1. 研究の名称 : 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍の分子病理学的研究 2. 研究組織 : 研究責任者 : 埼玉医科大学総合医療センター病理部 准教授 百瀬修二 研究実施者 : 埼玉医科大学総合医療センター病理部 教授 田丸淳一 埼玉医科大学総合医療センター血液内科 助教 田中佑加 基盤施設研究責任者

Similar documents
埼玉医科大学倫理委員会

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

研究計画書 1. 研究の名称 便中ヒトヘモグロビン分析装置 HM-JACKarc マイナーチェンジ機の性能評価 2. 研究組織について 研究責任者 : 研究実施者 : 奈良豊 ( 埼玉医科大学総合医療センター中央検査部臨床検査技師係長 ) 島田崇史 ( 埼玉医科大学総合医療センター中央検査部臨床検査

料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

手順書03

研究課題名 臨床研究実施計画書 研究責任者 : 独立行政法人地域医療推進機構群馬中央病院 群馬県前橋市紅雲町 1 丁目 7 番 13 号 Tel: ( 内線 )Fax: 臨床研究期間 : 年月 ~ 年月 作成日 : 年月日 ( 第 版

9 中止基準 ( 研究対象者の中止 研究全体の中止について ) 10 研究対象者への研究実施後の医療提供に関する対応 通常の診療を超える医療行為 を伴う研究を実施した場合 研究実施後において 研究対象者が研究の結果より得られた利用可能な最善の予防 診断及び治療が受けられるように努めること 11 研究

(目的)

<4D F736F F D20819B8CA48B868C7689E68F D A8CA9967B5F E646F63>

6. 研究対象者として選定された理由 当科を受診された各種慢性肝疾患の方が研究対象者に含まれます 7. 研究対象者に生じる利益 負担および予想されるリスクノベルジン錠の国内臨床試験に置ける安全性評価対象例 74 例中 23 例 (31.1%) に副作用が認められ 主な自覚症状では悪心 4 例 (5.

同意説明文書(見本)

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

臨床研究に参加される研究対象者の方へ 皮膚症状を呈する膠原病における炎症性サイトカインの病態への関与について に関する研究の説明 これは臨床研究への参加についての説明文書です 本臨床研究についてわかりやすく説明しますので 内容を十分ご理解されたうえで 参加するかどうか患者さんご自身の意思でお決め下さ

芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍における高頻度の 8q24 再構成 : 細胞形態,MYC 発現, 薬剤感受性との関連 Recurrent 8q24 rearrangement in blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm: association wit

後天性血友病アンケート(Homepage用)

群馬大学人を対象とする医学系研究倫理審査委員会 _ 情報公開 通知文書 人を対象とする医学系研究についての 情報公開文書 研究課題名 : がんサバイバーの出産の実際調査 はじめに近年 がん治療の進歩によりがん治療後に長期間生存できる いわゆる若年のがんサバイバーが増加しています これらのがんサバイバ

6. 研究が終わった後 血液を他の研究に使わせてください 詳しくは ページへ 病には未解決の部分がまだ多く残っています 今後のさらなる研究のため ご協力をお願いいたします ( 必要に応じて ) バンク事業へのご協力をお願いします 遺伝子を扱う研究を推進するため 多くの人の遺伝子の情報を集めて研究に使

Microsoft Word - JONIE-TR 患者説明書.docx

血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被

課題名

再発小児 B 前駆細胞性急性リンパ性白血病におけるキメラ遺伝子の探索 ( この研究は 小児白血病リンパ腫研究グループ (JPLSG)ALL-B12 治療研究の付随研究として行われます ) 研究機関名及び研究責任者氏名 この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示す通りです 研究代表者眞田昌国立病院

検討課題の整理 1 第 1 回合同会議での意見及びその後委員から提出された意見を 第 1 回合同会議の 検討の進め方 ( 下記参照 ) に沿って分類 第 1 回合同会議資料 合同会議における検討の進め方 の抜粋 合同会議においては 以下の順で検討を進める (1) ゲノム指針と医学系指針との条文の整合

