平成 19 年 7 月 20 日付, 経済産業大臣からの指示文書 平成 19 年新潟県中越沖地震を踏まえた対応について ( 指示 ) ( 平成 19 07 20 原第 1 号 ) に基づき, 浜岡原子力発電所 ( 以下, 発電所 という ) における自衛消防体制の強化ならびに迅速かつ厳格な事故報告体制の構築に係る改善計画を策定する 発電所における自衛消防体制の強化ならびに迅速かつ厳格な事故報告体制の構築に係る検討事項は, 以下のとおり ( ア ) 火災発生時に迅速に十分な人員を確保することができる体制を早急に整えること ( イ ) 原子力発電所における油火災等に備え, 化学消防車の配置等の措置を講ずること ( ウ ) 消防に対する専用通信回線を確保すること ( エ ) 消防機関での実地訓練を含め, 消防との連携の下で, 担当職員の訓練を強化すること ( ア ) 地震等の災害発生時であっても, 放射性物質の漏えいなどの事実関係を確認するために必要となる人員を確保することができる体制を早急に整えること ( イ ) 地震等の災害発生時であっても確実に機能する通信手段を, 原子力発電所内及び原子力発電所と事業者の災害対策本部等との間に確保すること ( ウ ) 万一, 放射性物質の漏えいなどがあった場合には, その可能性に接した時点で, 直ちに, 国及び地方自治体への報告を行うこと 自衛消防体制の強化および迅速かつ厳格な事故報告体制の構築の観点から, 発電所における現状の課題および対応方針は, 以下のとおりである ( ア ) 現状, 火災発生時の初動対応を行う要員として, 発電所内に 24 時間体制で勤務する運転員 3 名, 警備や防護にあたる当社警備長 1 名および委託員 8 名の計 12 名が指定されている また, 発電所から 30 分以内の通勤圏にある社員 ( 現場に精通した管理職 2 名を含む 1 班あたり 8 名の消火チームを 4 班編成 ) を初期消火にあたる要員に任命し,1 週間交替の輪番制として 4 班のうち 1 班を消火初動にあたる当番チームとしている これらの要員は会社が配備している携帯電話により, 火災発生時には速やかに呼び出しを受けることができるようにしている これら,20 名の初期消火要員のうち, 発電所内に 24 時間体制で勤務する 12 名を除く 8 名については, 呼び出しにより確実に参集する必要がある 1
以上を踏まえ までに, 呼び出し訓練を実施し, その結果の検証により, 初期消火要員 20 名が確保できるよう呼び出し方法の充実を図る なお, 御前崎市で震度 5 弱以上の地震が発生した場合, 火災の有無に関わらず予め指名された要員が連絡を待たず自動出社するルールとしている ( イ ) 現状, 油火災等に対する備えとして, 昭和 59 年以降は化学消防車 1 台と水源となる消防 ( タンク ) 車 1 台を配備している 一方, 化学消防車と消防 ( タンク ) 車を格納している車庫については, 想定東海地震においても消防車の出動に支障のないことを評価しているが, 車庫内の資機材等が消防車の出動に支障とならないか検討が必要である 以上を踏まえ までに, すでに設置している化学消防車および消防 ( タンク ) 車が出動する際に, 支障となる車庫内の資機材等の有無について確認し, 対策を行う ( ウ ) 現状, 火災発生時の消防署への通報は, 発電指令課長, 警備長または火災発見者が NTT 回線を使用して 119 番 通報を行っている しかしながら, 発電所内には消防署への専用通信回線はないため, 確実な連絡の観点から, 消防署への専用通信回線を設置する 恒久対策が完了するまでの当面の期間は, 119 番 通報が利用できない場合の代替として, 各号機中央制御室から防護本部を経由して, 防護本部に設置されている静岡県総合情報ネットワークを消防署への通報手段として利用する 年度内に, 恒久対策として, 各号機中央制御室および防護本部と消防署間の専用通信回線の仕様について検討し, 設置する ( エ ) 現状, 消防機関での実地訓練として, 消火チーム員を対象に年に 1 回, 運転員による消火要員を対象に 3 年に 1 回の頻度で, 煙体感訓練を実施している また, 消防署との連携強化を図る観点から, 火災発生時等の初動対応を行う要員を対象に年に 1 回程度の頻度で, 消防署との合同火災対応訓練を実施している これらの訓練を通じ, 要員は十分な力量を有していると考えるが, 要員の対応知識や技能が身についているか改めて検証し, 緊急時の対応能力の更なる向上を図る必要がある 以上を踏まえ,9 月末までに 7 月 24 日に当社単独で実施した変圧器の火災を想定した火災対応訓練の結果を検証し, 消防機関との合同訓練の内容充実を図ると共に, 消火要員の訓練頻度を増やすことにより, 緊急時の対応能力の更なる向上を図る ( ア ) 現状, 測定にあたっては, 汚染拡大の有無の確認および発電所外への放出の有無の確認においてそれぞれ以下の体制で, 合計 6 名が測定にあたることとしている 汚染拡大の有無の確認 : 測定結果評価者 ( 放射線安全課長, 不在時にはその代行者 ), 現場測定員 2 名の 3 名 2
