保全インフォメーションきんき第 122 号 寒かった冬から春の足音が聞こえてくるようになりました この時期に毎年流行るのはインフルエンザです 予防には事前のワクチン接種が有効と言われています しかし 感染力が強いため予防接種をしていてもかかってしまう場合もありますが 症状は軽く済むそうです また インフルエンザウイルスの空気中の活動や感染を抑えるために室内の湿度を50~60% に保った方がよいと言われています 人間の予防接種が有効なのと同様に建物も日頃の点検と早めの修繕 ( 予防保全 ) が有効です 予防保全をしていれば絶対不具合が起こらないとは言えませんが 不具合が起こっても軽い対処で済む場合が多いです 年度末の慌ただしい時期ですが 新年度を迎える前に人間の体と同じ思いで建物の状況を確認していただければと思います 現在 全国の官庁施設は築後 30 年以上を経過したものが約 4 割を占め 今後 大規模修繕や大型設備機器の更新が増えてきます 平成 26 年度官庁営繕関係予算の基本方針では 防災機能強化と老朽化対策をあげています 特に老朽化対策では 老朽化の進行を防ぐ長寿命化事業の実施 ( ハード対策 ) と効果的 効率的に機能維持する保全手法等の検討 ( ソフト対策 ) を行うことになっています 施設の長寿命化にはハード対策とソフト対策両方のバランス良い取組が必要なので 皆様のご協力よろしくお願いします ( 城戸 ) もくじ 1.How To 保全 (1) 安全なオフィスづくりのために ~ 耐震固定のすすめ~ 2.How To 保全 (2) エレベーター使用中に地震が発生した場合 もし閉じ込められたら 安全?? 3. 営繕関連情報コーナー吹き付けアスベストは含有されていない 本当に大丈夫ですか??? 4. お知らせ (1) 平成 25 年度保全実態調査のデータ確定について 5. お知らせ (2) 保全支援業務システム (BIMMS-N) の改良に伴う各種取り扱い 6. お知らせ (3) 次年度への引き継ぎについて 近畿地方整備局営繕部 Page. 1/13
1.How To 保全 (1) 安全なオフィスづくりのために ~ 耐震固定のすすめ ~ 建築物における階段等の避難施設の位置は 火災等が生じた際などに内部の人が安全に避難できるよう 部屋の奥まった場所からも一定の距離で辿り着けるように設計されています 事務室における家具の選定や配置について検討する際は 効率性だけでなく 安全性について検討していただくようにお願いします ( 図 1) 図 1 避難等を考慮した机や椅子の選定と配置 近年 建築物の耐震改修が進んでいますが 建物が揺れなくなるわけではありません 揺れに強いとされる免震建築物でさえ 長周期地震動に対しては揺れが発生することがわかっています 耐震改修の完了に安心することなく 内部の耐震化に取り組んでください 特に 家具や什器の耐震固定は着手が容易であり 様々な二次被害の発生を防ぐ効果の高い取り組みです ( 図 2) ひきだし 図 2 家具や什器の耐震固定の不備による挙動と被害の例 近畿地方整備局営繕部 Page. 2/13
家具等の転倒は 揺れにより家具の重心が家具等の幅を超えた時に生じます ( 図 3) 図 3 家具等の揺れと転倒の境目 このため 転倒の防止には 揺れの防止 (= 壁等への固定 ) や家具の幅を増すことが有効な取 り組みです ( 図 4) 図 4 家具等の転倒防止の対策例 壁に沿って設置されている家具等については 壁に固定するのが最も一般的な対策ですが 壁の種類によって留め付け方法に注意が必要です 一般的な官庁施設であれば 事務室の壁は1コンクリート 2 木材や鉄製で作られた 下地 と呼ばれる枠に合板や石膏ボードを貼り付けたもののいずれかです 1の場合は コンクリートに孔をあけ アンカーで止めつければ転倒のおそれはありません しかし 2の場合は 下地に止めつけなかった場合 地震の振動により留め付けたネジ等が抜けだし 転倒するおそれがあります ( 図 5) 下地の位置は 壁紙や塗装などの仕上げがない状態であれば 釘やネジが打ち込まれているので容易に見つけることができます 仕上げがある場合には ホームセンター等で販売されている 下地探し という安価な道具を使えば 下地の位置を容易に確認できます 下地探しには 先端に細い針がついています この針は 合板や石膏ボードを突き抜けることができますが 下地の木材や鉄を突き抜けることはできません そして 針を取り巻くゲージにより 針の刺さった深さを知ることができます センサー式の高価なタイプもあるので 用途に応じて選択してください ( 図 6) 近畿地方整備局営繕部 Page. 3/13
