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の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

報道発表資料 2006 年 8 月 7 日 独立行政法人理化学研究所 国立大学法人大阪大学 栄養素 亜鉛 は免疫のシグナル - 免疫系の活性化に細胞内亜鉛濃度が関与 - ポイント 亜鉛が免疫応答を制御 亜鉛がシグナル伝達分子として作用する 免疫の新領域を開拓独立行政法人理化学研究所 ( 野依良治理事

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のと期待されます 本研究成果は 2011 年 4 月 5 日 ( 英国時間 ) に英国オンライン科学雑誌 Nature Communications で公開されます また 本研究成果は JST 戦略的創造研究推進事業チーム型研究 (CREST) の研究領域 アレルギー疾患 自己免疫疾患などの発症機構

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

法医学問題「想定問答」(記者会見後:平成15年  月  日)

Microsoft Word - 【広報課確認】 _プレス原稿(最終版)_東大医科研 河岡先生_miClear

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

1. 背景血小板上の受容体 CLEC-2 と ある種のがん細胞の表面に発現するタンパク質 ポドプラニン やマムシ毒 ロドサイチン が結合すると 血小板が活性化され 血液が凝固します ( 図 1) ポドプラニンは O- 結合型糖鎖が結合した糖タンパク質であり CLEC-2 受容体との結合にはその糖鎖が

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く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

研究の詳細な説明 1. 背景細菌 ウイルス ワクチンなどの抗原が人の体内に入るとリンパ組織の中で胚中心が形成されます メモリー B 細胞は胚中心に存在する胚中心 B 細胞から誘導されてくること知られています しかし その誘導の仕組みについてはよくわかっておらず その仕組みの解明は重要な課題として残っ


( 図 ) IP3 と IRBIT( アービット ) が IP3 受容体に競合して結合する様子

平成24年7月x日

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

報道発表資料 2006 年 6 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 アレルギー反応を制御する新たなメカニズムを発見 - 謎の免疫細胞 記憶型 T 細胞 がアレルギー反応に必須 - ポイント アレルギー発症の細胞を可視化する緑色蛍光マウスの開発により解明 分化 発生等で重要なノッチ分子への情報伝達

糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

Microsoft Word - 最終:【広報課】Dectin-2発表資料0519.doc

平成24年7月x日

Microsoft Word - 【変更済】プレスリリース要旨_飯島・関谷H29_R6.docx

平成 28 年 2 月 1 日 膠芽腫に対する新たな治療法の開発 ポドプラニンに対するキメラ遺伝子改変 T 細胞受容体 T 細胞療法 名古屋大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 髙橋雅英 ) 脳神経外科学の夏目敦至 ( なつめあつし ) 准教授 及び東北大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 下瀬川徹

論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

の活性化が背景となるヒト悪性腫瘍の治療薬開発につながる 図4 研究である 研究内容 私たちは図3に示すようなyeast two hybrid 法を用いて AKT分子に結合する細胞内分子のスクリーニングを行った この結果 これまで機能の分からなかったプロトオンコジン TCL1がAKTと結合し多量体を形

共同研究チーム 個人情報につき 削除しております 1

研究成果の概要 今回発表した研究では 独自に開発した B 細胞初代培養法 ( 誘導性胚中心様 B (igb) 細胞培養法 ; 野嶋ら, Nat. Commun. 2011) を用いて 膜型 IgE と他のクラスの抗原受容体を培養した B 細胞に発現させ それらの機能を比較しました その結果 他のクラ

4. 発表内容 : [ 研究の背景 ] 1 型糖尿病 ( 注 1) は 主に 免疫系の細胞 (T 細胞 ) が膵臓の β 細胞 ( インスリンを産生する細胞 ) に対して免疫応答を起こすことによって発症します 特定の HLA 遺伝子型を持つと 1 型糖尿病の発症率が高くなることが 日本人 欧米人 ア

新規遺伝子ARIAによる血管新生調節機構の解明

( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関

汎発性膿疱性乾癬のうちインターロイキン 36 受容体拮抗因子欠損症の病態の解明と治療法の開発について ポイント 厚生労働省の難治性疾患克服事業における臨床調査研究対象疾患 指定難病の 1 つである汎発性膿疱性乾癬のうち 尋常性乾癬を併発しないものはインターロイキン 36 1 受容体拮抗因子欠損症 (

