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1 資 料 ロイク カディエ * フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 出 口 雅 久 ( 監 訳 ) ** 橋 本 聡 ( 訳 ) *** 工 藤 敏 隆 ( 訳 ) **** 目 次 はじめに 序 章 第 一 章 裁 判 所 の 構 成 第 二 章 歴 史 的 観 点 から 見 たフランス 民 事 訴 訟 法 第 三 章 フランス 民 事 訴 訟 手 続 の 規 律 [ 以 上, 橋 本 聡 訳 ] 第 四 章 フランス 民 事 司 法 の 現 代 的 特 徴 終 章 [ 以 上, 工 藤 敏 隆 訳 ] はじめに 本 稿 は,2010 年 8 月 27 日 から 9 月 16 日 まで 立 命 館 大 学 法 学 部 客 員 教 授 として 来 日 されたパリ 第 一 大 学 法 学 部 ロイク カディエ 教 授 が,2010 年 8 月 27 日 から 9 月 3 日 までに 立 命 館 大 学 法 学 部 において 開 催 した 夏 期 集 中 講 義 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (Loïc, Cadiet, Introduction to French Civil Justice System and Civil Procedural Law, Ritsumeikan Law Review, No. 28 June 2011 p. 331-p. 393) の 原 稿 の 翻 訳 である 本 稿 の 翻 訳 を 本 学 会 誌 に 掲 載 することにご 快 諾 いただいたロイク カディエ 教 授 に 心 より 感 謝 申 し 上 げる 次 第 である また, 本 学 の 夏 期 集 中 講 義 のた めに 本 稿 の 翻 訳 を 快 くお 引 き 受 けいただいた 橋 本 聡 教 授 および 工 藤 敏 隆 専 任 講 師 に * ロイク カディエ パリ 第 1 大 学 法 学 部 教 授, 司 法 訴 訟 研 究 センター 所 長, 国 際 訴 訟 法 学 会 理 事 長 ** でぐち まさひさ 立 命 館 大 学 法 学 部 教 授 *** はしもと さとし 東 海 大 学 法 学 部 教 授 **** くどう としたか 慶 應 義 塾 大 学 法 学 部 専 任 講 師 757 ( 2205)

2 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) も 感 謝 申 し 上 げたい さらに 工 藤 敏 隆 専 任 講 師 には, 残 暑 厳 しい 最 中,カディエ 教 授 の 夏 期 集 中 講 義 にもご 参 加 いただき, 講 義 の 全 体 の 要 約 とともに, 的 確 なコメン トをいただき, 本 学 の 学 生 のために 教 学 的 なサポートもお 引 き 受 けいただいた 本 夏 期 集 中 講 義 の 企 画 担 当 者 として,ここに 期 して 感 謝 申 し 上 げる 次 第 である ロイク カディエ 教 授 は,すでに 本 学 会 誌 342 号 435 頁 以 下 で 詳 細 にご 紹 介 してい る 通 り, 現 在, 国 際 訴 訟 法 学 会 (International Association of Procedural Law) の 理 事 長 として 世 界 の 訴 訟 法 学 界 を 取 り 纏 める 最 高 責 任 者 としてご 活 躍 中 である ロ イク カディエ 教 授 は, 英 語 ばかりでなく,スペイン 語 にも 堪 能 で,わが 国 とあま り 学 術 交 流 のない 南 米 との 学 術 交 流 にも 積 極 的 に 展 開 されている 本 稿 は,フラン ス 民 事 訴 訟 法 学 界 を 代 表 するロイク カディエ 教 授 がフランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 全 体 を 鳥 瞰 する 形 式 の 最 新 の 文 献 資 料 であり,フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 を 研 究 する 上 でも 第 一 級 の 資 料 価 値 を 有 するものである 1) 本 稿 は, 全 体 の 訳 語 の 調 整 などを 出 口 雅 久 が 担 当 し, 講 義 の 前 半 の 第 一 章 裁 判 所 の 構 成, 第 二 章 歴 史 的 観 点 から 見 たフランス 民 事 訴 訟 法, 第 三 章 フランス 民 事 手 続 きの 規 律 までは 橋 本 聡 教 授 が 訳 を 担 当 し, 講 義 の 後 半 の 第 四 章 フランス 民 事 司 法 の 現 代 的 特 徴 から 終 章 までを 工 藤 敏 隆 専 任 講 師 に 担 当 していただいた パリ 第 一 大 学 法 学 部 において 司 法 訴 訟 研 究 センター 所 長 としても 辣 腕 を 振 るっておられるロイ ク カティエ 教 授 が, 本 学 の 学 生 のために 書 き 下 ろしていただいた 原 稿 であり,フ ランス 民 事 訴 訟 法 を 初 めて 学 ぶ 学 生 院 生 実 務 家 にとっても 平 易 な 文 体 で 叙 述 さ れているとともに,フランス 民 事 訴 訟 法 の 歴 史 理 論 についても 注 目 すべき 見 解 が 披 瀝 されており,また 脚 注 の 文 献 も 豊 富 であり, 民 事 訴 訟 法 の 研 究 者 にとっても 格 好 の 参 考 資 料 となると 確 信 している 最 後 に, 本 稿 を 本 学 会 誌 への 掲 載 についてご 理 解 をいただいた 本 学 会 誌 編 集 委 員 会 の 皆 様 方 に 心 より 感 謝 申 し 上 げる 次 第 である なお, 本 稿 は,2010 年 度 全 国 銀 行 学 術 研 究 振 興 財 団 の 助 成 および 平 成 23 年 度 科 学 研 究 費 ( 基 盤 研 究 B ) 課 題 番 号 : 民 事 訴 訟 原 則 におけるシビルローとコモンローの 収 斂 の 研 究 成 果 の 一 部 である 序 章 個 人 の 権 利 を 裁 判 所 において 実 現 するための 手 段 である 民 事 訴 訟 法 は, 根 本 的 に 1) フランス 民 事 訴 訟 法 翻 訳 ( 新 連 載 )フランス 民 事 訴 訟 法 研 究 会 国 際 商 事 法 務 (2010) 807 頁 以 下 が 最 新 のフランス 民 事 訴 訟 法 典 を 紹 介 している 758 ( 2206)

3 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) は, 市 民 社 会 において 裁 判 所 による 紛 争 解 決 を 規 律 するための 法 である もっと 技 術 的 に 定 義 するならば, 民 事 訴 訟 法 とは, 私 的 利 益 に 影 響 を 与 える 紛 争 を 解 決 する 権 限 をもった 裁 判 所 の 組 織 と 働 きを 規 律 する 法 的 準 則 の 束 である,と 言 えよう 本 講 義 では, 民 事 司 法 制 度 および 民 事 訴 訟 法 の 主 要 な 特 徴 を 取 り 上 げた 後,フランス 民 事 訴 訟 法 に 進 化 を 迫 る 今 日 の 傾 向 を 指 摘 する 民 事 裁 判 法 という 言 葉 がより 好 ましいであろうか,それとも 民 事 訴 訟 法 という 言 葉 であろうか この 問 いは 適 切 なものである というのも,いずれの 表 現 もフランス 法 に 見 られるので,このこと 自 体 が, 同 法 に 馴 染 みのない 読 者 を 混 乱 さ せ 得 るからである この 法 分 野 の 伝 統 的 な 名 称 は 民 事 訴 訟 法 である この 伝 統 はル イ14 世 の 治 世 にまで,より 正 確 には, 司 法 改 革 に 関 する 1667 年 4 月 の 民 事 訴 訟 王 令 にまで 遡 る この 分 野 は 同 法 令 の 最 初 の 注 釈 において 民 事 訴 訟 法 として 取 り 扱 われた この 伝 統 は 受 け 継 がれ,1806 年 民 事 訴 訟 法 典 の 下 では, 民 事 訴 訟 法 を 教 授 することは 同 法 典 を 教 授 することでしかなかった 19 世 紀 末 までこの 名 称 に 何 も 問 題 はなかったが,その 当 時 の 大 学 の 公 式 のカリキュラムである 民 事 訴 訟 法 の 授 業 に 裁 判 所 の 構 成, 裁 判 管 轄 に 関 する 準 則 および 執 行 手 続 が 加 えられることとなっ た それゆえ, 民 事 訴 訟 法 という 用 語 は 狭 小 にすぎ, 不 正 確 なものと 見 られた そ れゆえ,1940 年 初 頭, 学 者 の 中 には, 外 国 の, 特 にイタリアの 学 者 のように, 民 事 裁 判 法 (droit judiciaire privé) という 表 現 を 用 いるのを 好 む 者 もいた した がって, 民 事 裁 判 法 は,その 外 延 として, 民 事 司 法 に 関 わる 法 ( 裁 判 所 の 構 成 と 管 轄 )および 民 事 裁 判 に 関 わる 法 ( 第 一 審 手 続, 上 訴 手 続, 執 行 手 続 )を 含 むのであ る フランス 裁 判 所 の 構 成 ( 第 1 章 ),フランス 民 事 訴 訟 法 の 歴 史 的 考 察 ( 第 2 章 ), フランス 民 事 訴 訟 法 の 規 律 ( 第 3 章 ),フランス 民 事 司 法 の 現 代 的 特 徴 ( 第 4 章 ), そして 結 論 と 続 く 本 講 義 の 背 景 には,このような 意 義 に 関 する 考 察 が 存 在 している 第 一 章 裁 判 所 の 構 成 1 裁 判 体 の 構 成 1.1 単 独 裁 判 官 か 合 議 体 か? 1.2 裁 判 官 への 任 官 : 専 門 職 か,それとも 任 命 か? 2 裁 判 所 の 専 門 分 化 2.1 第 一 審 裁 判 所 2.2 控 訴 院 2.3 破 毀 院 759 ( 2207)

4 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 裁 判 所 の 構 成 と 民 事 裁 判 に 関 する 法 である 民 事 裁 判 法 は, 極 めてフランス 的 な 原 則,すなわち, 裁 判 所 構 成 における 二 元 主 義 (dualism) によって 特 徴 づけられる 裁 判 制 度 を 基 礎 にしている 2) フランスの 裁 判 所 組 織 はちょうど 二 つ 折 りの 屏 風 絵 に 似 ている すなわち, 一 方 には, 破 棄 院 を 頂 点 とするいわゆる 司 法 裁 判 所 が 階 層 的 に 編 成 されており, 他 方 には,コンセイユデタ (Conseil d Etat) を 頂 点 とする 行 政 裁 判 所 が 編 成 されている フランス 革 命 当 初,1790 年 8 月 16 日 24 日 法 によ り, 司 法 と 行 政 の 機 能 は 分 離 され, 行 政 は 司 法 裁 判 所 の 監 視 から 隔 離 された 上, 行 政 自 身 による 個 別 的 な 監 督 の 下 に 置 かれた 行 政 との 間 に 紛 争 が 生 じた 場 合, 市 民 は 処 分 権 者 の 直 属 の 上 司 に(いわゆるヒエラルキー 上 訴 ),そして 最 終 的 には, 所 管 大 臣 に 不 服 を 申 し 立 てることしかできなかった したがって, 大 臣 は 裁 判 官 兼 当 事 者 であった この 制 度 は 裁 判 官 たる 大 臣 の 理 論 に 基 づくものと 言 われてい る けれども,フランス 裁 判 制 度 の 二 重 主 義 が 真 に 形 成 されるのは,1800 年 のコン セイユデタおよび 県 参 事 会 (Conseils de préfecture) の 確 立 ならびに1872 年 5 月 24 日 法 を 待 たねばならなかった 同 法 は, 事 実 上,コンセイユデタの 自 律 的 な 裁 判 権 を 認 め,それゆえに, 留 保 された 司 法 から, 決 定 権 がもはや 執 行 府 に 残 される ことのない 委 任 された 司 法 への 移 行 を 跡 付 けた 特 筆 に 値 するのは, 同 法 によ り 権 限 裁 判 所 (Tribunal des conflits) が 創 設 されたことである 3) 同 裁 判 所 は 裁 判 所 の 二 つのヒエラルキー 間 で 生 じる 管 轄 権 に 係 る 紛 争 の 解 決 を 担 当 するが, 最 高 裁 判 所 ではない 権 限 裁 判 所 は 破 棄 院 とコンセイユデタの 構 成 員 と 同 数 の 構 成 員 で 構 成 さている このようにして,フランスでは 二 つの 通 常 の 裁 判 所 体 制 司 法 裁 判 所 と 行 政 裁 判 所 が 存 在 しているのである もっとも, 前 者 が 刑 事 および 民 事 司 法 を 担 当 していることには 留 意 すべきである では, 二 元 的 裁 判 制 度 は 将 来 も 存 続 するのであろうか? 時 が 経 たねば 分 からない ことではあるが, 二 元 主 義 の 原 則 は 何 度 となく 批 判 に 晒 され,その 批 判 はさらに 増 している,というのが 事 実 である 二 元 主 義 は 一 般 市 民 にとって, 二 つの 裁 判 所 間 における 裁 判 権 の 境 界 が 不 明 確 もしくは 一 貫 していない,またはそれぞれの 裁 判 所 の 判 例 法 が 矛 盾 するなど 実 際 上 の 複 雑 さを 生 み 出 している 行 政 内 部 では 特 別 な 裁 判 官 が 常 に 必 要 とされるであろうが, 行 政 に 行 政 自 身 の 裁 判 官 は 必 要 ない な ぜならば, 裁 判 官 へのアクセス 権 は 必 ずしも 当 該 紛 争 の 性 質 により 異 なるべきでは 2) See D. Truchet, Verbo Dualisme juridictionnel in L. Cadiet (ed.), Dictionnaire de la justice, Paris, Presses Universitaires de France, ) See P. Gonod et L. Cadiet (eds), Le Tribunal des conflits, Paris, Dalloz, ( 2208)

5 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) ないからである そうではあるが, 司 法 裁 判 所 と 行 政 裁 判 所 は 憲 法 上 および 国 際 法 上 の 共 通 の 準 則 特 に 公 正 な 裁 判 を 受 ける 権 利 に 服 することが 増 えている これらの 準 則 が 私 法 および 行 政 法 における 等 質 化 の 重 要 な 要 因 である,ということ は 理 解 されつつある 1 裁 判 体 の 構 成 1. 1 単 独 裁 判 官 か 合 議 体 か? フランス 法 は 長 年 合 議 制 の 原 則 を 採 用 している 4) 判 決 は, 一 定 の 数 の 裁 判 官, 一 般 的 には 3 名 の 裁 判 官 が 審 理 に 関 与 しかつ 合 議 に 加 わった 場 合 にしか 下 すことが できない このような 制 度 にはいくつかの 利 点 がある まず, 合 議 制 は 中 立 性 と 高 い 質 の 裁 判 を 確 保 することに 資 する 合 議 体 による 合 議 は 問 題 を 深 く 掘 り 下 げるこ とを 可 能 にし, 熟 考 を 促 し,かつ 偏 見 を 克 服 するのに 手 を 貸 してくれる また, 合 議 制 は 裁 判 官 の 独 立 をも 支 えている なぜならば, 完 全 な 非 公 開 の 下 で 裁 判 官 が 共 に 責 任 を 負 うからである これが,フランス 法 が 合 議 体 の 判 決 の 匿 名 性 および 他 の 制 度 とりわけコモンロー において 許 容 される 反 対 意 見 の 類 の 禁 止 に 執 着 す る 理 由 でもある したがって, 裁 判 官 は 脅 迫, 恨 み, 報 復 から 間 接 的 に 保 護 されて いるのである しかし, 単 独 制 に 利 点 がないわけではない 単 独 制 は 司 法 官 に 自 己 の 責 任 感 を 涵 養 し, 裁 判 活 動 を 集 約 することによって 裁 判 装 置 の 稼 働 コストを 減 少 させる 後 者 が 公 益 のためになることは 明 らかである 単 独 裁 判 官 による 裁 判 体 の 構 成 が 現 在 増 加 した 背 景 には,このようなかなりプラ グマティックな 考 慮 が 働 いているのである 確 かに,フランスの 裁 判 体 は 以 前 から 合 議 体 だけでなく 単 独 裁 判 官 により 構 成 されていた 単 独 制 の 例 は, 略 式 の 中 間 手 続 を 担 当 する 裁 判 官 であるレ フェレ (juge des référés), 破 産 裁 判 官 (jugecommissaire en matière commerciale), 治 安 判 事 (juge depaix), 小 審 裁 判 所 裁 判 官 (tribunal d instance) を 含 め,かなり 以 前 から 存 在 する しかし, 単 独 制 の 利 用 が 近 年 広 がったことは 否 定 し 難 い このような 単 独 制 の 増 加 は 民 事 事 件 において 見 られることであり, 以 下 の 状 況 に 示 されている すなわち,1945 年 創 設 の 少 年 裁 判 官 (juge des enfants),1958 年 創 設 の 収 用 裁 判 官 (juge del expropriation),1964 年 創 設 の 後 見 裁 判 官 (juge des tutelles),1972 年 から1991 年 にかけて 判 決 の 執 行 を 担 当 した 執 行 裁 判 官 (juge del exécution),1993 年 創 設 の 離 婚 事 件 裁 判 官 (juge 4) See T. LeBars, Verbo Juge unique/collégialité in L. Cadiet, Dictionnaire de la justice, Paris, Presses universitaires de France. 761 ( 2209)

6 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) aux affaires familiales),2003 年 創 設 の 近 隣 裁 判 所 (juridiction de proximité),そし て, 主 任 裁 判 官, 特 に, 大 審 裁 判 所 (tribunal de grande instance) 所 長 の 権 限 強 化 は 言 うまでもない ここで, 単 独 裁 判 官 となる 裁 判 官 はほぼ 例 外 なく 職 業 裁 判 官 で あること この 点 は 次 節 で 取 り 上 げる 裁 判 所 構 成 のもう 一 つの 側 面 につながる に 留 意 すべきである 1. 2 裁 判 官 への 任 官 : 専 門 職 か,それとも 任 命 か? フランスの 裁 判 制 度 は 職 業 裁 判 官 への 依 存 が 顕 著 であるが, 同 時 に,たいていは 歴 史 的 な 理 由 から,しかし,しばしば 予 算 の 制 約 により 素 人 のパートタイムの 裁 判 官 を 用 いる 余 地 を 残 している 裁 判 所 の 構 成 に 係 るいくつかの 準 則 がこのような 顕 著 な 依 存 を 反 映 している まず, 職 業 裁 判 官 は, 一 定 の 特 別 裁 判 所 (たとえば, 商 事 裁 判 所 (tribunal de commerce)) から 完 全 に 排 除 されているが, 他 方 で, 上 訴 裁 判 所 はすべて 職 業 裁 判 官 によって 構 成 されるので, 職 業 裁 判 官 が 必 然 的 に 前 者 の 裁 判 所 から 上 訴 を 受 ける 上 訴 裁 判 所 の 裁 判 官 となる そうは 言 っても,この 排 除 は 時 として 部 分 的 なものでしかない それゆえ, 労 働 裁 判 所 (conseil de prud hommes) は 原 則 として 職 業 裁 判 官 を 含 まないが, 裁 判 所 が 偶 数 の 裁 判 官 で 構 成 され, 評 決 が 可 否 同 数 となった 場 合, 実 際 には 小 審 裁 判 所 の 裁 判 官 である, 決 裁 裁 判 官 と 呼 ばれ る 職 業 裁 判 官 の 所 長 の 下 で 裁 判 所 が 再 び 構 成 される 一 定 の 事 件 においては 参 審 制 (échevinage) として 知 られる 制 度 が 存 在 し,その 制 度 において 裁 判 所 は 素 人 の パートタイム 裁 判 官 と 裁 判 長 である 職 業 裁 判 官 とで 構 成 される 社 会 保 障 事 件 裁 判 所 (tribunaux des affaires de sécurité sociale) お よ び 農 事 賃 貸 借 同 数 裁 判 所 (tribunaux paritaires des baux ruraux) がこの 制 度 をとっている 同 じように, 採 用 手 続 も,ある 意 味 において 職 業 司 法 官 とパートタイムの 素 人 裁 判 官 の 違 いを 例 証 するものである 後 者 についていえば, 一 般 的 には, 利 害 母 体 に よる 選 挙 の 結 果, 裁 判 官 への 道 が 開 かれる 商 事 裁 判 所, 労 働 裁 判 所 および 農 地 賃 貸 借 同 数 裁 判 所 [の 裁 判 官 ]がこれにあたる 任 命 により 裁 判 官 への 道 が 開 かれる のは 極 めて 例 外 的 である この 例 外 にあたるのが 社 会 保 障 裁 判 所 および 近 隣 裁 判 所 [の 裁 判 官 ]である いずれにせよ, 競 争 試 験 (concours) の 制 度 はこれらの 非 職 業 裁 判 官 には 適 用 されない 重 罪 院 (Cour d assises) における 陪 審 の 選 任 におい て 用 いられるような 抽 選 の 方 法 も 適 用 されない それとは 対 照 的 に, 職 業 司 法 官 (magistrats de carrière) の 採 用 は, 他 のすべての 公 務 員 のそれと 同 じく, 原 則 と して 競 争 試 験 により(あるいは, 資 格 および 試 験 の 両 方 に 基 づいて) 行 われる 資 格 に 基 づく 特 別 採 用 (Lateral recruitment) は 稀 である 762 ( 2210)

7 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 2 裁 判 所 の 専 門 分 化 2. 1 第 一 審 裁 判 所 通 常 の 司 法 制 度 内 部 に 民 事 裁 判 所 と 刑 事 裁 判 所 が 併 存 しているが, 後 者 について はここで 取 り 上 げない 民 事 裁 判 所 組 織 は 比 較 的 単 純 である 第 一 審 においては, 大 審 裁 判 所 ((tribunal de grande) イギリスの 高 等 法 院 またはドイツの 地 方 裁 判 所 に 相 当 する)が 要 であ る これは, 同 裁 判 所 が 通 常 の,しかも 一 般 管 轄 権 を 有 する 裁 判 所 だからである が,しかし,このことによって,たとえば, 身 分, 不 動 産 紛 争 および 判 決 の 執 行 な ど 多 くの 事 項 について 同 裁 判 所 が 排 他 的 な 管 轄 権 を 行 使 することを 妨 げられるわけ ではない 同 裁 判 所 は 県 (département) をその 管 轄 区 域 とする しかし, 人 口, 事 件 数 および 通 信 手 段 によっては, 県 に 複 数 の 大 審 裁 判 所 が 存 在 する 場 合 もある 大 審 裁 判 所 は 全 部 で(100の 県 に)163あり, 同 裁 判 所 に 付 随 して, 法 定 の 事 件 につ いてのみ 裁 判 することのできる 特 別 な 管 轄 権 をもった 裁 判 所 が 存 在 する もうひとつの 第 一 審 裁 判 所 は 小 審 裁 判 所 ((tribunal d instance) イギリスの 郡 裁 判 所 またはドイツの 区 裁 判 所 に 相 当 する)である これは 従 来 の 治 安 裁 判 所 に 代 わ るものであり, 少 額 の 民 事 事 件 (たとえば, 近 隣 紛 争, 借 地 権 事 件 および 10,000 未 満 の 債 務 に 係 る 事 件 )について 管 轄 権 を 有 する 同 裁 判 所 は, 原 則 として, 県 の 下 部 行 政 区 であるいくつかのカントン (cantons) をその 管 轄 区 域 とする 同 裁 判 所 はいくつかのカントンで 構 成 される 郡 (arrondissement) をその 管 轄 区 域 とす るのが 通 常 である( 各 県 はいくつかの 郡 で 構 成 されている) 小 審 裁 判 所 の 数 は305 である 2002 年 9 月 9 日 法 以 来, 訴 額 が4,000 未 満 の 事 件 を 担 当 する 近 隣 裁 判 所 裁 判 官 も 存 在 している これら305の 小 審 裁 判 所 は 支 払 命 令 ( 督 促 手 続 (mahnverfahren) に 相 当 する injonction de payer) および 作 為 命 令 (injonction de faire) を 発 令 する 管 轄 権 も 有 している 近 隣 裁 判 所 は 理 論 上 は 完 全 な 裁 判 所 である が, 同 裁 判 所 は, 法 の 適 用 または 当 事 者 を 拘 束 する 契 約 の 解 釈 に 係 る 重 大 な 法 律 上 の 困 難 に 直 面 したと 認 めるとき, 当 該 事 件 を 小 審 裁 判 所 裁 判 官 に 移 送 すること ができ, 小 審 裁 判 所 裁 判 官 は 近 隣 裁 判 所 裁 判 官 のごとく 当 該 事 件 を 裁 判 することが できる (CPC, art ). 商 事 裁 判 所 (tribunaux de commerce) はフランス 司 法 組 織 の 中 で 最 も 古 い 裁 判 所 であり,その 歴 史 は 中 世 末 期 にまで 遡 る 今 日, 同 裁 判 所 は135に 上 る 極 めて フランス 的 な 制 度 である 商 事 裁 判 所 は 合 議 体 による 裁 判 所 であり, 同 僚 により 選 出 された 商 人 のみにより 構 成 される(もっとも, 撤 回 されているものの, 同 裁 判 所 を 商 人 と 職 業 裁 判 官 の 同 数 で 構 成 する 同 数 裁 判 所 へ 変 えるべきであるとの 提 案 も 763 ( 2211)

8 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) なされた ) 商 事 裁 判 所 の 管 轄 は, 商 人 間 の 紛 争 と 定 義 される 商 事 事 件 だけでな く, 商 人 の 行 為 でなくとも( 為 替 手 形 など) 商 行 為 に 係 る 紛 争, 商 事 会 社 に 関 する 事 件,そして 商 人 の 破 産 手 続 に 及 ぶ 労 働 裁 判 所 (conseil de prud hommes) は19 世 紀 初 頭 に 創 設 され, 労 働 契 約 また は 見 習 契 約 から 生 じる 個 別 的 紛 争 を 解 決 する 同 裁 判 所 では,まず 調 停 が 試 みら れ, 調 停 が 不 調 に 終 わった 場 合, 判 決 により 当 該 紛 争 が 解 決 される 現 在,210の 労 働 裁 判 所 が 存 在 する 労 働 裁 判 所 裁 判 官 は 選 挙 により 労 使 双 方 から 同 数 が 選 任 さ れる 他 のふたつの 例 外 裁 判 所 は,いずれもすべて 市 民 により 構 成 される 裁 判 所 ( 参 審 制 による 裁 判 所 (juridictions échevinales) として 知 られている)であり,20 世 紀 の 中 葉 に 創 設 された それらは, 社 会 保 障 事 件 裁 判 所 現 在,116の 裁 判 所 が 存 在 し, 社 会 保 障 制 度 への 加 入, 拠 出 金 および 給 付 などの 社 会 保 障 に 係 る 紛 争 につい て 管 轄 する と, 農 事 賃 貸 借 同 数 裁 判 所 現 在,305の 裁 判 所 が 存 在 し,そ の 名 称 が 示 すとおり, 地 主 小 作 間 の 農 地 賃 貸 借 に 係 る 事 件 について 管 轄 する である 2. 2 控 訴 院 上 訴 権 の 歴 史 は 非 常 に 古 いが,その 理 論 的 な 根 拠 は 時 代 と 共 に 変 化 している 1789 年 フランス 革 命 前 のアンシャン レジーム 下 での 上 訴 は, 本 質 的 には, 政 治 的 な 問 題 に 対 するひとつの 対 応 であった 多 様 な 裁 判 所 ( 国 王 の 裁 判 所, 封 建 裁 判 所,そして 教 会 裁 判 所 )が 存 在 したために, 裁 判 所 の 判 決 は 幾 重 もの 上 訴 に 服 する 可 能 性 があった これは, 王 権 が 直 接 及 ぶ 範 囲 内 に 事 件 を 徐 々に 囲 い 込 むことを 目 的 としていた 上 訴 は, 貴 族 および 教 会 の 双 方 に 対 する 国 王 の 権 限 を 強 化 するため の 手 段 として, 政 治 的 な 目 的 に 仕 えていた 権 力 分 立 への 信 念 に 加 え,いかなる 政 治 的 な 役 割 をも 裁 判 官 には 否 定 したいという 願 望 から, 革 命 期 の 議 会 は,このよう ないかなる 政 治 的 な 理 由 をも 否 定 し, 技 術 的 な 考 慮 を 優 先 した それゆえ, 上 訴 と は 善 き 正 義 の 保 障 を 表 象 するものとなり,そのためには 二 審 制 で 充 分 であろう,と 考 えられるようになった 上 訴 は, 不 服 申 立 てのなされた 判 決 の 変 更 または 破 棄 を 許 容 した そして, 上 訴 は 第 一 審 裁 判 所 よりも 上 級 裁 判 所,すなわち, 控 訴 院 に 提 起 されるのが 普 通 であった 民 事 事 件 の 訴 訟 当 事 者 は 第 一 審 で 敗 訴 した 場 合, 第 二 審 において 当 該 事 件 の 再 審 理 を 求 める 権 利 を 有 している 第 二 審 は 最 終 審 でありかつ 第 一 審 手 続 が 終 結 した 後 でなければアクセスできないのであるから, 真 に 第 二 審 である しかし,この 原 則 764 ( 2212)

9 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) さえも 絶 対 的 ではない この 第 二 審 へアクセスできない 場 合 がしばしばある 訴 訟 当 事 者 は 一 定 の 条 件 の 下 で 上 訴 を 放 棄 することができる 訴 額 が 少 額 である (4000 ) または 事 件 が 特 殊 である(たとえば, 選 挙 に 関 わる 事 件 )ことを 理 由 として, 法 律 により 第 二 審 へのアクセスを 禁 止 することもできる 原 則 として, 上 訴 は 通 常 の 一 般 的 管 轄 権 をもった 第 二 審 裁 判 所 によって 構 成 されている 35ある 控 訴 院 のひとつに 提 起 される 極 めて 稀 ではあるが, 社 会 保 障 分 野 における 技 術 的 な 問 題 を 扱 う 訴 訟 については, 全 国 障 害 者 裁 判 所 (Cour nationale de l incapacité) のよ うな 別 の 裁 判 所 へ 上 訴 がなされることもある 2. 3 破 毀 院 いわゆる 二 審 制 の 原 則 により, 訴 訟 当 事 者 は 法 と 事 実 の 両 面 において 2 度 裁 判 を 受 ける 資 格 を 有 する しかし, 民 事 商 事 刑 事 事 件 におけるフランスの 最 上 級 審 へのさらなる 上 訴 権 が 認 められることによって, 訴 訟 当 事 者 は, 下 級 審 判 決 が フランスにおける 法 の 支 配 に 適 合 しているか 否 かを 審 査 し, 適 切 な 場 合 には 同 判 決 を 破 毀 してもらう 権 利 を 保 障 されている 破 毀 院 への 破 毀 申 立 て (le pourvoi en cassation) は, 法 定 された 事 件 についての み 可 能 であるという 意 味 において, 原 則 として 例 外 的 なものである 破 毀 申 立 てが 認 められる 場 合, 破 毀 院 は, 第 一 審 のものであれ 第 二 審 のものであれ, 事 実 審 裁 判 所 の 下 した 判 決 が 法 に 適 合 していない 点 を 非 難 する 1804 年 に 創 設 された 破 毀 院 は, 行 政 裁 判 所 のヒエラルキー 内 におけるコンセイユデタの 位 置 と 同 じく, 司 法 裁 判 所 の 頂 点 に 位 置 する 唯 一 の 裁 判 所 である 破 毀 院 はパリに 所 在 し, 高 級 司 法 官 に より 構 成 される 5) 事 実 問 題 と 法 律 問 題 が 区 別 されるので, 破 毀 院 への 上 訴 は 第 三 審 による 司 法 審 査 を 意 味 しない 法 律 審 でしかない 破 毀 院 には, 下 級 審 裁 判 所 の 法 律 解 釈 およびその 認 定 した 破 毀 院 が 審 査 する 権 限 を 有 していない 事 実 への 法 の 適 用 が 正 しい ことを 確 かめる 権 限 しかないのである その 役 割 は, 当 該 事 件 の 本 案 について 裁 判 することにあるのではなく, 不 服 を 申 し 立 てられた 判 決 の 合 法 性 について 裁 判 する ことに 限 定 されている しばしば 次 のように 表 現 される すなわち, 破 毀 院 に 提 示 されるのは 紛 争 それ 自 体 ではない,それゆえに,その 役 割 は 控 訴 院 が 行 うであろう ように 当 該 事 件 を 再 審 理 するのではなく, 下 級 審 の 終 局 判 決 だけを 再 審 査 するので 5) See J. Buffet, Verbo Cour de cassation, in L. Cadiet (ed.), Dictionnaire de la justice, Paris, Presses Universitaires de France, ( 2213)

