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一方 写真 -2 のような症状が出たときは培養室の清掃が必要になります 方法は 水道水や井水による洗浄が基本です 加湿器などを設置している場合は その内部まで徹底的に洗浄します おが屑培地の殺菌不良が疑われる時には 殺菌釜の点検が必要になります 温度計などを使用して内部温度の管理には常に気を配ってく

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76 キク品種の白さび病抵抗性と白さび病菌レース 胞子で 7 22 である 両胞子のこのような性質から 噴霧器 発病は担子胞子形成の適温に支配され 最適な条件は 7 前後で 湿度が高く葉面が濡れている状態である キク白さび病菌レースと白さび病抵抗性 キク品種 罹病葉 植物病原菌では 同じ菌であっても

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5 おもな生理障害 すじ腐れ 1 果実成熟後半に果実表面に濃い褐色斑点が現れたり 2 外観が緑 または黄色の状班になる 3 すじ腐れには 黒色すじ腐れと白色すじ腐れがある 診断の際のポイント 1 疑わしい果実を切断して維管束部分が褐変しているかどうかを確める 2 果実表面の斑紋 ( まだら模様 ) が小さく 果皮全面にある場合にはウィルス病の危険性が大きい 冬季にハウス内で低日照多湿の時に TMV が 夏期には CMV の危険性がでてくる 3 茎葉の発育期や 果実の肥大期には異常は認められず 多くの場合成熟間際になって発生に気づく 4 部分的に発生しても 株全体に広がるとは限らない 原因 発生しやすい条件 1 日照不足下で チッソ過剰 カリウム不足で発生しやすい 2 茎葉の過繁茂で果実が日陰におかれた場合に発生しやすい 1 光線の確保 2 多湿にならないような管理 3 栄養条件による場合は チッソ施肥を控え カリウムをチッソの 3 倍量程度施用する -55-

葉巻き 葉巻き は現地でよく見られるが 放っておくと根の伸長 樹勢の低下となる 1 果実肥大期に樹勢がつよいのに下葉が上向きに巻き上がる 2 著しいときには上葉まで全部巻き上がる 3 葉脈間にまだら模様を伴って巻き上がる 原因 1 樹勢が強く上位葉の葉色が濃い場合には窒素過剰 ( アンモニア態窒素 ) が考えられる これは 土壌水分の急変によって根が急激に窒素を吸収したり 土壌中の有機物含量が少ないため 土壌中の肥料が濃くなったもの 基本的な過剰施肥も考えられる 2 下葉のまだら模様を伴った葉巻きは アンモニア態窒素 カリ過剰による苦土欠乏が原因 土壌中の塩基バランス ( 石灰 苦土 カリのバランス ) が崩れている または窒素過剰のため苦土の吸収阻害 1 窒素の施用量に注意し過剰施肥はさける ( とくにアンモニア態窒素 ) 2 土壌水分の急変をさけ 深耕 有機物の施用 地表面のマルチなどが有効である 3 夕方の養分の転流が充分できるように 日暮れ以降の数時間は温度を高めに保つ -56-

乱形果 心室数の多い花帯状花柱で大きい子房になっている鬼花が結実したもの 原因 1 高温時に 高濃度のホルモン処理をした 2 花芽分化時の栄養過剰 水分過剰により 樹勢が旺盛なときにでやすい 3 育苗期に 8 以下の低温に遭った 1 極端な低温や高温にならないように管理する 2 樹勢に注意し窒素過多や灌水過多にならないように管理する 3 ホルモン剤の適期処理と 高温時の処理は避ける 空洞果 1 果実が角張り 果面に深いくぼみがでる 2 樹勢が良いのに果実の肥大が進まない 原因 1 種子ができず 種子の周囲のゼリ - 状の物質が発達しないため 果皮が発達しても胎座部分の発達が追いつかない 2 低温や 高温 強日射 養 水分の過多 高夜温による炭水化物の消耗 3 ホルモン処理の時期や濃度の誤りなどが ゼリ - 部の発達不良や果皮部の異常発達となって空洞果となる 1 花粉をよく発達させるような管理をする 2 ホルモン処理は開花時に限定し 高温時処理はしない 3 強日射 あるいは光線不足にならないように注意する 4 高温条件や 養水分の過多にならないように管理する 5 マルハナバチ 振動授粉 ジベレリンにより回避することができる -57-

