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被用者年金一元化法による追加費用削減について 昨年 8 月に社会保障 税一体改革関連法の一つとして被用者年金一元化法が成立 一元化法では 追加費用財源の恩給期間にかかる給付について 以下の配慮措置を設けた上で 負担に見合った水準まで一律に 27% 減額することとし 本年 8 月まで ( 公布から 1

共済年金は厚生年金に統一されます 平成 27 年 10 月から被用者年金が一元化されます 目次 Ⅰ 被用者年金制度の一元化 2 改正の趣旨 公務員等も厚生年金に加入し 2 階部分の年金は厚生年金に統一されます 制度的な差異については基本的に厚生年金に揃えて解消します 保険料率は厚生年金の保険料率に統

退職等年金給付の概要 退職年金の半分は有期年金 半分は終身年金 原則 65 歳から受給 有期年金については20 年受給または10 年受給を選択 ( 一時金の選択も可能 ) 本人死亡の場合 終身年金部分の受給は終了 有期年金の残余部分は遺族が一時金として受給 財政運営は積立方式 公務に基づく負傷または

被用者年金一元化法

地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律 < 趣旨 > 被用者年金一元化法附則第 2 条等を踏まえ 地方公務員共済年金の職域部分の廃止に伴い 地方公務員の退職給付の一部として 年金払い退職給付 ( 仮称 ) を設けるなど

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一元化後における退職共済年金および老齢厚生年金の在職支給停止 65 歳未満の場合の年金の支給停止計算方法 ( 低在老 ) 試算表 1 年金と賃金の合算額が 28 万を超えた場合に 年金額の支給停止 ( これを 低在老 といいます ) が行われます 年金と賃金の合算額 (c) が 28 万以下の場合は

調布市要綱第  号

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年金制度のポイント

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財財第  号

退職後の医療保険制度共済組合の年金制度退職後の健診/宿泊施設の利用済組合貸付金/私的年金退職手当/財形貯蓄/児童手当個人型確定拠出年金22 共イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けるこ

資料1 短時間労働者への私学共済の適用拡大について

平成 27 年 10 月から全国市町村職員共済組合連合会 ( 以下 市町村連合会 1 ) が年金の決定 支払いを行います ~ 各種届出等の手続き及び各種相談は 今までどおり共済組合で行います ~ 平成 24 年 8 月 22 日に公布された 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部

四日市市消防関係手数料条例の一部を改正する条例

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年金制度の体系 現状 ( 平成 26 年 3 月末現在 ) 加入員数 48 万人 加入者数 18 万人 加入者数 464 万人 加入者数 788 万人 加入員数 408 万人 国民年金基金 確定拠出年金 ( 個人型 D C ) 確定拠出年金 ( 企業型 DC) 厚生年金保険 被保険者数 3,527

一元化後の公的年金制度の仕組み 平成 27 年 10 月に被用者年金制度の一元化が行われることにより 私学共済の年金制度にあった2 階部分の年金は厚生年金となり 職域部分は廃止されることになりました この廃止される職域部分にかわって 27 年 10 月以降の加入者期間分については 新たな3 階部分の

年金支給開始年齢図 特別支給の ( 給料比例部分 ) 昭和 29 年 10 月 1 日生まれ以前 ~ 特別支給の退職共済年金 昭和 25 年 10 月 1 日生まれ以前 ~ 退職共済年金 経過的職域加算額 ( 旧職域部分 ) 退職等年金給付 ( 年金払い退職給付 ) 平成 27 年 9 月までの組合

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社会保障 税一体改革大綱(平成24 年2月17 日閣議決定)社会保障 税一体改革における年金制度改革と残された課題 < 一体改革で成立した法律 > 年金機能強化法 ( 平成 24 年 8 月 10 日成立 ) 基礎年金国庫負担 2 分の1の恒久化 : 平成 26 年 4 月 ~ 受給資格期間の短縮

Microsoft Word - (差替)170620_【総務部_厚生課_櫻井望恵】論文原稿

受けているときは これらの年金総額が 230 万円となるように計算されます 計算例 1. 単一の共済年金が支給されている場合 事例 1 退職共済年金 + 老齢基礎年金を受給している方の場合 現在の年金額退職共済年金 210 万円老齢基礎年金 60 万円 (= 組合員期間に係る基礎年金相当額 ) 退職

