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イヤー電極と表面電極を用いて比較しローカル筋群は表面筋電計を用いて測定可能であると報告しており, 表面筋電計を用いてローカル筋群を包括的に評価が可能と思われるが, 過去の研究では我々が渉猟した限りない. そこで本研究の目的を内腹斜筋, 腹横筋をインナーユニット (IU) と定義し, ドローインとブレーシングそれぞれの筋厚変化率と表面筋電計で確認 される筋活動の相関を調査することとした. Ⅱ, 対象と方法 図 1 Hook-lying position 股関節 45 屈曲, 膝関節 9 屈曲した姿勢. 1. 対象 本学所属の体幹に整形外科的または神経外科的に既往歴のない健常男子 15 名とした ( 平均年齢 22± 1.4 歳, 身長 174.4±5.9 cm, 体重 64.2±7.1 kg). 本研究は本学倫理委員会の承認を得て行い, 被験者には書面及び口頭でのインフォームドコンセントを得たうえで実施した. 2. 方法姿勢は股関節を 45, 膝関節を 9 屈曲した Hook-lying position( 図 1) 22) で統一し, 動作課題は先行研究に準じ, ドローインとブレーシングの 2 つを実施した 19). IU の筋活動データは左上前腸骨棘 23) (ASIS) より 2 cm 内下方, 外腹斜筋 (EO) の筋 24) 活動データは左側胸郭下縁, 臍部より外側 15 cm ) にてワイヤレス表面筋電計 ( 日本光電社製, サンプリン 図 2 US のプローブ接地位置, 表面筋電計電極貼付位置 IU の筋活動データは左 ASIS より 2 cm 内下方,EO の筋活動データは左側胸郭下縁, 臍部より外側 15 cm にて測定し,IU の筋厚は筋電計電極貼付位置と対側の同部位で測定した. (a) グ周波数 Hz) を用いて計測した. 筋厚の計測には US(esaote MyLab25,7.5-12 MHz, リニアプローブ,B-Mode) を使用した. また先行研究におい て, 健常者の安静時, 動作時における腹横筋, 内腹斜 25)26) 筋の筋厚の左右差が報告されており, 対側の同部位で筋活動と筋厚を測定する本研究の結果に影響を与えることが懸念された. そのため事前にドローイン時及びブレーシング時の筋厚変化率の左右差を検討した. いずれの動作課題においても有意な左右差は認められず, 筋厚の計測は筋活動測定位置と対側の同部位とし, 右側の ASIS から 2 cm 内下方にて IU の画像を取得した ( 図 2). それぞれの動作課題において安静時, 動作時の画像を取得した. 安静時の画像は最大 (b) (c) 吸気時, 動作時の画像は動作開始から 5 秒後に取得した.IU の筋厚は腹横筋と内腹斜筋の筋厚の和とし ( 図 3), 先行研究に準じて筋厚の解析には筋厚変化率 {( 動作時筋厚 安静時筋厚 )/ 安静時筋厚 } を用いた 17)). 図 3 US より取得した画像 (a): 安静時,(b): ドローイン動作時,(c): ブレーシング動 作時. 上から内腹斜筋, 腹横筋の筋厚を示す.

筋活動データの解析区間は各動作開始 5 秒後の前後 1 秒間と設定し, 全課題終了後に測定した MVIC( 最大 随意等尺性収縮 ) で標準化した. IU の MVIC 測定 は最大努力下でのドローイン, あるいはブレーシング から測定し,EO の MVIC 測定は最大努力下での体幹 対側回旋から測定した. 最大筋活動時前後 ms 間 の筋活動平均値を MVIC として算出した. 得られた 筋活動は band-pass filter(15-5 Hz),low-pass filter( Hz) にて処理し,root-mean-square(RMS) にて平滑化した. 3. 統計学的解析 統計学的解析にはピアソンの相関係数を用いて, 安 静時から活動時の筋厚の変化率 (%) および活動時の 筋活動 (%MVIC) の相関を検討した. また対応のあ る t 検定を用いて IU,EO それぞれのドローイン時と ブレーシング時の筋活動を比較した. 有意水準は 5 % 未満とした. Ⅲ, 結果 ドローイン動作, ブレーシング動作時における IU の筋厚変化率と筋活動の関連を図 4 に示した. ドロー イン動作時において筋厚変化率と筋活動に高い正の 相関が認められた (R=.71,P<.1). 一方ブレー シング動作時においては筋厚変化率と筋活動に有意 な相関は見られなかった (R=.349,P>.5). また,IU,EO いずれの筋活動 ( 表 1) も, ドローイ ン時に比してブレーシング時において有意に高値を 示した (P<.5)( 図 5,6). 筋活動(% )35 3 25 15 5 3 4 5 筋厚変化率 (%) 筋活動(% )6 5 4 3 3 4 5 筋厚変化率 (%) 図 4 ドローイン動作, ブレーシング動作時の 筋厚変化率と筋活動の関係. 左図 : ドローイン動作時の IU の筋厚変化率と筋活動では有意 な正の相関を認める (R=.71,P<.1). 右図 : ブレーシング時の IU の筋厚変化率と筋活動では有意な 表 1 ドローイン動作, ブレーシング動作時の 筋活動平均値,95 % 信頼区間. I U 筋活動(% )E O 筋活動(% )平均値 ±SD (%MVIC) 5 4 3 15 5 IU 1 1 EO ドローイン 17.±8.4 5.8±4.3 ブレーシング 27.9±12.4.8±6.8 95 % 信頼区間 (%) IU EO ドローイン 12.4~21.7 3.3~8.2 ブレーシング.1~34.7 7.1~14.6 ドローイン ドローイン ブレーシング 図 5 ドローイン動作時, ブレーシング動作時で の IU 筋活動の比較. IU の筋活動はドローイン動作時に比してブレーシング動作時に おいて有意に高値を示した (P<.5). ブレーシング 図 6 ドローイン動作時, ブレーシング動作時 での EO 筋活動の比較. * * EO の筋活動はドローイン動作時に比してブレーシング動作時 において有意に高値を示した (P<.5). 相関が認められない (R=.349,P>.5)