茎の異常肥大 1 葉が極端に繁茂し 茎が異常に太くなる ( 標準茎径の 1.3 ~ 1.5 倍 ) 併せて果実の肥大も悪くなる 2 生長点がブッシュ状になり ( 叢生状 ) 茎の中央部分が縦にくびれ ひどい場合にはくびれた部分から穴があき 窓開き 状態になる 3 下葉の葉脈中央部が盛り上がり 葉面の凹凸が著しくなる 4 上記のような異常肥大茎が発生するときは 下葉に苦土欠が同時に発生することが多い 5 生育遅延が見られるばかりでなく 落蕾 落果が誘発されて減収になる 夏秋トマトの梅雨期 生長の早い高温期の抑制栽培の第 3 花房付近に発生しやすい 異常部はチッソ含有率が高く カルシウム ホウ素の含有率が低い 土壌の乾燥 多肥料あるいは低夜温は本性状を助長する 原因 1 多肥 2 灌水量が多い 3 気温 湿度が高い 4 日照が不足する場合に発生が多い基肥が多く 梅雨に排水不良の圃場で多発する 予防のみ 1 まず排水の徹底 2 圃場の水分コントロ - ルが難しいところでは 基肥を少な目で追肥主体にする 3 定植後第 1 果房肥大期までの灌水量を少なめにする 4 日照不足にならないために ビニ - ルは新しいものを用い やや高畝にして水分のコントロ - ルをしやすくする 5 根本的に土の有機物含量を増やして 水分の乾湿差 肥料の効きすぎを抑えるような土づくりが必要 -58-

チャック 窓あき果 1 茎葉の発育には異常はないが 果実では結実の初期から異常が認められ 収穫期にも回復せず外から内部のゼリ - 状組織が見える 2 子房に雄ずいが結合した状態で開花し 程度の軽いものは抱合線のある果実 ( チャック ) となり 重症のものはその一部が裂けて 果皮の破れた状態の窓あきとなる 原因 1 これは花芽分化 花芽発育期の低温や日照不足等による花芽の発育不良等 ( または育苗期の低夜温 過剰施肥 過湿も原因となる ) によるものであり 結実の後になって新たに発生することはない 1 光線が通りやすい環境をつくる 2 床土にも保水性 排水性を兼ね備えたものを使用して 根の生育を健全に保つ 3 多水分 多肥を避ける 4 保温に気を遣う必要があるが 日中の気温が上がりすぎないような注意も必要である カルシウム欠乏 1 土壌中に十分なカルシウムが存在していても生じる 2 果実の頂端部にえそができる障害で ナス ピーマンでも同が発生するが トマトが最も発生しやすい 原因 1 多肥 高温でカルシウムの果実への転流不足 2 ケイ素不足は発生を助長する 1 高温 乾燥にしない ( 水分の移動を妨げない ) 2 カルシウムのみでなくケイ素補給も行う 3 根を傷めたり弱らせることをしない ( 排水不良 日照不足あとの強日射など ) 4 土壌分析を行い養分同士のバランスを適正に -59-

