小児在宅医療研修会 意外に簡単で大きな効果! 胃瘻からのミキサー食注入 神奈川県立こども医療センター外科 栄養サポートチーム (NST) 北河徳彦 1
神奈川県立こども医療センターにおける胃瘻管理患者の増加 訪問診療医茅ヶ崎市立病院小児科藤沢市民病院小児科 310 患者数 ( 人 )? 272 231 195 158 123 90 24 32 46 62 2004 1 2005 22006 2007 3 2008 4 2009 2010 5 20116 2012 2013 7 2014 8 9 10 11 2
小児の胃瘻患者さん激増の理由 保護者の意識の変化 保護者同士の口コミの影響が大きい お腹に穴を開けるなんてかわいそう という観念的拒否感から 本人にとって楽なら と変化 咽頭刺激がない 交換時の苦痛がない 経鼻チューブと比較して安全性が高いことの評価 気道内誤挿入 食道留置がない ミキサー食注入の普及 これは胃瘻がないと 実現できない 誕生日のケーキ注入なども可能になる 3
胃瘻からのミキサー食注入 普通の食事をミキサーにかけて ペースト状にしたも のを 胃瘻から注入する方法 4
ミキサー食注入のメリット 便性の改善 皮膚の改善 気道感染の減少 経口摂取の促進 短時間注入による拘束時間の短縮 家族と同様の食事ができる精神的満足感 5
ミキサー食注入の 他のメリットは? 家族と一緒に食事を楽しむことができる 1. 食べ物の匂いもする 導入して経口摂取が進んだ方がいます! 2. 毎日メニューが替わる 3. 家族と同じものを食べているという 本人と家族双方の満 足感 4. ケーキなどのスペシャルメニューも 5. お を注入する方も! 6
さらにこんなメリットも! ミキサー食に慣れておくと こういう便利なものが使えます! 7
加圧バッグによるラコハンの自動注入 8
ミキサー食注入は どうして短時間で注入しても良いのでしょうか? 1. これはラコールなどの半固形化と原理は同じ 2. 液体を速く注入すると 一気に小腸まで流れてしまい 下痢 ダンピング症候群などをおこす 通常 1 時間くらいかけなければいけない 3. ところが固形化することによってこれらの心配がないため 10 分程度で一気に入れることが可能 4. 健常人が 例えばハンバーガー 1 個を 5 分くらいで食べても問題ないですよね? 5. 患者 介護者双方にとって大きなメリット 9
ミキサー食や半固形だと胃から出にくいのではないですか? やっぱり液体の方が良いのでは? 固形物は蠕動に乗る 液体は乗らない 10
誰にでもミキサー食注入はできるのでしょうか? 胃瘻が造設されている 一定以上の体格 介護者の興味 11
小さな子でもできますか? 概ね 1 歳 体重 10kg くらいを目安にしています ミルクから離乳食に移行できる 胃の成長が必要なのかも? 12
胃瘻ボタンは何が良いのでしょうか? 胃瘻ボタンは太い方がトラブルは少ないようです 基本的に 18Fr 以上にしています 18Fr にすることで 交換時に内視鏡が使えるメリットもあります 太くすることは簡単です 特に処置も必要なく 外来交換時に 1 サイズ太いものを 少しねじ込むだけです 13
胃瘻ボタン交換時の内視鏡検査 18Fr 以上にすると 交換時に内視鏡が使えます 毎回 胃の中が苦痛なしに観察できます 14
胃瘻ボタンの使い分け バラード MIC-KEY R ( キンバリークラーク ) 体外部が小さい カテーテル本体 接続チューブ内腔が狭い バルーン強度が弱い 細径内視鏡用アダプタがない GB バルーン R ( 富士システムズ ) 体外部がやや大きい 内腔がやや太い バルーンが強い 細径内視鏡用の専用アダプタがある ペグロック R (JMS) 体外部が大きい カテーテル本体 接続チューブ内腔が広い バルーン強度は (?) 細径内視鏡用アダプタがない シリンジとの接続にロックができる 15
最近発売された新しい胃瘻カテーテル ( ミキサー食 半固形化注入を前提に 国内メーカーが開発!!) 16
接続チューブ内径が非常に太い 17
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お母さんの腕次第 ミキサーと容器次第 1 容器は縦長深め ( 付属 ) 2 ミキサーは最近のスティックミキサーで可 ( あまり安すぎないもの ) 19
