目次 略語一覧 -4 頁 図表一覧 -4 頁 第 1 章序論 -5 頁第 1 節人道的介入とは何か -6 頁 第 2 章ソマリア : 希望回復作戦 -39 頁第 1 節紛争の概要 -41 頁 (1) 研究テーマとしての人道的介入 第 2 節介入の構図 -43 頁 (2) 人道的介入の特徴 第 3 節

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1 学位論文 人道的介入における武力行使と外交交渉 : ソマリア ボスニア コソボ を事例として The Use of Force and Diplomatic Negotiations in Humanitarian Intervention: The Cases of Somalia, Bosnia and Kosovo 小松志朗 早稲田大学大学院政治学研究科研究生 ( ) 1

2 目次 略語一覧 -4 頁 図表一覧 -4 頁 第 1 章序論 -5 頁第 1 節人道的介入とは何か -6 頁 第 2 章ソマリア : 希望回復作戦 -39 頁第 1 節紛争の概要 -41 頁 (1) 研究テーマとしての人道的介入 第 2 節介入の構図 -43 頁 (2) 人道的介入の特徴 第 3 節武力行使の経緯と概要 -43 頁 (a) 人道性 (1)UNOSOM I と救援提供作戦 (b) 不確実な正統性 (2) アメリカの決断 (c) 軍事資源の調達における制約 (3) 希望回復作戦 (d) 秩序と正義の調和 第 4 節武力行使の正統性 -53 頁 第 2 節研究の目的 -18 頁 (1) 安保理決議 794 (1) 先行研究の検討 (2) 決議採択を促した要因 (a) 正統性への偏り (3) 安定的な正統性 (b) 正統性から実効性へ : 研究の重点のシフト 第 5 節武力行使の実効性 -55 頁 (2) 研究の目的 (1) 軍事行動の成功 (a) 実効性に関する有益な一般的知見 (2) 武力行使の成功 (b) 実効性の評価 第 6 節外交交渉 -57 頁 (c) 正統性の位置づけ (1) 第 1 回アディスアベバ会議 第 3 節研究の枠組 -27 頁 (2) 第 2 回アディスアベバ会議 ( 国民和解会議 ) (1) 複合的プロセスとしての人道的介入 第 7 節武力行使と外交交渉 -60 頁 (a) 人道的介入の定義 (1) 武力行使の限定性 (b) 武力行使 (2) 武力行使と外交交渉の連携の欠如 (c) 外交交渉 第 8 節小括 -66 頁 (d) 軍事 外交関係と軍事 外交戦略 : 直接ア プローチと間接アプローチ (2) 事例の選択 (3) 資料 2

3 第 3 章ボスニア : 限定空爆と周到な力作戦 -69 頁 第 1 節紛争の概要 -71 頁 第 2 節介入の構図 -74 頁 第 4 章コソボ : 同盟の力作戦 -121 頁 第 1 節紛争の概要 -123 頁 第 2 節介入の構図 -126 頁 第 3 節武力行使の経緯と概要 -76 頁 第 3 節武力行使の経緯と概要 -127 頁 (1)UNPROFOR と NATO (1) 武力の威嚇 (2) 安全地域政策 (2) 同盟の力作戦 (3) 限定空爆 第 4 節武力行使の正統性 -141 頁 (4) 周到な力作戦 (1) ロシアの反対 第 4 節武力行使の正統性 -94 頁 (2) ヨーロッパの迷い (1) 限定空爆の正統性 第 5 節武力行使の実効性 -144 頁 (2) 周到な力作戦の正統性 (1) 同盟の力作戦の成功と失敗 第 5 節武力行使の実効性 -98 頁 (2) ミロシェビッチが譲歩した理由 (1) 限定空爆の失敗 第 6 節外交交渉 -147 頁 (2) 周到な力作戦の成功 (1) 空爆前の外交交渉 第 6 節外交交渉 -100 頁 (2) 空爆中の外交交渉 (1) ヨーロッパ 国連主導の外交交渉 第 7 節武力行使と外交交渉 -157 頁 (2) アメリカ主導の外交交渉 (1) 武力行使と外交交渉の組み合わせ 第 7 節武力行使と外交交渉 -107 頁 (2) 苦戦の要因 (1) 限定空爆の軍事 外交関係 (3) 成功の要因 (2) 周到な力作戦の軍事 外交関係 第 8 節小括 -163 頁 第 8 節小括 -117 頁 第 5 章結論 -165 頁 第 1 節有効な軍事 外交戦略の欠如 -166 頁 第 2 節武力行使の限界 -168 頁 (1) 直接 / 間接アプローチの選択と武力行使の限界 (2) 直接アプローチにおける武力行使の限界 (3) 間接アプローチにおける武力行使の限界 (4) 武力行使と外交交渉のギャップ 第 3 節武力行使の可能性 -173 頁 参考文献一覧 -177 頁インタビュー相手一覧 -189 頁 3

4 略語一覧 ICFY (International Conference on the Former Yugoslavia): 旧ユーゴ国際会議 ICISS (International Commission on Intervention and State Sovereignty): 介入と国家主権に関する国際委員会 IICK (Independent International Commission on Kosovo) : コソボ問題独立国際委員会 KLA (Kosovo Liberation Army): コソボ解放軍 NATO (North Atlantic Treaty Organization) : 北大西洋条約機構 NGO (non-governmental organization): 非政府間国際組織 OSCE (Organization for Security and Co-operation in Europe): 欧州安全保障協力機構 PKO (UN Peace-Keeping Operations): 国連平和維持活動 UNHCR (UN High Commissioner for Refugees): 国連難民高等弁務官事務所 UNITAF (Unified Task Force): 統一タスクフォース UNOSOM I (UN Operation in Somalia I ): 第 1 次国連ソマリア活動 UNOSOM II (UN Operation in Somalia II ): 第 2 次国連ソマリア活動 UNPROFOR (UN Protection Force): 国連保護軍 USC (United Somali Congress): 統一ソマリア会議 図表一覧 図 1.1. 人道的介入のイメージ図 1.2. 武力行使の種類 表 2.1. ソマリア介入年表表 2.2. UNITAF の交戦規定表 2.3. ソマリア介入の効果表 3.1. ボスニア介入年表表 3.2. ボスニア介入の効果表 4.1. コソボ介入年表表 4.2. コソボ介入の効果表 事例の概要 地図 2.1. ソマリア地図 3.1. ボスニア地図 4.1. コソボ ( セルビア ) 4

5 第 1 章序論 5

6 第 1 章序論 人道的介入(humanitarian intervention) は古くて新しい問題である 人道的介入という用語が定着したのは 20 世紀後半になってからだが その用語を用いずとも古くから 圧政に苦しむ他国の一般市民を軍事力でもって救うことの是非はしばしば問われてきた すでに 16 世紀には政治思想家のボダン (Jean Bodin) が 主著において全体としては絶対的な主権概念を提示しながらも 僭主の殺害を試みること 彼の死後に彼の法令を無効にすること 廃棄することは合法か否か というタイトルの章で 人道的介入らしきものの正当化を試みている 1 ボダンといえば 近代的な主権概念を初めて体系化した思想家として知られる その彼が興味深いことに 主権者たる僭主の圧政から一般市民を救うために 主権を一時的に制限することの可能性に言及していたのである 彼の後にも 17 世紀にはグロチウス (Hugo Grotius) 18 世紀にはヴァッテル (Emer de Vattel) など様々な人々が同じ問題に関心を寄せてきた 2 ボダン グロチウス ヴァッテルと 3 人の名前を見ただけでも 介入をめぐる議論に古い歴史があることは容易に想像されよう そして 1990 年代 人道的介入の事例が続けて発生する中で それは国際社会における新しい問題として改めて関心を集めるようになった この時期に事例が続いた背景には 冷戦の終結という歴史的転換がある すなわち 一方で介入主体が対処しようとした人道的危機は 冷戦のくびきによる抑制が消えたことで激化した内戦や地域紛争の中で発生したものであり 他方 欧米諸国や国際連合による積極的な介入が可能になったのは 冷戦が終わり 東西対立の論理に縛られることなく行動できる環境が生まれたからである 被介入側と介入側のどちらについても 冷戦という特殊な時代からのいわば 解放 が大きな意味をもっていたのである こうして冷戦後の国際社会において人道的介入が新しい問題として現れると 当然多くの研究がそれを追って現れた 様々なアプローチにより人道的介入の様々な側面が明らかにされ 今やこの複雑な問題に対する我々の理解も相当深まったように思われる しかしながら そうした状況にあってもまだ重要な研究課題が残されていることも事実である それは介入の実効性に関するものである 本章では この残された課題を明らかにし それを踏まえた上で本稿の研究の目的と枠組を示すこととする 第 1 節人道的介入とは何か そもそも人道的介入とは何か 研究の目的と枠組を示す前に まずはこの点を確認しておく必要があるだろう ここでは 研究テーマとしての人道的介入 および 人道的介入 1 Bodin (1992), book 2, chap グロチウスとヴァッテルの人道的介入に対する考え方は 以下の拙論で検討した 小松 (2004a) 6

7 の特徴 という 2 つの切り口から考えたい (1) 研究テーマとしての人道的介入 なぜ人道的介入は多くの人の関心を集め 活発な論争を巻き起こすのか あるいは どのような意味において人道的介入は研究テーマとして重要なのか 厳密な定義は後に譲るが 人道的介入とは簡単にいえば人道目的の軍事介入である すなわち ある国家で大規模かつ深刻な人権侵害 人道法違反 ( いわゆる人道的危機 ) が発生して それを止めるために他の国家が軍隊を送り込んだり空爆を行ったりする時 それを人道的介入と呼ぶのである そのような行為は我々に 秩序と正義の間でのジレンマを突きつける というのも 現代国際社会では 国際秩序の維持に不可欠な原則として内政不干渉原則と武力不行使原則が確立しているが 他方で世界人権宣言 ジュネーブ諸条約 国際人権規約に代表される国際人権法 人道法の発展が示すように どの国の国民であろうと等しく人権は保障されなければならないという正義の要請も無視できないからである 我々は秩序と正義のどちらを優先すれば良いのか そのように国際社会の根幹に関わる問題であるという意味において 人道的介入は研究テーマとして重要なのである しかしながら それは長い間専ら学問上 理論上の問題にとどまり 現実の世界で切迫した問題として浮上することはなかった そうした状況に変化が訪れたのが 1990 年代である ヨーロッパやアフリカの国々において 内戦の混乱の中で夥しい数の一般市民が迫害されたり 殺されたり 住むところを追われたりする中で 人道的介入をめぐる秩序と正義のジレンマが極めて現実的な問題として立ち現れた そして実際に 何度か介入が行われた だが それでもジレンマが解けた 秩序よりも正義を優先させることで国際社会が合意した とはいえない むしろ そのジレンマをめぐる論争 すなわち介入の是非をめぐる論争が一層活発になったというべきだろう 年代のいくつかの介入事例の中で とりわけ論争を活発にしたのが 1999 年のコソボ介入である これは ユーゴスラビア政府による同国内のコソボ自治州のアルバニア人に対する弾圧を止めるために 北大西洋条約機構 (North Atlantic Treaty Organization: NATO) が空爆を行ったものである その空爆が国連の安全保障理事会の決議を得ずに強行されたために 世界中で物議を醸したのである 後に見るように 現代国際社会が秩序と正義のジレンマを克服するために築き上げたのが 安保理決議に基づく人道的介入 という方式である それは 安保理決議の中で人道的危機を 平和に対する脅威 と位置づけて それを止めるための武力行使を認めるというものである ところがNATOはこの方式をとらずに 独自の判断で空爆に踏み切った 明らかに秩序を揺るがす危険な行為であった しかしながら同時に 安保理決議が得られないということで空爆を見送っていたら さら 3 日本では 2000 年に 4 つの学会で人道的介入に関する報告と討論が行われた 大沼 (2001) 3 頁 7