つっぱり棒による対策も壁と同様に天井の仕上げを考慮する必要があります オフィス用に天 井を突き抜けるおそれが少ない 天井への接地面積を増やした商品も販売されています 対策方 法に迷われる場合は メーカー等へ相談をおすすめします 図 5 壁に固定する際の留意事項 図 6 下地探しの使い方 東日本大震災では 東京でも構造体の被害がないにも関わらず 天井の落下により死傷者がで るなど 内装材の耐震性の不足による被害が発生しています 施設管理者の皆様におかれまして は 被害を未然に防ぐ視点で対策を進めていただくようお願いします 参考サイト 総務省消防庁 http://www.fdma.go.jp/html/life/kagu1.html ( 保全指導 監督室植木 ) 近畿地方整備局営繕部 Page. 4/13
2.How To 保全 (2) エレベーター使用中に地震が発生した場合 もし閉じ込められたら 安全?? はじめに日本全国のエレベーター設置台数は 80 万台弱と言われており 現時点でも増え続けています また 設置施設が都市部に集中しており 高層建物の増加に伴い高層用エレベーターが増加しています エレベーターが緊急停止する地震が都市部を含めて発生した場合 高層の建物であればあるほど 点検 修理等に時間を要するため 運転停止時間が長くなることが予想されます また 閉じ込め事故が発生した場合には 救出されるまでの時間が長くなるだけでなく 高層建物の場合 電力による縦動線が断裂し 階段での移動になるために様々な問題が発生します このようなこともあり 災害発生時を想定したエレベーターの災害訓練 救出訓練等の実施 適正な法定点検の実施が さらに求められることになります 以下に地震発生時の安全性や対応策を記載いたします 地震発生時のエレベーター安全性について Qエレベーターのロープが切れて最下階に落下するのでは? Aエレベーターのロープは3 本以上有り 1 本になってもエレベーターを吊ることが出来ます 万が一全てのロープが切断しても 安全装置が作動して落下はしません!! 過去に全てのロープが切れた事故が発生した時でも落下はしていません 映画のような落下シーンにはなりません Q 途中階でエレベーターが停止した場合乗客の力で脱出できるのか? A 上部天井を開けて 下部床を開けて の内部からの脱出は殆ど不可能です これも映画のようなことは出来ません Q 停電した場合エレベーター内が真っ暗になるのでは? A 停電時には非常照明 ( バッテリー等 ) が設置されているため 最低限の明るさは30 分以上確保されます ( ただし 適正点検でバッテリー等を確認している事が前提条件です ) Q 地震が発生した場合 エレベーターはどのような動きをするのですか? A 全国のエレベーターの約 7 割に地震管制運転制御装置が設置されているので ( 平成 21 年度に設置が義務化されているので 以降に製造されたエレベーターには設置されています ) その場合は自動的に最寄りの階に停止し ドアが開き避難を誘導します 設置されていないエレベーターの場合は 内部の乗客の手で全ての階のボタンを押して頂き 着床を確認して避難を行います このように災害停止した場合は 以降の運転について休止して頂き 保守メンテナンス会社の安全点検 ( 注意 1) を受けて 安全が確認されてから運転再開を行って下さい 地震管制運転制御装置が設置されている機種については 軽微な振動 ( 注意 2) であれば自動で運転再開を行いますが それ以外の場合は保守メンテナンス会社の点検を行わなければ 運転再開が出来ません 近畿地方整備局営繕部 Page. 5/13
( 注意 1) 安全点検とは 1レールのゆがみや破損がないか 2ロープの絡みや破損はないか 3 電源系統や制御系統に問題が発生していないか 4エレベーターシャフト内に問題が発生していないか 5スイッチ インターホン等 全ての機器について問題ないか 6スロー運転をしても問題が発生しないか ( 注意 2) 軽微な震動について 気象庁の発表震度が目安になりますが 震動の種類 ( 長中期震動等 ) や震度 3 以下でも メンテナンス会社の保守が必要になる場合があるため 数値的な表現が出来ない状況です 地震管制運転制御とは 地震発生 自動的に最寄りの階に着床して扉が開きます エレベーターに取り付けられた地震感知器が作動し扉を開き利用者の避難を誘導します 一定の時間 ( 約 60 秒 ) 経過後に扉が自動的に閉じます 内部扉開ボタンを押すと再度開きます 外部からの操作では開きません 揺れが軽微だった場合自動で運転再開 (P 波センサー付の場合 ) 揺れが大きかった場合運転停止状態継続 (S 波センサー付の場合 ) 強い揺れの場合 ( 一般的には震度 4 以上 ) で運転が停止した場合は メンテナンス会社の安全点検を実施しないと運転再開は行えません 最近では地震感知器について 緊急地震速報を取り入れて地震管制運転を作動させる方式もあるため 一度製造業者に確認して下さい エレベーター内に閉じ込められたら 内部インターホン 携帯電話 音 声等で外部に通報して下さい ただし 携帯電話等で通報する場合 ビルの場所 名前 エレベーターの設置場所がわからなければ 救出までの時間を要しますので まずは内部インターホンを優先して下さい 内部インターホンは 警備員室 守衛室 管理人室等 常時人のいる部屋に繋がりますが 最近はインターネット回線により 直接メンテナンス会社に繋がるようになっている事があります 訓練時等に再度確認を行って下さい ( 自動的に監視を行っているメンテナンス会社もあります ) 通報が繋がっても 災害が大きければすぐに救出されるとは限りません エレベーター内乗客の緊急時対策として 次頁のエレベーター災害対策ボックスが市販されております 近畿地方整備局営繕部 Page. 6/13