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< 参考資料 目次 > 1. 平成 16 年年金制度改正における給付と負担の見直し 1 2. 財政再計算と実績の比較 ( 収支差引残 ) 3 3. 実質的な運用利回り ( 厚生年金 ) の財政再計算と実績の比較 4 4. 厚生年金被保険者数の推移 5 5. 厚生年金保険の適用状況の推移 6 6. 基

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PowerPoint プレゼンテーション


Microsoft Word ①概要(整備令)

Microsoft Word - 概要

1 被用者年金制度一元化以降における公務員年金制度の現状 ⑴ 被用者年金制度の一元化 ( 平成 27 年 10 月 1 日施行 ) 平成 24 年 8 月に成立し 同月に公布された 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律 により 平成 27 年 10 月より共済年金

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

Microsoft PowerPoint - 7.【資料3】国民健康保険料(税)の賦課(課税)限度額について

平成25年4月から9月までの年金額は

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年金制度について 31

(2) 再就職後 年金受給権が発生した場合正規職員無職一般企業無職 共済組合員 A 厚生年金 B ( 一般厚生年金 ) 退職 再就職 老齢厚生年金支給開始年齢 1 年金待機者登録 2 公的年金加入 ( 一部又は全額支給停止 ) 3 年金決定請求 1 退職した際は 年金の受給権発生まで期間がありますの

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被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案要綱第一改正の趣旨被用者年金制度については 多様な生き方や働き方に公平な社会保障制度を目指す平成二十四年二月十七日の閣議決定 社会保障 税一体改革大綱 に基づき 公的年金制度の一元化を展望しつつ 今後の制度の成熟化や少子 高齢

他の所得による制限と雇用保険受給による年金の停止 公務員として再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額停止となり 特別 ( 本来 ) 支給の老齢厚生年金の一部または全部に制限がかかることがあります なお 民間に再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額支給されますが

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平成 30 年 2 月末の国民年金 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 及び福祉年金の受給者の 年金総額は 49 兆円であり 前年同月に比べて 7 千億円 (1.4%) 増加している 注. 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 受給 ( 権 ) 者の年金総額は 老齢給付及び遺族年金 ( 長期要件 ) につ

平成 30 年 1 月末の国民年金 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 及び福祉年金の受給者の 年金総額は 49 兆円であり 前年同月に比べて 6 千億円 (1.3%) 増加している 注. 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 受給 ( 権 ) 者の年金総額は 老齢給付及び遺族年金 ( 長期要件 ) につ

確定給付企業年金制度のご案内 ━ 大阪府電設工業企業年金基金のご案内 ━

2909_0 概要

再任用と年金加入の関係をまとめると次のようになる ( 都道府県によって勤務形態は異なる ) 再任用の勤務形態フルタイム勤務 3/4 1/2 週の勤務時間 38 時間 45 分 29 時間 19 時間 15 分 共済年金 厚生年金 (2016 年 9 月 30 日まで ) 加入する年金 (2015 年

52 (2) 再就職後 年金受給権が発生した場合正規職員無職一般企業 無職 共済組合員 A 厚生年金 B ( 一般厚生年金 ) 退職再就職老齢厚生年金支給開始年齢 1 年金待機者登録 2 公的年金加入 3 年金決定請求 ( 一部又は全額支給停止 ) 1 退職した際は 年金の受給権発生まで期間がありま

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2906_0 概要

新規裁定当該期間 ( 月又は年度 ) 中に新たに裁定され 年金受給権を得た者が対象であり 年金額については裁定された時点で決定された年金額 ( 年額 ) となっている なお 特別支給の老齢厚生年金の受給権者が65 歳に到達した以降 老齢基礎年金及び老齢厚生年金 ( 本来支給もしくは繰下げ支給 ) を

第 50 号 2016 年 10 月 4 日 企業年金業務室 短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大及び厚生年金の標準報酬月額の下限拡大に伴う厚生年金基金への影響について 平成 28 年 9 月 30 日付で厚生労働省年金局から発出された通知 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能

例 言 厚生年金保険被保険者厚生年金保険被保険者については 平成 27 年 10 月 1 日から被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律が施行されたことに伴い 厚生年金保険法第 2 条の5の規定に基づき 以下のように分類している 1 第 1 号厚生年金被保険者第 2

