないため 債権者保護に関するルール作りが実務上求められる 加えて これらが広く流通するためには格付けの普及も求められよう 2-2 インフラ整備の現状整理 本項では ミャンマーにおける経済成長を維持 加速するための不可欠な前提である各種のインフラの整備の現状について概観する 援助機関の援助方針と支援状況 (1) 世界銀行グループ (World Bank Group; WBG) 世界銀行は 2015 年 ミャンマー向けの初の包括的な支援戦略として Country Partnership Framework ( 以下 CPF) を策定した CPF は世界銀行グループのグローバルな知識やファイナンス サービスが 如何に極度の貧困の削減や幅広い繁栄の共有 (shared prosperity) を通じてミャンマーとその国民に貢献するのかを述べたものであり 2015~2017 年の三ヵ年を対象年としている しかしこの対象期間は様々な状況により延長の可能性もある CPF では次の三つ 1 農村部における貧困削減 2 人々および人々のための効果的な組織への投資 そして 3 雇用創出のための民間セクターに対する支援 に焦点を当てている 世界銀行による対ミャンマー支援動向を見てみると 貸付金額の累計は 3,345 百万ドルである 2015 年には過去二年間を大きく上回る 700 百万ドルとなっている 案件の内訳を見てみると 件数ではこれまでに行われた貸付全体の半分強にあたる 29 件がインフラ関連案件 1 となっている 他方 貸付金額ベースで見ると 全体の 94% にあたる 3,156 百万ドルがインフラ関連案件となっており 世界銀行による対ミャンマー貸付はほとんどがインフラ案件に対して行われていることがわかる 図表 2-14 世界銀行による対ミャンマー融資契約金額推移 ( 年度別 ) 出所 : 世界銀行ウェブサイト国別ページ ( 注 )IBRD および IDA を含む世界銀行グループ全体としての貸付金額を示している 1 ここでは 世界銀行の案件区分を以下のように再区分している 1 Irrigation and Drainage および Other Water Supply, Sanitation and Waste Management 上下水 2 Energy Transmission and Distribution Thermal Power Generation および Other Renewable Energy 電力 3 Rural and Urban Roads 道路 4 Ports and Waterways 港湾 5 Railways 鉄道 6 Telecommjunications 通信 17

25 図表 2-15 対ミャンマー貸付内訳 ( 案件数 ) 図表 2-16 対ミャンマー貸付内訳 ( 金額 ) その他 24 45% インフラ関連 29 55% その他 % インフラ関連 3, % 単位 : 百万ドル 出所 : 左右いずれも 世界銀行ウェブサイト国別ページ ( を基に調査団作成 インフラ関連案件を更に詳細に分野別に見ると これまでに融資契約が締結された金額全体 (3,345 百万ドル ) のうち 35% にあたる 1,179 百万ドルが上下水分野に 次いで 31% にあたる 1,040 百万ドルが電力分野に その他 20% にあたる 680 百万ドルが道路分野の案件に対する貸付である この三分野で全体の 9 割弱を占めている 図表 2-17 対ミャンマー貸付金額内訳 ( インフラ案件のみ 分野別 ) ( 百万ドル ) 1,400 1,179 1,200 1,000 1, 上下水電力道路港湾鉄道通信 出所 : 世界銀行ウェブサイト国別ページ ( を基に調査団作成 18

26 (2) アジア開発銀行 (ADB) ADB は 1988 年以降ミャンマーに対する支援を中止していたが 2013 年に再開した 現在の対ミャンマー支援の中期的な目標として 持続可能で包括的な経済成長と貧困削減のための雇用創出の促進を掲げている ADB は支援の再開にあたり段階的支援拡充のアプローチを取るため Interim Country Partnership Strategy ( ) ( ICPS) を策定した これは ADB のミャンマーにおける活動のフレームワークを示したものであり 対象期間終了時点で国別パートナーシップ戦略を完成させるための検討プロセスを示したものであった なお その後 ミャンマー政府と ADB の間でこの ICPS の対象期間を 2016 年まで延長することが合意された ICPS ではミャンマー政府の開発目標における優先順位に沿った支援を実施すべく ADB による予備的なニーズアセスメントにより特定された重点分野 交通 エネルギー 農業および天然資源 教育 上下水道を含む農村開発といった重要課題に言及している 次期の ICPS は 2017~2021 年を対象としており 2017 年の早期に承認される見込みである この新 ICPS の策定に向けた中間的なステップとして ABD では 2017~2019 年を対象年とした Country Operations Business Plan ( COBP) を策定している COBP では ADB による今後の対ミャンマー支援の方針として 1 一部分野への集中的な予算配分 (2017~2019 年の予算の 85% 程度をインフラ分野 ( エネルギー 交通 農村開発および灌漑 ) に配分 ) 2 すべての取り組みにおける長期的なアプローチ の二点を示している PPP に関連した最新の動きとして ADB はミャンマーで民間資金を活用した PPP 方式による交通インフラ整備を推進することを発表している 2017 年 2 月 1 日 ADB は首都ネピドーでミャンマー国政府と運輸分野での PPP 事業に関する 戦略 事業アドバイザー 契約を調印した この契約により 今後 PPP 方式での交通インフラ整備は 政策策定から計画立案 事業者の選定 資金調達までを ADB が一括で政府に助言する 対象分野は都市交通 港湾 道路 および空港であり 総事業規模は 5 兆円程度に上る見通しと報道されている ADB は PPP を通じた民間企業のインフラ整備への参入を事業目標の一つに掲げている 主力の融資事業とは切り離して進め 助言したインフラ整備事業の資金の調達先はミャンマー政府が選ぶという ADB は事業主を選定する入札手続きで透明性 公平性を確保する考えで 質の高いインフラ整備を重視して参入企業に一定の技術力も求める方針である (3) 国際協力機構 (JICA) 我が国では 1954 年にミャンマーに対する経済協力を開始した その後 1988 年の民主化要求デモとその後のミャンマー国軍による政権の掌握等の政情に鑑み原則として経済協力を停止した その後一旦民生分野での経済協力を再開したものの 2003 年のアウン サン スー チー氏の自宅軟禁等を受けて大規模な支援事業を再停止するなどの紆余曲折を経て 2011 年に発足した前政権の民主化への取り組みを受け 2012 年 4 月に経済協力方針を変更し 円借款を含む本格的な支援が再開した ミャンマーが (1) 中国とインドの間に位置する地政学的に重要な国であること (2) 日本と歴史的友好関係を有すること (3) 豊富な天然資源を有し農業国であること (4) 民主化 国民和解に向けた動きが見られることなどから 同国が我が国にとっての重要なパートナーであるとの認識の下 JICA ではミャンマーに対する支援の基本方針を ミャンマーの民主化及び国民和解 持続的発展に向けて急速に進む同国の幅広い改革努力を後押しするため 引き続き進捗を見守りつつ これら改革の配当を広範な国民が実感できるよう取り組んでいく と設定している 上記基本方針のもと JICA では対ミャンマー支援の重点分野と各分野における目標を以下のとおり設定している インフラ分野については 目標 (3) 持続的経済成長のために必要なインフラや制度の整備等の支援 の中で 円借款を活用しつつエネルギーや交通網の整備を含むインフラ整備を促進していくこととしている 19

27 重点支援分野 (1) 国民の生活向上のための支援 ( 少数民族や貧困層支援 農業開発 地域の開発を含む ) 医療 保健 防災 農業等を中心に 少数民族や貧困層支援 農業開発 地域開発への支援を推進 ( 目標 ) 本年決定した 50 億円規模の支援を着実に実施し 今後も民生分野や少数民族に恩恵の及ぶ支援を推進 (2) 経済 社会を支える人材の能力向上や制度の整備のための支援 ( 民主化推進のための支援を含む ) 留学生 研修生の受入れ 教育支援等の人材育成 制度整備 運用能力の向上支援 ( 目標 ) 今後毎年 400 名規模の留学生 研修員を受入れ 引き続き人材育成を推進 (3) 持続的経済成長のために必要なインフラや制度の整備等の支援円借款も活用しつつ エネルギーや交通網の整備を含むインフラ整備等を促進 ( 目標 ) 今後円借款も活用したインフラ等の整備を推進出所 : 日本外務省 国別データブック 対ミャンマー経済協力方針 (2012 年 4 月公表 ) より転載 我が国の対ミャンマー援助形態別実績を見ると 2010 年以降は以下のようになっている 図表 2-18 我が国の対ミャンマー援助形態別実績 ( 年度別 ) ( 億円 ) 2,500 2,000 1,500 技術協力 無償資金協力 1,000 有償資金協力 出所 : 日本外務省 国別データブック より調査団作成 なお 他ドナーとの比較で見ると 対ミャンマー経済協力において日本は近年 第一位 或いは第二位の援助国となっている 特に 2013 年度にはその援助額を大幅に増やし 全体の 82% 以上を占める 5, 百万ドルを拠出している 国別に見た経済協力実績を以下に示す 20

28 図表 2-19 主要ドナーの対ミャンマー経済協力実績 ( 支出総額ベース ) ( 百万ドル ) 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 その他ノルウェーオーストラリア米国英国日本 出所 : 日本外務省 国別データブック より調査団作成 ( 単位 : 百万ドル ) 日本オースト英国金額 ( 順位 ) 割合ラリア 米国 ノルウェー その他 合計 (2) 20.1% (1) 18.4% (2) 16.4% (1) 26.7% ,331.77(1) 82.2% , 出所 : 日本外務省 国別データブック より調査団作成 民間資金の導入状況ミャンマーにおけるインフラ開発は 2011 年の民主化以降 ドナーからの資金支援によるものを中心に進んでいる 民間投資は 前項までに述べたとおり ミャンマー政府の経済政策 / インフラ開発方針が具体化されていないこと 民間事業者がミャンマーのカントリーリスクを忌避していることなどからあまり進んでいない 各セクターにおける主な民間資金の導入状況は以下のとおりである (1) 電力 エネルギー我が国企業を含む民間事業者が 電力 IPP 事業を検討していると報道されているが あまり進展はない かかる状況ながら 民間企業関係者の注目を集めた案件としては マンダレー管区ミンジャンに整備予定のガス火力発電所案件が挙げられる 本案件では IFC がミャンマー電力 エネルギー省に対するアドバイザーを務めた 2015 年 12 月に ミャンマー電力省 ( 当時 ) とシンガポールの Sembcrop Utilities Pte Ltd MMID Utilities Pte Ltd とが合意書に調印した ミャンマーにおいて 国際標準に基づく入札手続き 官民リスク分担に基づき進められる電力 IPP 事業の第一号案件とされている なお 報道によれば 本案件にはレンダーとしてアジアインフラ投資銀行 (AIIB) も参画していると言われているが 調査団が行った現地ヒアリングでは その参画形態について確認ができなかった 21

29 図表 2-20 ミンジャンガス火力発電所案件の事業ストラクチャー 電力 エネルギー省 コンセッション契約ガス供給契約 (Tolling) Electric Power Generation Enterprise 長期売電契約 (22 年間 /Take or Pay) MIGA PRI 保証 Sembcorp Utilities MMID Utilities 出資 Project Company 融資 IFC ADB 外資銀行 PRI 保証 MIGA/ADB 出所 : 調査団作成 ( 現地ヒアリング結果に基づく ) エネルギーの分野では LNG の導入が民間企業関係者の注目を集めている NLD 政権が大規模水力発電と石炭火力等化石燃料を熱源とする火力発電を避ける意向を選挙マニフェスト等で明確に表明していることを受けた動きである WB が電力 エネルギー省が特定した国内 3 箇所での LNG 受入基地整備の事業可能性調査 (F/S) を実施中とのことであり 調査団が現地調査を実施した 2016 年 10 月の時点で 12 月には報告書が発行される見込みとのことであった (2017 年 1 月現在報告書の発行は確認できていない ) (2) 運輸交通 ( 空港 港湾等 ) 空港分野では 2014 年 10 月に 日揮 ヨンナム ホールディング社 チャンギ企業連合が 建設 運営事業に係る優先交渉権を獲得したハンタワディ新国際空港案件がある 供用開始が当初予定の 2018 年から 2022 年に延期されたとの報道もあるが 引き続き同企業連合とミャンマー政府側が協議 交渉中と思われる 港湾分野では 日本の ODA 資金を活用して上下分離方式での整備 運営が進められているティラワ港が挙げられる 調査団が現地調査を実施した 2016 年 10 月の時点で 運営事業者の優先交渉権者が特定されている模様であった 22

30 第 3 章 3-1 ミャンマー以外の諸外国の事例 フィリピンの官民連携 法制度 体制 ( 体系 法律 各種ガイドラインの内容 実施体制 ) (1) 官民連携に関する法律 フィリピンでは エネルギー開発予算不足に伴い電源開発が進まないことに加えて 急速な電力需要の伸びに対応するため アジアでいち早く 1987 年に発電分野において民間参入を決定し それまで国営電力会社ナショナルパワーコーポレーション (National Power Corporation) が独占していた発電分野の民間参入を大統領令 ( Executive Order) 第 215 号にて規定した 次いで フィリピンにおける民間セクターのインフラプロジェクトへの投資を促進するために 1990 年にアジア圏で最初の Build-Operate-Transfer(BOT) 法 (Republic Act No.6957) が規定され 1994 年には 官民連携における各種規則の規定や Unsolicited Proposals( 事業者提案 ) の取り扱い等が定められた改正 BOT 法 (Republic Act No.7718) が規定された その後 2006 年には 官民連携の実施細則が定められた BOT-IRR(Implementing Rules & Regulations) が規定され 2012 年には同細則が改定 (Revised BOT-IRR) されている 現在のフィリピンにおける官民連携プロジェクトは 1994 年に改正された BOT 法および 2012 年に改定された改正 BOT 法実施細則 (Revised BOT-IRR) が法的根拠となっている なお 2014 年以降改正 BOT 法をさらに改正した Public-Private Partnership Act(PPP 法 ) の制定にむけての準備が進められてきたが 審議不十分につき廃案となった しかし フェリシアーノベルモンテ,Jr. 代議員 ( 下院 ) 議員が下院に対して PPP 法に関する法案 163 を 2016 年 6 月 30 日に提出したこと等 PPP 法制定に向けた動きは継続している状況にある 上記の法令を補完するガイドラインとして PPP センターは PPP Manual For NGAs( 国家事業向け PPP マニュアル ) PPP Manual for LGUs( 地方事業向け PPP マニュアルや セクターガイドライン等を公表しており PPP プロジェクト開発 入札プロセス リスク分担を始めとした 重要な事項に関する取組方針が示されている 例えば 国家事業向け PPP マニュアルの構成は図表 3-1 の通りである 図表 3-1 国家事業向け PPP マニュアルの構成 1.PPP 概要 PPP プロジェクトの認識 選定 優先順位付 準備 (1) 概要 (2) PPP プロジェクトの認識 選定 優先順位付 (3) プロジェクト準備 2. プロジェクトの入札および交渉 (1) 入札プロセスの概要 (2) PPP 契約設計 - 主要検討事項 (3) 交渉段階に至るまでのステップと課題 (4) 事業権取得者の付与と実行段階 (5) 事業者提案型プロジェクト (6) プロジェクトにおける主要な契約内容 3. 契約管理 (1) 契約管理 (2) モニタリングおよび評価 (3) 不可抗力等難しい契約項目の契約管理 4. 参考資料 出所 :PPP センター国家事業向け PPP マニュアルを参考に作成 23

