Economic Indicators   定例経済指標レポート

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住宅着工戸数の見通し(2018・19年度)| 第一生命経済研究所 | 小池理人

タイトル

住宅着工戸数の見通し(2017・18年度)

住宅着工戸数の見通し(2018・19年度) | 第一生命経済研究所

新設住宅着工戸数 ( 全国 ) 23 年 月の新設住宅着工戸数は 67,273 戸 前年同月比 5.8% と 2 か月連続マイナスとなったがマイナス幅は縮小 1,000 ( 戸 ) 新設住宅着工戸数の月別推移 ( 全国 ) 0,000 90,000 80,000 住宅エコホ イント着工期限 (末 )

統計から見た三重県のスポーツ施設と県民のスポーツ行動

図表 1 消費税率引上げに伴う住宅着工の影響 ( 平成 9 年 ) 1995( 平成 7) 年度 1996( 平成 8) 年度 1997( 平成 9) 年度 (4 月 1 日に消費税 (5%) 導入 ) 1998( 平成 10) 年度 住宅着工戸数 前年からの増減 1,485 万戸 - 1,630

不動産経済 表紙OL

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不動産経済 表紙OL

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住宅取得支援政策とその効果

税幅を 1% ずつ小刻みに引き上げるべきであるといった意見も浮上しており 予定通り引上げが実施されるかは 不透明な状況です Q 消費税増税で住宅取得時の税負担は どのくらい増加しますか A そもそも住宅購入にかかる消費税は 土地にはかからず新築物件なら建物部分のみです 仮に図表 1の モデル のよう

2 / 6 不安が生じたため 景気は腰折れをしてしまった 確かに 97 年度は消費増税以外の負担増もあったため 消費増税の影響だけで景気が腰折れしたとは判断できない しかし 前回 2014 年の消費税率 3% の引き上げは それだけで8 兆円以上の負担増になり 家計にも相当大きな負担がのしかかった

建設経済モデルによる建設投資の見通し

01Newsletterむさしの6月.indd

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Economic Trends    マクロ経済分析レポート

別紙2

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

みずほインサイト 日本経済 2013 年 8 月 27 日 消費増税時の住宅購入補助の効果年収別にみた負担変化の試算 経済調査部エコノミスト 大和香織 住宅ローン減税拡充と すまい給付金 の効果により 消費税率 8%

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【別添3】道内住宅ローン市場動向調査結果(概要版)[1]

目 次 調査結果について 1 1. 調査実施の概要 3 2. 回答者の属性 3 (1) 主な事業地域 3 (2) 主な事業内容 3 3. 回答内容 4 (1) 地価動向の集計 4 1 岐阜県全域の集計 4 2 地域毎の集計 5 (2) 不動産取引 ( 取引件数 ) の動向 8 1 岐阜県全域の集計

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平成10年7月8日

建設経済モデルによる建設投資の見通し

新設住宅着工戸数 年 月の新設住宅着工戸数は, 戸 前年同月比 +.% と前年並み水準で推移 ( 戸 ), 新設住宅着工戸数の月別推移,,,,,, 1 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 1 月 年,1,,1,,,,1,,1,1,,1 1 年,,,,1,,,, 1,11,1,1, 年,1,,

消費税増税後の仕入・販売単価に関する東北6県企業の動向調査

経済学でわかる金融・証券市場の話③

1. 国土交通省土地 建設産業局関係の施策 不動産流通に関する予算要求が拡大 ここ数年 国の住宅 不動産政策において 不動産流通に関する施策が大幅に拡大している 8 月に公表された国土交通省の 2019 年度予算概算要求概要によると 土地 建設産業局における施策は大きく 4 項目あるが 全体の予算額

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Economic Trends    マクロ経済分析レポート

建設経済モデルによる建設投資の見通し

2. 消費税率引き上げが個人消費に与える影響 (1)1997 年度の消費増税時のレビュー ~ 大きかった駆け込み需要の影響消費税は 89 年 4 月に税率 3% で導入され 97 年 4 月に 5% に引き上げられた 89 年度の導入時は従来の物品税廃止によって自動車など耐久財の多くが実質減税となっ

2018年夏のボーナス見通し

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /1 年 7~9 月期の近畿圏市場 1. 中古マンション市場の動き 成約価格は前年比で 3 期連続上昇 1 年 7~9 月期の近畿レインズへの成約報告件数は,9 件と 前年同期比で 1.% 増加した (P1 図表 1) 新規登録件数は 15

