第 8 回日本語教育推進議員連盟総会用資料 海外の日本語教育の現状と課題 2017 年 6 月 15 日 ( 水 )
ご説明内容 1. 海外における日本語教育の現状 (1) 全体 (2) 地域別 P2 ~ P6 2. 国際交流基金の取り組み P7 ~ P11 3. 海外における日本語教育の課題 P12 ~ P13 1
1. 海外の日本語学習 日本語教育の状況海外における日本語教育の現状 日本語学習者 / 教師 / 教育機関数の推移 日本語教師数 ( 人 ) 日本語教育機関数 ( 機関 ) 100,000 80,000 60,000 40,000 過去 36 年間で 学習者数は 28.7 倍教師数は 15.6 倍機関数は 14.1 倍に 日本語学習者数 ( 人 ) 3,655,024 64,108 4,000,000 3,000,000 2,000,000 20,000 127,167 4,097 16,179 1,000,000 1,145 0 1979 年 1984 年 1988 年 1990 年 1993 年 1998 年 2003 年 2006 年 2009 年 2012 年 2015 年 0 2
1. 海外の日本語学習 日本語教育の状況海外における日本語教育の現状 学習者数の割合 ( 計 366 万人 ) 西欧 2.3% (83,559 人 ) 中南米 1.4% (49,789 人 ) 北米 5.2% (190,599 人 ) 大洋州 10.7% (392,348 人 ) 南アジア 1.1% (40,795 人 ) < 地域別 > 東欧 0.7% (27,154 人 ) 東南アジア 29.9% (1,094,437 人 ) 中東 北アフリカ 0.1% (5,831 人 ) 東アジア 48.2% (1,763,420 人 ) アフリカ 0.2% (7,092 人 ) < 教育段階別 > 学校教育以外 ( 民間含む ) 16.6% (607,082 人 ) 高等教育 28.5% (1,042,739 人 ) 初等教育 7.6% (276,604 人 ) 中等教育 47.3% (1,728,599 人 ) アジアの学習者が全体の 8 割近く 中等教育過程での学習者が全体の半数近く 3
1. 海外の日本語学習 日本語教育の状況 1. 海外における日本語教育の現状 海外の日本語教育の動き (1) 初等教育における日本語教育の拡大傾向 (2) 学習者数は 教育制度改革などにより 上位 3 か国 ( 中国 インドネシア 韓国 ) で減少 一方 多くの国では増加し 国 地域毎に傾向が多様化 (3) 進出日本企業からの現地人材への日本語教育に対するニーズ増加 (4) 技能実習制度 EPA など 日本への受け入れ人材の育成のための日本語教育ニーズ増加 ニーズ 目的 手段の拡大 多様化 (5) 特に東南アジアで民間日本語教育機関の学習者が増加 (6) 学習方法の多様化 ( インターネット e ラーニング等 ) 自習者 独習者も一定数存在 4
1. 海外の日本語学習 日本語教育の状況海外における日本語教育の現状 各国 地域の学習者数 / 機関数 / 教師数 ( 学習者数順位 ) 5
1. 海外における日本語教育の現状 < > 内は各地域の日本語学習者数 (2015 年度時点 ) 西欧 中央アジア 東アジア 北米 <83,559 人 >3 割弱は民間学校等で学習 英 スウェーデン 仏で中等教育課程の日本語教育導入校が拡大 英国では初等教育の導入校と学習者数が大幅増 教師育成と適切な教材の供給強化 <2,852 人 > 半数が高等教育課程の学生 トルクメニスタンでは 2015 年の安倍総理訪問を機に中等 高等教育で日本語教育が急拡大 教師 教材不足の解消 <1,763,420 人 > 半数弱が高等教育課程の学生 中 韓で初等 ~ 高等教育の全段階で学習者数が減少したが 単位にはならない課外活動の学習者数が増加 モンゴルでは 2 割超の学習者数増 多様な学習機会 方法の提供 <190,599 