10 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) ある,と その 結 果, 破 毀 院 への 破 毀 申 立 てに 理 由 があると 認 められても, 事 実 審 裁 判 官 の 判 決 に 代 えて 自 ら 判 決 する 権 限 は, 原 則 として, 同 裁 判 所 にはない 破 毀 院 は 不 服 を 申 し 立 てられた 判 決 を 取 り 消 す,すなわち, 破 毀 し, 当 該 事 件 を 下 級 審 裁 判 所 へ 差 し 戻 し, 下 級 審 裁 判 所 が 当 該 事 件 を 再 び 裁 判 するのである 破 棄 院 はア メリカでいう 最 高 裁 ではないのである 破 毀 院 は, 破 毀 申 立 て 事 件 についてこのような 司 法 機 能 を 果 たすことに 加 えて, もっ と 広 範 な 役 割 を 果 たしている そ の 判 決 は, 有 権 的 なもの (faire jurisprudence) を 意 味 する,すなわち,すべての 裁 判 所 にとっての 参 照 点 として 働 くのである もっとも,これは, 破 毀 院 の 判 決 がコモンロー 体 系 における 先 例 あ るいはフランス 革 命 前 のアンシャン レジーム 体 制 下 で 知 られた 法 規 判 決 (arrêts de règlement) のような 拘 束 力 を 有 していることを 意 味 しない 破 毀 院 の 判 決 が 有 権 的 である 場 合 には,それは, その 権 威 ゆえ でなく, その 理 由 に 権 威 があるか ら なのである 法 令 解 釈 の 統 一 を 確 保 することも 破 毀 院 の 主 要 な 任 務 のひとつで ある これは, 法 の 下 の 平 等 原 則 から 要 請 される 任 務 である 第 二 章 歴 史 的 観 点 から 見 たフランス 民 事 訴 訟 法 1 新 民 事 訴 訟 法 典 の 起 源 2 新 民 事 訴 訟 法 典 の 形 式 2.1 構 造 2.2 様 式 3 新 民 事 訴 訟 法 典 における 民 事 訴 訟 の 政 治 的 な 捉 え 方 3.1 訴 訟 の 指 導 原 則 の 源 泉 3.2 訴 訟 の 指 導 原 則 の 意 味 3.3 訴 訟 の 指 導 原 則 の 内 容 協 働 主 義 対 審 の 原 則 法 制 史 家 は,1806 年 民 事 訴 訟 法 典 の 導 入 から 第 5 共 和 政 の 樹 立 以 降 にまで 及 ぶ 長 期 間 に 起 こった 発 展 を 振 り 返 ってきた 6) この 発 展 から 生 まれたのが1975 年 新 民 事 訴 訟 法 典 (nouveau Code de procédure civile) である フランス 新 憲 法 第 37 条 は 民 事 訴 訟 法 に 関 する 事 項 についての 立 法 権 限 を 政 府 に 付 与 した 規 定 であり, 新 法 典 は 6) See A. Wijffels, French civil procedure ( ), inc.h. van Rhee (ed.), European traditions in civil procedure, Intersentia, Antwerpen-Oxford, 2005, p ( 2214)

11 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 同 条 に 則 って 制 定 された 憲 法 のこの 条 項 は 極 めて 思 慮 深 い 目 的 のために 導 入 され たものである すなわち, 同 規 定 は,それまでの 間, 法 律 家 が 支 配 した 当 時 の 議 会 により 妨 げられてきた 改 革 を 可 能 にするために 設 けられた 規 定 なのであ る フランス 民 事 訴 訟 法 の 発 展 を 以 上 のような 仕 方 で 叙 述 したならば,その 発 展 は 単 純 であるようにみえるが,しかし 現 実 はもっと 緻 密 なものであった 新 民 事 訴 訟 法 典 の 生 まれた 理 由 はひとつだったわけではない 注 意 深 く 考 え 抜 いた 結 果 もたらさ れたのが 新 法 典 である とりわけ, 同 法 典 の 背 後 には,1806 年 法 典 の 課 す 制 約 から の 解 放 を 追 及 する 思 想 があった(1) この 解 放 は, 既 に 立 法 府 が 新 民 事 訴 訟 法 典 に 与 えた 形 式 の 中 に 見 てとれるだけでなく(2), 法 典 の 内 容 にも 含 まれている 新 法 典 は 民 事 手 続 の 現 代 的 な 捉 え 方 を 伝 える 法 典 なのである(3) 1 新 民 事 訴 訟 法 典 の 起 源 新 民 事 訴 訟 法 典 は,1963 年 から1981 年 まで 続 いた 民 事 訴 訟 法 の 大 改 革 が 結 実 した 結 果 生 まれた アンリ モトゥルスキー7) と 共 に 同 法 典 の 主 要 な 起 草 者 の 一 人 で あったコルヌ 法 学 部 長 は, 新 法 典 の20 周 年 記 念 祝 賀 において, 新 民 事 訴 訟 法 典 の 到 来 を 回 顧 している 8) 冒 険 は1963 年 に 始 まった 1963 年 から1968 年 までの 期 間 が 新 法 典 の 草 創 期 であ る 法 学 部 教 授 であり 後 にミッシェル デブレ 政 権 下 で 司 法 相 に 就 任 したジャン フォワイエは, 学 者 と 実 務 家 の 双 方 に 対 して 現 行 民 事 訴 訟 法 の 改 革 を 行 うよう 訴 え た 9) 初 めて 改 革 を 促 され, 試 行 的 なものながら,1965 年 10 月 13 日 号 デクレ が 生 まれた 10) 同 デクレは,1958 年 のフランス 司 法 制 度 改 革 当 時 に 存 在 した 第 一 7) See G. Bolard, Verbo Motulsky (Henri), in L. Cadiet (ed.), Dictionnaire de la Justice, Paris, Presses universitaires de France, ) G. Cornu, L avènement du nouveau Code de procédure civile La codification, in : Cour de cassation (ed.), Le nouveau Code de procédure civile : vingt ans après, Paris, La documentation française, 1998, p ) 改 革 委 員 会 のメンバーは 以 下 のとおり ジェラール コルヌ (Dean of the Law Faculty of Poitiers) ;ピエール フランコン ( directeur adjoint des affaires civiles au Ministère de la justice ) ; ア ンリ モ トゥ ル ス キー (Professor at the University Paris X Nanterre) ジェラール コルヌはジャン フォワイエと 共 に 民 事 訴 訟 法 のハンドブッ クを 著 しているが, 同 書 では 民 事 訴 訟 法 の 論 じ 方 が 刷 新 された G. Cornu and J. Foyer, Procédure civile, Paris, Presses universitaires de France, ) Journal officiel de la République française, 14 October 1967, ( 2215)

12 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 審 裁 判 所 (Tribunal de première instance) に 取 って 代 わった 大 審 裁 判 所 において, 準 備 裁 判 官 ( mise en état ) の 指 揮 の 下 で 事 件 を 準 備 するための 手 続 を 創 設 し た 11) 1965 年 10 月 13 日 デクレに 基 づく 民 事 訴 訟 法 典 の 改 革 および 訴 訟 の 指 導 原 則 ( La réforme du code de procédure civile par le décret du 13 octobre 1965 et les principes directeurs du procès ) と 題 する 同 デクレに 関 する 論 文 において 12),ア ンリ モ トゥ ル ス キーは 訴 訟 の 指 導 原 則 (フランス 語 で は,les principes directeurs du procès) という 文 言 の 規 範 化 を 試 みている 13) 新 民 事 訴 訟 法 典 の 起 草 が 政 治 的 に 決 断 されたのは1968 年 のことであった 民 事 訴 訟 法 典 改 正 委 員 会 は1969 年 に 設 立 された ( 当 時, 司 法 大 臣 ではなかった)ジャ ン フォワイエが 同 委 員 会 座 長 に 選 任 された 彼 は 同 委 員 会 がその 役 目 を 終 える 1980 年 末 まで 座 長 の 任 にあった 同 委 員 会 は 3 つの 同 心 円 をもって 構 成 された,と 説 明 できよう 最 も 大 きな 円 は 約 50 人 の 委 員 によって 構 成 される 主 要 委 員 会 にあた る 同 委 員 会 の 委 員 は 様 々な 専 門 家 により 構 成 され,そのいずれもが 改 革 に 関 心 を 持 っていた 中 ぐらいの 円 が 約 15 名 で 構 成 される 小 委 員 会 にあたる 14) 小 委 員 会 の 委 員 は 起 草 チームの 用 意 した 法 文 案 の 検 討 および 修 正 を 担 当 した この 起 草 チー ムが 改 正 委 員 会 の 中 心 に 位 置 づけられた ジェラール コルヌ,ピエール フラン コン,クロード パロディ,そしてアンリ モトゥルスキー( 彼 は1971 年 に 他 界 す るまで)が 15),そのメンバーを 務 めた 11) See G. Cornu and J. Foyer, Commentaire de la Réforme judiciaire (22 décembre 1958), Paris, Presses universitaires de France, 1960, p ) Semaine Juridique, 1966, I, p See also H. Motulsky, Ecrits, Volume I : Études et notes de procédure civile, Paris : Dalloz, 1973, p. 130 ff. 13) See G. Rouhette, L influence en France de la science allemande du procès civil et du Code de procédure civile allemand, in W.J. Habscheid, Das deutsche Zivilprozessrecht und seine Ausstrahlung auf andere Rechtsordnungen, Bielefeld, Gieseking-Verlag, 1991, p. 159 ff. 14) 当 初 のメンバ 以 外 には,ロジェ ペロ,クロード パロディ,ポール エーゲル, ジャンーバティス シアレイユ,ポール フォンテーヌートランシャン,モーリス パ ルマンティエール,そしてアンドレ ベルテラが 含 まれる 15) アンリ モトゥルスキーは 第 一 デクレの 注 釈 書 を 執 筆 中 に 他 界 したが,その 4 年 後 同 書 は 新 民 事 訴 訟 法 典,すなわち,1971 年 9 月 号 デクレを 生 み 出 す instituant de nouvelles règles de procédure destinées à constituer partie d un nouveau Code de procédure civile. See H. Motulsky, Prolégomènes pour un futur Code de procédure civile : la consécration des principes directeurs du procès civil par le décret du 9 septembre 1971, Paris, Dalloz, 1972, Chronique, XVII( 以 下 にも 所 収 H. Motulsky, Ecrits, Volume I : Études et notes de procédure civile, supra footnote 11, p ) 768 ( 2216)

13 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 同 委 員 会 が 採 用 した 法 典 編 纂 の 方 針 は, 法 典 の 全 編 を 一 時 に 起 草 するのではな く, 暫 時 的 に,すなわち, 順 次 デクレを 発 することにより 進 める,というもので あった そして,このようにしてなされた 暫 時 的 な 改 正 は, 最 終 的 にはそれらの 改 正 すべてを 統 合 する 統 合 デクレ を 執 行 することによって, 新 民 事 訴 訟 法 典 の 制 定 へと 結 びつくことが 予 定 された このような 手 続 が 採 用 されることにより, 委 員 会 は 既 に 発 行 されたデクレに 基 づいて 行 われた 実 務 の 経 験 から 得 られた 教 訓 を 考 慮 して, 法 典 編 纂 を 完 成 させる 際 に 必 要 な 修 正 を 行 う,ということが 可 能 となった 第 一 段 階 における 委 員 会 の 任 務 は, 新 民 事 訴 訟 法 典 の 一 部 となるべき 新 たな 手 続 法 の 制 定 あるいは 新 民 事 訴 訟 法 典 に 統 合 されるべきこと を 目 指 して, 4 つの デクレを 公 布 することにあった 16) これらの 異 なるデクレの 統 合 を 進 める 方 針 が 立 案 されたのは1974 年 になってのことである したがって,この 一 組 の 別 々のデク レが1975 年 12 月 5 日 デクレ1123 号 の 形 式 で 実 際 に 統 合 されたのは, 改 正 作 業 の 第 二 段 階 になってである このデクレにより 新 民 事 訴 訟 法 典 が 制 定 されることとな る 17) このデクレの 意 図 は,( 新 法 典 がそれに 取 って 代 わることになる)1971 年 デ クレ,1972 年 デクレならびに1973 年 デクレの 規 定 にいくつかの 修 正 を 施 す 機 会 を 同 委 員 会 に 与 えることにあった 18) そして,1976 年 1 月 1 日 新 法 典 が 施 行 された 19) しかしながら, 施 行 当 時, 新 法 典 は 完 全 なものではなかった すなわち,その 972ヶ 条 の 条 文 は 第 1 編 (Livre 1) すべての 裁 判 所 に 共 通 する 規 定 と 第 2 編 (Livre 2) 各 裁 判 所 に 特 別 な 規 定 で 構 成 されているにしかすぎない それゆえ 改 正 作 業 はその 後 も 継 続 された 20) 新 法 典 が 現 在 の 形 式 をとるに 至 るのは1981 年 になってのことである すなわち,1981 年 5 月 12 日 デクレ500 号 により, 第 3 編 (Livre 3) 一 定 の 事 項 に 特 別 な 規 定 および 第 4 編 (Livre 4) 仲 裁 が 制 定 され た これら 2 編 を 組 み 入 れたことによって, 新 法 典 は1507ヶ 条 の 条 文 により 構 成 さ れることとなった 新 民 事 訴 訟 法 典 の 当 初 の 編 纂 方 針 には, 強 制 執 行 に 関 する 第 5 16) The décrets No of 9 September 1971, No of 20 July 1972, No of 28 August 1972 and No of 17 December ) Journal officiel de la République française, 1975, 188 p. 18) Article 2, décret 5 December ) 1977 年 1 月 1 日,Alsace (Bas-Rhin and Haut-Rhin) and Moselle の 3 つの 部 において : Article 3, décret 5 December ) With the décrets No of 29 July 1976, No of 28 December 1976, No of 7 November 1979 (reform of civil procedure at the Cour de cassation), No of 23 November ( 2217)

14 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 編 (Livre 5) が 含 まれていた ところが,この 方 針 は 断 念 され, 強 制 執 行 について は 独 立 の 法 典 において 規 定 することが 決 定 された したがって, 新 民 事 訴 訟 法 典 の 編 纂 は 最 後 の2 編 (Livres 3 et 4) を 組 み 入 れたことにより 完 了 したと 考 えること ができるが, 後 に, 海 外 に 関 する 規 定 である 第 6 編 が 加 えられた けれども,1975 年 民 事 訴 訟 法 典 は,1806 年 の 旧 民 事 訴 訟 法 典 と 区 別 をするという 意 味 で, 未 だ に 新 民 事 訴 訟 法 典 と 呼 ぶことができる それにもかかわらず, 旧 法 典 のいくつ かの 規 定 は2007 年 まで 引 き 続 き 適 用 されていた 21) 2007 年 12 月 20 日 の 簡 素 化 法 が 1806 年 民 事 訴 訟 法 典 を 廃 止 したとこにより, 新 民 事 訴 訟 法 典 が 唯 一 の 民 事 訴 訟 法 典 となった 22) 完 成 された 法 典 あるいは 完 成 途 上 の 法 典 としての 新 民 事 訴 訟 法 典 については, 既 に 多 くの 論 稿 がある 23) それらの 著 者 には, 同 法 典 の 起 草 に 実 際 に 関 わるという 歴 史 的 な 役 目 を 自 らが 担 った 者 も 含 まれている 24) 新 法 典 は 民 事 訴 訟 法 上 の 問 題 に 対 する 関 心 にとどまらず, 法 律 制 定 の 特 別 な 手 段 としての 法 典 編 纂 に 対 する 関 心 をも 呼 び 起 こした 特 に 新 民 事 訴 訟 法 典 は 法 典 に 対 するフランス 人 の 情 熱 を 象 徴 しており,この 情 熱 は 第 5 共 和 制 の 下 でも 生 きながらえている 25) 先 ごろ 行 わ れたナポレオン 民 法 典 200 周 年 記 念 祝 賀 は, 法 典 が 有 する,あのまばゆいばかりの 無 類 の 性 質 をなお 一 層 示 している 26) 21) 特 に, 不 動 産 執 行 に 関 する 準 則 と 諸 手 続 に 関 する 準 則 ( 目 的 不 動 産 の 評 価 が 誤 ってい たことを 理 由 とする 不 動 産 売 却 に 対 する 異 議,あるいは 死 者 の 財 産 を 受 け 取 る 申 請 ) 22) 法 の 簡 素 化 に 関 しては,L. No of 20 December 2007 on simplification of law (JO 21 Dec., p See H. Croze : Procédures 2008, Repères 2) 施 行 法 令 の 一 切 につき, 新 民 事 訴 訟 法 典 という 文 言 が 民 事 訴 訟 法 典 という 文 言 に 置 き 換 えられる (Art. 22, D. No , 22 May 2008) 23) G. Bolard, Le Nouveau Code de procédure civile, in Mélanges J. Skapski, Kraków, 1994, p. 9 ff. L. Cadiet, Le Code, in : Cour de cassation (ed.), (ed.), Le nouveau Code de procédure civile : vingt ans après supra footnote 7, p J. Héron, Le nouveau Code de procédure civile, in B. Beignier (ed.), La codification, Paris Dalloz, 1997, p ) G. Cornu, La codification de la procédure civile en France, Revue juridique et politique, 1986, p. 689 ff ; G. Cornu, L élaboration du Code de procédure civile, Revue d histoire des facultés de droit et de la science juridique, 1995, p. 241 ff. C. Parodi, L esprit général et les innovations du Nouveau Code de procédure civile, Defrénois, 1976, p. 673 ff. 25) See J. Carbonnier, Droit et passion du droit sous la Vème République, Paris, Flammarion, ) 特 に Le Code civil Livre du bicentenaire, Paris, Dalloz et Litec, 2004 を 参 照 770 ( 2218)

15 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 2 新 民 事 訴 訟 法 典 の 形 式 人 により 用 いる 表 現 は 異 なるが, 民 事 訴 訟 法 典 の 研 究 者 は 同 じ 現 実 を 目 にしてい る まず, 新 法 典 は ひとつの 方 針,すなわち,ひとつの 構 造 であり, 第 二 に, それは 様 式 である 2. 1 構 造 旧 民 事 訴 訟 法 典 の 構 造 はその 合 理 性 ゆえに 輝 いていたわけではない それは 2 つ の 部 により 構 成 されていた 裁 判 所 における 手 続 と 題 された 第 1 部 は5 編 に 分 けられていた 各 編 は, 治 安 裁 判 所 (Justices de Paix), 下 級 審 裁 判 所, 控 訴 裁 判 所, 判 決 を 攻 撃 する 特 別 な 方 法 ならびに 判 決 の 執 行 について,それぞれ 規 定 してい た 各 種 の 手 続 と 題 された 第 2 部 は3 編 により 構 成 された 第 1 編 に 表 題 はな く,12 章 により 成 り 立 っていた 第 2 編 は 相 続 開 始 に 関 する 手 続 を 規 定 してお り, 第 3 編 は 仲 裁 という 表 題 の 単 一 の 章 から 成 っていた 控 え 目 な 言 い 方 をす れば,この 目 次 は 意 味 をなしていない 旧 法 典 は1806 年 の 立 法 府 の 意 思 の 表 象 では なく, 歴 史 が 遺 した 方 針 だったのである 従 来 とは 異 なり, 改 革 者 たちは,20 世 紀 の 民 事 訴 訟 法 典 編 纂 への 挑 戦 を 目 の 当 た りにして,すぐさま, 法 典 の 方 針 という 問 題 について 考 慮 を 始 めた 27) 新 民 事 訴 訟 法 典 の 方 針 は 理 性 の 作 品 であり,ナポレオン 時 代 の 法 典 編 纂 の 立 法 哲 学 を 回 復 し た この 思 想 自 体, 近 代 にその 端 緒 をみる 法 の 合 理 化 の 一 部 である 28) 大 審 裁 判 所 における 手 続 を 出 発 点 とした 法 典 編 纂 を 試 みた 後 に 明 らかになったこ とは, 民 事 裁 判 官 自 身 の 立 場 から,より 抽 象 度 の 高 いレベルで 推 論 を 行 わなければ ならない,ということである 言 い 換 えるならば, 標 準 的 な 民 事 手 続 ( standard civil procedure ) が 存 在 しなければならない,という 前 提 から 出 発 しなければな らない,ということである このような 観 点 から, 大 審 裁 判 所 における 手 続 は 手 続 の 原 型,すなわち,すべての 民 事 訴 訟 を 包 括 的 に 規 律 する 準 則 を 表 したものでは なくなった のである 立 案 された 方 針 は 以 下 のとおりである すなわち, 法 典 の 第 1 編 の 使 命 はすべての 裁 判 所 に 共 通 の 準 則,すなわち, 個 々の 裁 判 所 の 性 格 にも かかわらず 適 用 されるべき 基 本 的 な 準 則 を 確 立 することにあった 第 2 編 は, 第 一 審 裁 判 所, 控 訴 審 裁 判 所 および 破 毀 院 それぞれに 特 別 な 準 則 を 規 定 することに 充 て られた 第 3 編 は, 訴 訟 から 抽 出 された 別 の 規 準 を 導 入 し, 一 定 の 事 項 ( 離 婚, 占 27) G. Cornu, supra footnote 23, 1995, p ) See, especially, J. Domat, Les loix civiles dans leur ordre naturel. 771 ( 2219)

16 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 有 訴 訟 など)についての 特 別 規 定 を 加 えることを 意 図 した 29) そして, 他 の3 編 とは 手 続 的 にも 実 体 的 にも 異 なるという 理 由 で, 仲 裁 を 規 定 する 第 4 編 が 編 まれ た それゆえ, 上 述 したように, 新 民 事 訴 訟 法 典 は 以 下 の 4 編 で 構 成 されている 第 1 編 すべての 裁 判 所 に 共 通 する 規 定 30), 第 2 編 各 裁 判 所 に 特 別 な 規 定 31), 第 3 編 一 定 の 事 項 に 特 別 な 規 定 32), 第 4 編 仲 裁 ( 国 内 国 際 の 双 方 を 含 む) (1442 条 1507 条 ) そして 最 近, 第 4 編 は2011 年 1 月 13 日 デクレにより 改 正 され, 同 法 典 は 今 や1582 条 で 構 成 されることとなった 同 法 典 の 各 章 および 各 節 の 諸 条 項 はいずれも, 一 般 から 具 体 へと 規 定 されてい る すなわち,まず 諸 原 則 が 規 定 され, 二 次 的 な 準 則 および 例 外 がそれに 続 いてい る たいていの 場 合, 共 通 の 条 項 がまず 規 定 され, 個 々の 事 項 に 関 する 特 別 規 定 が それに 続 く 33) この 観 点 からは, 判 決 に 対 する 不 服 申 立 て 手 段 に 関 する 準 則 と 同 29) G. Cornu, supra footnote 23, 1995, p ) Titre 1er. Dispositions liminaires ; Titre 2. L action ; Titre 3. La compétence ; Titre 4. La demande en justice ; Titre 5. Les moyens de défense ; Titre 6. La conciliation ; Titre 7. L administration judiciaire de la preuve ; Titre 8. La pluralité de parties ; Titre 9. L intervention ; Titre 10. L abstention, la récusation et le renvoi ; Titre 11. Les incidents d instance ; Titre 12. Représentation et assistance des parties ; Titre 13. Le ministère public ; Titre 14. Le jugement ; Titre 15. L exécution du jugement ; Titre 16. Les voies de recours ; Titre 17. Délais, actes d huissier de justice et notifications ; Titre 18. Les frais et les dépens ; Titre 19. Le secrétariat de la juridiction ; Titre 20. Les commissions rogatoires ; Titre 21. Disposition finale. 31) Titre 1er. Dispositions particulières au Tribunal de grande instance ; Titre 2. Dispositions particulières au tribunal d instance et à la juridiction de proximité ; Titre 3. Dispositions particulières au tribunal de commerce ; Titre 4. Dispositions particulières aux juridictions statuant en matière prud homale ; Titre 5. Dispositions particulières au tribunal paritaire des baux ruraux ; Titre 6. Dispositions particulières à la cour d appel ; Titre 7. Dispositions particulières à la cour de cassation ; Titre 8. Dispositions particulières aux juridictions de renvoi après cassation. 32) Titre 1er. Les personnes ; Titre 2. Les biens ; Titre 3. Les régimes matrimoniaux, les successions et les libéralités ; Titre 4. Les obligations et les contrats. 33) これは 常 にではないが,しばしばそうである 時 折, 具 体 的 な 規 定 が 共 通 規 定 よりも 前 に 置 かれることもある その 理 由 は 後 者 を 理 解 するためにはまず 前 者 について 事 前 の 知 識 が 必 要 であるというものである たとえば,49 条 ないし52 条 ( 事 物 管 轄 に 関 する 一 般 規 定 ),954 条 ないし955 条 2 項 ( 争 訟 および 非 訟 事 件 における 上 訴 手 続 に 関 する 一 般 規 定 ),1009 条 ないし1022 条 1 項 ( 破 棄 院 における 諸 手 続 に 関 する 一 般 規 定 )を 参 照 772 ( 2220)

17 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 様, 弁 論 準 備 に 関 する 準 則 が 34) 特 に 重 要 である 35) 既 に 示 唆 したように,この 法 科 学 的 な 選 択 肢 は, 立 法 経 済 の 要 請,すなわち, 多 様 性 の 背 後 にある 共 通 性 は 法 文 と 法 を 節 約 する 36) という 考 え 方 に 応 えるものであった このような 合 理 的 な 秩 序 は, 民 事 事 件 の 手 続 の 流 れを 考 慮 に 入 れることを 排 除 したわけではな かった このような 民 事 事 件 の 手 続 の 流 れを 考 慮 した 規 定 の 多 くは, 共 通 規 定 を 置 く 同 法 典 の 第 1 編 の 各 章 において 見 られる 方 針 の 優 美 さはその 様 式 の 優 美 さを 損 ないはしなかった 以 下 に 述 べるように, 新 民 事 訴 訟 法 典 は 独 自 の 様 式 を 具 えているのである 2. 2 様 式 1806 年 法 典 の 様 式 は1667 年 民 事 訴 訟 王 令 (Ordinance) の 諸 概 念 とその 方 法 を 伝 えるものであった 37) その 意 味 において, 新 法 典 は,その 施 行 当 時 の 学 者 から 初 めて 近 代 的 と 評 され 得 たのである 38) しかしながら, 新 法 典 が 当 時 の 人 々に よって 理 解 されるためには,20 世 紀 後 半 の 言 葉 を 用 いるだけでは 不 十 分 であった この 点 において, 新 法 典 の 起 草 者 たちは 二 つの 問 題 に 直 面 した 39) まず, 法 律 用 語 の 多 様 性 に 関 する 曖 昧 さを 回 避 することに 関 心 が 向 けられた 同 法 典 においてひとつの 文 言 は 常 に 同 じ 意 味 で 用 いなければならず, 別 の 意 味 で 用 い ることはできない 40) たとえば, 請 求 とは, 訴 訟 当 事 者 が 主 張 を 行 うという 法 的 行 為 を 意 味 し, 主 張 自 体 を 指 すのではない 裁 判 官 とは 単 独 裁 判 官 を, 裁 判 34) 証 拠 調 べ (l enquête) については143 条 ないし178 条 および204 条 ないし221 条, 技 術 者 に より 施 行 される 証 拠 調 べに 関 しては232 条 ないし248 条 を 参 照 35) 第 三 者 の 引 き 込 み 訴 訟 に 関 しては331 条 ないし333 条, 判 決 に 関 しては430 条 ないし479 条 を 参 照 36) G. Cornu, supra footnote 23, 1995, p ) Ordonnance civile touchant la réformation de la justice (Saint Germain-en-Laye, April 1667)( 同 オルドナンスはルイ14 世 の 治 下 で 制 定 され,ルイ 法 典 として 知 られている ) See N. Picardi and A. Giulani (eds), Testi e documenti per la storia del processo, Volume I, Milan, Giuffrè, ) See P. Catala and F. Terré, Procédure civile et voies d exécution, 2nd edition, Paris, Presses universitaires de France, 1976, p ) 注 意 すべきは, 主 要 な 起 草 者 のひとりジェラール コルヌには 言 語 学 の 知 識 があった ことである 彼 の 著 書,Linguistique juridique, 2nd edition, Paris, Montchrestien, 2000 を 参 照 40) この 点 については,G. Cornu, supra footnote 23, 1995, p. 249 を 参 照 773 ( 2221)

18 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 所 とは 第 一 審 裁 判 所 を,そして 命 令 (ordonnance) とは 単 独 裁 判 官 による 裁 判 を 意 味 する 次 に, 以 上 の 点 に 関 連 して, 同 法 典 の 主 要 な 規 定 が 依 拠 している 基 本 的 な 概 念 の 定 義 に 関 心 が 向 けられた これらの 概 念 がひとつの 意 味 しか 有 さないことについて 同 法 典 が 注 意 を 喚 起 する 方 法 は,それらの 概 念 を 定 義 することによってである 41) およそ30もの 定 義 がなされている たとえば, 非 訟 事 項 (25 条 ), 召 喚 状 (55 条 ), 共 同 申 立 て (57 条 ), 反 訴 請 求 (64 条 ), 付 加 的 請 求 (65 条 ) 定 義 は 概 念 の 意 味 を 技 術 的 に 明 確 化 するという 美 徳 を 有 するだけでなく,30 条 における 訴 権 の 定 義 に 示 されるように, 重 要 な 学 問 上 の 概 念 の 表 現 である 場 合 もあ る 42) 3 新 民 事 訴 訟 法 典 における 民 事 訴 訟 の 政 治 的 な 捉 え 方 新 民 事 訴 訟 法 典 は 理 論 的 な 法 典 であると 言 っても 過 言 ではない 民 事 訴 訟 についての 一 般 的 な 観 念 は, 同 法 典 の 最 初 の24の 条 項 において 直 接 に 示 されている これらの 規 定 から 訴 訟 の 指 導 原 則 に 関 する 第 1 章 が 成 り 立 ってい る 43) これらの 指 導 原 則 については 既 に 多 くの 論 稿 がある モトゥルスキーが 指 導 原 則 を 詳 細 に 検 討 し 始 めたのは 同 法 典 が 形 成 され 始 めた 頃 である 44) その24 年 後,コルヌ 法 学 部 長 は, 指 導 原 則 それ 自 体 が 語 っている として 指 導 原 則 に 発 言 権 を 与 えた 45) コルヌ 曰 く, その 内 容 ではなく,その 名 称 が 理 論 的 な 源 泉 を 有 し ているのである,と 46) しかし, 指 導 原 則 とは,どこからもたらされ, 何 を 語 っているのか?そして, 指 導 原 則 とは 一 体 何 なのか? 41) Ibidem. 42) 訴 権 を, 訴 訟 物 を 構 成 する 権 利 とは 区 別 されるべき 手 続 上 の 権 利 ( procedural right (droit subjectif processuel)) と 捉 えたアンリ モトゥルスキーに 従 って 訴 権 (the action) を 権 利 ( right (droit)) と 定 義 している H. Motulsky, Le droit subjectif et l action en justice, Archives de philosophie du droit, 1964, p. 215 ff. 43) G. Cornu, supra footnote 23, 1995, p ) H. Motulsky, La réforme du Code de procédure civile par le décret du 13 octobre 1965 et les principes directeurs du procès, Semaine Juridique, 1966, I, p ) G. Cornu, Les principes directeurs du procès civil par eux-mêmes..., in Études offertes à Pierre Bellet, Paris, Litec (Lexis-Nexis), 1991, p ) G. Cornu, supra footnote 44, p ( 2222)

