特集大規模自然災害からの復旧 復興 参考 警察が検視により確認している死者数 50 名 災害による負傷の悪化または避難生活等における身体的負担による死者数 106 名 6 月 日に発生した豪雨による被害のうち熊本地震と関連が認められた死者数 5 名建物被害全壊 8,360 棟, 半壊 3

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事務連絡 平成 29 年 10 月 25 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局建設業課長 平成 28 年熊本地震の被災地域での建設工事等における 予定価格の適切な設定等について 公共工事の予定価格の設定については 市場における労務及び資材等の最新の実勢価格を適切に反映させつつ 実際の施工

多様な入札 契約特集 2. 技術提案 交渉方式について 技術提案 交渉方式は, 品確法 第 18 条の規 定により, 発注者が, 当該工事の性格等により, 仕様を確定することが困難な場合に適用される 今回のケースでは, 北側復旧ルートは 1 日も早い完成が望まれるが, 本トンネルの十分な調査が完了し

Microsoft PowerPoint 「平成28年熊本地震活動記録(第17報) 案-2.pptx

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平成28年4月 地震・火山月報(防災編)

地震発生後の九州地方整備局の活動 4 月 16 日の夜明け 本震の後に再度調査を実施しておりま す その際は 道路崩壊の調査 土砂崩壊の箇所の調査 被 災地に入るための安全ルートの確認等を実施しております 次に九州地方整備局の活動について紹介させていただき ます まず最初に地震発生後の初動体制につい

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プレゼンテーションタイトル

熊本地震の緊急調査報告

PowerPoint プレゼンテーション

第 1 章熊本地震の概要 執筆 : 阿部直樹 ( 国立研究開発法人防災科学技術研究所 ) 1-1 熊本地震動の概要 2016 年 4 月 14 日 21 時 26 分頃 熊本県熊本地方の深さ約 11km を震源とする M6.5 の地震が発生し 熊本県上益城郡益城町において震度 7を観測した また約

業界で躍進する 工事現場 の 要 登録基幹 技能者 登録基幹技能者制度推進協議会 一財 建設業振興基金

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スライドタイトル

事務連絡 平成 30 年 11 月 9 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局建設業課長 公共工事の円滑な施工確保について 公共工事の適正な入札及び契約を通じて建設業の健全な発達を図るとともに 平成 30 年 7 月豪雨や平成 30 年北海道胆振東部地震等の大規模災害からの復旧 復興の加速

佐賀県の地震活動概況 (2018 年 12 月 ) ( 1 / 10) 平成 31 年 1 月 15 日佐賀地方気象台 12 月の地震活動概況 12 月に佐賀県内で震度 1 以上を観測した地震は1 回でした (11 月はなし ) 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 図 1 震央分布図 (2018 年 1

1 平成 28 年熊本地震の概要 発生日時 前震 平成 28 年 4 月 14 日 21 時 26 分 本震 平成 28 年 4 月 16 日 1 時 25 分 震央地名熊本県熊本地方同左 マグニチュード 震度 6 弱以上を観測した自治体 震度 7 益城町益城町 西原村 震度 6 強

Ⅱ 取組み強化のためのアンケート調査等の実施 (1) 建設技能労働者の賃金水準の実態調査国土交通省から依頼を受けて都道府県建設業協会 ( 被災 3 県及びその周辺の7 県を除く ) に対し調査を四半期ごとに実施 (2) 適切な賃金水準の確保等の取組み状況のアンケート調査国は 平成 25 年度公共工事

平成17年7月11日(月)

東日本大震災に係る災害等廃棄物処理事業の実地調査について

平成 28 年熊本地震における対応 平成 28 年熊本地震 ( 前震 :4/14 本震 :4/16) において 電力 ガス等の分野で供給支障等の被害が発生 関係事業者が広域的な資機材 人員の融通を実施するなど 迅速な復旧に努めた結果 当初の想定よりも 早期の復旧が実現 また 復旧見通しを早い段階で提

202000歩掛関係(151001) END.xls

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働き方改革実現に向けた週休二日の取得に関する取組について 直轄工事における週休二日取得の取り組み 施工時期の平準化適正な工期設定 週休二日算定が可能な 工期設定支援システム の導入 工事着手準備期間 後片付け期間の見直し 余裕期間制度の活用週休二日を考慮した間接費の補正 < 週休二日対象工事 > 対