2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

研究の詳細な説明 1. 背景病原微生物は 様々なタンパク質を作ることにより宿主の生体防御システムに対抗しています その分子メカニズムの一つとして病原微生物のタンパク質分解酵素が宿主の抗体を切断 分解することが知られております 抗体が切断 分解されると宿主は病原微生物を排除することが出来なくなります

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RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果

別紙 < 研究の背景と経緯 > 自閉症は 全人口の約 2% が罹患する非常に頻度の高い神経発達障害です 近年 クロマチンリモデ リング因子 ( 5) である CHD8 が自閉症の原因遺伝子として同定され 大変注目を集めています ( 図 1) 本研究グループは これまでに CHD8 遺伝子変異を持つ

研究目的 1. 電波ばく露による免疫細胞への影響に関する研究 我々の体には 恒常性を保つために 生体内に侵入した異物を生体外に排除する 免疫と呼ばれる防御システムが存在する 免疫力の低下は感染を引き起こしやすくなり 健康を損ないやすくなる そこで 2 10W/kgのSARで電波ばく露を行い 免疫細胞

研究の背景と経緯 植物は 葉緑素で吸収した太陽光エネルギーを使って水から電子を奪い それを光合成に 用いている この反応の副産物として酸素が発生する しかし 光合成が地球上に誕生した 初期の段階では 水よりも電子を奪いやすい硫化水素 H2S がその電子源だったと考えられ ている 図1 現在も硫化水素

統合失調症発症に強い影響を及ぼす遺伝子変異を,神経発達関連遺伝子のNDE1内に同定した

生物時計の安定性の秘密を解明

論文の内容の要旨

制御性 T 細胞が大腸がんの進行に関与していた! 腸内細菌のコントロールによる大腸がん治療に期待 研究成果のポイント 免疫細胞の一種である制御性 T 細胞 1 が大腸がんに対する免疫を弱めることを解明 逆に 大腸がんの周辺に存在する FOXP3 2 を弱発現 3 する細胞群は がん免疫を促進すること

報道発表資料 2007 年 4 月 30 日 独立行政法人理化学研究所 炎症反応を制御する新たなメカニズムを解明 - アレルギー 炎症性疾患の病態解明に新たな手掛かり - ポイント 免疫反応を正常に終息させる必須の分子は核内タンパク質 PDLIM2 炎症反応にかかわる転写因子を分解に導く新制御メカニ

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るマウスを解析したところ XCR1 陽性樹状細胞欠失マウスと同様に 腸管 T 細胞の減少が認められました さらに XCL1 の発現が 脾臓やリンパ節の T 細胞に比較して 腸管組織の T 細胞において高いこと そして 腸管内で T 細胞と XCR1 陽性樹状細胞が密に相互作用していることも明らかにな

別紙 自閉症の発症メカニズムを解明 - 治療への応用を期待 < 研究の背景と経緯 > 近年 自閉症や注意欠陥 多動性障害 学習障害等の精神疾患である 発達障害 が大きな社会問題となっています 自閉症は他人の気持ちが理解できない等といった社会的相互作用 ( コミュニケーション ) の障害や 決まった手

報道関係者各位 平成 26 年 1 月 20 日 国立大学法人筑波大学 動脈硬化の進行を促進するたんぱく質を発見 研究成果のポイント 1. 日本人の死因の第 2 位と第 4 位である心疾患 脳血管疾患のほとんどの原因は動脈硬化である 2. 酸化されたコレステロールを取り込んだマクロファージが大量に血

Microsoft Word - (最終版)170428松坂_脂肪酸バランス.docx

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平成14年度研究報告

ランゲルハンス細胞の過去まず LC の過去についてお話しします LC は 1868 年に 当時ドイツのベルリン大学の医学生であった Paul Langerhans により発見されました しかしながら 当初は 細胞の形状から神経のように見えたため 神経細胞と勘違いされていました その後 約 100 年

