平成 29 年度税制改正解説資産課税 納税義務の見直し 1 国外財産に関する相続税 贈与税の納税義務の範囲が見直されます 被相続人が日本国籍を有しない者であって 一時的滞在 ( 2) をしていたものを除く 2

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2017年度税制改正大綱 資産税関連の主な改正点

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

税制改正大綱―資産課税・相続税等の見直し

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

2. 改正の趣旨 背景 国内に住所を有しないことにより相続税 贈与税の課税を免れる租税回避行為を抑制するため 平成 12 年度改正 ( 相続人 受贈者の国籍による納税義務判定の導入 ) 平成 25 年度改正 ( 相続人 受贈者が日本国籍なしの場合の課税強化 ) が行われてきた 平成 29 年度改正で

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

1. 改正のポイント (3) 影響改正が株価に与える影響は下表の通り また現在及び将来の株価が変動するため事業承継計画全体へ影響が出る 改正が株価に与える影響 改正内容 会社規模の判定基準 ( 大会社及び中会社の範囲拡大 ) 株式保有特定会社の判定基礎 ( 株式及び出資の範囲拡大 ) 類似業種比準価

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

~ 改正の変遷 ~ (1) 平成 12 年度改正前相続人 受贈者がの場合には 国内財産のみ課税 (2) 平成 12 年度改正後 平成 25 年度改正前平成 12 年度改正 : 相続人 受贈者について国籍主義を導入 H12 年度改正 : 国内財産 国外財産ともに課税 相続人 受贈者 相続人 受贈者 被

第 5 章 N

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

第 6 回令和元年度固定資産評価実務者勉強会 第 3 部 税理士による最近の各種課税評価に関するお話 講師 : 税理士 不動産鑑定士 赤川明彦 ( 株式会社土地評価センター取締役 ) copyright 2019 KOTOBUKI PROPERTY ASSESSMENT all rights res

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平成 29 年度税制改正大綱 の概要と主要項目 個人所得税では 個人所得課税改革第 1 弾として 配偶者控除 配偶者特別控除の見直しが行われ 今後数年をかけて 基礎控除をはじめとする人的控除等の見直し等が行われる 資産税では 財産評価において相続税法の時価主義の下 実態に即した評価を行う見直しが行わ

[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

参考. 改正前の制度概要 ( 改正対象は太字 ) (1) 税の納税猶予の全体像 ( 概要 ) の要件 会社の代表者であったこと 時には代表権を有していないこと と同族関係者で決議数の 50% 超の株式を保有かつを除いた同族内で筆頭株主であったこと 認定対象会社の要件 の要件 会社の代表者であること

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問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

所得税確定申告セミナー

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

所令要綱

株式保有会社の相続税評価の緩和

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住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

平成19年12月○日

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

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2. 二世帯住宅と特定居住用宅地等 [1] 区分所有なし : 外階段 / 親族が取得する場合 Q. 被相続人 A が所有する宅地の上に A の所有する建物があり 1 階に A が居住し 2 階に子 B とその家族が居住しています ( 建物内部では行き来ができない構造 ) A と B は別生計です こ

相続財産の評価P64~75

<TAC> 無断複写 複製を禁じます ( 税 18) 相上 (8)C10-1 相続税法 上級 演習 8 テキスト 2 第 8 回 - 解答 点 - 第一問 問 1 持分の定めのない法人に対し財産の贈与又は遺贈があった場合において 税負担の不当減少を防 止

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

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平成 31 年度住宅関連税制改正の概要 ( 一社 ) 住宅生産団体連合会 平成 31 年 3 月 (1) 住宅ローン減税の拡充 ( 所得税 個人住民税 ) 消費税率 10% が適用される住宅取得等をして 2019 年 10 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの間にその者の居住の用に

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2017年度改正税法のポイント(個人編)

経 ViewPoint 営相談 相続時における小規模宅地等の特例の改正 谷口敬三相談部東京相談室 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 ( 以下 小規模宅地等の特例 ) は 一定の要件を満たす宅地等 ( 特定事業用等宅地等 特定居住用宅地等 貸付事業用宅地等 ) につ