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働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

TEC-FORCE 制度の概要 TEC-FORCE( 緊急災害対策派遣隊 ) とは大規模自然災害が発生し 又は発生するおそれがある場合において被災地方公共団体等が行う 被災状況の迅速な把握 被害の発生及び拡大防止 被災地の早期復旧その他災害応急対策に対する技術的な支援を円滑かつ迅速に実施することを目

(/9) 07 年に発生した地震の概要. 佐賀県の地震活動 07 年に佐賀県で震度 以上を観測した地震は 9 回 (06 年は 85 回 ) でした ( 表 図 3) このうち 震度 3 以上を観測した地震はありませんでした (06 年は 9 回 ) 表 07 年に佐賀県内で震度 以上を観測した地震

国土技術政策総合研究所 研究資料

平成 24 年度公共 事品質確保技術者更新講習 岡山県の品質確保に向けた取り組みについて 平成 24 年 11 2 岡山県土木部技術管理課杉原誠 郎 1 目次 1. 一般競争入札の拡大等入札契約適正化法施行後の取り組み 2. 総合評価方式の本格導入等品確法に基づく取り組み 3. 低入札価格調査制度及

発注者支援業務(工事監督支援業務)のポイント

れました また, 当フォーラムに将来の建設技術者を目指す若い学生が多数参加することを紹介し, 今後想定される大規模災害への備えとして, 災害に強い国作り, インフラの老朽化対策などの国土強靱化を促進する上でも, これらの方々の活躍なくしては成立しない これら若い技術者の方を含めて産学官の連携を深め,

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00 表紙・目次

Microsoft PowerPoint 熊本地震1周年報告会(最終版).pptx


第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

Q&A 集 Q1 社会保険等とは何か A1 社会保険等とは 健康保険 ( 協会けんぽ 健康保険組合等 ) 厚生年金保険 及び雇用保険をいいます Q2 国民健康保険組合に加入しているが 社会保険等未加入建設業者となるのか A2 法人や常時 5 人以上の従業員を使用する国民健康保険組合に加入している建設

Microsoft Word - 02.H28秋 重点提言本文【合本】1110.doc

奈良県ライフライン 情報共有発信マニュアル 第 3.3 版 平成 24 年 7 月 奈良県ライフライン防災対策連絡会

2016年(平成28年) 熊本地震

~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

国土入企第 5 4 号 平成 31 年 2 月 22 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局長 技能労働者への適切な賃金水準の確保について 技能労働者の確保 育成のためには 適切な賃金水準の確保等による処遇改善が極めて重要です 国土交通省においては これまでの 6 度にわたる公共工事設計労

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2 地震 津波対策の充実 強化 (1) 南海トラフ地震や首都直下地震の被害想定を踏まえ 地震防災上緊急に整備すべき施設整備 津波防災地域づくりに関する法律 の実効性確保 高台移転及び地籍調査の推進など事前防災や減災に資するハード ソフトの対策を地方公共団体が重点的に進めるための財政上の支援措置を講じ


2 採用する受注者選定方式の検討について廃棄物処理施設整備事業で一般的に採用されている受注者選定方式は表 -2のとおりです 受注者選定方式の検討に際しての論点を下記に整理しましたので 採用する受注者選定方式について審議をお願いいたします 本施設に求められる5つの整備基本方針に合致した施設の整備運営に

この資料は速報値であり 後日の調査で変更されることがあります 時間帯 最大震度別回数 震度 1 以上を観測した回数 弱 5 強 6 弱 6 強 7 回数 累計 4/14 21 時 -24 時 /15 00 時 -24 時 30

死者数 死亡震災関連死 熊本地震による被害 50 人 170 人 6/19 25 大雨による二次災害被害 - 5 人 重軽傷者数 2,679 人 3 人 住宅被害 全壊半壊床上浸水床下浸水一部破損 8,674 棟 33,693 棟 ,554 棟 14 棟 116 棟 147 棟 498

