ケンコーコムのECビジネスにおけるクラウド活用

Size: px

Start display at page:

Download "ケンコーコムのECビジネスにおけるクラウド活用"

あつみねにいだ
4 years ago
Views:

1 AWS Cloud Roadshow 2014 福岡ケンコーコムの EC ビジネスにおけるクラウド活用 ~ クラウド導入からクラウド最適活用へ ~ 2014 年 11 月 6 日ケンコーコム株式会社佐甲真吾

2 目次 1. ケンコーコムのご紹介 2. クラウド化の経緯 3. クラウド化のメリットと課題 4. 今後のECビジネスの展望とITの課題 2

3 1. ケンコーコムのご紹介 3

4 所在地 URL 業務内容経営理念設立従業員数資本金福岡 ( 本店所在地 ) / 東京健康関連商品のEコマース Eコマースを通じてお客様の健康づくりに貢献する 1994 年 11 月 312 名 ( 連結ベース ) 20 億 5,085 万円 (2013 年 12 月末 ) 4

5 事業系統図当社は主に健康食品や化粧品医薬品等の健康関連商品の E コマースを一般消費者向けに行っているリテイル事業健康関連商品メーカー卸商品仕入健康 EC プラットフォーム ( 当社 ) ドロップシップ ECサイト ( 当社 ) その他の事業リテイル事業一般消費者法人事業者等 5

6 ケンコーコムのリテイル事業健康食品医薬品化粧品等の健康関連商品および日用品を 3 つのウェブサイトを軸に販売しているケンコーコム本店楽天市場支店楽天 24 モバイル支店スマートフォン支店 6

7 売上推移 E コマース立ち上げ以来順調に成長 2014 年 1 月には楽天 24 事業を開始さらなる成長を睨む 2013 年度より 12 月決算に変更したため 2013 年度は 9 ヶ月決算売上高海外事業開始スマホ支店オープン最高裁勝訴第一類第二類医薬品のネット販売再開 Kenko.com サイトオープン楽天市場支店オープンモバイル支店オープン医薬品の取扱開始年 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年売上高 ,065 2,282 3,371 4,748 6,565 8,022 10,312 12,508 13,178 17,167 17,902 14,168 7

8 取扱商品数成長の原動力の一つとして豊富な品揃えが挙げられる現在約 18 万点の商品を取り扱っている 250,000 取扱商品数の推移 200, , ,000 50, 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年商品点数 618 1,623 10,030 19,565 40,441 60,394 70, , , , , , , ,869 8

海外展開 2009 年にシンガポールでの事業を開始さらに中国東南アジア各国に展開日本の安全かつ高品質な健康関連商品を海外のお客様へ向けて販売日本と香港を出荷拠点として東南アジア各国に個人輸入形式ビジネスを展開 2009 年 10 月シンガポール子会社設立ケンコーコム SG サイトオープン香港出荷センター中国 SG 九州出荷センター 2013 年 7 月中国最大の B2C

9 海外展開 2009 年にシンガポールでの事業を開始さらに中国東南アジア各国に展開日本の安全かつ高品質な健康関連商品を海外のお客様へ向けて販売日本と香港を出荷拠点として東南アジア各国に個人輸入形式ビジネスを展開 2009 年 10 月シンガポール子会社設立ケンコーコム SG サイトオープン香港出荷センター中国 SG 九州出荷センター 2013 年 7 月中国最大の B2C インターネットモール天猫 (Tmall) に kenko 海外旗舰店出店 2013 年 9 月シンガポール EC モール Qoo10 に Kenko.com@Qoo10 出店 2013 年 12 月シンガポール楽天アジアに Rakuten Singapore 出店 2014 年 8 月香港出荷センター稼動開始ケンコーコム Global にサイトリニューアル 9

10 IT システム概略受注から出荷までのシステムが緊密に連携をとっている Function フロントコンテンツ出力商品管理引当管理顧客情報管理受注管理顧客対応管理債権管理倉庫管理モール連携システム構成 ( 模式図 : 網掛がクラウド化領域 :2014 年 7 月時点 ) サイト商品管理在庫管理 / 引当コールセンターシステム債権管理システム受注管理 / 顧客管理倉庫管理発注管理財務会計管理会計 SAP 管理会計システム 10

