障害者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要

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6 児童福祉法の改正 24 年 4 月には 障害者自立支援法と児童福祉法に分かれていた障がい児 の支援体制を一元化する改正がなされ 市町村が支給決定する障がい児通所支援 と都道府県が支給決定する障がい児入所支援が創設されました 7 障害者虐待防止法の施行 24 年 10 月には 障害者虐待の防止 養

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( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

緊急に措置すべき事項

☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

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第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」

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消費税 5% 引上げによる社会保障制度の安定財源確保 消費税率 ( 国 地方 ) を 2014 年 4 月より 8% へ 2017 年 4 月より 10% へ段階的に引上げ 消費税収の使い途は 国分については これまで高齢者 3 経費 ( 基礎年金 老人医療 介護 ) となっていたが 今回 社会保障

< 現行 > 対象者医療区分 Ⅰ(Ⅱ Ⅲ 以外の者 ) 1 * 医療の必要性の低い者医療区分 Ⅱ Ⅲ 1 2 * 医療の必要性の高い者 ( 指定難病患者を除く ) 3 指定難病患者 2 生活療養標準負担額のうちにかかる部分 1 日につき32 1 日につき 1 日につき < 見直し後 > 対象者医療区

はじめに 民主党は 現行の障害者自立支援法が成立 施行されて以来 わが国における障がい者政策の理念 実態において 大きな混乱を招いていることにかんがみて 総合的に抜本的見直しを行うことを強く求め 議論を重ねてきた 障害者自立支援法は 障がい種別にかかわらず 一元的 全国統一的にサービスを提供する仕組

介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

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社会保障 税一体改革大綱(平成24 年2月17 日閣議決定)社会保障 税一体改革における年金制度改革と残された課題 < 一体改革で成立した法律 > 年金機能強化法 ( 平成 24 年 8 月 10 日成立 ) 基礎年金国庫負担 2 分の1の恒久化 : 平成 26 年 4 月 ~ 受給資格期間の短縮

私立幼稚園の新制度への円滑移行について

医療的ケア児について

計画の策定にあたって 今回策定する あま市障がい者計画及び障がい福祉計画 は 現行の 障害者基本法 に定める 障害者計画 と 現行の 障害者自立支援法 に定める 障害福祉計画 を一体のものとしてとらえ 今後の制度改正を踏まえた あま市総合計画 を上位計画とする障がいのある人に対する支援活動や障がい者

資料1 短時間労働者への私学共済の適用拡大について

いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年

第3章 指導・監査等の実施

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いった区分はせず 一本化すべきである 地域生活支援事業については 個別給付になじまない 地域の特性を生かして柔軟に実施できる事業もあるため区分は必要であるが 基本部分に地域間格差が生じないよう 基本部分は国の事業として義務的経費化し 地域の特性は上乗せ横出しとすべきである 2 就労支援 活動支援にか

教育支援資料 ~ 障害のある子供の就学手続と早期からの一貫した支援の充実 ~ 平成 25 年 10 月 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課

地域生活支援事業サービス提供事業者登録要綱

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13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

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障害児・発達障害支援_

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

平成 21 年 11 月 26 日 照会先 社会 援護局障害保健福祉部障害福祉課企画法令係 ( 担当 内線 ) 課長補佐伊藤経人 (3090) 企画法令係吉井彰規 (3148) ( 代表電話 ) 03(5253)1111 ( 直通電話 ) 03(3595)2528 障害者自立支援法の施行前後における

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第7次地方分権一括法)の概要

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Microsoft Word (全文)障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について

京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

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流山市子ども・子育て会議

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安全保障会議 ( 現行 ) の概要 ( 構成 ) 委員長 : 内閣官房長官 委 安全保障会議 ( 構成 ) 議長 : 内閣総理大臣 事態対処専門委員会 内閣総理大臣の諮問に基づき 以下の事項を審議 国防の基本方針 防衛計画の大綱 対処基本方針 武力攻撃事態 / 周辺事態等への対処 / 自衛隊法第 3

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別紙2

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事務連絡 令和元年 8 月 2 日 各都道府県障害保健福祉主管課御中 厚生労働省社会 援護局 障害保健福祉部企画課 障害福祉サービス等報酬改定等に係るインタフェース仕様書 確定版 等の提示について 障害保健福祉行政の推進については 平素よりご尽力を賜り厚く御礼申し上げます 令和元年 10 月に実施さ