日向灘 佐伯市で震度 2 を観測 8 日 08 時 33 分に日向灘で発生した M3.9 の地震 ( 深さ 31km) により 佐伯市 愛媛県西予市 高知県宿毛市などで震度 2 を観測したほか 大分県 宮崎県 愛媛県および高知県で震度 1 を観測しました ( 図 1) 今回の地震の震源付近 ( 図

30 第 1 部現地における災害応急活動 阿蘇大橋付近の被害状況 ( 熊本県阿蘇郡南阿蘇村 ) 熊本城の被害状況 ( 熊本県熊本市 ) 2

全建事発第 号 平成 30 年 12 月 27 日 各都道府県建設業協会会長殿 一般社団法人全国建設業協会会長近藤晴貞 公印省略 高力ボルトの需給安定化に向けた対応について ( 協力要請 ) 平素は本会の活動に対しまして 格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます さて 標記につきまして 国

ii 8. 河川法と漁港法との調整に関する協定 ( 抄 ) 運輸省港湾局と農林省水産庁生産部とに関連ある港湾災害復旧事業の処理について 76 第 2 漁港関係災害関連事業 Ⅰ 補助金交付要綱 1. 漁港関係災害関連事業等補助金交付要綱 77 Ⅱ 災害関連漁業集落環境施設復旧事業 1. 災

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10 地震 火山噴火対策等の推進について 近年 我が国は様々な災害に見舞われている 東日本大震災後も 平成 28 年の熊本地震 本年 6 月の大阪府北部地震及び9 月の北海道胆振東部地震など大規模な地震が発生し 多大な人的 物的被害が発生した 地方公共団体においては 突然発生する大規模自然災害に備え

溶結凝灰岩を含む火砕流堆積物からなっている 特にカルデラ内壁の西側では 地震による強い震動により 大規模な斜面崩壊 ( 阿蘇大橋地区 ) や中 ~ 小規模の斜面崩壊 ( 南阿蘇村立野地区 阿蘇市三久保地区など ) が多数発生している これらの崩壊土砂は崩壊地内および下部に堆積しており 一部は地震時に

A4 経営事項審査の受審状況により確認方法が異なります なお 適用除外は 労働者の就業形態等によって適用除外とならない場合もあることから 元請負人は 年金事務所等に適用除外となる要件を確認した上で判断してください 経営事項審査を受審している場合 有効期間にある経営規模等評価結果通知書総合評定値通知書

一般社団法人送電線建設技術研究会関西支部社会保険等の加入促進計画 1. はじめに 平成 27 年 4 月 24 日制定 建設産業においては 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ( 以下 社会保険等 という ) の 1 法定福利費を適正に負担しない企業が存在し 技能労働者の医療 年金など いざというと

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特集建設マネジメントに関する研究 大規模災害時における地元業者の貢献と課題についてのアンケート調査 ( 平成 24 年九州北部豪雨災害の事例 ) 公益社団法人土木学会建設マネジメント委員会地方における公共工事の入札契約方式に関する研究小委員会 九州共立大学総合研究所所長 まきずみ 牧角 たつのり 龍

2019 年1月3日熊本県熊本地方の地震の評価(平成31年2月12日公表)

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した 気象庁は その報告を受け 今後は余震確率の公表方法を改めることとしたという 2. 被害状況 被害要因等の分析 (1) 調査方針本委員会は 以下の調査方針で 被害調査と要因分析を行っている 1 極めて大きな地震動が作用し 多数かつ甚大な建築物被害が生じた益城町及びその周辺地域に着目して検討を進め

九州における 道の駅 に関する調査 - 災害時の避難者への対応を中心としてー ( 計画概要 ) 調査の背景等 道の駅 は 平成 16 年 10 月の新潟県中越地震 23 年 3 月の東日本大震災において 被災者の避難場所 被災情報等の発信や被災地救援のための様々な支援の拠点として活用されたことなどか

☆配布資料_熊本地震検証

基本問題小委員会における提言 ( 平成 26 年 1 月 ) 社会保険等未加入対策関係 1. これまでの中央建設業審議会 社会資本整備審議会基本問題小委員会における提言 1 行政 元請企業による加入指導 法定福利費確保に向けた取組等の総合的な対策を推進すべき 2 平成 29 年度を目途に 事業者単位

161019_発表資料_後日訂正版_HP用

公共建築改善プロジェクト(仮)