統合失調症モデルマウスを用いた解析で新たな統合失調症病態シグナルを同定-統合失調症における新たな予防法・治療法開発への手がかり-

八村敏志 TCR が発現しない. 抗原の経口投与 DO11.1 TCR トランスジェニックマウスに経口免疫寛容を誘導するために 粗精製 OVA を mg/ml の濃度で溶解した水溶液を作製し 7 日間自由摂取させた また Foxp3 の発現を検討する実験では RAG / OVA3 3 マウスおよび

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

ヒト脂肪組織由来幹細胞における外因性脂肪酸結合タンパク (FABP)4 FABP 5 の影響 糖尿病 肥満の病態解明と脂肪幹細胞再生治療への可能性 ポイント 脂肪幹細胞の脂肪分化誘導に伴い FABP4( 脂肪細胞型 ) FABP5( 表皮型 ) が発現亢進し 分泌されることを確認しました トランスク

るが AML 細胞における Notch シグナルの正確な役割はまだわかっていない mtor シグナル伝達系も白血病細胞の増殖に関与しており Palomero らのグループが Notch と mtor のクロストークについて報告している その報告によると 活性型 Notch が HES1 の発現を誘導

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度に比しあまりにも小さい2 階建てのその建物に驚いた これは分子生物学のパイオニアであり ノーベル医学生理学賞受賞者でもあったスタンフォード大学の教授である Arthur Kornberg と Paul Berg そして Charley Yanofsky らが 分子生物学を応用科学に役立てたいと考え

卵管の自然免疫による感染防御機能 Toll 様受容体 (TLR) は微生物成分を認識して サイトカインを発現させて自然免疫応答を誘導し また適応免疫応答にも寄与すると考えられています ニワトリでは TLR-1(type1 と 2) -2(type1 と 2) -3~ の 10

報道発表資料 2002 年 10 月 10 日 独立行政法人理化学研究所 頭にだけ脳ができるように制御している遺伝子を世界で初めて発見 - 再生医療につながる重要な基礎研究成果として期待 - 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は プラナリアを用いて 全能性幹細胞 ( 万能細胞 ) が頭部以外で脳

図 1. 微小管 ( 赤線 ) は細胞分裂 伸長の方向を規定する本瀬准教授らは NIMA 関連キナーゼ 6 (NEK6) というタンパク質の機能を手がかりとして 微小管が整列するメカニズムを調べました NEK6 を欠損したシロイヌナズナ変異体では微小管が整列しないため 細胞と器官が異常な方向に伸長し

研究の背景 ヒトは他の動物に比べて脳が発達していることが特徴であり, 脳の発達のおかげでヒトは特有の能力の獲得が可能になったと考えられています この脳の発達に大きく関わりがあると考えられているのが, 本研究で扱っている大脳皮質の表面に存在するシワ = 脳回 です 大脳皮質は脳の中でも高次脳機能に関わ

抑制することが知られている 今回はヒト子宮内膜におけるコレステロール硫酸のプロテ アーゼ活性に対する効果を検討することとした コレステロール硫酸の着床期特異的な発現の機序を解明するために 合成酵素であるコ レステロール硫酸基転移酵素 (SULT2B1b) に着目した ヒト子宮内膜は排卵後 脱落膜 化

2019 年 3 月 28 日放送 第 67 回日本アレルギー学会 6 シンポジウム 17-3 かゆみのメカニズムと最近のかゆみ研究の進歩 九州大学大学院皮膚科 診療講師中原真希子 はじめにかゆみは かきたいとの衝動を起こす不快な感覚と定義されます 皮膚疾患の多くはかゆみを伴い アトピー性皮膚炎にお

年219 番 生体防御のしくみとその破綻 (Immunity in Host Defense and Disease) 責任者: 黒田悦史主任教授 免疫学 黒田悦史主任教授 安田好文講師 2中平雅清講師 松下一史講師 目的 (1) 病原体や異物の侵入から宿主を守る 免疫系を中心とした生体防御機構を理

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なお本研究は 東京大学 米国ウィスコンシン大学 国立感染症研究所 米国スクリプス研 究所 米国農務省 ニュージーランドオークランド大学 日本中央競馬会が共同で行ったもの です 本研究成果は 日本医療研究開発機構 (AMED) 新興 再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業 文部科学省新学術領