8 に多くのアルバニア人が家を追われ 命を落とすことも確実だったといわれる 後にこの介入を詳細に検証したコソボ問題独立国際委員会 (Independent International Commission on Kosovo: IICK) は 正統だが合法ではない (legitimate, but not legal) 介入だったとの評価を下している 4 分かりやすくいえば この介入は正義の実現( アルバニア人の救済 ) のためにはやむを得なかったが 内政不干渉原則および武力不行使原則の例外として認められた 安保理決議に基づく人道的介入 の方式に則っていないという意味で 合法とは言い難いということである 5 秩序と正義のジレンマを解くことの難しさを象徴する評価だといえよう ただ過去との比較でいえば 一般論として 冷戦後の国際社会が人道的介入を以前より許容するようになったことは事実である ダムロシュ (Lori Fisler Damrosch) は 1993 年に出版された編著において 1991 年の湾岸戦争以前には国際社会が何らかの目的のために協調して行動することなど とりわけ内戦を抑制しようとすることなど考えもできなかったとした上で 以下のように述べている わずか数年の間に議論の条件が劇的に変わった 国内紛争への介入は正統性がないと推定されるという見解に代わって 今日支配的なトレンドは 国際社会は流血を防ぐために利用できるあらゆる手段を使って介入すべきであるという主張を 真剣に考慮するというものである 法的議論が今焦点を当てているのは 介入を原則として非難するのか正当化するのかということではなく 国内の暴力を緩和するための集団的行動の動員にまつわる実際的な問題を どうすれば一番上手く解決できるのかということである 6 東郷が指摘するように 第二次世界大戦後から一貫して国際的な人権意識が高まる流れの中で 今や介入は 覇権主義による外交戦略から より普遍的な国際正義と人間的良心に根ざした普遍主義による外交行動への転換として 広く国際社会の中で受け止められ 4 IICK (2000), p 篠田はこのことに関して 国際社会における法の支配という観点から次のように述べている 世界政府がない状態で人権保障を国際的に行うならば 第三国あるいは国際機関などが 人権侵害が行われている国家に介入して是正策をとらなければならない この意味において 人道的介入は 国際社会の立憲的秩序を維持するための役割を持ちうる たとえば 1999 年の NATO 諸国によるユーゴスラビア空爆は ユーゴスラビア政府によるコソボでの甚大な人権侵害を食い止めるという人道的理由にもとづいて行われた その介入の実定法主義的立場からの合法性は 疑わしいものでしかなかったが しかし広義の法の支配の観点からすれば 生命にかかわる根本的な人権を擁護するための措置をとること自体は 正当性を持っていると考えられた 実際に多くの者が 狭義の法の支配からは認められない NATO 諸国による国際法規則からの逸脱行為を ( たとえ実定法の観点からは違法であっても ) 正当なものであるとみなした 篠田 (2003b) 48 頁 6 Damrosch (1993), p

9 次第に容認 受容されるようになってきた 7 青井もこう述べる 人道的介入はもはや原則レベルの問題ではなく むしろ政治的利害が絡む実施の問題によってその成果や評価 さらには正統性が決定される 事実 国家間の議論では 主権 内政不干渉 武力不行使に則った原則的人道的介入反対論も存在するが 実施プロセスに関する問題が中心的な論点となってきているように思われる 8 そのような現状を象徴するのが 介入と国家主権に関する国際委員会 (The International Commission on Intervention and State Sovereignty: ICISS) の提唱した 保護する責任 論である 緒方貞子やイグナティエフ (Michael Ignatieff) など世界的な有識者 12 人から構成された同委員会は 人道的介入の問題について討議する機関として 2000 年 9 月にカナダ政府の主導で設立され 翌年 12 月に 保護する責任 というタイトルの報告書を発表した 9 そこで提起したのが 保護する責任 論である その基本的な考え方は次の通りである 主権国家は自国民を 避けられる災難から 大量殺人 強姦 飢餓から 保護する責任を負っているが 国家がそうする意志あるいは能力をもたない時には その責任はより広い諸国家の共同体によって負われなければならない 10 報告書はそこから議論を進めて 保護する責任 を 予防する責任 反応する責任 再構築する責任 という 3 つの責任に分ける このうち人道的介入に関わるのは 反応する責任 で 他の 2 つは介入の前後に関係する 当然 武力行使の前に 出来る限り予防措置がとられなくてはならない その意味で 予防する責任 は 反応する責任 に優先する だが しばしば予防は失敗する その時 予防する責任 から 反応する責任 へと段階が移り 国際社会が武力行使に踏み切らざるを得ない局面が訪れる 保護する責任 に基づく人道的介入が始まるのである 保護する責任 論はその後の国連での議論も引き継がれただけでなく 学問やジャーナリズムの世界でも普及しており 今や介入の問題を考える際には不可欠な理論的前提として定着した感がある 11 もちろん途上国を中心になお根強い介入反対論は残っている しかしそれでも 冷戦期あるいはそれ以前の時代と比べた時に 今日の国際社会で介入を許容する素地が広がっている事実は否定できない 人道的介入は 今や単なる疑惑の対象ではなく 一つの政策オプションとしての地位を認められつつあり そのようなものとしてすぐれて現代的で重要な研究テーマとなっている 12 本稿の議論の背景には こうした国際 7 東郷 (2000) 117 頁 8 青井 (2000) 120 頁 9 ICISS (2001). 10 Ibid., p. VIII. 11 例えば 2005 年 9 月に開かれた国連サミットの成果文書には 保護する責任 の項目がある UN Doc., A/RES/60/1, October 24, 2005, para 筆者が本稿のためにインタビューを行った国内外の政府関係者も 介入について語る中でしばしば 保護する責任 という言葉を口にしていた 12 このような新しい潮流はしばしば 新介入主義 と称される この点については以下を参照 篠田 (2003a); 星野 (2003a) 9

10 的な潮流がある (2) 人道的介入の特徴 人道的介入の特徴は何か ここでは 第 2 章以降の本論の前提となる人道的介入像を示しておきたい 結論からいえば人道的介入の特徴は 人道性という本質 不確かな正統性という限界 軍事資源の調達における制約 秩序と正義の調和 という方向性の 4 つである (a) 人道性 人道的介入の最も根本的な特徴 すなわち本質は文字通りその人道性にある もちろんこれは 介入する国家が純粋に人道的な動機から行動することを意味するわけではない ウォルツァー (Michael Walzer) が言うように 政治において純粋な善意などというものは幻想に過ぎない 13 しかしながら 現代の国際政治において 人道的な動機が決して無視できない要素であることもまた真実だろう 純粋に人道的な動機による国家の行動などあり得ないことは確かだが かといって純粋に国益のみを追求する行動ばかりでもない 例えば 1990 年代前半にアメリカはソマリア介入を主導したが ソマリアにアメリカの国益がなかったこと 少なくとも軍隊を送りこむほどの死活的な国益がなかったことは周知の事実である 当時のブッシュ ( 父 ) 政権 (George H. W. Bush) で国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたスコウクロフト (Brent Scowcroft) は 大統領は人道的な動機から介入を決断したと明言している 14 イギリスは ボスニア介入の中で国連平和維持活動に多くの兵士を派遣したが 当時の外相ハード (Douglas Hurd) は イギリスは ユーゴを構成していたクロアチア ボスニア あるいは他の国々に重要な経済的ないし戦略的利益をもっていなかった 15 と振り返っている コソボ介入に批判的だったアメリカの現実主義者たちは コソボ自体には軍事介入するほどの死活的な国益がないと見ていた 16 それが唯一の動機ではないにせよ 政策決定者が人道的な動機によって政治的決定を下す局面は 時に見られるのである さらに 政策決定者に影響を及ぼす要因としての 世論 も 国家の人道的な動機を構成する テレビニュースで見た遠い外国の見知らぬ人々の不幸に無関心でいられず 自国の政府に介入を求める 1990 年代 欧米諸国ではしばしばそうした現象が見られた そして政策決定者は 世論の圧力に押されながら介入へ歩みを進めていったのである このよ 13 Walzer (1992), p. xviii. 14 筆者によるインタビュー 2007 年 10 月 9 日 15 Hurd (2003), p 田中 (2000) 頁 但し 一旦 NATO が軍事介入を始めた以上は NATO の信頼性 が死活的な国益となったのである 10

11 うなことからも 国家が人道的な動機によって介入するという見方にはそれなりの妥当性がある 要するに 政策決定者の個人的な動機という面からいっても 彼らを動かす世論という面からいっても 国家が人道的な動機によって介入することは十分あり得るのである もちろん 介入側に政治的な動機がある場合 特にそれが極めて利己的なものである場合 それに対する批判はあって然るべきである しかし悩ましいことに そうした別次元の動機や目的がなければ恐らく介入は始まらないし 成功もしないだろう 人道的危機にさらされている人々は救われない すなわち 人道的な動機だけでは国家の断固たる行動を促す要因としては弱く 一定の政治的な動機 特に安全保障上のもの が必要とされる 17 そのように考えれば 人道的介入に政治的な動機や目的が混在しているからといってそれを切り捨てるのではなくて そうした現実を受け入れた上でなお介入が人道的危機の緩和 解決につながる道を探る研究にも 一定の意義が認められよう 本稿はまさにそうした研究である ウェイス (Thomas G. Weiss) は以下のように述べる 人道的介入の背後にある動機はほとんどいつも雑多なものである 全ての政治的動機が悪というわけではないのだから 動機に簡潔さを求めても議論を実際に前進させることはできない もし重要な利害抜きの利他主義だけがあるべきだというなら そもそも最初に関与しようとする あるいは最後までやり抜こうとするのに十分なやる気は生まれてこないだろう その好例が 2003 年以降のダルフールへの不十分な国際的な軍事的関与であり 1993 年 10 月に 18 人のレンジャー部隊が死んだ後のアメリカのソマリアからの撤退である 18 いずれにせよ 人道的介入の本質が人道性にある と述べる時 そこには 介入国の唯一ではないが主要な動機の一つとして 人道的な動機があるという意味が含まれている 19 そして 人道性 にはもう一つ別の意味が含まれている それは 介入が人道的危機の緩和 解決を目指して行われている実態が客観的に観察されることである すなわち 介入に様々な動機や目的が混在していようとも それが現実に危機の緩和 解決に向かって 17 人道的介入において安全保障上の目的が重要であることを論じたものとして 以下を参照 DiPrizio (2002). 18 Weiss (2007), p そうはいっても 介入国の動機が根源的な問題をはらんでいることは疑いない 松井が論じているように 人道的介入の要件の一つに人道的な動機の 相対的な 優越性を含めるとしても 動機は主観的な要件であってこれを客観的に証明することは至難であるし お互いに性格を異にする 複数の動機の相対的比重を比較考量することもまた きわめて困難だと思われるのである 松井 (2001b) 43 頁 本稿はこうした問題を認めつつも 実効性に関する研究の発展を優先させ 人道的動機の存在や優越性を議論の仮定として置く 11

12 いるのならば その意味で人道性があると見るのである 逆にいえば 人道的危機を悪化させたり放置したりしながら他の目的を追求している介入には 人道性が認められないということになる まとめるならば 人道的介入の本質である人道性とは 介入国の主要な動機 ( の一つ ) が人道的なものであること また客観的に見て介入が人道的危機の緩和 解決に向かっていることを意味する 本稿では 取り扱う事例がそのような意味で 人道的 介入であったという前提に立って議論を進める 但し 人道性 が本質であるといっても その認識が介入の肯定に直接つながるわけではない 先述のように 人道的な動機以外の動機の存在を批判することは重要である あるいは 介入が人道的危機の緩和 解決を目指していることは否定できない場合でも その過程で多くの副次的被害をもたらしているのならば そこに批判的な目を向けなければならない 本稿は 人道的 介入や 人道性 といった言葉を使うが それはあくまで ある政治的な行為の特徴を大まかに表したものに過ぎず その善し悪しに関する何らかの価値判断を含むものではないということである 実際 第 2 章以降の事例研究や考察では 人道的介入のマイナス面や限界の指摘に多くのページを割くことになる 別の言い方をすれば 本稿は ある介入が人道的であったかどうかを判断しようとするものではなく 一般的に人道的介入と称されてきた現象の実態を詳しく見ていくものである ところで ここまで述べてきたところから明らかなように 人道性という本質は 裏を返せば国益が乏しいということでもある 介入国が人道的危機の緩和 解決に あるいは紛争が起きている国家との関係に何らかの国益を有していないわけではないが 決してそれは死活的な国益 言い換えれば武力でもって死守しなければならないほどの国益ではない そもそもはじめから死活的な国益がからんでいれば 介入国は他国の内戦であろうと人道的危機に発展するのを放っておかないだろう 実際 内戦が起きてすぐさま人道的危機に至るわけではないし あるいはまったく国際社会が気づかないうちに事態が悪化していくわけでもない その間には必ず一定の期間があり 度々危険を知らせる何らかのシグナルが発せられるのだが 後に介入することになる国家は当初それを無視するか 軽く見てしまう そうして 事態の悪化を食い止める有効な手だてを打たないまま 最終的に人道的危機の発生を許すことになるのである (b) 不確実な正統性 人道的介入の 2 つ目の特徴として挙げられるのは 不確実な正統性という限界である ( ここでは 正統性 を 差しあたって合法性も含む包括的な概念として考える 第 2 章以降の本論での正統性の扱いについては次節で述べる ) 不確実な という形容詞には 2 つの意味がある 1 つは 一般論として介入の正統性が不確実であること もう 1 つは個々の具体的な介入についてその正統性を得るのが難しいことである 第二次世界大戦後の人権法 人道法の発達が物語るように 国際社会で人権意識が高まっている流れは否定できな 12