カロリー計算はどのようにすれば良いのでしょうか? 栄養剤ではすぐにカロリーが分かったが ミキサー食だと分からない! でも 皆さん毎食カロリー計算をしていますか? 概算で良いのです 多いか少ないかは 体重の変化で考えれば良いのです 20
わかりやすい! お弁当箱を使うカロリーの計り方 副菜 2/3 主菜 1/3 ごはん 1/2 弁当箱の容量 (430 ml)=430kcal すきまなくしっかり詰めて! 容量 =kcal 21
経鼻胃管からのミキサー食や半固形化栄養剤は無理ですか? 例えば VP シャントが入っていて胃瘻が作れない人 半固形化注入は 10Fr の ST チューブからトラブルなく継続している方がいます ミキサー食でも粘度を下げれば可能かも 何と 6Fr からミキサー食を入れている方もいますが さすがに手が疲れるそうです 食品タイプになりますが 胃に入ると固まる製品があります 22
経鼻胃管から入れることが可能な 胃内で固形化する栄養剤 剤形は液体 経鼻胃管から投与可能 胃内の低い ph で固形化する 消化態栄養剤 23
腸瘻からは無理ですか? 理論的にはお勧めできません 一度に大量の固形物を入れる大きさが 小腸にはありません 24
デメリットはありますか? ミキサーにかける手間がかかる 保険が効いていたラコールやエンシュアの分 出費が増える 良いものを食べている食費 と考える 25
どんなトラブルがありますか? 口から食べる代わりに胃瘻から食べている と考えて下さい ですので それほど大きなトラブルは起こりません 便秘になることがあります 下痢が改善することの裏返し 下剤等でコントロールする 最初のうちは胃が膨れて少し具合悪そうなこともあります ゆっくり注入して慣らしていく カテーテルにこびり付く 水でのフラッシュ洗浄をしっかりと 一気に押すのがコツです 26
学校での対応は? まだ全ての学校が対応していない 横浜でも対応してくれる学校が増えています 期待しています! ミキサー食注入に対応していない学校では 液体のまま 液体の胃内での固形化 固形化剤 (REFP-1やリフラノン) を先に注入し ラコールやエンシュアを後から入れて固める REFP-1の場合はカルシウム添加のために牛乳を加える ハイネイーゲルのような製品 ( 食品 ) 27
特別支援学校でのミキサー食注入の導入 導入校数 10 神奈川県立校 8 校が既に導入 1 校が検討中 4 横浜市立校 2 校が部分導入 1 校が検討中 2 0 2011 2012 2013 2014 28
アレルギー対策について 今までラコールなどの栄養剤しか注入していなかった人に いきなりさまざまな食材を与えても大丈夫でしょうか? 基本的に離乳食の開始と同じ考えです 29
食物アレルギーへの対応 アレルギーが確実にある場合 原因となるものを除去する アレルギーがない場合 除去は不要 アレルギーがあるかどうかわからない場合 離乳食のスタートの時と同じように 少しずつ試してみる ( ハイリスクは専門医に ) 導入前に必ず血液検査をする必要はありません 30
患者さんへの教育 ~ 胃瘻からのミキサー食注入講習会 ~ 1 回約 20 名の定員 対象は 保護者 ( 訪問 ) 看護師 教諭 行政職員等 土曜日の 10 時 ~12 時 約 4 ヶ月毎に開催 医師 看護師 管理栄養士が講師 前半を講義 後半を実習 現在までに 13 回開催 計 160 名が参加 31
第 16 回胃瘻からのミキサー食注入講習会 とき : 平成 28 年 9 月 3 日 ( 土 ) 10:00~12:00 ところ : 神奈川県立こども医療センター講堂 (2 階 ) 持ち物 : 診察券 健康保険証募集人数 : 約 20 名内容前半 : 医師 管理栄養士によるミキサー食注入についての講演後半 : ミキサー食を作る実習 ( 看護師 管理栄養士 ) フリートーク 患者さんご自身の保育にあたられる方の調整をお願いします( 難しい場合はご相談下さい ) 保護者の方だけのご参加でも結構です きょうだいのお預かりはできません 定員制とさせていただいています ご希望の方は 外科外来医師 看護師にお申し込み下さい 不定期ですが 年に3~4 回開催する予定です 当日キャンセルされる場合は 10 時までに病院 (045-711-2351) に直接お電話を下さい主催 : 神奈川県立こども医療センター外科 看護局 栄養管理科 栄養サポートチーム 32