参考資料 ) コクヨ S&T 株式会社 参考資料 ) 株式会社アイポケット ( トイレ付きの場合 ) ( 注 ) 上記の商品はわかりやすい写真としての例示であり 推奨しているわけではありません このような備品を設置する場合の注意事項 車いす対応のエレベーターについては 車いすの出入りに対して支障の有無をサイズなどにより確認して下さい エレベーター災害対策ボックス内の備品の盗難や悪戯についての対策が必要です 飲料水 食料については定期的 ( 賞味期限等 ) な交換が必要です 地震発生時のエレベーターの注意事項まとめ 日頃の訓練により 地震時にエレベーターがどのように作動するかを確認し 施設管理者及び常時使用する職員に周知を行っておく 地震発生後速やかに エレベーター内に閉じ込めが発生していないかを施設管理者等が確認する 閉じ込めが発生していた場合 メンテナンス会社 消防 警察に連絡を行い エレベーター内の閉じ込め者に状況報告を行う ( 動揺しないように声をかける等 ) 二次災害防止のため 他のエレベーターを停止する メンテナンス会社の安全確認が行われるまで 絶対に運転再開を行わない ( 保全指導 監督室西森 ) 近畿地方整備局営繕部 Page. 7/13
3. 営繕関連情報コーナー 吹き付けアスベストは含有されていない 本当に大丈夫ですか??? 現在 石綿 ( アスベスト ) は建築材料等で使用をされていませんが 未だに古い施設の耐火被覆材などとして残っており 撤去又は封じ込めなどの措置がされていない施設があります うちの施設は一度石綿( アスベスト ) の含有調査をしてもらって 含有されていないと報告を受けているから大丈夫! と言われる方がいますが 注意が必要です! 現在の基準では 耐火被覆材等にアスベストが0.1% 含有していても アスベスト含有 した材料として扱わなければいけません 平成 18 年 9 月 1 日付けの改正前は 1.0% 含有で規制対象でしたが 現在は0.1% 含有でも規制されます もし 平成 18 年以前にアスベストの調査をしていたのであれば 現行基準としては アスベスト含有 になる材料かもしれません 施設に露出している吹付けアスベスト ( 綿状のもの ) があれば 是非再度調査を行って下さい 詳細については 保全インフォメーションきんき54 号 ( 平成 20 年 3 月 20 日 ) に掲載されているので 併せてご覧になっていただければと思います 保全インフォメーションきんき第 54 号 http://www.kkr.mlit.go.jp/build/pdf/_preservation/hozen-info/54.pdf ( 保全指導 監督室岩村 ) 近畿地方整備局営繕部 Page. 8/13
4. お知らせ (1) 平成 25 年度保全実態調査のデータ確定について 国家機関の皆様に御協力いただきました今年度の保全実態調査については 平成 25 年 10 月 31 日に保全業務支援システム (BIMMS-N) のデータの確定処理を行いました これにより 平成 25 年度分の保全実態調査評価 分析機能が使えるようになりました 入力 した施設の保全状況診断や 光熱水使用量について他施設との比較ができますので 御利用くだ さい 2 条件を選択し 検索 をクリック 1BIMMS-N ログイン後 保全実態情報管理 保全実態調査評価 分析 を選択 3 確認したい情報をクリックし データをダウンロード なお 御報告いただいた後 入力間違い等については国土交通省側にて修正させていただいた箇所がございます 主な修正箇所は 以下のとおりです 施設管理者側の報告後 修正依頼の御連絡を頂いた箇所 個別確認により入力間違いが判明した箇所のうち 国土交通省にて修正する旨の打合せを行った部分 今年度 保全実態調査現地実地指導を行った施設で ヒアリングにより入力間違いが判明した箇所のうち 国土交通省にて修正する旨打合せを行った部分 担当営繕事務所コード及び保全実地担当営繕事務所コードの変更 ( 保全指導 監督室渡部 ) 近畿地方整備局営繕部 Page. 9/13