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【作成中】2903_0 概要

年金改革の骨格に関する方向性と論点について

2 返還額の算定方法 (1) 前記 1の (1) (2) (5) 及び (6) の退職一時金に係る返還額 退職一時金の額に利子に相当する額を加えた額とされており この利子に相当する 額は当該一時金の支給を受けた日の属する月の翌月から退職共済年金等を受ける権利 を有することとなった日の属する月までの期

女性が働きやすい制度等への見直しについて

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表 2 イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けることができます 支給要件 a 組合員期間が1 年以上あること b 組合員期間等が25 年以上あること (P.23の表 1 参照 ) c

Microsoft PowerPoint - 社会保障・第6回.ppt

v

Microsoft Word - 概要

4 共済組合 共済組合は 組合員及びその家族の相互救済を目的とした社会保障制度です 病気 負傷 出産などに対する 短期給付事業 退職 障害または死亡に対する 長期給付事業 及び組合員の健康管理 福利厚生 診療所の運営 または貯金 貸付等を行う 福祉事業 の三つの主な事業を行っています 特許庁の職員と

強制加入被保険者(法7) ケース1

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年金・社会保険セミナー

第 2 節強制被保険者 1 第 1 号被保険者頻出 択 ( 法 7 条 1 項 1 号 ) 資格要件 日本国内に住所を有する20 歳以上 60 歳未満の者 ( 第 2 号 第 3 号被保険者に該当する者を除く ) 例 ) 自営業者 農漁業従事者 無業者など 適用除外 被用者年金各法に基づく老齢又は退

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[ 組合員期間等の特例 ] 組合員期間等については 年齢 職種などにより 過去の制度からの経過措置が設けられており 被用者年金制度の加入期間 ( 各共済組合の組合員期間など ) については 生年月日に応じて次表の年数以上であれば 組合員期間等が 25 年以上とみなされます 生 年 月 日 組合員期間

Microsoft Word - T2-06-1_紙上Live_老齢(1)_①支給要件(9分)_

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Taro-1-国民年金編2015  作成 

日本再興戦略 改訂 2015 平成 27 年 6 月 30 日に閣議決定された 日本再興戦略 改訂 2015 においては 企業が確定給付企業年金を実施しやすい環境を整備するため 確定給付企業年金の制度改善について検討することとされている - 日本再興戦略 改訂 2015( 平成 27 年 6 月 3

保育所に入所できないことを事由とする育児休業手当金の延長要件の見直し(地方公務員の「パパ・ママ育休プラス」の場合)(あっせん)

はじめに 定年 は人生における大きな節目です 仕事をする 働く という観点からすれば ひとつの大きな目標 ( ゴール ) であり 定年前と定年後では そのライフスタイルも大きく変わってくることでしょう また 昨今の労働力人口の減少からも 国による 働き方改革 の実現に向けては 高齢者の就業促進も大き

( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

年金・社会保険セミナー

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付加退職金の概要 退職金の額は あらかじめ額の確定している 基本退職金 と 実際の運用収入等に応じて支給される 付加退職金 の合計額として算定 付加退職金は 運用収入等の状況に応じて基本退職金に上乗せされるものであり 金利の変動に弾力的に対応することを目的として 平成 3 年度に導入 基本退職金 付

「公的年金からの特別徴収《Q&A

第14章 国民年金 

Microsoft Word - 6 八十歳までの保証がついた終身年金

別 Ⅰ 紙 民間及び公務における退職給付調査の結果 1 民間企業の退職給付調査の結果平成 28 年 8 月 国家公務員の退職給付制度を所管している内閣総理大臣及び財務大臣から人事院総裁に対し 国家公務員の退職給付の官民均衡を確保するため 民間の退職金及び企業年金の実態調査の実施と見解の表明について要

扶養手当制度の概要 1 支給要件 扶養親族 ( 他に生計の途がなく主として職員の扶養を受けているもの ) を有する職員に対して支給 年額 130 万円以上の恒常的な所得があると見込まれる者は対象外 2 支給月額 配偶者 : 13,000 円子など : 1 人につき 6,500 円 ( 配偶者のない場