ミキサー食注入マニュアルを作成 配布 神奈川県立こども医療センターホームページの NST の場所からダウンロード可能 33
ミキサー食の注入頻度 ( 胃ろう外来でのアンケートより ) 時々 15% 週 2~3 回 9% 他 7% 1 日 3 回 11% 1 日 2 回 19% 1 日 1 回 39% 34
ミキサー食注入を導入した結果 (n=102) 効果 ( 診療録に記載のあるもの ) 便性の改善 75 例 皮膚の改善 42 例 気道感染の減少 4 例 経口摂取が進んだ 5 例 短時間注入による拘束時間の短縮多数 家族と同様の食事ができる精神的満足感多数 トラブル ミキサー食注入を中止するようなトラブル 2 例 注入前の胃残量が増え 腹部膨満 1 例 便秘が高度になった 1 例 胃瘻カテーテルの詰まり 逆流防止弁の劣化の頻度が増加 カテーテルの種類に依存多数 35
経口摂取改善症例 6 歳女児診断 8p- 症候群 総肺静脈還流異常症術後 病歴生後 2 か月 ~ 経管栄養 5 歳時ラコール 200mlx5 回を経鼻胃管から注入 水分は経口摂取 その状態で 4 年経過 5 歳半 PEG 施行 ミキサー食注入講習会参加し ミキサー食注入開始 6 歳ミキサー食注入開始後から経口摂取が進んだ 現在 ほぼ 100% 経口摂取で普通小学校に入学 胃瘻閉鎖を検討中 36
胃瘻のトラブルと管理 37
胃瘻漏れ いろいろやってはみるが うまくいかないことが多い ( バルーン大きくしたり 一度抜いてみたり など ) 結局 作り変えることが多いその際は Witzel 型 ( トンネルを長く ) にしてしまう 不良肉芽 原因( カテーテルのぐらつきなど ) の除去 神経質になる必要はありません 治療 在宅 :(1 食塩 ) 2ステロイド病院 :1 硝酸銀 2 電気メスで切除 38
食塩有効例 5 日 39
胃瘻の日常管理 胃瘻は 除菌や滅菌にこだわる必要はありません 胃瘻の Y ガーゼは 非滅菌で問題ありません あそび が長いと 肉芽が出来やすい あそび が短いと あそびだいたい 5mm くらい 緊張時に食い込み 痛い お腹の壁がだんだん薄くなり 漏れる 40
胃瘻のトラブル 弁の不良 ここが開いてしまう 対策 注入後のフラッシュ強化 細い綿棒で掃除 41
地域での小児内科医による胃瘻交換 現在の対象患者数 7 名 ( 長期入院 1 外来 5 他院通院 1) 茅ヶ崎市立小児科藤沢市民病院小児科せや在宅クリニック 11 名 19 名 対応カテーテル MIC-KEY,GB,GB スモール MIC-KEY, ペグロック MIC-KEY スムーズボタン GBバルーン ペグロック等 トラブル 小腸留置型カテーテルの交換困難 胃ろう部分の発赤や出血について時々相談 対応医師数全員 (9 名 ) 6 名 1 名 事故抜去 1 名 ( 数回 ) 閉塞 1 名 (1 回 ) どちらも緊急で訪問 対応可能患者数毎日 2 枠 月に 40 名当面 何名でも訪問診療患者全て 内視鏡について使用中 トラブルなし 造影を行っている 使用中 トラブルなし 患者さんの反応 近所でできる利便性に対して感謝 放射線被曝を心配 医師負担等のデメリット それほど感じない 地域完結型の医療を目指しているので 地域病院での胃ろう交換は当然のことだと考えています 訪問診療で交換出来て感謝 カテーテルの在庫管理が大変 経済面内視鏡購入費用造影剤費用診療報酬が増えた 42
地域での小児内科医による胃瘻交換 ~ 当院から患者さんをお願いした施設 ~ 藤沢市民病院小児科 茅ヶ崎市立病院小児科 横浜市療育センター せや在宅クリニック みどりの家診療所 つるみクローバークリニック あしほ総合クリニック 他 43
胃食道逆流症 (GERD) 44
胃食道逆流に対する 噴門形成 ( ニッセン ) とは 決して しばる わけではありません!! 誤解しないで!! 45