19 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 3. 1 訴 訟 の 指 導 原 則 の 源 泉 一 般 原 則 を 法 典 の 冒 頭 に 置 くという 考 えは 新 しいものではない ナポレオンの 法 典 編 纂 の 際 にも 議 論 されている 1966 年 にモトゥルスキーによって 規 範 化 された (canonized) 47) 訴 訟 の 指 導 原 則 という 表 現 は,1932 年,レネ モレルの 民 事 訴 訟 基 本 講 義 ( Traité élémentaire de procédure civile ) に 初 めて 登 場 した 48) 1949 年 の 第 2 版 においてもこの 表 現 は 用 いられていた 49) 同 版 においてレネ モ レルは1 章 を 割 いて フランス 民 事 訴 訟 の 指 導 原 則 について 述 べているが,その 内 容 はアメリカの 極 めて 著 名 な 比 較 法 学 者 R.W. ミラーの 推 奨 に 従 ったドイツ 法 法 理 の 自 由 な 翻 訳 であったと 言 ってもよい アンリ ヴィジィオ 自 身 はこの 表 現 を 止 め,それに 代 えて 民 事 訴 訟 の 指 導 原 則 について 言 及 している 50) しかしなら が, 訴 訟 の 指 導 原 則 がフランス 訴 訟 法 において 用 いられ, 正 式 に 法 的 な 生 命 を 得 た のは, 当 時, 共 に 若 手 の 法 学 部 教 授 であったコルヌとフォワイエ( 後 の 自 身 の 政 治 的 な 運 命 について 彼 は 知 る 由 もない)の 功 績 によってである コルヌとフォワイエ がフランス 大 学 出 版 より 民 事 訴 訟 のテミス( 女 神 ) を 出 版 したのが1958 年 であ る 彼 らが 訴 訟 の 指 導 原 則 の 重 要 性 を 強 調 したのが,この 著 書 においてであった コルヌとフォワイエは,モレルを 引 用 して, 訴 訟 の 指 導 原 則 を, 条 文 上 の 根 拠 はな いが それにもかかわらず 何 人 にも 受 け 入 れらる 法,すなわち, 民 事 訴 訟 の 展 開 を 規 律 する 法 であり,かつ, 手 続 上 の 準 則 を 導 出 する 法 として 提 示 したの である 51) このような 状 況 があったにもかかわらず, 指 導 原 則 を 実 際 にどのような 文 言 で 言 い 表 すべきかが 検 討 されたのは, 新 法 典 の 起 草 作 業 が 始 められてのことである 52) 47) G. ルーエット (Rouhette) の 表 現 である, supra footnote 12, especially p. 192 (No. 20). 48) See G. Rouhette, supra footnote 12, p. 159 ff. 彼 は R. Morel, Traité élémentaire de procédure civile, Paris, Librairie du Recueil Sirey, 1932, second edition 1949, p (No ) に 言 及 している 49) R. Morel, supra footnote 47, p (No ). 50) H. Vizioz, Études de procédure, Bordeaux, Éditions Bière, 1956, p 彼 がこの 表 現 を 用 い 始 めたとされることがしばしばである G. Rouhette, supra footnote 12, p. 159 ff. ルー エットによれば,これは,an imitation plus que vraisemblable de la doctrine allemande [...] et par une traduction libre de Grundprinzipien. であると 51) G. Cornu and J. Foyer, supra footnote 8, p. 364 ff, especially p ) G. Cornu, supra footnote 44, p. 86. その 編 纂 はコルヌによる それゆえ, 彼 の 以 下 の 論 文 は 歴 史 的 に 重 要 である Les principes directeurs du procès civil par eux-mêmes... (G. Cornu, supra footnote 44) 775 ( 2223)

20 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 指 導 原 則 の 内 容 がどこからもたらされたのかを 判 断 することは 困 難 である ドイ ツ 民 事 訴 訟 法 典 と 民 事 訴 訟 を 積 極 主 義 的 に 捉 える 立 場 の 影 響 に,その 源 泉 を 求 める 手 がかりがないわけではない このような 捉 え 方 は, 実 のところはドイツというよ りもオーストリアの 立 場 である 53) これはレネ モレルが 後 に 賛 同 するグラソン とティシエの 著 書 で 繰 り 返 されている 54) 指 導 原 則 の 内 容 に 対 してどのような 影 響 を 及 したかについて 調 べることは,さらに 危 険 な 企 てである というのも, 思 想 と 著 者 とを 結 びつけ,かつ, 法 文 上 にその 思 想 の 影 響 が 表 れていることを 認 識 しな ければ ならないからである 法 典 の 最 初 の5 条 に は,も ち ろ ん, 申 立 主 義 ( impetus principle, principe d initiative ou d impulsion) および 裁 判 所 は 申 立 てを 超 えて 裁 判 することができないという, 既 にヴィジィオがイタリア 法 の 原 理 を 用 い て 議 論 した 原 則 が 表 現 されていると 見 ることができよう 55) また,ジョルジュ ボラールがそうしたように,アンリ モトゥルスキーの 私 権 の 手 続 による 実 現 の 原 則 ( Principes d une réalisation méthodique du droit privé ) と 題 する 論 文 が 新 民 事 訴 訟 法 典 の 主 要 な 源 泉 であることを 肯 定 することも 可 能 である 56) 3. 2 訴 訟 の 指 導 原 則 の 意 味 訴 訟 の 指 導 原 則 はひとつの 章 に,10 節 に 分 けて 規 定 されている これら10 節 はそ れぞれ, 第 1 節 ( 第 1 条 から 第 3 条 )が 訴 訟 手 続 に, 第 2 節 ( 第 4 条 および 第 5 条 )が 訴 訟 の 対 象 に, 第 3 節 ( 第 6 条 から 第 8 条 )が 事 実 に, 第 4 節 ( 第 10 条 およ び 第 11 条 )が 証 拠 に, 第 5 節 ( 第 12 条 および 第 13 条 )が 法 に, 第 6 節 ( 第 14 条 から 第 17 条 )が 対 審 に, 第 7 節 ( 第 18 条 から 第 20 条 )が 防 御 に, 第 8 節 ( 第 21 条 )が 和 解 に, 第 9 節 ( 第 22 条 および 第 23 条 )が 弁 論 に,そして, 第 10 節 ( 第 24 条 )が 節 度 を 守 る 義 務 に 充 てられている このような 方 針 は 意 外 なものと 受 け 取 られるかもし れない というのも, 訴 訟 の 指 導 原 則 の 目 的 との 間 に 齟 齬 があるように 思 えるから である 他 の 二 つのアプローチを 採 った 方 がより 適 切 であったかもしれない 民 事 裁 判 の 構 造 を 基 礎 づける 一 定 の 原 則 を 明 確 に 宣 言 することが 目 的 であったならば, 53) See G. Rouhette, G. Rouhette, supra footnote 12, No. 19 ff( 彼 はドイツ 学 説 の 性 質 を 強 調 し, 特 にアンリ モトゥルスキー 自 身 が,ドイツで 涵 養 された 自 身 の 経 験 にもかかわら ず,ドイツ 学 説 を 極 めて 自 由 に( avec une très grande discretion ) 用 いたと 述 べて いる ) 54) See G. Rouhette, supra footnote 12, p (No. 20). 55) G. Cornu, supra footnote 23, 1995, p. 250, and G. Rouhette, supra footnote 8, p. 193 (No. 20). 56) G. Bolard, supra footnote 22, p ( 2224)

21 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) すべての 事 件 に 適 用 されるべき 諸 原 則,たとえば, 裁 判 所 は 当 事 者 の 申 立 てを 越 え て 裁 判 することはできないという 原 則, 対 審 の 原 則 (contradiction), 裁 判 の 公 開 の 原 則 を 明 確 に 宣 言 することが 期 待 されたであろう あるいは, 民 事 裁 判 における 当 事 者 と 裁 判 官 の 役 割 を 確 立 することが 目 的 であったらば, 当 事 者 の 役 割 と 裁 判 官 の 役 割 を 正 確 に 規 定 することができたであろう これらは 採 用 されたアプローチで はなかったのである その 理 由 を, 新 法 典 起 草 にあたっての 中 心 人 物 であったコル ヌ 法 学 部 長 は 以 下 のように 説 明 している 57) 本 章 は 2 部 構 成 の(すなわち, 当 事 者 に 関 する 節 と 裁 判 官 に 関 する 節 で 構 成 さ れた) 作 品 ではない 本 章 の10 節 のうち 最 初 の5 節 は 訴 訟 事 件 を 分 析 的 に 分 解 した ものを 表 している すなわち, 訴 訟 事 件 は, 手 続 ( 第 1 節 ), 主 張 の 対 立 ( 第 2 節, 紛 争 の 事 項 ), 事 実 に 関 する 争 い( 第 3 節 事 件 における 事 実 および 第 4 節 証 拠 ),そ して 法 に 関 する 争 い( 第 5 節 )の 連 鎖 として 分 析 することができ, 各 節 の 表 題 は 訴 訟 事 件 の 諸 側 面 を 明 らかにしている それぞれの 編 纂 方 針 において, 当 事 者 と 裁 判 官 のそれぞれの 役 割 は 対 位 法 により 提 示 されている その 理 由 は 両 者 の 役 割 分 担 が それぞれの 方 針 により 様 々だからである 当 事 者 が( 紛 争 範 囲 の 画 定 と 事 実 の 提 出 について) 独 占 し, 裁 判 官 の 監 視 の 下 で( 訴 訟 における 行 動 と 事 実 の 立 証 につい て) 主 たる 責 任 を 負 っている 本 章 のターニングポイントである 第 6 節 が 訴 訟 手 続 を 統 合 している 対 審 の 原 則 は 訴 訟 のすべての 側 面 をカバーしている いや, 対 審 の 原 則 は, 訴 訟 における 手 続 的, 事 実 的 そして 法 的 な 行 為 のすべてにおいて 訴 訟 を 神 経 支 配 している 最 後 の4 節 は 対 審 の 原 則 を 具 体 的 な 状 況 に,すなわち, 当 事 者 間 ( 防 御 )に, 公 衆 の 面 前 に( 第 22 条, 第 23 条 ),その 尊 厳 に( 第 24 条 ),そし て, 宥 和 の 方 法 に( 第 21 条 ) 当 てはめている 訴 訟 の 指 導 原 則 を 以 上 のように 呈 示 するアプローチからは, 訴 訟 手 続 に 対 する 一 定 の 認 識 が 露 わになる しかし,このような 読 み 方 では 訴 訟 原 則 定 立 の 目 的 を 明 ら かにできない 訴 訟 とは,なかんずく 裁 判 官 の 面 前 における 手 続 である すなわ ち, 訴 訟 とは, 認 定 事 実 に 適 用 すべき 法 の 決 定 を 必 要 とする 法 的 には 不 確 実 な 状 況 として 定 義 される 紛 争 を( 第 2 節, 第 3 節, 第 4 節 ), 防 御 権 と 正 義 に 充 分 配 慮 し て( 第 8 節, 第 10 節 ) 58) 公 開 の 下 で( 第 9 節 ) 弁 論 を 行 った 後 に( 第 6 節 ), 解 決 57) G. Cornu, supra footnote 44, p ) See G. Cornu, supra footnote 44, p. 90, 彼 は,それらの 中 に ゲームのルール を 見 いだ している (règles du jeu) : liberté de la défense (Articles 18, 19),publicité des débats (Article 22), respect de la justice (Article 24) sont, sur un idéal antique, les règles classiques du théâtre de la justice : le tribunal est le lieu d un débat libre, public et digne. 777 ( 2225)

22 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) するという 目 的 を 持 った 手 続,つまり, 裁 判 官 の 面 前 における 訴 訟 の 局 面 ( 第 1 節 )である けれども, 判 決 でなく 調 停 により 紛 争 が 解 決 されることを 排 除 してい るわけではない 訴 訟 の 指 導 原 則 の 内 容 は,1971 年 9 月 9 日 デクレ 発 令 後 に 予 想 されたものとは 異 なり, 将 来 の 法 学 部 生 の 教 育, 法 律 家 の 満 足,さらには 純 粋 主 義 者 の 喜 びのため に, 散 在 する 法 文 や 判 例 法 および 国 民 の 英 知 に 由 来 する 永 遠 の 手 続 原 則 を 統 合 す る 59) という 単 純 な 作 業 とは 無 関 係 である モトゥルスキーはこの 幻 想 をすぐさ ま 非 難 し, 追 及 されるべき 目 的 がこのような 幻 想 にあるのではなく, 裁 判 官 の 権 限 の 本 質 的 な 限 界 と, 裁 判 官 と 当 事 者 の 手 続 上 の 機 能 分 配 を, 様 々な 法 理 論 および とりわけ 矛 盾 しているとまではいえないが,ためらいがちな 判 例 法 に 照 ら して 見 出 すことにある ことを 明 記 するのが 適 切 であると 考 えた 60) 加 えて,このような 裁 判 官 と 当 事 者 間 の 役 割 分 配 の 承 認 は 積 極 主 義 的 な 手 続 モデルを 確 立 するものではないし 61), 職 権 主 義 的 なモデルをその 支 配 的 な 特 徴 とするものでも 62),また, 新 法 典 公 布 後 に 宣 言 されまたは 恐 れられたような 63) 行 政 的 かつ 権 威 主 義 的 な ものでもない 64) 新 法 典 は 本 質 的 には 混 合 物 であり, 当 事 者 主 義 的 でも 職 権 主 義 的 でもないのである これらの 性 格 付 けは 民 事 訴 訟 の 根 本 には 相 応 しくない 新 法 典 は 混 合 物 なのである なぜならば, 新 法 典 において は, 当 事 者 を 訴 訟 の 主 人 とするフランスの 伝 統 的 な 自 由 主 義 的 原 則 と, 紛 争 を 公 正 に 解 決 するという(これは 一 般 の 利 益 にもなるのであるが) 任 務 を 手 続 上 の 使 命 として 果 たさなければならない 裁 判 官 の 権 限 の 承 認 とを 調 整 しなければなら ないからである 正 義 は 公 的 サービスであり, 中 立 性 は 消 極 性 ではないのである 実 際, 新 法 典 の 第 1 条 から 第 13 条 は 判 決 形 成 における 裁 判 官 と 当 事 者 間 の 純 粋 な 協 59) Ph. Bertin, Le décret du 9 September 1971 portant réforme partielle de la procédure civile, Gazette du Palais 16 November 1971, No ) H. Motulsky, Prolégomènes pour un futur Code de procédure civile : la consécration des principes directeurs du procès civil par le décret du 9 septembre 1971, supra footnote ) P. Catala and F. Terré, supra footnote 37, p ) R. Perrot, Droit judiciaire privé, Paris, Les cours de droit, 1980, p ) 新 民 事 訴 訟 法 典 の 起 草 者 の 一 人 は, 糾 問 的 な 性 格 を 有 する 権 限 を 裁 判 官 に 付 与 してい るのは, 裁 判 官 に 証 拠 調 べ 手 続 で 証 明 すべき 重 要 な 事 実 を 確 定 する 権 限 を 付 与 する222 条 2 項 のみであることを 認 めている G. Cornu, supra footnote 44, p ) Doubt expressed by J.ヴァンサン (Vincent) と S. ギンシャール (Guinchard) により 疑 問 が 呈 されている J. Vincent and S. GuinchardProcédure civile, 20th edition, Paris, Dalloz, 1981, No. 11 and 24th edition, Paris, Dalloz, 1996, No ( 2226)

23 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 働 主 義 を 定 義 している,と 言 って 差 支 えない 当 然,これが 民 事 訴 訟 の 目 的 であ る この 理 論 は, 学 問 的 な 欲 求 を 満 足 させるために, 自 然 発 生 した 果 実 ではないの である 後 述 するように, 訴 訟 の 指 導 原 則 とそれが 伝 える 民 事 訴 訟 の 捉 え 方 には 長 い 歴 史 があるのである 3. 3 訴 訟 の 指 導 原 則 の 内 容 1960 年 代 から1970 年 代 にかけて 起 草 された 新 民 事 訴 訟 法 典 は,ある 一 定 の 民 事 訴 訟 の 捉 え 方 に 即 している この 捉 え 方 は, 新 法 典 冒 頭 の 第 1 条 から 第 24 条 において 規 定 され, 民 事 裁 判 の 主 要 な 諸 原 則 を 定 めている 訴 訟 の 指 導 原 則 (principes directeurs du procès) を 見 れば, 即 座 に 明 らかとなる これらの 諸 原 則 のほとんど は, 裁 判 官 と 当 事 者 の 協 働 主 義 および 対 審 の 原 則 (le principe du contradictoire) に 還 元 することが 可 能 である 協 働 主 義 新 法 典 の 第 1 条 から 第 13 条 は 協 働 主 義 を 形 作 っている 新 法 典 においては, 当 事 者 の 権 限 と, 訴 訟 行 為 および 事 件 を 管 理 する 裁 判 官 の 権 限 との 調 整 を 図 ることが 望 まれ,しかも 首 尾 よくその 調 整 が 図 られている この 点 がこれらの 条 項 には 現 れて いる 新 法 典 は 本 質 的 には, 訴 訟 を 当 事 者 の 責 任 とするフランス 伝 統 の 自 由 主 義 原 則 と, 事 件 を 最 も 公 正 に 解 決 すべき( 単 なる 権 能 ではなく) 義 務 を 負 う 裁 判 官 の 権 限 の 承 認 との 調 和 を 試 みる 混 合 物 なのである 裁 判 官 の 積 極 主 義 がこのように 台 頭 しているのはフランスだけではない 訴 訟 は 社 会 的 な 役 割 を 果 たしており, 正 義 自 体 は 公 共 サービスのひとつなのである それゆえ, 裁 判 官 は 中 立 でなければならな いが, 中 立 性 は 消 極 性 を 意 味 するわけではない 事 件 の 実 体 を 処 理 しながらも,そ の 適 切 な 進 行 を 確 保 し 得 るように, 訴 訟 の 進 行 にあたっての 重 要 な 権 限 が 裁 判 官 に 付 与 されたことは 確 かである このような 権 限 は, 手 続 的 には, 訴 訟 行 為 を 行 うた めの 期 間 を 設 定 する 権 限 だけでなく, 必 ずしも 当 事 者 の 主 張 に 含 まれない 事 実 でさ え 考 慮 する 権 限 ( 第 7 条 第 2 項 ), 証 拠 の 提 出 を 命 じる 権 限 ( 第 11 条 ),さらには, 法 的 に 許 容 される 調 査 を 命 じる 権 限 を 含 む, 必 要 な 暫 定 的 処 分 を 職 権 により 命 じる 権 限 を 必 要 とする このような 裁 判 官 の 役 割 の 増 大 は 画 期 的 である なぜなら,1806 年 民 事 訴 訟 法 典 は 新 法 典 とは 対 照 的 に, 訴 訟 を 当 事 者 の 支 配 に 委 ねていたからである 当 事 者 は 一 方 で 提 出 権 限 を 保 持 しながら, 他 方 で, 紛 争 の 範 囲 を 画 定 する 事 実 の 法 的 評 価 およ び 法 的 観 点 に 弁 論 を 限 定 する 権 限 であれ( 第 12 条 第 3 項 ),または 逆 に 裁 判 官 に 仲 779 ( 2227)

24 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 裁 人 (amiable compositeur) の 役 割 を 付 与 することによって 裁 判 官 の 責 務 を 拡 大 す る 権 限 であれ( 第 12 条 第 4 項 ), 裁 判 官 の 責 務 の 範 囲 を 修 正 する 一 定 の 権 限 を 獲 得 した さらには, 訴 訟 の 対 象 を 超 えて 判 決 をしてはならないこと,とりわけ,どの ような 場 合 であっても 対 審 の 原 則 に 服 することが 裁 判 官 には 命 じられている( 第 16 条 第 1 項 ) このようにして,これらの 条 項 によって 再 び 一 定 のバランスが 確 立 されたのであ る 30 年 経 った 現 在, 異 論 がないとまでは 言 わないにせよ, 支 配 的 な 見 解 によれ ば, 新 法 典 の 第 1 条 から 第 13 条 は, 民 事 訴 訟 の 志 向 する 判 決 形 成 における 裁 判 官 当 事 者 間 の 純 粋 な 協 働 主 義 をもたらしている 対 審 の 原 則 対 審 の 原 則 (le principe du contradictoire) は, 公 正 な 裁 判 を 受 ける 権 利 にとっ て 本 質 的,いや 必 要 不 可 欠 な 構 成 要 素 である 同 原 則 は, 裁 判 官 が 判 決 に 至 る 過 程 において 斟 酌 するであろう 一 切 の 事 実 と 法 について 両 当 事 者 が 実 際 に 検 討 しかつ 場 合 によっては 反 論 しうるよう, 事 前 に 両 当 事 者 に 対 して 注 意 を 喚 起 しておかなけれ ばならない,という 観 念 を 表 している それゆえ, 当 事 者 は 出 頭 しまたは 少 なくと も 召 喚 されていなければならない( 第 14 条 ) 当 事 者 は 請 求 原 因 および 証 拠 を 適 時 に 相 手 方 に 知 らせなければならない( 第 16 条 第 2 項 および 第 3 項 ) 裁 判 官 は 対 審 の 原 則 を 尊 重 し 遵 守 しなければならない( 第 16 条 ) そして, 当 事 者 のいずれかが 知 らないにもかかわらず 判 決 が 下 された 場 合 には, 上 訴 が 可 能 でなければならな い これらの 古 典 的 な 要 請 に 弁 護 士 は 本 能 的 かつ 正 当 にも 愛 着 をもつのであるが, これらの 要 請 は EU 法, 主 にはヨーロッパ 人 権 条 約 第 6 編 第 1 条 により 相 当 に 強 化 された 同 じ 論 理 は, 当 事 者 を 平 等 に 取 り 扱 わなければならない,というより 大 き な 原 則 に 息 吹 を 吹 き 込 み,そのことによって, 一 方 当 事 者 に 比 べ 他 方 当 事 者 が 明 ら かに 不 利 な 立 場 に 置 かれる 状 況 でも, 自 らの 主 張 立 証 を 行 うための 合 理 的 な 機 会 を 両 当 事 者 に 付 与 することが 可 能 となった 同 様 の 理 由 で, 本 案 に 検 察 官 (Ministère public) が 参 加 する 場 合 には 当 事 者 も 意 見 を 述 べる 権 利 を 有 する 以 上 のようにフランス 民 事 訴 訟 法 を 歴 史 的 に 考 察 したのは, 次 章 のテーマである フランス 民 事 手 続 法 の 規 律 を 理 解 するために 必 要 だったからである 780 ( 2228)

25 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 第 三 章 フランス 民 事 訴 訟 手 続 の 規 律 1 民 事 裁 判 の 一 般 的 構 造 1.1 書 面 手 続 対 口 頭 手 続 1.2 標 準 的 手 続 対 特 別 手 続 略 式 の 暫 定 的 手 続 (レフェレ 手 続 (Procédure de référé)) 一 方 当 事 者 の 申 し 立 てによる 一 方 的 手 続 ( 申 請 手 続 (Procédure sur requête)) 2 民 事 裁 判 の 通 常 のプロセス 2.1 訴 訟 の 開 始 2.2 事 案 の 解 明 2.3 弁 論 2.4 判 決 2.5 不 服 申 立 て 手 段 通 常 の 不 服 申 立 て 手 段 特 別 な 不 服 申 立 て 手 段 2.6 執 行 1 民 事 裁 判 の 一 般 的 構 造 1. 1 書 面 手 続 対 口 頭 手 続 フランス 民 事 訴 訟 法 には, 書 面 手 続 と 口 頭 手 続 の 古 典 的 な 区 別 が 存 在 する 書 面 手 続 は 弁 護 士 代 理 が 強 制 される 裁 判 所 における 手 続 である 大 審 裁 判 所 では, 弁 護 士 (avocat) 代 理 が 要 請 されている 控 訴 院 では, 当 事 者 は 同 裁 判 所 に 出 頭 するこ とを 特 別 に 認 められた 代 訴 人 (avoué) と 呼 ばれる 弁 護 士 によって 代 理 されなけれ ばならない コンセイユデタおよび 破 毀 院 では,コンセイユデタ 破 毀 院 付 弁 護 士 (avocats au Conseil d Etat et à la Cour de Cassation) により 構 成 される 特 別 な 法 曹 のメンバーのみが 代 理 し 得 る それゆえ,これらの 裁 判 所 における 手 続 はフォーマ ルなものである 事 件 は 準 備 裁 判 官 と 呼 ばれる( 大 審 裁 判 所 では juge de la mise en état, 控 訴 院 では conseiller de la mise en état) 特 別 な 裁 判 官 による 調 査 に 服 する 請 求 原 因 およびそれを 基 礎 付 ける 主 張 の 提 出 は, 通 常, 書 面 の 提 出 によって 行 わな ければならない 申 立 書 (conclusions) は 次 の 二 つの 基 準 を 充 たしていなければな らない すなわち, 訴 え 提 起 時 に 申 立 書 には 請 求 および 請 求 を 基 礎 付 ける 事 実 上 お よび 法 律 上 の 根 拠 が 記 載 されていなければならない( 性 質 付 けの 申 立 て (écritures qualificatives)) また,その 記 載 は 要 約 的 なものでなければならない (écritures récapitulatives) すなわち, 申 立 書 において 請 求 とその 理 由 を 的 確 に 記 載 しなけ ればならない なぜならば,それらの 記 載 がない 場 合,その 請 求 は 放 棄 されたもの とみなされるからである その 目 的 は, 大 量 かつ 反 復 的 な 書 面 の 提 出 がなされる 781 ( 2229)

26 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) と, 裁 判 官 は 請 求 および 主 張 がどのような 順 になされたのかを 再 構 成 するために 多 大 な 時 間 を 費 やすことになるため,その 不 都 合 を 回 避 し 事 件 を 処 理 可 能 な 状 態 に 置 くためである しかしながら, 書 面 手 続 は 口 頭 による 提 出 に 完 全 に 取 って 代 わるわ けではない 少 なくとも 事 件 が 審 理 に 適 する 状 態 になれば, 当 事 者 の 訴 訟 代 理 人 に よって 主 張 がなされ, 審 理 は 口 頭 で 行 われるのである それに 対 して, 弁 護 士 代 理 は 任 意 とされ 本 人 訴 訟 の 許 される 裁 判 所 での 手 続 は, より 簡 易 かつ 迅 速 であるべきである したがって,その 手 続 は 口 頭 によって 実 施 さ れる 大 審 裁 判 所 を 除 いたすべての 第 一 審 裁 判 所 での 手 続 は 口 頭 による 控 訴 院 に おける 一 定 の 事 件,すなわち, 労 働 事 件, 社 会 保 障 事 件 および 農 事 賃 貸 借 事 件 の 控 訴 事 件 もそうである これらの 手 続 が 口 頭 により 実 施 されることによって, 合 意 を 基 礎 とする 共 同 体 的 な (de proximité) 正 義 がもたらされると 考 えられている 口 頭 による 手 続 は, 当 事 者 と 裁 判 官 との 直 接 の 接 触, 対 話,それゆえ, 調 停 のような 友 好 的 な 紛 争 解 決 手 段 に 適 合 することを 意 味 する また, 口 頭 手 続 は, 書 面 手 続 以 上 に, 当 事 者 自 身 の 出 頭 を 前 提 にしている 口 頭 手 続 による 場 合, 裁 判 官 は 相 当 柔 軟 に 対 応 することができ, 対 話 を 通 じて 当 事 者 の 請 求 および 主 張 を 組 み 替 えること が 可 能 である しかし, 困 難 な 問 題 ももたらしうる 口 頭 手 続 を 採 用 することによ りもたらされる 重 要 な 問 題 は, 当 事 者 が 書 面 を 提 出 しても, 口 頭 でなされた 主 張 が 書 面 に 優 先 すると 考 えられている 点 である たとえば, 訴 訟 手 続 の 取 下 げ (un désistement d instance) 申 立 ては, 法 廷 において(つまり, 口 頭 で) 申 立 てをし た 日 に 効 力 を 生 じ, 事 前 に 書 面 で 申 立 てたとしても 書 面 による 告 知 の 日 から 生 じる のではない これは, 当 事 者 の 不 誠 実 さを 助 長 するかもしれない すなわち, 当 事 者 は, 訴 えの 適 法 性 (moyens de recevabilité de l action en justice) または 本 案 に 関 して 書 面 で 詳 細 に 主 張 を 展 開 しておきながら, 口 頭 弁 論 の 最 終 段 階 で 手 続 的 な 事 由,たとえば, 管 轄 を 欠 いているという 主 張 するかもしれない 口 頭 手 続 による と, 手 続 の 最 終 段 階 で 主 張 を 提 出 する 方 が 有 利 なので, 口 頭 手 続 は 対 審 の 原 則 を 尊 重 する 態 度 を 育 まないかもしれない 1. 2 標 準 的 手 続 対 特 別 手 続 標 準 的 または 典 型 的 な 手 続 は, 2 人 ないしそれ 以 上 の 当 事 者 本 人 または 本 人 が 弁 護 士 に 代 理 された 形 で 互 いに 敵 対 するという 意 味 において, 対 審 的 である その 手 続 は, 裁 判 官 にその 判 断 が 委 ねられた 実 体 的 問 題 を 処 分 する 終 局 判 決 に 結 実 する 標 準 的 な 手 続 は,それが 書 面 によるものであれ, 口 頭 によるものであれ,いずれの 裁 判 所 にも 存 在 する しかし, 必 ずしもすべての 民 事 手 続 がそうであるわけではな 782 ( 2230)

27 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) い たとえば, 夫 婦 が 離 婚 に 合 意 し 裁 判 官 に 離 婚 合 意 申 立 てを 行 う 場 合 のように, 争 いのない 事 件 につき( 民 事 訴 訟 法 第 25 条 第 29 条 ) 民 事 訴 訟 法 典 は 非 訟 手 続 (procédures gracieuses) を 編 成 しているだけでなく,レフェレ 手 続 (procédures de référé) および 申 請 手 続 (procédures sur requête) のような 特 別 な 対 審 手 続 をも 用 意 しており,いずれも 極 めて 頻 繁 に 利 用 されている 略 式 の 暫 定 的 手 続 (レフェレ 手 続 ( Procédure de référé) ) フランス 革 命 前 にまで 遡 る 長 い 歴 史 を 持 ったこの 手 続 は, 手 続 の 遅 延 と 複 雑 さを 是 正 するために 登 場 した 訴 訟 の 爆 発 とそれに 伴 う 手 続 の 遅 延 のために, 近 時,こ の 手 続 が 成 功 していることは 意 義 深 い 新 民 事 訴 訟 法 はどの 裁 判 所 にもレフェレ 手 続 を 用 意 している( 例 外 は, 当 然 のことながら, 事 件 の 本 案 につき 裁 判 をする 裁 判 所 ではない 破 毀 院 である) レフェレ 手 続 の 目 的 は, 伝 統 的 には, 事 件 の 終 局 的 な 解 決 前 に 暫 定 的 な 救 済 の 迅 速 な 付 与 を 許 容 することにあった たとえば, 書 籍 の 販 売 を 禁 止 する 仮 処 分, 営 業 を 禁 止 する 仮 処 分 または 仮 差 押 え (mise sous séquestre) のような 保 全 措 置 は,そ の 本 案 につき 裁 判 する 権 限 を 有 するであろう 裁 判 官 が 事 件 の 終 局 的 な 結 果 を 予 測 し て 下 すのではない 現 行 法 の 文 言 はレフェレ 手 続 のこの 古 典 的 な 概 念 を 維 持 してお り,それら 保 全 処 分 のための 一 般 的 な(つまり, 通 常 の)モデルを 確 立 している しかしながら, 通 常 の 要 件 のすべてまたはその 一 部 を 充 たさない たとえば, 緊 急 性 または 本 案 について 真 剣 な 争 いのないことという 通 常 の 要 件 が 充 たされないか もしれない 特 別 なレフェレ 手 続 が 現 れた そのような 特 別 なレフェレ 手 続 は 以 下 をその 目 的 としうる すなわち,⑴ 証 拠 保 全 命 令 (référé in futurum)( 民 事 訴 訟 法 第 145 条 ),⑵ 仮 払 い 命 令 ( 仮 払 い 額 は 終 局 的 な 命 令 の 額 (すなわち, 本 案 を 審 理 する 裁 判 所 に 対 して 請 求 する 額 に 等 しい 額 )から 控 除 される)(référé-provision : たとえば, 民 事 訴 訟 法 第 809 条 第 2 項 ), または,⑶ 差 し 迫 った 危 険 を 事 前 に 除 去 しまたは 明 白 に 過 剰 な 生 活 妨 害 を 停 止 す るために 必 要 な 保 全 または 原 状 回 復 措 置 ( 商 事 裁 判 所 については, 民 事 訴 訟 法 第 873 条 第 1 項 ) レフェレ 裁 判 官 (le juge des référés) は, 債 務 が 商 品 の 修 理 または その 返 品 の 受 け 取 りなどのような 為 す 債 務 の 場 合 でも, 債 務 の 強 制 履 行 を 命 じる 権 限 を 有 している フランスの 実 務 では,レフェレ 作 為 命 令 (référé-injonction) とし て 知 られている 原 則 として,レフェレ 手 続 は 通 常 の 期 日 に 実 施 されるレフェレ 手 続 における 聴 聞 への 召 喚 状 によって 開 始 される 労 働 事 件 の 場 合 には, 裁 判 所 書 記 官 への 宣 誓 書 783 ( 2231)