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

2 障害者総合支援法等について

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2 経口移行加算の充実 経口移行加算については 経管栄養により食事を摂取している入所者の摂食 嚥 下機能を踏まえた経口移行支援を充実させる 経口移行加算 (1 日につき ) 28 単位 (1 日につき ) 28 単位 算定要件等 ( 変更点のみ ) 経口移行計画に従い 医師の指示を受けた管理栄養士又

改正法律一覧 (15 法律 ) 2 法律重複 A 地方公共団体への事務 権限の移譲 (3 法律 ) 毒物及び劇物取締法 1 毒物又は劇物の原体の事業者の登録等に係る事務 権限を国から都道府県へ移譲 就学前の子どもに関する教育 保育等の総合的な提供の推進に関する法律 子ども 子育て支援法 2 幼保連携

プレゼンテーションタイトル

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三鷹市健康福祉総合計画2022

平成13年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設・拡充・延長)

一について人口密集地域であり 簡易宿所が密集する地域を抱えていることから 全国的に見てもいわゆるホームレスの数が多い地域であると推測される東京都(特別区の区域に限る ) 川崎市 横浜市 名古屋市及び大阪市における野宿生活者等の数について各地方公共団体に聴取したところ それぞれの地方公共団体で 野宿生

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事業者名称 ( 事業者番号 ): 地域密着型特別養護老人ホームきいと ( ) 提供サービス名 : 地域密着型介護老人福祉施設 TEL 評価年月日 :H30 年 3 月 7 日 評価結果整理表 共通項目 Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織 1 理念 基本方針

平成 20 年 9 月 29 日 平成 21 年度介護報酬改定に向けた提言 社会福祉法人東京都社会福祉協議会 はじめに センター部会長代行今裕司 東京都社会福祉協議会センター部会は 東京都内の地域包括支援センター 在宅介護支援センター デイサービスセンターの 664 箇所が加入している団体です 平成

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(0830時点)PR版

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2 社会保障 2.1 社会保障 2.2 医療保険 2.3 年金保険 2.4 介護保険 2.5 労災保険 2.6 雇用保険 介護保険は社会保険を構成する 1 つです 介護保険制度の仕組みや給付について説明していきます 介護保険制度 介護保険制度は 高齢者の介護を社会全体で支えるための制度

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【事務連絡】「高額療養費制度の見直しに関するQ&A」の送付について

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

(3) 障害を理由とする差別障害を理由とする不当な差別的取扱いを行うこと又は合理的配慮の提供をしないことをいいます (4) 障害を理由とする不当な差別的取扱い客観的にやむを得ないと認められる特別な事情なく 障害又は障害に関連する事由により障害者を区別し 排除し 又は制限すること 障害者に障害者でない

将来返上認可 過去返上認可 6 基金 解散認可 1 基金 一括納付による解散である 3 指定基金制度ア概要年金給付等に要する積立金の積立水準が著しく低い基金を 厚生労働大臣が指定します この指定された基金に対して 5 年間の財政健全化計画を作成させ これに基づき事業運営を行うよう重点的に指導すること

01 【北海道】

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I. はじめに 平成 28 年度においては 社会福祉法人制度改革の対応として 1 経営組織のガバナンス 2 事業運営の透明性 3 財務規律の強化 4 地域貢献事業に取り組んでいかなければならないと考えています 社会福祉法人は社会から期待される役割を果たすため 積極的な取り組みを進めていくことが必要で

時効特例給付制度の概要 制度の概要 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律 ( 平成 19 年 7 月 6 日施行 ) に基づき 年金記録の訂正がなされた上で年金が裁定された場合には 5 年で時効消滅する部分について 時効特例給付として給付を行うこととされた 法施行前

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

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子ども・子育て支援新制度の解説資料 1.制度概要 その1

資料9

資料 4 医療等に関する個人情報 の範囲について 検討事項 医療等分野において情報の利活用と保護を推進する観点から 医療等に関する個人情報 の範囲をどのように定めるべきか 個別法の対象となる個人情報としては まずは 医療機関などにおいて取り扱われる個人情報が考えられるが そのほかに 介護関係 保健関

