基調報告書の発刊にあたって 基調報告書の発刊にあたって 2014 年 7 月 集団的自衛権の行使を容認する閣議決定がなされ 2015 年 9 月には 平和安全法制整備法及び国際平和支援法が国会で採決されました またこれに先立つ 2013 年 12 月 秘密保護法が制定されました この間 日弁連 各弁

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2 基調報告書の発刊にあたって 基調報告書の発刊にあたって 2014 年 7 月 集団的自衛権の行使を容認する閣議決定がなされ 2015 年 9 月には 平和安全法制整備法及び国際平和支援法が国会で採決されました またこれに先立つ 2013 年 12 月 秘密保護法が制定されました この間 日弁連 各弁護士会は 安保法制が 内容において立憲主義 恒久平和主義及び国民主権に反しているうえ その成立過程も民主主義に反していること さらに 秘密保護法により 安保法制に基づく政府の判断の是非や検証のために必要な情報の秘匿が強く危惧されることなどを 会長声明 意見書などにより意見表明してきました また シンポジウムを開催したり 街頭宣伝活動を行うなどして 多くの人々とともに 全国各地で様々な活動を行ってきました 日弁連では これまでの人権擁護大会においても 憲法問題をテーマとするシンポジウムを繰り返し開催し 2005 年第 48 回人権擁護大会では 立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言 を採択し さらに 2008 年の第 51 回大会においては 平和的生存権及び日本国憲法 9 条の今日的意義を確認する宣言 を 2013 年の第 56 回大会においては 恒久平和主義 基本的人権の意義を確認し 国防軍 の創設に反対する決議 を採択しました あらためて憲法の立憲主義と民主主義を取り上げた本シンポジウムの意義は 安保法制と秘密保護法の理論的検討や 2014 年からの安保法制の成立阻止そして廃止等への活動を総括し さらに今後の取組の方向性を探り これまでの活動を維持 発展させるための結節点とすることにあります 基調報告書は 本実行委員会の意見として 以上のような観点から取りまとめたもので 立憲主義と民主主義の観点から安保法制と秘密保護法の問題点を検討し さらに 明文改憲問題のなかでも立憲主義 民主主義との関係で重要な問題である国家緊急権を取り上げて検討しています これらの問題に関する活動は 立憲主義と民主主義を回復することに他ならず 基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士 弁護士会の重要な責務です 日弁連 各弁護士会は さらに一層この責務を果たすべく活動に取り組む必要があると考えます この基調報告書が 今後 立憲主義と民主主義の回復を求め さらにその新たな在り方を求める活動の一助となることを心より願います 日本弁護士連合会 2016 年 ( 平成 28 年 )10 月 6 日第 59 回人権擁護大会シンポジウム第 1 分科会実行委員会委員長水地啓子 -1-

3 目 次 目 次 序章 本シンポジウムの意義 9 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か 13 第 1 立憲主義とは何か 13 1 はじめに 13 2 立憲主義の多義性 13 3 欧米主要諸国の立憲主義 14 4 日本の立憲主義 16 5 個人として尊重 とは 16 6 法の支配 19 7 結論 19 第 2 民主主義とは何か 19 1 はじめに 19 2 国民代表論と民意の形成 反映 20 3 立憲民主主義 23 第 3 立憲主義と民主主義の危機の時代 24 1 全体主義の時代 24 2 ドイツの全体主義 -ヒトラーとナチスドイツ 25 3 日本の全体主義 - 軍部の独走と国体思想 27 第 4 日本国憲法の誕生と試練のとき 29 1 立憲主義の復活強化 29 2 日本国憲法の平和主義 30 3 再び試練のとき- 問われる国民の態度 31 第 2 章 安保法制による立憲主義 民主主義の蹂躙と恒久平和主義の破壊 37 第 1 安保法制の違憲性と平和主義の危機 37 1 安保法制の基本的内容 性格と危険性 37 2 政府の憲法解釈と安保法制の違憲性 39 3 存立危機事態 と集団的自衛権の行使について 40 4 重要影響事態法と国際平和支援法について 42-2-

4 目 次 5 PKO 協力法改正と任務遂行のための武器使用について 43 6 米軍等他国軍隊の武器等防護のための武器使用など 44 第 2 日本国憲法の平和主義 45 1 アジア 太平洋戦争の被害と加害 45 2 日本国憲法の恒久平和主義 46 3 日本の防衛力の強化と憲法 9 条の現実的機能 47 第 3 安保法制の制定経過 47 1 閣議決定に至る経緯 47 2 閣議決定による解釈改憲 48 3 ガイドラインによる米国との先行合意 49 4 国会審議の特徴 49 5 国会の強行採決による民主主義の蹂躙 50 6 国民 市民の広汎な反対とその運動 51 7 弁護士会及び日弁連の取組 52 第 4 安保法制の適用と国の在り方の変容の危険 53 1 安保法制の実施がもたらす事態と国民 市民の権利制限 53 2 軍事と国家の論理が優先する国と社会と国民生活 55 3 軍需産業と軍事研究の拡大 56 4 PKO の変質 変遷 - 憲法 9 条と国際法から考える改正 PKO 協力法適用の危険性 58 5 後方支援活動の危険性 -イラク派遣の実態に照らして 64 6 明文改憲への動き 65 第 5 安保法制と 日米同盟 66 1 安保法制と日米同盟 66 2 日米同盟と在日米軍 72 3 沖縄における在日米軍の問題 75 4 小括 78 第 3 章 秘密保護法 87 第 1 はじめに 87 第 2 秘密保護法制定に至る経緯 87 1 はじめに 87 2 従前の秘密保護規定 88 3 秘密保護強化の動き 88-3-

5 目 次 4 自衛隊法の改正 88 5 秘密保護法制定の契機 88 6 秘密保護法の制定へ 89 第 3 秘密保護法の制定経緯における問題点 89 1 報告書の発表 89 2 法案の概要公表と強行採決 89 3 小括 90 第 4 秘密保護法の内容における問題点 90 1 はじめに 90 2 特定秘密 の範囲が広範であり極めて曖昧であること 90 3 特定秘密 の指定に当たって行政の恣意が働く余地が極めて広いこと 92 4 処罰範囲が広く かつ 刑罰が重いこと 92 5 適性評価制度によるプライバシー侵害が著しいこと 93 第 5 秘密保護法施行後の運用の現実とその問題点 95 1 情報監視審査会の設置 95 2 内閣府独立公文書管理監 95 3 国連特別報告者の指摘 95 4 国際 NGO の指摘 95 5 小括 96 第 6 安保法制と秘密保護法の関係 96 1 はじめに 96 2 秘密保護法の規定と国会法の規定 96 3 特定秘密 に指定された情報は事後的にも検証することができなくなるおそれがあること 97 4 小括 97 第 7 情報自由基本法制定の必要性及び秘密保護法の廃止又は抜本的見直し 98 1 公的情報は市民の情報である 98 2 公的情報保存の重要性 98 3 公的情報開示の必要性 98 4 情報自由基本法制定の必要性 99 5 まとめ 99 第 4 章 国家緊急権条項について 101 第 1 国家緊急権とは

6 目 次 第 2 憲法に国家緊急権条項を創設しようとする流れ - 明文改憲への道筋 101 第 3 日本国憲法に国家緊急権を規定することの積極論と必要性論 積極論 必要性論 102 第 4 諸外国の緊急権制度 ドイツ フランス イギリス アメリカ 諸外国の国家緊急権に共通するもの 107 第 5 大日本帝国憲法の国家緊急権 つの緊急権 大日本帝国憲法下における国家緊急権の本質 109 第 6 日本国憲法の立場 - 立憲主義と徹底した恒久平和主義 109 第 7 国家緊急権の本質的な問題 - 憲法内での立憲主義の破壊 基本的人権抑圧の許容 我が国の場合は恒久平和主義の破壊 110 第 8 日本国憲法に国家緊急権を規定することは必要か 有事 へ対処するという面からの検討 テロ等 内乱等による社会秩序の混乱 へ対処するという面からの検討 地震等による大規模な自然災害 へ対処するという面からの検討 緊急事態における国会の活動の問題 114 第 9 自民党改憲草案の緊急事態条項について 自民党改憲草案の 緊急事態 ( 第 9 章 ) 自民党改憲草案の緊急事態条項の不要性 危険性 115 第 10 まとめ 118 終章 立憲主義 民主主義 平和主義の回復 実現に向けて 119 第 1 弁護士及び弁護士会の役割 現行弁護士法制定以前の弁護士と弁護士会 新 ( 現行 ) 弁護士法の制定 日弁連 弁護士会の活動と課題

7 目 次 第 2 安保法制の廃止と立憲主義 民主主義 平和主義の回復 実現に向けて 民主主義の再生への胎動 憲法秩序の破壊に対する法曹と司法の役割 責務 124 資料編 127 資料 1 資料 2 資料 3 資料 4 資料 5 資料 6 資料 7 資料 8 日弁連宣言 決議 意見書等一覧 129 各弁護士会意見書 声明等一覧 132 日弁連 各弁護士会イベント等一覧 143 安保法制の検討資料 安保法制改定法の検討 - 改定前規定と対照して 156 安全保障法制改定法案に対する意見書 (2015 年 6 月 18 日 ) 197 日弁連が考える情報自由基本法の骨子 236 情報自由基本法の制定を求める意見書 (2016 年 2 月 18 日 ) 228 日本国憲法 自由民主党 日本国憲法改正草案 対照表 238 本基調報告書は 本実行委員会の意見にとどまり 日弁連の意見ではない点も含まれ ております -6-

8 目 次 法律等の題名の略称 ( 第 189 回国会で題名が改正されたものは 特記以外は改正後の題名である ) 安保法制 = 平和安全法制整備法 ( 案 ) 及び国際平和支援法 ( 案 ) これらにより新設 改正された制度 平和安全法制整備法 ( 案 )= 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律 ( 案 ) 国際平和支援法 ( 案 )= 国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律 ( 案 ) 武力攻撃事態対処法 ( 改正前 )= 武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律 事態対処法 = 武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律 国民保護法 = 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律 周辺事態法 ( 改正前 )= 周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律 重要影響事態法 = 重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律 国連平和維持活動協力法 PKO 協力法 = 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律 秘密保護法 = 特定秘密の保護に関する法律 テロ特措法 = 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議に基づく人道的措置に関する特別措置法 日米安保条約 = 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約 -7-

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10 序章章序 本シンポジウムの意義 序章本シンポジウムの意義 1 秘密保護法と安保法制の制定は 日本社会にかつてない規模の極めて緊迫した憲法論議と政治状況を惹き起こした なぜ ここまで緊迫した憲法論議と政治状況が生じたのか それは これらの法律の内容及び制定経緯に 以下で述べるような立憲主義と民主主義を揺るがす大きな問題があったからである 2 まず 安保法制の制定に至る経緯から振り返ると 政府はそれに先立ち 戦後の歴代内閣が一貫して憲法違反だとして禁じてきた集団的自衛権の行使を容認する等の閣議決定を行った これは憲法改正手続をとることなく内閣の一存で憲法の内容を変えてしまうものであり 解釈改憲 と呼ばれるべき暴挙である このような暴挙 すなわち これまで憲法違反とされていた事柄も 時の内閣による憲法解釈の恣意的変更によって合憲とすることができる というようなことがまかりとおるようになれば 憲法の最高法規性 (98 条 ) 硬性憲法性(96 条 ) 及び公務員の憲法尊重擁護義務 (99 条 ) も骨抜きにされてしまい 立憲主義の理念は死滅することになりかねない ところで 日本国憲法の三大原理は 基本的人権の尊重 国民主権及び平和主義である とすれば 立憲主義の危機はこれら三大原理の危機をも意味するのであり これを放置することは 将来にたいへんな禍根を残すことになる かつてのドイツにおけるヒトラーとナチスの歴史はこの点に関し大きな教訓を与えてくれる ナチスは 政権を握るや 当時最も 先進的 と評価されていたワイマール憲法の下 立憲主義を否定する政策を推進していった 基本的人権の保障と民主主義が失われてしまったドイツが戦争へと突き進むことになったのはそのわずか数年後のことだったのである こうした歴史は決して繰り返されてはならない 弁護士会や大多数の憲法学者は こうした憲法に違反する閣議決定や安保法制法案による立憲主義の蹂躙 それが日本の国にもたらす結果に対して 大きな危機感を抱いていた 法案審議開始から間もない時期に衆議院憲法審査会の参考人として呼ばれた 3 名の著名な憲法学者全員が 法案について憲法違反であると断じたことは 大きなインパクトを与えたが その当然の表現でもあった さらに 何人もの元内閣法制局長官や元最高裁長官を含む複数の元最高裁判事もまた 法案の違憲性を指摘した こうして世論に安保法制の問題の大きさが共有され 一般市民の間でも 憲法を守れ 立憲主義を守れ という声が広がり 高まることとなったのである 3 民主主義との関係では 安保法制の制定経緯に大きな問題がある まず 安倍内閣は 2014 年 7 月の閣議決定後 国会審議や民意を問う前に まっさきにアメリカに対し安保法制を制定させることを約束した それが 2015 年 4 月 27 日に合意された日米防衛協力のための指針 ( いわゆるガイドライン ) の改定である これは 安倍内閣が当初から民主主義を軽視していたことの如実な現れである また 安保法制は 合計 10 件もの法律の大幅改正と 1 件の法律の新規制定からなっ -9-

