ENVI チュートリアル ケーススタディ : ハイパースペクトルによる植生の解析 この章は以下の内容から構成されています... 2 目的... 2 演習... 2 使用する... 3 Jasper Ridge の背景... 5 HyMap の処理フロー... 7 植生ハイパースペクトル解析... 8 ENVI セッションの終了... 12
この章では 米国カリフォルニア州 Jasper Ridge の 1999 年の HyMap データを使用して ハイパースペクトルによる手法を植生の解析に応用した事例を紹介しています この章は ENVI の完全なエンドツーエンドのハイパースペクトルツールを使用してユーザ自身で画像から端成分スペクトルや地図画像を生成できるように構成されています このようなハイパースペクトル解析を実行するための段階的な手順に関する詳細を知りたい方は この章に入る前に本書のハイパースペクトルに関する章を実行してください この章で使用するカリフォルニア州 Jasper Ridge の 1999 年の HyMap データの著作権は Analytical Imaging and Geophysics(AIG) および HyVista Corporation に帰属し (1999 年 不許複製 ) AIG(info@aigllc.com) からの明確な許可を得ずに再配布することは禁じられています 目的 1. ENVI のエンドツーエンドのハイパースペクトルによる手法を植生の調査に応用した事例を調べること 2. あらかじめ計算された結果を確認するのでなく ユーザ自身で実際に演習すること ( 比較のため 処理済みの結果も用意してあります ) 3. 解析結果を既知のグラウンド情報と比較すること 演習 1. HyMap 放射輝度データを調べ データの特性と品質を評価してください 2. 大気 (ATREM) 補正と EFFORT 補正が行われた HyMap データを評価し 放射輝度データと比較してください 3. 空間的 / スペクトル的にデータを表示して評価し スペクトルが変化すること および変化の様子を確認し 以降の解析を行うための波長範囲 ( 複数の場合もあり ) を選択してください 4. MNF 変換を使用してデータの次元数を下げてください 5. PPI を使用してスペクトル端成分の候補を選択してください 6. n 次元ビジュアライザを使用して 線形性を評価し端成分を選択してくだ さい 2
7. ENVI のマッピング機能を使用して 端成分の分布と量をマッピングしてください 結果を比較してください 8. 画像とフィールドスペクトル / グラウンド情報を照合させてください 使用する DVD : Resource DVD Path : Data/ spec_lib/veg_lib, usgs_min :Data/ jsp99hym 必要な (Data/ spec_lib/veg_lib) usgs_veg.sli USGS の植生スペクトルライブラリ usgs_veg.hdr veg_2grn.sli Jasper Ridge のスペクトルライブラリ veg_2grn.hdr 必要な (Data/ spec_lib/ usgs_min ) usgs_min.sli USGS の鉱物スペクトルライブラリ usgs_min.hdr 32 個の SWIR バンドの MNF の結果 データを使用してノイズ共分散を推定 必要な (Data/ jsp99hym) jsp99hym_rad.bil VNIR の HyMap 放射輝度 ( バンド数 60 個 ) jsp99hym_rad.hdr jsp99hym.eff EFFORT 補正した HyMap ATREM 3
jsp99hym.hdr jsp99hym_mnf.bil VNIR の MNF 変換データ ( バンド数 60 個 ) jsp99hym_mnf.hdr jsp99hym_mnf_ns.sta VNIR MNF ノイズ統計量 jsp99hym_mnf.txt MNF 固有値の ASCII jsp99hym_ppi.img VNIR の PPI 画像 jsp99hym_ppi.hdr jsp99hym_ppi.cnt PPI カウント jsp99hym_ppi.roi jsp99hym_ppi.ndv jsp99hym_ndv_em.roi n 次元ビジュアライザで使用する ENVI PPI ROI PPI から保存された n 次元ビジュアライザの状態 VNIR の n 次元ビジュアライザ端成分位置の ROI jsp99hym_ndv_em.txt VNIR の端成分スペクトルの ASCII jsp99hym_sam.img VNIR の SAM クラス jsp99hym_sam.hdr jsp99hym_rul.img VNIR の SAM ルール jsp99hym_rul.hdr jsp99hym_glt.img HyMap 幾何補正用のジオメトリルックアップ jsp99hym_glt.hdr 4