ただし 対象となることを希望されないご連絡が 2016 年 5 月 31 日以降にな った場合には 研究に使用される可能性があることをご了承ください 研究期間 研究を行う期間は医学部長承認日より 2019 年 3 月 31 日までです 研究に用いる試料 情報の項目群馬大学医学部附属病院産科婦人科で行

臨床研究許可申請書の提出に際しての留意事項

2. 研究の目的及び意義について目的 : 手根管症候群の臨床的な重症度と腱鞘滑膜に発現する炎症性のサイトカインやAGEsの関連を検討する事です 意義 : 手根管症候群の重症度と周囲組織の炎症の相関が明らかになれば 抗炎症作用を持つ薬剤が手根管症候群の治療に有用となる理由がより明らかとなると考えられま

Microsoft Word - *Xpert Flu検討 患者用説明書 修正.docx

実験計画書

<4D F736F F D A835E838A F8B7982D18AC48DB85F20534F A68CEB8E9A E9A8F4390B38DCF2

平成28年度 第1回 臨床研究に関する研修会

委員会記載 資料番号

2. PleSSision( プレシジョン ) 検査の内容について 網羅的ながん遺伝子解析とは? 月 木新患外来診療中 現在 がん は発症臓器 ( たとえば肺 肝臓など ) 及び組織型( たとえば腺がん 扁平上皮がんなど ) に基づいて分類され 治療法の選択が行われています しかし 近年の研究により

12_モニタリングの実施に関する手順書 

Microsoft Word 【医学系指針】ガイダンス(溶け込み)

疫学研究の病院HPによる情報公開 様式の作成について

臨床研究の概要および研究計画

臨床研究実施計画書

芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍 (BPDCN) の原因遺伝子変異を発見 ポイント 確立された治療法がない白血病である 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍 (BPDCN) の遺伝子解析を行い MYB 融合遺伝子を発見しました MYB 融合遺伝子の検査法を確立し この白血病の診断に役立てることが可能になりました

診療情報を利用した臨床研究について 虎の門病院肝臓内科では 以下の臨床研究を実施しております この研究は 通常の診療で得られた記録をまとめるものです この案内をお読みになり ご自身がこの研究の対象者にあたると思われる方の中で ご質問がある場合 またはこの研究に 自分の診療情報を使ってほしくない とお

人を対象とする医学系研究に関する倫理指針

別紙様式第1

資料2_ヒト幹同等性

1. この臨床研究は患者さんの治療のためではなく 新たな診断の確立のために行われます 尿路感染症の重症度を診断する際には CRP やプロカルシトニンなどの炎症マーカーが使用されておりますが これらのマーカーは 炎症が起きてから血中に出てくるまで時間がかかったり 炎症が良くなっても血液中からなかなか消

検査項目情報 6475 ヒト TARC 一次サンプル採取マニュアル 5. 免疫学的検査 >> 5J. サイトカイン >> 5J228. ヒトTARC Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital Ver.6 thymus a

個人情報の取り扱いについて 公益財団法人岩手県予防医学協会 個人情報保護管理責任者常務理事 公益財団法人岩手県予防医学協会 ( 以下 協会 という ) は 健康診断等で取得した個人情報 を協会の個人情報保護基本規程に従って適正に管理し 以下のとおりお取り扱いさせていただき ますので 個人情報の提供

Microsoft Word - all_ jp.docx

Microsoft Word - HP用 同意書・説明書 130121

質の高い病理診断のために 病理技術 診断基準の標準化を 目指した精度評価を実現します

4. 結果はお返ししない予定です [ 結果を開示しない場合 ] 今すぐに診療に役立てることができないため結果をお返ししない予定です ご理解く ださいますようお願いいたします 詳しくは ページへ ( 必要に応じて )5. 親権者の承諾のもと 未成年者の参加をお願いしています 詳しくは ページへ 6.