11 序章本シンポジウムの意義 ている その分量は大部のものであるうえ 内容も複雑にして多岐にわたる ところが 具体的法案が公表されたのは国会審議直前であった それをわずか一会期における審議だけで 成立 させたのである しかも 国会での首相答弁 閣僚答弁は 決して誠実なものではなく 法案の文言解釈から考えられる危惧について質問されても ホルムズ海峡以外に外国の領域への派兵は 現在念頭にない とか 安全確保措置をとるので自衛官のリスクは増大しない 等の代表的な答弁にみられるように 回答にならない答弁が何度も繰り返された しかも国会審議の終盤では 首相が立法事実として当初あれほど強調していた お母さんと子供 が乗った米艦船の自衛艦による防護の話も ホルムズ海峡封鎖のために敷設された機雷掃海も 想定事例から実質上撤回された 立法事実 立法の必要性自体が疑わしいことになったのである それでも法案は撤回されなかった これでは 説明が不十分だ という世論が多数を占めたのは当然である しかもその採決はかつてない異常な混乱の中で強行されたのであり それは言論の府としての国会の自己否定であったと言わざるを得ない 4 次に その安保法制よりも前に制定された秘密保護法について考察すると まず何よりも立憲主義にとって不可欠な恒久平和主義との観点から重大問題を含んでいることが明らかになる 戦前の日本では 多くの重要な情報が政府によって国民に対し隠蔽され 報道機関も政府に追随し 国民の知る権利が侵害された そのことが 当時の日本が誤った戦争への道を選ぶこととなった大きな原因の一つであったことは明らかである 秘密保護法とは こうした歴史的教訓をも顧みず またしても重要情報を隠し 報道の自由を委縮させ 国民の知る権利を大幅に制約しようとするものである これが集団的自衛権の行使を容認する安保法制とあいまって運用されれば それは極めて危険であり 立憲主義の不可欠な基礎であり 現在の私たちが享受している平和が 容易に危機にさらされかねないのである また 民主主義の観点からも問題がある そもそも国民主権の下において 公的情報は本来 国民の情報であるとともに公的資源であり この公的情報を適切に公開 保存することが市民の知る権利に資し 民主的な政治過程を健全に機能させることになるのである しかし秘密保護法はこうした理念に真っ向から反する法律である しかも この法律の制定は 長年にわたり政府が水面下で検討していたにもかかわらず その検討過程の資料は公表されず 国会審議直前のパブリックコメントにおける多くの国民の反対意見も無視され 強行採決によって制定された すなわち 秘密保護法は その内容はもとより制定経緯においてすでに民主主義を軽視していたのである 5 さらに 憲法の中に 緊急 時に憲法の定める基本的人権の保障をも停止してしまう 国家緊急権 を定めようとする議論もなされている しかし このような主張には 歴史的教訓の忘却と立憲主義の重大性についての自覚の欠如が明らかに認められる -10-

12 序章本シンポジウムの意義 6 以上で述べてきたように 立憲主義と民主主義はいま 死滅への道を歩みはじめたといっても過言ではない危機的状況にある しかしいまならまだ 引き返すことも 進路変更することも十分に可能である いやそれどころか現在のこの危機的状況の試練を乗り越えることで 一皮むけた立憲民主主義を手にするきっかけにすることさえできるかもしれない このような観点から 今回のシンポジウムのテーマは 立憲主義と民主主義の回復 なのである -11-

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14 第1章第 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か 1 章立憲主義 民主主義とは何か第 1 立憲主義とは何か 1 はじめに日弁連は 2005 年人権擁護大会で採択した宣言 ( 鳥取宣言 ) において 日本国憲法の理念および基本原理として 以下の 3 点について確認した (1) 憲法は すべての人々が個人として尊重されるために 最高法規として国家権力を制限し 人権保障をはかるという立憲主義の理念を基盤として成立すべきこと (2) 憲法は 主権が国民に存することを宣言し 人権が保障されることを中心的な原理とすべきこと (3) 憲法は 戦争が最大の人権侵害であることに照らし 恒久平和主義に立脚すべきこと (1) は日本国憲法における立憲主義を意味し それは近代立憲主義の考え方を継承し発展させ 個人の尊重 と 法の支配 原理を中核とする理念であり 基本的人権の尊重 国民主権 (2) 恒久平和主義(3) などの基本原理を支えている その目的は すべての人々の個人としての尊重 である 憲法 97 条は この憲法が日本国民に保障する基本的人権は 人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果 であり 過去幾多の試錬 に耐えてきたものであると規定しているが 歴史を顧みると 基本的人権だけではなく 本シンポジウムのテーマである立憲主義や民主主義 さらには恒久平和主義もまた同様に 過去幾多の試練 に曝されてきた したがって これらの理念や概念は 先人たちの多年にわたる自由獲得のための努力と試練の成果として具体的に理解されねばならないのであって 時の政府による恣意的な解釈を許すような単なる抽象概念として理解されてはならない そしてもちろん この努力や試練はまだ終わりを告げたわけではなく 私たちは今もまだ 不断の努力 ( 憲法 12 条 ) が必要とされる途上にあるということも忘れてはならない 以上のような観点を踏まえ この章では近代立憲主義の考え方を継承 発展させた日本国憲法の立憲主義 その中核である 個人の尊重 と 法の支配 を明確にし 立憲主義が支える基本原理である国民主権 恒久平和主義についても 自由獲得を目指した先人たちの努力と試練の歴史的成果として 具体化したい 2 立憲主義の多義性 ( 注 立憲主義 という言葉は 欧米の言葉 1) を直訳すれば 憲法主義 であって 概ね次の 3 種の意味で語られることが多いとされている ( 注 2) 1 政治権力を制限し 正義を実現しようとする思想 2 近代主権国家の成立を前提とし 政治権力を憲法によって制限し 国民の権利 自由を確保しようとする思想 3 2の思想を前提とし その実効性を担保するために違憲立法審査の制度 機関を設けるべきとする思想 法の支配 原理と相関する これらのうち1の思想はそもそも近代憲法がなかった古代ギリシアや中世ヨーロッパに -13-

15 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か も存在した思想であり 現在の憲法主義としての立憲主義とはやや距離が認められる考え方である ( 注 3) 2の思想と3の思想については 2の思想が歴史的に先行し 続いて3の思想を採用する国が現れ 日本国憲法も3の思想を採用していることは明らかであるが どちらの思想に重点をおいた制度を採用しているのかは 各国が経験した歴史的試練の結果という側面が大きい 3 欧米主要諸国の立憲主義 (1) イギリス近代立憲主義の淵源が 市民革命を最初に実現したイギリスである点についてはほとんど争いをみない それはイギリスにおいてはじめて 国民の権利 自由を守るために 国王の 権力を制限 するという思想が生まれたからである しかし そのイギリスには現在も最高法規としての成文硬性憲法がない また 近代イギリスで発展したのは 女を男にすること あるいは男を女にすること以外はあらゆることをなしうる とまでいわれたほどの議会万能主義あるいは議会主権と呼ばれる制度であった そのイギリスにおいて議会や国王の権限の抑制をはかっている 法 は コモンローと呼ばれる慣習法である そのため イギリスでは立憲主義よりも 法の支配 という概念が強調されることが多い イギリスでは市民革命以降 国王と議会とがお互いにコモンローを破らないとの事実を歴史的に積み上げてきた イギリス現代立憲主義のあり方は このイギリス独自の歴史的事実に支えられた人権尊重のあり方といえる (2) アメリカ歴史上 3の思想に基づく立憲主義が最初に生じたのは イギリスの議会万能主義の横暴の被害を受け ( 注 4) イギリスからの独立を果たしたアメリカであった アメリカは その独立宣言の思想にイギリスの政治哲学者ジョン ロック ( 注 5) の影響が認められるなど リベラリズムについてはイギリスの思想を受け入れながらも 立憲主義については イギリスとは正反対に議会権力に対する不信を顕示したのである もっとも合衆国憲法には違憲立法審査制に関する明文規定はなく それは判例によって認められているにすぎない ( 注 6) また その性質は具体的争訟解決を主要目的とする付随的違憲審査制であって 憲法秩序を保障することを主要目的としたものではない したがって 違憲判決の効力もあくまでも当該事件にしか及ばないとされており そのような意味では 後述するドイツほどに厳格な立憲主義を採用するには至っていないといえるであろう (3) フランスフランスの場合 1789 年の人権宣言以後 イギリスと異なり様々な憲法が作られた しかし その人権宣言第 6 条の 法律は一般意思の表明である の影響が強かったため 徹底した議会中心主義が採用されることとなった そのため 議会が制定した法律の違憲性を審査することはむしろ国民主権原理に反するとの考え方が根強く ( 注 7) 長い間にわたって裁判所による違憲立法審査制度は認められてこなかった また 司法は行政に関与してはならないとされたため 行政裁判に関する権限も認 -14-

16 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か められなかった ( 注 8) そのフランスでも 1958 年憲法においてやっと法令の違憲審査を行う権限をもつ憲法院が設けられることとなった しかしその権限は法律が施行される前に実施される事前審査にすぎず 違憲な法律が施行されてしまってからの市民の申立てによる事後的違憲審査制度については 2010 年まで存在しなかった ( 注 9) フランスにおいてこれほどに司法権の権限が縮小されたのは フランス革命前のアンシャン レジームにおける司法機関であったパルルマンが強大な権限をもち行政や立法に関与したこと ( とりわけ課税制度改革 ) がフランス革命勃発の一因になったためであるといわれている ( 注 10) しかし 最近になってその傾向には明らかな変化が生じており 事後的違憲審査制が認められることになったことからも 同国の立憲主義のあり方は3の思想に近づきつつある (4) ドイツドイツの場合 当時のイギリスやフランスとは異なり 19 世紀後半になっても議会の力が弱かったため 議会中心主義による政治権力の制限は実現できず 議会と国王権力の相互抑制を図ることを目指した欽定憲法が 1871 年に制定された この憲法は 政治権力の制限に一定の成果は上げたものの 国民の権利 自由の保障を目指したものではなかったため 外見的立憲主義とも呼ばれる これに対し 第一次大戦敗戦後に制定されたワイマール憲法 (1919 年 ) は 国民主権原理や社会権が規定されるなど当時最も 先進的 と評されたものであったが ナチスが制定した全権委任法などによりワイマール憲法はその機能を果たすことができなくなり ドイツはまたしても戦争に突き進むことになった 戦後のドイツはこの反省を踏まえ とりわけ厳しい3の思想に基づく立憲主義を採用している 具体的には憲法判断を行う専門機関としての連邦憲法裁判所が設けられ 通常裁判所が具体的事件の審理において憲法解釈上の疑義が生じた場合にはただちに審理を中止して 連邦憲法裁判所の判断を求めねばならないとされているだけでなく 行政 立法機関が法律の合憲性判断を申し立てることも認められている また 一般市民が公権力により人権が侵害された場合にも出訴が認められており これは憲法訴願 ( 憲法異議 ) と呼ばれる また 判決の効力も強力で 連邦憲法裁判所がある法令に対して違憲判断を下した場合 アメリカや日本の場合と異なり その法令の効力は立法機関の廃止手続を踏むことなく失効する さらにドイツの場合 自由で民主的な基本秩序の侵害 除去等を目指す政党を違憲であると明言し ( ボン基本法 21 条 2 項 ) 連邦憲法裁判所はこの政党の違憲性についても審査する権限をもつなど フランスの憲法院とは異なり 政治部門に対するきわめて強力な権限が与えられている このようにドイツが連邦憲法裁判所に強大な権限を与えたのは 後述するワイマール憲法体制を崩壊させたナチスの暴走に対して 当時の国民主権に基づく議会制民主主義がまったく制御できなかったという歴史的経験による 実際 ナチスの時代の 民意 は 選挙 国民投票 喝采等を通じてナチス支配の正当性にかえってお墨付きを与える材料とされたのであった こうした歴史的経験を踏まえたドイツは 政治状況や感情に流されにくい裁判所の判断に基づく徹底した憲法秩序の維 -15-

17 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か 持を重視する 3 の思想に基づく立憲主義を採用したのである 4 日本の立憲主義以上のように立憲主義のあり方は現代の欧米主要諸国においてさえ多様であるが そのことを根拠に 立憲主義の理念を恣意的解釈可能な曖昧な抽象概念と把握することは早計である すでにみてきたように 現代立憲主義のあり方の多様性は 各国が経験した歴史的試練の差異に基づくものであって いずれの立憲主義のあり方においてもその根底に 個人の権利 自由を守ることを目的として 国家権力を法の力によって制限する という普遍的理念が認められる すなわち ここに立憲主義の本質があるのである したがって あらゆる国に共通な立憲主義のあり方はないとしても それぞれの国の多様な立憲主義のあり方の根底には普遍的な立憲主義理念が存在しているのであって それは日本の立憲主義においても同様なのである とすれば 日本の立憲主義のあり方が議会不信に基づくアメリカあるいはドイツ型となった歴史的事情は明らかであろう 日本の戦前の議会もまた後述するように 治安維持法等の制定等により国民の表現や思想の自由を弾圧し 政府の権限濫用を制御できなかった また 戦前の日本の場合 ドイツと異なりとりわけ軍部の独走が特徴的であったのだが これに対しても議会はまったく無力だったのであり 国家総動員法等の制定等によってむしろ追随してしまい その結果 日本が戦争へと突き進むことを止めることはできなかったのである こうした歴史的経験から私たちが学んだことは 国家権力は それが政治状況や感情さらには私益に流されやすい 人 によって行使されるものである限り たとえそれが民主的に選ばれた代表者で構成される議会権力であったとしても 常に濫用されたり暴走したりすることにより国民の人権を侵害する危険があるということであり その人権侵害が行き着くゴールには戦争があるということである だからこそ 戦後の日本の憲法は 憲法という 法 の力によって立法権も含むあらゆる国家権力を制限し 人権保障を目指すという立憲主義 ( 法の支配 ) の理念を基盤としたのであって 憲法の最高法規性 公務員の憲法尊重擁護義務そしてアメリカ型の違憲審査制を明文で定める現行憲法はまさにそのような意味で 日本独自の歴史を踏まえた立憲主義理念を基盤としている憲法といえるのである 日本国憲法の根本にある立憲主義は こうして近代立憲主義の考え方を継承し発展させ 個人の尊重 と 法の支配 原理を中核とする理念であり 国民主権 基本的人権の尊重 恒久平和主義などの基本原理を支えているのである そして 憲法の基本原理である国民主権と基本的人権の尊重も ともに 個人の尊重 に由来しており さらに 個人の自由と生存は平和なくしては確保されないという意味において 平和主義も 個人の尊重 に由来するとともに国民主権及び基本的人権の尊重と密接に結びついている 5 個人として尊重 とは (1) はじめに 立憲主義の目的は 鳥取宣言の言葉によれば すべての人々が 個人として尊重 -16-