裂 果 裂果の種類と原因 1 同心円状裂果 ( 萼を中心として円周状に裂果する ) 夏場の強い日照によって果実面が日焼けを起こし そのコルク状になった部分から吸水して裂果する場合である 例年 9 月頃に発生が多い 2 放射状裂果 ( 萼部分から側面に向かってまっすぐ裂果する ) 果実内部と果実表面の発育の差があるときに起こる 3 側面裂果 ( 不規則に裂果する ) これは空気の乾燥によって果実面が硬化しているときに 降雨の浸入等で根が急に吸水した場合 果実内部の膨圧によって裂果するものである 類似点として注意することは 裂果が次第に盛り上がってコルク化していく場合には ホウ素欠乏症の疑いがある 1 圃場の排水を徹底する ( 明渠 暗渠 ) 2 有機物の投入等により団粒化をすすめ 排水性の良い土壌をつくる 3 深耕により 水の横移動を少なくする 4 圃場の乾湿差をなくし 特に乾燥後の急激な多灌水はしない 5 夏場の強日射が直接果実に当たらないような整枝誘引をする 2 放射状裂果 1 同心円状裂果 -60-

窒素欠乏 育苗期のチッソ欠乏 株全体の生育が抑制される 特に上位葉の生育が抑えられ 小葉化する 下位葉は黄化 品種によって葉脈にアントシアン色素が出現 オガクズでチッソ飢餓土づくりを急ぎ 未熟なオガクズが大量に入った牛糞堆肥を多量施用して ハウス全体がチッソ飢餓に チッソの少ない有機物は分解の際 土壌中のチッソ成分を奪ってしまう これをチッソ飢餓というが 生わらなどでも同様の現象が生じるので注意 チッソの施肥 硫安でも尿素でも普通の化成肥料 有機肥料でもよい これらチッソ肥料は 畑土壌では微生物により分解され まず無機態のアンモニア態チッソに そして 硝酸態チッソになり 両者が植物に吸収される 有機物自身がそのまま作物に直接吸収されることはほとんどない 類似症のネコブセンチュウ -61-

その他の生理障害 窒素欠乏 窒素過剰 アンモニアガス障害 初期長い曇天が続いた後の晴天日に発生しやすい 1~2 日経過するとしおれた部分が枯死し 葉脈間や葉縁が黄白化する 末期的 亜硝酸カ ス害 アンモニアカ スにあたった部分が褐変枯死 -62-

亜硝酸の吸収害 新葉が黄化する 鉄欠乏のと同じ黄化葉巻病の初期と似ている リン酸欠乏 リン酸過剰による鉄欠乏 カリ欠乏 初期葉縁から黄化が始まる 下葉から発生しやすい が進行した状態 先端部の縮れと枯死 -63-

果実のカリ欠乏症 ( すじくされ症 ) カルシウム欠乏 生長点の発育が 新葉が黄化し 停止する 生長点が枯死 する 果実に現れたカルシウム欠乏 ( 尻腐れ ) -64-

マグネシウム欠乏 下葉と果実肥大期の果実周辺の葉からが出やすい 葉脈間が黄化する が進むと黄化部分が壊死し 斑点状になることもある ホウ素欠乏 -65-

果実のホウ素欠乏 鉄欠乏 マンガン欠乏症 マンガン過剰症 -66-

養分欠乏の検索 が古い葉から現れる 全体的に成長が衰え 茎が細く 葉は小型となり 葉は全面的に黄緑色になり 古い葉は黄化して落葉する 窒素欠乏 古い葉から黄化または枯死する 欠乏がひどくない場合 根は地上部の割によく発達する が新しい葉から現れる 葉は濃緑色になり つやがない 下葉が変色して落葉する根は細根の発達が不充分である リン酸欠乏 茎葉は軟弱となり 生育不良で 葉色があせる 泥炭土のような有機質を多く含む土壌に多発する 銅欠乏 下葉から黄緑色となり 葉はやや厚くなる 茎は硬くなり わりとよく伸張するが 肥大が悪い イオウ欠乏 生育の初期にはがほとんど現れずに 生育があるていど進んでから現れることが多い 下葉の周辺 及び先端が黄変 褐変枯死し 落葉する カリ欠乏 はまず下葉 ( 外葉 ) に現れ 次第に若い葉に移行する 下葉の葉脈間が黄変し その後枯死し 落葉する 苦土欠乏 古葉は葉脈を残して黄変し 黄変部はふくれて 葉の縁は内側に巻き込む 葉の先端 周辺から枯死する モリブデン欠乏 頂芽は枯死しない 葉は黄化を起こす 新葉の葉脈の間が緑色を失い 葉脈に沿って緑色が残るが 鉄欠乏 その後 葉の全体が黄白色となる 壊死は生じない 新葉の葉脈の部分が黄化し 葉脈に沿って緑色が長く残る黄化部はその後黄化壊死する マンガン欠乏 新葉は異常に小さく 黄斑が入るが 全体が黄化し 壊死を生ずる 亜鉛欠乏 茎や根の先端が枯死する 茎の先端や 若い葉の縁に壊死が起こる 石灰欠乏 茎の先端が壊死し 葉や葉柄がもろくなる 茎や花蕾や肥大根の随部が変色壊死したり 葉柄の表面にコルク層を生ずるなど 種類により特異のを呈する ホウ素欠乏 - 67 -