中期経営計画の見直しについて 2015 年 5 月

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Microsoft PowerPoint (確定)【住宅事業者様向け】平成29年度市場動向調査

生活衛生関係営業の景気動向等調査 平成17年7~9月期

Economic Trends    マクロ経済分析レポート

SERIまんすりー2月号 今月のみどころ

目次 はじめに 住宅ローン減税の背景と概要... 2 (1) 足元の住宅市場の状況... 2 (2) 住宅ローン減税制度の概要 住宅ローン減税の効果... 6 (1) 家計の住宅取得能力に与える影響... 6 (2) 住宅投資への効果... 8 (3) 消費への効果.

報道関係者各位 2019 年 3 月 1 日 アットホーム株式会社 トレンド調査 住宅購入検討者に聞く 消費税増税前の住宅購入意向 調査 消費税が 8% のうちに住宅を購入したい 51.9% 消費税増税後の住宅価格変わらない 43.5% 上がる 32.5% すまい給付金 を知っている 35.8% 不

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関西経済レポート (2019 年 9 月 ) 令和元年 (2019 年 )9 月 30 日 ~ 輸出減少が継続 インバウンド消費はプラスの伸びを維持 ~ 足元の経済情勢と当面の見通し 関西経済は輸出 生産が斑模様であるが 内需が下支えとなり底堅く推移している 企業部門では 輸出は中国経済の減速等によ

Ⅱ. 調査データ 1) 前回の増税時に 建て替え 買い替え リフォームをおこなった 15.9% おこなおうとしたが間に合わなかった 2.9% 2014 年 4 月に消費税が 5% から 8% に増税される前 住まいの建て替え ( 新築 ) 買い替え ( 購入 ) リフォームをおこなったか尋ねたところ

各年の住宅ローン控除額の算出 所得税から控除しきれない額は住民税からも控除 当該年分の住宅ローン控除額から当該年分の所得税額 ( 住宅ローン控除の適用がないものとした場合の所得税額 ) を控除した際に 残額がある場合については 翌年度分の個人住民税において 当該残額に相当する額が 以下の控除限度額の

月別の売上でみると 百貨店については 夏物衣料が好調だった 7 月と一部店舗で閉店セールを行った 9 月を除いて前年同月を下回っています 一方 スーパーについては 台風の影響があった 8 月を除いて 前年同月を上回っています 1,2 1-3 平成 28 年百貨店 スーパー販売額合計 ( 北海道 :

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

の各種税制優遇を受けやすくする見直しが行われ 入居までに耐震基準に適合するという証明があれば 1 住宅ローン減税 2 住宅取得資金に関する贈与税の非課税措置 3 中古住宅に関する不動産取得税の特例措置の適用が可能となる 耐震基準に適合しない中古住宅を取得し 耐震改修工事を実施した後に入居するような場

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( 平成 31 年 1 月判断 ) 平成 31 年 1 月 財務省北陸財務局 富山財務事務所 富山市丸の内 1 丁目 5 番 13 号 ( 富山丸の内合同庁舎 5 階 ) TEL(076) ( 財務課直通 )

当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

2014~2016年度 東海経済見通し

大和ハウス工業株式会社平成 29 年 3 月期第 1 四半期決算発表アナリスト 機関投資家向けIR 電話カンファレンス質疑応答 ( 要旨 ) 日時 2016 年 8 月 9 日 ( 火 )17:00~18:00 実施 対応者 代表取締役専務執行役員香曽我部武上席執行役員財務部長兼 IR 室長山田裕次

30歳代の住宅ローンが急増したのはなぜか

報道関係者各位 2019 年 2 月 1 日野村不動産アーバンネット株式会社 リリースカテゴリー 都市型コンパクトタウン 都市再生 地方創生グローバルへの取組み不動産テック 働き方改革健康 介護ニーズ社会課題定期報告 レポート 不動産情報サイト ノムコム 住宅購入に関する意識調査 ( 第 16 回

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○ユーロ

経済・物価情勢の展望(2018年1月)

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RTE月次レポート企画

景気見通し調査 ( 平成 24 年 12 月期 ) 調査結果 福井商工会議所 中小企業総合支援センター 調査の概要 当調査は 福井商工会議所管内の小規模事業所の短期的な景気動向を把握するため 毎年 3 月 6 月 9 月 12 月の年 4 回実施している 調査時期 平成 24 年 11 月 30 日

