新潟県中越沖地震を受けた 原子力安全 保安院のこれまでの対応 平成 20 年 3 月 27 日 原子力安全 保安院 山田知穂
内 容 中越沖地震における原子力施設に関する調査 対策委員会 における検討状況 自衛消防 情報連絡 提供 耐震安全性 運営管理 設備健全性 IAEA フォローアップ調査 1
中越沖地震における原子力施設に関する調査 対策委員会 今回の地震が柏崎刈羽原子力発電所に及ぼした具体的な影響について事実関係の調査 国及び原子力事業者の今後の課題と対応についてとりまとめ 委員長 : 班目春樹東京大学大学院教授 第一回 : 平成 19 年 7 月 31 日 具体的な審議の内容 1. 地震発生時の原子力事業者による自衛消防体制 情報連絡体制及び地元に対する情報提供の在り方 2. 平成 19 年新潟県中越沖地震から得られる知見を踏まえた耐震安全性の評価 3. 平成 19 年新潟県中越沖地震発生時における原子炉の運営管理の状況と設備の健全性及び今後の対応 2
中越沖地震における原子力施設に関する調査 対策委員会 原子力安全 保安部会 ( 既設 ) 耐震 構造設計小委員会 ( 委員長 ) 阿部勝征東京大学名誉教授 中越沖地震における原子力施設に関する調査 対策委員会 ( 委員長 ) 班目春樹東京大学大学院教授 報告 自衛消防及び情報連絡 提供に関する WG 運営管理 設備健全性評価 WG 大橋弘忠 ( 主査 ) 東京大学大学院教授 関村直人 ( 主査 ) 東京大学大学院教授 3
自衛消防 情報連絡 提供 4
自衛消防体制の抜本的強化に向けた具体的方策 自衛消防体制を組織 教育 設備等の有機的なシステムとして捉え ハード及びソフトの両面から様々な対策を講じることが必要 1. 初期消火体制の充実 2. 消火設備の信頼性の向上 3. 消防活動に不可欠な関連設備の信頼性の向上 4. 消防機関と連携した実践的な訓練等の実施と検証 5. 火災予防教育 対策の充実 6. 複合災害への対応 5
迅速かつ的確な情報連絡 提供に向けた具体的方策 1. 地元住民等に対する多様な手段を駆使した迅速な情報提供 2. 表現方法の工夫等による分かりやすい情報提供 3. 現地を中心とした国の情報連絡 提供体制の強化 4. 大規模な地震に備えた原子力事業者における情報通信設備や体制の整備 5. 実践的な訓練 研修等の実施 6
原子力安全 保安院の自衛消防及び情報連絡 提供に係る実行計画の主な項目 自衛消防関係 地元消防機関等との連携 平成 19 年度から実施 複合災害への対応能力の向上 平成 19 年度から 20 年度 規制 民間基準等への反映 平成 19 年度から 20 年度 情報連絡 提供関係 多様な広報ツールの整備 平成 19 年度から 20 年度 初動時の現地広報体制の充実 平成 19 年度から 20 年度 現地を中心とした国の情報連絡 提供体制の強化 平成 19 年度から実施 原子力発電所等の重要な情報を自動的に収集できるシステムの構築 システムの構築は 平成 20 年度中を目途に実施 7
耐震安全性 8
のもの柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性を確保するための検討項目 原子力安全 保安院 1. 今回の地震に対して 柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性は確保されているか? 2. 今回の地震による揺れが設計で想定した揺れを大きく上回った要因は何か? 現在検討を実施中3. 柏崎刈羽原子力発電所の今後の耐震安全性を確認するための基準地震動はどのように設定するのか? 4. 新たに設定した基準地震動による耐震安全性は確保されるのか? 9
原子炉建屋への影響について 10
原子炉建屋の構造健全性に関する調査 評価の進め方 設計時に想定した加速度を超える揺れ 点検 検査による評価 ひび割れの点検 検査 検査と解析の結果を相互に考慮 解析による評価 今回の地震を用いた地震応答の解析 ひび割れの影響なし 弾性状態 原子炉建屋への影響評価 ひび割れによる耐震性への影響はあるか 地震による応答は弾性状態だったか ひび割れの影響あり 弾性状態を超える 解析モデル検討 点検 検査による詳細検討 検査と解析の結果を相互に考慮 解析による詳細検討 補修の要否 弾性状態とは ここでは 地震でかかる力によって変形している物体が 力が除かれるとともに 元の状態に戻れる状態を指す 今回の地震に対する原子炉建屋の構造健全性を確認 11