28 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) (déclaration) よるかまたは 両 当 事 者 の 任 意 の 出 頭 によって 申 立 てを 行 うこともで きる 訴 訟 代 理 は 強 制 ではないが, 両 当 事 者 を 代 理 することができるのは, 大 審 裁 判 所 においては 弁 護 士 (avocat), 控 訴 院 においては 代 訴 人 (avoué) に 限 られる ( 控 訴 院 においては, 代 訴 人 が 弁 護 士 に 統 一 される2012 年 1 月 1 日 まで) 緊 急 を 要 する 事 件 の 場 合,レフェレ 裁 判 官 は 防 御 提 出 の 期 限 を 指 定 することができ,その 期 日 は 祝 祭 日 のこともあり 得, 防 御 が 聴 聞 期 日 または 裁 判 官 の 住 居 でなされることさ えあり 得 る (portes ouvertes) このレフェレ 手 続 は 即 時 レフェレ (référé d heure à heure) と 呼 ばれる つまり, 申 立 てのなされた 日 の 午 前 中 に, 同 日 の 午 後 また はそれよりも 前 に 防 御 提 出 期 限 を 指 定 し 得 ることを 意 味 する たいていの 場 合,レフェレ 裁 判 官 は 事 件 を 単 独 でしかも 略 式 で 判 断 する しかし 民 事 訴 訟 法 は 他 に 二 つの 可 能 性 を 裁 判 官 に 提 供 している まず,レフェレ 裁 判 官 は 事 件 を 通 常 の 裁 判 所 の 裁 判 官 で 構 成 される 合 議 体 へ 送 付 し, 期 日 を 指 定 することが できる このようにしてなされた 裁 判 は, 合 議 体 によるものであるが,レフェレ 命 令 (une ordonnance de référé) であることに 変 わりはない 緊 急 ではあるが,レ フェレ 手 続 が 真 に 必 要 でない 場 合,レフェレ 裁 判 官 は 本 案 審 理 のための 期 日 を 指 定 することもできる レフェレ 命 令 には 本 案 についての 既 判 事 項 の 権 威 [= 既 判 力 ](autorité de la chose jugée) はない それゆえ, 本 案 を 審 理 する 裁 判 官 はレフェレ 命 令 には 拘 束 さ れない しかし,レフェレ 命 令 には 効 果 がないというわけではない 暫 定 的 にでは あるが 完 全 に 執 行 でき,しかも 即 座 に 執 行 することが 可 能 である もっとも,レ フェレ 命 令 に 対 しては 控 訴 院 に 上 訴 が 可 能 なため, 通 常 は 上 訴 により 執 行 が 停 止 さ れるのではあるが 執 行 は 原 則 として 停 止 されないが, 保 証 または 担 保 を 立 てるこ とが 条 件 にされることもある このような 仕 組 みによって,レフェレ 命 令 は, 法 律 上 ではないにしても 事 実 上, 終 局 判 決 の 性 質 を 有 することになる 実 務 上,レフェ レ 手 続 は 実 質 的 な 争 いを 提 起 しない 民 事 紛 争 を 解 決 するための 通 常 の 手 段 となって いる,と 言 っても 過 言 ではない これは 極 めて 成 功 している 手 続 である 一 方 当 事 者 の 申 し 立 てによる 一 方 的 手 続 ( 申 請 手 続 (Procédure sur requête)) 裁 判 は 場 合 によっては 対 審 的 でも 終 局 的 でもない 申 請 手 続 (procédures sur requête) がそれである 民 事 訴 訟 法 は, 第 493 条 から 第 498 条 において 申 請 手 続 を 一 般 的 な 文 言 で 編 成 している 申 請 手 続 の 目 的 は 証 拠 調 べまたは 保 全 措 置 を 命 じる ことにあり, 不 貞 行 為 の 立 証 または 仮 差 押 えの 場 合 のように, 同 命 令 が 効 力 を 発 揮 784 ( 2232)

29 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) するためには, 発 令 までの 間, 申 立 ての 為 されたことを 相 手 方 には 秘 密 にしておく 必 要 がある ところが, 民 事 訴 訟 法 は 作 為 命 令 の 発 令 にも 特 別 手 続 として 申 請 手 続 を 規 定 している 未 払 債 務 が 民 事 か 商 事 かによるが, 大 審 裁 判 所 または 商 事 裁 判 所 は,この 手 続 により 支 払 命 令 (injonction de payer) を 発 令 することができる 為 す 債 務 に 関 しては 作 為 命 令 (prestations) を 発 令 することもできる 後 者 の 手 続 は, 大 審 裁 判 所 でのみ 実 施 できるのであるが,まったく 成 果 を 納 めておらないため 廃 止 が 検 討 されてきた 上 述 のレフェレ 手 続 の 方 が,その 対 審 的 性 格 にもかかわら ず,いや, 恐 らくはその 性 格 ゆえにより 実 効 的 である 他 方, 支 払 命 令 は, 統 計 に よれば, 成 果 をもたらしていることが 明 らかである もちろん, 支 払 命 令 に 対 して 債 務 者 が 異 議 を 申 し 立 てることは 可 能 であり, 債 務 者 は 債 務 を 弁 済 しなかった 理 由 を 主 張 することができる 異 議 が 申 し 立 てられると, 事 件 は 裁 判 所 に 移 行 し, 今 度 は, 他 の 支 払 請 求 と 同 様, 対 審 的 な 方 法 で 本 案 について 審 理 がなされる 支 払 命 令 に 対 する 異 議 は 決 して 多 くの 事 件 で 申 立 てられるわけではなく,この 手 続 の 実 効 性 に 影 響 を 与 えていないようである 法 定 期 間 内 に 異 議 が 申 し 立 てられなければ, 支 払 命 令 は 対 審 手 続 により 本 案 について 下 された 判 決 とすべて 同 じ 効 力 を 生 じるが, 請 求 が 一 定 額 (4.000 ) を 越 えていない 場 合, 不 服 申 し 立 てには 服 さない 2 民 事 裁 判 の 通 常 のプロセス 2. 1 訴 訟 の 開 始 原 則 として 訴 訟 を 開 始 する 権 限 は 当 事 者 にあり, 裁 判 官 の 職 権 による 場 合 はまれ である いずれの 訴 訟 も 請 求 を 前 提 にしており, 民 事 訴 訟 法 によれば, 主 たる 請 求 により 訴 訟 が 開 始 される このことは, 請 求 が 裁 判 官 に 対 して 行 われることを 必 ず しも 意 味 するわけではない 主 たる 請 求 が 召 喚 状 (assignation) または 共 同 申 請 書 (requête conjointe) の 形 式 をとるのか,それとも 申 請 (requête), 宣 誓 (déclaration) または 両 当 事 者 の 任 意 の 出 頭 (présentation volontaire) によるのかにより, 訴 訟 係 属 を 生 じさせる 手 続 が 異 なる 召 喚 状 は 執 行 吏 により 発 行 される 公 式 の 書 面 であり,それによって 原 告 は 相 手 方 を 裁 判 所 に 出 頭 するよう 呼 び 出 す 共 同 申 立 ては 両 当 事 者 がそれぞれの 請 求, 主 張 および 争 点 を 提 示 するのに 用 いる 公 式 の 書 面 である 共 同 申 立 ては 召 喚 状 に 代 わる 友 好 的 な 代 替 物 として 新 民 事 訴 訟 法 が 創 設 したのであるが,めったに 利 用 されるこ とはない というのも, 共 同 申 立 てをするには, 少 なくとも 両 当 事 者 間 で 一 致 する ところがなければならないが, 対 審 的 な 手 続 においてはそれが 欠 ける 場 合 が 多 いか らである いずれにしても, 共 同 申 立 書 への 署 名 または 召 喚 状 の 送 達 によって 事 件 785 ( 2233)

30 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) が 裁 判 所 に 係 属 するわけではない 訴 訟 係 属 が 生 じるにはさらに 以 下 の 手 続 を 踏 ま なければならない すなわち, 裁 判 所 の 事 件 簿 (le rôle) への 登 録 である この 手 続 は 事 件 の 登 録 (l enrôlement de l affaire) と 呼 ばれ, 共 同 申 立 書 または 召 喚 状 の 写 しを 裁 判 所 書 記 官 へ 提 出 することによりなされる 一 定 の 事 件 において 民 事 訴 訟 法 は 登 録 期 間 を 定 めており( 大 審 裁 判 所 の 場 合 は4カ 月 ),その 期 間 が 遵 守 されな いと, 召 喚 状 は 無 効 となり,いかなる 効 力 もなくなってしまう 訴 訟 の 開 始 に 裁 判 所 の 関 与 を 要 する 場 合 には, 召 喚 状 の 提 出 と 訴 訟 係 属 の 発 生 は 同 時 に 行 われる 裁 判 官 の 面 前 に 両 当 事 者 が 任 意 に 出 頭 する 場 合 がこれにあたる 小 審 裁 判 所 および 商 事 裁 判 所 においては, 両 当 事 者 がこのような 任 意 の 出 頭 を 記 録 した 報 告 書 に 署 名 することにより, 訴 訟 係 属 が 生 じる 労 働 審 判 所 においては, 当 事 者 が 出 頭 するだけで 足 りる 事 件 の 和 解 的 解 決 を 試 みる 調 停 部 (bureau de conciliation) は, 直 ちに 両 当 事 者 の 主 張 を 聴 いて 調 停 を 試 みることができるが,こ れは 実 際 にはまれである というのも, 申 立 て 件 数 が 多 いために 時 間 を 置 いて 調 停 期 日 が 設 定 され,その 期 日 に 両 当 事 者 を 裁 判 所 書 記 官 が 呼 び 出 さなければならない からである 申 立 てまたは 宣 誓 を 管 轄 裁 判 所 の 書 記 官 に 行 う 場 合 も 同 様 である 申 立 てまたは 宣 誓 により 訴 訟 係 属 が 生 じる 宣 誓 の 形 式,すなわち, 書 面 によるか 口 頭 によるかは 問 わない 一 定 の 場 合 以 外, 電 話,ファックスまたは 電 子 メールに よってこれを 行 うことはできない 書 記 官 は 登 録 された 事 件 ごとに 訴 訟 記 録 を 作 成 する ある 意 味 で,この 記 録 が 訴 訟 の 公 式 の 記 憶 と 証 人 となるのである 手 続 上 の 争 いまたは 上 訴 の 場 合 に 依 拠 され るのが,この 記 録 である 口 頭 の 手 続 では 原 則 として 書 面 がないので,この 記 録 が 特 に 重 要 である それゆえ,すべてのことが 訴 訟 記 録 には 記 録 されなければならな い 2. 2 事 案 の 解 明 事 案 の 解 明 は, 民 事 訴 訟 における 主 要 な 手 続 段 階 である なぜならば,この 段 階 が 弁 論 と 判 決 の 準 備 のための 手 続 的 な 形 式 を 整 える 機 会 だからである 訴 訟 手 続 は 裁 判 所 により 異 なっている 新 法 典 には,それぞれの 裁 判 所 ごとに 準 則 が 規 定 されている ある 裁 判 所 には, 判 決 を 準 備 するための 特 別 手 続 が 用 意 され ており,その 手 続 は 事 件 準 備 を 担 当 する 裁 判 官 に 委 ねられている( 大 審 裁 判 所 にお いては juge de la mise en état, 控 訴 院 においては conseiller de la mise en état い ずれも 事 件 管 理 を 担 当 する 裁 判 官 である) これにあたるのが 大 審 裁 判 所 および 控 訴 院 であり,いずれも 書 面 による 手 続 を 採 用 している 他 の 裁 判 所 においては 口 頭 786 ( 2234)

31 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 弁 論 において 判 決 が 準 備 される これが 一 般 的 なのは, 商 事 裁 判 所, 小 審 裁 判 所 お よび 労 働 審 判 所 の 手 続 のように 口 頭 による 手 続 の 場 合 である したがって, 何 度 か 口 頭 弁 論 が 開 かれることがしばしばであり, 裁 判 に 熟 するまで 口 頭 弁 論 が 実 施 され る しかし, 実 務 では, 事 件 の 複 雑 性 または 手 続 開 始 時 における 準 備 の 程 度 によって 両 者 が 融 合 される 傾 向 にある したがって, 大 審 裁 判 所 においては, 迅 速 手 続 の 一 種 であるいわゆる 短 期 コース (circuits courts) が 存 在 する これによると, 事 件 は 直 ちに 弁 論 へと 付 される 逆 に, 商 事 事 件 の 多 くにおいて, 事 件 が 事 前 の 準 備 に 付 されることもかなりある この 手 続 は, 商 事 裁 判 所 では 報 告 裁 判 官 (juge rapporteur) により, 労 働 審 判 所 では 報 告 審 判 官 (conseiller rapporteur) により 行 われる 他 方 で,いずれの 裁 判 所 においても, 事 案 の 解 明 は 常 に 同 じ 目 的 を 有 している すなわち, 事 件 を 裁 判 に 熟 した 状 態 に 置 く,という 目 的 である 両 当 事 者 がそれぞ れの 書 面 において 紛 争 の 対 象 を 呈 示 するのは, 通 常, 事 案 の 解 明 の 過 程 においてで ある 両 当 事 者 が 主 張 および 主 張 を 根 拠 付 ける 証 拠 を 提 出 しあい,それらを 裁 判 官 に 提 示 するのは,なかんずく,この 段 階 においてである 証 拠 の 許 容 性 に 関 する 準 則 はいずれの 裁 判 所 にも 共 通 である 本 質 的 には, 証 拠 は 二 通 りの 方 法 で 提 出 することができる すなわち, 書 証 か 証 拠 調 べを 命 じる 裁 判 かのいずれかによる 書 証 とは, 裁 判 所 の 関 与 なしに 存 在 している 証 拠 方 法 を 指 す (たとえば, 当 事 者 間 で 交 わされた 手 紙 や 契 約 書 ) 証 拠 調 べを 命 じる 裁 判 は, 裁 判 官 への 申 立 てがあることを 前 提 とする 証 拠 方 法 には,その 利 用 について 遵 守 すべ き 序 列 がある ある 出 来 事 の 存 在 を 主 張 する 当 事 者 がそれを 証 明 するのに 十 分 な 書 証 を 有 していない 場 合 にのみ, 証 拠 調 べを 命 じるべきであるとされる それゆえ, 証 拠 調 べを 命 じる 裁 判 は, 原 則 として, 補 助 的 な 方 法 であるべきである 条 文 が 仮 定 文 で 書 かれていることを 考 慮 すると, 実 際 はこれと 異 なる 安 易 に 証 拠 調 べが 命 じられており, 多 くの 場 合 それは 鑑 定 意 見 の 形 式 をとる しかし,これは 遅 延 と 費 用 の 増 加 の 原 因 となっており, 新 法 典 の 精 神 に 一 致 するものではない このような 所 見 は 大 審 裁 判 所 および 商 事 裁 判 所 との 関 連 においては 最 も 的 確 なものであるが, 他 の 裁 判 所, 特 に, 処 理 件 数 が 多 いにもかかわらずほとんど 証 拠 調 べを 命 じる 裁 判 を 命 じていない 労 働 審 判 所 には 当 てはまらない 2. 3 弁 論 事 案 の 解 明 とは 異 なり, 弁 論 の 特 徴 は 口 頭 と 公 開 にある 787 ( 2235)

32 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 口 頭 による 弁 論 はいずれの 民 事 裁 判 所 にも 共 通 の 特 徴 である これは, 事 案 の 解 明 が 書 面 により 行 われる 大 審 裁 判 所 においても,そうである 破 毀 院 においても 口 頭 による 審 理 を 求 める 当 事 者 の 権 利 が 認 められてはいるが, 同 院 での 実 務 および 当 該 立 法 は 口 頭 弁 論 の 重 要 性 を 最 小 化 している というのも, 結 局 のところ, 口 頭 弁 論 は 対 審 的 な 手 続 にとって 必 須 ではないからである 実 際, 弁 護 士 の 口 頭 による 弁 論 は 民 事 裁 判 所 においてその 重 要 性 を 失 いつつある 口 頭 による 主 張 の 提 出 は 簡 略 かつその 場 限 りで 行 われることが 多 い 口 頭 による 主 張 の 提 出 は 裁 判 官 からの 質 問 に 応 答 するものであり, 書 面 の 提 出 によって 大 幅 にその 内 容 が 変 更 されることもあ る 1971 年 の 第 一 審 裁 判 所 における 弁 護 士 と 代 訴 人 の 融 合, 事 案 解 明 の 長 期 化, 受 理 件 数 の 増 加 および 弁 護 士 費 用 の 額 すべてが,このような 状 況 をもたらした 原 因 で ある 弁 護 士 は, 渋 々かどうかにかかわらず,このような 状 況 をもたらした 共 犯 者 なのである 弁 論 の 公 開 の 原 則 については 特 に 述 べる 必 要 はない 公 開 の 原 則 は,ヨーロッパ 人 権 条 約 第 6 条 1 項 の 意 味 における 公 正 な 裁 判 を 受 ける 権 利 のひとつの 側 面 である ので, 法 律 に 定 めのある 場 合 以 外 には 排 除 できない それゆえ, 同 原 則 は 非 訟 事 項 (matière gracieuse) や 離 婚 など 人 の 法 的 地 位 および 行 為 能 力 に 関 する 事 項 には 適 用 されない 弁 論 は 後 に 合 議 し 裁 判 する 合 議 体 の 面 前 で 行 われるのが 原 則 である しかし, 訴 訟 経 済 を 理 由 として, 一 定 の 裁 判 所 においては, 以 下 の 二 つの 条 件 が 充 たされた 場 合 に 単 独 裁 判 官 の 面 前 で 弁 論 を 行 うことができる,と 法 は 定 めている まず, 両 当 事 者 がこれに 同 意 しなければならない 次 に, 弁 論 を 実 施 する 裁 判 官 は,その 裁 判 が 合 議 制 の 原 則 (principe de collégialité) に 応 えるために, 当 該 裁 判 所 の 他 の 裁 判 官 への 報 告 書 を 用 意 しなければならない これと 同 様 の 手 続 は 商 事 裁 判 所, 大 審 裁 判 所,さらには 控 訴 院 においも 用 いることができる もちろん, 実 際 に 合 議 されたか 否 かについて 確 かめることは 誰 にもできない それゆえ, 実 務 の 状 況 から 示 唆 されることは, 単 独 裁 判 官 によることが 極 めて 多 いということである 裁 判 長 は 訴 訟 を 監 督 し, 弁 論 を 指 揮 する それを 補 佐 するのが 書 記 官 (greffier) であり, 訴 訟 記 録 を 保 持 する(このような 理 由 から,pen を 意 味 する plume とい う 言 葉 をとって 書 記 官 は plumitif と 呼 ばれる) 訴 訟 記 録 には 訴 訟 において 行 わ れたことが 記 録 される 検 察 官 は, 他 の 者 を 代 理 する 場 合, 法 律 によりその 出 頭 が 命 じられている 場 合,そして, 刑 事 訴 訟 における 場 合 と 同 じく, 自 身 が 訴 訟 当 事 者 である 場 合 には 出 頭 しなければならない 弁 論 は, 原 告, 被 告, 参 加 人, 主 たる 当 事 者 または 共 同 当 事 者 としての(すなわち, 法 律 の 適 用 について 客 観 的 な 意 見 を 述 べる) 検 察 官 の 順 で 行 われる 裁 判 長 および 他 の 裁 判 官 は, 訴 訟 代 理 人 が 必 要 であ 788 ( 2236)

33 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) ると 考 える 法 律 または 事 実 について 説 明 し,または 裁 判 所 には 未 だに 不 明 な 点 を 明 確 にするために 再 び 弁 論 を 行 うことを 何 時 でも 許 可 することができる 裁 判 所 が 十 分 に 情 報 を 得 た 場 合 には, 裁 判 長 は 直 ちに 弁 論 を 終 結 する 宣 言 を 行 う 法 は 弁 論 の 終 結 にいくつかの 効 果 を 付 与 している 重 要 な 効 果 を 挙 げるなら ば, 当 事 者 は 請 求 を 根 拠 付 ける 主 張 をもはや 提 出 できず, 裁 判 官 は 合 議 の 際 に 当 事 者 の 提 出 した 意 見 または 書 証 を 判 決 の 基 礎 にしてはならず,もしそのようにした 場 合, 当 該 判 決 は 無 効 となる 当 事 者 は, 以 下 のいずれかの 目 的 のために, 抗 弁 の 方 法 によって, 裁 判 官 による 合 議 の 際 に 自 己 の 主 張 を 根 拠 付 けるための 意 見 書 (notes en délibéré) を 提 出 することを 許 されることがある すなわち, 検 察 官 が 主 たる 当 事 者 として 最 後 に 行 った 主 張 に 応 答 するためか,あるいは, 裁 判 長 が 当 事 者 にその 主 張 を 明 確 にすることを 命 じた 場 合 かのいずれかである 対 審 の 原 則 に 従 え ば,このような 主 張 の 提 出 は 相 手 方 当 事 者 にも 伝 えられなければならない これに より, 相 手 方 当 事 者 には 同 様 の 形 式 でそれらの 主 張 に 応 答 する 機 会 が 付 与 される けれども,これらの 主 張 の 提 出 をもって, 事 件 の 法 律 構 成 を 変 更 しまたは 申 立 書 に 代 えることはできない 他 方 で,これらの 書 面 に 含 まれる 情 報 に 基 づいて 裁 判 長 が 弁 論 を 再 開 することもあり 得 る 弁 論 が 終 了 または 再 度 弁 論 がなされれば, 事 件 は 合 議 へと 付 される 2. 4 判 決 判 決 には 3 つの 形 式 をとりうる 対 審 的 な (contradictoirement) 判 決 [ 対 審 判 決 (jugement contradictoire)], 対 審 とみなされる (réputé contradictoire) 判 決, または 欠 席 (par défaut) 判 決 として 下 される これらの 名 称 は, 判 決 の 送 達 およ び 上 訴 手 段 に 関 する 準 則 に 関 連 して 重 要 性 を 有 する 対 審 とみなされる 判 決 は 対 審 判 決 と 同 様 の 効 力 を 有 する このように 呼 ばれる 理 由 は, 原 告 は 出 頭 していな いが,その 不 出 頭 が 手 続 的 には 意 味 を 持 たないという 事 実 をはっきりさせるためで ある それに 対 して, 被 告 が 出 頭 しないことに 加 えて, 以 下 の 二 つの 要 件 が 充 足 さ れる 場 合 には, 欠 席 判 決 が 下 される まず, 裁 判 が 終 審 としてなされ,フランス 法 の 意 味 での 上 訴 (appel) にもはや 服 していない 場 合 でなければならない 次 に, 召 喚 状 が 被 告 本 人 に 交 付 されていない 場 合 でなければならない いずれかの 要 件 が 欠 ける 場 合, 判 決 は 対 審 とみなされる この 区 別 は 重 要 である なぜならば 欠 席 判 決 のみが 判 決 取 消 し 申 立 て( 故 障 申 立 て opposition) と 呼 ばれる 特 別 な 上 訴 手 段 に 服 するからである この 申 立 てが 認 容 されれば, 当 該 欠 席 判 決 は 取 り 消 され (rétractation), 被 告 は 当 該 判 決 を 下 した 裁 判 官 と 同 一 の 裁 判 官 の 面 前 で 対 審 的 な 789 ( 2237)

34 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 弁 論 を 再 開 することができる しかし, 対 審 とみなされる 判 決 は, 欠 席 判 決 と 同 様, 6 か 月 以 内 に 被 告 に 送 達 されなければならなず, 送 達 されないときには 無 効 となる 判 決 は, 別 の 観 点 から, 終 局 判 決, 仮 の 判 決, 中 間 判 決 (avant-dire droit) およ び 混 合 判 決 に 区 別 される この 区 別 が 重 要 性 を 有 するのは, 判 決 の 既 判 力, 裁 判 官 の 職 務 解 除 (dessaisissement du juge) および 不 服 申 立 て 手 段 に 関 してである 終 局 判 決 は, 事 件 のすべてもしくはその 一 部,または 証 拠 調 べもしくは 保 全 処 分 の 発 令 にかかわらない 事 項 についての 判 決 であり, 裁 判 官 はこれ 以 上 判 断 をする 必 要 が なくなる 終 局 判 決 (jugement définitif) は, 本 案 につき 既 判 力 を 有 し, 裁 判 官 を 当 該 事 件 から 解 放 し, 控 訴 に 服 する 仮 の 判 決 と 呼 ばれるものは, 当 該 事 件 の 法 的 争 点 に 決 着 をつけるものではない が, 緊 急 の 申 請 に 基 づいて 下 される 判 決 である それゆえ, 本 案 につき 既 判 力 は 有 していない 中 間 判 決 は 裁 判 の 途 中 で 仮 の 処 分 または 証 拠 調 べの 裁 判 として 下 され る この 判 決 は 本 案 について 既 判 力 を 有 しておらず, 裁 判 官 の 職 務 を 解 除 せず, 控 訴 にも 服 さない 最 後 に, 混 合 判 決 は, 本 案 の 一 部 についての 判 断 を 示 しかつ 仮 の 処 分 または 証 拠 調 べを 命 じる 判 決 のことであり, 既 判 力 を 有 し, 判 断 の 示 され た 法 的 争 点 についてのみ 控 訴 に 服 する 混 合 判 決 は 中 間 判 決 部 分 についてのみ 既 判 力 を 有 することは 言 うまでもない 判 決 は 公 開 の 法 廷 で 言 い 渡 されることとなっているが, 裁 判 官 は 時 間 の 関 係 から 主 文,すなわち, 判 断 が 示 されている 判 決 の 最 後 の 部 分 のみ 読 み 上 げてもよい 判 決 の 言 い 渡 しは, 裁 判 所 の 書 記 官 室 に 公 示 することによっても 行 うことが 可 能 であ る 判 決 は 法 定 の 事 由 (たとえば, 裁 判 所 の 構 成 または 送 達 の 要 件 )に 基 づくので なければ 無 効 とならない なぜならば, 一 般 原 則 として, 判 決 を 無 効 とすることは できないからである その 目 的 は, 判 決 の 無 効 を 命 じることによる 訴 訟 遅 延 を 回 避 するためである その 結 果, 判 決 の 無 効 を 求 める 訴 権 は, 判 例 法 に 基 づく 規 則 性 の 推 定 (たとえば, 合 議 に 参 加 した 裁 判 官 は 弁 論 に 関 与 した 裁 判 官 であることが 推 定 される)および 出 訴 期 間 の 制 限 に 服 する 判 決 が 言 い 渡 されると, 判 決 は 書 記 官 ま たは 執 行 吏 により 送 達 される 送 達 は 判 決 の 執 行 および 控 訴 権 行 使 の 期 間 の 開 始 に とって 不 可 欠 である 控 訴 は 通 常 執 行 停 止 の 効 果 を 有 しているので, 送 達 時 に 判 決 を 執 行 することはできない 効 率 性 を 理 由 にして,いくつかの 種 類 の 裁 判 は 直 ちに 執 行 するこが 可 能 である(たとえば, 保 全 処 分 の 場 合 がそうである) ある 種 の 裁 判 は 発 令 時 に (sur minute),すなわち, 送 達 前 に, 執 行 することさえ 可 能 である たとえば, 申 請 に 基 づく 命 令 (ordonnances de requête) の 場 合 である さらには, 790 ( 2238)

35 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 裁 判 官 は,その 裁 量 権 を 行 使 して, 直 ちに 執 行 することが 有 益 かつ 当 該 事 件 の 性 質 に 適 合 すると 認 めた 場 合, 判 決 の 執 行 を 命 じることが 可 能 である 判 決 は 裁 判 官 の 職 務 を( 当 該 事 件 に 対 する 裁 判 官 の 裁 判 権 を 終 了 させるという 意 味 で) 解 除 する 効 果 を 有 している 但 し, 判 決 の 解 釈 申 立 て (recours en interprétation), 裁 判 の 脱 落 (omission de statuer), 請 求 されたすべての 項 目 につ いてなされてない 判 決 (jugments infra petita), 請 求 されていない 事 項 についてな された 判 決 (jugement ultra petita) の 場 合 は 別 である 判 決 主 文 において 裁 判 官 の 判 断 が 示 されるが, 法 的 確 実 性 を 理 由 に, 既 判 力 は 判 決 主 文 にのみ 生 じ,その 理 由 には 生 じない それゆえ, 判 決 理 由 は,たとえそれが 主 文 の 一 部 であり, 理 論 的 に は 結 論 を 決 定 づけるものであっても, 既 判 力 を 生 じない 判 決 の 既 判 力 には 積 極 的 な 側 面 と 消 極 的 な 側 面 がある それゆえ, 判 決 は, 一 方 で,それに 付 着 する 真 実 の 推 定 により 義 務 的 であり, 他 方 で, 同 一 事 件 における 第 二 の 判 決 を 排 斥 する これ は, 当 事 者 が 同 一 紛 争 について 新 たな 訴 えを 排 除 するために, 既 判 力 の 抗 弁 (l exception de la chose jugée) を 援 用 することができることを 意 味 する 2. 5 不 服 申 立 て 手 段 通 常 の 不 服 申 立 て 手 段 フランスにおける 一 般 的 な 準 則 によれば,いかなる 訴 訟 の 対 象 についても, 不 服 のある 当 事 者 が 別 の 裁 判 所 において 再 び 事 件 を 裁 判 することを 可 能 とする 不 服 申 立 制 度 が 用 意 されなければならない このような 観 点 からみれば,フランス 法 は 欧 州 人 権 宣 言 よりも 手 厚 い 保 障 を 提 供 している なぜならば, 後 者 は 民 事 事 件 において 上 述 のような 保 障 を 課 していないからである 欧 州 人 権 裁 判 所 の 先 例 は, 内 国 法 の 不 服 申 立 手 続 がデュープロセスの 要 請 に 合 致 することを 要 請 しているにしかすぎない 控 訴 が 通 常 の 不 服 申 立 て 手 段 である これは 二 審 制 を 反 映 したものである 下 級 審 の 判 断 に 満 足 を 得 ることができなかった 当 事 者 は, 通 常, 控 訴 を 行 うことができ る もちろん, 訴 額 が 少 額 であることを 理 由 として(たとえば, 訴 額 が4,000 に 満 たない 場 合 がそうであるが), 法 律 がこれを 認 めない 場 合 は 別 である 権 利 とし ての 控 訴 が 認 められているために, 頻 繁 に 控 訴 がなされ,その 結 果 として 控 訴 院 に おける 訴 訟 遅 延 が 生 じている( 国 家 予 算 が 不 十 分 なために, 望 ましい 時 間 内 に 不 服 審 査 を 行 うことができない) 控 訴 院 は, 当 事 者 が 不 服 を 申 し 立 てた 判 決 の 事 実 的 および 法 的 側 面 についての 覆 審 である 控 訴 院 の 判 決 は, 第 一 審 の 判 決 と 同 じ 性 質 を 有 しており, 裁 判 官 の 職 務 解 除 および 判 決 の 既 判 力 に 関 して 上 述 と 同 じ 法 規 制 を 受 ける 791 ( 2239)