18 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か される ことであるが これは 憲法 13 条前段に規定されている すべて国民は 個人として尊重される という憲法の根本理念を確認したものである この理念は 論者の好みなどによって 個人の尊重 個人の尊厳 人間の尊厳 などと簡潔に表現されることがあるが これらの言葉あるいは理念の淵源はおそらくドイツの哲学者カントの 人間の尊厳 概念であろう ( 注 11) しかし その概念があまり知られていない我が国においては 個人 という言葉が曖昧かつ抽象的に理解され 国家権力によっても不可侵な個性を有するかけがえのない主体的な個人という意味ではなく 個性を度外視した 人一般 のような個々人の同等性を根拠づける抽象概念のように語られることさえある この立場に立つことを明確に示したものが 自民党日本国憲法改正草案 13 条前段であり そこでは 全て国民は 人として尊重される とされている しかし このような解釈は 憲法 13 条前段の理念を没却することにもつながることから その理念の淵源にあった思想を踏まえておくことは重要であろう そこで 以下において その淵源と思われるカントの 人間の尊厳 概念について説明することとする (2) イギリス経験論の人間観カントの 人間の尊厳 論は ジョン ロックやデイヴィッド ヒューム ( 注 12) に代表されるイギリス経験論哲学者の哲学あるいは人間観の批判から生まれたものである そこでまずその経験論哲学の考え方に簡単に触れておこう 経験論哲学とは 真理とは客観的なものであって 人間は経験を通じてしかそれに接近できないという立場をいう すると世界中に歴史的に起こるすべてのことを経験することなどできるはずのない不完全な人間が認識する法や道徳や自然科学の法則はすべて仮象 ( 確固たる根拠のない認識 ) あるいは仮説にすぎないという意味で みな不完全だということになる したがって 経験論者が国王や多数派の専制を否定する根拠は一般に人間の不完全性に求められ そのコインの裏表の関係として 個人の個性は客観的真理に対する見解や感じ方の主観的多様性として尊重されるべきものとされることとなる (3) カントの コペルニクス的転回 と 人間の尊厳 カント哲学は上記のような経験論を以下のような考え方によって批判した 経験論者は 何でもかんでも経験しなければ知ることができないというが すると私たちが 真の立憲主義 について何かを語ろうと思えば この世のどこかに 真の立憲主義 が実際に出現するまでできないということになってしまう また 自然科学が成功するためには たとえば因果関係の客観的実在性が経験によって証明されなければならなくなるが それではいつまでたっても自然科学が成功する日は来ないであろう にもかかわらず 私たちが理想を抱いたり真理を獲得したりでき それらを目指して主体的に生きることができるのは カントによれば 人間が経験にただ従い続けるからなのではなく 経験から学びつつも 逆に経験の方を規定する必然性や普遍的な法則を見出すことによるからであるとされるのである これが 有名な コペルニクス的転回 と呼ばれる考え方であって 自律的個人にとって自由で幸福な生き方と真実が一つに決まるための仕組みを明らかにした考え方なのである -17-

19 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か こうしてカントによれば 私たち人間が築いてきた科学や道徳や法は経験論哲学とは違って仮象ではなく 人間が経験から導いた 経験を規定する法則によって成立している確固たる真理ということになる ところで このような経験を規定する法則は 法則 と呼ばれるからには普遍性を本質としている そこで カントはこの法則定立のことを 普遍的自己立法 と呼び ( 注 13) これに基づいて自分らしい生き方や真実を獲得する人間の主体性において 人間の尊厳 を見出したのである (4) カントの 自律 以上のような人間観に基づいてカントが道徳論において強調した概念が 自律 である これは日本では 自己決定 と同視されることが多いが 不正確である 前述のとおりカントは 人間が経験から学びながらも経験を規定する法則を生み出す点に人間の尊厳を求めたのであるから 尊厳の重点は 決定能力よりむしろ経験に基づいて普遍的な法則を定立する能力 先述した 普遍的自己立法 に基づく自己決定と解すべきであって それはつまり 経験から学ぶことにより 自分が従うあるいは目指すべき自分らしい生き方の法則や理想を発見する人間の主体性のことである (5) 人間の尊厳 の不可侵性以上のようなカントの思想を踏まえた場合 以下に述べるような時折見かける 個人 や 個性 の解釈は憲法 13 条前段の理念に反するものといえるであろう それは 私もあなたも みんな同じ個人 あるいは すべての個性は個性としてはみんな同じ であるというように 同じであること を前提として 個人や個性は尊重されるべきという結論を導くような解釈である このような解釈は結局 みんなの幸せ のために各自の個性が制限されることは当たり前である というような 個人の尊重 とは反対の みんなの幸せ なる同じ価値基準の個人に対する押しつけや国民の義務拡大につながるのである 先述したように カントの 人間の尊厳 は 各自が経験に基づいて普遍的な法則を立てることにより自分らしい生き方や真実を獲得する人間の主体性という具体的な内容を持つものであるから 個人の自律的決定は自ずと 自己矛盾を含まない普遍性 を指向するものとなる それは 自分だけではなく 皆がその法則に従うことによっても矛盾や不都合が生じないというような意味での 普遍性 のことである カントによれば 人間の尊厳 とはそのような普遍性を指向するものであるからこそ 不可侵性も備えることになるのである 以上のようなカントの 人間の尊厳 に関する考え方は 憲法 13 条前段の解釈にあたっても重視されるべきであろう つまり 同条前段は少なくとも 皆が 同じ個人 として 同じ法則 に従わねばならないことの根拠として理解されてはならないのであって 各個人が自ら立てた独自の法則に従って生きようとするかけがえのない個性的存在として尊重されなければならず 国家権力による特定の価値観の押しつけや個性抑圧は禁止されなければならないことを根拠づける条文として理解されるべきなのである -18-

20 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か 6 法の支配 法の支配 とは 専断的な国家権力の支配( 人による支配 ) を排斥し 権力を法で拘束することによって 国民の基本的人権を擁護することを目的とするものである 日本国憲法も 基本的人権の永久 不可侵性を確認するとともに ( 憲法 97 条 ) 憲法の最高法規性を確認し ( 憲法 98 条 ) 公務員に憲法尊重擁護義務を課していること( 憲法 99 条 ) また 裁判所に違憲立法審査権を付与していること( 憲法 81 条 ) から 日本国憲法が 法の支配 に立脚していることは明らかである 7 結論すでにみてきたように 現代立憲主義のあり方は国によって多様であるが その根底には 個人の権利 自由を守ることを目的として 国家権力を法の力によって制限する という普遍的理念が認められた また 個人の尊重 思想の淵源であるカントの哲学にあっては 人間の尊厳 や 個人として尊重 という場合の 人間 尊厳 個人 とは単なる抽象概念ではなく 人間の尊厳 とは 経験から様々なことを学び かけがえのない自分らしい生き方や真実を獲得し それに自らを従わせて自由に生きようとする人間の主体性 ( 自律 ) のことを意味していることも明らかになった 憲法は すべての人々が個人として尊重されるために 最高法規として国家権力を制限し 人権保障をはかるという立憲主義の理念を基盤として成立すべき との鳥取宣言は 以上のような歴史や思想を踏まえて理解された立憲主義の理念こそが 我が国の平和安全保障問題を含む国政や人権保障に関するあらゆる具体的な問題の解決にあたって 決して踏み外されることがあってはならない普遍的理念であることを確認したものなのである 第 2 民主主義とは何か 1 はじめに憲法前文にあるように国政が国民の厳粛な信託によるものといえるためには 国政における代表者による権力行使が国民の意思によって拘束されている必要まではないとしても 信託者である国民の意思が尊重されていなければならない このことが一般に国政への 民意の反映 と呼ばれるものであり 民主主義の代名詞にもなっている言葉である しかし この 民意の反映 とはどのようなことかという問いに答えることは 簡単そうにみえて実はなかなか難しいのである たとえば 国民が 100 人からなる国において うち有権者が 70 人で うちある政策への賛成者が 40 人で反対者が 30 人であると仮定する この場合 この国の民意を国政に反映させるとはどういうことなのかを明快に答えることができるであろうか 民主主義に関する多くの解説書では 民意と多数者の意思とは異なるという指摘がされている あるいは 民主主義は多数決主義とは異なると指摘されている たしかに 上の例で 40 人の多数派の意見を民意とした場合 残りの 60 人の意見はなぜ民意を構成しないのかがわからない あるいは 多数決が民主主義ならば与党が国会の多数派を占 -19-

21 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か めていることが普通の日本の国会において 長々と審議時間を割くこと自体が無駄であろう だから 民主主義をこの程度のレベルでしか理解していない政治家は 強行採決に疑問を感じないのである また 多数決が民主主義ではない理由として 多数者が誤ることもあるということを持ち出す方もいるであろう たしかに 難しい試験問題の正答率は 50 パーセントを大きく下回るが それでも試験では多数者の解答を正解としたりはしない しかし それを言いだしたら 今度は十分な審議の後であっても そもそも多数決で決めること自体がなぜ正しいのかがわからなくなりそうである しかし 上記のような議論は 正しい民意 が最初からどこかに存在していて その後は変化しないということを前提としていることに気付くであろう つまり これらの議論は そもそも 民意とはいつ どこで どのようにして形成されるのか という問題を看過してしまっているのである 以上のような観点を踏まえて 国会審議のあり方はもちろん 選挙制度 国民代表制度のあり方までに及ぶ議論が次に説明する国民代表論である 2 国民代表論と民意の形成 反映 (1) 全国民の代表 とは憲法は国会議員を 全国民の代表 (43 条 ) と規定している この 代表 とは 政治的代表 と呼ばれるものであって 選挙で選ばれた議員は有権者の意思に法的に拘束されることはなく 自由に発言 票決できるとされている これは 自由委任の原則 とも呼ばれる では このような制度によっていかにして民意は国政に反映されることになるのであろうか たしかに 制限選挙制度の時代にこの政治的代表の考え方が貫かれれば 議員が全国民の意思を国政に反映させる必然性はまったく保障されないであろう しかし 普通選挙や議会の解散の制度が一般化すると 事情が変わってくる 普通選挙制度の下で再選を欲する議員は 有権者の意思を無視して行動するわけにいかなくなるからである 法的には自由委任の原則とされても 事実上 議員は有権者の意思を無視できなくなるのである 以上のような歴史的事情の変化の下 現在の政治的代表説は 国民と代表者との関係を 意見の矛盾対立を前提とした 緊張感に満ちた相互の動態的コミュニケー ( 注ション過程 14) として把握する わかりやすくいえば 国会議員は国会等における公開審議において自由に意見を表明し 票決できるが その行動に対する国民あるいは世論からの問いかけに対しては誠実な応答義務 ( レスポンスビリティ ) と説明義務 ( アカウンタビリティ ) が要請される その過程の中で 時には国民の選挙時の意思が議員の説得力のある説明によって変化する場合もあれば 議員の考え方が世論の悲痛な叫びや抗議に共感したり 新たに提示された事実等によって変わる場合も生じるであろう つまりこの考え方によると 民意 とは 選挙の時に最初から完成したものとして存在していてその後も変化しないものなのではなく 選挙で選ばれた議員と国民との 選挙 議会における公開審議 票決 議会の解散 選挙 の全プロセスにおける双方向コミュニケーション ( もっとも 国民 -20-

22 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か には憲法上の精神的自由権に基づく沈黙の自由 ( 応答 説明拒否権 ) は保障される ) において果たされるべき議員 ( 代表者 ) の応答責任と説明責任を通じて 動的に形成されつつ 国政にも反映されるとされるのである しかし このような現代の政治的代表説に対しては 国民と代表者の意思が異なっていても何ら問題はない という考え方をあまりにも正面から肯定すると 代表者が国民の意見に耳を貸さなくなることにつながるとの批判もありえるであろう このような観点から 代表 ( 憲法 43 条 ) とは選挙時に表明される国民の多元的な意思を国会にできるだけ忠実に反映させるべきことを意味するとし したがって 選挙制度は 社会構造の複雑多様化に伴って社会の中に多元的に存在する国民意思が国会に可能な限り公正かつ正確に反映するように構想しなければならないとする 半代表 あるいは 社会学的代表 と呼ばれる考え方も有力である しかしこの立場は当然に 政治的代表説から 民意を選挙の時のそれに固定し それを代表者が認識し 集約 統合して国政に媒介するという静態的発想であると批判されることになる しかし 両代表観は必ずしも矛盾するものと考える必要はないであろう すなわち 議員が国民の意見に耳を貸さないような暴挙に出ても次の選挙結果にほとんど影響しないような選挙制度であれば 議員は前述した国民や世論との間における説明責任や応答義務を誠実に果たさなくなるであろう したがって 現代の政治的代表説の立場も 議員が国民の意見に耳を貸さなかった場合には次期選挙でその報いを受ける可能性が高い選挙制度設計を採ることには賛成するはずであり これは社会学的代表の立場の要請と一致するものと思われる また 社会学的代表の立場にとっても 国民の多元的な意思をできるだけ忠実に国会に反映させた場合において 議員に対しその多様な立場の国民に対する説明義務や応答義務を負担させることによってこそ 当選後の代表者の安易な意見変更や強行採決を防ぐ効果が高まると考えられるから 政治的代表説の考え方と相いれない考え方とは思われない 重要なことは 民意とは代表者との双方向コミュニケーションを通じて動態的に形成あるいは変化していくものであり 国会や内閣の意思も 世論との対話を通じて動態的に変化するという事実である そして この動態的プロセスにおける両者の相互浸透を通じて 民意が形成されると共に 国政に反映されるという考え方が 現代の国民代表論の根底にあるのである (2) 民意反映のプロセス上記のような観点からすると 選挙結果こそが民意 という多くの人が思いこみがちな考え方が必ずしも正しくないということに気づくであろう 実際 日本の選挙の現状をみるに 争点は選挙の時期や立候補する側の都合によって単純化あるいは絞られてしまうことも多く 政策についても短い選挙期間中に多様な立場に対して応答あるいは説明するような機会はほとんどない しかしだからこそ 選挙制度は公正で かつできるだけ多様かつ多元的な意見を国会に反映させることを可能とするものでなければならないという社会学的代表説の要請もまた生じるのである そうでなければ 選挙の段階で不当に切り捨てられ -21-