原子炉建屋の健全性に関する調査 評価のポイント 原子力安全 保安院 点検 検査による評価 施設への影響を評価 解析による評価 原子炉建屋の基礎上の地震計で観測された地震波を用いて施設に加わった力を評価 : 基礎上の地震計 加速度 (cm/s 2 ) 2000 1500 1000 500 7 号機基礎上の観測記録 ( 東西方向 ) 0 0.02 0.1 1 5 周期 ( 秒 ) (h=0.05) 5 号機北西階段のひび割れの様子 7 号機に加わった力の解析結果例屋上 クレーン階 4 階 3 階 2 階 1 階 地下 1 階 地下 2 階 ひび割れ強調部分 地下 3 階 0 0.1 0.2 0.3 0.4-3 最大応答せん断ひずみ ( 10 ) 外壁ひび割れ発生の目安値 12 原子炉建屋への影響を評価原子炉建屋のひびなどを確認し
7 号機の点検 評価計画書のポイント 原子力安全 保安院 点検各種規格基準に基づく点検を実施 ( 規格基準の例 ) 日本非破壊検査協会コンクリート構造物の目視試験方法日本建築防災協会震災建築物の被災度区分判定基準および復旧技術指針日本建築学会鉄筋コンクリート構造計算基準 同解説 解析 1. 基礎版上で観測された地震記録を使い 7 号機建屋の揺れを解析 2. この解析結果を 7 号機 3 階に設置してある地震計の観測記録と比較し 妥当性を検討 3. 妥当性が確認された解析結果により 7 号機の建屋にかかる力を評価 さらに 0 0.02 0.1 1 周期 ( 秒 ) 5 第三者機関による確認点検 評価の計画や点検結果の妥当性について 第三者機関の確認を受ける 加速度 (cm/s 2 ) 7 号機の3 階の解析結果 ( 東西方向 ) 4000 観測 3000 解析 2000 1000 ( 第三者機関 ) 社団法人建築研究振興協会 ( 国土交通省所管 ) 社団法人土木学会 ( 文部科学省所管 ) 13
今後の対応について 原子力安全 保安院 今回の地震による影響 7 号機東京電力による点検 評価結果の報告を受け 耐震 構造設計小委員会の専門家による現地確認を実施し 妥当性を確認 7 号機以外東京電力から点検 評価についての計画書及び点検 評価結果の報告を受け 耐震 構造設計小委員会の専門家によるその妥当性の確認を実施 今後の耐震安全性の評価 地質調査等を基に新たに設定する基準地震動により耐震安全性評価を実施 14
地質調査の進捗状況について 15
地質調査の目的 原子力安全 保安院 地震はどこでどのように発生したか 地震波はどのように伝わったのか 敷地地盤は発電所の揺れにどのような影響を与えたか 地震を起こす可能性のある震源断層をどこにどのように想定すべきか 軟い岩盤 砂層 埋土 硬い岩盤 16
これまでの調査検討状況 原子力安全 保安院 1 震源断層について 地震はどこで発生したか 地震調査研究推進本部地震調査委員会 平成 20 年 1 月 11 日新潟県中越沖地震は 大局的には南東傾斜の逆断層運動により発生したと公表 F-b 断層 柏崎刈羽原子力発電所 東京大学地震研究所資料 産業技術総合研究所資料に一部加筆 17
これまでの調査検討状況 2 地質調査について 東京電力 陸域 時期 :H19.9~H20.3 末予定 周辺陸域の地質構造を把握 長岡平野西縁断層が連続しているかを評価 平成 19 年 12 月 25 日に中間報告 調査結果を 3 月末までに評価予定 敷地および敷地近傍 時期 :H19.9~H20.3 予定 基礎岩盤の固さなどの特性を確認 敷地近傍の地質構造を把握 地盤の変状とその要因を確認 平成 19 年 12 月 25 日および平成 20 年 2 月 1 5 日に中間報告 調査結果を 3 月末までに評価予定 断層 F-B 断層 本震 柏崎刈羽原子力発電所 30km 原子力安全 保安院 海域 時期 :H19.8~H19.11 ( 調査終了 ) 周辺海域の活断層や地質構造を把握 平成 19 年 12 月 5 日に中間報告 調査結果を 3 月末までに評価予定 る長岡平野西縁断層帯調査位置図 地震調査研究推進本部によ18
