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リアルタイム PCR 実践編 - プライマー設計ガイドライン - 効率的なリアルタイム PCR を行うためには 最適なプライマーを設計することがもっとも重要であり 増幅効率が良く 非特異的増幅が起こらないプライマーが設計できれば リアルタイム PCR は ほぼ確実に成功する ここでは プライマーを設計する際に考慮すべきパラメータについて個々に解説し 最後に 専用のソフトウェアを使用してプライマー設計をする方法について簡単に説明する プライマー設計のパラメータについて理解したうえで 実際のプライマー設計には専用のソフト [ OLIGO Primer Analysis Software など ] を使用することが望ましい なお Perfect Real Timeサポートシステムは ここで解説される条件を考慮して設計されたリアルタイムRT-PCR 用プライマーをカスタム合成するサービスである ヒト マウス ラットの多くのRefSeqについてプライマーセットが用意されており 目的の遺伝子を検索して購入するだけの便利なシステムである (1) プライマー設計パラメータについてリアルタイム PCR 用プライマーを設計する際に考慮すべき基本事項は 下記の 3 つである 標的の DNA 配列に安定してアニーリングできる (Tm 値が適切な範囲である ) PCR 反応効率が良い ( プライマー内部やプライマー間に相補的な配列がない ) 特異性が高い( 鋳型 DNA 上にミスプライミングする部位がない ) 増幅サイズ 80~150 bp(300 bp 程度までは増幅可能 ) リアルタイム PCR で 100% に近い増幅効率を得るためには 増幅サイズが 80~150 bp となるように設計することが望ましい Smart Cycler では 高速でリアルタイム PCR を行うため 増幅サイズが大きすぎると PCR 増幅できない場合もあるので 増幅サイズが 300 bp を超えるようなプライマーペアは避ける プライマーのサイズ 17~25 塩基 プライマーの長さを 17~25 塩基にすれば 通常 目的の遺伝子に特異的な配列になる プライマーのサイズが大きいほどアニーリング効率は低下するので 長すぎる タカラバイオリアルタイム PCR 実験ガイド Page 1 of 1 0903V1.0

プライマーは避ける また 短いプライマーでは 十分な特異性が得られないことがある GC 含量 40~60%( 望ましくは 45~55%) プライマー全体の GC 含量は 40~60% とし 配列中で塩基の偏りがないように注意する 部分的に GC あるいは AT リッチなものも避ける 特に プライマーの 3' 端配列には注意が必要である AT リッチなものは プライマーと鋳型 DNA が安定して結合できず 逆に GC リッチなものは 鋳型 DNA に非特異的にアニールし 特異的増幅を阻害する また T/C が連続する配列 (polypyrimidine) や A/G が連続する配列 (polypurine) を含むプライマーも避ける Tm 値 Forward, Reverse の 2 つのプライマーの Tm 値をそろえる Tm 値の計算は できるだけ専用のソフトウェアで行う まず PCR に使用する 2 つのプライマー (Forward, Reverse) について それらの Tm 値の差が大きいものはできるだけ避ける 2 つのプライマーの Tm が異なると 低い温度では Tm の高いプライマーは非特異的にミスプライミングして特異的増幅を阻害し 逆に 高い温度では Tm の低いプライマーはプライミングできない このような場合には 最適なアニーリング温度の設定が困難である プライマーの Tm 値を計算するには nearest neighbor 法を用いるのがもっとも正確で プライマー設計用ソフトウェアではこの計算方法が用いられている 17~25 塩基のプライマーでは 以下の式 (Wallace formula) で概算することもできるが 誤差が生じる場合があるので できるだけ専用のソフトウェアで計算された値を使用する Tm = 2 ( A+T ) + 4 ( G+C ) nearest neighbor 法では 使用するパラメータによって Tm の計算値が異なるため 同じプライマーでも使用するソフトウェアによって Tm 値は異なる リアルタイム PCR に最適な Tm 値の範囲は 使用するソフトウェアごとに (2) プライマー設計ソフトウェア の項 ( 後述 ) で個別に説明する タカラバイオリアルタイム PCR 実験ガイド Page 2 of 2 0903V1.0