23 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か てしまった少数意見はそもそも公開の議会で多数派を説得したり 応答説明責任を果たさせたりする機会さえ奪われてしまうことになるし その結果多数派の意見の方も応答説明義務を果たすことによって醸成される機会を失うことになり 民意の反映どころか 成熟した民意の形成自体が阻害されてしまうのである したがって あまりにも小規模政党に不利で大量の死票が発生する小選挙区制中心の選挙制度の妥当性については民意の反映という観点から問題視すべき余地があり また 1 票の価値の不平等についてはすでに多数の違憲判決が出されており にもかかわらずまったく不十分な是正措置しかとられないまま国政選挙が繰り返されている現状については 公正な選挙という観点からはもちろん 立憲主義の観点からも問題であることは明らかである ともあれ 社会学的代表説が要請する多元的に存在する国民意思が選挙により国会に可能な限り公正かつ正確に反映させられたなら 民意の国政への反映が実現される中心的な場面とは討議による合意形成の場ということになるであろう すなわち この討議の場において多数派が少数派及び国民に対し説明責任を果たし これに対する少数派や世論から求められる質問に対する応答義務を果たすこと ここにおいてこそ成熟した民意が形成されると共に それが国政へと反映されるのである (3) 説明 応答責任と情報公開民主主義実現にとって最も重要な民意の形成と反映の過程においては これまで説明してきたように 代表者に国民に対する誠実な説明義務と応答義務が求められるのであるが そうであるならばとりわけ法案を通そうとする多数派による立法検討過程の討議資料などの情報公開は不可欠である なぜなら これらの情報が公開されてこそ 国民は多数派に対し適切な応答責任を求める質問を出すことが可能となるのであり それを通じて衆愚政治とは異なる民主主義の基盤となる成熟した民意が醸成されることになるからである (4) 集団示威運動と議会制民主主義以上を前提に秘密保護法及び安保法制の成立の経緯を考察すれば それが多くの点で民主主義に反していることは明らかなのであるが その詳細については第 2 章及び第 4 章で説明する ここで最後に指摘しておきたいことは これらの民主主義に反する法律の成立時等において多発した集団示威運動 ( デモ行進 ) の意味である これをその見かけ上のイメージから まるで議会制民主主義の否定行動のように批判する人もいるが それは誤りである そもそも普通選挙制に基づき議会制民主主義制度が採られている国家においてデモ行進が多発する場合 それは多くの人が 議会制民主主義が正常に機能していない 民主主義が実現されていないと感じている証拠だと考えることが自然である つまり 政府や国会が 国民からの問いかけに対し誠実に応答 説明責任を果たしておらず あるいは いまの選挙制度が国民の多様な意見を国会に対し公正に反映させる仕組みになっていないと多くの人が感じているからにほかならないと考えるべきである したがって 集団示威運動の多発は 議会制民主主義の危機を映し出す鏡である -22-

24 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か 集団示威運動そのものは議会制民主主義ではないとしても それは議会制民主主義の危機を訴え 警告するものとして 議会制民主主義の健全化を支える機能を果たしているのである したがって 政府及び国会は このような事態を招いたことにつき反省するとともに 世論に対するより一層の誠実な応答及び説明義務を果たすことにより 民主主義の回復に向けて努力するきっかけとすべきなのである 3 立憲民主主義 (1) はじめに安保法制も秘密保護法も 憲法上国権の最高機関と定められている国会で成立してしまった にもかかわらずこれに反対し 廃止を目指す立場とはどのような立場なのか これが最後に残された問題である もっとも この問題に対する解答はすでに明らかである 先述したように日本が採用する立憲主義とは違憲立法審査権を認める立憲主義である すなわち 国会で成立した法律であっても 憲法に違反する内容であれば違憲無効なのである このような立憲主義が日本独自の歴史的試練を踏まえて獲得されたものである点についてもすでに述べた したがって 民主主義といえども立憲主義の下にある このことを表現した言葉が広い意味での 立憲民主主義 である (2) 民主主義と司法との関係しかしこの違憲立法審査権の実質的な正当化根拠はさまざまである 簡単に紹介しておこう この問題は民主主義に対する司法の役割の問題であって その立場は大きく二つに分かれる ( 注 15) まず 司法は民主主義的政治過程の維持のための補完的役割を果たすという考え方である この考え方によるとたとえば 経済的自由権の制限に関する法律問題の場合 そこで人権が過度に制約されたとしても 民主政の過程での回復が可能であるから 司法は積極的に関与すべきではないとされる しかし 表現の自由などの精神的自由権が過度に制限された場合 民主政の過程に瑕疵が生じるため 民主主義による自律的回復が望めなくなる したがって 司法はこの場合にこそ 違憲立法審査権を積極的に行使すべきであるという立場である ( 二重の基準論 ) また 民主主義においては 平等な地位にある市民たちの自治 が保障されてはじめて正常に機能する したがって その平等性が害される場合 典型的には莫大な財力を背景に多額の政治献金を行なったり 選挙広告を行うことを許すような法律の規制に司法は積極的になるべきというような立場である 選挙における 1 票の価値の平等を司法は厳格に判断すべきとの立場もこれに含まれるであろう 他方 司法は端的に非民主的機関であるということを認め その立場から司法に固有の役割を見出す立場がある この立場は 民主主義と司法の役割分担を重視する その一例は 多数決による決定に親しむ政策問題においては民主主義が重視されるべきであるが 個人の自律的意思決定に親しむ事項については 司法がその保護を図るべきだという考え方である この立場は結論において先に紹介した二重の -23-

25 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か 基準論と大差は生じないが 民主主義と司法とは異なる理念の下にあることを前提とする立場である これに対し そもそも立憲主義の下では 民主主義も最初から個人の尊重を目的とするものでなければならないという考え方がある 日本では芦部教授が また フランスの憲法学者ドミニク ルソーによれば 1789 年人権宣言以来長い間議会中心主義が続いていたフランスにおいても憲法院が 可決された法律は 憲法を遵守してはじめて一般意思の表明である と判示したことにより この立場への移行が認められるとされるが ( 注 16) これが狭義の 立憲民主主義 と呼ばれる立場である フランスの例からもわかるように この立場が社会に浸透するためには司法裁判所が憲法の番人としての自己の役割を自覚し 政治部門に対して毅然とした態度で臨むこと ( 司法積極主義 ) が要請されることであろう ともあれ この立憲民主主義もまたもちろん要請であって 立憲民主主義が原理とされたからといって 国会が決めた法律の合憲性が推定されるというような意味ではもちろんない 真の民主主義とは立憲民主主義である という考え方は まさにカント哲学的な意味での私たちの歴史的経験に基づく理想としての要請なのである したがって いずれにせよ 国会が憲法違反の法律を作る現実性は否定されない そして そのような場合に司法が違憲立法審査権を自律的かつ積極的に行使することにより立憲主義を守ること これが司法の使命であると考えるべきであろう (3) おわりにしかし この司法のプロセスにおいても 先に国民代表論のところで述べた民意の反映のプロセスが生きているということを私たちは忘れてはならない 私たちの民意は 選挙の時にすでに完成していて そこで燃え尽きてしまうような代物ではないのである たしかに政治家や国会議員とは異なり 国民と裁判官との直接的な対話は困難であろうが それでも さまざまな方法を通じて私たちからのメッセージを発信し 裁判官に対して説明と応答を求め続ければ 判決等においてこれに説明応答する責任を裁判官に自覚させることもきっとできるはずである つまり 私たちは民意を 司法にも反映させることができるのであって この民主主義の力を最後まで信じ 絶対に諦めてはいけないのである 第 3 立憲主義と民主主義の危機の時代 1 全体主義の時代 (1) 以上のような立憲主義 民主主義の体系は 一朝一夕に確立されたものではない 17 世紀イギリスで誕生し その後各国で発展した近代立憲主義の思想が ひとたび潰えかけた時期がある (2) まず 19 世紀になると 自然科学の発達とともに 人権を国法によって与えられた権利とする法実証主義が台頭し 近代立憲主義を支えた自然法や天賦人権思想は過去のものとされた 他方 憲法そのものは 近代国家として認知されるために不可欠なものとされ 普遍化してゆく それゆえ いわゆる 外見的立憲主義 すな -24-

26 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か わち権利保障と権力分立をある程度まで受け入れながらも 君主主権原理によってそれらが強く制約されたままであるような例が現れる ( 欽定憲法としてつくられた 年プロイセン憲法 1871 年ドイツ帝国憲法 1889 年大日本帝国憲法など ) ( 注 17) (3) さらに 20 世紀前半には 立憲主義が完全に否定され 基本的人権という概念の存在を許さぬ 全体主義 が登場する ここでは ドイツと日本を例にとって 全体主義誕生の経緯とその特質について検討したい 2 ドイツの全体主義 -ヒトラーとナチスドイツ (1)20 世紀前半のドイツに誕生した全体主義体制は ヒトラーとナチスドイツによってもたらされた (2) 現代にあっても ヒトラーとナチスドイツが反面教師として重視されるのは まず ワイマール憲法という当時最も 先進的 と評価されていた憲法の下で 歴史上最も徹底した 全体主義 を完成させた点にある ヒトラーとナチスは 個人主義に基づく多元的な社会を否定し 有機的な一体としての共同体 がすなわち国家となるような社会を構想して ( 全体主義 ) 他の政党を禁止して議会制民主主義も否定して一党独裁を行った ( 注 18) 国家を 有機的な一体 なもの いわば一つの生命体のごとく論じるにあたり ( 注 19) 大きな役割を果たしたのが 民族 概念である ( 注 20) ナチズム確立後の思考になると 個人は 民族 Volk のなかに完全に埋没し 個人 と 社会 と 国家 の区別自体が原理的に消滅してしまう ( 注 21) その意味で 確立期ナチズムの法思考は 自立した諸個人を価値の源泉とする個人主義に対する 最も徹底した否定であった ( 注 22) また 個人と国家の対立関係自体が否定されれば 国家権力を制限する必要もなくなる そこに 自由や基本的人権という概念が入り込む余地は存せず ( 注 23) 個人の存在意義は徹底的に否定され ( 注 24) 民族の純潔を脅かすとされた人びとは追放ないし殺戮された ( 注 25) ちなみに ヒトラーがこのような共同体の確立の先に見据えていたのは 戦争であった 第一次世界大戦の敗戦によって国民は戦う意志と能力を失ってしまった その国民を再び戦争のできる国民に作り変えること 民族共同体 =フォルクスゲマインシャフト は そのための絶対条件だったのである ( 注 26) (3) また ヒトラーとナチスドイツの歴史が重視されるのは その成立過程のゆえでもある ボヘミアの上等兵 ( 注 27) に過ぎなかったヒトラーが 政治家を志してから独 ( 注裁者になるまで わずか 13 年 28) ( 注 ナチ党が全国政党になってから 3 年 29) ヒトラー内閣が成立してから 2ヶ月 当時のドイツ国民からすれば 瞬く間に 基本的人権と民主主義が消え去っていった このとき一体何が起きていたのか その歴史から学ぶべき点は数多いが ここではしばしば 民主主義の自殺 と表現される過程と 第 4 章にて詳述する国家緊急権の一種である 大統領緊急令 の問題について言及する (4) 民主主義の自殺後述のように ヒトラーを首相に任命しその独裁に道を拓く大統領緊急令を発令 -25-