研究背景 糖尿病は 現在世界で4 億 2 千万人以上にものぼる患者がいますが その約 90% は 代表的な生活習慣病のひとつでもある 2 型糖尿病です 2 型糖尿病の治療薬の中でも 世界で最もよく処方されている経口投与薬メトホルミン ( 図 1) は 筋肉や脂肪組織への糖 ( グルコース ) の取り

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

ごく少量のアレルゲンによるアレルギー性気道炎症の発症機序を解明

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免疫を使ったがん治療法の検討約 150 年前 免疫ががん治療に活かせるのではないかと考えた医師ががん患者に細菌を感染させて免疫を刺激し がんに対する免疫治療効果を確認する実験を行いました この時には十分な治療効果は現れませんでした 当時は免疫に対する研究が今ほど進んでおらず 免疫の仕組みを理解しない

第6号-2/8)最前線(大矢)

Microsoft Word _前立腺がん統計解析資料.docx


研究成果報告書

著者 : 黒木喜美子 1, 三尾和弘 2, 高橋愛実 1, 松原永季 1, 笠井宣征 1, 間中幸絵 2, 吉川雅英 3, 浜田大三 4, 佐藤主税 5 1, 前仲勝実 ( 1 北海道大学大学院薬学研究院, 2 産総研 - 東大先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ, 3 東京大学大

がん免疫療法モデルの概要 1. TGN1412 第 Ⅰ 相試験事件 2. がん免疫療法での動物モデルの有用性がんワクチン抗 CTLA-4 抗体抗 PD-1 抗体 2

がんを見つけて破壊するナノ粒子を開発 ~ 試薬を混合するだけでナノ粒子の中空化とハイブリッド化を同時に達成 ~ 名古屋大学未来材料 システム研究所 ( 所長 : 興戸正純 ) の林幸壱朗 ( はやしこういちろう ) 助教 丸橋卓磨 ( まるはしたくま ) 大学院生 余語利信 ( よごとしのぶ ) 教

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

令和元年 10 月 18 日 がん免疫療法時の最適なステロイド剤投与により生存率アップへ! 名古屋大学大学院医学系研究科分子細胞免疫学 ( 国立がん研究センター研究所腫瘍免疫研究分野分野長兼任 ) の西川博嘉教授 杉山大介特任助教らの研究グループは ステロイド剤が免疫関連有害事象 1 に関連するよう

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学位論文の要約

受精に関わる精子融合因子 IZUMO1 と卵子受容体 JUNO の認識機構を解明 1. 発表者 : 大戸梅治 ( 東京大学大学院薬学系研究科准教授 ) 石田英子 ( 東京大学大学院薬学系研究科特任研究員 ) 清水敏之 ( 東京大学大学院薬学系研究科教授 ) 井上直和 ( 福島県立医科大学医学部附属生

神経細胞での脂質ラフトを介した新たなシグナル伝達制御を発見

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難病 です これまでの研究により この病気の原因には免疫を担当する細胞 腸内細菌などに加えて 腸上皮 が密接に関わり 腸上皮 が本来持つ機能や炎症への応答が大事な役割を担っていることが分かっています また 腸上皮 が適切な再生を全うすることが治療を行う上で極めて重要であることも分かっています しかし

11 月 16 日午前 9 時 ( 米国東部時間 ) にオンライン版で発表されます なお 本研究開発領域は 平成 27 年 4 月の日本医療研究開発機構の発足に伴い 国立研究開発法人科学 技術振興機構 (JST) より移管されたものです 研究の背景 近年 わが国においても NASH が急増しています

図アレルギーぜんそくの初期反応の分子メカニズム

平成 2 3 年 2 月 9 日 科学技術振興機構 (JST) Tel: ( 広報ポータル部 ) 慶應義塾大学 Tel: ( 医学部庶務課 ) 腸における炎症を抑える新しいメカニズムを発見 - 炎症性腸疾患の新たな治療法開発に期待 - JST 課題解決型基

平成 28 年 12 月 12 日 癌の転移の一種である胃癌腹膜播種 ( ふくまくはしゅ ) に特異的な新しい標的分子 synaptotagmin 8 の発見 ~ 革新的な分子標的治療薬とそのコンパニオン診断薬開発へ ~ 名古屋大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 髙橋雅英 ) 消化器外科学の小寺泰