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表 1) また 従属人口指数 は 生産年齢 (15~64 歳 ) 人口 100 人で 年少者 (0~14 歳 ) と高齢者 (65 歳以上 ) を何名支えているのかを示す指数である 一般的に 従属人口指数 が低下する局面は 全人口に占める生産年齢人口の割合が高まり 人口構造が経済にプラスに作用すると

スライド 1

中小企業の動向

平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

経済・物価情勢の展望(2017年7月)

熊本商工会議所 製本第四四半期(HP・報道機関用)

貸家着工にバブルの懸念?-住宅投資関数で説明できない好調さ

調査のポイント 1 調査の概要住宅事業者 一般消費者及びファイナンシャルプランナーに対し 今後の住宅市場に関する事項についてアンケート調査を実施し その結果を取りまとめた資料です 2 調査結果の主なポイント 平成 30 年度の住宅取得環境 住宅事業者の平成 30 年度 ( 平成 30 年 4 月 ~

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平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

1. 各都市の不動産市場トレンド 1-1. オフィス価格指数 対前回変動率 (2016 年 4 月から 2016 年 10 月まで ) 図表 1-1は オフィス価格指数の各都市 対前回変動率 今回 (2016 年 10 月現在 ) 対前回変動率が最も高かったのは 東京 の +3.4% 次いで 大阪

はじめに 我が国の建設投資は 社会経済活動 市場動向等に与える影響は極めて大きい このため 国土交通省では 国内建設市場の規模とその構造を明らかにすることを目的とし 昭和 35 年度から毎年度 建設投資推計及び建設投資見通しを作成し 建設投資見通し として公表している 作成の方法と留意点 建設投資推

個人消費の回復を後押しする政策以外の要因~所得の減少に歯止め、節約志向も一段落

経済・物価情勢の展望(2017年10月)

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年 4 月期関西圏 中京圏賃貸住宅指標 大阪府京都府兵庫県愛知県静岡県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新確率 (%)

29 歳以下 3~39 歳 4~49 歳 5~59 歳 6~69 歳 7 歳以上 2 万円未満 2 万円以 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 215 年度 216 年度

RTE月次レポート企画

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2025年の住宅市場 ~新設住宅着工戸数、60万戸台の時代に~

RTE月次レポート企画

不動産経済 表紙OL

平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

Transcription:

Economic Trends マクロ経済分析レポート 213~15 年度住宅着工戸数の見通し発表日 :213 年 6 月 6 日 ( 木 ) ~ 駆け込み需要本格化へ 反動減で 214 15 年度の着工は低位に留まる ~ ( 要旨 ) 第一生命経済研究所経済調査部担当エコノミスト星野卓也 TEL:3-5221-4526 4 月の住宅着工戸数は 93.9 万戸 ( 年率換算済季節調整値 ) となった 大台の 9 万戸を 3 ヶ月連続で上 回っており 住宅着工は堅調に推移している 着工を取り巻く環境は良好だ 着工の押し上げ要因として 金利や地価の先高観などを背景とした住宅 取得マインドの改善 不動産の投資環境の持ち直し 消費税率引き上げ前の駆け込み需要 東北 3 県の 着工増加などが挙げられる 消費税率引き上げ前の駆け込み需要は今後本格化へ向かうことが予想される 住宅ローン減税制度の延 長 拡充が決定されたものの 増税前購入が有利なケースも多いと考えられ 駆け込みの抑制効果は小 さいと考えられる 13 年度半ばに 駆け込み需要はピークを迎えると予測する 消費税率 8% への引き上げ時の駆け込み需要が大きくなりやすい分 1% への引き上げ時の駆け込み需 要の規模は小さくなる可能性が高い 足元で金利や地価の先高観が強まっていることも 8% 引き上げ 前の住宅購入を促すと考えられる 先行きの住宅着工戸数は 213 年度 95.9 万戸 214 年度 82.9 万戸 215 年度 84.1 万戸を予測する 13 年度は駆け込み需要が押し上げ要因となるが 14 年度はその反動減により 着工は低迷する可能性が高 い 15 年度は駆け込み需要の反動減が収束する形で 年度後半には増加へ向かうが 年度ベースでみた 水準は低位に留まるだろう 増勢強まる住宅着工 213 年 4 月の住宅着工戸数は年率換算済季節調整値で 93.9 万戸となった 大台の 9 万戸を 3ヶ月連続で上回っており このところ堅調さが増している 利用関係別にみると 持家 貸家が特に強い推移となっている ( 資料 1) 本稿では 足元の住宅着工を取り巻く環境を整理したうえで 213~15 年度の住宅着工戸数を展望することとしたい 資料 1. 住宅着工戸数の推移 ( 年率換算済季節調整値 万戸 ) ( 出所 ) 国土交通省 住宅着工統計 1