5. お知らせ (2) 保全業務支援システム (BIMMS-N) の改良に伴う各種取り扱い 保全実態調査をはじめとしまして 中長期保全計画書 施設管理台帳等の作成に 保全業務支援システム (BIMMS-N) をご活用頂いていると思いますが 平成 26 年度から新たなシステムにより運用される予定となります これに伴い 一部データにつきましては新たなシステムに移行されませんので 施設管理者側でデータの出力 保存等の作業が必要となります これらの作業につきましては 平成 25 年度末 ( 平成 26 年 3 月 31 日 ) が期限となっておりますので お知らせいたします 新たなシステムに移行されるデータ ( 赤字 ) 移行されないデータ ( 青字 ) 新たなシステムへ移行されるデータ 保全実態調査情報管理 平成 25 年度保全実態調査で入力頂いたデータは 新たなシステムに移行 ( 新たなシステムにないデータを除く ) 平成 25 年度以前のデータは 国土交通省にてCSV 形式のデータを管理 御希望に応じデータ提供する予定 環境設定 ユーザー ID 及び資産グループの設定は 平成 25 年 11 月 15 日現在の設定情報を基に 新たなシステムに移行 新たなシステムへ移行されないデータ 点検記録情報管理 基本情報管理 施設管理 複数施設総合評価 分析 上記項目の出力したデータは Microsoft Excel 等を利用して引き続き利用が可能 マスタ編集 近畿地方整備局営繕部 Page. 10/13
データの出力方法 ( 点検記録情報管理 基本情報管理 施設管理 電子書庫 写真 ) 電子書庫 写真は画面右上タ ブより選択する 1 [ 建物選択 登録 ] から 施設を検索 選択 2 出力したい項目をグローバル メニューから選択 3 4 出力したい情報を検索後 [ 印刷 ] ボタンを押す そうすると xls 形式で出力 ( エクスポート ) される出力したデータを保存する 複数施設総合評価 分析 は 各施設の一部データを使用して 複数の施設を同時に評 価 分析を行い その結果を出力する機能です 複数の施設を比較したデータが必要な場合は このメニューから出力して下さい ( 保全指導 監督室渡部 ) 近畿地方整備局営繕部 Page. 11/13
6. お知らせ (3) 次年度への引き継ぎについて そろそろ新年度に向けての準備を行う時期となりました 毎年 この時期は異動もあり 引き継ぎの手配は残務に追われながら短期間での準備になるため 十分な引き継ぎが出来ない面も懸念される事と存じます 引き継ぎについて施設の情報を 誰が どこに 保管しているのか 各種相談窓口は誰か を伝えていただく事が重要です 引き継ぎに必要な情報 1 施設情報 構造規模 所在地 竣工 etc. 図面等( 発注図 改修図 etc.) 修繕履歴や点検記録等 外部委託の仕様書等 2 担当者連絡先 その他庁舎保全 修繕等に関わる業者等の連絡先 保全指導 監督室や京都営繕窓口 ( 電話 保全インフォメール ) また 新規ご担当の方向けに 保全業務の年間のフローなどを説明する際の参考資料として 保全インフォメーション41 号 ( 次年度の保全業務へ向けて ) や 保全インフォメーション35 号 ( 完成図について ) 等もご活用下さい 保全インフォメーションきんき第 35 号 http://www.kkr.mlit.go.jp/build/pdf/_preservation/hozen-info/35.pdf 保全インフォメーションきんき第 41 号 http://www.kkr.mlit.go.jp/build/pdf/_preservation/hozen-info/41.pdf ( 保全指導 監督室田口 ) 近畿地方整備局営繕部 Page. 12/13
このメールマガジン ( メールでの受信が不便な方にはFAXで配信 ) は 国家機関 地方公共団体 特殊法人 独立行政法人等において 施設管理に携わっておられる方々に 施設保全の最新情報や保全の技術をお知らせするために国土交通省近畿地方整備局がお送りしております 本メールマガジンについての御意見 御感想や How to 保全 に取り上げて欲しい内容等をお待ちしております 頂きました御意見等を踏まえまして 今後のメールマガジンの記事等に反映させていきたいと思っております なお バックナンバーにつきましては 下記 WEBページに掲載しております http://www.kkr.mlit.go.jp/build/_preservation/info_kinki.html 保全インフォメーションきんき編集事務局 本部 営繕部保全指導 監督室 ( :06-6443-1791) 岩村正一 (iwamura-s86jn@kkr.mlit.go.jp) 渡部秀仁 (watabe-h86wi@kkr.mlit.go.jp) 事務局 営繕部保全指導 監督室 ( :06-6443-1791) 田口万喜子 (taguchi-m86mz@kkr.mlit.go.jp) 京都営繕事務所 ( :075-752-0505) 瀧下幸生 (takishita-y86mm@kkr.mlit.go.jp) 近畿地方整備局営繕部 Page. 13/13