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第 1 節年金制度の概要 国民皆年金への変遷昭和 16 年労働者年金保険法の制定 ( 施行は昭和 17 年 ) 昭和 19 年労働者年金保険法を厚生年金保険法に改称昭和 23 年国家公務員共済組合法の制定昭和 28 年私立学校教職員共済組合法の制定昭和 29 年厚生年金保険法の改正 ( 旧厚生年金保

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ファイナンシャル プランニングと倫理 関 連法規 Copyright (c) Akira Sugiyama all rights reserved 2

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Ⅱ 厚生年金の給付の種類とその受給要件 1 特別支給の老齢厚生年金 (65 歳になるまで ) 次の要件をすべて満たしているときに 支給開始年齢から 65 歳になるまでの間 支給されます 1 支給開始年齢以上であること 2 厚生年金被保険者期間が1 年以上であること 3 受給資格期間が 25 年以上

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平成 27 年 10 月から 共済年金は厚生年金に統一されます ~ 被用者年金制度の一元化と年金払い退職給付の創設 ~ 現在 皆さまは国家公務員共済年金に加入していますが 被用者年金制度の一元化により 平成 27 年 10 月から厚生年金に加入することとされています また 新たな 年金払い退職給付 が創設されることにもなっています そこで 今回のリーフレットでは この被用者年金制度の一元化が行われることとなった経緯や 平成 27 年 10 月からの年金制度がどのようになっていくのかといったことについてご案内させていただきます 改正のポイント 国家公務員も厚生年金の被保険者 ( 加入者 ) となります 手続きなしで平成 27 年 10 月 1 日に厚生年金の被保険者となります 共済年金の保険料が厚生年金の保険料と統一されます 従来 1 ~ 3 階部分の給付に充てるための保険料が 1 ~ 2 階部分の 給付のみに充てられることとなります 共済年金の 3 階部分 ( 職域部分 ) が廃止されるとともに 新たに 年金払い退職給付 が創設されます 厚生年金の保険料とあわせて 別途 年金払い退職給付 の保険料 ( 労使あわせて 1.5% を上限 ) の負担をしていただくこととなります

公的年金制度のしくみ 被用者年金制度の一元化についてご説明させていただく前に まず わが国における公的年金制度のしくみについてご紹介します 現在の公的年金制度は 次の図のように 基礎年金制度 と 被用者年金制度 の2つに大きく分けることができます 現在の公的年金制度 基礎年金制度 ( 国民年金 ) は 自営業の方のほか 民間サラリーマン 公務員 私 学教職員やこれらの被扶養配偶者も加入する全国民共通の制度となっています したがいまして 被用者年金制度 ( 共済年金や厚生年金 ) の加入者は あわせて 基礎年金制度 ( 国民年金 ) にも加入し 同時に 2 つの年金制度の適用を受けています 国家公務員共済組合には 組合員の皆さまが加入している 20 の共済組合がありますが 国家公務員共済組合連合会 ( 連合会 ) は 共済組合の組合員の皆さまや遺族の方々に対しての年金の決定や支払いなどの共済年金 ( 長期給付 ) 事業を行っています 2 参考 社会保障 税一体改革大綱について ( 平成 24 年 2 月 17 日閣議決定 抜粋 ) 4. 年金 Ⅱ 現行制度の改善 (7) 被用者年金一元化 被用者年金制度全体の公平性 安定性確保の観点から 共済年金制度を厚生年金制度に合わせる方向を基本として被用者年金を一元化する 具体的には 公務員及び私学教職員の保険料率や給付内容を民間サラリーマンと同一化する 公的年金としての職域部分廃止後の新たな年金の取扱いについては 新たな人事院調査等を踏まえて 官民均衡の観点等から検討を進めるものとする