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平成 30 年 10 月 22 日 ( 注意 : 本研究の報道解禁日時は10 月 22 日午前 11 時 (U.S.ET)( 日本時間 2 3 日午前 0 時 ) です ) PD-1 と CTLA-4 に続く第 3 の免疫チェックポイント分子 LAG-3 による 免疫抑制機構を解明 徳島大学先端酵素学研究所の丸橋拓海特任助教 岡崎拓教授らの研究グループは 免疫チェックポイント分子である LAG-3(Lymphocyte Activation Gene-3) による免疫抑制機構を解明しました PD-1 と CTLA-4 に続く第 3 の免疫チェックポイント分子として注目されている LAG-3 が 抑制する標的を選別するメカニズムを明らかにしました 今後 自己免疫疾患の新規治療法や新規がん免疫療法の開発につながることが期待されます 本成果は 10 月 22 日付けで英国科学雑誌 Nature Immunology オンライン版に掲載されます ( 報道概要 ) 徳島大学先端酵素学研究所の丸橋拓海特任助教 岡崎拓教授らの研究グループは 免疫チェックポイント分子 [1] である LAG-3(Lymphocyte Activation Gene-3) による免疫抑制機構を明らかにしました 先日 本庶佑博士と James P. Allison 博士が免疫チェックポイント分子 PD-1 および CTLA-4 を介した免疫抑制の阻害によるがん治療法の発見によりノーベル賞を受賞されましたが LAG-3 は PD-1 と CTLA-4 に次ぐ第 3の免疫チェックポイント分子として注目されており すでに様々な疾患の治療標的として世界中で研究開発が進められています しかし LAG-3 による免疫抑制のメカニズムはほとんど知られていませんでした 今回 岡崎教授らのグループは LAG-3 に結合することで免疫抑制作用を誘導するリガンド [2] として ペプチド MHC class II [3] 複合体 (pmhcii) を同定し さらにこの結合が pmhcii の構造に依存することを見出しました この特徴的なリガンド認識によって LAG-3 が自己免疫疾患発症に関わるヘルパー T 細胞 [4] を特異的に抑制していることを明らかにしました 本研究は 自己免疫疾患発症機構の理解と治療法の開発に貢献するとともに LAG- 3 を標的とした効果的ながん免疫療法の開発につながることが期待されます 本研究成果は 10 月 22 日付けで英国科学雑誌 Nature Immunology オンライン版に公開されます ( 研究の背景 ) 免疫システムの司令塔である T 細胞の活性化は T 細胞受容体を介した抗原刺激に加え 正または負のシグナルを伝達する免疫補助受容体によって厳密に制御されています このバランスが破綻すると 病原体を排除できなくなる免疫不全や T 細胞が誤って正常な自己組織を攻撃する自己免疫疾患などの重篤な疾患につながります 一方で 一部のがん細胞が抑制性免疫補助受容体 (= 免疫チェックポイント分子 ) を利用することで T 細胞の活性化を抑制し 免疫系による攻撃を回避していることが知られています 実際に 臨床研究の場において PD-1 と CTLA-4 に対する免疫チェックポイント阻害剤が複数のがん種に対して劇的な治療効果を示したことから近年大きな注目を集めています そのため 他の免疫補助受容体も免疫療法の治療標的として世界