措置法第 69 条の 4(( 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 )) 関係 ( 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の範囲 ) 69 の 4-7 措置法第 69 条の 4 第 1 項に規定する被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 ( 以下 69 の 4-8 までにおいて 居

2011年度税制改正大綱(相続・贈与税)

12. 小規模宅地等の特例の見直し 1. 改正のポイント (3) 適用時期平成 30 年 4 月 1 日以後に相続又は遺贈により取得する宅地等に係る相続税について適用される ただし (2)1 の改正について 平成 30 年 3 月 31 日においての別居親族の要件を満たしていた宅地等を平成 32 年

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

平成29年度税制改正大綱のまとめ

平成16年版 真島のわかる社労士

平成 29 年度税制改正大綱 のポイント ( 解説編 ) 本書の内容については 今後の国会審議等の動向によって変更される可能性がありますので ご参考の際には その点をお含みおきくださいますようお願い申し上げます SMBC 日興証券株式会社 ( 作成 :2017 年 1 月 ) < 作成 協力 >

東京太郎様 Inheritance Report 相続診断書 弁護士法人 税理士法人リーガル東京 平成 30 年 8 月 20 日作成

速報!  平成27年度税制改正セミナー

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Microsoft Word - 東日本大震災により被害を受けた場合の相続税・贈与税の取扱い

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

2 税額控除等の計算 ( 単位 : 円 ) 項目対象者計算過程金額 答案用紙 Chapter2 問題 3 課税価格の計算 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 分割財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 2 みなし取得財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額

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土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

積立 NISA の創設 1. 改正のポイント (1) 趣旨 背景 1 家計の安定的な資産形成を支援する観点から 少額の積立 分散投資を促進するための 積立 NISA が創設される (2) 内容 1 積立 NISA は 20 歳以上の居住者等が金融機関に開設した非課税口座内に 積立 NISA 専用の累

発行日取引の売買証拠金の代用有価証券に関する規 同じ ) であって 国内の金融商品取引所にその株券が上場されている会社が発行する転換社債型新株予約権社債券 ( その発行に際して元引受契約が金融商品取引業者により締結されたものに限る ) 100 分の80 (7) 国内の金融商品取引所に上場されている交

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

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(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

(2) みなし相続財産ものか13 第1 章12 2 課税される 相続財産 の範囲 海外にある財産も課税対象となる 贈与税の暦年課税適用財産も 3 年以内は課税対象となる 葬式費用 墓地や墓碑 仏壇 仏具等は非課税 相続税の課税対象となる相続財産は (1) 被相続人が亡くなったときに所有していた財産

おき 太郎様 Inheritance Report 相続診断書 税理士法人おき会計 平成 28 年 7 月 20 日作成

#210★祝7500【H30税法対策】「登録免許税ほか」優先暗記30【宅建動画の渋谷会】佐伯竜PDF

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事業承継関連税制について 関東経済産業局 平成 30 年 6 月 中小企業金融課

2018年度税制改正大綱 - 資産税関連の主な改正点

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

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テキスト編 第 1 章相続税 贈与税とはなにか 目次 1 相続税が課税される理由 1 2 どれくらいの遺産がある場合 相続税は課税されるか 2 3 贈与税が課税される理由 3 4 相続税と贈与税の関係 4 第 2 章相続人と相続分 1 相続人と相続順位 5 2 相続の承認と放棄 14 3 相続人の相

I. 相続税 贈与税 1. 広大地評価の見直し広大地の評価について 現行の面積に比例的に減額する評価方法から 各土地の個性に応じて形状 面積に基づき評価する方法に見直すとともに 適用要件を明確化する なお 平成 30 年 1 月 1 日以後の相続等により取得した財産の評価に適用する < 想定される見

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1. 相続税 (1) 基礎控除額の引き下げ 1) 改正の趣旨現在 ( ) の相続税の仕組みは 下図の通りです すなわち 合計課税価格から 基礎控除額を除いた課税遺産総額が相続税の計算の対象となるため 合計課税価格が基礎控除額の範囲内である場合には 相続税が課税されません その結果として 現状の相続税

