表 3-2 企画書の項目例 項目 特筆事項 1. 事業のコンセプト目的等 2. 設計内容について 3. 木材の調達について 4. 発注方式について 計画条件 ( 面積や階数などの諸元について ) 架構方式設計に関連する木材の品質について 伐採スケジュールと量の把握方法 ( 情報入手先の提示 ) 地域

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材工分離発注 実施設計が終わった段階 ( 施工者を決定する前 ) で木材を地方自治体が調達し施工者に支給する メリット 木材調達に十分な期間が持てる 製材所の作業を一時期に集中させないなど加工スケジュールの工夫がしやすい デメリット 地方自治体や設計者の労的負担が大きい 品質管理 調達が材工で別々と

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Chapter 3 3 章森林経営信託制度と木造化 木質化 ~ 岐阜県御嵩町の取り組み ~ P 岐阜県御嵩町における森林経営信託方式の紹介 P 森林経営信託方式と木造化 木質化 030

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例を以下に挙げていますが これにとらわれることなく 独自の活動を掲げてください 例 園児や保護者の森林体験( 森林への遠足時のバス借り上げ ) 積み木等の多摩産材おもちゃの購入 園児や保護者が行う木工作( 材料費 木工道具の購入 ) 木育関連の絵本の購入 木育に精通した保育士や教員の育成( 木育関連

第三者による品質証明制度について 参考資料 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

大規模災害等に備えたバックアップや通信回線の考慮 庁舎内への保存等の構成について示すこと 1.5. 事業継続 事業者もしくは構成企業 製品製造元等の破綻等により サービスの継続が困難となった場合において それぞれのパターン毎に 具体的な対策を示すこと 事業者の破綻時には第三者へサービスの提供を引き継

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2 採用する受注者選定方式の検討について廃棄物処理施設整備事業で一般的に採用されている受注者選定方式は表 -2のとおりです 受注者選定方式の検討に際しての論点を下記に整理しましたので 採用する受注者選定方式について審議をお願いいたします 本施設に求められる5つの整備基本方針に合致した施設の整備運営に

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様式 2-2 平成 27 年度耐震対策緊急促進事業補助金交付 申請 決定 額表 事業主体名 ( 単位 : 千 ) 都道府県名 市町村名 耐震診断 補強設計 耐震改修対象建築物の名称 補助金額 摘要 ( 備考 ) 1 本表は別に 2 部作成し 提出すること 2 本表は 事業ごとに作成すること


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1 課題出し 瀬戸内市まちづくり会議財政健全化部会経営改善計画策定作業の概要 事務局による課題出し ( 市長 担当の意見も反映 ) 部会委員から出された課題にも対応 課題に対する問題点の整理 わかりやすい記入用シートの作成 2 委員による改革案の作成 事務局提案の課題について 部会委員による改革案の

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第1号様式(第9条第1項関係)

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項目記載事項必須 1.4 非機能性 更新業務仕様書の 3-4 非機能要件 を踏まえ 提案するシステムに関して 基本的な考え方や方針 アピールポイント等を簡潔かつ明瞭に記述すること 3-4 非機能要件 の (1) から (4) に区分し すべての項目について記述すること 1.5 他システム連携 更新業


(3) 中規模改修工事費 建設年代別にm2単価を設定する 大規模改修後及び改築後は 水準別にm2単価を設定し 冷房設備ありの場合は別途m2単価を設定して加算する 表 中規模改修工事費 大規模改修前 大規模改修後 改築後 中規模改修建設年代改築後改築後大規模改修後円 / m2従来改築一般施

図 維持管理の流れと診断の位置付け 1) 22 22

二重床下地 という 参考図参照) として施工する方法がある 二重床下地は 支持脚の高さを一定程度容易に調整することができること また コンクリートスラブと床パネルとの間には給排水管等を配置できる空間があることから 施工が比較的容易なものとなっている 2 本院の検査結果 ( 検査の観点 着眼点 対象及

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取組みの背景 これまでの流れ 平成 27 年 6 月 日本再興戦略 改訂 2015 の閣議決定 ( 訪日外国人からの 日本の Wi-Fi サービスは使い難い との声を受け ) 戦略市場創造プラン における新たに講ずべき具体的施策として 事業者の垣根を越えた認証手続きの簡素化 が盛り込まれる 平成 2