13 いが そのことが人道的介入の正統性を保証するわけではない 今も少なくない国々が 一部の大国による恣意的な介入に強い警戒心を抱いている 20 法的観点から見ても 内政不干渉原則と武力不行使原則が確立している現代国際社会において 人道的介入は例外中の例外としてかろうじて認められるにすぎない そのように正統性が不確実だからこそ介入は活発な論争を巻き起こすわけであり また論争に決着がついていないからこそ正統性が不確実なままなのである とりわけ問題となるのは 先に言及したコソボ介入のような安保理決議を経ずに行われる人道的介入である シャクター (Oscar Schachter) は そのような介入を原則として確立してはならないが 黙認すべき違法行為としてそのままにしておいた方が良いと ある意味苦渋に満ちた意見を述べている 21 人道的介入には 常に不確実な正統性という限界がついて回るのである このことは 介入の本質である人道性に深く関わっている というのも 人道的介入の正統性が不確実であるということの根本には 人道や正義を武力行使と結びつけることについて 国際的なコンセンサスが成立していないという現実が横たわっているからである 確かに 人道目的それ自体は否定できない しかし それを達成するために武力という手段を用いることは また別の問題である このような意味で 不確実な正統性という限界は 人道性 という本質に由来するといえる 逆に 秩序と武力行使を結びつけることについては国際的なコンセンサスが成立している すなわち 原則論として侵略への対抗あるいは自衛のための武力行使の正統性は確立されている 国家を守るための武力行使は許されるが 個人を守るための武力行使は許されているわけではない そう言い表すこともできるだろう ところで コソボの事例が示すように 人道的介入の正統性にとって鍵となるのが安保理決議である なぜそうなるかといえば 内政不干渉原則と武力不行使原則の二大原則を有する国際社会において 人道的介入が最も あるいは唯一確実に 正統性を付与されるのが 国連の集団安全保障体制の中で安保理決議に基づく強制措置として行われる時だからである 22 この点を少し詳しく見ておこう 国連憲章では 第 2 条第 4 項 23で武力不行使原則が 第 2 条第 7 項 24で内政不干渉原則がそれぞれ規定されている ( 後者は厳密には 国連による 干渉を禁じたもので 国家による 干渉を禁じたものではないが 国家間の内政不干渉原則も慣習法として確立されてい 20 この点については以下を参照 Weiss (2007), pp Shachter (1991), p この仕組みの根本的な原理を明らかにしたものとして 以下の拙論を参照 小松 (2004a) 23 すべての加盟国は その国際関係において 武力による威嚇又は武力の行使を いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも また 国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない 24 この憲章のいかなる規定も 本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではなく また その事項をこの憲章に基く解決に付託することを加盟国に要求するものでもない 但し この原則は 第 7 章に基く強制措置の適用を妨げるものではない 13

14 る ) この 2 つの原則を前提とした上で 人道的介入が例外的に認められるのは 第 7 章に 規定された強制措置として行われる時である 2 条 7 項の最後には以下のように書かれてい る 但し この原則は 第 7 章に基く強制措置の適用を妨げるものではない 本来強制措置とは 侵略のような国際秩序を脅かすものに対してとられる国際的な対抗 措置であり 国連の集団安全保障体制の中核をなす それは非軍事的措置 ( 経済制裁など ) と軍事的措置 ( 武力行使 ) の 2 つに分けられる 強制措置に至る流れとしては まず第 39 条 25に基づいて安保理がその決議において 平和に対する脅威 等の存在を決定し 26 実際の決議では 平和と安全に対する脅威 という言葉が使われる その後必要に応じて第 41 条 27の非軍事的措置か第 42 条 28の軍事的措置を決定する 軍事的措置については当初 国連軍 が構想されていたが実現しなかったために 29 それに代わるものとして国連の枠外で結成される多国籍軍やNATOなどの地域機関 あるいは国連平和維持活動 (UN Peace-Keeping Operations: PKO) に武力行使の権限を認める方式が慣行上確立された 憲章が想定していなかったという意味で いわばそれは変則的な強制措置である そうしたこともあって 実際の武力行使の授権決議については 憲章の特定の条文を示すことをせず 安保理が 憲章第 7 章の下で行動する (acting under Chapter VII) という形式で採択することが通例になっている つまり第 39 条などの個々の条文が適用されるというより それらを含む第 7 章 ( タイトルは 平和に対する脅威 平和の破壊及び侵略行為に関する行動 ) の諸規定がまとめて適用される格好である なお 決議の中で武力行使を認める文言は 普通 必要なあらゆる手段 (all necessary means, all measures necessary) を 許可する (authorize) というものである 現代の人道的介入は基本的に以上のようなものとして行われる あるいは行われなければならない すなわち 安保理が人道的危機を 平和に対する脅威 と認定した上で それに対する強制措置として武力行使 すなわち人道的介入を許可することにより それは国連の集団安全保障体制の一環として正統性 25 安全保障理事会は 平和に対する脅威 平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し 並びに 国際の平和及び安全を維持し又は回復するために 勧告をし 又は第 41 条及び第 42 条に従っていかなる措置をとるかを決定する 条に記されている 平和の破壊 と 侵略行為 の存在が認定されることはほとんどない 少なくとも人道的介入に関わる決議についていえば 認定されたのは全て 平和に対する脅威 である 27 安全保障理事会は その決定を実施するために 兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ 且つ この措置を適用するように国際連合加盟国に要請することができる この措置は 経済関係及び鉄道 航海 航空 郵便 電信 無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶を含むことができる 28 安全保障理事会は 第 41 条に定める措置では不充分であろうと認め 又は不充分なことが判明したと認めるときは 国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍 海軍又は陸軍の行動をとることができる この行動は 国際連合加盟国の空軍 海軍又は陸軍による示威 封鎖その他の行動を含むことができる 29 国連軍の構想とその挫折については以下を参照 香西 (1991) 7-36 頁 ; 香西 (2003) 頁 14

15 を得られるのである ここで 平和に対する脅威 概念について少し説明が必要であろう この概念はもともと国家間の武力紛争を想定していたが 時代を追うごとにそれ以外の事態も場合によっては脅威として認定されるようになった 30 そうした中で 人道的危機も 平和に対する脅威 になり得るという認識が安保理において固まったのである 但し 脅威の認定が自動的に武力行使の授権につながるわけではない これまで多くの紛争や危機について脅威の認定がなされてきたが それに対処するための具体的な措置として決定されたのが経済制裁にとどまったケースも少なくない あるいは 認定が何ら強制措置に結びつかないこともある 31 このような形で 今日の人道的介入は安保理決議によって正統性を付与される しかしながら そうはいっても基本的に正統性が不確実であることに変わりはない それは極限状態に限って例外的に許される最終手段でしかない 今起きている人道的危機を止めるには本当に武力行使が必要なのか 介入国は本当に人道的危機を解決しようとしているのか 現実問題として 介入は危機を解決できるのか 安保理決議の有無 決議採択の前後を問わず人道的介入に対しては 常にそうした厳しい視線が注がれる それゆえ 人道的危機が発生しようとも安保理が武力行使の必要性について合意できなかったり あるいはそれを曖昧な形でしか認められなかったりということがしばしば起きる 安保理決議に基づく人道的介入 は 1 つのモデルだが それが実現する可能性はそれほど高くないのである (c) 軍事資源の調達における制約 人道的介入の 3 番目の特徴は 基本的に軍事資源 ( 兵器 装備 人員 資金など ) の調達において制約が存在するということである これは 人道性 と 不確実な正統性 という上述の 2 つの特徴に由来する 先述のように 人道性とは裏を返せば 介入国の死活的な国益がからんでいないということである そうだとすれば当然 介入主体が人道的危機を緩和 解決するのに必要な軍事資源を調達することが難しくなる そして 不確実な正統性という限界も同じ帰結に至る というのも それが介入国に慎重な姿勢をとらせることになるからである もし行き過ぎた介入であるとか間違ったやり方の介入であるとか評価されれば 容易にその正統性が下がりかねない そのような懸念が介入国の行動を制約する 実際に正統性が下がれば さらに介入国の行動は制約されるだろう もちろん 国家が正統性の有無や高低を全く気にしないのであればそのように行動が制約されることはないが 現実に介入国は必ず介入の正統性を得ようと行動するのである 32 まとめていえ 30 Weiss (2007), pp ; 酒井 (2003) 頁 31 同上 242 頁 32 Seybolt (2007), p ウィーラーも 国家の行動はもっともらしい正統な理由によって正統化 (legitimize) されなければ 制約されるとしている Wheeler (2000a), p. 4. そもそも 介入に限らず広く国際政治一般において正統性は重要なファクターである クロー 15

16 ば 人道的介入の本質である人道性 ( その裏返しとしての国益の乏しさ ) は それ自体で軍事資源の調達を制約すると同時に 不確実な正統性という限界を介してまたそれを制約するのである こう言い換えることもできるだろう 人道的介入では 正統性が高いか低いかに関わらず そもそも軍事資源の調達が難しい そして 実際に正統性が不確実なため それはさらに難しくなる ところで 軍事資源の調達における制約 という特徴からは 論理的に 不確実な実効性 という特徴が導き出せそうではある しかし敢えてここではそれを特徴に数えなかった というのも 実は介入の実効性に関する研究は蓄積が乏しく それが不確実であるとはまだ言い切れないように思われるからである この点は 第 2 節の中で詳しく見ていきたい (d) 秩序と正義の調和 人道的介入の 4 番目の特徴は 秩序と正義の調和 という方向性である すなわち 介入が 秩序と正義の調和 を目指す行為だということである このように言うと奇妙に思われるかもしれない 人道的 介入である以上 それは秩序と正義を調和させるのではなく 秩序より正義を優先させる行為なのではないか と だが 現実の介入を正確に描写するなら 単に正義を追求する行為というより 秩序と正義を調和させようとする行為として捉えるべきである 33 より正確にいえば それは 秩序と正義の調和 を考慮しながら人道的危機の緩和 解決を目指すものである 先述のように 確かに人道的介入は我々に秩序と正義のジレンマを突きつける ただそうはいっても 人道的介入は正義を追求する代償として秩序を揺るがす という認識では不十分である もちろん 介入が何らかの形で秩序を揺るがすことは否定できないが 秩序の維持や回復につながる面もあることに注意しなければならない 秩序と正義はそれぞれ幅の広い内容をもつ概念だが ここでは 国家間の秩序 と 人類の正義 として理解する 国家間の秩序は 国家の安全保障が問題となる領域である 人類の正義は 個人の人権保障や貧困 富の偏在などが問題となる領域だが そのうち人道的介入に直接関わる人権保障に焦点を絞って考えたい すなわち 本稿が注目する 秩序と正義の調和 とは 別の言葉にすれば 安全保障と人権保障の調和 でもある そもそも介入が秩序を揺るがすとはどういうことか 第一に それは法秩序を揺るがす ド (Inis L. Claude, Jr.) はこう述べている 政治は単に権力をめぐる闘争というだけではなく 正統性をめぐる争い 正統性の付与 拒絶 承認 撤回が重要な問題となる競争でもある Claude (1966), p こうした見方は 以下の拙論での議論がもとになっている 小松 (2004a) 矢口も 人道的介入を理解する上での英国学派の有効性に関する論文において 秩序と正義の接近 というタイトルの節で同じ主旨のことを論じており ここでの参考にした 矢口 (2003) 頁 16

17 すなわち 介入は秩序維持のための二大原則 内政不干渉原則と武力不行使原則の規範力を弱めてしまう そのことは将来 別の介入の誘因になるかもしれない もちろん安保理決議を踏まえた介入ならばこうした危険性は少ないが それでも二大原則を一時的に制限することへの抵抗感を弱めるという意味では 本質的に法秩序を揺るがす効果があることに変わりはない 第二に 介入は現実の秩序を揺るがす 何よりもまず ある国家が他国に軍隊を送り込んで戦うことや空爆することそれ自体が 秩序の動揺となる それを別にしても 介入によって紛争が激化 拡大して周辺諸国に飛び火する危険がある あるいは 紛争の激化 拡大によって大量の難民が発生し それが周辺国に流出することで地域秩序を動揺させることもあり得る 場合によっては 介入国と被介入国にとどまらず世界中で緊張関係が高まるかもしれない 以上のように 介入は 2 つの意味において秩序を揺るがす しかしながら 少し角度を変えて見ると 同じ介入が 秩序と正義の調和 を目指す行為として浮かび上がってくる それは 介入が始まる前から すでに人道的危機が秩序ないし国家の安全保障に悪影響を及ぼしているという事実に関係する 例えば 往々にして人道的危機は周辺国への大量の難民流出や紛争の拡大 ( の恐れ ) によって地域秩序を脅かし ひいては国際秩序全体をも揺るがす 少数民族の独立運動が内戦を引き起こし そこから人道的危機が派生している場合 それは主権国家の分裂の危険性をはらんでいるという意味で 国際秩序にとって少なくとも潜在的には深刻な問題である アメリカやイギリスなど主要な介入国の立場に立ってみれば 人道的危機に効果的に対処できていないとの国際的批判が高まると 大国としての威信や信頼性が損なわれ 長期的には安全保障上の悪影響を被ることになる このように 人道的危機が秩序に及ぼす悪影響は介入の所与の条件として存在する 従って 介入主体は必然的に 秩序と正義の調和 を迫られる つまり 正義に関わる問題と秩序に関わる問題の両方をまとめて解決しなければならない これに関連して 1 つ付け加えると 平和に対する脅威 の認定では しばしば人道的危機それ自体だけではなく 地域秩序ないし国際秩序へのその対外的影響も含めて脅威の構成要因とされる 34 すなわち 安保理は正義に関わる問題と秩序に関わる問題が実態として不可分であると認識し 両者をセットで対処すべき脅威として位置づけるのである 人道的介入が 秩序と正義の調和 を目指す行為であるという見方は 正統性の観点からも説明できる 今日 秩序維持のための二大原則 内政不干渉原則と武力不行使原則が確立している以上 介入国は介入の正統性を高めるために秩序にも一定の配慮をしなければならない すなわち介入は 秩序に対する影響を最小限にとどめる形で行われるか あ 34 松井はソマリア ボスニア ルワンダの 3 事例を検討した上でこう結論づけている これらの事例において安保理事会が 一国内の重大な人権侵害を たとえ国境を越える影響がなくても平和に対する脅威を構成するものと認めたのかどうかについては まだ未確定である 松井 (1996b) 頁 この点については以下も参照 青井 (1996) 頁 17