31 (2) フィリピン官民連携監督機関および PPP プロジェクト承認機関 フィリピンにおける官民連携事業は 2010 年の大統領令第 8 号に基づき設立された Public-Private Partnership Center(PPP センター ) であり その機能および組織図は それぞれ図表 3-2 図表 3-3 の通りである PPP センターは 案件の形成および促進のための活動を 主に PPP 実行機関である省庁や地方政府向けに実施しており 民間セクターが PPP 案件を獲得することを対象としたサポートではない なお PPP センターの監督官庁は国家経済開発庁 (National Economic and Development Authority;NEDA) である これ以外の PPP 案件に関連する主要な政府関係機関は NEDA 傘下にあって 省庁横断組織の投資調整委員会 (Investment Coordination Committee(ICC)) があるが ICC は 個別のインフラ案件等の評価を実施する為に 当該事業を国家として費用負担する場合の国家財政への影響の検討等を行う この他には 政府保証や予算管理を行う財務省 (DOF:Department of Finance) や PPP 事業を実施する省庁 ( 例えば 公共事業道路省 ( DPWH:Department of Public Works and Highways) 運輸省 (DOTr:Department of Transportation)) 地方政府等が挙げられる 2013 年には 大統領令第 8 号の改正にあたる大統領令第 136 号が発行され PPP 理事会 (PPP Governing Board) が創設された PPP 理事会は PPP 事業が推進されるために PPP に関連する方針 政策を決定する機関であり PPP センターは PPP 理事会に対して業務報告をすることになっている PPP 理事会のメンバーは 大統領令第 136 号に定められ 図表 3-4 のとおり 省庁横断型のメンバー構成となっており PPP センターは PPP 理事会の事務局を務めている PPP 理事会にて承認された政策は 2017 年 1 月時点で 10 である ( 承認された政策の改定を除く ) が この中には 商業性が見込めない PPP プロジェクトにおいて Viability Gap Funding(VGF) の制度化を求める方針も示されている (Policy Circular No ) なお PPP センターの前身は 1993 年に Department of Trade and Industry( 貿易産業省 ) 内に設置された BOT センターであり BOT 事業の推進および各省庁 自治体に対して BOT 手法に関するキャパシティビルディングを実施していた PPP プロジェクトの承認官庁等は 一般的に プロジェクトの事業規模によって定められており 国家プロジェクト (National Projects) は 3 億ペソまでが ICC 3 億ペソ超は NEDA 理事会で承認され また 地方プロジェクト (Local Projects) は 2 億ペソ超は ICC であり 2 億ペソ以下では 事業規模に応じて承認する地方政府が異なっていることが 改正 BOT 法実施細則 2.6 に定められている 図表 3-2 PPP センターの機能 1 PPP 実行機関である省庁 ( 含む政府系企業 ) や地方政府に対し PPP 事業 プロジェクトが進捗するように支援実施 2 省庁や地方政府による PPP プロジェクトの準備や進捗のために必要なアドバイザリーサービス 技術支援 研修 能力強化機会を提供 3 PPP に関連する計画 方針 実行ガイドラインを省庁 地方政府 民間企業と協議の上 提言 4 省庁や地方政府が PPP 事業 プロジェクトを進めるために 政府が準備したファンドである Project Development and Monitoring Facility(PDMF) の運営 管理 PDMF はプレ F/S F/S 入札図書作成などを支援 5 省庁や地方政府それぞれが NEDA との連携の上で策定した重要度の高い PPP 事業 プロジェクト実施に関する管理および推進 6 PPP 事業 プロジェクトデータベースの構築 管理 7 PPP 事業プロセスの改善を提言および省庁や地方政府による PPP 事業への順守状況の管理 24

32 8 政府の PPP 事業 PPP プロジェクト実施状況を年末に大統領に報告する為の準備 9 その他 PPP プログラムや PPP プロジェクトが効率的に実施されるような事項について実施 出所 :PPP センター Web ページを参考に作成 図表 3-3 PPP センター組織図および 6 つの部署概要 Office of the Exective Director Corporate Planning & Development Division Project Development Service(PDS) Project development & Monitoring Service (PDMFS) Legal Service(LS) Administrative Service(AdS) Policy Formulation, Project Evaluation and Monitoring Service (PFPFMS) Capacity Building and Knowledge Management Service (CBKMS) 部署名 PDMFS PDS LS PFPFMS CBKMS AdS 業務概要 PDMF の運営 管理 PPP 事業を適切に進めるために省庁や地方政府等の実行機関を支援法務面における PPP 事業の支援や PPP に関連する法律 判例等のチェック PPP 制度の強化および PPP プロジェクト実施フェーズにおける技術支援等実行機関向けに PPP に関するキャパシティビルディングを実施 PPP センター内の管理業務出所 :PPP センター Web ページを参考に作成 図表 3-4 PPP 理事会構成メンバー (2017 年 1 月時点 ) 職位理事長副理事長理事 担当者 アーネスト ペルニャ国家経済開発長官カルロス ドミンゲス財務大臣ベンジャミン ディオクノ予算管理大臣ヴィタリアノ アギレ司法大臣ラモン ロペス貿易産業大臣サルバドール メディアルディア官房長官 ギレルモ ルス国家競争力評議会出所 :PPP センター Web ページを参考に作成 25

33 (3) PPP 事業として採り上げ可能な分野 PPP 事業として採り上げ可能な分野は改正 BOT 法実施細則 2.2 で定められており 民間事業者が参入できる分野は 幹線道路 鉄道 港湾 空港等の運輸分野 発電 送電 変電所 配電その他関連設備等の電力分野 通信ネットワーク設備 衛星通信施設およびサービス等の通信分野 データベースインフラを含めた情報技術分野に加えて 上下水道 教育施設 医療施設 工業団地 観光地での公益施設など多岐に渡る (4) PPP 事業の進め方 PPP 事業は 政府側が公募して事業者を選定する Solicited 型および事業者が政府に提案する Unsolicited 型に大別されるが これまでの PPP 事業の実績は Solicited 型の実績が多い Solicited 型プロジェクトの進め方については図表 3-5 の通りであるが 大きく分けて開発フェーズ 承認フェーズ 入札フェーズ ( 民間事業者との ) 連携フェーズの 4 つのフェーズに大別される 図表 3-5 PPP 事業のプロセス 開発 フェーズ プロジェクト実施機関によるプロジェクト計画 プロジェクト開発可能性調査 (F/S マーケットサウンディング等 ) プロジェクトストラクチャーの決定 承認 フェーズ NEDA-ICC に PPP プロジェクト提案を提出 PPP センターによる初期評価 その後 NEDA MOF 等による評価 ICC-Cabinet Committee にて案件承認 推薦 NEDA 理事会にて承認 (*)NEDA 理事会は 大統領が議長を務めており 事業認可の最終決定機関 入札 フェーズ 入札図書の準備 事前入札資格審査 (PQ)( 民間事業者は PQ 関する書面を提出 ) 及び入札 (PQ を通過した民間事業者は 実施機関と疑問点や主要条件に関する面談 (One on One Meetings ) を実施した後 ファイナンスを含めた提案を実施 ) 民間事業者に事業権を付与 連携 フェーズ 契約締結 ファイナンスクローズ プロジェクト履行 ( 詳細設計 建設 コミッショニング ( 検証 )) 事業実施機関から民間事業者に施設 / インフラ引き渡し 出所 :PPP センター Web ページを参考に作成 26

34 (5) フィリピン政府による PPP 事業に関連した主要な支援策 1 Project Development Monitoring Facility(PDMF) PPP センターは PPP 事業実施機関である省庁や地方政府が円滑に PPP 事業を進められるよう Project Development Monitoring Facility(PDMF) という支援メニューを用意している この支援策は PPP センターが設立された 2010 年の大統領令第 8 号にて制度化されており 2011 年から運用開始している 具体的には PPP 事業実施機関が PPP センターに PDMF 利用について申請し 許可が下りた案件については PPP センターがリスティングしている外部コンサルタントが PPP プロジェクトの開発段階 入札段階 民間事業者が事業権を取得した後の段階それぞれにおいて支援する格好である 外部コンサルタントは PPP 事業機関の申請に応じて プレ F/S F/S プロジェクトストラクチャリング 入札図書および契約書ドラフトの作成 応札者の評価を含めた入札プロセスサポート 民間事業者が事業権を取得した後の建設期間中における 民間事業者による PPP 実施機関への報告テンプレートおよびその内容の評価方法の作成等多岐に渡る支援を行う なお 2010 年の大統領令第 8 号の改訂にあたる 2013 年の大統領令 136 号にて PDMF の支援範囲が 民間事業者が事業権を取得した後までに拡大された PDMF のファンド規模は 運用が開始された 2011 年にはフィリピン政府が 700 万米ドル ADB 経由でオーストラリア政府が 600 万米ドルのファンド規模で開始されたが 2016 年 5 月時点では フィリピン政府が 8,000 万米ドル オーストラリア政府が 1,800 万米ドルを拠出しており 拡大傾向にある 利用状況については 2016 年 9 月時点でファンド総額のうち約 40% が利用されており セクター別では 運輸系が多い このファンドの特徴的な点は 一旦 PDMF が外部コンサルタント向けにコンサルタント費用を支払うものの 民間事業者が事業権を取得した後は 当該民間事業者が PDMF に対してコンサルタント料を支払う仕組みになっている点である このことから PDMF は Revolving fund と呼ばれている 2 Solicited 型プロセスによる政府支援 政府側が公募して事業者を選定する Solicited 型プロセスにおいては 政府による支援策が改正 BOT 法実施細則 13.3 に定められており その主な内容は以下の通りとなっているが これらに限られるものではない なお 政府支援の合計額は事業費の 50% を超えないように定められている ( ア ) Cost Sharing- コスト分担 : プロジェクトコストの 50% を上限として負担することが可能 なお その費用は政府が直接拠出する場合と ODA による拠出の場合 もしくはその両方により拠出される ( イ ) Credit Enhancements- 信用供与 : プロジェクトの信用を高める施策を採り 政府保証も含まれる ( ウ ) Direct Government Subsidy- 政府による直接補助金 : プロジェクト費用や運営維持費用の負担等 ( エ ) Direct Government Equity- 政府による直接出資 : プロジェクトカンパニーに直接キャッシュまたは資産で支援 ( オ ) Performance Undertaking- 能力保証 : 実施機関等がデフォルトした際の支払保証等 ( カ ) Legal Assistance- 法務支援 : 政府側の弁護士が法的支援実施 ( キ ) Security Assistance- 治安支援 : 建設が完了するまで警察や軍がプロジェクトサイトの警備協力を実施 なお Unsolicited 型プロジェクトの採り上げについては 改正 BOT 法実施細則 10.1 に規定されており 具体的には 当該プロジェクトが新しいコンセプトや技術を含んでおり 既存の優先プロジェクトリストに含まれていないこと 加えて 政府が直接保証せず 補助金 資本を供与しないプロジェクトであることが条件とされる 27

35 (6) PPP 事業推進に関連する 金融機関向け支援例 PPP 事業推進に当たっては 金融機関からの資金調達が重要であるが フィリピン中央銀行は 在フィリピンの金融機関向けに PPP 事業を対象とした与信について 与信制限の緩和等を実施している 主要な支援策は以下の通り 1 Amendment to Regulations on Single Borrower s Limit(Circular No 年 ) 元々 フィリピン中央銀行 (BSP:Bangko Sentral Ng Pilipinas) は 銀行破綻に繋がる恐れのある与信の 1 社集中を避けるため Manual of Regulations for Banks にて 在フィリピン金融機関による 1 社向け与信 ( ローン 保証他信用供与 ) 制限が当該金融機関の純資産 (Net Worth) の 25% と規定していた しかし フィリピン中央銀行は 金融機関による PPP 事業への与信拡大を企図し 2010 年 12 月 6 日付 Circular No700 にて PPP 事業に対する与信については 純資産の 25% を限度とした追加枠の設定を承認した これは PPP 事業を行う企業 1 社向け与信制限が 純資産の 50% 迄増加したことを意味している この措置は 当初 運用開始日から 3 年間限定で導入されたが Circular No779 にて 3 年間延長され 2016 年 12 月 28 日までとなった フィリピンでは この法令の再延長に関して注目が集まっていたが Circular No779 の期限通り 2016 年 12 月 28 日を以て失効した フィリピン中央銀行の金融委員会は PPP 事業の運営者にとって ローン以外の資金調達の選択肢が広がったと認識しており 延長は不要と判断した また 以下 2 に示している金融機関向けの制度緩和が 1 社与信制限緩和政策を終了させる一つの理由になったとも言われている 2 Amendment to Prudential Policy on Loans, Other Credit Accommodations, and Guarantees Granted to Directors, Officers, Stockholders, and their Related Interests(DOSRI), Subsidiaries and Affiliates (Circular No 年 ) フィリピン中央銀行は 在フィリピン金融機関による 自社の子会社および関連会社向け与信制限をを純資産の 10%( 無担保与信は 5% を上限 ) を上限と規定しているが フィリピン開発計画 (Philippine Development Plan) や国家公共投資プログラム (Public Investment Program of the National Government) に含まれるエネルギー分野や電力分野等特定の事業を運営する子会社および関連会社には 個別に純資産の 25%( 無担保与信は 12.5%) を上限として与信可能な規定となっている Circular No914 は 上記記載の特定の事業に PPP 事業が加えられた フィリピンの金融機関は SM インベストメンツコーポレーショングループの BDO ユニバンク GT キャピタルグループの Metropolitan Bank and Trust Co Ayala コーポレーションの Bank of the Philippine Islands など地場財閥のグループが運営しており これにより 財閥系企業の PPP 事業への更なる参画が想定される 官民連携によるインフラ開発の動向 (1) PPP 事業の現状 PPP センターが把握する PPP プロジェクト数は 2017 年 1 月時点で 61 件である そのうち 道路案件が最大の 12 件であり 次いで空港案件の 10 件 鉄道案件の 8 件と続いている 2016 年 12 月現在で民間事業者が決まっている国家 PPP プロジェクトは 15 件あり そのうち事業開始している案件は 4 件である 地方 PPP プロジェクトにおいて民間事業者が決まっているプロジェクトは僅か 1 件にとどまる 国家 PPP プロジェクトの事業権取得者は Ayala コーポレーション系 サンミゲルコーポレーション系 メガワイド系等のフィリピン地場大手企業であり 外資系企業にとって参画しにくい環境にある 外資系企業が参画している PPP プロジェクトは LRT1 号線案件における豪 マッコーリーグループ マクタンセブ国際空港案件におけるインド GMR 28