Ⅳ. 考察本結果より, ドローイン動作時の筋厚変化率と筋活動間に有意な高い正の相関が認められた. また, ブレーシング動作時の筋厚変化率と筋活動では有意な相関は確認されなかった. 本研究におけるドローイン動作時の筋活動平均値は 17. %MVIC であった.Grenier ら 11) はドローイン動作での腹横筋と内腹斜筋の筋活動は %MVIC としており, 本研究でのドローイン動作は適切に行われたものと推察される. また Hodges ら 17) は腹横筋, 内腹斜筋の筋活動と筋厚について,12-23 %MVIC の範囲で有意な相関が認められたと報告している. 本研究におけるドローイン時筋活動平均値 17. %MVIC (95 % 信頼区間 12.3~21.7 %MVIC)( 表 1) は Hodges らの報告にある筋活動の範囲内にあるため, 本所見は妥当なものと思われる. 一方で Whittaker ら ) は腹横筋, 内腹斜筋のいずれにおいても筋厚変化率と筋活動に有意な相関は認められないと報告しており, この報告に対して本研究は異なる結果を示した. Whittaker ら ) は腹横筋及び内腹斜筋の筋厚を胸郭下縁と腸骨稜の下縁の中間レベルで評価しており本研究における筋厚および筋活動測定位置とは異なる. また, 同一研究内においても同じ筋の筋厚と筋活動を異なる部位で計測している. 本研究ではそれぞれの動作課題における IU 筋厚変化率に左右差に認められないことを確かめた上で, 対側の同部位にて筋厚と筋活動の計測を行っており, このような研究間での実験方法の違いが結果に影響したかもしれない. また, 本研究においてブレーシング動作時には筋厚と筋活動の間に有意な相関が確認されなかった. この結果については IU の筋活動量の違い, 外腹斜筋などのグローバル筋群の筋活動量の違いの影響が考えられる. 本研究においてブレーシング時の IU 筋活動はドローイン時よりも有意に高値を示した.Hodges らの先行研究では腹横筋において 12-23%MVIC の範囲では筋厚と筋活動に有意な相関が認められたが, それ以上の筋活動レベルにおいては有意な相関が認められなかったと報告しており, 筋活動の増加に伴う筋スティフネスの増加が筋の形態変化に必要な力を増大させている可能性を示唆している 17). 本研究においても IU の筋活動が高くなるにしたがって,IU 筋活動と筋厚の相関はなくなる可能性が推察された. また, ブ レーシング時の EO 筋活動はドローイン時よりも有意に高値を示した. ブレーシングは腹部の筋群全体を等尺性収縮させる手法であり 16), ドローインよりも高い EO 筋活動が認められると報告されている 13). 本所見はこれらの先行研究を支持する結果となった. Hodges 27) は, 筋厚は筋活動以外にも隣接した筋による圧迫の影響を受ける可能性があるとしている. 内腹斜筋は外腹斜筋, 腹直筋といったグローバル筋群と隣接しており, そのグローバル筋群の筋活動が内腹斜筋や腹横筋の筋厚変化に影響した可能性が考えられる. 本研究の限界として, 被験者が健常者のみであることが挙げられる. また本研究結果からブレーシング時に筋厚と筋活動に相関は確認されず, それに対して筋活動量や隣接した筋の筋活動量により影響を受ける可能性を挙げたが, 筋厚と筋活動の関係についての詳細なメカニズムについては今後さらなる研究が必要であるだろう. Ⅴ, 結語本研究より, 腹横筋と内腹斜筋を併せた IU においてドローイン動作中の筋厚変化率と筋活動では高い有意な正の相関が認められることが示された. 一方でブレーシング動作中の IU における筋厚変化率と筋活動では有意な相関が認められなかった. 謝辞本稿を終えるにあたり, 御指導いただきました諸先生方, 本学保健科学院大学院生の三浦拓也氏, 森井康博氏ならびに被験者を快諾していただきました被験者の皆様に深く感謝致します. 引用文献 1) Goel VK, et al.: A combined finite element and optimization investigation of lumbar spine mechanics with and without muscles.spine.18(11): 1531-1541,1993. 2) Richardson CA, et al. ( 訳 ) 齋藤昭彦 : 腰痛に対するモーターコントロールアプローチ, 医学書院, 東京,8. 3) Urquhart DM, et al.: Regional morphology of the transversus abdominis and obliquus internus and externus abdominis muscles.clin

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