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

【表紙】

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

以下本人の給与収入速報 平成 29 年度税制改正解説所得課税 ~ 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し 2 配偶者の給与収入が 万円超 15 万円以下の場合の改正案の控除額及び改正前後の影響について 配偶者特別控除 配偶者の給与収入 万円超 15 万円 15 万円以上 11 万円 11 万円以上 1

49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

税法入門コース 相続税 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 4 回 第 4 回 第 1 章 第 2 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 4 章 第 5 章 テーマ 1 相続税 贈与税とは? テーマ 2 用語の説明 テーマ 1 相続人となれる人は? テ

また 国外財産調書制度は 2013 年 12 月末の国外財産から調書の提出義務が始まりましたので 5,000 万円超の国外財産を保有の方はご留意ください これに関連して 国税庁より 2013 年 11 月 15 日に FAQ が発表されており FAQ は国税庁のホームページで閲覧等できます 資産税ニ

路線価図

税金読本(14-2)株式の評価

b c.( 略 ) 2 不動産取得税の軽減に係るの発行信託会社等の地方税法附則第 11 条第 12 項に基づく不動産取得税の軽減のための同法施行令附則第 7 条第 12 項に規定するの発行等については 以下のとおり取り扱うものとする イ ロ.( 略 ) 載があること c d.( 略 ) 2 不動産取

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配偶者居住権の相続税評価額について 2018/12/28 田口税理士事務所 平成 30 年の民法改正により 配偶者の居住権を保護するために配偶者居住権が新設されましたが 相続税の評価にどう影響させるかについて 今回の税制改正大綱に記載されています まず 前提となる配偶者居住権について 説明します 1

3. 住宅税制 消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和する観 点から 住宅税利について以下のとおり所要の措置を講じます 住宅ローン減税を平成 26 年 1 月 1 日から平成 29 年末まで 4 年間延長し その期間のうち平成 26 年 4 月 1 日から平成 29

時価で譲渡したものとみなされ所得税が課税され かつ その所得税は相続税の課税価格の計算上被相続人の債務として控除されていることにより 所得税と相続税の負担の調整は済んでいますので この特例の適用は受けられません 2 取得費に加算される金額平成 26 年度の改正前は 相続財産である土地等の一部を譲渡し

ており 土地の個別的要因に係る補正が全て考慮されたものとなっていることから 土地の形状 道路との位置関係等に基づく個別的要因に係る補正 すなわち評価通達 15(( 奥行価格補正 )) から 20(( 不整形地の評価 )) まで及び 20-3(( 無道路地の評価 )) から 20-6(( 容積率の異な

Transcription:

平成 29 年度税制改正解説資産課税 非上場株式等の納税猶予制度の見直し 相続時精算課税制度に係る贈与が贈与税の納税猶予制度の適用対象に加えられます 納税猶予の取り消し事由となる雇用確保要件が緩和されます 贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予制度における認定相続承継会社の要件が緩和されます 内容改正前改正案 贈与税納税猶予の取扱い 相続時精算課税は適用不可 ( 暦年課税の贈与税計算により猶予税額を算定 ) 相続時精算課税も適用可 適用後 5 年間の雇用確保要件 相続開始時または贈与時の常時使用従業員数 80% 以上 (1 人未満の端数切上 ) ( 例 ) 従業員数 4 人の場合 4 人 80%=3.2 人 4 人 相続開始時または贈与時の常時使用従業員数 80% 以上 (1 人未満の端数切捨 ) ( 例 ) 従業員数 4 人の場合 4 人 80%=3.2 人 3 人 ただし従業員数が 1 人の場合は 1 人とする 贈与者が死亡した場合の認定相続承継会社の要件 1 当該会社が中小企業者であること 2 当該会社の株式等が非上場株式等に該当すること 左記の要件を撤廃 〇平成 29 年 1 月 1 日以後に相続もしくは遺贈または贈与により取得する財産に係る相続税または贈与税について適用するとともに 所要の経過措置を講ずる 相続時精算課税制度の適用により 納税猶予の取消事由に該当した場合の贈与税 利子税が軽減される場合がある 雇用確保要件が緩和されたことにより 主に従業員数の少ない小規模事業者について 本制度が適用しやすくなる 経過措置の内容 ( 平成 28 年以前の相続または贈与に関する雇用確保要件等の緩和措置の適用可否等 ) 1