6 おもな病害虫 青枯病 青枯れ病も夏秋時期には 大きな問題となる 土壌中の温度 根痛み 排水 不良による過湿等により発病が促進される 1 先端の葉が日中にしおれ 曇天 夕刻に回復するがやがて回復しなくなり 株全体が青いまま委凋し 枯死する 一度発生すると蔓延が早い 2 特に梅雨明けの8 月に発生が多い 3 地際の茎を切断すると 導管がやや褐変し 乳白色の粘液がでてくる 4 根も褐変している 1 抵抗性台木による接ぎ木 品種の選定 2 地温の低下 ( 黒マルチよりも白黒ダブル シルバーがよい ) 3 排水の徹底 ( 明渠 暗渠 土の団粒化 ) - 68 -

灰色カビ病 1 葉に褐色 大型の円形病斑をつくる 茎 葉柄に暗褐色水浸状病斑を作り 表面に灰色のカビを密生させる 2 果梗 花弁 果実に発生するが開花前後のものは枯死 落下する 親指大に肥大した果実では水浸状の 暗褐色の円形病斑を作り 次第に病斑が拡大し 軟化腐敗する 病斑上に灰色のカビを密生する 診断のポイント 1カルシウム欠乏 ( 要素欠乏 -4 石灰欠乏の欄参照 ) とが類似しているが 表面にカビが生えていれば灰色カビと判断する 2 低温多湿条件で発生が多い ( 発生時期の幅が広く 特に気温 20 前後では活発 ) 1 換気により湿度の低下をはかる 灌水量が多くならないように気をつける低温期の作型で低温時に換気不可能な時は 加温機により湿度を下げる 2 被害を発見したら 速やかにその場で袋などに閉じこめて屋外で消却する ( 胞子が飛び散るとかえって病気が蔓延するので そのままハウス内を持ち歩かない )3 薬剤散布については 薬剤抵抗性が発達しており 薬剤の系統間でのロ-テ-ションが必要 ( 基本的に予防散布に重点を置く ) 4 過繁茂では発生も多く 防除も難しいため 通風採光をよくする 果実に形成されたゴーストスポット - 69 -

輪紋病 1 葉に濃褐色 水浸状の小さな斑点を生じ 次第に拡大して5~10ミリになる 病斑の周りは黄色にふち取られるのが特徴 2 病斑が古くなると 下葉からまだらに枯れ上がる 3 が苦土欠 カリ欠と類似するが 輪紋の場合発生は生育後期であり 斑紋のでかたに規則性が全くない 苦土欠は葉の中心から葉脈間に カリ欠は生育の初期から葉のふちが枯れる 1 肥切れさせない 2 高温多湿条件で発生しやすいので 発病しにくい条件を作る 疫病 1 葉 茎 果実に発生するが はじめは葉に灰緑色の水浸状の病斑を生じ 次第に拡大して 暗褐色の大型の病斑になる 病斑のふちは不鮮明である 2 多湿時には病斑の表面に白色のカビを生ずる 3 茎や葉柄 果実では暗褐色の病斑を生じ やがて黒みを帯びた褐色の病斑に変わる 1 低温多湿条件を作らない 2 窒素過多や 樹勢を落とすような管理をしない 3 茎はが込み合うような状況を作らない 4 薬剤散布は予防に重点を置き 発生したら速やかに圃場害に持ち出す - 70 -