なぜ 被用者年金制度の一元化が必要なのか 現在 4つ注 1 に分かれて運営されている被用者年金制度は 今後の少子 高齢化の一層の進展等に備え 年金財政の範囲を拡大して制度の安定性を高めるとともに 民間サラリーマンや公務員を通じ 同じ保険料を負担し 同じ年金給付を受けるという年金制度の公平性を確保することにより 公的年金に対する国民の信頼を高めるため 被用者年金制度の一元化を行うこととなりました そこで 今回 社会保障 税一体改革大綱について ( 平成 24 年 2 月 17 日閣議決定 ) を踏まえた被用者年金一元化法注 2 により 平成 27 年 10 月 1 日から厚生年金に公務員や私学教職員も加入することとされました 被用者年金制度一元化後の公的年金制度 なお 被用者年金一元化法による主な改正内容は 次のとおりです 厚生年金に公務員及び私学教職員も加入することとし 2 階部分の年金は厚生年金に統一する ( 個人による厚生年金への加入手続は不要です ) 共済年金と厚生年金の給付内容は 基本的に厚生年金にそろえる 共済年金の保険料を引き上げ 厚生年金の保険料率 上限 18.3% に統一する注 3 共済年金にある公的年金としての3 階部分 職域部分 を廃止し 新たな公務員制度としての年金の給付の制度を設ける ( 次ページ以降にてご紹介します ) 注 1 厚生年金 国家公務員共済組合 地方公務員等共済組合及び私立学校教職員共済 2ページの図参照 注 2 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律 ( 平成 24 年 8 月 22 日公布 法律第 63 号 ) 注 3 現在の共済年金の保険料率 ( 掛金率 + 負担金率 ) は1 3 階部分の給付に充てるためのものですが 平成 27 年 10 月 1 日以後は 1 2 階部分の給付に充てられることとなります ( 同日時点の保険料率 :17.278%) なお 保険料率の引上げスケジュール等の詳しい内容については 財政再計算結果と新保険料率について ( 平成 26 年 7 月発行リーフレット ) をご参照ください 連合会ホームページ 年金制度改革 平成 26 年財政再計算 財政再計算結果と新保険料率について (PDF) http://www.kkr.or.jp/seidokaikaku/pdf/h26.7.pdf 3

年金給付のしくみ ここでは 年金制度の年金給付のしくみをご紹介します 現在の被用者に対する給付については 厚生年金に加入している 民間サラリーマン と共済年金に加入している 公務員及び私学教職員 の2つのグループに大きく分けることができます 現在の年金給付 ( 老齢 退職 ) 年金額は 平均報酬月額 36 万円 加入期間 40 年として試算したもの ( 平成 26 年度価格 加入者本人分のみで月額表示 ) 解説 ( 現在 ) 実線 で囲まれている部分が 公的年金です 1 階部分 は 全国民に共通となっている基礎年金制度 国民年金 から支給される老齢基礎年金 ( 定額 ) です 2 階部分 は 被用者年金制度 共済年金又は厚生年金 から支給される年金であり 加入者の報酬に基づき算定されます ( 報酬比例 ) 公務員及び私学教職員の 3 階部分 は 公的年金として支給される共済年金の一部であり 2 階部分 と同様に加入者の報酬に基づいて算定されます ( 報酬比例 ) また 点線 で囲まれている民間サラリーマンの 3 階部分 は 各企業が加入する確定給付企業年金等の企業年金です 加入期間中の報酬と加入期間が同じ場合 職域部分を除けば 民間サラリーマン と 公務員及び私学教職員 が受給する年金は同額となります 4

既にご紹介したとおり 平成 27 年 10 月 1 日 ( 施行日 ) からは 公務員及び私学教職員も厚生年金に加入することとされ また 共済年金の3 階部分 ( 職域部分 ) は廃止されることとされています なお 廃止される職域部分については 1 施行日前に年金権を有する方や 2 施行日前の加入期間を有する方に対しては 施行日以後においても 加入期間に応じた職域部分が支給されることとなります また 施行日以後の加入期間については 新たに公務員制度の一環としての 年金払い退職給付 制度を設けることとされています ( 年金払い退職給付 制度の概要は 次ページ以降にてご紹介します ) 被用者年金制度一元化後の年金給付 ( 老齢 退職 ) 平成 27 年 10 月 1 日前の期間を有さない方の場合 解説 ( 一元化後 ) 2 階部分 は 公務員 私学教職員ともに 老齢厚生年金 を受給 ( 国家公務員の老齢厚生年金については 連合会から受給 ) することとなります 国家公務員の 年金払い退職給付 については 連合会から受給することとなります 平成 27 年 10 月 1 日に 職域部分 は廃止されますが 同日前までの共済年金に加入していた期間分については 同月以後においても 加入期間に応じた 職域部分 が支給されます したがいまして 同日前と同日以後の期間の両方を有する方に対しては 同日前の期間に応じた 職域部分 と同日以後の期間に応じた 年金払い退職給付 の両方が支給されます 5