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Q 6 本会場施設や大会期間中の練習会場施設で応募することはできますか? できません 本会場及び大会期間中練習会場 ( 公式練習会場 ) は本大会の 1 週間 ~ 数ヶ月 前は会場準備に向けて設営が行われ 他目的での利用が困難となる状況が想定されます Q 7 練習施設の IF 基準確認を行ってもらう

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Q. 住宅のリフォームと合わせて崩れかけている塀も直そうと考えているが対象となりま すか A. 住宅のリフォームは対象となりますが, 塀などの外構工事は対象外です Q. 昭和 56 年 6 月 1 日以前に建てた住宅で耐震補強工事を行っていないが, 対象となりますか A. 木造住宅耐震診断結果報告書

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上記工事が行われ 認定長期優良宅に該当することとなった場合長期優良宅建築等計画の認定主体長期優良宅建築等計画の認定番号 第 号 長期優良宅建築等計画の認定年月日 平成 年 月 日 上記の工事が租税特別措置法若しくは租税特別措置法施行令に規定する工事に該当すること又は上記の工事が地方税法若しくは地方税

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(2) 企画提案書の提出企画提案書は次の 7. 応募書類 に示す様式で作成し 郵送又は持参により 提出期限内に提出してください なお 郵便事故により期限に間に合わない場合 当組合及び当監事会は責任を負いません 提出部数は 3 部としますが うち 1 部は正本とし 残り 2 部は複本としても差支えあり

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福井県建設リサイクルガイドライン 第 1. 目的資源の有効な利用の確保および建設副産物の適正な処理を図るためには 建設資材の開発 製造から土木構造物や建築物等の設計 建設資材の選択 分別解体等を含む建設工事の施工 建設廃棄物の廃棄等に至る各段階において 建設副産物の排出の抑制 建設資材の再使用および

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津市中小企業振興等関係事業募集要領

11 高須小学校 1 浜田小学校 13 野里小学校 14 大姶良小学校 15 南小学校 16 西俣小学校 17 高隈小学校 18 大黒小学校 19 西原台小学校 1 市成小学校 高尾小学校 3 百引小学校 4 平南小学校 5 串良小学校 6 細山田小学校 特別 11 S 旧 H1 0.5

が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局

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資料 5 公共施設更新コスト試算 1 試算ケース ケース1: 旧耐震基準のうち 築 60 年以上は建替え それ以外は大規模改修 新耐震基準は老朽箇所修繕 耐用年数を 60 年と想定した場合 旧耐震基準の施設のうち 築 60 年以上の施設は 築 60 年が経過した施設から建替える 建替え対象以外の旧耐

Transcription:

Ⅰ -3. 事業方針 企画書の作成 (1) 木造 内装木質化における企画書の作成木造建築物の計画を実際の事業に起こす場合 企画書 を作成するわけであるが 表 3-1 に示すように各フェーズによって企画書の名称が変化する これは 各フェーズによって目的が変化するためである フェーズが変わるごとに 漠然とした内容から詳細な内容に詰めていく作業を行う 企画書の項目例を表 3-2 に示す 木造 内装木質化の場合は RC 造や S 造などの構造や材料と異なり 予算化 企画化の段階から木材の調達や発注方式などを記載する 事業予算の検討は発注方式によって補助金や交付金等を組み合わせることがあるため 事業スケジュールと並行して検討する必要がある また 設計者や施工者で木造が得意な者を選択する手法や設計内容の注意点など初めての場合には分からない点が多い Ⅰ -2 の体制づくりにもつながるが関係者 ( 木材供給者や設計者 施工者 ) に木材状況やそれらに関わる設計や施工の課題などにつ いてヒアリングすると地域の実態に即した企画書が作成できる 新しいプロジェクトが始まると関係者 ( 木材供給者や設計者 施工者 ) が募集対象となりヒアリングできなくなるケースがあるため 本格的に事業が計画される前に 今後ありがちな物件を仮定して企画書を作成してみるとよいと思われる 例えば平成 23 年度に支援した和歌山県では 今後複数建設される予定のある体育館 ( 県立高等学校格技場 ) を想定して企画書を作成した ( 平成 23 年度 - 1 - pp.479-481 事業企画書 ) 関連 Ⅰ-2 関連 Ⅰ-1 表 1-1 関 連 関 連 Ⅰ-2-(2) Ⅰ-1-(5) 表 3-1 フェーズと企画書 フェーズ 発案 予算化 企画化 設計者発注 施工者発注 設計 名称 基本構想案など 基本構想案など 基本計画書など 発注書類の添付資料 発注書類の添付資料 要望書 事業コンセプト 計画内容 木材利用の有無 木材利用の有無 木材利用の有無 木材利用の有無 木材利用の有無 木材の調達について 木材の調達について 木材の調達について 木材の調達について 項目 スケジュールについて スケジュールについて スケジュールについて スケジュールについて スケジュールについて 設計内容について 設計内容について 設計内容について 設計内容について 設計内容について 補助金等の有無や利用条件の確認 発注方式について 補助金等の有無や利用条件の確認 発注方式について 補助金等の有無や利用条件の確認 推進体制について 推進体制について 推進体制について 推進体制について 推進体制について 事例 1 事業企画書 ( 平成 23 年度成果物 pp.479-481) 1 基本構想書 ( 平成 23 年度成果物 pp.278-299) 1 基本構想 ( 案 )( 平成 24 年度成果物 P162) 1 事業企画書 ( 平成 23 年度成果物 pp.378-388) 1 仮想企画案 ( 平成 23 年度成果物 pp.607-612) 1 基本計画書添付書類 ( 平成 24 年度報告書 P51) 1 木材利用方針 要望書 ( 平成 24 年度成果物 pp.241-250) 30