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i-Construction型工事の概要 (素案)

当面の事業概要 < 平成 25 年度 > 実施設計業務委託 < 平成 26 年度 > 市道 1504 号線電線共同溝整備工事 道路改築工事 < 平成 27 年度 > 市道 1504 号線電線共同溝整備工事 市道 1504,1505,1507 号線道路改築工事 < 平成 28 年度 > 市道 1504

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資料1 受援計画策定ガイドラインの構成イメージ

平成 3 1 年度 記者発表資料 平成 3 1 年 2 月 4 日九州地方整備局武雄河川事務所 災害時協力会社の公募について ~ 災害への迅速かつ的確な対応のため ~ 国土交通省武雄河川事務所では 災害時等における 迅速な被災状況の把握 円滑で的確な対応 を強化するため 事前に建設業等関係者の皆様と

1.1 阪神 淡路大震災環境省は 阪神 淡路大震災 ( 平成 7 年 1 月 17 日発生 ) の際に兵庫県及び神戸市の協力を得て 大気中の石綿濃度のモニタリング調査を実施した 当時の被災地における一般環境大気中 (17 地点 ) の石綿濃度の調査結果を表 R2.1 に 解体工事現場の敷地境界付近に

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

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熊本地震に係る対応について

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資料 4 安全 安心の確保 ~ 道路の防災 震災対策 ~ Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

第 2 中小企業者の受注の機会の増大のために講ずる措置に関する事項機構は 中小企業 小規模事業者の受注の機会の増大を図るために 基本方針に即すとともに 次のとおり取り組む 1 東日本大震災の被災地域等の中小企業 小規模事業者に対する配慮 (1) 適正な納期 工期の設定被災地域における工事の発注におけ

東日本大震災 (H ) 地震時の情報収集や提供に関する課題 国 地方公共団体などが連携した被災者や物資輸送者への交通関係情報の提供 大震災直後は 各管理者から別々に通行止め情報等が提供されたため 被災地までの輸送ルートの選定が困難な状況 国が集約して提供を始めたのは10 日以上過ぎた3/

建築物等震災対策事業について

家族みんなの防災ハンドブック 保存版

九州地方の主な地震活動

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【集約版】国土地理院の最近の取組

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PowerPoint プレゼンテーション

各府省からの第 1 次回答 1. 災害対策は 災害対策基本法に規定されているとおり 基礎的な地方公共団体である市町村による第一義的な応急対応と 市町村を包括する広域的な地方公共団体である都道府県による関係機関間の総合調整を前提としている を活用してもなお対応できず 人命又は財産の保護のため必要がある

1 視察目的 平成 28 年熊本地震は 観測史上初めて 同一地域において震度 7 の地震がわずか 28 時間の間に二度も発生し 大きな被害をもたらした 後に 前震 とされる平成 28 年 4 月 14 日 ( 木 )21 時 26 分に発生した地震は 熊本県熊本地方の深さ 11 km地点を震源とし

1. はじめに ➊ 2. 民間賃貸住宅の段階的活用と整理の必要性 ➋ (1) 建物被害に応じて段階的に提供した民間賃貸住宅 (2) 被災者の属性に応じて提供するべき 一時避難生活場所 と 代替住宅 図表 1 ( 一時避難生活場所含む ) と代替住宅 熊本県の例 3. 被災者支援内容の明確化と弾力的な

別紙 1 提出書類一覧様式番号 様式 1 様式 2-1 様式 2-2 様式 3 様式 4 様式名 施工体制確認調査報告書積算内訳書内訳明細書工程計画配置予定技術者名簿 次に該当する場合は 様式 4を提出する必要はありません 一般競争入札の場合 ( 開札後に提出のある 配置予定技術者の資格 工事経歴報

4:10 防災科学技術研究所第 2 回災害対策本部会議を開催 各班による状況報告による情報共有等を実施 9:34 防災科学技術研究所第 3 回災害対策本部会議を開催 各班による状況報告による情報共有等を実施 11:50 防災科学技術研究所職員が熊本県庁 ( 熊本県災害対策本部 ) に到着 16:00