11 2. クラウド化の経緯 11

12 クラウド化サーバ数推移 IT インフラ面でのクラウドの活用がケンコーコムの事業展開拡張を支えているクラウドサーバー数推移 50 クラウド導入開始 7 月 1 月 7 月 1 月 7 月 1 月 7 月イベント 2009 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年本格利用 SAP 基幹システム海外システム 12

13 クラウド化経緯まとめ SAP 導入後基幹システムを切り替える際のインフラとしてクラウドを採用クラウド Amazon S3 Bucket 導入開始 US リージョン東京リージョンにて稼働クラウド本格利用 AWS 東京リージョン開設東日本大震災構築本番稼動 SAP 並行して新 idc へサーバー移動開発 ES2 の SAP 認定本番稼動基幹システム商品管理システム倉庫管理システム R24 サイト運営開始開発本番稼動 R24 システム統合海外システム開発本番稼動ケンコーコムglobalサイト運営開始 13

14 クラウド化経緯 -(1)AWS 導入開始膨大な商品画像の送出用に安価な S3 を活用クラウド Amazon S3 Bucket 導入開始クラウド本格利用 SAP 基幹システム US リージョン AWS 東京リージョン開設東日本大震災構築開発東京リージョンにて稼働本番稼動並行して新 idc へサーバー移動商品管理システム倉庫管理システム本番稼動 AWS USリージョンのS3に商品画像を保存し CDNを利用してキャッシュサーバーへ送出 ES2のSAP 認定 2011 年 3 月 AWS 東京リージョン開設を機にUS リージョンから東京リージョンへ変更 R24 サイト運営開始開発本番稼動 R24 システム統合海外システム開発本番稼動ケンコーコムglobalサイト運営開始 14

15 クラウド化経緯 (2)- 本格利用東日本大震災を機に安定的事業運営体制を構築するため 2011 年 5 月より本社機能の一部を福岡オフィスへ移転その際にクラウド化を進めるクラウド導入開始クラウド本格利用 SAP 福岡オフィス東京オフィス施策震災の影響状況と施策の進捗 2011 年 3 月 6 月 9 月 10 月本社機能一部移転クラウド化物流拠点の移転完了完了完了 5 月上旬完了 9 月末完了 10 月末完了クラウド移行前クラウド移行後基幹システムデータセンター利用料セキュリティ監視保守管理費ハードウェア刷新費など 9 百万円 / 月削減額約 6 百万円 / 月 50 台以上のサーバーを統廃合し AWS へ移行クラウド費用 3 百万円 / 月 15

クラウド化経緯 (3-1) SAP ( 概念図 ) 商品数顧客数が急激に増加する中スピード重視での導入を図る AWS とオンプレミス間で多数のインターフェースを持つ構成としたクラウド導入開始クラウド本格利用 SAP 基幹システム販売サイト (PC, スマホ, モバイル,FB) モール支店販売管理ドロップシップ販売管理注文注文売上実績在庫引当注文リテール販売管理 (

16 クラウド化経緯 (3-1) SAP ( 概念図 ) 商品数顧客数が急激に増加する中スピード重視での導入を図る AWS とオンプレミス間で多数のインターフェースを持つ構成としたクラウド導入開始クラウド本格利用 SAP 基幹システム販売サイト (PC, スマホ, モバイル,FB) モール支店販売管理ドロップシップ販売管理注文注文売上実績在庫引当注文リテール販売管理 ( オンプレミス ) 売上実績財務会計 (FI) 管理会計 (CO) 各種マスタ有効在庫庫内移動有効在庫在庫 / 購買管理 (MM) 入庫実績入庫予定入庫実績発注基準量自動発注 EDI/FAX 納期回答発注基準量計算 ( オンプレミス ) 仕入先 ( 社外 ) ドロップシップパートナー ( 社外 ) 各種マスタ ( オンプレミス ) 倉庫 ( オンプレミス ) 商品 16

17 クラウド化経緯 (3-2) SAP (AWS 選定の背景 ) SAP 導入期間の長期化は許されない状況で短期間で稼動させるためのインフラとして AWS を選択するのは自然な流れだったクラウド導入開始クラウド本格利用活用メリットの実感 2011 年にオンプレミス ( 社運 ) からクラウドへの移を行い既に活メリットを実感していた AWS 選定にあたり他企業が提供するクラウドの比較はしなかった SAP 将来の二重投資の回避当時 AWS はまだ SAP ERP の認証プラットフォームではなかったため導には慎重な判断が必要だった期的視点にって考え今後クラウドが当たり前のインフラになることは必至との判断から将来の重投資を回避するために稼動時から AWS 利を決定基幹システム要件定義調達の早期完了ハードウェアなどリードタイムのい調達はボトルネック要素と思われた最初にプロトタイプ環境として AWS を利した結果すばやく要件定義を実施でき短納期で稼動させる信につながった 17