copyright.txt HyMap の著作権に関する説明 < 注 > この演習を実行するには上記のが必要です 上記のさまざまなからはその他の有用な情報も得られます ディスクスペースの都合により いくつかのデータは 反射率の値に 1000 を掛けることにより整数になるフォーマットに変換してあります したがって 内の 1000 という値は反射率の 1.0 に相当します Jasper Ridge の背景 Jasper Ridge Biological Preserve (Jasper Ridge 野生生物保護区 ) は スタンフォード大学が保有する 1200 エーカーの自然区域です このサイトに関する詳細は Jasper Ridge のホームページを参照してください Jasper Ridge の HP URL: http://jrbp.stanford.edu/ Jasper Ridge は JPL などにより 1980 年代初頭からリモートセンシングの試験に使用されてきた地域です JPL からは 1992 ~ 1998 年の AVIRIS 標準データセットが入手できます 詳細地図はスタンフォード大学から入手でき グラウンドスペクトルは公開されています ( 下図を参照 ) 図 1:Jasper Ridge - USGS のデジタルオルソ写真区画 著作権 :1997 年 スタンフォード大学生物保護センター (Center for Conservation Biology) および JRPB(Jasper Ridge 野生生物保護区 ) *: 許可の下に使用しています 図 2:Jasper Ridge の歩行経路地図と陰影強調地図 著作権 :1996 年 スタンフォード大学生物保護センター (Center for Conservation Biology) および JRPB(Jasper Ridge 野生生物保護区 ) *: 許可の下に使用しています 5
図 3:Jasper Ridge の植生地図 著作権 :1996 年 スタンフォード大学生物保護センター (Center for Conservation Biology) および JRPB(Jasper Ridge 野生生物保護区 ) *: 許可の下に使用しています 6
HyMap の処理フロー ENVI に組み込まれているハイパースペクトルデータ解析手法のを示します 図 4:ENVI を使用したエンドツーエンドのハイパースペクトル処理 ENVI に実装されているこの方法のを以下に説明します ユーザは 前の各章を参考にしながら 以下の手順に従って必要なそれぞれの作業を行ってください この章では ENVI の各ツールの使用方法を憶えることではなく 一般的なハイパースペクトルリモートセンシングでの問題にさまざまな手法やツールを応用する方法を取得することにあります 7
植生ハイパースペクトル解析 1. Jasper Ridge の HyMap 放射輝度データを調べます HyMap データをグレースケール画像として読み込んでください アニメーション処理を実行してください 変化の大きい領域の放射輝度シグネチャを抽出してください 吸収特性を示す放射輝度スペクトルを調べます 不良なスペクトルバンド群を判断してください スペクトルのコントラスト強調用にデザインされたカラー合成画像を読み込んでください 植生や鉱物のマッピングに使用するスペクトルサブセットを決定してください jsp99hym_rad.bil VNIR の HyMap 放射輝度 ( バンド数 60 個 ) 2. HyMap スペクトル放射輝度に対する大気補正 (ATREM) と EFFORT 補正を評価し 太陽と大気による影響の大部分を除去し 放射輝度データから表面の反射率データに変換してください 空間的 / スペクトル的な表示とカラー合成を使用してデータを確認し スペクトルの変化特性を調べ 残差誤差を判断してください 植物や地質学的物質の反射率シグネチャを抽出し スペクトルライブラリと比較してください jsp99hym.eff jsp99hym.hdr usgs_veg.sli usgs_min.sli veg_2grn.sl veg_2grn.hdr EFFORT 補正した HyMap ATREM 植生スペクトルライブラリ鉱物スペクトルライブラリ Jasper Ridge のスペクトルライブラリ 3. EFFORT データを MNF 変換してデータに固有な次元を調べてください MNF 固有値プロットを調べて break-in-slope を求め MNF 固有画像の空間一貫性との関係を調べます 以降の解析用に信号とノイズの MNF カットオフを決定してください ユーザ自身で MNF 変換データセットを作成するか 以下のに入っている結果を確認してください 8
