3 児童の 1 年間の読書活動と司書教諭との関わり 児童がテキストを効果的に活用するために, 司書教諭が担任と連絡を取り合い, 全学級の教科指導に意図的 計画的に入り, 読書活動を学習の中に効果的に取り入れることができるよう取り組んでいる 指導内容は, 単元の指導を進める上で必要な内容の指導, 関連図書の紹介, 読解の基礎 基本の技能習得, 本への興味関心の向上, いろいろなテキストの読み方指導など, 各学年の指導内容に合わせて計画している 司書教諭の学級への指導時間は年間 40 時間程度 その時間の学級への指導は担任以外の教員が教科指導を行っている 10 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 1 2 3 4 10 5 6 < 司書教諭の指導の実際 > 司書教諭活動計画 月 日学年 組指導内容具体的実践 4 16 1-1 1-2 図書探検 図書館の使い方説明 本の扱い方 図書館の絵本のある所 借りる所 読む所などの確認をする 本を扱うときの注意点や約束について指導する 4 17 1- 全読み聞かせ 絵本の紹介 昔話 の大型絵本による読み聞かせを行う 動物が出てくる本の紹介を行う 5 7 2-1 ブックウォークってなあに図書館探検 5 14 6-2 ファイル資料の特性と使い方 自分で目標を決めて取り組むこと, 開始と終了を記入すること, 認定してもらうこと等を指導する 図書館の本の配置について知らせる 目的に応じて図書を選択し, 読み取った内容をファイルにまとめるときのラベリングの仕方について指導する 5 22 6-1 社会縄文 弥生 古墳時代の資料の見方 歴史学習のための資料の探し方やインターネットでの検索の仕方について指導する 6-4 3-1 国語辞典の使い方補助 教科学習と関わらせて使い方を指導する 読書をするときも活用することを知らせる - 17 -
4 多様な読書活動の工夫 1 読み聞かせ活動児童の日常の読書生活の中に積極的な読み聞かせの機会を取り入れることにより, 想像を膨らませたり, 本への興味関心を高めたりすることができると考え, 司書教諭が計画を立て, 計画的に読み聞かせに取り組んでいる ア教師による読み聞かせ朝読書の時間や, ふれあいタイムの時に児童に読み聞かせを積極的に行っている 特にも, 入門期の児童にとっては楽しみにしている時間でもある 低学年だけでなく, 他の学年においても教科の指導に入る時に補助資料の読み聞かせを行っている イ縦割り班による読み聞かせ水曜日の昼休みは, ふれあいタイム として日課表に組み込んでいる その中で月に一回は縦割り班の活動が計画されている その活動の始め10 分間は高学年による読み聞かせ活動を行っている なお, 事前に司書教諭が 紙芝居の内容の選び方 読み方 役割読み などについてリーダーを指導している ウ親による読み聞かせ司書教諭が, 入学後早い時期に1 年生の保護者を対象に読み聞かせの必要性を講義し, その後, 保護者が児童に読み聞かせを行っている また, 読書についての講演会を実施したり, 機会ある毎に保護者に読み聞かせの大切さを話したりしている その結果, 長期休みの ファミリー読書 の取組への関心も高まり, 一緒に本を借りに来ている姿が見られる エボランティアによる読み聞かせ年間を通して複数の団体が昼休みや授業時間に読み聞かせを行っている 各学年に年間 3~4 回ずつ入り, その学年の国語科の学習と関わる内容の本の読み聞かせや紹介, 発達段階に応じた内容の本や大型絵本, ストリーテリングなどを行っている - 18 -
2 ファミリー読書ファミリー読書は, 児童の健全育成のためにPTAと連携を取り, 子どもと一緒に本を読むことで心温かなふれあいの場を共有することがねらいである 家族で長期休業中に読む目標, 読む時間を決め, どのように読書活動に関わるかを話し合い, 実際に読み, 感想を話し合う取り組みである 読む冊数のめやすは,1 2 3 年は15 冊は,4 5 6 年は10 冊である それをもとに自分で目標を決めて読むことに取り組んでいる 読書の振り返りについては, 自分なりに おすすめど を 5 段階の で評価している また, 感想は, 目標に対する反省 親子で同じ本について読んだ感想 ファミリー読書に対する取組の様子 心にのこった本の紹介 など, 学年の発達段階に応じた内容を書くように指導している <ファミリー読書カード> - 19 -
3 ブックウォークの取組ア宣言書を書く 決められた期間に読む本, 読む量を決める イ記録を取りながら読み進めるウ宣言書どおりにできたら認定書をもらう 一人一人自分にあった目標を立て, 年に数回取り組むこととする <ブックウォークカード> - 20 -
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2 司書教諭活動の実践 - 36 -
