スポーツエージェントビジネスの理論的枠組と政策的提言 03W1104002I 三原庸嘉 1 OUTLINE スポーツエージェントの業務内容 収入構造 資格 スポーツエージェントにおける問題点 プリンシパル エージェント理論 スポーツエージェントビジネスにおけるプリンシパル エージェント理論 政策的提言 今後の展望 2
内スポーツエージェントとは? スポーツ選手が本業に集中するための選手にまつわる様々な業務のサポート スポーツのグローバル化が進む中で各国々の間の商慣習や法律 制度の違いやスポーツのビックビジネス化に伴う契約関係や選手の権利問題の複雑化 多様化により専門的知識を持った人物のニーズが高まる 昨今のスポーツ産業を語る上で欠かすことのできない存在 3 容ポー交渉 折衝ツエーマーケティングジェン財務 法務管理スト生活支援トレーニング の業務キャリアプラン 社会貢献 * 実際にこれらの業務をエージェント一人でやるのは稀 複数の専門特化したエージェントと契約するのが主 4
5 スポーツエージェントの業務内容トレーニング社会貢献キャリアプランマーケティング交渉 折衝生活支援財務 法務管理肖像権管理 CM アドバイザリー契約その他 PR 活動選手と相談クラブと交渉ペットの世話住居 病院等の選択専門家紹介財務申告 資産運用トレーナー紹介メンタルトレーニングチャリティー活動クラブチーム設立 支援セカンドキャリア選手生活 6 スポーツエージェントの収入構造 1 1 交渉 折衝交渉 折衝交渉 折衝財務 法務管理 1 3~5% 財務 法務管理マーケティング選手の報酬総額スポーツエージェントの収入2 3 2 7~10% 3 10~25% 料率制選手の報酬総額の一定の料率を支払う料率は委託する業務内容の範囲で決まる業務別に得た収入に分けて料率をかける場合もあるインセンティブがあるものの 逆に自己本位の目先の利益を追求するという乱用の危険性あり
スポーツエージェントの収入構造 2 定額制 両者であらかじめ合意した一定金額を支払う業務内容が単純で明確に予想できる場合エージェントに対するインセンティブがない 時間制実際に作業に要した時間を単位に支払う弁護士資格を持ったエージェントに利用される高額報酬の選手は料率制よりも少なく済む 時間制 + 料率制時間制で計算するが 一定の料率を上限とする ポーツ一定額スエージェントの収入選手の報酬総額 スポーツエージェントが作業に要した時間 3 スポーツエージェントが作業に要した時間 選手の報酬総額 7 スポーツエージェントに必要? なライセンス サッカー世界サッカー協会 FIFA が公認するエージェント資格があり それを各国サッカー協会が管理する 野球 ( 日本の場合 ) 弁護士資格 or アメリカ MLB 選手会規約に基づいたエージェント or プロ野球選手会実施の資格試験合格者 しかし 特に欧米には資格を持たずに活動するエージェントも 8
スポーツエージェントにおける問題点 1 日本において まだまだ普及 定着していない *J リーグの場合 登録選手約 1000 人中で 70~80 人程度しかエージェントをつけていない But 選手協会実施のアンケートによると選手全体の 60% がエージェントの必要性を感じている 野球 球団側の理解度の低さエージェント = 金の亡者というイメージ サッカー 選手年俸の低さ * サッカー J1 日本人選手平均年俸 : 約 1600 万円 (06J1PLAYERSGUIDEより) プロ野球出場登録選手平均年俸 : 約 6800 万円 ( 日本プロ野球選手会公式 HP より ) アメリカプロ野球 MLBでは三年目までにエージェントをつけることを義務化している 9 スポーツエージェントにおける問題点 2 欧米において 悪徳エージェントの存在 選手の年俸を管理するエージェントが法外な金額を搾取 利益相反行為 行き過ぎた勧誘 そもそもエージェントの能力がない者も参入の余地がある ライセンスを持たないエージェントに多い EX 欧州サッカーでは若くて将来有望なアフリカ人選手をまだ芽の出ないうちからエージェントが囲い込み 高額な契約金と年俸で欧州クラブに入れた後に契約金と年俸を持って逃亡 アメリカ NBA 選手 チャールズ バークレーはエージェントに預けた金を不動産や株などのベンチャービジネスにつぎ込まれるなど 勝手に自らの金銭を乱用される など 10