36 Infrastrucure Bulacan Bulk Water Supply プロジェクトにおける K-Water( 韓国水資源公社 ) が挙げられる なお 現在 外国企業が PPP 事業の事業権を取得できる比率は 40% が上限となっている PPP 事業の事業権取得者がフィリピン企業に偏っている背景には PPP 事業の多くは 通貨がフィリピンペソ建てであるということと フィリピンには 資本余力を持つ地場財閥企業が存在する事 および地場金融機関による現在の与信方針が挙げられる 具体的には 地場財閥企業が プロジェクトの交通量や乗客数等の需要リスクを含め PPP 事業において民間に寄せられているリスクを取る格好となっていること ( フィリピンの PPP 事業における官民のリスク分担例については 後述 ) に加えて 地場金融機関は PPP プロジェクトにおけるキャッシュフロー分析等をを実施した上でローンを提供するというよりは PPP 事業権取得者の信用力に基づき PPP 事業に対して長期間のローンを提供している 現在フィリピンは 資金流動性が高い状況にあり その背景には フィリピンの経済成長によって蓄積された預金に加えて 前々アロヨ政権 前アキノ政権におけるインフラ開発の遅滞に伴って発生した 金融機関による与信機会の低迷が一因と言われている また フィリピン中央銀行が金融機関向けに向けに実施した PPP 事業を担う事業者向けの与信上限の緩和施策等が実施された結果 フィリピン地場金融機関は PPP 事業に対して積極的にローンを供給出来る様になっており この結果 外国銀行だけでなく IFC( 国際金融公社 ) や ADB( アジア開発銀行 ) から見ても ローン面での参入障壁が非常に高い 以上を踏まえると 現在のフィリピン PPP 事業は 地場財閥企業が中心となって進められている 現在入札フェーズにある案件は 13 件あり その中には ニノイアキノ国際空港の Ninoy Aquino International Airport ( NAIA ) の民営化案件や 地方 5 空港 ( Bacolod-Silay,Davao,Iloilo,Laguindingan and New Bohol ) の O&M(Operation and Maintenance) 案件 LRT Line6 案件等の大型 PPP プロジェクトも列挙されており 民間出資者 プロセスを含めた今後の動向が注目されている PPP センターがリストする PPP プロジェクト概要及び 民間出資者が決まっている PPP プロジェクトは それぞれ図表 3-6 図表 3-7 の通り 図表 3-6 PPP プロジェクト概要 (2017 年 1 月時点 ) セクター プロジェクト数 プロジェクトコスト概算値 (10 億ペソ ) ( 判明している分のみ ) Transportation Rail( 鉄道 ) Transportation Airport( 空港 ) Transportation Port( 港湾 ) Transportation Others( その他 ) Highways( 幹線道路 ) Health( 医療 ) Education( 教育 ) Water( 水 ) Justice/Corrections( 拘置所等 ) Energy( 電力 エネルギー ) 2 TBD Information Technology(IT) Property Development( 不動産開発 ) 2 TBD Environmental( 環境 ) 1 TBD Agriculture( 農業 ) 1 TBD TOTAL( 合計 ) 61 1, 出所 :PPP センター Web ページ 29

37 図表 3-7 民間出資者が決まっている国家 PPP プロジェクト (2017 年 2 月時点 ) プロジェクトネーム Daang Hari-SLEX Link Road (Muntinlupa-Cavite Expressway) Project PPP for School Infrastructure Project (PSIP) Phase I Automatic Fare Collection System NAIA Expressway Project (Phase II) PPP for School Infrastructure Project (PSIP) Phase II Mactan-Cebu International Airport Passenger Terminal Building Metro Manila Skyway (MMS) Stage 3 ステータス オペレーション開始済 オペレーション開始済 オペレーション開始済 オペレーション開始済 プロジェクトコスト (*) (PHP) 民間事業者 2.2B Ayala Corporation 9.9B Consortium of BF Corporation-Riverbanks Development Corporation and Citicore Holdings Investment, Inc.-Megawide Construction Corporation 1.7B AF Consortium 17.9B 建設中 3.9B 建設中 17.5B 建設中 37.4B Optimal Infrastructure Development Corporation (SMC) Megawide and Consortium of BSP Co. Inc. and Vicente Lao Construction GMR Infrastructure and Megawide Consortium Citra Central Expressway Corporation (CCEC) (a group of San Miguel Corporation) Southwest Integrated Transport System (ITS) Project 建設中 2.5B MWM Terminals, a consortium of Megawide Construction Corp. and WM Property Management Inc. MRT Line 7 建設中 62.7B San Miguel Corp. (SMC) Bulacan Bulk Water Supply Project Civil Registry System Information Technology Project (Phase II) LRT Line 1 Cavite Extension and Operation & Maintenance 建設中 24.4B 建設中 1.6B 建設前 64.9B Cavite-Laguna Expressway 建設前 35.4B SMC K Water Consortium Consortium Members: San Miguel Holdings Corp. and Korea Water Resources Corporation Unisys Public Sector Services Corporation (Unisys) Light Rail Manila Corporation (consortium of Ayala Corporation, Metro Pacific Light Rail Corporation and Macquarie Infrastructure Holdings) MPCALA Holdings, Incorporated (a group of Metro Pacific Investments Corporation ) 30

38 South Integrated Transport System Project 建設前 5.2B Ayala Land Incorporated (ALI) NLEx-SLEx Connector Road 建設前 23.2B San Miguel Corp. (SMC) (*) プロジェクトコストは見込みを含む B は 10 億フィリピンペソ (2) フィリピン PPP 事業における課題 出所 :PPP センター Web ページ 現在のフィリピン PPP 事業における主な課題について フィリピン国内事業者 外資系事業者 政府系機関等にヒアリングした結果 主な課題は以下の通りと考えられる 1 PPP 事業における官民のリスク分担 現在のフィリピンの PPP 事業における官民のリスク分担は 民間事業者に負担が大きいアロケーションになっていると考えられ その中でもリスク分担において大きな論点になる内容の一つである 交通量や乗客数等の需要リスクについては 民間事業者が取る格好になっている このリスク分担により 外国企業や外国金融機関が PPP 事業に参入しにくい状況になっている 図表 3-8 は現在 アヤラコーポレーションが運営中である Daang Hari Road PPP 事業における官民リスク分担であるが 事業を推進する上での 主要リスクは民間事業者が負担する格好となっている なお 官が負担するとされるリスクについても 例えば政治リスクであったとしても 限定的な設計となっているようである 図表 3-8 Danng Hari Road PPP 事業の官民リスク分担 リスク民官補足 需要 ( 交通量 ) リスク 最低交通量保証は契約書に定められない 料金改定リスク 料金改定は契約書に定められる 資金調達リスク 民間事業者が長期資金の調達をアレンジ インフレ 為替変動リスク 民間事業者がアレンジ 土地収用リスク 官サイドが土地収用について責任持つ 設計 建設リスク 事業運営 メンテナンスリスク 民間事業者が管理 民間事業者が設計のクオリティ 建設プロセスを管理 政治リスク 官が管理できる内容については リスク低減実施 不可抗力リスク 官が取れないリスクについて 民間が保険に加入 コンセッション契約終了時の引き渡しリスク 条件は契約に定められる 出所 :National Governmental Agency Public-Private Partnership Manual Draft Version as of 4 August 2014 を参考に作成 これまでの PPP プロジェクトは 民間事業者にリスク負担が大きいプロジェクトが多い状況ではあるものの 地場財閥を中心としたフィリピン企業が入札に応札する為 結果的に入札が成立している状況にある フィリピンに限った話ではないと考えられるが この結果が リスク分 31

39 担の制度改善を阻害している一つの理由である しかしながら ドゥテルテ大統領が PPP 事業を推進していくという方針を掲げているため 現在入札フェーズにある PPP プロジェクト 検討段階にある PPP プロジェクトは順次進められていくと推察される この時 全ての PPP プロジェクトをフィリピン国内の事業者および金融機関で完結させていくことは必ずしも容易ではなく また ドゥテルテ大統領は 憲法に規定された 4 割の外資規制を 5 割に引き上げることについても言及していることから 外国企業へのフィリピン国内への投資期待は高まる状況にあり 結果として外国資本や外国の金融機関が参入しやすい官民リスク分担になってくることが期待される 2 PPP 事業の実施プロセスに時間がかかる フィリピンの PPP 事業は その制度設計やガイドラインは充実していると考えられるが 実際に事業を進める実行機関 承認機関である NEDA PPP 事業を推進する PPP センター等 何れの関係者のマンパワー キャパシティが不足していると言われている このような状況の中 日本政府はフィリピンに対して現在支援をしており 具体的には PPP 事業の案件組成 実施プロセスの改善を行う事を目的として JICA が包括的 PPP 能力強化プロジェクトを受託 DPWH( 公共事業道路省 ) DOTr( 運輸省 ) DOH( 保健省 ) 等に対して 能力向上を図っている ( 現在進行中 ) また PPP センターは PPP プロジェクトの迅速化を独自に進めようとしており 例えば 2 つの鉄道プロジェクトで 同じ駅を使用する場合 これまではそれぞれのプロジェクトを単体で評価していたが 関連付けて評価していくことや また 空港計画と道路計画を関連付けて進めていくことなどを通してプロジェクトを迅速化させることを検討している 3 政府による超法規的な接収リスク 当初 Ninoy Aquino International Airport の第 3 ターミナル建設 運営事業については PPP 事業として進められる予定であり ドイツ フランクフルト国際空港を運営する Fraport 社が 30% を出資する Philippine International Air Terminals Co. Inc.(PIATCO 社 ) が事業権を取得 建設が進められていたが その後フィリピン政府が接収 ( 契約破棄 ) した事例が過去にある PIATCO 社はこの事態を不服として訴訟に持ち込み 最終的には 最高裁判所が原告の主張を認め 政府に補償金支払いを命じたが この事案を切っ掛けとして フィリピン政府による接収リスクが顕在化した格好となっている フィリピンの官民連携の発展経緯 現状を踏まえたミャンマーへの示唆 フィリピンでは 同国における電力需要に対応するために 1987 年にアジアでいち早く発電分野において民間参入を決定した その後 民間セクターのインフラプロジェクトへの投資を促進する為に BOT 法が制定され その後 運用改善を図るために法改正 ガイドラインの制定 マニュアル整備 PPP 案件統括機関である PPP センターの設置等が進められてきた 現在では 更なる PPP 事業の発展の為 PPP 法の制定に向けた取組も進められている また フィリピン中央銀行は PPP 事業を推進するために金融機関向け規制緩和も進めてきた これまでのフィリピンにおける取り組みの結果 PPP センターが設置された 2010 年以降で 国家 PPP プロジェクトについては 15 案件において民間事業者が選定された フィリピンにおいて PPP 事業は着実に進んでいるものの 外国資本 外国金融機関が参入するには課題も散見される また PPP 事業そのもののスピード感が遅いという課題も残る しかしながら PPP 事業が制度化されていないミャンマーにおいては これまでのフィリピンにおける PPP 事業から学べる点が相応にあると考えられる ミャンマーにおいて フィリピンと同様の制度を短期間に導入していくことは困難が伴うと考えられるが フィリピン PPP 事業における以下の点がミャンマーにとり参考になるものと考えられる 32

40 (1) PPP 事業を推進させる為の法律 ガイドライン等の規定 ミャンマー PPP 事業を進めるために まずミャンマー国内における官民連携にかかる法律制定が重要になる 現在ミャンマーでは発電案件等で民間投資が進められているが 共通の枠組みに基づいた案件の進め方になっていないと言われている このような状況では 外資系企業だけでなく ミャンマー国内企業でさえ PPP 事業に参画しない 出来ない可能性があるので まずはミャンマー国内における PPP 事業の共通言語である法律 ガイドラインを制定したうえで事業運営を進めていくことが重要であると考えられる (2) PPP 案件統括機関である PPP センターの設置および情報公開の充実 ミャンマーにおいて PPP 事業を推進するために 統括機関である PPP センターを設置することが重要になる PPP センターを設置することで ミャンマーにおける PPP 案件の集約化が図られ また 専門家の育成に繋がると考えられる また PPP センターにて PPP プロジェクト PPP 事業を進める上での実施機関の運用方針を含めた PPP 事業に関連する情報を 国内外に適切に公開することで PPP 事業の透明性を確保していくことが重要であると考えられる (3) PPP 実施機関である省庁や地方政府等が PPP 事業を進めやすくするよう政府ファンド設定 ミャンマーで PPP 事業をいきなり進めようとしても PPP 実施機関である省庁や地方政府にノウハウがある訳ではない また 独自に予算を設けて外部コンサルタントを使える環境にない可能性もある 従って ミャンマー政府が PPP 実施機関に対し PPP 事業に関するノウハウを提供する機会および資金を提供する仕組みが必要と考えられる 具体的には フィリピンにおける PDMF のような外部コンサルタントを利用できるようなファンドをミャンマー政府として組成し 必要に応じて資金供給していくことが挙げられる (4) PPP 事業を担える民間事業者の育成 PPP 事業を進めるにあたり 官サイドのみの充実を図るだけでなく 民間事業者が PPP 事業に 資金面および事業面で参画できる環境を整えることが重要であると考えられる まずは ミャンマー国内の民間事業者の事業規模拡大をサポートするような政策や PPP 事業を担いたい民間事業者が出てきた時 支援体制を充実化させることが ミャンマーにおける PPP 事業推進に繋がるものと考えられる (5) PPP 事業を推進するための金融機関の運用改善および規制緩和 民間事業者が PPP 事業を推進可能な体制になったとしても 全ての PPP 事業をフルエクイティで進めていくことは資金的に困難である 現在のミャンマーの金融機関は 基本的に与信期間が 1 年未満とされているため 長期与信が出来るような金融機関の体制作りがまず第一に必要である ミャンマーの金融機関による 事業者向けの長期与信が供与可能になった後 PPP 事業推進の為に ミャンマーにも存在する金融機関による 1 社向け与信制限の緩和措置等の規制緩和をすることでより大きなプロジェクトを推進することに繋がると考えられる 以上の取り組みを進める事が まずはミャンマー国内の民間事業者及び金融機関が PPP 事業を推 進出来る体制を整えることに繋がり その体制構築に併せるように 外国資本 外国金融機関による PPP 事業参画を目指していくことが PPP 事業を進めていく上での一つの選択肢になると思われる なお PPP 制度の体制構築を図る上で IFC や ADB の国際機関によるサポートを始め 日本をは じめとした各国が提供する借款資金を利用していくことや また ミャンマーで PPP 事業に対し て民間事業者 ( 金融機関含む ) からの資金投下を促進させるために IFC や ADB などの出資 融資 機能を活用すること ミャンマー政府による確りとしたサポートも重要になってくると考えられる 33

41 3-2 経済特区開発を含むタイのインフラ開発 法制度 体制 ( 体系 法律 各種ガイドラインの内容 実施体制 ) (1) 官民連携に関する法律 タイでは 1992 年に官民共同によるインフラ整備を目的とする法律 (The Act of Private Participation in State Undertakin; 旧 PPP 法 ) が制定されている しかし旧 PPP 法では 官民連携によるインフラ整備のルールの設定において不十分であり より民間投資の呼び込みを促すため 2013 年 4 月に The Private Investments in State Undertakings Act( 新 PPP 法以下 PSIU Act) が制定された (2) タイ官民連携監督機関及び PPP プロジェクト承認機関 PSIU Act の下での 各種ガイドラインの制定 PPP 推進プランの策定のため SEPO(State Enterprise Policy Office: タイ国営企業政策局 ) が設立された PSIU Act では 5 年間の PPP 事業の計画 (PPP マスタープラン ) を立案することとなっており ( 現在は 2015~2019 年の期間 ) その中で PPP 事業の種類 優先順位などが定められている SEPO は タイ政府内に設置された PPP 政策委員会と共同でマスタープランを作成する また 具体的な対象事業の選定は SEPO と PPP 政策委員会により行われている (3) PPP 事業として採り上げ可能な分野 PPP マスタープラン では 20 の事業が定められており そのうち 6 事業は Opt-Out ( 原則的に PPP を採用する事業 ) 14 事業は Opt-In(PPP が奨励される事業 ) となっている 従来はプロジェクトが計画された段階で まず政府内で財務省に申請し 予算がなければ PPP を検討という流れであったが Opt-Out に該当するプロジェクトでは まず PPP スキームでの実施が可能であるが VFM アセスメントを行い VFM が出ない ( または民間投資が期待できない ) となった場合に従来方式になるというプロセスを構築している 図表 3-9 PPP マスタープラン ( ) Opt-Out ( 必須事業 ) 1) 都市内公共交通 2) 都市内有料道路 3) 物流港 4) 高速鉄道 5) 通信ネットワーク 6) ブロードバンドインターネット Opt-In ( 奨励事業 ) 1) 都市間有料道路 2) 貨物鉄道駅 3) 発券システム 4) 空港 5) 浄水場管理 6) 灌漑システム 7) ごみ処理システム 8) 教育インフラ 9) 病院 公衆衛生 10) 薬品 医療機器 11) 科学技術インフラ 12) 電子商取引関連インフラ 13) コンベンションセンター 14) 障碍者 高齢者 貧困者支援出所 :SEPO ヒアリングをもとに作成 34