特異性 BLAST 検索でプライマーの特異性を確認する 鋳型 DNA 上で 目的遺伝子特異的な配列にプライマーを設計する 設計したプライマーについては NCBI の BLAST 検索などを利用して 特異的な増幅ができることを確認する ( ただし BLAST ではプライマーのような短い配列をクエリーとした場合 相同性があっても検出されない場合があるので注意を要する ) また ゲノム DNA 上の繰返し配列は あらかじめマスクしてプライマーを設計する NCBI BLAST 検索 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/ プライマー配列の相補性 (Complementary) プライマー内部での 3 base 以上の相補的配列を避ける プライマー間での 3 base 以上の相補的配列を避ける プライマー 3' 末端が 2 base 以上相補する配列を避ける プライマー内部に 3 base 以上相補する配列があるものは避ける このような配列があると プライマー自身で二次構造を形成し 鋳型 DNA へのアニーリングが妨げられる また プライマー間で相補的配列があるものも避ける 部分的に相補する配列があると プライマー同士でハイブリッドを形成し PCR 反応効率が低下する 3' 末端配列同士が相補するような配列では プライマーダイマーが形成されやすくなり やはり特異的増幅の効率低下を招く 3' 末端配列 3' 末端の塩基は G または C が望ましい 3' 末端の塩基が T になるプライマーは避ける プライマーの 3' 末端配列は ミスプライミングを避けるために重要である 3' 末端の塩基を G または C にすると より確実に鋳型にプライミングできる ただし 前述の通り 3' 末端が GC リッチすぎると 非特異的にプライミングする危険性が高くなるので GC の連続するような配列は避ける 3' 末端塩基が T のプライマーは避ける 3' 末端塩基が T の場合 ミスマッチでもプライミングしてしまう確率が高くなる ゲノム構造の考慮 (RT-PCR 用プライマー ) 可能な限りゲノム DNA 由来の増幅が起こらないようなプライマーを設計する タカラバイオリアルタイム PCR 実験ガイド Page 3 of 3 0903V1.0

RT-PCR では mrna の検出を行うが ゲノム DNA が混入している RNA サンプルでは ゲノム DNA も PCR の鋳型となりえる このようなことを避けるために RNA サンプルを前もって DNaseI 処理する方法もあるが あらかじめゲノム DNA 由来の増幅が起こらないようなプライマーを設計することもできる このようなプライマーを設計するには 目的遺伝子のゲノム構造が分かっている必要があるので 公共のデータベースを利用して調べる UCSC Genome Browser ( Human, Mouse, Rat etc. ) http://genome.ucsc.edu/cgi-bin/hggateway tair Seq Viewer ( Arabidopsis ) http://www.arabidopsis.org/servlets/sv ゲノム構造が分かったら サイズの大きなイントロンを選んで その前後のエキソンに Forward, Reverse のプライマーをそれぞれ設計する Smart Cycler では 通常 増幅サイズが 500 bp を超えるようなプライマーペアでは増幅が起こりにくく ゲノム DNA 由来の増幅を避けることができる それ以下の小さなサイズのイントロンが存在する場合にも ゲノム DNA 由来の増幅産物と cdna 由来の増幅産物とではサイズが異なるので 増幅産物の融解曲線分析により区別することができる ( 図 1) (2) プライマー設計ソフトウェアプライマー設計においては サイズ GC 含量 3' 末端配列など 多くの考慮すべき重要なパラメータがある プライマー配列を目で見て簡単に確認できるパラメータもあるが Tm 値の計算や相補性の確認は 専用のソフトウェアを用いるとより効率的かつ確実に検 タカラバイオリアルタイム PCR 実験ガイド Page 4 of 4 0903V1.0

証できる 長い設計対象配列のうち どこが最適かを検索するのには 専用ソフトウェアが必須と言えるだろう ここでは プライマー設計用ソフトウェアとして OLIGO Primer Analysis Software と Primer3 を紹介する (2)-1 OLIGO Primer Analysis Software (Molecular Biology Insights 社 ) ( デモプログラムのダウンロードはこちらからhttp://oligo.net/) OLIGO は PCR 法 DNA 塩基配列決定 ハイブリダイゼーションなど さまざまなアプリケーションに使用するオリゴヌクレオチドを検索 選択する多機能性のプログラムであり 特異性と反応性の高さを兼ね備えた理想的な PCR 用プライマーを検索することができる また OLIGO では すべての検索パラメータを単一操作で一括して変更できるので 種々のパラメータを個別に設定する必要がなく 高機能ながら初心者でも容易に使用できることが特長として挙げられる ここでは OLIGO の Automatically Change Stringency 機能を利用して 半自動的に理想的な PCR 用プライマーを検索する方法を紹介する OLIGO には あらかじめ 6 段階の厳正さのパラメータセットが用意されており Automatically Change Stringency 機能を利用すると 厳しいパラメータセットで検索を開始し そのパラメータを満たすプライマー対が見つからなければ 検索の厳正さが自動的に下がる いちいちパラメータを設定し直すことなく もっとも厳正な条件でプライマー検索をできる便利な機能である 1.File メニューから Open を選んで 配列ファイルを開く タカラバイオリアルタイム PCR 実験ガイド Page 5 of 5 0903V1.0

2.Search メニューで Primers&Probes を選択する 3.Compatible Pairs のボタンがチェックされていることを確認する 4.Search Ranges ボタンをクリックする 5.PCR 増幅領域の長さと位置を設定する a.rt-pcr 用のプライマーをエキソンジャンクションに設計する場合には ここで位置を設定する b.pcr Product Length は 80 から 150 に設定する タカラバイオリアルタイム PCR 実験ガイド Page 6 of 6 0903V1.0

6.Parameters ボタンをクリックする 7.Search Stringency が High に設定されていることを確認する 8.Adjust Length to Match Tm's と Automatically change stringency のボタンがチェックされていることを確認する 9.Oligonucleotide Length を 20nt に設定する 10.OK をクリックして Search Parameters ダイアログボックスを終了する タカラバイオリアルタイム PCR 実験ガイド Page 7 of 7 0903V1.0