36 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 他 のすべての 不 服 申 立 て 手 段 はその 性 質 として 例 外 的 なものである 第 一 審 で 欠 席 した 当 事 者 は, 故 障 申 立 てにより, 欠 席 判 決 を 下 した 裁 判 官 と 同 一 の 裁 判 官 によ り 当 該 事 件 が 裁 判 されることを 求 めることができる しかし 欠 席 の 概 念 が 厳 格 に 定 義 されているため,この 不 服 申 立 て 手 段 が 用 いられることは 稀 である 特 別 な 不 服 申 立 て 手 段 控 訴 の 後 に 最 も 頻 繁 に 用 いられる 不 服 申 立 て 手 段 は, 破 毀 院 への 破 毀 申 立 て (pourvoi en cassation) である 破 毀 院 の 機 能 は 当 事 者 の 申 立 てにより 不 服 を 申 し 立 てられた 判 決 が 法 に 適 合 しているか 否 かを 審 査 することにある,ということを 想 起 する 必 要 がある( 一 般 的 には, 不 服 の 対 象 となる 判 決 は 控 訴 院 の 判 決 であるが, 控 訴 しえない 第 一 審 判 決 に 対 しても 申 立 てをなしうる) 事 実 問 題 を 再 審 理 せず, しかも 理 論 上 は 不 服 を 申 し 立 てられた 判 決 に 代 えて 自 らの 判 断 を 示 さないので, 破 毀 院 は 第 三 審 として 働 くわけではない 破 毀 院 は 法 的 に 誤 った 判 断 を 取 り 消 すだけ である 破 毀 院 は,そうすることによって 法 的 準 則 についての 解 釈 を 提 示 し,その 解 釈 は 先 例 としての 強 い 権 威 を 享 受 するのである このように 機 能 が 特 定 されてい るために, 他 のヨーロッパ 諸 国 においては 年 に 数 十 件 の 申 立 てしか 行 われないけれ ども,フランスの 破 毀 院 は 数 千 件 の 申 立 てを 審 理 する 実 際, 破 毀 院 は, 第 三 審 と してではないにせよ, 少 なくとも 事 件 に 勝 訴 するための 三 度 目 の 機 会 訴 訟 当 事 者 にすれば 利 用 するのが 当 然 と 言 える 機 会 を 提 供 することによって, 本 来 の 機 能 からかなり 逸 脱 してしまっている 破 毀 申 立 てに 関 する 最 近 の 歴 史 の 大 部 分 は, このような 流 れを 抑 え 込 もうとする 歴 史 である 最 近 では, 許 容 されないまたは 重 大 な 上 訴 理 由 を 提 起 していないことを 理 由 として 申 立 てを 却 下 するための 手 続 が 創 設 された 再 審 申 立 て (recours en révision) は, 詐 害 によって 裁 判 官 が 誤 った 事 実 認 定 に 基 づく 過 誤 を 犯 した 場 合,その 詐 害 によって 騙 取 された 裁 判 を 再 審 理 することを 目 的 としている 最 後 に, 第 三 者 による 判 決 取 消 の 訴 え (tierce opposition) は, 自 ら 当 事 者 となってはいないが 判 決 から 生 じ 得 る 不 利 益 を 回 避 する 手 段 を 第 三 者 に 提 供 する 第 三 者 による 判 決 取 消 の 訴 えが 認 容 されると, 当 該 判 決 は 申 立 てを 行 った 第 三 者 に 対 して 失 効 する 旨 宣 言 がなされる 2. 6 執 行 執 行 手 続 (voies または procédures d exécution) という 用 語 は, 判 決 債 権 者 が 判 決 債 務 者 に 債 務 の 弁 済 を, 場 合 によっては 警 察 の 援 助 を 得 て, 強 制 することのでき 792 ( 2240)

37 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) る 法 的 救 済 方 法 のすべてを 指 す それゆえ, 民 事 訴 訟 法 と 執 行 手 続 は 必 ずしも 密 接 に 関 係 し 合 っているわけでは 決 してない 訴 訟 が 行 われても 執 行 がなされない 場 合 もある これは 債 務 が 任 意 に 弁 済 される 場 合 である また, 訴 訟 なしに 執 行 が 行 わ れる 場 合 もある これは 判 決 以 外 の 文 書,たとえば,いわゆる 公 証 人 (notaires) の 作 成 した 公 証 文 書 (actes authentiques) により 執 行 が 行 われる 場 合 である それ ゆえ, 裁 判 所 への 訴 え 提 起 は 執 行 手 続 の 実 施 に 不 可 欠 なものではない 執 行 手 続 の 改 革 は1991 年 7 月 9 日 法 により 行 われたのであるが,その 改 革 により 執 行 手 続 は 裁 判 手 続 からさらに 引 き 離 された さらに, 当 初 の 計 画 とは 反 対 に, 執 行 法 は 新 民 事 訴 訟 法 典 の 第 5 編 および 最 終 編 には 編 入 されないこととなり, 執 行 法 典 という 別 の 法 典 として 編 纂 されることとなった しかし, 執 行 手 続 が 完 全 に 裁 判 法 から 切 り 離 されたと 推 測 すべきではない その 推 測 とは 反 対 に,1991 年 法 は 新 たな 裁 判 官 を 創 設 する 契 機 だったのである す なわち,いわゆる 執 行 裁 判 官 がそれであり,その 職 務 は 差 押 えに 関 するすべての 問 題,および 実 体 法 に 関 係 するものであっても (Arts L tol of the Code de l organisation judiciaire) 執 行 から 生 じる 一 切 の 紛 争 を 解 決 することにある 包 括 的 執 行 手 続 (これは 支 払 不 能 または 債 務 超 過 に 陥 っている 商 人, 職 人, 農 家 およ び 世 帯 に 適 用 されるのであるが)に 関 する 重 要 な 発 展 も, 間 違 いなく 裁 判 所 の 権 限 を 強 化 するものである 執 行 手 続 は 不 動 産 および 動 産 の 差 押 えから 成 る 後 者 のカテゴリはその 目 的 物 が 極 めて 多 様 であるため( 動 産, 債 務, 給 与 など), 執 行 可 能 な 裁 判 所 の 命 令 または 同 様 の 法 的 な 文 書 ( 仲 裁 判 断, 裁 判 外 の 和 解, 支 払 命 令 (arrêté de débet) または 租 税 支 払 命 令 (titre de perception)) などの 執 行 名 義 が 必 要 とされる 動 産 の 仮 差 押 えのためには, 債 務 が 法 律 上 根 拠 づけられているとみえ,かつ,そ れが 弁 済 されない 恐 れのあることが 必 要 である 債 権 者 は 差 押 えに 不 可 欠 の 執 行 名 義 を 有 していないが, 現 状 を 維 持 し 債 務 者 財 産 の 散 逸 を 防 ぐべき 理 由 がある 場 合 に は,これが 有 用 である 不 動 産 の 場 合, 常 に 暫 定 的 に 担 保 を 設 定 しておくことが 可 能 なので 仮 差 押 えの 必 要 はない 動 産 の 差 押 えに 関 しては,1991 年 法 は 従 来 通 り 1 カ 月 の 任 意 売 却 期 間 を 債 務 者 に 認 めている 不 動 産 の 差 押 えはその 性 質 上 時 間 と 費 用 を 要 し, 形 式 的 である 不 動 産 差 押 えは, 裁 判 所 の 支 払 命 令 および 収 支 計 算 書 の 準 備 を 必 要 とし, 告 知 と 異 議 申 し 立 ての 期 限 が 設 定 された 極 めて 秩 序 だった 手 続 ( 異 議 が 申 し 立 てられることは 実 務 上 めずらしくない, 特 に 差 押 え 目 的 不 動 産 が 債 務 者 の 住 居 である 場 合 にはそうである)により 実 施 される 複 数 の 債 権 者 が 競 合 す る 場 合, 順 位 配 当 手 続 が 実 施 され, 不 動 産 の 売 却 代 金 から 複 数 の 債 権 者 に 配 当 が 実 793 ( 2241)

38 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 施 される 本 章 では,フランス 民 事 訴 訟 法 の 規 律 について 概 観 した というのも,この 規 律 は 民 事 訴 訟 法 典 に 規 定 されているからである 同 法 典 は 新 しい 法 典 であるが 既 に 編 纂 されてから30 年 を 経 過 しており 変 化 している そこで, 本 講 義 を 終 えるには,フ ランス 民 時 司 法 の 現 代 的 な 特 徴 を 簡 単 に 解 説 することが 必 要 となる 第 四 章 フランス 民 事 司 法 の 現 代 的 特 徴 1 進 行 中 の 傾 向 1.1 事 件 の 非 司 法 化 の 傾 向 1.2 手 続 の 合 理 化 の 傾 向 1.3 手 続 の 再 構 築 の 傾 向 2 今 後 の 課 題 2.1 技 術 性 の 課 題 2.2 複 雑 性 の 課 題 2.3 民 主 主 義 の 課 題 2006 年 末 に,フランスは, 旧 民 事 訴 訟 法 典 と 呼 ばれる1806 年 民 事 訴 訟 法 典 の 200 周 年, 及 び 新 民 事 訴 訟 法 典 として 知 られる1975 年 民 事 訴 訟 法 典 65) の30 周 年 を 祝 った 1806 年 民 事 訴 訟 法 典 のいくつかの 規 定 ( 司 法 官 の 責 任 及 び 不 動 産 執 行 に 関 するもの)は,1975 年 民 事 訴 訟 法 制 定 後 も 効 力 を 有 していたが, 現 在 はそうでは ない 66) このようにして,1975 年 民 事 訴 訟 法 典 は, 過 去, 現 在 進 行 中, 及 び 将 来 の 発 展 に 正 統 性 を 与 えつつ, 成 熟 期 に 達 している すなわち, 有 能 な 政 府 の 下 で あっても,19 世 紀 のナポレオンによる 法 典 編 纂 と 比 べ,1975 年 の 法 は 日 常 的 な 変 更 に 服 しているのである 1975 年 民 事 訴 訟 法 典 は, 公 布 以 降, 重 要 性 の 軽 重 はあ る が,40 の 修 正 デクレ の 対 象 とされてきた 特 に,1998 年 67) 68),2004 年 及 び 2005 年 69) に 発 出 された 著 名 なデクレによる 修 正 があり,それらは Coulon 委 員 65) L. Cadiet and G. Canivet (eds), , de la commémoration d un code à l autre : 200 ans de procédure civile en France, LexisNexis, See also, in Belgium where the French Code of civil procedure was also applied, C.H. Rhee, D. Heirbaut & M. Storme (ed.), Le bicententaire du Code de procédure civile (1806), Kluwer, ) See supra footnote ) D. No of 28 December ) D. No of 20 August ) D. No of 28 December 2005, for which see S. Amrani-Mekki, E. Jeuland, Y.-M. 794 ( 2242)

39 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 70) 会 報 告 及 び Magendie I 委 員 会 報 告 ( 以 下 Magendie I 報 告 という) 71) の 後 に なされた また, 上 訴 手 続 に 関 する Magendie II 委 員 会 報 告 ( 以 下 Magendie II 報 告 という) 72), 及 び 第 一 審 手 続 に 関 する Guinchard 委 員 会 報 告 ( 以 下 Guinchard 報 告 という) 73) を 受 けた 草 案 の 発 表 が 見 込 まれている デクレの 草 案 を 提 示 する 慣 習 は, 長 所 が 分 かりかつ 短 所 も 隠 されない, 一 種 の 法 的 メンテナンス のアイデアを 提 示 する 鏡 台 として, 法 理 論 によって 形 成 さ れた このような 方 法 による 迅 速 な 手 続 法 制 定 の 利 点 は, 法 律 実 務 において 生 じる 問 題 への 良 好 な 反 応 性 であり, 効 率 性 の 一 つの 源 である 他 面 において,カテゴリ カルな 利 益 ( 裁 判 官 の 利 益, 弁 護 士 の 利 益, 裁 判 所 職 員 の 利 益 など)を 増 進 させる 実 務 的 必 要 性 に 動 機 付 けられた 具 体 的 修 正 を 通 じて, 意 図 的 な 法 政 策 の 結 果 ではな く, 発 展 傾 向 の 位 置 付 けが 定 まらない 純 粋 に 推 測 的 な 手 続 法 改 正 によって, 法 典 全 体 の 一 貫 性 及 び 理 論 が 影 響 を 受 ける 危 険 を 冒 している 74) 民 事 訴 訟 法 の 進 化 は, 制 定 法 によるものに 限 らないことを 付 け 加 えておく 必 要 がある フランス 法 では, 判 例 法, 特 に 破 棄 院 の 判 例 法 は, 重 要 判 決 (grands arrêts) 75) や 原 則 を 示 す 判 Serinet and L. Cadiet, Le procès civil français à son point de déséquilibre? A propos du décret Procédure, JCP 2006, I, ) J.-M. Coulon, Réflexions et propositions sur la procédure civile, Paris, La documentation française, ) J.-C. Magendie, Célérité et qualité de la justice La gestion du temps dans le procès, Paris, La documentation française, ) Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel (Speed and quality of justice before the Court of Appeal), May 2008, for which see Entretien avec Jean-Claude Magendie, Gazette du Palais 4-5 July 2008, pp. 2 sq. 73) L ambition raisonnée d une justice apaisée, June 2008, for which see Remise du rapport de la Commission Guinchard sur la répartition des contentieux, Gazeette du Palais 4-5 July 2008, pp. 17 sq, as well as the explanations of S. Guinchard, Entretien avec Serge Guinchard, D. 2008, act. lég. pp sq. 74) G. Wiederkehr, Le nouveau Code de procédure civile : la réforme permanente, in Mélanges Jacques Béguin, Paris, Litec, 2005, pp. 787 sq, spec. p See also L. Cadiet, La légalité procédurale en matière civile, Bulletin d information de la Cour de cassation, No 636, 15 March 2006, No ) See Y. Desdevises, Les grands arrêts du droit judiciaire privé, in L. Cadiet & G. Canivet (eds), , de la commémoration d un code à l autre : 200 ans de procédure civile en France, supra footnote 65, pp ( 2243)

40 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 決 (arrêts de principe) といったリーディング ケースによって, 取 るに 足 らな いどころか, 創 造 的 なものになっている このような 役 割 を, 手 続 に 関 するデクレ の 適 法 性 を 判 断 するコンセイユデタ( 最 終 審 の 行 政 裁 判 所 ), 手 続 に 関 する 法 規 の 合 憲 性 を 判 断 する 憲 法 院 (Conseil Constitutionnel), 及 び, 制 定 法 か 判 例 法 かを 問 わず, 国 内 手 続 法 規 範 の 条 約 [ 欧 州 人 権 条 約 (Convention for the Protection of Human Rights and Fundamental Freedoms)] 適 合 性 を 判 断 する 欧 州 人 権 裁 判 所 (European Court for Human Rights) が 担 っていることはいうまでもない 手 続 的 適 法 性 の 複 雑 さは,これらの 複 数 の 法 源 の 抵 触 から 生 じており, 民 事 訴 訟 法 の 傾 向 76) を 特 定 することをより 複 雑 にしている しかし,そのような 方 法 論 的 注 意 を 払 えば, 民 事 訴 訟 法 の 新 たな 傾 向 に 追 随 する ことは 可 能 なように 見 える それらの 傾 向 は 既 に 稼 動 中 のものもあれば, 依 然 計 画 中 のものもある これらの 傾 向 は, 全 て 民 事 訴 訟 の 現 代 史 に 根 ざした 進 化 の 継 続 の 中 にあり, 複 雑 な 社 会 の 民 主 的 要 請 への 対 応 を 運 命 付 けられた, 多 元 的 な 司 法 制 度 の 展 望 の 中 に 表 れている これらの 傾 向 は, 多 くの 観 点 を 複 合 したものである 本 章 では, 次 に 述 べる2 種 類 の 傾 向 を 除 外 する 例 えば, 民 事 訴 訟 のヨーロッパ 化 や 国 際 化 77) の 傾 向 のように, 特 定 の 様 相 を 提 示 することが 可 能 であっても,フ ランス 法 にのみ 特 徴 的 ではない 傾 向 については 論 じない また,フランスの 制 度 に 特 徴 的 過 ぎる 傾 向, 例 えば,フランスにおける 司 法 領 域 の 合 理 化 の 傾 向 として, 司 法 地 図 (carte judiciaire) と 呼 ばれる 国 内 における 裁 判 所 の 配 分 やその 地 理 的 分 掌 が 重 要 な 改 正 課 題 となっているが 78),この 傾 向 についてもこれ 以 上 は 論 じな い しかしながら,このフランス 一 国 内 の 問 題 は, 比 較 裁 判 法 の 観 点 から 全 く 実 益 を 欠 いているとまではいえない なぜならば, 効 率 の 要 請 とアクセスへの 懸 念 との 76) L. Cadiet, Les conflits de légalité procédurale dans le procès civil, in Mélanges Jacques Boré, Paris, Dalloz, 2007, pp ) 本 稿 の 終 章 を 参 照 78) D. No of 15 February 2008, JO 17 Feb., p は, 地 方 裁 判 所, 近 隣 裁 判 所 及 び 大 審 裁 判 所 の 所 在 及 び 審 級 を 修 正 する D. No of 15 February 2008, JO 17 Feb., p. 2920は, 商 事 裁 判 所 の 創 設 に 関 するものである D. No of 6 March 2008, JO 9 March, p は, 児 童 裁 判 所 の 創 設 に 関 するものである D. No of 6 March 2008, JO 9 March, p. 4389は,フランス 国 籍 の 登 録 及 び 国 籍 に 関 する 証 明 を 権 限 を 有 する 地 方 裁 判 所 の 創 設 に 関 するものである D. No of 6 March 2008, JO 9 March, p は, 自 然 人 のフランスまたは 外 国 籍 に 関 する 紛 争 について 権 限 を 有 する 大 審 裁 判 所 の 創 設 に 関 するものである D. No , 29 May 2008, JO 1er June, p. 9070( 前 掲 脚 注 73) は, 労 働 裁 判 所 の 創 設 に 関 するものである 796 ( 2244)

41 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 均 衡 点 を 見 出 そうとする, 司 法 に 関 する 現 代 的 発 展 のディレンマを 描 写 しているか らである この 調 査 も, 第 一 審 での 民 事 紛 争 処 理 の 分 裂 の 再 編 に 関 し, 政 府 が 始 め た 作 業 の 核 心 にある 79) 想 定 される 改 正 では, 複 数 の 第 一 審 民 事 裁 判 所 の 間 での より 合 理 的 な 管 轄 権 の 分 配 が 行 われるべきである 80) このような 進 行 中 の 傾 向 と 今 後 の 課 題 を 区 別 することによって,フランスの 民 事 訴 訟 における 新 しい 傾 向 を 考 慮 することができる 1 進 行 中 の 傾 向 現 在 進 行 中 の 発 展 の 淵 源 は,1975 年 民 事 訴 訟 法 典 である 同 法 典 は,1806 年 民 事 訴 訟 法 典 から 生 まれたフランス 法 の 自 由 主 義 的 な 伝 統 と,フランツ クライン (Franz Klein, ) の 発 案 により19 世 紀 後 半 に 認 識 され,フランスのアル ベール ティシエ (Albert Tissier, ) によって20 世 紀 初 頭 に 説 かれた,ド イツの 手 続 法 改 正 から 継 受 した, 手 続 の 社 会 的 機 能 との 均 衡 の 産 物 と 考 えられてい た 81) 1975 年 民 事 訴 訟 法 典 において 新 たにされた 概 念 ( 第 1 条 ないし24 条 [ 訴 訟 79) L ambition raisonnée d une justice apaisée, supra footnote ) これは, 私 がこの 改 正 の 準 備 を 担 当 する 委 員 会 において 弁 護 した 観 点 である この 考 え 方 は, 後 に 遭 遇 するであろう 障 害 ( 伝 統 の 重 みや, 憲 法 違 反 のおそれ)が, 管 理 の 緩 和 の 観 点 から 生 じる 利 益 に 対 し, 重 要 で 看 過 しえないことを 理 由 に 採 用 されなかった これは 議 論 に 値 する このような 法 改 正 は 急 進 的 であり,それ 故 に, 関 係 機 関 において 如 何 とも 受 け 入 れ 難 いことは 確 かである Guinchard 報 告 が 行 った 提 案 は, 第 一 審 の 司 法 機 関 の 簡 素 化 において, 一 定 の 進 歩 を 遂 げている それらの 提 案 にある, 地 方 裁 判 所 に おける 隣 接 裁 判 所 の 統 合, 家 事 事 件 に 対 する 家 事 裁 判 官 の 介 入 を 調 整 するための 家 事 に 関 する 司 法 ネットワークの 創 設 によって 導 入 され, 権 限 を 未 成 年 者 の 後 見 や 婚 姻 財 産 の 清 算 にも 拡 張 した 家 事 裁 判 官 による 大 審 裁 判 所 での 家 事 部 の 創 設,そしてとりわけ, 書 記 官 の 統 一 窓 口 の 創 設 は 正 当 な 方 向 性 である 81) このような 系 譜 について,see L. Cadiet, The International sources of french civil procedure, in M. Deguchi & M. Storme (eds), The reception and transmission of civil procedural law in the global society, Antwerpen-Apeldoorn, Maklu, 2008, pp この ような 新 民 事 訴 訟 法 典 における 民 事 手 続 の 理 念 は, 同 法 典 の 父 達 によって 繰 返 し 説 明 されている See G. Cornu, Les principes directeurs du procès civil par eux-mêmes, fragment d'un état des questions, supra footnote 44. J. Foyer, Rapport de synthèse, in Cour de cassation, Le nouveau Code de procédure civile : vingt ans après, Paris, La documentation française, 1998, spec. p H. Motulsky, Prolégomènes pour un futur Code de procédure civile : la consécration des principes directeurs du procès civil par le décret du 9 septembre 1971, supra footnote ( 2245)

42 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) の 指 導 原 則 と 題 する 章 ]では, 訴 訟 手 続 は, 当 事 者 のもの( 弾 劾 的 と 呼 ばれる 概 念 )でも 裁 判 官 のもの( 職 権 的 と 呼 ばれる 概 念 )でもなく, 裁 判 官 と 当 事 者 によっ て 共 に 担 われる ものであり,この 共 有 された 目 的 が, 係 争 事 項 と 審 理 の 過 程 に 関 して 永 続 的 な 協 働 作 業 を 課 すことになる 82) このことは, 民 事 訴 訟 の 自 然 の 帰 結 としての 判 決 を 生 成 する 間 における, 裁 判 官 と 当 事 者 による 効 率 的 な 協 働 主 義 という 民 事 訴 訟 法 典 の 指 導 的 規 定 を 定 義 付 けている 83) それ 以 降 に 介 在 する 修 正 は, 今 日 において 司 法 運 営 または 司 法 事 件 運 営 と 呼 ばれるものの 発 展 を 通 じて 表 現 されるが, 手 続 の 合 理 化 を 生 じさせた 関 係 において, 上 記 の 協 働 主 義 を 補 強 してき たに 過 ぎない 裁 判 官 と 当 事 者 の 協 働 に 依 存 している 以 上, 手 続 の 運 営 は 効 率 的 か つ 衡 平 でなければならない このことは,ユニドロワ (UNIDROIT : 私 法 統 一 国 際 協 会 ) 国 際 民 事 訴 訟 原 則 の11.2において, 当 事 者 は, 衡 平, 効 率 的 で,かつ 合 理 的 に 迅 速 な 審 判 のための 責 任 を 裁 判 所 とともに 負 う という 文 言 で 明 瞭 に 表 現 さ れており 84),これに 尽 きる 公 共 的 活 動 の 原 則 のように, 効 率 性 の 原 則 の 推 進 は 公 正 な 審 理 の 原 則 と 結 合 されなければならない すなわち, 民 事 訴 訟 法 のすべての 改 正 は, 今 日 において, 効 率 性 の 原 則 と 衡 平 の 原 則 との 永 続 的 な 仲 裁 の 結 果 と 考 え ることはできない 裁 判 官 への 訴 願 は, 最 初 の 手 段 ではなく, 最 後 の 手 段 として 考 慮 されなければならないし, 司 法 手 続 をコストなしで 行 うことはできないが, 適 切 なコストによらなければならない すなわち, 衡 平 な 手 続 の 要 請 を 本 質 的 に 制 限 し ない 程 度 でなければならない 事 件 の 非 司 法 化, 手 続 の 合 理 化, 及 び 手 続 の 再 構 築 という 三 つの 傾 向 こそが, 新 たな 手 続 的 文 化 である 1. 1 事 件 の 非 司 法 化 の 傾 向 非 司 法 化 (dejudicialization) は 幻 惑 的 な 言 葉 であり, 実 際 には, 交 渉 的 正 義 ( 協 定 的, 契 約 的, 又 は 合 意 的 とも 呼 ばれる)によるものか 否 かを 問 わず, 自 主 的 紛 争 解 決 手 続 を 志 向 する 現 代 的 関 心 を 指 す 概 念 である 85) 非 司 法 化 は, 正 義 を, 法 廷 82) See L. Cadiet & E. Jeuland, Droit judiciaire privé, Paris, Litec, 6ème ed. 2009, No 518 sq. 83) L. Cadiet & E. Jeuland, supra footnote 82, No 518. Adde E. Jeuland, La conception du procès civil dans le Code de procédure civile de 1975, in L. Cadiet et G. Canivet (eds), , de la commémoration d un code à l autre : 200 ans de procédure civile en France, supra footnote ) ALI/UNIDROIT, Principles of transnational civil procedure, Cambridge, Cambridge University Press, 2006, pp ) See A. Jeammaud, V Judiciarisation/Déjudiciarisation, in L. Cadiet (ed.), Dictionnaire de la justice, Paris, Presses Universitaires de France, ( 2246)

43 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) の 外 側 で 処 置 すべきとの 使 命 を 有 する 理 想 郷 へと 非 強 制 的 に 回 帰 させる 従 って, 非 司 法 化 は, 手 続 の 形 式, 裁 判 の 進 行 方 法 や, 司 法 的 慣 例 による 制 約 から 免 れる, 解 決 の 非 形 式 化 (deformalization) である 86) しかし, 実 際 は, 少 なくとも 2 つの 相 対 的 な 観 点 から 考 える 必 要 がある 第 1 に, 司 法 的 正 義 の 代 替 として 考 案 された 非 司 法 化 は,それほどインフォーマ ルではない 代 替 的 紛 争 解 決 手 続 の 現 代 的 発 展 を 注 意 深 く 観 察 すれば,フォーマル な 手 続 のない 所 に 自 主 的 合 意 は 実 現 しないことが 明 らかに 示 される 自 主 的 正 義 は, 精 緻 な 手 続 準 則 に 従 って 実 現 されるものであり, 合 意 による 手 続 だけが, 司 法 手 続 上 の 自 主 的 正 義 ではない 87) 紛 争 の 自 主 的 解 決 のための 主 要 な 原 則 の 存 在 は, 88) 国 内 法 及 び 国 際 的 仕 組 み 89) から 看 取 することができる 第 2に, 前 記 の 点 とは 逆 に, 代 替 的 紛 争 解 決 手 続 に 関 する 非 形 式 化 は, 必 ずしも 非 司 法 化 と 同 義 ではない 民 事 訴 訟 手 続 の 発 展 は, 裁 判 官 の 面 前 での 自 主 的 合 意 に よる 方 式 の 拡 大 であることを 明 らかにしている 1806 年 民 事 訴 訟 法 典 において 述 べ られている 和 解 が, 起 草 者 が 望 んだことに 対 応 していなかったとすれば,1975 年 民 86) See L. Cadiet, Case management judiciaire et déformalisation de la procédure, in Une administration pour la justice, Revue française d administration publique 2008, No 125, pp , spec. pp ) See J. Thibault, Les procédures de règlement amiable des litiges au Canada,thèse Paris II, 1998, spec. No 159 sq, は, 自 主 的 合 意 において, 民 事 訴 訟 手 続 や 仲 裁 手 続 のように, 予 見 可 能 性 を 保 証 し 当 事 者 の 信 頼 を 確 保 するために, 手 続 構 造 に 関 する 手 続 準 則 の 存 在 を 説 明 する このような 手 続 的 特 質 は, 自 主 的 合 意 のための 司 法 手 続 においてより 強 い See also J. Joly-Hurard, Conciliation et médiation judiciaires, préf. S. Guinchard, Presses Universitaires d Aix-Marseille, 2003, spec. pp. 303 sq は, 裁 判 上 の 交 渉 の 倫 理 と 呼 ばれ るものを 含 む, 手 続 法 の 原 則 による 裁 判 上 の 交 渉 のための 枠 組 み を 扱 う 88) 例 えば, 調 停 人 の 中 立 公 平 性 に 関 して,art CPC (les garanties d indépendance nécessaires à l exercice de la médiation) and also, L. Cadiet, Procès équitable et modes alternatifs de règlement des conflits, in M. Delmas-Marty, H. Muir-Watt & H. Ruiz-Fabri, Variations autour d un droit commun Premières rencontres de l UMR de droit comparé de Paris, Paris, Société de législation comparée, 2002, pp ) See Recommandation Rec (2002) 10 from 18 September 2002 of the Comité des Ministres du Conseil de l Europe on mediation in civil matters (Editions du Conseil de l Europe, Nov. 2003). Adde the recent Directive 2008/42/CE of the Parlement européen & the Conseil from 21 May 2008 on certain aspects of mediation in civil and commercial matters (Journal official de l Union européenne No L 136, 24 May 2008, p. 3), は, 調 停 を 構 造 的 手 続 と 定 義 し (Art. 3, a), 主 要 な 原 則 である 調 停 人 の 中 立 性 と 手 続 の 秘 密 性 について 述 べている 799 ( 2247)