42 (4) PPP 事業の進め方 PPP 事業は 50 億バーツ以上の大規模事業 10 億 ~50 億バーツの中規模事業 10 億バーツ未満の小規模事業に分類される このうち大規模事業については PISU Act に従った事業プロセスで進められるが 中規模事業 小規模事業については簡略化された手続をとる PISU Act に従った PPP 事業のプロセスを以下に示す 図表 3-10 PISU Act に従った PPP 事業のプロセス 開発 フェーズ 事業実施機関によるプロジェクト計画 コンサルタントによるプロジェクト評価 承認 フェーズ 管轄大臣による審査 (60 日以内 ) SEPO による指摘 ( 計画の変更 情報の追加等 ) および審査 ( 指摘機関 30 日以内 審査 60 日以内 ) PPP 政策委員会による審査 (60 日以内 ) により承認 ( 政府支出がある場合 ) 内閣の承認 入札 フェーズ 選定委員会 ( 事業実施機関 SEPO 予算局 法務局 ) による審査 実績 担当者の経歴などの評価 価格入札 内閣の承認 出所 : 調査団作成 (5) タイ政府による PPP 事業に関連した支援策 Project Development Fund (PDF) ストラテジックプラン策定 事業評価のためのコンサルティング費用のためのファンドが存在する ただし 支援先は SEPO PPP 政策委員会などの政府機関に対してである (6) PPP 事業推進に関連する 金融機関向け支援例 特に存在しない 官民連携によるインフラ開発の動向 (1) SEZ( 経済特別区 ) 開発の現状 2015 年タイ政府は 国境付近での大規模な SEZ( 経済特別区 ) 開発計画を発表した 内容は 国境近くの 10 ヵ所を指定し それぞれの地域に特定の産業分野を集積するよう 民間投資に対するインセンティブを定めたものである SEZ に指定された 10 ヵ所の地域は タイ国内と周辺各国を結ぶ経済回廊沿いに位置し 地方部における経済発展が期待されている それぞれの地域には NC-SEZ(SEZ 開発委員会 ) によって定められた SEZ に集積を目指す 13 の産業分野が割り振られている SEZ を担当する政府機関である NESDB( 国会経済社会開発庁 ) によると SEZ 開発の目的は SEZ 整備による地方部の産業振興と タイ国内の中小企業の振興にある 35

43 地域名称 面積 (km 2 ) 農水産加工 図表 3-11 SEZ 開発地域 集積を目指す産業分野 ( 印が当該地域に設定された産業 ) セラミック 衣料皮革 家具製造 宝石 医療機 貴金属 器 自動車エンシ ン部品 電化製品 フ ラスティ医薬品物流ック製品 1 Tak 1, Mukdahan Sa Koeo Trat Songkhla Nong Khai Narathiwat 上記に加え BOI が適当であると認めた産業 8 Chiang Rai 1, Nokorn Phanom Kanchanaburi 出所 :NESDB 資料をもとに作成 工業団地 観光リソ ート 図表 3-12 SEZ 開発地域位置 ミャンマー 8 ラオス ベトナム ダウェー 1 タイ カンボジア 出所 :NESDB 資料をもとに作成 36

44 (2) SEZ 開発 推進のスキーム SEZ の開発は NESDB の主導で実施されている SEZ 開発のため NC-SEZ(SEZ 開発委員会 ) を設置し その中の 6 つの小委員会 (Sub Committee) が個別課題に対し検討を行っている 小委員会には 関係する政府機関から人員が派遣されている SEZ の開発に関する意思決定は NC-SEZ が行っており 内閣に上申し承認されることで正式決定される SEZ の土地は基本的には政府所有であり MOI( 内務省 ) が管轄している 進出する企業には 50 年リースで提供しており 場合によっては 50 年以上のリースも可能としている IEAT( タイ工業団地公社 ) も開発主体として参加している地域もある Cabinet ( 内閣 ) 図表 3-13 SEZ の推進スキーム 上申 承認 設置 NESDB ( 国会経済社会開発庁 ) <Sub Committee> 各省庁から参加 NC-SEZ (SEZ 開発委員会 ) Privilege One Stop Service (Labor) Infrastucture Customs Checkpoint Land Aquisition Marketing Promotion Steering the Development インセンティブの付与労働環境インフラ 税関の整備土地収用マーケティンク フ ロモーション SEZ 開発推進出所 :NESDB 資料 ヒアリングをもとに作成 図表 3-14 SEZ の開発スキーム < 政府 > < 開発主体 > MOI( 内務省 ) 買収 所有 開発用地 リース (50 年 ) 民間企業 IEAT ( タイ工業団地公社 ) 出所 :NESDB ヒアリングをもとに作成 37

45 (3) SEZ 開発と PPP 法との関係 PPP マスタープラン には SEZ は含まれていないが SEZ 開発に PPP を適用することは不可能ではない ただし 現時点で PPP スキームが適用されている SEZ の地域は存在していない (4) SEZ 開発におけるインセンティブ SEZ に投資する民間企業には 以下のような優遇措置が図られることとなっている 1 BOI( タイ投資委員会 ) によるインセンティブ NC-SEZ によって定められた 13 の産業分野に該当する開発行為を行った企業に関しては 以下の優遇措置がある 8 年間の法人税免除 上記に加えその後の 5 年間は 50% の法人税の控除 2 13 の産業分野以外の産業へのインセンティブ NC-SEZ によって定められた 13 の産業分野以外の開発行為を行った企業に関しては 以下の優遇措置がある 10 年間 10~20% の法人税の控除 1,000 万バーツ以上の資産を SEZ に所有している企業に対し 保税倉庫の資産の評価を 500~1,000 万バーツ減免する 3 金融的インセンティブ進出企業への融資に関し EXIM Bank( タイ輸出入銀行 ) は以下の最優遇貸出金利を適用する 15 年返済の融資に対し 1 年目 2.5% 2~8 年目 1.5% 9~15 年目 1.0% の金利を適用する (5) SEZ 開発の進捗 各 SEZ 開発の進捗は 図表 3-15 のとおりである NESDB へのヒアリングによると 先行して実施される地域のうち Sa Kaeo は IEAT が環境影響評価を完了し 2016 年に造成開始 Trat は 1 社が事業提案を実施中 Mukdahan と Nongkhai はデベロッパーの選定過程となっている 図表 3-15 SEZ 開発の進捗状況 事業ステータス インセンティフ 投資向け人材用地域名称 SEZ の主要産業ワンストッフ 土地収用インフラ工事ワンストッフ 指定の指定サーヒ スサーヒ ス 民間投資 1Tak 2Mukdahan 3Sa Koeo 4Trat 5Songkhla 6Nong Khai 7Narathiwat - - 8Chiang Rai - 9Nakorn Phanom Kanchanaburi - : 開始 -: 未着手 出所 :NESDB 資料をもとに作成 38

46 国の予算配分は 国境の拠点整備とインフラ整備への投資が中心となっている 進出候補企業のニーズとしてインフラ整備が重要となっており 2016 年はインフラ整備の中でも交通インフラへの投資がほとんどである (NESDB へのヒアリングによる ) 図表 3-16 SEZ への予算配分 インフラ税関整国境の拠工業団地貿易推水供給公衆衛生都市計画雇用その他整備備点整備整備進 2015 年 36% 50% 13% 1% 2016 年 61% 18% 5% 16% 2017 年 42% 24% 20% 6% 4% 3% 1% 出所 :NESDB 資料をもとに作成 (6) SEZ 開発における課題 タイ SEZ における主な課題について タイ国内事業者 外資系事業者 政府系機関等にヒアリングした結果 主な課題は以下の通りと考えられる 1 国境に隣接する他国の SEZ との役割分担 タイ周辺各国 ( カンボジア ラオス ミャンマー ) は タイ国境付近にタイ SEZ と同様の経済特区を整備し既に稼働している ( 図表 3-17) 周辺国の SEZ は タイの人件費高騰や人で不足を背景に 労働集約型を中心とした産業構成としており タイとのサプライチェーンを構築するいわゆる タイ プラスワン の動きの中で整備されてきたものである 今回タイが国境近くに SEZ を整備するにあたっては 隣接する他国 SEZ との役割分担を明確化する必要がある タイは 周辺国に比べ最低賃金が高いため ( 図表 3-18) タイ SEZ に周辺国 SEZ と同じ産業を誘致しても 民間企業は人件費の高いタイ SEZ に進出しないものと考えられる また タイ国が SEZ 内で働く外国人向けの最低賃金を設定した場合 周辺国の SEZ の空洞化を招き 現在相互補完的な経済関係にある ASEAN 各国との経済関係に悪影響を及ぼす可能性がある したがって タイ SEZ には 隣接する他国 SEZ に立地する産業と関係の深い産業 ( サプライチェーンによって連結される産業 ) を集積し 周辺国との経済的な連携を継続している取組みが必要である 図表 3-17 タイ SEZ と周辺国 チェンコン ミヤワディー ビエンチャン ラオス ベトナム タケク ダウェー タイ サバナケット ティキ ポイペト カンボジア コッコン 出所 : 各国資料をもとに作成 39

47 図表 3-18 タイと周辺国の賃金比較 ( 単位 : 米ドル ) タイ ( バンコク ) カンボジア ( プノンペン ) ミャンマー ( ヤンゴン ) ラオス ( ビエンチャン ) ワーカー ( 一般工職 )( 月額 ) エンジニア ( 中堅技術者 )( 月額 ) 中間管理職 ( 課長クラス )( 月額 ) 1, ,003 出所 : アジア オセアニア進出日系企業実態調査 (2015 年 10~11 月 JETRO 実施 ) JETRO 投資コスト比較より 2 地価の上昇 SEZ の計画が発表されて以降 SEZ の対象となった地域の地価が上昇している タイ国内の民間企業の中には 工業団地の整備を検討していたが 地下が 20% 近く上昇したため進出を断念したという企業もある 国境近くに SEZ を整備する理由の一つには タイ国内のなかでも人件費や地価が安いという理由もあるものと考えられる 政府が早めに土地を確保する等 地価の上昇を抑制する政策をとる必要がある 3 人材の確保 タイに進出しているいくつかの日系企業によると タイでは技術者の地位が日本と比べ高くなく また 大卒の優秀な人材はバンコクに就職先を求める傾向にある タイ SEZ は 地方部において産業拠点を集積する計画となっており 優秀な技術系人材の確保が必須となる しかし 現在のタイではバンコクから離れた地域で優秀な人材を確保することは難しく 人材育成 処遇 周辺国との連携など含めた総合的な対策が必要である 資本市場及びインフラファンドを活用したインフラ開発事例 タイのインフラ開発において注目されるのが 自国の金融市場を活用した資金調達 特に 広く民間投資家から安定した資金調達を実現しているインフラファンドの存在である 2 タイでは既に 2013 年に最初のインフラファンドが設立され 2017 年 1 月時点では交通 通信 電力の 3 分野で 5 つのインフラファンドが設立 上場済みである ここでは それらの発展の背景と実態 及びミャンマーへの示唆を 現地取材の事例を交えて簡潔に紹介したい タイは 1980 年代から 2000 年代にかけ アジア通貨危機やリーマンショックを含めても実質 GDP 成長が単純平均で 5.5% となるなど 安定した経済成長を実現した しかし これに伴って交通インフラの整備 ( バンコクは 2015 年の道路混雑度で世界第 2 位 3) や電力の安定供給維持に大規模な投資が必要となり その額は 2010 年から 2020 年までの間に約 1,729 億ドルにのぼると試算された ( 図表 3-19) また タイ政府が 2014 年に発表したインフラ開発マスタープラン (Infrastructure Development Master Plan ) では 主要都市間接続鉄道 幹線道路網整備 バンコクの大量旅客輸送システム 空港容量拡張 港湾整備の 5 本柱のもと 年にかけて交通分野だけでで総額約 516 億ドルの投資が必要と試算されている 2 インフラファンド一般の説明については 本報告末尾の インフラファンドとは を参照 /#239c4aa55f06 40

48 図表 3-19 アセアン 8 カ国のインフラ資金需要 ( ) インフラ投資需要 (10 億ドル ) 各国対 GDP 比 % (2008 年基準 ) アセアン下記 8 カ国総計 1, Indonesia Malaysia Thailand Philippines Vietnam Myanmar Cambodia Lao PDR 出所 :Estimating Demand for Infrastructure in Energy, Transport, Telecommunications, Water and Sanitation in Asia and the Pacific (ADB Institute,2010) 国民の生活水準向上に不可欠なこれらのインフラに要する膨大な資金を調達するにあたり 公的債務に依存しない 国内インフラ開発のための新たな資金源を提供する 幅広い裾野の投資家 ( 機関 個人 ) に新たな投資形態を提供するという複数の狙いを同時に実現するためタイ政府が企画したのが 資本市場へのインフラファンドの導入である こうして 2013 年にタイ初のインフラファンドである BTSGIF が組成 上場されて以降 2017 年までに総計 5 つのインフラファンドが上場している その制度と上場ファンドの要点を 図表 3-20 図表 3-21 に示す 図表 3-20 タイのインフラファンドの制度概要 項目 (10 種を指定 ) 投資対象インフラ (10 種を指定 ) 税制上の恩典 投資対象プロジェクトの性質に応じた制約 出資制限 大量旅客輸送鉄道発電所有料 / 高速道路通信空港深海港水道代替エネルギー水道管理 / 灌漑自然災害防止機構 ファンド自体は法人税を免除される 個人投資家 ( 外国人を含む ) への配当課税は 10 年間免除される未稼働 (Green Field) のプロジェクトへの投資額がファンドの純資産の 30% 以下 上場を義務づけ 30% 超 一定条件下で上場可だが 機関投資家のみ出資が可能 単一投資家による出資口保有比率の上限は 1/3 外資による出資口保有比率上限は ファンドごとに異なる出所 :SET (Stock Exchange of Thailand) website 41

