APToolコンソーシアム (AUTOSARツールチェーンに関する共同研究 ) 名古屋大学大学院情報学研究科附属組込みシステム研究センター 最終更新日 :2018 年 6 月 4 日 1
目次 NCESの取組みと研究の形態 AUTOSAR Classic Platform(CP) の概要 NCESのCPに対する研究紹介 コンソーシアムの活動の取り組み 共同研究に対する参加形態 知的財産権の取り扱い 問い合わせ先 2
NCES の取組み NCES とは 名古屋大学大学院情報学研究科附属組込みシステム研究センター 大学が持つ技術シーズを用いて産業界が必要とする技術課題を解決する産学連携を基本とした組織 日本におけるAUTOSARの課題解決のため,NCESと複数企業によりコンソーシアム型共同研究組織を設立 2011 年度 2013 年度 :ATK2コンソーシアム 2014 年度 2016 年度 :APコンソーシアム 2017 年度 :A2Pコンソーシアム 教員 / 研究者 コンソーシアム型共同研究組織 研究者 / 技術者 ( 共同研究員 ) 市場ニーズの把握 国内産業への貢献 知見取得 技術者育成 開発投資の軽減 NCES AP コンソーシアム : 参加企業 車載制御システム向け高品質プラットフォームに関するコンソーシアム型共同研究 の略称 3
AUTOSAR Classic Platform(CP) とは 車載制御向けソフトウェアのプラットフォーム OS やミドルウェアから成る BSW とソフトウェアコンポーネント (SW- C) 間を静的に結合させる RTE がある AUTOSAR メソドロジと呼ぶ, 開発方法論まで定義 Application Layer Runtime Environment (RTE) BSW(Basic Software) System Services Memory Services Communicatio n Services I/O Hardware Abstractio n Complex Drivers OS Onboard Device Abstraction Microcontroller Drivers Memory Hardware Abstraction Memory Drivers Communication Hardware Abstraction COM Drivers IO Drivers 赤字は AP コンソーシアムでの開発成果範囲 Microcontroller 4
ATK2 コンソーシアム (FY11-13) 正式名称 次世代車載システム向け RTOS の仕様検討及び開発に関するコンソーシアム型共同研究 実施内容 AUTOSAR OS 仕様をベースとした RTOS とその検証スイートの研究 開発 CAN 通信スタック,RTE ジェネレータの開発 実施期間 2011 年度 2013 年度の 3 年間で実施 研究開発成果の取扱い 開発した RTOS,CAN 通信スタック,RTE ジェネレータは, TOPPERS プロジェクトから公開 検証スイートと設計書は, コンソーシアム参加企業は自由に使用できる. 参加企業以外には有償でライセンス 5
AP コンソーシアム (FY14-16) 研究開発の活動 複数の企業が参加するコンソーシアム型の共同研究 市場ニーズに合致する軽量で高品質な SPF の開発 場合によっては AUTOSAR 仕様からの大幅な改良も検討 他の BSW 開発, インテグレーションのためのツールも整備 開発 SPF は TOPPERS プロジェクトから公開 活動概要 (2014 年度 ) TOPPERS/ATK2 の機能安全規格への対応 時間パーティショニング機能の検討 開発 AUTOSAR 仕様の時間保護機能を持った OS 開発と NCES 独自仕様の時間保護機能を持った OS 開発の開発 BSW モジュールの開発 COM スタックの拡充 WDG スタックの開発 RTE ジェネレータの拡張およびインテグレーションの整備 6
AUTOSARツールチェーンの研究背景 AUTOSARの導入とメリット BSWとの分離 RTE 導入によるの再利用性向上 メソドロジによる開発プロセスの確立 メリットはあるが 上流設計情報が無いとインテグレーション時にすべてしわ寄せがきてしまう 特に AUTOSAR へのマイグレーションにおいてボトムアップで行う場合にはすべてを把握してインテグレーションをする必要がある 既存の車載プラットフォームが AUTOSAR に対応する上流設計情報を持っているわけではない 7