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Ⅱ. 赤字の解消計画 Ⅱ (1) 赤字解消のための基本方針 Ⅱ (2) 赤字解消のための具体的取組 国保は構造的な問題を抱えており 被保険者の保険料負担軽減のために法定外繰入金を繰入れているといった状況は 全国的な状況であることから 国は全国で約 3,400 億円の公費を拡充し 国保の財政基盤の強化

0 表紙

< 目的 > 専ら被保険者の利益 にはそぐわない目的で運用が行われるとの懸念を払拭し 運用に対する国民の信頼を高める 運用の多様化 高度化が進む中で 適切にリスクを管理しつつ 機動的な対応を可能に GPIF ガバナンス強化のイメージ ( 案 ) < 方向性 > 1 独任制から合議制への転換基本ポート

●アレルギー疾患対策基本法案

16_27

宮城県福祉サービス第三者評価のご案内(宮城県)

Microsoft Word ①概要(整備令)

, 地域包括支援センターの組織と人材 2. 1 福祉専門職の歴史と特性

表紙 雛形(都道府県、市町村、関係団体)介護保険計画課

アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

Transcription:

1 平成 25 年 6 月 4 日 厚生労働省社会 援護局障害保健福祉部障害福祉課課長辺見聡

目 次 Ⅰ 障害福祉施策のこれまでの経緯について 3 Ⅱ 障害者総合支援法について 11 Ⅲ 障害者自立支援法等の改正について 28 Ⅳ 障害者虐待防止対策等について 47 Ⅴ 障害者の就労支援について 51 Ⅵ 障害者優先調達推進法について 67 Ⅶ 平成 25 年度障害福祉関係予算案について 70 2

Ⅰ 障害福祉施策のこれまでの経緯について 3

障害福祉施策の歴史 4 ノーマライゼーション ( ) 理念の浸透 障害者などが地域で普通の生活を営むことを当然とする福祉の基本的考え 共生社会の実現 障害者基本法 ( 心身障害者対策基本法として昭和 45 年制定 ) S56 H5 心身障害者対策基本法から障害者基本法へ H23 障害者基本法の一部改正 身体障害者福祉法 ( 昭和 24 年制定 ) 知的障害者福祉法 ( 精神薄弱者福祉法として昭和 35 年制定 ) 精神保健福祉法 ( 精神衛生法として昭和 25 年制定 ) 国際障害者年 完全参加と平等 S62 精神衛生法から精神保健法へ H10 H7 利用者がサービスを選択できる仕組み 精神薄弱者福祉法から知的障害者福祉法へ 精神保健法から精神保健福祉法へ H15 支援費制度の施行 3 障害共通の制度 地域生活を支援 H18 障害者自立支援法施行 H25 地域社会における共生の実現 難病等を対象に 障害者施総行合支援法

措置制度から支援費制度へ (H15) 支援費制度の意義 多様化 増大化する障害福祉ニーズへの対応 利用者の立場に立った制度構築 措置制度 (~H15) 事業者を特定 事業者 行政 行政からの受託者としてのサービス提供 支援費制度 (H15~H18) 事業者 報酬支払 事業者を選択 契約によるサービス提供 行政 支給申請 サービス内容を決定 障害者 障害者 支給決定 < 措置制度 > 行政がサービス内容を決定 行政が事業者を特定 事業者行政からの受託者としてサービス提供 < 支援費制度 > 障害者の自己決定を尊重 ( サービス利用意向 ) 事業者と利用者が対等 契約によるサービス利用 5

障害者自立支援法 のポイント 障害者施策を 3 障害一元化 法律による改革 制定前 3 障害ばらばらの制度体系 ( 精神障害者は支援費制度の対象外 ) 実施主体は都道府県 市町村に二分化 3 障害の制度格差を解消し 精神障害者を対象に 市町村に実施主体を一元化し 都道府県はこれをバックアップ 利用者本位のサービス体系に再編 制定前 障害種別ごとに複雑な施設 事業体系 入所期間の長期化などにより 本来の施設目的と利用者の実態とが乖離 就労支援の抜本的強化 制定前 養護学校卒業者の 55% は福祉施設に入所 就労を理由とする施設退所者はわずか 1% 支給決定の透明化 明確化 制定前 全国共通の利用ルール ( 支援の必要度を判定する客観的基準 ) がない 支給決定のプロセスが不透明 安定的な財源の確保 33 種類に分かれた施設体系を再編し 日中活動支援と夜間の居住支援を分離あわせて 地域生活支援 就労支援 のための事業や重度の障害者を対象としたサービスを創設 規制緩和を進め既存の社会資源を活用 新たな就労支援事業を創設 雇用施策との連携を強化 支援の必要度に関する客観的な尺度 ( 障害程度区分 ) を導入 審査会の意見聴取など支給決定プロセスを透明化 障害者が地域で暮らせる社会に 自立と共生の社会を実現 制定前 新規利用者は急増する見込み 不確実な国の費用負担の仕組み 国の費用負担の責任を強化 ( 費用の 1/2 を負担 ) 利用者も応分の費用を負担し 皆で支える仕組みに 6