平成 29 年度税制改正解説資産課税 納税義務の見直し 1 国外財産に関する相続税 贈与税の納税義務の範囲が見直されます 被相続人が日本国籍を有しない者であって 一時的滞在 ( 2) をしていたものを除く 2

平成 29 年度税制改正解説資産課税 納税義務の見直し 2 大綱の内容 大綱 1. 国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する相続人等に係る相続税の納税義務について 国外財産が相続税の課税対象外とされる要件を 被相続人等及び相続人等が相続開始前 10 年 ( 現行 :5 年 ) 以内のいずれの時においても国内に住所を有したことがないこととする 大綱 2. 被相続人等及び相続人等が在留資格をもって一時的滞在をしている場合等の相続又は遺贈に係る相続税については 国内財産のみを課税対象とする 大綱 3. 国内に住所を有しない者であり日本国籍を有しない相続人等が 国内に住所を有しない者であって相続開始前 10 年以内に国内に住所を有していた被相続人等 ( 日本国籍を有しない者であって一時的滞在をしていたものを除く ) から相続又は遺贈により取得した国外財産を 相続税の課税対象に加える ( ) 贈与税の納税義務についても同様とする 〇平成 29 年 4 月 1 日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用される 高度外国人材等が日本において働きやすい環境が構築されることで 外資系企業等による国内進出が後押しされる 原則として 被相続人及び相続人のいずれもが日本に住所を有しなくなってから 10 年 ( 現行 :5 年 ) 超の期間を経過する場合には 国外財産が日本の相続税の課税対象外となる ( 贈与税も同様 ) 被相続人等及び相続人等が在留資格をもって一時的滞在をしている場合等における 等 の範囲 ( 改正趣旨を考えると 10 年以内に国内に住所あり からは在留資格による一時的滞在は除かれるのではないか?) その他所要の措置の内容について 3

平成 29 年度税制改正解説固定資産税 居住用超高層建築物に係る課税 1 高さ 60m を超える居住用建築物に係る固定資産税 都市計画税が階層の違いによる取引価格の傾向を反映するために補正されます 高層階は増税 低層階は減税となります 不動産取得税についても階層の違いを反映した評価額に基づいて計算されます 一棟全体の固定資産税等を計算し 各区分所有者の専有床面積で按分 改正前 各住戸の税額 = 一棟の税額 各住戸の専有床面積 専有床面積の合計 床面積が同じなら税額は同じ 改正案 一棟全体の固定資産税等を計算し 最近の取引価格の傾向を踏まえ按分 各住戸の税額 = 一棟の税額 各住戸の専有床面積 ( 2 3 4 5) ( 1) 1 階を100とし 階を1つ増すごとに39 分の10( 約 0.256) を加えた数値 ( 2) 居住用以外の専有部分がある場合には 床面積により按分した居住用部分の税額についてのみ補正計算を行う ( 3) 天井の高さ 附帯設備の程度等について著しい差異がある場合には 差異に応じた補正を行う ( 4) 区分所有者全員により申し出た割合による按分も可能 ( 5) 不動産取得税についても同様の補正率を用いて評価額の補正計算を行う 階層が上がれば税額は増える ( 低階層は税額が減少する ) 〇平成 30 年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物について適用される ただし 平成 29 年 3 月 31 日までに売買契約が締結された住戸を含む居住用超高層建築物は補正計算の対象外とする 階層別専有床面積補正率 ( 1) 補正後専有床面積の合計 4