49 図表 3-21 タイの上場インフラファンドの概要 BTSGIF DIF (TRUEIF) JASIF ABPIF EGATIF 投資分野交通情報通信情報通信電力電力 筆頭持分所有者 主要収益源 資産 BTS Group Holdings (33.33%) バンコクの BTS Sky Train の運賃収入 TRUE Corporation (28.11%) 通信塔 光ファイバーケーブル等の使用料収入 Jasmine International (33.33%) 光ファイバーケーブルの使用料収入 AMATA B.Grimm Power (29.97%) アマタナコン工業団地内の発電所の売電収入 Electricity Generation Authority of Thailand (25.00%) バンコク北側にある 670MW 発電所の売電収入 取引開始 Apr 2013 Dec 2013 Feb 2015 Sep 2013 Jul 2015 時価総額 (10 億タイバーツ ) 外国人持分上限 (%) 外国人持分 (%) % 100.0% 49.0% 19.7 (2016 Oct.11) (2016 Oct.11) (2016 Mar.3) 0.34 (2016 Oct.11) 0.17 (2016 Oct.11) 注 ) 筆頭持分所有者 時価総額情報は 2016 年 10 月 31 日のもの出所 :BTSGIF General Presentation 資料 4 SET website タイ証券取引所への現地での聞き取りによれば 外国人投資家は金額規模の大きなファンドを好む 傾向があり 結果として 時価総額の小さな電力系ファンドの外国人持ち分は非常に小さいとのこと だった また どのファンドを見ても外国人の持ち分は 2 割を下回っており 国内投資家による出 資意欲が旺盛であることが窺える その要因として 通貨危機の苦い記憶を持つタイの投資家が為替 リスクに無縁な国内投資を選好する傾向の存在が 現地の聞き取りでは指摘された 上記の代表例として 最初に組成された BTSGIF(BTS Rail Mass Transit Growth Infrastructure Fund) の概要について短く言及したい このファンドはバンコク中心部の民営高架鉄道 (BTS Sky Train) の事業者 BTSC に出資する交通系インフラファンドである 経済成長と都市化の進展により悪化したバンコク市内の交通事情を背景に BTSC はその 1999 年 12 月の開業以来 世界金融危機の発生した 年を含め 運賃収入と乗客数の堅実な伸びを示してきた ( 図表 3-22 参照 ) BTSGIF が出資した 2013 年以降も BTSC の鉄道事業は堅調な業績を示し インフラ事業特有の安定性という強み ( 巻末 インフラファンドとは を参照 ) 為替リスクに無縁である 乗客数/ 運賃収入の増加を万人が実感として理解できる 等の要因もあって 長期安定収入を求める国内投資家 ( 年金機関 保険会社等 ) はもちろん 個人投資家の間でも BTSGIF の人気は非常に高いとのことである 今後も バンコクの鉄道延伸計画 ( 図表 3-22 参照 ) とそれに伴う沿線人口の増加を主な根拠として運賃収入の安定的な増加が予想されることから 突発的事態がない限り BTSGIF は引き続き魅力的な投資先として バンコクの旅客交通インフラを支え続けると思われる

50 図表 3-22 BTSC の乗客数 運賃収入推移 ( 左 ) と 駅での風景 ( 右 ) 出所 :BTSGIF General Presentation 資料 3( 左 ) 調査団撮影 ( 右 :2016 年 10 月 ) メコン地域全般で経済成長 / 都市化が進行する中 地域経済を牽引するタイにおいて インフラファンドの組成がインフラ開発 運営への民間資金導入に有効であると証明されたことは 追随する周辺国にも大きな示唆を与える 例えば BTSGIF の資金規模は約 20 億ドル (2016 年 10 月時点の時価総額と為替レートに基づく ) であり ADB と WB が 2012 年以降にミャンマーに供与した主要なインフラ支援の総額 ( 図表 2-4 図表 2-5) に匹敵する事実は 資金不足に悩むミャンマーが選びうる方向性を提示している 特に BTSGIF の事例は 急発展する大都市での大量輸輸送手段の整備という広い文脈上 現在進行中のヤンゴンの交通改善事業と共通した課題 / 期待される成果を持つため ヤンゴン近郊鉄道事業への民間資金導入を検討するにあたって貴重な比較実績を提供できるだろう のみならず BTSGIF の成功を経験したタイ等の外国投資家を対象として 類似した投資機会が見込まれるヤンゴン近郊鉄道への投資を勧誘するという戦略的な選択肢も考えられるのではないだろうか ただし ここで決して忘れてはいけないのは タイでのインフラファンドの成功の背景には 長年の安定政治の下での工業化 経済成長により大規模な資金が民間部門に蓄積された 1962 年に証券取引所が開設されて以来の資本市場整備の歴史があった 資本市場を通じた資金調達が国内経済界に浸透していた等 タイの官民の継続的で地道な努力の成果があったという事実である ゆえに今後のミャンマーでは 民間資金の蓄積に向けて まずは官民一体で経済の成長に努める必要があることは言うまでもない 加えて インフラ等の重要な経済社会基盤への民間資本の導入手段となる資本市場の重要性をミャンマー政府が改めて認識し その整備を強力かつ迅速に PPP 制度の整備と並行して推進するよう期待したい 43

51 図表 3-23 現存するバンコクの大量輸送鉄道網と BTS Sky Train( 深緑 浅緑 ) 路線 バンコク中心部 スワンナプーム国際空港 注 )BTS は深緑路線が南北 浅緑路線が西に延伸される予定 ( 延伸部の運行開始 : 年 ) 出所 :BTSGIF General Presentation 資料 3 に調査団加筆 タイの官民連携 SEZ 開発の現状を踏まえたミャンマーへの示唆 タイの PPP 制度は 民間投資を促進することを目的とするものであるが 対象とする事業のうち PPP が必須であるものは 物流 人流の交通セクターと通信ネットワークである PPP が推奨される事業の中にも工業団地の運営等 SEZ に関連するものはなく また実際 現在計画されている 10 ヵ所の SEZ の中で PPP スキームを適用する予定があるところはない したがって ミャンマーでの開発において参考となる事例は SEZ の計画 開発であると考えられる タイ SEZ は 2015 年に計画が発表されたもので 現在企業の進出 稼働に向けた取り組みを行っているところであり 計画 実施段階での課題が明らかになっており その意味でミャンマーに対しても有効な示唆となり得るものと考えられる (1) 政策目的の明確化 SEZ 整備の目的が 地方部における産業振興であるのか 外資の導入による国内の経済発展であるのかによって必要な施策が異なる 今回 タイ政府機関へのヒアリングにより SEZ の目的が 国内中小企業と地方部の産業振興であることが明らかになった したがって 高度な技術を要する外国資本の誘致を行うのではなく 国内企業でも対応が可能な 13 産業分野に対し 特にインセンティブを設けている 44

52 (2) 重点課題への対応 SEZ に対する政府予算の多くはインフラ整備であり その多くは SEZ へのアクセス道路の整備である 進出を検討している企業の大きな関心事は インフラの整備状況であり その中でも都市部や港湾へのアクセス道路の整備は重要な事項である 交通インフラの整備については 政府主導で行うべきものであり これはミャンマーの事例においても同様である また 適切な情報発信 人材確保に関する対応についても 政府が主導して行うことが重要である (3) 各省間の調整 SEZ のような複数の省庁横断で取り組む必要があるプロジェクトを実施するためには 省庁間の綿密な連携と 異なる利害関係を調整する機能が必要である タイ SEZ では NC-SEZ のもと個別課題に対応する 6 つの Sub Committee に 関係する省庁から人材が供給されている 個別の課題に対しては NC-SEZ のリーダーシップのもと行われていると考えられるが 権限と責任を与えられた政策調整官の設置がより有効であると考えられる 3-3 カンボジア官民連携 カンボジアの概況とインフラ整備状況 カンボジアは ASEAN 加盟国の一つで 地理的にはタイとベトナムの間に位置する 人口 1,600 万人弱と小国ながら GDP 成長率は周辺国と同程度に高水準を維持している 同国は南部経済回廊の通り道でもあり いわゆる タイ プラスワン の流れの中で 製造業企業にとっての進出先として成長が期待されている 図表 3-24 カンボジア概要 (2016 年 ) 項目データ人口 1,582.7 万人 GDP( 名目 ) 億米ドル GDP 成長率 7.0% 一人当たり GDP 1,228 米ドル ( 注 1) 人口は中位推計のデータを使用 ( 注 2) 名目 GDP GDP 成長率 一人当たり GDP は推計値 出所 :IMF World Economic Outlook, October 2016 及び国際連合 World Population Prospects, The 2015 Revision 45

53 インフラ整備状況指数 (%) 図表 3-25 ASEAN 諸国の GDP 成長率推移比較 ( 注 ) カンボジア ラオスは 2014 年以降 その他の国は 2016 年以降のデータは IMF 推計値 出所 :IMF World Economic Outlook, October ミャンマー ラオス カンホ シ ア フィリヒ ン ヘ トナム イント ネシア マレーシア タイ まず統計データから 他 ASEAN 諸国と比較しつつ カンボジアにおけるインフラ整備状況を見ていく 一人当たり GDP と World Economic Forum が独自に算出したインフラ整備状況を示す指数 ( 注 1) の相関は図表 3-25 に示すとおりであり 両者は凡そ比例関係にあることがわかる カンボジアは他 ASEAN 諸国と比較していずれも低い数値となっている 図表 3-26 ASEAN 諸国の一人当たり GDP とインフラ整備状況 ( 注 1) の相関 6 マレーシア 5 イント ネシアヘ トナム 4 フィリヒ ンカンホ シ ア 3 ラオス タイ ,000 4,000 6,000 8,000 10,000 一人当たりGDP( ドル ) 出所 :IMF World Economic Outlook, October 2016 および World Economic Forum "The Global Competitiveness Report " ( 注 1)World Economic Forum が 交通インフラと電力 通信インフラについてそれぞれ複数評価項目を設定し 独自に算出した指数 数値が大きいほど インフラ分野における国際競争力が高いことを示す ( 注 2) ミャンマーはインフラ整備状況指数の算出結果なし 46

54 分野別に見ると 上水については カンボジアでは都市部では改善された飲料水へのアクセス率は 100% となっている しかし 農村部では他 ASEAN 諸国と比較しても低い 70% 以下となっており 地方における上水システムの整備が都市部と比較して遅れていることがわかる ミャンマーも同じく 農村部でのアクセス率が都市部と比較して低くなっている (%) 図表 3-27 改善された飲料水へのアクセス率 (2015 年 ) カンホ シ アミャンマーイント ネシアマレーシアフィリヒ ンタイヘ トナムラオス日本 ( 左 : 都市部 右 : 農村部 ) (%) 100 出所 : 世界銀行 "World Development Indicators" ( 注 ) 改善された飲料水にアクセスできている人口の割合を示す カンホ シ アミャンマーイント ネシアマレーシアフィリヒ ンタイヘ トナムラオス日本 電力についても カンボジア ミャンマー共に 特に農村部でのアクセス率が極めて低くなっている 特にカンボジアでは農村部における電力へのアクセス率は 20% をきっており 農村部においては大部分の人々に電力インフラが行き届いていないことがわかる (%) 図表 3-28 電気へのアクセス率 (2012 年 ) ( 左 : 都市部 右 : 農村部 ) カンホ シ アミャンマーイント ネシアマレーシアフィリヒ ンタイヘ トナムラオス日本 (%) 100 出所 : 世界銀行 "World Development Indicators" ( 注 ) 電気にアクセスできる人々の割合を示す カンホ シ アミャンマーイント ネシアマレーシアフィリヒ ンタイヘ トナムラオス日本 カンボジアの一人当たり電力消費量は 221kWh(2013 年 ) であり 今後の経済成長に伴って増加することが予想される 送配電時における電力ロス率はカンボジアとミャンマーの数値が他 ASEAN 諸国と比較しても群を抜いて高く 両国では 30% 弱の電気が最終消費者に届くまでに失われている 47

55 図表 3-29 一人当たり電力消費量 (2013 年 )( 注 1) 図表 3-30 電力損失率 (2013 年 )( 注 2) (kwh) 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1, , ,471 1,306 N/A 7,836 カンホ シ アミャンマーイント ネシアマレーシアフィリヒ ンタイヘ トナムラオス日本 (%) 40 出所 : 世界銀行 "World Development Indicators" ( 注 1) 発電所における発電量から 送配変電における損失や発電所における自家消費を除いた 一人当たりの電力消費量を示す ( 注 2) 送配電時における 盗電による損失を含む電力損失の割合を示す カンホ シ アミャンマーイント ネシアマレーシアフィリヒ ンタイヘ トナムラオス日本 N/A 4.6 カンボジア開発評議会 (CDC) によれば カンボジアの交通分担率は 乗客数ベースでは 65% 貨物ベースでは 69% が道路によるものである (2003 年時点 ) 5 が 同国における道路舗装状況は極めて限定的である 道路総距離は 5 万 1 千キロメートル余りとなっているが そのうち舗装されているのは 10% 強に過ぎず ラオスの 16% と並んで他 ASEAN 諸国と比較して極めて低い舗装率となっている 図表 3-31 各国における舗装道路と未舗装道路距離 (2014 年 )( 注 1) 図表 3-32 舗装されている道路の割合 (2014 年 )( 注 3) (km) 600, , , , , ,000 0 未舗装道路 舗装道路 ( 注 2) カンホ シ アミャンマーイント ネシアマレーシアフィリヒ ンタイヘ トナムラオス日本 出所 :ASEAM Secretariat "ASEAM Statistics Leaflet (2015)" ( 注 1) 左右いずれも カンボジア ミャンマー タイは 2013 年 ベトナムは 2012 年のデータ ( 注 2) 日本は舗装道路距離に関する同出所でのデータなし 道路の総距離は 34 万キロメートルあまり ( 注 3) 舗装道路の長さ (Paved Network) を道路総距離で割ることにより調査団が算出した 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 10.9% 23.7% 56.7% 78.4% 85.5% 83.2% 66.3% 16.0% カンホ シ アミャンマーイント ネシアマレーシアフィリヒ ンタイヘ トナムラオス日本 N/A 5 カンボジア開発評議会ウェブサイト 2017 年 1 月末確認時点 48

56 図表 3-33 コンテナ数量 図表 3-34 航空旅客数 ( 千人 ) 120, , ,000 88,686 80,000 60,000 50,347 54,260 40,000 32,231 29,945 1,104 2,029 出所 : 世界銀行 "World Development Indicators" 通信分野を見ると ASEAN のいずれの国においても 固定電話と比較して携帯電話が圧倒的に普及していることがわかる カンボジアの場合 人口 100 人あたり携帯電話契約数が 133 台と 今回取り上げた国の中ではマレーシアに次いで多い数値となっている 20, ,181 カンホ シ アミャンマーイント ネシアマレーシアフィリヒ ンタイヘ トナムラオス日本 図表 3-35 携帯電話契約数 (2015 年 ) 図表 3-36 固定電話契約数 (2015 年 ) ( 百人当たり ) カンホ シ アミャンマーイント ネシアマレーシアフィリヒ ンタイヘ トナムラオス日本 ( 百人当たり ) 出所 : 世界銀行 "World Development Indicators" ( 注 ) ポストペイ契約 アクティブな状態にあるプリペイドアカウントを含む 公共の携帯電話サービスに契約している数 データカードや USB モデム等による契約を除く カンホ シ アミャンマーイント ネシアマレーシアフィリヒ ンタイヘ トナムラオス日本 これまで見てきたように カンボジアにおけるインフラ整備状況は 分野別では道路や電力といった基礎的 かつ経済成長に欠かせない分野を中心として また 地域別に見ると特に農村地域で改善が必要な状況となっている 他方 政府の財政状況を見てみると カンボジアの対外債務残高は増加傾向にあり 2015 年時点では 9,319 百万ドルとなっており インフラ投資に回せる資金が限定的であることが推測される また インフラへの公的資金流入額を見ると カンボジアは凡そ増加傾向にあるものの 2014 年に 213 百万ドルとなっており 隣国タイと比較すると 3 分の 2 以下に留まっている ミャンマーは 2013 年にはそれまでの 10 百万ドル程度から一挙に 300 百万ドル近くまで増加したが 2014 年には再び減少し タイの 7 分の 1 程度 カンボジアの半分程度である 105 百万ドルとなっている 49