人 > 中等教育課程と高等教育課程の学習者が各々約 4 割 米国では初等 ~ 高等教育の全段階で学習者増の一方 教師人材不足と教育予算削減によるポスト減が進行中 中西部 ~ 中央部等は日本語教育が極めて弱い 教員の新規養成 学習機会が極めて少ない地域への展開 <8,869 人 >5 割強は高等教育課程の学生 コートジボワール マダガスカルでは学習者増 日本語教育未実施の国も多い 日本語教育の基盤整備 <40,795 人 >4 割強は民間学校等で学習 日印の経済関係緊密化に伴い日本語学習需要増 スリランカ ネパールでも学習者 教師数 日本語教育機関数が増加 教員新規養成と現職教師研修強化 <392,348 人 > 約半数が中等教育課程の学生 9 割超がオーストラリアの学習者 学習環境は 州教育政策により多様 オーストラリアでは初等教育課程の学習者も増加 教育の質の向上 <1,094,437 人 >8 割弱が中等教育課程の生徒 多くの国で学習者増 フィリピン ベトナム タイで大幅増 ミャンマー ラオスで急増 中等教育課程は各国教育政策の影響が大きい 日本社会で活躍する日本語人材の需要高 教員新規養成と現職教師研修強化 <49,789 人 >6 割弱は民間学校等で学習 メキシコ チリ ペルーで 35% の学習者増 日系社会での日本語教育は時代とともに 継承語 と 外国語 の両面へと変化 教員の新規養成 日本語教育の基盤整備 アフリカ 南アジア 大洋州 東南アジア 中南米 6
1. 海外の日本語学習 日本語教育の状況 2. 国際交流基金の取り組み 1. 日本語専門家の海外派遣 1 海外の日本語教育環境の整備 日本語教師 機関 制度づくりを支援する 2. 日本語教育機関支援 3. 海外の日本語教師に対する研修 4. 日本語教育の制度的導入 維持支援各国の公教育での日本語教育を後押しするための各国機関等への働きかけ等 5. 日本語能力を生かしたキャリア形成支援 2 海外における日本語教授法及び日本語学習者の能力評価の充実 世界の学習者が利用できる共通基盤をつくる 6. 日本語教育方法の普及活動 (JF スタンダード 教材 e ラーニング ) 7. 日本語能力試験 (JLPT) 8. 海外の日本語教育事情に関する情報収集 提供 新たな取組み 3 日本語パートナーズ 派遣 日本語を使う交流の機会を増やす 2014 年 ~2020 年までの 7 年間で 3000 人以上の日本語母語話者を現地の日本語教師や生徒の日本語学習のパートナーとして ASEAN 諸国を中心とするアジアに派遣 7
2. 国際交流基金の取り組み アザディ名称世界言語大学 ( トルクメニスタン ) での日本語授業 将来 日本駐在や日本担当になる各国外交官 公務員に対する日本語研修 インターネット上の学習教材 コースの開設 (e ラーニング ) ラオスの中等教育課程の外国語科目での 日本語 導入支援 ( パイロット校での授業風景 ) 8
2. 国際交流基金の日本語事業 2. 国際交流基金の取り組み アジアとの交流強化 : 日本語パートナーズ 派遣 2014 年 ~2020 年までの 7 年間で 3000 人以上の 20 歳から 69 歳までの日本語母語話者を 現地の日本語教師や生徒の日本語学習のパートナーとして ASEAN を中心とするアジアに派遣 各国の高校などで 現地教師のアシスタントとして授業運営に携わり 日本語教育を支援するとともに 派遣先校の生徒や地域の人たちに日本文化の紹介を通じた交流活動を行う 日本語パートナーズ自身も現地の言語 文化 社会を学び 体験を日本に発信する 派遣実績 国名 地域 2014 年度 2015 年度 2016 年度 合計 1 インドネシア 48 74 156 278 2 タイ 29 52 99 180 3 マレーシア 8 20 38 66 4 ベトナム 10 12 41 63 5 フィリピン 5 9 10 24 6 ミャンマー - 1 5 6 7 シンガポール - 1 1 2 8 カンボジア - - 2 2 9 ラオス - - 1 1 10 ブルネイ - 1 1 2 11 中国 - - 5 5 12 台湾 - - 5 5 合計 100 170 364 634 第 1 期パートナーズ派遣前に安倍首相を表敬訪問 9
