1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 Tokio Marine Asset Management 東京海上アセットマネジメント株式会社 ファンドマネジャーの視点 2017 年 1 月 Vol. 69 海外不動産投資について 弊社では 各資産クラスのファンドマネジャーが日頃考えている点についてお伝えする ファンドマネジャーの視点 をお届けしています 今回は海外不動産投資の特徴と意義 留意点についてご紹介いたします 1. 海外不動産投資の特徴と意義 森園義史 海外不動産投資部シニアマネジャー < 安定したインカムの獲得 > 不動産のリターンは 主にテナントからの賃料収入に基づくインカムゲインと 不動産の評価額の上昇によるキャピタルゲインによって構成されます 不動産から生み出されるインカムは 一般的に景気動向に左右されにくい傾向にあり 安定していると考えられています 2008 年の金融危機発生後においても 不動産のトータルリターンは大きく変動しましたが インカムリターンは概ね安定的に推移しました また トータルリターンについても 2010 年にはプラスに転じていることから 将来に亘って堅実なインカムゲインが期待できる不動産に対して長期投資を行うことで リターンを安定化することができると考えられます ( 図 1) < 米国不動産のリターンの推移 > 25% 20% 15% 10% 05% 00% -05% -10% -15% -20% -25% Income Return Capital Gain Total Return 米国不動産 : IPD Multinational Index 上記実績は過去のものであり将来の運用成果を保証するものではありません 出所 : MSCIを基にTMAM 作成 1
Mar-01 Sep-01 Mar-02 Sep-02 Mar-03 Sep-03 Mar-04 Sep-04 Mar-05 Sep-05 Mar-06 Sep-06 Mar-07 Sep-07 Mar-08 Sep-08 Mar-09 Sep-09 Mar-10 Sep-10 Mar-11 Sep-11 Mar-12 Sep-12 Mar-13 Sep-13 Mar-14 Sep-14 Mar-15 Sep-15 Tokio Marine Asset Management 東京海上アセットマネジメント株式会社 < 不動産のスプレッドの享受 > 直近の実績値ベースの不動産取引利回りは前回ピーク時に近い水準まで低下してきており つまり 不動産価格は上昇してきていると言えます しかしながら 不動産と債券の利回りの差 ( スプレッド ) を見ると 未だに過去 15 年の平均程度開いている点が 前回ピーク時と大きく様相を異にしています 多くの先進国において超低金利政策が採用されている環境下において 不動産投資によって得られるスプレッドは魅力的であり 不動産投資活動のモチベーションとなっていると考えられます ( 図 2) < 米国 6 大都市経済圏オフィス取引利回りと 10 年国債の推移 > 10.0% 8.0% 6.0% 4.0% 2.0% 過去 15 年間平均スプレッド 0.0% -2.0% スプレッド 6 大都市経済圏上位 25% 取引利回り米国 10 年国債利回り 上記実績は過去のものであり将来の運用成果を保証するものではありません < リスク分散効果の獲得 > 出所 :Real Capital Analytics を基に TMAM 作成取引利回り :RCA が入手した取引時の物件の年間収益 (NOI) を売買価格で除した利回り 不動産の賃貸借契約は複数年に亘っており 契約期間中の賃料 ( インカム ) がぶれにくいこと また 私募不動産ファンドは価額が日々の取引市場で決定するわけではなく 定期的 ( 年に 2~4 回程度 ) に見直される不動産鑑定評価を基に算出されることから 私募不動産ファンドは株式や債券などの伝統資産との相関が低く 既存ポートフォリオのリスク分散効果が期待できると考えます さらに 不動産投資商品には様々な種類がありますが 効率的な分散の観点では 比較的株式市場との相関が高い上場 REIT よりも 私募不動産ファンドを選択することが望ましいと考えています < 海外市場の成長の取り込み > 不動産投資の主なリターンの源泉は テナント 利用者から受領する利用の対価 ( 賃料 利用料等 ) です したがって 比較的中長期におよぶ不動産投資においては 将来の経済成長 景気循環や人口の増減に着目することは重要です 今後の主要国の GDP 成長率 並びに生産年齢人口の予測を見ると 生産年齢人口の減少が顕著な国は GDP 成長の伸びも小さくなっています 国内より高い成長率が期待される海外市場の不動産へ投資することで 海外市場の成長を取り込み また 下方リスクの低減を図ることができると考えられます 2
( 図 3) 120 110 100 90 80 70 < 各国の生産年齢人口予測 (2010 年 =100)> 豪州, 114 米国, 99 英国, 91 フランス, 85 中国, 78 60 50 40 2010 2020 2030 2040 ドイツ, 58 日本, 50 出所 : シンガポール国立大学資料を基に TMAM 作成 ( 図 4) < 世界主要国の GDP 増減率予測 (2010-2030 年 )> 250% 233.1% 208.8% 200% 150% 100% 77.6% 73.6% 50% 49.7% 31.9% 25.0% 19.6% 9.1% 4.6% 0% 中国インドロシアブラジル豪州米国英国フランス日本ドイツ 出所 :21 世紀政策研究所 グローバル JAPAN-2050 年シミュレーションと総合戦略 - を基に TMAM 作成 < 豊富な投資機会の取り込み > 理論的には 不動産投資によって分散効果や安定したインカムを得られると考えられるものの 不動産は非流動性資産であり 投資したい案件にいつでも投資できるわけではありません 今後も不動産投資ニーズの高まりが継続すれば 