使用調査船 資源 の概要 船名総トン数全長幅航海速乗員数力 原子力安全 保安院による海上音波探査 中越沖における海上音波探査の実施 目的 平成 19 年新潟県中越沖地震を踏まえ 関係機関で実施されている調査データに加えて 柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性評価に役立つデータを拡充するため 経済産業省が所有する三次元物理探査船 資源 により海上音波探査を実施 実施期間平成 20 年 2 月 16 日 ~3 月 3 日 今後の対応今回の調査によって得られたデータについて解析を行い 柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性評価に活用 資源約 1 万トン 86.2m 39.6m 13.5ノット約 60 名 調査エリア 凡例 原子力安全 保安院 二次元調査範囲 二次元調査測線 産業技術総合研究所調査範囲海洋研究開発機構調査測線 本震 柏崎刈羽原子力発電所 三次元調査を予定していたが 悪天候のため 調査線間隔を密にした二次元調査 19 に変更
今後の地質調査や地震動の審議の要点について 1. 敷地及び敷地周辺の地質 地質構造に関する調査や評価の内容 1) 敷地周辺海域や陸域の地質 地質構造及びその形成過程などに関する調査や評価 2) 敷地や西山丘陵における 13 万年前以降の褶曲運動や断層活動の調査や評価 3) 敷地周辺における 13 万年前以降に活動した活断層から想定される震源断層の評価 2. 今回の地震による地震動に関する調査や評価の内容 1) 敷地周辺地域の調査や地下構造モデルの構築を踏まえた地震波の伝わり方の評価 2) 敷地の地盤構造や増幅特性の調査と評価 3) 断層モデルによる観測地震動の解析 評価 4) 観測地震動が設計時に想定した地震動を上回った要因の評価 3. 今後想定すべき地震動に係る評価の内容 1) 想定した震源断層のうち 敷地に大きな影響を与える震源断層の選定 2) 今回の地震動評価等を踏まえて選定される震源断層による地震動評価 20
参考 : 設置許可時に活動性がないと判断した断層と亀裂の関係について (1-4 号機側の断層と亀裂の関係 :β 断層の調査位置 ) 海側 3V-3 3V-1 亀裂崩落噴砂 凡例 設置許可時に活動性がないと判断した断層基礎掘削時に確認された断層を傾斜方向に地表面に投影ボーリング調査などによる推定断層を傾斜方向に地表面に投影基礎掘削時に確認された断層のうち低角度のものを真上に投影 3V-2 3V-5 1 3V-4 傾斜方向に投影 α 断層 β 断層 3V-2 3V-4 3V-3 3V-1 2 F 5 V 系断層の調査を検討中 β 断層を対象にした立坑調査位置 埋設構造物沿いの亀裂 亀裂を対象にした削調査位置 ( 緑字は断層名 ) 21
参考 : 敷地内断層 β 断層 の調査結果の概要 原子力安全 保安院 建設時の仮設道路 ( アスファルト ) 建設時の仮設道路 ( 路盤 ) β 断層は 今回の地震に伴って活動していないことを確認 約 3m 地表面 立坑 約 16m 埋戻土 西山層 β 断層 西山層 β 断層 岩盤 アスファルト 路盤 β 断層立坑調査の概念図 22
参考 : 地殻変動に関連する観測データの例 国土地理院の一等水準点の地震後の暫定成果の標高から地震前の水準点標高を差し引いて 地震前後の地盤鉛直変動量を整理 荒浜 大湊 変動量 (m) 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0-0.1-0.2-0.3-0.4-0.5 荒浜 4462 地震前後の一等水準点成果の鉛直変動量 大湊 4459 4458 4460 4461 4457 水準点位置図 発電所の敷地は北北東方向に隆起している 23
65.2 1 号機 64.0 59.4 58.9 参考 : 発電所内の建屋の傾斜変化に関する報告 各建屋の隆起変動図 (1 号機 ~4 号機 ) 65.0 66.3 62.9 62.2 66.1 66.0 2 号機 64.0 63.6 76.6 72.0 69.6 68.0 隆起の単位は mm は各建屋の最大傾斜箇所を示す 81.6 82.9 3 号機 88.6 83.6 82.5 89.2 86.4 87.3 スケール (m) 81.7 81.7 隆起の変動量が建屋の四隅で異なる 4 号機 72.8 74.5 63.8 70.3 71.0 70.2 0 100 200 差分 (mm) 各建屋の隆起変動表 100 80 60 40 20 0 タービン建屋原子炉建屋 タービン建屋原子炉建屋 原子力安全 保安院 1 2 3 4 7 6 5 号機 注 ) 数値は四隅の値の平均値 3 号機が比較的隆起が大きい これらの隆起の特徴については 東京電力が原因を調査中 調査の結果については 委員会に報告され 専門家の意見を踏まえながら 保安院で厳正に評価していく 24