プリンシパル エージェント理論 1 プリンシパル ( 委託者 ) とエージェント ( 受託者 ) の関係を描写する理論 ファーストベスト解両者が費用なしで同じ情報を共有できる状態 セカンドベスト解両者が不完全かつ不平等に配分された情報によってできる状態 ファーストベスト解 - セカンドベスト解 = エージェンシーコスト 11 プリンシパル エージェント理論 2 エージェンシーコストの最小化が目的!! 利害の一本化インセンティブ制裁システム 情報の非対称性の除去シグナリング ( エージェントから情報開示する行動 ) スクリーニング ( プリンシパルが情報を得ようとする行動 ) 自己選択 ( 自分にあった契約を自ら選ぶ ) 12
スポーツエージェントビジネスにおけるプリンシパル エージェント理論 1 プリンシパル = 選手 代理人契約 エージェント = スポーツエージェント 13 スポーツエージェントビジネスにおけるプリンシパル エージェント理論 2 利害の一本化インセンティブ スポンサー CM 契約料 (20%) 年俸 移籍金 ( 違約金 ) 契約金 (4 5%) 目標達成時の成功報酬 制裁システム ライセンス取得者は規約違反の際にはライセンス取得時に損害賠償保険に入ったり 納めた保証金 ( サッカーの場合 1600 万円 ) を罰金として没収される 14
スポーツエージェントビジネスにおけるプリンシパル エージェント理論 3 情報の非対称性の除去 シグナリングエージェントが契約してない選手の相談にのる スクリーニング選手同士のエージェントに関する口コミ情報 自己選択料率制 定額制 時間制 料率制 + 定額制の 4 種類の収入形態を選手がそれぞれのエージェントに合うような契約ができる 15 プリンシパル エージェント理論による分析の結果 情報の非対称性の除去 ( 特にスクリーニングとシグナリング ) の論理が弱い エージェントに関するプリンシパルの情報入手の不完全さが 悪徳エージェントの存在の原因ではないのか 情報の非対称性を解消する政策的提言? 16
政策的提言 スポーツエージェントを評価 監査する機関 かつてエージェントによって守られてきたと考えられたスポーツ選手たちは 今やエージェントからの保護を必要としている スポーツエージェントに関するスポーツ選手の情報の非対称性を解消する為に普通なら選手が知り得ないであろうエージェントの風評 実績 人格等を評価したり エージェントの違反行為を監査する機関を立ち上げる ルーヴェン大学のロジェ ブランパンという教授が個人的に悪徳エージェントから選手を守る活動をする 17 機関が実際やることは 選手 ( 引退した者も含む ) やチームから可能な限りスポーツエージェントの情報を入手 スポーツエージェントを評価し 格付する悪徳エージェントのブラックリストを作成する 協会などの財団法人や選手会を通じて選手に提供する 選手とエージェントが契約する時に仲介したり 契約内容を決定する時に立会い選手にアドバイスする 18
今後の展望 プリンシパル エージェント理論以外の理論的枠組は? エージェントを評価 監査する機関はどのような立場でやるのか? 協会などの財団法人や選手会と連携するのか それとも独立した企業がやるのか 政策的提言の根拠となるような事例は? 新たな政策的提言は?( 日本のスポーツエージェントに関する問題を解決する ) 19 参考文献 戦略の経済学 / デイビット ベサンコなど 新制度は経済学による組織入門 / アーノルドピコー 丹沢安治など ショー ミー ザ マネー ~アメリカのスポーツエージェントを巡る法的諸問題 ~ / 升本喜郎 スポーツエージェント ~アメリカの巨大産業を操る怪物たち~ / 梅田香子 トップスポーツビジネスの最前線 / 平田竹男 中村好男 06 J1 PLAYERS GUIDE( スポーツニッポン3 月 1 日号付録 ) 日本プロ野球選手会公式ホームページ 日本サッカー協会公式ホームページ 20