個人情報保護に関する規定 ( 規定第 98 号 ) 第 1 章 総則 ( 目的 ) 第 1 条学校法人トヨタ学園および豊田工業大学 ( 以下, 総称して本学という ) は, 個人情報の保護に関する法律 ( 平成 15 年法律第 57 号, 以下, 法律という ) に定める個人情報取り扱い事業者 (

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

臨床研究に関する研修会1

平成29年度 第1回 臨床研究に関する研修会

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

個人情報保護規程


臨床試験の実施計画書作成の手引き

資料1:「生命倫理に関する研究機関における検討について」(赤林先生資料)

ける発展が必要です 子宮癌肉腫の診断は主に手術進行期を決定するための子宮摘出によって得られた組織切片の病理評価に基づいて行い 組織学的にはいわゆる癌腫と肉腫の2 成分で構成されています (2 近年 子宮癌肉腫は癌腫成分が肉腫成分へ分化した結果 組織学的に2 面性をみる とみなす報告があります (1,

Microsoft Word - B 同意説明文書 杏林EBV 三橋先生に提出用.docx

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

目次 1. はじめに 1 2. 研究課題の倫理審査について 2 3. プライバシーの保護について 2 4. 提供試料の解析 / 分析等について 3 5. 研究課題と成果等の公表について 3 6. 追加の採血について 3 7. 過去の研究に提供した試料等の保管について 4 8. 試料 診療情報の提供先

Microsoft PowerPoint - 3. 資料2 がんゲノム情報管理センターの進捗状況

特定個人情報の取扱いの対応について

<4D F736F F D208CC2906C8FEE95F182CC8EE688B582C982C282A282C E646F6378>

B型肝炎ウイルスのキャリアで免疫抑制・化学療法を受ける患者さんへ

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 P EDTA-2Na( 薄紫 ) 血液 7 ml RNA 検体ラベル ( 単項目オーダー時 ) ホンハ ンテスト 注 外 N60 氷 MINテイリョウ. 採取容器について 0

個人情報保護方針の例

小児の難治性白血病を引き起こす MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見 ポイント 小児がんのなかでも 最も頻度が高い急性リンパ性白血病を起こす新たな原因として MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見しました MEF2D-BCL9 融合遺伝子は 治療中に再発する難治性の白血病を引き起こしますが 新しい

治療を受けられる患者様へのご説明 自家樹状細胞がんワクチン複合療法 ( ハイパー DC 療法 ) について 仙台画像検診クリニック 宮城県仙台市青葉区五橋 TEL: この説明文書は 自家樹状細胞がんワクチン複合療法 ( ハイパー DC 療法 ) ( 以下 ハイパ

岩手医科大学医学部及び附属病院における人を対象とする医学系研究に係るモニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学医学部及び附属病院における 人を対象とする医学系研究に係る モニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学 第 1.0 版平成 29 年 10 月 1 日

北海道大学病院

(Microsoft Word - \201iAL\201jAG-Link\227\230\227p\213K\222\350.doc)

14個人情報の取扱いに関する規程

< F2D8EE888F882AB C8CC2906C>

個人情報の取り扱いに関する規程

<93648EA593498B4C985E82C98AD682B782E E838A F E315F C668DDA95AA292E786C7378>

個人情報保護規程 株式会社守破離 代表取締役佐藤治郎 目次 第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章個人情報の利用目的の特定等 ( 第 4 条 - 第 6 条 ) 第 3 章個人情報の取得の制限等 ( 第 7 条 - 第 8 条 ) 第 4 章個人データの安全管理 ( 第 9

北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

説明文書作成上の留意点

個人情報保護規定

臨床研究に関する標準業務手順書

藤田医科大学人を対象とする医学系研究に係る医学研究倫理審査委員会申請手順書 ( 学内申請者用 ) 作成 : 藤田医科大学 医学研究倫理審査委員会事務局 第 1 版 2018 年 3 月 1 日 第 2 版 2018 年 10 月 10 日