57 図表 3-37 カンボジアの対外債務残高推移 (2007~2015 年 ) ( 百万ドル ) 10,000 9,319 9,000 8,000 7,916 7,132 7,000 6,283 6,000 5,000 4,228 4,000 3,685 3,121 3,000 2,064 2,466 2,000 1, 出所 : 世界銀行 International Debt Statistics 図表 3-38 各国におけるインフラへの公的資金流入額 (2001~2014 年 ) ( 百万ドル ) タイ カンホ シ ア ミャンマー 出所 : 国際連合ウェブサイト SDG Indicators Global Database (1) 援助機関の援助方針と支援状況 ( ア ) WB グループ 1991 年のパリ和平協定締結まで続いたカンボジア内戦を受け 1994 年より再開された WB によるカンボジア支援は 当初 社会的 経済的な組織の再生と物理的なインフラの開発に重点が置かれた その後 1999 年以降 ガバナンスリフォームやマクロ経済の安定 持続的な経済成長などに重点が移されることとなった 2015 年には今後二年間を対象とした対カンボジア支援戦略 Country Engagement Note (CEN) が作成された この戦略は カンボジア政府が策定した国家開発計画 National Strategic Dveloment Plan (NSDP) に示された貧困削減目標達成に向けた支援戦略であり 貧困削減と幅広く共有される繁栄 (shared prosperity) を目指すため 弾力性のある成長 (inclusive and resilient growth) を支援していくことが示された WB グループによるカンボジアに対する融資額は 2016 年に 150 百万ドルと前年に比して大きく増加している 50

58 図表 3-39 世界銀行による対カンボジア融資契約額の推移 ( 百万ドル ) 出所 : 世界銀行ウェブサイト国別ページ ( ( 注 )IBRD および IDA を含む世界銀行グループ全体としての貸付金額を示している 過去の案件も含む全融資案件のうち 件数ベースでは 81 件中半分以上を占める 44 件が 金額ベースでは融資額全体の 70% 弱となる 1,026 百万米ドルが これまでにインフラ分野のプロジェクトに融資されている 21 図表 3-40 対カンボジア貸付内訳 ( 案件数 ) 図表 3-41 対カンボジア貸付内訳 ( 金額 ) それ以外 37 46% インフラ案件 44 54% それ以外 % インフラ案件 % 単位 : 百万ドル 出所 : 左右いずれも世界銀行ウェブサイト国別ページ ( を基に調査団作成 インフラ関連案件を更に詳細に分野別に見ると これまでに契約された金額全体 (1,519 百万ドル ) のうち 41.4% にあたる 425 百万ドルが上下水分野に 次いで 34.0% にあたる 349 百万ドルが道路分野に その他 13.5% にあたる 139 百万ドルが電力分野の案件に対する貸付である この三分野で全体の 9 割弱を占めている 51

59 図表 3-42 対ミャンマー貸付金額内訳 ( インフラ案件のみ 分野別 ) ( 百万ドル ) 出所 : 世界銀行ウェブサイト国別ページ ( を基に調査団作成 ( イ ) ADB ADB による対カンボジア支援戦略 The Country Partnership Strategy (CPS) はカンボジア政府による戦略計画サイクルならびに 四辺形戦略 のフェーズ 3 および NSDP による優先分野に沿ったものとなっており その最新版は 2014~2018 年を対象としている CPS はカンボジア政府による経済改革の優先度に沿い 貧困と脆弱性の削減に重点を置いている この目標を達成するため ADB は CPS において 同行の取り組みに関する 3 つの戦略 1 継続的な高成長と多様性の有る経済機会の創出 それらへのより広いアクセス 貧困者を救うセーフティネットを通じた包括的な経済成長 2 環境および気候に配慮した技術の適用 環境保護施策の実施 組織的なキャパシティの構築による環境面で持続可能な成長 そして 3 地域協力と統合 を立てている ( ウ ) JICA 我が国によるカンボジアに対する経済協力は 1959 年から始まった 内戦後の復興から開発まで様々な支援を実施し これまでに最大の援助国となっている ( 累計ベース ) JICA ではカンボジアに対する支援方針を 着実かつ持続可能な経済成長と均衡のとれた発展 を目標に カンボジア政府が掲げる 四辺形戦略 を基盤とする同国の開発目標達成を支援し ASEAN 統合 連結性の強化 域内の格差是正を図るとともに 人間の安全保障及び環境の持続可能性を確保する としている 上記基本方針のもと JICA は対ミャンマー支援の重点分野を以下のとおり設定している インフラ分野については (1) 経済基盤の強化 や (2) 社会開発の促進 の中で 交通 港湾 電力 情報通信の整備や 上下水道分野への支援を実施することとしている 52

60 重点支援分野 (1) 経済基盤の強化 1 経済インフラ整備 : 交通網 港湾 電力供給システム 情報通信基盤の整備 物流システムの改善等 2 民間セクター強化 : 技術系人材や中間管理職など投資受入機関の機能強化及び産業人材育成 3 農業 農村開発 : 農業セクターの振興 貧困農民の生計向上 (2) 社会開発の促進 1 上下水道インフラの整備 : 地方主要都市の上水道整備及びプノンペン都における下水道分野への支援 2 保健医療の充実 : 保健システム強化の視点も含めた母子保健分野を中心とした支援 3 教育の質の改善 : 理数科教育を通じた小 中学校教員研修の質の改善等 4 対人地雷除去 : 2010~2019 年地雷対策国家戦略 の目標達成に向けた支援 (3) ガバナンスの強化 1 民法 民事訴訟法の普及 定着 適正な運用を図るための関連法案整備 司法関係者の能力強化支援 2 公共財政管理 国税及び関税分野の政策 制度改善 人材育成に資する支援出所 : 日本外務省 国別データブック より調査団作成 我が国の対カンボジア援助形態別実績を見ると 2010 年以降は以下のようになっている 図表 3-43 我が国の対カンボジア援助形態別実績 ( 年度別 ) ( 億円 ) 技術協力 無償資金協力 有償資金協力 出所 : 日本外務省 国別データブック より調査団作成 なお 他ドナー国との比較で見ると 対カンボジア経済協力において日本は第一位の援助国となっており 毎年 全体の 30% 弱を占めている 国別に見た経済協力実績を以下に示す 53

61 図表 3-44 主要ドナーの対カンボジア経済協力実績 ( 支出総額ベース ) ( 百万ドル ) その他韓国オーストラリアドイツ米国日本 出所 : 日本外務省 国別データブック より調査団作成 ( 単位 : 百万ドル ) 日本オースト米国金額 ( 順位 ) 割合ラリア ドイツ 韓国 その他 合計 (1) 26.8% (1) 28.6% (1) 25.2% (1) 28.8% (1) 26.1% 出所 : 日本外務省 国別データブック より調査団作成 法制度 体制 ( 体系 法律 各種ガイドラインの内容 実施体制 ) (1) 官民連携に関する法律 カンボジア政府は 持続的な経済成長と貧困削減を開発目標に置いた包括的な国家開発戦略として 2004 年 7 月に 成長 雇用 公正 および効率のための四角形戦略 (Rectangular Strategy for Growth, Employment, Equity, and Efficiency) ( 以下 四辺形戦略 )) を発表した この四辺形戦略はグッドガバナンスに重点を置き汚職対策など 4 つの課題を設定すると共に インフラ整備 や 民間セクター開発及び雇用促進 を含む 4 分野において環境整備を行う戦略を掲げている 四辺形戦略のもと 持続的な経済成長と貧困削減を実現するためには 公共セクターによるインフラ投資が必要であると同時に より高い経済効果や競争力獲得のためには民間セクターの技術を活用し また民間による技術革新を取り込むことが鍵となる こうした観点からカンボジア政府は 従来の資金源も活用しながら 公共インフラ分野への民間セクターの関与を促進することで 新たな資金源や知識 ノウハウや技術を取り込むよう働きかけを行ってきた 上記の背景のもと カンボジアにおける PPP に関する法制度として 2007 年 10 月に コンセション法の発布に関する王国法第 NS/RKM/1007/027 号 2( 以下 コンセッション法 ) が制定された ただし 同法は PPP に関する法的な枠組みを示すものに過ぎず 具体的な PPP 案件の実施に必要な手続き等の詳細は Sub-decree に定めることとされている コンセッション法の主な内容を以下に示す 54

62 第 I 章総則第 1 条法の目的本法は 公共の利益の確保ならびに国民の経済的および社会的目標の実現のために カンボジア王国における民間投資を促進し 円滑にすることを目的とする 第 4 条カンボジアの法律に従って必要な機関の委任を受けている省庁 公共機関 国有法人 地方自治体など 本法第 5 条に規定する適格なインフラ産業部門内においてインフラ構築プロジェクトを実施する資格のある所轄機関はすべて 本法第 6 条および第 7 条ならびに政令に記載する条件に従って かかる機関それぞれの所轄インフラ構築プロジェクトについてコンセション契約を締結する権利を有し また 関連融資を円滑にする目的を含め 付随的契約または関連契約を締結する権利を有する 第 5 条一般人に直接または間接にサービスを提供するインフラ設備に関連するコンセション契約は 以下の産業部門の関連機関がこれを締結することができる a- 発電 送電および配電 b- 道路 橋 空港 港 鉄道 海峡等 ( ただし これらに限られるものではない ) の輸送設備システム c- 給水および衛生設備 d- 通信および情報技術インフラ e- 観光プロジェクトに関連する上部構造 (Supra-Structure) ただし 観光リゾート美術館に限られるものではない f- 石油およびガスのパイプラインを含む ガソリンおよび石油関連インフラ g- 下水設備 排水および浚渫 h- 廃棄物の管理および処理 i- 病院 ならびに 健康 教育および運動に関連するその他のインフラ j- 特別経済区 (SEZ) および社会住宅事業に関連するインフラ k- 潅漑および農業関連インフラ l- 特定の法により本営業権の付与が認められているその他の産業部門 第 6 条コンセション契約は 以下の手段により提供することができる - 建設 運営および譲渡 (BOT) - 建設 リースおよび譲渡 (BLT) - 建設 譲渡および運営 (BTO) - 建設 所有および運営 (BOO) - 建設 所有 運営および譲渡 (BOOT) - 建設 協力および譲渡 (BCT) - 拡張 運営および譲渡 (EOT) - 近代化 運営および譲渡 (MOT) - 近代化 所有および運営 (MOO) - インフラ設備の官民共同実施を含め リースおよび運営管理または管理契約 もしくはその派生または類似の契約第 II 章行政上の調整およびサービス第 8 条カンボジア開発評議会 (CDC) は 投資法に従って投資プロジェクトを実施するために必要な許諾を取得するための ワンストップサービスの組織である ( 後略 ) 第 III 章営業権者の選考および組織第 11 条契約機関は 国際的または国内の入札手続を介して 状況に応じた交渉手続により 営業権者を選考するものとする 営業権者の選考は 本政令に定める手続に従って実施する 55

63 第 16 条運営許可取得者は 自己の費用および危険負担で かつ契約機関により行なわれる貸付または保証によらずに インフラ構築プロジェクトの実施についての資金を調達するものとする 例外的に保証が行なわれる場合があるが 関連する財務管理法 (Financial Management Law) および規則に定める手順による場合に限るものとする 第 24 条コンセション契約は カンボジア王国の法規に従うことを要する 問題となっている事項について該当するカンボジアの法規が存在しない場合 コンセション契約の当該条項は 当事者により選択された法に従うものとする ただし かかる法がカンボジア王国の法に反するものではないことを条件とする 運営許可取得者は コンセション プロジェクトの実施に関連する付属契約について 自由に準拠法を選択するものとする 第 IV 章営業許可期間の終了第 37 条コンセション契約は 本営業許可期間を規定するものとする 本営業許可期間は 本法第 13 条により コンセション契約の署名日より 30 年を超えないものとする インフラ構築プロジェクトの性質から必要とみなされた場合 カンボジア王国政府は 本営業許可期間の延長を認めることができる ( 後略 ) 第 V 章罰則第 VI 章最終規定 出所 : カンボジア開発評議会 (CDC) カンボジア投資委員会 (CIB)( 広報 投資促進部 ) カンボジア王国の投資に関する法律 政令 2008 年 3 月より抜粋 一部訳修正 ( 参考 : しかし 実際には Sub-decree は コンセッション法の履行を助ける法律文書として また運営管理手順として 整備 運用がなされなかったことから カンボジアにおける PPP は充分かつ効果的に実施されずにきた カンボジア政府はこうした反省を踏まえ PPP に関する新たな法制度を整備しようとしている ( 詳細は後述 ) また 現在フェーズ 3 の段階にある四角形戦略 および最新の国家戦略開発計画 (National Strategic Development Plan ) においても 民間セクターを経済成長 雇用創出 および貧困削減のエンジンとして位置づけ 事業および投資環境の改善と 公共インフラ投資のための PPP の強化を通じてそれが実現可能になるとしている カンボジアが低中所得国になりつつあり さらに 2030 年には高中所得国になる見込みであることを踏まえ 政府は アドホックな 方法では 公共投資事業を開発し 管理 運営し続けていくことは困難であると判断し 2016 年 6 月に新たに包括的で国際標準にのっとった Policy Paper on Public-Private Partnerships For Public Investment Project Management ( 以下 PPP Policy Paper ) を制定した この PPP Policy Paper に基づき 公共分野に対する民間セクターからの投資を促進し続ける環境を整備 強化することを目指している この PPP Policy Paper では PPP を通じた公共投資を実施するために 2020 年までに包括的で連結性を持った (inter-linked) また国際標準にのっとった PPP 制度を整備すること PPP による公共投資事業で発生しうる偶発債務についてもそのリスク管理を強化する制度整備を行うこと をビジョンとして掲げている 56

64 出所 :PPP Policy Paper(Unofficial Translation) より和訳 同 Policy では PPP の定義を 国 (state) と一つ或いは複数の民間パートナー間での 公共インフラまたはその他経済活動を強化する分野での修復 (restore) 建設 修繕 維持および / または運営を行う 或いは公共サービスを一定期間提供する投資契約で 民間部門はコンセッション契約に規定された投資を行い リスクを負い 報酬を収受する としている また PPP の形態を次の 3 種類に定めている PPP Policy Paper で定める PPP の形態 Revenue-based Payment 民間部門が 公共インフラおよび / または公共サービスユーザーからの支払いを受けることができる形態 この形態は 公共インフラおよび / または公共サービスユーザーから利用料を収受するような経済生産性が高い公共投資事業に適用される Availability-based Payment 国が投資コストおよび / または関連する (relevant) フィーを 修復 (restore) 建設 修繕 維持および / または運営を行う 或いは公共サービスを提供する民間部門に支払う形態 この形態は次のケースにおいて適用される (1) 国がサービスの直接のユーザー或いは購入者である (2) 公共インフラおよび / または公共サービスユーザーからの利用料を収受できる可能性がない社会的性格をもった公共投資事業 Hybrid Payment Revenue-based Payment と Availability-based Payment の混合型 出所 :PPP Policy Paper(Unofficial Translation) より和訳 PPP Policy Paper によれば カンボジア政府は先に述べたビジョンを達成するため 段階的なアプローチ ( 戦略 ) をとるとしている 戦略は 3 つあり (1) 既存の法的枠組みの見直しと改正 運営管理手順の制定と実施 金融支援メカニズムの構築 組織的なメカニズムの明確化 および戦略実行のための管理 調整を行う Inter-Ministerial Committee の設置 (2) プロジェクトサイクルにおける実務経験に基づく Learning by Doing アプローチの実施 および (3) 関連省庁や組織における組織的なキャパシティの強化および人材育成の実施 である なお (2) においては Learning by Doing アプローチの実施段階では 政府主導型プロジェクト (Solicitated Proposal) のみを実施する ただし 非常に革新的な民間提案型プロジェクト (Unsolicitated Proposal) についても 見当の余地はある (PPP Policy Paper(Unofficial Translation) より和訳引用 ) としている 上記戦略に基づき PPP Policy Paper では 直近 (Immediate) 中期的 (Medium-Term) および長期的 (Long-Term) の 3 つの時間軸に分けて PPP の実現に向けた整備を進める政策をとることとしている 以下に それぞれの時間軸での政策の計画を記す 57

