整理番号 : 経済産業省 -7 平成 29 年度関税率 関税制度改正要望事項調査票 ( 延長 ) 要望元 : 経済産業省製造産業局生活製品課 品名 ( 関税率関係 ) 又は制度名 ( 関税制度関係 ) 改正要望の内容統計税番品細分 加工再輸入減税制度 改正を要する法令及び条項関税暫定措置法第 8 条第 1 項 ( 別表 ) 具体的な改正内容 1 上記法律中 平成 29 年 3 月 31 日 を 平成 32 年 3 月 31 日 に改め 適用期限を延長する 2 第 1 項第 4 号に規定する 関税定率法別表第 9401.90 号の1に該当する製品のうち自動車に使用する種類のもの ( カーシートレザー ) は削除する 改正前税率改正後税率 WTO 目備考基本暫定特恵基本暫定特恵譲許税率 改正要望内容の適用期間改正を要望する理由及び必要性 適用期間平成 29 年 4 月 1 日 ~ 平成 32 年 3 月 31 日 暫定措置の理由我が国皮革製品産業が 生産コストの削減等を通じた構造改善を行い アジア諸国からの低価格品及び欧州からの高価格品と対抗しうる国際競争力が備わるまでの暫定措置として加工再輸入減税制度が存続されなければ 国内関連産業は多大な影響を受けるため 1 政策目的本制度は 我が国から加工又は組み立てのため輸出された貨物を原料とした製品が 原則 輸出の日から1 年以内に輸入される場合 その製品に課税される関税のうち原材料の課税価格相当価格を軽減するもの 国内における従業員 後継者不足による生産力の低下を補い また海外の安価な人件費等の活用による生産コストの削減を図ることができる海外への生産の一部移転を行いやすくすることを通じ 小規模 零細な事業者が大部分を占める皮革製品産業の保護を図ることを目的としている また上記のように国内の皮革製品事業者が海外生産を増やした際に 原材料として国産なめし革の利用を維持 促進することで 国内のなめし革製造事業者を保護することも目的としている 2 政策目的達成時期皮革製造業及び皮革製品産業の構造改善が図られ アジア諸国からの低価格品及び欧州からの高級品と対抗しうる国際競争力が備わるまで 本制度を維持する必要
がある 3 改正の必要性ア. あるべき姿と現状のギャップ我が国皮革製品産業は 高付加価値化やコスト削減などの構造改善を進めることにより 欧州から輸入される高価格の製品と 主にアジア諸国から輸入される低価格製品に対抗できる競争力の確保を図る必要がある しかしながら 近年 アジア諸国においては欧州及び米国からの技術導入により 生産技術 品質が急速に向上していることに加え 安価な人件費等を利用した大量生産方式により 圧倒的なコスト競争力を有することから 我が国の皮革製品産業の競争力は相対的に低下の一途を辿っている このような状況において 政府が推進する経済政策により我が国全体としては一定の景気回復基調にあるものの 国内皮革製品産業にあっては 消費者ニーズの多様化や海外製品の輸入増に圧される中 製造現場における従業員不足による生産力の低下や一部工程の海外移転が進行し 引き続き厳しい事業環境となっている イ. 現状があるべき姿となっていないことの現状分析我が国の皮革製品製造業は 小規模 零細な事業者が大部分を占め 経営基盤が極めて脆弱であり 国際競争力が乏しい状況の中 近年 低価格の輸入品がシェアを急激に拡大したことにより これらの産業に従事する国内の事業者は深刻な打撃を受け その業況は一段と悪化している ウ. 課題の特定かかる状況下において 皮革製品製造業の構造改善を進め ブランド化 高付加価値化に対応するまでの間 加工再輸入減税制度を維持存続しなければ 厳しい競争環境におかれ基盤の脆弱な我が国皮革製品産業 ( 及び関連産業 ) に壊滅的な打撃を与える懸念がある なお 国内のなめし革事業者において ユーザーである皮革製品事業者への安定的な原料供給は 生産活動維持のための貴重な活路となっていることから 本制度の延長は 皮革製造業界 (( 社 ) 日本タンナーズ協会 日本革類卸売事業協同組合外 ) 及び皮革製品業界 ( 日本靴工業会 全日本革靴工業協同組合連合会 ( 社 ) 日本鞄協会 日本手袋工業組合外 ) の総意となっている 4 改正の適正性国内皮革産業の保護を目的とする措置としては 補助金の交付等が考えられるが 以下の観点から加工再輸入減税制度は有効な措置である ア. 社会的費用補助金支給に係るコストに加え 現下の経済情勢下においては 直接製造支援等を行うための補助金は市場原理をゆがめるおそれがある あくまで各企業が市場原理を前提とした上で国内産業に競争力をつけることが必要である