障害福祉施策のこれまでの経緯 平成 18 年 4 月 12 月平成 19 年 12 月平成 20 年 12 月平成 21 年 3 月 9 月平成 22 年 1 月 4 月 6 月 12 月平成 23 年 6 月 7 月 8 月平成 24 年 3 月 6 月 障害者自立支援法の施行 ( 同年 10 月に完全施行 ) 法の円滑な運営のための特別対策 (1 利用者負担の更なる軽減 2 事業者に対する激変緩和措置 3 新法移行のための経過措置 ) 障害者自立支援法の抜本的な見直しに向けた緊急措置 (1 利用者負担の見直し 2 事業者の経営基盤の強化 3 グループホーム等の整備促進 ) 社会保障審議会障害者部会報告のとりまとめ 障害者自立支援法等の一部を改正する法律案 国会提出 同年 7 月 衆議院の解散に伴い廃案 連立政権合意における障害者自立支援法の廃止の方針 厚生労働省と障害者自立支援法違憲訴訟原告団 弁護団との基本合意 障がい者制度改革推進会議において議論開始 低所得者の障害福祉サービス及び補装具に係る利用者負担を無料化 障がい者制度改革推進会議総合福祉部会において議論開始 障害者制度改革の推進のための基本的な方向について ( 閣議決定 ) 障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの 間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律 ( 議員立法 ) が成立 障害者虐待の防止 障害者の養護者に対する支援等に関する法律 ( 議員立法 ) が成立 障害者基本法の一部を改正する法律 が成立 障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言 取りまとめ 地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の 整備に関する法律案 閣議決定 国会提出 同法及び 国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律 ( 議員立法 ) が成立 公布 8

障害者制度改革の状況 障害者制度改革の推進体制 障がい者制度改革推進本部 ( 平成 21 年 12 月 8 日に設置 ) 内閣総理大臣を本部長としすべての国務大臣で構成 障がい者制度改革推進会議 ( 平成 21 年 12 月 15 日に設置 ) 障害者 障害者の福祉に関する事業に従事する者 学識経験者等 総合福祉部会 ( 平成 22 年 4 月 12 日に設置 ) 障害者総合福祉法 ( 仮称 ) についての議論の場 部会構成は障害当事者含め 55 名 平成 23 年 8 月に 障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言 取りまとめ 差別禁止部会 ( 平成 22 年 11 月 1 日に設置 ) 障害者差別禁止法 ( 仮称 ) についての議論の場 障害者制度改革の推進のための基本的な方向について ( 平成 22 年 6 月 29 日閣議決定 ) のポイント 障害者基本法 の改正 関連法案の検討状況 平成 23 年常会への法案提出を目指す 平成 23 年 7 月 障害者基本法の一部を改正する法律 成立 ( 同年 8 月公布 ) 障害者総合福祉法 ( 仮称 ) の制定 制度の谷間のない支援の提供 個々のニーズに基づいた地域生活支援体系の整備等を内容とする制度の構築 平成 24 年常会への法案提出 25 年 8 月までの施行を目指す 平成 24 年 3 月 障害者総合支援法案 を閣議決定 国会提出同年 6 月成立 公布 ( 平成 25 年 4 月 1 日施行 ) 障害を理由とする差別の禁止に関する法律 ( 仮称 ) の制定 平成 25 年常会への法案提出を目指す 平成 25 年 4 月 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案 を閣議決定 国会提出 障害者基本法の改正 ( 平成 23 年 8 月 ) により 中央障害者施策推進協議会を改組して内閣府に障害者政策委員会が設置 ( 平成 24 年 5 月 21 日 ) 障害者政策委員会に差別禁止部会が設置 ( 平成 24 年 7 月 23 日 ) 8