発電所外への放出の有無 : 測定結果評価者 ( 環境保安課長, 不在時にはその代行者 ), 現場測定員 2 名の 3 名 これらの測定に必要な力量を有する人員数は, 社員および委託員をあわせ通常運転時および定期点検時のいずれにおいても 70 名以上を確保している 夜間および休祝日を含め, 御前崎市内で震度 4 の地震が観測された場合においては, 測定の力量を有する社員 16 名 ( 発電所近辺に在住 ) が連絡を待たず自動出社することとしている しかし, 突発地震時の参集について, 改めて検証するとともに, 地震発生時からサンプリング採取および測定結果把握までにどの程度時間を要するか検証する 以上を踏まえ までに, 突発地震時の参集人員数, 測定までに要する時間について検証し, 必要な改善を図る ( イ ) 現状, 発電所内および本店と発電所間においては, 通信手段が多様化されており, 災害時においても確保される 以上のとおり, 通信手段は確保されているが, 地震時の破損防止のため,までに機器の固定状態の確認を実施する ( ウ ) 現状, 建屋内における水漏れに関しては, 放射能量において実用炉規則第 19 条の 17 に該当するか否かの判断を待たずして, 管理区域内において,1 リットルを超えるような放射性物質を含む機器等からの水漏れを発見した場合, ならびに, 管理区域内外および放射性物質の有無にかかわらず 100 リットルを超える水漏れを発見した場合は, 社内および原子力安全 保安院, 静岡県, 地元 4 市に連絡することとしている 上記に該当する恐れがある場合において, 発電指令課長は, 放射線安全課長および環境保安課長にそれぞれスミア測定およびサンプリング採取による測定を依頼するとともに技術課長に状況を連絡し, 技術課長は漏えい箇所, 漏えい量の報告をもとに上記報告対象にあたるかどうかを判断する その結果を受け通報連絡責任者 ( 昼間にあっては技術課長, 夜間および休祝日にあっては当直室の責任者 ) が連絡ルートに基づき連絡する これらの判断にあたって技術課長と連絡が取れない場合であっても, 第 1 から第 3 代行者をルールに定めている 建屋内における水漏れに関しては, 上記のとおり放射能量にかかわらず, 漏えい量をもとに速やかに連絡するルールを定めているが, 特に管理区域外の漏水について, 漏えい箇所が特定できない場合は, 放射性物質が含まれている可能性を踏まえ, スミア測定またはサンプリング測定の実施をルールに規定する必要がある 以上を踏まえまでに, 管理区域外で漏えいを発見し, 放射性物質の含有が考えられる場合や, 簡易測定により定性的であっても放射性物質が含まれている可能性が認められた場合は, その時点で, 管理区域外での放射性物質の漏えいの可能性あり( 現在調査中 ) として連絡を行うようルール化を図る また, 管理区域外の漏水における対応処置について, 漏えい箇所が特定できない場合は, 放射性物質を含んだ水である可能性を踏まえ, スミア測定またはサンプリング測定の実施についてルール化する また現状, 気体状又は液体状の放射性廃棄物の計画外の排出の恐れのあるときは, 法律対象以下の漏えいについては, 過去の事例から昼間帯に発生した場合は速やかに, 夜間に発生した場合は翌朝に連絡する扱いとなっている 3
この場合において, 夜間を問わず速やかに連絡するようルールを改める必要がある 以上を踏まえ, 環境中への放射能の放出に関して, 法律対象以下であっても, その可能性を把握した時点で速やかに連絡するようルールを改正する 4