新しい 年金払い退職給付 人事院は 総務大臣 財務大臣からの要請を受けて民間企業における企業年金及び退職金の調査等を行い 民間では企業年金を有する企業が過半を占めていることを考慮した対応が必要 との調査結果等 1 を公表しました 1 民間の企業年金及び退職金の実態調査の結果並びに当該調査の結果に係る本院の見解について ( 平成 24 年 3 月 7 日人事院公表 ) の概要( 抜粋 ) 4. 国家公務員の退職給付に係る見解 官民均衡の観点から 民間との較差を埋める措置が必要 退職給付の見直しに当たり 国家公務員の退職給付が終身年金の共済職域と退職手当から構成され 服務規律の維持等の面から重要な意義を果たしてきた経緯や 民間では企業年金を有する企業が過半を占めていることを考慮した対応が必要 ( 以下略 ) 詳しくは 人事院ホームページ ( 下記アドレス ) をご覧ください http://www.jinji.go.jp/nenkin/h23/taisyokukennkai23.html また 国家公務員等の退職給付の今後の在り方を検討するために設置された有識者会議では 民間の企業年金に相当する労使折半の年金 ( 年金払い退職給付 ) を導入 すること等とした報告書 2 が取りまとめられました 2 共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議 報告書( 平成 24 年 7 月 5 日 ) 概要 ( 抜粋 ) 民間の企業年金に相当する労使折半の年金 ( 年金払い退職給付 ) を導入し 退職手当との二本建てで支給すること 年金の一部を一時金として支給することが選択可能な仕組みとすること 確定給付型と確定拠出型双方の特長を併せ持つキャッシュ バランス方式を採用 服務規律維持のための支給制限措置を導入したり適切な水準の公務上障害 遺族年金を設けたりするために終身年金を設定するなど 公務の特殊性に配慮した公務員制度の一環としての年金とすること これらを踏まえ 国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律 ( 法律第 96 号 ) が平成 24 年 11 月に公布され 平成 27 年 10 月 1 日から 新たな 年金払い退職給付 が公務員制度の一環として共済年金制度に設けられることとなりました 6

ここでは 以上のような経過を経て平成 27 年 10 月 1 日から 公務員制度の一環として新しく設けられることとなりました 年金払い退職給付 の概要について ご紹介していきます 年金払い退職給付 のイメージ ( 出典 : 平成 24 年 10 月 26 日 財政制度等審議会 国家公務員共済組合分科会 ( 第 19 回 ) 配付資料 ) モデル年金月額は 標準報酬月額 36 万円 40 年加入等一定の前提をおいて試算 概 要 年金の半分は有期年金 半分は終身年金 原則 65 歳からの支給となりますが 支給開始年齢を 60 歳 ~ 70 歳の間で選択することが可能 有期年金は 10 年又は20 年支給を選択 一時金として支給を受ける選択も可能 本人死亡の場合は 終身年金部分は終了 有期年金の残余部分は遺族に一時金として支給 注 財政運営は積立方式 給付設計はキャッシュ バランス方式とし 保険料の追加拠出リスクを抑制したうえで 保険料率の上限を法律で明記 ( 労使あわせて1.5% 従来の保険料率( 掛金率 + 負担金率 ) に加え 新たな負担となります ) 公務に基づく負傷又は病気により 障害の状態になった場合や死亡した場合には 公務上障害 遺族年金を支給 服務規律維持の観点から 現役時から退職後までを通じた信用失墜行為などに対する支給制限措置を導入 7

積立時 と 給付時 のイメージ 積立時 毎月の保険料を負担していただくことにより 毎月の報酬に一定率 ( 付与率 ) を乗じた付与額とこれに対する利子が累積します 基準利率の設定などについては保守的な設計を行い 保険料の追加拠出のリスクを抑制します 給付時 付与額と利子を累積した給付算定基礎額を基礎に給付額を計算します 基準利率の変動や寿命の伸びなどを踏まえて 現価率 ( 毎年改定 ) を定め 年金額を改定します 8