jsp99hym_mnf.bil VNIR の MNF 変換データ ( バンド数 60 個 ) jsp99hym_mnf.hdr jsp99hym_mnf.txt MNF 固有値の ASCII jsp99hym_mnf_ns.sta VNIR MNF ノイズ統計値 4. MNF 出力を PPI 解析し 相対純度 およびスペクトルの極度に従ってピクセルをランク付けしてください PPI 画像を生成する際にシステムメモリ内ですばやく計算を実行するため FAST PPI オプションを使用してください PPI 画像を表示し ヒストグラムと閾値を確認して最も純度の高いピクセルのリストを作成し データを空間的に圧縮してください ユーザ自身で PPI の結果と関心領域を作成するか 以下のに入っている結果を確認してください cup99hy_ppi VNIR の PPI 画像 cup99hy_ppi.hdr cup99hy_ppi.hdr PPI カウント cup99hy_ppi.cnt n 次元ビジュアライザで使用する ENVI PPI ROI 5. 高信号の MNF データバンドを使用して PPI 値が大きいピクセルを n 次元表示し 最も純度の高いピクセルをいくつかの端成分に分類してください MNF データを対話的な操作で 3 次元回転させるか 3 以上の次元で回転させてスキャッタプロットの点群 ( 端の部分 ) にあるピクセルを塗りつぶしてください EFFORT 反射率データに対応する Z-Profile と n 次元ビジュアライザを使用して スペクトルのクラスを評価してください クラス圧縮の機能を繰返し使用して すべての端成分を発見してください ミキシングと端成分を評価してください n 次元ビジュアライザの結果を状態 (.ndv) に保存してください クラスを関心領域にエクスポートして平均スペクトルを求めます 平均スペクトルをスペクトルライブラリと比較してください スペクトル的表示や空間的表示を使用して画像スペクトルを関心領域の平均値と比較してください 9
端成分を抽出してユーザ自身で関心領域を作成するか 以下の結果を確認してください jsp99hym.eff jsp99hym.hdr jsp99hym_mnf.bil jsp99hym_mnf.hdr jsp99hym_ppi.ndv jsp99hym_ndv_em.roi jsp99hym_ndv_em.txt usgs_veg.sli usgs_min.sli veg_2grn.sli veg_2grn.hdr EFFORT 補正した HyMap ATREM VNIR の MNF 変換データ ( バンド数 60 個 ) PPI から保存された n 次元ビジュアライザの状態 VNIR の n 次元ビジュアライザ端成分位置の ROI VNIR の端成分スペクトルの ASCII 植生スペクトルライブラリ 鉱物スペクトルライブラリ Jasper Ridge のスペクトルライブラリ 6. ENVI のさまざまなマッピング機能を用いて Jasper Ridge 地区の物質の空間的な存在と成分量をマッピングしてください 少なくとも Spectral Angle Mapper(SAM) と条件なし線形アンミキシング (Unconstrained Linear Unmixing) は試してください SAM を使用して画像スペクトルの類似性を調べ 端成分スペクトルを画像化してください ユーザ自身で SAM 分類処理を行うか 後述する結果を確認してください いずれかのスペクトルライブラリを使用して SAM 分類を行ってみてください 必ずルール画像を評価してください 条件なし線形アンミキシングを使用して物質の量を判断してください 必ず RMS 誤差画像を確認し 値が負でなく総和が 1 以下になるという物理的条件を満たしているか確認してください 物理的条件を満たすまで繰り返し行ってください 空間的表示やスペクトル的表示を使用して 量の画像の結果を端成分 10
スペクトルやスペクトルライブラリと比較してください MTMF を実行してください jsp99hym.eff EFFORT 補正した HyMap ATREM jsp99hym.hdr jsp99hym_mnf.bil VNIR の MNF 変換データ ( バンド数 60 個 ) jsp99hym_mnf.hdr jsp99hym_ndv_em.txt VNIR の端成分スペクトルの ASCII jsp99hym_sam.img VNIR の SAM クラス jsp99hym_sam.hdr jsp99hym_rul.img VNIR の SAM ルール jsp99hym_rul.hdr 添付されている GLT や IGM を使用して MTMF 処理の幾何補正出力画像を生成してください ENVI チュートリアル 入力ジオメトリを使用した画像の幾何補正 に示された手順に従って鉱物地図を幾何補正してください 地図グリッドと注釈を追加して最終的な地図を作成してください 7. ENVI の入力ジオメトリによる幾何補正機能を使用して 地図座標に合うように Jasper Ridge の結果画像を幾何補正してください 幾何補正した画像を Jasper Ridge の通常の植生地図画像と比較してください jsp99hym.eff EFFORT 補正した HyMap ATREM または HyMap 出力のバンド群 jsp99hym.hdr 11
jsp99hym_glt.img HyMap 幾何補正用のジオメトリルックアップ jsp99hym_glt.hdr ENVI セッションの終了 これで ケーススタディ : ハイパースペクトルによる地質解析を終わります ENVI セッションを終了するには ENVI メインメニューから File -> Exit (UNIX は Quit) を選択し さらに OK をクリックして IDL を終了します ENVI RT をご使用の場合は ENVI を終了するとオペレーティングシステムに戻ります 12