参考 : 東京電力による追加調査 これまでの委員会における指摘等を踏まえ 以下の追加調査を実施予定 敷地内 敷地の断層について β 断層 F-3 断層 に加えて V 系断層についても調査 敷地の安田層に含まれる火山灰層の分布をボーリングで把握し 地震前後の地層の動きを調査 敷地外 最近の褶曲活動を評価するため 西山丘陵から柏崎平野にかけての地下探査や掘削調査を追加実施 発電所を中心とした海域 ~ 陸域の連続的な地下構造の探査 これらの追加調査の結果については 委員会に報告され 専門家の意見を踏まえながら 保安院で厳正に評価していく 25
運営管理 26
地震発生時の運営管理に係る評価内容 Ⅰ. 地震発生時の各安全機能等 の確保状況の評価 Ⅱ. 放射性物質放出に係る根本原因分析の評価 Ⅲ. 地震発生に伴い発生した不適合 事象の評価 安全機能等 : 原子炉を 止める 冷やす 機能 放射性物質を 閉じこめる 機能及び 電源 不適合 : 本来あるべき状態とは異なる状態 もしくは本来行うべき行為 ( 判断 ) とは異なる行為 ( 判断 ) 27
設備健全性 28
これまでの取組み 平成 19 年 7 月 16 日 新潟県中越沖地震発生 東京電力による地震後の緊急外観点検の実施 ( 保安院の検査官が立会い ) 平成 19 年 11 月 9 日東京電力に号機毎の詳細点検計画の作成を指示 平成 19 年 11 月 27 日東京電力から 7 号機の詳細点検計画の提出 平成 20 年 1 月 22 日 7 号機の詳細点検に対する保安院の立入検査を開始 平成 20 年 2 月 6 日東京電力から 1 号機の詳細点検計画の提出 平成 20 年 3 月 7 日東京電力から 5 号機共用部分及び 6 号機の詳細点検計画の提出 29
設備の健全性評価に係る基本的な方針 安全上重要な設備は 点検に加えて 地震応答解析による評価を実施し 両者の結果を踏まえて健全性を評価 点検により技術基準に影響を与える損傷が見つかれば 適切な補修 取替が必要 点検で技術基準に影響を与える損傷が確認されず かつ解析 ( 現実より厳しい条件を仮定 ) の結果 設備の全体的な変形が弾性域であれば 設備は基本的に健全と評価 ( ただし余裕度が比較的小さい場合は追加的な点検を実施 ) 点検で技術基準に影響を与える損傷が確認されないが 解析 ( 現実より厳しい条件を仮定 ) の結果 設備の全体的な変形が弾性域を超える場合 より現実的な条件による解析や追加的な点検を実施 30
設備の健全性評価に係る基本的な方針 ( 1) その他の設備についても詳細な点検を実施し 健全性評価を実施 安全上重要な設備は点検と解析を実施 ( 重要度分類クラス 1 等の設備 ( 1) ) : 耐震 構造設計小委員会構造 WG にて検討 : 運営管理 設備健全性評価 WG にて検討予定 点検 試験による評価 ( 変形, 割れ等の損傷, 動作の不具合などの点検 試験 ) 検査と解析の結果を相互に考慮 解析による評価 床の揺れ ( 観測された基礎版の地震動から算出 ) 技術基準要求 ( 2) に影響を及ぼす損傷の有無 損傷がある 適切な補修 取替等が必要 ( 2) 技術基準への適合性 1 構造について全体的な変形が弾性域に抑えられていること 2 技術基準上要求されている機能 ( 例 : 制御棒挿入速度等 ) が維持されていること 損傷はない 解析 ( 現実より厳しい条件を仮定 ) の結果 設備の全体的な変形が弾性域 ( 3) を超えるか否か 全体的な変形が弾性域を超える より現実的な条件による解析や追加的な点検を実施 ( 3) 金属等の材料に力を加えて変形させた後 その力を除くと変形が元に戻るものを弾性域の変形という ( 逆に 力を除いても変形が残るような変形を塑性域の変形という ) 全体的な変形が弾性域にとどまる 設備は基本的に健全 31