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平成 28 年熊本地震における入札 契約の取り組みと復興係数の導入について 国土交通省九州地方整備局企画部技術管理課長竹 たけした 下 しんじ真治 震度分布図 1. はじめに 平成 28 年 (2016 年 ) 熊本地震 により,4 月 14 日の前震と 4 月 16 日の本震で熊本県熊本地方, 阿蘇地方, 大分県中部等の広い範囲で甚大な被害を被った 震度 1 以上を観測した回数はこれまでに 4,241 回 (1 月 31 日現在 ) に達している 一連の地震活動で震度 7 を 2 回観測したのは 1949 年に 震度 7 の階級ができて以降, 熊本地震が観測史上初めてである 以下に, 熊本地震の概要と被災状況を述べる 地震概要 発生日時 : 平成 28 年 4 月 14 日 ( 木 )21 時 26 分 ( 前震 ) 平成 28 年 4 月 16 日 ( 土 )01 時 25 分 ( 本震 ) 震源 : 熊本県熊本地方規模 : マグニチュード 6.5( 前震 ) マグニチュード 7.3( 本震 ) 地震名 : 平成 28 年熊本地震主な震度 : 前震 震度 7 益城町震度 6 弱玉名市, 西原村, 宇城市, 熊本市 本震 震度 7 益城町, 西原村震度 6 強南阿蘇村, 菊池市, 宇土市, 大津町, 鹿島町, 宇城市, 合志町, 熊本市 被災状況 死者 負傷者 : 死者 161 名, 負傷者 2,620 名 ( 消防庁情報 12 月 14 日 18:00 現在 ) 建設マネジメント技術 2017 年 3 月号 29

特集大規模自然災害からの復旧 復興 参考 警察が検視により確認している死者数 50 名 災害による負傷の悪化または避難生活等における身体的負担による死者数 106 名 6 月 19 25 日に発生した豪雨による被害のうち熊本地震と関連が認められた死者数 5 名建物被害全壊 8,360 棟, 半壊 32,261 棟, 一部破損 138,224 棟 ( 消防庁情報 12 月 14 日 18:00 現在 ) 2. 発災直後の入札 契約の 取り組みと工夫 熊本地震発災以降, 直ちに緊急復旧のための工事発注にとりかかった 発注に際しては, より迅速な対応が必要であるとともに, 簡易で早期に契約締結できることが重要である このため, 平常 時から災害発生時の工事体制を確保できる建設業者等と災害協定を締結しており, 緊急随意契約により工事契約を行っている は発災以降の復旧工事の発注状況であるが, 被災から即時に応急復旧に着工できるよう約 80 件を随意契約にて締結している これは, 事務所災害協定に基づく施工者の選定と整備局災害協定に基づき業界団体へ協力要請を行い選定する方式を執っている また, その後の本復旧については一般競争による総合評価方式を取り入れ約 40 件発注するとともに, 直轄事業では初めてとなる 技術提案 交渉方式 ( 技術協力 施工タイプ ) で現在手続き中である なお, 総合評価方式にて発注する工事については地域企業の施工確保や担い手確保にも留意し, のような取り組みや工夫を行い円滑な事業の推進に努めた 詳細については本誌 2016 年 11 月号に掲載 30 建設マネジメント技術 2017 年 3 月号

3. 入札契約状況 ( 不調 不落 ) と 現場の状況 熊本地震による災害復旧工事等の迅速かつ確実 な執行を図るため, 随意契約や一般競争入札における入札契約手続きの効率的な対応などを行い工事の発注に当たってきたが,8 月頃より不調 不 落が出始めている 直轄工事においては一般土木工事で 8 9 月に, 建築工事では 10 11 月頃から発生している 特に建築については, 発注件数は少ないものの不調率は 10 であった また, 熊本県発注工事においても土木一式で秋頃より増加し始め, 今年の 1 月末では発生率 3 となっている 同様に建築一式においては更に不調率が高く,12 月には 72% の発生率となっている 建設マネジメント技術 2017 年 3 月号 31

特集大規模自然災害からの復旧 復興 10 10 10 10 10 9 一般土木 8 建築 7 その他 6 全工種 5 4 3 2 1 33%33% 17% 2 1 9% 13% 7% 8% 9% 12%9% 11% 4% 5% 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 10 9 一般土木 8 7 6 建築その他全工種 58% 72% 57% 5 4 3 2 1 8% 2% 2% 22% 2% 3% 2% 2% 2% 9% 43% 17% 1 15% 7% 8% 9% 2% 21% 13% 2% 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 3% 19% 3 22% 32 建設マネジメント技術 2017 年 3 月号