18 るいは秩序の回復にもつながることが認められるかして 初めて国際的に許容される可能性が出てくる そのようにして 人道的介入には正統性を得るための 1 つのアプローチとして秩序の観点が盛り込まれる 上述のような脅威認定における複眼的な視点の導入も その具体例として見なせよう もちろん 人道的介入において 秩序と正義の調和 が常に保証されているわけではない あくまでそれは介入の方向性である あるいは課題といってもよい 秩序と正義の調和 という課題が介入主体の行動を根本で規定し 介入のあり方を大きく左右するのである ここからさらに議論を進めれば 介入主体が目指す 秩序と正義の調和 の形が 介入の具体的な目的の設定を強く条件づけるということになるだろう 一般論としていえば 人道的介入の目的は人道的危機を緩和 解決することだが 個々の事例ごとに具体的な目的は異なる 例えば人道援助活動を支援すること あるいは特定の和平案を紛争当事者に受け入れさせて 危機をもたらした紛争を政治的に解決することである そうした目的を設定する時に 介入国は秩序と正義をどう調和させるか 秩序への影響を最小限にとどめながら正義を実現できるか 秩序の回復と正義の実現を同時に追求できるのかといった問いに思いをめぐらすのである 但し そうはいっても介入が法秩序と現実の秩序に悪影響を及ぼす事実は変わらない 従って 秩序と正義の調和 にも限界があり その意味で人道的介入は不完全な行為である しかしながら 不完全であるからという理由でそれを見限ることが 必ずしも妥当とはいえない 介入の不完全さを認めつつも なおそれによって人道的危機を緩和 解決できる可能性を模索する試みがあっても良いだろう 本稿はその試みの 1 つである 以上のように 人道的介入は 4 つの特徴 人道性という本質 不確実な正統性という限界 軍事資源の調達における制約 秩序と正義の調和 という方向性 を有する行為である 本稿の議論は このような人道的介入像を前提として進められる 第 2 節研究の目的 従来 人道的介入は秩序と正義のジレンマを我々に突きつける研究テーマとして多くの関心を集め その是非 すなわち正統性をめぐって数多くの研究が蓄積されてきた しかしこれとは対照的に あまり取り上げられてこなかった論点がある 実効性である すなわち どのようにしたら成功するのか といった視点から介入が検討されることは稀だったのである 先述のように 人道的介入の特徴の 1 つに 軍事資源の調達における制約 があるならば 実効性は不確実だと言えそうではある だが そう結論づけるにはまだ十分な実証が あるいは研究の蓄積が足りないように思われる ある意味ではそれも当然のことかもしれない というのも 人道的介入は長らく妥当な政策オプションというよりも疑惑の対象として見られてきたのであり 35 そのようなものの 35 大沼によれば 年代頃から欧米の一部の学者が人道的干渉 ( 彼は 介入 では 18

19 実効性の問題を真正面から取り上げようという気運が高まるとは考えにくいからである だが今や時代は変わった 1990 年代以降 国際社会は人道的介入を 1 つの政策オプションとして確立できないかと 試行錯誤を続けている そうした状況を踏まえれば 今人道的介入の実効性について研究することには大きな意義が認められよう 本節では 人道的介入に関する先行研究の検討を通じて残された研究課題 実効性の問題 を明らかにし そこから研究の目的の提示へと議論を進めていきたい (1) 先行研究の検討 (a) 正統性への偏り 従来 人道的介入の研究の主要な論点は秩序と正義のジレンマ 主権と人権の緊張関係であった 人権を守るために主権を制限し 介入することは是か非か もし是とするならばどのような根拠や条件に拠るのか こうした問いをめぐって多くの議論が展開されてきたのである つまり人道的介入の正統性が主要な論点であった 本章の冒頭で引用したように ボダンが人道的介入について論じた章のタイトルは 僭主の殺害を試みること 彼 の死後に彼の法令を無効にすること 廃棄することは合法か否か[ 傍点筆者 ] となっている やはり問われていたのは介入の正統性である ボダン以降は主に国際法学者が中心となってこの議論を発展させてきた 17 世紀以降 主権国家体制の確立に伴って国際法が発展する中で 各国家がお互いに主権を尊重するという内政不干渉原則が確立されたため それに挑戦する介入という行為をどう評価するかが 国際法学者にとって避けて通れない問題となったのである 加えて 20 世紀になって武力不行使原則が確立されたことにより この問題の重みは一層増すこととなった 結局 1990 年代まで人道的介入の研究をリードしてきたのは国際法学だった 36 このことと 研究が正統性の問題を中心に展開してきたことは表裏一体の関係にあったといえよう もちろん 国際関係論の分野でも人道的介入の研究はなされてきた とりわけ重要な研究成果を残してきたのが英国学派である 37 英国学派は大きく多元主義(pluralism) と連 なく 干渉 を使う ) を認めるべきだと主張するようになったが 大国による濫用の危険性への懸念からそれが主流になることはなかったという 大沼 (2001) 7 頁 篠田も以下のように述べる 冷戦時代を通じて 人道的介入は 国際法秩序の完全な外部に位置していた 人道性を理由に介入する国家は事実上皆無であり 人道的介入を擁護する議論は 空想的なものとみなされた 篠田 (2003b) 47 頁 36 Wheeler (2000a), p. 2. 大沼も 国際政治学や外交史も介入の問題を扱ってきたが 主な研究は国際法学の分野で行われてきたとしている 大沼 (2001) 4 頁 国際法学の分野における代表的な先行研究としては 以下の文献がある Chesterman (2001); Franck and Rodley (1973); Lillich (1973); Moore (1974); Teson (1997); 松田 (1975) 37 人道的介入に関する英国学派の主要な業績としては 以下の文献がある ( 介入一般に関する研究の中で人道的介入を扱っているものを含む ) Bull (1984); Mayall (1996); Wheeler 19

20 帯主義 (solidarism) に立場が分かれているが 38 それぞれの立場から介入の正統性をめぐって議論が展開されてきた 簡単にいえば 多元主義は国家間社会の秩序ないし国家の安全保障を重んじる立場であり 連帯主義は人類正義ないし個人の人権保障を重んじる立場である 多元主義の立場に立つブル (Hedley Bull) は言う 正義が そのあらゆる形において 秩序が背景にあってはじめて実現可能だということは間違いない 社会生活の進歩的あるいは二次的な目標 [= 正義 ] が達成されるのは 基本的あるいは主要な目標 [= 秩序 ] がある程度与えられる 社会活動の様式が存在している場合だけである 39 これに対して連帯主義の立場に立つウィーラー (Nicholas J. Wheeler) は 国益の保護 国際秩序の促進 そして人権 [ 保障 ] の強制の間にはしばしば相互に両立性が存在する 40 と主張する 当然 人道的介入については多元主義が否定的で 連帯主義が肯定的となる 確かに 1990 年代の介入事例を見る限り ウィーラーの主張は正しいように思われる というのも 先述のように秩序と正義の緊張関係よりも両立性ないし調和こそが 人道的介入の方向性だからである その意味で 本稿の立場は英国学派の文脈に当てはめれば連帯主義ということになる 多元主義 連帯主義の論争はともかく さしあたってここで強調したいのは 人道的介入の研究における英国学派の関心が正統性の問題に集中していたということである 英国学派以外でも国際関係論の分野で 介入の正統性を論じた先行研究は少なくない 例えば フィネモア (Martha Finnemore) はコンストラクティビズムの立場から 歴史的に見て多国間主義が介入の正統性にとって次第に重要になってきたことを明らかにしている 41 またウェイスは 先述の 保護する責任 論や主権 内政不干渉原則 人権法 人道法など 介入の正統性にまつわる諸々の要素にバランスよく目配りをしながら 今日の国際社会における介入の位置づけを示している 42 国際法学と国際関係論の両分野において 人道的介入の正統性をめぐる議論には相当な蓄積がある それを象徴するのが 正統性の評価基準が定まってきたという事実である 具体的には 安保理決議の有無 と 正戦論的条件 という 2 つの基準が一般的となってきた まず 人道的介入が武力を用いる行為である以上 今日その正統性にとって安保理決議 (1992); Wheeler (2000a). 人道的介入の研究に関しては アメリカの国際政治学より英国学派の方が適しているという見方もある 矢口 (2003) なお 本稿では国際法学の研究と国際関係論の研究を区別しているが 後者が国際法を無視しているというわけではない 特に英国学派は ( アメリカの国際関係論と比べると ) 国際法に重きを置く学派として知られている 38 多元主義と連帯主義については以下を参照 Mayall (1996), pp. 3-5; Wheeler and Dunne (1996). 39 Bull (2002), p Wheeler (2000a), p Finnemore (2003), ch Weiss (2007). 20

21 が重要であることについてはほとんど異論がない もちろん どの程度重要かということについては意見の違いが残るものの 43 決議の採択が望ましいことはほとんど全ての論者が認めている点である 44 そもそも 人道的介入が冷戦後の国際社会における新しい問題として浮上してきた背景の 1 つには 国連安保理の活性化がある 冷戦が終わったことで今や安保理は東西対立の論理に縛られることなく 紛争や人道的危機を緩和 解決するための最終手段として武力行使を決断できるようになった そうして 過去に疑念の目で見られつづけてきた人道的介入という行為が 安保理決議というお墨付きを得ることで 1 つの政策オプションとして認められるようになったのである 次に 安保理決議の有無とは別に 介入が具体的にどのような状況下で行われるべきかを考える際に参照されるのが正戦論的条件 すなわち正戦論の伝統を受け継ぐいくつかの条件である 論者によって多少のばらつきはあるが 一般的に人道的介入は以下の条件を満たせば正統性が高まると考えられている 45 正しい理由: 人道的危機 46は極限レベルまで悪化しているか 正しい目的: 介入側の主要な目的は 人道的危機を緩和 解決することか 最終性: 考えられる限りの非軍事的手段が尽くされたか 均衡性: 計画されている介入は必要最低限のものか 成功の見込み: 介入が成功する十分な見込みがあるか このように 人道的介入の正統性をめぐる議論は 安保理決議と正戦論的条件を基準に 43 例えばウィーラーは 正統性の条件を 最低条件 と 追加条件 に分け 安保理決議を後者に分類している つまり安保理決議は必要不可欠とされていない Wheeler (2000a), pp 東郷 (2001) では 日米仏 3 ヶ国の有識者を対象に行われた 人道的介入における安保理決議の必要性 に関するアンケートの結果が見られる 結果は 日本が 57.6% アメリカが 30% フランスが 60% である 東郷 (2001) 頁 44 この点は冷戦期の論争から変わっていない ちなみに 決議のない場合の介入も認められるべきと考える論者は 決議に基づく介入は非現実的であると批判していた 松井 (1996a) 46 頁 なお 松井自身は決議のない介入について否定的である 45 ICISS (2001), pp ; Report of the Secretary-General (2005), p. 33; SG High-level Panel (2004), p. 67; Murphy (1996), pp ; Wheeler (2000a), pp 人道的危機とは 一般的には大規模かつ深刻な人権侵害 人道法違反 ( その結果としての難民の大量発生を含む場合も多い ) を意味する言葉だが 厳密な定義が与えられてきたわけではない 人権侵害 人道法違反がその残酷さや地域的広がり 犠牲者の数などの面でどの程度のレベルに達したら人道的危機となるのかについて 明確な基準があるわけではない ここではさしあたって 国際社会が介入を真剣に検討せざるを得ないところまで悪化した人権侵害 人道法違反という理解にとどめておく ちなみに英語では humanitarian crisis humanitarian disaster humanitarian catastrophe といった言葉が用いられる また 危機の多くが政治的 経済的要因と社会 文化的要因がからみ合うものであるところから 複合的な人道的非常事態 (complex humanitarian emergencies: CHEs) と呼ばれることもある 星野 (2003a) 3 頁 21