イ. 効果アジア諸国からの低価格品及び欧州からの高価格品と対抗しうる国際競争力を備えるためには 加工再輸入減税制度による国内産業保護は効果的である ウ. 効率性我が国の皮革製品産業は 小規模 零細な事業者が大部分を占めており 産業全体を網羅する観点では 関税制度が効率的である エ. その他特定産業保護のための補助金は 国際的な批判を招くおそれがある 5 本年度改正において要望する理由平成 29 年 3 月 31 日で関税暫定措置法の適用期限が終了するが 皮革製品産業が 生産コストの削減等を通じた構造改善を進め アジア諸国からの低価格品及び欧州からの高価格品と対抗しうる国際競争力が備わるまでに至っていないため 加工再輸入減税制度を維持存続する必要がある 改正による効果 6 政策評価の結果我が国皮革製造業及び皮革製品産業は 小規模 零細な事業者が大多数を占め 一方で貿易自由化の進展やLDC 諸国からの輸入により国産品の需要を奪われる厳しい状況にある そのため 我が国皮革製造業及び皮革製品産業の競争力強化に必要となるブランド化 高付加価値化や人材育成等の取組みに対し 外部有識者等の評価も受けながら国として継続して予算措置を講じているところである 加工再輸入減税制度は 縮小を続ける我が国皮革製品製造業における生産力の低下を補い 生産コストを抑えることができる海外への生産の一部移転や一部工程の海外移転を行いやすくすることで 国内の皮革製品産業を保護することを図るとともに 国内皮革製造事業者への皮革の需要を保持することも図る効果的な制度である 1 効果を判断するための指標仮に 加工再輸入減税制度が廃止された場合 どのような影響があるか試算する ( 革靴の甲について ) 国内品の生産単価 ( 紳士靴 ) は平均 6,406 円 / 足 革靴の製造原価について 本制度の対象となっている 甲 の革靴に占める原価は 47% そのうち材料費の原価は 30.0% であることから 同制度が廃止されると 1 足当たり 480.7 円の減税がなくなることとなる ( 参考 ) 減税がない場合の甲の関税額 6,406 円 47% 25% 753 円 原材料の課税価格相当価格 6,406 円 30.0% 1,922 円 減税額 753 円 (1,922 円 /(6,406 円 47%)) 480.7 円 革靴の原価構成 製造原価 費目 細目 100 甲 :47 材料費 :30.0
( 出所 ) 日本靴工業会調べ 甲以外 ( 底付け等 ):53 材料費以外 ( 人件費等 ):17.0 ( 注 )1. セメント式製法による原価 関連措置 2 見込まれる具体的効果我が国の革靴製造業において 革靴の甲の調達は生産効率や国内の人手不足などにより相当部分を海外から行っている 上記試算を踏まえると 我が国の革靴製造事業者は本制度が存在することにより1 足当たり480.7 円のコストダウンが可能となっており 少なくともこの分について 海外製品に対して競争力をもつことが出来る 1 関連措置の内容なし 2 改正要望事項との関連性 3 予算上の要求額 4 政策評価の結果 措置の延長を要望する場合前回要望及び改正時期要望時期 : 平成 25 年 8 月改正時期 : 平成 26 年 4 月 1 日前回改正の目標達成度当該制度の対象である 革靴の甲 について 本制度を利用して輸入した製品の輸入額 及び 本制度を実際に利用する目的で輸出される原材料の出荷額をみてみると 平成 20 年度から 21 年度の比較でいずれも増加しており 当該制度は効果的に利用されている ( 出典 : 業界団体による会員企業に対するヒアリング結果による ) 表 1: 革靴甲の暫 8 適用貨物輸入額 表 2: 革靴甲の暫 8 向け輸出原材料出荷額 ( 単位 : 百万円 ) ( 単位 : 百万円 ) 平成 20 年度 平成 21 年度 平成 20 年度 平成 21 年度 4,937 5,027 2,882 3,072 延長の必要性 改正を要望する理由及び必要性 改正要望内容の適用期間 と同じ及び恒久化の是非これまでの改正状況昭和 44 年に本制度が創設され 平成 12 年度から革製品 ( 関税率表番号第 42.02 項 第 42.03 項 ) を対象品目として追加 さらに 平成 15 年度から革靴の甲 ( 関税率表番号第 64.06.10 号 ) を 平成 17 年度からカーシートレザー ( 関税率表番
号第 9401.90 項 ) を追加し 現在まで延長されているところ