自衛消防体 ( ア ) 火災発生時に迅速に十分な人員を確保することができる体制を早急に整えること ( イ ) 原子力発電所における油火災等に備え, 化学消防車の配置等の措置を講ずること 現状, 火災発生時の初動対応を行う要員として, 発電所内に24 時間体制で勤務する運転員 3 名, 警備や防護にあたる当社警備長 1 名および委託員 8 名の計 12 名が指定されている また, 発電所から30 分以内の通勤圏にある社員 ( 現場に精通した管理職 2 名を含む1 班あたり8 名の消火チームを4 班編成 ) を初期消火にあたる要員に任命し,1 週間交替の輪番制として4 班のうち1 班を消火初動にあたる当番チームとしている これらの要員は会社が配備している携帯電話により, 火災発生時には速やかに呼び出しを受けることができるようにしている なお, 御前崎市で震度 5 弱以上の地震が発生した場合, 火災の有無に関わらず予め指名された要員が連絡を待たず自動出社するルールとしている 油火災等に対する備えとして, 昭和 59 年以降は化学消防車 1 台と水源となる消防 ( タンク ) 車 1 台を配備している ( 仕様を以下に示す ) < 化学消防車 > 用途: 油火災, 化学火災, 一般火災 水放水能力:2,000L/min 泡消火能力( 水 泡薬剤 3% 混合液体 ):500L/min 搭載泡薬剤タンク容量 :500L 搭載水タンク容量 :1,300L( 消防 ( タンク ) 車, 防火用水等から給水可能 ) < 消防 ( タンク ) 車 > 用途: 化学消防車への給水, 一般火災 水放水能力:527L/min 搭載水タンク容量:5,500L 20 名の初期消火要員のうち, 発電所内に 24 時間体制で勤務する 12 名を除く 8 名については, 呼び出しにより確実に参集する必要がある 化学消防車と消防 ( タンク ) 車を格納している車庫については, 想定東海地震においても消防車の出動に支障のないことを評価しているが, 車庫内の資機材等が消防車の出動に支障とならないか検討が必要である 1 呼び出し訓練を実施し, その結果の検証により, 初期消火要員 20 名が確保できるよう呼び出し方法の充実を図る 2 すでに設置している化学消防車および消防 ( タンク ) 車が出動する際に, 支障となる車庫内の資機材等の有無について確認し, 対策を行う 制の ( ウ ) 消防に対する専用通信回線を確保すること 火災発生時の消防署への通報は, 発電指令課長, 警備長または火災発見者が NTT 回線を使用して 119 番 通報を行っている なお, 発電所と消防署とをつなぐ回線には, 御前崎市地域防災無線, 静岡県原子力発電所緊急時連絡網および静岡県総合情報ネットワークがあるが, これら設備を使用する運用とはなっていない 確実な連絡の観点から, 消防署への専用通信回線設置が必要である 3 恒久対策が完了するまでの当面の期間は, 119 番 通報が利用できない場合の代替として, 各号機中央制御室から防護本部を経由して, 防護本部に設置されている静岡県総合情報ネットワークを消防署への通報手段として利用する 4 恒久対策として, 各号機中央制御室および防護本部と消防署間の専用通信回線の仕様について検討し, 設置する 37 月末 4 年度内 強 ( エ ) 消防機関での実地訓練を含め, 消防との連携の下で, 担当職員の訓練を強化すること 消防機関での実地訓練として, 消火チーム員を対象に年に 1 回, 運転員による消火要員を対象に 3 年に 1 回の頻度で, 煙体感訓練を実施している また, 消防署との連携強化を図る観点から, 火災発生時等の初動対応を行う要員を対象に年に 1 回程度の頻度で, 消防署との合同火災対応訓練を実施している 消火に係る要員の対応知識や技能が身についているか改めて検証し, 緊急時の対応能力の更なる向上を図る必要がある 57 月 24 日に当社単独で実施した変圧器の火災を想定した火災対応訓練の結果を検証し, 消防機関との合同訓練の内容充実を図ると共に, 消火要員の訓練頻度を増やすことにより, 緊急時の対応能力の更なる向上を図る 9 月末 化 5
迅速かつ厳 格な事故報告 体制の構築 ( ア ) 地震等の災害発生時であっても, 放射性物質の漏えいなどの事実関係を確認するために必要となる人員を確保することができる体制を早急に整えること ( イ ) 地震等の災害発生時であっても確実に機能する通信手段を, 原子力発電所内及び原子力発電所と事業者の災害対策本部等との間に確保すること 測定にあたっては, 汚染拡大の有無の確認および発電所外への放出の有無の確認においてそれぞれ以下の体制を必要要員としており, 合計 6 名が測定にあたる 汚染拡大の有無の確認: 測定結果評価者 ( 放射線安全課長, 不在時にはその代行者 ), 現場測定員 2 名の3 名 発電所外への放出の有無: 測定結果評価者 ( 環境保安課長, 不在時にはその代行者 ), 現場測定員 2 名の3 名これらの測定に必要な力量を有する人員数は, 社員および委託員をあわせ通常運転時および定期点検時のいずれにおいても70 名以上を確保している 夜間および休祝日を含め, 御前崎市内で震度 4の地震が観測された場合においては, 測定の力量を有する社員 16 名 ( 発電所近辺に在住 ) が連絡を待たず自動出社することとしている 現状の通信手段は以下のとおり 発電所内 (1) 電話 1 通常時 : 保安電話 1 ( 社内線 ), ページングシステム, 中央制御室 - 緊急時対策所間インターホン ( 専用社内線 ) 2 代替手段 :NTT 電話 ( 災害時優先含む ) (2)FAX 1 保安 FAX( 社内線 ) 1 2 防災 FAX( 社内線の防災専用 ) 2,NTT FAX( 災害時優先含む ) 発電所- 本店間 (1) 電話 1 保安電話 ( 社内線 ) 1, 携帯電話 2 防災電話 ( 社内線の防災専用 ) 2, 本店 - 発電所間ホットライン ( 専用社内線 ) 3, 衛星通信専用電話 ( 社内線 ),NTT 電話 ( 災害時優先含む ), 衛星携帯電話 (2)FAX 1 保安 FAX( 社内線 ) 1 2 防災 FAX( 社内線の防災専用 ) 2, 衛星通信専用 FAX( 社内線 ),NTT FAX( 災害時優先含む ) (3)TV 電話 1TV 会議システム ( 社内線 ) 4 1 保安電話 FAXは有線系 ( 配電添架 ) である ただし, 複数ルートを有している 2 防災電話 FAXは無線系 ( マイクロ無線 ) である また, 複数ルートを有している 3 本店 - 発電所間ホットラインの伝送路は, 無線系 ( マイクロ無線 ) に加え, 送電鉄塔の有線系もある 4 TV 会議システムは, 保安電話と同様である 突発地震時の参集について, 改めて検証するとともに, 地震発生時からサンプリング採取および測定結果把握までにどの程度時間を要するか検証する 発電所内および本店と発電所間においては, 通信手段が多様化されており, 災害時においても確保されると考える 6 突発地震時の参集人員数, 測定までに要する時間について検証し, 必要な改善を図る 7 地震時通信手段の破損防止のため, 機器の固定状態の確認を実施する 6
( ウ ) 万一, 放射性物質の漏えいなどがあった場合には, その可能性に接した時点で, 直ちに, 国及び地方自治体への報告を行うこと 建屋内における水漏れに関しては, 放射能量において実用炉規則第 19 条の 17 に該当するか否かの判断を待たずして, 管理区域内において,1 リットルを超えるような放射性物質を含む機器等からの水漏れを発見した場合, ならびに, 管理区域内外および放射性物質の有無にかかわらず 100 リットルを超える水漏れを発見した場合は, 社内および原子力安全 保安院, 静岡県, 地元 4 市に連絡することとしている 上記に該当する恐れがある場合において, 発電指令課長は, 放射線安全課長および環境保安課長にそれぞれスミア測定およびサンプリング採取による測定を依頼するとともに技術課長に状況を連絡し, 技術課長は漏えい箇所, 漏えい量の報告をもとに上記報告対象にあたるかどうかを判断する その結果を受け通報連絡責任者 ( 昼間にあっては技術課長, 夜間および休祝日にあっては当直室の責任者 ) が連絡ルートに基づき連絡する 上記判断にあたって技術課長と連絡が取れない場合であっても, 第 1 から第 3 代行者をルールに定めている なお, 気体状又は液体状の放射性廃棄物の計画外の排出の恐れのあるときは, 法律対象以下の漏えいについては, 過去の事例から昼間帯に発生した場合は速やかに, 夜間に発生した場合は翌朝に連絡する扱いとなっている 放射能の測定なしに, 漏えい量をもとに速やかに連絡するルールを定めているが, 特に管理区域外の漏水について, 漏えい箇所が特定できない場合は, 放射性物質が含まれている可能性を踏まえ, スミア測定またはサンプリング測定の実施をルールに規定する必要がある 気体状又は液体状の放射性廃棄物の計画外の排出があったときについて, 法律対象以下の放射能漏えいについても, 夜間を問わず速やかに連絡するようルールを改める必要がある 8 管理区域外で漏えいを発見し, 下記の場合など, 定性的であっても放射性物質が含まれている可能性が認められた場合は, その時点で, 管理区域外での放射性物質の漏えいの可能性あり ( 現在調査中 ) として連絡を行うようルール化を図る 放射性物質の含有が考えられる場合 簡易測定により定性的であっても放射性物質が含まれている可能性が認められた場合など 9 管理区域外の漏水における対応処置について, 漏えい箇所が特定できない場合は, 放射性物質を含んだ水である可能性を踏まえ, スミア測定またはサンプリング測定の実施についてルール化する 10 環境中への放射能の放出に関して, 法律対象以下であっても, その可能性を把握した時点で速やかに連絡するようルールを改正する 7