22 評価するという原則を示すに至った もちろんそれでも個々のケースに関する評価にはば らつきがでるだろう いずれにせよ 原則的な部分で議論が成熟している点は注目してよい (b) 正統性から実効性へ : 研究の重点のシフト ところが 正統性と並んで重要な問題であるはずの実効性に目を向けてみると 状況は大きく異なる これは非常に重要なこととして強調しておきたい点だが 正統性とは対照的に実効性をめぐる議論はあまり発展しておらず 原則的な部分において収斂する気配もまだないのである 47 上記の正戦論的条件の中に実効性の項目( 成功の見込み ) が含まれてはいるものの 実際にそれがどのように判断できるのかということは真剣に検討されてこなかったといってよい 人道的介入はどのようにしたら成功するのか 我々はまだ十分な見通しを立てられずにいる これが本研究の根本的な問題意識である 先行研究が実効性の問題に全く言及しなかったわけではない そもそも これまで人道的介入の研究の主要な論点が正統性であったとはいえ それが全てではない 単に正統性を問うだけではない 実に様々なアプローチによる研究がなされてきた 例えば 介入の軍事面にスポットを当てた研究がある 48 あるいは 複数の事例に共通して 一定の地域を 安全地域 として設定する戦略が採用されていた点に注目し そこに照準を絞った研究もある 49 また 介入に関するアメリカの政策過程を分析した研究も少なくない 50 国連の役割について考察したものもある 51 当然ながら 個々の事例の経緯を細かく追った事例研究 ( あるいはそれを複数まとめたもの ) も数多く存在する 52 その他 多岐にわたるトピックを含む論文集もいくつか出されてきた 53 こうした諸々の研究においても 介入がなぜ どのようにして成功したか しなかったかという問題は明示的あるいは暗示的にしばしば重要な論点の 1 つになっている それにも関わらず実効性をめぐる議論が発展してこなかったといえるのは 個々の事例に共通する何らかの一般的知見を導き出す努力が不十分だったという意味においてである 54 すなわち 一般的観点から実効性の問題を深く掘り下げ 47 一つ象徴的な例を挙げると 先述の IICK の報告書の中で コソボ介入をめぐって浮上した複数の問いが列挙されているが 実効性に関するものはそこに含まれていない IICK (2000), p Byman and Waxman (2000); Lambeth (2001); Henriksen (2007); Owen (2000). 49 Yamashita (2004). 50 Daalder (2000); Rutherford (2008). 51 Murphy (1996); Sarooshi (1999). 52 Burg and Shoup (1999); Clarke and Herbst (1997); Daalder and O Hanlon (2000); DiPrizio (2002); Gow (1997); von Hippel (2000); Hirsch and Oakley (1995); IICK (2000); Lyons and Samatar (1995); Mayall (1996); Wilson (2009). 53 Holzgrefe and Keohane (2003); Moore (1998); Welsh (2004). 54 例えば一つ例を挙げると ダムロシュは編著の序章で 法 制度の面で 我々の研究は 正統性と実効性の両方に関わる問題を問うている (p. 13) と書きながら 結論の章で実効 22

23 て考えることが 大きな研究課題として残されている 本稿はこの課題に取り組むものである 今 人道的介入の研究の重点を正統性から実効性にシフトさせる必要がある もっとも この課題に取り組む研究が近年現れはじめていることも事実である その重要なものとしてセイボルト (Taylor B. Seybolt) の研究がある 55 彼は本稿と同じ問題意識を共有して 以下のように述べている ソマリア ボスニア ヘルツェゴビナ ルワンダ コソボやその他での介入について評価することは非常に価値のあることだが 単一事例の研究は一般的に適用可能な教訓を即座に提供しない 実効性の問題を深く掘り下げたいくつかの比較事例研究も 正統性の問題あるいはコスト ベネフィットのバランスを見てはいるものの 将来の介入に期待できる実効性を判断するための一連の基準を提供しようとはしなかった 56 この先行研究は 事例としてイラク ソマリア ボスニア ルワンダ コソボ 東ティモールを扱い 主に介入の軍事戦略に焦点を当てて反実仮想などの手法を用いながら 介入の結果について詳細な数値データ ( 犠牲者の数など ) でもって成功 失敗を評価するものである また その際に介入を 4 つの類型に分けることによって 諸事例を統一的に捉えようとしている 4 つの類型とは 1 人道援助活動の支援 2 人道援助活動の保護 3 犠牲者の救援 4 加害者の打倒である 57 これは 介入の実効性に関する一般的知見を得るための新しい試みとして大きな意義がある ただし 軍事戦略に焦点を当てた 結果 重視の研究である反面 その結果に至るまでの政治的なプロセス ( 政策決定者の行動や発言 外交交渉の展開 武力行使をめぐる議論など ) にはあまり注意が払われていない そこで本稿では後述のように その部分を重視することによって実効性に関する研究をさらに発展させていきたい ところで そもそも介入はすべきでないという立場に立つのならば わざわざ実効性の問題について考える必要はないのかもしれない その意味で 当然本稿は 介入は必要な時もある との立場に立つものである 先述の 保護する責任 論が象徴するように 今日の国際社会では全体として 少なくとも過去と比べたら介入を許容する素地が広がっている そのような流れの中で これまでは意識的 無意識的に避けられてきた実効性の研究に取り組む気運が高まっている 本稿はそうした現状を意識しつつ 介入は必要な時もある という立場から出発して議論を展開していく もちろんそれは無条件に介入を肯定する立場ではない 武力行使という手段の危険性を認めつつも 時にその選択肢しか残されない極限状態が訪れるとするならば 少しでも実効性にまつわる不確定要素を減らす努力があっても良いのではないかと考えるのである 性に関して何らかの一般的知見を提示しているわけではない Damrosch (1993). 55 Seybolt (2007). 56 Ibid., p Ibid., pp

24 (2) 研究の目的 (a) 実効性に関する有益な一般的知見 本稿の目的は 人道的介入における武力行使の実効性について 武力行使と外交交渉の関係 ( 軍事 外交関係 ) という観点から有益な一般的知見を得ることとする 有益な一般的知見 とは 介入がどのようにしたら成功するのかという問題を考える際に役立つ手がかりを意味する 具体的な議論の進め方としては 1990 年代の人道的介入における武力行使はなぜ成功 失敗したのか という問いを立て ソマリア ボスニア ヘルツェゴビ ナ コソボの 3 事例を軍事 外交関係に焦点を当てて検討する ここで 人道的介入にお ける武力行使 という言い方や 武力行使と外交交渉を並べていることについて説明が必要であろう これは 本稿では人道的介入を武力行使の一形態としてではなく 諸々の活動からなる複合的プロセスとして捉えて その中での武力行使と外交交渉の関係に注目するからである この点については次節で詳しく説明したい 本稿では 成功 失敗の評価はある程度所与の条件として位置づけられる もちろんその評価自体が論争的なテーマになるわけだが ここではそれよりも なぜ の部分 すなわち成功 失敗という結果に至る政治的なプロセスの解明の方に力点を置く さらにいえば なぜ に対する答え自体が上述の一般的知見の全てとはならない 答えに至るまでの考察 あるいは答えを踏まえた上での考察からも知見は得られるだろう その意味で なぜ の問いは 一般的知見を得るという研究の最終目的に到達するための足がかりである このような形で研究の目的と問いの関係性を設定することには 議論の深みを増す狙いがある 例えば ある事例が 成功 だったとしてもその理由をめぐる考察しだいでは 介入について楽観的な知見が得られるとは限らない つまり 個々の事例についての成功 / 失敗の評価が そのまま介入一般に関する楽観的 / 悲観的な知見につながるわけではないということである 重要なのは 各事例の成功 失敗という結果にとらわれすぎず そこに至るプロセスの詳細な検討を通じて説得力のある議論を展開させていくことである さらに付け加えれば 本稿で明らかにするのは軍事 外交関係の観点から見出せる成功 失敗の要因であり 成功 失敗の全ての要因ではない 軍事 外交関係の枠を出れば 成功 失敗を左右した事柄はさらに多く見つかるだろう その意味で より謙虚に言うならば 本稿が明らかにしようとするのは 軍事 外交関係の観点から見て 武力行使の成功を可能にした要因 失敗を促した要因だということになろう それは全てではないが しかし極めて重要なものであり だからこそそこから有益な一般的知見が導きだせるものと思われるのである 24

25 (b) 実効性の評価 成功 失敗の評価 すなわち実効性の評価は 介入主体が設定した武力行使の目的が実現されたか という観点から行う 人道的危機を緩和 解決するという基本目的は全ての介入事例に共通だが 介入主体がいざ武力行使を実施する時に定めるその目的の中身はケース バイ ケースで異なる 本稿ではそうした個々の目的を基準に実効性を評価する なお ここでいう目的とは政治目的 ( 例えば一般市民を守る 人道援助活動を支援する 和平案を受諾させる ) であって 軍事目的 ( 例えば敵のレーダー施設を破壊する ) とは区別される 介入主体の設定した目的を基準とすることには 異論があるかもしれない 1 つは 目的 ( の 1 つが ) が人道的とはいえない場合をどう扱うのかという異論である 実際 例えば 和平案を受諾させる という目的が掲げられる場合 それはどちらかといえば人道的というより政治的な目的であり 少なくとも人道以外の要素を含んでいる しかしながら そうした目的も 人道的危機の緩和 解決という基本目的が個々の事例の文脈に合わせて具体化されたものとみなせる 第 1 節で論じたように 本稿では 人道的介入において人道的な動機と政治的な動機が混在することを否定せず 介入が人道的危機の緩和 解決に向かっている実態を重視する そのような意味で本稿は 人道的とはいえない動機や目的の存在が問題をはらむ事実を認めつつも 1 つの研究アプローチとして 全体として介入が人道的危機の緩和 解決につながる道筋を模索するものである このことは 正統性よりも実効性の問題に重点を置く研究の基本方針の表れであるともいえよう 介入主体の設定した目的を基準とすることに対する異論として もう 1 つ考えられるのは その目的に縛られずもっと広い視点から 例えば人権状況の全般的な改善といった基準で実効性を検証するべきではないかというものであろう 確かに 介入主体の設定した目的が実現されようとも 紛争地域における全体としての人権状況はさして改善されないということは十分あり得る これについては 本稿よりも広い視点から実効性を評価した先述のセイボルトの研究やその他の先行研究を参照することで対応したい とはいっても 介入主体の設定した目的を基準に 狭く 実効性を評価することにも 少なくとも 2 つの意味がある 第一に そのように基準を限定的にすることで武力行使の実効性が測りやすくなる もし人権状況の改善や武力行使後の平和構築の進展具合などを基準に 広く 実効性を評価しようとしても そこには武力行使以外の諸々の要因が介在しすぎる懸念がある 本稿の研究対象があくまで武力行使である以上 こうした研究上の不確実性はできるだけ避けるのが得策だと思われる 第二に もし武力行使の目的が達成されたにも関わらず全体として人権状況が改善されないとなれば そのギャップの中に有益な知見が潜んでいる可能性がある 介入においては目的の設定自体に大きな課題が存在するのではないか 以上の意味で 実効性の評価の範囲を狭く限定したとしても 単にその評価を短絡的に結論に結びつけるのではなく そこからさらに議論を発展させること 25

26 ができれば 研究の意義は十分確保できるものと思われる もっとも 後に見るように上述の先行研究における実効性の評価と 本稿におけるそれは基本的には変わらない 従って 実際のところ介入主体の設定した目的を基準に実効性を評価することに 研究上大きな問題はないと思われる 最後に 副次的被害 ( コラテラル ダメージ ) の問題をどう考えるのかという異論もあるだろう たとえ目的が達成されようとも そこに至る過程で多大な副次的被害 ( 特に一般市民の犠牲 ) が発生していたら それをどう評価するのか 本稿では 目的が最終的に実現されたことをもって武力行使が成功したと評価するが そこに至る過程で発生した副次的被害にも目を向けて 多くの被害が出ている場合にはその意味で失敗でもあったと考える 要するに 目的を基準に実効性を評価するといっても 必ずしも 1 つの目的に 1 つの評価というわけではなく 具体的な文脈や時期を考慮に入れて多角的に評価するのである 例えば 第 4 章で扱うコソボの事例を見ると NATO によるユーゴスラビア空爆という武力行使の主目的は ユーゴのミロシェビッチ大統領 (Slovodan Milosevic) を相手にした外交交渉を進展させることであった 最終的にミロシェビッチが和平案を受諾して 人道的危機が終わったことを考えれば この武力行使は成功したといえる しかしながら 空爆が予想以上に長引いてその間多くの副次的被害が出たことを考えれば 少なくとも一時期は失敗していたと見ることもできる そのように 場合によっては 1 つの事例を単に成功例とするよりも失敗の側面も合わせて考えた方が より有益な知見が導き出せるだろう いずれにせよ 本稿の主眼は実効性の評価自体にあるわけではないので それについては基本的に先行研究や一般的評価を踏襲する 本稿が独自の課題として取り組むのは 成功 失敗という結果に至るまでの政治的なプロセスの解明である (c) 正統性の位置づけ なお 実効性に焦点を当てるとはいっても 正統性の問題を無視するわけではない 第 1 節で述べたように 人道的介入の特徴の 1 つである 不確実な正統性 が介入国の行動を制約する 従って 本稿における正統性の位置づけは 研究の中心テーマではないものの 実効性を左右する重要な要因の 1 つとなる その意味で 実効性に直接関わる限りにおいてのみ 実際に介入主体の行動を左右する部分に限定して 正統性の問題を扱う 具体的にいえば 正統性を 介入に対する国家の政府あるいは国際機関レベルでの支持 として限定的に捉え その支持を得ようとする努力 支持が得られる見込み 支持を得た / 得られなかった現実が武力行使のあり方 ひいては武力行使の実効性にどのような影響を及ぼすかに注目する 言い換えれば 正統性の問題として取り上げるのは その論理やそれに関わる価値や規範そのものの妥当性ではなく 介入の支持 反対をめぐる政治的な動きである つまり正統性を 国際社会における政治的な合意形成の問題として見る ここで用いられるのは 規範的アプローチ ではなく 記述的 実証的アプローチ であると 26