中で研究開発が進められておりますが LAG-3 は PD-1 と CTLA-4 に次ぐ第 3の免疫チェックポイント分子として特に期待されています LAG-3 は ヘルパー T 細胞の補助受容体である CD4 類縁分子として 1990 年に同定されました これまでに岡崎教授らを含むいくつかのグループによって LAG-3 は 活性化 T 細胞表面に発現すること リンパ球の活性化を抑制することにより自己免疫疾患の発症を防いでいること がん免疫を抑制することなどが報告されていました しかし LAG-3 が実際にどのような免疫応答をどのように抑制するかについては 依然 不明な点が多いのが現状でした また LAG-3 は CD4 よりも高い親和性で MHC classⅡ(mhcii) と結合し CD4 と MHCII の結合を競合的に阻害することによって T 細胞の活性化を抑制すると考えられていましたが 直接的な証明はありませんでした そこで 本研究では LAG-3 のリガンドの探索と免疫抑制機構の解明を試みました ( 研究の成果 ) 本研究ではまず LAG-3 の細胞外領域を多量体化させた可溶性タンパク質 (LAG- [5] 3-EC) との結合を指標にした機能発現クローニング法を用いて LAG-3 リガンドの探索を行いました ( 図 1A) その結果 LAG-3 のリガンド発現に重要な遺伝子として MHC class II trans activator(ciita) という MHCII 遺伝子の発現を司る主要制御因子を同定しました LAG-3-EC は CIITA 遺伝子を導入することで内在性の MHCII を発現した細胞には結合し MHCII 遺伝子を導入した細胞には結合しませんでした ( 図 1 B) さらに LAG-3-EC が結合する細胞に抗原提示させることで誘導されるヘルパー T 細胞株の活性化は LAG-3 によって抑制されますが LAG-3-EC が結合しない細胞を用いた場合にはその抑制が認められませんでした ( 図 1C) MHCII 遺伝子を欠損させることで LAG-3-EC の結合が無くなったことから LAG-3 が MHCII に結合することは確認できましたが ( 図 1D) MHCII がリガンドとなるためには CIITA の発現が必要であることが明らかとなりました CIITA は MHCII 以外にも CD74 や H2-DM といった MHCII の構造的安定性の管理に関わるいくつかのタンパク質の発現も制御しています この CD74 と H2-DM の遺伝子を欠失させた細胞への LAG-3-EC の結合が著しく低下したことから LAG-3 は安定な構造を持つ MHCII に選択的に結合することが示唆されました ( 図 2A) MHCII の構造は提示する抗原ペプチドとの親和性に大きく影響されることが知られており 実際に MHCII と複合体を形成させた抗原ペプチドのアミノ酸配列によって LAG-3-EC の結合強度および LAG-3 による抑制強度が変化することが確認できました ( 図 2B) I 型糖尿病のモデルである NOD マウスにおいて病態発症の原因となる自己抗原のひとつとしてインスリン B 鎖の 9 23 番目のアミノ酸で構成されるペプチドが同定されています その中でも 13 21 番目までの 9 アミノ酸を介して MHCII と複合体を形成した場合 (pinsb 13 21 /MHCII) は安定な構造 12 20 番目までのアミノ酸を介した場合 (pinsb 12 20 /MHCII) は不安定な構造の pmhcii となることが報告されています 上述の実験によって示唆された通り LAG-3 は pinsb 13 21 /MHCII を強制発現させた細胞には結合し pinsb 12 20 /MHCII を強制発現させた細胞には結合しませんでした ( 図 3 A) この結果から予想される通り LAG-3 阻害抗体を投与した NOD マウスにおいて pinsb 13 21 /MHCII に対するヘルパー T 細胞応答が亢進し 一方で pinsb 12 20 /MHCII に対する応答は変化しませんでした ( 図 3B) 一般的に T 細胞を産生する器官である胸腺において自己抗原が CIITA 依存的に安定な構造を持つ pmhcii として提示されており これを認識してしまう自己反応性 T 細胞は負の選択と呼ばれる仕組みで除去されると考えられています すなわち 安定な構造を持つ pinsb 13 21 /MHCII 反応性の T 細