AUTOSARを用いたフレームワーク開発の概要 AUTOSARアプローチ VFB view Description Description Description AUTOSAR n AUTOSAR 3 AUTOSAR 2 AUTOSAR 1... Virtual Functional Bus System Contraint Description Tool supporting deployment of SW components ECU Descriptions Mapping ECU I ECU II ECU m... AUTOSAR n AUTOSAR 2 AUTOSAR 3 AUTOSAR 1 アプリケーションを ソフ ト ウェア部品 として Virtual Functional Busで接 続した形で論理的に記述 ツールにより ネットワーク で接続されたECU群にマッピ ング その際に ECU記述とシステ ム制約記述 処理の時間制約 など を入力とする ソフトウェアプラットフォー ムは RTEとBSWで構成 Description Virtual F RTE RTE RTE Basic Software Basic Software Basic Software Gateway AUTOSAR Virtual Function Bus 2.0.0より Figure 2.2: Detailed view on the activity Configure System In AUTOSAR, an application is modeled as a composition of 8int
AUTOSAR メソドロジ AUTOSAR では 標準的な開発フローと 各作業でどんな作業を行い 成果物として何が作成されるかということを定義している AUTOSAR では このフローで開発が行われることを前提としている VFB 設計 開発 Abstract System 開発 System 開発 インテグレーション BSW 開発 : AUTOSAR で定義されているフェーズ ( アクティビティと呼ばれる ) 時間 : 成果物の受け渡し
メソドロジとコンソーシアムの研究範囲 上流設計 市販上流ツールまたは補助ツールで Ecu 毎に分離 ECU 毎に必要な BSW や を使用するための設定情報を作成 市販上流ツールでシステム情報を作成 Ecu 設計, ビルド BSW, 各ジェネレータでビルドに必要な c ヘッダファイルを生成し, ビルド システム設計から Ecu Extract EcuC 設計を経てビルドするまでを範囲 設計ツール,BSW は市販 開発済みを使用する インテグレーションで有用なノウハウや簡易ツールを研究開発 10
AUTOSAR ツールチェイン AUTOSAR メソドロジとツールチェイン AUTOSAR 開発全体で さまざまなツールを使用する それらを統合し ツールチェインとして提供することが望まれている VFB 設計 開発 Abstract System 開発 System 開発 インテグレーション 各フェーズ向けのオーサリングツール for SWC Description for System Description for BSW Module for Ecu Configuration BSW 開発 コンパイラ リンカ BSW Generator RTE Generator : AUTOSAR で定義されているフェーズ ( アクティビティと呼ばれる ) : 成果物の受け渡し
研究の取り組み 1. メソドロジの調査 メソドロジのモデルと 各タスクの作業内容についての整理 2. EcuC コンフィギュレーション作業の調査 各タスクの入出力とメタモデルの対応付け ECU Configuration における 各タスクとツールがサポートで きる作業についての調査 3. AUTOSARツールを使ったインテグレーションの評価 市販の AUTOSAR ツールの機能 メソドロジカバー範囲の調査と評 価およびツールをカスタマイズした場合の評価 AUTOSARサンプル アプリケーションを使ったツールチェインの評 価 4. 人材育成 研究を通じて AUTOSAR Classic platformを活用できる車載の組 込みソフトウェアエンジニアを育成する
2017年度の活動成果 コンソ活動前の共同研究 メソドロジの調査 AUTOSARメソドロジの仕様書を読み解き 各プロセスでのActivity 役割 作業 成果物 に関する情報をまとめ直した インテグレーション時の成果物一覧を洗い出し ツールチェインに 必要な要素を抽出した 上流ツールの調査 メソドロジの個々のタスクに市販のツールが対応しているかについ ての比較表を作成した 上流ツールとTOPPERS/APを使用したインテグレーションの 調査 上流ツールを使用してインテグレーションを行った場合の作業手順 と実際に作業した際の問題点をまとめた インテグレーション自動化のための補助ツールの試作 上流設計からマッピングで生成可能なEcuCを作成するツールの試作 13
2018 年度の研究活動の取り組み案 ツールチェイン開発 上流設計ツールを用いたインテグレーションのプロセスにおいて自動化もしくはフォーマット変換を行うツールの開発 ( 上流設計ツール毎に作成 ) インテグレーションの事例集, 教材開発 開発したツールチェインを用いて具体的にインテグレーションを行う際の事例の作成 ラジコンカー演習の拡張 例 :DIAG などの故障検知,DBC ファイルを使用したインテグ 上流設計ツールの調査 評価 市販の上流設計ツールや Artop などを予定 成果物 : 機能比較表や調査レポートを作成 14