直轄については一級河川白川, 緑川水系の災害復旧工事は全て発注完了しており, 今後継続して, 阿蘇大橋地区の崩壊した斜面防災対策の砂防事業, 国道 57 号北側復旧ルートや国道 325 号阿蘇大橋, 俵山トンネルルート等の権限代行等の道路事業について復旧を加速化していくこととしている 一方, 熊本県の災害復旧については, 熊本地震発災以降, 災害査定が始まったが 6 月の集中豪雨による豪雨災害も加わったことから, 最終的には第 22 次査定まで及び,12 月中旬まで実施された 公共土木施設被害は県, 市町村合わせて約 5,000 件と膨大な数となっており, 今後, 工事発注が本格化する中で前述のような不調 不落の増加傾向が益々顕著となることが予想され, 県としても地域の復旧 復興のブレーキになりかねないとの大きな不安を抱えているところである 熊本県としても県内企業の広域的な施工体制を確保することにより迅速な復旧 復興を行って県民の安全 安心につなげるとともに建設産業の経営力強化に資すため, 以下のように入札 契約制度を見直して事業推進しているところである 主な見直し内容 発注標準の見直し 復興 JV の導入 ( 地震対応 豪雨対応 ) 総合評価( 震災関連工事 ) の見直し 配置技術者等の緩和措置 間接費の適切な変更 現在, 熊本の都市部や阿蘇地方を中心とした被災地では, 早期復旧に向けたライフライン等の緊急復旧工事は一段落し, 官民の復旧工事の本格化や公共公益施設, 民間家屋等の解体, 補修工事が 建設マネジメント技術 2017 年 3 月号 33

特集大規模自然災害からの復旧 復興 精力的に行われている こうした早期復旧に向けた動きが加速化していく中, 現場においては工事の増加に伴い労働力が不足するとともに, ダンプトラックやオペレータの不足により作業効率が低下している状況にある 今後, 復旧 復興工事の本格化に伴い, 工事量の増加による建設労働者や建設資機材の不足と単価の上昇により, 不調 不落の増加と更なる作業効率の低下が危惧されているところであった 4. 復興係数 復興歩掛の導入 このように被災地を取り巻く現場の動きや作業効率の低下等を踏まえ, 本年 1 月 20 日に前述の課題等に対応するとともに, 円滑な施工の確保に万全を期すため, 予定価格の適切な設定に必要となる 復興歩掛 復興係数 の導入を図るなど 新たな対策を講じることを決定した 対策の内容 1. 復興歩掛 復興係数 の導入復興歩掛 : 土工の日当たり標準作業量を 2 低下する補正を設定復興係数 : 共通仮設費 1.1 倍, 現場管理費 1.1 倍に補正なお, 熊本県においても 復興係数 等の導入に当たり, 指名競争入札の地域要件を一部見直すなどの措置をとっている ( 平成 29 年 2 月 1 日以降に契約する熊本県内工事に適用 ) 2. 営繕積算方式 活用マニュアル( 熊本被災地版 ) 小規模長期工事における共通仮設費, 現場管理費の加算など被災地の実状を踏まえた積算マニュアルを作成し普及 促進 34 建設マネジメント技術 2017 年 3 月号

5. おわりに この新たな対策については本年 2 月 1 日以降に契約する工事から適用することとしてスタートした この採用により現場の状況に応じた適正な予定価格を設定することで, 復旧 復興工事の円滑な執行に大いに寄与すると期待している また, 同 様の目的で熊本県内各地域の施工体制の確保等に係る様々な課題に対し, 関係者間において情報共有や対応策の検討を行う場として 熊本地震等復旧 復興工事情報連絡会議 を設置している これには国, 県, 政令市, 県内全ての市町村が参加して進めており, その議決において九州では初となる 発注情報の一元化 も合わせてスタートした 今後とも, 関係機関一丸となり熊本地震からの早期復興に向け邁進してまいりたい 建設マネジメント技術 2017 年 3 月号 35