18 クラウド化経緯 (4-1) 基幹システム - 概念図運用効率向上のため並列で運用されていたシステムを統合 R24 サイトで受けた受注を KC サイトと同一の倉庫から出荷できるようにするための取り組みを推進クラウド導入開始クラウド本格利用 2014 年 1 月 ~7 月統合後 (2014 年 7 月 ~) R24サイト KCサイト R24サイト KCサイト SAP R24 受注管理 / 商品管理システム KC 商品管理システム ( オンプレミス ) KC 受注管理システム ( オンプレミス ) KC 受注管理システム新規構築新商品管理システム新規構築 KC 受注管理システム基幹システム R24 倉庫管理システム KC 倉庫管理システム ( オンプレミス ) オンプレミスで構築処理ボリューム増加に耐えうるインフラへの移管処理ボリューム増加に耐えうるインフラへの移管新倉庫管理システム新規構築 18

19 クラウド化経緯 (4-2) 基幹システム - 導入の背景業務効率システム運用効率を早期に高めることが求められる中既に導入実績もありノウハウも蓄積してきた AWS を選択することは自然な流れだったクラウド導入開始クラウド本格利用 SAP 基幹システム蓄積したノウハウの活用 SAP 導入後運用ノウハウも蓄積してきた SAP との連携も必要なシステムを AWS で構築することは自然な流れ AWS 選定にあたり他企業が提供するクラウドの比較はしなかったパフォーマンス懸念の解消倉庫管理システムに関してはパフォーマンスが懸念された一旦 AWS で構築テストを行いパフォーマンステストの結果を見てオンプレでも対応できるよう両にらみで推進構築後の柔軟性の確保今後のビジネス環境の動向に応じて処理件数が増大したとしても柔軟に対応できるインフラの構築が求められていた設計時点での処理ボリュームの算出が困難な状況でもあった要件定義調達の早期完了ハードウェアなどリードタイムのい調達はボトルネック要素と思われた最初にプロトタイプ環境として AWS を利した結果すばやく要件定義を実施でき短納期で稼動させる信につながった 19

20 クラウド化経緯 (5) 海外システムシンガポールにあったシステムをクラウド化香港倉庫の早期稼動を可能としたクラウド導入開始クラウド本格利用 KCSG サイト ( オンプレミス ) KCGlobal サイト Singapore Region SAP 海外受注管理システム ( オンプレミス ) 海外受注管理システム基幹システム倉庫管理システム 3PL Singapore 倉庫管理システム 3PL Hong Kong 20

21 3. クラウド化のメリットと課題 21

22 クラウド化のメリットと課題ビジネス環境の変化に迅速に対応することが求められる当社にとってクラウド化のメリットは柔軟性と迅速性に尽きる一方でパフォーマンスとセキュリティの課題をクリアしておくことが求められるクラウドを最適活用する上では専門家の知見を得られるようにしておくことが重要ビジネス環境の変化顧客競合他社サプライヤーチャネル戦略商品戦略環境変化に応じてサービス戦略変化し続ける物流戦略 IT 柔軟かつ早期に対応できるITインフラクラウド専門家の知見パフォーマンスセキュリティ課題の解決 22

23 クラウド化のメリット - 具体的にはクラウドの持つ柔軟性と迅速性が当社のシステム導入にあたっての課題を解決したシステム構築までのスピードを上げるアーキテクチャ設計におけるサーバースペック見積りなどの設計工数を考慮しなくてよいハードウェア調達リードタイムを考慮しなくてよいプロジェクトリスクを下げるプロトタイプによって要件定義技術検証を早期に開始できリスクを早期につぶすことができる余裕を持って必要以上にスペックの高いマシンを選定しまうことを回避できる処理ボリュームの変動に即座に対応するテストやデータ移行などサーバー利用の要求が急激に高まるときでも複製した環境を並行で稼動させることができる一時的にアクセスが集中するような事態が予測される場合でもサーバーのスペックを短時間で上げるができる場所を選ばずに使う海外でのサービス展開を検討する際に土地勘のない国地域でのデータセンター探しなどを気にせずに検討できる 23