研究活動の取り組みの成果物と参加メリット ツールチェイン開発 成果物 : 上流ツールを使ったインテグレーション環境 メリット :AUTOSARツールチェインに詳しい人材の育成 インテグレーションの事例集, 教材開発 成果物 : インテグレーションの具体例 メリット :AUTOSAR エンジニア育成の教育教材として活用 上流設計ツールの調査 評価 成果物 : 機能比較表や調査レポートを作成 メリット : 上流設計ツールの導入検討や機能情報の入手 15
コンソーシアム型のスキーム 研究名称 AUTOSAR ツールチェインに関するコンソーシアム型共同研究 (APTool コンソーシアム ) コンソーシアム型共同研究とは 名古屋大学大学院情報学研究科附属組込みシステム研究センター (NCES) が設定した研究開発テーマに 複数の企業の参加を得て研究 開発を進める共同研究 実施内容と実施期間 市販の AUTOSAR 上流設計ツールと TOPPERS/AP ならびにコンソーシアム内で利用可能な BSW を使用した AUTOSAR 開発を行う際の具体的なインテグレート方法の調査や事例研究ならびにインテグレーションで有用な補助ツールの研究開発を行う 単年度ごとの実施契約で 3 年程度を継続実施を予定 16
コンソーシアム型の参加形態と費用方法 2 種類の参加形態がある 研究参加 参加費を年間 770 万円 ( 参加費を研究費のみで負担する場合,10% の間接費を含む, 以下同じ ) とする 参加費の代わりに大学へ研究者 / 技術者を派遣し 名古屋大学でコンソーシアムの活動に参加し研究活動を実施する 研究者 / 技術者を派遣した場合は, レベルに応じた研究費の負担換算を行うオブザーバ参加 オブザーバ参加の場合の参加費用を年間 110 万円とする クローズな開発成果は, 利用権のみ使用できる 運営委員会における議決権がない 大学に研究者 / 技術者を派遣せず コンソーシアム活動で得られた成果のうち開示可能な情報を受け取る 17
参加費と負担方法 研究者 / 技術者の派遣 参加企業の研究者 / 技術者を, 名古屋大学に常駐する形で派遣する 研究者 / 技術者 1 名をフルタイムで派遣した場合, 研究者 / 技術者のレベルに応じて,400 万円 ( 新人に近い場合 ) 700 万円 ( 知験のある技術者の場合 ) を負担したものと換算する 複数名を派遣した場合でも負担換算の上限は参加費までとする コンソーシアムの参加費とは別に, 研究者 / 技術者 1 名あたり,43.2 万円の共同研究員受け入れ費の負担をお願いする 2017 年度成果物の利用 APTool コンソ (2018 年度ー ) では活動の前提として 2017 年度成果を利用するため, 研究参加をする際には 2017 年度成果利用のための費用 (100 万円 ) が発生する 18
知的財産権の取り扱い (1/3) 知的財産権の帰属 開発したソフトウェアの著作権は その開発に研究者 / 技術者を出した研究参加企業および名古屋大学が 出した研究者 / 技術者の数に応じた比率で所有する オブザーバ参加企業は著作権を持たない 研究費のみを出した企業は, 著作権を持たない 開発した成果を有償ライセンスした場合 そのライセンス料は所有率に応じて所有者に分配するオープンにする開発成果 オープンにする開発成果は運営委員会の了承を得て決定し, TOPPERS プロジェクトからオープンにする その際の知的財産権の取扱いは,TOPPERS プロジェクトの 開発成果物の知的財産権に関する規則 に従う 19
知的財産権の取り扱い (2/3) クローズな開発成果の利用権, 再販権 研究参加組織は, クローズなものを含めて, 開発成果を無償で利用することができる ( 利用権 ) 研究参加組織は, クローズな開発成果を改変して利用することができる また 開発成果またはそれを改変したものの利用権を販売することができる ( 再販権 ) クローズな開発成果は, 研究参加組織以外に対して, 研究参加組織から, 再販権を有償でライセンスできる ライセンス料の決定にあたっては, コンソーシアムに参加する際の費用負担を考慮する 研究参加組織が得たライセンス料は知的財産権の持分に応じて分配する 研究参加組織および上記でライセンスを受けた組織以外が, クローズな開発成果を改変することや再販することはできない 20
知的財産権の取り扱い (3/3) コンソーシアム 利用権 オブザーバ参加企業 研究参加企業 利用権再販権 ライセンサ 利用権再販権 ユーザ 利用権 ユーザ 利用権 2 次ユーザ 21
お問い合わせ先 本活動にご興味のある方はお問い合わせください 名古屋大学大学院情報学研究科附属組込みシステム研究センター Tel: 052-789-4228 Fax: 052-789-4273 URL: http://www.nces.i.nagoya-u.ac.jp/ email: aptool-staff@nces.i.nagoya-u.ac.jp 22