胞は本来体内に存在しないはずであり 実際に LAG-3 阻害抗体非投与条件では それら T 細胞応答は pinsb 12 20 /MHCII に対する応答に比べて弱いことが確認されました ( 図 3) 本研究によって 負の選択は不完全であり 一定数の自己を攻撃しうる T 細胞が負の選択を逃れて胸腺外に漏れ出てきており これらを LAG-3 が抑制することによって自己免疫疾患の発症を防いでいることが明らかとなりました 最後に LAG-3 がどのような作用機序でヘルパー T 細胞応答を抑制するのかを検討しました CD4 の MHCII への結合を LAG-3 がほとんど阻害しなかったことから LAG-3 は CD4 との競合阻害とは異なるメカニズムでヘルパー T 細胞を抑制することがわかりました ( 図 4A) LAG-3 は T 細胞の表面に存在しますが 細胞の外側でリガンドに結合する部分と細胞の内側で働く部分 ( 細胞内領域 ) に分かれています LAG- 3 の細胞内領域を欠失させた変異体が抑制能を失ったことから LAG-3 は細胞内領域を介して能動的に抑制性のシグナル伝達を行うことで抑制能を発揮していることが明らかとなりました ( 図 4B) ( 研究成果の意義 今後の展望 ) 本研究によって LAG-3 による免疫抑制機構が明らかとなりました これは他の免疫チェックポイント分子とは異なり LAG-3 は提示される抗原ペプチドによって多様な構造を持つ pmhcii を構造依存的に認識することでその pmhcii 反応性のヘルパー T 細胞を選択的に認識する つまり多様性の無い単一の分子が免疫系の多様性を制御しうるという点で非常に特徴的である言えます 本研究は I 型糖尿病を含む自己免疫疾患発症機構の理解と治療法の開発に貢献できると期待されます さらに LAG-3 を標的とすることによって 既存の免疫チェックポイント阻害剤とは異なる視点の新規がん免疫療法の開発が可能になると考えられます 掲載誌 :Nature Immunology 論文題目 :LAG-3 inhibits the activation of CD4+ T cells that recognize stable pmhcii through its conformation-dependent recognition of pmhcii 論文著者 :Takumi Maruhashi, Il-mi Okazaki, Daisuke Sugiura, Suzuka Takahashi, Takeo K. Maeda, Kenji Shimizu, Taku Okazaki ( 用語解説 ) [1] 免疫チェックポイント分子過剰な免疫応答から生体を守るために免疫系にブレーキをかける抑制性の分子のこと 近年 がんが免疫チェックポイント分子を利用することで免疫系からの攻撃を回避していることが明らかになった (2018 年ノーベル医学 生理学賞 ) 代表的なものに PD-1 や CTLA-4 がある [2] リガンド特定の受容体の特定の結合部位に特異的に結合する物質のこと 一般的に リガンドが受容体に結合すると細胞へとシグナルが伝達され 遺伝子発現などの応答が起こる [3] MHC class II(MHCII) 主要適合組織遺伝子複合体 MHC(major histocompatibility complex) は細胞膜貫通型の糖タンパク質であり 抗原ペプチドを細胞表面に提示する分子である 中でも MHCII は抗原提示細胞に発現しており 細胞内に取り込まれた後に分解された外来抗原由来のペプチドを CD4 を発現するヘルパー T 細胞へと提示し 活性化させる

[4] ヘルパー T 細胞 様式 1 細胞表面に CD4 を発現する T 細胞であり MHCII とペプチドの複合体を認識することで活性化する 一方で CD8 を発現する T 細胞は細胞障害性 T 細胞と呼ばれ MHCI ペプチド複合体を認識することで活性化する ヘルパー T 細胞は活性化に伴ってサイトカインと呼ばれる情報伝達物質を分泌し B 細胞による抗体産生や細胞障害性 T 細胞の活性化を補助する役割を持つ [5] 機能発現クローニング法細胞に導入した遺伝子 ( 多くの場合は cdna) が発現することで示す機能を指標として 目的の遺伝子を同定する方法 ( 図 ) 図 1:LAG-3 は CIITA 発現細胞上の MHCII に選択的に結合する (A) 機能発現スクリーニング法の模式図 (B) MHCII または CIITA 遺伝子を導入した肥満細胞腫株 P815 細胞における MHCII 発現と LAG-3-EC 結合解析 CIITA 遺伝子の導入によって内在性 MHCII の発現が誘導された どちらの細胞も MHCII を発現しているにも関わらず LAG-3 の細胞外領域を多量体化した可溶性タンパク質 (LAG-3-EC) は CIITA を導入した細胞にのみ結合した ( 黒矢印 ) (C) LAG-3 による T 細胞活性化抑制の評価 (B) で作製した細胞株を抗原提示細胞として用いることで LAG-3 を発現させた T 細胞株を刺激した LAG-3-EC が結合する CIITA 導入細胞株を用いて刺激した場合にのみ LAG-3 による IL-2 産生の抑制が認められた ( 黒矢印 ) (D) MHCII 欠損細胞株における MHCII 発現と LAG-3-EC 結合解析 MHCII(I-A および I-E) の遺伝子を欠失させた IIA1.6 B 細胞株に LAG-3-EC は結合しなかった ( 黒矢

