平成 27 年産美里地区の稲作情報 第 1 号平成 27 年 4 月 10 日発行宮城県美里農業改良普及センター TEL:0229-32-3115 FAX:0229-32-2225 http://www.pref.miyagi.jp/sito/misato-index/ 1. 平成 27 年産水稲栽培について 平成 26 年産水稲作柄宮城県北部作況指数 105( やや良 ) 生育前半の高温多照傾向により 全籾数 ( 穂数 一穂当たり籾数 ) が平年より多くなったが 生育後半は日照時間が平年を下回り 登熟がやや不良となった 気象変動への対応 過剰生育の抑制 生育後半まで稲体の活力を維持できる肥沃な土づくりや追肥 平成 26 年産水稲品質管内のうるち米 1 等米比率は 92.7%(12 月 5 日現在 ) ( 県平均 92.5% 12 月末日現在 ) 昨年に続き 1 等米比率 90% 以上と良好 一方 落等要因としては 着色粒 充実不足 白粒があり 次年度に向けた対策が必要 着色粒 ( 斑点米カメムシ被害粒 ) 対策 カメムシの生息場所となる雑草を 本田に残さない 図 1 本田の雑草はカメムシ類の生息場所となります ホタルイ ノビエ 2 葉期までに除草剤を散布しましょう ホタルイの防除には ブロモブチドまたは ベンゾビシクロン含有の除草剤が効果的です ( 平成 26 年 8 月 6 日病害虫防除所 発行カメムシ発生注意報第 3 号より ) < 防除のポイント> * 処理後 7 日間の止め水管理の徹底で除草効果を高める畦塗り 代掻き等の漏水対策と ほ場の均平化を図り 除草剤の処理層を上手く形成しましょう * 体系処理の検討ホタルイ ノビエが多発しているほ場では 体系処理を検討しましょう ホタルイが残草した場合は 7 月上旬までにバサグラン液剤を散布すると効果的です
図 2 水稲栽培における除草剤処理体系 追肥による充実不足 白粒対策 ~ 生育後半まで肥切れさせない肥培管理 ~ 図 3 追肥作業は 水稲生育中 後期の葉色を維持し 籾数及び収量の確保と玄米品質の維持に重要な技術です しかし 高齢化や水田の大区画化に伴い 作業負担が大きくなり 追肥作業が困難になりつつあります そこで 簡易施肥器を用いた水口流入施肥による追肥の省力化技術について紹介します ( 普及に移す技術第 88 号 ) 図 4 流入施肥の作業手順 * 尿素は溶解により水温が低下して溶けにくくなるため 最低でも追肥前日に溶かしておく 尿素 10kg ( 窒素 4.6kg) に対して 20 リットル以上の水で溶かすようにする * 本試験で用いたほ場は 10a 区画 50a 区画で水口 排水口ともに 1 か所 1ha 区画の水田では未検討
2. 今後の管理について ~ 育苗管理全般 ~ 健苗育成で良いスタートを!~ 理想とする苗姿 : 丈が短く 丈夫な苗 ~ 稚苗 ( 育苗日数 20~25 日 ) 中苗 ( 育苗日数 30~35 日 ) 図 5 理想とする苗姿表 1 育苗管理について稚苗 (2.1~2.5 葉 ) 中苗 (3.5~4 葉 ) 加温出芽無加温出芽無加温出芽保温折衷 出芽 細菌病予防のため 温度は 30 以下で 芽長は覆土上 1cm に揃える 被覆資材を箱全面にべた張りし 隙間がないように押さえる 低温時は出芽の遅れや不揃い 高温時は苗の徒長や芽焼けの危険が高まるので ハウスの開閉や適切な被覆資材の使用で温度管理をしっかりと行う 出芽揃いまでは踏切溝に水を入れて置床が湿っている状態を保つ 緑化 ( 出芽後 2~3 日間 ) 目標温度は昼間 25 夜間 10 程度で 5 以下の低温予想時は 十分な保温対策を実施する 適度な遮光性と通気性のある資材 ( ラブシート等 ) を 2~3 日べた掛けする 床土は十分湿っているので 基本的にかん水しない 被覆資材は 第 1 葉が 苗の軟弱徒長を防ぐた展開し 第 2 葉が抽出しめに 出芽したら速やか始める頃に除覆する に被覆資材を除覆する ( 除覆が早いと その後の苗の生育が大幅に遅れる ) 箱内床土の水分過多で出芽不良になりやすいので 育苗箱までは水を上げない 目標温度は昼間 20~25 夜間 10 程度 高温対策 : 気温が高い時は換気 日射が強い時は遮光を行い 温度を下げる 低温対策 : 夜間の温度を保つため 保温資材を準備し低温に備える 硬化 かん水は 午前中の早い時間にたっぷりと 苗の過保護は厳禁! 外気に慣らしましょう 夜間は箱上 2~3cm の深水で保温し 日中は浅水にして水温上昇に努める 田植え 5~7 日前頃から ハウスを開放して 外気に慣らす ( 但し低温時は除く ) 葉色が淡くなる頃 (1.5 葉期頃 ) に 窒素成分 1g/ 箱追肥する 1.5 葉期頃からハウスまたはトンネルを適宜開閉し 温度調節する 3 葉期以降は 低温時を除いて ハウスやトンネルを開放する 肥切れ症状が見られたら 窒素成分 1g/ 箱追肥する