27 いう言い方もできよう つまり 先述の正戦論的条件のような規範的基準を当てはめて個々の介入の正統性を評価するのではなくて 各国政府や国連が介入をどの程度 なぜ支持したのか / しなかったのかを記述するのである 58 このような正統性へのアプローチを クラーク (Ian Clark) の言葉を借りて説明するならば以下のようになる ある国際的行動が正統なものか否かを尋ねることは 道徳哲学あるいは法学の問いを尋ねることではない それは 国際社会のメンバーによってその行動がどのように見られているかに関する事実の問いを尋ねることである たとえ その問いに対する簡単な事実の答えがないにしても 正統性と法的 道徳的原則をイコールで結ぶことは 政治の仕事がそれによって終わったかのように装うことである それは政治の仕事が始まる地点であって 終わるところではない 59 ハレル(Andrew Hurrell) も言う 正統性とは ある行動 ルール あるいは政治秩序がなぜ正しくて適切なのかについて説得力ある理由を示すことに関わるものである 60 確かに 介入 ( における武力行使 ) を各国政府が支持するか否かの判断には 人権や主権といった価値や規範の問題だけでなく具体的な政治的利害もからんでくる 例えば ロシアが介入に反対する理由として考えられるのは 内政不干渉原則や武力不行使原則といった規範を重視しているからということもあろうが それとは別に自分の勢力圏 ( ボスニア コソボ ) におけるNATOの単独行動が国益を損ねることへの反発や 自国の民族問題にもいずれ介入されかねないという懸念がある 61 逆に欧米諸国が介入を支持する理由には もちろん人権保障を重視するリベラルな価値観があるが それとは別に人道的危機が現実にヨーロッパやアメリカの安全保障を脅かしているという認識もある 介入に関わる諸々の価値や規範は 安全保障上の懸念など政治的要因と一体となって正統性を構成する あるいは 政治的文脈の中で解釈されて正統性へつながっていく 本稿ではこのように正統性のあり方をイメージする 要するに 本稿で問題となるのは規範的正統性というよりも政治的正統性である 再びクラークとハレルの言葉を引用しよう [ 規範的 ] 原則は合意を通じて緩和され またパワーの行使の影響を受ける 結果は本質的に政治的なものである 62 正統性は法的 道徳的議論が作り出す理想的世界の一部であると同時に 政治の汚い (messy) 世界の一部でもある 63 第 3 節研究の枠組 前節で少し触れたように 本稿は 人道的介入 というよりも 人道的介入における武 58 この部分は以下を参考にした Wilson (2009), pp Clark (2005), p Hurrell (2007), p 田中 (2000) 頁 62 Clark (2005), p Hurrell (2007), p

28 力行使 の実効性について 武力行使と外交交渉の関係 ( 軍事 外交関係 ) という観点から考えていくものである 普通 人道的介入といえば武力行使の一形態としてイメージされるが ここでは少し視野を広げて 諸々の活動からなる複合的プロセスとして捉える 64 そして その中で重要なのが武力行使と外交交渉であると考える 本節では この点の説明を中心に 第 2 章以降の事例研究で用いる枠組を示すこととしたい (1) 複合的プロセスとしての人道的介入 (a) 人道的介入の定義 一般的に 人道的介入は人道目的の武力行使 ( あるいは武力の威嚇 ) として考えられることが多い 先行研究を見ると 人道的介入は例えば以下のように定義されている 国家( あるいは国家集団 ) による その国家の国民ではない人間の基本的人権の広範かつ深刻な侵害を防止すること あるいは止めさせることを狙いとした その領土内で武力が使用されるところの国家の許可のない 国境を越えた武力の威嚇あるいは行使 65 国家 国家集団 あるいは国際機関による 対象国の国民を国際的に認められた人権の広範な侵害から守ることを主な目的とする 武力の威嚇あるいは行使 66 ある国の政府がその領土内に居住する人々に対し任意にかつ継続的に非人道的 残忍な取扱をする場合に 当該国の合意なしに第三国が個別 あるいは集団的にそのような状況下にある人々の保護のために武力行使 または武力による威嚇を行うこと 67 これに対して本稿では介入を 武力行使を含む様々な活動からなる複合的プロセスとして見る この点について まずは日本語の 干渉 と 介入 の使い分けの問題から考えてみたい 人道的介入とはhumanitarian interventionの訳であるが 大沼が指摘するように 国際法の用語法に従えばinterventionは 干渉 と訳すのが正しい 68 具体的には 武 64 筆者は 複合的プロセスとして介入をイメージした研究の一定の成果を以下の拙論にまとめている 小松 (2004b) 本稿はそれをさらに発展させたものである 65 Holzgrefe (2003), p Murphy (1996), p 青井 (1996) 23 頁 68 大沼 (2001) 3-6 頁 このことについては以下も参照 最上 (2001) 14 頁 28

29 力行使や経済制裁といった強制的な活動がそこに含まれる 従って 国際法上の議論との関連性や整合性を意識するならば 国際関係論のカテゴリーに入る本研究でも 人道的干渉 とするのが適切かもしれない しかしながら 逆に言えばそうした国際法的な意味での 干渉 の範囲を超えて視野を広げ もっと包括的に現実を見ようとするならば 干渉 より広い意味をもつ言葉としての 介入 の方が有用ではないだろうか つまり 武力行使や経済制裁といった強制的な活動に研究対象を限定せず 外交交渉や人道援助活動といった非強制的なものも対象に含めるならば 介入 という言葉が適切だと思われるのである 69 そして本稿は 先述のように武力行使と外交交渉の関係に焦点を当てるものである 従って 干渉 ではなく 介入 を用いたい さらに付け加えれば 日本語の 干渉 という言葉にしばしば否定的な意味合いがついてまわることを考えれば 逆に 介入 の方には肯定的 積極的な意味合いを与えることができよう 70 すなわちその言葉は 遠い外国で起きている悲劇に無関心でいられなくなったという 国際社会の意識の変化を含意するのである その意味でも 冷戦後の世界におけるhumanitarian interventionを論じる際の妥当な用語法だといえよう 同じように人道的介入を複合的プロセスとして捉える研究として ( 複合的プロセス という言葉自体は使われていない ) 例えばラムズボサムとウッドハウス(Oliver Ramsbotham and Tom Woodhouse) のものがある 71 彼らは介入を 強制的な行動と非強制的な行動の両方を含む 人間の苦難に対処するための 国際共同体による国境横断的な行動 と定義づけた上で 72 重要なのは介入するかしないかという二者択一ではなく 様々なオプションの中から何を選ぶのかだと論じる 他にも 星野が ( 人道的介入に限らず ) 介入をこう定義する 外部の主体( 国家 国際機構 NGOなど ) が 本来であれば対象国の管轄範囲内とされる事項に対し 国際の平和と安全の確保ないし回復という合目的的な理由により 当事国の同意 不同意の別なく 軍事的 非軍事的な手段により 国境を越えて実施する活動 73 東郷は どちらかといえば規範的な観点から 同じ介入像を描いている 74 紛争のない 69 篠田も 平和構築に関する著書の中で次のように述べる 平和構築は通常 紛争当事者あるいは少なくとも実効政府の合意を前提にして行われる そのため国際法でいう 干渉 にはあたらないと考えられる しかし政治的な意味での広義の 介入 を 国際社会がある国家の内政事項に関与して国家内部で活動することとすれば 平和構築は多くの場合 介入としての性格を持つことになる 篠田 (2003b) 頁 70 滝澤 (2001) 49 頁 注 (2) 71 Ramsbotham and Woodhouse (1996). 72 Ibid., p 星野 (2003a) 5-6 頁 74 東郷 (2000); (2001) 29

30 平和な世界を創造 維持していくことが人類の永遠のテーマであるならば その創造過程には多様なレベルや段階があって然るべきである 人道的介入 は その意味で従来型の軍事的で強制的な手段としての定義や範囲に止めることなく 国家の枠を超えて 広く多様な市民社会も関わる いわば人類益のための 中立 客観的な外交行動と位置づけていくべきではないかと考えられる 75 このように見ると 複合的プロセスというイメージ自体はそれほど目新しいものではないかもしれない しかしながら それを実質的に研究にいかしたもの すなわち人道的介入の実像を描くために役立てたものは少ない 恐らくその少ない例外として挙げられるのは 上述のラムズボサムとウッドハウスの研究 およびウェイスの研究である 76 これらはともに 軍事行動と人道援助活動の関係に焦点を当てている これに対して本稿は 後述するように 人道的介入を複合的プロセスとしてイメージした上で 武力行使と外交交渉の関係に注目するが そうしたアプローチはこれまでなかったものと思われる 人道的危機を目撃した国際社会は 様々な非強制的 強制的な活動 ( の組み合わせ ) を検討し 実践する これが本稿での人道的介入のイメージである より具体的に言えば 介入を構成する要素ないし活動としては 例えば武力行使 経済制裁 人道援助活動 外交交渉 PKOなどがある ただ そうすると 介入 の中に 干渉 (= 武力行使 経済制裁 ) があるということになるが 両方の用語を用いると議論が混乱する可能性が高い そこで本稿では 干渉 という言葉を避ける 複合的プロセスとしての 介入 があり その中の一構成要素 一段階として武力行使や経済制裁があるというように概念を整理して議論を進めたい 77 この整理を図に表せば 図 1.1. のようになる もちろんこの整理は理論上のもので 現実には 強制的 と 非強制的 の境界はしばしば曖昧になる PKO が武力行使に踏み切ることもあるし 外交交渉が武力行使や経済制裁による圧力をバックに進められることも多い いずれにせよ 本稿で 介入 という言葉を用いるのは そうした諸々の活動 ( とりわけ武力行使と外交交渉 ) が相互に作用しながら展開するところに注目するからである 75 東郷 (2000) 119 頁 76 Weiss (1999). 77 このように概念を整理すると では英語の表記上どう整理するかという問題が浮上する 単純には 干渉 =intervention 介入 =interference という使い分けが考えられる ただ 英語圏の人道的介入研究においてそのような区別は一般的ではない もう一つ考えられるのは 武力行使 経済制裁 = 狭義の intervention 武力行使 経済制裁 外交交渉 その他 = 広義の intervention という区別である この問題についてここでは深く掘り下げないが いずれにせよそうした研究の成果を英語で発表する際には 概念の区別について何らかの断りを入れる必要があるだろう なお 最上はこれとは違う切り口だが 狭義の介入 / 広義の介入 という区別をしている 最上 (2001) 50 頁 もっとも英語文献においても しばしば intervention が強制 非強制に関わらず様々な活動を含む概念として用いられる 例えば ハースの著作には以下のような記述が見られる 軍事力の使用は 外交 放送 投資 あるいは制裁といったような他の形の intervention のほとんどと異なっている Haass (1999), p

31 図 1.1. 人道的介入のイメージ 介入 強制的な活動 (= 干渉 ) 武力行使 経済制裁 武器禁輸 etc. 非強制的な活動 外交交渉 PKO 人道援助活動 etc. ここまでの議論を踏まえて 本稿における人道的介入の定義は次のものとする 人道的介入は ある国家で発生した人道的危機を緩和 解決するために 他の国家や国際機関など諸主体が実施する様々な活動の総体 である このように人道的介入を定義した上で 本稿はその中の重要な一構成要素である武力行使に照準を定める つまり本稿の研究対象は 人道的介入という武力行使 ではなく 人道的介入における武力行使 である なお 論者によっては武力行使を容認する安保理決議のないケースに限定して 人道的介入 ( 干渉 ) という用語を用いる場合もあるが 本稿では決議の有無は介入の定義に関わらないものとする 78 一つ付け加えると 第 2 章以降の事例研究では 武力行使や外交交渉を担う主体を 介入主体 もしくは 介入側 と表現するが 基本的にこれは複数の国家や国連を含むものとする フィネモアが指摘したように 今や介入は多国間主義に基づくことが要請されるのであり 実際 武力行使に限ってみても必ず複数の主体が関与してくるのである (b) 武力行使 本稿が研究対象とする武力行使とは 国家の軍隊 ( 多国籍軍や PKO などの一部として行動する場合を含む ) がその軍事力でもって敵を攻撃することである それをさらに 任務の武力行使 と 自衛の武力行使 の 2 つに分けて考え ( ここでの自衛とは 国家の自衛 ではなく 部隊の自衛 である ) 主な研究対象は前者とする またそれは基本的に介入側の武力行使を意味する 武力行使とそれ以外の軍隊の行動の総称としては 軍事行動 を 78 人道的介入という言葉はどちらかといえば学問やジャーナリズムの世界のもので 現実の政治の中でそれほど使われるわけではない 少なくとも本稿で取り上げる事例において 介入の中心にいた政策決定者の発言や国連文書の中で 人道的介入という言葉が使われたことはほとんどないようである ボスニア介入で国連事務総長特別代表を務めた明石によれば 国連の中では人道的介入という 生煮え の言葉は意識的に避けられているという 筆者によるインタビュー 2007 年 1 月 15 日 この点については以下も参照 大沼 (2001) 4-5 頁 31