44 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 事 訴 訟 法 典 の 起 草 者 は, 裁 判 官 が, 当 事 者 の 申 立 てにより 仲 裁 的 判 断 を 行 う( 民 事 訴 訟 法 12 条 4 項 ) 可 能 性 を 予 見 して, 共 同 申 立 てによる 訴 訟 手 続 の 開 始 を 規 定 する ことや( 民 事 訴 訟 法 第 57 条 ), 特 に 裁 判 上 の 和 解 を 手 続 の 主 要 原 則 の 地 位 に 昇 格 さ せるものとして, 同 法 第 21 条 が 当 事 者 への 和 解 勧 試 は 裁 判 官 の 職 務 に 含 まれる と 明 文 で 規 定 することによって, 自 主 的 司 法 のプロジェクトを 受 け 入 れた 新 民 事 訴 訟 法 典 の 制 定 以 来, 調 停 や 和 解 の 志 向 は, 民 事 訴 訟 手 続 の 合 理 化 の 傾 向 にある 最 近 の 改 正 を 除 けば, 司 法 機 関 の 核 心 において 進 歩 の 歩 みを 止 めていない ここに 示 すとすれば, 民 事 訴 訟 法 典 中,すべての 裁 判 所 に 共 通 する 規 定 の 部 分 における 司 法 型 調 停 の 規 定 90), 裁 判 官 が, 調 停 の 勧 試 を 調 停 人 に 委 任 できる 規 定 91), 離 婚 及 び 親 権 をめぐる 紛 争 92) に 関 する 手 続 における 家 事 調 停 の 制 度, 及 び,より 最 近 のも のとして,2006 年 3 月 1 日 以 降, 大 審 裁 判 所 の 準 備 裁 判 官 が 当 事 者 の 申 立 てにより 和 解 を 確 認 することの 可 能 性 である 93) なお, 第 一 審 手 続 に 関 する Guinchard 報 告 94) や, 上 訴 手 続 に 関 する Magendie II 報 告 95) が 提 起 した, 重 要 な 進 歩 の 余 地 が 依 然 として 存 在 する それらの 幾 つかは2010 年 12 月 22 日 法 律 号 において 採 用 され, 共 同 紛 争 解 決 合 意 (convention de procédure participative)( 民 法 第 2062 条 ないし2068 条 )が 導 入 された また,2010 年 10 月 1 日 デクレ 第 号 は, 民 事, 商 事 及 び 社 会 関 係 事 項 における 和 解 及 び 口 頭 手 続 について 扱 っている 英 国 民 事 訴 訟 法 の 新 しいルールとは 異 なり,フランス 法 は, 紛 争 の 自 主 的 解 決 の 合 意 に 達 することができなかった 当 事 者 に 対 し 金 銭 的 制 裁 を 課 していない 人 参 90) Art to CPC, réd. D. No96-652, 22 July ) Art to CPC, réd. D. No96-652, 22 July ) 離 婚 について, 民 法 第 条 親 権 について, 民 法 第 255 条 93) Art. 768, al. 2 CPC, réd. D. No , 28 Dec ) 第 47 号 ないし54 号 の 提 案, 及 び 任 意 の 合 意 による 新 たな 手 続 の 創 設 : 代 理 人 により 補 助 された 交 渉 の 参 加 手 続 (the participation proceedings of assisted negotiation by attorney), 司 法 上 の 権 限 を 調 停 人 (conciliator of justice) に 委 譲 することを 可 能 にする, 全 ての 裁 判 所 での 一 般 化 による 裁 判 上 の 和 解 の 発 展 や, 付 随 的 司 法 調 停 を 含 む 司 法 上 の 調 停 手 続 の 強 化 ( 情 報 段 階 の 後 に, 当 事 者 が 調 停 人 に 面 会 することを 禁 ずる 権 限 の 一 般 化 ), 家 事 調 停 ( 司 法 外 調 停 への 回 付 の 創 設, 親 権 行 使 の 方 法 の 修 正 に 関 する 請 求 のため の 付 調 停 ) 95) Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel, supra footnote 72 より 詳 しくは, Gazette du Palais 22 May 2008, p. 30 が, 司 法 構 造 における 調 停 の 統 合 ( 調 停 部 門 の 創 設 : 調 停 人 の 選 任, 調 停 手 続, 裁 判 所 による 合 意 の 確 認, 調 停 の 機 微 に 関 する 監 視 を 担 当 する 予 審 判 事 の 選 任, 及 び 調 停 協 会 への 裁 判 権 の 接 続 )に 好 意 的 である 800 ( 2248)

45 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) が 鞭 よりも 好 まれているのである 取 引 的 交 渉 に 続 く 和 解 のための 法 律 扶 助 制 度 について1998 年 に 実 現 した 拡 張 96), 及 び 自 主 的 解 決 の 価 値 を 高 めるために 今 日 なされている 提 案 97) を 理 解 することが 必 要 である 紛 争 解 決 手 段 に 関 する 法 の 現 代 的 発 展 は, 自 主 的 方 法 と 裁 断 的 方 法, 及 び, 司 法 手 続 型 と 司 法 外 手 続 型 を 統 合 す る, 多 元 的 司 法 の 提 供 を 推 進 する 傾 向 が 明 白 に 存 在 する 代 替 的 紛 争 解 決 手 段 の 発 展 は, 手 続 の 合 理 化 への 傾 向 を 同 様 に 示 している, 司 法 制 度 運 営 の 手 段 である 1. 2 手 続 の 合 理 化 の 傾 向 1975 年 民 事 訴 訟 法 典 において, 既 に 訴 訟 手 続 の 合 理 化 の 傾 向 は 存 在 しており, 今 日 においても 発 展 を 続 けている 手 続 の 合 理 化 は, 手 続 進 行 の 方 式 及 び 訴 訟 行 為 文 書 自 体 の 簡 素 化 を 目 的 としている 98) 手 続 進 行 の 方 式 の 緩 和 が, 他 の 何 よりも 手 続 に 要 する 時 間 の 経 済 に 資 す る 理 想 は, 各 事 案 がそれぞれのリズムによって 扱 われる, オーダー メイド に よる 紛 争 解 決 手 続 である 緊 急 の 状 況 は 即 時 の 決 定 を 必 要 とし, 略 式 手 続 や 一 方 当 事 者 の 申 立 てに 係 る 命 令 による 争 点 に 関 する 準 備 手 続 において, 簡 易 な 事 案 に 比 べより 注 意 を 要 する 複 雑 な 事 案 では, 手 続 ルートは, 専 門 の 司 法 官 の 介 入 をもたら すかどうかによって 99),さまざまな 速 度 である 手 続 は, 最 速 でかつ 当 該 事 案 に 最 適 な 解 決 を 実 現 することを 主 要 な 目 的 としなければならず, 手 続 間 の 移 行 すなわ ち 単 独 裁 判 官 から 合 議 体 への 移 行 100) や, 指 定 期 日 における 本 案 に 関 する 略 式 判 決 への 移 行 101) などを 設 けている 手 続 を 後 戻 りさせることなく 調 整 することが 必 要 96) L. No , 10 July 1991, Art. 10, réd. L. No of 18 December 1998 on access to law and to voluntary resolution of disputes. 97) J. -C. Magendie, L effectivité des droits passe par des procédures adaptées, JCP (Semaine juridique) 2008, I, 145, p ) See L. Cadiet, Case management judiciaire et déformalisation de la procédure, supra footnote 86, spec. pp ) 大 審 裁 判 所 及 び 控 訴 院 においては, 裁 判 官 や 控 訴 院 準 備 裁 判 官 商 事 裁 判 所 や 労 働 裁 判 所 においては 法 律 問 題 担 当 裁 判 官 V. spec. art. 764, al. 1er CPC : Le juge de la mise en état fixe, au fur et à mesure, les délais nécessaires à l instruction de l affaire eu égard à la nature, à l urgence et à la complexité de celle-ci, et après avoir provoqué l avis des avocats. 100) See ex. art. L COJ, about the tribunal de grande instance ruling as a single judge. 101) See ex. art. 811 CPC, réd. D. No , 28 Dec ( 2249)

46 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) である また, 効 率 的 な 手 続 である 支 払 命 令 や 作 為 命 令 に 対 する 不 服 申 立 ては, 十 分 な 理 由 のある 請 求 の 単 純 な 推 定 に 基 づく 紛 争 の 転 置 の 技 術 に 依 拠 している 102) 以 来,このプロジェクトが 否 定 されたことはなく,その 後 の 改 正 も 同 じ 道 を 辿 っ ている 略 式 手 続 及 び 作 為 命 令 支 払 命 令 の 手 続 がより 多 様 化 していること 103), 指 定 期 日 における 略 式 手 続 への 移 行 が 一 般 化 されたこと 104), 訴 答 のための 期 日 を 節 約 する 実 務 が 確 立 していること 105), 裁 判 所 書 記 官 への 判 決 書 の 寄 託 によって 言 渡 しに 代 えること 106) が 該 当 する 手 続 運 営 に 契 約 的 技 法 を 発 展 させる 一 方 で, 紛 争 の 実 情 により 固 執 することへの 懸 念 や, 申 立 により 喚 起 されるようになった 実 務, 自 主 的 解 決 を 探 るための, 当 事 者 の 合 意 による 係 属 事 件 からの 除 去 107) の 役 割 の 再 評 価,とりわけ, 大 審 裁 判 所 及 び 控 訴 院 における 準 備 手 続 の 議 題 に 関 する 手 続 カレンダー (calendrier de la procedure) がある これは 双 方 弁 護 士 の 合 意 によっ て 定 められ, 主 張 書 面 を 交 換 する 予 想 される 数 及 び 期 限, 弁 論 終 結 の 日, 弁 論 期 日,( 中 略 ) 及 び 判 決 言 渡 期 日 108) を 内 容 に 含 む 手 続 の 契 約 化 は,もし, 相 当 数 の 事 件 を 裁 判 外 で 解 決 することを 許 す 和 解 や 調 停 を 第 一 に 目 指 すすのであれば, 裁 判 官 と 当 事 者 の 協 働 主 義 の 論 理 に 適 うものである それは 裁 判 手 続 の 運 営 を 必 ずし も 節 約 しないことがわかるだろう 109) 手 続 の 合 理 化 への 傾 向 は 一 層 進 むであろう Guinchard 報 告 は, 支 払 命 令 手 続 を 102) G. de Leval, Les ressources de l inversion du contentieux, in M.-T. Caupain & G. de Leval (eds), L efficacité de la justice civile en Europe, Bruxelles, Larcier, 2000, pp Compare R. Perrot, L inversion du contentieux (ou les prouesses de l ordonnance sur requête), in Etudes offertes à Jacques Normand, Paris, Litec, 2003, pp. 387 sq. 103) See ex. art. L , L , L , L C. com. 104) By the decrees of 20 August 2004 and 28 December 2005 : See art. 811, 849-1, and 896 CPC. 105) Art. 779, al. 2 CPC, réd. D. No , 28 Dec ) Art. 450, al. 2 CPC, réd. D. No , 20 Aug ) Art. 382 CPC, réd. D , 28 Dec and already, Cour de cassation, assemblée plénière, 24 Nov. 1989, JCP (Semaine juridique) 1990, II, 21407, note Cadiet. 108) Art. 764, al 2 CPC, réd. D. No , 28 Dec. 2005, the set delays in the calendar cannot be extended except in case of grave and justified cause : Art. 764, al. 3, réd. D. No , 28 Dec ) See L. Cadiet, Les jeux du contrat et du procès, Mélanges offerts à Gérard Farjat, Paris, Editions Frison-Roche, 1999, pp ; Les accords sur la juridiction dans le procès, in P. Ancel & M.-C. Rivier (eds), Le conventionnel et le juridictionnel dans le règlement des différends, Paris, Economica, 2001, pp ( 2250)

47 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 大 審 裁 判 所 にも 拡 張 することを 提 案 する 110) 移 行 手 続 の 領 域 に 関 しては, 裁 判 上 の 和 解 の 試 みが 効 を 奏 さなかった 場 合 における, 双 方 当 事 者 共 同 による, 裁 判 所 調 停 人 による 判 断 の 申 立 てがある 111) また, 和 解 の 試 みが 先 行 しない 小 審 裁 判 所 へ の 申 立 てである, 二 重 の 召 喚 112) の 実 務 がある Magendie II 報 告 は 上 訴 手 続 の 現 代 化 を 提 案 しているが,そのような 現 代 化 は 特 に, 勤 勉 な 助 力 が 行 為 者 達 の 調 和 を 形 成 する ことを 前 提 とする, 書 面 交 換 の 合 理 化 の 方 法 による このことが, 推 奨 される 手 続 のルールを 超 えて, 上 訴 手 続 における 異 なる 主 導 者 による 対 話 113) の 中 で 控 訴 院 段 階 で 生 成 された 憲 章 や 善 良 な 実 務 指 針 に 応 じて 上 訴 するこ とが 提 案 される 理 由 である 上 記 報 告 は, 上 記 対 話 を, 手 続 における 行 為 者 の 協 働 責 任 と 名 づけている 114) 手 続 の 簡 素 化 は, 特 に, 軽 量 化 標 準 化 され 争 いの 余 地 を 少 なくする 手 続 サービスに 関 するものである 立 法 者 は, 過 去 においても 現 在 においても, 訴 訟 行 為 の 形 式 性 を 軽 減 することを 躊 躇 しない 例 を 挙 げれば, 裁 判 所 書 記 官 に 対 する 簡 易 な 宣 言 による 裁 判 官 への 付 託, 簡 易 な 書 簡 での 通 常 の 方 式 による 訴 訟 行 為 書 面 の 送 達, 記 録 中 の 記 述 の 方 式 に よる 裁 判 官 の 裁 判, 判 決 において 当 事 者 の 申 立 てに 係 る 請 求 及 びその 理 由 の 摘 示 並 びに 当 事 者 の 訴 答 及 びその 日 付 の 記 載 を 要 することがある 115) 立 法 者 は, いかな る 方 法 でも 116) や, 形 式 を 問 わず 117) という 文 言 を 用 いることがある 形 式 主 義 は, 防 御 の 効 率 性 及 び 判 決 の 質 を 保 障 する 118) と 言 われているもの 110) 提 案 第 2 号 及 び32 号 は, 支 払 命 令 の 申 立 の 審 査 を, 裁 判 官 から, 創 設 が 提 案 される ( 提 案 第 21 号 ) 裁 判 所 書 記 官 に 委 譲 すること,または, 大 審 裁 判 所 に 付 設 される, 職 業 裁 判 官 (professional judges)( 提 案 第 22 号 )によって 主 宰 される 隣 接 裁 判 所 に 委 譲 すること を 提 案 する 111) Proposition No ) これは 言 わば, 当 事 者 が 裁 判 所 へ 申 し 立 てた 後 の 調 停 人 (conciliator of justice) への 回 付 であり, 当 事 者 双 方 により 聴 聞 期 日 を 設 定 し, 合 意 に 達 した 場 合 は 確 認 を 受 け, 合 意 できなかった 場 合 は 判 決 となる (Proposition No 48.) 113) Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel, supra footnote 72, p. 32 and pp ) Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel, supra footnote 72, p ) Art. 455, al. 1er CPC, réd. D. No , 28 Dec ) See ex. art. 178, 267, 450, al. 3 CPC. 117) See ex. art. 133, 139, 141, 168, 338-2, 704, 1051, 1052, CPC. 118) See Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel, supra footnote 72, pp ( 2251)

48 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) の,1998 年 以 降 見 られる 手 続 サービスの 標 準 化 は, 手 続 の 簡 素 化 119) から 生 じてい る 既 に 述 べた, 適 式 な 120) 略 式 の 提 出 121) もそのようなものであったが, 全 ての 所 期 の 効 果 を 生 じさせてはいない Magendie II 報 告 122) が 提 案 する, 上 訴 に 関 する 書 面 の 構 造 化 も, 同 じようになるだろう 当 該 書 面 は, 控 訴 に 係 る 判 決 に 対 する 事 実 と 先 行 手 続 についての 批 判 及 びその 動 機,すなわち 申 立 てとその 事 実 上 及 び 法 律 上 の 根 拠 を 摘 示 する そして 決 定 においては, 当 事 者 の 申 立 てを 主 張 書 面 から 限 局 することを 必 要 とし, 裁 判 官 の 応 答 を 免 じている 123) 最 後 に, 民 事 訴 訟 法 典 は, 訴 訟 手 続 の 形 式 化 を 避 けることに 腐 心 した 多 数 の 規 定 を 含 んでいるが,それらの 規 定 は, 不 定 形 の 形 式 を 場 当 たりに 利 用 し, 事 件 の 解 決 を 複 雑 化 ないし 遅 延 させているにすぎないという 批 判 にさらされている 手 続 サー ビスの 形 式 主 義 の 緩 和 は, 通 常 の 紛 争 手 続 の 分 割 を 伴 うものであり, 形 式 の 不 備 に よる 無 効 の 申 立 てを 非 常 に 適 切 に 表 現 する 民 事 訴 訟 法 第 112 条 ないし116 条 によって 形 成 される この 仕 組 みは, 明 文 なくして 無 効 なし 124), 不 利 益 なければ 無 効 な し 125) といったもので, 無 効 な 申 立 の 治 癒 の 高 い 可 能 性 126) がある すなわち, 無 効 は 手 続 行 為 を 完 結 するために 主 張 を 要 し, 訴 訟 不 受 理 の 抗 弁 又 は 本 案 に 対 する 防 御 の 後 に 行 うことができる( 民 事 訴 訟 法 第 112 条 ) 127) 無 効 に 関 する 争 いについて 119) 文 書 の 簡 素 化 された 構 造 化 を 喚 起 する Magendie II 報 告 を 参 照 : Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel, supra footnote 72, p ) この 意 味 において, 事 実 の 提 示 を 伴 う 請 求 の 目 的 と, 請 求 が 成 立 する 法 的 根 拠 を 含 む ものでなければならない Art. 56, 2 ; 753, al. 1er et 954, al. 1er CPC. 121) この 意 味 において, 事 前 に 提 起 ないし 提 示 された 請 求 及 び 主 張 に 言 及 しなければなら ず,これを 怠 った 場 合 は 請 求 や 主 張 を 放 棄 したとみなされる Art. 753, al. 2 et 954, al. 2 CPC. 122) 裁 判 文 書 の 形 式 に 関 する 自 由 の 原 則 を 文 言 に 挿 入 するために, 一 般 化 された 不 確 実 性 に 到 達 した( 申 立 てと 手 段 の 分 離 は, 弁 護 士 による 要 約 の 忘 れられた 部 分 や, 裁 判 所 からの 応 答 の 懈 怠 の 関 与 を 可 能 にしている ) : Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel supra footnote 72, pp , spec. p ) Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel, supra footnote 72, p ) 公 序 または 実 質 的 な 要 式 の 看 過 を 除 く (art. 114, al. 1er CPC). 125) このことは, 当 事 者 に 対 し, 方 式 違 反 が, 防 御 権 に 対 し 不 利 益 な 効 果 を 及 ぼしたこと を 証 明 することを 義 務 付 けることになる 公 序 や 実 質 的 な 要 式 に 関 しても 同 様 である (art. 114, al. 2 CPC) 126) 無 効 とされるべき 行 為 について 適 時 に 補 正 がされ, 相 手 方 当 事 者 への 不 利 益 が 除 去 さ れた 場 合 (art. 115 CPC.) 127) See L. Mayer, Les actes du procès et la théorie de l acte juridique, thèse Paris 1, ( 2252)

49 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) のこのような 扱 いは, 訴 訟 手 続 の 再 構 築 の 傾 向 である 訴 訟 手 続 の 合 理 化 への 新 展 開 として 役 に 立 った 1. 3 手 続 の 再 構 築 の 傾 向 訴 訟 手 続 の 迅 速 化 の 課 題 は, 第 一 審 手 続 の 効 率 性 及 び 決 定 性 の 機 能 を 充 足 するた め, 立 法 者 は, 一 連 の 改 正 において, 事 件 の 準 備 段 階 ( 準 備 手 続 は, 英 米 法 の 意 味 でのプリトライアル (pretrial) の 段 階 にはあたらない)の 役 割, 並 びに, 大 審 裁 判 所 及 び 控 訴 院 における( 準 備 手 続 に 専 従 する) 準 備 裁 判 官 の 役 割 を 顕 著 に 強 化 する ことで, 手 続 の 実 施 の 合 理 化 を 行 った 128) 準 備 裁 判 官 は,もとは 延 期 的 抗 弁 (dilatory plea) や 瑕 疵 ある 記 述 による 不 適 式 (irregularity for faulty drafting) につ いて 裁 判 をする 権 限 のみを 有 していたが( 当 初 の 民 事 訴 訟 法 第 771 条 1 項 ), 現 在 で は, 手 続 上 の 申 立 てや, 訴 訟 手 続 の 終 了 をもたらす 事 由 について 裁 判 をする 権 限 を 有 している 準 備 裁 判 官 の 権 限 の 拡 張 は, 準 備 裁 判 官 の 職 務 が 解 除 された 後 に, 当 事 者 は 前 記 の 事 由 を 主 張 できないとする 失 権 効 を 伴 っているが( 現 行 民 事 訴 訟 法 第 771 条 1 項 ), 他 方 で, 手 続 上 の 申 立 てや 訴 訟 手 続 の 終 了 をもたらす 事 由 に 関 する 準 備 裁 判 官 による 裁 判 は,そのような 裁 判 への 既 判 力 の 類 推 により, 控 訴 院 への 独 立 の 不 服 申 立 ての 対 象 となる( 民 事 訴 訟 法 第 776 条 1 項 及 び2 項 ) このような 発 展 は, 事 件 の 準 備 段 階 の 性 質 を 修 正 する 傾 向 にあり, 統 合 された 事 前 手 続 のモデルを 形 成 する 言 うなれば,1975 年 法 が 当 初 に 想 定 していた 設 例 から, 自 治 的 事 前 手 続 のモデルへ 向 けて, 準 備 裁 判 官 が 第 1 回 期 日 から 完 全 に 分 離 された 裁 判 所 とな り 129), 民 事 手 続 の 中 断 (caesura) を 導 入 する それは, 主 張, 証 拠 及 び 請 求 に 関 する 手 続 集 中 の 原 則 の 神 聖 化 の 問 題 を 提 起 するが,それは 付 帯 請 求 と 不 服 申 立 手 続 に 関 しては 避 けて 通 れない しかし,ユニドロワ 国 際 民 事 訴 訟 原 則 130) も 同 様 に 導 入 するこのような 発 展 は, 英 米 法 国 で 見 られるように,プリトライアルとトラ イアルの 区 別 を 導 入 するものではないことを 強 調 する 必 要 がある なぜならば, 当 Adde L. Cadiet, La sanction et le procès civil, in Mélanges Jacques Héron, Lextenso, 2008, pp. 123 sq. 128) 民 事 訴 訟 法 第 910 条 によるものであり, 第 763ないし787 条 に 関 係 する 129) S. Amrani-Mekki, E. Jeuland, Y.-M. Serinet & L. Cadiet, Le procès civil français à son point de déséquilibre? A propos du décret procédure, JCP (Semaine juridique) 2006, I, ) ALI/UNIDROIT, Principles of Transnational Civil Procedure, Cambridge University Press, 2006, spec. Principes 9 and ( 2253)

50 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 事 者 と 準 備 段 階 を 主 宰 する 裁 判 官 によって 既 に 創 設 されていたからである この 手 続 集 中 の 目 的 は, 次 の 段 階 の 手 続 において 本 案 に 関 する 問 題 の 解 決 に 専 念 できるよ うに, 事 件 解 決 に 必 要 な 要 素 を 当 該 手 続 の 段 階 で 分 離 し, 手 続 上 の 争 点 ( 管 轄, 無 効 や 許 容 性 の 問 題 )を 隔 離 することである 弁 論 の 忠 実 性 及 び 効 率 性 の 保 障 に 関 す る 懸 念 は,このアプローチを 合 法 化 する 確 かに,これらの 発 展 は, 最 初 は 大 審 裁 判 所 ( 何 点 かについては 控 訴 院 )に 関 す ることであった しかし, 適 切 に 本 案 審 理 の 段 階 に 着 目 しながら, 手 続 集 中 の 原 則 及 び 準 備 的 な 事 前 手 続 の 段 階 へと 発 展 させる 必 要 性 は, 大 審 裁 判 所 における 紛 争 に 限 定 されない また, 書 面 であれ 口 頭 であれ, 裁 判 所 や 手 続 は 集 中 化 される 近 時 の 改 正 は,この 方 向 性 を, 他 の 第 一 審 裁 判 所 においても 採 用 している(2010 年 10 月 1 日 デクレ 第 号 は, 民 事, 商 事 及 び 社 会 的 事 項 に 関 する 和 解 及 び 口 頭 手 続 について 扱 っている) 上 訴 の 手 続 も, 必 然 的 に 第 1 回 期 日 の 合 理 化 の 影 響 を 受 けるが, 上 訴 の 完 成 機 能 をより 必 要 の 乏 しいものにする それと 同 時 に, 第 1 回 期 日 で 得 られたことが 第 2 回 期 日 で 失 われることを 避 けるために, 上 訴 手 続 の 補 足 的 な 合 理 化 による 補 強 を 必 要 とする 131) このことは,Magendie II 報 告 132) を 鼓 舞 し た 哲 学 である 同 報 告 は, 題 名 が 語 るとおり,Magendie I 報 告 133) の 延 長 にあり, 法 律 と 事 実 の 手 段 の 集 中 により, 上 訴 人 は, 判 決 に 対 するすべての 不 服 を, 一 定 期 間 内 に 提 出 することを 義 務 付 けられるべきである 手 続 の 集 中 は, 上 訴 人 だ けでなく 被 上 訴 人 にも 関 係 する 相 手 方 当 事 者 から 通 知 される 場 合 の 方 法 におい て, 忠 実 性 は, 定 められた 期 間 内 の 応 答 や, 全 ての 関 連 する 主 張 の 提 出 を 含 む 134) 加 えて, 非 許 容 性 が 判 断 されずに 結 果 的 に 受 け 入 れられることを 避 ける ために, 被 上 訴 人 は, 上 訴 の 非 許 容 性 に 関 する 主 張 書 面 を 提 出 し, 自 己 の 主 張 を 裏 付 ける 証 拠 を,その 月 の 間 に 提 示 すべきである 135) まとめると, 上 訴 の 許 容 性 に ついて 宣 言 する 裁 判 は, 裁 判 所 による 判 決 の 形 成 が 再 度 行 われることを 避 けるため に, 既 判 力 を 利 用 すべきである 136) 131) Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel, supra footnote 72, p ) Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel, supra footnote 72, p ) See supra footnote ) Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel supra footnote 72, p ) Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel supra footnote 72, p ) Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel supra footnote 72, pp , with reserve of the deferred to Article 914 : Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel supra footnote 72, pp ( 2254)

51 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) このような 手 続 集 中 の 原 則 は, 立 法 作 業 において, 判 例 法 が 近 時 提 示 する 実 体 集 中 の 原 則 とともに, 混 乱 なしに 明 瞭 に 表 現 されている 137) 2006 年 7 月 6 日 に 破 棄 院 全 体 部 (assemblée plénière) により 判 決 がされたリーディング ケースは, 裁 判 所 の 調 和 に 関 する 価 値 ある 議 論 となる, 集 中 の 一 般 原 則 を 示 した 同 判 決 は, 請 求 の 法 的 理 由 の 変 更 は, 性 質 上 事 件 の 根 拠 と 目 される 主 張 の 提 示, 又 は, 最 初 の 請 求 に 関 連 する 手 続 の 拒 絶 を 正 当 化 する 主 張 の 提 示 が 当 事 者 に 帰 せられる 場 合 に は, 既 判 力 を 免 れる 原 因 にはならないと 判 示 した 138) この 判 決 は 活 発 な 議 論 を 巻 き 起 こした 調 整 の 必 要 があるとすれば, 特 に 弁 護 士 の 支 援 がない 場 合 であるが, この 望 まれた 進 化 は, 大 審 裁 判 所 及 び 控 訴 院 における, 充 実 して 要 約 された 主 張 書 面 の 必 要 性 を 提 示 した1998 年 12 月 28 日 デクレ 以 降 進 展 していた 139) このように, 手 続 集 中 の 原 則 及 び 実 体 集 中 の 原 則 の 双 方 が,フランス 民 事 訴 訟 手 続 において 発 展 しており, 進 行 中 の 発 展 と 来 るべき 課 題 の 境 界 にある 2 今 後 の 課 題 歴 史 の 歩 みが 止 まることはない フランスの 法 制 度 は, 民 事 訴 訟 法 の 新 たな 発 展 により 対 応 が 求 められている 新 しい 課 題 に 直 面 しなければならない 私 見 は, 技 術 性 の 課 題, 複 雑 性 の 課 題, 及 び 民 主 主 義 の 課 題 という 少 なくとも 3 点 を 挙 げること とする 2. 1 技 術 性 の 課 題 当 初 の 認 識 は 既 に 現 実 となっているが, 近 い 将 来 において, 民 事 訴 訟 の 合 理 化 は, 民 事 訴 訟 手 続 のコンピュータ 化 ( 又 はデジタル 化 )に 向 けた 手 続 のペーパーレ ス 化 の 効 果 の 下 に 拡 充 されるであろう 特 に, 地 方 の 申 立 人 のために, 最 上 級 審 に 137) See C. Bléry & L. Raschel, Rapport Magendie : propositions pour un nouvel office des parties et du juge, Procédures 2008, Alertes ) Cour de cassation, assemblée plénière, 7 July 2006, Bulletin des arrêts de la Cour de cassation, ass. plén., No 8, completed by Cour de cassation, chambre commerciale, 20 Feb. 2007, Bulletin des arrêts de la Cour de cassation, IV, No ) See supra footnote 121, 要 約 を 行 う 義 務 (recapitulative duty) は,2005 年 12 月 28 日 のデ クレ 第 号 によって, 専 門 家 の 鑑 定 に 対 する 当 事 者 の 意 見 及 び 要 求 に 拡 大 され た See art. 276, nouv. al. 3 : 最 終 意 見 書 が 出 された 場 合, 当 事 者 は, 先 立 って 提 示 され た 内 容 を 再 度 喚 起 しなければならない これを 怠 った 場 合 は, 当 事 者 による 放 棄 を 擬 制 する 807 ( 2255)

52 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 対 するものも 含 めて, 申 立 地 につき 便 宜 が 図 られることになろう 140) 我 々の 司 法 制 度 の 現 代 化 は, 明 文 による 基 本 的 処 置 によって, 司 法 機 関 及 び 裁 判 手 続 のコンピュータ 化 を 課 している それは, 裁 判 所 書 記 官 との 遠 隔 通 信 や,テレ ビ 会 議 による 仮 想 期 日 を 可 能 とし, 弁 護 士 との 関 係 の 自 動 化 の 実 現 も 含 んでいる が, 手 続 の 運 営 自 体 については 触 れていない ある 論 者 は, 判 決 のモデル 化 の 持 続 性 は, 人 工 知 能 システムの 専 門 家 には 帰 せられないと 述 べる このコンピュータ 化 は, 重 大 な 投 資 を 必 要 とするが, 司 法 制 度 の 機 能 に 関 する 経 済 性 効 率 性 の 要 素 で あり, 形 式 を 簡 素 化 して 手 続 の 進 行 を 早 めることによって, 手 続 運 営 のコストを 削 減 することを 可 能 にする 141) 欧 州 法 及 び 近 隣 国 における 展 開 に 関 して,フランス 民 事 訴 訟 法 は, 電 子 通 信 の 利 用 を 許 すための 民 事 訴 訟 法 典 の 修 正 を 行 っている 民 法 典 における 電 子 署 名 の 規 定 142) は, 手 続 的 行 為 に 適 用 することはできなかったが 143),その 後,2005 年 12 月 28 日 デクレ 第 号 は, 民 事 訴 訟 法 典 の 冒 頭 に, 訴 訟 手 続 のペーパーレス 化 を 取 り 扱 う 新 しい 規 定 を 挿 入 した また, 裁 判 所 事 務 局 に 関 する 第 19 編 (Title XIX) において, 一 般 的 な 目 録, 事 件 記 録 及 び 記 録 簿 は, 電 子 的 記 録 として 保 有 するこ とができる として, 情 報 の 取 扱 は 真 正 及 び 秘 密 性 を 保 障 し,それを 確 実 に 維 持 する とする 第 条 を 規 定 した 他 方 で, 新 しい 第 21 編 (Title XXI) は, 第 条 ないし748-6 条 から 構 成 され, 訴 訟 行 為, 証 拠, 意 見 書, 召 喚 状, 報 告 書, 調 書 や 執 行 文 を 付 した 判 決 の 正 本 や 写 しの 送 付, 交 付 及 び 送 達 は, 電 子 的 に 行 うこ とができる ( 民 事 訴 訟 法 条 )として, 条 件 及 び 態 様 を 敷 衍 している フランスの 立 法 者 は, 真 正 及 び 秘 密 性 を 保 障 する 多 くのセキュリティを 有 する 電 子 通 信 の 導 入 を 選 んだ これらの 保 障 は, 弱 者 である 当 事 者 がこれらの 新 制 度 に 苦 140) See Cour de cassation, L innovation technologique, Rapport annuel 2005, Paris, La documentation française, 2006, spec. pp. 167 sq : Innovation technologique et méthodologie jurisprudentielle L exemple de la Cour de cassation. 141) V. J.-C. Magendie, Célérité et qualité de la justice La gestion du temps dans le procès, supra footnote 71, spec. Quatrième partie : L informatique et la communication électronique au service de la qualité de la célérité et de la qualité de la justice. 142) 電 子 契 約 の 有 効 性 に 関 し, 民 事 訴 訟 法 第 条 及 び 条 文 書 の 認 証 に 関 し, 第 条 ないし 条 143) 手 続 行 為 は 民 法 典 上 の 意 味 における 契 約 ではなく, 民 事 訴 訟 法 の 条 項 は, 手 続 に 関 す る 伝 統 的 な 書 面 について 明 文 で 規 定 する 例 えば, 民 事 訴 訟 法 旧 667 条 は, 送 達 は 封 筒 又 は 折 畳 みで 封 緘 され, 名 宛 人 に 対 する 郵 便 や 直 接 の 伝 達 によって 行 われる と 規 定 す る 808 ( 2256)