育苗期間中の病害について 育苗期間中の病害は 発生してからの防除では効果が低くなりますので 予防防除が基本です 表 2 育苗期間中の病害対策について もみ枯細菌病 主な病害 苗立枯性細菌病 病徴主な発生要因主な予防対策発生時の対応 発生は坪枯れ症状 新葉がねじれながら湾曲して出葉する 新葉は基部が白色に退色して次第に暗褐色となり 腐敗枯死する 芯は腐敗し 容易に抜ける 初期症状はもみ枯れ細菌病と酷似しているが 芯は腐敗せず抜けない 水分不足でしおれたようになり 著しく赤茶けた状態で乾枯する 催芽 出芽時の高温 種子消毒の徹底 催芽 出芽温度が高温にならないようにする 過湿を避け 発病した苗は廃棄する 苗立枯病 フザリウム属菌 ( 白 ~ 赤カビ ) 地際及び根は褐変 地 緑化開始後まもない際部に白いカビや籾を頃の低温中心に白 ~ 淡赤色のカ 床土 ph 高いビが発生 (5.5 以上 ) 床土を ph5 前後にする タチガレエース粉剤の土壌混和 タチガレン液剤の潅注 低温 過湿を避ける ピシウム属菌 地際部の褐変はやや淡く 水浸状 地際部にカビは見られない 緑化期以降の低温 床土 ph 高い (5.5 以上 ) 適切な温度管理 タチガレエース粉剤の土壌混和 タチガレン液剤の潅注 別紙参照 リゾプス属菌 ( 白カビ ) 緑化開始時に箱全体が白いカビで覆われる 棒状 球状の異常根が見られることもある 出芽時の高温多湿 出芽時の温度が高温にならないようする ダコニール 1000 やダコレート水和剤の播種時潅注 高温 加湿を避け 日光に当てて殺菌する トリコデルマ属菌 ( 青カビ ) 地際部や籾のまわりに青緑色のカビ塊が見られる 水分不足 床土 ph 低い (4.0 以下 ) 床土を ph5 前後にする 床土を乾燥させすぎない ダコレート水和剤の播種時潅注 高温管理を避ける 写真 : 宮城県病害虫防除所 図 6 育苗期間中の温度管理と病害の発生
3. 直播栽培について直播栽培は 春の育苗作業の省力化 コスト削減と刈取時期が移植栽培より遅くなることを利用した秋作業幅の拡大がメリットであり 近年栽培面積が増加しています 直播栽培には多様な方法がありますが 中でも鉄コーティング湛水直播栽培が多く 美里管内でも増えてきています 鉄コーティング湛水直播栽培の作業ポイント * 播種した種籾が沈まないよう 固めの田面調節 * 播種時の田面が柔らかすぎると 種籾が土壌中に埋没し 苗立ち率が低下します * ホタルイ ヒエ 2 葉期までの除草剤散布 * 雑草は水稲と同時もしくは早く出芽し 生育が競合するため 水稲の葉数が小さいう ちに除草剤を使用します *4 葉期落水 早め強めの中干しによる倒伏対策 * 土壌表面に播種するため 倒伏しやすくなります 1 浅めの水管理で草丈を伸ばし 過ぎず 2 中干しで地耐力を高めましょう * 播種 : ほ場の硬さに注意しましょう! ほ場の硬さの判断の目安 ( 湛水直播の場合 ) 畦畔から 2m 以上入った位置で 1m の高さからゴルフボールを落下させたとき ボールの約半分が埋まる硬さが理想です ゴルフボールが全部埋まる柔らかいほ場では 種子が埋没してしまう恐れがあります 播種深度が深すぎると 苗立ち率が減少します 図 10 播種深度と苗立率 ( 宮城県稲作指導指針より )
* 雑草対策 : 雑草は水稲と同時もしくは早く出芽し 生育が競合するため 水稲の葉数が小さいう ちに除草剤を使用します 図 11 鉄コーティング直播栽培における除草剤使用と水管理の一例 移植水稲で使用できても 直播では使えない農薬もあります 登録内容を十分確認しましょう! 平成 27 年度も水稲直播栽培の生育調査ほを設け 稲作情報にて定期的に情報を発信していく予 定となっています 平成 27 年 4 月 9 日仙台管区気象台発表 平年に比べ晴れの日が少ないでしょう < 気温 > 平年並または高い確率 40% < 降水量 > 多い確率 50% < 日照時間 > 平年並または少ない確率 40% 東北地方 1 か月予報 1~2 週目は 高い確率 50% です 毎年 農作業事故によって約 400 名もの農業者の命が失われています 慣れた作業でも十分確認し 農作業事故を防ぎましょう