27 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か したヒンデンブルクは 国民の普通選挙によって選出された大統領であった それだけでなく ナチズムは その独裁を正当化するために しばしば 民意 を援用した ナチスは 政権獲得の過程で 直接民主主義的制度を多いに活用した ( 注 30) ヒトラーが大統領と首相を兼任する 総統 の地位を国内外に印象づけるため ドイツ国元首に関する国民投票 (1934 年 8 月 19 日 ) を実施したのは その一例である ( 注 31) このような動きを理論的に援護した法学者の 1 人がカール シュミットであった 彼は ヒトラー台頭前のドイツにおいて政党が乱立し 議会が十分に機能を発揮できない状況を批判し 人民の直接的意志表示の自然な形式は 集合した群衆の賛成または反対の叫び 喝采である との記述に象徴されるように 有能な一人の政治指導者に全てを委ね 国民がその政治指導者の行動を支持するとき 民主主義にもかなうとした ( 注 32) だが シュミットも 個人 という概念を起点として議論を展開していた 然るに 彼の主張通りに誕生した独裁体制は その完成期においては 個人 の概念を徹底的に否定し シュミットの理論すら過去のものとしてしまったのである ( 注 33) 立憲主義が守ろうとする人びとの自由を まさにその人びとが放棄するときにはどうすべきか? ( 注 34) ヒトラーとナチスドイツが独裁を実現した過程は 今日にも通じる普遍的な問題を提起している (5) 大統領緊急令ヒトラーが独裁者となる過程では 本基調報告書の第 4 章で詳述する 国家緊急権 の一種である大統領緊急令が大きな役割を果たした ( 注 35) 当時のドイツ ( ワイマール憲法 ) では いわゆる半大統領制が採られており 選挙で直接選ばれる大統領が首相を任命することになっていた 当時の大統領は ヒンデンブルクという元軍人 第一次世界大戦での国民的英雄である 彼は ナチ党員ではなく 保守の総元締めのような存在であったが 部下の進言に従い 当時 議会第一党となっていたナチスの党首ヒトラーを首相に指名した これが 1933 年 1 月 30 日のことである ただ この時点では ヒトラーに何の政治的実績もなく ナチ党の議席も議会の 3 分の 1 しかなかった ヒンデンブルクとつながりの深い保守政党と併せても過半数に届かなかった つまり ヒトラー政権は 少数派政府だったのである ところが ワイマール憲法 48 条には 大統領緊急令 という 一種の国家緊急権の規定が存在した その 2 項では もしもドイツ国家において公共の安全と秩序が著しく攪乱ないし脅かされたときは ライヒ大統領は公共の安全と秩序を回復するために必要な措置を講じ 必要な際は武力を用いて干渉できる この目的のためにライヒ大統領は 114 条 ( 個人の自由の不可侵権 ) 115 条 ( 住居不可侵権 ) 117 条 ( 通信の秘密 ) 118 条 ( 表現の自由 ) 123 条 ( 集会の自由 ) 124 条 ( 結社の自由 ) および 153 条 ( 財産権の保障 ) に定めた基本的人権の全部あるいは一部を一時的に停止することができる と規定されていた 首相に就任したヒトラーは 就任早々 ヒンデンブルクに議会を解散させるとと -26-

28 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か もに 国会議事堂炎上事件 などを口実にして 大統領緊急令を濫発させた 特に有名なのは 議事堂炎上令 として知られる緊急令 ( 国民と国家を防衛するための大統領緊急令 1933 年 2 月 28 日 ) である これによって 国民の基本的人権はことごとく停止され 保護拘禁 の名目で 司法手続きなしに被疑者を逮捕できるようになった かくして 共産党などの左翼指導者は一網打尽 身柄を拘束されるに至った この結果 総選挙でナチ党は大きく議席を伸ばし ヒンデンブルクと関係の深い保守政党と併せて過半数を得た そして 同年 3 月 23 日 ヒトラーは 著名な 全権委任法 を成立させた この法律の制定には 総議員の 3 分の 2 の出席と出席議員の 3 分の 2 の賛成が必要とされていたが ( 注 36) 共産党のみならず社会民主党の議員の多くが身柄を拘束されたり逃亡したりしている状況ゆえ この要件を満たすのは容易であった この法律の内容は以下のようなものである ( 第 3~5 条は省略 ) 第 1 条国の法律は 憲法に定まる手続きによるほか 政府によっても制定されうる 第 2 条政府が制定した国の法律は憲法と背反しうる かくして 独裁者ヒトラー が誕生した まさしく 電光石火の早業であった アウトバーンの建設などの経済政策は ヒトラーが独裁者になった後の業績であり 世間一般のイメージとは逆である そして この法律は本来 4 年間の時限立法とされていたにもかかわらず 独裁政権が誕生した後 それを問題とする者はいなかった そして その後もこの 法律 による独裁が続けられ ワイマール憲法は形だけのものとして存続し続けた 大統領緊急令の濫用がなければヒトラーが独裁者になりえなかったことは明らかである また 全権委任法というアイデアもヒトラーのオリジナルではなく それと類似の 授権法 の制定も 2 回前例があった つまり ワイマール憲法の内容とその運用は 立憲主義の観点から見ると重大な弱点を抱えていたと言わねばならない また 議事堂炎上令によって 言論 集会 結社の自由が厳しく制限された時点で ドイツの民主主義は既に死んでいたということもできる (6) 独裁の終焉ヒトラーは 独裁体制を確立した後 侵略戦争への道を歩み始め 世界大戦の端緒をひらいた その後の経緯は周知の通りである 1945 年 4 月 30 日 瓦礫と化した首都ベルリンの地下壕で 独裁者ヒトラーはその生涯を終えた 3 日本の全体主義 - 軍部の独走と国体思想 (1) 大日本帝国憲法の制定とその運用日本が全体主義の道を歩むきっかけとなったのは ドイツと同じく 1929 年の世界大恐慌を背景とした社会的混乱であった ただ ヒトラー時代のドイツと 同時代の日本には多くの相違点がある ( 注日本の全体主義を特徴付けるのは 独特の神権的 国体 思想 37) である これは 大日本帝国憲法制定の過程でも明確に位置づけられていた すなわち -27-

29 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か 憲法案の作成を命じる勅語 ( 朕爰( ここ ) ニ我カ建国ノ体ニ基キ広ク海外各国ノ成法ヲ斟酌シ以テ国憲ヲ定メントス 1876 年 ) 中の 建国ノ体 ( 国体 ) という特殊日本的要素である ( 注 38) 大日本帝国憲法の告文や憲法発布勅語に天皇の先祖による国造りを前提とした 国家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗ニ承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ との記述があることや 第 1 条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス 第 3 条 天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス との規定が設けられているのも 国体思想を反映したものである ただ 一方で 大日本帝国憲法に 海外各国ノ成法 すなわち西洋近代の憲法思想に盛り込まれた普遍的要素 ( 立憲主義的要素 ) が盛り込まれたのも事実であり これと 建国ノ体 との対抗こそが近代日本の憲法史をつらぬく糸となっていった ( 注 39) 1989 年に同憲法が制定された直後は 建国ノ体 を全面に押し出す神権学派が優勢であったが やがて 海外 の立憲主義の側に引きつけて帝国憲法を解釈 運用しようとする立憲学派が優勢となる それを象徴するのが美濃部達吉の 天皇機関説 であった これは 国家の統治権の主体は法人としての国家だと考え 天皇を 法人としての国家の機関として位置づけるものであった 1912 年の天皇機関説論争を通じて この学説は影響力を強め 政党内閣の慣行と男子普通選挙の実現 (1925 年 ) に象徴される 大正デモクラシー の時代を迎えることとなる ( 注 40) (2) 天皇機関説事件と立憲主義の終焉しかし 1930 年代の世界的規模の危機は 日本では とりわけ突出して軍事化と強権政治への道につながっていった 1931 年には満州事変 1932 年には五 一五事件が起こる状況の中で 1935 年 天皇機関説事件 が戦前の立憲主義にとどめを刺すことになる 政府は 野党や軍隊からの圧力におされて 天皇機関説を禁止する措置をとり 機関説を 神聖ナル我カ国体ニ悖 るものとして弾劾し 万邦無比ナル我カ国体ノ本義ヲ基トシ其神髄ヲ顕揚スルヲ要ス という 国体明徴 に関する第二次政府声明を出すに至った 美濃部も不敬罪で告発を受け 貴族院議員を辞職した 1935 年以降の日本は いわゆるシナ事変から大東亜戦争へという軍事的冒険に突入し それと並行して 国内の立憲政治的要素も ほとんど駆逐されていった ( 注 41) (3) 国体 概念は 元来 民族 主義的色彩を強く有している 従って 日本とドイツにおける全体主義は 国家を 有機的な一体としての共同体 と構想し 個人主義を徹底的に否定するという構造において共通しているといえる それを象徴するのが 日中戦争が始まった 1937 年 当時の文部省が発表した 国体の本義 なる文書である その 緒言 には 抑々社会主義 無政府主義 共産主義等の詭激なる思想は 究極においてはすべて西洋近代思想の根底をなす個人主義に基づくものであって その発現の種々相に過ぎない 個人主義の行詰まりは 欧米に於いても我が国に於いても 等しく思想上 社会上の混乱と転換との時期を将来している 欧米が 今日の行詰まりを如何に打開するかの問題は暫く措き 我が国に関する限り 真に我が国独自の立場に還り 万古不易の国体を闡明し 一切の追随を排して よく本来の姿を現前せしめ 而も固陋を棄てて益々欧米文化の摂 -28-

30 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か 取醇化に努め 本を立てて末を生かし 聡明にして宏量なる新日本を建設すべきである との記述がある これは 諸悪の根源は 個人主義 にあり これを徹底的に排斥するという宣言であり 上記のヒトラーとナチスドイツの発想と共通するものであった (4) では このような全体主義的空間を作り上げたのは誰か ドイツと違い 戦前の日本において カリスマ指導者 と言うべき人物を特定するのが難しいため そのような指導者を選出した 民主的 プロセスを描き出すことは難しい とはいえ 世界恐慌後 日本を全体主義に導いた勢力の一つが軍部 ( 特に陸軍 ) であったことに争いはない 彼らは 開戦の詔勅も得ぬまま満州事変やシナ事変 ( 日中戦争 ) の端緒を開いた これを天皇が追認する形で 泥沼の戦争への道が拓かれた もちろん この動きに対する批判もあったが それは徹底的に封殺された では なぜ 軍部がここまで力を持ち得たのか 軍部のプロパガンダに乗せられ 閉塞した政治や社会の変革者として圧倒的にこれを支持したのは 貧困にあえぐ大衆であったという指摘がある ( 注 42) つまり 日本においても 民主的独裁 が生まれる下地はあったし それが戦後日本で復活する危険性があることも自覚されなければならない また 全体主義の時代に猛威を振るい 軍部や政府を批判する一切の表現を封殺し 不十分ながらも根付きつつあった民主主義を完全に破壊した 治安維持法 が制定されたのは まさに平時 男子普通選挙が実施されたのと同じ 1925 年であったことも 銘記されるべき事項である ( 注 43) (5) 全体主義の終焉日本の全体主義は ポツダム宣言を受諾したとき 一応終焉した その後 立憲主義的要素を全面的に取り入れた日本国憲法が制定され 1947 年 5 月 3 日に施行されてから 70 年が経とうとしている その間 日本を全体主義に導いた 軍隊 が復活することはなかった 第 4 日本国憲法の誕生と試練のとき ( 注 44) 1 立憲主義の復活強化 -29- 全体主義の時代において 集団的興奮と狂気の進行の中で立憲主義を徹底的に攻撃 蹂躙し その結果引き起こされた人類史上類を見ないような大量の殺戮 犠牲者を生み 出した悲惨な経験の後で なすべきことは自ずと明らかであった 一言で言えば 立憲 主義の復活強化である より具体的に言えば その骨格となったのは 1 国民が憲法制定権力として憲法を制 定しその憲法によって必要な活動力の確保と濫用の防止に十分に配慮した政府の統治権 力の仕組み 根拠を明確にするとともに ( 国民主権 ) 2 個人の尊重 ないし 人間 の尊厳 を基礎とする基本的人権の保障を徹底し そして 3 そのような内容を持つ憲法 の法規範性を可及的に実現すること ( 憲法の優位 とそれを担保する憲法裁判所の導 入 ) ( 注 45) であった 我が国においても 戦後新たに制定された日本国憲法においては これらに対応し

31 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か て 1 国民主権の原則が明記され ( 前文 1 条 ) 表現の自由の保障(21 条 ) を含めた民主的諸制度が取り入れられた そして 2 憲法全体を支える理念として 個人 の尊重の理念 (13 条 ) が明記されるとともに 3 憲法の最高法規性 (98 条 1 項 ) 全ての権力者の憲法尊重擁護義務 (99 条 ) 及びこれを担保するための制度としての最高裁判所の違憲立法審査権 (81 条 ) に関する規定が設けられた さらに これにもう一つ重要なことを付け加えておかなければならない それは 4 戦争が立憲主義にとって最大の 敵 であること そうした痛切な思いに立って 平和国家への志向を憲法を通じて明確にする ということである 2 日本国憲法の平和主義 (1) 上記 4の点は 戦後締結された国際条約である国連憲章においても すべての加盟国は その国際関係において 武力よる威嚇又は武力の行使を いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも また 国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない という形で反映された (2 条 4 号 ) 日本国憲法 9 条 1 項の規定は その内容を 政府に対する戦争の禁止 という形で反映させたものであるといえる (2) 日本国憲法は さらに 9 条 2 項において 陸海空軍その他の戦力 の放棄と 交戦権 の否認を明記した この規定が盛り込まれた経緯については本稿では深く立ち入らないが アジアで 2000 万人とも言われる犠牲者を出した中で 国際社会に認知されるためには 再び戦争は行わない意思を明確に表示する必要があったこと また 日本国民の中にも 300 万人とも言われる犠牲を出し 自国民の自由を徹底的に封殺した 軍隊 への強烈な嫌悪感が存在したこと-がその背景にあったことは銘記されるべきである また 日本国憲法は 前文においていわゆる 平和的生存権 を個人に保障されるべき人権として規定した これも 戦争と立憲主義との関係を的確に把握した上での規定であると評価できる (3)9 条 2 項については 戦後 70 年 議論が繰り返されてきた 自衛隊 の存在とその海外での活動が 9 条 2 項と抵触しないのか 仮にその存在を認めるとしたとき それを憲法に明記せずにいることがかえって立憲主義を空洞化するのではないか といった議論である なるほど 従前の政府解釈は 我が国に対する武力攻撃があり 自国民の生命 身体 財産などが脅かされる場合には 憲法とてこれを排除するための実力行使を禁じるものではないはず-という論理を展開してきた これは憲法の明文には規定されていないし 全国民の同意を得ている訳でもない しかし 従前の政府解釈にあっても その起点には 9 条 2 項があった それゆえ 政府解釈では その論理の裏返しとして わが国自身に対する侵略が無ければ自衛隊は武力行使をすることができない とされ また その場合であっても 武力行使は必要最小限度でなければならず 従ってまた 他国における武力行使は認められない という明確な 線引き がされていた それゆえにこそ 専守防衛の自衛隊 は 軍隊 ではなく その活動は交戦権否認と矛盾しない と説明されてきたのである この 線引き は ひとたび理解すれば論理的にはシンプルなものであり 現実に -30-