53 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) しむことを 避 けるとともに,それらを 実 行 する 任 務 にある 専 門 家 達 による 利 用 を 促 進 するために 必 要 である 進 歩 的 なものを 新 しい 制 度 に 取 り 入 れ, 良 い 機 能 を 保 障 するために,2009 年 1 月 1 日 まで 新 たな 制 度 が 効 力 を 生 じないとする, 慎 重 な 立 法 が 行 われた しかしながら,これらの 新 規 定 の 適 用 は,デクレにより 予 見 されたと おり, 裁 判 所 長 と 司 法 補 助 吏 (auxiliaries of justice) との 間 で 締 結 されるローカル 合 意 の 方 法 によるものであり 144), 既 述 のとおり, 司 法 の 契 約 化 という 現 代 的 発 展 の 新 たな 実 例 である こうした 課 題 は 今 後 大 いに 直 面 する なぜなら, 手 続 のコン ピュータ 化 は, 各 法 律 事 務 所 や 各 裁 判 所 が, 弁 護 士 専 用 ネットワークや, 裁 判 官 専 用 ネットワークの 実 務 上 の 相 互 接 続 を 目 指 しているからである 145) とりわけ, 電 子 的 通 信 が 制 度, 実 務 及 び 手 続 の 標 準 化 を 好 む 帰 結 を 注 視 する 必 要 がある 司 法 アクセスの 問 題 は,デジタル ディバイドの 困 難 は 存 在 するものの, 相 当 数 の 訴 訟 行 為 について 達 成 されたのと 同 様, 司 法 に 関 する 情 報 のインターネッ トによる 提 供 によって 更 新 されている それは,アクセスの 現 実 の 形 式 であり, 裁 判 所 書 記 官 における ユニバーサル カウンター の 創 設 のための 計 画 的 な 展 望 が,Guinchard 報 告 に 従 って 確 実 に 行 われなければならない ユニバーサル カウ ンターは, 裁 判 所 書 記 官 の 下 に 既 に 確 保 されている 裁 判 所 利 用 者 のための 情 報 の 使 命 を 超 えて, 裁 判 上 の 手 続 の 導 入 点 になるであろう 手 続 は 必 要 的 代 理 によらず, 裁 判 所 の 一 つに 付 託 ( 少 なくとも 最 初 は 控 訴 院 ) する 請 求 の 登 録 を, 直 接 に 権 限 ある 裁 判 所 の 職 務 連 鎖 に 行 うことは, 裁 判 所 へ 電 子 的 に 付 託 をする 他 の 処 分 との 調 和 を 想 定 している 特 に 事 件 記 録 の 自 動 化 に 関 係 して, 第 一 審 手 続 と 上 訴 手 続 において, 異 なるコンピュータ 化 を 想 起 することができるだろうか?これは 無 意 味 であろう こうした 条 件 において,Magendie II 報 告 は, 同 報 告 が 提 案 す る 146) 上 訴 手 続 の 構 造 化 と, 電 子 通 信 との 間 の 緊 密 な 関 係 を, 米 国, 英 国 及 びスペ インでみられる 最 近 の 展 開 の 例 を 挙 げて 立 論 している 147) 手 続 のペーパーレス 化 144) Decree No , 28 Dec. 2005, Art. 73 et 88, modified by Decree No , 22 May 例 として, 破 棄 院 に 対 する 申 立 ての 電 子 通 信 による 方 法 に 関 する, 破 棄 院 2008 年 6 月 17 日 判 決 を 参 照 (Journal official de la République française 26 June, p ) 145) See G. Didier & G. Sabater, Dématérialisation des procédures : une révolution culturelle nécessaire, JCP (Semaine juridique) 2008, I, ) See supra ) Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel, supra footnote 72, p. 66 : Cette structuration des conclusions est directement liée au développement des nouvelles technologies, expliquant que les américains réglementent de manière très précise la 809 ( 2257)

54 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) は, 手 続 と 組 織 構 造 の 均 質 化 へと 向 かい, 司 法 に 関 係 する 職 業 だけでなく, 司 法 組 織 にも 影 響 を 及 ぼすだろう 148) それは,ある 意 味 では 既 に 複 雑 性 の 課 題 への 対 応 である 2. 2 複 雑 性 の 課 題 この 課 題 が 何 によって 構 成 されているか 149) を 理 解 するためには, 民 事 訴 訟 の 最 初 の 手 続 の 体 制 が, 書 面 手 続 と 口 頭 手 続 という 大 分 類 (summa divisio) に 依 拠 して いることを, 大 掴 みでも 最 初 に 想 起 する 必 要 がある 150) 通 常 裁 判 所,すなわち 大 審 裁 判 所 及 び 控 訴 院 におけるルールである 書 面 手 続 で は, 当 事 者 は 弁 護 士 ( 又 は 控 訴 院 付 代 訴 人 )により 代 理 され, 事 案 は 裁 判 官 により 説 示 され, 主 張 書 面 の 交 換 は 準 備 手 続 を 担 当 する 特 別 な 裁 判 官 の 面 前 で 行 われる この 裁 判 官 は 準 備 裁 判 官 ( 大 審 裁 判 所 では juge de la mise en état, 控 訴 院 では conseiller de la mise en état) と 呼 ばれることを 想 起 されたい 法 は, 準 備 手 続 (mise en état) の 開 始 及 び 終 了 に 特 別 の 効 果 を 与 えている 151) 他 の 第 一 審 裁 判 所,すなわち 小 審 裁 判 所, 商 事 裁 判 所 又 は 労 働 裁 判 所 のような 例 外 裁 判 所 においては, 手 続 は 口 頭 で 行 われる よって, 当 事 者 は 訴 訟 代 理 人 を 強 制 されず, 通 常, 事 案 は 期 日 において 裁 判 所 によって 説 示 される 先 験 的 に, 口 頭 手 続 は, 書 面 手 続 に 比 べ 簡 易 で 形 式 ばらないものといえる forme des conclusions, qui sont totalement dématérialisées et doivent insérer des liens hypertextes pour que le juge puisse parvenir immédiatement à la jurisprudence citée, ainsi que des enregistrements vidéo accessibles à partir des conclusions, reprenant les passages des dépositions des témoins à l appui du raisonnement de l avocat qui les invoque. 148) Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel, supra footnote 72, p. 66 p. 69 : la transmission électronique ne pourra s effectuer que sur la base de documents uniformisés. La communication structurée qui s instaure entre les greffes et les auxiliaires de justice tend également à une structuration des écritures, car la disparition du support papier au profit d une lecture à l écran doit s accompagner d une très grande lisibilité des écritures. 149) See L. Cadiet, Le procès civil à l épreuve de la complexité, in Mélanges Bruno Oppetit, Paris, LexisNexis, 2009, pp ) この 区 分 は, 控 訴 審 においても 同 様 に 見 られる 控 訴 院 においては, 条 文 上 の 原 則 は 書 面 手 続 であり( 民 事 訴 訟 法 第 900 条 ないし930 条 ), 労 働 紛 争 などの 事 案 については 例 外 的 に 口 頭 手 続 である( 民 事 訴 訟 法 第 931 条 ないし949 条 しかし, 控 訴 審 における 書 面 手 続 の 一 層 の 一 般 化 が 問 題 になっている 151) Art CPC. See L. Cadiet & E. Jeuland, supra footnote 82, No ( 2258)

55 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) この 区 別 の 理 由 は, 概 して 歴 史 的 所 産 であるが, 明 瞭 とはいえない 既 知 の 考 え としては, 和 解 は 例 外 裁 判 所 において 重 要 な 位 置 を 占 め, 当 事 者 本 人 の 出 頭,すな わち 口 頭 手 続 を 想 定 している しかし,この 説 明 は, 分 析 とは 言 いがたい 更 に, 書 面 手 続 と 口 頭 手 続 の 区 別 は 現 実 を 考 慮 していない なぜならば, 書 面 手 続 は 複 雑 な 事 案 において 良 く 機 能 し, 口 頭 手 続 は 単 純 な 事 案 において 良 く 機 能 する が, 通 常 裁 判 所 か 例 外 裁 判 所 かにかかわらず, 今 日, 全 ての 裁 判 所 は, 単 純 な 事 案, 複 雑 な 事 案 のいずれについても 付 託 を 受 けているからである このことは, 実 際 には 書 面 手 続 も, 口 頭 手 続 のように, 事 案 の 複 雑 性 の 度 合 いに 応 じた 可 変 的 な ルールに 従 うことを 物 語 る すなわち, 大 審 裁 判 所 において, 書 面 手 続 は, 長 期 ルート (long track) と 呼 ば れる, 準 備 裁 判 官 の 面 前 での 事 前 手 続 ( 民 事 訴 訟 法 第 763 条 ないし787 条 )には 必 ず しも 服 さない 当 事 者 間 で 交 換 された 主 張 書 面 及 び 提 出 された 証 拠 に 照 らし, 本 案 について 判 決 をするに 熟 したとみえる 場 合 には, 弁 論 期 日 における 事 前 手 続 ( 弁 論 への 回 付 )の 可 能 性 を 予 見 している( 短 期 ルート (fast track) : 民 事 訴 訟 法 第 760 条 ) また, 追 加 的 な 主 張 書 面 や 証 拠 の 交 換 が 命 じられる 場 合 がある( 中 期 ルート (medium track) 民 事 訴 訟 法 第 761 条 ) 大 審 裁 判 所 においてでさえ, 事 案 の 提 示, 証 拠 調 べ, 訴 答 及 び 判 決 は, 理 論 的 には 第 1 回 期 日 である 同 期 日 に 行 うことが 可 能 であることは 注 目 される( 民 事 訴 訟 法 第 760 条 3 項 ) このようにして 書 面 手 続 は, 最 も 簡 素 な 形 態 に 減 じられ, 口 頭 の 手 続 に 類 似 する 反 対 に, 本 案 に 関 する 事 前 手 続 は, 他 の 第 一 審 裁 判 所 において, 必 ずしも, 口 頭 手 続 による 弁 論 期 日 において 実 施 されるとは 限 らない 民 事 訴 訟 法 は, 商 事 裁 判 所 において 事 案 が 判 断 に 熟 していない 場 合, 判 決 機 関 は, 第 1 回 期 日 に 回 付 し 152), 又 は 判 決 機 関 の 構 成 員 の 1 人 に, 報 告 裁 判 官 の 資 格 において 事 前 手 続 を 運 営 するこ とを 委 託 する 153) ( 民 事 訴 訟 法 第 861 条 )との 規 定 を 置 く 同 様 の 理 由 により, 労 働 法 は, 労 働 裁 判 所 において, 事 案 を 判 断 される 状 態 に 置 くために, 調 停 部 又 は 判 決 部 は, 当 該 事 案 について 労 働 裁 判 所 が 判 断 するために 必 要 な 情 報 を 収 集 する ため, 1 人 又 は2 人 の 報 告 裁 判 官 を 任 命 する ことを 規 定 している( 労 働 法 R 条 ) 確 かに, 手 続 は 依 然 口 頭 であるし, 報 告 裁 判 官 が 行 う 事 前 手 続 の 権 限 の 範 囲 は 準 備 裁 判 官 よりも 狭 い しかし, 口 頭 の 手 続 は, 事 案 の 複 雑 さの 程 度 によ り, 書 面 手 続 のように 異 なる 手 続 ルートから 借 用 することができる 多 かれ 少 なか 152) これは 一 種 の 中 間 ルート (medium track) である 153) これは 一 種 の 複 合 ルート (multi-track) である 811 ( 2259)

56 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) れ, 事 案 の 複 雑 性 が 暗 黙 のうちに 手 続 の 方 向 性 を 支 配 している これらの 手 続 は, 書 面 手 続 と 口 頭 手 続 の 区 別 に 疑 問 を 投 げかけ, 全 ての 裁 判 所 に おいて, 必 要 性 に 基 礎 付 けられた 区 別 によることや, 事 案 の 準 備 的 段 階 をその 専 門 の 裁 判 官 に 委 ねる 方 向 性 を 持 つ 154) 最 も 単 純 な 事 案 においては, 例 えば, 真 摯 に 争 い 得 ない 義 務 が 存 在 する 場 合, 手 続 の 簡 素 化 は, 支 払 命 令 や 作 為 命 令 の 枠 組 みの 中 で, 紛 争 の 転 置 を 導 くことができる フランス 法 では, 小 審 裁 判 所 及 び 商 事 裁 判 所 において,この 種 の 手 続 は 既 に 存 在 する 155) 同 様 に, 欧 州 連 合 の 立 法 者 は, 争 いのない 金 銭 債 務 に 関 する 国 境 を 越 えた 事 件 における 可 能 性 を 提 供 している 156) 全 ての 裁 判 所 に 一 般 化 することは 便 宜 に 適 うであろう 157) 逆 説 的 なこととして, 書 面 手 続 は, 伝 統 的 には 複 雑 な 事 案 に 対 する 特 権 的 手 段 と 捉 えられていたが, 今 で は 単 純 な 事 案 の 最 良 の 手 段 となった 同 時 に, 今 日 における 口 頭 手 続 は, 手 続 上 の 不 確 実 の 原 因 であり, 真 の 改 革 を 必 要 としている Guinchard 報 告 は, 裁 判 所 の 領 域 を 拡 大 するという 条 件 で, 口 頭 手 続 の 確 実 化 の 必 要 性 に 言 及 し, 道 を 開 いて いる 158) 実 際 は, 手 続 的 手 段 は 双 面 的 であり,この 双 面 性 は, 事 案 の 複 雑 さの 程 度 に 応 じ た 手 続 の 合 理 化 によって 実 現 するが, 手 続 は 既 製 服 ではなく オーダー メイ ド であるという 思 考 につながる 159) 司 法 制 度 は, 簡 素 化 又 は 逆 に 複 雑 化 するこ とが 可 能 な, 事 件 の 展 開 にとって 適 切 な 手 続 の 型 を, 裁 判 の 種 類 に 応 じて 事 案 毎 に 提 供 しなければならない ある 手 続 から 他 の 手 続 へと 移 行 することが, 最 初 から 手 続 をすべてやり 直 すことなしに, 手 続 の 過 程 において 再 度 方 向 付 けを 許 す, 移 行 手 続 の 方 法 によって 可 能 でなければならない 多 様 性 及 び 柔 軟 性 は, 複 雑 性 に 対 し 良 154) Guinchard 報 告 及 び Magendie II 報 告 が, 複 雑 性 に 関 する 判 断 基 準 のすべてを 提 供 して いるように 見 えないことは 残 念 なことである 前 者 は, 大 審 裁 判 所 の 権 限 に 関 する 基 準 を 作 った (proposition No 2) 後 者 は, 事 案 が 簡 明 である 場 合 の 短 縮 による 手 続 の 遅 延 の 調 整 や, 書 面 の 構 造 化 の 要 素 に 関 する Célérité et qualité de la justice devant la cour d appel, supra footnote 72, pp. 52, 59 et ) Art CPC (injunction to pay) and Art to (injunction to do). 156) Règlement (CE) du Parlement européen & du Conseil No 1896/2006 of 13 Dec creating a European order for payment procedure (Journal officiel de l Union européenne No L 399, 30 Dec. 2006, p. 1). 157) このことは Guinchard 報 告 においても 想 起 されており, 同 報 告 は 大 審 裁 判 所 の 拡 張 を 提 案 する 158) Proposition No ) See L. Cadiet, Le procès civil à l épreuve de la complexité, supra footnote ( 2260)

57 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) い 対 応 をする しかし, 裁 判 官 と 当 事 者 の 永 続 的 な 協 力 を 想 定 しつつ, 法 律 により 決 定 された, 裁 判 官 と 当 事 者 の 責 務 の 硬 直 的 な 区 分 に 依 拠 した 訴 訟 手 続 の 静 的 な 概 念 を, 動 的 な 概 念 のために 手 放 すこと, 及 び, 既 に 述 べたように, 手 続 運 営 の 道 具 として 契 約 の 履 行 に 依 拠 することを, 誰 が 疑 いなしに 見 ないであろうか? 160) この 現 代 的 傾 向 は, 司 法 機 関 及 び 法 律 実 務 家 が, 各 自 のそれぞれのネットワークを 相 互 に 接 続 するコンピュータ 化 の 共 通 のプロトコルに 関 する 合 意 によって 作 られること を 前 提 とする, 手 続 のペーパーレス 化 によって, 将 来 的 に 強 化 され, 全 ての 改 正 手 続 の 強 い 軸 になり 得 る 161) 我 々は 司 法 運 営 の 時 代 に 突 入 しているが,それは, 全 権 ある 裁 判 官 の 説 示 のみによるのではなく, 民 主 主 義 社 会 とだけ 両 立 する, 手 続 に 関 与 する 者 の 効 率 的 協 働 によるものと 考 えられる 162) 2. 3 民 主 主 義 の 課 題 民 事 訴 訟 の 民 主 化 の 問 題 163) は, 法 律 扶 助 制 度 の 発 展 に 帰 着 する それは, 法 律 及 び EU 基 本 権 憲 章 164) が, 欧 州 人 権 裁 判 所 の 判 例 法 165) に 呼 応 して 具 現 化 した 公 正 な 裁 判 を 受 ける 権 利 を 実 現 するための 決 定 的 要 因 である 問 題 は, 司 法 機 関 に 割 り 当 てるそのような 集 約 的 資 源 には 限 界 があることである 均 衡 を 見 出 すことは 容 易 でなく, 司 法 に 対 する 公 的 な 資 金 調 達 の 補 足 的 手 段 を 見 つける 重 要 性 を 意 味 してい る したがって, 民 間 の 法 的 保 護 の 保 険 による 司 法 リスクの 相 互 化 は, 補 助 的 な 集 約 160) See supra 1.1 and ) See supra No ) See L. Cadiet, Quelle procédure civile pour quelle société civile? Point de vue français, in C.H. Rhee, D. Heirbaut & M. Storme (ed.), Le bicententaire du Code de procédure civile (1806), supra footnote 65, pp. 357 sq. 163) 司 法 及 び 手 続 の 民 主 化 に 関 するより 一 般 的 な 問 題 については, 以 下 を 比 較 せよ S. Guinchard, Vers une démocratie procédurale, in A l aube du IIIème millénaire. Clefs pour le siècle, Dalloz, 2000, & L. Cadiet, Justice démocratique versus démocratie judiciaire? postface of S. Gaboriau & H. Pauliat (eds), Justice et démocratie, Presses Universitaires de Limoges (PULIM), ) Charte No 2000/C 634/01 of 18 Dec des droits fondamentaux de l Union européenne (JOCE C 364, 18 Dec. 2000), Art. 47, al ) See spec. CEDH 30 July 1998, Aerts c/ Belgique, Dalloz 1999, sommaires 279, obs. Fricero, & F. Rolin, Les restrictions au bénéfice de l'aide juridictionnelle remis en cause par la Cour européenne des droits de l'homme, Dalloz 1998, No 35, dernière actualité. 813 ( 2261)

58 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 的 資 金 調 達 の 賢 明 な 源 となり 得 る しかし, 実 際 に 保 険 市 場 で 提 案 される 個 々の 商 品 以 上 に, 例 えば, 消 費 者 協 会 や, 関 連 する 活 動 の 部 門 の 職 能 団 体 といった, 多 様 な 利 害 を 代 表 する 団 体 の 間 で, 全 国 的 にまたは 地 方 で 交 渉 されたグループ 保 険 や 団 体 保 険 から, 他 の 方 式 に 反 映 する 必 要 があるだろう 手 続 主 義 者 の 観 点 からは,こ れは, 裁 判 及 び 手 続 の 契 約 化 の 発 展 と 関 係 する, 達 成 すべき 真 の 文 化 的 な 革 命 であ る ひとつは, 実 体 法 における, 拡 散 的 (diffused) 集 合 的 (collective) 利 益 の 表 明 を 許 可 する 手 続 上 の 仕 組 みの 創 設 や, 司 法 アクセスの 社 会 的 民 主 化 の 要 請 が 表 明 さ れる 必 要 がある 領 域 に 非 常 に 近 い これは, 英 米 法 ではクラス アクション (class action) や 集 団 訴 訟 (group litigation) により 166), 及 びフランスでは, 問 題 含 みの 団 体 訴 訟 として 発 現 している 1806 年 民 事 訴 訟 法 典 の 例 に 続 き,1975 年 民 事 訴 訟 法 典 は, 二 当 事 者 対 立 構 造, 訴 訟 を 提 起 する 個 人 的 利 益 の 存 在, 及 び 他 人 の 訴 訟 を 代 理 して 追 行 する 制 度 によっ て, 訴 訟 の 個 人 主 義 に 基 づく 枠 組 みを 維 持 している 167) 19 世 紀 における1806 年 法 典 と 異 なり 自 由 主 義 的 な 個 人 主 義 の 意 味 において 決 定 されるならば,1975 年 法 典 は, 手 続 の 社 会 的 機 能 を, 裁 判 官 よりも 行 動 的 な 役 割 によって 解 釈 する その 基 本 的 な 手 続 上 のスキームは, 共 同 訴 訟 (litisconsortium) 168) を 含 む 個 別 訴 訟 を 維 持 し ている このことは,20 世 紀 初 頭 からフランスに 存 在 する 集 合 的 権 利 保 護 の 様 々な 仕 組 みが, 労 働 法, 会 社 法 又 は 消 費 者 法 169) といった 実 体 法 の 立 法 として, 民 事 訴 訟 法 の 外 側 で 発 展 してきている 理 由 である その 主 な 発 現 は, 労 働 組 合 等 による 訴 訟 である 170) 今 日 問 題 となっている 団 体 訴 訟 は, 集 合 的 利 益 の 保 護 及 び 社 会 的 機 能 をより 強 化 する 訴 訟 というコンセプトにおいて, 新 しい 次 元 を 導 入 する 171) 問 題 となってい 166) See L. Mullenix, New trends in standing and res judicata in collective suits General report, Common law, in A. Pellegrini-Grinover, P. Calmon, Direito Processual Comparado XIII World congress of procedural law, Rio de Janeiro, Editora Forense, 2007, pp. 500 sq. 167) See spec. art. 31 and 117 CPC. 168) See art. 323 and 324 CPC. 169) See ex. art. L L Consumer Code (Code de la consommation). 170) For a general view, see L. Cadiet & E. Jeuland, supra footnote 82., No ) See L. Cadiet, D un code à l autre : de fondations en refondation, in L. Cadiet et G. Canivet (eds), , De la commémoration d un code à l autre : 200 ans de procédure civile en France, supra footnote 65, pp. 3 sq, spec. pp ( 2262)

59 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) る 団 体 は, 事 実 上 確 定 されていない 被 害 者 の 集 合 で,アプリオリに 決 定 されていな い 団 体 であり, 損 害 回 復 を 得 る 権 利 は, 自 然 人 又 は 法 人 が, 利 他 的 に 行 動 すること により 進 められる いくつかの 技 術 的 障 壁 に 抵 触 していることが 理 論 的 に 示 されて おり 172),それらには 手 続 の 導 入 ( 訴 訟 をしない 自 由, 代 理 人 により 訴 答 しない ルール 等 ), 手 続 の 進 行 ( 当 事 者 対 抗 主 義 及 び 武 器 対 等 原 則 ), 並 びに 手 続 の 結 果 ( 既 判 力 の 範 囲 の 問 題 )に 関 するものなどがある 私 は, 紛 争 解 決 の 役 目 を 担 う 民 事 裁 判 所 の 性 質 に 関 する 司 法 政 策 の 改 革 のゲームについて 述 べているのではない この 種 の 集 合 的 事 案 は, 宣 言 的 段 階 ( 責 任 の 原 則 に 関 する)と, 継 続 的 段 階 ( 各 請 求 の 損 害 の 個 別 化 における)との 間 の 手 続 の 分 離 により 特 徴 づけられるが,このこ とは 手 続 の 複 雑 さの 原 因 となっている 既 にこの 意 味 において 異 なる 提 案 がされ, 国 会 によって 検 討 が 始 められているが,2007 年 の 大 統 領 及 び 立 法 府 の 選 挙 のため, 議 会 の 手 続 は 会 期 末 まで 続 いている そのプロジェクトは, 経 済 の 現 代 化 における 大 きな 法 律 の 枠 組 みの 中 で 再 び 行 われなければならなかったが, 最 終 的 には 分 離 さ れて,ビジネス 法 の 非 犯 罪 化 における 法 律 研 究 の 議 論 に 戻 ってしまった 173) 消 費 者 及 び 競 争 法 分 野 における 団 体 訴 訟 の 欧 州 単 位 でのプロジェクトが 宣 言 されたた め 174), 政 府 は 草 案 の 議 論 を 再 び 延 期 している 手 続 の 複 雑 性 の 新 しい 原 因 は, 公 正 な 裁 判 の 要 請 に 関 し 効 率 とともに 扱 われるべきものであるが,フランス 法 がどの ように 対 応 するかはいずれ 判 明 するだろう 改 革 は 依 然 として 戦 略 を 用 いる 余 地 がある 我 々は 単 純 に, 民 事 訴 訟 改 革 が 民 事 訴 訟 法 典 の 損 傷 に 至 らないことを 望 んでいる そのような 新 たな 手 続 の 構 造 は, 一 般 法 と 特 別 法 の 区 別 からすれば 異 なる 裁 判 所 や 異 なる 訴 訟 にあてはまるものではあ るが 175), 現 実 には 民 事 訴 訟 ルールの 全 体 的 調 和 の 器 になるのである それゆえに 状 況 を 静 観 しなければならず, 以 下 はさしあたっての 結 びとする 172) See lastly, S. Amrani Mekki, Action de groupe et procédure civile, in Les actions de groupe, implications processuelles et substantielles, Revue Lamy Droit civil 2006, No 32, pp. 57 sq. 173) Following the report of Coulon Commission : J.-M. Coulon, La dépénalisation de la vie des affaires, Paris, La documentation française, 2008, spec. pp ) See Réponse ministérielle (Governement declaration before the Parliament) no 66004, Journal Officiel de la République Française, Questions, 13 avril ) See L. Cadiet & E. Jeuland, supra footnote 82, pp. 383 sq. 815 ( 2263)

60 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 終 章 1 フランス 民 事 訴 訟 の 国 際 化 の 諸 形 式 2 国 際 化 によって 明 らかにされた 民 事 訴 訟 のコンセプト 簡 素 化 の 方 向 での 発 展 から 離 れ,フランス 民 事 訴 訟 法 は, 他 の 発 展 に 直 面 してい る それはフランスに 特 有 のものではなく, 程 度 の 差 こそあれ 他 国 においても 看 取 できるものである 民 事 訴 訟 はより 超 国 家 的 になりつつある 本 稿 では,フランス 民 事 訴 訟 法 の 国 際 的 法 源 のトピックに 深 入 りはしない この 点 については, 何 年 か 前 に 京 都 で 既 に 論 じたからである 以 下 では, 民 事 訴 訟 にお ける 国 際 的 な 潮 流 によってとられる 諸 形 式 と,この 進 展 によって 示 された 民 事 訴 訟 のコンセプトを 強 調 したい 1 フランス 民 事 訴 訟 の 国 際 化 の 諸 形 式 民 事 訴 訟 の 国 際 的 潮 流 は 二 つの 形 をとる それは, 裁 判 権 に 関 するものと 手 続 的 なものである 両 方 とも 民 事 裁 判 の 発 展 にとって 重 要 であり,それらはフランスで 体 系 づけられた 第 一 に, 各 国 の 司 法 制 度 の 先 には, 国 際 社 会 が 自 身 で 体 系 づけている 国 際 法 の 段 階 的 な 発 展 がある ただし, 国 際 的 な 潮 流 には 様 々な 程 度 があり,それはときとし て 統 合 主 義 者 的 な 性 格 を 有 する 世 界 的 な 範 囲 の 裁 判 権 を 有 する 裁 判 所 (それゆえ に 民 事 訴 訟 は 関 連 してこない)はさておき, 強 固 な 汎 地 域 性 を 持 ついくつかの 裁 判 所 に 言 及 しなければならない 最 初 でかつ 最 重 要 の 実 例 として,1950 年 11 月 4 日 に 署 名 された, 人 権 および 基 本 的 自 由 保 護 のための 条 約 (Convention for the Protection of Human Rights : 欧 州 人 権 条 約 )によって 創 設 された 欧 州 人 権 裁 判 所 (European Court of Human Rights) がある なお,フランスは1974 年 までこの 条 約 を 批 准 していなかった 同 条 約 第 6 条 1 は すべての 者 は, 独 立 のかつ 公 平 な 裁 判 所 により 妥 当 な 期 間 内 に 公 正 な 公 開 審 理 を 受 ける 権 利 を 有 する と 規 定 している このルールは,ローマ ゲルマン 法 と 英 米 法 の 裁 判 観 の 相 違 を 超 越 し, 民 事 訴 訟 を 含 むすべての 手 続 ルールが 遵 守 しなければならない, 公 正 な 裁 判 を 受 ける 権 利 をす べての 者 に 与 えるものであり, 共 通 原 則 による 再 編 成 を 行 うものである 他 の 欧 州 人 権 条 約 締 約 国 の 民 事 訴 訟 法 と 同 様 に,フランス 民 事 訴 訟 法 は, 公 正 な 裁 判 の 要 件 の 考 慮 において 継 続 的 な 評 価 が 行 われている これらの 要 請 の 一 部, すなわち 訴 権 のように, 裁 判 所 への 効 果 的 なアクセス 816 ( 2264)