着工を取り巻く環境は総じて良好 足元の着工を下支えているものとして 住宅取得マインドの改善や 投資環境の持ち直し 消費税引き上 げを見据えた駆け込み需要 東北 3 県の着工増加などが挙げられる (1) 取得マインドの改善 低水準の住宅ローン金利着工好調の背景として まず挙げられるのが住宅購入者のマインド改善である 消費税率引き上げを控えていることや 金利や地価の先高観が生じていることを背景に 取得マインドは改善傾向にある ( 資料 2) また 住宅ローン金利が低位にあることも 住宅取得の追い風となっている ( 資料 3) なお 大手金融機関等では住宅ローン金利を引き上げる動きがみられており 足元の長期金利の上昇が今後ローン金利に波及していくことが予想される しかし 現状の金利水準であれば低位にあることに変わりはなく 住宅着工に深刻な打撃を与えるまでには至らないと考えている 資料 2. 不動産購買態度指数資料 3. 各種金利の推移 (%) 4.5 住宅ローン基準金利 新発 1 年債利回り 12 ( 改善 ) 4. 11 3.5 3. 9 2.5 8 2. ( 悪化 ) 1.5 7 1. 6 7 8 9 1 11 12 13.5 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 ( 出所 ) 日本リサーチ総合研究所 ( 出所 ) 住宅金融支援機構 財務省 (2) 投資環境の回復 マンション販売の好調不動産投資を取り巻く環境は持ち直し傾向にある 金融機関の貸出態度が緩和傾向にあることに加え 貸家建設の採算性は緩やかながら上昇傾向を辿っている また マンション市場の動向をみると 販売の回復が明確化する中で在庫の減少が続いている 足元のマンション着工に大きな増加はみられないものの 今後はこうした市場環境の改善を背景に着工が増加していく可能性が高そうだ 資料 4. 金融機関の貸出態度 DI 1 5-5 -1 緩い 厳しい 資料 5 貸家採算性の推移 21 年 = 11. 15.. -15-2 -25-3 -35 95. 9. 建設不動産 85. 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 8. 8 9 1 11 12 13 8 9 1 11 12 13 貸家採算性 = 民営家賃 /( 建築工事費デフレータ 年賦率 ( 長期プライムベース )) ( 出所 ) 日本銀行 短観 ( 出所 ) 各種資料より第一生命経済研究所作成 2

資料 6. 経営者の住宅景況感 DI( 総受注戸数 ) 資料 7. 首都圏マンション出荷 在庫バランス ( 前年比 ) 8 6 4 2-2 -4-6 -8 - 実績 見通し 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 震災のため 11 年 2Q の 見通し については調査を行っていない ( 注 ) 出荷在庫バランス ( 前年比 )= 全売却戸数 ( 前年比 )- 全残戸数 ( 前年比 ) ( 出所 ) 住宅生産団体連合会 ( 出所 ) 不動産経済研究所 首都圏マンション市場動向 % 7. 6. 5. 4. 3. 2. 1.. -1. -2. -3. 販売在庫 ( 逆目盛 ) 出荷在庫バランス -4. 9 1 11 12 13 (3) 消費税率引き上げ前の駆け込み需要消費税率引き上げを前にした駆け込み需要は 足元で顕在化しているようだ 景気ウォッチャー調査などからは 駆け込み需要が生じてきたことを指摘するコメントが目立つようになってきている 着工戸数が3 ヶ月連続で 9 万戸を上回り その趨勢が強まっていることを鑑みても 既に駆け込み需要は顕在化しているものと考えられる 資料 8. 消費税率引き上げ前の駆け込み需要に関するコメント ( 現状判断 ) 良てくいなるっ 分譲住宅 分譲マンションや戸建住宅の売行きが良くなっている また 大規模改修やリフォーム工事も多くなっている 消費税増税前の駆け込みムードが盛り上がっている ( 東海 住関連専門店 ) やや良くな っている 変なわいら 前年度は過去最低の業績に終わってしまったが ここにきて数件の依頼があった 消費税増税前にとの駆け込み需要のようである ( 北関東 設計事務所 ) 今月の販売量は目標数字を % 達成し 景気は良くなっている 3 か月前に比べても景気はやや良くなっている 消費税増税前の駆け込み需要で客に動きが出ている ( 南関東 住宅販売会社 ) 消費税の増税前の駆け込み需要が始まりつつある ( 近畿 住宅販売会社 ) 公共工事に期待でき また民間の個人住宅が消費税増税前の駆け込みなのか 少しずつ増えている ( 九州 設計事務所 ) 消費税増税前の駆け込み需要で工事請負契約締結の動きがみられると聞くが まだ実績には結び付いていない ( 南関東 住宅販売会社 ) ( 出所 ) 内閣府 景気ウォッチャー調査 (213 年 4 月 ) (4) 東北 3 県の着工増加被災地の東北 3 県の住宅着工戸数は震災前を上回る推移が続いている 水準も緩やかに高まっており 足元の着工を押し上げる一因となっている こうした復興に係る着工は 先行き長く続くことになりそうだ 復興庁公表の事業計画において 災害公営住宅の建設は 215 年以降も続く計画となっているほか 建築分野における人手不足もあり 今後東北地方での住宅建設が急加速することは想定しづらいためである 東北 3 県の着工は長期に亘って高い水準で推移するものと考えられる 3