東京電力による 7 号機の詳細点検計画書の主な内容 点検対象設備工事計画書に記載のある全ての設備 ( 約 1400 機器 ) 点検手法ポンプ 配管等の機種ごとに 地震により必要な機能の喪失に至る可能性のある損傷形態を整理し それぞれの損傷形態に応じた点検手法 ( 例 : ポンプの分解検査 配管の漏えい検査等 ) を選定 解析対象設備重要度分類クラス 1 の設備及び重要度分類クラス 2 の設備であって耐震安全上重要性が高い設備 ( 約 90 機器 )( 評価対象設備は約 400 機器 ) 解析手法原子炉建屋内の大型機器である原子炉格納容器 原子炉圧力容器及び炉内構造物等の評価にあたっては 水平地震動と鉛直地震動により 建屋と機器を一体と捉えた解析を行い それ以外の機器 配管系の評価については 各設備について 据付床の水平方向および鉛直方向それぞれの床応答を用いた応答解析等を行う 総合評価設備点検及び地震応答解析による評価の結果を踏まえて設備健全性の総合評価を実施 32
東京電力による詳細点検に対する立入検査の実施 原子力安全 保安院 耐震クラスAs Aで設計された設備のうち 地震による影響を受けやすいと想定される設備を中心に 東京電力による詳細点検に対する立入検査等を実施する これまでに7 号機の設備点検について 発電所への立入検査を3 回実施済み (2 月末現在の実施状況 ) 実施期間平成 20 年 1 月 22 日 23 日平成 20 年 2 月 7 日平成 20 年 2 月 19 日 20 日 対象点検 残留熱除去系の主要弁の作動試験及び配管の点検 主蒸気系の配管の点検 燃料の健全性確認調査 主蒸気隔離弁の点検 原子炉補機冷却水ポンプ及び同海水ポンプの分解点検 制御棒の点検( 記録の確認 ) 非常用ガス処理系のフィルター装置の点検 直流 125V 電源装置の点検及び機能試験 2 月 27 日から実施した保安検査においては 要領書の作成や点検の実施等におけるプロセスの適切性についても確認を行っている 33
今後の対応について 引き続き 立入検査等により 東京電力が行う詳細点検の実施状況の妥当性を確認する 東京電力が解析を行うにあたり その手法や入力値等の妥当性を詳細に評価していく 東京電力による解析の結果の妥当性を検証するため 原子力安全基盤機構においても独自に解析を実施する 34
IAEA フォローアップ調査 35
IAEA による柏崎刈羽原子力発電所の調査 フォローアップミッション 調査目的 : 1 発電設備の健全性確認 2 耐震安全性 3 防火対策など 保安院の主要検討項目の検討状況について主に技術的な議論 8 月には見ることのできなかった原子炉内やボーリング調査の状況を調査 IAEA 加盟各国に適用でき得る原子力安全に関する教訓を抽出 整理し 国際社会に発信する 調査メンバージャメ団長 (IAEA 原子力施設安全部長 ) をはじめ 計 13 名 ( 広報担当 1 名を含む ) 主なスケジュール 1 月 27 日 ( 日 ) メンバー日本着 28 日 ( 月 )~30 日 ( 水 ) 原子力安全 保安院 JNES 東京電力と議論 31 日 ( 木 ) 発電所内視察 2 月 1 日 ( 金 ) 全体会合 とりまとめ 2 日 ( 土 ) 帰国 日本側の対応原子力安全 保安院 JNES 東電で合計 60 名以上が意見交換に参加 報告書 2008 年 2 月 27 日に公表 36
IAEA フォローアップミッション報告書主要点 1. 全般的評価 前回調査 ( 昨年 8 月 ) で指摘された事項 ( 安全上重要な機器に顕著な損傷は発見されなかった等 ) は今回も同様の結果 前回以降 地震工学 原子力安全に関する著名な機関の参加を得て 非常に多くの質の高い作業が行われており 高い透明性がもたらされている 2. 耐震安全性 多数の専門的かつ著名な研究機関等が参加して得られた非常に多くの地質 地震調査の結果を集約し 基準地震動の設定等を引き続き適切に行うことが必要 3. 発電設備の健全性の評価 保安院が指示した設備健全性の確認に係る基本方針は適切である また それに基づく東電の点検計画は国際社会の参考となるものであるが 東電は目視点検と計算モデルによる評価を組み合わせて適切に実施すべき 4. 防火対策 今回の教訓として 原発における防火対策を設計段階で考慮する必要性が認識された また 発電所で既に多くの改善がなされている 37
IAEA との今後の協力 柏崎刈羽原子力発電所への新潟県中越沖地震による影響については IAEA に対し 引き続き情報提供などをしていくとともに 以下のような取り組みを行っていく 1. 国際的な耐震安全活動の高度化への協力今回の経験 教訓を踏まえ 国際耐震安全基準などIAEAにおける国際的な耐震安全活動の高度化に向けた協力を行う 2. 国際耐震ワークショップの開催 6 月 19 日 ~21 日に IAEA 主催の国際ワークショップを柏崎 刈羽地域で開催する方向で現在調整中 38