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Ⅹ 成果と課題 この研究は, 教育課程全体の中で読書活動を意図的 計画的に取り入れることで, 読書に親しむ児童の育成をめざしたものである 2 年計画の2 年次にあたる今年度は, 読書力 を視点とした授業を, 国語科を中心として各教科等に広げていくことで言語の力を付けていくことができると考え, 実践してきた 1 成果 1 教育課程全体の中での 読書力 を取り入れた取組 国語科や各教科, 図書館の利活用など, それぞれの取組内容を明らかにしたことで, 国語科と各教科との関わりや授業での図書館活用について関わりをもたせて取り組むことができた そのことにより, 児童はテキストを選ぶときや調べる時は図書館を利活用すること, 特設タイムで学んだことを授業で活用することなどを学ぶことができた 特設タイムで学習に必要な様式指導を指導することで, 児童は, 国語科はもちろん各教科での観察記録文や報告文, レポート, 新聞などで表現する時に学んだことを生かすことができた 2 授業の工夫 単元の指導の中で,3 つの力を取り入れた学習活動を繰り返し行うことで, 児童は目的意識や相手意識を明確にもち, 主体的に言語活動に取り組むことができた 言語活動を取り入れた授業や単元を見通した指導, 教科書以外のテキストを活用した授業実践を行ってきたことにより, 全国学力 学習状況調査の 読むこと 領域では良好な結果として表れている 単元に合わせた学習シートの活用や感想語彙集, 交流の時のマニュアルなどを用意して授業に取り組んだことで, 児童が主体的に学ぶ時の手掛かりとなり, 交流の時にはそれらを使いながら話し合いを進めることができた 児童に単元プロセスを提示したり, モデル文を提示したりしたことで, 児童は単元のゴールやそこに至るまでの取組が分かり, 主体的に学習を進めることができた 3 図書館の利活用 司書教諭が専門性を生かして各学級の補充指導に入ることで, 児童は多様な文章の読み方や資料の読み取り方を学び, 各教科の学習の中で生かすことができた 司書教諭が中心となって読み聞かせの楽しさや必要性を児童や保護者に機会ある毎に声がけをしてきたことで, 読書アンケートの結果から 読書は必要である と答えている児童が多くなった また, 長期の休みに親子で本を借りにくる姿が多く見られるようになった 図書館, 教室, ホール等には, いつでも本が手に取れる読書環境を整えたことで, 児童は自ら本を選び, 日常生活の中に読書活動を取り入れるようになってきた 2 課題 国語科で培った3つの力を各教科の言語活動に生かしていくために, 国語科と各教科との関わりを一層密にしていくこと 国語科及び各教科等で必要となる記録 報告, 説明, 要約などの様式の指導を特設の時間で取り立てて指導したり, 授業場面で繰り返し指導したりするなど, 言語活動を取り入れた授業の在り方をさらに追究していくこと 言語活動の充実のためには, 国語科だけでなく各教科においても, 単元の指導計画を見直したり教科書以外のテキストを活用したりして授業の改善を図っていくこと 言語の能力を更にはぐくむために, 各教科におけるねらいを明らかにし, 読書活動と関連させていくことと, 日常生活の中での読書生活の在り方を家庭との連携で探っていくこと - 38 -
3 担任の目からみた成果と課題 内容成果ととらえたこと課題と思われること 教育課程全体で 読書力 を見通した取組の工夫 国語科と各教科との関わり 特設タイム 国語との関わりの中で各教科の学習活動をとらえることができた また, 児童が説明したり様式に合わせてまとめたりする時に, 学んだことを活用できるように, 見通しをもって指導することができた 特設の時間を設けたことで, 日常の単位時間ではなかなか取り立てて指導できなかった様式を重点的に指導することができた 特設の時間で学習したことを国語科や他の教科でどのように関わらせていくか, さらに実践を重ねていく必要がある 特設タイムの年間計画は学年の行事や内容と合致しないところがあるので改善が必要である 授業の改善 工夫 3 つの力の実践 言語活動の取組 課題探究プロセス 図書館の利活用 司書教諭活動 読み聞かせ活動 ファミリー読書 ブックウォーク 説明力 はどの教科でも必要となる力であるととらえて指導したので, 各教科の学習やスピーチなどでも, 児童は 結論 + 理由 の頭括型で説明が出来るようになってきた 児童は学習活動で相手を意識することが多くなった 特に 感想力 説明力 は相手がいなければ成立しないことから, 分かりやすく伝えるにはどうすればいいかをおさえて友だちと話し合うことができるようになった シートに書いたことをもとに交流したり, その後に自分の考えをまとめたりすることができるように, シートを効果的に指導に生かした また, 語彙集は児童が調べたりまとめたりするときに活用できるようになった 教師と児童が学習計画を一緒に立てることで, 児童は見通しをもって学習に取り組み, 主体的に学ぶことができるようになってきた 補助教材や調べるときのテキストとして様々な本を用意したことで児童は必要な本を選んだり, 読み取ったりすることができた 付けたい力は何かを考えて言語活動を設定することが大切である 指導内容にあった学習シートの作成と語彙集の吟味が大切である 感想力の場面では 交流 を多く取り入れてきたが, 話し方や司会の仕方が定着できるように指導を継続する 司書教諭が専門性を生かして単元の導入時に指導 個々の学習活動を保障するためにテしたので, 児童はその後の学習で学んだことを生キストを持たせることをねらっていかすことができた るが, 国語科の中核教材に見合うよ 司書教諭に, 図書館の分類の仕方や様々なジャンうなテキストを用意することは難しルへ目を向けることなどを指導してもらい, 児童い の読書の巾が広がった 新聞の書き方で5W1Hが大切なこと, 写真のもつ意味など具体例を示してもらい, 児童はその後の単元に生かすことができた 司書教諭が補充指導をしたり, 読み聞かせ活動に計画的に取り組んだりしたことで, 図書館はもちろんホールや教室で本を読む児童の姿が多く見られるようになってきた 読み聞かせは1 年生にはとても楽しみなことであり, 読んでもらった本を探したり, 本への興味を増したり, その後の主体的な読書活動へと繋がった ファミリー読書の取組は, 家庭で読書に向かうきっかけとなり, 親の意識がプラス方向に向かった - 39 -