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勧誘行為を効果的に抑止するため, 罰則や必要な行政処分を設けるとともに, 規制に反してなされた勧誘行為により締結された契約につき消費者が無効ないし解除 ( または取消 ) を主張できる旨の規定を設けること 第 2 意見の理由 1 不招請勧誘の規制の必要性契約締結の勧誘を要請していないにもかかわらず行われる勧誘 ( いわゆる 不招請勧誘 ) は, 勧誘される者にとって, 多くの場合, それ自体が迷惑である 特に, 訪問及び電話による不招請勧誘は, 私生活の平穏を害するものであり, プライバシーを損なうものとなる このことは,2015 年 3 月に消費者庁が実施した 消費者の訪問勧誘 電話勧誘 FAX 勧誘に関する意識調査 において, 訪問勧誘及び電話勧誘を不要だとする人が実に約 9 6% にも及んでいることからも裏づけられている 加えて, 訪問及び電話による不招請勧誘は悪質商法の温床になりやすい 不招請勧誘は, 不意打ちであり, かつ, 一方的な勧誘となりがちであり, 情報の質 量及び交渉力において, 事業者との比較で格段に劣る消費者が, 不当または不正な取引に巻き込まれる危険が大きい また, 不当 不正な取引とはいえない場合においても, 自律的な意思決定が害され不本意な契約を締結させられやすいことは, いうをまたない そもそも, 勧誘を受けるか否かは, 消費者の自由な決定によらなくてはならない 不招請勧誘の禁止を徹底し, 消費者が自主的かつ合理的な選択ができるよう, これを可能ならしめる状況確保のための法整備が必要である 2 現行法の不十分性 2

現 の特定商取引法においても, 訪問販売及び電話勧誘販売について, 契約を締結しない意思表明をした消費者に対する勧誘を禁止している ( 特定商取引法 3 条の2 第 2 項, 同 17 条 ) しかしながら, 事前の包括的な拒絶の表明はこの意思の表示とは認められていない ( 消費者庁 特定商取引に関する法律第 3 条の 2 等の運用指針 - 再勧誘禁止規定に関する指針 - 参照 ) そのため, 消費者は勧誘を行おうとする事業者との接触をあらかじめ回避する措置を講ずることができず, 事業者からの勧誘に応答を強いられ, 勧誘それ自体による迷惑から逃れることができない そのうえ, いったん事業者と接触してしまうと, 交渉力較差などから, 現実に勧誘を断ることは容易ではなく望まない契約を締結させられやすい 全国の消費生活センターに寄せられた相談件数をみても, 訪問販売, 特に一般家庭への訪問販売については, 特定商取引法 3 条の2が新設された2008 年以降も横ばい状態にある また, 電話勧誘販売にいたっては, 相談件数は大幅な増加傾向にある 特に危惧されるのは, 高齢者に対する訪問販売及び電話勧誘販売である 訪問販売及び電話勧誘販売は, 店舗販売 通信販売等の取引類型に比べて, 消費生活センターに寄せられた相談のうち, 高齢者を契約当事者とする相談の占める割合が高くなっている また, 他の年代と比較して, 高齢者の場合の被害金額は高額である 高齢者の世帯は, 独居または夫婦のみの世帯が過半数を占めており, このような在宅の孤立した高齢者が, 望まない訪問販売 電話勧誘販売の被害を受けているものと考えられる このような実情に鑑みれば, 現行の特定商取引法の訪問販売及び電話勧誘販売の規制が高齢者を中心とした消費者被害を抑止するにいたっていないことは明らかであり, 法規制の強化が必要である 3

3 規制の方式及び営業の自由との関係 (1) 不招請勧誘の規制のあり方は, 大きく二つに分けられる 1オプト イン方式消費者からの要請や同意がある場合に限り, 訪問や電話による勧誘を行うことができる 2オプト アウト方式原則として, 事業者は, 自由に訪問や電話による勧誘をすることができるが, 消費者から訪問や電話勧誘を拒絶する意思の表明がなされた場合に限り, 当該消費者への勧誘が禁止される (2)1オプト イン方式は, 端的にいわゆる不招請勧誘を禁止するものであり, 現行の特定商取引法では, 電子メール広告の送信や訪問購入において導入されている 2 オプト アウト方式には, 勧誘後, 継続勧誘 再勧誘を拒絶する意思を表示したものへの勧誘を禁じるもの ( 現行の特定商取引法 3 条の 2 第 2 項や同 1 7 条 ) から勧誘の事前拒否も認めるものまで豊かなバリエーションがある 望ましい規制の方式は, 2 0 1 5 年 3 月に消費者庁が実施した先述の意識調査において, 訪問販売や電話勧誘販売を望まない消費者が圧倒的多数を占めている現状に照らすと, オプト イン方式である オプト イン方式については, 営業の自由に対する侵害であり, 過度の規制であるとの意見もある しかし, オプト イン方式による規制も, 営業活動そのものに対する規制ではなく, 営業活動に対する時 場所 方法の規制に過ぎない 訪問勧誘や電話勧誘以外の方法による勧誘や同意ある勧誘は許されているのであるから, 守られるべき消費者の利益に比して, 合理性を欠く過度の規制とはいえ 4