平成 29 年度税制改正解説固定資産税 居住用超高層建築物に係る課税 2 固定資産税の計算例 前提 50 階建て居住用マンション 一棟の固定資産税総額 500 万円 各戸の専有床面積は同じ (1フロア100m2 総面積 5,000m2 ) 階層別専有床面積補正率は概算値 ( 大綱に端数処理方法の記載なし ) 階層別専有補正率 改正前 A 固定資産税額 補正後 B 差額 (B-A) C 増加率 (C/A) 50 階 112.564 ( 1) 100,000 円 105,911 円 ( 2) 5,911 円 5.91% 49 階 112.308 100,000 円 105,669 円 5,669 円 5.67% 2 階 100.256 100,000 円 94,331 円 5,669 円 5.67% 1 階 100.000 100,000 円 94,089 円 5,911 円 5.91% 合計 5314.103 5,000,000 円 5,000,000 円 0 円 ( 1) 100 + 10 / 39 (50-1) = 112.564 100m2 112.564% ( 2) 500 万円 =105,911 円 5314.103m2 居住用部分以外は補正の対象外 高層階は増税される一方 低層階は減税となるため 一棟全体の評価額 税額は従前と変わらない タワーマンションの相続税評価額については別途検討される可能性はあるが 本改正が直接相続税に影響を及ぼすものではない 登録免許税への影響 天井の高さ 附帯設備の程度等に著しい差異がある場合の補正方法 5

平成 29 年度税制改正解説医療法人における持分なし移行に伴う贈与税課税 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律 ( 以下 平成 18 年医療法等改正法 という ) の改正を前提に次の措置が講じられます 持分の定めのある医療法人 が認定医療法人 ( 1) であること等 一定の要件を満たす場合において 出資者が持分を放棄し 認定移行計画に記載された移行期限までに持分の定めのない医療法人への移行をしたときは 当該医療法人が当該放棄により受けた経済的利益については 贈与税は課税されません ただし 持分の定めのない医療法人 へ移行をした日以後 6 年を経過する日までの間に移行計画の認定要件に該当しないこととなった場合には 当該医療法人を個人とみなして 贈与税が課税されます 現状の持分なし医療法人への移行計画の認定期間は平成 29 年 9 月 30 日までであり 当該期間について 3 年延長されます 改正前 出資者移行期間 ( 3) で持分放棄持分放棄医療法人を個人とみなして贈与税を課税 ( 2) 持分なし医療法人持分あり医療法人贈与税 ( 認定医療法人 ( 1)) ( 1) 改正後の平成 18 年医療法等改正法に規定する移行計画の認定を受けた医療法人をいう ( 2) 一定の要件を満たした場合 医療法人に対する贈与税は課税されません ( 3) 改正後の認定移行計画に記載された移行期限までの期間〇適用時期については 大綱の段階では未定 改正後認定要件の6 年間の充足 平成 18 年医療法等改正法の改正内容 適用時期 6 改正案 持分放棄 持分なし医療法人 移行日以後 6 年間 贈与税を課さない 移行計画の認定要件に該当しないこととなった場合 当該医療法人を個人とみなして 贈与税が課税されます

平成 29 年度税制改正解説相続税 物納財産の範囲 順位の変更 物納に充てることができる財産の順位が下表のとおり変更となります 物納に充てることができる財産の範囲に 投資証券等 ( ) のうち金融商品取引所に上場されているもの等が第 1 順位として加わります 順位物納財産の種類順位物納財産の種類 第 1 順位 第 2 順位 ( ) 投資証券等 : 一般的には投資法人の社員の地位 ( 投資口 ) を表示する証券等をいい 会社型投資信託 ( 注 ) と呼ばれる ( 注 ) 金融商品取引所に上場されている不動産投資信託 (REIT) などに見られる 物納劣後財産である不動産を物納しようと考えていた納税者が上場株式等を相続する場合 物納計画の見直しが必要となる 第 1 順位となる有価証券等の詳細な範囲 改正の適用時期 1 国債 地方債 不動産 船舶 2 不動産のうち物納劣後財産に該当するもの 3 第 3 順位 5 動産 改正前 社債 株式 証券投資信託又は貸付信託の受益証券 4 株式のうち物納劣後財産に該当するもの 第 1 順位 1 国債 地方債 不動産 船舶 株式 社債 証券投資信託等の受益証券 投資証券等 ( ) のうち上場されているもの等 2 不動産のうち物納劣後財産に該当するもの 社債 株式 証券投資信託の受益証券のうち1 以外 3 第 2 順位のもの又は貸付信託の受益証券 4 株式のうち物納劣後財産に該当するもの 第 3 順位 5 動産 改正案 7

