総務省 ICTスキル総合習得教材 概要版 eラーニング用 [ コース1] データ収集 1-4: 現実世界へのフィードバックとロボット [ コース1] データ収集 [ コース2] データ蓄積 [ コース3] データ分析 [ コース4] データ利活用 1 2 3 4 5
座学本講座の学習内容 (1-4: 現実世界へのフィードバックとロボット ) 講座概要 データの利活用から現実世界へのフィードバックとして IoT 機器に対する通知 制御を説明します フィードバックによって制御される IoT 機器として ロボットとその分類を紹介します 屋内用ロボット 広範な用途が期待される屋外用ロボットのドローンを紹介します 講座構成 [1] IoTによる現実世界へのフィードバック [2]IoTとしてのロボット [3] 産業用ロボット [4] 屋内用ロボット [5] ドローン ( 多用途の屋外用ロボット ) 学習のゴール IoT 機器のフィードバックの種類と事例を把握する ロボットの分類とそれぞれのロボットの活用事例を理解する 注目を集めている屋外用ロボットとしてのドローンへの期待を理解する
IoT による現実世界へのフィードバック この講座では ロボットやドローンをはじめとして情報を受信して現実世界で作動 ( フィードバック ) する機器について紹介します IoT 機器には情報収集し送信するのみならず 情報を受信し現実世界で作動するものもあります 現実世界における作動は ( デジタルからアナログへの ) フィードバック とも言われます フィードバックは ( 次の活用のために ) 出力を入力側に戻す ということを意味しています フィードバックには通知と制御がありますが 制御されるものを作動装置 ( アクチュエータ ) と言います 先進的な作動装置として ロボットやドローンが挙げられます [1] IoT による現実世界へのフィードバック コミュニケーションロボット [pepper( ペッパー )] スマートフォンで操作できるドローン 出典 ソフトバンクロボティクス株式会社 出典 HolyStone 社
現実世界へのフィードバックの種類 現実世界へのフィードバックは 通知と制御に分類されます [1] IoT による現実世界へのフィードバック フィードバック 通知 : 人間や他の機器に知らせる 制御 : その機器自体が作動する 通知 フィードバックの通知の身近な例は スマートフォンでメールを受信した際の通知音や振動です インターネットカメラで遠隔地の画像を送信するケースも 画像情報を通知していると考えることができます 通知を受けて反応するのは人間とは限らず 機械であるケースもあります 自動返信メールは メールの受信通知やウェブフォームでの入力通知を受けたメールサーバが自動的に返信をしています また チャットボットでは 入力した文章に応じて人工知能が様々な返答がします フィードバックの制御の例としては 外出先からスマートフォンでエアコン等を操作することが挙げられます チャットボットの反応 外出先からのエアコン操作 日立エアコンモバイルコントロール では 専用のアプリを使ってスマートフォンからエアコンを制御することができます 出典 株式会社日立製作所
通知 制御を行う IoT 製品例 通知機能や制御機能のある様々な IoT が製品化されています [1] IoT による現実世界へのフィードバック ブレイブリッジ社の Tomoru( トモル ) は指定したスマートフォンとの距離を感知し 通知を行う通知機器で 忘れ物防止等に利用できます 忘れ物防止 IoT[Tomoru] ノバルス株式会社の MaBeee( マビー ) は 乾電池の電流制御を行うことができます 車のおもちゃ 電車のおもちゃの専用アプリも公開されています 乾電池の電流制御 IoT[Magbee] 出典 ブレイブリッジ社 出典 ノバルス株式会社
IoT として制御されるロボット [2] IoT としてのロボット ロボットは外部と通信ができ IoT の一つという考え方も根付いてきました ロボット政策研究会 (2006 年 経済産業省 ) の報告書では ロボットの定義として センサー 知能 制御系 駆動系 の 3 つの要素技術を有する 知能化した機械システム としていました 2006 年の時点では センサーとアクチュエーターという側面は条件に挙げられても ネットワークとの接続は条件に挙げられていませんでした 出典 ロボット政策研究会報告書 ( ロボット政策研究会 )[2006 年 5 月 ] 2014 年度において 内閣総理大臣の下に開催された ロボット革命実現会議 における議論を経てとりまとめられた ロボット新戦略 ビジョン 戦略 アクションプラン では ロボットの劇的変化として 3 点を挙げています 2010 年代におけるロボットの 3 種の劇的変化 自ら学習し行動するロボットへと 自律化 様々なデータを自ら蓄積 活用する 情報端末化 相互に結びつき連携するロボットへ ネットワーク化 ロボットの IoT 化 出典 ロボット新戦略 ( 日本経済再生本部 )[2015 年 1 月 ] http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/robot_honbun_150210.pdf NEDO ロボット白書 2014 では ロボットの定義が流動的であることを示し その理由として 時代とともに科学技術はもとより 産業構造 社会制度 文化なども変化し ロボットの役割や受け取られ方も変遷してきていること を挙げています 出典 NEDO ロボット白書 2014( 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 )[2014 年 7 月 ] http://www.nedo.go.jp/library/robot_hakusyo.html