ない 現に, 電子メール広告の送信, 訪問購入, さらには金融商品等の勧誘においては, 適法な規制手段として認められているところである また, より緩やかな規制であるオプト アウト方式では, 認知症の高齢者等, 事前に勧誘拒否の意思表示を行なうことが期待できない消費者に対する不招請勧誘を抑止できず, このような意思決定支援の必要な消費者を食い物にさせないためにも, オプト イン方式が有効である (3) 仮にオプト イン方式の規制を導入しないとしても, オプト アウト方式のうち, 少なくとも勧誘がなされる前にあらかじめ勧誘拒否の意思を表明できる規制方式 ( 勧誘の事前拒否制度 ) の導入が不可欠である このような方式についても営業の自由の侵害であるとの指摘が考えられるが, そもそも, 訪問や電話による勧誘を望まない消費者に対し, その意向を無視して勧誘を行なうことが, 保護されるべき 営業の自由 に含まれるかははなはだ疑問といわざるをえない 後述のとおり, 現に, 諸外国においては, 勧誘の事前拒否制度の整備が進められている また, 我が国においても, 一般社団法人日本コールセンター協会による迷惑セールス電話拒否サービスや公益社団法人日本通信販売協会による郵便拒否サービスも行われていた歴史もあるのであって, かかる規制が 営業の自由 を侵害するとはいえない 4 オプト アウト方式の具体的規制方法オプト イン方式による規制が望ましいことは, すでに述べたとおりであるが, 仮にオプト アウト方式が採用される場合でも, 以下のような勧誘の事前拒否制度の導入が不可欠である 5

(1) 訪問勧誘拒否制度訪問による勧誘において, 望まぬ勧誘をあらかじめ拒絶できるものとして訪問勧誘拒否制度 (Do-Not-Knock 制度 ) がある 訪問勧誘拒否制度 (Do-Not-Knock 制度 ) は, 訪問販売の勧誘を受けたくない消費者が, 戸口等に 訪問販売お断りステッカー などを貼付し ( ステッカー方式 ), あるいは, 公的な拒否登録簿に住所を登録 ( レジストリー方式 ) して勧誘を拒絶する意思を表示し, これがなされた住所への勧誘を禁止するものである 海外では, オーストラリアやアメリカ合衆国などにおいて採用されているほか, 我が国でも, 地方自治体の消費生活条例において採用されている例がある ( ただし, 行政処分や罰則等はない ) このうち, 望ましい規制方法は, 勧誘拒絶意思を表明するステッカー等に法的効果を与える制度である 消費者の意思表明が簡明であり, また, 登録機関創設 維持運用のコストも省けるためである (2) 電話勧誘拒否登録制度また, 電話による勧誘について, 望まぬ勧誘をあらかじめ拒絶できるものとして電話勧誘拒否登録制度 (Do-Not-Call 制度 ) がある 同制度は, 電話勧誘を受けたくない消費者が, その電話番号を登録し, 事業者が登録された番号に対して電話勧誘を行うことを法的に禁止するものである 海外では, アメリカ合衆国, アルゼンチン, イギリス, イタリア, インド, オーストラリア, オランダ, カナダ, 韓国, シンガポール, スペイン, ノルウェー, ベルギーなどで採用されているほか, フランスも制度導入に向けての準備を進めている また, ドイツ, オーストリアでは, 要請 同意のない電話勧誘を禁止するオプト イン方式を採用している 電話勧誘の事前拒否制度については, 事業者が, 登録機関に登録 6

をしている電話勧誘拒否者の電話番号の開示を要求し, 登録機関がこれを事業者に開示する方式 ( リスト開示方式 ) と, 事業者が手持ちの電話番号を登録機関に照会し, 電話勧誘拒否制度への登録をしていない電話番号を開示する方式 ( リスト洗浄方式 ) がある 規制違反の勧誘を完全になくすことが困難であることや, リストの流出の危険を考えれば, リスト洗浄方式が望ましい 5 実効性確保のための制度オプト イン方式, オプト アウト方式のうち勧誘の事前拒否制度のいずれの制度を導入するにせよ, 制度の実効性確保のためには違反に対し, 罰則や行政処分のみならず民事効の付与が不可欠である 具体的には, 事業者に不当な利益を保有させず, 被害者が容易に違法な勧誘による被害を回復できるよう, 規制に違反した勧誘行為によってなされた契約について契約の無効や解除 ( 又は取消 ) を主張できる規定を設けるべきである 以上 7