2. 国際交流基金の取り組み 海外展開の状況 (H29 年度 ) 欧州 中東 8 か所ローマロンドンマドリードケルンパリブダペストモスクワカイロ 日本センター 8 か所ウクライナウズベキスタンキルギスカザフスタン (2 か所 ) モンゴルカンボジアラオス アジア 11か所ソウルハノイ北京クアラルンプールジャカルタニューデリーバンコクシドニーマニラプノンペン ビエンチャン 連絡事務所 米州 5 か所トロントニューヨークロサンゼルスメキシコサンパウロ 91 か国 地域 287 機関を認定 ( 平成 29 年 3 月末 ) 43 か国 地域 129 ポストに派遣 10
1. 海外の日本語学習 日本語教育の状況 [ 参考 ] 日 中 韓政府関係機関による取組みの比較 数字は 孔子学院及び世宗学堂については 2016 年年報等記載数 国際交流基金は 2016 年度実績数 ( 暫定集計値 ) 自国語講座運営の状況 ( 運営か所数 ) 1,800 1,550,000 人 1,600 1,586か所 1,400 1,200 1,000 800 600 ( 受講者数 ) 1,800,000 1,600,000 1,400,000 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400 200 0 174 か所 43,308 人 31 か所 20,878 人 孔子学院 [ 中国語 ] 世宗学堂 [ 韓国語 ] 国際交流基金 [ 日本語 ] 400,000 200,000 0 自国語教師派遣の状況 ( 日 中 ) 中国語教師日本語専門家 助手等 人数 / ポスト数 派遣国数 中国語ボランティア教師 日本語パートナーズ 人数 派遣国数 孔子学院 3,450 147 6,071 130 国際交流基金 137 41 364 12 11
1. 海外の日本語学習 日本語教育の状況 3. 海外の日本語教育の課題 (1) 新たな日本語教育ニーズの拡大 進出日本企業等が必要とする産業人材や 訪日ニーズの拡大 ( 観光 留学 技能実習制度等 ) などによって急激に増大する日本語学習ニーズに対応できていない (2) 海外日本語教育人材の不足 海外で日本語教育を行う人材 ( 各国の現地日本語教師 海外で教える 日本人日本語教師ともに不足 ) の育成が急務 (3) 日本語教育の地理的拡大への対応 南アジア 中央アジア アフリカ 中南米等など日本語教育が拡大しつつあるが 現地日本語教育拠点が十分に育っていない地域がある ( 将来の日本語人材拡大の基盤作りが必要 ) 米国の中西部から中央部等では日本語教育が未だ非常に弱い ( こうした地域にアプローチが必要 ) 12
1. 海外の日本語学習 日本語教育の状況 3. 海外の日本語教育の課題 課題解決のために取り得る施策 ( 案 ) 日本語センター ( 仮称 ) の設置 現役教師 or 教師候補生 日本語センターにて教師研修を実施 日本語専門家 併せて 現地政府や教育機関への各種コンサルティングも実施 1 か所につき年間 150~250 名の教師を育成 現地の公的教育機関 ( 大学等 ) 現地の民間日本語学校 日本の日本語教育現場 今後 受入のための制度設計が必要 育成教師が各機関で日本語教育を実施 日本語センターを世界各地に展開 まずはアジアで 3 か所 国際交流会議 アジアの未来 での安倍総理スピーチ (H29.6.5) アジアの各地で 3 か所くらい拠点を選び 日本語の先生を育てる場所を設ける 日本語専門家の増派 南アジア ( インド ) 中央アジア 中南米など日本語教師ニーズの高い地域に 日本語教師を育成し また日本語教育に関する各種コンサルティングを行う日本語専門家を増派 13