平成 29 年度税制改正解説取引相場のない株式の評価の見直し 1 1 類似業種比準方式について次の見直しが行われます ( イ ) 類似業種の上場会社の株価について 現行に課税時期の属する月以前 2 年間の平均株価が加わります ( ロ ) 配当金額 利益金額 簿価純資産価額の比重割合が 1:1:1となります ( ハ ) 類似業種の上場会社の配当金額 利益金額 簿価純資産価額が 連結決算を反映させたものとなります 2 株式保有特定会社 ( 保有する株式及び出資の価額が総資産価額の50% 以上を占める非上場会社をいう ) の判定における株式等の範囲に新株予約権付社債が加わります 3 評価会社の規模区分の金額等の基準について 大会社及び中会社の適用範囲が拡大されます 1 類似業種比準方式の見直し内容改正前改正案 ( イ ) 上場会社の類似業種の株価の追加 a. 課税時期以前 3 ヶ月間の各月の株価のうち最も低い株価又は b. 前年平均株価のいずれかを選択 類似業種比準方式の計算式 左記 a.b 及び c. 課税時期の属する月以前 2 年間の平均株価のいずれかを選択 ( ロ ) 比重割合の見直し 類似業種の株価 評価会社配当金額 + 評価会社利益金額 3 + 評価会社簿価純資産価額 類似業種 類似業種 類似業種 配当金額 利益金額 簿価純資産価額 斟酌率 5 大会社 0.7 中会社 0.6 小会社 0.5 評価会社配当金額 類似業種配当金額 + 評価会社利益金額 類似業種利益金額 3 + 評価会社簿価純資産価額 類似業種簿価純資産価額 〇上記 1 及び 3 の改正は 平成 29 年 1 月 1 日以後の相続等により取得した財産の評価に適用される 8

平成 29 年度税制改正解説取引相場のない株式の評価の見直し 2 2 株式保有特定会社の判定の見直し 内容改正前改正案 株式保有特定会社の判定における株式等の範囲 新株予約権付社債を株式及び出資の価額に含めない 〇平成 30 年 1 月 1 日以後の相続等により取得した財産の評価に適用される 新株予約権付社債を株式及び出資の価額に含める 利益金額に対する比重が 1/3 になるため 利益水準の高い会社の場合は 株価が下がることが想定される一方で 簿価純資産が厚い会社の場合は 株価が上がることが想定される 大会社及び中会社の適用範囲の拡大に伴い 規模区分が変わった結果 折衷方式における類似業種比準価額の適用割合が上がり 株価が下がる可能性がある 一方 新たに土地保有特定会社に該当してしまう会社などは 株価が上がる可能性がある 前々年の上場会社の類似業種の株価が低い場合には 2 年平均の株価を選択することにより 株価が下がる可能性がある 類似業種の上場会社の株価に追加される 課税時期の属する月以前 2 年間平均 の具体的な計算方法 評価会社の規模区分の判定上 適用範囲が拡大する大会社及び中会社の具体的な金額等 9

平成 29 年度税制改正解説資産課税 広大地の評価の見直し 広大地 ( 1) の評価について 各土地の個性に応じて形状 面積に基づき評価する方法に変更されます 適用要件が明確化されます ( 1) 広大地とは その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で 都市計画法に規定する一定の開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地 ( 道路など ) の負担が必要と認められるものをいう ただし 大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等 ( マンションなど ) の敷地用地に適しているものは除かれる ( 2) 0.6-0.05 広大地の面積 ( 上限 5,000 m2 ) 1,000 m2 ( 注 ) 下限は 0.35 ( 3) 形状 ( 不整形 奥行 ) を考慮した補正率 ( 4) 面積を考慮した補正率 〇平成 30 年 1 月 1 日以後の相続等により取得する財産について適用される 内容改正前改正案 評価方法 路線価 広大地補正率 ( 2) 面積 ( 面積に比例的に減額する評価 ) 路線価 補正率 ( 3) 規模格差補正率 ( 4) 面積 ( 各土地の個性に応じて形状 面積に基づき評価 ) 形状の良い広大地は 改正前に比べ評価額が上がる可能性がある マンション適地や公共公益的施設用地負担の有無等 従来 判断に迷うことの多かった要件が明確化されるのであれば 評価実務がスムーズになる 形状 面積に応じた補正率の内容 明確化される適用要件の内容 10