表 3-2 企画書の項目例 項目 特筆事項 1. 事業のコンセプト目的等 2. 設計内容について 3. 木材の調達について 4. 発注方式について 計画条件 ( 面積や階数などの諸元について ) 架構方式設計に関連する木材の品質について 伐採スケジュールと量の把握方法 ( 情報入手先の提示 ) 地域材の利用の有無品質確保の手法トレーサビリティの確保の手法 設計者の選定方式施工者の選定方式木材の発注方式 5. 事業スケジュールについて補助金とスケジュールは密接に関係しており 木材調達の手法との兼ね合いも含めて検討する 6. 推進体制についてワークショップや委員会の発足 スケジュール 人選方法 事業への関わり方 本支援事業で 次の 1~3 に示すような手法で企画書の作成を行った 1ワークショップで検討する調達する木材のエリアを限定しつつ大規模な木造建築物を計画するとなると地域の木材産業の状況の確認が不可欠である 品質を満たした適正なコストの木材があるのか 量はあるのか 寸法はどうかといった大まかな情報を把握する必要がある そこで木材生産者団体等の関係者や地域の設計者と施工者ととも に相互に意見交換のできるようなワークショップを開催し 状況を把握し企画に反映させ る ( 詳細は Ⅰ -2 の体制づくりを参照する ) 関 連 Ⅰ-2 2 過去のプロジェクトを検証する過去に木造建築物を建設したことがある場合には過去のプロジェクトを検証し課題を抽出し企画する手法が有効である 平成 23 年度に支援した豊岡市と平成 24 年度に支援した朝日村では 過去プロジェクトを下表の項目で検証し 将来プロジェクト企画の課題等について把握し企画に役立てた ( 平成 23 年度 - 1 - pp.419-420 過去のプロジェクトの検証手法 平成 24 年度 - 1 -P151 既往の木造公共建築物発注における知見 課題 ) 表 3-3 検証項目大項目小項目 1 理念 A 方針 2 市内産材活用 3 市内森林整備との関係 4 材工分離発注 5 木材コーディネート B 業務発注 6 設計事務所 7 木材納入業者 8 建築本体工事請負業者 31