24 クラウド化の課題クラウドベースのシステムを構築する上でパフォーマンスとセキュリティの検証は欠かせないパフォーマンス倉庫システム導入時にそれまで倉庫にあったサーバーがクラウド化することによるパフォーマンスの懸念があったパフォーマンステストを実施擬似的に複数の PC で数秒ごとに入庫をつけている状況を再現その状態での在庫引当処理などを実施して挙動を確認セキュリティ IDC にサーバを置く場合と考え方は変わらない方針クラウドと事務所内サーバ間を VPN 接続する構成のネットワークを構築クラウドの接続はオフィスからのみに限定する 24

25 クラウドとオンプレミスとのコスト対比 2014 年 9 月現在当社内の試算ではすべてオンプレミスで構築した場合の約半分 (55%) で運用できているパラメータオンプレミス必要台数クラウド台数必要となる予備機の台数サーバ購入構築費用オンプレミスの場合の月額費用換算クラウド月額費用 DB サーバ必要台数 DB サーバ導入初期費用 DC 費用オンプレミス必要台数 1 台あたりのラック単価 9 : 5 保守監視体制 (24 時間 ) 運用人月単価人数 25

26 4. 今後の EC ビジネスの展望と IT の課題

27 今後の展開 - 国内の健康関連マーケットドラッグストア業界は高齢化や健康ブームを背景に拡大傾向にありさらに健康食品から日用品などを幅広く扱う大規模事業会社が増加しつつあるスポーツ市場ヘルスケア市場ドラッグストア市場 3 1~5 2 兆円健康食品市場ペット市場ベビー市場介護市場 1 平成 19 年度商業統計 2 次加工業態別 ( 小売業 ) データ経済産業省 2 ドラッグストアの現在と成長予測日本チェーンドラッグストア協会 2009/4/3 27

28 今後の展開 - 健康 E コマースマーケットの規模食品小売業および医薬品化粧品小売業いづれも顕著な伸びをしめしている食品小売業の EC マーケットの推移医薬品化粧品小売業 EC マーケットの推移 ) ( 億円 ) % ( 億円 ) % % % 3.50% % % % % 2.00% % 0.20% % 1.00% 0.50% EC 市場規模 EC 化率 0.62% 0.71% 0.85% 0.96% 0.00% EC 市場規模 , ,010 EC 化率 2.14% 2.85% 3.64% 4.02% 0.00% 平成 24 年度電子商取引に関する実態市場規模調査経済産業省 28

29 今後の展開 - 国内マーケットとポジション国内における健康 EC 市場は今後も成長し有望であるこの市場でリーダーシップを取り続けることを目指すこのマーケットでリーダーシップを取り続ける 5~10 年程度の期間で EC 化率 10~20% ( 現在は 3~4%) 全体 1 兆円全体 10 兆円成長しつづける健康関連マーケット BtoC 29

30 まとめクラウドは特に成長途上の企業事業を支える IT インフラを構築する際の最初に考える選択肢ただしクラウド化自体が目的ではないビジネス戦略の要請それを実現するためのビジネスモデルやビジネスプロセスにあった IT アーキテクチャーを構築するための有力な選択肢の一つとして考えるべきクラウドは一度導入したらそれで終わりということではない今後クラウド化の領域が増えることが予想される中 IT を見る立場のものには個々のサーバーレベルでの運用状況を把握し常に最適活用を模索し続けることがより一層強く求められる 30

31 なお本資料に記載のデータについて特に出典の記載のないものついては当社集計数値によるものです

10年オンプレで運用したmixiをAWSに移行した10の理由

10年オンプレで運用したmixiをAWSに移行した10の理由 10 年オンプレで運用した mixi を AWS に移行した 10 の理由 AWS Summit Tokyo 2016 株式会社ミクシィオレンジスタジオ mixi システム部北村聖児自己紹介 2 名前北村聖児所属株式会社ミクシィオレンジスタジオ mixiシステム部担当サービス SNS mixi 今日話すこと 3 mixi を AWS に移行した話 mixi 2004 年 3 月 3 日にオフィシャルオープンした