61 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 機 構 の 創 設,または, 司 法 の 中 立 性 及 び 独 立 性 の 要 請 は 制 度 上 のものである 特 に, 中 立 性 及 び 独 立 性 の 要 請 は 問 題 となっている 例 えば, 裁 判 官 が 略 式 の 中 間 的 手 続 において 仮 の 救 済 を 発 令 する 際 に, 当 該 事 案 の 本 案 についても 判 断 すること を 求 められる,というようなある 種 の 裁 判 機 能 の 統 合 がある 事 実 審 理 自 体 の 実 施 に 目 を 転 ずれば, 司 法 アクセスの 適 切 な 通 知 の 要 請 や, 事 件 が 手 続 段 階 の 内 容 より も 枠 組 みに 関 連 する 合 理 的 期 間 内 に 聴 聞 を 行 われる 要 請,そして, 紛 争 の 合 意 によ る 解 決 を 迅 速 化 するための 手 続 の 簡 略 化 に 導 かれるであろう 次 に, 欧 州 連 合 は, 加 盟 国 の 法 律 及 び 司 法 のより 強 固 な 統 合 を 課 している この システムは, 本 質 的 に,ルクセンブルクにある 欧 州 司 法 裁 判 所 (European Court of Justice) の 活 動 に 依 拠 している 欧 州 司 法 裁 判 所 は, 諮 問 的 な 任 務 にとどまらず, 加 盟 国 の 裁 判 所 に 係 属 中 の 事 件 の 審 理 過 程 で 照 会 された 先 決 的 問 題 に 回 答 すること も 含 む 裁 判 機 能 を 担 っている 照 会 される 問 題 は, 基 本 的 な 手 続 原 則 や,EU 基 本 権 憲 章 (Charter of Fundamental Rights of the European Union) 第 47 条 で 保 障 され る 公 平 な 裁 判 を 受 ける 権 利 のような, 共 同 体 法 規 範 の 解 釈 に 関 係 する 欧 州 司 法 裁 判 所 の 権 能 は 法 の 宣 言 (dire pour droit) に 限 定 されており, 事 実 認 定 を 行 わな い しかし, 欧 州 司 法 裁 判 所 による 解 釈 的 判 決 は 一 般 的 な 通 用 力 を 持 つ 同 決 定 は, 当 該 事 件 が 係 属 していた 加 盟 国 の 裁 判 所 を 拘 束 するだけではなく,より 広 い 観 点 で, 加 盟 国 のあらゆる 裁 判 所 における 他 の 事 件 の 当 事 者 に 対 しても 拘 束 力 を 持 つ 欧 州 司 法 裁 判 所 は,EU 法 の 一 貫 性 と, 加 盟 国 裁 判 所 における 解 釈 の 統 一 に 貢 献 する 不 可 欠 のものであり, 統 一 の 原 動 力 である 欧 州 司 法 裁 判 所 がフランスの 法 律 に 与 える 影 響 はさておき, 私 法 関 係 の 国 際 的 性 格 によって, 国 際 的 紛 争 が 直 接 に,または 外 国 判 決 の 承 認 や 執 行 としてフランスの 裁 判 官 に 持 ち 込 まれるようになっている 国 際 裁 判 管 轄 に 関 する 紛 争 は, 国 際 法 の 問 題 とともに 民 事 訴 訟 法 に 関 する 争 点 も 惹 起 する 国 際 民 事 訴 訟 法 は, 二 つの 規 律 の 交 点 にあり,どちらの 領 域 も 扱 う 用 意 がある すなわち, 国 際 裁 判 管 轄 に 関 する フランスの 裁 判 所 における 主 要 なルールは, 国 内 土 地 管 轄 の 基 準 の 国 際 的 なレベル への 置 き 換 えにすぎない EU 法 を 起 源 とする, 国 際 訴 訟 での 権 利 に 影 響 を 与 える ルールの 発 展 は, 全 ての 欧 州 連 合 加 盟 国 に 共 通 する 民 事 訴 訟 法 に,フランスの 民 事 訴 訟 を 統 合 することに 貢 献 している フランスの 民 事 訴 訟 法 は, 欧 州 連 合 の 他 の 加 盟 国 の 民 事 訴 訟 法 と 同 様 に, 民 事 訴 訟 法 の 重 要 な 部 分 を 順 次 網 羅 しつつある 欧 州 理 事 会 規 則 によって 欧 州 化 されている そのような 分 野 として, 民 事 及 び 商 事 事 件 における 裁 判 管 轄 及 び 裁 判 の 執 行 (2000 年 12 月 22 日 理 事 会 規 則 (Reg. no. 44/2001)), 婚 姻 及 び 親 の 責 任 に 関 する 事 件 における 裁 判 管 轄 及 び 裁 判 の 執 行 817 ( 2265)

62 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) (2003 年 11 月 27 日 理 事 会 規 則 (Reg. no. 2201/2203)), 倒 産 手 続 における 裁 判 管 轄 及 び 裁 判 の 執 行 (2000 年 5 月 29 日 理 事 会 規 則 (Reg. no. 1346/2000)), 民 事 事 件 及 び 商 事 事 件 における 証 拠 収 集 (2001 年 5 月 28 日 理 事 会 規 則 (Reg. no. 1206/2001)), 裁 判 所 および 裁 判 外 の 文 書 の 送 達 (2000 年 5 月 29 日 理 事 会 規 則 (Reg. no. 1348/2000)), 争 いのない 債 権 に 関 する 欧 州 執 行 名 義 (titre exécutoire européen pour les créances incontestées)(2004 年 4 月 21 日 理 事 会 規 則 (Reg. no. 805/2004)), 欧 州 支 払 命 令 (procédure européenne d injonction de payer)(2006 年 12 月 12 日 理 事 会 規 則 (Reg. no. 1896/2006)), 欧 州 少 額 裁 判 手 続 (procédure européenne de reglement des petits litiges)(2007 年 7 月 11 日 理 事 会 規 則 (Reg. no. 861/2007 of 11 July)), 扶 養 料 請 求 権 に 関 する 準 拠 法 並 びに 承 認 及 び 執 行 (compétence, loi applicable, reconnaissance et exécution des décisions et la coopération en matière d obligations alimentaires)(2008 年 12 月 18 日 理 事 会 規 則 (Reg. no. 4/2009)) がある 2 国 際 化 によって 明 らかにされた 民 事 訴 訟 のコンセプト 英 米 法 と 大 陸 法 の 区 別 は,もはや 現 実 を 表 していない 司 法 制 度 のマクロ 的 比 較 の 観 点 では, 私 見 によれば 既 に 時 代 遅 れに 見 える(2.1) 紛 争 処 理 のミクロ 的 比 較 の 観 点 においても 同 様 である(2.2) 2. 1 司 法 制 度 に 関 するマクロ 的 比 較 の 領 域 では, 英 米 法 と 大 陸 法 の 系 譜 的 区 別 は, 歴 史 的 意 義 を 失 った 今 日 では, 地 理 的 近 接 性 が, 国 家 制 度 の 共 通 の 系 譜 を 凌 駕 している 地 政 学 の 進 化 が 今 日 の 世 界 で 示 していることは, 地 域 共 通 の 経 済 的, 文 化 的, 政 治 的 及 び 社 会 的 発 展 の 構 図 である 176) このような 視 点 から, 欧 州 の 構 造 は, 統 合 により 地 勢 的 によく 発 展 したものであり,また 欧 州 連 合 の 欧 州 人 権 条 約 への 加 盟 が 行 われれば, 176) このような 司 法 システムの 新 たな 地 域 次 元 での 統 合 については 以 下 を 参 照 F. Ferrand, La procédure civile internationale et la procédure civile transnationale: l incidence de l intégration économique régionale, Uniform Law Review/Revue de droit uniforme, /2, NS Vol. VIII, pp J. Basedow, Vie universelle, droit mondial? A propos de la globalisation du droit, in Mélanges Xavier Blanc Jouvan, Paris, Société de législation comparée, 2005, pp , who judiciously observes : l augmentation du nombre d institutions à caractère régional semble annoncer un déplacement de la législation mondiale du plan international vers le plan interrégional (p. 237). 818 ( 2266)

63 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) より 進 歩 するであろう 177) 欧 州 のような 試 みは 他 に 多 くはなく, 南 米 大 陸 やアフ リカ 大 陸,あるいは 東 南 アジアの 例 こそあるものの, 欧 州 に 比 肩 する 発 展 には 至 っ ていないが,イベロアメリカ 手 続 法 協 会 が 成 し 遂 げた 偉 業 は 称 賛 に 値 する 私 はこ のような 地 域 的 再 編 が, 将 来 的 な 方 法 であると 確 信 している これらの 地 域 的 機 構 は, 特 に 欧 州 にあてはまるが, 異 なる 法 系 を 出 自 とする 各 国 の 制 度 を 統 合 すること によって, 国 家 的 な 司 法 制 度 を 超 越 した, 固 有 の 司 法 制 度 を 創 設 している 例 えば 公 平 な 裁 判 のような 共 通 の 原 則 に 基 づいて, 超 国 家 的 制 度 を 創 設 しているのであ る このような 新 しい 統 合 的 制 度 は, 並 列 的 な 集 合 体 とは 異 なるものである この 新 たな コモン ロー は, 英 米 法 ではなく 万 民 法 (jus commune) の 意 味 であ り 178), 加 盟 国 の 司 法 制 度 及 び 手 続 法 にとって, 調 和 を 実 現 する 欧 州 の 裁 判 所 の 判 決 の 効 力 への 転 化 である 国 内 の 裁 判 権 は, 自 国 の 制 度 では 知 られていない 手 続 的 行 為 特 に 証 拠 収 集 に 関 する 事 項 179) の 導 入 への 相 互 対 話 に 移 行 しており, また, 国 内 の 裁 判 所 は, 欧 州 の 裁 判 権 について 議 論 を 行 っている 調 和, 合 成, 調 整 は, 司 法 に 関 する 新 たな 思 考 方 法 のキーワードである それらは 系 統 的 ではなく 空 間 的 であり,ミレイユ デルマス=マーティー (Mireille Delmas-Marty) が, 整 理 された 多 元 主 義 の 思 考 を 通 じて 引 用 し, 多 様 性 の 中 の 統 合 を 表 現 している 180) アルベール カミュ (Albert Camus) は, 相 違 の 衝 突 ではなく, 濃 淡 の 調 和 と 述 べ 177) リスボン 条 約 による 修 正 後 の 欧 州 連 合 条 約 第 6 条 ( 欧 州 )(Journal official de l Union européenne, No C 115 in 9 May 2008) リスボン 条 約 (JOUE No C 306, 17 déc. 2007) は, 非 加 盟 国 や 個 人 が, 事 案 に 応 じ 加 盟 国 または 欧 州 連 合 に 対 し 申 立 てをする 手 続 を 保 障 す る, 欧 州 連 合 条 約 付 属 議 定 書 を 含 んでいる 178) See M.-F. Renoux-Zagamé, Verbo Jus commune, in L. Cadiet (ed.), Dictionnaire de la justice, Paris, Presses Universitaires de France, ) See ex. Regulation (CE) No 1206/2001 of the Counsel of 28 May 2001 on cooperation between the member state jurisdictions in the domain of obtaining proof in civil and commercial matters (Journal officiel des Communautés européennes No L. 174, 27 juin 2001, p. 1), spec. Article 10, à propos the execution of a measure of instruction : ( ) 2. La juridiction requise exécute la demande conformément au droit de l'état membre dont cette juridiction relève. 3. La juridiction requérante peut demander que la demande soit exécutée selon une forme spéciale prévue par le droit de l'état membre dont elle relève, au moyen du formulaire type A figurant en annexe. La juridiction requise défère à cette demande, à moins que la forme demandée ne soit pas compatible avec le droit de l'état membre dont elle relève ou en raison de difficultés pratiques majeures. 180) M. Delmas-Marty, Pour un droit commun, Paris, Editions du Seuil, 1994 ; Les forces imaginantes du droit, Editions du Seuil, II. Le pluralisme ordonné, ( 2267)

64 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) ている 欧 州 司 法 地 帯 は,このような 新 たな 枠 組 みの 思 考 であり,イベロアメリカ も 同 様 である また,アフリカの 司 法 地 帯 や 東 アジアの 司 法 地 帯,さらには 中 東 の 司 法 地 帯 としても 実 現 するかもしれない これらの 新 たな 司 法 地 帯 はそれ 自 体 によって 考 察 されるべきである なぜなら ば, 実 際 そういった 司 法 地 帯 は, 規 範 的 な 判 断 や 裁 判 実 務 に 由 来 するのであって, 司 法 地 帯 を 構 成 する 国 の 法 制 や 司 法 制 度 への 参 照 によるものではない それゆえ に, 相 補 性 は, 共 同 体 の 実 務 家 を 結 び 付 けるネットワークから, 相 互 的 な 文 化 変 容 を 好 む 地 域 的 統 合 の 核 心 に 位 置 づけられる 例 えば, 欧 州 における 欧 州 司 法 ネット ワーク (Réseau Judiciaire Européen) や, 欧 州 司 法 研 修 ネッ ト ワーク (Réseau Européen de Formation Judiciaire) のようなものである 過 去 よりも 現 在 におい て,また 現 在 よりも 将 来 においては, 弁 護 士, 裁 判 官 及 び 法 学 部 教 授 は, 国 籍 を 超 えた 弁 護 士, 裁 判 官, 法 学 部 教 授 でなければならない かつては 破 棄 院 の 院 長 で, 現 在 は 憲 法 院 の 委 員 であるガイ キャニベット (Guy Canivet) は, 司 法 権 は, 性 質 上 領 土 的 なものではなく, 領 土 よりも 主 義 原 則 に 結 び 付 けられるものである と 述 べている 181) 環 境, 消 費 者, 労 働 者 の 権 利 保 護 や, 小 規 模 投 資 家 の 保 護 を 好 む 新 たな 社 会 闘 争 においては, 長 く 困 難 な 解 釈 交 渉 よりも, 裁 判 官 による 国 際 訴 訟 が より 時 間 を 要 することは 疑 いがない 182) この 観 点 からは,リンダ ムレニクス (Linda Mullenix) が 引 用 する,フランスの 株 式 会 社 であるヴィヴェンディ ユニ バーサル (Vivendi Universal) 社 の 株 主 がアメリカ 合 衆 国 連 邦 裁 判 所 に 提 起 したク ラス アクションの 事 例 が 殊 に 明 示 している 183) このクラス アクションが,ド イツ 法 よりもフランス 法 により 合 致 しているかについて, 私 には 定 かではない し かしながら, 私 にとって 重 要 だと 思 えるのは, この 新 たな 形 による 国 境 を 越 えた 紛 争 の 管 理 は, 国 家 共 同 体 の 利 益 や 共 通 の 規 範 の 適 用 において, 国 家 裁 判 所 に 帰 属 する 経 済 規 制 機 能 に 完 全 に 合 致 していること 184) を 強 調 することである 手 続 的 181) G. Canivet, La convergence des systèmes juridiques par l action du juge, in Mélanges Xavier Blanc-Jouvan, supra footnote 75, pp , spec. No ) See L. Cadiet, Justice, économie et droits de l homme, in L. Boy, J.-B. Racine & F. Siiriainen (eds), Economie et droits de l homme, Bruxelles, Larcier, 2009, pp ) See L. S. Mullenix, American Exceptionnalism and Convergence Theory : Are We There Yet? supra footnote ) H. Muir Watt, Régulation de l économie globale et l émergence de compétences déléguées : sur le droit international privé des actions de groupe, Revue critique de droit international privé 2008, pp. 581 sq, spec. No ( 2268)

65 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 観 点 からは,このような 国 際 的 クラス アクションの 発 展 は, 民 事 司 法 の 社 会 的 機 能 の 強 化 を 表 している このことは,19 世 紀 末 には 大 陸 法 の 手 続 法 の 立 法 に 表 れて いたが, 当 時 は, 国 家 の 司 法 権 の 範 囲 に 画 された 伝 統 的 な 個 人 の 紛 争 の 範 囲 にとど まっていたのである このような 一 般 的 な 考 慮 を 超 えて,マクロ 的 な 司 法 計 画 からミクロ 的 な 司 法 計 画 へと 進 展 し, 紛 争 解 決 における 手 続 法 分 野 に 出 現 する 新 たなモデルに 資 格 を 与 える 試 みが 依 然 として 必 要 である 2. 2 事 件 を 解 決 する 手 続 の 種 類 に 関 するミクロ 的 比 較 の 領 域 において, 糾 問 主 義 職 権 主 義 と 弾 劾 主 義 当 事 者 主 義 の 区 別 は, 現 代 の 手 続 における 現 状 の 多 くを 無 視 している 別 の 区 別 として 英 米 法 と 大 陸 法 の 区 別 があるが,これ も 現 代 の 法 制 度 を 考 慮 していない 我 々がこのような 区 別 を 前 衛 的 に 放 棄 した 理 由 は,いずれもグローバリ ゼーションを 指 向 する 技 術 的, 経 済 的 及 び 法 的 秩 序 にある 技 術 的 理 由 について は, 先 行 するシンポジウムや 学 会 において 既 に 言 及 しており, 次 の 学 会 においても 議 論 されるだろう このように 繰 り 返 し 取 り 上 げられていることは,その 重 要 性 の 発 現 である 科 学 的 証 拠, 特 に 遺 伝 子 的 証 拠 の 科 学 的 手 続 の 発 達 については,2004 年 にメキシコで 開 催 された 国 際 訴 訟 法 学 会 大 会 のあるセッションのテーマとされ た 185) また, 手 続 のペーパーレス 化 は,1999 年 のウイーン 大 会 186),2007 年 のバ イーア 大 会 187), 及 び2008 年 のガンディア バレンシア 大 会 188) において 取 り 上 げら 185) See L. Cadiet & O. G. Chase, Culture et administration judiciaire de la preuve, Rapport général au XIIème congrès de l Association internationale de droit judiciaire, Mexico, Sept. 2003, in C. Gomez Lara y M. Storme, XII Congreso Mundial de Derecho Procesal, PUAM, t. I, ) See H. Rüssmann, The Challenge of information society : application of advanced technologies in civil litigation and other procedures, in W. Recheberger (ed), Procedural Law on the Threshold of a New Millennium, XI World Congress on Procedural Law, Wien, Manzsche Verlags- und Universitätsbuchhandlung, 2002, pp ) See J. Walker, G. Watson, E. Jeuland & A. Landoni Sosa, Information technology on litigation, in A. Pellegrini Grinover, P. Calmon (eds), Direito Processual Comparado, XIII World Congress on Procedural Law, Rio de janeiro, Ed. Forense, 2007, pp ) See spec. S. Amrani-Mekki, El impacto de las nuevas tecnologías sobre la forma del processo civil, in F. Carpi, M. Ortells Ramos (eds), Oralidad y escritura en un proceso 821 ( 2269)

66 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) れ,2010 年 のペーチ 大 会 でも 取 り 上 げられる 予 定 である 我 々の 作 業 は, 完 全 に 電 子 司 法 に 捧 げられているのだろうか 189)?もしかすると, 我 々は, 際 限 のない 科 学 的 技 術 的 進 歩 が, 国 家 の 特 異 性 の 余 地 を 残 さずに, 国 際 的 目 標 のための 司 法 手 続 を 形 成 するであろうという 点 から 論 じてこなかったのかもしれない 我 々の 価 値 判 断 は 良 し 悪 し 両 方 あるが,いずれにせよ, 地 方 の 司 法 文 化 に 伝 統 的 に 含 蓄 された 司 法 の 儀 式 化,ともすれば 広 域 化 の 運 用 訓 練 の 過 程 にある 理 論 的 枠 組 の 革 命 である コンピュータ 化 された 手 続 の 裁 判 官 である オンライン 裁 判 官 に 裁 判 所 の 庁 舎 は 不 要 であるが,このことは, 司 法 の 公 開 をはじめとして, 民 主 的 司 法 の 基 本 原 則 に 疑 問 を 投 げかける 技 術 的 規 範 が 法 的 ルールを 形 成 することになるだろう ジュ ゼッペ タルジ (Giuseppe Tarzia) は,10 年 前 に 鋭 くこう 記 している 技 術 的 発 展 は, 新 たな 証 拠 方 法 (テレックス,ファックス,デジタル 文 書 )の 証 拠 能 力 に 関 する 共 通 ルールの 設 定 を 課 す 歴 史 的 伝 統 の 多 様 性 が 共 通 ルールの 形 成 を 妨 げるこ とを 好 しとしない 技 術 陣 営 もある 190) と コンピュータ 化 は, 新 しい 技 術 に 対 応 していない, 口 頭 と 書 面 の 伝 統 的 区 別 に 疑 問 を 投 げかけるが, 裁 判 官 と 法 律 実 務 家, 特 に 弁 護 士 の, 裁 判 所 の 機 能 及 び 手 続 の 合 理 化 に 寄 与 するデータ 交 換 の 共 通 プ ロトコルの 策 定 における 協 働 を 好 む また,コンピュータ 化 は 司 法 運 営 の 重 要 な 手 段 であり, 手 続 の 新 たな 経 済 的 文 化 の 出 現 へと 変 容 させる ある 方 法 で, 市 場 は, 量 的 文 化 を 確 かに 共 有 する 科 学 を 再 結 合 する このような 普 及 の 過 程 は, 既 に, 国 家 システムの 内 側 における, 司 法 部 門 や 弁 護 士 会 のイントラネットの 横 断 的 な 相 互 接 続 や, 欧 州 司 法 地 帯 (European Judicial Space) における 支 払 命 令 や 少 額 事 件 に 関 する 共 同 体 の 手 続 を 通 じて 顕 著 に 看 て 取 れる 司 法 と 手 続 は, 技 術 と 経 済 によっ て 言 及 されるが,それらがカテゴライズする 法 と 正 義 に 服 従 する 危 険 を 犯 す 手 続 効 率 性 の 調 査 は, 立 法 的 改 革 のための 主 要 なゲームとなっており, 民 事 訴 訟 の 主 要 原 則 ( 英 国 流 に 言 えば 基 本 原 則 (overriding objective) : 英 国 民 事 訴 訟 規 則 第 1 章 (Civil Procedure Rules, Part. 1)) である 1970 年 代 初 頭 以 来,フランス 法 は, 裁 判 官 が 事 前 手 続 (instruction) の 方 法 を 選 択 するに 際 し, 最 も 簡 易 で 費 用 を 浪 費 せ ず, 事 件 の 解 決 に 十 分 なもの とする 制 約 を 課 していた( 民 事 訴 訟 法 第 147 条 ) Andrea Proto Pisani 教 授 が 現 在 イタリアで 行 っている 新 民 事 訴 訟 法 典 に 関 する 提 civil eficiente, Universitat de València, 2008, vol. I, pp ) M. Kyengel (ed.), Electronic Justice, Present and Future, University of Pécs, September 23-25, 2010 : 190) G. Tarzia, Harmonisation ou unification transnationale de la procédure civile, Rivista di diritto internazionale privato e processuale, , pp ( 2270)

67 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) 案 で は, 第 0. 8 条 の 仮 のタイトル は, 同 様 に 裁 判 手 続 の 基 本 原 則 (Principî fondalentali dei processi guiridizionali) で, 民 事 訴 訟 の 効 率 性 (Efficienza del processo civile) 191) と 題 が 付 された しかし, 市 場 および 科 学 は,いずれも 自 己 完 結 しないことに 留 意 することは 重 要 である 手 続 は, 判 決 以 前 に, 事 件 の 適 正 な 解 決 という 唯 一 の 目 標 を 有 している 法 律 家 は,まずそれに 資 する 手 続 を 特 徴 づけな ければならない 仮 に, 正 当 な 手 続 が 不 当 な 判 断 を 必 ずしも 擁 護 しないとしても, 不 当 な 手 続 が 正 当 な 判 断 を 導 くことは 稀 である 手 続 の 効 率 は, 公 正 な 裁 判 を 犠 牲 にして 獲 得 することはできない 良 質 な 司 法 は,これら 2 つの 論 理 の 統 合 に 至 る 司 法 である 192) この 追 求 は,[ 欧 州 評 議 会 (Council of Europe) における] 司 法 効 率 化 委 員 会 (European Commission for the Efficiency of Justice) に 委 ねられた, 司 法 制 度 の 評 価 任 務 の 核 心 である 弾 劾 主 義 当 事 者 主 義 と, 糾 問 主 義 職 権 主 義 の 伝 統 的 区 別 に 代 わる 概 念 に 関 して 正 確 を 期 すことは 依 然 として 必 要 である 何 が 現 代 的 進 化 を 遂 げたかと いう 問 いに 対 する 答 えとして, 私 は, 多 元 的 な 司 法 制 度 における 協 働 手 続 のモデル の 出 現 を 挙 げる 協 働 手 続 のモデルは, 既 に 述 べたように, 手 続 が 当 事 者 又 は 裁 判 官 一 方 のためで はなく, 両 者 のためのものとする 志 向 を 体 現 している なぜならば, 当 事 者 と 裁 判 官 は, 合 理 的 期 間 内 に, 事 件 の 衡 平 かつ 効 率 的 な 解 決 に 達 するため, 必 然 的 に 協 働 することになるからである 司 法 運 営 の 考 え 方 は, 事 案 の 解 決 に 関 与 しなければな らない 当 事 者 の 権 利 に 関 する 裁 判 官 の 権 限 向 上 を 考 慮 に 入 れる このことは 判 決 の 受 容 の 要 素 であり 続 ける 大 部 分 の 事 件 において, 私 人 の 一 般 的 利 益 の 問 題 に 関 す る 宣 言 の 目 的 は, 社 会 平 和 と 法 の 尊 重 への 問 いかけであることに 疑 いはない 加 え て, 裁 判 官 への 付 託 は, 国 家 財 政 を 財 源 として 機 能 付 けられ, 民 間 主 導 となること はできない 公 的 仕 組 みの 中 に 位 置 づけることである 司 法 予 算 は 際 限 なく 拡 張 でき るものではないし, 司 法 権 は 裁 判 官 に 付 託 された 特 定 の 事 案 を 離 れて 抽 象 的 に 行 使 されてはならない 裁 判 官 に 付 託 された 事 項 は, 事 案 の 総 合 考 慮 により 公 的 正 義 の 191) A. Proto Pisani, Per un nuovo codice di procedura civile, Il Foro italiano, gennaio 2009, V, 1 (estratto). 192) See L. Cadiet, Efficience versus équité? in Mélanges Jacques van Compernolle, Bruxelles, Bruylant, 2004, pp ( 2271)

68 立 命 館 法 学 2012 年 3 号 (343 号 ) 手 段 が 衡 平 に 分 割 されなければならない 協 働 手 続 の 概 念 は,1975 年 民 事 訴 訟 法 典 に 規 定 された 手 続 の 基 本 原 則 を 基 盤 としている 193) ウルフ 卿 による 報 告 書 194) に 続 いて 行 われた 英 国 の 民 事 訴 訟 法 改 正 においても 述 べられ, 最 近 では, 欧 州 人 権 裁 判 所 の2009 年 2 月 3 日 判 決 195),また,ユニドロワ 国 際 民 事 訴 訟 原 則 11.2においても 当 事 者 は, 裁 判 所 と 共 に, 衡 平, 効 率 的 かつ 合 理 的 に 迅 速 な 事 案 の 解 決 を 促 進 す る 責 任 を 負 う と 規 定 されている 196) この 注 目 すべき 条 項 が 全 てを 言 い 尽 くして いる もし 付 け 加 える 必 要 があるとすれば,この 協 働 モデルは, 裁 判 官 と 当 事 者 の 間 の 手 続 合 意 の 方 法 によって 行 われることを 求 めており, 各 個 別 事 案 において 手 続 の 個 別 契 約 の 形 式 によるほか,プロトコルにより, 裁 判 所 と 日 常 的 利 用 者, 特 に 弁 護 士 会 との 間 の 一 種 の 集 団 的 合 意 としてより 多 く 締 結 される 生 成 しつつある 手 続 の 契 約 化 の 例 は 複 数 存 在 する このような 合 意 はフランスにおいても, 様 々な 訴 訟 前 プロトコル (pre-action protocol) として, 英 国 のように, 何 年 にも 渡 って 随 所 で 大 いに 発 展 した 我 々のイタリアの 友 人 であるカルピ (Carpi) 教 授 がこれに 興 味 を 持 っており,2007 年 にボローニャでのシンポジウムにおいて, 当 事 者 の 手 続 合 意 (accordi di parte e processo) のテーマに 関 して 述 べた (Trimestrale 所 収 ) 197) 契 約 化 は,ドグマ 的 法 における 契 約 の 利 用 としてはまとめられないことに 正 確 を 期 しつ つ, 我 々は, 手 続 合 意 の 概 念 とともに, 真 の 法 的 分 析 の 影 響 を 受 けやすい 真 の 法 的 カテゴリをそこに 見 つける それは, 契 約 概 念 の 比 ゆや, 価 値 が 下 落 した 利 用 に 依 存 している なぜならば, 判 断 生 成 のための 手 続 の 採 用 を 含 んでいるからである それは 真 の 交 渉 への 近 接 と 同 じくらいに, 関 係 当 事 者 の 参 加 の 現 象 を 呼 び 起 こすだ ろう 契 約 (contractius) を 超 える 結 合 (contrahere) は, 契 約 化 及 び 手 続 化 の 法 的 規 範 の 種 類 に 属 して 表 れているが, 対 というよりは, 部 分 的 に 関 係 し 結 合 してい る 法 的 規 範 における 登 録 値 について 共 通 概 念 を 合 意 することは 不 可 能 であるが, 法 を 語 り 正 義 を 実 現 する 共 通 の 方 法 については, 少 なくとも 合 意 に 達 することがで 193) See L. Cadiet & E. Jeuland, supra footnote 82, No ) See J. Bell, L Angleterre :àl aube d une réforme radicale de la procédure civile, Revue générale des procédures 1999, pp ) CEDH, 2e section, 3 Feb. 2009, Poelmans c/ Belgium, No 44807/06, Procédures 2009, No 81, obs. Fricero. 196) ALI/UNIDROIT, Principles and Rules of Transnational Civil Procedure, supra footnote ) Accordi di parte e processo, in Quaderni della Rivista trimestrale di diritto e procedura civile, Milan, Giuffrè ed., ( 2272)

69 フランス 民 事 司 法 制 度 民 事 訴 訟 法 概 論 (カディエ) き, 必 要 である 現 代 における 手 続 の 契 約 的 性 質 は, 多 元 的 司 法 制 度 において 第 2 位 に 登 録 され る このことによって, 私 は, 紛 争 を 解 決 する 法 は,そのために 組 織 された 裁 判 所 による 紛 争 解 決 に 限 らないことを 意 味 している 裁 判 は, 最 初 の 手 段 ではなく, 他 の 方 法 によっては 紛 争 解 決 が 不 可 能 な 場 合 の 最 後 の 手 段 として 考 えられなければな らない 第 三 者 である 裁 判 官 の 判 断 を 仰 ぐ 前 に, 可 能 性 のある 対 話 の 手 段 を 使 い 尽 くしていることが 必 要 である それは 市 民 的 義 務 であり,かつ 社 会 的 責 任 である このように, 紛 争 解 決 の 代 替 的 手 段 は, 手 続 の 開 始 時 点 に 限 らず 裁 判 手 続 中 も 含 め て, 裁 判 官 の 面 前 での 手 続 も 含 むものに 発 展 する 必 要 がある 多 元 的 司 法 制 度 と は, 各 事 件 がその 便 宜 に 適 う 解 決 法 を 提 示 されなければならないという 考 え 方 であ り,また, 法 はそれぞれの 手 段 の 経 過 を 容 易 にしなければならず,これらおのおの の 方 法 は, 他 の 方 法 への 移 行 手 段 を 備 えており, 良 き 司 法 のための 同 等 の 保 証 を 提 供 するものでなければならない 衡 平 な 和 解 の 権 利 は, 公 正 な 裁 判 を 受 ける 権 利 に 呼 応 するものでなければならない 198) もちろん,このパノラマに, 独 立 の 公 権 力, 特 に, 和 解 や 裁 判 の 権 限 を 行 使 し, 市 場 を 規 制 する 公 権 力 や, 特 に 交 通 事 故 や 医 療 事 故 において, 正 確 には 実 体 法 及 び 手 続 法 の 狭 間 に 位 置 する 配 分 的 正 義 からの 介 入 である, 民 事 責 任 に 関 する 共 同 基 金 によって 担 われる 役 割 を 加 えることは 必 要 であ る これら 全 ての 多 元 的 司 法 における 現 代 的 な 発 展 は, 我 々に 対 し, 手 続 がもはや 既 製 服 ではなく オーダー メイド の 形 であることを 想 起 させる 司 法 制 度 は, 各 種 の 事 件 に 対 し, 司 法 組 織 の 中 心 において, 略 式 であれ, 迅 速 なものであ れ,その 便 宜 に 適 う 手 続 を 提 供 するとともに, 手 続 の 進 展 に 応 じ 混 乱 を 起 こさない ため,ある 手 続 から 他 の 手 続 へ, 手 続 の 過 程 で 最 初 から 全 てをやり 直 すことなく, 移 行 手 続 によって 容 易 に 移 行 することを 可 能 としなければならない 多 様 性, 柔 軟 性 と 反 応 性 は, 現 代 社 会 の 複 雑 性 に 対 する 良 い 対 応 である そのような 複 雑 性 は, 裁 判 官 と 当 事 者 の 法 定 の 硬 直 的 な 役 割 分 担 に 依 拠 した 静 的 で 標 準 的 な 手 続 概 念 から の 解 放 へと 導 く これは 既 に 手 続 運 営 の 手 段 として 述 べたところであるが 199), 必 要 あれれば 合 意 に 依 拠 し, 裁 判 官 と 当 事 者 の 永 続 的 な 協 働 による 動 的 で 多 様 な 手 続 概 念 へと 向 かうことになる 198) See L. Cadiet, Procès équitable et modes alternatifs de règlement des conflits, in M. Delmas-Marty, H. Muir-Watt & H. Ruiz-Fabri (eds), Variations autour d un droit commun Premières rencontres de l UMR de droit comparé de Paris, Société de législation comparée, 2002, pp ) See L. Cadiet, Le procès civil à l épreuve de la complexité, supra footnote ( 2273)

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