32 用いる 任務の武力行使 とは 介入部隊の任務を遂行するための武力行使である それには 2 つのケースが考えられる 1 つは 武力行使すなわち敵の攻撃それ自体が介入部隊の任務となっているケースである ( 図 1.2. の 任務 = 武力行使 ) この場合 介入部隊が紛争地域に乗り込んだ時点で 必ず武力行使が始まることになる もう 1 つは 武力行使が介入部隊の任務の遂行を支える補助的な手段になっているケースである ( 図 1.2. の 任務 > 武力行使 ) 例えば 介入部隊の任務が 人道援助活動にとって安全な環境の確立 とされ それを遂行する上で必要とあれば武力行使が認められているケースである この場合 介入部隊が紛争地域に乗り込んだとしても 武力が行使されるか否かは状況次第ということになる 自衛の武力行使 とは 文字通り介入部隊自身の身を守るための武力行使である ここでPKOの自衛原則について 確認しておいた方が良いだろう というのも 人道的介入の中でPKOが展開するケースがあり その時に自衛原則との関連で武力行使の位置づけがしばしば問題になるからである もともとPKOは国連憲章第 7 章の強制措置ないし武力行使とは切り離された活動であったが 冷戦後にその活動を活性化させていく中で 武力行使の権限を与えられるケースが増えてきた しかしながら そもそもPKOには自衛のための最低限の武力行使が認められている点に注意が必要である その武力行使の原則 すなわち自衛原則は狭義の自衛と広義の自衛の 2 つのカテゴリーに分かれる 79 狭義の自衛は PKO 要員自身の身を守るために武力を行使することであり 広義の自衛は任務の遂行を妨げるような攻撃に対する応戦として武力を行使することである そうすると広義の自衛は 形式的には上述の分類における 自衛の武力行使 に含まれるものの 実質的には 任務の武力行使 に近い 従って PKOに武力行使が認められているケースでは それがどちらの武力行使なのか慎重に見極める必要があるだろう 本稿で扱う事例でいえば ボスニア介入の中でこのケースが出てくる まとめるならば 本稿の研究対象である武力行使とは 任務を遂行するために軍事力でもって敵を攻撃することであり それが任務の全てである場合もあるし 任務の遂行を支える手段として位置づけられる場合もある ( 自衛の武力行使に言及する際には その旨の断りを入れる また 議論を進めていく上で必要な限りにおいて 適宜その他の軍事行動および武力の威嚇についても言及する ) このような意味での武力行使がなぜ成功 失敗したのか 本稿は この問いの答えを軍事 外交関係の中に見出そうとするものである (c) 外交交渉 本稿で 外交交渉 という場合 それは介入側と被介入側 ( 紛争当事者 ) の間で紛争の政治的解決を目指して行われる交渉を指す ( 介入側が紛争当事者間の仲介役を務める場合 79 この部分は以下を参考にしている 酒井 (1995) 頁 32

33 図 1.2. 武力行使の種類 軍事行動 武力行使以外 武力行使 ( 部隊の ) 自衛の武力行使任務の武力行使 任務 = 武力行使 任務 > 武力行使 も含む ) 停戦やその他暫定的な事柄のみをめぐる交渉は 基本的に別のものとする そもそもなぜ武力行使の実効性を考える上で 外交交渉との関係に着目するのか それは 大きく 2 つの点で 外交交渉が武力行使のあり方を大きく左右するからである 第一に 外交交渉の限界や失敗が武力行使を要請することを考えれば どのような交渉が行われていたか 行われているか またどのようにして交渉が打ち切られたのかといった経緯は 明らかに武力行使のあり方を強く方向づける 第二に 武力行使の目的 ( の 1 つ ) が外交交渉との関連で定められた場合 当然それは外交交渉との組み合わせを考えながら計画 実践される もちろん このことは人道的介入とは違う文脈での武力行使についても 大部分当てはまるだろう ただ その中でも人道的介入における外交交渉の重みはとりわけ大きいと思われる それは少なくとも 2 つの点からいえる 第一に 武力行使に対する介入国の慎重さや消極的な姿勢が 外交交渉の重要性を相対的に高める すなわち 第 1 節で述べたように 人道的介入において介入国は介入することに死活的な国益を見出すことができず 武力行使のコストとリスクに敏感にならざるを得ないので その分外交交渉には事態を打開する手段として強い期待がかけられる 第二に 人道的介入は相手を徹底的に叩き潰すような全面戦争とは違って 激しい内戦の中に分け入り 紛争当事者間の対立を調停し 人権状況を改善するという微妙なニュアンスを含んだ行為であるから 人や物を破壊する武力行使とは一線を画す 外交レベルでの取り組みが重要になってくる ケナン (George F. Kennan) は次のように書き残している 人を傷つけたり 殺したり 人の住居やその他の建物を破壊したりすることは それ自体ではいかなる民主的目的に対しても 積極的貢献をすることにならない 80 イギリスのハード元外相も 武力行使は破壊的な行為であ 80 ケナン (1991) 136 頁 33

34 るから それには何か別の建設的なものが伴わなければならないと語っている 81 外交交渉こそ 民主的目的に積極的貢献ができるプロセス 何か建設的なもの を作り上げていくプロセスである ところで 実はそもそも内戦や地域紛争を最終的に和平合意の成立によって終わらせるということ自体が 冷戦時代には稀だったとの指摘がある 国家内部の紛争が純粋に国内管轄事項とされ 国外の第三者が関与すべき問題ではないと考えられた時代には 国家の仕組みを決定する国内紛争当事者間の和平合意は あまり想定できなかった 冷戦時代には 国内の武力紛争が 国際社会の斡旋による和平合意によって終結することは稀であった しかし冷戦終結によって 国際社会は二極分裂を起こすことなく 共同で地域紛争解決のために紛争当事者間の和平合意締結を促進することができるようになった 82 だとすれば 和平合意の成立を目指す外交交渉に注目する研究は 国際政治の新しい側面に光を当てる意義をもつといえるだろう (d) 軍事 外交関係と軍事 外交戦略 : 直接アプローチと間接アプローチ 人道的介入という複合的プロセスにおける武力行使の実効性について考える上で 本稿が注目するのは武力行使と外交交渉の関係である これを便宜上 軍事 外交関係 と表記する場合もある さらに文脈によっては この言葉にもう少し広い意味をもたせる それは 武力行使を含む軍事行動全般と外交交渉の関係を指す時である すなわち本稿は 主に武力行使と外交交渉の関係を観察しながらも 必要に応じて軍事行動と外交交渉の関係にも目を向ける 例えば 図 1.2. の 任務 > 武力行使 のケース すなわち武力行使が介入部隊の任務の遂行を支える補助的な手段とされているケースでは 部隊の行動全体という意味での軍事行動が外交交渉とどのような関係にあるのか把握しておく必要があるだろう 簡単にいうと 本稿において 軍事 外交関係 は基本的に 武力行使と外交交渉の関係 を意味するが 文脈によって 軍事行動と外交交渉の関係 を意味する場合もある ( 下記の 軍事 外交戦略 についても同じとする ) これについては適宜説明を補っていきたい 軍事 外交関係とは別に 軍事 外交戦略という言葉を使うこともある これが意味するのは 武力行使 ( 軍事行動 ) と外交交渉をどう組み合わせるか あるいは切り離すかということについて アメリカや NATO などの介入主体が明確な意図をもって形成する戦略 81 筆者によるインタビュー 2007 年 1 月 29 日 82 篠田 (2003b) 頁 34

35 1 武力行使 ( 軍事行動 ) と外交交渉の切り離し / 組み合わせ 2 武力行使の目的 3 武力行使の内容 ( 規模 標的 進め方など ) である 但し それは何らかの文書や政策として実在する 戦略 と必ずしもイコールではなく 客観的に観察される介入主体の意識や構想を総称して用いる概念である 軍事 外交関係の方がより包括的な言葉で 介入主体の意図せざる事態の展開も含め 軍事行動と外交交渉にまつわる事柄全般を意味する 従って 戦略 は 関係 の一部となる 軍事 外交戦略は 以下 3 つの要素から構成されるものとする このうち 戦略のベースとなるのは1である というのも それが定まって初めて2と 3の検討が可能になるからである 1が戦略の中核的要素であり 2と3は副次的要素であるといってもいいだろう そこで1に関しては 直接アプローチ 間接アプローチ という 2 つの類型を用いる 直接アプローチとは 武力行使を外交交渉と切り離し 前者だけで人道的危機の緩和 解決を目指すことである 間接アプローチとは 武力行使を外交交渉の手段として用い 外交交渉による紛争の政治的解決を通じて人道的危機の緩和 解決を目指すことである 要するに両アプローチの区別は 武力行使を人道的危機の緩和 解決につなげようとする時に その作用が直接危機に及ぶのか それとも外交交渉を経由して間接的に及ぶのかという違いである 2と3は武力行使自体にまつわる要素であり 軍事戦略 というべきものかもしれないが やはり1と密接に結びついていることを重視してここでは軍事 外交戦略に含めて考えたい 後の事例研究で明らかになるように 少なくとも政策決定者のレベルでは 武力行使の目的と内容は外交交渉との関係の中で決まるものなのである 介入の中で外交交渉が武力行使と並んで重要な活動であること ひいては軍事 外交関係が介入の重要な側面であることは疑いない ところが 人道的介入の先行研究において軍事 外交関係が重視されることはあまりなかった 個々の事例に関して軍事 外交関係に言及したものはあったが 83 それを人道的介入一般の重要な側面としてクローズアップし 深く掘り下げて考える試みはなされてこなかったと言ってよい 軍事 外交関係の観点から人道的介入を見ることには大きな意義があるといえるだろう (2) 事例の選択 2 章以降の議論では事例研究が中心となる 取り上げるのは 1990 年代の 3 事例 ( ソマリア ボスニア ヘルツェゴビナ コソボ ) である 軍事 外交関係の観点から各事例の介入プロセスを整理することを通じて 人道的介入における武力行使が成功 失敗した理由 83 例えば Burg and Shoup (1999), ch. 7; Henriksen (2007); 星野 (2000) 35

36 を明らかにし 最終的にはそこから武力行使の実効性に関する有益な一般的知見を導き出したい もちろん 冷戦後の人道的介入の事例はこれら 3 つが全てではない 先行研究を見てみれば 他にもイラク ( クルド人 シーア派の保護 ) ハイチ ルワンダ リベリア 東ティモール シエラレオネの事例がある ここでは 3 つの基準を設定して 数多くある事例の中から上記 3 つに絞った 第一の基準は 介入において 任務の武力行使 が実施されたことである そうするとハイチの事例がはずれる 同事例において アメリカ軍はハイチの港まで迫ったが ぎりぎりのところでハイチ側が譲歩したため武力行使は回避されている 第二の基準は その武力行使が 人道的介入とは違う軍事介入や戦争と直接の関わりをもたないことである ここではイラクの事例がはずれる というのも 湾岸戦争の後にクルド人およびシーア派の保護を目的として行われたイラク介入は アメリカなどの戦勝国が敗戦国の領土内でとった戦後政策であり その意味で同戦争の延長線上にあったからである 84 第三の基準は 介入においてアメリカが主導的な役割を担ったことである ここでルワンダ リベリア 東ティモール シエラレオネの事例が除外される 軍事力の面で見れば 今日世界のあらゆる地域で大規模な軍事介入を行えるのはアメリカだけである ハース (Richard N. Haass) は言う 軍事行動が敵対する超大国との衝突につながる危険から解放され アメリカは今 より自由に介入できるようになっている さらにいえば アメリカだけが多くの状況に対して とりわけ軍事的に困難な状況に対して決定的に介入できる手段をもっている 85 そうだとすれば 将来の介入について考える時に役立つ手がかりを得ようとする研究にとって アメリカ主導の介入は最優先で取り上げられるべき事例となる もちろん 他の事例も研究対象に含めた方が望ましいことは否定できない 本稿はその点を認識した上で まずはアメリカ主導の事例に的を絞って一定の結論を得ようとするものである 他の事例を含めたより包括的な研究は 今後の課題としたい なお ソマリアの事例に関しては 多国籍軍 統一タスクフォース (Unified Task Force: UNITAF) の希望回復作戦 (Operation Restore Hope) に研究対象を限定し その後に続いた PKO の第 2 次国連ソマリア活動 (UN Operation in Somalia II: UNOSOM II) は扱わない 先行研究では多くの場合 UNOSOM II も事例として取り上げられるが それは成立した和平合意に基づいて国の再建を目指すという 長期的ビジョンの下での取り組みであり グロチウスやヴァッテル以来の伝統的な議論が想定してきたケース 人道的危機を緩和 解決するための緊急措置 とはやや質を異にするものであり コソボおよびボスニアの例ともその点でズレがある このようなことから 本稿ではソマリアについては UNITAF のみを研究対象とする またボスニアの事例に関しては 2 つの異なるタイプの武力行使が実施されたので 1 つの事例の中に 2 つの段階があったものとして理解する す 84 この点については以下を参照 Jackson (1995), pp ; Roberts (1993), p Haass (1999), p