アンケート用「研究実施計画書」作成の手引

Microsoft Word - 1_ç€fl究訋çfl»æł¸.docx

血漿エクソソーム由来microRNAを用いたグリオブラストーマ診断バイオマーカーの探索 [全文の要約]

Microsoft Word - 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成29年2月28日一部改正)

【押印あり】日本医学会宛

07案3団体あて臨床研究法COI通知

イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ

博士学位申請論文内容の要旨

制定 : 平成 24 年 5 月 30 日平成 23 年度第 4 回理事会決議施行 : 平成 24 年 6 月 1 日 個人情報管理規程 ( 定款第 65 条第 2 項 ) 制定平成 24 年 5 月 30 日 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 定款第 66 条第 2 項の規定に基づき 公益社団法

標準業務手順 目次

個人情報の保護に関する規程(案)

臨床研究法対応研究計画書記載事項

社会福祉法人春栄会個人情報保護規程 ( 目的 ) 第 1 条社会福祉法人春栄会 ( 以下 本会 という ) は 基本理念のもと 個人情報の適正な取り扱いに関して 個人情報の保護に関する法律 及びその他の関連法令等を遵守し 個人情報保護に努める ( 利用目的の特定 ) 第 2 条本会が個人情報を取り扱

にそえない場合がございますがご了承ください 連絡先所属 職名 : 医学部附属病院患者支援センター助教氏名 : 中島康代連絡先 : 実施医療機関の研究責任者所属 職名 : 高崎総合医療センター 消化器内科氏名 : 長沼篤連絡先 : 群馬県高崎市高松町 36 T

第 4 条公共の場所に向けて防犯カメラを設置しようとするもので次に掲げるものは, 規則で定めるところにより, 防犯カメラの設置及び運用に関する基準 ( 以下 設置運用基準 という ) を定めなければならない (1) 市 (2) 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 260 条の2

特定個人情報の取扱いの対応について

疫 学 研 究 許 可 申 請 書

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

Transcription:

資料 1 研究計画書 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍の分子病理学的研究 埼玉医科大学総合医療センター病理部 研究責任者百瀬修二 Ver1.0 2018 年 1 月 31 日

1. 研究の名称 : 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍の分子病理学的研究 2. 研究組織 : 研究責任者 : 埼玉医科大学総合医療センター病理部 准教授 百瀬修二 研究実施者 : 埼玉医科大学総合医療センター病理部 教授 田丸淳一 埼玉医科大学総合医療センター血液内科 助教 田中佑加 基盤施設研究責任者 : がん研究所病理部 がん研究所分子標的病理プロジェクト 主任研究員 竹内賢吾 3. 研究の背景 意義と目的芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍 (blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm, BPDCN) は,2008 年のWHO 分類で初めて独立した疾患概念として定義された形質細胞様樹状細胞の前駆細胞に由来する稀な疾患である. 急激な経過をとる生存期間中央値 12 か月程度の予後不良疾患であり, 標準治療は確立されていない. 有効な治療法の開発のため分子病理学的理解が求められているが, その稀少性と疾患概念の確立の遅れ等から診断および治療に資する知見が不十分である. 本研究の目的は,BPDCN における, 形態, 免疫学的マーカー発現, 体細胞性遺伝子異常などを解析し, 予後予測因子や分子標的の同定を試み, またその分子病理学的分類の策定に寄与することである. 前述のごとくBPDCN は標準治療が確立されていない予後不良の疾患であり, 今回の研究により期待される, 形態 免疫学的所見の熟察, 分子病理学的知見の獲得, 予後予測因子 治療標的の同定等は, 診断および治療の進歩に寄与するものと考えられる. 4. 研究の方法稀少疾患であるが故に症例の収集が困難である. そのため, 全国レベルでの解析のため 当院で保管されている試料 情報の提供を行う 使用される試料は基本的に, 腫瘍の生検または摘出を受けた患者より得られた腫瘍組織のホルマリン固定パラフィン包埋材料 ( 未染標本 ) であるが, 凍結検体が保管されている場合, その提供も行うこともある 基盤施設では 全ゲノムシークエンスをはじめとする次世代シークエンサーを用いた解析 (ChIP シークエンス, 全エクソン解析, トランスクリプトーム解析などを含む ),SNP アレイ,cDNA マイクロアレイ等によりさらに検討を加える. ホルマリン固定パラフィン包埋材料についても, 検体量が多く良質な核酸が抽出できると判断される場合には, 凍結検体と同様の解析 ( 上記 ) を試みる と記載されているが 当院からのホルマリン固定パラフィン包埋材料ならびに新鮮凍結材料での解析行う場合は 特定の遺伝子のみの変異解析であるターゲットシークエンスに限定し 全ゲノムシークエンスや全エクソン解析 トランスクリプトーム解析など偶発的発見が起こりうる検索は行わない 5. 研究期間 研究期間 : 倫理委員会承認後 ~2022 年 3 月 31 日 1