ロボットの大分類 [2] IoT としてのロボット ロボットは産業用ロボットとサービスロボットの二種類に大きく区分されます ロボットは 工場内で製造に利用される産業用ロボットとそれ以外のサービスロボットに大別されます 産業用ロボットは 日本工業規格 (JIS) で 自動制御によるマニピュレーション機能または移動機能をもち 各種の作業をプログラムによって実行できる 産業に使用される機械 と規定されています 国際標準化機構 (ISO) では 産業用ロボットを 自動的なコントロール 再プログラミング 多目的で 3 軸以上の操作が可能で 固定または移動可能かにかかわらず産業自動化 (industrial automation applications) に利用される物 と定義しています 産業用ロボットは 一般に農業や流通業といった非製造業で利用されるロボットを含みません 国際標準化機構 (ISO) では 産業用ロボットをモニターアームの構造によって細分化しています 産業用ロボット以外のロボットを総称してサービスロボットと呼び 掃除用のロボットから人間とコミュニケーションできるロボットまで様々です 国際標準化機構 (ISO) では サービスロボットを業務向けか個人利用向けかで区分しています 産業用ロボット KIROBO mini( サービスロボット ) 出典 トヨタ自動車株式会社
ロボットの分類 [2] IoT としてのロボット サービスロボットを利用場所に応じて 下記のように分類します サービスロボット内には 標準的な分類の基準がないため 主たる利用場所に応じて便宜的に分類しています ロボット 産業用ロボット サービスロボット 屋内用ロボット フィールド ( 屋外用 ) ロボット 医療ロボット 人工知能を内蔵した家電製品 コミュニケーションロボット 農業用ロボット 建機ロボット 災害対応ロボット 運搬ロボット 移動用ロボット ( 人間の移動が主目的 ) ロボットスーツ ドローン ドローンは 屋外用ロボット ( フィールドロボット ) の一つですが 特に広範な利活用が期待されているため パートを分けて紹介します
産業用ロボットの IoT 化によるマスカスタマイゼーション [3] 産業用ロボット 産業用ロボットの IoT 化をはじめとするスマートファクトリーの普及によってマスカスタマイゼーションが進展しています マスカスタマイゼーションは 大量生産を意味するマスプロダクションと 顧客の個別要望に応じた生産 サービスを行うカスタマイゼーションの合成語です 世界のアパレルメーカーに自動織機を供給している島精機製作所は 顧客のサイズ 素材 色の要望に応じて衣服を生産できる自動織機を開発しています 産業用ロボットの IoT 化の進展によって 個別発注に応じた生産を低コスト 短納期で実現するマスカスタマイゼーションが進展します 島精機製作所では繊維機械の IoT 化を推進しており 顧客のサイズ 素材 色の選択に応じた受注生産ができる体制が構築されつつあります 機械で全自動生産した服 素材感を把握できる機能 出典 島精機製作所 出典 島精機製作所
コミュニケーションロボット 人間とコミュニケーションを主な目的にしたロボットをコミュニケーションロボットと言います ソフトバンク社が発売している Pepper( ペッパー ) は 人間の表情 言語 声の抑揚から人間の感情を判断するとともに 自らの感情を表現するロボットです 株式会社フュートレックが発売するタピアは 高齢者宅に設置することで みまもり の機能を発揮するコミュニケーションロボットです アルデバラン社が開発している NAO( ナオ ) は 子供の学習補助やプログラミング教材としても 利用されています コミュニケーションをする Pepper みまもり の機能のあるタピア 子供の学習に活用されている NAO [4] 屋内用ロボット 出典 ソフトバンクロボティクス株式会社 出典 株式会社フュートレック 出典 アルデバラン社
様々な用途での活用が期待されるドローン [5] ドローン ( 多用途の屋外用ロボット ) 様々な用途での活用が期待されるフィールドロボットとして ドローンが挙げられます ドローン (Drone) は 遠隔操作や自律飛行機能によって 無人で飛行できる航空機の総称です 自律飛行機能があることをドローンの定義に含めるケースと含めないケースがあり 含めないケースではラジコンのヘリコプターもドローンに含まれます ドローンは 3 つ以上の回転翼を搭載しているマルチコプター型の航空機を指していることが一般的です 一般的なドローンは 回転翼の数が多いことに加えて 加速度センサーやジャイロセンサーによる情報から自動的に姿勢制御をするため 安定した飛行が可能になっています ドローンは搭載したセンサーおよび人工知能による制御で自律飛行が可能であるため 様々な用途での活用が期待されています ドローンは立ち入り困難な地域でのカメラ撮影や遠隔地への運搬 農業での利用 災害救助 測量など様々な用途が期待されています 撮影用ドローン運搬用ドローン農薬散布用ドローン