資料 9. 東北 3 県の住宅着工戸数 ( 年率換算済季節調整値 ) 6. 5. 4. 3. 2. 1.. ( 万戸 ) 東北 3 県合計岩手宮城福島 9 1 11 12 13 資料 1. 東北 3 県の復興に係る着工の進捗 ( 出所 ) 国土交通省 住宅着工統計 ( 出所 ) 国土交通省 住宅着工統計 より作成 季節調整は当社 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 ( 万戸 ) 岩手 + 宮城の復興計画戸数 (9 万戸 ) 復興による着工戸数 ( 累計 ) 8 9 1 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 1 2 3 4 11 12 13 宮城 + 岩手 + 福島の住宅着工戸数について 2 年 1 月 ~211 年 2 月までのトレンド線を推計 トレンドからの乖離分を復興による住宅着工戸数と定義 駆け込み需要の多くは8% 引き上げ時に集中すると予想消費税率引き上げによる駆け込み需要とその反動減を平準化するため 政府は住宅ローン減税の延長 拡充を行うこととなった ( 資料 11) しかし 以前のレポート 1 でも指摘したように 住宅ローン減税拡充による駆け込み需要の抑制効果は限定的なものに留まるとみている 借入期間等に標準的な仮定をおいて消費税負担額と追加のローン減税額を試算したものが資料 12 である 試算からは 住宅価格が低い ( 住宅ローン借入額が少ない ) ほど追加のローン減税額が小さくなり 住宅取得時の消費税負担が追加減税額を上回るという結果を得ることができる そして 試算の場合は住宅価格約 4, 万円が損得の分岐点となる 地方圏を中心に 4, 万円を下回る住宅は多い点を踏まえると 増税前購入が得になるケースは多いと推定される さらに 住宅ローン減税は 居住 を目的とする住宅を対象としており 投資用のアパート購入などには適用されないため 貸家の駆け込みは膨らみやすいだろう こうした背景から 213 年度に生じる駆け込み需要は規模の大きいものになると予想している 2 では 215 年 1 月に予定されている2 度目の消費税引き上げ時 (8% 1%) はどうであろうか 8% 引き上げ時との最大の違いは 住宅ローン減税の内容が引き上げ前 ( 消費税 8% 時点 ) から不変であることだ 消費税率 5% 8% への引き上げ時には 最大控除額 ( 年間 ) が 2 万円から 4 万円に増加するのに対し 8% から 1% 引き上げ時には最大控除額は 4 万円のままである ( 資料 11) つまり 消費税負担と住宅ローン減税の2 点に限れば 消費税率 1% のときの方が 8% のときよりも得 というケースはない 3 そのため 1% 引き上げ時にも駆け込み需要の発生が予想される しかし 1% 引き上げ時の駆け込み需要は小規模なものに留まるだろう それは 先の試算にもみてとれるように 8% 引き上げ前が最も得になるケースが相当数存在すると推定され 多くの駆け込み需要が8% 1 詳細は 当社レポート Economic Trends 212~14 年度住宅着工戸数の見通し~213 年度の着工は駆け込み需要が押し上げ~ (213 年 3 月 1 日発行 ) をご参照ください 2 報道によれば 政府は住宅ローンを利用せずに現金で住宅購入を行う場合にも 購入者に現金給付を行って負担の軽減を行うことを検討中とのことである しかし 制度の詳細は決まっていないため この点は予測に織り込んでいない 3 政府は消費税 1% 引き上げの際に軽減税率の導入を検討しているが 住宅に適用されるかどうかも含めて詳細は決定していないため この点は考慮していない 4