32 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か -31- 法規範として機能してきた 日弁連が 2008 年 人権擁護大会決議において 憲法 9 条は 現実政治との間で深刻な緊張関係を強いられながらも 自衛隊の組織 装備 活動等に対し大きな制約を及ぼし 海外における武力行使および集団的自衛権行使を禁止するなど 憲法規範として有効に機能している と確認したのはそれゆえである また それゆえにこそ 戦後 70 年 日本は他国民を 1 人も殺さず 自国民から戦死者を出さずにきたのである ところが 今回の安保法制及びそれに先立つ閣議決定は この 線引き を無にするもので 9 条 2 項を 解釈 の名の下に事実上抹消してしまい 平和国家としてのあり方を根本から変えてしまう危険性がある 然るに 同法制定に至る説明と 従前の政府解釈との論理的一貫性は無い また 従前の解釈にかわる憲法との整合性に関する合理的説明も無い たとえば 集団的自衛権の行使が認められるとされる 存立危機事態 は その定義ないし具体的内容すら不明確なままである 兵站活動そのものである後方支援活動や協力支援活動が 武力の行使 にはあたらないとか 個々の自衛隊員の 武器の使用 と武力の行使が区別されるといった説明は 国際常識に真っ向から反している 従って 同法や閣議決定について その内容の妥当性についてはもちろん 手続的側面においても立憲主義や国民主権との関係を問題にされるのは当然であると言えよう (4) テロとの戦争また 冷戦終結後にアメリカが始めた テロとの戦争 が 憲法との関係で新たな緊張を生み出していることを指摘しておきたい なぜなら この戦争の 敵 は国ではなく テロリストという個人ないし集団とされているからである しかも その中には 自国民も含まれている ( その意味で 現在の世界の混乱した状況を 世界内戦 と表現するのは真実の一面をついている ) かくして テロからの安全と安心の確保 という大義名分によってむき出しになる国家権力の矛先が 自国民に向けられる可能性が高くなる 言い換えれば テロとの戦争 という概念が 軍隊 と 警察 あるいは 戦争 と 日常 との境界線を無くしてしまう これらを区別するのが国家権力の濫用を防止する知恵であることに鑑みると 両者の境界が曖昧になることの影響は大きい その視点は 秘密保護法の問題点を検討するにあたっても 重要である 3 再び試練のとき- 問われる国民の態度日本国憲法が制定されてから 70 年 我が国においては 完全とは言えぬまでも 一応 民主主義と立憲主義の伝統が根付いていたと言うことができよう しかし一方で 我が国において 戦前の全体主義に対する総括が不十分であったことも否めない ( 注 46) いわば 戦前の余韻 ともいうべき潮流が戦後史の底流に流れ続けていた そして 立憲主義は かつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え ( 注方 と明言 47) する人物が首相となり ( 安倍首相の 2014 年 2 月 3 日の衆議院予算委員会での発言 ) 立憲主義と全く相容れない内容の全面改憲案が政権党から出されている

33 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か 今 戦前の全体主義の亡霊が再びよみがえりつつあるのではないかという問題意識は 決して杞憂ではない ( 注 48) その一つのあらわれが 9 条の 解釈改憲 であり 憲法違反の安保法制の制定であり 秘密保護法の制定であった また その危険性が十分に説明されることなく国家緊急権に関する議論が進められようとしていることも この文脈で理解されるべきである ところが 国政選挙等において その重大性が十分に議論されたとは言いがたい 今や 衆議院 参議院ともに 憲法の 改正 に肯定的な政党が 改憲発議に必要な議席を確保したと言われる 何のためにどこを変えるのか という議論抜きに 憲法を変えること それ自体が自己目的的に語られていること自体異常と言わざるを得ないが 現在公にされている明文改憲案の内容に照らせば 改正 の中身いかんによって 立憲主義と民主主義が大きく後退する恐れがある また 憲法違反の安保法制は既に施行されており いつそれが発動されてもおかしくない状態にある 殺し 殺される 状況が生じること それ自体が大変な問題であるが 過去の歴史や他国の例に鑑みるならば それが現実となったとき 集団的興奮が冷静な判断を圧倒する事態が生じるおそれも否定できない 戦争が個人を封殺し 権力の暴走を許し 全体主義を生む その愚を決して繰り返してはならない 過去の全体主義の教訓に学ぶとき 誰もが おかしい と感じるときには もはや手遅れである 手遅れにならぬうちに立ち上がることができるか 今 まさに 主権者たる国民の態度が問われているといえよう 第 1 章注釈 注 1 constitutionalism( 英 米 ) constitutionnalisme( 仏 ) Konstitutionalismus( 独 ) 注 2 南野森編 憲法学の世界 4 頁日本評論社 2013 年 7 月注 3 上掲書の編者である南野氏によれば これを 古典的立憲主義 等と表現することは 定義の問題にすぎないとはいえ 権力制限の思想を過大に包摂し かつ 憲法 ( 及びそれが前提とする近代国家 ) がそこでは存在しないにも関わらず 憲法主義 と呼称し ことさらに近代立憲主義との継続性を示唆する点において 少なくともミス リーディングと評すべき用語法である と述べられている しかし 近代憲法史をスタートさせたイギリスの 権利の章典 (1689 年 ) は中世立憲主義とのつながりを援用しており ( 樋口陽一著 憲法 ( 第 3 版 )27 頁以下 創文社 2007 年 4 月 ) 同国で 13 世紀に作られたマグナカルタは今も同国の憲法典の一部をなしているなど 古典的立憲主義の痕跡が近代あるいは現代においてもまったく認められないというわけではない 注 4 砂糖法 印紙法 タウンゼント諸法など 注 5 John Locke(1632 年 ~1704 年 ) イギリスの政治思想家 哲学者 主著 統治二論 人間知性論 等 注 6 マーベリー対マジソン事件に関する連邦最高裁判所判決 (1803 年 2 月 24 日 ) によって確立されたとされている 注 7 フランス 1946 年憲法は憲法委員会を設置したが その役割は法律の合憲性審査ではなく むしろ議会で成立した法律を合憲とするために憲法の改正の必要性を検討するためのものであった 注 8 そのようなフランスのコンセイユ デタ ( 行政裁判の最高裁判所 ) において 国家機関の行為の合法 -32-

34 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か 性が具体的訴訟で争われても 高度の政治性 を帯びている場合には司法審査が及ばない という 統 治行為 と呼ばれる理論に関する判例が積み重ねられ 日本の最高裁判所もこれを砂川判決において採 用したとされている しかし 日本の憲法は 81 条により司法の優越を明確に規定しており このような 制度的 歴史的差異を無視した司法消極主義の輸入には批判が多い 注 9 フランスの事後的違憲立法審査制は 2008 年 7 月 23 日の憲法改正によって認められることとなり ( フ ランス憲法 61-1 条 ) 2010 年 3 月 1 日に同改正条項実施のための組織法律が施行されることで 実施さ れることになった 注 10 中村義孝著 フランスの裁判制度 (1) ( 立命館法学 2011 年 1 月号 335 号 )13~15 頁 注 11 ちなみに 第 14 期ドイツ連邦議会 現代医療の法と倫理 審議会長マルゴット フォン レネッセ氏 は次のように述べている 人間の尊厳を侵害しないという絶対的な禁止は ナチズム国家とそれがわたしたちの上にもたらし た戦慄を歴史的に経験する中から成立しました わたしたちの憲法の第 1 条は ナチズム体制が具現し た道徳的ニヒリズムからの方向転換を指し示す道標です このことは 人間はだれもが個人として尊重 されるという基本的な要請が尊重されるべきことを教えた哲学者イマヌエル カントの定式化に立ち返 ることによって生じました ドイツ連邦議会審議会答申 人間の尊厳と遺伝子情報 松田純監訳知泉書 館 2004 年日本版への序文より このように ドイツの国会にあたる連邦議会ではドイツ憲法 ( ボン基本法 )1 条にある 人間の尊厳 が カントの概念であると明確に認められているのである 注 12 David Hume(1711 年 ~1776 年 ) イギリスの哲学者 主著 人間本性論 注 13 カント著 人倫の形而上学の基礎づけ カント全集第 7 巻 81 頁以下 岩波書店 2000 年 1 月 注 14 野中他著 憲法 Ⅱ ( 新版 )51 頁 有斐閣 1997 年 4 月 注 15 分類方法は 前掲 憲法学の世界 34 頁以下 ( 小泉良幸著 ) による 注 16 慶應法学 第 27 巻徳永貴志訳 231 頁 注 17 樋口陽一 憲法 第三版 12 頁 注 18 曽我部 見平 古典で読む憲法 ( 有斐閣 )96~97 頁 注 19 国家有機体説 国家を一つの有機体とみる学説 国家は独自に成長発展する生物のような存在であり 国民は それ自身では生命を維持できない一細胞として ごく一部の機能を担うにすぎないとする 注 20 ナチスと民族 象徴的なところでは 1933 年の選挙では ナチスは 投票前の官製選挙キャンペーン で ひとつの民族 ひとりの指導者 ひとつのヤー (ja)! をスローガンとしていた( 石田勇治 ヒト ラーとナチスドイツ 176 頁 ) また 上掲石田は ヒトラーの政治思想の特徴として 強者は必ず弱者 に勝利する という社会ダーウイニズム的な発想 アーリア人種は他のどの人種よりも優秀だとする思 い込み 歴史発展の原理は民族にあり 国家は民族の維持 強化のために役立たなければならないとい う信念 議会主義は無責任体制を意味し 民族を全体として代表するひとりの指導者の人格的責任にお いて万事が決定されるべきだとする指導者原理 社会的 階級的な相違を越える統一体としての民族共 同体を創造するという願望 をあげている ( 同 73 頁 ) また フォルクスゲマインシャフト= 民族共同 体概念については 同 214 頁以下が詳しい ちなみに フォルク Volk 概念は多義的で 民族 国民 人 民 民衆という 4 つの意味を持つことに注意 これは日本の 国民 概念の多義性に通じるところがあ る 注 21 樋口陽一 比較憲法 ( 全訂第三版 )192 頁 注 22 樋口陽一 比較憲法 ( 全訂第三版 )193 頁 -33-

35 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か 注 23 樋口陽一 比較憲法 ( 全訂第三版 )188 頁 なお 同書では 自由権的基本権の全面的否定 とい う表現がとられている 注 24 ヒトラーがフォルクスゲマインシャフト ( 民族共同体 ) について語るとき ヴァイマル共和国ではな ぜ国民の分裂が生じたか それは西欧的な自由主義 個人主義が利益政治 政党政治を生み 民族の一 体性を砕き 国民の連帯を断ち切ったからだ ドイツ国民よ おまえがひとつになれれば おまえは強 くなれる ( 上掲石田 215 頁 ) と繰り返していた 注 25 民族概念に通底し ホロコーストを引き起こしたレイシズム ( 人種主義 ) や アーリア=ゲルマン神 話については 上掲石田 256 頁以下が詳しい また 人の価値には生来の差がある ことを強調する優 生思想と安楽死殺害政策については 同 304~305 頁参照 注 26 上掲石田 216 頁 注 27 ボヘミアの上等兵 後にヒトラーを首相に任命するヒンデンブルク大統領自身はヒトラーを ボヘミ アの上等兵 ( ヒトラーはボヘミアに近いオーストリアで生まれ 第一次世界大戦では上等兵だった ) と 呼んで馬鹿にしていた 注 年 ヒトラーが軍の教育将校として ナチ党の前身であるドイツ労働者党の集会に赴き 同党に入 党したのが 1919 年 9 月 ( 上掲石田 35 頁 ) それから全権委任法成立までの期間は わずか 13 年である 注 29 ナチ党は もともとバイエルン州の地方政党に過ぎず 首都ベルリンでは苦戦を続けていた 同党が 躍進し 国民政党となったのは 1930 年 9 月の国政選挙であった ( 上掲石田 100 頁 ) 注 30 樋口陽一 比較憲法 ( 全訂第三版 )189 頁 注 31 上掲石田 186 頁 注 32 上掲曽我部ら 79 頁 注 33 樋口陽一 比較憲法 ( 全訂第三版 )192 頁 注 34 この問題意識は 上掲曽我部ら 15 頁より 注 35 以下の大統領緊急令に関する記述は 主として上掲石田 頁による 注 36 これは当時の憲法改正の要件と同じである 注 37 一般に国体とは 日本神話の 皇室は万世一系の天照大神の子孫であり 神によって日本の永遠の統 治権が与えられている ( 神勅 ) 天皇により統治された 人民や古里の決まりといった意義 国体論では とりわけ他国との対比において 王朝交代 易姓革命 近代においては市民革命が起きなかったことを 日本の国体の表れとして重視する 論者の大部分は天皇による国家統治を国体の不可欠の要素として主 張する Wikipedia 注 38 樋口陽一 憲法 第三版 51 頁 注 39 樋口陽一 憲法 第三版 51~52 頁 注 40 樋口陽一 憲法 第三版 56~57 頁を要約 注 41 樋口陽一 憲法 第三版 57~59 頁を要約 注 42 加藤陽子 それでも 日本人は 戦争 を選んだ など 注 43 これは 平時 に制定された秘密保護法等を念頭においた記述である 注 44 この整理については 佐藤幸治 立憲主義について 成立過程と現代 を参考にした 注 45 要するに 法の支配 の理念の確認とその実効化に向けての制度設計のことである 注 46 この点について しばしば対比されるドイツにおいても 1963 年のフランクフルト アウシュビッツ 裁判まで ナチス勢力が隠然たる力を持っていたとの指摘がある 同裁判を題材とした映画 顔のない ヒトラーたち (2014) は それを正面から描いている 現在のドイツの態度は 自国民が自国民を裁く -34-