障害者総合福祉法の 6 つのポイント 1. 法の理念 目的 範囲 障害の有無によって分け隔てられない共生社会を実現する 保護の対象から権利の主体への転換と 医学モデルから社会モデルへの障害概念の転換 地域で自立した生活を営む権利 4. 支援 ( サービス ) 体系 障害者権利条約を踏まえ 障害者本人が主体となって 地域生活が可能となる支援体系の構築 全国共通の仕組みで提供される支援 と 地域の実情に応じて提供される支援 で構成 7. 利用者負担 食材費や光熱水費等は自己負担とする 障害に伴う必要な支援は原則無償とするが 高額な収入のある者には応能負担を求める 10. 報酬と人材確保 利用者への支援に係る報酬は原則日払い 事業運営に係る報酬は原則月払い 在宅系支援に係る報酬は時間割とする 福祉従事者が誇りと展望を持てるよう適切な賃金を支払える水準の報酬とする 障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言 ( 概要 ) 1. 障害のない市民との平等と公平 2. 谷間や空白の解消 3. 格差の是正 Ⅰ. 障害者総合福祉法の骨格提言 2. 障害 ( 者 ) の範囲 障害者総合福祉法が対象とする障害者 ( 障害児を含む ) は 障害者基本法に規定する障害者をいう 心身の機能の障害には 慢性疾患に伴う機能障害を含む 5. 地域移行 国が社会的入院 入所を解消するために地域移行を促進することを法に明記する 地域移行プログラムと地域定着支援を法定施策として策定 実施 ピアサポーターの活用 8. 相談支援 対象は障害者と 支援の可能性のある者及びその家族 障害者の抱える問題全体に対応する包括的支援を継続的にコーディネートする 複合的な相談支援体制の整備 1. 医療 医療は福祉サービス及び保健サービスとの有機的連携の下で提供される必要がある 福祉 保健 医療にわたる総合的な相談支援が必要 3. 選択と決定 ( 支給決定 ) 障害程度区分に代わる新たな支給決定の仕組み サービス利用計画に基づく本人の意向等が尊重される 協議調整により必要十分な支給量が保障される 合議機関の設置と不服申立 6. 地域生活の基盤整備 計画的な推進のため地域基盤整備 10 ヵ年戦略策定の法定化 市町村と都道府県は障害福祉計画を 国はその基本方針と整備計画を示す 地域生活支援協議会の設置 9. 権利擁護 権利擁護は支援を希望又は利用する障害者の申請から相談 利用 不服申立てのすべてに対応する オンブズパーソン制度の創設 虐待の防止と早期発見 Ⅲ. 関連する他の法律や分野との関係 2. 障害児 障害児を含むすべての子供の基本的権利を保障する仕組みの創設が必要 障害を理由に一般児童施策の利用が制限されるべきではない 障がい者制度改革推進会議第 35 回 (H23.9.26) 資料 2 4. 放置できない社会問題の解決 5. 本人のニーズにあった支援サービス 6. 安定した予算の確保 Ⅱ. 障害者総合福祉法の制定と実施への道程 1. 障害者自立支援法の事業体系への移行問題 自立支援法の事業移行期限終了後も一定の要件の下で移行支援策を継続する 2. 障害者総合福祉法の制定及び実施までに行うべき課題 総合福祉法の制定及び実施に当たり地方自治体の意見を踏まえる 総合福祉法の策定及び実施のための実態調査や試行事業を行う 3. 障害者総合福祉法の円滑な実施 総合福祉法を補完する あるいはこれへの移行を支援する基金事業を設けること 4. 財政のあり方 国は予算措置に必要な基礎データを把握する 障害関連予算を OECD 諸国の平均水準を目標漸進的に拡充する 財政の地域間格差の是正を図る 財政設計にあたり一般施策での予算化を追求 障害者施策の推進は経済効果に波及する 支援ガイドラインに基づく協議調整による支給決定は財政的にも実現可能である 長時間介助等の地域生活支援のための財源措置を講じること 3. 労働と雇用 障害者雇用促進法を見直し 雇用の質の確保 必要な支援を認定する仕組みの創設 雇用率や納付金制度見直し等を行う 労働と福祉の一体的展開 9