37 なわち ボスニア介入における武力行使には 限定空爆と周到な力作戦 (Operation Deliberate Force) という 2 つの段階があったのである (3) 資料 本稿のテーマは実効性だが 先述のようにその評価自体については セイボルトの研究をはじめとするいくつかの先行研究を参照する 全体的な議論を展開していく上では 人道的介入をテーマとした先行研究はもちろんのこと 必ずしも人道的介入がテーマとはいえないものの個々の事例を詳細に検討している研究も活用した ここでいう先行研究とは多くの場合国際関係論のカテゴリーに入るものだが それだけでなく国際法学のものも参考にしている 本稿が依拠する 1 次資料は大きく分けて 4 種類ある 1 つ目は 国際機関および政府の公式文書 声明である 中でも 国連事務総長の報告書 書簡は 基本的な事実関係の整理において重要な位置を占めている 安保理決議も 国際社会の認識や姿勢 そして軍事 外交戦略を理解する上で重要な手がかりとなる とりわけ重要な決議については その採択をめぐる協議の議事録も検討した アメリカ政府や国家グループ NATO などの文書 声明からは 介入国が何を目的に掲げていたのか どのような方針で外交交渉を進めようとしていたのかを知ることができる 2 つ目は 政策決定者 軍人の回顧録である 中でも 1 つの介入事例に特化して書かれた回顧録は 介入の実態や政策決定者 軍人の認識に関する詳細な資料として価値がある 3 つ目は 筆者自身が行った政策決定者へのインタビューで得たコメントである 介入の中枢にいた彼らから直接引き出したいくつかのコメントは 介入の重要な部分を明らかにしてくれると同時に 将来の介入を考える上で豊かな示唆を含んでいる そのような意味でこれは 本稿の議論の実証性と独自性を高める重要な要素となっている 4 つ目は 基本的な事実関係の確認に用いた 新聞 雑誌といったジャーナリズムの資料および Keesing's Record of World Events である これは 事例研究が中心となる本稿の議論のベースであり また他の資料には抜け落ちている細かな部分を補ってくれるものでもある 37

38 38

39 第 2 章ソマリア : 希望回復作戦 地図 2.1. ソマリア 出典 : 国連ホームページ ( 39

40 第 2 章ソマリア : 希望回復作戦 ソマリア介入は人道的介入の典型例である それは 人道的危機の発生が広く認知され なおかつ介入の人道性が国際的に認められたという意味においてである 内戦に端を発する人道的危機が多数の一般市民を襲い それに対処する政府がソマリアには存在しなかった そうした破綻国家の危機に対して まずは国連や非政府間国際組織 (non-governmental organization: NGO) が人道援助活動に乗り出し その停滞を経て 最終的にアメリカによる大規模な軍事介入へと至った アメリカは ソマリアという国にほとんど国益を有していなかったにも関わらず 多くの自国兵士を送り込んだ そして国際社会も この行動の人道性を認めて支持した 象徴的だったのは アメリカが率いた多国籍軍 UNITAF に 全会一致で採択された安保理決議により武力行使の権限が認められたことである 1992 年冬から翌年春にかけて行われた UNITAF の活動 希望回復作戦は一定の成果をあげた しかしながら注意すべきは アメリカが慎重に UNITAF の任務を限定的なものにしていたこと そしてそのしわ寄せが 国連の進めていた外交交渉に及んだことである アメリカは意図的に武力行使と外交交渉を切り離すことによって前者の成功を確保したが 2 つの活動の連携が欠如した結果 外交交渉および介入全体は失敗したのである ソマリア介入 ( 希望回復作戦 ) に関する先行研究で代表的なものを挙げるならば クラークとハーブスト (Walter Clarke and Jeffrey Herbst) ハーシュとオークリー(John L. Hirsch and Robert B. Oakley) ライアンズとサマタール(Terrence Lyons and Ahmed I. Samatar) そしてラザフォード(Kenneth R. Rutherford) の各研究である 1 その中で肯定的な評価を受けてきたのが UNITAF に明確な武力行使の権限が認められたこと UNITAFが人道的危機の緩和に寄与したことなどであり 逆に批判の的となってきたのは アメリカが武装解除を否定したこと UNITAFがUNOSOM IIに多くの難題を押し付けて撤退しことなどである これらは重要な指摘だが それでもまだソマリア介入の全体像を描く努力は不十分なように思われる そうした諸々のポイントを包括できる 議論の軸が必要ではないだろうか 本稿では 武力行使の限定性 がそれにあたると考える すなわち UNITAFの武力行使の限定性こそが ソマリア介入の成功と失敗の両方を説明できる根本的な要因なのである そしてこのことは 軍事 外交関係の観点からこの事例を見なければ正確に理解できないものである ライアンズとサマタールの研究を別とすれば 先行研究はソマリア介入における外交交渉にはあまり関心を寄せてこなかった しかし まさに外交交渉という要素にこそ ソマリア介入の全体像を把握するための手がかりが潜んでいる もちろん 希望回復作戦に関しては その限定性が成功の理由だったという指摘自体は目新しいものではない だが その詳細な内実を軍事 外交関係の観点から明らかにしたものはなかった ソマリア介入における武力行使の限定性の本質は 武力行使と外交交 1 Clarke and Herbst (1996); Clarke and Herbst (1997); Hirsch and Oakley (1995); Lyons and Samatar (1995); Rutherford (2008). 40

41 渉の関係に注目して初めて見えてくるものである 第 1 節紛争の概要 アフリカ大陸の東部に突き出たいわゆる アフリカの角 に位置するソマリアでは 1990 年代から現在まで無政府状態が続いている 本稿の研究対象は 1991~1993 年の紛争と人道的危機である 2 それは 冷戦後の国際政治を象徴する 1 つの出来事だったが その淵源は少なくとも冷戦期の中頃にまでさかのぼれる 1969 年 バーレ少将 (Siad Barre) が軍事クーデターによりこの国の政権を奪取し 以後 独裁体制を敷いてソ連モデルの社会主義プログラムを押し進めた だがソマリア経済は発展せず 1970 年代後半には隣国のエチオピアに侵略して敗退するという失策もあって ( オガデン戦争 ) 国民のバーレ政権に対する不満は募る一方となった 各地で様々な反政府組織が結成され ソマリアの政治情勢は次第に不安定さを増していった そして 1988 年に内戦が勃発 1991 年 1 月には 反政府組織の 1 つである統一ソマリア会議 (United Somali Congress: USC) がバーレ政権を打倒した 3 しかしソマリアは安定しなかった バーレ政権が崩壊した後にUSCが暫定政府を樹立したものの 11 月にはUSC 自体が内紛で分裂し ソマリア紛争は新しいステージに突入する 4 内紛の中核をなしていたのは アイディード将軍(Farah Aidid) とマハディ暫定大統領 (Ali Mahdi) の対立である 1990 年代初頭のソマリア紛争は 2 人のグループ間の政治的抗争を中心に展開することになる 血縁関係に基づく様々な氏族 支族 (clan, sub-clan) がそれぞれの利害から武装勢力としてこの抗争に加わり 全体としてソマリア紛争は非常に複雑な様相を呈することとなった そもそもソマリアでは 異なる氏族同士が政治権力をめぐって争うことが多かった アメリカの中央情報局 (Central Intelligence Agency) の分析によれば 氏族が支配するこの地域では 氏族は冷酷かつ自己陶酔的で 大きなビジョンも市民としての礼儀正しさという観念も持ち合わせていない 彼らが執着しているのはただ 1 つ 権力にしがみつきライバル氏族を追い出すことである そのためなら 行く手を阻む全ての人とモノを破壊してしまう 5 2 より厳密には ソマリア南部を中心に発生した紛争と人道的危機を研究対象とする UNITAF の活動範囲はソマリアの南部に限定されていた 北部では ソマリア国民運動 (Somalia National Movement) が北西部を ソマリア救済民主戦線 (Somalia Salvation Democratic Front) が北東部を支配していて一定の秩序を保っていたので アメリカも国連もそちらにはあまり関心を払わなかったのである Lyons and Samatar (1995), p バーレ政権の成立から崩壊までの経緯は以下が詳しい Lewis and Mayall (1996), pp ; 遠藤 (2007) 4 この間の経緯については以下を参照 Drysdale (1997), pp Halberstam (2002), p 但し 確かに 氏族 の観点から見ると分断された国家のイメージが強いソマリアだが 民族 の観点から見ると全く逆である すなわち この国は 41

42 さらに 政治的抗争に乗じて諸々の犯罪行為がはびこったことで混乱は一層深刻になり ソマリアは完全な無秩序に陥った 最もひどい時には 1 日に 3000 人が餓死し 70 万人の難民と 170 万人の避難民が発生した 年の 1 年間で死亡した人の数は 30 万人以上にのぼる 7 政治的抗争と犯罪が一緒くたになって行き着いた先は まさに 人道的危機 と呼ぶにふさわしい極限状態であった 1992 年 4 月の国連事務総長報告書は 当時のソマリアの状況をこう表現している 機能する政府は存在せず 政治的不安定が国中に広がっている 氏族間 氏族内の紛争をもたらした権力闘争は 町や都市を流血と暴力の悪夢に陥れた 8 危機に陥った人々を救うべく 国連の機関や赤十字国際委員会などの NGO がソマリアで人道援助活動を行っていたものの 極度に治安が悪化した状況下での活動は困難を極めた ソマリアに援助物資を持ち込んでも それを必要としている人に届けることが難しかったのである 1 つ付け加えるならば この人道的危機はソマリア自身にのみ関わる問題ではなかった というのも 夥しい数の難民がソマリア周辺の国に押し寄せ 地域秩序に少なからず動揺をもたらしていたからである 再び上記の事務総長報告書を見ると 以下のように書かれている ソマリアからのケニア ジブチ エチオピアへの難民の流出がすでに証明しているように ソマリアの人々が直面している現下の危機は地域的な影響ももたらしており そのような人々の移動がアフリカの角に及ぼす影響については深刻な懸念がある 9 ソマリアの危機は 人権保障に関わる問題であると同時に 周辺国や地域秩序の安全保障に関わる問題でもあった 但し 武力を伴う軍事介入へと向かう国際的な流れを形作ったのは 基本的に人権保障上の懸念である ( 第 4 節で詳述 ) すなわち 客観的事実として確かにソマリアの危機は安全保障上の問題でもあったが 介入側はもっぱらそれを人権保障上の問題として扱ったのである 国民の 90% がソマリア民族で そのほとんどがソマリア語を使用し 90% 以上がイスラム教スンニ派という アジア アフリカ諸国の中でも珍しい民族的にも言語的にも宗教的にもほぼ統一された国家である 柴田 (1993) 17 頁 6 滝澤 (2001) 50 頁 7 Wheeler (2000a), p 当時のソマリアの惨状については以下も参照 Clark (1993), pp UN Doc., S/23829/Add.1, April 21, 1992, para UN Doc., S/23829, April 21, 1992, para

43 第 2 節介入の構図 ソマリアの人道的危機は 機能する政府が存在しない 破綻国家 の中で発生したものである 政治的抗争と犯罪がからみ合う無秩序状態の中で 多くの一般市民が命を脅かされていた 実際に多くの人々が命を落とした 国際社会は そうした人々を救うために介入を決断したのである ソマリア介入における主な介入主体は アメリカと国連である 両者が人道的危機の主要因とみなしていたのは 政治的抗争に明け暮れる多数の武装勢力 中でもアイディードとマハディがそれぞれ率いるグループだった しかしながら 注意すべきは 彼らを武力で打倒することが介入の目的ではなかった点である アメリカや国連は 人道援助活動に関してもできる限り武装勢力の同意を得ようとしたし ソマリアの政治的再建のための和平会議においても 武装勢力を重要なアクターとして扱った 再建の大部分を武装勢力に頼った つまり ソマリア介入では 介入側 vs. 被介入側 という対立の構図はそれほど色濃くなかったのである アメリカと国連はあくまで介入の性格を人道的なものにとどめようとしたのであり 実際に介入はそのようなものであり続けた もちろん 後に見るように国連が中心となって進めた外交交渉に限っていえば 政治的な側面もあった だが武力行使ないし軍事行動は人道的なものであった ここでは アメリカ主導の軍事行動と国連主導の外交交渉という 2 つの活動が 並行して展開していたのである ところが両者の間には距離があった あるいは連携が築かれなかった このことこそ ソマリア介入における武力行使の実効性を考える上で重要なポイントとなる 第 3 節武力行使の経緯と概要 ソマリア介入における軍事行動は PKO の第 1 次国連ソマリア活動 (UN Operation in Somalia: UNOSOM I) から救援提供作戦 そして希望回復作戦と徐々に段階を踏んで展開した 最後の希望回復作戦において 武力行使が安保理決議によって認められた 本節では アメリカと国連の動きを中心に追いながら 軍事行動および武力行使に関わる基本的な事実関係を整理しておきたい (1)UNOSOM I と救援提供作戦 1991 年にソマリアで人道的危機が発生した時 当初の国際社会の反応は鈍かった 10 それがあまりにもひどすぎて手のつけようがなかったということもあるが 何よりも同時期にイラクとユーゴスラビアで国際的関心を集める大きな出来事があったために アフリカ 年のソマリア問題をめぐる国際社会の動きについては 以下を参照 Johnston and Dagne (1997), p. 192; Woods (1997), pp

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