36 第 1 章 立憲主義 民主主義とは何か 厳しい経験を経てのものである 注 47 安倍総理の答弁の内容 憲法について 考え方の一つとして いわば国家権力を縛るものだという考え方はありますが しかし それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方であって 今まさに憲法というのは 日本という国の形 そして理想と未来を語るものではないか このように思います 注 48 現在公にされている全面改憲案に対しては 戦前 個人主義を徹底的に否定して立憲政治を排除したのと同じ論理構造が 個人 を 人 に変え 国民に憲法尊重義務を課し 公共の福祉 を ( お国のため の論理を許す ) 公益及び公の秩序 へと変える発想の根本にあるのではないか との疑念を抱かざるを得ない なお 本年 7 月 12 日付毎日新聞 ( 関西版 朝刊 ) では 石川健治教授が 安倍政権の非立憲性が 1950 年代の 古い改憲論 に由来しているらしい点が気がかりだ 古い改憲論 は かつて戦前日本の立憲主義を破壊した 軍国主義を支えた復古的言説の体系であり 日本国憲法の象徴天皇制と政教分離原則 何より 9 条によって封じ込められたはずのものだった と述べている また 愛敬浩二教授も 日本の有力な政治家が現在もなお 民族国家 に固執する状況がある として 中曽根氏や安倍総理の国家観を紹介している ( 社会契約は立憲主義にとってなお生ける理念か 岩波講座 憲法 Ⅰ 31 頁 ~) また 青井美帆 憲法と政治 ( 岩波新書 )20 頁 ~も 国家 家族 個人と一体となった 国がら という問題意識を展開している -35-

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38 第2章第 第 2 章 安保法制による立憲主義 民主主義の蹂躙と恒久平和主義の破壊 2 章安保法制による立憲主義 民主主義の蹂躙と恒久平和主義の破壊第 1 安保法制の違憲性と平和主義の危機 1 安保法制の基本的内容 性格と危険性 (1) 平和国家としての日本の国の在り方を大きく変えてしまう安保法制が 2015 年 9 月 19 日参議院本会議で採決され 2016 年 3 月 29 日施行された 安保法制は 自衛隊法 武力攻撃事態対処法 周辺事態法 国連平和維持活動協力法など 10 本の法律を改正する平和安全法制整備法と 新規立法である国際平和支援法からなるが その中心的な問題は 次の点にある ( 日弁連の 2015 年 6 月 18 日付け 安全保障法制改定法案に対する意見書 ) 1 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し これにより我が国の存立が脅かされ 国民の生命 自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合 ( 存立危機事態 ) において 自衛隊法 76 条の防衛出動として武力の行使ができるものとした 2 周辺事態法を改正した重要影響事態法及び新たに成立した国際平和支援法によって 我が国の平和と安全に重要な影響を与える等の 重要影響事態 及び国際社会の平和と安全を脅かす等の 国際平和共同対処事態 において 武力を行使する他国の軍隊等に対し 地理的限定なく 随時 後方支援活動ないし協力支援活動として自衛隊による物品及び役務の提供等をできるものとし しかも いわゆる 非戦闘地域 にとどまらず 現に戦闘行為が行われている現場 以外の場所であれば 弾薬の提供等までも含めてできるものとした 3 これまでの国連が統括する平和維持活動 ( 国連 PKO) のほかに 国連が統括しない有志連合等による 国際連携平和安全活動 にも参加できるようにした上 従来その危険性ゆえに禁止されてきた 駆け付け警護 と 安全確保活動 を新たな任務として認め それらに伴う任務遂行のための武器使用を可能とした また 自衛隊法において在外邦人の救出等の規定を新設し ここでも任務遂行のための武器使用を認めた 4 武力攻撃に至らない侵害への対処として 自衛隊法 95 条の 2 を新設し 自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している 米軍等他国軍隊の 武器等 ( 人及び武器 弾薬その他船舶 航空機まで含まれる ) を防護するための武器使用を 自衛官の権限として認めた (2) 上記 1は これまで政府も一貫して憲法 9 条で禁止されているとしてきた確立した解釈を覆して 集団的自衛権の行使を認めるものであり 日本が他国間の戦争に積極的に参加する道を開くものである 上記 2は 米軍等の他国軍隊に対するいわゆる兵站活動を 戦闘行為が行われている現場付近にまで及んで 戦闘行為に直接関連する物品や自衛隊による役務の提供をできるとするものであり これでは他国軍隊の武力の行使との一体化の危険は免れず 自衛隊が相手国からの攻撃の対象となって 戦闘行為に発展する危険性の -37-

39 第 2 章 安保法制による立憲主義 民主主義の蹂躙と恒久平和主義の破壊 極めて高いものである 上記 3は 駆け付け警護等の任務目的を達成するためには 敵対する武装勢力等を排除するに足る強力な武器使用を認めるものであり 自衛隊員が殺し 殺される場面に直面し 戦闘行為に発展する危険性の高いものである 上記 4は 米軍等の船舶や航空機に対する侵害にまで対処してこれらを防護するため 現場の自衛官の判断により 敵対国等に対して自衛隊の武器を使用することを認めるものであり 実質的な集団的自衛権の行使と変わらない事態すら危惧されるものである このように 安保法制は 集団的自衛権に基づいて自衛隊が参戦する場合はもちろん 後方支援活動 協力支援活動 国際連合平和維持活動 国際連携平和安全活動 他国軍隊の武器等防護などにおいて 武力の行使に発展する可能性の高い自衛隊の活動を広く認めることにより 自衛隊が戦闘行為に直面し 日本が戦争当事者となっていく機会と危険性を大きく広げた (3) これらの安保法制の内容は 2015 年 4 月 27 日 安保法制法案の国会提出に先立って合意された新たな日米防衛協力のための指針 ( 新ガイドライン ) によって 米国との間でも確認され その実施を方向付けられた その具体的内容は後述するが ( 第 5 の 1) 新ガイドラインは 平時から緊急事態までのいかなる状況においても日本の平和及び安全を確保するため また アジア太平洋地域及びこれを越えた地域が安定し 平和で繁栄したものとなるよう 日米両国間の安全保障及び防衛協力のあり方を定めることを目的とし グローバルな性質を有するとされる日米同盟を強化し 切れ目のない 力強い 柔軟かつ実効的な日米共同の対応 等を定める そこでは例えば 平時からの同盟調整メカニズムの設置 運用体制をとるとともに 米国又は第三国に対する武力攻撃に対処するため 日米両国は適切に協力し 自衛隊は武力の行使を伴う適切な作戦を実施する等とされ ( 集団的自衛権の行使 ) その他 後方支援活動での相互協力 平和維持活動での緊密な協力 自衛隊と米軍の訓練 演習中や弾道ミサイル防衛作戦等を含めたアセット ( 装備品すなわち上記自衛隊法 95 条の 2 の 武器等 ) 防護についての協力等が定められている したがって 日本は米国との関係で 国際的な武力紛争にも関わって 集団的自衛権の行使 後方支援 平和維持活動 武器等防護等 武力の行使又はそれに至る危険性の高い自衛隊の活動を行うことを合意しているのであり 米国からの要請があった場合に 日本政府はこれら自衛隊の出動ないし派遣に応ずべきこととなる (4) このような米国との関係でみた場合 安保法制は 改定された 2015 年ガイドラインを実施するための法整備という性格を有し ( 注 1) グローバルに展開する米軍を支援するための法律という性格が色濃いものである ( 注 2) 法律に則してみても まず 集団的自衛権の行使に係る わが国と密接な関係にある他国 の最たるものは米国である また 重要影響事態法は 合衆国軍隊等 に対する支援法であり 国際平和支援法もアフガン戦争やイラク戦争における特別措置法の恒久化法であって これらによって自衛隊は 世界中に展開する米軍に対し 地理的限界なく 物品 役務の提供という兵站活動を 現に戦闘行為が行われ -38-

40 第 2 章 安保法制による立憲主義 民主主義の蹂躙と恒久平和主義の破壊 ている現場 以外の場所ならば 随時行うことが可能となった さらに 自衛隊法 95 条の 2 として新設された武器等防護は アメリカ合衆国軍隊その他の外国の軍隊 のために 自衛隊が武器を使用するものであることが明文で規定されている こうして 日本及び自衛隊は 米国の世界戦略の中に 切れ目なく 組み込まれていくことになる ( 注 3) 2 政府の憲法解釈と安保法制の違憲性 この安保法制が 多くの点で日本国憲法に違反するものであることは すでに多方面 から明らかにされてきているが ここでは その憲法上の問題点を論ずる場合に前提と なる 従来の政府の憲法解釈の要点を確認しておく ( 注 4) 日本政府は 日本国憲法も独立国が当然に保有する自衛権を否定するものではなく 自衛のための必要最小限度の実力である自衛隊は憲法 9 条 2 項の 戦力 に当たらない とする しかし他方 その自衛権の発動は 1 我が国に対する急迫不正の侵害があるこ と すなわち武力攻撃が発生したこと 2 これを排除するために他の適当な手段がない こと 3 必要最小限度の実力行使にとどまるべきことの 3 つの要件 ( 自衛権発動の 3 要 件 ) を満たすことが必要であるとの解釈を定着させてきた そして 自国と密接な関係 にある他国に対する武力攻撃を 自国が直接攻撃されていないにもかかわらず 実力を もって阻止する権利としての集団的自衛権の行使は 右自衛権発動の 3 要件 とくに 1 の要件に反し 憲法上許されない と解してきた ( 注 5) また 自衛権による実力行使の 必要最小限度 については それが外部からの武力 攻撃を我が国領域から排除することを目的とすることから 我が国の領域内での行使を 中心とし 必要な限度において我が国の周辺の公海 公空における対処も許されるが 反面 武力行使の目的をもって自衛隊を他国の領土 領海 領空に派遣するいわゆる海 外派兵は 一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって 憲法上許されない とされてきた ( 注 6) これらは 1954 年自衛隊創設時以来積み上げられてきた 政府の憲法解釈の基本原 則であり これらに基づいて 憲法 9 条の恒久平和主義の現実的枠組みが形成され 平和国家日本 の基本的あり方が形造られ 維持されてきた そしてさらに 1990 年の湾岸戦争を契機として自衛隊の海外派遣が大きな課題とな る中で とくに海外での武力の行使を防ぐため 右の基本原則から導かれるいくつかの 副次的原則が形成されていく その一つは 自衛隊の海外における活動の 外国軍隊の武力行使との 一体化 の禁 止である これは以前から認められていた考え方であったが 2009 年の周辺事態法に おいては その担保として 米軍に対する協力 支援活動を補給 輸送等に限定して列 挙するとともに これを実施する区域を 後方地域 に限定することとされた ここで 後方地域 とは 現に戦闘行為が行われておらず かつ そこで実施される活動の期 間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる 地域をいう ( 周辺事態法 3 条 1 項 3 号 ) そしてこの枠組みはその後 2011 年の米国同時多発テロに続くアフガニス タン戦争支援のためのいわゆるテロ対策特措法 2013 年のイラク戦争支援のためのい わゆるイラク特措法にも引き継がれた ( これら特措法では 上記 後方地域 と同旨の -39-

41 第 2 章 安保法制による立憲主義 民主主義の蹂躙と恒久平和主義の破壊 規定が置かれ 一般に 非戦闘地域 と称された ) 他方 湾岸戦争後の国際協力への要請は 1991 年 9 月国連 PKO 活動への参加という形で提起され 翌 1992 年 6 月に国連平和維持活動協力法 (PKO 協力法 ) として成立した この法律において 自衛隊の活動が武力の行使に及ぶことがないように いわゆる PKO 参加五原則が規定された 簡略化すると 1 紛争当事者間の停戦合意 2 領域国 紛争当事者の PKO への同意 3 中立維持 4これらが欠けたときの撤退 5 武器の使用は要員の生命等の防護に必要最小限度のものに限定 というものである この海外における武器の使用は いわば自己保存のための自然権的権利 であることを根拠に 憲法 9 条 1 項で禁止された 武力の行使 に当たらない と位置づけられた ( 注 7) そしてその後も基本的にこの原則が維持され いわゆる 任務遂行のための武器使用 は武力の行使に当たる疑いを否定できない 駆け付け警護における武器使用 も国家ないし準国家に対して行う場合には武力の行使に当たるおそれがある等として 従来の政府の憲法解釈上否定されてきたのである ( 注 8) なお 政府の解釈によれば 武力の行使 とは 戦争 をも含め 広く国家の物的 人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいう その 戦闘行為 とは 国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう また 武力の行使 と区別される 武器の使用 とは 火器 火薬類 刀剣類その他直接人を殺傷し 又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械 器具 装置をその物の用法に従って用いることをいう ( 注 9) そして 関係法律で武器の使用が規定される場合 それが組織的な武器の使用にならないよう その主体は 自衛隊 ではなく 自衛官 の権限として規定されてきた ところが 安保法制は これらの積み上げられた政府の憲法解釈を それこそ 根底から覆す ものである 集団的自衛権の行使容認はその最たるものであるが 後方支援活動等において 非戦闘地域 のタガをはずし 弾薬の提供等まで認め 任務遂行のための武器使用を解禁し 他国軍隊の武器等防護のための武器使用を認める等々 これまで堰き止められていた平和のための制約原理を一挙に解禁し 同時に 自衛隊の活動をあらゆる面で地球規模のグローバルなものにしようとするものといえる その違憲性は明らかである 以下 各関連法の具体的内容と問題点を 主要な点にしぼって指摘しておく 3 存立危機事態 と集団的自衛権の行使について安保法制の内容の基礎となった 2014 年 7 月 1 日の閣議決定 国の存立を全うし 国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について ( 以下 7.1 閣議決定 という ) は 上記のこれまでの政府の憲法解釈を根本的に変更し 憲法 9 条の内容を解釈で実質的に改変してしまうものであったが この 7.1 閣議決定は 我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず 1 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し これにより我が国の存立が脅かされ 国民の生命 自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において 2これを排除し 我が国の存立を全うし 国民を守るために他に適当な手段がないときに 3 必要最小限度の実力の行使をすること は 従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として -40-