調査対象期間 :1990 年 1 月 1 日 2022 年 1 月 31 日 6. 予定症例数 当センターのみ 20 例 7. 研究等の実施場所 病理部研究室 ( 地下 1 階 第二研究棟 3 階 ) 血液内科 ( 外来 入院 ) 8. 被験者の選択基準 除外基準 1990 年 1 月 1 日 2022 年 1 月 31 日までに当センターにて BPDCN( 旧疾患名 blastic NKcell lymphoma) あるいは BPDCN と鑑別が問題となる境界的病変などの診断をうけた患者 除外基準 : 研究に同意されなかった患者 9. 研究の科学的合理性の根拠本研究の目的は,BPDCN における, 予後予測因子や分子標的の同定を試み, またその分子病理学的分類の策定に寄与することである. 主とする試料は, ホルマリン固定 パラフィン包埋検体の未染標本であり, 病理学的手法を主体として解析する. 凍結保存検体, 新鮮検体が入手できる場合は, 特定のがん関連遺伝子を対象とするターゲットシークエンスを行うこともある ホルマリン固定パラフィン包埋材料についても, 検体量が多く良質な核酸が抽出できると判断される場合には, 特定のがん関連遺伝子を対象とするターゲットシークエンスを試みる. 10. 被験者に理解を求め同意を得る方法担当医師は患者本人に別紙説明文書 ( 資料 2) を渡し 本研究内容を口頭で詳しく説明し 別紙同意文書 ( 資料 3) に説明をした医師名 説明を受けた患者名 同意を得た日付を記載し 医師 患者各々が署名する 同意文書は2 部作成し 1 部は患者本人に手渡し もう1 部はカルテにスキャナ後原本は病理部地下 1 階の施錠可能な棚に保管する 同意後も同意撤回の希望があれば 同意撤回文書にてどの時点であっても撤回可能とする 同意撤回書は 2 部作成し 1 部は患者本人に手渡し もう 1 部はカルテにスキャナ後原本は病理部地下 1 階の施錠可能な棚に保管する また 口頭での説明および同意が困難な症例には 総合医療センター倫理委員会のホームページ上で本研究が行われていることを明記し 被験者からの相談 同意しない場合などの連絡方法を示す 11. 研究対象者に緊急かつ明白な生命の危機が生じている状況における研究の取り扱い 該当せず 12. 個人情報の取扱いについて本研究では患者の残余検体を匿名化して取り扱い 遺伝子検査番号を付与する 検査時は遺伝子検査番号のみで検体処理 保管 検査がなされる 遺伝子検査番号と患者の対応表 2