不動産市場の取得競争は激化し グローバル市場の 10% 程度の規模と言われている国内不動産市場のみでは投資機会も限定されます つまり 海外の不動産市場に目を向けることで より豊富な投資機会を獲得できると考えています ( 図 5) <グローバル不動産市場のユニバース> ( 図 6) <グローバルコア不動産ファンドユニバース> 10.5% 豪州, 3.5% (2014 年 12 月時点 ) 日本, その他, 1.9% 米国, 38.9% アジア太平洋, 15.9% (2016 年第 2 四半期 ) 欧州, 29.0% 6.1 兆ドル 英国, 11.2% カナダ, 4.9% 欧州, 16.2% 3,683 億ドル 北米, 67.8% 上記実績は過去のものであり将来の動向を保証するものではありません 出所 :( 左 )MSCI IPD Multi National Digest を基に TMAM 作成 :( 右 )MSCI Global Quarterly Property Fund Index を基に TMAM 作成 3
2. 海外不動産投資の留意点 < 投資目的に応じた商品選定 > 2015 年 1 月 Vol. 54 不動産投資商品には様々な種類があります リスクを抑えて安定したインカムを重視するのか ある程度のリスクを許容しながらキャピタルゲインを狙うのか 投資目的とリスク許容度に応じて 商品を選択することが重要です また 一般的にリスク リターンの高い戦略ほど案件の個別性が強くなり 情報開示も限定されることから このような案件へ取り組む場合は 運用会社が不動産運用の経験 専門性を備えていることは勿論ですが モニタリングする投資家にも 一定程度の不動産運用の知識と理解が求められます リスク リターン許容度のみならず 運用経験や体制面等 投資家の成熟度も踏まえた商品 戦略の選定が重要です ( 図 7) < 不動産投資ファンドの主な戦略の分類 > 戦略コアバリューアドオポチュニスティック リスク相対的にローリスクミドルリスク相対的にハイリスク 目標リターン 7-8% 13% 前後 20% 前後 リターンの特徴 安定的なインカムゲイン インカムゲイン + キャピタルゲイン 主としてキャピタルゲイン 借入比率比較的低い中庸比較的高い 情報開示比較的充実限定的限定的 商品例 REIT( 上場 / 私募 ) 私募オープンエンドファンド クローズドエンドファンド クローズドエンドファンド 上記は不動産投資ファンド内での比較を記載したものであり 必ずしも全てを表すものではありません また 上記に当てはまらない場合があります 出所 :TMAM 作成 < 流動性は限定的 > 前述の通り 不動産は非流動性資産であり オープンエンドファンドであっても危機時においては流動性が枯渇する可能性があります 投資したい案件に投資したいタイミングで投資できるとは限らず また 売却したいタイミングで売却できるとも限らないため 機動的なアロケーションの見直しには限界があります したがって 流動性が限定されることを理解のうえで 長期目線で投資する意識が重要となります つまり 長期投資を前提としたうえで 不動産アセットクラス内で国 セクター 都市等を分散することにより リスクを抑制した投資を行うことが望ましいと考えます 4
当資料は 東京海上アセットマネジメント株式会社が情報提供を目的として作成したものであり 金融商品取引法に基づく開示資料ではありません 当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成しておりますが その正確性 完全性を保証するものではありませ 2015 年 1 月ん 当資料には一定の見解が含まれていますが その内容は予告なく変更されることがあ Vol. 54 ります 当資料の全部もしくは一部を第三者へ交付することはご遠慮ください 海外不動産 私募ファンド戦略に係るリスク 海外不動産 私募ファンド戦略は 主に海外に所在する不動産や不動産関連資産を投資対象とする私募不動産ファンド等 ( 以下 投資先ファンド といいます ) を投資対象としますので 実質的に組入れている不動産関連資産等の価格下落 投資先ファンドの財務状況又は信用状況の悪化等により 資産価額が下落し 損失を被ることがあります また 外貨建資産に投資する場合には 為替の変動により損失を被ることがあります したがって お客様の投資元本は保証されているものではなく 資産価額の下落により損失を被り 投資元本を割り込むことがあります 当海外不動産 私募ファンド戦略の資産価額の変動要因としては 主に 不動産の価格変動リスク 為替変動リスク カントリーリスク 信用リスク 流動性リスク 等があります 海外不動産 私募ファンド戦略の運用報酬 運用資産残高に 1.00%( 税抜き ) を乗じたものが年間運用報酬 ( 投資一任報酬 運用者報酬の合計 ) の上限となります その他費用 : 私募取扱報酬 事務管理会社報酬 監査報酬 各種専門家報酬 LPS が組入れるファンドに係る費用 その他ファンド運用 管理 運営に要する費用がかかります 上記料率に関し 資産の性質 サービス内容等によりお客様と協議の上 別途取り決めることができます 私募取扱報酬および その他の費用 については ファンドより実費として間接的にご負担いただきます その他の費用 は 実際の取引に応じて決まる費用であるため その金額を事前に表示することはできません 同じくそれらを含む手数料等の合計金額についても 同様に事前に表示することはできません 詳しくは 契約締結前書面 をご確認下さい 会社概要 会社名 : 東京海上アセットマネジメント株式会社金融商品取引業者 : 関東財務局長 ( 金商 ) 第 361 号宅地建物取引業者 : 東京都知事 (1) 第 98773 号 取引一任代理等の認可 : 国土交通大臣認可第 110 号加入協会 : 一般社団法人日本投資顧問業協会 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 一般社団法人不動産証券化協会 5