11.OK をクリックして検索を開始する Search Status ウィンドウが表示され 検索が完了すると "Search Completed..." というメッセージが表示される 12."Show : Primer Pairs" がウィンドウの下方に表示されたら OK をクリックする 13.Primer Pairs ウィンドウの Opt. Ta 欄の上にある Sort ボタンをクリックして並べ替える タカラバイオリアルタイム PCR 実験ガイド Page 8 of 8 0903V1.0

14. プライマーの組をクリックすると PCR ウィンドウが開く 15.Analyze メニューの KeyInfo から Selected Primers を選び プライマーデータを確認する a.tm 値が 63~68 のものを選ぶ * PCR ウィンドウで表示される Tm 値は 塩濃度と核酸濃度によって変化する ここで示した Tm 値の適正範囲は Selected Primers ウィンドウで表示される Tm 値についてのものである b.p.e.#(priming Efficiency: プライマーの合成開始効率 ) の値が高いものを選ぶ タカラバイオリアルタイム PCR 実験ガイド Page 9 of 9 0903V1.0

16.Analyze メニューで選択したオリゴを点検する タカラバイオリアルタイム PCR 実験ガイド Page 10 of 10 0903V1.0

(2)-2 Primer3 サイトに配列情報を入力し パラメータをセットすれば プライマーの候補が得られる (1) で説明したような条件でプライマーを設計するためには パラメータを表 1のように設定すると良い (Tm 値は 60 ~65 に設定する ) ただし プライマー配列の特異性や配列についての注意事項 ( 塩基の偏り 3' 末端の T 塩基を避けるなど ) は Primer3 のパラメータでは設定できないので 候補としてリストアップされた配列からさらに取捨選択する必要がある プライマーが選択されない場合には 設計対象領域を他の位置に変えるか 一部のパラメータ条件を緩和する 検索結果の末尾に Statistics として プライマーがどのパラメータで検索結果から除外されたかが示されているので それを参考に緩和するパラメータを決めると良い なお RT-PCR 用のプライマーを設計する際には エキソンジャンクションを Targets として指定すれば イントロンを挟むプライマーを設計することができる 表 1 Primer3 のパラメータ Headder Targets: start, length エキソンジャンクション位置を指定 ( オプション ) Product Size Range: 80-150 150-300 Number To Return: リストアップする候補プライマーの数 General Primer Picking Conditions Primer Size Min: 17 Opt: 20 Max: 25 Primer Tm Min: 60 Opt: 62 Max: 65 Max Tm Difference: 4 Primer GC% Min: 40 Opt: 50 Max: 60 Max Self Complementarity: 8 Max 3' Self Complementarity: 3 Max Poly-X: 4 記載のないものはデフォルト通り Salt ConcentrationとAnnealing Oligo Concentrationは変更しないこと ( 変更すると Tmの計算値も変わるため ) Objective Function Penalty Weights for Primers Tm 記載のないものはすべて 0 Lt: 0.5 Gt: 0.5 Self Complementarity 0.5 3' Self Complementarity 1 Objective Function Penalty Weights for Primer Pairs Tm Difference 0.5 記載のないものはすべて 0 Any Complementarity 0.5 3' Complementarity 1 タカラバイオリアルタイム PCR 実験ガイド Page 11 of 11 0903V1.0

(3) まとめプライマー設計において ここで説明した内容を表 2にまとめた リアルタイム PCR 実験成功の可否は プライマー設計によるところが大きい これらの条件をできるだけ多くクリアするようなプライマーが設計できれば その後のリアルタイム PCR 実験もスムーズに進行するだろう 表 2 プライマー設計条件増幅サイズ 80~150bp(300bp 程度までは増幅可能 ) プライマーのサイズ 17~25 塩基 GC 含量 40~60%( 望ましくは 45~55%) Tm 値 2つのプライマーのTm 値をそろえる Tm 値の計算は 専用のソフトウェアで行う OLIGO: 63 < Tm < 68 Primer3: 60 < Tm < 65 配列全体的に塩基の偏りがない配列にする部分的にGCリッチあるいはATリッチな配列は避ける ( 特に3' 末端 ) T/Cの連続 (polypyrimidine) は避ける A/Gの連続 (polypurine) は避ける 3' 末端配列 3' 末端がGCリッチあるいはATリッチな配列は避ける 3' 末端塩基は GまたはCが望ましい 3' 末端塩基がTであるプライマーは避ける相補性プライマー内部およびプライマー間での3 base 以上の相補的配列を避けるプライマー 3' 末端が2 bese 以上相補する配列を避ける特異性 BLAST 検索でプライマーの特異性を確認する RT-PCR 用プライマーエキソンジャンクションにプライマーを設計すると ゲノムDNA 由来の増幅が起こらない タカラバイオリアルタイム PCR 実験ガイド Page 12 of 12 0903V1.0