は病理部地下一階のインターネットに接続しない PC 上にて管理し さらに PC は施錠した保管スペースに厳重に保管する 研究終了後は直ちに情報を破棄する これらの情報は匿名化の上で 個人情報管理責任者であるメンタルクリニック教授吉益晴夫の管理の下 個人情報管理補助者である病理部の阿部倫子が病理部地下 1 階の施錠可能な棚において厳重に保管する またがん研究会には匿名化の上で必要な情報および試料の提供がなされる 保管期間は本研究後 10 年とする 最終的な試料の廃棄方法は当院病理部ならびに がん研究会の規定に従い 個人が特定されない匿名化の上で廃棄する 13. 当該臨床研究に参加することにより期待される利益及び起こり得る危険並びに必然的 に伴う心身に対する不快な状態 患者に利益はない 患者にとって危険 心身に対する不快な状態は想定されない 14. 試料の取扱いについて病理部において 1990 年 1 月 1 日 2022 年 1 月 31 日までに当センターにて芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍あるいは BPDCN と鑑別が問題となる境界的病変などの診断をうけた患者のリンパ節あるいは腫瘍などのホルマリン固定 パラフィン包埋検体を用いて行い 新鮮凍結残余検体がある場合は必要に応じて用いる 保管期間は本研究後 10 年とする 最終的な試料の廃棄方法は当院病理部ならびに がん研究会の規定に従い 個人が特定されない匿名化の上で廃棄する 15. 病院長への報告内容及び方法 1 研究責任者は 研究の倫理的妥当性若しくは科学的合理性を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報であって研究の継続に影響を与えると考えられるものを得た場合には 遅滞なく 病院長に対して文書にて報告し 必要に応じて 研究を停止し 若しくは中止し 又は研究計画書を変更する 2 研究責任者は 研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報を得た場合には 速やかに病院長に文書にて報告し 必要に応じて 研究を停止し 若しくは中止し 又は研究計画書を変更する 3 研究責任者は 研究を終了 ( 中止の場合を含む ) したときは 病院長に必要な事項について文書にて報告する 16. 利益相反について当該臨床研究に係る資金源 ( 企業等からの研究費 薬品 医療機器の提供等 ) について 起こり得る利害の衝突及び研究者等の関連組織との関わりはなし 病理部研究費により行う 17. 研究に関する情報の公開の方法 学会および学術雑誌等で公表する. 3

18. 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応 総合医療センター倫理委員会ホームページ上に 研究へ同意しない患者に関して研究 会への連絡方法を明記 連絡を受けた場合 その患者の検体を用いない 19. 費用負担及び謝礼について 費用負担及び謝礼はない 20. 健康被害や有害事象への対応 該当せず 21. 期待される成果 医学上の貢献の予測について芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍は未だ病型分類が定まらない病態 治療が奏効せず難治性の病態が存在する 一方では様々な分子標的薬が開発されており 今後の分子病型に一致した 最適な治療が選択されることが望まれている 本研究の成果により 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍の分子病型を明確にし 治療成績の向上に対する貢献が期待できる 22. 知的財産権について 研究成果は 公益財団法人がん研究会に帰属する 23. 研究の実施に伴い 研究対象者の健康 子孫に受け継が得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合には 研究対象者に係る研究結果 ( 偶発的発見も含む ) の取り扱い 本研究は, 腫瘍検体における体細胞性遺伝子変異を解析の対象とするものであり, 胚細胞性遺伝子変異の解析など遺伝情報の解析は目的としていない 基盤施設では次世代シークエンサーによる解析 全ゲノムや全エクソーム解析を行う計画があるが 当院の検体でその計画はなく 偶発的所見が得られる可能性はない よって 原則として提供者本人や家族に解析結果は開示しない 24. 研究に関する業務の一部を委託する場合には 業務内容及び委託先の監督方法 業務の委託はなし 25. 研究対象者から取得された試料 情報について 研究対象者等から同意を受ける時点で は特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可 能性がある場合には その旨と同意を受ける時点において想定される内容 既存試料 情報の提供先であるがん研究会に送付された試料 情報に関しては, がん 研究会からさらに他の研究機関に提供することはない もとより, 本研究のために新 規に取得される試料 情報はない 4

26. モニタリングと監査 モニタリング : 侵襲介入を伴わないため 該当せず 監査 : 侵襲介入を伴わないため 該当せず 27. 教育 研修 e-learning を受講済みである 5