葉カビ病 1 葉の表面に淡黄色の小斑点を生ずる これが進むと葉の裏に灰色のカビを生ずる 2はじめは下葉に発生し 順次上位に進展する 3 高温湿潤条件で発生が多い 診断のポイント 1 苦土欠乏とが似ているが 葉脈間に規則的に脱色していれば苦土欠乏葉の裏のカビを確認すること 葉脈に関係なく 不規則に下葉から発生すれば葉カビである 1 高温多湿を避ける 換気を励行する 2 過繁茂 過度の灌水 肥料切れによる樹勢の低下をさせない 3 薬散は予防散布に努め とくに葉の裏にかかるように充分散布する ( 連続散布すると葉が黄化するので注意する ) 4 抵抗性品種の導入 - 71 -

すすカビ病 1 葉裏に不明瞭な淡黄緑色の病斑を形成し 病斑上に灰褐色粉状のカビを生じる 2 病斑は円形あるいは葉脈に囲まれた不整形 灰褐色から黒褐色に変わる 3 葉表には不明瞭な淡黄褐色の病斑を生じ 葉裏に比べると少ないがカビを生じます 4 病勢が進むと葉全体がカビで覆われ ひどい場合は葉が枯れ上がる 診断のポイント 葉カビ病に酷似する 1 葉カビ耐病性品種で葉カビににたが出たらすすカビと判断できる 2 顕微鏡で確認する 1 発病葉や残さは今後の伝染源となるので 丁寧に除去し圃場外へ出す 2 過繁茂や換気不足は発病を助長する こまめな摘葉や温湿度管理で多湿条件を避ける - 72 -

褐色輪紋病 1 主に葉に発生するが 茎 果実にも発生する 2 葉では初め黄色の小斑点を生じ 次第に拡大して径 5mm 前後の周縁が黄色の不規則な褐色輪紋状の斑点を形成する 3 茎では 褐色の小斑点を生じ次第に拡大して 褐色の長楕円形の斑点になる 4 果実では 黒色の小斑点を生じ次第に拡大して ややへこんだ径 5mm 前後の黒色円形で中心部が茶褐色ないし白色の斑点になる 5 多湿時には 病斑上に褐色ないし灰黒色のかびを生じる 1 夏期高温 多湿条件が続くと多発しやすいので 換気に努めるとともに薬剤防除を徹底する 2 被害作物残さを集めて処分する - 73 -

トマト黄化葉巻病 トマト黄化葉巻ウイルス (TYLCV) の感染によって発生する病気です 国内では平成 8 年 県内では同 11 年に初発生が確認されました 1 発病株は新葉の葉縁から退緑しながら表側に巻き 2 後に葉脈と葉脈の間が黄化し 葉が縮れる 3 発病部位より上部では節間が短縮し 黄化萎縮となる 4タバココナジラミ ( バイオタイプQ バイオタイプB) によって媒介される 5 種子伝染 汁液伝染 土壌伝染 経卵伝染はしない 熊本県内全域で発生が拡がり とくに抑制栽培 ( 熊本 宇城 八代 ) において甚大な被害が発生した 夏秋産地においても毎年発生はしているが全体の数 % 以内でおさまっている 今後タバココナジラミの発生が多くなると夏秋地域で蔓延する可能性が高い タバココナジラミ 参考 拡大してみると羽と羽の間が少しあいている 比較すると体がやや黄 オン シツコナジラミ 色っぽい 1 苗段階からの徹底したコナシ ラミ侵入防止 (0.4mm 目合以下の防虫ネット被覆 ) 2 植え穴粒剤 定植後の防除 3 発病株の抜き取り 埋設 焼却処分 4 粘着シート 5ハウス越冬作物終了時の蒸し込み トマト黄化葉巻病の病徴 - 74 -