印 ) 様式 1 図 2:LAG-3 は pmhcii と構造依存的に結合する (A) CD74 および H2-DM 遺伝子欠損細胞株における MHCII 発現と LAG-3-EC 結合解析 CIITA によって発現誘導され pmhcii の構造的安定性の管理において重要な分子である CD74 および H2-DM の遺伝子を欠失させた IIA1.6 B 細胞株は LAG-3-EC との結合が著しく低下した ( 黒矢印 ) (B) 様々なペプチドと MHCII の複合体を発現させた細胞株における MHCII 発現と LAG-3-EC 結合解析 MHCII との親和性が高いペプチドを MHCII に提示させると 安定な pmhcii 複合体が形成され LAG-3-EC が強く結合した 一方 MHCII に提示されるペプチドに MHCII との親和性が低下するようなアミノ酸変異を導入することで LAG-3-EC の結合強度が大きく低下した ( 黒矢印 )

図 3:LAG-3 は安定な構造を持つ自己抗原ペプチド MHCII 複合体を特異的に認識することで自己反応性ヘルパー T 細胞を抑制する (A) 自己抗原ペプチド MHCII 複合体を発現させた細胞株における MHCII 発現と LAG-3-EC 結合解析 インスリン B 鎖の 9 23 番目のアミノ酸で構成されるペプチドは I 型糖尿病のモデルである NOD マウスにおける自己抗原のひとつである LAG-3 は インスリン B 鎖の 13 21 番目までの 9 アミノ酸を介して安定な複合体を形成した pmhcii(mhcii + B:13 21) に強く結合したが 12 20 番目までのアミノ酸を介して不安定な複合体を形成した pmhcii(mhcii + B:12 20) にはほとんど結合しなかった ( 黒矢印 ) (B) NOD マウスの生体内における自己抗原ペプチド反応性ヘルパー T 細胞応答および LAG-3 による抑制の評価 NOD マウスの生体内において B:12 20 ペプチド反応性ヘルパー T 細胞が B:13 21 ペプチド反応性ヘルパー T 細胞に比べて 多数検出された LAG-3 阻害抗体投与によって B:13 21 ペプチドに対するヘルパー T 細胞応答が亢進した ( 黒矢印 右 ) 一方で B:12 20 ペプチドに対する応答に変化は認められなかった ( 黒矢印 左 )

図 4:LAG-3 は細胞内領域を介してヘルパー T 細胞を抑制する (A) LAG-3-EC による CD4-EC と MHCII 間の結合の競合阻害解析 B 細胞株に CD4-EC を十分量結合させた後 LAG-3-EC およびコントロールとして MHCII 結合能欠失変異体を加え B 細胞株との結合を維持した CD4-EC を経時的に定量した LAG-3-EC は CD4 の MHCII への結合を競合阻害しなかった (B) 細胞内領域を欠失した LAG-3 変異体による T 細胞活性化抑制の評価 細胞内領域を欠失させると LAG-3 は抑制能を失った ( 黒矢印 ) ( 特記事項 ) 本研究は 革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業 多機能複合分子標的物質の作製による細胞運命操作技術の開発 ( 文部科学省 (2014 年度 ) 日本医療研究開発機構 (AMED)(2015 年度以降 )) 戦略的創造研究推進事業 CREST( 科学技術振興機構 ) 新学術領域研究 シンギュラリティ生物学 等の支援を受けて行われました 本研究の報道は 掲載日 ( 平成 30 年 10 月 22 日午前 11 時 (U.S.ET)( 日本時間 23 日午前 0 時 ) まで厳しく禁止されていますので 解禁前に報道することがないよう十分にご注意願 います ( 研究に関するお問い合わせ先 ) 徳島大学先端酵素学研究所免疫制御学分野責任者岡崎拓担当者岡崎拓 Tel:088-633-9158 E-mail:tokazaki@genome.tokushima-u.ac.jp (AMED 事業に関するお問い合わせ先 ) 革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業日本医療研究開発機構 (AMED) 創薬戦略部医薬品研究課 100-0004 東京都千代田区大手町 1-7-1 Tel:03-6870-2219 Fax:03-6870-2244 E-mail:kaku-bio27@amed.go.jp