65 各時間軸での政策の内容直近 (Immediate) の政策 暫定措置として 経済財政省 ( 次官 ) を委員長とし 他関連省庁からの参加を得て Inter-Ministerial Committee を設置する ( 同委員会の役割は (2) 後述 ) プロジェクト組成期において 実行可能性調査初期から 或いはコンセッション契約の付与まで 専門省庁 / 組織 (specialized minietries/ institutions) を支援するためのプロジェクト ディベロップメント ファシリティ (PDF) を構築する PPP Unit と Risk Management Unit の機能を 経済財政省の既存枠組みに統合する また 他省庁 / 組織において PPP Unit の機能を設置 或いは統合する ( いずれも役割は (2) に後述 ) 国家予算への圧迫を避けるため Revenue-based Payment を活用し 公共インフラセクターやその他経済生産性を高めるセクターの優先プロジェクトを重点的に実施する ( 優先セクターについては (3) に後述 ) 組織的キャパシティ強化および人材育成計画を準備し 実行に移す 中期的 (Medium-Term) な政策 引き続き 必要な関連法制度 組織メカニズム 金融支援メカニズムの管理手続き および PPP 方式を活用した公共投資事業の運営管理手続きの見直しと修正を行う ヴァイアビリティ ギャップ ファンド (VGF) 設立の可能性について検討を行う この仕組みは 一部の公共投資事業について 民間セクターおよび金融機関にとって当該案件の魅力を増すために補助金を提供するものである 組織的キャパシティ強化および人材育成計画の更新を行う 本期間の初期段階に実施するパイロットプロジェクトが成功した場合には 公共インフラ分野およびその他経済生産性を強化する分野におけるプロジェクト数を増やす また Availability-based Payment や Hybrid Payment といった他の方式による PPP 実施の可能性を検討する こうした流れを受け 一部セクターを優先セクターとして追加することを検討する ( 優先セクターについては (3) に後述 ) 長期的 (Long-Term) な政策 PPP による公共投資の可能性を以下の分野にまで広げる 公衆衛生サービス分野 教育およびスポーツインフラ等出所 :PPP Policy Paper(Unofficial Translation) より和訳 (2) カンボジア官民連携監督機関および PPP プロジェクト承認機関 PPP Policy Paper では PPP プロジェクトの発掘 特定 (project identification) から評価までを下記の体制にて実施すると規定している 1 PPP プロジェクト発掘 特定 : 各担当省庁 / 組織 2 先プロジェクトリストの検討と承認 :Inter-Ministerial Committee 3 ロジェクト調整 モニタリングおよび評価 : 経済財政省 優先プロジェクトリストのレビューと承認を行う役割を担う Inter-Ministerial Committee については 議長を経済財政省次官 (Secretary of State, Ministry of Finance) が務め メンバーは複数の省庁により構成される ( 添付資料参照 ) また 下部組織として複数のワーキンググループが設置される 本調査において現地調査を行った 2016 年 11 月下旬時点での話では 初回の Inter-Ministerial Committee が同月或いは翌 12 月に開催見込みとのことであった Inter-Ministerial Committee の主な役割を以下に示す - Review provisions stipulated in the Law on Concession and other related laws and make amendments as necessary or propose a new law on Public-Private Partnerships 58

66 if necessary. - Prepare sub-decrees, prakas, related legal instruments, operational management procedures for public investment projects using Public-Private Partnerships mechanism. - Review and approve priority project list and the findings from feasibility studies of those priority projects while piloting Public-Private Partnership projects. - Consolidate semi-annual and annual reports to be submitted to the Economic and Finance Policy Committee. - Review and approve on necessary problem-solving measures. For sensitive cases, the cases shall be submitted to the Economic and Finance Policy Committee for decision. 出所 :PPP Policy Paper(Unofficial Translation) Decision on Establishment of the Inter-Ministerial Committee for Steering the Implementation of Policy on Public Private Partnerships より抜粋 なお 現地調査時の経済財政省へのヒアリングによれば 2007 年に制定されたコンセッション法において PPP 案件の承認機関とされている CDC は今後 Inter-Ministerial Committee の参加メンバーの役割を担うに留まるという (1) に記載したとおり PPP Policy Paper では 直近 (Immediate) の政策 の中で PPP を推進するために 経済財政省の既存枠組みに PPP Unit および Risk Management Unit の機能を統合すると述べている 現地調査でのヒアリングによれば 民間投資を管轄している Department of Investment の中に PPP Unit( 注 : ヒアリング時には先方より PPP Central Unit と発言あり ) を また債務管理を行う Department of Debt Management の中に Risk Management Unit を設立予定である 両者は別組織であり 将来的にも統合される予定はない なお PPP Central Unit と Risk Management Unit は Inter-Ministerial Committee の共同事務局を務めるという この他 関連省庁 / 組織内に PPP Unit の機能を設置 或いは既存枠組みに新たな機能として統合する 図表 3-45 経済財政省内の体制 出所 :PPP Policy Paper(Unofficial Translation) および現地調査結果を基に作成 59

67 (3) PPP 事業として採り上げ可能な分野 PPP Policy Paper では 優先的に PPP 事業として実施するプロジェクトを選定する分野として 以下を挙げている 図表 3-46 直近 (Immediate) の政策措置で記載されている優先分野道路 橋梁 鉄道 港湾 空港などの交通インフラ発電 送電 および配電上水道市場や公共駐車場 公共商業施設 (public commercial centers) の開発と近代化工業地域における公共インフラの開発廃棄物収集 管理サービス排水処理および下水システム職業訓練公営住宅インフラ観光インフラ政府により特定される その他の優先セクター出所 :PPP Policy Paper(Unofficial Translation) より和訳 図表 3-47 中期的 (Medium-Term) な政策措置で記載されている優先分野ガスおよび石油関連のインフラ分野 ( 石油やガス供給設備等 ) 電気通信分野および情報通信技術灌漑システムおよび農業インフラその他優先分野出所 :PPP Policy Paper(Unofficial Translation) より和訳 (4) PPP 事業の進め方 PPP Policy Paper の中では具体的な PPP 事業の進め方については言及していない 現在 経済財政省では ADB の支援を受け PPP Manual を整備中とのことであり 同マニュアルなどにおいて PPP 事業を実施する際の手続きやリスク分担などが詳細化されていくものと思われる なお PPP Policy Paper では 2016 年から 2018 年の間に 2~3 のパイロットプロジェクトを実施するとしている 2016 年 11 月の現地調査時点では 各担当省庁から経済財政省に対して PPP での実施を希望するプロジェクトの実施計画 (Project Sheet) が提出済みとのことであった 現地調査で入手した 各省庁から提出されたプロジェクトリストを以下に示す 60

68 現地調査時には 上記 20 件程度を Inter-Ministerial Committee にて審議し その中から 2016 年 12 月以降に開催予定 ( 現地調査時点 ) の同 Committee において パイロットプロジェクトとして 2~3 プロジェクトが選定される予定であると経済財政省より発言があった (5) カンボジア政府による PPP 事業に関連した主要な支援策 Policy Paper では プロジェクト ディベロップメント ファシリティ (PDF) の構築やヴァイアビリティ ギャップ ファンド (VGF) 設立の可能性について言及しているが その詳細は明らかになっていない 官民連携によるインフラ開発の動向 (1) PPP 事業実施に向けた制度整備に係る状況 カンボジアでは ここ数年 PPP の環境整備に向け は ADB などが支援を実施している ADB ではこれまでにカンボジアにおいて PPP に関する 3 つの技術協力事業を実施しており それらを通じて PPP 実施のための制度構築支援や人材育成等を進めてきた また 現在 PPP Manual の作成も支援中である 現地調査における ADB へのヒアリングによると ADB ではここ一年半で特にカンボジアでの PPP 制度構築支援に注力し始めており 今年からは Learning by Doing Approach を開始予定である なお 現地調査時の ADB へのヒアリングによれば カンボジアにおける PPP 制度構築に対するニーズの背景としては unsolicited( 民間提案型 ) の 競争メカニズムを経た ( competitive ) プロジェクトを増やすためのフレームワーク構築が必要とされていることがあげられるという Support for Public-Private Partnerships (PPP) in Cambodia 図表 3-48 ADB による対カンボジア PPP 関連支援事業 案件名 実施時期 ( 注 ) 金額 ( ドル ) 記載無し ~ 2014 年 1 月 Public-Private Partnership Development Project Capacity Development for Public Private Partnerships 2013 年 3 月 ~ 2018 年 3 月 ( 予定 ) 2015 年 1 月 ~ 2017 年 12 月 ( 予定 ) 案件概要 225,000 (i)(ppp をめぐる ) 政策 法規制の整備 (ii)ppp 実施に向けた組織調整 および PPP 事業の準備プロセスの構築 (iii)ppp 事業のプロジェクトサイクルに対する理解促進と知識の普及 そして (iv)pdf を通じた採算の合う (bankable)ppp プロジェクトの実現に向けた方法の確立を目指すもの 900,000 (i)ppp Unit RMU PDF VGF の開発に特に言及した PPP 実施に向けた環境整備に関する提案 (ii) 実現可能性の高い PPP 案件を特定する方法 (iii) プロジェクトの準備 移行 および管理のためのフレームワーク を提示することを目指すもの 1,000,000 政府契約機関における人材育成と PPP ガイドラインの策定を目指すもの 前者については 政府による支援の下でインフラ分野のPPP 事業を実施できる能力を持った政府契約機関側の人材育成を行うもの 出所 :ADB ウェブサイトより調査団作成 ( 注 ) 案件開始日は契約署名日を記載している 61

69 こうした活動を通じ カンボジアにおける PPP 制度整備が進んでおり 2016 年秋の PPP Policy Paper の閣議承認 また近い将来になると予想される PPP Manual の完成を受け 同国における PPP 制度構築に向けた取り組みは近く大きな転換期を迎えると考えられる (2) PPP 事業の現状 (1) で述べたとおり カンボジアにおける PPP 制度整備はいまだ道半ばであるが 一方で PPP の形態による事業は既に一部実施されているようである 現地調査における ADB へのヒアリングによると これまでに 10~15 ほどの PPP 案件が実施されているというが いずれも詳細は不明である カンボジアの官民連携の発展経緯 現状を踏まえたミャンマーへの示唆 カンボジアでは長らく続いた内戦の終結後 復興期を経て 持続的な経済成長と極度の貧困の削減のため インフラ整備の重要性を認識し その実現のための取り組み時期に入っている しかしながら 他の多くの新興国と同じく政府資金は極めて限定的であり その資金不足を補う方法としての PPP 導入が望まれているところである カンボジア政府は PPP は 新たな資金源の獲得だけではなく 公共サービスの効果増大と経済の競争力強化のための近代的な技術 イノベーションの導入 (PPP Policy Paper より抜粋 ) に繋がるものであるとし PPP 導入を目指している カンボジアではミャンマーと同じく 本格的な PPP 制度構築はこれからという時期にあるものの これまでカンボジアが歩んできた道のりを振り返ることにより インフラ整備における官民連携においてミャンマーにとっての示唆を得ることができる部分があると考える 1 適切な体制構築と人材育成 前述のとおり カンボジアでは 2007 年制定のコンセッション法において CDC が PPP 案件の承認機関として指定されていた しかし実際にはこの体制は上手く機能せず 2016 年に閣議承認された PPP Policy Paper では PPP 事業の承認機関として Inter-Ministerial Committee を設置すると共に 経済財政省内に PPP Central Unit および Risk Management Unit を また各省庁内に PPP Unit を設置することが規定された この新たな体制が今後上手く機能していくかどうかは注視する必要があるが 適切な体制構築と各組織における人材育成が PPP 実現の鍵を握ることがカンボジアの例からは伝わってくる 今後ミャンマーが PPP 事業の実施を目指していく中では 適切な体制構築と人材育成が重要になると考える 2 PPP 制度構築に向けた ドナーも含めた効果的 効率的な取り組み PPP 制度の構築に向け カンボジアではこれまでに様々な取り組みがなされてきたが それらが全体として適切に 効率よく実施されてきたかといえば 必ずしもそうではないと思われる 例えば 国連アジア太平洋経済社会委員会 (UNESCAP) では 2016 年 4 月に PPP Procurement Manual というマニュアルを公表している 6 が 現地調査時に ADB へのヒアリングにおいて同マニュアルの PPP Policy Paper その他との関連性を確認したところ 本マニュアルは反故になっており 今後活用される可能性はないとの回答であった ミャンマーが今後 PPP 制度構築に取り組むにあたり ドナーも含め 全体として効果的 効率的な ( 支援 ) 取り組みを行うことが必要であると考える

70 第 4 章 本調査のまとめ ミャンマーが更なる経済成長を実現するうえで必要なインフラを適切に整備していくためには ミャンマー政府による資金調達のみでは不十分な状況にある中 民間投資の促進が重要である 本章では ミャンマーが今後民間資金を誘引するうえで不可欠と考えられることを考察する (1) 具体的かつ妥当な政府の経済政策とインフラ開発方針の策定第 2 章 ミャンマーにおける産業発展とインフラ整備 において述べたとおり 2016 年 3 月末に発足した NLD を中心とするミャンマー新政権は 経済 / インフラ開発政策を未だに明示していない 電力などの分野を中心として 我が国企業を含む民間事業者が投資検討を開始している模様だが ミャンマー新政権の政策が不透明であることなども受けて 大きな進展は見られない ミャンマー政府としてインフラ開発分野への民間投資を誘引するためには 具体的かつ妥当な経済政策とインフラ開発方針を示し 民間事業者の予見可能性を高めることが必要である (2) PPP 法制度 実施体制の整備インフラ開発における民間投資を促すためには PPP 促進のための環境整備が不可欠である そのための主な論点を以下に述べる ただし 第 3 章で見たカンボジアのように PPP 基本法令が制定されて以降 事態が全く動かない 又は策定された PPP ガイドラインの再度の見直しが必要となった例も見られる 法制度や実施体制を整備するためには ミャンマー政府の人的リソースを使う 貴重なリソースの浪費にならないよう ドナーからの援助資金が引き続き一定の規模で流入している現況において PPP 環境の整備が喫緊の課題であるのかは 慎重に検討が必要である 1 法制度 ガイドライン等の整備ミャンマーでは PPP 法制度 ガイドラインが整備されていない 民間投資を促すうえでは 法制度やガイドラインを制定し PPP による事業の対象セクター 民間発意による案件組成 実施の可否 (Unsolicited 案件の可否 ) 案件登録 承認 入札などの手続き PPP 事業における官民の基本的な役割分担などを明らかにしていくことが求められる また 本来 PPP スキームは 所謂公共事業で行うよりも 民間の資金や技術 ノウハウを活用するほうが公共施設等の建設 維持管理および運営が効率的 効果的に実施される場合に適用されるべきである これを評価する基準 ( 例えば バリュー フォー マネー (VfM) 等の指標 ) の導入も必要である これに関し 2016 年 2 月 1 日に ADB がミャンマー政府と 戦略 事業アドバイザー 契約を締結し 必要な PPP 関連法案の起草や政府支援策 ( 補助金などの制度 ) の設計を支援していくことが報道されおり 今後の進展が期待される 2 官民連携関連組織の設置各所管省庁 機関が行う PPP 事業を統括し また各省庁 機関を支援するための統括 実施促進機関の設置が重要である その場合 フィリピンのように専業機関を設けるのか 或いはカンボジアのように既存機関の中に新たな部局を立ち上げて必要な機能を持たせるのかは ミャンマーの政治 行政における意思決定構造や省庁間の力学などを踏まえた設計が必要である 3 透明かつ公正な入札行うための環境整備ドナーが資金支援する案件では 入札過程において ( ドナーの同意手続きを通じて ) ドナーの監視機能が働く PPP 事業の場合には 原則としてミャンマー政府側が単独で入札評価 民間事業者者選定を行うこととなる この場合 透明かつ公正な入札実施のための環境整備が必要である 例えば 日本のように ( 地方自治法施行令の定めに基づき ) 学識経験者等から構成される事業者選定委員会を設置することも一案と考えられる 63