引き上げ時に集中すると考えられるためである また 足元で金利 地価の先高観が強まっていることも 購入を前倒しする誘因となるだろう 需要の多くが 13 年度に先食いされる形で 1% 引き上げ時の駆け込 み需要の規模は小さいものになると予測している 資料 11. 拡充された住宅ローン減税の内容 資料 12. 消費税負担と追加減税額の試算 負担額 ( 万円 ) 15 居住年 控除率 一般住宅 年間最高控除額 認定長期優良住宅 合計最高控除額 (1 年間の累計 ) 一般住宅 認定長期優良住宅 平成 24 年 1% 3 万円 4 万円 3 万円 4 万円 25 年 1% 2 万円 3 万円 2 万円 3 万円 5-5 26 年 1% 4 万円 5 万円 4 万円 5 万円 27 年 1% 4 万円 5 万円 4 万円 5 万円 28 年 1% 4 万円 5 万円 4 万円 5 万円 29 年 1% 4 万円 5 万円 4 万円 5 万円 ( 出所 ) 財務省 ( 出所 ) 財務省資料等より第一生命経済研究所作成 網掛け部分は平成 25 年度税制改正で延長 拡充されたもの - -15-2 214 年以降の追加ローン減税額追加の消費税負担額 214 年以降の追加負担額 (213 年対比 ) 25 3 35 4 45 5 55 6 住宅価格 ( 万円 ) 返済期間 3 年 建物価格 : 土地価格 =6:4 頭金は住宅価格の 2 割 元金均等返済を仮定 また 所得税や住民税不足によって減税額が不十分になる事態は想定せずに試算を行っている 213 年度 95.9 万戸 14 年度 82.9 万戸 15 年度 84.1 万戸を予測以上を踏まえ 先行きの住宅着工戸数を 213 年度 95.9 万戸 14 年度 82.9 万戸 15 年度 84.1 万戸と予測する 213 年度の着工は 消費税率引き上げ前の駆け込み需要を主因に大きく増加する見込みだ なお 経過措置により 213 年 9 月までの請負契約に引き上げ前税率が適用されることから 駆け込み需要は 13 年度半ばにピークを迎えるだろう 14 年度は 駆け込み需要の反動減を背景に大きく落ち込むことが予想される 15 年度は反動減が収束へ向かう形で 小幅増加を見込む 先述したように 消費税率 1% 引き上げ前の駆け込み需要は小規模なものに留まるだろう なお 見通しにおける下振れリスクを2 点指摘しておきたい 第一に 長期金利の動向だ 長期金利の急激な上昇は 住宅取得コストの増加やマインドの悪化を通じて 住宅着工の押し下げ要因となると考えられる 第二に 建設業界の人手不足だ 13 年度は大規模な公共事業の執行に伴い 建設業における人手不足が発生する可能性がある これがボトルネックとなることで 住宅着工が抑制されることがリスク要因のひとつだ 5

資料 13. 住宅着工戸数の見通し ( 単位 : 万戸 %) 新設住宅着工戸数 持家 貸家 分譲 前年比 前年比 前年比 前年比 11 84.1 2.7 3.5-1.2 29. -.7 23.9 12.7 12 89.3 6.2 31.7 3.9 32.1 1.7 25. 4.4 13 95.9 7.3 34.5 8.8 34.9 8.8 26. 4. 14 82.9-13.5 29.3-15. 29.1-16.8 24.1-7.1 15 84.1 1.4 29.8 1.8 29.2.5 24.5 1.7 ( 出所 ) 国土交通省 213 年 1-3 月期以降の見通し ( 網掛け部分 ) は第一生命経済研究所作成 15 万戸 万戸 4 95 35 9 3 85 8 25 75 2 7 65 全着工戸数 ( 左 ) 持家 ( 右 ) 貸家 ( 右 ) 分譲 ( 右 ) 15 6 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 1 11 12 13 14 15 16 1 ( 出所 ) 国土交通省 213 年 1-3 月期以降の見通しは第一生命経済研究所作成 ( 注 ) 年率換算済み季節調整値 6