42 第 2 章 安保法制による立憲主義 民主主義の蹂躙と恒久平和主義の破壊 憲法上許容されるとし この武力の行使は 国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合があるが 憲法上はあくまでも 自衛の措置 として許容されるものであるとした ( 引用文中に123を挿入した これが 新 3 要件 といわれる ) 安保法制は これを法制上実施できるようにするため 旧来の自衛隊法 武力攻撃事態対処法その他の有事関連法を改正する 特徴的なのは 集団的自衛権の行使も 自衛の措置 だとすることから これも従来の自衛隊法上の 防衛出動 (76 条 ) とその際の 武力の行使 (88 条 ) と位置づけていることである そして 新 3 要件のうち1の要件は 自衛隊法 76 条と事態対処法 2 条 4 号に閣議決定そのままの文言での条項が設けられ これを 存立危機事態 と称している なお 2の要件は 存立危機事態に至ったときの政府が定める対処基本方針に 他に適当な手段がないこと等を定めるものとし ( 事態対処法 9 条 2 項 ) 3の要件は 基本理念の一環として 武力の行使は 事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない と規定される ( 事態対処法 3 条 4 項 ) ここで最も基本的な問題は いうまでもなく 憲法 9 条のもとで許される自衛権の行使は 我が国に対する直接の武力攻撃を排除するための必要最小限度のものでなければならず したがってそれを超えた地域や方法による武力行使は禁止されてきたのを転換し 他国に対する武力攻撃が発生 した場合にも武力の行使を認めようとする点にある この集団的自衛権の行使を認めれば 法理上 これまで基本的に我が国周辺に限られていた地理的限定はなくなり 外国の領域における武力の行使をも否定する理由はなくなる そして 我が国に対する武力攻撃 があったかなかったかは事実として明確であるのに対し 他国に対する武力攻撃が 我が国の存立を脅かす かどうか 国民の生命 自由及び幸福追求の権利を覆す かどうかは 評価の問題であるから 極めてあいまいであり 客観的限定性を欠く 密接な関係 根底から覆す 明白な危険 などとの修辞を重ねても その基本的性質は変わらない また 2 要件や3 要件は 表現はこれまでの自衛権発動の 3 要件と類似するが 対象とされる事態が拡大され 評価判断要素が入り込んだため たとえばホルムズ海峡に機雷が撒かれたとして エネルギー源を他の方法で確保できないのかどうかといった必要性判断においても客観的なものさしを考えにくく 判断者の情勢認識や価値判断 さらには決断に左右されるものになる その判断者は 基本的に その時々の政府である しかも これら情勢認識 判断に必要な軍事上 外交上 経済上その他の情報が 秘密保護法により 政府によって秘匿されてしまう可能性 危険性を考えておかなければならない 先に触れたように 国会審議において政府は 外国の領域で武力を行使する海外派兵は 新 3 要件のもとでも 一般に自衛のための必要最小限度を超えるもので許されないと答弁し 他方で新 3 要件を満たす場合は他国の領域での武力行使も 法理上 は可能だが 現在 念頭にある のはホルムズ海峡のケースだけである と繰り返した ( 注 10) しかし 法文上 海外での武力行使ができないとする根拠規定はどこにもない これまでは あくまでも 日本の領土を守る ということによる性質上の限定が担保として働いてきたが 本法では このような限定が根本的に失われているのである こうして 本法による集団的自衛権の行使容認は 新 3 要件も決して明確な限定とは -41-

43 第 2 章 安保法制による立憲主義 民主主義の蹂躙と恒久平和主義の破壊 ならず 日本が他国のために あるいは他国とともに 地理的限定なく世界中で武力を 行使することを可能にするものとして 憲法 9 条の規定に真っ向から反すると評価すべ きものである 4 重要影響事態法と国際平和支援法について安保法制は これまでの周辺事態法を改正して 重要影響事態法へと衣替えをした これまでの周辺事態法は 周辺事態 すなわち そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態 において 日米安保条約の目的達成に寄与するための活動 ( 武力の行使等 ) を行っている米軍を支援する法律であったが 上記のうち 我が国周辺の地域における との文言を削除し 支援対象も米軍以外に国連憲章の目的達成に寄与するための活動を行っている外国の軍隊にまで拡大する (1 条 ) すなわち 我が国周辺の地域 に限らず世界中で 米軍に限らず他の外国軍隊の行う戦争等をも 支援できるようにするものである その自衛隊による支援活動は 米軍等外国軍隊に対する物品 役務の提供等を内容とする 後方支援活動 戦闘行為による遭難者等の 捜索救助活動 等である (3 条 1 項 ) そして これらの支援活動を行う地域は これまでは 後方地域 すなわち 我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず かつ そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲 とされていたのを そのような地域的枠組みを取り払い 現に戦闘行為が行われている現場 以外の場所ならどこでもできるようにしている (2 条 3 項 ) その上 支援活動の内容である物品 役務の提供の範囲を拡大し これまで禁止されていた弾薬の提供や戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油 整備までできるようにしている (3 条 2 項 3 項 別表第一 別表第二 ) これらの物品 役務の提供等というのは いわゆる兵站活動であり 国際法上は武力の行使の一環である しかし これまでは支援の地域と内容を限定することによって 他国の行っている武力の行使と 一体化 しないよう すなわち自衛隊が憲法 9 条で禁止された武力の行使に至ることがないよう 制度的枠組みが設けられていた ところが改正後の重要影響事態法によれば 現に戦闘行為が行われている現場でなければ そのすぐ近くでも 弾薬の提供などまで含めて兵站活動ができることになり 敵国から攻撃を受ける危険性は格段に高まることになる 政府は 国会答弁において 実際には防衛大臣が定める実施要項において 自衛隊が現実に活動を行う期間について 戦闘行為がないと見込まれる場所 を実施区域として指定することになるから そのような危険はない 自衛隊員のリスクも変わらない との答弁を繰り返した ( 注 11) しかし 法文上そのような制限はないのであり 制度的な担保は取り払われるのである 他国の武力行使との一体化 の危険は明らかだというほかはない 同様に政府は国会において 支援活動の円滑 安全な実施が困難な状況になったら実施区域の変更や活動の中断命令をするし 近くで戦闘行為が行われるような場合には活動を一時休止する規定もあるから 自衛隊員の安全は確保されると説明してきた -42-

44 第 2 章 安保法制による立憲主義 民主主義の蹂躙と恒久平和主義の破壊 が ( 注 12) 自衛隊がいつ敵国の攻撃対象になっても不思議ではない状況のもとで 中断 休止などが適時 適切になされ 安全が確保されるなどという保障はない 以上のような 武力行使をする他国軍隊に対する支援活動を行う制度を もう一つ新たに用意したのが 国際平和支援法である 過去には アフガニスタン戦争に際してテロ対策特措法 イラク戦争に際してイラク特措法等の個別立法を行って支援活動を行ってきたが このような個別立法をそのつどしなくても いつでも自衛隊の海外派遣ができるようにした いわゆる自衛隊海外派遣恒久法である すなわち同法は 我が国の平和と安全とは関係なく 国際平和共同対処事態 と名づけられた 国際社会の平和及び安全を脅かす事態 等に際して 一定の国連総会 安保理決議がある場合に 協力支援活動や捜索救助活動などを行えるようにするものである (1 条 3 条 1 項 ) そして この国際平和支援法による協力支援活動等を実施する地域ないし場所 その支援活動の内容である物品 役務の提供の範囲については 重要影響事態法と全く同様の枠組みが採られており したがって 外国軍隊との武力行使の一体化や 自衛隊員の安全確保上の問題も そして憲法 9 条違反の問題も 全く同様である 5 PKO 協力法改正と任務遂行のための武器使用について国連平和維持活動協力法の改正法は まず これまで国連の統括下での PKO 活動を基本としてきた現行法に 国際連携平和安全活動 との名称を付された 国連が統括しない有志連合ミッション等による活動分野を新設した またこれら 2 つの活動の前提状況としても 武力紛争終了後紛争当事者が存在しなくなった場合にも また武力紛争発生前の紛争未然防止のためにも活動を可能とするなど (3 条 1 号ロ ハ 同条 2 号 ) 活動領域を大きく拡大する とくに 国連平和維持活動及び国際連携平和安全活動の両者を通じて その業務内容として いわゆる安全確保業務と駆け付け警護を追加する (3 条 5 号ト ラ ) 安全確保業務とは 住民 被災民の危害の防止等特定の区域の保安の維持 警護などであり 7.1 閣議決定では 住民保護などの治安の維持 と表記されていた また駆け付け警護とは PKO 等活動関係者の不測の侵害 危難等に対する緊急の要請に対応する生命 身体の保護業務である そしてこれらの業務の性質上 武装勢力等の妨害を排除し 目的を達成するための強力な武器の使用 すなわち任務遂行のための武器使用を必要とし これを認めるものとされている (26 条 ) しかし このような任務遂行のための武器使用は 相手方武装勢力等との武器使用の応酬 さらには戦闘状態に発展しかねず 前記のような従来の政府の憲法解釈にも反し 憲法 9 条に違反するものというべきである 7.1 閣議決定は PKO 参加 5 原則のもとでは 当該領域国及び紛争当事国の受入同意があり 紛争当事者以外の国家に準ずる組織が敵対する者として登場することはないから 国家 準国家に対するものとしての武力の行使は考えられないとするもののようであるが 相手が国家ないし準国家か否かにかかわらず 自衛隊員が戦闘行為による殺傷の危険にさらされることは避けられず また武装勢力の背後の国家等との戦争へ発展する可能性も否定できない -43-

45 第 2 章 安保法制による立憲主義 民主主義の蹂躙と恒久平和主義の破壊 以上と同じことは 自衛隊法に新設された在外邦人の警護 救出等の保護措置についても妥当する これは 在外邦人が拘束されたり在外施設が占拠された場合などに 武装勢力の妨害を排除する等の任務遂行のための武器使用を 新たに認めることとされているものであるが ( 自衛隊法 84 条の 3 94 条の 5) 同様の危険性と憲法上の問題をもつものである もう一つ武器使用に関して注意しておくべきものとして 新設された宿営地共同防護の問題がある これは PKO 等に従事する外国の部隊と自衛隊の部隊の共同宿営地に攻撃があった場合に 他に安全を確保できる場所がないときは 自衛官は 当該宿営地に所在する者の生命 身体を防護するための措置をとる当該外国の部隊の要員と共同して 武器を使用することができるとするものである ( 国連平和維持活動協力法 25 条 7 項 ) すなわち 他国部隊との広大な宿営地 そこに居る多数の要員をも共同で防護するために 敵対勢力に対して 他国部隊と連携して武器使用ができるとするもので 実際上 共同した戦闘行為に発展することが想定される この宿営地共同防護については PKO に関連して新設された経緯と具体的な危険性の問題として後述するが ( 第 4 の 4) 同様の条項は 重要影響事態法 11 条 5 項 国際平和支援法 11 条 5 項にも設けられた ここでも 武器の使用から武力の行使に至る危険がある 6 米軍等他国軍隊の武器等防護のための武器使用など安保法制は 自衛隊法 95 条の 2 の新設規定を設けて 米軍等他国軍隊の武器等防護のための武器使用を 自衛官の権限として規定した これは これまでの自衛隊自身の武器等防護のための武器使用の規定 ( 同法 95 条 ) の趣旨を 他国軍隊にまで押し及ぼそうとするものである すなわち 自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍等外国軍隊の武器等や人を 職務上警護する自衛官の判断により武器を使用して防護するというものである ここに 武器等 とは 武器 弾薬等のほか 船舶 航空機まで含む 米軍の空母すら防護対象として否定されない ( 注 13) また 我が国の防衛に資する活動 として想定されるケースとしては 重要影響事態における他国軍隊の輸送 補給活動 自衛隊と共同して行う情報収集 警戒監視活動 共同訓練などが挙げられている ( 注 14) しかし もともと同法 95 条は 我が国の防衛力を構成する重要な物的手段を破壊や奪取から防護するための極めて受動的 限定的な必要最小限のものとして 例外的に認められてきたもので 本来は警察機能に属すべきものであるが 自衛隊の武器等が強力なものであるため 警察機関ではなく 武器等を警護する任務を与えられた自衛官に武器使用の権限を与えたものである そして防護の対象が生命 身体でないため自然権的権利ともいえず 従来の政府も積極的な根拠付けがないまま 憲法上問題が生じない武器の使用の類型としては 従来の自己等を防護するためのもの及び自衛隊法 95 条に規定するもの以外にはなかなか考えにくい ( 注 15) とされてきた 自衛隊の武器等の防護でさえ憲法上の疑義があり ましてや 米軍等の武器等が 我が国の防衛力を構成する重要な物的手段 であるとするのは ( 注 16) 牽強付会も甚だしく -44-

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