71 4 外部アドバイザーの活用民間事業者が参画しうる PPP 案件を組成し 入札を通じて民間事業者を選定し また公共施設等の建設 運営を適切にモニタリングしていくためには フィリピンの例でも見られたとおり PPP 事業に知見を有するアドバイザーの活用が有用である これまでミャンマーでは 第 2 章で見たように IFC がミンジャンのガス火力発電所案件でアドバイザーとして起用されている これにより 適切な官民のリスク分担が図られたと言われている こうした動きが他セクターにも広がっていくことが期待される 5 政府支援策の導入フィリピンで導入され またカンボジアでも導入が検討されているようなプロジェクト形成のための資金 ( ファンド ) を政府が用意し 各所管省庁による案件発掘と形成を促進していくことも有用である (3) 適切なリスク分担民間事業者の自由で活発な参画を駆動力としたインフラ開発を進めるためには 官民で適切な事業リスクの分担が図られる必要がある 第 2 章で述べたとおり ミャンマーでは過去に 2012 年までに 85 路線 総延長約 1 万 km の主要道路が BOT 方式で敷設 改良された しかし その実態は事業リスクを民間事業者に一方的に負わせる方式が採用された 本調査で行った現地ヒアリングの結果によると かりに当該事業において民間事業者に赤字が発生したとしても ほかの事業で補填したこともあった模様である こうした条件では 今後 民間事業者 特に外資の事業者がインフラ開発に積極的に参加することは望めない ミャンマー政府には IFC 等の国際機関や PPP 事業に精通した外部コンサルタント等の支援も得ながら PPP 事業のあり方について知見を深めていくことが求められる (4) 適切なリスク分担民間事業者の自由で活発な参画を駆動力としたインフラ開発を進めるためには 官民で適切な事業リスクの分担が図られる必要がある 第 2 章で述べたとおり ミャンマーでは過去に 2012 年までに 85 路線 総延長約 1 万 km の主要道路が BOT 方式で敷設 改良された しかし その実態は事業リスクを民間事業者に一方的に負わせる方式が採用された 本調査で行った現地ヒアリングの結果によると かりに当該事業において民間事業者に赤字が発生したとしても ほかの事業で補填したこともあった模様である こうした条件では 今後 民間事業者 特に外資の事業者がインフラ開発に積極的に参加することは望めない ミャンマー政府には IFC 等の国際機関や PPP 事業に精通した外部コンサルタント等の支援も得ながら PPP 事業のあり方について知見を深めていくことが求められる (5) 金融環境の整備ミャンマーは 2011 年の民政移管後に 様々なドナーや国際金融機関 コンサルタント企業等の支援を得て近代化に取り組んでいるが ASEAN 諸国の中で銀行セクターの発展が最も遅く またその規模は極めて限定的である 民間事業者がインフラ投資を行ううえで 地場銀行からの借り入れも資金調達手段の一つとなりうるが 地場の金融機関がインフラ投資に不可欠な長期の与信を出来るように金融環境を整備していくことも必要であると考えられる 64

72 参考インフラファンドとは (1) インフラファンドとはインフラファンドとは投資家から資金を集め 複数のインフラプロジェクトにおいて プロジェクト実施企業に対して エクイティ ( 株式 ) 出資やプロジェクト ファイナンス ( 融資 ) のスキームで投融資を図るものである その投融資の対象となるインフラ資産が持つ一般的な特性としては 人々の生活 社会 / 経済的活動にとって不可欠な存在である 規制や制度上 もしくは その建設の困難さ ( 資金面や技術面 ) から 社会において独占的性格を持つ場合がある 長期利用を前提として建造される資産である等があり そのような資産に投資することの利点として 収益が長期間にわたって比較的安定し かつ 予測しやすい 社会 / 経済に不可欠であるため 景気等の変動に遭っても需要の急減は起きにくい インフレ率への長期的な連動性をもつ ( インフレに応じて利用料が変動する等 ) などが通常は挙げられる その利点の好例は 2 章で紹介したタイの交通インフラの収入が 世界金融危機の際にも安定的に増加したことにも見て取れる ( 図表 3-22) もちろん 上記特性や利点はあらゆるインフラにあてはまるわけではないため 投資家は投資の目的 リスク 求める収益等を考慮したうえで 投資対象候補となるインフラの特性を慎重に見極める必要がある 従来のインフラ投資のプレイヤーはスポンサーとなる商社や レンダーとなる ( 大手 ) 銀行であったが インフラファンドへの資金提供者は 特に長期の安定収益を志向しがちな年金基金等を中心とした機関投資家となる インフラファンドであれば インフラ投資の専門家が不在であっても ファンドの GP に目利き能力を委ねることができ 少額投資であっても分散投資が可能になるなどのメリットがある 年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF) もインフラ投資を拡大する計画を表明しており カナダの年金基金 (OMERS) やニッセイアセットマネジメント ( 以下 ニッセイ AM) と 2014 年 2 月に共同投資協定を締結し ニッセイ AM が組成するインフラファンドへ投資する計画である 日本取引所グループは 2015 年 4 月にインフラファンド市場を開設し 2016 年 4 月に第一号ファンドが上場した このように インフラ整備における新たな資金調達手段として国内において盛り上がりつつあるインフラファンドに注目し 国内機関投資家の視点を海外 特にアジア新興国に伸ばす方策を検討することはインフラファイナンスの調達元の多様化で重要である (2) インフラファンドのアロケーション分析本節では Preqin の 2016 Preqin Global Infrastructure Report を参考に インフラファンドの市場状況を概観する 本節では 断りのない限りインフラファンドは非上場ファンドを意味する インフラファンドには既に多額の資金が投資されており 2015 年 6 月時点で 3,090 億 USD ものコミットメントがなされている 年末と比べると 1% 減ではあるが 過去 10 年間は増加トレンドにあり 2005 年末と比べて 10 倍以上に増加した ( 図表参考 -1) コミットメント額が減少しているものの 新規ファンドは続々と組成されている 2015 年中に募集が完了したもので 46 ファンド 360 億 USD もの資金がインフラファンドを通じてインフラ投資に向けられた ( 図表参考 - 2) Preqin による投資家へのインタビューによれば 今後長期的にインフラ投資の割合を増やす投資家が全体の 52% におよび 現状維持 39% 減少 9% を大きく引き離した 今後も インフラファンドの規模は世界的に増加していくものと考えられる 年 6 月のコミットメントのうち 投資からの払込済残高は 2,010 億円 案件投資を待つ未投資残高 は 1,080 億 USD である 65

73 Dec-04 Dec-05 Dec-06 Dec-07 Dec-08 Dec-09 Dec-10 Dec-11 Dec-12 Dec-13 Dec-14 Jun-15 コミットメント残高 図表参考 -1 インフラファンド投資への投資金額 ( コミットメントベース ) 350 (10 億 USD) 未投資残高 投資残高 出所 :Preqin, 2016 Preqin Global Infrastructure Report より調査団作成 図表参考 - 2 インフラファンドの組成状況 ( コミットメントベース ) ファンド数 ファンド金額 (10 億 USD) 出所 :Preqin, 2016 Preqin Global Infrastructure Report より調査団作成 66

74 コミットメント残高 図表参考 - 3 は主たる投資対象地域を示しており 北米 欧州が投資対象の中心であることが分かる アジアはコミットメント額の 1 割強に過ぎない アジアの中心は中国とみられ ASEAN 向けの投資は限定的とみられる 図表参考 - 4 は 2015 年に組成されたアジア向けファンドの金額規模上位 5 ファンドである そのうち 3 つが中国を投資対象としており 最大規模の CCCC First Phase Equity Investment Fund も中国向けである 汎アジアを対象としているのは 2 つに過ぎない 図表参考 - 3 インフラファンド投資の地域別アロケーション ( コミットメントベース )(2015 年 6 月 ) 160 (10 億 USD) 投資残高 未投資残高 North America Europe Asia Rest of World 主たる投資対象地域 出所 :Preqin, 2016 Preqin Global Infrastructure Report より調査団作成 図表参考 - 4 アジア向けファンドの金額規模上位 5 ファンド Fund CCCC First Phase Equity Investment Fund Fi rm Final Close Date Fund Size (mn) Geographic Focus CCCC Fund Management Nov-15 15,000 CNY China Equis Asia Fund II Equis Funds Group Feb-15 1,000 USD Asia Guangdong Environmental Protection Fund Guangdong Renewable Energy Industry Fund Guangdong Technology Financial Group Dec-15 6,300 CNY China Guangdong Oriental Millennium Renewable Energy Industry Fund Management Sep-15 3,080 CNY China Equis Direct Investment Fund Equis Funds Group Feb USD Asia 出所 :Preqin, 2016 Preqin Global Infrastructure Report より調査団作成 67

75 インフラ分野別では再生可能エネルギー向けの投資が最も多く 2015 年の 45% を占める 再生可能エネルギーの内訳では 風力発電が最も多く 次いで太陽光発電が多い 次いで交通分野が 22% を占める 道路を筆頭に 空港 港湾が多い 10% を占めるエネルギーは 天然資源関連が中心で 天然資源のパイプライン 採掘 精製 保管などへの投資が多い 火力発電などの再生可能ではない発電プロジェクトはユーティリティに含まれる ユーティリティは上下水道 ごみ処理なども含む 図表参考 - 5 インフラ分野別アロケーション 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 3% 3% 3% 2% 3% 4% 3% 3% 3% 2% 2% 3% 1% 2% 4% 2% 19% 17% 19% 16% 15% 12% 15% 8% 10% 13% 9% 10% 16% 13% 8% 13% 14% 13% 13% 8% 16% 11% 16% 18% 22% 16% 15% 16% 15% 17% 13% 13% 39% 36% 34% 34% 36% 40% 44% 45% Other Telecoms Utilities Energy Social Transport Renewable Energy 0% 出所 :Preqin, 2016 Preqin Global Infrastructure Report より調査団作成 (3) 日本の機関投資家の投資選好大和総研によるアンケート調査の結果 ( 大和総研 金融法人及び年金基金におけるオルタナティブ投資 バーゼル規制の実態調査 2016 年 12 月 ) をもとに 日本の機関投資家の投資選好を分析する なお 同アンケート調査は 全国の 107 の金融法人 ( 銀行 生損保 共同金融組織 ) および 60 の年金基金 ( 厚生年金 企業年金 ) を対象としている まず インフラ投資の実施状況について 図表参考 - 6 によると実施を検討しているところを含めても 金融機関の 20% 年金基金の 36% に過ぎない インフラ投資について 実施つもりはない と回答した機関が金融法人 年金基金ともに昨年度比で増えているが 一方で既にインフラ投資を実施している投資家のスタンスは 図表参考 - 7 より投資増額を検討する機関が多い 一度 インフラ投資を実施すれば そのパフォーマンスは満足のいく水準であることが伺える インフラ投資の種類 形態は金融機関 年金基金ともにインフラファンドを通じての投資が活発である 金融機関では直接融資の割合も多い ( 図表参考 - 8) 投資対象は金融機関では太陽光発電が非常に多く 電力 ( 火力 水力 原子力 ) 風力発電と続いている 押しなべて電力関連への投資が多い特徴である 特に太陽光発電は事業リスクが小さく投資家の選好が強い 日照時間不足 機器トラブル FIT の変更などが主たる事業リスクだが 日照時間はさほど大きく変動しないし 機器トラブルはメーカー保証や損害保険にてヘッジ可能で ( 少なくとも日本においては )FIT の契約後変更は想像し難い 太陽光発電は REIT よりもリスクが小さいとのコメントも聞かれ まずはこのような商品でインフラファンドに慣れることが第一歩かと考えられる 一方 年金基金は空港が最も多く 港湾 電力 ( 火力 水力 原子力 ) が続き 水や道路 太陽光発電も多い 比較的投資対象が分散された特徴がある ( 68

76 図表参考 - 9) 図表参考 - 6 インフラ投資 ( 再生可能エネルギーも含む ) の実施状況 出所 : 大和総研 図表参考 - 7 インフラ投資へのスタンス 出所 : 大和総研 図表参考 - 8 インフラ投資の種類 形態 ( 複数回答可 ) 出所 : 大和総研 69

77 図表参考 - 9 現在投資しているインフラ施設の種類 ( 複数回答可 ) 出所 : 大和総研図表参考 - 10 によれば 投資対象国は 金融機関の場合は日本が 80% 超を占め 米国 カナダ フランス ドイツが多い 一方 年金基金の場合は英国 カナダ オーストラリアが多く 日本向け投資は 7% に過ぎない いずれにも共通するのはアジア地域への投資が極めて小さい点である 金融法人では皆無 年金基金でも中国やインドに 7% が投資しているものの 東南アジアへの投資はない 東南アジアへの投資の主たる障壁は為替リスクであるとの意見も聞かれるが 仮に為替リスクがヘッジできるとしても 東南アジアへの投資は大きく増えることはなさそうである 全体の数 %~10% 程度の投資家の投資対象に入ってくる程度とみられる ( 図表参考 - 11) 残された障壁を考える上で重要なのが 投資家の重視する項目である ( 図表参考 - 12) 収益率 キャッシュフローの安定性や投資地域 ( カントリーリスク ) 流動性 投資地域 ( 法制度整備やその運用状況 ) といった項目が並んでいる 途上国のインフラプロジェクトにおいては収入単価が安価なことが多く それを補てんする仕組みや その適切な運用などが求められる 国や国営企業がオフテイカーとなる場合は 適切な支払が期待されるか 支払い能力などが求められる 最終的に当該国政府保証だけでは不十分で 国際機関や先進国機関による保証が必要となる場合もある 図表参考 - 10 インフラ投資の地域別選択状況 ( 複数回答可 ) 70

78 出所 : 大和総研図表参考 - 11 為替リスクがヘッジできると仮定したときのインフラ投資の希望地域 ( 複数選択可 ) 出所 : 大和総研 図表参考 - 12 インフラ投資の際に重視する項目 71

79 72 出所 : 大和総研

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