9 市内産材の使用率 不足材等の考え方 C 仕様設計 10 製材規格等 11 建築構法選定 12 調達森林の設定 13 企画 設計工程 D 木材調達 14 原木供給工程 15 製材所工程 16 建設工事工程 E 普及 17 民間への波及 3 企画書作成のため参考事例を調査する発注担当者や役所内の関連部局の者が 規模 用途 仕様や地域特性の似ている事例を調査 見学し どの程度の木造 内装木質化とするか検討したり 実現の可能性を感じたりするなどし 企画書に反映させる方法がある もし企画書の作成を外部コンサルタントに委託している場合はコンサルタントにも同行してもらう これについては 前述にある今後ありがちな物件を想定した事業での調査では効果が薄い 実際の案件の企画書の作成の段階で調査を行うと関係者間の認識を共有することができ 円滑な作成につながる なお 視察先を適切に選定するため 目的別に視察候補を複数挙げ バランス良く選定するとよい ( 表 3-4) 表 3-4 目的例と選定ポイント目的例選定ポイント 工事種別の比較工法の比較規模の比較維持管理の状況把握防 耐火に係る構造の比較 木造 RC 造 S 造の内 外装木質化したものをそれぞれ挙げる 建物が新しいか否かで印象が異なるため なるべく築年数を揃える 木造ラーメン 木造軸組 ( 壁量 ) 金物構法 枠組壁工法をそれぞれ挙げる 建物が新しいか否かで印象が異なるため なるべく築年数を揃える 一棟 分棟 平屋 2 階建て 3 階建てをそれぞれ挙げる 用途を揃える なるべく延べ面積を揃える 築年数の異なる建築物を挙げる 用途を揃える 燃えしろ設計 被覆型 防火壁設置 以下に本支援事業で行った調査例を示す 木造 内装木質化 混構造別を選ぶ木造 内装木質化 混構造のそれぞれの事例を視察 調査することで 構造と 実際に見え方や使われ方 経年変化 木材使用量の違いについて共通認識を持つことができた ( 平成 24 年度 - 3 -pp.157-165 参考事例調査録 6: 木材を利用した 3 パターン ( 木造 内装木質化 混構造 ) の小学校 ) 32

用途による特徴高齢者向け施設の内装木質化を行う上で 設計者が注意した点や施設運営者の使用感 働く者の感想などを聞き企画書に活かすことができた ( 平成 24 年度 - 3 -pp.146-151 参考事例調査録 4: 高齢者向け施設の内装木質化 ) 集成材によって建てられた幼稚園を視察し 施主の要望とそれに対する設計対応 使用感などを調査した ( 平成 24 年度 - 3 -pp.143-145 参考事例調査録 3: あすなろ幼稚園 ) コスト削減建設コストのみでなく維持管理コストもなるべく削減したい場合に 用途が似ている事例で一方は通常コスト 一方はコスト減となった事例を視察 調査することで コストを予め抑えるような工夫について知り 企画に活かすことができた ( 平成 24 年度 - 3-137-142 参考事例調査録 2: 浜松市天竜区における木造庁舎 ) 内装木質化の年代別劣化状況と木材使用量とイメージの比較用途が似ており同様の内装木質化を行った建設年の異なる事例を視察 調査することで 経年劣化の状況と見え方の変化について知り 企画に活かすことができた ( 平成 24 年度 - 3 -pp.133-136 参考事例調査録 1: 埼玉県ときがわ町 ) 内装木質化と木材調達のポイント同じ用途の内装木質化の事例を視察 体感するとともに 地域材を使用することに対し 配慮しなければならないポイントについて調査を行った ( 平成 24 年度 - 3 -pp.166-168 参考事例調査録 7: 五木村庁舎の内装木質化 ) 事業の流れ 地域材を利用した事例について 事業の流れを学んだ その際に行われた質疑応答例を表 3-5 に記す ( 平 成 24 年度 - 3 -pp.152-156 参考事例調査録 5: 栃木県茂木町 ) 表 3-5 五木村から茂木町への質疑とその回答 質問 回答 1 2 3 町有林の利用に関して 公有財産の処分 ( 利活用 ) は議会や監査などで異論 ( 収益確保 ) はなかったか 単年度で完結しない事業について問題点はなかったか 使用木材の設計単価等の見積における問題点や考え方について教えてください 異論は全くない よく 木材費に原木代がかからないため 民有林を圧迫するのではないか という質問があるが それについても公共施設に使用するということで特に異論はなかった それよりも町有林を使用して建設したことに対して住民から感謝されている 木材の使用方法や使用規模など 事業によってかかる時間が大きく異なる 天然乾燥を採用すると単年度で完結せず だからといって期間を短縮するため全て人工乾燥とすると経費がかさむことになる 茂木中学校では 無垢材の 10m のスギ丸太をそのまま使用するため乾燥期間を要した 伐採については 林野庁の保安林保育事業の補助を利用することで上層間伐のほか 伐採 玉切り 集積を行った 各所で行われている補助を活用することも一つの解決策である 木造で建設する場合は 設計単価等の見積は最も困難な問題の一つと考えている 一般的な公表単価や県の単価と実際の単価は異なるためそのまま用いることはできない しかし一方で会計検査等の回答に見積を使用するため 見積単価に対する根拠も必要となる 大工手間の単価の算出には苦慮しているが これまでの実績等を調整し代価表を独自に決めている 33

4 耐震構造上の問題点はなかったか 東日本大震災において 震度 5 強であったが 建物と土間の間等に小さなクラックが発生したのみであり それ以外の被害はなかった 5 6 7 国で国産材自給率 50% を目標に利用拡大に取り組んでいるが これを実現するためにどのようなことを行っているか 木質構造では施工技術者の育成や伝承が必要と考えられるが どのような対策を行っているか 五木村のような小さな自治体でも同様の取り組みは可能なのか 今年度 ( 平成 24 年度 ) 町で 公共建築物における木材利用方針 を策定した 木造で建設できる規模のものはできるだけ木造で それ以外の構造であれば内装木質化を図ることを決めている 現在は 身障者授産施設や学校の改修において木質化を図っているほか 現在市街地活性化の一環として図書館の建設を予定しているが この施設も木造で検討を始めている 茂木町においても大工の高齢化と跡継ぎがいないというのが現状である 木造で建設することの良さは 地域密着型でできることである 特に地元材を使用するとなれば 伐採から集積 搬送など全ての段階で 地域の方が関わることになる 時間と手間がかかるが 木造で造るということは自治体にやる気があるかどうかの表れである (2) 企画書の例 以下に本支援事業で作成したプレゼン資料 ( 成果物 ) を示す 地区コミュニティセンターの企画書 コンセプト 規模 階数 構法 素材生産者との連携を促す方法 木材の品質 地域材の利用 発注方式 スケジュール 推進体制について記述している ( 平成 23 年度 - 1 - pp.378-388 事業企画書 ) 高等学校格技場の企画書 コンセプト 規模 階数 架構方式 ( 選択 ) 素材生産者との連携を促す方法 木材の品質 地域材の利用 発注方式 スケジュール 推進体制について記述している ( 平成 23 年度 - 1 - pp.479-481 事業企画書 ) 高齢者福祉施設の木材利用の方針と要望書 木材使用率の提示 各室各部位ごとの内装木質化の可否状況と配慮事項及び使用範囲 具体的手法や活 用アイデアを記している ( 平成 24 年度 - 1 -pp.241-250 木材利用の方針 要望書 ) (3) 事業スケジュールの例 以下に本支援事業で作成した事業スケジュール ( 成果物 ) を示す 木材の調達方式による工程の差異材工分離発注方式と材工一括発注方式 単年度事業と複数年度事業の組み合わせ別の工程を作成した ( 平成 23 年度 -2- pp.97-110 木材調達 発注 0~4 平成 23 年度 - 1 - pp.353-354 木材の発注方式別工程表 2 種類 平成 23 年度 - 1 - pp.454-455 木材の発注方式別工程表 2 種類 ) 許認可等のスケジュールを合わせて表記 高齢者施設は許認可のための相談や申請などに時間を取られるケースが多いため 木材調達スケジュー 34

ルとそれら許認可のためのスケジュールを調整し工程表を作成した ( 表 3-6) 委員会開催や補助申請 住民説明のタイミングを含めスケジュールを調整し工程表を作成した ( 平成 23 年度 - 1 - P612 事業化フロー ) 木材調達準備欄の追加通常のバーチャート工程表に 木材調達準備 構造材調達 内装材調達 の欄を追加している ( 平成 24 年度 - 1 -P443 事業工程 ( 案 ) 平成 23 年度 - 1 - P422 工程表 ) 通常のバーチャート工程表に 木材調達業務 として 森林調査 立木調査 原木調達 製材調達 の欄を追加している ( 平成 24 年度 - 1 -P320 事業工程 ( 案 )) 発注準備 設計 工事監理 木材調達 木材加工 工事 の欄を設けている ( 平成 23 年度 -1- P388 事業スケジュール ) 単年度事業案から複数年度事業への変更 本支援事業により地域の木材産業の状況を調査し 木材調達について実現可能な ( 現実に即した ) 工程 表を作成した ( 平成 24 年度 - 1 -P395 事業工程 ( 案 )) 木材の乾燥方法別工程表 木材を人工乾燥する場合と天然乾燥する場合の 2 パターンを想定し工程表を作成した ( 平成 24 年度 -1 -pp.365-366 事業工程 ( 案 )) 表 3-6 許認可関係を合わせて表示する工程表の項目例 作業内容 月 月 法人認可関係 設計 申請 認可事務補助金関係 事前調査意匠 設備設計構造設計 開発許可建築確認申請消防 見積もり 木材調達 事前調査調達 工事 35